(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023072577
(43)【公開日】2023-05-24
(54)【発明の名称】蓋体
(51)【国際特許分類】
B65D 81/34 20060101AFI20230517BHJP
【FI】
B65D81/34 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021185229
(22)【出願日】2021-11-12
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000226976
【氏名又は名称】日清食品ホールディングス株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】308032699
【氏名又は名称】日清食品株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100176658
【弁理士】
【氏名又は名称】和田 謙一郎
(72)【発明者】
【氏名】村木 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】武田 直大
(72)【発明者】
【氏名】白澤 勉
(72)【発明者】
【氏名】谷内 友樹
【テーマコード(参考)】
3E013
【Fターム(参考)】
3E013BA06
3E013BB06
3E013BC12
3E013BC13
3E013BC14
3E013BD01
3E013BE02
3E013BH52
3E013BH53
(57)【要約】
【課題】容器をスムーズに再封可能な蓋体を提供する。
【解決手段】一実施形態に係る蓋体は、湯を注いで調理する即席食品を収納する容器の開口を封止する蓋体であって、容器の開口端部に貼合される本体部と、本体部から外側に張り出した少なくとも2つの摘まみ片と、を有し、本体部を厚さ方向からみて本体部を2つの領域に仮想的に2等分した場合において、少なくとも2つの摘まみ片は、2つの領域のうちの1つの領域の外周縁に配置されており、本体部および少なくとも2つの摘まみ片は、積層シートによって形成されており、積層シートは、紙製の基材層と、基材層上に設けられた熱接着樹脂層と、を有し、積層シートのループスティフネス値を積層シートの厚さで除した値が0.5mN/μm以上3.5mN/μm以下である。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
湯を注いで調理する即席食品を収納する容器の開口を封止する蓋体であって、
前記容器の開口端部に貼合される本体部と、
前記本体部から外側に張り出した少なくとも2つの摘まみ片と、
を有し、
前記本体部を厚さ方向からみて前記本体部を2つの領域に仮想的に2等分した場合において、前記少なくとも2つの摘まみ片は、前記2つの領域のうちの1つの領域の外周縁に配置されており、
前記本体部および前記少なくとも2つの摘まみ片は、積層シートによって形成されており、
前記積層シートは、
紙製の基材層と、
前記基材層上に設けられた熱接着樹脂層と、
を有し、
前記積層シートのループスティフネス値を前記積層シートの厚さで除した値が0.5mN/μm以上3.5mN/μm以下である、
蓋体。
【請求項2】
前記ループスティフネス値を前記厚さで除した値が1.2mN/μm以上1.3mN/μm以下である、
請求項1に記載の蓋体。
【請求項3】
前記ループスティフネス値は、前記積層シートのMD方向およびTD方向それぞれのループスティフネス値の平均値である、
請求項1または2に記載の蓋体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は蓋体に関する。
【背景技術】
【0002】
即席食品(たとえば即席麺)は、容器に収納され、容器の開口を蓋体で封止された状態で提供される。この場合、ユーザは、蓋体の一部を容器から引き剥がし、容器の一部を開封する。ユーザは、その開封箇所から熱湯を容器内に注いだ後、蓋体で容器を再度塞ぐ。このように蓋体で容器を再封する場合、容器が開封しないように、蓋体に設けられた摘まみ片(タブ)を折り曲げて蓋体を容器に止める(特許文献1~3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実公昭56-31979号公報
【特許文献2】実開昭53-126844号公報
