(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023072693
(43)【公開日】2023-05-24
(54)【発明の名称】塩化ビニル管路の保守方法
(51)【国際特許分類】
E03C 1/122 20060101AFI20230517BHJP
E03C 1/12 20060101ALI20230517BHJP
【FI】
E03C1/122 Z
E03C1/12 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022181389
(22)【出願日】2022-11-11
(31)【優先権主張番号】P 2021184732
(32)【優先日】2021-11-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】509053363
【氏名又は名称】株式会社タイコー
(74)【代理人】
【識別番号】100121658
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 昌義
(72)【発明者】
【氏名】米村 直樹
【テーマコード(参考)】
2D061
【Fターム(参考)】
2D061AA01
2D061AA02
2D061AA04
2D061AA05
2D061AE00
2D061AE03
2D061AE05
(57)【要約】
【課題】
より少ない保守回数で確実に塩化ビニル管路を保守する方法を提供する。
【解決手段】
本発明の一観点に係る保守方法は、施設内の排水集合管に接続される複数の塩化ビニル管路における塩化ビニル管内を洗浄するステップ、乾燥させるステップ、塩化ビニル管内に抗菌剤入りの塗料を塗布するステップを有する。また塩化ビニル管内に抗菌剤入りの塗料を塗布するステップは、排水口から液状の塗料を流し込むステップ、排水口から先端近傍にスポンジ状部材又は樹脂発泡体部材が付された柔軟性のある回転軸部材を挿入し、動力部材により回転軸部材を回転させつつスポンジ状部材又は樹脂発泡体部材を塩化ビニル管内に押し込むことで塩化ビニル管内に抗菌剤入りの塗料を付着させるステップを有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
施設内の排水集合管に接続される複数の塩化ビニル管路における塩化ビニル管内を洗浄するステップ、
前記塩化ビニル管内を乾燥させるステップ、
前記塩化ビニル管内に抗菌剤入りの塗料を塗布するステップ、を有する塩化ビニル管路の保守方法。
【請求項2】
前記塩化ビニル管内に抗菌剤入りの塗料を塗布するステップは、
前記塩化ビニル管路の排水口から液状の塗料を流し込むステップ、
前記排水口から、先端近傍にスポンジ状部材又は樹脂発泡体部材が付された柔軟性のある回転軸部材を挿入し、前記回転軸部材に接続される動力部材により前記回転軸部材を回転させつつ前記スポンジ状部材又は樹脂発泡体部材を前記塩化ビニル管内に押し込むことで前記塩化ビニル管内に前記抗菌剤入りの塗料を付着させるステップ、を有する請求項1記載の塩化ビニル管路の保守方法。
【請求項3】
前記塩化ビニル管内を乾燥させるステップは、
前記排水口から、先端近傍に布状部材が付された柔軟性のある回転軸部材を挿入し、前記回転軸部材に接続される動力部材により前記回転軸部材を回転させつつ前記布状部材を前記塩化ビニル管内に押し込むことで前記塩化ビニル管内の水をふき取るステップ、を有する請求項1記載の塩化ビニル管路の保守方法。
【請求項4】
前記回転軸部材は、回転する芯材と、前記芯材の周囲に配置され前記芯材を保護するとともに回転しない被覆材と、を有する請求項2又は3記載の塩化ビニル管路の保守方法。
【請求項5】
前記塩化ビニル管内に抗菌剤入りの塗料を塗布するステップを、前記塩化ビニル管路に設けられるそれぞれの排水口から行う請求項1記載の塩化ビニル管路の保守方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塩化ビニル管路の保守方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に住宅内には給水及び排水のための管が張り巡らされており、これらの管により生活に必要な水を供給する一方、生じた生活排水を住宅外に排出することができる。
【0003】
また排水管は、台所、トイレ、洗面所、風呂等に設けられた排水口に接続されており、生活において生ずる生活排水はこの排水口から回収され、住居内において集合排水管に一ヶ所に集約され、住宅外に排出される。
【0004】
しかしながら、生活排水には水以外のものが多く含まれているため、排水管内につまりや腐食・摩耗等が生じてしまうといった課題がある。そのため、定期的な点検・保守が必要となる。
