(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023072642
(43)【公開日】2023-05-24
(54)【発明の名称】インターホン装置およびインターホンシステム
(51)【国際特許分類】
H04M 9/00 20060101AFI20230517BHJP
【FI】
H04M9/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022090073
(22)【出願日】2022-06-02
(31)【優先権主張番号】P 2021185273
(32)【優先日】2021-11-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】花園 正也
(72)【発明者】
【氏名】池田 光治
(72)【発明者】
【氏名】広瀬 舜
【テーマコード(参考)】
5K038
【Fターム(参考)】
5K038AA06
5K038CC12
5K038DD15
5K038DD18
5K038DD22
(57)【要約】
【課題】非接触入力部からの入力を適切に受け付ける。
【解決手段】検出対象部が近接することによる非接触式の入力を受け付ける複数の非接触入力部に対する入力を、複数の非接触入力部の中のいずれの非接触入力部の入力受付対象とするかを判断する判断部121-1と、判断部の判断結果に基づいて、被制御部の動作を制御する制御部121-2と、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出対象部が近接することによる非接触式の入力を受け付ける複数の非接触入力部と、
前記複数の非接触入力部に対する入力を、前記複数の非接触入力部の中のいずれの非接触入力部の入力受付対象とするかを判断する判断部と、
前記判断部の判断結果に基づいて、被制御部の動作を制御する制御部と、
を備える、インターホン装置。
【請求項2】
前記被制御部として、複数の個別報知部を有し、
前記複数の個別報知部は、前記複数の非接触入力部のそれぞれに個別に対応付けられている、請求項1に記載のインターホン装置。
【請求項3】
前記判断部の判断により、入力受付対象となった非接触入力部に対応する個別報知部が第1の態様で入力受付対象になったことを報知する、請求項2に記載のインターホン装置。
【請求項4】
前記判断部は、
前記検出対象部と前記非接触入力部との距離が第1の距離未満であるときに、入力受付対象候補となる前記非接触入力部を判断する第1判断部と、
前記検出対象部と前記非接触入力部との距離が前記第1の距離未満の第2の距離未満であるときに、入力受付対象とする前記非接触入力部を判断する第2判断部と、を備える、請求項1に記載のインターホン装置。
【請求項5】
前記第2判断部は、
前記検出対象部と前記非接触入力部との距離が前記第2の距離未満であるが前記第2の距離より小さい第3の距離未満でないときに、前記検出対象部と前記非接触入力部との距離が前記第2の距離未満である状態が第1閾値時間を超えたときに、入力受付対象とする前記非接触入力部を判断し、
前記検出対象部と前記非接触入力部との距離が前記第2の距離より小さい第3の距離未満であるときに、前記検出対象部と前記非接触入力部との距離が前記第3の距離未満である状態が前記第1閾値時間より短い第2閾値時間を超えたときに、入力受付対象とする前記非接触入力部を判断する、請求項4に記載のインターホン装置。
【請求項6】
前記複数の非接触入力部に対応するように設けられた複数の個別報知部を備え、
前記第1判断部が入力受付対象候補と判断した前記非接触入力部に対応した前記個別報知部は、第1の態様で報知するように構成されている、請求項4または5に記載のインターホン装置。
【請求項7】
前記第2判断部が入力受付対象と判断した前記非接触入力部に対応した前記個別報知部は、前記第1の態様と異なる第2の態様で報知するように構成されている、請求項6に記載のインターホン装置。
【請求項8】
前記第2判断部は、前記第1判断部が入力受付対象と判断した非接触入力部以外の非接触入力部を、所定の条件を満たすまで前記入力受付対象と判断しないように構成されている、請求項4~7のいずれか1項に記載のインターホン装置。
【請求項9】
前記所定の条件は、前記第1判断部が前記入力受付対象を判断してから所定の期間の経過を含む、請求項8に記載のインターホン装置。
