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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023072674
(43)【公開日】2023-05-24
(54)【発明の名称】吸収可変な光ファイバ
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/036 20060101AFI20230517BHJP
   H01S 3/067 20060101ALI20230517BHJP
   G02B 6/02 20060101ALI20230517BHJP
   G02B 6/032 20060101ALI20230517BHJP
   C03B 37/012 20060101ALI20230517BHJP
   C03B 37/027 20060101ALI20230517BHJP
【FI】
G02B6/036
H01S3/067
G02B6/02 411
G02B6/032
C03B37/012 A
C03B37/027
【審査請求】未請求
【請求項の数】22
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022178006
(22)【出願日】2022-11-07
(31)【優先権主張番号】17/454,709
(32)【優先日】2021-11-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】515288122
【氏名又は名称】ルーメンタム オペレーションズ エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Lumentum Operations LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100225543
【弁理士】
【氏名又は名称】上原 真
(72)【発明者】
【氏名】ヴィンセント ペティット
(72)【発明者】
【氏名】マーティン メンデル
【テーマコード(参考)】
2H250
4G021
5F172
【Fターム(参考)】
2H250AB04
2H250AB05
2H250AB06
2H250AB07
2H250AB08
2H250AB09
2H250AB10
2H250AC31
2H250AC32
2H250AC35
2H250AC43
2H250AC44
2H250AC51
2H250AD13
2H250AD17
2H250AH33
4G021BA02
4G021BA03
4G021BA04
4G021HA01
4G021HA05
5F172AM08
(57)【要約】      (修正有)
【解決手段】光ファイバが、光ファイバの入力端から光ファイバの出力端へ信号光を導くための1つ又は複数の活性イオンをドープしたコアと、光ファイバの入力端から光ファイバの出力端へポンプ光を導くためのコアを包囲するクラッドと、コアを包囲するクラッドに形成された1つ又は複数のインサートとを備え得る。コアは、光ファイバの長手方向の長さに沿って変わる幾何学的形状(例えば、断面サイズ、螺旋ピッチ等)を有することができる。
【効果】それにより光ファイバの長手方向の長さに沿ってポンプ光の吸収が変調され得る。
【選択図】図1B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ファイバの入力端から該光ファイバの出力端へ信号光を導くための1つ又は複数の活性イオンをドープしたコアと、
前記光ファイバの前記入力端から前記光ファイバの前記出力端へポンプ光を導くための前記コアを包囲するクラッドと、
前記コアを包囲する前記クラッドに形成された1つ又は複数のインサートと
を備え、前記コアは、前記光ファイバの長手方向の長さに沿って変わる幾何学的形状を有し、
前記コアの前記幾何学的形状は、前記光ファイバの前記長手方向の長さに沿って前記ポンプ光の吸収を変調させるように、前記光ファイバの前記長手方向の長さに沿って変わる光ファイバ。
【請求項2】
請求項1に記載の光ファイバにおいて、前記光ファイバの前記長手方向の長さに沿って変わる前記コアの前記幾何学的形状は、前記光ファイバの前記入力端から前記出力端にかけて大きくなる前記コアの断面サイズを含む光ファイバ。
【請求項3】
請求項2に記載の光ファイバにおいて、前記コアの前記断面サイズは、前記光ファイバの前記長手方向の長さに沿って前記ポンプ光の吸収を増加させるように、前記光ファイバの前記入力端から前記出力端にかけて大きくなる光ファイバ。
【請求項4】
請求項2に記載の光ファイバにおいて、前記1つ又は複数のインサートのうち少なくとも1つのインサートは第1屈折率を有し、前記コアを包囲する前記クラッドは第2屈折率を有し、前記第1屈折率は前記第2屈折率よりも高く、前記少なくとも1つのインサートの前記断面サイズは前記光ファイバの前記入力端から前記出力端にかけて小さくなる光ファイバ。
【請求項5】
請求項4に記載の光ファイバにおいて、前記第1屈折率が前記第2屈折率よりも高いことにより、前記少なくとも1つのインサートに前記ポンプ光が捕捉され、前記少なくとも1つのインサートの前記断面サイズは、捕捉された前記ポンプ光を前記光ファイバの前記長手方向の長さに沿って前記光ファイバの前記入力端から前記クラッドに下流で放出するように、前記光ファイバの前記入力端から前記出力端にかけて小さくなる光ファイバ。
【請求項6】
請求項1に記載の光ファイバにおいて、前記光ファイバは、前記光ファイバの前記長手方向の長さに沿って複数の場所でポンピングされるものとし、前記コアの前記幾何学的形状は、前記複数の場所の近位にある1つ又は複数の領域で前記ポンプ光の吸収を減らすように、前記光ファイバの前記長手方向の長さに沿って変わる光ファイバ。
【請求項7】
請求項1に記載の光ファイバにおいて、前記光ファイバの外径が、前記光ファイバの前記長手方向の長さに沿って実質的に一定のままである光ファイバ。
【請求項8】
請求項1に記載の光ファイバにおいて、前記1つ又は複数のインサートは、前記クラッドの第2屈折率とは異なる第1屈折率を有する光ファイバ。
【請求項9】
請求項1に記載の光ファイバにおいて、前記1つ又は複数のインサートは、固体、液体、又は気体のうち1つ又は複数を収容する1つ又は複数のキャビティを含む光ファイバ。
【請求項10】
コア領域及び該コア領域を包囲するクラッド領域を備えたプリフォームにおいて前記クラッド領域に1つ又は複数の孔を形成するステップと、
前記プリフォームを線引きして、前記コア領域に形成されたコア、前記クラッド領域に形成されたクラッド、及び前記1つ又は複数の孔に形成された1つ又は複数のインサートを備えた光ファイバを形成するステップと
を含み、前記プリフォームを線引きするステップは、前記プリフォームの線引き中に前記光ファイバの長手方向の長さに沿って前記1つ又は複数のインサートの幾何学的形状を変えるステップを含む方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法において、前記光ファイバの前記長手方向の長さに沿って前記1つ又は複数のインサートの前記幾何学的形状を変えるステップは、
前記プリフォームの線引き前に前記1つ又は複数の孔に前記1つ又は複数のインサートを入れるステップと、
前記プリフォームに対して速度を変えて前記1つ又は複数の孔に前記1つ又は複数のインサートを通して、前記光ファイバの前記長手方向の長さに沿って前記1つ又は複数のインサートの断面サイズを変えるステップと
を含む方法。
【請求項12】
請求項10に記載の方法において、前記光ファイバの前記長手方向の長さに沿って前記1つ又は複数のインサートの前記幾何学的形状を変えるステップは、
前記プリフォームの線引き前に前記1つ又は複数の孔に気体を充填するステップと、
前記プリフォームの線引き中に前記1つ又は複数の孔内の前記気体に加える圧力を変調して、前記光ファイバの前記長手方向の長さに沿って前記1つ又は複数のインサートの断面サイズを変えるステップと
を含む方法。
【請求項13】
請求項10に記載の方法において、前記光ファイバの前記長手方向の長さに沿って前記1つ又は複数のインサートの前記幾何学的形状を変えるステップは、
前記プリフォームの線引き中に該プリフォームを紡糸して、螺旋構成を有する前記1つ又は複数のインサートを形成するステップ
を含む方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法において、前記光ファイバの前記長手方向の長さに沿って前記1つ又は複数のインサートの前記幾何学的形状を変えるステップは、
前記プリフォームの線引き中に該プリフォームの紡糸速度を変えて、前記光ファイバの前記長手方向の長さに沿って前記1つ又は複数のインサートの螺旋ピッチを変えるステップ
を含む方法。
【請求項15】
請求項10に記載の方法において、前記プリフォームを線引きして前記光ファイバを形成するステップは、
前記1つ又は複数のインサートの前記幾何学的形状を変える1つ又は複数の機構と同期するマーキング装置を用いて、前記光ファイバの前記長手方向の長さの始まり及び前記光ファイバの前記長手方向の長さの終わりで前記光ファイバにマーキングするステップ
をさらに含む方法。
【請求項16】
コア領域及び該コア領域を包囲するクラッド領域を備えたプリフォームにおいて前記クラッド領域に1つ又は複数の孔を形成するステップと、
前記プリフォームを線引きして、前記コア領域に形成されたコア、前記クラッド領域に形成されたクラッド、及び前記1つ又は複数の孔に形成された1つ又は複数のインサートを備えた光ファイバを形成するステップと
