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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023072618
(43)【公開日】2023-05-24
(54)【発明の名称】折り畳み情報通信体
(51)【国際特許分類】
   B42D 15/02 20060101AFI20230517BHJP
   B42D 15/08 20060101ALI20230517BHJP
【FI】
B42D15/02 501B
B42D15/02 501E
B42D15/08 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2021197354
(22)【出願日】2021-11-12
(71)【出願人】
【識別番号】000105280
【氏名又は名称】ケイディケイ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】木村 義和
(72)【発明者】
【氏名】土屋 雅人
【テーマコード(参考)】
2C005
【Fターム(参考)】
2C005WA04
(57)【要約】      (修正有)
【課題】一枚のシートに情報を記載して折り畳み作成する封書であって、他人の情報の誤封入や誤配等の事故が起こらず、また封入、封緘等の手間を省き、開封に際して対向面間を剥離の端緒となる段差に導かれて順序立てて開封することができると共に、開封順序や開封箇所の迷いによるストレスを与えることが無く、興味を湧かせ訴求効果を高める折り畳み情報通信体を提供する。
【解決手段】複数の葉片1,2,3が縦及び/又は横の折り線を介して連接された折り畳み情報通信体シートJ1を前記縦及び/又は横の折り線から折り畳み剥離可能に一体化すると共に剥離の端緒としての段差が開封縁辺に沿って形成された折り畳み情報通信体J1であり、開封の各展開状態において前記段差が表裏面の何れ一か所に表出するため、展開する度に受取人が迷わず次の開封箇所を自動的に認識して、最後まで一貫した順序で剥離展開することができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の葉片が縦及び/又は横の折り線を介して連接された折り畳み情報通信体シートを前記縦及び/又は横の折り線から折り畳み剥離可能に一体化すると共に剥離の端緒としての段差が開封縁辺に沿って形成された折り畳み情報通信体であり、開封開始及び開封完了までの各展開状態において前記段差が表裏面の何れ一か所に表出するため、展開する度に受取人が迷わず次の開封箇所を自動的に認識して、最後まで一貫した順序で剥離展開することができる折り畳み情報通信体。
【請求項2】
表出している段差に沿って順序だてて剥離開封を示唆する表示がなされていることを特徴とした請求項1に記載の折り畳み情報通信体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は複数の葉片を折り畳み、重ね合わせて剥離可能に一体化した折り畳み情報通信体に関する。詳しくは最近ハガキ2倍或いは3倍サイズの用紙を折り畳み、剥離可能に圧着した圧着ハガキを初め、封書以上のサイズでDMや個人情報の通知等に利用される折り畳み情報通信体で、取り分け開封の端緒として開封縁辺に沿って形成された段差を利用する折り畳み情報通信体に関する。
【背景技術】
【0002】
今迄、宣伝広告や案内状、パンフレット等の大量の情報を伝達する手段として、封筒に各種伝達物を印刷したシート等を折り畳み封入、封緘して郵送する方法が一般的である。しかし最近では封入、封緘の手間を省き、データー等の個人情報を他の一般情報等と同時に印刷して折り畳み封書化することで、前記作業に掛かる多大な経費を削減する手段が考えられている。そのような事例として、例えば特開2000-43456号公報に記載される折り畳み封書用シートが提案されている。