【請求項10】
前記判断部は、所定の期間内に複数の非接触入力部に対して人の入力が行われたとき、入力が行われた複数の非接触入力部のそれぞれの位置に基づいて、入力受付対象とする前記非接触入力部を判断する、請求項1~9のいずれか1項に記載のインターホン装置。
【請求項11】
前記判断部が入力受付対象とする前記非接触入力部を判断できないとき、エラー情報を報知するエラー情報報知部を備える、請求項1~10のいずれか1項に記載のインターホン装置。
【請求項12】
前記非接触入力部の操作手順に関する情報を報知する案内報知部を備える、請求項1~10のいずれか1項に記載のインターホン装置。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか1項に記載のインターホン装置と、前記インターホン装置と通信する情報端末とを備える、インターホンシステム。
【請求項14】
検出対象部が近接することによる非接触式の入力を受け付ける複数の非接触入力部と、
前記複数の非接触入力部に対する入力を、前記複数の非接触入力部の中のいずれの非接触入力部の入力受付対象とするかを判断する判断部と、
前記判断部の判断結果に基づいて、被制御部の動作を制御する制御部と、
を備え、
前記判断部は、
前記検出対象部と前記非接触入力部との距離が第一閾値未満である場合に、前記非接触入力部との距離が前記第一閾値より小さい第二閾値未満であるかを判断し、
前記非接触入力部との距離が第二閾値未満ではない場合に、前記検出対象部と前記非接触入力部との距離が前記第一閾値未満である状態が第一閾値時間を超えたかを判断し、
前記非接触入力部との距離が第二閾値未満である場合に、前記検出対象部と前記非接触入力部との距離が前記第二閾値未満である状態が前記第一閾値時間より短い第二閾値時間を超えたかを判断し、
前記第一閾値時間または前記第二閾値時間を経過した時に、入力受付対象とする前記非接触入力部を判断する、
インターホン装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、非接触入力部を有するインターホン装置およびインターホンシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、オートロック機能を有するインターホンシステムは、マンション、アパート等の多くの集合施設に設置されている。インターホンシステムは、一般的に、共用玄関に設けられた玄関インターホンと、各住戸に設けられたインターホン親機およびドアホンとを備える(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このようなインターホンシステムでは、来訪者は玄関インターホンを用いて、訪問先の住戸のインターホン親機を呼び出し、通話を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、玄関インターホンにより、訪問先を呼び出す場合には、住戸番号などを入力する必要がある。このため、玄関インターホンはテンキーなどを有し、来訪者が指でテンキーを押下して、住戸番号などを入力する。
【0006】
衛生面での配慮から、非接触タイプの入力装置が知られており、玄関インターホンにおいても、非接触タイプを採用することが考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係るインターホン装置は、検出対象部が近接することによる非接触式の入力を受け付ける複数の非接触入力部と、前記複数の非接触入力部に対する入力を、前記複数の非接触入力部の中のいずれの非接触入力部の入力受付対象とするかを判断する判断部と、前記判断部の判断結果に基づいて、被制御部の動作を制御する制御部と、を備えることを特徴とする。
【0008】
本開示の一態様に係るインターホンシステムは、前記インターホン装置と、前記インターホン装置と通信する情報端末とを備える。
【発明の効果】
【0009】
本開示に係るインターホン装置、インターホンシステムによれば、非接触入力部からの入力を適切に受け付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態の一例である集合施設のインターホンシステムの概略図である。
【