を含み、前記プリフォームを線引きするステップは、前記プリフォームの線引き中に前記光ファイバの長手方向の長さに沿って前記コアの幾何学的形状を変えるステップを含む方法。
【請求項17】
請求項16に記載の方法において、前記光ファイバの長手方向の長さに沿って前記コアの幾何学的形状を変えるステップは、
前記プリフォームの線引き前に前記1つ又は複数の孔に前記1つ又は複数のインサートを入れるステップと、
前記プリフォームに対して速度を変えて前記1つ又は複数の孔に前記1つ又は複数のインサートを通して、前記光ファイバの前記長手方向の長さに沿って前記コアの断面サイズを変えるステップと
を含む方法。
【請求項18】
請求項16に記載の方法において、前記光ファイバの前記長手方向の長さに沿って前記コアの前記幾何学的形状を変えるステップは、
前記プリフォームの線引き前に前記1つ又は複数の孔に気体を充填するステップと、
前記プリフォームの線引き中に前記1つ又は複数の孔内の前記気体に加える圧力を変調して、前記光ファイバの前記長手方向の長さに沿って前記コアの断面サイズを変えるステップと
を含む方法。
【請求項19】
請求項16に記載の方法において、前記光ファイバの前記長手方向の長さに沿って前記コアの断面サイズが変わる割合は、前記光ファイバの前記長手方向の長さに沿って前記1つ又は複数のインサートの断面サイズが変わる割合に逆相関する方法。
【請求項20】
請求項16に記載の方法において、前記プリフォームを線引きするステップは、
前記コアの前記幾何学的形状が変わる間、前記光ファイバの前記長手方向の長さに沿って前記光ファイバのほぼ一定の外径を維持するように、閉ループフィードバック機構を用いて前記プリフォームを線引きするステップ
を含む方法。
【請求項21】
請求項16に記載の方法において、前記1つ又は複数のインサートが、前記プリフォームよりも低い融点を有するドープガラスからなることにより、前記プリフォームの線引き時に、前記1つ又は複数のインサートは、前記プリフォームよりも粘度が低く、速度差をつけて前記1つ又は複数の孔により容易に通される方法。
【請求項22】
請求項21に記載の方法において、前記ドープガラスのドーパントが、
リン、
ゲルマニウム、
フッ素、又は
ホウ素
のうち1つ又は複数を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願]
本願は、2019年1月2日に出願された「吸収可変な光ファイバ」と題する米国仮特許出願第62/787,555号の利益を主張し、且つ2019年10月18日に出願された「吸収可変な光ファイバ」と題する米国特許出願第16/657,070号の一部継続出願であり、上記出願の内容の全体を参照により本明細書に援用する。
【0002】
本開示は、包括的には光ファイバに関し、より詳細には、長手方向の長さに沿って吸収可変な光ファイバに関する。
【背景技術】
【0003】
光ファイバにおいて、減衰は、光が光ファイバ内を伝播する際の強度の低下又は光パワーの損失を指す。概して、減衰は、吸収、散乱、曲げ損失等により起こり得る。例えば、吸収は、分子共鳴、波長純度の悪さ等に起因して光ファイバの材料が光パワーを吸収して吸収した光パワーを熱等の別のエネルギー形態に変換することにより、光伝送中に光ファイバで信号損失を引き起こし得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
いくつかの実施態様によれば、光ファイバが、光ファイバの入力端から光ファイバの出力端へ信号光を導くための1つ又は複数の活性イオンをドープしたコアと、光ファイバの入力端から光ファイバの出力端へポンプ光を導くためのコアを包囲するクラッドと、コアを包囲するクラッドに形成された1つ又は複数のインサートとを含み、コアは、光ファイバの長手方向の長さに沿って変わる幾何学的形状を有し、コアの幾何学的形状は、光ファイバの長手方向の長さに沿ってポンプ光の吸収を変調させるように、光ファイバの長手方向の長さに沿って変わる。
【0005】
いくつかの実施態様によれば、方法が、コア領域及びコア領域を包囲するクラッド領域を備えたプリフォームにおいてクラッド領域に1つ又は複数の孔を形成するステップと、プリフォームを線引きして、コア領域に形成されたコア、クラッド領域に形成されたクラッド、及び1つ又は複数の孔に形成された1つ又は複数のインサートを備えた光ファイバを形成するステップとを含み、プリフォームを線引きするステップは、プリフォームの線引き中に光ファイバの長手方向の長さに沿って1つ又は複数のインサートの幾何学的形状を変えるステップを含む。
【0006】
いくつかの実施態様によれば、方法が、コア領域及びコア領域を包囲するクラッド領域を備えたプリフォームにおいてクラッド領域に1つ又は複数の孔を形成するステップと、プリフォームを線引きして、コア領域に形成されたコア、クラッド領域に形成されたクラッド、及び1つ又は複数の孔に形成された1つ又は複数のインサートを備えた光ファイバを形成するステップとを含み、プリフォームを線引きするステップは、プリフォームの線引き中に光ファイバの長手方向の長さに沿ってコアの幾何学的形状を変えるステップを含む。
【0007】
いくつかの実施態様によれば、光ファイバが、光ファイバの入力端から光ファイバの出力端へ信号光を導くための1つ又は複数の活性イオンをドープしたコアと、光ファイバの入力端から光ファイバの出力端へポンプ光を導くためのコアを包囲するクラッドと、コアを包囲するクラッドに形成された1つ又は複数のインサートとを含むことができ、1つ又は複数のインサートのそれぞれが、光ファイバの長手方向の長さに沿って変わる幾何学的形状を有し、1つ又は複数のインサートの幾何学的形状は、光ファイバの長手方向の長さに沿ってポンプ光の吸収を変調させるように、光ファイバの長さに沿って変わる。
【0008】
いくつかの実施態様によれば、方法が、コア領域及びコア領域を包囲するクラッド領域を備えたプリフォームにおいてクラッド領域に1つ又は複数の孔を形成するステップと、プリフォームを線引きして、コア領域に形成されたコア、クラッド領域に形成されたクラッド、及び1つ又は複数の孔に形成された1つ又は複数のインサートを備えた光ファイバを形成するステップとを含むことができ、プリフォームを線引きするステップは、プリフォームの線引き中に光ファイバの長手方向の長さに沿って1つ又は複数のインサートの幾何学的形状を変えるステップを含む。
【0009】
いくつかの実施態様によれば、方法が、1つ又は複数の活性イオンをドープしたコア及び可変吸収ファイバの入力端から可変吸収ファイバの出力端へポンプ光を導くためのコアを包囲するクラッドを有する可変吸収ファイバにポンピングされるポンプ光の、メリジオナルモードのポピュレーションを低減するステップであり、ポンプ光のメリジオナルモードのポピュレーションは、コアを包囲するクラッドによりサポートされるモードの均一な混合に比べて低減されるステップと、メリジオナルモードのポピュレーションの低減後に可変吸収ファイバにポンプ光をポンピングするステップであり、可変吸収ファイバは、可変吸収ファイバの長手方向の長さに沿ってポンプ光の吸収を変調させる幾何学的形状でコアを包囲するクラッドに形成された1つ又は複数のインサートを含むステップとを含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1A】本明細書に記載の吸収可変な光ファイバの1つ又は複数の例示的な実施態様の例示的な断面視での図である。
図1B】本明細書に記載の吸収可変な光ファイバの1つ又は複数の例示的な実施態様の例示的な断面視での図である。
図1C】本明細書に記載の吸収可変な光ファイバの1つ又は複数の例示的な実施態様の例示的な断面視での図である。
図2A】本明細書に記載の吸収可変な光ファイバの例示的な長手方向視での図である。
図2B】本明細書に記載の吸収可変な光ファイバの例示的な長手方向視での図である。
図3】本明細書に記載の吸収可変な光ファイバの作製に用いることができるプリフォームの例示的な実施態様の図である。
図4】本明細書に記載の吸収可変な光ファイバの作製の例示的なプロセスのフローチャートである。
図5】本明細書に記載の吸収可変な光ファイバの使用の例示的なプロセスのフローチャートである。
図6】本明細書に記載の吸収可変な光ファイバの作製の例示的なプロセスのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下の例示的な実施態様の詳細な説明は、添付図面を参照するものである。異なる図の同じ参照符号は、同じ又は同様の要素を示し得る。
【0012】
ドープアクティブ光ファイバは、概して、単位長さ当たりに一定の吸収率を有する。例えば、吸収率が1センチメートル当たり1パーセントである場合、ドープアクティブ光ファイバは、概して、光ファイバの最初の1センチメートルで入力光の1%を吸収し、光ファイバの次の1センチメートルで残りの入力光の1%を吸収し、以下同様となる。その結果として、ドープアクティブ光ファイバが一端からポンピングされると、ファイバの中間及び遠端に比べて、ポンプ端付近の全吸収、加熱、反転、及びフォトダークニングが大きくなる。したがって、ポンプ端ではレーザ性能がファイバにより制限され、ファイバの大半がほとんど十分に利用されていない。例えば、ダブルクラッドファイバレーザでは、ポンプ光が通常はアクティブファイバの一端に入射してアクティブファイバの長さに沿って吸収され、ポンプパワーはベールの法則の挙動(負の指数関数)にほぼ従う。したがって、アクティブファイバのポンプ入力端では、高いポンプ密度が示され、通常は高い反転分布、大きなフォトダークニングレート、大きな温度上昇、不安定性に対する高い感受性等が生じる。これらの効果は、ファイバレーザのパワーのスケーラビリティにとって問題である。
