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特開2023-72681伸縮式アクチュエータ、作動システム及び動きシミュレーション機器
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  • 特開-伸縮式アクチュエータ、作動システム及び動きシミュレーション機器 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023072681
(43)【公開日】2023-05-24
(54)【発明の名称】伸縮式アクチュエータ、作動システム及び動きシミュレーション機器
(51)【国際特許分類】
   F15B 15/16 20060101AFI20230517BHJP
   F15B 15/14 20060101ALI20230517BHJP
【FI】
F15B15/16
F15B15/14 380B
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022179375
(22)【出願日】2022-11-09
(31)【優先権主張番号】110142226
(32)【優先日】2021-11-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】522243370
【氏名又は名称】ブロジェント テクノロジーズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BROGENT TECHNOLOGIES INC.
【住所又は居所原語表記】No.9, Fuxing 4th Road, Qianzhen Dist., Kaohsiung city 806, Taiwan
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】チェン-イー リー
【テーマコード(参考)】
3H081
【Fターム(参考)】
3H081AA05
3H081AA12
3H081CC18
3H081DD02
3H081DD16
3H081DD32
(57)【要約】      (修正有)
【課題】伸縮式アクチュエータの動作中の過度の出力の問題に対処すること。
【解決手段】伸縮式アクチュエータ100は、第1中空キャビティ116を有する第1セグメント102と、第2中空キャビティ118を有する第2セグメント104と、第3中空キャビティ120を有する第3セグメント106と、第1ポート110及び第2ポート112とを含む。第2セグメントは、第1中空キャビティを介して第1セグメントに摺動可能に接続され、第3セグメントは、第2中空キャビティを介して第2セグメントに摺動可能に接続され、第2中空キャビティは、第1中空キャビティから隔離され且つ第3中空キャビティと連通する。第1ポートは、第1中空キャビティ内に流体を流入させ及びこれから流出させるように構成され、第2ポートは、第2中空キャビティ及び第3中空キャビティ内に流体を流入させ及びこれから流出させるように構成される。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
伸縮式アクチュエータであって、当該伸縮式アクチュエータは、
第1の中空キャビティを有する第1のセグメントと、
前記第1の中空キャビティを介して前記第1のセグメントに摺動可能に接続される第2のセグメントであって、前記第1の中空キャビティから隔離された第2の中空キャビティを有する第2のセグメントと、
前記第2の中空キャビティを介して前記第2のセグメントに摺動可能に接続される第3のセグメントであって、前記第2の中空キャビティと連通する第3の中空キャビティを有する第3のセグメントと、
流体を前記第1の中空キャビティ内に流入させ及びこれから流出させるように構成された第1のポートと、
流体を前記第2の中空キャビティ及び前記第3の中空キャビティ内に流入させ及び流出させるように構成された第2のポートと、を含む、
伸縮式アクチュエータ。
【請求項2】
前記第2のセグメントは、前記第1の中空キャビティ内に位置しており且つ反対方向に向き合う第1の端面及び第2の端面を有する端部を有しており、前記第1の端面は、前記第1の中空キャビティ内の流体と接触するように構成され、前記第2の端面は、前記第2の中空キャビティ内の流体と接触するように構成され、前記第1の端面は、前記第2の端面の表面積より大きい表面積を有する、請求項1に記載の伸縮式アクチュエータ。
【請求項3】
前記第3のセグメントの端部が、前記第3の中空キャビティ内の流体と接触するように構成された第3の端面を有しており、前記第2の端面の前記表面積は、前記第3の端面の表面積よりも大きい、請求項2に記載の伸縮式アクチュエータ。
