(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023072618
(43)【公開日】2023-05-24
(54)【発明の名称】折り畳み情報通信体
(51)【国際特許分類】
B42D 15/02 20060101AFI20230517BHJP
B42D 15/08 20060101ALI20230517BHJP
【FI】
B42D15/02 501B
B42D15/02 501E
B42D15/08 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2021197354
(22)【出願日】2021-11-12
(71)【出願人】
【識別番号】000105280
【氏名又は名称】ケイディケイ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】木村 義和
(72)【発明者】
【氏名】土屋 雅人
【テーマコード(参考)】
2C005
【Fターム(参考)】
2C005WA04
(57)【要約】 (修正有)
【課題】一枚のシートに情報を記載して折り畳み作成する封書であって、他人の情報の誤封入や誤配等の事故が起こらず、また封入、封緘等の手間を省き、開封に際して対向面間を剥離の端緒となる段差に導かれて順序立てて開封することができると共に、開封順序や開封箇所の迷いによるストレスを与えることが無く、興味を湧かせ訴求効果を高める折り畳み情報通信体を提供する。
【解決手段】複数の葉片1,2,3が縦及び/又は横の折り線を介して連接された折り畳み情報通信体シートJ1を前記縦及び/又は横の折り線から折り畳み剥離可能に一体化すると共に剥離の端緒としての段差が開封縁辺に沿って形成された折り畳み情報通信体J1であり、開封の各展開状態において前記段差が表裏面の何れ一か所に表出するため、展開する度に受取人が迷わず次の開封箇所を自動的に認識して、最後まで一貫した順序で剥離展開することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の葉片が縦及び/又は横の折り線を介して連接された折り畳み情報通信体シートを前記縦及び/又は横の折り線から折り畳み剥離可能に一体化すると共に剥離の端緒としての段差が開封縁辺に沿って形成された折り畳み情報通信体であり、開封開始及び開封完了までの各展開状態において前記段差が表裏面の何れ一か所に表出するため、展開する度に受取人が迷わず次の開封箇所を自動的に認識して、最後まで一貫した順序で剥離展開することができる折り畳み情報通信体。
【請求項2】
表出している段差に沿って順序だてて剥離開封を示唆する表示がなされていることを特徴とした請求項1に記載の折り畳み情報通信体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は複数の葉片を折り畳み、重ね合わせて剥離可能に一体化した折り畳み情報通信体に関する。詳しくは最近ハガキ2倍或いは3倍サイズの用紙を折り畳み、剥離可能に圧着した圧着ハガキを初め、封書以上のサイズでDMや個人情報の通知等に利用される折り畳み情報通信体で、取り分け開封の端緒として開封縁辺に沿って形成された段差を利用する折り畳み情報通信体に関する。
【背景技術】
【0002】
今迄、宣伝広告や案内状、パンフレット等の大量の情報を伝達する手段として、封筒に各種伝達物を印刷したシート等を折り畳み封入、封緘して郵送する方法が一般的である。しかし最近では封入、封緘の手間を省き、データー等の個人情報を他の一般情報等と同時に印刷して折り畳み封書化することで、前記作業に掛かる多大な経費を削減する手段が考えられている。そのような事例として、例えば特開2000-43456号公報に記載される折り畳み封書用シートが提案されている。
【先行技術分野】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