【先行技術分野】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000-43456号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
既述の引用文献に記載される折り畳み封書用シートは、一枚のシートにあて先を含めた一人分の個人情報を全て記載して折り畳み封書に仕上げる。そのため誤って他人の情報が混じることはない。また折り畳むことで自動的に封書になるため封入、封緘の手間も省ける等の長所がある。しかし、突出した封緘片の特殊加工、封緘のための接着剤塗布加工、開封に際して接着片を引きちぎるための切取ミシン加工、接着部分が容易に剥離するための剥離剤塗布加工、二条のミシン目による開封手段等の複雑で手間が掛かる特殊加工が必要で、既述の長所があるにも関わらず割高についてしまう。
【0005】
また前記引用文献の折り畳み封書用シートは、単純に一枚の大面積のチラシを折り畳んだだけでは、受取人が開封して平面に展開すると、そこにランダムなレイアウトからなる通常の新聞折り込みのチラシが広げられた状態と変わらない。即ち折り込みチラシ以上の効果がなく受取人への訴求効果やインパクトに決定的に欠ける。
【0006】
本発明の折り畳み情報通信体は、上記問題に鑑み、一枚のシートに情報を記載して折り畳み封書に仕上げるため、一つの封筒に各種情報が記載された複数のシートを封入する際に起こりがちな、他人の情報の誤封入や誤配等の事故が起こらず、また封入、封緘等の面倒でコストの掛かる手間を省き、さらに開封に際して対向面間を剥離の端緒となる段差に導かれて順序立てて開封することができると共に、受取人が開封するに際して開封順序や開封箇所の迷いによるストレスを与えることが無く、逆に興味を湧かせ訴求効果を高める折り畳み情報通信体を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の折り畳み情報通信体は、複数の葉片が縦及び/又は横の折り線を介して連接された折り畳み情報通信体シートを前記縦及び/又は横の折り線から折り畳み剥離可能に一体化すると共に剥離の端緒としての段差が開封縁辺に沿って形成された折り畳み情報通信体であり、開封開始及び開封完了までの各展開状態において前記段差が表裏面の何れ一か所に表出するため、展開する度に受取人が迷わず次の開封箇所を自動的に認識して、最後まで一貫した順序で剥離展開することができることを特徴としている。
【0008】
なお前記段差に沿った近傍に、矢印マークや「ここから開く」等の剥離開封を促す文言を記載すれば、なお開封の順序に迷いがなくなる。さらに剥離展開に際して以前の段差が消滅して新たな段差が生じるため、前記剥離開封を促すマークや文言に番号等で剥離の順番を明確にしておけば、消滅した段差に沿って記載されていたマークや文言等による混乱が避けられ、受取人の開封動作に対するストレスがさらに軽減される。
【0009】
本発明の折り畳み情報通信体に使用される資材は、例えば上質紙、マット紙、コート紙等の通常の用紙の他に、合成紙、不織布或いは樹脂フィルムシート等を好適に使用することができる。
ここで折り畳まれた対向面同士を剥離可能に接着する疑似接着に使用する疑似接着媒体に関して以下に説明するが、疑似接着媒体の相違により疑似接着の方式は大きく以下の3種類に分けられる。
1.後糊方式
印刷後の用紙の疑似接着予定面に疑似接着製のUVニスを塗布して疑似接着性の被膜を形成する。前記疑似接着性被膜同士を対向させて加圧或いは加熱・加圧処理を施すと剥離可能に接着する。エマルジョン型の疑似接着性接着剤(粘着剤)を塗布するものもある。
2.先糊方式
印刷前の用紙の疑似接着予定面に、天然ゴム或いは合成ゴムを主成分とした疑似接着性の媒体を塗布して含浸させる。乾燥後に印刷、印字を行いその後疑似接着予定面同士を対向させて加圧処理を施すと剥離可能に接着する。
