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特開2023-72683カメラモニタシステム用の自動赤外線LED制御
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  • 特開-カメラモニタシステム用の自動赤外線LED制御 図1A
  • 特開-カメラモニタシステム用の自動赤外線LED制御 図1B
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023072683
(43)【公開日】2023-05-24
(54)【発明の名称】カメラモニタシステム用の自動赤外線LED制御
(51)【国際特許分類】
   H04N 7/18 20060101AFI20230517BHJP
   B60R 1/26 20220101ALI20230517BHJP
【FI】
H04N7/18 J
B60R1/26 100
B60R1/26 200
H04N7/18 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022179516
(22)【出願日】2022-11-09
(31)【優先権主張番号】63/278635
(32)【優先日】2021-11-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/979285
(32)【優先日】2022-11-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】519088568
【氏名又は名称】ストーンリッジ エレクトロニクス アーベー
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】メン、 イファン
(72)【発明者】
【氏名】マ、 リャン
(72)【発明者】
【氏名】クープライダー、 トロイ
【テーマコード(参考)】
5C054
【Fターム(参考)】
5C054CA05
5C054CB02
5C054CB03
5C054CB04
5C054FC12
5C054HA30
(57)【要約】      (修正有)
【課題】暗視用の赤外線LEDを使用するカメラモニタシステム(CMS)において低光状況で運転者の視認性を向上させるカメラモニタシステム及び方法を提供する。
【解決手段】カメラモニタシステムCMS30は、所望の視野の画像をキャプチャするように構成される画像キャプチャユニット36を備えたカメラ20を有するカメラアーム16を含む。ディスプレイ18は、所望の視野を表示する。赤外線LED38、40は、所望の視野の少なくとも一部である赤外線LED照明領域26、28を照らす。コントローラは、画像キャプチャユニット及び赤外線LEDと通信可能であり、キャプチャされた画像から少なくとも第1の関心領域(ROI)及び第2のROIを選択する。第1のROIは、周囲光の量を示す。コントローラは、第1のROIの輝度及び/又は第2のROIの輝度に基づいて赤外線LED状態を調節する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所望の視野の画像をキャプチャするように構成される画像キャプチャユニットを備えたカメラを有するカメラアームと、
所望の視野を表示するように構成されるディスプレイと、
所望の視野の少なくとも一部を照らすように構成される赤外線LEDと、
前記画像キャプチャユニット及び前記赤外線LEDと通信するコントローラと
を備えるカメラモニタシステムにおいて、
前記コントローラは、キャプチャされた画像から少なくとも第1及び第2の関心領域(ROI)を選択するように構成され、前記第1の関心領域は周囲光の量を示し、
前記コントローラは、前記第1及び第2の関心領域のそれぞれの輝度を決定するように構成され、
前記コントローラは、前記第1の関心領域の輝度に基づいて前記赤外線LEDの赤外線LED状態を調整するように構成され、
前記コントローラは、前記第2の関心領域の輝度に基づいて前記赤外線LED状態を調節するように構成される、カメラモニタシステム。
【請求項2】