図2】実施形態の一例である玄関インターホンを示す図である。
【
図3】実施形態の一例である玄関インターホン11の機能ブロック図である。
【
図4】実施形態の一例である入力手段としての1つのキーの回路構成を示す図である。
【
図5】実施形態の一例であるセンサ基板60の構成を示す模式図であり、(A)はキーセンサ130を横方向に配置した例、(B)はキーセンサ130を縦方向に配置した例を示す。
【
図6】実施形態の一例である、処理部における、玄関インターホンに対する人によるキー操作についての処理を示すフローチャートである。
【
図7】実施形態の一例である1つのキーエリアの構成を示す図であり、(A)はセンサ窓を横に設けた例、(B)はセンサ窓を下に設けた例を示す。
【
図8】実施形態の一例である1つのキーエリアを裏面側見た図である。
【
図9】実施形態の他の一例である、処理部における、玄関インターホンに対する人によるキー操作についての処理を示すフローチャートである。
【
図10】
図9に示す実施形態について、
図6に示す実施形態に適用した変形例である、処理部における、玄関インターホンに対する人によるキー操作についての処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら、本開示の実施形態について詳細に説明する。以下で説明する実施形態はあくまでも一例であって、本開示は以下の実施形態に限定されない。また、以下で説明する複数の実施形態、変形例を選択的に組み合わせることは当初から想定されている。
【0012】
本開示の装置およびシステムの主体は、コンピュータを備えている。このコンピュータがプログラムを実行することによって、本開示の装置およびシステムの主体の機能が実現される。コンピュータは、プログラムに従って動作するプロセッサを主なハードウェア構成として備える。プロセッサは、プログラムを実行することによって上記機能を実現することができれば、その種類は問わない。プロセッサは、集積回路(IC)または大規模集積回路(LSI)を含む1つまたは複数の電子回路で構成される。複数の電子回路は、1つのチップに集積されていてもよく、複数のチップに設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよく、複数の装置に備えられていてもよい。また、プログラムは、コンピュータが読み取り可能なROM、光ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記憶媒体に記憶される。プログラムは、記憶媒体に予め格納されていてもよく、インターネット等を含む広域通信網を介して記憶媒体に供給されてもよい。
【0013】
「全体システム」
図1は、実施形態の一例であるインターホンシステムを含む全体システムの構成を模式的に示す図である。
【0014】
マンション等の集合施設に設置されるインターホンシステム1は、インターネット等の通信回線2によって管理システム3と接続される。
【0015】
インターホンシステム1は、マンション等の集合施設に設置されるシステムであって、共用玄関に設けられる玄関システム10と、各居住者の専有部である各住戸に設けられる住戸システム20と、各種制御を行う制御装置30を含む共用設備を備える。
【0016】
玄関システム10は、集合施設の共用玄関に設けられるシステムであって、来訪者が居住者との会話等を行う玄関インターホン11、来訪者や居住者のカードキー等を検知するキー検知装置12、集合住宅の出入り口である玄関ドア13、玄関ドア13の施錠、解錠を行う電気錠14を含む。玄関インターホン11が本実施形態におけるインターホン装置を構成する。
【0017】
住戸システム20は、インターホン22を含み、インターホン22は、居室に設けられたインターホン親機22aと、居室の玄関ドアに設けられたドアホン子機22bを含んでいる。なお、居室内に設けられた各種センサや、各種機器をインターホン親機22aに接続し、これらの情報を外部とやり取りできるようにしてもよい。
【0018】
制御装置30は、コンピュータで構成され、各種のデータ処理を行う。制御装置30には、玄関システム10、住戸システム20が接続されるとともに、管理人などの使用が予定される管理室親機15が接続される。また、制御装置30には、ゲートウェイ61、ルータ62を介し通信回線2が接続されており、制御装置30は外部と通信が可能である。