3.フィルム方式
印刷後の用紙の疑似接着予定面に疑似接着性のフィルムシートを被覆(ラミネート)して、前記疑似接着性のフィルムシート同士が対向するように折り合わせ、加圧或いは加熱・加圧処理を施すと剥離可能に接着する。なおフィルム方式には、既述の通り対向する疑似接着予定面に予め被覆しておいて、折り合わせて剥離可能に接着する全面貼り方式と、折り畳んだ用紙の疑似接着予定面間に予め疑似接着している積層フィルムを挟み込み、用紙とフィルムを接着して剥離可能に一体化する挟み込み方式の二種類がある。
【0010】
本発明の折り畳み情報通信体は、多くは横方向に葉片が偶数連接された単位シートが縦方向に偶数連接されている。そのように形成された折り畳み情報通信体シートを、縦方向或いは横方向の中央の折り線から意図的に段差が形成されるように順次折り畳んでいく。最終的に角型封筒サイズやA4或いはB5サイズに折り込み、封書或いはメール便やゆうメールと称される郵送物や配送物として輸送される。
【0011】
本発明の折り畳み情報通信体では、受取人が迷うことなく且つ順序良く開封を行うよう促すために、折り畳み情報通信体の完成形態から最終的に平面状態に展開するまでの各時点において、剥離の端緒となる段差が1箇所しか表出することがない。即ち受取人は表出している一箇所の段差を目印に次の剥離動作を行えば、自ずと最終の平面状態まで問題なく展開できるのである。
【0012】
今までのチラシは縦横に折り畳まれているため、無造作に思いつくままの順序で平面状態に展開してから内部の情報を確認していた。それに対して本発明では、剥離展開の順序が自ずと決まるためその各展開状態において表出面毎に適時デザインを施すことができる。それにより受取人は次への展開に興味が湧き最終の平面状態にまで動作を促される。
【0013】
例えば家電製品のチラシのように、大判サイズの全面に各種商品が列記されたレイアウトの用紙を折り畳んだ場合、用紙を最終的に平面状態に展開するまでは内容を把握することができない。結局折り畳まれた用紙を無機質に剥離して何の面白みもない平面状態に展開されたただのチラシを眺めることになりそれ以上の宣伝効果を求めることはできない。それに対して本発明の折り畳み情報通信体では、対向する葉片群を開封する度にコマごとにストーリーを展開させることができ、受取人は次の開封面に展開するストーリーを期待することになり、訴求性や高揚感を与えられ購買意欲が向上する。
【0014】
また剥離展開後に展開途上の各コマが、最終的に関連性があるデザイン、レイアウトで飾られていれば、それらの効果は更に倍増する。
【発明の効果】
【0015】
本発明の折り畳み情報通信体は、一枚のシートを折り畳み封書形態に仕上げるので、個人情報を記載した複数の別体シートをそれぞれ封入封緘する場合に起こる情報の漏洩(他人の情報の混入等)の重大な事故が起きない。
また封緘のためのフラップ部分や開封のための複雑なミシン加工、封緘のためのスポット的な接着媒体の形成等複雑で手間とコストの掛かる作業を必要とせず、単純に1枚の方形用紙を折り畳み一定の処理を施すだけで剥離可能に一体化することができるので、トータル的にも大幅なコスト削減が可能になる。
さらに開封時に表出するコマごとに完結されたデザインにすることができるため、他の開封前のコマから情報が一つの表面に回り込まないので、受取人に記載情報の混乱を起こさせることがなく、次の開封動作へと自然に抵抗なく導かれるため期待感が高揚し訴求効果も大幅に向上する。
さらにまた最終的に平面に展開されると、各対向面間で完結されたデザインがコマごとに明確に区切られて配置されるため、見た目にも整然として美的効果が倍増する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】(A)は折り畳み情報通信体J1の表面、(B)は裏面。
図2】(A)は図1(A)におけるア-ア線断面図、(B)はイ-イ線断面図である。