【特許文献3】特開平10-316168号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
蓋体で容器を再封する際、蓋体に設けられた摘まみ片(タブ)を折り曲げて蓋体を容器に止める構成では、上記摘まみ片(タブ)を折り曲げにくく、スムーズに再封できない場合があった。
【0005】
そこで、本発明は、容器をスムーズに再封可能な蓋体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る蓋体は、湯を注いで調理する即席食品を収納する容器の開口を封止する蓋体であって、上記容器の開口端部に貼合される本体部と、上記本体部から外側に張り出した少なくとも2つの摘まみ片と、を有し、上記本体部を厚さ方向からみて上記本体部を2つの領域に仮想的に2等分した場合において、上記少なくとも2つの摘まみ片は、上記2つの領域のうちの1つの領域の外周縁に配置されており、上記本体部および上記少なくとも2つの摘まみ片は、積層シートによって形成されており、上記積層シートは、紙製の基材層と、上記基材層上に設けられた熱接着樹脂層と、を有し、上記積層シートのループスティフネス値を上記積層シートの厚さで除した値が0.5mN/μm以上3.5mN/μm以下である。
【0007】
上記蓋体では、蓋体を形成する積層シートのループスティフネス値を上記積層シートの厚さで除した値が0.5mN/μm以上3.5mN/μm以下であることから、上記少なくとも2つの摘まみ片を折り曲げやすい。そのため、蓋体を上記容器に適用した場合、スムーズに容器を再封可能である。
【0008】
上記ループスティフネス値を上記厚さで除した値が1.2mN/μm以上1.3mN/μm以下であってもよい。この場合、蓋体を上記容器に適用した場合、よりスムーズに容器を再封可能である。
【0009】
上記ループスティフネス値は、上記積層シートのMD方向およびTD方向それぞれのループスティフネス値の平均値であってもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、容器をスムーズに再封可能な蓋体を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る蓋体の使用状態の模式図である。
【
図3】
図3は、
図1に示した蓋体を形成する積層シートの層構成を示す模式図である。
【
図4】
図4は、
図1の状態から蓋体の一部を容器から剥がした状態の模式図である。
【
図5】
図5は、
図4の状態から蓋体を用いて容器を再封した状態の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。同一の要素には同一符号を付する。重複する説明は省略する。図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致していない。
【0013】
図1は、一実施形態に係る蓋体の使用状態の模式図である。
図1は、蓋体の使用状態の側面図であり、説明の便宜のため、
図1では、容器2および蓋体10の一部を切り欠いた図を示している。
【0014】
図1に示した蓋体10は、湯を注いで調理する即席食品1(たとえば即席麺)を収納する容器2の開口2aを封止する蓋体である。すなわち、蓋体10は、即席食品容器用蓋体である。
【0015】
蓋体10が適用される容器2は有底筒状を呈する。本実施形態において、容器2の底壁の厚さ方向からみた場合、容器2の形状は円形である。容器2において底壁と反対側に位置する開口端部2bは、外側に曲げられており、開口端部2bの一部はフランジ部を構成している。
【0016】
図2に示したように、蓋体10は、平面視において、本体部11と、少なくとも2つの摘まみ片12を有する。
図2は、蓋体10の平面図であり、蓋体10の厚さ方向から見た場合を示している。
【0017】
本体部11は、蓋体10が容器2に使用された状態において容器2の開口2aを塞ぐ部分である。本体部11は、開口端部2bと同様の形状を有し、本実施形態では円形である。よって、本実施形態において、本体部11の中心11aは上記円の中心であり、開口端部2bの中心と一致する。本体部11の直径Dは、容器2のサイズに依存するが、たとえば、20mm以上200mm以下であり、50mm以上180mm以下であってもよい。直径Dの例は、たとえば、96.5mm、80.5mm、166mmなどである。
【0018】
