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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023072640
(43)【公開日】2023-05-24
(54)【発明の名称】コイル部品
(51)【国際特許分類】
   H01F 17/04 20060101AFI20230517BHJP
   H01F 27/29 20060101ALI20230517BHJP
   H01F 27/32 20060101ALI20230517BHJP
【FI】
H01F17/04 F
H01F17/04 A
H01F27/29 123
H01F27/29 U
H01F27/32 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022088530
(22)【出願日】2022-05-31
(31)【優先権主張番号】10-2021-0155603
(32)【優先日】2021-11-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】弁理士法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】呉 俊 錫
【テーマコード(参考)】
5E043
5E070
【Fターム(参考)】
5E043EA01
5E043EB05
5E070AA01
5E070BB03
5E070DA20
5E070EA01
5E070EB04
(57)【要約】
【課題】本体と外部電極との間の結合力を増加させたコイル部品を提供する。
【解決手段】本発明のコイル部品は、金属磁性粒子及び絶縁樹脂を含む本体と、本体内に配置されて本体の一面に露出した引出部を含むコイル部と、本体に配置されて引出部の少なくとも一部及び本体の一面のうちの少なくとも一部のそれぞれを露出する開口部が形成された表面絶縁層と、開口部に配置されて引出部に連結された外部電極と、を備え、本体の一面のうちの開口部に露出した領域には、金属磁性粒子のうちの少なくとも一部が互いに連結された連結金属層が配置され、開口部に露出した領域における連結金属層を含む金属成分の面積は、開口部に露出した領域の面積に対して75%以上である。
【選択図】図3

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属磁性粒子及び絶縁樹脂を含む本体と、
前記本体内に配置されて前記本体の一面に露出した引出部を含むコイル部と、
前記本体に配置されて前記引出部の少なくとも一部及び前記本体の一面のうちの少なくとも一部のそれぞれを露出する開口部が形成された表面絶縁層と、
前記開口部に配置されて前記引出部に連結された外部電極と、を備え、
前記本体の一面のうちの前記開口部に露出した領域には、前記金属磁性粒子のうちの少なくとも一部が互いに連結された連結金属層が配置され、
前記開口部に露出した領域における前記連結金属層を含む金属成分の面積は、前記開口部に露出した領域の面積に対して75%以上であることを特徴とするコイル部品。
【請求項2】
前記金属磁性粒子は、第1粒子、及び前記第1粒子よりも小さい直径の第2粒子を含み、
前記連結金属層の直径は、前記第1粒子の直径よりも2倍以上であることを特徴とする請求項1に記載のコイル部品。
【請求項3】
前記本体は、前記開口部に露出した領域が前記表面絶縁層でカバーされた領域よりも低いレベルに位置することを特徴とする請求項2に記載のコイル部品。
【請求項4】
前記本体内に配置されて少なくとも一面に前記コイル部が配置された基板を更に含むことを特徴とする請求項1に記載のコイル部品。
【請求項5】
前記コイル部と前記本体との間に配置された絶縁膜を更に含むことを特徴とする請求項4に記載のコイル部品。
【請求項6】
前記コイル部は、巻線型コイルであることを特徴とする請求項1に記載のコイル部品。
【請求項7】
前記外部電極は、前記連結金属層及び前記引出部のそれぞれに接することを特徴とする請求項1に記載のコイル部品。
【請求項8】
前記引出部は、前記本体の一面に露出した第1引出部、及び前記本体の一面に対向する他面に露出した第2引出部を含み、
前記開口部は、前記本体の一面の一領域と前記第1引出部とをそれぞれ露出する第1開口部、及び前記本体の他面の一領域と前記第2引出部とをそれぞれ露出する第2開口部を含み、
前記連結金属層は、前記本体の一面の一領域、及び前記本体の他面の一領域のそれぞれに形成され、
前記外部電極は、前記第1開口部に配置されて前記第1引出部に接する第1外部電極、及び前記第2開口部に配置されて前記第2引出部に接する第2外部電極を含むことを特徴とする請求項7に記載のコイル部品。
【請求項9】
前記第1開口部及び前記第2開口部は、前記本体の一面と他面とを連結する前記本体の連結面にそれぞれ延長され、前記本体の連結面において互いに離隔することを特徴とする請求項8に記載のコイル部品。
【請求項10】
前記引出部は、前記本体の一面に互いに離隔するように露出した第1引出部及び第2引出部を含み、
前記開口部は、前記本体の一面の一領域と前記第1引出部とを露出する第1開口部、及び前記本体の一面の他領域と前記第2引出部とを露出する第2開口部を含み、
前記連結金属層は、前記本体の一面の一領域及び他領域のそれぞれに形成され、
前記外部電極は、前記第1開口部に配置されて前記第1引出部に接する第1外部電極、及び前記第2開口部に配置されて前記第2引出部に接する第2外部電極を含むことを特徴とする請求項7に記載のコイル部品。
【請求項11】
前記外部電極は、前記連結金属層及び前記引出部のそれぞれに接する第1電極層と、前記第1電極層に配置された第2電極層とを含むことを特徴とする請求項7に記載のコイル部品。
【請求項12】
前記第1電極層は、銅(Cu)で構成されることを特徴とする請求項11に記載のコイル部品。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コイル部品に関する。
【背景技術】
【0002】