前記第1及び第2の関心領域は、同じ画像の異なる第1の部分及び第2の部分に対応し、前記第1の関心領域は、前記所望の視野において水平線の上であって上空にあり、前記第2の関心領域は、カメラモニタシステムを有する車両に沿って後方にある、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記画像キャプチャユニットは、RGB画像をキャプチャするように構成され、前記コントローラは、前記第1及び第2の関心領域の前記RGB画像をHSVに変換するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記コントローラは、前記赤外線LEDを前記赤外線LEDのオフ状態からオン状態にするか、又は前記オン状態からオフ状態にするように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記コントローラは、完全にオンの赤外線LED状態又は完全にオフの赤外線LED状態以外に赤外線LED照明の量を変化させるように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記コントローラは、車両動作状態に基づいて前記赤外線LED状態を調整するように構成され、オートマチック位置及びマニュアル位置を有するスイッチを含み、
前記コントローラは、前記スイッチが前記オートマチック位置にあることに応答して前記赤外線LED状態を調整するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
車両暗視システムを自動的に制御する方法であって、
所望の視野にある画像をキャプチャするステップと、
キャプチャされた画像から少なくとも第1及び第2の関心領域(ROI)を選択するステップであって、前記第1の関心領域は周囲光の量を示すステップと、
前記第1及び第2の関心領域のそれぞれの輝度を決定するステップであって、前記第1の関心領域は周囲光の量を示すステップと、
前記第1の関心領域の輝度に基づいて赤外線LEDの赤外線LED状態を調整するステップと、
前記第2の関心領域の輝度に基づいて前記赤外線LED状態を調節するステップと
を含む、方法。
【請求項8】
前記第1及び第2の関心領域は、キャプチャされた同じ画像の異なる第1及び第2の部分に対応する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の関心領域は、前記所望の視野において水平線の上であって上空にあり、前記第2の関心領域は、前記暗視システムを有する車両に沿って後方にある、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記所望の視野は、クラスII及びクラスIVの両方のビューを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記画像をキャプチャするステップは、RGB画像をキャプチャすることを含み、前記輝度を決定するステップは、前記第1及び第2の関心領域の前記RGB画像をHSV(色相、彩度、明度)に変換することを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項12】
前記輝度を決定するステップは、明度の中央値を計算することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記輝度を決定するステップは、前記第1及び第2の関心領域のそれぞれに対して前記明度にローパスフィルタを適用することを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記第1及び第2の関心領域のそれぞれに対する前記ローパスフィルタは、互いに異なる、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記輝度を決定するステップは、前記HSVの明度を所望の輝度と比較することを含み、前記赤外線LED状態を調整するステップは、前記明度が前記所望の輝度からのオフセットを超える場合にのみ赤外線LED状態を変化させることを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記赤外線LED状態を調整するステップは、前記赤外線LEDを自動的にオン状態又はオフ状態にすることを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項17】