【請求項4】
前記第1の中空キャビティは、前記第1の端面と接触して緩衝圧力を生成する流体を受け入れるように構成され、その結果、前記第2及び第3の中空キャビティ内の流体圧力により、前記第2の端面に加えられる反力を相殺する傾向がある、前記第1の端面に加えられる押圧力を生じさせる、請求項2に記載の伸縮式アクチュエータ。
【請求項5】
前記第1のポート及び前記第2のポートは、前記第1のセグメントに配置される、請求項1に記載の伸縮式アクチュエータ。
【請求項6】
前記第1の中空キャビティと連通する第3のポートをさらに含み、該第3のポートは、前記第1のセグメントに配置され、且つ当該伸縮式アクチュエータの縦軸に沿って前記第1のポートから離間しており、前記第2のセグメントは、前記第1のポートと前記第3のポートとの間の前記第1の中空キャビティ内で摺動可能な端部を有する、請求項5に記載の伸縮式アクチュエータ。
【請求項7】
前記第1の中空キャビティは、前記第1のセグメントの第1の端部と第2の端部との間に延びており、前記第1のポート及び前記第2のポートは、前記第1のセグメントの前記第1の端部に配置され、前記第2のセグメントは、前記第1のセグメントの第2の端部から外側に伸びる、請求項5に記載の伸縮式アクチュエータ。
【請求項8】
前記第2のポートは流動管に接続され、それによって、流体が、前記第2のポート及び前記流動管を通って前記第2の中空キャビティ及び前記第3の中空キャビティ内に流入する及びこれから流出することができる、請求項5に記載の伸縮式アクチュエータ。
【請求項9】
前記流動管は、前記第1の中空キャビティ、前記第2の中空キャビティ、及び前記第3の中空キャビティ内に延びる、請求項8に記載の伸縮式アクチュエータ。
【請求項10】
前記第2のセグメントの端部が、前記第1の中空キャビティ内に位置し且つ開口部を有しており、前記流動管は、前記開口部を介して前記第2の中空キャビティ内に延びる、請求項8に記載の伸縮式アクチュエータ。
【請求項11】
前記第2のセグメントの前記端部は、前記開口部に隣接して配置された流体シールを有しており、該流体シールは、前記流動管の周囲に配置される、請求項10に記載の伸縮式アクチュエータ。
【請求項12】
前記第1のポート及び前記第2のポートのいずれかが気体ポート又は液体ポートである、請求項1に記載の伸縮式アクチュエータ。
【請求項13】
動きシミュレーション機器であって、当該動きシミュレーション機器は、
支持ベースと、
1人又は複数人の乗員を支えるように適合された乗員プラットフォームと、
請求項1乃至12のいずれか一項に記載の伸縮式アクチュエータと、を含み、
前記第1のセグメントは前記支持ベースに接続され、前記第3のセグメントは前記乗員プラットフォームに接続される、動きシミュレーション機器。
【請求項14】
作動システムであって、当該作動システムは、
複数の伸縮式セグメント、第1のポート及び第2のポートを含む伸縮式アクチュエータであって、前記伸縮式セグメントは、第1の中空キャビティを有する第1のセグメントと、第2の中空キャビティを有する第2のセグメントとを少なくとも含み、前記第2のセグメントは、前記第1の中空キャビティを介して前記第1のセグメントに摺動可能に接続され、前記第1の中空キャビティ及び前記第2の中空キャビティは互いに隔離されており、前記第1のポートは流体を前記第1の中空キャビティ内に流入させ及びこれから流出させるように構成されており、前記第2のポートは流体を前記第2の中空キャビティ内に流入させ及びこれから流出させるように構成される、伸縮式アクチュエータと、
第1の導管及び第2の導管を介して前記第1のポート及び前記第2のポートにそれぞれ接続される圧力源と、を含み、
前記第2のセグメントは、前記第1の中空キャビティ内に位置し且つ反対方向に向き合う第1の端面及び第2の端面を有する端部を有しており、前記第1の端面は、前記第1の中空キャビティ内の流体と接触するように構成され、前記第2の端面は、前記第2の中空キャビティ内の流体と接触するように構成され、前記圧力源は、前記第1の中空キャビティ及び前記第2の中空キャビティ内に異なる流体圧力を生成するように動作可能であり、それによって、前記第2のセグメントは、フローティング状態にあり且つストップ・アンド・ゴー(stop-and-go)方式で伸長方向に移動可能である、
作動システム。
【請求項15】
前記圧力源は、第1の蓄圧器及び第2の蓄圧器を含み、前記第1の蓄圧器は前記第1の導管に接続され、前記第2の蓄圧器は前記第2の導管に接続される、請求項14に記載の作動システム。
【請求項16】
前記第1のポート及び前記第2のポートは、前記第1のセグメントに配置される、請求項14に記載の作動システム。
【請求項17】
