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特開2023-72608デジタル資産を用いた取引注文処理システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023072608
(43)【公開日】2023-05-24
(54)【発明の名称】デジタル資産を用いた取引注文処理システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 40/04 20120101AFI20230517BHJP
   G06Q 20/10 20120101ALI20230517BHJP
【FI】
G06Q40/04
G06Q20/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021185302
(22)【出願日】2021-11-12
(71)【出願人】
【識別番号】500566567
【氏名又は名称】株式会社インタートレード
(74)【代理人】
【識別番号】110001405
【氏名又は名称】弁理士法人篠原国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100065824
【弁理士】
【氏名又は名称】篠原 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100104983
【弁理士】
【氏名又は名称】藤中 雅之
(74)【代理人】
【識別番号】100166394
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 和弘
(71)【出願人】
【識別番号】313004816
【氏名又は名称】西本 一也
(74)【代理人】
【識別番号】110001405
【氏名又は名称】弁理士法人篠原国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西本 一也
【テーマコード(参考)】
5L055
【Fターム(参考)】
5L055AA22
5L055BB51
(57)【要約】
【課題】マッチング処理を効率化し、処理パフォーマンスを格段に向上させながら、大口取引と小口取引とを合わせた取引を、ストリーミングとリーブオーダーとを融合させて行うことが可能なデジタル資産を用いた取引注文処理システムの提供。
【解決手段】顧客毎に異なるレートに対して顧客40からのストリーミングに対して取引の相手方として売買を行い約定を返す機能を有するスマコン16と、顧客から発注されたリーブオーダーの全てを注文板に乗せる機能、注文板における売り注文と買い注文との価格差が取引所30の徴収すべき所定のスプレッド以上となった売りと買いのリーブオーダーの指値で当該リーブオーダーに対して取引の相手方として売買を行い約定を返す機能、リーブオーダーを約定させる直前に瞬間的に約定させる値段を全顧客に対する共通のレートとして全顧客に配信する機能を有するスマコン17を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トークン(ブロックチェーン等の分散技術においてデジタルで定義される価値などの総称であって、暗号資産を含む)、デジタル通貨、トークンとデジタル通貨、もしくはトークン同士、デジタル通貨同士など、あらゆる形態のデジタル資産間による取引を管理するための、少なくとも1種類のブロックチェーン等の分散技術における分散型台帳と、該分散型台帳に管理されるデジタル資産を用いた所定の処理を行うためのスマートコントラクトを備えて構築される、デジタル資産を用いた取引注文処理システムであって、
顧客単位で多様な数値に設定された各銘柄についてのマークアップ率を管理するマークアップ率管理テーブルと、
前記マークアップ率管理テーブルから、各銘柄における夫々の顧客のマークアップ率を取得する機能を有するマークアップ率取得用スマートコントラクトと、
顧客の注文に対して取引の相手方として売買を行う気配値である第2レート(レート)を作成するベースとなる第1レート(基準レート)を作成する機能を有する第1レート(基準レート)作成用スマートコントラクトと、
夫々の顧客について、前記第1レート(基準レート)作成用スマートコントラクトが作成した前記第1レート(基準レート)に、前記マークアップ率取得用スマートコントラクトが取得した当該顧客のマークアップ率を掛け合わせることによりマークアップを算出し、算出したマークアップを前記第1レート(基準レート)に上乗せして前記第2レート(レート)を作成する機能を有する第2レート(レート)作成用スマートコントラクトと、
前記第2レート(レート)作成用スマートコントラクトが作成した夫々の顧客についての前記第2レート(レート)を当該顧客に配信する機能を有する第2レート(レート)配信用スマートコントラクトと、
前記第2レート(レート)配信用スマートコントラクトが配信した顧客毎に異なる前記第2レート(レート)に対して発注された、顧客からのストリーミング(成行的な注文)に対して、取引の相手方として売買を行い、約定させ、当該顧客に対し約定を返す機能を少なくとも有するストリーミング約定用スマートコントラクトと、
顧客から発注された売りと買いのリーブオーダー(指値的な注文)の全てを注文板に乗せる機能と、前記注文板における売り注文と買い注文との価格差が取引所の徴収すべき所定のスプレッド以上となった少なくとも一部の売りと買いのリーブオーダー(指値的な注文)における指値価格で当該売りと買いのリーブオーダー(指値的な注文)の夫々に対して取引の相手方として売買を行い、約定させ、当該売りと買いのリーブオーダー(指値的な注文)を発注した夫々の当該顧客に対し約定を返す機能と、リーブオーダー(指値的な注文)を約定させる直前に、瞬間的に、約定させる値段を全顧客に対する共通の前記第2レート(レート)として全顧客に配信する機能と、を有するリーブオーダー約定用スマートコントラクトと、
を少なくとも有することを特徴とするデジタル資産を用いた取引注文処理システム。
【請求項2】
前記リーブオーダー約定用スマートコントラクトは、前記注文板における売り注文と買い注文との価格差が取引所の徴収すべき所定のスプレッド以上となったリーブオーダー(指値的な注文)であり且つ指値が前記第2レート(レート)配信用スマートコントラクトが各顧客に配信した顧客毎に異なる前記第2レート(レート)のうちで最良となる前記第2レート(レート)と対当する当該顧客からの売りと買いのリーブオーダー(指値的な注文)の夫々に対して取引の相手方として売買を行い、約定させ、当該売りと買いのリーブオーダー(指値的な注文)を発注した夫々の当該顧客に対し約定を返す機能を有することを特徴とする請求項1に記載のデジタル資産を用いた取引注文処理システム。
【請求項3】
前記第1レート(基準レート)作成用スマートコントラクトは、顧客からのリーブオーダー(指値的な注文)における売りと買い夫々の最良注文(最も安い売り注文、最も高い買い注文)の価格と外部の流動性供給者からのカバー取引可能な第3レート(外部レート)の価格のうち、有利となる方の価格を選択して前記第1レート(基準レート)を作成する機能をさらに有することを特徴とする請求項1又は2に記載のデジタル資産を用いた取引注文処理システム。
【請求項4】
前記第1レート(基準レート)作成用スマートコントラクトは、外部の流動性供給者からのカバー取引可能な第3レート(外部レート)の価格を用いて前記第1レート(基準レート)を作成する機能をさらに有することを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載のデジタル資産を用いた取引注文処理システム。
【請求項5】
前記ストリーミング約定用スマートコントラクトは、前記第2レート(レート)配信用スマートコントラクトが配信した顧客毎に異なる前記第2レート(レート)に対して発注された、顧客からの売り又は買いのストリーミング(成行的な注文)に対して、取引の相手方として売買を行い、約定させるとともに、外部の流動性供給者からのカバー取引可能な第3レート(外部レート)に対して、カバー取引用の注文を発注し、当該顧客に対し約定を返す機能を有することを特徴とする請求項3又は4に記載のデジタル資産を用いた取引注文処理システム。
【請求項6】
前記第2レート(レート)作成用スマートコントラクトは、前記第2レート(レート)を作成する際に、前記マークアップ率取得用スマートコントラクトが取得した顧客の売り側と買い側の夫々のマークアップ率を、前記注文板における売りの注文数量と買いの注文数量との比率に応じて調整する機能をさらに有することを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載のデジタル資産を用いた取引注文処理システム。
【請求項7】
前記第2レート(レート)作成用スマートコントラクトは、前記第2レート(レート)を作成する際に、前記マークアップ率取得用スマートコントラクトが取得した顧客の売り側と買い側の夫々のマークアップ率を、所定単位時間における現在の出来高の、所定単位時間における過去の出来高の平均値との比率に応じて調整する機能をさらに有することを特徴とする請求項1~6のいずれかに記載のデジタル資産を用いた取引注文処理システム。
【請求項8】
前記リーブオーダー(指値的な注文)又は前記ストリーミング(成行的な注文)を介した、顧客である大口注文の取引者と顧客である小口注文の取引者との取引において、前記小口注文の取引者が発注に際し預け入れた、前記大口注文の取引者に渡すべき約定金額相当の金銭又はデジタル資産を管理する機能を有する取引資産管理用スマートコントラクトと、
前記大口注文と前記小口注文とが約定したときに、前記取引資産管理用スマートコントラクトが管理する前記約定金額相当の金銭又はデジタル資産を担保として、所定の借り入れ先から、前記大口注文の取引者から受けるべきデジタル資産又は約定金額相当の金銭を借り入れる機能を有するレンディング用スマートコントラクトと、
前記大口注文と前記小口注文との約定後に、デジタル資産および約定金額相当の金銭についての清算を行う機能を有する清算用スマートコントラクトと、
をさらに有し、
前記清算用スマートコントラクトは、
前記大口注文と前記小口注文とが約定した当日に、前記レンディング用スマートコントラクトが借り入れたデジタル資産又は約定金額相当の金銭を、前記小口注文の取引者に渡す機能と、
前記大口注文と前記小口注文とが約定した日から所定日数経過後に、前記大口注文の取引者から、デジタル資産又は約定金額相当の金銭を受けると同時に、前記取引資産管理用スマートコントラクトが管理する前記大口注文の取引者に渡すべき約定金額相当の金銭又はデジタル資産を、前記大口注文の取引者に渡す機能と、
前記大口注文の取引者から受けた、デジタル資産又は約定金額相当の金銭を、借り入れにより生じた利息分の金銭とともに、前記借り入れ先に返済する機能と、
を少なくとも有することを特徴とする請求項1~7のいずれかに記載のデジタル資産を用いた取引注文処理システム。
【請求項9】
前記清算用スマートコントラクトは、前記レンディング用スマートコントラクトのデジタル資産又は約定金額相当の金銭の借り入れにより生じる、前記借り入れ先に支払うべき利息分の金銭を、前記大口注文の取引者と前記小口注文の取引者との取引における、大口注文、小口注文の夫々に対して取引の相手方として売買を行う気配値である前記第2レート(レート)を算出する際に上乗せしたマークアップ、又は、大口注文、小口注文のうちの一方である売り注文と他方である買い注文との価格差より得られるスプレッドから充当する機能をさらに有することを特徴とする請求項1~8のいずれかに記載のデジタル資産を用いた取引注文処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、経済的な価値をデジタルで表現可能な、トークンやデジタル通貨等のデジタル資産を用いて、商品等の取引を行う、デジタル資産取引システムに関する。
なお、本願明細書における「システム」とは、コンピュータや他の電子機器、ソフトウェア、通信ネットワーク、データなどの要素を組み合わせて構成された、ソフトウェアによる情報処理を、ハードウェア資源を用いて具体的に実現するコンピュータシステムを意味する。