【0019】
なお、玄関インターホン11、インターホン親機22a、管理室親機15などは、すべて情報処理を司る情報端末であり、これらが接続されてインターホンシステムが構築されている。
【0020】
通信回線2に接続される管理システム3は、管理サーバ3aを有しており、複数の集合住宅等の各種管理を行う。管理システム3は制御装置30を含むこともでき、またクラウド上のシステムとして形成することもできる。また、管理システム3の少なくとも一部または全部がインターホンシステム1に含まれていてもよい。
【0021】
なお、管理システム3は、通常複数の集合施設におけるインターホンシステムを含む、各種の管理業務を実行する。
【0022】
「集合施設」
インターホンシステム1が適用される集合施設としては、マンション、寮、社宅等の集合住宅が挙げられるが、共用玄関を備える施設であればよく、集合住宅に限定されない。インターホンシステム1は、例えばオフィス、工場、研究施設、医療施設、宿泊施設等の複数の施設(複数の会社、部課、部門等)が集合して構成される施設に適用可能である。
【0023】
「玄関システム」
共用玄関には、各住戸の呼び出しを行うための共用玄関装置である玄関インターホン11が設けられている。玄関インターホン11は、住戸を訪ねてきた人(来訪者という)により使用される。来訪者は、玄関インターホン11に訪問先の住戸(例えば、住戸番号)を入力して呼び出すことができる。また、共用玄関には、玄関ドア13と、玄関ドア13を施錠する電気錠14とが設けられている。電気錠14は、例えば、玄関ドア13が閉まると自動的に玄関ドア13を施錠するオートロック装置であって、制御装置30の制御下で電気錠14が施錠、解錠される。玄関ドア13は、例えば、自動ドアにより構成され、平常時は施錠された状態が基本である。なお、玄関インターホン11は、制御装置30の他、各住戸のインターホン親機22aなどと通信可能に接続される。
【0024】
玄関インターホン11は、共用玄関の玄関ドア13よりも外側に設置されおり、来訪者は、玄関インターホン11で訪問先の住戸を呼び出し、来訪を伝える。居住者は、インターホン親機22aで来訪者を確認し、インターホン親機22aを操作して電気錠14を解錠することができる。
【0025】
図1に示す例では、共用玄関にキー検知装置12が設置されている。キー検知装置12は、例えば、ICカードリーダにより構成され、予め登録されたカードキーを検知したときに、電気錠14が解錠され、玄関ドア13が開く。
【0026】
「玄関インターホン」
図2は、共用玄関に設けられる玄関インターホン11の形状を模式的に示す図である。
【0027】
玄関インターホン11は、住戸番号などを入力するためのテンキー110と、呼び出しを実行するための呼出キー111とを備える。
【0028】
テンキー110は、0~9の10個の数字キーと、アスタリスクキー、取り消しキーなどから構成されている。各キーは、定められたキーエリア101を有し、そのキーエリア101に対する操作を入力として受け付ける。
【0029】
玄関インターホン11を操作するユーザである来訪者は、テンキー110で住戸番号を入力し、呼出キー111を押すことで、訪問先の住戸を呼び出すことができる。また、玄関インターホン11は、カメラ112、人感センサ113、マイク・スピーカ114、モニタ115を備える。なお、モニタ115の下に設けられたファンクションキー116は、モニタ115が表示に関連する機能のキーとして使用される。
【0030】
玄関インターホン11は、カメラ112により来訪者を撮影し、その映像を呼び出しが行われたインターホン親機22aに送信する。マイク・スピーカ114は、呼び出し音、居住者が応答した場合にはその音声等が出力し、また来訪者の声を取得する。取得された音声等はインターホン親機22aに送信されるので、訪問先の居住者と会話することができる。モニタ115には、例えば、テンキー110により入力した住戸番号が表示されてもよく、カメラ11dにより撮影された映像が表示されてもよい。
【0031】
玄関インターホン11の前面には、アクリルなど光を透過できる材料で構成されたカバー50が配置される。このカバー50には、キーに対応した表示などが設けられ、また後方からの光を透過することができる。カバー50の後方には、センサ基板60が配置され、このセンサ基板60上に設けられた赤外線式のセンサにより、各キーへの指の近接を個別に検出することが可能になっている。さらに、後述するように、カバー50の各キーエリア101に対応して個別報知部(例えば、LED照明)が設けられる。