【0005】
ところで近年、材料の調達や取扱が簡便であり、安価である等の利点から、これらの管の材料に塩化ビニルを用いることが多くなっている(以下、この塩化ビニルにより構成される管を「塩化ビニル管」という。)。一般に塩化ビニル管としては、下記非特許文献1にその記載がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】https://www.eslontimes.com/system/category/93/
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記のように塩化ビニルを排水管に用いても、排水管内の汚れのかたまりの付着が生じてしまうことは防げず、やはり定期的な点検・保守が必要であることには変わりがない。
【0008】
更に、金属と異なり塩化ビニルは柔らかく、研磨剤等を用いる研磨を行うと、その管が簡単に削られ場合によっては割れてしまうといった課題がある。そのため、保守回数は可能な限り少なくすることが求められる。
【0009】
そこで、本発明は、上記課題に鑑み、より少ない保守回数で確実に塩化ビニル管路を保守する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決する本発明の一観点に係る塩化ビニル管路の保守方法は、施設内の排水集合管に接続される複数の塩化ビニル管路における塩化ビニル管内を洗浄するステップ、塩化ビニル管内を乾燥させるステップ、塩化ビニル管内に抗菌剤入りの塗料を塗布するステップ、を有するものである。
【0011】
また、本観点において、限定されるわけではないが、塩化ビニル管内に抗菌剤入りの塗料を塗布するステップは、塩化ビニル管路の排水口から液状の塗料を流し込むステップ、 排水口から、先端近傍にスポンジ状部材又は樹脂発泡体部材が付された柔軟性のある回転軸部材を挿入し、回転軸部材に接続される動力部材により回転軸部材を回転させつつスポンジ状部材又は樹脂発泡体部材を塩化ビニル管内に押し込むことで塩化ビニル管内に抗菌剤入りの塗料を付着させるステップ、を有するものであることが好ましい。
【0012】
また、本観点において、限定されるわけではないが、塩化ビニル管内を乾燥させるステップは、排水口から、先端近傍に布状部材が付された柔軟性のある回転軸部材を挿入し、回転軸部材に接続される動力部材により回転軸部材を回転させつつ布状部材を塩化ビニル管内に押し込むことで塩化ビニル管内の水をふき取るステップ、を有するものであることが好ましい。
【0013】
また、本観点において、限定されるわけではないが、回転軸部材は、回転する芯材と、芯材の周囲に配置され芯材を保護するとともに回転しない被覆材と、を有するものであることが好ましい。
【0014】
また、本観点において、限定されるわけではないが、塩化ビニル管内に抗菌剤入りの塗料を塗布するステップを、塩化ビニル管路に設けられるそれぞれの排水口から行うものであることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
以上、本発明によって、より少ない保守回数で確実に塩化ビニル管路を保守する方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】実施形態に係る塩化ビニル管路の保守方法のステップを示す図である。
【
図2】実施形態に係る塩化ビニル管路の保守方法の対象となりうる施設のイメージ図である。
【
図3】実施形態に係る塩化ビニル管路の保守方法の塩化ビニル管内のステップによる変化のイメージ図である。
【
図4】実施形態に係る塩化ビニル管路の保守方法において用いる回転軸部材と、この回転軸部材に接続される動力部材を備える回転装置の概略を示す図である。
【
図5】回転装置の回転軸部材先端に布状部材を取り付けた場合のイメージを示す図である。
【
図6】回転装置の回転軸部材先端にスポンジ状部材又は樹脂発泡体部材を取り付けた場合のイメージを示す図である。
【
図7】実施形態に係る塩化ビニル管路の保守方法の対象となりうる施設を上から見た場合のイメージ図である。
【
図8】回転装置の回転軸部材が偏心した際の断面イメージを示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は多くの異なる形態による実施が可能であり、また以下に示す実施形態、実施例において記載される具体的な例示についても適宜変更及び調整が可能であり、これらに限定されるものではない。
【0018】