前記赤外線LED状態を調節するステップは、前記赤外線LEDを前記赤外線LEDのオフ状態からオン状態に、又はオン状態からオフ状態にすることを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記赤外線LED状態を調節するステップは、前記赤外線LEDの完全なオン状態又は完全なオフ状態以外に赤外線LED照明の量を変化させることを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記赤外線LED状態を調整するステップは、車両の動作状態に基づいて実行される、請求項7に記載の方法。
【請求項20】
オートマチック位置及びマニュアル位置を有するスイッチを含み、
前記スイッチが前記オートマチック位置にあることに応答して前記赤外線LED状態を調整するステップが実行される、請求項7に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、暗視用の赤外線LEDを使用するCMSシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
赤外線LEDを使用すると、低光状況で運転者の視認性を向上させることができる。赤外線LEDは、熱を管理するために連続的にオンにならないように制御される。暗視機能付きのカメラモニタシステムを使用すると、車両内で運転者に表示される画像が彩度過剰になり、物体又は人物がはっきりと見えなくなる場合がある。
【発明の概要】
【0003】
1つの例示的な実施形態において、カメラモニタシステムは、所望の視野の画像をキャプチャするように構成される画像キャプチャユニットを備えたカメラを有するカメラアームを含む。システムはさらに、所望の視野を表示するように構成されるディスプレイと、所望の視野の少なくとも一部を照らすように構成される赤外線LEDと、前記画像キャプチャユニット及び前記赤外線LEDと通信するコントローラとを含む。前記コントローラは、キャプチャされた画像から少なくとも第1及び第2の関心領域(ROI)を選択するように構成される。第1のROIは周囲光の量を示す。前記コントローラは、前記第1及び第2のROIのそれぞれの輝度を決定するように構成される。前記コントローラは、前記第1のROIの輝度に基づいて前記赤外線LEDの赤外線LED状態を調整するように構成され、前記コントローラは、前記第2のROIの輝度に基づいて前記赤外線LED状態を調節するように構成される。
【0004】
上記のいずれかのさらなる実施形態において、前記第1のROI及び前記第2のROIは、同じ画像の異なる第1の部分及び第2の部分に対応し、前記第1のROIは、前記所望の視野において水平線の上であって上空にあり、前記第2のROIは、カメラモニタシステムを有する車両に沿って後方にある。
【0005】
上記のいずれかのさらなる実施形態において、前記画像キャプチャユニットは、RGB画像をキャプチャするように構成され、前記コントローラは、前記第1及び第2のROIの前記RGB画像をHSVに変換するように構成される。
【0006】
上記のいずれかのさらなる実施形態において、前記コントローラは、前記赤外線LEDを前記赤外線LEDのオフ状態からオン状態にするか、又は前記オン状態からオフ状態にするように構成される。
【0007】
上記のいずれかのさらなる実施形態において、前記コントローラは、完全にオンの赤外線LED状態又は完全にオフの赤外線LED状態以外の赤外線LED照明の量を変化させるように構成される。
【0008】
上記のいずれかのさらなる実施形態において、前記コントローラは、車両動作状態に基づいて前記赤外線LED状態を調整するように構成され、オートマチック位置及びマニュアル位置を有するスイッチを含む。前記コントローラは、前記スイッチが前記オートマチック位置にあることに応答して前記赤外線LED状態を調整するように構成される。
【0009】
別の例示的な実施形態では、車両暗視システムを自動的に制御する方法は、所望の視野にある画像をキャプチャするステップと、キャプチャされた画像から少なくとも第1及び第2の関心領域(ROI)を選択するステップであって、前記第1のROIは周囲光の量を示すステップと、前記第1及び第2のROIのそれぞれの輝度を決定するステップであって、前記第1のROIは周囲光の量を示すステップと、前記第1のROIの輝度に基づいて赤外線LEDの赤外線LED状態を調整するステップと、前記第2のROIの輝度に基づいて前記赤外線LED状態を調節するステップとを含む。
【0010】
上記のいずれかのさらなる実施形態において、前記第1及び第2のROIは、キャプチャされた同じ画像の異なる第1及び第2の部分に対応する。
【0011】