図3】(A)折り畳み情報通信体用紙S1の表面図、(B)は裏面図である。
図4】(A)は展開途上の折り畳み情報通信体用紙S1の表面図、(B)は裏面図、(C)は図(A)におけるウ-ウ線断面図である。
図5】(A)は折り畳み情報通信体J2の表面、(B)は裏面。
図6】(A)は図5(A)におけるエ-エ線断面図、(B)はオ-オ線断面図である。
図7】(A)折り畳み情報通信体用紙S2の表面図、(B)は裏面図である。
図8】(A)は展開途上の折り畳み情報通信体用紙S2の表面図、(B)は裏面図である。
図9】(A)は図8(A)におけるカ-カ線断面図、(B)はキ-キ線断面図である。
図10】(A)は折り畳み情報通信体J3の表面、(B)は裏面。
図11】(A)は図10(A)におけるク-ク線断面図、(B)はケ-ケ線断面図である。
図12】(A)折り畳み情報通信体用紙S3の表面図、(B)は裏面図である。
図13】(A)は展開途上の折り畳み情報通信体用紙S3の表面図、(B)は裏面図である。
図14】(A)は図13(A)におけるコ-コ線断面図、(B)はサ-サ線断面図である。
図15】(A)は展開途上の折り畳み情報通信体用紙S3の表面図、(B)は裏面図である。
図16】(A)は図15(A)におけるシ-シ線断面図、(B)はス-ス線断面図である。
図17】(A)折り畳み情報通信体J4の表面図、(B)は裏面図である。
図18】(A)は図17(A)におけるセ-セ線断面図、(B)はソ-ソ線断面図である。
図19】折り畳み情報通信体用紙S4の表面図である。
図20】折り畳み情報通信体用紙S4の裏面図である。
図21】(A)は展開途上の折り畳み情報通信体用紙S4の表面図、(B)は裏面図である。
図22】(A)は図21(A)におけるタ-タ線断面図、(B)はチ-チ線断面図である。
図23】(A)は展開途上の折り畳み情報通信体用紙S4の表面図、(B)は裏面図である。
図24図23(A)におけるツ-ツ線断面図である。
図25】(A)は図23(A)におけるテ-テ線断面図、(B)はト-ト線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づいて具体的に説明する。
なお、本実施例では、疑似接着媒体として取り扱いが至便なフィルム方式(全面貼り方式)に沿って説明するが、他の方式の疑似接着媒体やフィルム方式を用いても構わない。
【実施例0018】
図1(A)、(B)及び図2(A)、(B)に示す折り畳み情報通信体J1は、図3(A)及び(B)に示す折り畳み情報通信体用紙S1から作製される。前記折り畳み情報通信体用紙S1は第一葉片1、第二葉片2及び第三葉片3が折り線4及び5を介して横方向に連接されている。また前記各葉片の横幅の関係は第一葉片1=第二葉片2>第三葉片3である。なお図中の斜線は、疑似接着フィルムシートGが被覆される疑似接着予定面を示しており、第二葉片2、第三葉片3の表面と第二葉片2、第一葉片の裏面の略全域が被覆されている。
【0019】
前記構成の折り畳み情報通信体用紙S1は図2(A)及び(B)に示すように、第一葉片1と第二葉片2の裏面同士及び第二葉片2及び第三葉片3の表面同士が対向するように、折り線4及び5から断面Z字状に疑似接着フィルムシートGを介して折り畳まれ剥離可能に貼り合わされて折り畳み情報通信体J1に仕上げられる。
【0020】
既述の折り畳み情報通信体J1の受取人は、前記製造工程と逆の順序で開封することになるが、その開封手順は以下の通りである。
最初に受取人は図1(B)及び図2(A)に示す第二葉片2と第三葉片3の横幅の相違により開封縁辺に沿って形成される段差を剥離の端緒として、そこに記載されている三角の矢印マークと「▲1▼ここから開く」の表示に導かれて開封する。なお前記段差と逆側の縁辺は第一葉片1と第二葉片2の横幅が同じなので段差は形成されず端面が揃っており、また良好な疑似接着のため何らかの剥離の端緒がない限り意図的な開封は不可能である。
【0021】