前記第1の中空キャビティは、前記第1のセグメントの第1の端部と第2の端部との間に延びており、前記第1のポート及び前記第2のポートは、前記第1のセグメントの前記第1の端部に配置され、前記第2のセグメントは、前記第1のセグメントの前記第2の端部から外側に延びる、請求項16に記載の作動システム。
【請求項18】
前記第2のポートは流動管に接続され、それによって、流体が、前記第2のポート及び前記流動管を通って前記第2の中空キャビティ内に流入及びこれから流出できる、請求項16又は17に記載の作動システム。
【請求項19】
前記第2のセグメントの端部が、前記第1の中空キャビティ内に位置し且つ開口部を有しており、前記流動管は、前記開口部を介して前記第2の中空キャビティ内に延びる、請求項18に記載の作動システム。
【請求項20】
前記第2のセグメントの前記端部は、前記開口部に隣接して配置された流体シールを有しており、該流体シールは、前記流動管の周囲に配置される、請求項19に記載の作動システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2021年11月12日に出願した台湾特許出願第110142226号に対する優先権を主張する。
【0002】
本発明は、伸縮式アクチュエータに関し、特に、作動(actuating)システム及び動き(motion)シミュレーション機器と共に使用するのに適した伸縮式アクチュエータに関する。
【背景技術】
【0003】
伸縮式アクチュエータは、スペースが限られた環境での使用に適している。従来、伸縮式アクチュエータは複数の可動式シリンダを含み、中間シリンダは、中間シリンダが次のシリンダに接触してその結果として停止するまで、前のシリンダと共に伸長(extend)することができる。逆に、収縮(retract:後退)時には、前のシリンダが、まず中間シリンダに接触し、次に中間シリンダを収縮させる。
【0004】
実際には、従来の伸縮式アクチュエータは、動作中に予想される出力を超える出力を供給する可能性があり、シリンダ同士の間で発生する衝突は、望ましくない振動及び騒音を発生させ、構造的損傷を引き起こす可能性がある。振動及び騒音を低減するために、従来のアプローチでは、衝突エネルギーを吸収するためにばねを追加していた。しかしながら、ばねを追加しても、シリンダ同士の間の衝突を完全になくすことはできず、依然として動作中の過度の出力力の問題に対処することはできない。
【0005】
従って、少なくとも前述の問題に対処できる構造が必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
本願は、少なくとも前述の問題に対処できる伸縮式アクチュエータ及び作動システム、並びに伸縮式アクチュエータを組み込んだ動きシミュレート機器について説明する。
【0007】
一実施形態によれば、伸縮式アクチュエータは、第1の中空キャビティを有する第1のセグメントと、第2の中空キャビティを有する第2のセグメントと、第3の中空キャビティを有する第3のセグメントと、第1及び第2のポートとを含む。第2のセグメントは、第1の中空キャビティを介して第1のセグメントに摺動可能に接続され、第3のセグメントは、第2の中空キャビティを介して第2のセグメントに摺動可能に接続され、第2の中空キャビティは、第1の中空キャビティから隔離(insulate)され、且つ第3の中空キャビティと連通する。第1のポートは、第1の中空キャビティ内に流体を流入させ及びこれから流出させるように構成され、第2のポートは、第2の中空キャビティ及び第3の中空キャビティ内に流体を流入させ及びこれから流出させるように構成される。
【0008】
一実施形態によれば、動きシミュレーション機器は、支持ベースと、1人又は複数人の乗員を支えるように適合された乗員プラットフォームと、伸縮式アクチュエータとを含み、伸縮式アクチュエータの第1のセグメントは支持ベースに接続され、伸縮式アクチュエータの第3のセグメントは、乗員プラットフォームに接続される。
【0009】
一実施形態によれば、作動システムは、伸縮式アクチュエータと、圧力源とを含む。伸縮式アクチュエータは、複数の伸縮式セグメントと、第1のポート及び第2のポートとを含み、伸縮式セグメントは、第1の中空キャビティを有する第1のセグメントと、第2の中空キャビティを有する第2のセグメントとを少なくとも含み、第2のセグメントは第1の中空キャビティを介して第1のセグメントに摺動可能に接続され、第1及び第2の中空キャビティは互いに隔離されており、第1のポートは、第1の中空キャビティ内に流体を流入させ及びこれから流出させるように構成され、第2のポートは、第2の中空キャビティ内に流体を流入させ及びこれから流出させるように構成される。圧力源は、第1の導管及び第2の導管を介して第1のポート及び第2のポートにそれぞれ接続される。第2のセグメントは、第1の中空キャビティ内に位置し且つ反対方向に向き合う第1の端面及び第2の端面を有する端部を有しており、第1の端面は、第1の中空キャビティ内の流体と接触するように構成され、第2の端面は、第2の中空キャビティ内の流体と接触するように構成され、圧力源は、第1の中空キャビティ及び第2の中空キャビティに異なる流体圧力を発生させるように動作可能であり、それによって、第2のセグメントは、フローティング状態にあり、且つストップ・アンド・ゴー(stop-and-go)方式で伸長方向に移動可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】伸縮式アクチュエータの一実施形態を示す斜視図である。