コイル部品の一つであるインダクタ(inductor)は、抵抗(Resistor)及びキャパシタ(Capacitor)と共に電子機器に用いられる代表的な受動電子部品である。コイル部品の場合、一般的に、内部にコイル部が配置された本体を形成し、本体の表面に外部電極を形成して部品を完成する。この場合、本体と外部電極との間の結合力が問題になることがあり、外部電極とコイル部との間の接触抵抗などが問題になる可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開第2002-289463号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたものであって、本発明の目的は、本体と外部電極との間の結合力を増加させたコイル部品を提供することにある。
また、本発明の目的は、破壊電圧(Break Down Voltage:BDV)の低下を防止するコイル部品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するためになされた本発明の態様によるコイル部品は、金属磁性粒子及び絶縁樹脂を含む本体と、前記本体内に配置されて前記本体の一面に露出した引出部を含むコイル部と、前記本体に配置されて前記引出部の少なくとも一部及び前記本体の一面のうちの少なくとも一部のそれぞれを露出する開口部が形成された表面絶縁層と、前記開口部に配置されて前記引出部に連結された外部電極と、を備え、前記本体の一面のうちの前記開口部に露出した領域には、前記金属磁性粒子のうちの少なくとも一部が互いに連結された連結金属層が配置され、前記開口部に露出した領域における前記連結金属層を含む金属成分の面積は、前記開口部に露出した領域の面積に対して75%以上である。
【発明の効果】
【0006】
本発明によると、本体と外部電極と間の結合力を増加させることができる。また、本発明によると、破壊電圧(Break Down Voltage:BDV)の低下を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の一実施形態によるコイル部品を概略的に示す図である。
図2図1のコイル部品において一部の構成を除去したものを概略的に示す図である。
図3図2のA方向から見た本体の表面のうちの一部に対するSEM画像を概略的に示す図である。
図4図1のI-I’線に沿った断面を概略的に示す図である。
図5図4のB領域を拡大したものを概略的に示す図である。
図6図4のD領域を拡大したものを概略的に示す図である。
図7】本発明の他の実施形態によるコイル部品を概略的に示す図である。
図8図7のE方向から見たものを概略的に示す図である。
図9図7に示すコイル部品に適用されるモールド部を概略的に示す図である。
図10図7のII-II’線に沿った断面を概略的に示す図である。
図11図10のF領域を拡大したものを概略的に示す図である。
図12図10のG領域を拡大したものを概略的に示す図である。
図13】本発明の更に他の実施形態によるコイル部品を概略的に示す図である。
図14】本発明の更に他の実施形態によるコイル部品を概略的に示す図である。
図15図14のIII-III’線に沿った断面を概略的に示す図である。
図16図14のIV-IV’線に沿った断面を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本明細書で使用する用語は、単に特定の実施形態を説明するために使用するものであり、本発明を限定しようとする意図ではない。単数の表現は、文脈上明らかに特に断らない限り、複数の表現を含む。本明細書において、「含む」又は「有する」などの用語は、明細書上に記載の特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品、又はこれらを組み合わせたものが存在することを指定するものであり、一つ又はそれ以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部品、又はこれらを組み合わせたものの存在又は付加の可能性を予め排除しないことを理解すべきである。そして、明細書全体において、「上に」とは、対象部分の上又は下に位置することを意味するものであり、必ずしも重力方向を基準にして上側に位置することを意味するものではない。
【0009】
また、「結合」とは、各構成要素間の接触関係において、各構成要素間に物理的に直接接触する場合のみを意味するものではなく、他の構成が各構成要素の間に介在して、その異なる構成に構成要素がそれぞれ接触している場合まで包括する概念として使用するものとする。
【0010】
図面に示す各構成の大きさ及び厚さは説明の便宜上、任意に示しているため、本発明は必ずしも図示したものに限定されない。図面において、L方向は第1方向又は長さ方向、W方向は第2方向又は幅方向、T方向は第3方向又は厚さ方向として定義する。
【0011】
以下、本発明のコイル部品を実施するための形態の具体例を、図面を参照しながら詳細に説明する。図面を参照して説明する際に、同一又は対応する構成要素については同一の図面符号を付与し、これに対する重複説明は省略する。
【0012】
電子機器には様々な種類の電子部品が用いられるが、このような電子部品にはノイズ除去等を目的として様々な種類のコイル部品が適切に用いられる。即ち、電子機器において、コイル部品は、パワーインダクタ(Power Inductor)、高周波インダクタ(HF Inductor)、通常のビード(General Bead)、高周波用ビード(GHz Bead)、共通モードフィルタ(Common Mode Filter)などに用いられる。
【0013】
図1は、本発明の一実施形態によるコイル部品を概略的に示す図であり、図2は、図1のコイル部品において一部の構成を除去したものを概略的に示す図であり、図3は、図2のA方向から見た本体の表面のうちの一部に対するSEM画像を概略的に示す図であり、図4は、図1のI-I’線に沿った断面を概略的に示す図であり、図5は、図4のB領域を拡大したものを概略的に示す図であり、図6は、図4のD領域を拡大したものを概略的に示す図である。
【0014】
図1図2、及び図4を参照すると、本発明の一実施形態によるコイル部品1000は、本体100、コイル部200、表面絶縁層300、及び外部電極(410、420)を含む。本体100は、本実施形態によるコイル部品1000の外観をなし、内部にコイル部200を埋設する。
【0015】
本体100は、全体的に六面体の形状に形成される。本体100は、図1及び図2に基づいて、長さ方向Lに互いに対向する第1面101及び第2面102、幅方向Wに互いに対向する第3面103及び第4面104、厚さ方向Tに対向する第5面105及び第6面106を含む。本体100の第1~第4面(101、102、103、104)のそれぞれは、本体100の第5面105と第6面106とを連結する。本体100の第6面106は、本実施形態によるコイル部品1000を印刷回路基板等の実装基板に実装する際に、実装面として用いられる。