少なくとも2つの摘まみ片12は、本体部11の周縁から連続的に外側に張り出した部分である。少なくとも2つの摘まみ片12は、本体部11を厚さ方向からみて本体部11を2つの領域に仮想的に2等分した場合において、2つの領域のうちの1つの領域(以下、「半周領域」とも称す)の外周縁に配置されている。少なくとも2つの摘まみ片12が配置される上記半周領域は、蓋体10を使用された容器2に湯を注ぐために容器2から剥がされる領域であり得る。摘まみ片12は、たとえばタブである。摘まみ片12は、
図1に示したように、蓋体10を容器2に使用した場合、蓋体10のうち開口端部2bの外側に位置する。摘まみ片12は、蓋体10で閉じられた容器2をユーザが開封する際の開封開始端として使用されるとともに、蓋体10で容器2の開口2aを再度塞ぐ際に蓋体10を容器2に止めるための係止具としても使用される。
【0019】
本実施形態では、
図2に示したように、蓋体10が2つの摘まみ片12を有する形態を説明する。2つの摘まみ片12を区別する場合、2つの摘まみ片12を第1摘まみ片121および第2摘まみ片122と称す。
【0020】
本実施形態において、第1摘まみ片121は舌片状または略三角形状を呈し、本体部11の外側に向けて(径方向において)最も離れた第1頂部121aを有する。蓋体10において、第1頂部121aと本体部11の中心11aを挟んで反対側の部分と第1頂部12aとの間の長さLの例は、25mm以上220mm以下であり、55mm以上200mm以下であってもよい。長さLは、蓋体10における最大長さである。
【0021】
第2摘まみ片122は、本体部11の中心11aの周りに第1摘まみ片121から所定角度範囲内に配置されている。
図2に示したように、第1摘まみ片121および第2摘まみ片122が第1頂部121aと第2頂部122aを有する形態を用いて、第1摘まみ片121および第2摘まみ片122の配置関係の例を具体的に説明する。
【0022】
第1摘まみ片121および第2摘まみ片122は、円形の本体部11における半円領域の外周縁に配置されている。第1摘まみ片121および第2摘まみ片122は、
図2に示した仮想直線14aと仮想直線14bとの間の角度(本実施形態において中心角)θが上記所定角度範囲となるように、配置されている。仮想直線14aは、第1頂部121aと中心11aをとおる仮想直線であり、仮想直線14bは、第2頂部122aと中心11aをとおる仮想直線である。上記角度θの所定角度範囲は、180度未満であり、たとえば、45度以上105度以下であり、45度以上90度以下でもよい。以下、説明の便宜のため、第1摘まみ片121および第2摘まみ片122の配置関係の説明では、上記角度θを使用して説明する。
【0023】
図3に示したように、蓋体10は、紙製の基材層21および熱接着樹脂層23を含む積層シート20によって形成されている。
図3は、蓋体10を形成する積層シート20の層構成を説明するための模式図である。基材層21および熱接着樹脂層23は、
図1に示した使用状態において、外側(容器2と反対側)から基材層21および熱接着樹脂層23の順に積層されている。積層シート20の厚さd(μm)は、たとえば、50μm以上300μm以下であり、70μm以上250μm以下であってもよい。
【0024】
基材層21は、紙自体から構成される層である。本実施形態において、基材層21は、蓋体10における外層に相当する。基材層21を構成する紙は、例えば上質紙、特殊上質紙、コート紙、アート紙、キャストコート紙、和紙、模造紙、クラフト紙等である。基材層21は、再生紙によって構成されてもよい。基材層21の坪量は、たとえば、30g/m2以上200g/m2以下である。基材層21の坪量の下限値は、40g/m2でもよいし、50g/m2でもよい。基材層21の坪量の上限値は、180g/m2でもよいし、160g/m2でもよい。基材層21の厚さの例は、20μm以上230μm以下であり、30μm以上210μm以下であってもよい。基材層21の質量は、たとえば、積層シート20を構成する各層の合計質量(すなわち、蓋体10の総質量)における51%以上である。この場合、積層シート20は紙を主成分とするシートであり、蓋体10は紙製の蓋体である。
【0025】
基材層21には、商品説明、開封方法などの印刷が施されても良い。この場合、積層シート20は、基材層21上(たとえば、基材層21において熱接着樹脂層23と反対側の層)に印刷層を有する。
【0026】