図2】別の視角の下での図1の伸縮式アクチュエータを示す斜視図である。
図3図1に示される伸縮式アクチュエータの断面図である。
図4】作動システムの一実施形態を示す概略図である。
図5】動きシミュレーション機器の一実施形態を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1及び図2は、伸縮式アクチュエータ100の一実施形態を異なる視野角の下で示す斜視図であり、図3は、伸縮式アクチュエータ100を示す断面図である。図1図3を参照すると、伸縮式アクチュエータ100は、3つのステージ又はセグメント102、104、及び106と、複数のポート110及び112とを含む。セグメント102、104、及び106のそれぞれは、中空内部を有する管状ロッドとして形成することができる。セグメント102、104、及び106は、互いに摺動可能に接続され得るので、セグメント104及び106がセグメント102に対して伸縮式アクチュエータ100の縦軸Xに沿って摺動して外側に伸長し、内側に収縮することができる。伸縮式アクチュエータ100は、流体を内部に流すことによって作動され、流体は、セグメント104及び106の伸縮運動中に、ポート110及び112を通ってセグメント102、104、及び106内に流入する及び/又はこれらから流出することができる。例えば、流体は、ポート110及び112を通ってセグメント102、104、及び106内に流入し、セグメント104及び106を伸長させることができる。内部流体圧力から生じる反力(opposite force:反対方向の力)より大きい外力を加えることによってセグメント104及び106が収縮するときに、流体は、ポート110及び112を通ってセグメント102、104、及び106から流出することができる。
【0012】
図1図3を参照すると、セグメント102は、セグメント102の対向する両端102A及び102Bの間に延びており且つセグメント102の側壁102Cによって少なくとも部分的に画定される中空キャビティ116を有する。側壁102Cは、縦軸Xに沿って延びており、且つセグメント102の両端102A及び102Bに接続される。セグメント104は、セグメント104の対向する両端104A及び104Bの間に延びており且つセグメント104の側壁104Cによって少なくとも部分的に画定される中空キャビティ118を有する。側壁104Cは、縦軸Xに沿って延びており、且つセグメント104の両端104A及び104Bに接続される。側壁106は、セグメント106の対向する両端106Aと106Bとの間に延びており且つセグメント106の側壁106Cによって少なくとも部分的に画定される中空キャビティ120を有する。側壁106Cは、縦軸Xに沿って延びており、セグメント106の両端106A及び106Bに接続される。
【0013】
セグメント104は、セグメント104の端部104Aがセグメント102の両端102Aと102Bとの間の中空キャビティ116内に配置された状態で、中空キャビティ116を介してセグメント102に摺動可能に接続され、セグメント104の端部104Bは、セグメント102の端部102Bから外側に延びる。これにより、セグメント104は、セグメント102に対して縦軸Xに沿って摺動し、セグメント102の端部102Bでセグメント102内に収縮するか、セグメント102の外側に伸長することができる。セグメント102に対するセグメント104の経路は、セグメント102の両端102A及び102Bによって画定することができ、セグメント102に対するセグメント104の最大伸長長さは、セグメント104の端部104Aをセグメント102の端部102Bに隣接して配置する状態に対応することができる。
【0014】