【0016】
本体100は、例示的に後述する外部電極(410、420)が形成された本実施形態によるコイル部品1000が2.5mmの長さ、2.0mmの幅、及び1.0mmの厚さを有するか、1.6mmの長さ、0.8mmの幅、及び0.8mmの厚さを有するか、1.0mmの長さ、0.5mmの幅、及び0.5mmの厚さを有するか、又は0.8mmの長さ、0.4mmの幅、及び0.65mmの厚さを有するように形成されるが、これらに限定されるものではない。一方、コイル部品1000の長さ、幅、及び厚さに対する上述の例示的な数値は工程誤差を反映しない数値を示すため、工程誤差と認められる範囲の数値は上述の例示的な数値に該当すると見なすべきである。
【0017】
上述したコイル部品1000の長さとは、コイル部品1000の幅方向Wの中央部でとった長さ方向L-厚さ方向Tの断面(cross-section)に対する光学顕微鏡画像又はSEM(Scanning Electron Microscope)画像に基づいて、画像に示されたコイル部品1000の長さ方向Lに対向する2つの最外側の境界線を長さ方向Lに平行に連結し、厚さ方向Tに互いに離隔する複数の線分のそれぞれの数値(dimension)のうちの最大値を意味する。又は、コイル部品1000の長さは、上述した複数の線分のそれぞれの数値(dimension)のうちの最小値を意味する。或いは、コイル部品1000の長さは、上述した複数の線分のそれぞれの数値(dimension)のうちの少なくとも3つ以上の算術平均値を意味する。ここで、長さ方向Lに平行な複数の線分は、厚さ方向Tに互いに等間隔であるが、本発明の範囲はこれに限定されるものではない。
【0018】
上述したコイル部品1000の厚さとは、コイル部品1000の幅方向Wの中央部でとった長さ方向L-厚さ方向Tの断面(cross-section)に対する光学顕微鏡画像又はSEM(Scanning Electron Microscope)画像に基づいて、画像に示されたコイル部品1000の厚さ方向Tに対向する2つの最外側の境界線を厚さ方向Tに平行に連結し、長さ方向Lに互いに離隔する複数の線分のそれぞれの数値(dimension)のうちの最大値を意味する。又は、コイル部品1000の厚さは、上述した複数の線分のそれぞれの数値(dimension)のうちの最小値を意味する。或いは、コイル部品1000の厚さは、上述した複数の線分のそれぞれの数値(dimension)のうちの少なくとも3つ以上の算術平均値を意味する。ここで、厚さ方向Tに平行な複数の線分は、長さ方向Lに互いに等間隔であるが、本発明の範囲はこれに限定されるものではない。
【0019】
上述したコイル部品1000の幅とは、コイル部品1000の厚さ方向Tの中央部でとった長さ方向L-幅方向Wの断面(cross-section)に対する光学顕微鏡画像又はSEM(Scanning Electron Microscope)画像に基づいて、画像に示されたコイル部品1000の幅方向Wに対向する2つの最外側の境界線を幅方向Wに平行に連結し、長さ方向Lに互いに離隔する複数の線分のそれぞれの数値(dimension)のうちの最大値を意味する。又は、コイル部品1000の幅は、上述した複数の線分のそれぞれの数値(dimension)のうちの最小値を意味する。或いは、コイル部品1000の幅は、上述した複数の線分のそれぞれの数値(dimension)のうちの少なくとも3つ以上の算術平均値を意味する。ここで、幅方向Wに平行な複数の線分は、長さ方向Lに互いに等間隔であるが、本発明の範囲はこれに限定されるものではない。
【0020】
或いは、コイル部品1000の長さ、幅、及び厚さのそれぞれは、マイクロメータ測定法によって測定されてもよい。マイクロメータ測定法は、Gage R&R(Repeatability and Reproducibility)されたマイクロメータで零点を設定し、マイクロメータのチップ(tip)の間に本実施形態によるコイル部品1000を挿入し、マイクロメータの測定レバー(lever)を回して測定する。一方、マイクロメータ測定法でコイル部品1000の長さを測定する際に、コイル部品1000の長さは1回測定された値を意味するか又は複数回測定された値の算術平均を意味する。これは、コイル部品1000の幅及び厚さにも同様に適用される。
【0021】
本体100は、後述するコイル部200の中央部を貫通するコアCを有する。コアCは、金属磁性粉末及び絶縁樹脂を含む磁性複合シートを少なくとも1枚以上コイル部200の上下部に積層して本体100を形成する際に、磁性複合シートがコイル部200の中央部に形成された貫通孔を充填することによって形成されるが、これに限定されるものではない。
【0022】
本体100は、絶縁樹脂10及び金属磁性粒子(20、30)を含む。具体的に、本体100は、絶縁樹脂、及び絶縁樹脂に分散された金属磁性粉末を含む磁性複合シートが一つ以上積層されて形成される。磁性複合シートの金属磁性粉末は、後続工程によって本体100の金属磁性粒子(20、30)になる。
【0023】
金属磁性粒子(20、30)は、鉄(Fe)、シリコン(Si)、クロム(Cr)、コバルト(Co)、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、ニオブ(Nb)、銅(Cu)、ホウ素(B)、及びニッケル(Ni)からなる群から選択されるいずれか一つ以上を含む。例えば、金属磁性粒子(20、30)は、純鉄粉末、Fe-Si系合金粉末、Fe-Si-Al系合金粉末、Fe-Ni系合金粉末、Fe-Ni-Mo系合金粉末、Fe-Ni-Mo-Cu系合金粉末、Fe-Co系合金粉末、Fe-Ni-Co系合金粉末、Fe-Cr系合金粉末、Fe-Cr-Si系合金粉末、Fe-Si-Cu-Nb系合金粉末、Fe-Ni-Cr系合金粉末、Fe-Cr-Al系合金粉末のうちの少なくとも一つ以上を用いて形成される。
【0024】
金属磁性粒子(20、30)は非晶質又は結晶質である。例えば、金属磁性粒子(20、30)は、Fe-Si系非晶質合金粉末であるが、必ずしもこれに限定されるものではない。金属磁性粒子(20、30)は、平均直径が約0.1μm~30μmであるが、これに限定されるものではない。