【0032】
図3は、玄関インターホン11の機能ブロック図である。玄関インターホン11は、通信部120を有しており、この通信部120は、制御装置30に接続され、必要な情報交換が通信によってなされる。この接続は、有線でも、無線でもよい。通信部120は、処理部121に接続されている。処理部121は、プロセッサ、メモリなどで構成されるコンピュータであり、各種プログラムを実行することで、各種情報処理を行い、結果に応じた各種信号によって、接続される機器を制御する。また、複数の非接触入力部のいずれかが操作された場合にいずれの非接触入力部を対象とする入力として受け付けるかを判断する判断部121-1と、判断部121-1の判断結果に基づいて、被制御部(例えば、判断結果を報知する報知部)の動作を制御する制御部121-2と、含む。また、判断部121-1は、入力受付対象候補について判断する第1判断部と、入力受付対象について判断する第2判断部とを有する。
【0033】
処理部121には、カメラ112、人感センサ113、マイク・スピーカ114、モニタ115が接続されており、人感センサ113により来訪者が近づいてきたことを検知し、来訪者の画像や音声を取得するとともに、必要な表示や音声をマイク・スピーカ114、モニタ115に供給する。
【0034】
また、処理部121には、テンキー110、呼出キー111、ファンクションキー116が入力手段として接続されている。そして、この入力手段に対するユーザ(例えば、来訪者などのユーザ)の指による操作を検知する。なお、入力操作の検出対象部は必ずしも指である必要はないが、人差し指により操作されることを予定しており、以下では検出対象部が指であることを前提として説明する。
【0035】
ここで、これらの入力手段は、非接触入力部を構成しており、人の指などの検出対象部が近接すること、すなわち直接接触しなくても操作することができる。
【0036】
また、テンキー110、呼出キー111、ファンクションキー116に対応した報知を行う、報知部122が設けられている。この報知部122は、各キーの操作に対応して、入力を受け付けたか否かを報知する。報知部122は、後述するように、各キーに対応して設けられた個別報知部から構成することができ、個別のキーの操作について報知する。報知部122は、色の相違、常灯・点灯の別など異なった態様での報知が行える。なお、マイク・スピーカ114から音声による出力や、モニタ115の表示などを利用することもできる。
【0037】
ここで、この例において、モニタ115は、エラー情報報知部115-1、案内報知部115-2を有している。エラー情報報知部115-1は、例えばテンキー110、呼出キー111、ファンクションキー116などの非接触入力の受付に際し、どのキーが操作されたかを判定できない場合にエラー情報を報知する。また、案内報知部115-2は、非接触入力部の操作手順に関する情報を報知する。案内報知部115-2は、例えばユーザの入力操作が所定時間内に行われない場合などに、操作手順を報知するとよい。
【0038】
図4は、入力手段としての、テンキー110、呼出キー111、ファンクションキー116を構成する、1つのキーの回路構成を示す図である。1つのキーは、キーセンサ130と個別報知部140を含む。
【0039】
キーセンサ130は、発光部131、受光部132、駆動部133および検出部134を含む。駆動部133、検出部134は、処理部121に接続されている。なお、駆動部133、検出部134は、必ずしも1つのキーに対応して設ける必要はなく、複数のキーに対応して1つ設け、複数のキーを順に動作させてもよい。
【0040】
駆動部133は、LEDなどで構成される発光部131の駆動信号を生成し、発光部131の発光を制御する。例えば、パルス状の光信号(例えば赤外線)が発光部131から放出される。キーの表面の近傍に指があると、放出された光が指で反射され、反射光が受光部132に入射する。受光部132は、受光量に応じた信号を発生し、これが検出部134に供給される。検出部134は、反射信号を検出し、ユーザの操作を検出する。検出部134には、駆動部133からの駆動信号も供給されており、反射信号の遅延時間からユーザの指までの距離なども検出する。なお、検出部134の機能は、処理部121において実行してもよい。