【背景技術】
【0002】
世界の主要な商品取引所では、商品等の経済的価値を各国の発行する通貨で表示した取引が行われている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
近年、デジタル化技術により、資産の経済的価値をデジタルで表現した、トークン等のデジタル資産が取引され易くなっている。
特に定型化された経済的価値を有する資産、例えば、コモディティ(商品取引所で取引されている商品等)類は、デジタル資産として取引することのできる特性が強い。
【0004】
しかし、従来の商品取引所には、トークン等のデジタル資産の取引注文を処理するシステムは構築されていない。
将来、暗号資産やデジタル通貨、もしくはSTOなどデジタル証券のようなメジャーなデジタル価値(資産)に限らず、製品や食品など個別に定義された物やサービスというマイナーな価値についてデジタル表現したものも広く、交換・取引の対象になることが想定される。
【0005】
そこで、本件発明者は、デジタル資産を用いた取引注文を処理するシステムを構築すべく、考察・検討を重ねた。その結果、大口取引と小口取引とを合わせた取引など、取引所のレート作成の際に上乗せするマークアップを算出するためのマークアップ率が異なる顧客同士の取引を、ストリーミング(成行的な注文)とリーブオーダー(指値的な注文)とを融合させて行う場合等において、マッチング処理が複雑化し、処理パフォーマンスに悪影響を与えることが判明した。
【0006】
本発明は、上記従来の課題を鑑みてなされたものであり、マッチング処理を効率化し、処理パフォーマンスを格段に向上させながら、大口取引と小口取引とを合わせた取引など、取引所のレート作成の際に上乗せするマークアップを算出するためのマークアップ率が異なる顧客同士の取引を、ストリーミング(成行的な注文)とリーブオーダー(指値的な注文)とを融合させて行うことが可能な、デジタル資産を用いた取引注文処理システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明によるデジタル資産を用いた取引注文処理システムは、トークン(ブロックチェーン等の分散技術においてデジタルで定義される価値などの総称であって、暗号資産を含む)、デジタル通貨、トークンとデジタル通貨、もしくはトークン同士、デジタル通貨同士など、あらゆる形態のデジタル資産間による取引を管理するための、少なくとも1種類のブロックチェーン等の分散技術における分散型台帳と、該分散型台帳に管理されるデジタル資産を用いた所定の処理を行うためのスマートコントラクトを備えて構築される、デジタル資産を用いた取引注文処理システムであって、顧客単位で多様な数値に設定された各銘柄についてのマークアップ率を管理するマークアップ率管理テーブルと、前記マークアップ率管理テーブルから、各銘柄における夫々の顧客のマークアップ率を取得する機能を有するマークアップ率取得用スマートコントラクトと、顧客の注文に対して取引の相手方として売買を行う気配値である第2レート(レート)を作成するベースとなる第1レート(基準レート)を作成する機能を有する第1レート(基準レート)作成用スマートコントラクトと、夫々の顧客について、前記第1レート(基準レート)作成用スマートコントラクトが作成した前記第1レート(基準レート)に、前記マークアップ率取得用スマートコントラクトが取得した当該顧客のマークアップ率を掛け合わせることによりマークアップを算出し、算出したマークアップを前記第1レート(基準レート)に上乗せして前記第2レート(レート)を作成する機能を有する第2レート(レート)作成用スマートコントラクトと、前記第2レート(レート)作成用スマートコントラクトが作成した夫々の顧客についての前記第2レート(レート)を当該顧客に配信する機能を有する第2レート(レート)配信用スマートコントラクトと、前記第2レート(レート)配信用スマートコントラクトが配信した顧客毎に異なる前記第2レート(レート)に対して発注された、顧客からのストリーミング(成行的な注文)に対して、取引の相手方として売買を行い、約定させ、当該顧客に対し約定を返す機能を少なくとも有するストリーミング約定用スマートコントラクトと、顧客から発注された売りと買いのリーブオーダー(指値的な注文)の全てを注文板に乗せる機能と、前記注文板における売り注文と買い注文との価格差が取引所の徴収すべき所定のスプレッド以上となった少なくとも一部の売りと買いのリーブオーダー(指値的な注文)における指値価格で当該売りと買いのリーブオーダー(指値的な注文)の夫々に対して取引の相手方として売買を行い、約定させ、当該売りと買いのリーブオーダー(指値的な注文)を発注した夫々の当該顧客に対し約定を返す機能と、リーブオーダー(指値的な注文)を約定させる直前に、瞬間的に、約定させる値段を全顧客に対する共通の前記第2レート(レート)として全顧客に配信する機能と、を有するリーブオーダー約定用スマートコントラクトと、を少なくとも有することを特徴としている。
【0008】
また、本発明のデジタル資産を用いた取引注文処理システムにおいては、前記リーブオーダー約定用スマートコントラクトは、前記注文板における売り注文と買い注文との価格差が取引所の徴収すべき所定のスプレッド以上となったリーブオーダー(指値的な注文)であり且つ指値が前記第2レート(レート)配信用スマートコントラクトが各顧客に配信した顧客毎に異なる前記第2レート(レート)のうちで最良となる前記第2レート(レート)と対当する当該顧客からの売りと買いのリーブオーダー(指値的な注文)の夫々に対して取引の相手方として売買を行い、約定させ、当該売りと買いのリーブオーダー(指値的な注文)を発注した夫々の当該顧客に対し約定を返す機能を有するのが好ましい。
【0009】
また、本発明のデジタル資産を用いた取引注文処理システムにおいては、前記第1レート(基準レート)作成用スマートコントラクトは、顧客からのリーブオーダー(指値的な注文)における売りと買い夫々の最良注文(最も安い売り注文、最も高い買い注文)の価格と外部の流動性供給者からのカバー取引可能な第3レート(外部レート)の価格のうち、有利となる方の価格を選択して前記第1レート(基準レート)を作成する機能をさらに有するのが好ましい。
【0010】
また、本発明のデジタル資産を用いた取引注文処理システムにおいては、前記第1レート(基準レート)作成用スマートコントラクトは、外部の流動性供給者からのカバー取引可能な第3レート(外部レート)の価格を用いて前記第1レート(基準レート)を作成する機能をさらに有するのが好ましい。
【0011】
また、本発明のデジタル資産を用いた取引注文処理システムにおいては、前記ストリーミング約定用スマートコントラクトは、前記第2レート(レート)配信用スマートコントラクトが配信した顧客毎に異なる前記第2レート(レート)に対して発注された、顧客からの売り又は買いのストリーミング(成行的な注文)に対して、取引の相手方として売買を行い、約定させるとともに、外部の流動性供給者からのカバー取引可能な第3レート(外部レート)に対して、カバー取引用の注文を発注し、当該顧客に対し約定を返す機能を有するのが好ましい。
【0012】
また、本発明のデジタル資産を用いた取引注文処理システムにおいては、前記第2レート(レート)作成用スマートコントラクトは、前記第2レート(レート)を作成する際に、前記マークアップ率取得用スマートコントラクトが取得した顧客の売り側と買い側の夫々のマークアップ率を、前記注文板における売りの注文数量と買いの注文数量との比率に応じて調整する機能をさらに有するのが好ましい。
【0013】
また、本発明のデジタル資産を用いた取引注文処理システムにおいては、前記第2レート(レート)作成用スマートコントラクトは、前記第2レート(レート)を作成する際に、前記マークアップ率取得用スマートコントラクトが取得した顧客の売り側と買い側の夫々のマークアップ率を、所定単位時間における現在の出来高の、所定単位時間における過去の出来高の平均値との比率に応じて調整する機能をさらに有するのが好ましい。
【0014】
また、本発明のデジタル資産を用いた取引注文処理システムにおいては、前記リーブオーダー(指値的な注文)又は前記ストリーミング(成行的な注文)を介した、顧客である大口注文の取引者と顧客である小口注文の取引者との取引において、前記小口注文の取引者が発注に際し預け入れた、前記大口注文の取引者に渡すべき約定金額相当の金銭又はデジタル資産を管理する機能を有する取引資産管理用スマートコントラクトと、前記大口注文と前記小口注文とが約定したときに、前記取引資産管理用スマートコントラクトが管理する前記約定金額相当の金銭又はデジタル資産を担保として、所定の借り入れ先から、前記大口注文の取引者から受けるべきデジタル資産又は約定金額相当の金銭を借り入れる機能を有するレンディング用スマートコントラクトと、前記大口注文と前記小口注文との約定後に、デジタル資産および約定金額相当の金銭についての清算を行う機能を有する清算用スマートコントラクトと、をさらに有し、前記清算用スマートコントラクトは、前記大口注文と前記小口注文とが約定した当日に、前記レンディング用スマートコントラクトが借り入れたデジタル資産又は約定金額相当の金銭を、前記小口注文の取引者に渡す機能と、前記大口注文と前記小口注文とが約定した日から所定日数経過後に、前記大口注文の取引者から、デジタル資産又は約定金額相当の金銭を受けると同時に、前記取引資産管理用スマートコントラクトが管理する前記大口注文の取引者に渡すべき約定金額相当の金銭又はデジタル資産を、前記大口注文の取引者に渡す機能と、前記大口注文の取引者から受けた、デジタル資産又は約定金額相当の金銭を、借り入れにより生じた利息分の金銭とともに、前記借り入れ先に返済する機能と、を少なくとも有するのが好ましい。
【0015】
また、本発明のデジタル資産を用いた取引注文処理システムにおいては、前記清算用スマートコントラクトは、前記レンディング用スマートコントラクトのデジタル資産又は約定金額相当の金銭の借り入れにより生じる、前記借り入れ先に支払うべき利息分の金銭を、前記大口注文の取引者と前記小口注文の取引者との取引における、大口注文、小口注文の夫々に対して取引の相手方として売買を行う気配値である前記第2レート(レート)を算出する際に加算したマークアップ、又は、大口注文、小口注文のうちの一方である売り注文と他方である買い注文との価格差より得られるスプレッドから充当する機能をさらに有するのが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、マッチング処理を効率化し、処理パフォーマンスを格段に向上させながら、大口取引と小口取引とを合わせた取引など、取引所のレート作成の際に上乗せするマークアップを算出するためのマークアップ率が異なる顧客同士の取引を、ストリーミング(成行的な注文)とリーブオーダー(指値的な注文)とを融合させて行うことが可能な、デジタル資産を用いた取引注文処理システムが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の第1実施形態に係るデジタル資産を用いた取引注文処理システムの全体構成を概略的に示す説明図である。
図2図1のデジタル資産を用いた取引注文処理システムにおけるマークアップ率管理テーブルの機能及び構成例を示す説明図である。
図3図1のデジタル資産を用いた取引注文処理システムにおけるマークアップ率取得用スマートコントラクトに備わる機能の概要を示す説明図である。
図4図1のデジタル資産を用いた取引注文処理システムにおける第1レート(基準レート)作成用スマートコントラクトに備わる機能の概要を示す説明図である。
図5図1のデジタル資産を用いた取引注文処理システムにおける第2レート(レート)作成用スマートコントラクトに備わる機能の概要を示す説明図である。
図6図1のデジタル資産を用いた取引注文処理システムにおける第2レート(レート)配信用スマートコントラクトに備わる機能の概要を示す説明図である。
図7図1のデジタル資産を用いた取引注文処理システムにおけるストリーミング約定用スマートコントラクトに備わる機能の概要を示す説明図である。
図8図1のデジタル資産を用いた取引注文処理システムにおけるリーブオーダー約定用スマートコントラクトに備わる機能の概要を示す説明図である。