熱接着樹脂層23は、蓋体10における内層であり、蓋体10を容器2の開口端部2bに貼り合わせるための層である。熱接着樹脂層23は、たとえばシーラント層である。熱接着樹脂層23の厚さの例は、5μm以上70μm以下である。熱接着樹脂層23の厚さの下限値は、10μmでもよいし、15μmでもよい。熱接着樹脂層23の厚さの上限値は、45μmでもよいし、40μmでもよい。
【0027】
熱接着樹脂層23の材料の例は、ポリオレフィン系樹脂である。熱接着樹脂層23の材料として、具体的には、低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)、中密度ポリエチレン樹脂(MDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE)、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン-αオレフィン共重合体、エチレン-メタアクリル酸樹脂共重合体などのエチレン系樹脂、ポリエチレンとポリブテンのブレンド樹脂、ホモポリプロピレン樹脂(PP)、プロピレン-エチレンランダム共重合体、プロピレン-エチレンブロック共重合体、プロピレン-αオレフィン共重合体などのポリプロピレン系樹脂等が使用される。熱接着樹脂層23は、たとえば、熱接着樹脂層23となるべき樹脂を押し出す方法(押出しラミネート法)によって形成され得る。
【0028】
積層シート20は、基材層21および熱接着樹脂層23に加えて他の層を有してもよい。たとえば、積層シート20は
図3に示したように基材層21と熱接着樹脂層23との間に金属層22を有してもよい。
【0029】
金属層22は、基材層21上に積層されている。金属層22は、積層シート20(蓋体10)にバリア性を付与する。金属層22は、たとえば、金属箔であり、金属箔の例は、アルミニウム箔である。金属層22の厚さの例は、3μm以上30μm以下であり、5μm以上20μm以下でもよい。
【0030】
金属層22は、
図3に示したように、熱可塑性樹脂層24を介して基材層21に接着されてもよい。この場合、熱可塑性樹脂層24は、接着層として機能している。熱可塑性樹脂層24の例は、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、ポリウレタン、ポリプロピレン、エチレン-不飽和エステル共重合樹脂、又はポリエステル系共重合樹脂等である。熱可塑性樹脂層24の厚さの例は、3μm以上40μm以下であり、5μm以上35μm以下でもよい。
【0031】
金属層22が熱可塑性樹脂層24を介して基材層21に接着されている形態では、基材層21と金属層22との間に熱可塑性樹脂層24となるべき樹脂をTダイなどから押し出す方法(押出ラミネート法)によって、基材層21と金属層22とがラミネートされ得る。基材層21と金属層22は、たとえば、本技術分野において用いられる接着剤を用いて接着されてもよい。
【0032】
上記積層シート20は、たとえば、押出ラミネート法、ドライラミネート法等によって製造され得る。
【0033】
積層シート20は、以下の条件Aを満たすように構成されている。
[条件A]
積層シート20のループスティフネス値(mN)を積層シート20の厚さd[μm]で除した値α[mN/μm]が0.5mN/μm以上3.5mN/μm以下である。
【0034】
上記αは、1.2mN/μm以上1.3mN/μm以下でもよい。
【0035】
ループスティフネス値は、たとえば以下の測定条件で測定された値である。
[測定条件]
積層シート20と同じ層構成を有する幅15mmであり長手方向の長さが180mmであるサンプル片を準備する(たとえば、積層シート20から上記サンプル片を切り出す)。サンプル片を中央部から曲げて両端部をクリップで固定し、ループ長が100mmの円形ループを作製する。このように作製した円形ループを、その頂部(クリップと反対側)から圧縮速度3.3mm/sで押し込み、押込み長が10mmとなる場合の荷重を測定する。この測定結果である荷重をループスティスネス値として採用する。
【0036】
上記ループスティフネス値は、東洋精機製作所製のループスティフネステスタで測定され得る。
【0037】
積層シート20のMD方向(流れ方向)とTD方向(幅方向であり、MD方向に直交する方向)のループスティフネス値に違いが生じる場合には、MD方向およびTD方向のループスティフネス値を算出し、それらの平均値を上記積層シート20のループスティフネス値として採用してもよい。
【0038】
積層シート20の層構成(蓋体10の層構成)などは、上記条件Aを満たすように設定されている。上記層構成は、層数、各層の材料、厚さなどを含む。