前記段差から剥離を開始すると図4(A)、(B)及び(C)に示す状態に折り畳み情報通信体J1は展開される。そうすると必然的に折り線5に沿って第一葉片1と第三葉片3が形成する段差が生じる。従って受取人は引き続き前記段差部分に沿って記載されている三角の矢印マークと「▲2▼ここから開く」の表示に従い、前記段差から剥離して図3に示す当初の平面状態に展開することができるのである。このように展開した後(或いは剥離展開しながら段階的に)に受取人は内部に記載されている情報を確認することができるのである。
【0022】
なお最初の開封に際して図1(B)には「ここから開く」の表示が2箇所記載されている。しかし剥離が可能な段差が一箇所しかない(もう一箇所の記載部分は既述の通り葉片や疑似接着フィルムシートGの端面が揃い剥離が不可能)ことと、番号により順序が示唆されていることからその動作順序に迷いはない。
【実施例0023】
図5(A)、(B)及び図6(A)、(B)に示す折り畳み情報通信体J2は、図7(A)及び(B)に示す折り畳み情報通信体用紙S2から作製される。前記折り畳み情報通信体用紙S2は第一葉片11及び第二葉片12が縦方向の折り線15を介して横方向に連接された単位シートt1と、第三葉片13及び第四葉片14が縦方向の折り線15を介して横方向に連接された単シートt2が、横方向の折り線16を介して第一葉片11と第三葉片13及び第二葉片12と第四葉片14がそれぞれ対向するように横方向の折り線16を介して上下に連接されている。各葉片の横幅の関係は、第一葉片11=第三葉片13<第二葉片12=第四葉片14であり、縦幅の関係は単位シートt1が単位シートt2のそれよりも狭い関係になっている。なお図中の斜線は、疑似接着フィルムシートGが被覆される疑似接着予定面を示しており、第一葉片11と第二葉片12の表面及び4葉片の裏面の略全域が被覆されている。
【0024】
前記構成の折り畳み情報通信体用紙S2から折り畳み情報通信体J2を作製するには、まず図8(A)及び(B)に示すように、単位シートt1の裏面と単位シートt2の裏面同士が対向するように横方向の折り線16から折り畳む。この時の状態は図9(A)及び(B)に示すように、第一葉片11と第三葉片13及び第二葉片12と第四葉片14の裏面同士が疑似接着フィルムシートGを介して対向している。
【0025】
次に図8(B)に示す縦方向の折り線15から、疑似接着フィルムシートGが被覆された第二葉片12と第一葉片11の裏面同士が対向するように折り畳み、剥離可能に貼り合わすことで図5及び6の折り畳み情報通信体J2が完成するのである。
【0026】
既述の折り畳み情報通信体J2の受取人は、前記製造工程と逆の順序で開封することになるが、その開封手順は以下の通りである。
最初に受取人は折り畳み情報通信体の表裏面を確認するが、図5(A)及び図6(A)に示すように、第二葉片12と第三葉片13の横幅の相違により生じた段差と、前記段差に沿って記載された三角の矢印マークと「▲1▼ここから開く」の表示を目にする。そして前記マークや文言に導かれて図6(A)に示すように、第一葉片11と第二葉片12間を対向する疑似接着フィルムシートGの対向面から剥離して図8(A)及び(B)の状態に展開する。
なお図6(A)における第三葉片13と第一葉片11及び第二葉片12と第四葉片14間は、疑似接着フィルムシートGの端面と各葉片の端面が揃い剥離の端緒がないのと、疑似接着が良好なため前記端面から剥離することは極めて困難である。
【0027】
次に受取人は図8(B)及び図9(A)、(B)の状態に展開した状態から、単位シートt1と単位シートt2の縦幅の相違により生じた段差と前記段差に沿って記載された矢印のマークと「ここから開く」の表示を目にする。なお裏面側には開封を示唆する構造や表示は何も現れていない。そして前記マークや文言に導かれ、単位シートt1及び単位シートt2間を対向する疑似接着フィルムシートGの対向面から剥離することで、最終的に図7(A)及び(B)の平面状態に展開することができるのである。