図9図1のデジタル資産を用いた取引注文処理システムにおける取引資産管理用スマートコントラクトに備わる機能の概要を示す説明図である。
図10図1のデジタル資産を用いた取引注文処理システムにおけるレンディング用スマートコントラクトに備わる機能の概要を示す説明図である。
図11図1のデジタル資産を用いた取引注文処理システムにおける清算用スマートコントラクトに備わる機能の概要を示す説明図である。
図12図1のデジタル資産を用いた取引注文処理システムにおける処理の流れの一例の一部分を示す説明図である。
図13図1のデジタル資産を用いた取引注文処理システムにおける処理の流れの一例の続き部分を示す説明図である。
図14図1のデジタル資産を用いた取引注文処理システムにおける大口取引と小口取引とを合わせた取引における清算処理までの流れの一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
実施形態の説明に先立ち、本発明を導出するに至った経緯、及び本発明の作用効果について説明する。
【0019】
上述のとおり、近年、デジタル化技術により、資産の経済的価値をデジタルで表現した、デジタル資産が取引され易くなっている。
特に定型化された経済的価値を有する資産、例えば、コモディティ(商品取引所で取引されている商品等)類は、経済的価値がデジタルで表現された、デジタル資産として取引することのできる特性が強い。
【0020】
しかし、上述したように、従来の商品取引所には、トークン等のデジタル資産の取引注文を処理するシステムは構築されていない。
将来、暗号資産やデジタル通貨、もしくはSTOなどデジタル証券のようなメジャーなデジタル価値(資産)に限らず、製品や食品など個別に定義された物やサービスというマイナーな価値についてデジタル表現したものも広く、交換・取引の対象になることが想定される。
【0021】
そこで、本件発明者は、デジタル資産を用いた取引注文を処理するシステムを構築すべく、考察・検討を重ねた。その際、デジタル資産の注文データを迅速かつ効率的に処理するために、スマートコントラクトを用いた分散処理を考えた。
その上で、本件発明者が、デジタル資産を用いた取引注文での銘柄の売買における小数点以下の数値に対する処理、注文方式(成行的な注文、指値的な注文)、レートの作成、注文板の処理、清算方法等に関し、考察・検討したところ、大口取引と小口取引とを合わせた取引など、取引所のレート作成の際に上乗せするマークアップを算出するためのマークアップ率が異なる顧客同士の取引を、ストリーミング(成行的な注文)とリーブオーダー(指値的な注文)とを融合させて行う場合等において、マッチング処理が複雑化し、処理パフォーマンスに悪影響を与えることが判明した。以下、詳しく説明する。
【0022】
銘柄の売買における小数点の数値に対する処理
本件発明者が考察・検討するデジタル資産を用いた取引注文を処理するシステムにおいては、注文の指定項目は「売買」の区分、価格、数量が基本となる。
そして、価格×数量(指定項目として銘柄単位での倍率がある場合は、価格×数量×倍率)により、約定金額を算出し、約定金額に所定の上乗せ金額を加えた受け渡し金額を決定する。
価格と数量は小数点が付いた数値となり得るが、受け渡し金額は、通貨の最小単位の整数刻み(例えば、日本¥をベースにした場合では1円刻み)とする。
各国通貨が基準となる場合、受け渡し金額は、当該国の通貨の最小単位の整数未満の数値を丸める。
【0023】
ここで、銘柄の売買において、受け渡し金額が通貨の最小単位(例えば、日本では1円)未満の小数点以下が付いた数値になり得るような場合、1円未満の小数点の丸め方が問題となる。
本件発明者は、デジタル資産を用いた取引に関し、受け渡し金額が通貨の最小単位(例えば、日本では1円)未満の小数点が付いた数値になるような場合において、取引所が、顧客の注文に対して取引の相手方として売買する場合の数値の丸め方について、次のように、考察・検討した。
【0024】
取引所は、自己が有利になるように、小数点が付いた代金(約定金額)を丸めることを望む。一方で、顧客保護の観点より、顧客が価格を指定する場合は、顧客の指定した価格に比べて顧客が不利となる価格での約定価格にすることは許されない。
【0025】
そこで、本件発明者は、取引所が、指値的な注文(リーブオーダーという)に対しては、顧客に対し最初に提示するレート(自己が顧客の注文に対して取引の相手方として売買を行う気配値)を作成する際、自己が不利になるように1円未満の小数点の丸め処理を行っても、利益が出るように、スプレッドやマークアップなどの上乗せ金額を上乗せしておくことを考えた。
【0026】
また、本件発明者は、成行的な注文(ストリーミングという)に対しては、顧客に不利になること(実際には許容できるスリッページ(注文価格と約定価格との差)の範囲を指定)が認められ得ることから、取引所が、自己が有利となるようにレートの1円未満の小数点の丸め処理を行い、上乗せ金額(マークアップ)を上乗せしておくことを考えた。
【0027】
また、本件発明者は、取引において、自己が顧客の注文に対して取引の相手方として売買を行う気配値となるレートは、取引所が、ベースとなる基準レートに所定の上乗せ金額(スプレッド、マークアップ)を上乗せして作成し、顧客に提示することを考えた。
【0028】
ところで、大口注文と小口注文とでは、取引所の提示するレートが異なったものとなると考えられる。
大口注文は、注文数量が大きい。このため、本件発明者は、大口注文に対しては、取引所が約定金額を丸める必要がないように、最低注文数量を設定することを考えた。
【0029】
しかし、小口注文を大口注文に合わせると、呼び値(売買する際の価格の刻み幅)が大口注文において小数点になり、また、小口注文の注文数量を合わせても、約定金額が1円単位にならず、1円未満の小数点の部分が発生する場合が想定される。
【0030】
ストリーミング(成行的な注文)における小数点の数値に対する処理
(数量を指定するタイプのストリーミング(成行的な注文)の場合)
本件発明者は、小口注文(ここではストリーミング(成行的な注文)を想定)における小数点の数値に対する処理について、次のように考察・検討した。
顧客が、注文時に数量を先に指定する一般的な注文方式であるストリーミング(成行的な注文)を用いて、小口注文を発注する場合、取引所は、小口注文用のレートを作成する際に、顧客が最小の数量単位で注文したものとして、数量を最小単位に固定し、1単位の小口注文に対して、本来の大口注文用のレートを最低注文数量で除算し、自己(取引所)が有利となるように丸めて顧客に提示する。
顧客は、取引所の提示した、小口注文用に小数点を丸める修正が施されたレートに対して小口注文を発注し、取引所は1円刻みの約定金額で約定を返す。
【0031】
約定金額が大きくなる場合、数量は最小の数量単位に固定してあるため、価格で誤差を吸収する。取引所は、約定金額が顧客有利となるように価格の微修正を行い、修正レートを作成して顧客に提示する。顧客は修正レートに対して小口注文を発注する。
【0032】
取引所は、小口注文用のレートを作成する際に、価格を大口注文と同じ価格に固定する場合は、最低取引数量を設定する。そして、取引所は、基準となる最低取引数量以上の数値を前提として、自己が有利となるように最低取引数量(小数点有)を丸めてレート情報に加えて顧客に提示し、提示した内容で顧客に発注処理を行ってもらい、1円刻みの約定金額で約定を返す。
約定金額が大きくなる場合の誤差は、数量で吸収する。取引所は、約定金額が顧客有利となるように数量の微修正を行い、修正レートを作成して顧客に提示する。顧客は修正レートに対して小口注文を発注する。
【0033】
即ち、小口注文の場合、取引所が提示できる小口注文用のレートには、最小の数量単位に数量を固定(数量固定)して作成したレートと、大口注文と同じ価格に価格を固定(価格固定)して作成したレートがあり、小口注文の取引者は、発注前にいずれかのレートの提示を選択し、取引所は、選択されたレートと注文方式を提示する。
【0034】
(約定金額を指定するタイプのストリーミング(成行的な注文)の場合)
さらに、顧客が約定金額を指定するタイプのストリーミング(成行的な注文)が上記以外に存在する。その場合、取引所は価格と数量のいずれか一方を顧客からの選択にしたがって固定し、固定しない他方を上記と同様に自己(取引所)が有利となるように小数点以下を丸める。一般的には、顧客は数量を選択し、取引所は数量を固定するものと考えられる。
【0035】
約定金額を指定するタイプのストリーミング(成行的な注文)の場合は、取引所が顧客に対しレートを提示するのではなく、取引所は、顧客が指定した約定金額をレートで除算した数量を最低取引単位に自己(取引所)が有利となるように小数点を丸めて修正し、さらに、指定約定金額をこの修正した数量で除算した価格を微修正して顧客に提示し、顧客からの発注に対して約定処理を行う。
【0036】
これらは、決済などを考慮した機能であり、約定金額、受け渡し金額を明確にすることを目的とし、顧客からのストリーミング(成行的な注文)に対し即時約定し円換算できることを前提とした機能である。
【0037】
ストリーミング(成行的な注文)は、マークアップが上乗せされた売りと買いのレートに対しての、即時約定を目的とし、マークアップの変動を許容するスリッページを付加した注文方式である。
【0038】
これに対し、リーブオーダー(指値的な注文)は、板方式の注文処理(板の顧客間の注文が対当することにより約定処理し、別途手数料に相当する分の金額をスプレッドとして徴収する形態)での注文方式である。
指値的な注文のほうが成行的な注文に比べて金額面で顧客に有利であるため、顧客が銘柄の単純売買を行う際には、リーブオーダー(指値的な注文)を発注する場合が考えられる。
【0039】
リーブオーダー(指値的な注文)では、顧客は価格と数量を指定するが、約定金額が1円にならない場合、顧客は上述の数量固定、価格固定のいずれかを選択する。取引所は、顧客が数量固定を選択した場合は価格を微修正し、顧客が価格固定を選択した場合は数量を微修正して、顧客に提示する。顧客は、提示された内容を(画面などで)確認した後に発注する。
【0040】
金額指定のリーブオーダー(指値的な注文)の場合は、顧客は上述の数量固定、価格固定のいずれかを選択して、選択した数量又は価格を指定し、取引所は、顧客が指定した代金÷数量(もしくは価格)=価格(もしくは数量)を計算し、微修正して、顧客に提示する。顧客は、提示された内容(数量と価格)を確認した後に発注する。
【0041】
また、取引所は、顧客よりリーブオーダー(指値的な注文)が発注された場合は、指値を管理する注文板を作成する。
【0042】
本来の指値注文は、発注がなされたときに注文板に直接乗るものであるのに対し、リーブオーダー(指値的な注文)は、取引所の作成するレート価格が顧客の指定する指値に合致したときに発動するアルゴリズム発注的な処理である。
【0043】
本件発明者は、リーブオーダー(指値的な注文)がなされた場合の約定処理を次のようにすることを考えた。
注文板に顧客の注文が乗るが、顧客の約定相手は別の顧客ではなく必ず自己(取引所)とする。また、取引所は、顧客間の売り注文と買い注文との価格差が取引所の徴収すべき所定のスプレッド以上となったときに、そのスプレッドを自己の上乗せ金額として、ベースとなる基準レートに上乗せして、売りと買いのレートを作成する。
【0044】
そして、本件発明者は、デジタル資産を用いた取引注文を処理するシステムを、注文板を用いた処理とレートを用いた処理(いわゆる「2WAY」)を融合し、システムの内部では注文板を用いた処理を行い、外部的にはレートを用いた処理を行うように構成することを着想し、考察・検討した。
【0045】
取引所は、注文板における最良注文(最も安い売り注文、最も高い買い注文)の価格を基準レート(基準値:最良気配)とし、この基準レートにマークアップを上乗せして、レート(自己が顧客の注文に対して取引の相手方として売買を行う気配値)を作成する。
【0046】
リーブオーダー(指値的な注文)の指値を管理する注文板においては、価格と数量は小数点以下を実装する。しかし、取引所は、その板から算出するレート(自己が顧客の注文に対して取引の相手方として売買を行う気配値)については、1円刻みになるように小数点以下を丸めた価格を顧客に対し配信する。