図1は、本実施形態に係る塩化ビニル管路の保守方法(以下「本方法」という。)におけるステップを説明するフロー図である。本図で説明するように、本方法は、(S1)施設内の排水集合管に接続される複数の塩化ビニル管路における塩化ビニル管内を洗浄するステップ、(S2)塩化ビニル管内を乾燥させるステップ、(S3)塩化ビニル管内に抗菌剤入りの塗料を塗布するステップ、を有するものである。
【0019】
本方法は、上記の通り、まず(S1)施設内の排水集合管に接続される複数の塩化ビニル管路における塩化ビニル管内を洗浄するステップを有する。
【0020】
上記の通り、本ステップの洗浄対象は施設内の排水集合管に接続される複数の塩化ビニル管路である。施設としては、限定されるわけではないが、いわゆるマンションやアパート等の集合住宅や、オフィス等の事務所が入居するビルディング等を例示することができるが、複数の排水経路を備え排水集合管に接続されていればよく例えば戸建て住宅であってもよい。
【0021】
また、本ステップの塩化ビニル管路は、洗面台や風呂の浴槽等に設置された排水口に接続され、これらの設備において生じる排水を施設内に設けられる排水集合管に導くよう接続される塩化ビニルによって構成される筒状の配管である。塩化ビニル管路は、排水集合管と排水口を一本の管で接続していてもよいが、分岐した管路によって接続されていてもよい。分岐した管路を設けることで、本数を不必要に増加させることなく施設内に十分な排水経路網を構築することが可能となる。
【0022】
上記の通り本ステップは、塩化ビニル管路内を洗浄するステップを備える。洗浄するステップは、塩化ビニル管路内に蓄積した汚れを除去するステップであり、具体的には高圧水を勢いよく塩化ビニル管内に供給して塩化ビニル管内に付着したカビや汚れ等(以下単にカビや汚れ等を「汚れ等」という。)を除去する方法、先端にブラシ等の刷毛のついた細く長い可撓性の棒状部材を管内に挿入して塩化ビニル管内に付着した汚れ等を除去する方法、塩化ビニル管内に粒状の研磨剤を投入しこの研磨剤により汚れ等を除去する方法等を例示することができるがこれに限定されない。またこれらに伴い、汚れ等を溶かしやすくする洗浄剤などを添加することも非常に重要である。また、後述するステップで用いるような先端近傍に、比較的固めなスポンジ状部材又は樹脂発泡体部材が付された柔軟性のある回転軸部材を挿入し、回転軸部材に接続される動力部材により回転軸部材を回転させつつスポンジ状部材又は樹脂発泡体部材を前記塩化ビニル管内に押し込むようにしてもよい。
【0023】
また、本方法では、(S2)塩化ビニル管内を乾燥させるステップを有する。塩化ビニル管内に水分が残っている場合、この後のステップにおける塗料の塗布において不具合が生じるおそれがあるため十分に乾燥させる必要がある。
【0024】
塩化ビニル管内を乾燥させるステップとしては、乾燥させることができる限りにおいて限定されるわけではないが、塩化ビニル管内に乾燥した熱風を吹き込む方法が簡便で好適である。
【0025】
さらに、本ステップにおいては、更に、排水口から、先端近傍に布状部材が付された柔軟性のある回転軸部材を挿入し、回転軸部材に接続される動力部材により回転軸部材を回転させつつ布状部材を塩化ビニル管内に押し込むことで塩化ビニル管内の水をふき取るステップ、を有するものであることが好ましい。布状部材を押し込むことで、曲がりくねった配管経路において風等が届きにくい部分に対しても届かせることが可能であり、更に布状部材による塩化ビニル管内表面の物理的な接触を可能とし、塩化ビニル管内に汚れが残っていたとしてもこれをかき出すことが可能となる。さらにここでは、回転する布状部材を用いることでより効率が高くなるといった効果がある。なお本方法では、この回転軸部材と、回転軸部材を回転させる動力部材とを合わせて「回転装置」と呼ぶこととする。
【0026】
また、本方法において、回転装置において、回転軸部材は、回転する芯材と、芯材の周囲に配置され芯材を保護するとともに回転しない被覆材と、を有するものであることが好ましい。このようにすることで、外側は回転することがないため、回転軸部材外側が他の部材と接触したとしても芯材の回転による巻き込みがなく安定して塩化ビニル管内を挿入又は引き出すことが容易になるといった利点がある。また、被覆材を設けることで、回転装置の芯材に塗料が付着せず、芯材の回転を阻害することがなく装置のメンテナンスが楽になるといった効果もある。
【0027】
また、本方法では、(S3)塩化ビニル管内に抗菌剤入りの塗料を塗布するステップを有する。抗菌剤を入れることで塩化ビニル管内において汚れの原因となる雑菌が繁殖することを抑えることが可能となる。また、塩化ビニル管内を塗料により保護することで、摩耗に対しても耐性を備えさせることが可能となる。
【0028】