セグメント106は、セグメント106の端部106Aがセグメント104の両端104Aと104Bとの間の中空キャビティ118内に配置された状態で、中空キャビティ118を介してセグメント104に摺動可能に接続され、セグメント106の端部106Bはセグメント104の端部104Bから外側に延びる。これにより、セグメント106は、セグメント102及び104に対して縦軸Xに沿って摺動し、セグメント104の端部104Bでセグメント104内に収縮するか、セグメント104の外側に伸長することができる。セグメント104に対するセグメント106の経路は、セグメント104の両端104A及び104Bによって区画することができ、セグメント104に対するセグメント106の最大伸長長さは、セグメント106の端部106Aをセグメント104の端部104Bに隣接して配置する状態に対応することができる。
【0015】
伸縮式アクチュエータ100内では、セグメント104の中空キャビティ118とセグメント106の中空キャビティ120とが、互いに連通し、接続キャビティを形成するので、中空キャビティ118及び120のいずれかに供給される流体は、その中に実質的に等しい圧力を発生させることができる。例えば、中空キャビティ118内のセグメント106の端部106Aは、セグメント106の中空キャビティ120がセグメント104の中空キャビティ118と連通できる開口部122を有することができる。さらに、セグメント104の中空キャビティ118及びセグメント106の中空キャビティ120は、セグメント102の中空キャビティ116から隔離されているので、中空キャビティ116と中空キャビティ118及び120との間に流体が流れない。従って、流体が、中空キャビティ116と、中空キャビティ118及び120によって形成された接続キャビティとにそれぞれ流入し、その中に異なる圧力を発生させることができる。
【0016】
一実施形態によれば、セグメント104の中空キャビティ118は、セグメント102の中空キャビティ116から隔離することができるので、中空キャビティ116と中空キャビティ118との間に流体が流れない。例えば、セグメント102の中空キャビティ116内のセグメント104の端部104A及び側壁104Cは、セグメント102の中空キャビティ116からセグメント104の中空キャビティ118を隔離することができるので、セグメント102の中空キャビティ116は、セグメント104の中空キャビティ118及びセグメント106の中空キャビティ120と連通していない。従って、流体は、中空キャビティ118及び120の接続キャビティと、セグメント102の端部102Aとセグメント104の端部104Aとの間の中空キャビティ116内の空間とにそれぞれ流入して、その中に異なる圧力を発生させることができる。
【0017】
構造の一例によれば、セグメント104の端部104Aは、セグメント102の端部102Aとセグメント104の端部104Aとの間の中空キャビティ116内の空間を、セグメント102の端部102Bとセグメント104の端部104Aとの間の中空キャビティ116内の空間から隔離するように構成された流体シール123が設けられた周囲(部)を有することができ、これにより、隔離した2つの空間で流体が流れるのを防止することができる。
【0018】
構造の別の例によれば、流体シール123を省略してもよく、制限された流体の流入が、セグメント102の端部102Aとセグメント104の端部104Aとの間の中空キャビティ116内の空間と、セグメント102の端部102Bとセグメント104の端部104Aとの間の中空キャビティ116内の空間との間で許容され得る。
【0019】
図1図3を参照すると、ポート110は、セグメント102の中空キャビティ116と連通することができるので、流体は、ポート110を通って中空キャビティ116内に流入する及びこれから流出することができる。構造の一例によれば、ポート110はセグメント102に設けられる。例えば、ポート110は、セグメント102の端部102Aに配置することができ、セグメント102の端部102Aの内側に設けられたチャネル124を介して中空キャビティ116と連通することができる。これにより、流体が、ポート110及びチャネル124を通って、セグメント102の端部102Aとセグメント104の端部104Aとの間の中空キャビティ116の内側に位置する空間に流入する及びこれから流出することができる。
【0020】
ポート112は、セグメント104の中空キャビティ118及びセグメント106の中空キャビティ120と連通することができるので、流体は、ポート112を通って中空キャビティ118及び120内に流入する及びこれらから流出することができる。構造の一例によれば、ポート112は、セグメント102に設けることができ、セグメント102の内側に配置された流動管126に接続することができ、それにより、流体は、ポート112及び流動管126を通って中空キャビティ118及び120内に流入する及びこれらから流出することができる。例えば、セグメント104の端部104Aは開口部128を有することができ、流動管126は、セグメント102の中空キャビティ116内でセグメント102の端部102Aに接続され、セグメント102の端部102Aの開口部128を通って中空キャビティ118内に延びることができる。