そして、取引所は、顧客からの注文の指値が取引所の配信するレート(自己が顧客の注文に対して取引の相手方として売買を行う気配値)と対当した場合に約定させる。
【0047】
ここで、ストリーミング(成行的な注文)、リーブオーダー(指値的な注文)で、顧客が「数量固定」、「価格固定」のいずれかを選択した場合における丸め処理の例を示す。
本例では、顧客が1500円での購入意思があるものとする。
例えば、ストリーミングで1g(1トークン)=6953円の売りレートとなっているものに対しての処理は、顧客の買いが6953円であり、1500/6953=0.2157トークン(本例は、小数点4桁まで指定可能であり、小数点5桁から切り捨てる場合)として、数量を設定する。
また、例えば、顧客がリーブオーダーで「数量固定」を選択した場合において、代金が1500円指定で数量が0.211トークンの購入を所望する場合、1500/0.211=7109円(本例は、小数点以下を切り捨てる場合)の指値とする。
また、例えば、顧客がリーブオーダーで「価格固定」を選択した場合において、代金が1500円指定で価格6950円でのトークンの購入を所望する場合、1500/6950=0.2158トークン(本例は、小数点4桁まで指定可能であり、小数点5桁から切り捨てる場合)として、数量を設定する。
【0048】
なお、ここまでの説明は、¥での清算を前提とし、1円という通貨の最小単位に約定金額を丸めることを想定したものであるが、1円未満の清算も将来的には出現する可能性がある。また、¥での決済の他に、$やゴールド等での決済も考えられる。このため、本件発明者が考察・検討するデジタル資産を用いた取引注文を処理するシステムにおいては、¥の小数点以下についても所定の小数点部により約定金額を丸めることや、さらには、$やゴールド等についてもそれらの単位の小数点以下について所定の小数点部により約定金額を丸めることは想定し得る。
【0049】
大口取引と小口取引とを合わせた取引などにおける相違点
(レートの相違)
ところで、例えば、流動性の異なる、大型株と小型株とでは、取引所の採算性の観点から検討した場合、流動性の低い株のほうが一単位の取引における収益を上げないと採算が悪くなる。
即ち、小型株であるほど取引量が少なくなり、取引所が取引に介在することによる収益が小さくなるため、マークアップを大きくする必要がある。
なお、取引所がマークアップを上乗せしてレートを提示する取引方式は、約定後に手数料を徴収する取引方式に比べて、銘柄単位で収益率を調整できるメリットがあると考えられる。
【0050】
また、顧客の与信等に応じて優遇率を異ならせる必要があると考えられる。手数料の場合は、顧客毎に優遇率を異ならせた手数料の設定が煩雑となるが、レートの場合は、一律にマークアップ率の調整で対応し易い。
そこで、本件発明者は、取引所が手数料を徴収するのではなく、外部向けにマークアップを上乗せしたレートを提示して取引を行う構成を考えた。
ただし、流動性調整は注文を集中したほうが良い。しかるに、レートを提示する取引方式は、マーケットメイク型の取引方式であって、メイカー単位で個々にレートが提示されると、流動性の調整が煩雑となる。このため、本件発明者は、注文処理は板として集中管理する構成を考えた。
【0051】
ところで、顧客別のレート作成に関しては、顧客単位でマークアップ率が異なり、レート(取引所(自己)が顧客の注文に対して取引の相手方として売買を行う気配値)を異ならせる必要がある。
例えば、大口注文の取引を行う企業は、小口注文の取引を行う個人に比べて、注文量が大きい。このため、大口注文の取引を行う企業向けのマークアップ率は、マークアップとしての上乗せ金額が小口注文の取引を行う個人に比べて少なくなるように設定することが考えられる。
【0052】
(清算処理方式の相違)
大口取引はホールセール業務、小口取引はリテール業務であり、本来は取引注文の処理方法や取引の目的などが異なる。このため、取引所は、基本的には、大口取引と小口取引とを、別々に処理する。
大口取引者には与信があることを想定し、大口取引では、証拠金程度の担保差し入れで、注文代金は後払い、銘柄も後渡し、清算日が後日となるクリアリング方式(ネットDVP)の清算処理を行う。
小口取引者には与信が無いことを想定し、小口取引では、買うための金銭は前払いで、売るための銘柄は預けておく必要があり、約定後に即時に注文代金、銘柄を受け渡す(グロス)セトルメント方式の清算処理を行う。
【0053】
大口取引と小口取引とを合わせた取引などにおける課題
(課題1:レートの作成、注文板の処理、清算方法の複雑化)
さらに、本件発明者は、大口取引と小口取引とを合わせた取引を、ストリーミング(成行的な注文)とリーブオーダー(指値的な注文)とを融合させて行うようにした場合等における、レートの作成、注文板の処理、清算方法に関し、考察・検討を行った。
【0054】
(清算方法の検討)
従来一般の取引市場における、大口取引と小口取引とを合わせた取引では、清算方法を大口取引のルールに適合させて小口取引を処理している。本件発明者は、小口取引側の処理も小口取引の本来の特性で処理できるようにすることについて、考察・検討を行った。
【0055】
(課題1の解決手段:清算方法を小口取引のルールに適合させる方策-レンディングを活用した、清算対象物の受け渡し日のギャップの解消)
清算方法については、大口取引ではT+2など約定日よりも後日のDVP(Delivery Versus Payment:約定金額と銘柄の同時受け渡し)クリアリング方式の清算処理が一般的である。大口取引に当日受け渡しの小口取引を融合させると、大口取引と小口取引とで、約定金額と銘柄の受け渡しに2日のギャップが生じる。本件発明者は、そのギャップをレンディング(貸借)機能を有するスマートコントラクトで解消することを考えた。
大口取引者と小口取引者との間で売買が成立した取引の約定金額と銘柄の受け渡しには、小口取引者が大口取引者側に銘柄を渡して、約定金額を受け取る場合と、小口取引者が大口取引者側に約定金額を支払い、銘柄を受け取る場合がある。
【0056】
小口取引者が大口取引者側に銘柄を渡して、大口取引者側から約定金額を得る場合は、取引所は、銘柄を2日間管理し、管理する銘柄を担保として、レンディング(貸借)機能を有するスマートコントラクトを介して、借り入れ先から約定金額分を借り入れて小口取引者側に約定金額を支払う。次いで、取引所は、2日後に大口取引者側に銘柄を引き渡す。引き渡した段階で大口取引者側から取引所に約定金額が入る。次いで、取引所は、その約定金額を借り入れ先に返済する。
この約定金額分の貸借により発生する、借り入れ先に支払うべき金利は、大口取引者と小口取引者との間の取引における、大口注文、小口注文の夫々に対して取引の相手方として売買を行う気配値であるレートを算出する際に上乗せしたマークアップ、又は、大口注文、小口注文のうちの一方である売り注文と他方である買い注文との価格差より得られるスプレッドから充当する。
【0057】
小口取引者が大口取引者側に約定金額を渡して、大口取引者側から銘柄を得る場合は、取引所は、約定金額を2日間管理し、管理する約定金額を担保として、レンディング(貸借)機能を有するスマートコントラクトを介して、借り入れ先から銘柄を借り入れて小口取引者側に銘柄を渡す。次いで、取引所は、2日後に大口取引者側に約定金額を引き渡す。引き渡した段階で大口取引者側から銘柄が入る。次いで、取引所は、その銘柄を借り入れ先に返却する。
この銘柄の貸借により発生する、借り入れ先に支払うべき品貸金利は、大口取引者と小口取引者との間の取引における、大口注文、小口注文の夫々に対して取引の相手方として売買を行う気配値であるレートを算出する際に上乗せしたマークアップ、又は、大口注文、小口注文のうちの一方である売り注文と他方である買い注文との価格差より得られるスプレッド等から充当する。
【0058】
(レートの作成に際しての、売りと買いの注文数量の状況に応じたマークアップの調整)
また、本件発明者は、取引所のレート(自己が顧客の注文に対して取引の相手方として売買を行う気配値)の作成に際しては、板の売りと買いの注文数量の状況に応じて、マークアップの数値を微調整して自己のレートとして配信することを考えた。
マークアップの数値を微調整する理由は、板の売りと買いの注文数量を極力均等にするためである。板の売りと買いにおける注文数量の少ないほうに対するレートを優遇して注文数量が多くなるよう誘導するべく、売り注文と買い注文の夫々に対し取引所(自己)が取引の相手方として売買を行う気配値となるレート作成の際に上乗せするマークアップの数値を微調整する。
【0059】
例えば、注文価格が取引所のレート(自己が顧客の注文に対して取引の相手方として売買を行う気配値)と約定し得る範囲内にある売りと買いの注文に関し、板の売り側の合計注文数量が100、板の買い側の合計注文数量が200であった場合、買い心理が(2倍)強く働いているものとして、レート(取引所(自己)が顧客の注文に対して取引の相手方として売買を行う気配値)の作成に際し、売り側と買い側の夫々のマークアップ率を5%上げるなどして調整する(1方向修正)。
マークアップ率(%)は、売りと買いの心理の相対的な倍率に応じて、例えば、買い心理が売り心理の3倍である場合は8%、1.5倍である場合には2%などのように調整する。
【0060】
また、価格の安定、不安定は、単位時間あたりの出来高に応じて判断する。例えば、1日あたり10分刻みの単位時間で、単位時間あたりの出来高の水準が、過去の実績データ(例えば、30日平均値)に基づいて算出される。単位時間(ここでは、10分間)あたり出来高が30日平均値に比べて2倍多い場合は、価格が短期間で暴騰又は暴落し、売りと買いの注文数量が一方に偏っていると考えられる。そこで、例えば、価格が暴落していると考えられるときには、売り側のマークアップ率を2%上げるとともに、買い側のマークアップ率を2%下げるなど、マークアップ率の幅修正(広げる)処理を組み合わせる。
例えば、1日あたり10分刻みの出来高が、30日平均値に比べて3倍多い場合は売り側のマークアップ率の上げ率、買い側のマークアップ率の下げ率を夫々5%にするなど、30日平均値と比較し、マークアップ率(%)の値を調整する。
なお、マークアップ率は、銘柄単位にテーブルデータで管理する。
【0061】
(課題2:顧客ごとにマークアップ率が異なることによるリーブオーダー(指値的な注文)に対するクロッシング処理の煩雑化)
リーブオーダー(指値的な注文)に対するクロッシング処理においては、
・顧客単位でマークアップ率が異なることによりレート(取引所(自己)が顧客の注文に対して取引の相手方として売買を行う気配値)が異なる。
・各顧客からのリーブオーダー(指値的な注文)やストリーミング(成行的な注文)に対して、他者のリーブオーダー(指値的な注文)とも対当条件になると約定する。
・各顧客からのリーブオーダー(指値的な注文)を受け付ける。
という上記3つの条件が組み合わさると、クロッシング処理が非常に複雑化し、処理速度が大幅に低下する。
各顧客に対して個別にマークアップを上乗せしたレート(取引所(自己)が顧客の注文に対して取引の相手方として売買を行う気配値)を配信した後に受注した、顧客からのリーブオーダー(指値的な注文)に対しては、顧客からの注文価格が取引所のレート(自己が顧客の注文に対して取引の相手方として売買を行う気配値)と約定し得る範囲内にあるか否かに応じて約定処理を行う必要がある。
即ち、各顧客に対して個別に異なるマークアップ率で算出したマークアップを上乗せしたレート(取引所(自己)が顧客の注文に対して取引の相手方として売買を行う気配値)を配信した後に受注した、顧客からの注文価格が取引所のレート(自己が顧客の注文に対して取引の相手方として売買を行う気配値)と約定し得る範囲内にあるリーブオーダー(指値的な注文)に対しては、取引所は、マッチングサーバの板に乗せる段階で、取引の相手方としての売買により当該注文を約定させ、マッチングサーバの板には乗せないようにする必要があると考えられる。