【0013】
概して、上記効果を減らすための1つの方法は、反転分布、フォトダークニングレート、温度上昇、及び不安定性に対する感受性がファイバ全長にわたって許容範囲内になるように、ファイバの長さに沿ってファイバ吸収を制御することである。しかしながら、ファイバ製造プロセス(例えば、通常は、長さ1メートルのプリフォームから、約100個のファイバレーザに相当する約1キロメートルのファイバが提供される)の性質が原因で、プリフォーム材料の堆積時に1つのファイバレーザ長にわたってファイバコアの吸収を直接変えることは容易ではない。したがって、ファイバ吸収を操作する1つの技術は、単一のアクティブファイバを用いるのではなく、活性イオン濃度及び/又はアクティブコア径が異なる複数のファイバを作製して相互に接合することであり得る。この場合、最初のファイバは、最初のファイバの高ポンプ密度を補償するために低い吸収係数を示し、後続のファイバは徐々に吸収が高くなる。しかしながら、この技術には、ファイバ温度が接続部毎に急上昇すること、及び少なくとも2つの異なるアクティブファイバを並行して加工しなければならないことを含む、いくつかの欠点がある。さらにこれにより、アクティブプリフォームの作製及びファイバハンドリング(接合)が複雑になり、したがって生産費が増加する。加えて、各接合部が、ファイバの接合点で信号及びポンプの両方に大きな損失をもたらすことにより、システム効率が低下する。さらに、各接合部は電位不良点であり、このためシステム信頼性が低下する。
【0014】
コアサイズ及び活性イオン濃度に加えて、アクティブファイバ(例えば、ダブルクラッド又はトリプルクラッドアクティブファイバ)のポンプ吸収に影響を及ぼす別の要因は、ポンプスクランブリングの程度である。例えば、中心にコアを有する円形ファイバでは、回転対称であるため、ポンプモードの大半がコアに大きく重ならない。ポンプ光がポンプガイド用の内側クラッド領域に均一に入射する場合、コアに重なるポンプ光のごく一部(メリジオナルモード)が吸収されると、残りのポンプ光はコアの周りを回るモード(スキューモード)であり、吸収が非常に小さい。非偏波保持ファイバでは、この問題に対する1つの解決手段は、六角形又は八角形等の非円形の形状を内側クラッドに用いることである。ファイバを円形又は楕円形以外の形状にすることで、メリジオナルモードとスキューモードとの間の分裂をなくし、全てのモードを実質的にコアに重ねて比較的均一に吸収させることができる。この効果をポンプスクランブリングと称する。
【0015】
内側クラッド内に大きなPANDA型(例えば、偏波保持・吸収低減)応力ロッドを有する偏波保持ダブルクラッドファイバでは、通常は応力ロッドが周囲のガラスとは異なる屈折率を有する。そのため、応力ロッドは、ポンプ領域の対称性を破り、非偏波保持ファイバの非円形の形状と同程度のポンプスクランブリングを誘起する。その結果として、大抵の偏波保持ダブルクラッドファイバは、円形の内側クラッド形状を使用し、ポンプスクランブリングを応力ロッドに頼る。したがって、偏波保持ファイバ及び非偏波保持ファイバのどちらでも、ポンプスクランブリングの効力は、円形の内側クラッドからの逸脱の強さに応じて変わる。例えば、20角形又は非常に小さな応力ロッドを有するPANDA構造を用いると、通常は大きなポンプスクランブリングが起きることはない。
【0016】
本明細書に記載のいくつかの実施態様は、光ファイバの長手方向の長さに沿って吸収可変な光ファイバに関する。例えば、本明細書にさらに詳細に記載するように、光ファイバのコア材料が従来通りであり長手方向の長さに沿って均一である場合、光ファイバは、光ファイバの各使用可能な長さに沿って長手方向にポンプ吸収率を徐々に調整することができる設計を有し得る。いくつかの実施態様において、吸収率は、光ファイバの内側クラッドで1つ又は複数のインサート又は孔を用いること、及びポンプスクランブルレートを変調するために作製プロセス中に光ファイバの長手方向の長さに沿って幾何学的形状を調整することにより、調整することができる。例えば、いくつかの実施態様において、インサート(単数又は複数)は、ポンプスクランブルレートを変えることによりファイバ吸収を変調する(例えば、ポンプが入射する入力端でスクランブリング及び吸収を最小化し、且つポンプパワーが比較的小さい反対(例えば出力)端でスクランブリング及び吸収を最大化する)ように、光ファイバの長手方向の長さに沿って変わる断面サイズ、螺旋ピッチ等を有し得る。追加として又は代替として、1つ又は複数のインサートは、内側クラッドよりも高い屈折率を有することができ、これにより、インサートは、光ファイバの入力端付近でポンプ光を捕捉して、捕捉したポンプ光を下流で内側クラッドに放出して吸収させることができる。この場合、インサートは、光ファイバの入力端の方が大きな断面サイズを有することができ、断面サイズは、捕捉されたポンプ光が放出される点でダウンテーパとすることができる。このような吸収可変な光ファイバを作製又は製造するため及びこのような吸収可変な光ファイバを用いるための様々なプロセスも以下に提示する。
【0017】
図1A図1Cは、本明細書に記載の吸収可変な光ファイバの1つ又は複数の例示的な実施態様の例示的な断面視の図である。例えば、いくつかの実施態様において、光ファイバは、ポンプパワーハンドリングの改善のために、ダブルクラッド光ファイバ(例えば、図1Aに示す)又はトリプルクラッド光ファイバ(例えば、図1B及び図1Cに示す)であり得る。
【0018】
図1Aに参照符号120で示すように、吸収可変な光ファイバは、光ファイバの入力端から光ファイバの出力端へ信号光を導くための1つ又は複数の活性イオンをドープしたコア102と、光ファイバの入力端から光ファイバの出力端へポンプ光を導くためのコア102を包囲する内側クラッド104と、内側クラッド104を包囲するポンプクラッド106と、ポンプクラッド106を包囲するファイバコーティング108と、クラッド104に形成された1つ又は複数のインサート110とを含み得る。いくつかの実施態様において、ポンプクラッド106は、ポンプを導くために用いられるディプレストクラッドとすることができ、ディプレストガラスクラッド、低屈折率コーティング、低屈折率ガラス、エアクラッド等を含み得る。さらに、いくつかの実施態様において、ファイバコーティング108は、低屈折率コーティング材料、高屈折率コーティング材料等を含み得る。
【0019】
いくつかの実施態様において、1つ又は複数のインサート110は、中実のインサート、液体又は気体(例えば空気)を充填した中空の孔又はキャビティ等とすることができ、インサート(単数又は複数)110は、ポンプガイド用の内側クラッド104に形成されて反ガイドとして働き得る。さらに、1つ又は複数のインサート110はそれぞれ、光ファイバの長手方向の長さに沿って変わる幾何学的形状を有することができ、1つ又は複数のインサート110の幾何学的形状を変えることにより、光ファイバの長手方向の長さに沿ってポンプ光の吸収を変調させることができる。例えば、いくつかの実施態様において、1つ又は複数のインサート110は、光ファイバの長手方向の長さに沿ってポンプスクランブルレートを変えることによってポンプ光の吸収を変調するように、光ファイバの長手方向の長さに沿って変わる断面サイズを有し得る。このような場合、光ファイバは、ポンプ光が光ファイバに入射する入力端となるよう配置された第1端112を含むことができ、1つ又は複数のインサート110は、入力端でスクランブリングを最小化し且つ/又は吸収を抑えるために、比較的小さな断面サイズを有し得る。この例では出力端として構成され得る反対端114では、インサート110は、ポンプパワーが小さい場所でスクランブリング及び/又は吸収を最大化するために、比較的大きくすることができる。いくつかの実施態様において、1つ又は複数のインサート110が中空で空気又は別の適当な気体を充填される場合等では、インサート110は、光ファイバの第1端112で無くなるように先細りとすることができる。
【0020】
参照符号130で示すように、一態様において、コア102は、光ファイバの長手方向の長さに沿って変わる幾何学的形状を有することができ、また、単独で又は1つ若しくは複数のインサート110の幾何学的形状の変化と組み合わせてコア102の幾何学的形状を変えることにより、光ファイバの長手方向の長さに沿ってポンプ光の吸収を変調させることができる。例えば、いくつかの実施態様において、コア102は、光ファイバの長手方向の長さに沿ってポンプ光の吸収を変調するように、光ファイバの長手方向の長さに沿って変わる断面サイズを有し得る。このような場合、第1端112(例えば入力端)では、コア102は、吸収を抑えるために、比較的小さなサイズを有し得る。反対端114(例えば出力端)では、コア102は、ポンプパワーが小さい場所で吸収を最大化するために、比較的大きくすることができる。例えば、コアが大きいほど小さなコアよりも多くのドーパントを保持可能なので、コアが大きいほど小さなコアよりも吸収が大きくなる。
【0021】