【0041】
このように、報知部122は、複数の個別報知部140を含んでおり、1つのキーセンサ130には、1つの個別報知部140が対応して設けられている。
【0042】
この例では、個別報知部140は、発光部141と駆動部142を含む。特に、この発光部141は、色調を変更することができ、例えばブルー、イエロー、オレンジ、ピンクなどの異なった色の光を発することができ、キーを照明することができる。例えば、キーの表面であるカバー50がある程度光を通すプラスチック(例えば、アクリル)などで構成されることで、発光部141による表示をみることができる。
【0043】
なお、各キーの文字部分が光るようにしたり、キー全体が光るようにしたりすることができる。また、駆動部142からの駆動信号によって、発光部141を点滅することもできる。このように、個別報知部140は、報知の態様を変更することが可能である。
【0044】
光学的に指の近接を検出する非接触式のキーセンサ130の1つ1つに対応して、所定の発光をする個別報知部140が設けられているため、指の近接を検出して、近接したことを報知することができる。
【0045】
また、上述したように、検出部134では、指までの距離も検出することができる。そこで、距離に応じて個別報知部140の色を変えたりすることができる。
【0046】
なお、個別報知部140の発光部141は、単一波長の可視光を放出するものが好ましく、これによってキーセンサ130の赤外線による検出への影響を抑制できる。また、物理的に複数のLEDから構成することで複数色による発光を得てもいいが、カラーフィルタを使用してもよい。
【0047】
なお、キーの操作の検出は、光学式だけでなく、静電容量式なども採用することができる。
【0048】
図5は、センサ基板60の構成を示す模式図であり、(A)はキーセンサ130を横方向に配置した例、(B)はキーセンサ130を縦方向に配置した例を示す。このように、回路基板上には、テンキー110、呼出キー111、ファンクションキー116の個別のキーに対応して、キーセンサ130が設けられる。そして、
図5(A)では、キーセンサ130の発光部131と、受光部132を横方向に隣接配置しており、
図5(B)では、キーセンサ130の発光部131と、受光部132を横方向に隣接配置している。横方向に配置した場合、指の近接の縦方向(上または下)のずれに対する影響が少なく、縦方向に配置した場合、指の近接の横方向(右または左)のずれに対する影響が少ない。このような構成は、入力手段の全体の形状などを考慮して適宜選択することができる。
【0049】
なお、個別報知部140は、カバー50の裏側に、各キーに対応して1つずつ設けられ、カバー50の1つに対応するキーエリアを照明する。
【0050】
「処理部における動作」
図6は、処理部121における、玄関インターホン11に対する人によるキー操作についての処理を示すフローチャートである。
【0051】
各キーセンサ130からの信号から、人の検出対象部(例えば、指)がキーセンサ130に近づいたかを判定する(S11)。ここで、処理部121は、テンキー110、呼出キー111、ファンクションキー116を含む個別のキーセンサ130からの信号について判定する。また、第1の距離は、例えば1cm程度が想定され、後述する第2の距離より大きな値である。このS11の判定は判断部121-1の中の第1判断部が行う。
【0052】
この判定で、NOであれば、1度の処理を終了し、S11の判定に戻る。なお、玄関インターホン11は、人感センサ113により人を検知した場合に起動し、所定時間人を検知しない場合にスリープ状態に入る。
【0053】
S11の判定で、YESの場合、所定時間(例えば、30msec程度)経過したかを判定する(S12)。S12の判定でNOの場合、S11に戻る。これによって、誤って指を近づけたりした場合を除外して、来訪者などのユーザが指を近接させた場合に入力を受ける。
【0054】