一方、注文価格が取引所のレート(自己が顧客の注文に対して取引の相手方として売買を行う気配値)と約定し得る範囲から外れた、売りと買いのリーブオーダー(指値的な注文)に対しては、取引所は、マッチングサーバの板に乗せ、マークアップ率とは無関係に、売りと買いのリーブオーダー(指値的な注文)間の価格差が、取引所の徴収すべき所定のスプレッドになったときに、売りと買いのリーブオーダー(指値的な注文)夫々に対して取引の相手方として売買を行って約定させなければならないと考えられる。
【0062】
処理性能の面を考慮すると、リーブオーダー(指値的な注文)は受け付けず、ストリーミング注文(成行的な注文)のみを受け付けて、注文を受けた瞬間に顧客毎の当該条件を適用した一時的に特別な板を作成して約定させることが望まれる。
リーブオーダー(指値注文や、さらには逆指値(ストップ)注文)まで受け付けると、一時的に特別な板を作成することによるマッチング処理では済まなくなり、マークアップ率が同じに設定されている顧客毎に板を作成し同期(ロック)して同時にメンテナンスを続けなければならなくなる。
即ち、マークアップ率が同じに設定されている顧客数分の注文板が存在することになり、マッチング処理が非常に複雑化し、処理パフォーマンスに悪影響を及ぼすことになる。
【0063】
本発明者はこのような問題等を鑑み、さらに、考察・検討した結果、本発明のデジタル資産を用いた取引注文処理システムを導出するに至った。
【0064】
本発明のデジタル資産を用いた取引注文処理システムは、トークン(ブロックチェーン等の分散技術においてデジタルで定義される価値などの総称であって、暗号資産を含む)、デジタル通貨、トークンとデジタル通貨、もしくはトークン同士、デジタル通貨同士など、あらゆる形態のデジタル資産間による取引を管理するための、少なくとも1種類のブロックチェーン等の分散技術における分散型台帳と、該分散型台帳に管理されるデジタル資産を用いた所定の処理を行うためのスマートコントラクトを備えて構築される、デジタル資産を用いた取引注文処理システムであって、顧客単位で多様な数値に設定された各銘柄についてのマークアップ率を管理するマークアップ率管理テーブルと、前記マークアップ率管理テーブルから、各銘柄における夫々の顧客のマークアップ率を取得する機能を有するマークアップ率取得用スマートコントラクトと、顧客の注文に対して取引の相手方として売買を行う気配値である第2レート(レート)を作成するベースとなる第1レート(基準レート)を作成する機能を有する第1レート(基準レート)作成用スマートコントラクトと、夫々の顧客について、前記第1レート(基準レート)作成用スマートコントラクトが作成した前記第1レート(基準レート)に、前記マークアップ率取得用スマートコントラクトが取得した当該顧客のマークアップ率を掛け合わせることによりマークアップを算出し、算出したマークアップを前記第1レート(基準レート)に上乗せして前記第2レート(レート)を作成する機能を有する第2レート(レート)作成用スマートコントラクトと、前記第2レート(レート)作成用スマートコントラクトが作成した夫々の顧客についての前記第2レート(レート)を当該顧客に配信する機能を有する第2レート(レート)配信用スマートコントラクトと、前記第2レート(レート)配信用スマートコントラクトが配信した顧客毎に異なる前記第2レート(レート)に対して発注された、顧客からのストリーミング(成行的な注文)に対して、取引の相手方として売買を行い、約定させ、当該顧客に対し約定を返す機能を少なくとも有するストリーミング約定用スマートコントラクトと、顧客から発注された売りと買いのリーブオーダー(指値的な注文)の全てを注文板に乗せる機能と、前記注文板における売り注文と買い注文との価格差が取引所の徴収すべき所定のスプレッド以上となった少なくとも一部の売りと買いのリーブオーダー(指値的な注文)における指値価格で当該売りと買いのリーブオーダー(指値的な注文)の夫々に対して取引の相手方として売買を行い、約定させ、当該売りと買いのリーブオーダー(指値的な注文)を発注した夫々の当該顧客に対し約定を返す機能と、リーブオーダー(指値的な注文)を約定させる直前に、瞬間的に、約定させる値段を全顧客に対する共通の前記第2レート(レート)として全顧客に配信する機能と、を有するリーブオーダー約定用スマートコントラクトと、を少なくとも有する。
【0065】
本発明のデジタル資産を用いた取引注文処理システムのように、トークン(ブロックチェーン等の分散技術においてデジタルで定義される価値などの総称であって、暗号資産を含む)、デジタル通貨、トークンとデジタル通貨、もしくはトークン同士、デジタル通貨同士など、あらゆる形態のデジタル資産間による取引を管理するための、少なくとも1種類のブロックチェーン等の分散技術における分散型台帳と、該分散型台帳に管理されるデジタル資産を用いた所定の処理を行うためのスマートコントラクトを備えた構成とすれば、分散型台帳に記録された価値を有するトークンそのものを、スマートコントラクトを介して処理できるため、注文処理の発注管理をデータベースに依存して行っていた従来の取引市場発注管理システムとは異なり、注文処理から決済(清算)処理までを即時に行うことができ、処理時間が飛躍的に向上する。
その上で、本発明のデジタル資産を用いた取引注文処理システムのように、第2レート(レート)作成用スマートコントラクト、第2レート(レート)配信用スマートコントラクトが、取引所による顧客別に第1レート(基準レート)にマークアップを上乗せした第2レート(レート)(取引所(自己)が顧客の注文に対して取引の相手方として売買を行う気配値)を作成して配信する機能を有し、ストリーミング約定用スマートコントラクトが、顧客毎に異なるレートに対して発注された、顧客からのストリーミング(成行的な注文)に対して約定を返し、リーブオーダー(指値的な注文)が発注された場合は、リーブオーダー約定用スマートコントラクトが、顧客からの注文価格が取引所のレート(自己が顧客の注文に対して取引の相手方として売買を行う気配値)と約定し得る範囲内にあるか否かにかかわらず、顧客から発注された売りと買いのリーブオーダー(指値的な注文)の全てを注文板にそのまま乗せて、注文板における売り注文と買い注文との価格差が取引所の徴収すべき所定のスプレッド以上となった少なくとも一部の売りと買いのリーブオーダー(指値的な注文)における指値価格で売りと買いのリーブオーダー(指値的な注文)夫々に対して取引の相手方として売買を行って約定させるように構成すれば、顧客単位でマークアップ率が異なることにより第2レート(レート)(取引所(自己)が顧客の注文に対して取引の相手方として売買を行う気配値)が異なる、各顧客からのリーブオーダー(指値的な注文)に対して、マークアップ率が同じに設定されている顧客数分の注文板を設けることなく、共通の板に乗せてマッチング処理を行うことができ、マッチング処理が簡素化され、処理パフォーマンスを格段に向上させることができる。
また、リーブオーダー約定用スマートコントラクトが、リーブオーダー(指値的な注文)を約定させる直前に、瞬間的に、約定させる値段を全顧客に対する共通の第2レート(レート)として配信するように構成すれば、顧客のリーブオーダー(指値的な注文)の指値に対し、取引所が提示した第2レート(レート)が約定したことをブロックチェーン上に履歴として残すことができる。
【0066】
また、本発明のデジタル資産を用いた取引注文処理システムにおいては、好ましくは、前記リーブオーダー約定用スマートコントラクトは、前記注文板における売り注文と買い注文との価格差が取引所の徴収すべき所定のスプレッド以上となったリーブオーダー(指値的な注文)であり且つ指値が前記第2レート(レート)配信用スマートコントラクトが各顧客に配信した顧客毎に異なる前記第2レート(レート)のうちで最良となる前記第2レート(レート)と対当する当該顧客からの売りと買いのリーブオーダー(指値的な注文)の夫々に対して取引の相手方として売買を行い、約定させ、当該売りと買いのリーブオーダー(指値的な注文)を発注した夫々の当該顧客に対し約定を返す機能を有する。
このように構成すれば、顧客が不利益を被ることなく、取引所は最大の利益を得ることができるようになる。
【0067】
また、本発明のデジタル資産を用いた取引注文処理システムにおいては、好ましくは、前記第1レート(基準レート)作成用スマートコントラクトは、顧客からのリーブオーダー(指値的な注文)における売りと買い夫々の最良注文(最も安い売り注文、最も高い買い注文)の価格と外部の流動性供給者からのカバー取引可能な第3レート(外部レート)の価格のうち、有利となる方の価格を選択して前記第1レート(基準レート)を作成する機能をさらに有する。
このように構成すれば、取引所は、自己に最も有利な第1レート(基準レート)、第2レート(レート)を得ることができる。
【0068】
また、本発明のデジタル資産を用いた取引注文処理システムにおいては、好ましくは、前記第1レート(基準レート)作成用スマートコントラクトは、外部の流動性供給者からのカバー取引可能な第3レート(外部レート)の価格を用いて前記第1レート(基準レート)を作成する機能をさらに有する。
このように構成しても、取引所は、自己に最も有利な第1レート(基準レート)、第2レート(レート)を得ることが可能となる。
【0069】
また、本発明のデジタル資産を用いた取引注文処理システムにおいては、好ましくは、前記ストリーミング約定用スマートコントラクトは、前記第2レート(レート)配信用スマートコントラクトが配信した顧客毎に異なる前記第2レート(レート)に対して発注された、顧客からの売り又は買いのストリーミング(成行的な注文)に対して、取引の相手方として売買を行い、約定させるとともに、外部の流動性供給者からのカバー取引可能な第3レート(外部レート)に対して、カバー取引用の注文を発注し、当該顧客に対し約定を返す機能を有する。
このように構成すれば、取引所は、顧客からの売り又は買いのストリーミング(成行的な注文)に対して、最大の利益を得ることができるようになる。
【0070】
また、本発明のデジタル資産を用いた取引注文処理システムにおいては、好ましくは、前記第2レート(レート)作成用スマートコントラクトは、前記第2レート(レート)を作成する際に、前記マークアップ率取得用スマートコントラクトが取得した顧客の売り側と買い側の夫々のマークアップ率を、前記注文板における売りの注文数量と買いの注文数量との比率に応じて調整する機能をさらに有する。
このように構成すれば、板の売りと買いの注文数量を極力均等にすることが可能となる。
【0071】
また、本発明のデジタル資産を用いた取引注文処理システムにおいては、好ましくは、前記第2レート(レート)作成用スマートコントラクトは、前記第2レート(レート)を作成する際に、前記マークアップ率取得用スマートコントラクトが取得した顧客の売り側と買い側の夫々のマークアップ率を、所定単位時間における現在の出来高の、所定単位時間における過去の出来高の平均値との比率に応じて調整する機能をさらに有する。
このように構成すれば、価格が短期間で暴騰又は暴落し、売りと買いの注文数量が一方に偏っている場合おける、板の売りと買いの注文数量を極力均等にすることが可能となる。
【0072】
また、本発明のデジタル資産を用いた取引注文処理システムにおいては、好ましくは、前記リーブオーダー(指値的な注文)又は前記ストリーミング(成行的な注文)を介した、顧客である大口注文の取引者と顧客である小口注文の取引者との取引において、前記小口注文の取引者が発注に際し預け入れた、前記大口注文の取引者に渡すべき約定金額相当の金銭又はデジタル資産を管理する機能を有する取引資産管理用スマートコントラクトと、前記大口注文と前記小口注文とが約定したときに、前記取引資産管理用スマートコントラクトが管理する前記約定金額相当の金銭又はデジタル資産を担保として、所定の借り入れ先から、前記大口注文の取引者から受けるべきデジタル資産又は約定金額相当の金銭を借り入れる機能を有するレンディング用スマートコントラクトと、前記大口注文と前記小口注文との約定後に、デジタル資産および約定金額相当の金銭についての清算を行う機能を有する清算用スマートコントラクトと、をさらに有し、前記清算用スマートコントラクトは、前記大口注文と前記小口注文とが約定した当日に、前記レンディング用スマートコントラクトが借り入れたデジタル資産又は約定金額相当の金銭を、前記小口注文の取引者に渡す機能と、前記大口注文と前記小口注文とが約定した日から所定日数経過後に、前記大口注文の取引者から、デジタル資産又は約定金額相当の金銭を受けると同時に、前記取引資産管理用スマートコントラクトが管理する前記大口注文の取引者に渡すべき約定金額相当の金銭又はデジタル資産を、前記大口注文の取引者に渡す機能と、前記大口注文の取引者から受けた、デジタル資産又は約定金額相当の金銭を、借り入れにより生じた利息分の金銭とともに、前記借り入れ先に返済する機能と、を少なくとも有する。