【0025】
金属磁性粒子(20、30)は、第1粒子20、及び直径が第1粒子20の直径よりも小さい第2粒子30を含む。本明細書において、直径とは、D90又はD50などで表される粒度分布を意味する。本発明の場合、金属磁性粒子(20、30)が第1粒子20、及び第1粒子20よりも直径の小さい第2粒子30を含むことにより、第2粒子30が第1粒子20間の空間に配置され、結果として本体100内における磁性体の充填割合が向上する。
【0026】
絶縁樹脂10は、エポキシ(epoxy)、ポリイミド(polyimide)、液晶結晶性ポリマー(Liquid Crystal Polymer)などを単独又は混合して含むが、これに限定されるものではない。
【0027】
コイル部200は、本体100の内部に配置されて、コイル部品の特性を発現する。例えば、本実施形態のコイル部品1000がパワーインダクタとして活用される場合、コイル部200は、電場を磁場として保存して出力電圧を保持することにより、電子機器の電源を安定させる役割を果たす。
【0028】
コイル部200は、銅ワイヤ等の金属ワイヤMW、及び金属ワイヤMWの表面を被覆する絶縁膜IFを含む線材をスパイラル(spiral)状に巻くことで形成される巻線タイプのコイルである。
【0029】
コイル部200は、コアCを軸として少なくとも一つのターン(turn)を形成した巻回部210と、巻回部210の両端からそれぞれ延長されて本体100の第1及び第2面にそれぞれ露出した引出部(231、232)とを含む。第1引出部231は巻回部210の一端から延長されて本体100の第1面101に露出し、第2引出部232は巻回部210の他端から延長されて本体100の第2面102に露出する。一方、本体100の第1及び第2面(101、102)に露出した第1及び第2引出部(231、232)も本体100の第1及び第2面(101、102)を構成する一領域に該当するものと見なすことができるが、本明細書では、説明の便宜上、第1及び第2引出部(231、232)の露出面と本体100の第1及び第2面(101、102)とを区別するものとする。
【0030】
巻回部210は、上述した線材をスパイラル(spiral)状に巻くことにより形成される。その結果、部品の断面(例えば、図4のようにL-T断面)において、巻回部210の各ターン(turn)の全ての表面(図4のL-T断面では、各ターンの上面、下面、及びL方向に互いに対向する2つの側面を構成する合計4つの線分に該当する)は、絶縁膜IFで被覆された形態を有する。巻回部210は、少なくとも一つの層で構成される。巻回部210のそれぞれの層は、平面螺旋状に形成され、少なくとも一つのターン(turn)数を有する。
【0031】
引出部(231、232)は、巻回部210と一体的に形成される。例として、上述した線材を巻き付けて巻回部210を形成し、巻回部210から延長された線材の領域を引出部(231、232)とする。
【0032】
金属ワイヤMWは、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、錫(Sn)、金(Au)、ニッケル(Ni)、鉛(Pb)、チタン(Ti)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、又はこれらの合金などの導電性物質で形成されるが、これらに限定されるものではない。
【0033】
絶縁膜IFは、エナメル、パリレン、エポキシ、ポリイミドなどの絶縁物質を含む。絶縁膜IFは、2以上の層で構成される。限定されない例として、絶縁膜IFは、金属ワイヤMWに接する被覆層と、被覆層に形成された融着層とを含む。融着層は、線材である金属ワイヤMWをコイル状に巻線した後、熱及び圧力によって互いに隣接するターンを構成する金属ワイヤMWの融着層に互いに結合される。このような構造の絶縁膜IFを含む金属ワイヤMWで巻線した場合、巻回部210の複数のターン(turn)の融着層は互いに融着して一体化する。一方、図1及び図2には、本実施形態のコイル部200が、いわゆるアルファ(alpha)巻線であることを示しているが、本実施形態の範囲がこれに限定されるものではなく、エッジワイズ(edge-wise)巻線も本実施形態に属するといえる。
【0034】
表面絶縁層300は、本体100の表面に配置される。表面絶縁層300には、引出部(231、232)の少なくとも一部、及び本体の第1及び第2面(101、102)のそれぞれの少なくとも一部を露出する開口部(O1、O2)が形成される。具体的に、本実施形態の場合、表面絶縁層300は、本体100の第1~第6面(101、102、103、104、105、106)に配置され、且つ表面絶縁層300には、本体100の第1面101を露出する第1開口部O1と、本体100の第2面102を露出する第2開口部O2とが形成される。更に、本実施形態の場合、本体100の第1面101を露出する第1開口部O1は本体100の第6面106のうちの少なくとも一部を露出するように延長され、本体100の第2面102を露出する第2開口部O2は本体100の第6面106のうちの少なくとも一部を露出するように延長される。第1及び第2開口部(O1、O2)は、本体100の第6面106において互いに離隔するように配置される。即ち、本実施形態の場合、開口部(O1、O2)は、本体100の第1及び第2面(101、102)のうちのいずれか一つと、本体100の第6面106の一部を共に露出するL形状の断面を有する形態でそれぞれ形成される。コイル部200の第1及び第2引出部(231、232)も表面絶縁層300の開口部(O1、O2)を介して露出する。一方、開口部(O1、O2)を介して本実施形態の構成のうちの一部(例えば、本体100の第1及び第2面(101、102)、並びに第1及び第2引出部(231、232))が露出するとは、上記の一部構成が表面絶縁層300でカバーされないことを意味するだけであり、後述する外部電極(410、420)などの他の構成まで形成された最終製品の外観に基づいて上記の一部構成が外部に露出することを意味するものではない。
【0035】
開口部(O1、O2)は、例として本体100の第1~第6面(101、102、103、104、105、106)を全てカバーする形態で表面絶縁層300を形成した後、表面絶縁層300のうちの本体100の第1及び第2面(101、102)に配置されたものを選択的に除去することにより形成される。上述した表面絶縁層300の選択的除去は、例としてレーザ照射工程によって行われる。開口部(O1、O2)には後述する外部電極(410、420)が配置される。開口部(O1、O2)には、金属磁性粒子(20、30)のうちの少なくとも一部が互いに連結された連結金属層40が配置される。