ポート112は、セグメント102の端部102Aに配置することができ、セグメント102の端部102Aの内側に設けられたチャネル130を介して流動管126に接続することができる。これにより、ポート112、チャネル130、及び流動管126は互いに連通することができる。流動管126は縦軸Xに沿って延びており、セグメント102に対するセグメント104の最大伸長を収容するように構成された長さを有する。構造の一例によれば、流動管126は、セグメント102の中空キャビティ116内の縦軸Xに沿って延び、端部104Aの開口部128を介してセグメント104の中空キャビティ118内に延び、端部106Aの開口部122を介してセグメント106の中空キャビティ120内に延びることができる。
【0021】
構造の一例によれば、セグメント104の端部104Aは、開口部128に隣接して配置された流体シール132を有することができる。流体シール132は、流体がセグメント102の中空キャビティ116とセグメント104の中空キャビティ118との間の開口部128を通って流れるのを防止するように、流動管126の周囲に配置することができる。これにより、セグメント102の端部102Aとセグメント104の端部104Aとの間のセグメント104の中空キャビティ116内の空間を、セグメント104の中空キャビティ118から隔離することができる。
【0022】
伸縮式アクチュエータ100内で、セグメント104の端部104Aは、セグメント102の中空キャビティ116の内側に位置し、反対方向に向き合う2つの端面134及び136を有する。端面134は中空キャビティ116内の流体と接触するように構成され、端面136は中空キャビティ118内の流体と接触するように構成され、端面134は端面136の表面積よりも大きな表面積を有することができる。さらに、セグメント106の端部106Bは、セグメント104の端部104Aに面し且つ中空キャビティ120内の流体と接触するように構成された端面138を有しており、端面136は、表面138の表面積より大きい表面積を有する。
【0023】
以上の構成により、セグメント102の端部102Aとセグメント104の端部104Aとの間の中空キャビティ116内に流体を流して、その中に流体圧P1を発生させることができ、セグメント104の中空キャビティ118及びセグメント106の中空キャビティ120内に流体を流して、その中に流体圧力P1とは異なり得る流体圧力P2を発生させることができる。こうして、動作中に、セグメント102の中空キャビティ116は、端面134と接触して緩衝圧力を生成する流体を受け取ることができ、その結果、中空キャビティ118及び120内の流体圧力により端面136に加えられる反力を相殺する傾向のある押圧力を端面134に加えることができる。従って、セグメント104は、縦軸Xに沿った伸長及び収縮運動の間に、セグメント102及び106に対してフローティング状態になるように構成され得、これにより、望ましくない振動及び騒音を発生させ得るような、セグメント102及び106に対するセグメント104の過剰な衝撃が防止される。
【0024】
いくつかの実施形態によれば、伸縮式アクチュエータ100は圧縮ガスによって駆動され、ポート110及び112はガスポートである。他の実施形態によれば、伸縮式アクチュエータ100は気体及び液体によって駆動され、ポート110及び112の一方は圧縮気体の通路を受け入れるように構成された気体ポートであり、ポート110及び112の他方は液体の通路を受け入れるように構成された液体ポートである。いくつかの他の変形実施形態によれば、伸縮式アクチュエータ100は液体によって駆動され、ポート110及び112は液体ポートである。
【0025】
必要に応じて、伸縮式アクチュエータ100は、セグメント104及び106の動作中に流体を流すように構成された追加のポートを含むことができる。例えば、図3に示されるように、セグメント102は、端部102Bに隣接して配置されたポート140を有することができる。ポート140は、縦軸Xに沿ってポート110及び112から離間されており、セグメント102の端部102Bとセグメント104の端部104Aとの間の中空キャビティ116内の空間と連通する。セグメント104の端部104Aは、セグメント102の中空キャビティ116内で2つのポート110と140との間で摺動することができ、流体の流出はポート140を通って発生する一方、流体の流入はポート110及び112を通って発生し、流体の流入はポート140を通って発生する一方、流体の流出はポート110及び112を通って発生することができる。
【0026】