このように構成すれば、大口取引と小口取引とを合わせた取引における、大口取引者と小口取引者との間で売買が成立した取引の清算対象物(約定金額と銘柄)の受け渡し日のギャップを解消することが可能となる。
【0073】
また、本発明のデジタル資産を用いた取引注文処理システムは、好ましくは、前記清算用スマートコントラクトは、前記レンディング用スマートコントラクトのデジタル資産又は約定金額相当の金銭の借り入れにより生じる、前記借り入れ先に支払うべき利息分の金銭を、前記大口注文の取引者と前記小口注文の取引者との取引における、大口注文、小口注文の夫々に対して取引の相手方として売買を行う気配値である前記第2レート(レート)を算出する際に上乗せしたマークアップ、又は、大口注文、小口注文のうちの一方である売り注文と他方である買い注文との価格差より得られるスプレッドから充当する機能をさらに有する。
このように構成すれば、取引者に対し別途コストを徴収することなく、大口取引と小口取引とを合わせた取引における、大口注文の取引者と小口注文の取引者との間で売買が成立した取引の清算対象物(約定金額と銘柄)の受け渡し日のギャップを解消することが可能となる。
【0074】
このため、本発明によれば、マッチング処理を効率化し、処理パフォーマンスを格段に向上させながら、大口取引と小口取引とを合わせた取引など、取引所のレート作成の際に上乗せするマークアップを算出するためのマークアップ率が異なる顧客同士の取引を、ストリーミング(成行的な注文)とリーブオーダー(指値的な注文)とを融合させて行うことが可能な、デジタル資産を用いた取引注文処理システムが得られる。
以下、図面を参照して、本発明を実施するための形態の説明を行うこととする。
【0075】
第1実施形態
図1は本発明の第1実施形態に係るデジタル資産を用いた取引注文処理システムの全体構成を概略的に示す説明図である。
第1実施形態のデジタル資産を用いた取引注文処理システムは、トークン(ブロックチェーン等の分散技術においてデジタルで定義される価値などの総称であって、暗号資産を含む)、デジタル通貨、トークンとデジタル通貨、もしくはトークン同士、デジタル通貨同士など、あらゆる形態のデジタル資産間による取引を管理するための、少なくとも1種類のブロックチェーン等の分散技術における分散型台帳と、該分散型台帳に管理されるデジタル資産を用いた所定の処理を行うためのスマートコントラクトを備えて構築され、マークアップ率管理テーブル11と、マークアップ率取得用スマートコントラクト12と、第1レート(基準レート)作成用スマートコントラクト13と、第2レート(レート)作成用スマートコントラクト14と、第2レート(レート)配信用スマートコントラクト15と、ストリーミング約定用スマートコントラクト16と、リーブオーダー約定用スマートコントラクト17と、取引資産管理用スマートコントラクト18と、レンディング用スマートコントラクト19と、清算用スマートコントラクト20と、を有している。
【0076】
マークアップ率管理テーブル
マークアップ率管理テーブル11は、例えば、図2に示すように、顧客単位で多様な数値に設定された各銘柄についてのマークアップ率を管理するように構成されている。
【0077】
マークアップ率取得用スマートコントラクト
マークアップ率取得用スマートコントラクト12は、例えば、図3に示すように、マークアップ率管理テーブル11から、各銘柄における夫々の顧客40のマークアップ率を取得する機能を有するように構成されている。
【0078】
第1レート(基準レート)作成用スマートコントラクト
第1レート(基準レート)作成用スマートコントラクト13は、例えば、図4に示すように、顧客40の注文に対して取引の相手方として売買を行う気配値である第2レート(レート)を作成するベースとなる第1レート(基準レート)を作成する機能を有するように構成されている。
また、第1レート(基準レート)作成用スマートコントラクト13は、顧客40からのリーブオーダー(指値的な注文)における売りと買い夫々の最良注文(最も安い売り注文、最も高い買い注文)の価格と外部の流動性供給者50からのカバー取引可能な第3レート(外部レート)の価格のうち、有利となる方の価格を選択して第1レート(基準レート)を作成する機能をさらに有するように構成されている。
なお、第1レート(基準レート)作成用スマートコントラクト13は、外部の流動性供給者50からのカバー取引可能な第3レート(外部レート)の価格を用いて第1レート(基準レート)を作成する機能をさらに有するように構成してもよい。
【0079】
第2レート(レート)作成用スマートコントラクト
第2レート(レート)作成用スマートコントラクト14は、例えば、図5に示すように、夫々の顧客40について、第1レート(基準レート)作成用スマートコントラクト13が作成した第1レート(基準レート)に、マークアップ率取得用スマートコントラクト12が取得した当該顧客40のマークアップ率を掛け合わせることによりマークアップを算出し、算出したマークアップを第1レート(基準レート)に上乗せして第2レート(レート)を作成する機能を有するように構成されている。
また、第2レート(レート)作成用スマートコントラクト14は、第2レート(レート)を作成する際に、マークアップ率取得用スマートコントラクト12が取得した顧客40の売り側と買い側の夫々のマークアップ率を、注文板における売りの注文数量と買いの注文数量との比率に応じて調整する機能をさらに有するように構成されている。
また、第2レート(レート)作成用スマートコントラクト14は、第2レート(レート)を作成する際に、マークアップ率取得用スマートコントラクト12が取得した顧客40の売り側と買い側の夫々のマークアップ率を、所定単位時間における現在の出来高の、所定単位時間における過去の出来高の平均値との比率に応じて調整する機能をさらに有するように構成されている。
【0080】
第2レート(レート)配信用スマートコントラクト
第2レート(レート)配信用スマートコントラクト15は、例えば、図6に示すように、第2レート(レート)作成用スマートコントラクト14が作成した夫々の顧客40についての第2レート(レート)を当該顧客40に配信する機能を有するように構成されている。
【0081】
ストリーミング約定用スマートコントラクト
ストリーミング約定用スマートコントラクト16は、例えば、図7に示すように、第2レート(レート)配信用スマートコントラクト15が配信した顧客毎に異なる第2レート(レート)に対して発注された、顧客40からのストリーミング(成行的な注文)に対して、取引の相手方として売買を行い、約定させ、当該顧客40に対し約定を返す機能を少なくとも有するように構成されている。
好ましくは、ストリーミング約定用スマートコントラクト16は、第2レート(レート)配信用スマートコントラクト15が配信した顧客毎に異なる第2レート(レート)に対して発注された、顧客40からの売り又は買いのストリーミング(成行的な注文)に対して、取引の相手方として売買を行い、約定させるとともに、外部の流動性供給者50からのカバー取引可能な第3レート(外部レート)に対して、カバー取引用の注文を発注し、当該顧客40に対し約定を返す機能を有するように構成されている。
【0082】
リーブオーダー約定用スマートコントラクト
リーブオーダー約定用スマートコントラクト17は、例えば、図8に示すように、顧客40から発注された売りと買いのリーブオーダー(指値的な注文)の全てを注文板に乗せる機能と、注文板における売り注文と買い注文との価格差が取引所30の徴収すべき所定のスプレッド以上となった少なくとも一部の売りと買いのリーブオーダー(指値的な注文)における指値価格で当該売りと買いのリーブオーダー(指値的な注文)の夫々に対して取引の相手方として売買を行い、約定させ、当該売りと買いのリーブオーダー(指値的な注文)を発注した夫々の当該顧客40に対し約定を返す機能と、リーブオーダー(指値的な注文)を約定させる直前に、瞬間的に、約定させる値段を全顧客40に対する共通の第2レート(レート)として全顧客40に配信する機能と、を有するように構成されている。
なお、本実施形態では、リーブオーダー約定用スマートコントラクト17は、注文板における売り注文と買い注文との価格差が取引所30の徴収すべき所定のスプレッド以上となったリーブオーダー(指値的な注文)であり且つ指値が第2レート(レート)配信用スマートコントラクト15が各顧客40に配信した顧客毎に異なる第2レート(レート)のうちで最良となる第2レート(レート)と対当する当該顧客40からの売りと買いのリーブオーダー(指値的な注文)の夫々に対して取引の相手方として売買を行い、約定させ、当該売りと買いのリーブオーダー(指値的な注文)を発注した夫々の当該顧客40に対し約定を返す機能を有するように構成されている。
【0083】
取引資産管理用スマートコントラクト
取引資産管理用スマートコントラクト18は、例えば、図9に示すように、リーブオーダー(指値的な注文)又はストリーミング(成行的な注文)を介した、顧客40である大口注文の取引者40Aと顧客40である小口注文の取引者40Bとの取引において、小口注文の取引者40Bが発注に際し預け入れた、大口注文の取引者40Aに渡すべき約定金額相当の金銭又はデジタル資産を管理する機能を有するように構成されている。
【0084】
レンディング用スマートコントラクト
レンディング用スマートコントラクト19は、例えば、図10に示すように、大口注文と小口注文とが約定したときに、取引資産管理用スマートコントラクト18が管理する約定金額相当の金銭又はデジタル資産を担保として、所定の借り入れ先60から、大口注文の取引者40Aから受けるべきデジタル資産又は約定金額相当の金銭を借り入れる機能を有するように構成されている。
【0085】
清算用スマートコントラクト
清算用スマートコントラクト20は、例えば、図11に示すように、大口注文と小口注文との約定後に、デジタル資産および約定金額相当の金銭についての清算を行う機能を有するように構成されている。
より詳しくは、清算用スマートコントラクト20は、大口注文と小口注文とが約定した当日に、レンディング用スマートコントラクト19が借り入れたデジタル資産又は約定金額相当の金銭を、小口注文の取引者40Bに渡す機能と、大口注文と小口注文とが約定した日から所定日数経過後に、大口注文の取引者40Aから、デジタル資産又は約定金額相当の金銭を受けると同時に、取引資産管理用スマートコントラクト18が管理する大口注文の取引者40Aに渡すべき約定金額相当の金銭又はデジタル資産を、大口注文の取引者40Aに渡す機能と、大口注文の取引者40Aから受けた、デジタル資産又は約定金額相当の金銭を、借り入れにより生じた利息分の金銭とともに、借り入れ先60に返済する機能と、を少なくとも有するように構成されている。
また、清算用スマートコントラクト20は、レンディング用スマートコントラクト19のデジタル資産又は約定金額相当の金銭の借り入れにより生じる、借り入れ先60に支払うべき利息分の金銭を、大口注文の取引者40Aと小口注文の取引者40Bとの取引における、大口注文、小口注文の夫々に対して取引の相手方として売買を行う気配値である第2レート(レート)を作成する際に上乗せしたマークアップ、又は、大口注文、小口注文のうちの一方である売り注文と他方である買い注文との価格差より得られるスプレッドから充当する機能をさらに有するように構成されている。
【0086】
その他、本実施形態のデジタル資産を用いた取引注文処理システムは、注文入力手段21と、注文管理用スマートコントラクト22を有している。
【0087】
注文入力手段