概して、光ファイバは、任意の適当な量のインサート110を含み得る。例えば、図1Aは、2つのインサート10を有する例示的なダブルクラッド光ファイバを示しているが、他の設計では、光ファイバは、ポンプパワーハンドリングの改善のためにトリプルクラッド光ファイバであり得る。追加として又は代替として、光ファイバは、1つのインサート110、3つ以上のインサート110等を有し得る。例えば、図1B及び図1Cは、吸収可変な光ファイバの他の可能な設計を示す。例えば、参照符号140及び160で示すように、光ファイバは、3つのインサート110を有するトリプルクラッド設計であり得る。別の例では、参照符号150及び170で示すように、光ファイバは、4つのインサート110を有するトリプルクラッド設計であり得る。
【0022】
上記のように、図1A図1Cは単に1つ又は複数の例として提示されている。他の例は、図1A図1Cに関して記載したものと異なり得る。
【0023】
上述のように、いくつかの実施態様において、内側クラッド104に形成された1つ又は複数のインサート110は、光ファイバの長手方向の長さに沿って変わる幾何学的形状を有することができ、1つ又は複数のインサート110の幾何学的形状を変えることにより、光ファイバの長手方向の長さに沿ってポンプ光の吸収を変調させることができる。図2A及び図2Bは、本明細書に記載の吸収可変な光ファイバの例示的な長手方向視200及び250での図である。
【0024】
例えば、図2Aにおいて、1つ又は複数のインサート110の断面サイズは、光ファイバの長手方向の長さ210に沿ってポンプスクランブルレートを変えることにより吸収を変調するように、光ファイバの長手方向の長さ210に沿って変わり得る。したがって、ポンプが端112に入射するシステムでは、1つ又は複数のインサート110は、スクランブリングを最小化し吸収を抑えるために、比較的小さな断面サイズを有し、また、1つ又は複数のインサート110の断面サイズは、光ファイバの長手方向の長さ210に沿って漸増し、ポンプパワーが小さい遠(例えば出力)端114で最大の断面サイズに達して吸収を最大化する。概して、1つ又は複数のインサート110の断面サイズが漸増することで、ポンプが入射する端112から遠(例えば出力)端114までポンプスクランブルレートが漸増し、それにより、長手方向の長さ210に沿ってポンプ光の吸収を増加させることができる。
【0025】
いくつかの実施態様において、1つ又は複数のインサート110は、1つ又は複数のインサート110でのポンプパワーの捕捉を回避するために、内側クラッド104の屈折率よりも低い屈折率を有し得る。例えば、内側クラッド104がアンドープ石英ガラスクラッドである場合、1つ又は複数のインサート110に用いることができる適当な低屈折率材料として、ホウ素ドープ石英ガラス、フッ素ドープ石英ガラス、アルミニウム・リン共ドープ石英ガラス、空気又は他の気体、水、低屈折率液体等を挙げることができる。代替として、内側クラッド104がドープ内側クラッドである場合、1つ又は複数のインサート110は、内側クラッド104よりも低い屈折率を有し且つ1つ又は複数のインサート110が反ガイドとして働くことを可能にする任意の適当なドーパント(単数又は複数)からできていてもよい。
【0026】
代替として、いくつかの実施態様において、1つ又は複数のインサート110は、1つ又は複数のインサート110にポンプパワーを捕捉するために、内側クラッド104の屈折率よりも高い屈折率を有し得る。例えば、1つ又は複数のインサート110は、1つ又は複数のインサート110にポンプ光を捕捉させることができる、ゲルマニウム、アルミニウム、リン、チタン、希土類元素、又は希土類金属等のアップドーパントを用いて形成され得る。この場合、ポンプ光は、1つ又は複数のインサート110が大きな断面サイズを有する端114で光ファイバにポンピングされ、捕捉されたポンプ光は、1つ又は複数のインサート110の断面サイズが先細りとなる下流で、内側クラッド104に放出されて吸収される。したがって、この例では、光ファイバの長手方向の長さ210に沿ったポンプ光の吸収は、ポンプ光が光ファイバにポンピングされる端114で大きな断面サイズを有する1つ又は複数のインサート110を形成すること、及び下流の捕捉されたポンプパワーが放出される点で1つ又は複数のインサート110の断面サイズをダウンテーパとすることによって、変調することができる。
【0027】
いくつかの実施態様において、ポンプ光は、光ファイバの長手方向の長さ210に沿った複数の場所で光ファイバにポンピングすることができ、また、1つ又は複数のインサート110の幾何学的形状は、ポンプ光が光ファイバにポンピングされる複数の場所の近位にある1つ又は複数の領域でポンプ光の吸収を減らすように、光ファイバの長手方向の長さ210に沿って変わり得る。
【0028】
例えば、いくつかの実施態様において、光ファイバは、両端112、114からポンピングされてもよく、その場合、吸収は、端112、114で最小となり且つ光ファイバの長手方向の長さ210の中間で最大となるよう調整され得る。例えば、1つ又は複数のインサート110が、内側クラッド104よりも低い屈折率を有し且つポンプスクランブルレートの変化により光ファイバの長手方向の長さ210に沿って吸収を変調するよう構成される場合、1つ又は複数のインサート110の断面サイズは、端112で比較的小さく(又は1つ若しくは複数のインサート110が中空であり気体を充填される場合等には無くなるまで先細り)することができ、1つ又は複数のインサート110の断面サイズは、光ファイバの長手方向の長さ210の中点で最大に達するまで漸増することができる。続いて、1つ又は複数のインサート110の断面サイズは、他端114に向かってダウンテーパとなり、それにより、吸収が両端112で小さくなり、光ファイバの長手方向の長さ210の中点で大きくなり得る。代替として、1つ又は複数のインサート110が内側クラッド104よりも高い屈折率を有し、且つポンプ光を捕捉して捕捉されたポンプ光を下流で放出することにより光ファイバの長手方向の長さ210に沿って吸収を変調するよう構成される場合、1つ又は複数のインサート110の断面サイズは、ポンプ端112、114付近で捕捉するポンプ光が多くなるように、両端112、114で比較的大きくすることができ、また、1つ又は複数のインサート110の断面サイズは、捕捉されたポンプパワーが放出される光ファイバの長手方向の長さ210の中点で最小に達するまで漸減させることができる。このように、吸収は、両端112で小さくなり、光ファイバの長手方向の長さ210の中点で大きくなり得る。
【0029】
別の例では、光ファイバは、光ファイバの長手方向の長さ210に沿った1つ又は複数の点でサイドポンピングされ得る。この場合、1つ又は複数のインサート110の断面サイズは、ポンプパワーが光ファイバに結合される各点及びその付近で吸収が小さくなるように調整され得る。例えば、ポンプスクランブルレートを変えることにより光ファイバの長手方向の長さ210に沿って吸収が変調される場合、1つ又は複数のインサート110の断面サイズは、ポンプパワーが光ファイバに結合される各点及びその付近で最小であり得る。代替として、ポンプ光を捕捉し、捕捉されたポンプ光を下流で放出することにより吸収が変調される場合、1つ又は複数のインサート110の断面サイズは、ポンプパワーが光ファイバに結合される各点及びその付近で比較的最大であり得る。
【0030】
いくつかの実施態様において、1つ又は複数のインサート110の幾何学的形状は、(例えば、1つ又は複数のインサート110の断面サイズを変えることに加えて且つ/又はその代わりに)、様々な他の方法で光ファイバの長手方向の長さ210に沿って変えることができる。例えば、いくつかの実施態様において、1つ又は複数のインサートは、図2に示す長手方向に直線状の構成ではなく、螺旋構成(例えば、螺旋又は渦巻きの形状又は形態を有する)を有することができ、螺旋構成は、ポンプスクランブルレートに影響を及ぼし、したがって光ファイバの長手方向の長さ210に沿って吸収を変調し得る。この場合、1つ又は複数のインサート110はより小さなサイズであり得るか、又はより少ないインサートが用いられ得る。追加として又は代替として、1つ又は複数のインサート110の断面サイズを変えることに加えて及び/又はその代わりに、1つ又は複数のインサート110の螺旋ピッチ(例えば、螺旋の軸と平行に測定して螺旋の1周分の高さ)を変えることにより、ポンプスクランブルレートを変調することができる。例えば、いくつかの実施態様では、回転数が大きいほど(例えば、螺旋ピッチが短いほど)、通常はスクランブルレートが上昇(したがって吸収が増加)し得る。
【0031】
いくつかの実施態様において、1つ又は複数のインサート110の位置決めが、光ファイバの長手方向の長さ210に沿ったポンプスクランブルレート(したがって吸収)にさらに影響を及ぼし得る。例えば、いくつかの実施態様において、1つ又は複数のインサート110は、高次のスキューモードを非スクランブル状態で伝播させ続けながら低次のスキューモードのみをスクランブルするために、コア102付近に位置付けられ得る。代替として、1つ又は複数のインサート110は、全てのポンプモードに影響を及ぼすように内側クラッド104の外周付近に位置決めされ得るが、高次モードは低次モードよりも大きな影響を受け得る。
【0032】
さらに、場合によっては、ファイバ曲げが、光ファイバの長手方向の長さ210に沿ったポンプスクランブルレート(したがって吸収)に影響を及ぼし得る。したがって、光ファイバにおいて低吸収が望まれる部分(例えば、入力端付近)では、光ファイバが過度に急激に曲がらないよう留意すべきである。高ポンプ吸収が望まれる部分(例えば、出力端付近)では、ファイバ曲げの許容度を高くすることができ、1つ又は複数のインサート110の幾何学的形状を変えることに加えて実際にファイバ曲げを用いることで、ポンプスクランブリングの増加、捕捉されたポンプ光の放出の増加等を行うことができる。しかしながら、概して、急激なファイバ曲げはコア102の信号損失並びに光ファイバの機械的応力及び寿命低下も引き起こすことがあるので、急激なファイバ曲げは最小限にすべきである。