既述の引用文献に記載される折り畳み封書用シートは、一枚のシートにあて先を含めた一人分の個人情報を全て記載して折り畳み封書に仕上げる。そのため誤って他人の情報が混じることはない。また折り畳むことで自動的に封書になるため封入、封緘の手間も省ける等の長所がある。しかし、突出した封緘片の特殊加工、封緘のための接着剤塗布加工、開封に際して接着片を引きちぎるための切取ミシン加工、接着部分が容易に剥離するための剥離剤塗布加工、二条のミシン目による開封手段等の複雑で手間が掛かる特殊加工が必要で、既述の長所があるにも関わらず割高についてしまう。
【0005】
また前記引用文献の折り畳み封書用シートは、単純に一枚の大面積のチラシを折り畳んだだけでは、受取人が開封して平面に展開すると、そこにランダムなレイアウトからなる通常の新聞折り込みのチラシが広げられた状態と変わらない。即ち折り込みチラシ以上の効果がなく受取人への訴求効果やインパクトに決定的に欠ける。
【0006】
本発明の折り畳み情報通信体は、上記問題に鑑み、一枚のシートに情報を記載して折り畳み封書に仕上げるため、一つの封筒に各種情報が記載された複数のシートを封入する際に起こりがちな、他人の情報の誤封入や誤配等の事故が起こらず、また封入、封緘等の面倒でコストの掛かる手間を省き、さらに開封に際して対向面間を剥離の端緒となる段差に導かれて順序立てて開封することができると共に、受取人が開封するに際して開封順序や開封箇所の迷いによるストレスを与えることが無く、逆に興味を湧かせ訴求効果を高める折り畳み情報通信体を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の折り畳み情報通信体は、複数の葉片が縦及び/又は横の折り線を介して連接された折り畳み情報通信体シートを前記縦及び/又は横の折り線から折り畳み剥離可能に一体化すると共に剥離の端緒としての段差が開封縁辺に沿って形成された折り畳み情報通信体であり、開封開始及び開封完了までの各展開状態において前記段差が表裏面の何れ一か所に表出するため、展開する度に受取人が迷わず次の開封箇所を自動的に認識して、最後まで一貫した順序で剥離展開することができることを特徴としている。
【0008】
なお前記段差に沿った近傍に、矢印マークや「ここから開く」等の剥離開封を促す文言を記載すれば、なお開封の順序に迷いがなくなる。さらに剥離展開に際して以前の段差が消滅して新たな段差が生じるため、前記剥離開封を促すマークや文言に番号等で剥離の順番を明確にしておけば、消滅した段差に沿って記載されていたマークや文言等による混乱が避けられ、受取人の開封動作に対するストレスがさらに軽減される。
【0009】
本発明の折り畳み情報通信体に使用される資材は、例えば上質紙、マット紙、コート紙等の通常の用紙の他に、合成紙、不織布或いは樹脂フィルムシート等を好適に使用することができる。
ここで折り畳まれた対向面同士を剥離可能に接着する疑似接着に使用する疑似接着媒体に関して以下に説明するが、疑似接着媒体の相違により疑似接着の方式は大きく以下の3種類に分けられる。
1.後糊方式
印刷後の用紙の疑似接着予定面に疑似接着製のUVニスを塗布して疑似接着性の被膜を形成する。前記疑似接着性被膜同士を対向させて加圧或いは加熱・加圧処理を施すと剥離可能に接着する。エマルジョン型の疑似接着性接着剤(粘着剤)を塗布するものもある。
2.先糊方式
印刷前の用紙の疑似接着予定面に、天然ゴム或いは合成ゴムを主成分とした疑似接着性の媒体を塗布して含浸させる。乾燥後に印刷、印字を行いその後疑似接着予定面同士を対向させて加圧処理を施すと剥離可能に接着する。
3.フィルム方式
印刷後の用紙の疑似接着予定面に疑似接着性のフィルムシートを被覆(ラミネート)して、前記疑似接着性のフィルムシート同士が対向するように折り合わせ、加圧或いは加熱・加圧処理を施すと剥離可能に接着する。なおフィルム方式には、既述の通り対向する疑似接着予定面に予め被覆しておいて、折り合わせて剥離可能に接着する全面貼り方式と、折り畳んだ用紙の疑似接着予定面間に予め疑似接着している積層フィルムを挟み込み、用紙とフィルムを接着して剥離可能に一体化する挟み込み方式の二種類がある。
【0010】
本発明の折り畳み情報通信体は、多くは横方向に葉片が偶数連接された単位シートが縦方向に偶数連接されている。そのように形成された折り畳み情報通信体シートを、縦方向或いは横方向の中央の折り線から意図的に段差が形成されるように順次折り畳んでいく。最終的に角型封筒サイズやA4或いはB5サイズに折り込み、封書或いはメール便やゆうメールと称される郵送物や配送物として輸送される。