【0028】
このようにして受取人は、その時点で確認することができる唯一の剥離端緒の段差と開封を示唆する表示に導かれ、確実に最終的な平面状態への展開へと導かれるのである。そして開封途中に生じる他の疑似接着端面は、剥離の端緒が無いことと良好な疑似接着のため開封端緒として選択されることはない。このように展開した後(或いは剥離展開しながら段階的に)に受取人は内部に記載されている情報を確認することができるのである。
【実施例0029】
図10(A)、(B)及び図11(A)、(B)に示す折り畳み情報通信体J3は、図12(A)及び(B)に示す折り畳み情報通信体用紙S3から作製される。前記折り畳み情報通信体用紙S3は第一葉片21と第二葉片22が縦方向の折り線27を介して横方向に連接された単位シートt11と、第三葉片23と第四葉片24が縦方向の折り線27を介して横方向に連接された単シートt12及び第五葉片25と第六葉片26が縦方向の折り線27を介して横方向に連接された単位シートt13が、横方向の折り線28及び29を介して第一葉片21と第三葉片23及び第五葉片25、さらに第二葉片22と第四葉片24及び第六葉片26が縦方向に連接されている。
【0030】
なお前記各葉片の横幅の関係は、第一葉片21=第三葉片23=第五葉片25<第二葉片22=第四葉片24=第六葉片26で、また縦幅の関係は単位シートt11<t12=t13の関係になっている。また図中の斜線は疑似接着フィルムシートGが被覆される疑似接着予定面を示しており、第一葉片21、第二葉片22、第三葉片23及び第四葉片24の表面の略全域と、6葉片全ての裏面の略全域が被覆されている。
【0031】
前記構成の折り畳み情報通信体用紙S3から折り畳み情報通信体J3を作製するには、まず図13(A)及び(B)に示すように、単位シートt11の表面と単位シートt12の表面同士が対向するように横方向の折り線28から折り畳み、さらに単位シートt12の裏面と単位シートt13の裏面同士が対向するように横方向の折り線29から折り畳むことで、図13(A)、(B)及び図14(A)、(B)に示す状態に折り畳む。この際図14(A)及び(B)に示すように、折り畳まれて対向する葉片同士はその対向面間に疑似接着フィルムシートGを介した状態となる。
【0032】
次に図13(B)に示す縦方向の折り線27から、疑似接着フィルムシートGが被覆された第二葉片22と第一葉片21の裏面同士が対向するように折り畳み、剥離可能に貼り合わされることにより、図10及び11の折り畳み情報通信体J3が完成するのである。
【0033】
既述の折り畳み情報通信体J3の受取人は、前記製造工程と逆の順序で開封することになるが、その開封手順は以下の通りである。
最初に受取人は折り畳み情報通信体の表裏面を確認するが、図10(A)及び図11(A)に示すように、第二葉片22と第五葉片25の横幅の相違により生じた段差と、前記段差に沿って記載された矢印のマークと「ここから開く」の表示を目にする。そして前記マークや文言に導かれて図11(A)に示すように、第一葉片21と第二葉片22間を対向する疑似接着フィルムシートGの間から剥離して図13(A)及び(B)の状態に展開する。
なお図11(A)における第一葉片21、第三葉片23、第五葉片25と第二葉片22、第四葉片24、第六葉片26間は、疑似接着フィルムシートGの端面と各葉片の端面が揃い剥離の端緒がないのと、疑似接着が良好なため前記端面から剥離することは極めて困難である。
【0034】
次に受取人は図13(B)の状態から、単位シートt11と単位シートt12の縦幅の相違により生じた段差と前記段差に沿って記載された矢印のマークと「▲2▼ここから開く」の表示を目にする。なお表面側には次の開封を示唆する構造や文言は何も現れていない。(最初の開封の際の矢印と文言は記載されたまま)そして前記マークや文言に導かれ、単位シートt11及び単位シートt12間を対向する疑似接着フィルムシートGの間から剥離することで、図15(A)、(B)及び図16(A)、(B)の状態に展開する。