【0033】
いくつかの実施態様において、光ファイバが偏波保持光ファイバである場合、応力ロッドに起因したポンプスクランブリングを低減又は解消するために、付加的な技術を用いることができる。例えば、いくつかの実施態様において、応力ロッドに起因したポンプスクランブリングは、より小さな応力部材を用いること、応力部材をコア102の近くに位置決めすること、周囲のクラッド104の形成に用いられる材料の屈折率に等しい屈折率を有する材料から応力部材を形成すること、個別の応力部材に依拠しない偏波保持設計を用いること等により、低減又は解消することができる。
【0034】
動作の際、可変吸収光ファイバに入るポンプ光は、内側クラッド104によりサポートされるモードの均一な混合に比べてレベルの低いメリジオナルモードを有し得る。そうでなく、光ファイバに入るポンプ光がモードの均一な混合を有する場合、メリジオナルモードが消耗されて吸収が光ファイバの入力端付近のインサート110の幾何学的形状により(例えば、インサート110が、光ファイバの入力端付近で低いポンプスクランブルレートを与えるように、小さな断面サイズと大きな螺旋ピッチ等を有すること、インサート110が、下流で放出されるポンプ光を捕捉する能力を高めるために内側クラッド104よりも高い屈折率を有し且つ光ファイバの入力端付近で大きな断面サイズを有すること等により)制御される所望のレベルに低減される前に、メリジオナルモードの吸収により光ファイバの長さの始まりで高吸収及び高加熱が起こり得る。
【0035】
いくつかの実施態様において、様々な技術を用いて、ポンプ光が光ファイバに入る前にポンプ光のメリジオナルモードのポピュレーションを低減することができる。例えば、いくつかの実施態様において、ポンプ光は、複数のファイバ結合ポンプダイオードからの出力を1つのファイバに合流させるよう配置されたファイバポンプコンバイナから伝送され得る。この場合、ファイバポンプコンバイナは、ポンプ光のメリジオナルモードのレベルを低減するために、スキューモードを優先的に誘導するねじれ構造で設計され得る。追加として又は代替として、微細構造のポンプデリバリファイバを用いてスキューモードを優先的に誘導することにより、ポンプ光のメリジオナルモードのレベルを低減することができる。追加として又は代替として、メリジオナルモードに起因した光ファイバの長さの始まりでの吸収率が許容可能になるように、可変吸収光ファイバよりも低ドープ且つ/又は小径のコアを有し得る長さが短い非スクランブル又は低スクランブルアクティブファイバを用いて、均一に混合されたポンプ分布からメリジオナルモードを消耗させることができる。
【0036】
例えば、いくつかの実施態様において、長さが短い非スクランブル又は低スクランブルアクティブファイバは、モノリシック主発振器出力増幅器(MOPA)ファイバ構造で用いられる発振器ファイバ又は前置増幅器ファイバであり得る。この場合、ポンプ光は、主発振器アクティブファイバの長さの始まりから入ることができ、主発振器アクティブファイバは、ポンプスクランブリングが無い(又は小さい)円形の内側クラッド内の小さなシングルモードコア(例えば、1080ナノメータレーザに対して10ミクロン)を有することができる。したがって、主発振器アクティブファイバの長さの始まりでは、メリジオナルポンプモードを吸収する一方で、許容できないほど大きな吸収が生じない。ポンプ光は、メリジオナルモードを大きく消耗して主発振器アクティブファイバを出てから、比較的大きなコア(例えば、20ミクロン~50ミクロン)及び本明細書に記載の可変吸収設計を有し得る出力増幅器ファイバに入り得る。出力増幅器ファイバに入るポンプ光にはメリジオナル光がほとんどないので、インサート110の幾何学的形状により(例えば、インサート110の断面サイズ及び/又は螺旋ピッチに基づくポンプスクランブルレートの制御、インサート110の断面サイズ及び/又は屈折率に基づくポンプ光の捕捉レートの制御等により)、出力増幅器ファイバへの入射時の吸収率を制御することができる。いくつかの実施態様において、ポンプ光は出力増幅器ファイバの長さに沿って(例えば、長手方向の長さ210に沿って)消耗されるので、インサート110の幾何学的形状は、(例えば、ポンプスクランブルレートを増加させるようにインサート110の断面サイズを漸増し且つ/又は螺旋ピッチを漸減させること、インサート110が内側クラッド104よりも高い屈折率を有する場合に捕捉されたポンプ光を放出するようにインサート110の断面サイズを漸減させること等により)ポンプパワーをコア102に所望の割合で結合させるように、変えることができる。したがって、クラッドの形状が、パッシブファイバ部分での円形からアクティブファイバ部分での八角形又は別の形状になりまた戻る従来のMOPA設計とは異なり、本明細書に記載のいくつかの実施態様は、常に円形ファイバにポンプを収容することができ、これにより、接合品質の向上、損失の低減等がもたらされる。さらに、主発振器又は出力増幅器ファイバの前端におけるポンプ強度が低減すると、フォトダークニング及びモード不安定性の調節に役立つ。
【0037】
したがって、いくつかの実施態様において、吸収係数が、(例えば、1つ又は複数のインサート110の断面サイズ、螺旋ピッチ、及び/又は他の幾何学的特性の漸増又は漸減により可変吸収光ファイバの長手方向の長さ210に沿ってポンプ光のポンプ密度、ポンプスクランブリング、捕捉、及び/又は放出等を制御することにより)可変吸収光ファイバの長手方向の長さ210に沿って徐々に調整されるので、本明細書に記載の可変吸収光ファイバは、光ファイバの長手方向の長さ210に沿って熱分布を制御し且つ温度の急変を防止する設計を有する。例えば、いくつかの実施態様において、内側クラッド104に形成された1つ又は複数のインサート110の直径又は断面サイズを調整することにより、ポンプ強度を制御することができる。この場合、インサート110は、内側クラッド104の屈折率よりも低い屈折率を有し得る(例えば、純石英ガラスの場合、1つ又は複数のインサート110は、フッ素、ホウ素、アルミニウムとリンとの組み合わせ、孔又は中空キャビティ等から形成され得る)。さらに、可変吸収光ファイバを設計することにより、任意の適当な量のインサート110及び任意の適当な活性イオン(単数又は複数)を用いてドープすることができるコア102を有する、任意の適当なサイズのダブルクラッド又はトリプルクラッドファイバであり得る単一のアクティブファイバの長手方向の長さ210にわたって吸収係数を変えることが可能になり得るが、従来のファイバ技術を用いて吸収を変える技術では、通常、アクティブコア径、活性イオン濃度等が異なる複数のファイバを作製して相互に接合することが必要である。さらにまた、内側クラッド104の断面形状を長手方向の長さ210全体にわたって円形にすることができ、こうすることで、(例えば、クラッド形状がパッシブファイバ部分の円形とアクティブファイバ部分の八角形又は別の形状との間で移行するMOPA設計に比べて)接合が改善且つ簡素化され、隣接するファイバに対する接合損失が低減され、また作製が簡素化される。
【0038】
図2Bに示すように、いくつかの態様において、コア102及び1つ又は複数のインサート110の断面サイズが、光ファイバの長手方向の長さ210に沿ってポンプスクランブルレートを変えることにより吸収を変調させるように、光ファイバの長手方向の長さ210に沿って変わり得る。この例250では、光ファイバは、例200と同様に機能し得る。例えば、ポンプが端112に入射するシステムにおいて、比較的小さな断面サイズを有するコア102では吸収が抑えられる。コア102の断面サイズが光ファイバの長手方向の長さ210に沿って漸増する一方で、1つ又は複数のインサート110の断面サイズが光ファイバの長手方向の長さ210に沿って漸減することにより、ポンプパワーが小さい遠(例えば出力)端114で吸収が最大化する。概して、コア102の断面サイズが漸増することにより、ポンプが入射する端112から長手方向の長さ210に沿って遠(例えば出力)端114にかけてポンプ吸収率を漸増させることができる。光ファイバ250の他の特徴は、本明細書に記載のように光ファイバ200と同様であり得る。
【0039】
コア102及び/又は1つ若しくは複数のインサート110の断面サイズは、光ファイバの長手方向の長さ210に沿って変わり得るが、いくつかの態様において、光ファイバの外径は、一定又は略一定のままであり得る。換言すれば、コア102及び/又は1つ又は複数のインサート110の断面サイズが増加及び/又は減少しても、光ファイバ全体の断面サイズは増加及び/又は減少しない。
【0040】
上記のように、図2A及び図2Bは単なる例として提示されている。他の例は、図2A及び図2Bに関して記載したものと異なり得る。
【0041】
図3は、本明細書に記載の吸収可変な光ファイバの作製に用いることができるプリフォーム300の例示的な実施態様の図である。例えば、いくつかの実施態様において、プリフォーム300は、概して内付け、外付け、気相軸付け等の化学蒸着法により作られ得るものであり、続いてプリフォーム300を線引きタワー等の装置に入れることができ、そこでプリフォーム300の先端が加熱されて光ファイバが紐状に引き出される。
【0042】