【0011】
本発明の折り畳み情報通信体では、受取人が迷うことなく且つ順序良く開封を行うよう促すために、折り畳み情報通信体の完成形態から最終的に平面状態に展開するまでの各時点において、剥離の端緒となる段差が1箇所しか表出することがない。即ち受取人は表出している一箇所の段差を目印に次の剥離動作を行えば、自ずと最終の平面状態まで問題なく展開できるのである。
【0012】
今までのチラシは縦横に折り畳まれているため、無造作に思いつくままの順序で平面状態に展開してから内部の情報を確認していた。それに対して本発明では、剥離展開の順序が自ずと決まるためその各展開状態において表出面毎に適時デザインを施すことができる。それにより受取人は次への展開に興味が湧き最終の平面状態にまで動作を促される。
【0013】
例えば家電製品のチラシのように、大判サイズの全面に各種商品が列記されたレイアウトの用紙を折り畳んだ場合、用紙を最終的に平面状態に展開するまでは内容を把握することができない。結局折り畳まれた用紙を無機質に剥離して何の面白みもない平面状態に展開されたただのチラシを眺めることになりそれ以上の宣伝効果を求めることはできない。それに対して本発明の折り畳み情報通信体では、対向する葉片群を開封する度にコマごとにストーリーを展開させることができ、受取人は次の開封面に展開するストーリーを期待することになり、訴求性や高揚感を与えられ購買意欲が向上する。
【0014】
また剥離展開後に展開途上の各コマが、最終的に関連性があるデザイン、レイアウトで飾られていれば、それらの効果は更に倍増する。
【発明の効果】
【0015】
本発明の折り畳み情報通信体は、一枚のシートを折り畳み封書形態に仕上げるので、個人情報を記載した複数の別体シートをそれぞれ封入封緘する場合に起こる情報の漏洩(他人の情報の混入等)の重大な事故が起きない。
また封緘のためのフラップ部分や開封のための複雑なミシン加工、封緘のためのスポット的な接着媒体の形成等複雑で手間とコストの掛かる作業を必要とせず、単純に1枚の方形用紙を折り畳み一定の処理を施すだけで剥離可能に一体化することができるので、トータル的にも大幅なコスト削減が可能になる。
さらに開封時に表出するコマごとに完結されたデザインにすることができるため、他の開封前のコマから情報が一つの表面に回り込まないので、受取人に記載情報の混乱を起こさせることがなく、次の開封動作へと自然に抵抗なく導かれるため期待感が高揚し訴求効果も大幅に向上する。
さらにまた最終的に平面に展開されると、各対向面間で完結されたデザインがコマごとに明確に区切られて配置されるため、見た目にも整然として美的効果が倍増する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】(A)は折り畳み情報通信体J1の表面、(B)は裏面。
【
図2】(A)は
図1(A)におけるア-ア線断面図、(B)はイ-イ線断面図である。
【
図3】(A)折り畳み情報通信体用紙S1の表面図、(B)は裏面図である。
【
図4】(A)は展開途上の折り畳み情報通信体用紙S1の表面図、(B)は裏面図、(C)は図(A)におけるウ-ウ線断面図である。
【
図5】(A)は折り畳み情報通信体J2の表面、(B)は裏面。
【
図6】(A)は
図5(A)におけるエ-エ線断面図、(B)はオ-オ線断面図である。
【
図7】(A)折り畳み情報通信体用紙S2の表面図、(B)は裏面図である。
【
図8】(A)は展開途上の折り畳み情報通信体用紙S2の表面図、(B)は裏面図である。
【
図9】(A)は
図8(A)におけるカ-カ線断面図、(B)はキ-キ線断面図である。
【
図10】(A)は折り畳み情報通信体J3の表面、(B)は裏面。
【
図11】(A)は
図10(A)におけるク-ク線断面図、(B)はケ-ケ線断面図である。
【
図12】(A)折り畳み情報通信体用紙S3の表面図、(B)は裏面図である。
【
図13】(A)は展開途上の折り畳み情報通信体用紙S3の表面図、(B)は裏面図である。
【
図14】(A)は
図13(A)におけるコ-コ線断面図、(B)はサ-サ線断面図である。