上記のいずれかのさらなる実施形態において、前記第1のROIは、前記所望の視野において水平線の上であって上空にあり、前記第2のROIは、前記暗視システムを有する車両に沿って後方にある。
【0012】
上記のいずれかのさらなる実施形態において、前記所望の視野は、クラスII及びクラスIVの両方のビューを含む。
【0013】
上記のいずれかのさらなる実施形態において、前記画像をキャプチャするステップは、RGB画像をキャプチャすることを含み、前記輝度を決定するステップは、前記第1及び第2のROIの前記RGB画像をHSV(色相、彩度、明度)に変換することを含む。
【0014】
上記のいずれかのさらなる実施形態において、前記輝度を決定するステップは、明度の中央値を計算することを含む。
【0015】
上記のいずれかのさらなる実施形態において、前記輝度を決定するステップは、前記第1及び第2のROIのそれぞれに対して、前記明度にローパスフィルタを適用することを含む。
【0016】
上記のいずれかのさらなる実施形態において、前記第1及び第2のROIのそれぞれに対する前記ローパスフィルタは、互いに異なる。
【0017】
上記のいずれかのさらなる実施形態において、前記輝度を決定するステップは、前記HSVの明度を所望の輝度と比較することを含み、前記赤外線LED状態を調整するステップは、前記明度が前記所望の輝度からのオフセットを超える場合にのみ赤外線LED状態を変化させることを含む。
【0018】
上記のいずれかのさらなる実施形態において、前記赤外線LED状態を調整するステップは、前記赤外線LEDを自動的にオン状態又はオフ状態にすることを含む。
【0019】
上記のいずれかのさらなる実施形態において、前記赤外線LED状態を調節するステップは、前記赤外線LEDを前記赤外線LEDのオフ状態からオン状態に、又はオン状態からオフ状態にすることを含む。
【0020】
上記のいずれかのさらなる実施形態において、前記赤外線LED状態を調節するステップは、前記赤外線LEDの完全なオン状態又は完全なオフ状態以外の赤外線LED照明の量を変化させることを含む。
【0021】
上記のいずれかのさらなる実施形態において、前記赤外線LED状態を調整するステップは、車両の動作状態に基づいて実行される。
【0022】
上記のいずれかのさらなる実施形態において、方法は、オートマチック位置及びマニュアル位置を有するスイッチを備え、前記スイッチが前記オートマチック位置にあることに応答して前記赤外線LED状態を調整するステップが実行される。
【0023】
本開示は、添付の図面と併せて考慮したとき、以下の詳細な説明を参照することによってさらに理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1A】少なくともクラスII及びクラスIVのビューを提供するために使用されるカメラモニタシステム(CMS)を備えた商用トラックの概略正面図である。
図1B】クラスII、クラスIV、クラスV及びクラスVIのビューを提供するカメラモニタシステムを備えた商用トラックの概略上面図である。
図2】本開示のシステム及び方法による暗視能力を有するCMSの概略図である。
図3図3A及び3Bは、第1及び第2の関心領域を持つ画像キャプチャユニットを使用して、昼間及び夜間に表示されるビューをそれぞれ示している。
図4】第1及び第2の関心領域からの情報を使用して赤外線LEDを制御する方法の例である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
上述の段落の実施形態、例示及び代替物、請求項、又は以下の記載及び図面は、それらの様々な態様又はそれぞれの個別の特徴のいずれかを含めて、独立して、又は任意の組み合わせで採用されてもよい。1つの実施形態に関連して記述された特徴は、そのような特徴に互換性がない場合を除き、全ての実施形態に適用可能である。各種図面内の同様の参照番号及び記号は、同様の要素を示している。
【0026】
商用車両10の概略図を図1A及び図1Bに示す。車両10は、トレーラ14を牽引するための車両運転室又はトラクタ12を含む。車両運転室12及び/又はトレーラ14はどのような構成でもよいことを理解するべきである。本開示では商用トラックが検討されているが、本開示のシステムは他の種類の車両に適用されてもよい。車両10にはカメラモニタシステム(CMS)30(図2)が組み込まれており、これには運転席及び助手席側のカメラアーム16a、16b(概して「16」)が車両運転室12の外側に取り付けられている。必要に応じて、カメラアーム16a、16bには、それらと一体化した従来のミラーも含まれ得るが、CMS30を使用してサイドビューミラーを完全に交換することもできる。追加の例では、各側に複数のカメラアーム16が含まれてよく、各アーム16は1つ以上のカメラ及び/又はミラーを収容する。