いくつかの実施態様において、図3に示すように、プリフォーム300は、適切なコア・クラッド比(例えば、1:2.5、1:5、1:10、1:20、1:50等であり、この比なら、125ミクロンファイバの50ミクロンコア~500ミクロンファイバの10ミクロンコアの範囲をカバーし得る)を有するコア領域302及びクラッド領域304を含み得る。さらに、吸収可変な光ファイバを提供する1つ又は複数のインサートを作製するために、プリフォーム300のクラッド領域304に1つ又は複数の孔306が、穿孔又は他の方法で形成され得る。続いて、1つ又は複数のインサートを、様々な技術を用いて形成することができる。
【0043】
例えば、1つ又は複数のインサートが固体材料から形成される場合、線引きの開始時に(例えば、プリフォーム300の線引き前に)1つ又は複数のインサートを1つ又は複数の孔306に入れることができ、1つ又は複数のインサートは、ファイバ線引きプロセス、予備線引きコラプスプロセス、再スリーブ旋盤(re-sleeve lathe)又はケイニングタワー(caning tower)で実行されるスリーブ形成プロセス等の間に、プリフォーム300、コアロッド等に対して速度を変えて供給され得る。したがって、1つ又は複数のインサートをコアロッドとは異なる速度で供給すると、概して1つ又は複数のインサートの断面サイズが線引き中に変わり得る。中空のインサートの場合、断面サイズは、ファイバ線引きプロセス中、コラプスプロセスの実行中、再スリーブプロセス中等に孔306に収容された空気又は気体に負圧又は正圧を加えることにより、線引き中に制御することができる。さらに、中空のインサートに液体を充填する場合、線引き後に中空のインサートに液体を充填することができる。さらに、インサートが螺旋構成を有するものとする場合、線引きプロセス中にプリフォーム300を紡糸することによりインサートを作製することができ、インサートの螺旋ピッチは、線引きプロセス中にプリフォーム300の紡糸速度を変えることにより変えることができる。
【0044】
いくつかの実施態様において、中実のインサート、中空のインサート、長手方向に直線状のインサート、螺旋状のインサート等のいずれを用いても、インサートの幾何学的形状(例えば、断面サイズ、螺旋ピッチ等)は、それぞれ結果として得られる使用可能なファイバ長さでインサートの幾何学的形状が長手方向に正確に変わることを確実にするよう、適切な割合で変えることができる。例えば、上述のように、プリフォーム300、コアロッド等に対して中実のインサートを孔306に通す速度を変えること、中空のインサートの場合は孔306に加える圧力を変えること、螺旋状のインサートの場合はプリフォーム300を紡糸し且つ/又はプリフォーム300の紡糸速度を変えること等により、インサートの幾何学的形状を変えることができる。例えば、プリフォームを線引きして、ファイバレーザ1つ当たり10メートルのファイバ長として、1キロメートルのファイバを生成する場合、インサートのサイズは、線引き中に100回変調され、いずれの場合も所望のファイバ長にわたって正確に変調される。追加として、ユーザが各使用可能なファイバ長の始まり及び終わりを容易に判断することができるように、1つ又は複数のインサートの幾何学的形状を制御するのに用いられる1つ又は複数の機構と同期するマーキング装置を用いて、線引き中に各長さの始まり及び各長さの終わりでファイバにマーキングすることができる。
【0045】
このように、本明細書に記載の可変吸収光ファイバは、単一コアプリフォーム(例えば、プリフォーム300)を用いて製造することができる単一のファイバを用いて吸収を制御することができる設計を有する。さらに、光ファイバの可変吸収を可能にする特徴(例えば、インサートの幾何学的形状の変化、インサートの位置決め等)は、プリフォーム300の製造中又はファイバ線引き中に実装することができる。さらに、クラッド領域304が光ファイバの全長にわたって円形である一方で、他のファイバ設計は、パッシブファイバ部分の円形とアクティブファイバ部分の八角形又は別の形状との間で移行するクラッド形状を提供するプリフォームを用いて作製されるので、可変吸収光ファイバの作製が簡便であり得る。
【0046】
上記のように、図3は単に1つ又は複数の例として提示されている。他の例は、図3に関して記載したものと異なり得る。
【0047】
図4は、本明細書に記載の吸収可変な光ファイバの作製の例示的なプロセスのフローチャートである。いくつかの実施態様において、図4に示す1つ又は複数のプロセスブロックは、化学蒸着装置、ドリル、線引きタワー、再スリーブ旋盤、ケイニングタワー等の1つ又は複数の光ファイバ製造機により実行され得る。
【0048】
図4に示すように、プロセス400は、コア領域及びコア領域を包囲するクラッド領域を含むプリフォームにおいてクラッド領域に1つ又は複数の孔を形成するステップを含むことができる(ブロック410)。例えば、上述のように、コア領域302及びコア領域302を包囲するクラッド領域304を含むプリフォーム300においてクラッド領域304に1つ又は複数の孔306を形成することにより、可変吸収光ファイバが作製され得る。
【0049】
図4にさらに示すように、プロセス400は、プリフォームを線引きして、コア領域に形成されたコア、クラッド領域に形成されたクラッド、及び1つ又は複数の孔に形成された1つ又は複数のインサートを含む光ファイバを形成するステップを含むことができ、ここでプリフォームを線引きするステップは、プリフォームの線引き中に光ファイバの長手方向の長さに沿って1つ又は複数のインサートの幾何学的形状を変えるステップを含む(ブロック420)。例えば、上述のように、プリフォーム300を線引きして、コア領域302に形成されたコア102、クラッド304領域に形成されたクラッド104、及び1つ又は複数の孔306に形成された1つ又は複数のインサート110を含む光ファイバが形成され得る。いくつかの実施態様において、プリフォーム300を線引きするステップは、プリフォーム300の線引き中に光ファイバの長手方向の長さ210に沿って1つ又は複数のインサート110の幾何学的形状を変えるステップを含む。
【0050】
プロセス400は、以下に記載し且つ/又は本明細書の他の箇所に記載の1つ又は複数の他のプロセスに関連して記載する任意の単一の実施態様又は任意の実施態様の組み合わせ等、さらなる実施態様を含み得る。
【0051】
第1実施態様において、光ファイバの長手方向の長さ210に沿って1つ又は複数のインサート110の幾何学的形状を変えるステップは、プリフォーム300の線引き前に1つ又は複数の孔306に1つ又は複数のインサート110を入れるステップと、プリフォーム300に対して速度を変えて1つ又は複数の孔306に1つ又は複数のインサート110を通して、光ファイバの長手方向の長さ210に沿って1つ又は複数のインサート110の断面サイズを変えるステップとを含み得る。
【0052】
単独の又は第1実施態様と組み合わせた第2実施態様において、光ファイバの長手方向の長さ210に沿って1つ又は複数のインサート110の幾何学的形状を変えるステップは、プリフォーム300の線引き前に1つ又は複数の孔306に気体を充填するステップと、プリフォーム300の線引き中に1つ又は複数の孔306内の気体に加える圧力を変調して、光ファイバの長手方向の長さ210に沿って1つ又は複数のインサート110の断面サイズを変えるステップとを含み得る。
【0053】
単独の又は第1及び第2実施態様と組み合わせた第3実施態様において、光ファイバの長手方向の長さ210に沿って1つ又は複数のインサート110の幾何学的形状を変えるステップは、プリフォーム300の線引き中にプリフォーム300を紡糸して、螺旋構成を有する1つ又は複数のインサート110を形成するステップを含み得る。
【0054】
単独の又は第1~第3実施態様と組み合わせた第4実施態様において、光ファイバの長手方向の長さ210に沿って1つ又は複数のインサート110の幾何学的形状を変えるステップは、プリフォーム300の線引き中にプリフォーム300の紡糸速度を変えて、光ファイバの長手方向の長さ210に沿って1つ又は複数のインサート110の螺旋ピッチを変えるステップを含み得る。
【0055】
単独の又は第1~第4実施態様と組み合わせた第5実施態様において、プリフォーム300を線引きして光ファイバを形成するステップは、1つ又は複数のインサート110の幾何学的形状を変える1つ又は複数の機構と同期するマーキング装置を用いて、光ファイバの長手方向の長さ210の始まり及び光ファイバの長手方向の長さ210の終わりで(例えば、端112、114で)光ファイバにマーキングするステップをさらに含み得る。
【0056】
図4はプロセス400の例示的なブロックを示すが、いくつかの実施態様において、プロセス400は、図4に示すものに対して追加のブロック、より少ないブロック、異なるブロック、又は異なる配置のブロックを含み得る。追加として又は代替として、プロセス400のブロックの2つ以上を並行して実行してもよい。
【0057】
図5は、本明細書に記載の吸収可変な光ファイバの使用の例示的なプロセスのフローチャートである。いくつかの実施態様において、図5に示す1つ又は複数のプロセスブロックは、ファイバレーザ、ファイバポンプコンバイナ、1つ又は複数のファイバ結合ポンプダイオード、微細構造ポンプデリバリファイバ、主発振器又は前置増幅器ファイバ等の1つ又は複数の光ファイバデバイスにより実行され得る。
【0058】