注文入力手段21は、例えば、コンピュータの端末や、携帯情報端末等の他の電子機器の画面表示部と入力部を介して、所定形態のデジタル資産(例えば、トークンとデジタル通貨)による取引についての注文(例えば、トークンによる売り注文、デジタル通貨による買い注文)を入力することができるように構成されている。注文の入力項目は、銘柄、売買区分、数量単位、通貨単位、注文価格、注文数量、注文方式、大口注文・小口注文、価格固定・数量固定、交換先(のデジタル資産の種類)等が挙げられる。
なお、第2レート(レート)作成用スマートコントラクト14は、第2レート(レート)を作成する際に、注文入力手段21を介して入力された銘柄、売買区分、数量単位、通貨単位、注文価格、注文数量、注文方式、大口注文・小口注文、価格固定・数量固定等の入力項目に応じて、上述した所定の丸め処理を行う機能を備えて構成され得る。
【0088】
注文管理用スマートコントラクト
注文管理用スマートコントラクト22は、注文者(顧客、取引者40)により注文入力手段21を介して入力された注文データ(例えば、トークンによる売り注文、デジタル通貨による買い注文のデータ)を分散型台帳に記録・保存する機能を有するように構成されている。
【0089】
このように構成された本実施形態のデジタル資産を用いた取引注文処理システムにおける処理の流れの一例を、図12図13を用いて説明する。
なお、本実施形態のデジタル資産を用いた取引注文処理システムでは、コンピュータの端末や、携帯情報端末等の他の電子機器の画面表示部と入力部を有する注文入力手段21を介して、入力されたIDについて、個人はマイナンバー、法人は法人番号を用いた本人確認処理を自動で行い、上記各スマートコントラクトは、承認されたIDに対して処理を行う。
注文者(顧客、取引者40)により注文入力手段21を介して注文(売り注文、買い注文)を入力されると、注文管理用スマートコントラクト22は、注文者(顧客、取引者40)により注文入力手段21を介して入力された銘柄単位の注文についての注文データ(売り注文、買い注文のデータ)を、分散型台帳に記録・保存する。
注文系情報については、注文管理用スマートコントラクト22や、ストリーミング約定用スマートコントラクト16、リーブオーダー約定用スマートコントラクト17により、注文電文や、約定電文の内容がデータ管理領域(ブロックチェーン等)に記録され、ストリーミング約定用スマートコントラクト16、リーブオーダー約定用スマートコントラクト17により注文データの記録内容が更新される。
指値の場合は、注文管理用スマートコントラクト22により先に注文データがデータ管理領域に記録される。
データ管理領域には、注文系情報の他に、扱い銘柄の取引仕様(銘柄名、銘柄コード、取引単位など)が記録される。
「金額」を指定するタイプの注文は、基本的には成行処理(第2レート(レート)配信用スマートコントラクト15により提示されている第2レート(レート)をベースに「数量」が定まる)になる。しかし、注文者(顧客、取引者40)が「金額」を指定するタイプの注文で指値処理を行うことを所望する場合は、「金額」指定の他に「価格」もしくは「数量」を指定する必要がある。
【0090】
第1レート(基準レート)の作成
まず、図12に示すように、第1レート(基準レート)作成用スマートコントラクト13が、顧客40からのリーブオーダー(指値的な注文)における売りと買い夫々の最良注文(最も安い売り注文、最も高い買い注文)の価格と外部の流動性供給者50からのカバー取引可能な第3レート(外部レート)の価格のうち、有利となる方の価格を選択して第1レート(基準レート)を作成する。
あるいは、第1レート(基準レート)作成用スマートコントラクト13が、外部の流動性供給者50からのカバー取引可能な第3レート(外部レート)の価格を用いて第1レート(基準レート)を作成する。
【0091】
マークアップ率の取得
また、マークアップ率取得用スマートコントラクト12が、マークアップ率管理テーブル11から、各銘柄における夫々の顧客40のマークアップ率を取得する。
【0092】
第2レート(レート)の作成及び提示
次に、第2レート(レート)作成用スマートコントラクト14が、夫々の顧客40について、第1レート(基準レート)作成用スマートコントラクト13が作成した第1レート(基準レート)に、マークアップ率取得用スマートコントラクト12が取得した当該顧客40のマークアップ率を掛け合わせることによりマークアップを算出し、算出したマークアップを第1レート(基準レート)に上乗せして第2レート(レート)を作成する。
次に、第2レート(レート)配信用スマートコントラクト15が、第2レート(レート)作成用スマートコントラクト14が作成した夫々の顧客40についての第2レート(レート)を当該顧客40に配信する。
【0093】
顧客から発注されたストリーミング(成行的な注文)に対する処理
ここで、顧客40からストリーミング(成行的な注文)が発注された場合は、図13に示すように、ストリーミング約定用スマートコントラクト16が、第2レート(レート)配信用スマートコントラクト15が配信した顧客毎に異なる第2レート(レート)に対して発注された、顧客40からのストリーミング(成行的な注文)に対して、取引の相手方として売買を行い、約定させ、当該顧客40に対し約定を返す。
あるいは、ストリーミング約定用スマートコントラクト16は、第2レート(レート)配信用スマートコントラクト15が配信した顧客毎に異なる第2レート(レート)に対して発注された、顧客40からの売り又は買いのストリーミング(成行的な注文)に対して、取引の相手方として売買を行い、約定させるとともに、外部の流動性供給者50からのカバー取引可能な第3レート(外部レート)に対して、カバー取引用の注文を発注し、当該顧客40に対し約定を返す。
【0094】
顧客から発注されたリーブオーダー(指値的な注文)に対する処理
また、顧客40からリーブオーダー(指値的な注文)が発注された場合は、図13に示すように、リーブオーダー約定用スマートコントラクト17が、顧客40から発注された売りと買いのリーブオーダー(指値的な注文)の全てを注文板に乗せる。
次に、リーブオーダー約定用スマートコントラクト17が、注文板における売り注文と買い注文との価格差が取引所30の徴収すべき所定のスプレッド以上となった少なくとも一部の売りと買いのリーブオーダー(指値的な注文)における指値価格で当該売りと買いのリーブオーダー(指値的な注文)の夫々に対して取引の相手方として売買を行い、約定させ、当該売りと買いのリーブオーダー(指値的な注文)を発注した夫々の当該顧客40に対し約定を返す。
なお、本例では、リーブオーダー約定用スマートコントラクト17が、注文板における売り注文と買い注文との価格差が取引所の徴収すべき所定のスプレッド以上となったリーブオーダー(指値的な注文)であり且つ指値が第2レート(レート)配信用スマートコントラクト15が各顧客に配信した顧客毎に異なる第2レート(レート)のうちで最良となる第2レート(レート)と対当する当該顧客からの売りと買いのリーブオーダー(指値的な注文)の夫々に対して取引の相手方として売買を行い、約定させ、当該売りと買いのリーブオーダー(指値的な注文)を発注した夫々の当該顧客に対し約定を返す。
また、リーブオーダー約定用スマートコントラクト17は、リーブオーダー(指値的な注文)を約定させる直前に、瞬間的に、約定させる値段を全顧客40に対する共通の第2レート(レート)として全顧客40に配信する。
これにより、マークアップ率の異なる顧客40から発注された、リーブオーダー(指値的な注文)の指値に対し、取引所30の提示したレート(第2レート)が約定したことをブロックチェーン上に履歴として記録される。
【0095】
大口取引と小口取引とを合わせた取引における清算処理
大口取引と小口取引とを合わせた取引においては、図14に示すように、取引資産管理用スマートコントラクト18が、リーブオーダー(指値的な注文)又はストリーミング(成行的な注文)を介した、顧客40である大口注文の取引者40Aと顧客40である小口注文の取引者40Bとの取引において、小口注文の取引者40Bが発注に際し預け入れた、大口注文の取引者40Aに渡すべき約定金額相当の金銭又はデジタル資産を管理する。
そして、レンディング用スマートコントラクト19が、大口注文と小口注文とが約定したときに、取引資産管理用スマートコントラクト18が管理する約定金額相当の金銭又はデジタル資産を担保として、所定の借り入れ先60から、大口注文の取引者40Aから受けるべきデジタル資産又は約定金額相当の金銭を借り入れる。
大口注文と小口注文とが約定した当日に、清算用スマートコントラクト20が、レンディング用スマートコントラクト19が借り入れたデジタル資産又は約定金額相当の金銭を、小口注文の取引者40Bに渡す。
大口注文と小口注文とが約定した日から所定日数経過後に、清算用スマートコントラクト20が、大口注文の取引者40Aから、デジタル資産又は約定金額相当の金銭を受けると同時に、取引資産管理用スマートコントラクト18が管理する大口注文の取引者40Aに渡すべき約定金額相当の金銭又はデジタル資産を、大口注文の取引者40Aに渡す。
次に、清算用スマートコントラクト20が、大口注文の取引者40Aから受けた、デジタル資産又は約定金額相当の金銭を、借り入れにより生じた利息分の金銭とともに、借り入れ先60に返済する。
なお、レンディング用スマートコントラクト19のデジタル資産又は約定金額相当の金銭の借り入れにより生じる、借り入れ先60に支払うべき利息分の金銭については、清算用スマートコントラクト20が、大口注文の取引者40Aと小口注文の取引者40Bとの取引における、大口注文、小口注文の夫々に対して取引の相手方として売買を行う気配値である第2レート(レート)を作成する際に上乗せしたマークアップ、又は、大口注文、小口注文のうちの一方である売り注文と他方である買い注文との価格差より得られるスプレッドから充当する。
【0096】
売りと買いの注文数量の状況に応じたマークアップの調整処理
なお、第2レート(レート)作成用スマートコントラクト14は、第2レート(レート)を作成する際に用いるマークアップを、売りと買いの注文数量の状況に応じて調整する。
【0097】
詳しくは、第2レート(レート)作成用スマートコントラクト14は、第2レート(レート)を作成する際に、マークアップ率取得用スマートコントラクト12が取得した顧客40の売り側と買い側の夫々のマークアップ率を、注文板における売りの注文数量と買いの注文数量との比率に応じて調整する。
例えば、第2レート(レート)作成用スマートコントラクト14は、注文価格が取引所30のレート(自己が顧客40の注文に対して取引の相手方として売買を行う気配値)と約定し得る範囲内にある売りと買いの注文に関し、板の売り側の合計注文数量が100、板の買い側の合計注文数量が200であった場合、買い心理が(2倍)強く働いているものとして、レート(取引所30(自己)が顧客40の注文に対して取引の相手方として売買を行う気配値)の作成に際し、売り側と買い側の夫々のマークアップ率を5%上げるなどして調整する(1方向修正)。
即ち、第2レート(レート)作成用スマートコントラクト14は、マークアップ率(%)を、売りと買いの心理の相対的な倍率に応じて、例えば、買い心理が売り心理の3倍である場合は8%、1.5倍である場合には2%などのように調整する。
【0098】
あるいは、第2レート(レート)作成用スマートコントラクト14は、第2レート(レート)を作成する際に、マークアップ率取得用スマートコントラクト12が取得した顧客40の売り側と買い側の夫々のマークアップ率を、所定単位時間における現在の出来高の、所定単位時間における過去の出来高の平均値との比率に応じて調整する。
例えば、1日あたり10分刻みの単位時間で、単位時間あたりの出来高の水準が、過去の実績データ(例えば、30日平均値)に基づいて算出される。単位時間(ここでは、10分間)あたり出来高が30日平均値に比べて2倍多い場合は、価格が短期間で暴騰又は暴落し、売りと買いの注文数量が一方に偏っていると考えられる。そこで、第2レート(レート)作成用スマートコントラクト14は、例えば、価格が暴落していると考えられるときには、売り側のマークアップ率を2%上げるとともに、買い側のマークアップ率を2%下げるなど、マークアップ率の幅修正(広げる)を行う。