【0039】
次に、
図1、
図4および
図5を用いて蓋体10の作用効果を説明する。蓋体10は、
図1に示したように、即席食品1を収納した容器2の開口端部2bに貼合される。これによって、容器2が蓋体10によって閉じられる。開口端部2bへの蓋体10の貼合は、ヒートシールによってなされ得る。
【0040】
ユーザが、容器2内の即席食品1を食す場合、ユーザは、
図4に示したように、第1摘まみ片121および第2摘まみ片122の少なくとも一方を用いて蓋体10を半分程度、容器2から剥がす。これにより生じた開口を利用して、ユーザは、湯供給部(やかん、ポットなど)から熱湯3を容器2内に注ぐ。その後、ユーザは、
図5に示したように、蓋体10のうち容器2から剥がされた部分を容器2側に戻し、熱湯3を注ぐための開口を再度塞ぐ。この場合、第1摘まみ片121を開口端部2bの外縁に沿って折り曲げることによって、第1摘まみ片121を容器2に止める。同様に、第2摘まみ片122を開口端部2bの外縁に沿って折り曲げることによって、第2摘まみ片122を容器2に止める。これにより、蓋体10のうち容器2から引き剥がされた部分が、容器2に2箇所で再度止められ、熱湯3を注ぐために形成された開口が閉じられる。この状態で一定時間(たとえば3分)経過した後、ユーザは、蓋体10を容器2から分離する。
【0041】
蓋体10を構成する積層シート20が上記条件Aを満たすことから、蓋体10のループスティフネス値を積層シート20の厚さdで除した値αは、0.5mN/μm以上3.5mN/μm以下である。ループスティフネスは腰強度に相当し、蓋体10の曲げ特性を表す。
【0042】
上記αが3.5mN/μm以下であることによって、摘まみ片12を曲げやすい。そのため、蓋体10を用いて容器2をスムーズに再封可能である。よって、たとえば、力が比較的に弱い方(女性、子供、高齢者など)でも摘まみ片12を折り曲げて蓋体10を容易に容器2に止めることが可能である。上記αが0.5mN/μm未満の場合、蓋体10を製造する際の作業性が低下する。換言すれば、αが0.5mN/μm以上であることによって、蓋体10を製造し易い。
【0043】
上記αが、たとえば1.2mN/μm以上1.3mN/μm以下である形態では、摘まみ片12を折り曲げて蓋体10をより容易に容器2に止め易い。
【0044】
蓋体10が2つの摘まみ片12(第1摘まみ片121および第2摘まみ片122)を有する形態では、蓋体10で容器2を再封する場合、2箇所で蓋体10を止めることができる。そのため、容器2内に注がれた湯の影響で蓋体10がめくれ、容器2が一部開封されることが抑制される。その結果、たとえば、蒸気漏れによる湯温の低下、湯量の減少等が生じ難い。摘まみ片12の曲げやすさを確保しながら、より確実に蓋体10で容器2を再封する観点から、蓋体10が複数の摘まみ片12を有する形態は有効である。
【0045】
蓋体10が有する基材層21が紙製である形態では、基材層にたとえばプラスチックフィルムを使用する場合に比べて環境負荷を低減可能である。
【0046】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示される範囲が含まれること、および、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0047】
摘まみ片の数は、3個以上でもよい。
【0048】
上記実施形態および変形例は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜組み合わされてもよい。
【実施例0049】
本発明を以下の実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
【0050】
(実施例1)
実施例1では、以下の層構成を有する積層シート(厚さ:130μm)を準備した。以下の層構成において、積層シートを用いて構成される蓋体を容器に貼り付ける場合、熱接着樹脂層が最も容器側に位置する層である。後述する実施例2~5、比較例1および比較例2における層構成においても同様である。
基材層/熱可塑性樹脂層/金属層/熱接着樹脂層
【0051】
基材層は、坪量が79.1g/m2の片面アート紙であった。
熱可塑性樹脂層は、ポリエチレン(PE)(押出ラミネート用LDPE)を基材層と金属層との間に厚さが13μmとなるように押出ラミネート法で形成された層であった。すなわち、熱可塑性樹脂層は、厚さ13μmのポリエチレン層であった。