【0036】
絶縁樹脂10及び金属磁性粒子(20、30)は、本体100を構成する要素であるため、本体100の境界(outline)である第1~第6面(101、102、103、104、105、106)を構成するだけでなく、本体100の境界で区画された本体100の内部を構成する。従って、金属磁性粒子(20、30)は、本体100の第1~第6面(101、102、103、104、105、106)のそれぞれを構成する一要素になる。一方、開口部(O1、O2)は、本体100の第1~第6面(101、102、103、104、105、106)のうちの一部を露出させるため、本体100の第1~第6面(101、102、103、104、105、106)を構成する金属磁性粒子(20、30)は、開口部(O1、O2)を介して露出する。このような場合、連結金属層40は、例として上述した開口部(O1、O2)を形成するためのレーザ工程において、レーザの熱エネルギーによって金属磁性粒子(20、30)の少なくとも一部が溶融して、互いに連結される形態で一体化することによって形成される。従って、連結金属層40は、開口部(O1、O2)を介して露出した本体100の第1~第6面(101、102、103、104、105、106)のうちの一部にのみ配置される。一方、上述の理由から、開口部(O1、O2)を介して露出した本体100の第1~第6面(101、102、103、104、105、106)のうちの一部領域には、連結金属層40だけでなく、金属磁性粒子(20、30)が露出する。
【0037】
連結金属層40の直径D3は、第1粒子20の直径D1よりも2倍以上である。上述したように、連結金属層40は、開口部(O1、O2)を形成するためのレーザ工程において金属磁性粒子(20、30)の一部が溶融して互いに連結される。従って、当該工程において金属磁性粒子(20、30)のうちの直径の大きい第1粒子20が互いに溶融連結されて連結金属層40を形成する。また、開口部(O1、O2)を形成するためのレーザ工程で表面絶縁層300だけでなく絶縁樹脂10の少なくとも一部が除去され、これにより絶縁樹脂10を介して互いに離隔又は接触しているだけであった金属磁性粒子(20、30)は、溶融して絶縁樹脂10が除去された空間への流動が可能になる。このような理由から、連結金属層40の直径D3は、第1粒子20の直径D1よりも2倍以上である。更に、このような理由から、本体100の表面のうちの開口部Oに露出した領域は、本体100の表面のうちの表面絶縁層300でカバーされた領域よりも低いレベルに位置する(図6のH)。ここで、本体100の表面のうちの開口部(O1、O2)に露出した領域が本体100の表面のうちの表面絶縁層300でカバーされた領域よりも低いレベルに位置するということは、本体100の表面のうちの開口部(O1、O2)に露出した領域の境界(outline)が本体100の表面のうちの表面絶縁層300でカバーされた領域の境界(outline)よりも本体100の内側に配置されることを意味する。
【0038】
一方、図6には、本体100の第6面106のうちの開口部(O1、O2)に露出して連結金属層40が配置された領域の境界(outline)が直線であることを示しているが、これは例示的な事項に過ぎず、本実施形態の範囲はこれに限定されるものではない。即ち、例として上述したレーザ工程における金属磁性粒子(20、30)の溶融及び結合、絶縁樹脂10の除去等によって、本体100の第6面106のうちの連結金属層40が配置された領域の境界(outline)は、直線ではない形態に形成される。また、上述した理由により、本体100の第6面106のうちの開口部(O1、O2)に露出した領域と、本体100の第6面106のうちの表面絶縁層300でカバーされた領域とは、互いに異なる表面粗さを有し、例として開口部(O1、O2)に露出した領域の表面粗さは、表面絶縁層300でカバーされた領域の表面粗さよりも粗い。
【0039】
連結金属層40の直径D3は、開口部(O1、O2)に配置される後述する外部電極(410、420)を除去した後、外部に露出した本体100の表面のうちの一部領域に対してSEM画像を用いて測定することができる。例として、連結金属層40の直径D3とは、当該画像に示された各連結金属層40の長軸の数値(dimension)を全て測定した後、これらの数値の最小値を意味する。又は、連結金属層40の直径とは、当該画像に示された各連結金属層40の長軸の数値(dimension)を全て測定した後、これらの数値の和を画像に示された連結金属層40の総数で除した算術平均値を意味する。又は、連結金属層40の直径とは、当該画像に示した各連結金属層40の長軸及び短軸の数値(dimension)を全て測定した後、これらの数値の50%に該当する値を意味する。或いは、連結金属層40の直径とは、各連結金属層40の面積と同じ面積の円を仮定し、当該仮想の各円の直径をそれぞれ求め、これらの直径の50%に該当する値を意味する。
【0040】
開口部(O1、O2)に露出した本体100の第1~第6面(101、102、103、104、105、106)のうちの一部領域を基準にして、連結金属層40を含む金属成分の面積は、一部領域の全面積に対して75%以上である。上記割合が75%未満の場合には、開口部(O1、O2)内に形成される後述する外部電極(410、420)が不十分に形成され、外部電極(410、420)と半田との間の固着強度が低下する可能性がある。また、上記割合が75%未満の場合には、破壊電圧(Break Down Voltage:BDV)が低下して部品特性が低下する可能性がある。連結金属層40を含む金属成分の面積及び割合は、例として上述したレーザ工程において、レーザの出力を調節したり、レーザのショット数を調節したり、レーザ源を変更したりするなどで制御する。一方、上記割合は、開口部(O1、O2)に露出した本体100の表面のうちの一部領域、例として208μm×208μmの領域のみを基準にして測定したものである。なお、上述した理由から、上記割合を算出する際に、第1及び第2引出部(231、232)の露出面積は分母に含まれない。また、上記割合を計算する際に、工程中に連結金属層40を形成することができずに残存する金属磁性粒子(20、30)の露出面積も分子に含まれる。