例えば、第2レート(レート)作成用スマートコントラクト14は、1日あたり10分刻みの出来高が、30日平均値に比べて3倍多い場合は売り側のマークアップ率の上げ率、買い側のマークアップ率の下げ率を夫々5%にするなど、30日平均値と比較し、マークアップ率(%)の値を調整する。
【0099】
本実施形態のデジタル資産を用いた取引注文処理システムの効果
本実施形態のデジタル資産を用いた取引注文処理システムによれば、トークン(ブロックチェーン等の分散技術においてデジタルで定義される価値などの総称であって、暗号資産を含む)、デジタル通貨、トークンとデジタル通貨、もしくはトークン同士、デジタル通貨同士など、あらゆる形態のデジタル資産間による取引を管理するための、少なくとも1種類のブロックチェーン等の分散技術における分散型台帳と、該分散型台帳に管理されるデジタル資産を用いた所定の処理を行うためのスマートコントラクトを備えた構成としたので、分散型台帳に記録された価値を有するトークンそのものを、スマートコントラクトを介して処理できるため、注文処理の発注管理をデータベースに依存して行っていた従来の取引市場発注管理システムとは異なり、注文処理から決済(清算)処理までを即時に行うことができ、処理時間が飛躍的に向上する。
その上で、本実施形態のデジタル資産を用いた取引注文処理システムによれば、第2レート(レート)作成用スマートコントラクト14、第2レート(レート)配信用スマートコントラクト15が、取引所30による顧客別に第1レート(基準レート)にマークアップを上乗せした第2レート(レート)(取引所30(自己)が顧客40の注文に対して取引の相手方として売買を行う気配値)を作成して配信する機能を有し、ストリーミング約定用スマートコントラクト16が、顧客40毎に異なる第2レート(レート)に対して発注された、顧客40からのストリーミング(成行的な注文)に対して約定を返し、リーブオーダー(指値的な注文)が発注された場合は、リーブオーダー約定用スマートコントラクト17が、顧客40からの注文価格が取引所30のレート(自己が顧客40の注文に対して取引の相手方として売買を行う気配値)と約定し得る範囲内にあるか否かにかかわらず、顧客40から発注された売りと買いのリーブオーダー(指値的な注文)の全てを注文板にそのまま乗せて、注文板における売り注文と買い注文との価格差が取引所30の徴収すべき所定のスプレッド以上となった少なくとも一部の売りと買いのリーブオーダー(指値的な注文)における指値価格で売りと買いのリーブオーダー(指値的な注文)夫々に対して取引の相手方として売買を行って約定させるように構成したので、顧客単位でマークアップ率が異なることにより第2レート(レート)(取引所30(自己)が顧客40の注文に対して取引の相手方として売買を行う気配値)が異なる、各顧客40からのリーブオーダー(指値的な注文)に対して、マークアップ率が同じに設定されている顧客数分の注文板を設けることなく、共通の板に乗せてマッチング処理を行うことができ、マッチング処理が簡素化され、処理パフォーマンスを格段に向上させることができる。
また、リーブオーダー約定用スマートコントラクト17が、リーブオーダー(指値的な注文)を約定させる直前に、瞬間的に、約定させる値段を全顧客40に対する共通の第2レート(レート)として配信するように構成したので、顧客40のリーブオーダー(指値的な注文)の指値に対し、取引所30が提示した第2レート(レート)が約定したことをブロックチェーン上に履歴として残すことができる。
【0100】
また、本実施形態のデジタル資産を用いた取引注文処理システムによれば、リーブオーダー約定用スマートコントラクト17が、注文板における売り注文と買い注文との価格差が取引所30の徴収すべき所定のスプレッド以上となったリーブオーダー(指値的な注文)であり且つ指値が第2レート(レート)配信用スマートコントラクト15が各顧客40に配信した顧客毎に異なる第2レート(レート)のうちで最良となる第2レート(レート)と対当する当該顧客40からの売りと買いのリーブオーダー(指値的な注文)の夫々に対して取引の相手方として売買を行い、約定させ、当該売りと買いのリーブオーダー(指値的な注文)を発注した夫々の当該顧客40に対し約定を返す機能を有するように構成したので、顧客40が不利益を被ることなく、取引所30は最大の利益を得ることができる。
【0101】
また、本実施形態のデジタル資産を用いた取引注文処理システムによれば、第1レート(基準レート)作成用スマートコントラクト13が、顧客40からのリーブオーダー(指値的な注文)における売りと買い夫々の最良注文(最も安い売り注文、最も高い買い注文)の価格と外部の流動性供給者50からのカバー取引可能な第3レート(外部レート)の価格のうち、有利となる方の価格を選択して第1レート(基準レート)を作成する機能をさらに有するように構成したので、取引所30は、自己に最も有利な第1レート(基準レート)、第2レート(レート)を得ることができる。
【0102】
また、本実施形態のデジタル資産を用いた取引注文処理システムによれば、第1レート(基準レート)作成用スマートコントラクト13が、外部の流動性供給者50からのカバー取引可能な第3レート(外部レート)の価格を用いて第1レート(基準レート)を作成する機能をさらに有するように構成したので、取引所30は、自己に最も有利な第1レート(基準レート)、第2レート(レート)を得ることが可能となる。
【0103】
また、本実施形態のデジタル資産を用いた取引注文処理システムによれば、ストリーミング約定用スマートコントラクト16が、第2レート(レート)配信用スマートコントラクト15が配信した顧客毎に異なる第2レート(レート)に対して発注された、顧客40からの売り又は買いのストリーミング(成行的な注文)に対して、取引の相手方として売買を行い、約定させるとともに、外部の流動性供給者50からのカバー取引可能な第3レート(外部レート)に対して、カバー取引用の注文を発注し、当該顧客40に対し約定を返す機能を有するように構成したので、取引所30は、顧客40からの売り又は買いのストリーミング(成行的な注文)に対して、最大の利益を得ることができるようになる。
【0104】
また、本実施形態のデジタル資産を用いた取引注文処理システムによれば、第2レート(レート)作成用スマートコントラクト14が、第2レート(レート)を作成する際に、マークアップ率取得用スマートコントラクト12が取得した顧客の売り側と買い側の夫々のマークアップ率を、注文板における売りの注文数量と買いの注文数量との比率に応じて調整する機能をさらに有するように構成したので、板の売りと買いの注文数量を極力均等にすることが可能となる。
【0105】
また、本実施形態のデジタル資産を用いた取引注文処理システムによれば、第2レート(レート)作成用スマートコントラクト14が、第2レート(レート)を作成する際に、マークアップ率取得用スマートコントラクト12が取得した顧客の売り側と買い側の夫々のマークアップ率を、所定単位時間における現在の出来高の、所定単位時間における過去の出来高の平均値との比率に応じて調整する機能をさらに有するように構成したので、価格が短期間で暴騰又は暴落し、売りと買いの注文数量が一方に偏っている場合おける、板の売りと買いの注文数量を極力均等にすることが可能となる。
【0106】
また、本実施形態のデジタル資産を用いた取引注文処理システムによれば、リーブオーダー(指値的な注文)又はストリーミング(成行的な注文)を介した、顧客40である大口注文の取引者40Aと顧客40である小口注文の取引者40Bとの取引において、小口注文の取引者40Bが発注に際し預け入れた、大口注文の取引者40Aに渡すべき約定金額相当の金銭又はデジタル資産を管理する機能を有する取引資産管理用スマートコントラクト18と、大口注文と小口注文とが約定したときに、取引資産管理用スマートコントラクト18が管理する約定金額相当の金銭又はデジタル資産を担保として、所定の借り入れ先60から、大口注文の取引者40Aから受けるべきデジタル資産又は約定金額相当の金銭を借り入れる機能を有するレンディング用スマートコントラクト19と、大口注文と小口注文との約定後に、デジタル資産および約定金額相当の金銭についての清算を行う機能を有する清算用スマートコントラクト20と、をさらに有し、清算用スマートコントラクト20が、大口注文と小口注文とが約定した当日に、レンディング用スマートコントラクト19が借り入れたデジタル資産又は約定金額相当の金銭を、小口注文の取引者40Bに渡す機能と、大口注文と小口注文とが約定した日から所定日数経過後に、大口注文の取引者40Aから、デジタル資産又は約定金額相当の金銭を受けると同時に、取引資産管理用スマートコントラクト18が管理する大口注文の取引者40Aに渡すべき約定金額相当の金銭又はデジタル資産を、大口注文の取引者40Aに渡す機能と、大口注文の取引者40Aから受けた、デジタル資産又は約定金額相当の金銭を、借り入れにより生じた利息分の金銭とともに、借り入れ先60に返済する機能と、を少なくとも有するように構成したので、大口取引と小口取引とを合わせた取引における、大口取引者と小口取引者との間で売買が成立した取引の清算対象物(約定金額と銘柄)の受け渡し日のギャップを解消することが可能となる。
【0107】
また、本実施形態のデジタル資産を用いた取引注文処理システムによれば、清算用スマートコントラクト20が、レンディング用スマートコントラクト19のデジタル資産又は約定金額相当の金銭の借り入れにより生じる、借り入れ先60に支払うべき利息分の金銭を、大口注文の取引者40Aと小口注文の取引者40Bとの取引における、大口注文、小口注文の夫々に対して取引の相手方として売買を行う気配値である第2レート(レート)を算出する際に上乗せしたマークアップ、又は、大口注文、小口注文のうちの一方である売り注文と他方である買い注文との価格差より得られるスプレッドから充当する機能をさらに有するように構成したので、取引者に対し別途コストを徴収することなく、大口取引と小口取引とを合わせた取引における、大口注文の取引者40Aと小口注文の取引者40Bとの間で売買が成立した取引の清算対象物(約定金額と銘柄)の受け渡し日のギャップを解消することが可能となる。
【0108】
このため、本実施形態によれば、マッチング処理を効率化し、処理パフォーマンスを格段に向上させながら、大口取引と小口取引とを合わせた取引など、取引所のレート作成の際に上乗せするマークアップを算出するためのマークアップ率が異なる顧客同士の取引を、ストリーミング(成行的な注文)とリーブオーダー(指値的な注文)とを融合させて行うことが可能な、デジタル資産を用いた取引注文処理システムが得られる。
【0109】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳説したが、本発明は、上述した実施形態に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施形態に種々の変形及び置換を加えることができる。
【産業上の利用可能性】
【0110】
本発明のデジタル資産を用いた取引注文処理システムは、貴金属、非鉄金属、石油・ガス・電力などのエネルギー類、コメ・砂糖などの保存可能な農作物、美術品、飲料水など、広範囲に販売されているものや、その他の経済的価値をデジタルで表現された、デジタル資産を用いて取引を扱う分野に有用である。
【符号の説明】
【0111】
11 マークアップ率管理テーブル
12 マークアップ率取得用スマートコントラクト
13 第1レート(基準レート)作成用スマートコントラクト
14 第2レート(レート)作成用スマートコントラクト
15 第2レート(レート)配信用スマートコントラクト
16 ストリーミング約定用スマートコントラクト
17 リーブオーダー約定用スマートコントラクト
18 取引資産管理用スマートコントラクト
19 レンディング用スマートコントラクト
20 清算用スマートコントラクト
21 注文入力手段
22 注文管理用スマートコントラクト
30 取引所(又は取引機能を有する場)
40 顧客
40A 大口注文の取引者
40B 小口注文の取引者
50 外部の流動性供給者
60 (デジタル資産又は約定金額相当の金銭の)借り入れ先
図1
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