【0027】
各カメラアーム16a、16bは、図2に示すように、例えば、運転室12に固定されたベース32を含む。旋回アーム34はベース34によって支持され、手動で又は電動格納機構を使用して、ベースに対して相対的に関節接続されてもよい。図1Bに戻ると、少なくとも1つの後向きカメラ20a、20b(概して「20」)が各カメラアーム内にそれぞれ配置されている。外部カメラ20a、20bはそれぞれ、商用トラック業界で法的に規定されたビューであるクラスII及びクラスIVのビュー(図1B)の少なくとも1つをそれぞれ含む外部視野FOVEX1、FOVEX2を提供する。車両10の所与の側のクラスIIビューは、車両10の同じ側のクラスIVビューのサブセットである。1つの例では、クラスII及びクラスIVの両方のビューが広角ビューを提供する単一のカメラによって提供される。必要に応じて、これらのビューを提供するために、各カメラアーム16a、16bに複数のカメラが使用されてもよい。例えば、クラスII及びクラスIVのビューは欧州のR46法で定義されており、米国及びその他の国でも商用トラックに対して同様の運転視認性要件を定めている。「クラス」ビューへの言及は、限定することを意図したものではなく、特定のカメラによってディスプレイに提供されるビューの種類の例示として意図されている。各アーム16a、16bは、CMS30の様々な特徴を提供するように構成される電子機器を囲むハウジングも提供してもよい。
【0028】
車両10のそれぞれの側にクラスII及びクラスIVのビューを表示するように、Aピラー上又はその近くの車両運転室12内の運転席側及び助手席側のそれぞれに第1及び第2のビデオディスプレイ18a、18b(概して「18」)が配置され、これにより車外カメラ20a、20bによってキャプチャされた車両10に沿った後面側のビューを提供する。クラスII及びクラスIVのビューは、広角カメラから画像の一部を切り取ることによって提供されてもよい。
【0029】
クラスV及びクラスVIのビューの映像も必要な場合、これらのビューを提供するために、車両10の前面又はその近くにカメラハウジング16c及びカメラ20cが配置されてもよい(図1B)。フロントガラスの上部中央付近の運転室12内に配置された第3のディスプレイ18cを使用して、車両10の前方に向かうクラスV及びクラスVIのビューを運転者に表示することができる。ディスプレイ18a、18b、18c(概して、ディスプレイ18)は、運転席26に運転者が着席する運転室22内の運転者領域24に向いている。特定のディスプレイにストリームされるビューの位置、サイズ及び(複数の)視野は、本開示に記載された構成とは異なり得るが、それでも本開示の発明を含んでいる。
【0030】
クラスVIIIのビューの映像が必要な場合、カメラハウジングを車両10の側面及び後部に配置して、車両10のクラスVIIIゾーンの一部又は全てを含む視野を提供することができる。このような例では、第3のディスプレイ18cは、クラスVIIIのビューを表示する1つ以上のフレームを含み得る。或いは、第1、第2及び第3のディスプレイ18a、18b、18cの近くに追加のディスプレイを追加して、クラスVIIIのビューを提供する専用のディスプレイを提供することもできる。
【0031】
概略的に説明するよりも多く又は少数のディスプレイが使用されてもよく、複数のカメラからの表示画像が1つのディスプレイに結合されてもよく、又は特定の視野からの画像が別の画像から分離した別個のディスプレイに提供されてもよいことを理解するべきである。
【0032】
トレーラの後方の領域は、どの車両にとっても共通の死角であるが、特に商用トラックにとっての死角となる。そのため、図1Bに示すように、カメラ20d等のセンサを使用して、トレーラの後部にある見えない物体について運転者にある程度の認識を与えることが望ましい。トレーラの後部でカメラを使用する上での課題は、運転室のディスプレイに映像信号を送信するために使用される長い配線である。専用の配線であれば、システムに大きなコストがかかるであろう。さらに、物体がリアルタイムで表示されるように、画像は最小限又は無遅延で送信する必要がある。