【0035】
さらに図15及び図16の状態から単位シートt13(第五葉片25及び第六葉片26)と単位シートt11(第一葉片21及び第二葉片22)間に生じている段差と、前記段差に沿って記載された矢印のマークと「▲3▼ここから開く」の表示に誘導されて、最終的に図12(A)及び(B)の平面状態に展開することができるのである。
【0036】
このようにして受取人は、その時点で確認することができる唯一の剥離端緒の段差と開封を示唆する表示に導かれ、確実に最終的な平面状態への展開へと導かれるのである。なお開封途中に生じる他の疑似接着端面は、剥離の端緒が無いことと良好な疑似接着のため開封端緒として選択されることはない。このように展開した後(或いは剥離展開しながら段階的に)に受取人は内部に記載されている情報を確認することができるのである。
【実施例0037】
図17(A)、(B)及び図18(A)、(B)に示す折り畳み情報通信体J4は、図19及び図20に示す折り畳み情報通信体用紙S4から作製される。前記折り畳み情報通信体用紙S4は第一葉片31と第二葉片32が縦方向の折り線39を介して横方向に連接された単位シートt21、第三葉片33と第四葉片34が縦方向の折り線39を介して横方向に連接された単シートt22、第五葉片35と第六葉片36が縦方向の折り線39を介して横方向に連接された単位シートt23及び第七葉片37と第八葉片38が縦方向の折り線39を介して横方向に連接された単位シート24が横方向の折り線40、41及び42を介して第一葉片31、第三葉片33、第五葉片35及び第七葉片37、さらに第二葉片32、第四葉片34、第六葉片36及び第八葉片38が縦方向に連接されている。
【0038】
なお前記各葉片の横幅の関係は、第一葉片31=第三葉片33=第五葉片35=第七葉片37<第二葉片32=第四葉片34=第六葉片36=第八葉片38で、また縦幅の関係は単位シートt21>t22=t23=t24の関係になっている。また図中の斜線は疑似接着フィルムシートGが被覆される疑似接着予定面を示しており、8葉片全ての表裏面の略全域が被覆されている。
【0039】
前記構成の折り畳み情報通信体用紙S4から折り畳み情報通信体J4を作製するには、まず図21(A)及び(B)に示すように、単位シートt21及びt22の裏面と単位シートt23及びt24の裏面同士が対向するように横方向の折り線41から折り畳む。この際図21(B)及び図22(A)、(B)に示すように、縦幅の長い単位シートt21の縁辺が単位シートt23の縁辺から突出して段差を形成している。
【0040】
次に図21(B)に示す第八葉片38と第六葉片36の表面を、第七葉片37と第五葉片35の表面が対向するように縦方向の折り線39から折り畳む。この際図23(B)に示すように横幅の長い第二葉片32(第八葉片38)と第四葉片34(第六葉片36)の縁辺が、第一葉片31(第七葉片37)と第三葉片33(第五葉片35)の縁辺から突出して段差を形成している。
【0041】
そして最後に図23(B)に示す横方向の折り線40(42)から第一葉片31と第三葉片33が対向するように折り畳まれる。なお情報通信体用紙S4表裏面は全面が疑似接着フィルムシートGにより被覆されているため、折り畳まれた際に対向する面は全て疑似接着フィルムシートGが介在する構成で対向している。この状態で剥離可能に貼り合わされることにより、図17及び図18の折り畳み情報通信体J4が完成するのである。
【0042】
既述の折り畳み情報通信体J4の受取人は、前記製造工程と逆の順序で開封することになるが、その開封手順は以下の通りである。