S12の判定でYESの場合、近接として判定されたキーが複数か否かを判定する(S13)。これは、指が複数のキーに近接する場合もあるからである。S13の判定でNOであれば、近接キーが特定されるので、指を近づけたキーが特定されたことを示すために、対応する個別報知部140によって第1の態様で報知する(S14)。また、S13の判定でYESであることにより、入力受付対象となっているキーが特定されたため、この段階で、他のキーについての検出を除外する(S15)。これによって、誤って他のキーに何らかの物が近づいた場合にも、判定への悪影響を排除することができる。
【0055】
次に、指が第2の距離未満であるかを判定する(S15)。この第2の距離は、キーに十分近い距離であり、例えば5mm程度が想定される。S15の判定でYESであれば、所定時間経過したかを判定し(S17)、所定時間経過した場合に、第2の態様で報知する(S18)。この第2の態様の報知は、キー入力が確定したことの報知であり、入力受付対象候補となったことの報知である第1の態様報知とはその態様が異なっている。また、このS17の判定は、判断部121-1の第2判断部が行う。
【0056】
そして、第2報知をした場合に、入力を受け付ける(S19)。これによって、ユーザの指によって、対応するキーが操作されてことが処理部121に認識される。
【0057】
S13において、YESの場合には、入力受付対象となる候補となるキー(入力受付対象候補)が複数ある。この場合、優先度による判定が可能か否かを判定する(S20)。この優先度の判定としては、例えば、キーの位置判定が挙げられる。すなわち、2つのキーについて、S12においてYESになった場合、両キーのいずれがユーザの操作したいキーかがわからない。ここで、玄関インターホン11を操作者が操作する場合、ユーザは上から見下ろす場合が多い。また、キーに対応する表示があれば、指はキーの下から近づけられる場合が多い。このような状況を想定すると、2つのキーが入力受付対象候補となった場合で、それら上下の位置関係にある場合には、上の方のキーが入力受付対象である確率が高い。そこで、上のキーを優先度が高いとの判定が可能である。
【0058】
なお、優先度の判定については、玄関インターホン11の設置位置は、キー配列など個別の条件を考慮することもできる。
【0059】
S20の判定でYESであれば、優先度の高いキー(例えば、上のキー)を操作されたキーと判定し(S21)、S14に移行する。
【0060】
S20の判定でNOであれば、複数キーのいずれが操作されたかを判定することができない。そこで、エラー情報を報知し(S22)、処理を終了する。エラー情報は、例えば「いずれのキーが操作されたか認識できませんでした。」という表示などとすることができる。
【0061】
「キーエリア」
図7は、カバー50における1つのキーエリアを示す図であり、(A)はセンサ窓を横に設けた例、(B)はセンサ窓を下に設けた例を示している。なお、
図7(A)、(B)では、テンキー110の番号「0」のキーを例示している。このように、キーエリア101の中央部分にキーの内容である「0」の表示が付されている。この例では、カバー50の地色のグレーに対し、数字「0」が白抜きで表示されている。そして、その数字の横、または下にキーエリア101に比べ小さいセンサ窓102が形成されている。この例では、キーエリア101は、赤外線を非透過として、センサ窓102のみ赤外線を透過できるようにしている。このため、1つのキーエリア101への指の近接を隣接キーエリア101から独立して検出できる。
ここで、数字を押しに行く際(タッチ操作時)に、指先は縦方向に向いている場合が多く、従ってセンサ窓102を数字等の下に設けた方が指先を検知しやすい場合が多い。すなわち、センサとの指先の距離が近いほど検知エリアが狭くなり、センサ窓102を横に設けていると検知エリアに指先が入らない可能性が出てくるが、センサ窓102を下に設けていれば、指先の近接を検出できる場合が多い。
【0062】
図8は、カバー50における1つのキーエリア101を裏面側から見た図である。このように、1つのキーエリア101の裏面側には、キーエリア101を取り囲む壁103が形成されている。そして、その取り囲まれたエリアの中に個別報知部140の発光部141が配置されている。これによって、1つの発光部141により、対応するキーエリア101のみを照明できる。また、壁103は、後方のキーセンサ130による個別の検出についても効果がある。
【0063】
「実施形態の他の一例のフローチャート」