【0033】
図2には、暗視システム30が示されている。システム30は、カメラ20の所望の視野をキャプチャするように構成される画像キャプチャユニット36を含む。カメラ20は、車両運転室12に固定された固定ベース部分32に対して関節接続されるカメラアーム16の枢動部34に配置されている。また、カメラアーム16には、1つ以上の赤外線LED38、40が配置されている。赤外線LEDは、単一の赤外線LEDでも、複数の赤外線LEDの配列であってもよく、それらはまとめて制御されても、互いに独立して制御されてもよい。一例では、第1の赤外線LEDアレイ38が1つの暗視照明領域28を提供し、第2のアレイ40が別の赤外線LED照明領域26を提供し、これは図1Bに示すように車両10の横で照明してもよい。図に示した2つのアレイではなく、単一の赤外線LED又は赤外線LEDのアレイが使用されてもよいことを理解するべきである。
【0034】
図2に戻ると、車両運転室12内に配置され得るコントローラ42は、画像キャプチャユニット36及び赤外線LED38、40と通信している。コントローラ42は、クラスII及びクラスIVのビュー等のディスプレイ18上に所望の形式で、画像キャプチャユニット36からキャプチャされた画像を表示するビデオ処理を含んでもよい。
【0035】
コントローラ42は、様々な入出力装置と通信している。コントローラ42は、車両の動作状態に関する情報をCANバスを介して車両構成要素から受信してもよい。例えば、変速ギアの位置スイッチ48は、車両が前進ギアにあるか又は後退ギアにあるかを示してもよい。車速センサ50は、車速情報を提供する。他の入力装置の例としては、オフ、オートマチック、マニュアルの間を移動可能なスイッチがある。オフ位置では、赤外線LEDはオフ赤外線LED状態に切り替わり、動作不能となる。マニュアル位置では、運転によって、オートマチック動作モードで赤外線LEDがオンになるかどうかに関係なく、赤外線LEDをオン赤外線LED状態に切り替えることができる。オートマチック位置では、コントローラ42はアルゴリズム60を使用し、これは以下により詳細に説明され、図4に示す方法で要約される。
【0036】
図3A及び図3Bを参照すると、ディスプレイ18は、画像キャプチャユニット36によって提供される同じ画像の切り取られた部分として示される少なくとも2つの関心領域(ROI)を含む。これらの領域はディスプレイに表示されるのではなく、
図3A及び3Bは、説明されている機能を提供するために領域が配置される可能性がある場所を示している。必要に応じて、2つより多くのROIが使用されてもよい。コントローラ42は、前述の第1及び第2のROI56、58のそれぞれの平均輝度を決定するように構成される。輝度値は0から1の間で正規化されてもよく、ここで0はピッチブラックであり、1はフルライトである。中間値の0.5は、例えば、昼間と夜間との間の分割点として使用されてもよい。0.5の値は、夜間に彩度過剰状態になり得るかどうか、例えば、夜間に第2のROI58において輝度が0.5未満であるかを判断するためにも使用されてもよい。必要に応じて、他の値が使用されてもよい。
【0037】
第1及び第2のROI56、58はそれぞれ、水平線の上であって上空にあり、車両に沿って、例えばトレーラ14に沿って、後方に画像の部分を提供する。第1のROI56は、周囲光の量、すなわち昼間又は夜間の指示を提供することを意図としている。図示されている例では、第1のROI56内のキャプチャ画像の部分の輝度の平均は、昼間を示す0.77であり(図3A)、0.23の値は夜間を示す(図3B)。第2のROI58は、例えば、ヘッドライトを持つ車両がトラクタ/トレーラを追い越していることによって、赤外線LEDがオンになっているときに視野内の任意の画像又は物体を飽和させ得る照明をキャプチャすることを意図している。
【0038】
スイッチ46がオートマチック位置にある場合、コントローラ42は、第1のROIの輝度に基づいて赤外線LED38及び/又は40の赤外線LED状態を調整するように構成される。すなわち、夜間は赤外線LEDがオンになり、昼間はオフになる。赤外線LEDのオン時間は、必要に応じて、様々な使用事例に基づいて制限される場合がある。例えば、トラクタ/トレーラがバックしている場合、又は5-10mph未満の速度で走行している場合等である。さらなる例として、視認性を向上させるために、バック及び駐車時に両方の赤外線LED38、40が使用されてもよく、車両が前進しているときは一方の赤外線LEDのみが使用されてもよい。