【0041】
表面絶縁層300は、後述する外部電極(410、420)の第1電極層(411、421)をめっきで形成する際に、めっきレジストとして機能するが、これに限定されるものではない。
【0042】
表面絶縁層300は、ポリスチレン系、酢酸ビニル系、ポリエステル系、ポリエチレン系、ポリプロピレン系、ポリアミド系、ゴム系、アクリル系等の熱可塑性樹脂、フェノール系、エポキシ系、ウレタン系、メラミン系、アルキド系などの熱硬化性樹脂、感光性樹脂、パリレン、SiO、又はSiNを含む。
【0043】
表面絶縁層300は接着機能を有する。例として、絶縁フィルムを本体100に積層して表面絶縁層300を形成する場合、絶縁フィルムは接着成分を含んで本体100の表面に接着される。このような場合、表面絶縁層300の一面には接着層が別途形成される。但し、半硬化状態(B-stage)の絶縁フィルムを用いて表面絶縁層300を形成する場合などのように、表面絶縁層300の一面に別途の接着層が形成されないこともある。
【0044】
表面絶縁層300は、液状の絶縁樹脂を本体100の表面に塗布したり、絶縁フィルムを本体100の表面に積層したり、気相蒸着によって絶縁樹脂を本体100の表面に形成したりすることで形成される。絶縁フィルムの場合、感光性絶縁樹脂を含むドライフィルム(DF)、感光性絶縁樹脂を含まないABF(Ajinomoto Build-up Film)、又はポリイミドフィルムなどが用いられる。
【0045】
表面絶縁層300は、10nm~100μmの厚さ範囲で形成される。表面絶縁層300の厚さが10nm未満の場合には、Q特性(Q factor)の低下、降伏電圧(break down voltage)の低下、及び自己共振周波数(Self-resonant Frequency:SRF)の低下など、コイル部品の特性が低下する可能性があり、表面絶縁層300の厚さが100μm超である場合は、コイル部品の総長さ、幅、及び厚さが増加し、薄型化に不利である。
【0046】
外部電極(410、420)は、開口部(O1、O2)に配置されて引出部(231、232)に連結される。具体的に、本実施形態の場合、第1開口部O1は本体100の第1面101に形成されて第6面106の一部に延長され、第1外部電極410は第1開口部O1に配置されて本体100の第1面101に露出したコイル部200の第1引出部231に接触連結される。第2開口部O2は本体100の第2面102に形成されて第6面106の一部に延長され、第2外部電極420は第2開口部O2に配置されて本体100の第2面102に露出したコイル部200の第2引出部232に接触連結される。また、第1外部電極410は第1開口部O1に配置された連結金属層40に接触連結され、第2外部電極420は第2開口部O2に配置された連結金属層40に接触連結される。外部電極(410、420)が引出部(231、232)だけではなく連結金属層40とも接触するため、外部電極(410、420)と半田との間の固着強度が向上する。
【0047】
外部電極(410、420)は、連結金属層40及び引出部(231、232)のそれぞれに接する第1電極層(411、421)と、第1電極層(411、421)に配置された第2電極層(412、422)とを有する。第1電極層(411、421)は、銅(Cu)で構成されためっき層である。この場合、表面絶縁層300は、第1電極層(411、421)を形成するためのめっき工程においてめっきレジストとして機能する。或いは、第1電極層(411、421)は、銅(Cu)及び銀(Ag)のうちの少なくとも一つを含む導電性粉末及び絶縁樹脂を含む導電性ペーストを本体100に塗布した後、硬化させた導電性樹脂電極である。第2電極層(412、422)は、第1電極層(411、421)に配置され、ニッケル(Ni)及び錫(Sn)のうちの少なくとも一つを含む。例として、第2電極層(412、422)は、第1電極層(411、421)に順次にめっきされたニッケル(Ni)めっき層と錫(Sn)めっき層とを含むが、本発明の範囲はこれに限定されるものではない。
【0048】
下記表1は、連結金属層を含む金属成分の面積割合の変化に伴う固着強度及び破壊電圧(BDV)を測定したものである。開口部の面積に対する連結金属層を含む金属成分の面積割合は、下記の方法により測定した。先ず、外部電極が形成された部品試料を下記の例1~6別にそれぞれ10個用意した。各例別に試料を外部電極に反応する剥離液に30秒~600秒間浸漬して外部電極を剥離した。次に、各例別に外部電極が除去されて露出した本体の表面のうちの引出部が露出した部分を除く領域のうちの特定部分(例えば、208μm×208μm)についてSEM画像を取得した。OBJECT AREA TOOLを用いて当該画像から絶縁樹脂部分と金属成分部分とを区別し、金属成分部分の面積を取得した。取得した金属成分の面積を上記特定部分の全面積で除し、これらの比を各例別に算術平均して下記表1の面積比で表した。
【0049】
次に、上述の方法により外部電極が除去された試料に再び外部電極を形成し、試料の外部電極の外表面に半田を付着し、半田リフロー後20N(20kgf)以上の外力を0.5mm/secの速度で印加し、且つ外力を順次に増加させて外部電極と半田との間の破壊が発生する外力を測定した。これを各試料別に取得した後、各例別に算術平均し、下記表1の固着強度で表した。次に、破壊電圧(BDV)はImpulse測定器で10Vから10V単位で電圧印加しながら波形不良が発生する時点の電圧を測定した。
【0050】
【表1】
【0051】
上記表1を参照すると、面積比が75%未満である例1~4の場合、38N以上の固着強度を確保することが困難であった。これとは異なり、面積比が75%以上である例5及び例6では、38N以上の固着強度が測定された。更に、上記表1を参照すると、面積比に拘わらず、破壊電圧が同等レベルであることが確認された。結果として、上記表1に示すように、面積比が75%以上である例5及び例6のそれぞれは、固着強度を一定以上確保しながら破壊電圧が適正レベルで確保できることが分かる。
【0052】
図7は、本発明の他の実施形態によるコイル部品を概略的に示す図であり、図8は、図7のE方向から見たものを概略的に示す図であり、図9は、図7に示すコイル部品に適用されるモールド部を概略的に示す図であり、図10は、図7のII-II’線に沿った断面を概略的に示す図であり、図11は、図10のF領域を拡大したものを概略的に示す図であり、図12は、図10のG領域を拡大したものを概略的に示す図である。