図5に示すように、プロセス500は、1つ又は複数の活性イオンをドープしたコアと、可変吸収ファイバの入力端から可変吸収ファイバの出力端へポンプ光を導くためのコアを包囲するクラッドとを有する可変吸収ファイバにポンピングされるポンプ光において、メリジオナルモードのポピュレーションを低減するステップを含むことができ、ここでポンプ光のメリジオナルモードのポピュレーションは、コアを包囲するクラッドによりサポートされるモードの均一な混合に比べて低減される(ブロック510)。例えば、上述のように、1つ又は複数の活性イオンをドープしたコア102と、可変吸収ファイバの入力端(例えば、端112及び/又は114)から可変吸収ファイバの出力端(例えば、端112及び/又は114)へポンプ光を導くためのコア102を包囲するクラッド104とを有する可変吸収ファイバにポンピングされるポンプ光において、メリジオナルモードのポピュレーションが低減され得る。いくつかの実施態様において、ポンプ光のメリジオナルモードのポピュレーションは、コア102を包囲するクラッド104によりサポートされるモードの均一な混合に比べて低減される。
【0059】
図5にさらに示すように、プロセス500は、メリジオナルモードのポピュレーションの低減後に可変吸収ファイバにポンプ光をポンピングするステップを含むことができ、ここで可変吸収ファイバは、可変吸収ファイバの長手方向の長さに沿ってポンプ光の吸収を変調させる幾何学的形状でコアを包囲するクラッドに形成された1つ又は複数のインサートを含む(ブロック520)。例えば、上述のように、ポンプ光は、信号光のメリジオナルモードのポピュレーションの低減後に可変吸収ファイバにポンピングされ得る。いくつかの実施態様において、可変吸収ファイバは、可変吸収ファイバの長手方向の長さ210に沿ってポンプ光の吸収を変調させる幾何学的形状でコア102を包囲するクラッド104に形成された、1つ又は複数のインサート110を含む。
【0060】
プロセス500は、以下に記載し且つ/又は本明細書の他の箇所に記載の1つ又は複数の他のプロセスに関連して記載する任意の単一の実施態様又は任意の実施態様の組み合わせ等、さらなる実施態様を含み得る。
【0061】
第1実施態様において、ポンプ光のメリジオナルモードのポピュレーションを低減するステップは、ポンプ光が可変吸収ファイバに入る前にメリジオナルモードのポンプ光を消耗する発振器ファイバ又は前置増幅器ファイバの1つ又は複数にポンプ光を入れるステップを含み得る。
【0062】
単独の又は第1実施態様と組み合わせた第2実施態様において、ポンプ光のメリジオナルモードのポピュレーションを低減するステップは、複数のファイバ結合ポンプダイオードからの出力におけるスキューモードを誘導するねじれ構造を有するファイバポンプコンバイナを用いてポンプ光を生成するステップを含み得る。
【0063】
単独の又は第1及び第2実施態様と組み合わせた第3実施態様において、ポンプ光のメリジオナルモードのポピュレーションを低減するステップは、ポンプ光のスキューモードを誘導するよう適合された微細構造ポンプデリバリファイバを用いてポンプ光を生成するステップを含み得る。
【0064】
図5はプロセス500の例示的なブロックを示すが、いくつかの実施態様において、プロセス500は、図5に示すものに対して追加のブロック、より少ないブロック、異なるブロック、又は異なる配置のブロックを含み得る。追加として又は代替として、プロセス500のブロックの2つ以上を並行して実行してもよい。
【0065】
図6は、本明細書に記載の吸収可変な光ファイバの作製の例示的なプロセスのフローチャートである。いくつかの実施態様において、図6に示す1つ又は複数のプロセスブロックは、化学蒸着装置、ドリル、線引きタワー、再スリーブ旋盤、ケイニングタワー等の1つ又は複数の光ファイバ製造機により実行され得る。
【0066】
図6に示すように、プロセス600は、コア領域及びコア領域を包囲するクラッド領域を含むプリフォームにおいてクラッド領域に1つ又は複数の孔を形成するステップを含むことができる(ブロック610)。例えば、上述のように、コア領域302及びコア領域302を包囲するクラッド領域304を含むプリフォーム300においてクラッド領域304に1つ又は複数の孔306を形成することにより、可変吸収光ファイバが作製され得る。
【0067】
図6にさらに示すように、プロセス600は、プリフォームを線引きして、コア領域に形成されたコア、クラッド領域に形成されたクラッド、及び1つ又は複数の孔に形成された1つ又は複数のインサートを含む光ファイバを形成するステップを含むことができ、ここでプリフォームを線引きするステップは、プリフォームの線引き中に光ファイバの長手方向の長さに沿ってコアの幾何学的形状を変えるステップを含む(ブロック620)。例えば、上述のように、プリフォーム300を線引きして、コア領域302に形成されたコア102、クラッド領域304に形成されたクラッド104、及び1つ又は複数の孔306に形成された1つ又は複数のインサート110を含む光ファイバが形成され得る。いくつかの実施態様において、プリフォーム300を線引きするステップは、プリフォーム300の線引き中に光ファイバの長手方向の長さ210に沿って1つ又は複数のインサート110の幾何学的形状を変えることにより、コア102の幾何学的形状を変えるステップを含む。
【0068】
プロセス600は、以下に記載し且つ/又は本明細書の他の箇所に記載の1つ又は複数の他のプロセスに関連して記載する任意の単一の実施態様又は任意の実施態様の組み合わせ等、さらなる実施態様を含み得る。
【0069】
第1実施態様において、光ファイバの長手方向の長さ210に沿ってコア102の幾何学的形状を変えるステップは、プリフォーム300の線引き前に1つ又は複数の孔306に1つ又は複数のインサート110を入れ、プリフォーム300に対して速度を変えて1つ又は複数の孔306に1つ又は複数のインサート110を通して、光ファイバの長手方向の長さ210に沿って1つ又は複数のインサート110の断面サイズを変えるステップを含み得る。例えば、1つ又は複数のインサート110の断面サイズを変えると、コア102が加圧されて光ファイバの長手方向の長さ210に沿ってコア102の断面サイズを変えることができる。いくつかの態様において、コア102の断面サイズは、1つ又は複数のインサート110の断面サイズの変化率に逆相関(例えば、反比例又は略反比例)する割合で変わり得る。例えば、1つ又は複数のインサート110の断面サイズが大きくなるとコア102の断面サイズが小さくなり、1つ又は複数のインサート110の断面サイズが小さくなるとコア102の断面サイズが大きくなる。
【0070】
単独の又は第1実施態様と組み合わせた第2実施態様において、光ファイバの長手方向の長さ210に沿ってコア102の幾何学的形状を変えるステップは、プリフォーム300の線引き前に1つ又は複数の孔306に気体を充填するステップと、プリフォーム300の線引き中に1つ又は複数の孔306内の気体に加える圧力を変調して、光ファイバの長手方向の長さ210に沿って1つ又は複数のインサート110の断面サイズを変えるステップとを含み、本明細書に記載のように、こうすることでコア102の断面サイズを変えることができる。
【0071】
単独の又は第1及び第2実施態様と組み合わせた第3実施態様において、光ファイバの長手方向の長さ210に沿ってコア102の幾何学的形状を変えるステップは、プリフォーム300の線引き中にプリフォーム300を紡糸して、螺旋構成を有する1つ又は複数のインサート110を形成するステップを含み得る。
【0072】
単独の又は第1~第3実施態様と組み合わせた第4実施態様において、光ファイバの長手方向の長さ210に沿ってコア102の幾何学的形状を変えるステップは、プリフォーム300の線引き中にプリフォーム300の紡糸速度を変えて、光ファイバの長手方向の長さ210に沿って1つ又は複数のインサート110の螺旋ピッチを変えるステップを含み得る。
【0073】
単独の又は第1~第4実施態様と組み合わせた第5実施態様において、プリフォーム300を線引きして光ファイバを形成するステップは、コア及び/又は1つ又は複数のインサート110の幾何学的形状を変える1つ又は複数の機構と同期するマーキング装置を用いて、光ファイバの長手方向の長さ210の始まり及び光ファイバの長手方向の長さ210の終わりで(例えば、端112、114で)光ファイバにマーキングするステップをさらに含み得る。
【0074】
単独の又は第1~第5実施態様と組み合わせた第6実施態様において、光ファイバの長手方向の長さ210に沿ってコア102の断面サイズが変わる割合は、光ファイバの長手方向の長さ210に沿って1つ又は複数のインサート110の断面サイズが変わる割合に逆相関する。
【0075】
単独の又は第1~第6実施態様と組み合わせた第7実施態様において、プリフォームを線引きするステップは、コアの幾何学的形状が変わる間、光ファイバの長手方向の長さに沿って光ファイバのほぼ一定の外径を維持するように、閉ループフィードバック機構を用いてプリフォームを線引きするステップを含み得る。
【0076】
単独の又は第1~第7実施態様と組み合わせた第8実施態様において、1つ又は複数のインサートは、プリフォームよりも低い融点を有するドープガラスからなり得ることにより、プリフォームの線引き時に、1つ又は複数のインサートは、プリフォームよりも粘度が低く、速度差をつけて1つ又は複数の孔により容易に通される。いくつかの実施態様において、ドープガラスのドーパントは、リン、ゲルマニウム、フッ素、又はホウ素のうち1つ又は複数であり得る。
【0077】