【0039】
赤外線LEDがオンになっている場合、コントローラ42は、第2のROIの輝度に基づいて赤外線LED状態を調整するように構成されてもよい。例えば、赤外線LEDの一部又は全てをオフにするか、又は赤外線LEDの電力を減らして完全にオンにならないようにしてもよい。
【0040】
図4には、車両暗視システムを自動的に制御する方法60又はアルゴリズムが示されている。所望の視野内の画像がキャプチャされる(ブロック62)。所望の視野には、クラスII及びクラスIVの両方のビューが含まれる。少なくとも第1及び第2の関心領域(ROI)が、キャプチャ画像から(例えば、共通の画像から切り取ることによって)選択され(ブロック64)、
第1のROIは周囲光の量を示す。単一のカメラを使用して第1及び第2のROIをキャプチャする必要はなく、
1つ以上のカメラが使用されてもよいことが理解されるべきである。第2のROIは、彩度過剰状態になる可能性のある通過車両等の光源からの照明を拾うように配置される。
【0041】
上記の第1及び第2のROIのそれぞれの輝度が決定される(ブロック66)。1つの例では、画像キャプチャユニットはRGB画像をキャプチャするように構成される。コントローラは、第1及び第2のROIのRGB画像をHSV(色相、彩度、明度)に変換するように構成される。明度(V)は、輝度に対して使用される。変換式の一例を以下に示す。
【0042】
R、G、Bの値を255で割ることで、範囲が0..255から0..1に変わる。
R’=R/255
G’=G/255
B’=B/255
max=max(R’、G’、B’)
min=min(R’、G’、B’)
△=Cmax-min
色相の計算:
【数1】
彩度の計算:
【数2】
明度の計算:
V=Cmax
1つの例では、RGBからHSVへは各ROIの各ピクセルに対して行われ、各ROIの中央値Vが計算されて、その所与の瞬間の特定のROIの輝度(0から1の値)が決定される。
【0043】
第1及び第2のROIの各々のHSVの明度にローパスフィルタが適用され、高周波ノイズ又は時間の経過に伴うVの変動をフィルタリングする。1つの例では、第1及び第2のROIそれぞれに対するローパスフィルタは互いに異なる。例えば、彩度過剰の原因を検出するために使用される第2のROIは、第2のROIのVが第1のROIから導出されるVよりも速く変化する可能性が高いため、第1のROIからのVよりも軽いローパスフィルタを有し得る。
【0044】
各ROIのフィルタリングされたVは、最終的に赤外線LED状態を調整するためのROIの輝度を決定するために使用される。赤外線LED状態は、HSVの明度が所望の輝度からのオフセットを超えてヒステリシスを提供する場合にのみ赤外線LED状態を変化させることによって調整される。例えば、赤外線LEDは、第1のROIのVに基づいて自動的にオンとオフとを切り替えられてもよく、すなわち、昼間及び夜間の周囲光に基づいて赤外線LEDを制御してもよい(ブロック68)。そのため、赤外線LEDは第1のROIで0.5Vを超えてオフに切り替えられ、又は第2のROIで0.5V未満でオンに切り替えられてもよい。しかしながら、0.5V付近での過剰なオン/オフを回避するために、一度オンになると0.3Vに到達したときに赤外線LEDがオフに切り替えられるように、0.2のオフセットが使用されてもよい。同様に、一度赤外線LEDがオフになると、0.7Vに到達したときにのみオンに切り替えられてもよい。第2のROIの彩度過剰検出に基づく赤外線LED状態のさらなる調整(ブロック70)では、第2のROIの輝度に基づいて赤外線LEDの調整がよりアクティブになるように、異なるヒステリシス、例えば、0.1Vのオフセットを使用してもよい。
【0045】
赤外線LEDは、オン/オフ状態でのみ動作する必要はないことを理解するべきである。すなわち、コントローラは、完全にオンの赤外線LED状態又は完全にオフの赤外線LED状態以外に赤外線LED照明の量を変化させてもよい。例えば、第2のROIで検出された彩度過剰状態では、コントローラ42は赤外線LEDの電力を、例えば、100%の電力から30%、50%、又は70%の電力に減らすことができる。
【0046】