【0053】
図1図4と、図7図10とを比較すると、本実施形態によるコイル部品2000は、本発明の一実施形態によるコイル部品1000と比較した場合、本体100の構造、引出部(231、232)が露出した本体100の面、及びこれによる開口部(O1、O2)の位置と外部電極の位置とが異なる。従って、本実施形態を説明する際には、本発明の一実施形態によるコイル部品1000とは異なる本体100及び引出部(231、232)についてのみ説明する。本実施形態の残りの構成には、本発明の一実施形態における説明をそのまま適用することができる。
【0054】
本実施形態によるコイル部品2000に適用される本体100は、モールド部110及びカバー部120を含む。モールド部110及びカバー部120の側面は、本体100の第1~第5面(101、102、103、104、105)を構成し、モールド部110の他面(図8図10の方向に基づいてモールド部110の下面)は、本体100の第6面106を構成する。以下では、モールド部110の他面と本体100の第6面106とを同じ意味で使用する。
【0055】
モールド部110は、互いに対向する一面及び他面を有する支持部111と、支持部111の一面から突出したコアCとを有する。支持部111は、支持部111の一面に配置されるコイル部200を支持する。支持部111の一面にはコアCが突出するように配置される。コアCは、支持部111の一面の中央部に配置されてコイル部200を貫通する。
【0056】
図9を参照すると、支持部111の他面、及び支持部111の一面と他面とを連結する一側面には、巻回部210の両端部から延長された引出部(231、232)が配置される溝部(R1、R2)が形成される。溝部(R1、R2)は、引出部(231、232)に対応する形態で形成される。一方、溝部(R1、R2)は、金型によりモールド部110を形成する工程で形成されるか、又はカバー部120を圧着する工程でモールド部110に形成される。他の例として、引出部(231、232)は、モールド部110を貫通して、モールド部110の他面に露出する。
【0057】
例として、モールド部110は、支持部111及びコアCの形状に対応する内部空間を有する金型を用いて形成される。モールド部110は、金型内に金属磁性粉末及び絶縁樹脂を含む複合物質を充填することによって形成される。複合物質の金属磁性粉末は、本実施形態の金属磁性粒子(20、30)である。金型内の複合物質に高温及び高圧を加える工程を更に行うが、これに限定されるものではない。支持部111とコアCとは、上述した金型を用いた工程により一体的に形成され、相互間に境界が形成されない。
【0058】
カバー部120は、モールド部110の一面に配置されてコイル部200をカバーする。カバー部120は、絶縁樹脂に金属磁性粉末が分散された磁性複合シートをモールド部110及びコイル部200上に配置した後、加熱加圧して形成する。上記工程により、モールド部110とカバー部120とは、別途の処理を行わない限り、両者間の境界が区別されないように互いに一体化されるが、本発明の範囲はこれに限定されるものではない。
【0059】
本実施形態に適用される第1及び第2引出部(231、232)は、本発明の一実施形態とは異なり、本体100の第6面106に共に露出する。即ち、第1及び第2引出部(231、232)は、モールド部110の溝部(R1、R2)に配置され、本体100の第6面106に互いに離隔した形態で露出する。一方、図13の変形例において、他のコイル部品2000’のように、溝部(R3、R4)はモールド部110の角に形成され、第1及び第2引出部(231、232)は溝部(R3、R4)を介してモールド部110の下面に折り曲げられた形態を有する。溝部(R3、R4)の形状以外の他の構成は図7の実施形態と同様であり、図7の実施形態に対する説明は図13の実施形態にも適用可能である。
【0060】
表面絶縁層300は、本体100の第1~第6面(101、102、103、104、105、106)をカバーし、且つ表面絶縁層300には、本体100の第6面に露出した第1及び第2引出部(231、232)を露出させるための開口部(O1、O2)が形成される。図8及び図10に示すように、開口部(O1、O2)のそれぞれの長さ方向Lの数値(dimension)は、引出部(231、232)の長さ方向Lの数値よりも大きい。従って、開口部(O1、O2)のそれぞれは、引出部(231、232)だけでなく、本体100の第6面106のうちの少なくとも一部を更に露出させる。
【0061】
外部電極(410、420)は、本体100の第6面106にのみ配置される。外部電極(410、420)は、本体100の第6面106に互いに離隔した形態で配置される。第1外部電極410は第1開口部O1に配置されて第1引出部231に接し、第2外部電極520は第2開口部O2に配置されて第2引出部232に接する。
【0062】
一方、図11及び図12に示すように、本実施形態においても、本発明の一実施形態で説明した連結金属層40が形成され、上述した連結金属層40に関する説明は本実施形態にも同様に適用することができる。
【0063】
図14は、本発明の更に他の実施形態によるコイル部品を概略的に示す図であり、図15は、図14のIII-III’線に沿った断面を概略的に示す図であり、図16は、図14のIV-IV’線に沿った断面を概略的に示す図である。
【0064】
図1図4と、図14図16とを比較すると、本実施形態によるコイル部品3000は、本発明の一実施形態によるコイル部品1000と比較すると、コイル部200が異なり、基板ILを更に含む。従って、本実施形態を説明する際に、本発明の一実施形態によるコイル部品1000とは異なるコイル部200及び基板ILについてのみ説明する。本実施形態の残りの構成には、本発明の一実施形態における説明をそのまま適用することができる。
【0065】