金属層は、厚さ6μmのアルミニウム箔(合金アルミ)であった。
熱接着樹脂層は、ポリエチレン(PE)を金属層上に、厚さが40μmとなるように押出ラミネート法で形成された層であった。すなわち、熱接着樹脂層は、厚さ40μmのポリエチレン層であった。熱接着樹脂層に用いたポリエチレンは、熱可塑性樹脂層のポリエチレンと同じであった。
【0052】
上記積層シートからループスティフネス値の測定用にサンプル片をMD方向およびTD方向それぞれにおいて切り出した。サンプル片は、幅が15mmであり長手方向の長さが180mmである矩形のサンプル片であった。MD方向およびTD方向それぞれのサンプル片のループスティフネス値を、上記実施形態で説明した測定条件に基づいて測定した。測定には、ループスティフネステスタ(東洋精機製作所製の型式:DA)を用いた。測定において、ループ長は100mmであり、押込み長は10mmであり、圧縮速度は3.3mm/sであった。
【0053】
上記積層シートのうちサンプル片を切り出した残りの領域を、
図2に示した形状に加工して蓋体を得た。実施例1の蓋体において、本体部(
図2の本体部11に相当する部分)は円形であり、本体部の直径(
図2の直径Dに相当)は96.5mmであった。蓋体は、本体部から外側に張り出した第1摘まみ片および第2摘まみ片を有していた。第1摘まみ片および第2摘まみ片は
図2に示した第1摘まみ片121および第2摘まみ片122に対応する部分である。第1摘まみ片および第2摘まみ片は第1頂部および第2頂部を有する舌片状を呈していた。実施例1の蓋体において蓋体の最大長(
図2の長さLに相当)は106.5mmであった。更に、
図2に示した仮想直線14aと仮想直線14bとの間の角度θ(中心角)は90度であった。
【0054】
(実施例2)
実施例2では、以下の層構成を有する積層シート(厚さ:128μm)を準備した。
基材層/熱可塑性樹脂層/金属層/熱接着樹脂層
【0055】
基材層は、実施例1の基材層と同じであった。すなわち、基材層は、坪量が79.1g/m2の片面アート紙であった。
熱可塑性樹脂層は、厚さが15μmである点以外は、実施例1の熱可塑性樹脂層と同じであった。すなわち、熱可塑性樹脂層は、押出ラミネート法で形成された厚さ15μmのポリエチレン層であった。
金属層は、厚さ7μmのアルミニウム箔(合金アルミ)であった。
熱接着樹脂層は、厚さが35μmである点以外は、実施例1の熱接着樹脂層と同じであった。すなわち、熱接着樹脂層は、押出ラミネート法で形成された厚さ35μmのポリエチレン層であった。
【0056】
実施例2においても実施例1と同様にしてMD方向およびTD方向のループスティフネス値を測定した。
【0057】
実施例2で準備した上記積層シートを用いて実施例1と同じ平面視形状を有する蓋体を作製した。すなわち、実施例2の蓋体は、実施例1の場合と同じ大きさの本体部、第1摘まみ片および第2摘まみ片を有し、第1摘まみ片および第2摘まみ片の配置関係も実施例1の場合と同じであった。
【0058】
(実施例3)
実施例3では、以下の層構成を有する積層シート(厚さ:139μm)を準備した。
基材層/熱可塑性樹脂層/金属層/熱接着樹脂層
【0059】
基材層は、実施例1の基材層と同じであった。すなわち、基材層は、坪量が79.1g/m2の片面アート紙であった。
熱可塑性樹脂層は、厚さが17μmである点以外は、実施例1の熱可塑性樹脂層と同じであった。すなわち、熱可塑性樹脂層は、押出ラミネート法で形成された厚さ17μmのポリエチレン層であった。
金属層は、実施例1の金属層と同じであった。すなわち、金属層は、厚さ6μmのアルミニウム箔であった。
熱接着樹脂層は、厚さが45μmである点以外は、実施例1の熱接着樹脂層と同じであった。すなわち、熱接着樹脂層は、押出ラミネート法で形成された厚さ45μmのポリエチレン層であった。
【0060】
実施例3においても実施例1と同様にしてMD方向およびTD方向のループスティフネス値を測定した。
【0061】
実施例3で準備した上記積層シートを用いて実施例1と同じ平面視形状を有する蓋体を作製した。すなわち、実施例3の蓋体は、実施例1の場合と同じ大きさの本体部、第1摘まみ片および第2摘まみ片を有し、第1摘まみ片および第2摘まみ片の配置関係も実施例1の場合と同じであった。
【0062】
(実施例4)
実施例4では、以下の層構成を有する積層シート(厚さ:161μm)を準備した。
最外樹脂層/基材層/熱可塑性樹脂層/金属層/熱接着樹脂層
【0063】