図6はプロセス600の例示的なブロックを示すが、いくつかの実施態様において、プロセス600は、図6に示すものに対して追加のブロック、より少ないブロック、異なるブロック、又は異なる配置のブロックを含み得る。追加として又は代替として、プロセス500のブロックの2つ以上を並行して実行してもよい。
【0078】
本明細書に記載のいくつかの実施態様は、光ファイバの入力端から光ファイバの出力端へ信号光を導くための1つ又は複数の活性イオンをドープしたコア102と、光ファイバの入力端から光ファイバの出力端へポンプ光を導くためのコア102を包囲するクラッド104と、コア102を包囲するクラッド104に形成された1つ又は複数のインサート110とを含む光ファイバを提供する。いくつかの実施態様において、上述のように、1つ又は複数のインサート110のそれぞれが、光ファイバの長手方向の長さ210に沿って変わる幾何学的形状を有することができ、1つ又は複数のインサート110の幾何学的形状は、光ファイバの長手方向の長さ210に沿ってポンプ光の吸収を変調させるように、光ファイバの長手方向の長さ210に沿って変わることができる。
【0079】
例えば、いくつかの実施態様において、光ファイバの長手方向の長さ210に沿って変わる1つ又は複数のインサート110の幾何学的形状は、上述のように、光ファイバの入力端から出力端にかけて大きくなり得る1つ又は複数のインサート110の断面サイズを含み得る。この場合、図1A図1B、及び図2に示すように、光ファイバは、入力端となるよう配置された第1端112及び出力端となるよう配置された第2端114を含み得る。さらに、1つ又は複数のインサート110の断面サイズが光ファイバの入力端から出力端にかけて大きくなると、光ファイバの入力端から光ファイバの出力端までポンプスクランブルレートが増加することにより、光ファイバの長手方向の長さ210に沿ってポンプ光の吸収を増加させることができる。いくつかの実施態様において、ポンプスクランブルレートは、コア102の1つ又は複数に対する1つ又は複数のインサート110の位置決め又はクラッド104の外周に応じて変わり得る。
【0080】
いくつかの実施態様において、上述のように、1つ又は複数のインサート110のうち少なくとも1つのインサート110は第1屈折率を有することができ、コア102を包囲するクラッド104は第2屈折率を有することができ、第1屈折率は第2屈折率よりも高い場合がある。この場合、少なくとも1つのインサート110の断面サイズは、光ファイバの入力端から出力端にかけて小さくすることができ、第1端112は出力端となるよう配置され得ると共に第2端114は入力端となるよう配置され得る。さらに、第1屈折率が第2屈折率よりも高いことにより、少なくとも1つのインサート110にポンプ光を捕捉させることができ、少なくとも1つのインサート110の断面サイズが光ファイバの入力端から出力端にかけて小さくなることで、捕捉されたポンプ光を光ファイバの長手方向の長さ210に沿って光ファイバの入力端からクラッド104に下流で放出させることができる。
【0081】
いくつかの実施態様において、上述のように、光ファイバは、光ファイバの長手方向の長さ210に沿って複数の場所でポンピングされてもよく、1つ又は複数のインサート110の幾何学的形状は、光ファイバがポンピングされる複数の場所の近位にある1つ又は複数の領域でポンプ光の吸収を減らすように光ファイバの長手方向の長さ210に沿って変わり得る。
【0082】
いくつかの実施態様において、1つ又は複数のインサート110の断面サイズに加えて且つ/又は断面サイズではなく、光ファイバの長手方向の長さ210に沿って変わる1つ又は複数のインサート110の幾何学的形状は、上述のように光ファイバの長手方向の長さ210に沿って変わる螺旋ピッチを含み得る。
【0083】
いくつかの実施態様において、上述のように、1つ又は複数のインサート110は、クラッド104の第2屈折率とは異なる第1屈折率を有し得る。
【0084】
いくつかの実施態様において、上述のように、1つ又は複数のインサート110は、固体、液体、又は気体のうち1つ又は複数を収容する1つ又は複数のキャビティを含み得る。
【0085】
本明細書に記載のいくつかの実施態様は、光ファイバの入力端から光ファイバの出力端へ信号光を導くための1つ又は複数の活性イオンをドープしたコア102と、光ファイバの入力端から光ファイバの出力端へポンプ光を導くためのコア102を包囲するクラッド104と、コア102を包囲するクラッド104に形成された1つ又は複数のインサート110とを含む光ファイバを提供する。いくつかの実施態様において、上述のように、コア102のそれぞれが、光ファイバの長手方向の長さ210に沿って変わる幾何学的形状を有することができ、コア102の幾何学的形状は、光ファイバの長手方向の長さ210に沿ってポンプ光の吸収を変調させるように光ファイバの長手方向の長さに沿って変わることができる。
【0086】
例えば、いくつかの実施態様において、光ファイバの長手方向の長さ210に沿って変わるコア102の幾何学的形状は、上述のように、光ファイバの入力端から出力端にかけて大きくなり得るコア102の断面サイズを含み得る。この場合、図1C及び図2Bに示すように、光ファイバは、入力端となるよう配置された第1端112及び出力端となるよう配置された第2端114を含み得る。さらに、コア102の断面サイズが光ファイバの入力端から出力端にかけて大きくなることで、光ファイバの長手方向の長さ210に沿ってポンプ光の吸収を増加させることができる。いくつかの実施態様において、ポンプスクランブルレートは、コア102の1つ又は複数に対する1つ又は複数のインサート110の位置決め又はクラッド104の外周に応じて変わり得る。
【0087】
いくつかの実施態様において、上述のように、1つ又は複数のインサート110のうち少なくとも1つのインサート110は第1屈折率を有することができ、コア102を包囲するクラッド104は第2屈折率を有することができ、第1屈折率は第2屈折率よりも高くすることができる。この場合、少なくとも1つのインサート110の断面サイズは、光ファイバの入力端から出力端にかけて小さくすることができる。さらに、第1屈折率が第2屈折率よりも高いことにより、少なくとも1つのインサート110にポンプ光を捕捉させることができ、また少なくとも1つのインサート110の断面サイズが光ファイバの入力端から出力端にかけて小さくなることで、捕捉されたポンプ光を光ファイバの長手方向の長さ210に沿って光ファイバの入力端からクラッド104に下流で放出させることができる。
【0088】
いくつかの実施態様において、上述のように、光ファイバは、光ファイバの長手方向の長さ210に沿って複数の場所でポンピングされてもよく、コア102の幾何学的形状は、光ファイバがポンピングされる複数の場所の近位にある1つ又は複数の領域でポンプ光の吸収を減らすように、光ファイバの長手方向の長さ210に沿って変わり得る。
【0089】
いくつかの実施態様において、上述のように、光ファイバの外径は、光ファイバの長手方向に沿って実質的に一定のままである。
【0090】
いくつかの実施態様において、上述のように、1つ又は複数のインサート110は、クラッド104の第2屈折率とは異なる第1屈折率を有し得る。
【0091】
いくつかの実施態様において、上述のように、1つ又は複数のインサート110は、固体、液体、又は気体のうち1つ又は複数を収容する1つ又は複数のキャビティを含み得る。
【0092】
上記開示は、図示及び説明を行っているが、網羅的であることも開示された形態そのものに実施態様を限定することも意図していない。変更形態及び変形形態は、上記開示に照らして行うことができるか又は実施態様の実施から得ることができる。
【0093】
特徴の特定の組み合わせが特許請求の範囲に記載され且つ/又は明細書に開示されているが、これらの組み合わせは、種々の実施態様の開示の制限を意図するものではない。実際には、これらの特徴の多くを、具体的に特許請求の範囲に記載されておらず且つ/又は明細書に開示されていない方法で組み合わせることができる。併記の各従属請求項が1つの請求項のみに直接従属している場合があるが、種々の実施態様の開示は、各従属請求項をその請求項の組の他の全ての請求項と組み合わせたものを含む。
【0094】
本明細書で用いるいずれの要素、動作、又は指示も、そのように明記されない限りは重要又は必須であるものと解釈されるべきではない。また、本明細書で用いる場合の不定冠詞「a」及び「an」は、1つ又は複数の事項を含むことを意図し、「1つ又は複数」と交換可能に用いることができる。さらに、本明細書で用いる場合の定冠詞「the」は、定冠詞「the」に関連して言及される1つ又は複数の事項を含むことを意図し、「1つ又は複数」と交換可能に用いることができる。さらに、本明細書で用いる場合の用語「組」は、1つ又は複数の事項(例えば、関係事項、無関係事項、関係及び無関係事項の組み合わせ等)を含むことを意図し、「1つ又は複数」と交換可能に用いることができる。1つの事項のみが意図される場合、語句「1つのみ」又は同様の文言が用いられる。また、本明細書で用いる場合の用語「有する」等は、オープンエンドな用語であることを意図する。さらに、語句「に基づく」は、特に明記のない限り、「に少なくとも部分的に基づく」を意味することを意図する。また、本明細書で用いる場合の用語「又は」は、列挙中に用いられる場合は包括的であることを意図し、特に明記のない限り(例えば、「いずれか」又は「1つのみ」と組み合わせて用いる場合を除き)、「及び/又は」と交換可能に用いることができる。
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
【外国語明細書】