基板ILは本体100内に配置される。基板ILは、コイル部200を支持する構成である。基板ILは、エポキシ樹脂のような熱硬化性絶縁樹脂、ポリイミドのような熱可塑性絶縁樹脂、及び感光性絶縁樹脂のうちの少なくとも一つを含む絶縁材料で形成さる。又は、上述した少なくとも一つの樹脂にガラス繊維又は無機フィラーのような補強材が含浸された絶縁材料で形成される。例として、基板ILは、銅箔積層板(Copper Clad Laminate:CCL)、銅箔積層板のうちの銅箔が除去された絶縁材料(Unclad CCL)、プリプレグ(prepreg)、ABF(Ajinomoto Build-up Film)、FR-4、BT(Bismaleimide Triazine)フィルム、PID(Photo Imagable Dielectric)フィルムなどの絶縁材料で形成されるが、これらに限定されるものではない。
【0066】
無機フィラーとしては、シリカ(SiO)、アルミナ(Al)、炭化珪素(SiC)、硫酸バリウム(BaSO)、タルク、泥、マイカ粉、水酸化アルミニウム(Al(OH))、水酸化マグネシウム(Mg(OH))、炭酸カルシウム(CaCO)、炭酸マグネシウム(MgCO)、酸化マグネシウム(MgO)、窒化ホウ素(BN)、ホウ酸アルミニウム(AlBO)、チタン酸バリウム(BaTiO)、及びジルコン酸カルシウム(CaZrO)から成る群から選択される少なくとも一つ以上が使用される。
【0067】
基板ILが補強材を含む絶縁材料で形成される場合、基板ILは、より優れた剛性を提供する。基板ILがガラス繊維を含まない絶縁材料で形成される場合、同じ本体100サイズ内でコイル部200の体積を増加させるため有利である。基板ILが感光性絶縁樹脂を含む絶縁材料で形成される場合、コイル部200を形成するための工程数が減少し、生産コストの削減に有利であり、微細なビアを形成することができる。
【0068】
コイル部200は、コイルパターン(211、212)、引出部(231、232)、及びビア220を含む。具体的に、図15及び図16の方向に基づいて、本体100の第6面106に対向する基板ILの下面に第1コイルパターン211及び第1引出部231が配置され、基板ILの下面に対向する基板ILの上面に第2コイルパターン212及び第2引出部232が配置される。基板ILの下面において、第1コイルパターン211は第1引出部231に接触連結される。基板ILの上面において、第2コイルパターン212は第2引出部232に接触連結され、ビア220は基板ILを貫通して第1コイルパターン211及び第2コイルパターン212のそれぞれの内側端部に接触連結される。これにより、コイル部200は全体的に一つのコイルとして機能する。
【0069】
第1コイルパターン211及び第2コイルパターン212のそれぞれは、コアCを軸として少なくとも一つのターン(turn)を形成した平面螺旋の形態である。例として、第1コイルパターン211は、基板ILの下面でコアCを軸として少なくとも一つのターン(turn)を形成する。
【0070】
引出部(231、232)は、それぞれ本体100の第1及び第2面(101、102)に露出する。即ち、第1引出部231は本体100の第1面101に露出し、第2引出部232は本体100の第2面102に露出する。
【0071】
コイルパターン(211、212)、ビア220、及び引出部(231、232)のうちの少なくとも一つは、少なくとも一つ以上の導電層を含む。例として、図15及び図16の方向に基づいて、第2コイルパターン212、ビア220、及び第2引出部232を基板ILの上面にめっき形成する場合、第2コイルパターン212、ビア220、及び第2引出部232のそれぞれは、無電解めっき層等のシード層と電解めっき層とを含む。ここで、電解めっき層は単層構造であるか又は多層構造である。多層構造の電解めっき層は、いずれか一つの電解めっき層を他の一つの電解めっき層がカバーするコンフォーマル(conformal)な膜構造で形成され、いずれか一つの電解めっき層の一面にのみ他の一つの電解めっき層が積層された形状に形成される。第2コイルパターン212のシード層、ビア220のシード層、及び第2引出部232のシード層は、一体的に形成されて、相互間に境界が形成されないが、これに限定されるものではない。第2コイルパターン212の電解めっき層、ビア220の電解めっき層、及び第2引出部232の電解めっき層は、一体的に形成され、相互間に境界が形成されないが、これに限定されるものではない。
【0072】
コイルパターン(211、212)、ビア220、及び引出部(231、232)のそれぞれは、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、錫(Sn)、金(Au)、ニッケル(Ni)、鉛(Pb)、チタン(Ti)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、又はこれらの合金などの導電性物質で形成されるが、これらに限定されるものではない。例として、第1コイルパターン211は、基板ILに接する銅(Cu)を含むシード層と、シード層に配置されて銅(Cu)を含む電解めっき層とを含むが、本発明の範囲はこれに限定されるものではない。
【0073】
絶縁膜IFは、コイル部200と本体100との間に配置される。絶縁膜IFは、気相蒸着法及びフィルム積層法のうちの少なくとも一つ以上の方法で形成される。一方、後者の場合、絶縁膜IFは、コイル部200を基板ILにめっき形成する際に用いられためっきレジストが最終製品に残存する形態である永久レジストであるが、これに限定されるものではない。絶縁膜IFは、パリレン、エポキシ、ポリイミドなどの絶縁物質を含む。本実施形態の絶縁膜IFは、コイル部200の各ターンの下面をカバーできないという点で、本発明の一実施形態で説明した絶縁膜IFとは異なる。
【0074】
以上、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想から逸脱しない範囲で多様に変更実施することが可能である。
【符号の説明】
【0075】
10 絶縁樹脂
20、30 金属磁性粒子
40 連結金属層
100 本体
101~106 第1面~第6面
110 モールド部
111 支持部
120 カバー部
200 コイル部
210 巻回部
211、212 コイルパターン
220 ビア
231、232 第1、第2引出部
300 表面絶縁層
410、420 外部電極
411、421 第1電極層
412、422 第2電極層
1000、2000、2000’、3000 コイル部品
C コア
IL 基板
IF 絶縁膜
MW 金属ワイヤ
O1、O2 開口部
R1、R2、R3、R4 溝部

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16