図1図3と共に、図4は、作動(actuating)システム150の一実施形態を示す概略図である。図1図4を参照すると、作動システム150は、伸縮式アクチュエータ100と、圧力源152とを含む。圧力源152は、導管154を介して伸縮式アクチュエータ100のポート110に接続され、導管156を介して伸縮式アクチュエータ100のポート112に接続される。動作中に、圧力源152によって供給される1つ又は複数の流体は、導管154及び156を通って伸縮式アクチュエータ100に流入する及びこれから流出することができる。圧力源152は、流体圧力を適用するのに適した任意の受動圧力源であり得る。伸縮式アクチュエータ100の負荷の必要性に対応して維持すべき圧力値に従って、受動圧力源は、応力変動に受動的に反応し、流体の流入/流出を引き起こすことができる。例えば、圧力源152は、導管154及び156にそれぞれ接続された少なくとも2つの蓄圧器(pressure accumulators)152A及び152Bを含むことができ、それにより、蓄圧器152A及び152Bによって供給される流体は、それぞれ導管154及び156を通って伸縮式アクチュエータ100内に流入することができる。
【0027】
一実施形態によれば、圧力源152は圧縮ガスを供給することができ、蓄圧器152A及び152Bはガス蓄圧器とすることができる。しかしながら、圧力源152はこの特定の例に限定されないことが理解されよう。蓄圧器152A及び152Bはまた、液体圧力源を形成する液体蓄圧器、又はハイブリッド圧力源を形成するガス及び液体蓄圧器であってもよい。
【0028】
圧力源152は、圧力源152の出力で同じ流体圧力又は異なる流体圧力を供給できるように、1つ又は複数の圧力制御弁を含むことができる。さらに、圧力源152は、導管154及び156を通る流れの速度/方向を制御するための1つ又は複数の流量制御/方向制御弁を含むことができる。一実施形態によれば、流体は、同じ流速で導管154及び156を通って流れることができる。別の実施形態によれば、流体は、異なる流速で導管154及び156を通って流れることができる。
【0029】
伸縮式アクチュエータ100を伸ばすために、圧力源152の蓄圧器152A及び152Bを操作して、セグメント102の端部102Aとセグメント104の端部104Aとの間の中空キャビティ116内に流体を流して、その中に流体圧力P1を発生させ、セグメント104の中空キャビティ118及びセグメント106の中空キャビティ120内に流体を流して、その中に流体圧力P2を発生させることができ、流体圧力P1は流体圧力P2と異なるようにすることができる。流体圧力P2は、セグメント106の端面138に伸長方向に加えられる力F1をもたらすことができ、これにより、セグメント106がセグメント102及び104に対して伸長方向に摺動する。さらに、流体圧力P2はまた、セグメント104の端面136に、伸長方向とは反対の収縮方向に加えられる反力F2を発生させることができる。流体圧力P1を調整することにより、セグメント104の端面134に伸長方向に加えられる結果として生じる押圧力F3は、反力F2を相殺する傾向があり、それによって、セグメント104は、動作中に一時的に静止したままであり得る。
【0030】
反力F2と押圧力F3とが互いに略等しい間に、セグメント106の伸長は、中空キャビティ118及び120によって形成される接続キャビティの容積を増大させることができる。その結果、反力F2が小さくなり、押圧力F3が反力F2よりも大きくなり、セグメント104をセグメント102に対して伸長方向に摺動させることができる。端面134の表面積が、端面136の表面積及び端面138の表面積よりも大きいので、セグメント102の端部102Aとセグメント104の端部104Aとの間の中空キャビティ116の内部で容積増大は、セグメント104及び106の伸長中に中空キャビティ118及び120によって形成される接続キャビティの容積増大よりも大きくなり得る。従って、流体を同じ流速で伸縮式アクチュエータ100内に流すときに、セグメント102の端部102Aとセグメント104の端部104Aとの間の中空キャビティ116内の容積を充填するのに比較的長い時間が必要であり、その結果、セグメント104の伸長速度はセグメント106の伸長速度より僅かに遅くなる。セグメント104が一定の長さ伸びた後に、反力F2及び押圧力F3は略等しくなり得、セグメント104は再び一時的に停止する。セグメント106が伸長方向に連続的に移動している間に、こうして、セグメント104は、フローティング状態になり、ストップ・アンド・ゴー(stop-and-go)方式でゆっくりと伸長することができる。これにより、セグメント104がその伸長経路の終点に到達したときに、セグメント104がセグメント102に対して過剰な衝撃を与えることを防止でき、それにより望ましくない振動及び騒音の発生を防止することができる。