【
図15】(A)は展開途上の折り畳み情報通信体用紙S3の表面図、(B)は裏面図である。
【
図16】(A)は
図15(A)におけるシ-シ線断面図、(B)はス-ス線断面図である。
【
図17】(A)折り畳み情報通信体J4の表面図、(B)は裏面図である。
【
図18】(A)は
図17(A)におけるセ-セ線断面図、(B)はソ-ソ線断面図である。
【
図19】折り畳み情報通信体用紙S4の表面図である。
【
図20】折り畳み情報通信体用紙S4の裏面図である。
【
図21】(A)は展開途上の折り畳み情報通信体用紙S4の表面図、(B)は裏面図である。
【
図22】(A)は
図21(A)におけるタ-タ線断面図、(B)はチ-チ線断面図である。
【
図23】(A)は展開途上の折り畳み情報通信体用紙S4の表面図、(B)は裏面図である。
【
図25】(A)は
図23(A)におけるテ-テ線断面図、(B)はト-ト線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づいて具体的に説明する。
なお、本実施例では、疑似接着媒体として取り扱いが至便なフィルム方式(全面貼り方式)に沿って説明するが、他の方式の疑似接着媒体やフィルム方式を用いても構わない。
【実施例0018】
図1(A)、(B)及び
図2(A)、(B)に示す折り畳み情報通信体J1は、
図3(A)及び(B)に示す折り畳み情報通信体用紙S1から作製される。前記折り畳み情報通信体用紙S1は第一葉片1、第二葉片2及び第三葉片3が折り線4及び5を介して横方向に連接されている。また前記各葉片の横幅の関係は第一葉片1=第二葉片2>第三葉片3である。なお図中の斜線は、疑似接着フィルムシートGが被覆される疑似接着予定面を示しており、第二葉片2、第三葉片3の表面と第二葉片2、第一葉片の裏面の略全域が被覆されている。
【0019】
前記構成の折り畳み情報通信体用紙S1は
図2(A)及び(B)に示すように、第一葉片1と第二葉片2の裏面同士及び第二葉片2及び第三葉片3の表面同士が対向するように、折り線4及び5から断面Z字状に疑似接着フィルムシートGを介して折り畳まれ剥離可能に貼り合わされて折り畳み情報通信体J1に仕上げられる。
【0020】
既述の折り畳み情報通信体J1の受取人は、前記製造工程と逆の順序で開封することになるが、その開封手順は以下の通りである。
最初に受取人は
図1(B)及び
図2(A)に示す第二葉片2と第三葉片3の横幅の相違により開封縁辺に沿って形成される段差を剥離の端緒として、そこに記載されている三角の矢印マークと「▲1▼ここから開く」の表示に導かれて開封する。なお前記段差と逆側の縁辺は第一葉片1と第二葉片2の横幅が同じなので段差は形成されず端面が揃っており、また良好な疑似接着のため何らかの剥離の端緒がない限り意図的な開封は不可能である。
【0021】
前記段差から剥離を開始すると
図4(A)、(B)及び(C)に示す状態に折り畳み情報通信体J1は展開される。そうすると必然的に折り線5に沿って第一葉片1と第三葉片3が形成する段差が生じる。従って受取人は引き続き前記段差部分に沿って記載されている三角の矢印マークと「▲2▼ここから開く」の表示に従い、前記段差から剥離して
図3に示す当初の平面状態に展開することができるのである。このように展開した後(或いは剥離展開しながら段階的に)に受取人は内部に記載されている情報を確認することができるのである。
【0022】
なお最初の開封に際して
図1(B)には「ここから開く」の表示が2箇所記載されている。しかし剥離が可能な段差が一箇所しかない(もう一箇所の記載部分は既述の通り葉片や疑似接着フィルムシートGの端面が揃い剥離が不可能)ことと、番号により順序が示唆されていることからその動作順序に迷いはない。
このようにして受取人は、その時点で確認することができる唯一の剥離端緒の段差と開封を示唆する表示に導かれ、確実に最終的な平面状態への展開へと導かれるのである。そして開封途中に生じる他の疑似接着端面は、剥離の端緒が無いことと良好な疑似接着のため開封端緒として選択されることはない。このように展開した後(或いは剥離展開しながら段階的に)に受取人は内部に記載されている情報を確認することができるのである。