図9は、実施形態の他の一例である、処理部における、玄関インターホンに対する人によるキー操作についての処理を示すフローチャートである。
【0064】
まず、処理部121は、指検知があったかを判定する(S31)。この判定は、各キーセンサ130からの信号から、人の検出対象部(この例では、指とする)がいずれか1つのキーセンサ130に近づいたかを判定すればよい。S31の判定でNOであれば、このS31の判定を繰り返す。
【0065】
S31の判定でYESであれば、指検知したキーセンサ130への指の近接が第一閾値距離未満であったかを判定する(S32)。この第一閾値距離は、
図6における第2の距離に対応するキーに十分近い距離であり、例えば5mm程度が想定される。なお、上述の
図6に示したように複数のキーについての判定を行ってもよいが、これについては後述する。
【0066】
S32の判定で、NOの場合には、1つのキーを選択できないため、S31の判定に戻る。S32の判定でYESの場合には、当該キーセンサ130への指近接が第二閾値距離いないかを判定する(S33)。第二閾値距離は、上述の第一閾値距離よりもさらに小さい距離であり、S33の判定は、指が接触した判定と同様という判定である。第二閾値距離は、キーセンサ130における最小判定距離未満の距離とすることができ、例えば1mm未満の距離とすることができる。
【0067】
S33の判定でNOの場合には、第一閾値時間が経過したかを判定する(S34)。この第一閾値時間は、当該キーを選択したことを確認でできる時間であり、例えば30msec程度が想定される。このS34の判定でNOであれば、キーの選択は確定せず、S31に戻る。
【0068】
S33の判定でYESであれば、第二閾値時間が経過したかを判定する(S35)。この第二閾値時間は、第一閾値時間より短い時間であり、例えば15msec程度に設定することができる。これによって、ユーザがパネルに実際に触れたような場合においては、単にタッチした場合と同様にキー操作を判定することができる。
【0069】
そして、S34、S35においてYESの場合に、当該キーについて操作がなされたことを決定し、その情報を出力する(S36)。
【0070】
このように、本実施形態によれば、S33の第二閾値距離未満の操作か否かの判定決壊によって、キー操作の確定までの判定時間を変更する。これによって、より適切なキー操作の検出を行うことができる。
【0071】
図10は、
図6のフローチャートに、
図9における判断を組み込んだ例を示す。S11~S16の処理は
図6の場合と同様である。なお、S12,S16,S17-2,S17-3において、NOの場合にS11に戻るように記載したが、一旦終了して再度S11の判定に入るようにしても同じ処理となる。
【0072】
S16の判定において、YESの場合、キーの第3距離未満かを判定する(17-1)。これは、
図9のS33の第二閾値距離未満かの判定に対応する処理である。そして、S17-1の判定でNOの場合には、第一閾値時間の経過を判定し(S17-3)、S17-1の判定でYESの場合には、第二閾値時間の経過を判定し(S17-4)、これらの判定でYESの場合に、S18に移行する。
このように、
図10に示す例によれば、複数キーへの近接の場合の処理や、状況の報知などの処理を組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0073】
1:インターホンシステム、2:通信回線、3:管理システム、3a:管理サーバ、10:玄関システム、11:玄関インターホン、11d:カメラ、12:キー検知装置、13:玄関ドア、14:電気錠、15:管理室親機、20:住戸システム、22:インターホン、22a:インターホン親機、22b:ドアホン子機、30:制御装置、50:カバー、60:センサ基板、61:ゲートウェイ、62:ルータ、101:キーエリア、102:センサ窓、103:壁、110:テンキー、111:呼出キー、112:カメラ、113:人感センサ、114:スピーカ、115:モニタ、115-1:エラー情報報知部、115-2:案内報知部、116:ファンクションキー、120:通信部、121:処理部、121-1:判断部、121-2:制御部、122:報知部、130:キーセンサ、131,141:発光部、132:受光部、133,142:駆動部、134:検出部、140:個別報知部。