【0031】
伸縮式アクチュエータ100を収縮させるために、ポート110及び112を通して流体の放出を行うことができ、セグメント106は、セグメント102及び104に対して外部負荷がかかると、セグメント102及び104に対して収縮方向に摺動することができる。セグメント106の収縮により、中空キャビティ118及び120によって形成された接続キャビティの容積を減少させることができる。その結果、反力F2は、押圧力F3よりも僅かに大きくなり得、これにより、セグメント104がセグメント102に対して収縮方向に摺動する。端面134の表面積が、端面136の表面積及び端面138の表面積よりも大きいため、セグメント102の端部102Aとセグメント104の端部104Aとの間の中空キャビティ116内で発生する容積減少は、セグメント104及び106の収縮中に、中空キャビティ118及び120によって形成される接続キャビティの容積減少よりも大きくなり得る。従って、セグメント102の端部102Aとセグメント104の端部104Aとの間の中空キャビティ116内の容積からの流体の放出には、比較的長い時間が必要とされ、その結果、セグメント104の収縮速度がセグメント106の収縮速度よりも遅くなる。セグメント104が特定の長さだけ収縮した後に、反力F2及び押付力F3が略等しくなり得、セグメント104が再び一時停止する。セグメント106が収縮方向に連続的に移動している間に、こうして、セグメント104はフローティング状態になり、ストップ・アンド・ゴー方式でゆっくりと収縮(retract:後退)することができる。これにより、セグメント106が収縮経路の終点に達したときに、セグメント106がセグメント104に過度に衝突することを防止でき、それにより望ましくない振動及び騒音の発生を防止することができる。
【0032】
図1図4と共に、図5は、動き(motion)シミュレーション機器200の一実施形態を示す概略図である。図1図5を参照すると、動きシミュレーション機器200は、支持ベース202、乗員プラットフォーム204、伸縮式アクチュエータ100、圧力源152、及び導管154及び156を含むことができる。支持ベース202は、略水平に延びることができ、乗員プラットフォーム204及び伸縮式アクチュエータ100に支持を与えることができる。構造の一例によれば、支持ベース202はプレート構造を含むことができる。
【0033】
乗員プラットフォーム204は、支持ベース202の上に配置され、1人又は複数人の乗員を支えるように適合される。伸縮式アクチュエータ100は、支持ベース202と乗員プラットフォーム204との間に配置され、伸縮式アクチュエータ100のセグメント102は支持ベース202に接続され、伸縮式アクチュエータ100のセグメント106は乗員プラットフォーム204に接続される。前述したように、圧力源152は、導管154及び156を介して伸縮式アクチュエータ100のポート110及び112にそれぞれ接続することができる。動作中に、伸縮式アクチュエータ100は、伸縮して、乗員プラットフォーム204の上向き及び下向きの動きを生じさせることができる。
【0034】
図5の図示の例には伸縮式アクチュエータ100が1つ示されているが、動きシミュレーション機器200は図示の例に限定されないことが理解されよう。動きシミュレーション機器200は、必要に応じて乗員プラットフォーム204の様々な動作を駆動するための他のアクチュエータ(図示せず)を含むことができる。
【0035】
本明細書に説明した構造の利点には、伸縮自在に接続された複数のセグメントを有する伸縮式アクチュエータを提供する能力が含まれ、セグメントのうちの1つは、フローティング状態にあり、動作中にストップ・アンド・ゴー方式で伸長又は収縮するように構成することができる。これにより、望ましくない振動及び騒音を発生させ、構造上の損傷を引き起こす可能性のある、セグメント同士の間の過度の衝撃を防ぐことができる。本明細書で説明した伸縮式アクチュエータは、作動システムでの使用に適しており、動きシミュレーション機器等の用途に特に有利であり得る。
【0036】
構造の具現化について、特定の実施形態の文脈においてのみ説明してきた。これらの実施形態は、例示を目的としており、限定するものではない。多くの変形、変更、追加、及び改良が可能である。従って、単一のインスタンスとして本明細書に説明している構成要素に対して複数のインスタンスを提供することができる。例示的な構成において別個の構成要素として提示される構造及び機能は、組み合わされた構造又は構成要素として実装され得る。これら及びその他の変形、変更、追加、及び改良は、以下の特許請求の範囲内に含まれ得る。

図1
図2
図3
図4
図5
【外国語明細書】