最外樹脂層は、厚さ12μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム)であった。
基材層は、坪量が104.7g/m2の片面アート紙であった。基材層は、接着剤(以下、説明の便宜のため、「接着剤g」と称す)を用いて最外樹脂層に貼合された。接着剤gは、ウレタン系接着剤(二液硬化型ポリエステルポリウレタン接着剤)であった。
熱可塑性樹脂層は、厚さが15μmである点以外は、実施例1の熱可塑性樹脂層と同じであった。すなわち、熱可塑性樹脂層は、押出ラミネート法で形成された厚さ15μmのポリエチレン層であった。
金属層は、厚さが15μmのアルミニウム箔(合金アルミ)であった。
熱接着樹脂層は、厚さが25μmである点以外は、実施例1の熱接着樹脂層と同じであった。すなわち、熱接着樹脂層は、押出ラミネート法で形成された厚さ25μmのポリエチレン層であった。
【0064】
実施例4においても実施例1と同様にしてMD方向およびTD方向のループスティフネス値を測定した。
【0065】
実施例4で準備した上記積層シートを用いて実施例1と同じ平面視形状を有する蓋体を作製した。すなわち、実施例4の蓋体は、実施例1の場合と同じ大きさの本体部、第1摘まみ片および第2摘まみ片を有し、第1摘まみ片および第2摘まみ片の配置関係も実施例1の場合と同じであった。
【0066】
(実施例5)
実施例5では、以下の層構成を有する積層シート(厚さ:166μm)を準備した。
基材層/熱可塑性樹脂層/金属層/熱接着樹脂層
【0067】
基材層は、坪量が127.9g/m2の片面アート紙であった。
熱可塑性樹脂層は、厚さが20μmである点以外は、実施例1の熱可塑性樹脂層と同じであった。すなわち、熱可塑性樹脂層は、押出ラミネート法で形成された厚さが20μmのポリエチレン層であった。
金属層は、厚さ12μmのアルミニウム箔(合金アルミ)であった。
熱接着樹脂層は、厚さが20μmである点以外は、実施例1の熱接着樹脂層と同じであった。すなわち、熱接着樹脂層は、押出ラミネート法で形成された厚さ20μmのポリエチレン層であった。
【0068】
実施例5においても実施例1と同様にしてMD方向およびTD方向のループスティフネス値を測定した。
【0069】
実施例5で準備した上記積層シートを用いて実施例1と同じ平面視形状を有する蓋体を作製した。すなわち、実施例5の蓋体は、実施例1の場合と同じ大きさの本体部、第1摘まみ片および第2摘まみ片を有し、第1摘まみ片および第2摘まみ片の配置関係も実施例1の場合と同じであった。
【0070】
(比較例1)
比較例1では、以下の層構成を有する積層シート(厚さ:183μm)を準備した。
基材層/熱可塑性樹脂層/中間樹脂層/金属層/熱接着樹脂層
【0071】
基材層は、実施例5の基材層と同じであった。すなわち、基材層は、坪量が127.9g/m2の片面アート紙であった。
熱可塑性樹脂層は、実施例5の熱可塑性樹脂層と同じであった。すなわち、熱可塑性樹脂層は、押出ラミネート法で形成された厚さ20μmのポリエチレン層であった。比較例1では、熱可塑性樹脂層を形成するポリエチレンは、基材層と中間樹脂層との間に押し出された。
中間樹脂層は、厚さ12μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム)であった。
金属層は、実施例2の金属層と同じであった。すなわち、金属層は、厚さが7μmのアルミニウム箔であった。金属層は、接着剤gを用いて中間樹脂層に貼合された。
熱接着樹脂層は、厚さが30μmのポリエチレンフィルム(PP容器用イージーピールフィルム)であった。熱接着樹脂層は、接着剤gを使用して金属層に貼合された。
【0072】
比較例1においても実施例1と同様にしてMD方向およびTD方向のループスティフネス値を測定した。
【0073】
比較例1で準備した上記積層シートを用いて実施例1と同じ平面視形状を有する蓋体を作製した。すなわち、比較例1の蓋体は、実施例1の場合と同じ大きさの本体部、第1摘まみ片および第2摘まみ片を有し、第1摘まみ片および第2摘まみ片の配置関係も実施例1の場合と同じであった。
【0074】
(比較例2)
比較例2では、以下の層構成を有する積層シート(厚さ:188μm)を準備した。
最外樹脂層/基材層/熱可塑性樹脂層/中間樹脂層/熱接着樹脂層
【0075】
最外樹脂層は、実施例4の最外樹脂層と同じであった。すなわち、最外樹脂層は、厚さ12μmのポリエチレンテレフタレートフィルムであった。