最初に受取人は折り畳み情報通信体の表裏面を確認するが、その開封の手口としては図17(A)及び図18(B)に示すように、第四葉片34と第一葉片31の縁辺に沿って生じた段差と、前記段差に沿って記載された矢印のマークと「▲1▼ここから開く」の表示を目にする。そして前記マークや文言に導かれて図18(B)に示す、第三葉片33と第一葉片31間を対向する疑似接着フィルムシートGの間から剥離して図23(A)及び(B)の状態に展開する。
【0043】
なお図18(B)における横方向の折り線41の重なり部分の各葉片は、その端部の面が揃っているため剥離の端緒が無いことと良好な疑似接着によりこの時点で剥離されることはない。また第二葉片32、第八葉片38、第七葉片37及び第一葉片31側の葉片群は段差が形成されている部分があるが、この段階の剥離では突出した第一葉片31と第二葉片32の縁辺が同時に指で摘ままれて剥離されるので、前記両葉片に内方される縦幅の狭い第八葉片38と第七葉片37部分から剥離することはない。
【0044】
次に受取人は図23の状態に展開した状態から、同図(B)及び図25(A)、(B)に示すように、第一葉片31と第三葉片33の縁辺と第八葉片38と第六葉片36の縁辺に沿って形成された段差と前記段差に沿って記載された矢印のマークと「▲2▼ここから開く」の表示を目にする。なお図23(A)に示す表面側には開封を示唆する構造や文言は、最初の開封の際の矢印と文言が記載されているが、その他に新たな開封箇所や開封動作を示唆する記載はない。そして前記マークや文言に導かれ、前記段差を形成する各葉片の対向面を剥離することで、図21及び22に示す状態に展開する。
【0045】
引き続き受取人は、図21(B)及び図22(A)、(B)に示す第八葉片38と第七葉片37の縁辺及び第二葉片32と第一葉片31の縁辺に沿って形成された段差と前記段差に沿って記載された矢印のマークと「▲3▼ここから開く」の表示を目にする。なお図21(A)に示す表面側には開封を示唆する構造や文言は、最初と二回目の開封を示唆する矢印と文言が記載されているが、その他に新たな開封箇所や開封動作を示唆する記載はない。そして前記マークや文言に導かれ、前記段差を形成する各葉片の対向面を剥離することで、図19及び図20に示す平面状態に展開することができるのである。
【0046】
このようにして受取人は、その時点で確認することができる剥離端緒としての段差と開封を示唆する表示に導かれ、確実に最終的な平面状態への展開へと導かれるのである。そして開封途中に生じる他の疑似接着端面は、剥離の端緒が無いことと良好な疑似接着のため開封端緒として選択されることはない。このように展開した後(或いは剥離展開しながら段階的に)に受取人は内部に記載されている情報を確認することができるのである。
【0047】
なお本発明は上記実施例に限定されるものではない。
例えば、葉片の数に関しては更に多数の葉片が縦横に連接された折り畳み情報通信体用紙を用いても構わない。
またその折り態様にも制限はない。要は開封する度に表出する表裏面に、次の開封端緒が一か所だけ発生するように設計すればよいのである。
さらに折り畳み情報通信体用紙の折り畳み後の折り畳み情報通信体で、表出する表裏面に実施例1から3に示すように、疑似接着フィルムシート等の各種フィルムシート類が被覆されていなくても、或いは実施例4に示すように被覆されていても構わない。
さらにまた疑似接着の態様にも制限はなく、既述の通り先糊方式、後糊方式、フィルム方式等から選択すればよい。
【符号の説明】
【0048】
J1、J2、J3、J4 折り畳み情報通信体
S1、S2、S3、S4 折り畳み情報通信体用紙
G 疑似接着フィルムシート
t1、t2、t11、t12、t13、t21、t22、t23、t24 単位シート
1、2、3、11、12、13、14、21、22、23、24、25、26、31、32、33、34、35、36、37、38 葉片
4、5、15、27、39 縦方向の折り線
16、28、29、40、41、42 横方向の折り線
図1
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