コントローラ42は、本願で開示されている様々な機能を実装するために使用され得る。コントローラ42は、1つ以上の個別ユニットを含んでもよい。さらに、コントローラ42の一部が車両内に設けられてもよく、コントローラ42の別の部分が別の場所に配置されてもよい。ハードウェアアーキテクチャに関しては、このようなコンピュータ装置には、ローカルインターフェイスを介して通信可能に結合されるプロセッサ、メモリ、及び1つ以上の入出力(I/O)装置インターフェイスが含まれ得る。ローカルインターフェイスには、例えば、1つ以上のバス及び/又はその他の有線又は無線接続が含まれ得るが、これに限定されない。ローカルインターフェイスには、簡略化のために省略されているが、コントローラ、バッファ(キャッシュ)、ドライバ、リピータ、及び通信を可能にする受信機等の追加の要素が含まれてもよい。さらに、ローカルインターフェイスには、前述の構成要素間の適切な通信を可能にするためのアドレス、制御、及び/又はデータ接続が含まれてもよい。
【0047】
コントローラ42は、ソフトウェア、特にメモリに記憶されたソフトウェアを実行するためのハードウェア装置であってもよい。コントローラ42は、カスタムメイド又は市販のプロセッサ、中央処理装置(CPU)、コントローラ42に関連するいくつかのプロセッサの中の補助プロセッサ、(マイクロチップ又はチップセットの形式の)半導体ベースのマイクロプロセッサ、又は汎用的にソフトウェア命令を実行するための任意の装置であり得る。
【0048】
メモリは、揮発性メモリ素子(例えば、ランダムアクセスメモリ(DRAM、SRAM、SDRAM、VRAM等のRAM))及び/又は不揮発性メモリ素子(例えば、ROM、ハードドライブ、テープ、CD-ROM等)の任意の1つ又は組み合わせを含み得る。さらに、メモリは、電子、磁気、光学、及び/又は他の種類の記憶媒体を組み込んでもよい。メモリは、様々な構成要素が互いに遠隔に配置されるが、プロセッサからアクセスすることができる分散アーキテクチャを有してもよい。
【0049】
メモリ内のソフトウェアには、1つ以上の別個のプログラムが含まれてもよく、それぞれに、論理関数を実装するための実行可能命令の順序付きリストが含まれる。ソフトウェアとして具現化されたシステム構成要素は、ソースプログラム、実行可能プログラム(オブジェクトコード)、スクリプト、又は実行される命令のセットを含むその他の任意のエンティティとして構築されてもよい。ソースプログラムとして構築された場合、プログラムはコンパイラ、アセンブラ、インタプリタ等を介して翻訳されるが、これらはメモリ内に含まれても含まれなくてもよい。
【0050】
(複数の)システムI/Oインターフェイスに結合され得る本開示の入出力装置は、例えば、キーボード、マウス、スキャナ、マイク、カメラ、モバイル装置、近接装置等の入力装置を含み得るが、これらに限定されない。さらに、出力装置は、例えば、ディスプレイ、大気候装置、微気候装置等を含み得るが、これらに限定されない。最後に、入出力装置は、例えば、変調器/復調器(モデム、すなわち、別の装置、システム、又はネットワークにアクセスするため)、無線周波数(RF)又は他のトランシーバ、電話インターフェイス、ブリッジ、ルータ等の入力及び出力の両方として通信する装置をさらに含み得るが、これらに限定されない。
【0051】
コントローラ42が動作しているとき、プロセッサは、メモリ内に格納されたソフトウェアを実行し、メモリとの間でデータを通信し、ソフトウェアに応じてコンピュータ装置の動作を全般的に制御するように構成されてもよい。メモリ内のソフトウェアは、全体又は一部がプロセッサによって読み取られ、多くの場合プロセッサ内でバッファされてから実行される。
【0052】
また、例示された実施形態では特定の構成要素の配置が開示されているが、他の配置も本開示から利益を得られることも理解するべきである。特定のステップシーケンスが示され、説明され、請求項に記載されているが、特に示されていない限り、ステップは任意の順序で実行されてもよく、分離又は結合されてもよく、それでも本発明の利益を得られることを理解するべきである。
【0053】
異なる例は、図に示された特定の構成要素を有するが、本発明の実施形態は、それらの特定の組み合わせに限定されない。ある例のいくつかの構成要素又は機能を、別の例の機能又は構成要素と組み合わせて使用することもできる。
【0054】
例示的な実施形態が開示されてきたが、当業者であれば、所定の修正が請求項の範囲内に入ることを認識するであろう。そのため、以下の請求項については、その真の範囲及び内容を判断するように検討されるべきである。
図1A
図1B
図2
図3
図4
【外国語明細書】