基材層は、実施例5および比較例1の基材層と同じであった。すなわち、基材層は、坪量が127.9g/m2の片面アート紙であった。基材層は、実施例4の場合と同様に、接着剤gを用いて最外樹脂層に貼合された。
熱可塑性樹脂層は、実施例5および比較例1の熱可塑性樹脂層と同じであった。すなわち、熱可塑性樹脂層は、押出ラミネート法で形成された厚さ20μmのポリエチレン層であった。比較例2においても、熱可塑性樹脂層を形成するポリエチレンは、基材層と中間樹脂層との間に押し出された。
中間樹脂層は、比較例1の中間樹脂層と同じであった。すなわち、中間樹脂層は、厚さが12μmのポリエチレンテレフタレートフィルムであった。
熱接着樹脂層は、比較例1の熱接着樹脂層と同じであった。すなわち、熱接着樹脂層は、厚さが30μmのポリエチレンフィルムであった。熱接着樹脂層は、比較例1の場合と同様に、接着剤gを使用して中間樹脂層に貼合された。
【0076】
比較例2においても実施例1と同様にしてMD方向およびTD方向のループスティフネス値を測定した。
【0077】
比較例2で準備した上記積層シートを用いて実施例1と同じ平面視形状を有する蓋体を作製した。すなわち、比較例2の蓋体は、実施例1の場合と同じ大きさの本体部、第1摘まみ片および第2摘まみ片を有し、第1摘まみ片および第2摘まみ片の配置関係も実施例1の場合と同じであった。
【0078】
<ループスティフネスの測定結果>
上記実施例1~5および比較例1,2における測定で得られたループスティフネス値は、表1のとおりであった。表1には、MD方向およびTD方向のループスティフネス値の平均値、および、上記平均値を積層シートの厚さで除した値の結果も示している。実施例1~5および比較例1,2では上記MD方向およびTD方向のループスティフネス値の平均値が、実施例1~5および比較例1,2で準備した積層シート(すなわち、蓋体)のループスティフネス値である。
【0079】
<モニター試験>
実施例1~5および比較例1,2における蓋体を用いた容器の再封容易性を評価するため、モニター試験を実施した。モニター試験には10人のモニターが参加した。実施例1~5および比較例1,2の蓋体の試験方法および評価基準は次のとおりであった。
【0080】
(試験方法)
準備した蓋体を
図1に示したように容器にヒートシールしたサンプルを10個準備した。容器には、市販の即席麺用容器として用いられている縦型容器を使用した。容器の開口端部側の直径は96.5mmであった。
【0081】
上記10人のモニターが以下の手順で蓋体を用いた容器の再封容易性を評価した。
(a)上記サンプルの蓋体を第1摘まみ片および第2摘まみ片側から半分まで容器から剥がす。
(b)蓋体のうち容器から引き剥がした領域を容器側に戻し、第1摘まみ片および第2摘まみ片を容器の開口端部の外縁に沿って折り曲げることによって蓋体を容器に止める。
【0082】
(評価基準)
10人のモニターが、スムーズに再封できたか否かを評価した。スムーズに再封できたと回答したモニターの人数が10人である場合に、「A+」と評価し、5~9人である場合に「A」と評価し、4人以下の場合を「B」と評価した。
【0083】
(評価結果)
実施例1~5および比較例1,2の蓋体に対する上記モニター試験の結果は表1のとおりであった。
【0084】
【表1】
表1におけるαは、ループスティフネス(平均値)を厚さで除した値である。具体的には、αの欄の各数値は、MD方向およびTD方向のループスティフネスの平均値を積層シートの厚さで除した値である。
【0085】
表1に示したように、実施例1~5では再封容易性の評価が「A+」または「A」であるのに対して、比較例1,2では、何れも「B」という結果であった。そのため、MD方向およびTD方向のループスティフネスの平均値を積層シートの厚さで除した値が、0.5mN/μm以上3.5mN/μm以下であることによって第1摘まみ片および第2摘まみ片を用いてスムーズに再封を実施できることが検証された。実施例1~3の評価が「A+」であることから、MD方向およびTD方向のループスティフネス値の平均値を積層シートの厚さで除した値が、1.2mN/μm以上1.3mN/μm以下では、再封が一層容易であることが理解され得る。
1…即席食品、2…容器、2a…開口、2b…開口端部、3…熱湯(湯)、10…蓋体、11…本体部、11a…中心、12…摘まみ片、121…第1摘まみ片、122…第2摘まみ片、14a,14b…仮想直線、20…積層シート、21…基材層、22…金属層、23…熱接着樹脂層、24…熱可塑性樹脂層。