本方法の抗菌剤としては、雑菌の繁殖を抑えることができるものである限りにおいて限定されるものではないが銀を含むものであることが好ましい。銀を含むことにより抗菌効果を効果的に塗布することができる。銀としては、限定されるわけではないが、銀微粒子であることが分散性能を高める観点から好ましい。この銀微粒子の径としては、十分均等に分散させることができる限りにおいて限定されるわけではないが、例えば、平均粒径として0.1μm以上100μm以下であることが好ましく、より好ましくは10μm以下の範囲である。0.1μm以上とすることで銀微粒子による抗菌効果を得ることができるようになり、100μm以下とすることで配管内に塗布された場合においても膜の接着性能を落とすことなく、薄い膜中に安定的に分散させることができる。
【0029】
また、本方法において、抗菌剤は銀微粒子を含む銀ゼオライトであることが好ましい。銀ゼオライトとすることで抗菌・防臭を図ることができるといった効果がある。この場合における好ましい微粒子の径については上記銀微粒子の場合と同様である。
【0030】
また、本方法において用いられる塗料は、抗菌剤と混合可能であり塗布する際は流動性が高く、塗布後乾燥した後は十分に硬度を備えることができるものであることが好ましい。この具体的な例については特に限定されるわけではないが、エポキシ樹脂又は塩化ビニル(塩ビ)専用プライマーであることが好ましい一例である。エポキシ樹脂は末端にエポキシ基を有する熱硬化性の樹脂であって、主剤と硬化剤を混合することで、当初は流動性を、時間経過後は十分な硬度を得ることができる。塩ビ専用プライマーは、塩ビ面に強固に密着する特性がある。
【0031】
また、本方法において、抗菌剤の量は特に限定されるわけではないが、少ないと抗菌効果を得にくく、多くすると樹脂の硬度を十分に得にくくなるため、適宜調整可能であるが1重量%以上10重量%以下の範囲にしておくことが好ましく、より好ましくは8重量%以下である。
【0032】
また、本ステップでは、塩化ビニル管内に抗菌剤入りの塗料を塗布する方法として、上記抗菌剤を含む塗料を流動性が高い状態で、塩化ビニル管路の排水口から液状の塗料を流し込むようにすることが好ましい。
【0033】
そしてさらに本ステップでは、排水口から、先端近傍にスポンジ状部材又は樹脂発泡体部材が付された柔軟性のある回転軸部材を挿入し、回転軸部材に接続される動力部材により回転軸部材を回転させつつスポンジ状部材又は樹脂発泡体部材を塩化ビニル管内に押し込むことで塩化ビニル管内に抗菌剤入りの塗料を付着させるステップ、を有するものであることが好ましい。ここで用いる装置としては、上記(S2)と同様の回転装置を用い、その先端にスポンジ状部材又は樹脂発泡体部材を用いることが好ましい。すなわち、本実施形態において、回転軸部材の先端近傍に設けられるスポンジ状部材又は樹脂発泡体部材は、回転軸部材に固定されていてもよく、回転軸部材に対して着脱可能であってもよい。固定されている場合は、塩化ビニル管内に挿入して前後させても抜け落ちてしまうといった恐れがなくなる点で好ましく、着脱可能とする場合は、他のステップで用いる布部材等に付け替えることが可能であり、多くの装置を必要としなくてよいといった利点がある。
【0034】
本ステップによると、塗布した塗料は流動性が高いとはいえ、塩化ビニル管の断面において鉛直方向下側に塗料がたまりやすく、上側には薄くしか塗布されない状況が発生しやすい。しかしながら、今回のようにスポンジ状部材又は樹脂発泡体部材を用いこれを回転させることでこのようなムラが生じないようにできる。なおこの場合において、スポンジ状部材又は樹脂発泡体部材は回転においてその断面の中心からずれているすなわち偏心していることが好ましい。このようにすることで回転を中心からずらすことで、塩化ビニル管内にかかる力を周向で異ならせ、むしろ結果的に均一に塗布することが可能となる。より具体的には、塩化ビニル管内は基本は直線状であるがこれらが組み合わされ、全体として折れ曲がった形状となる。すなわち配管路は必ずしも一直線になっているわけではない。そのため、回転軸部材が塩化ビニル管内に挿入された場合に、折れ曲がりと重力の関係があり、必ずしもその回転中心が配管の中心と一致するわけではない。その場合に偏心していないと、塩化ビニル配管内に加わる力に不均衡が生じてしまう可能性があり、この結果塗料の不均一が生じてしまう。そのため、あえて偏心させることで、回転による不均一なブレが管との接触を均一化させ、塗料の均一化を達成することができる。
【0035】
この場合において、偏心の度合いについては上記の機能を有する限りにおいて限定されるわけではないが、スポンジ状部材又は樹脂発泡体部材の断面において中心から外側表面までの距離を1とした場合、0.05以上0.5以下であることが好ましく、より好ましくは0.1以上0.4以下であり、さらに好ましくは0.3以下である。0.05以上のずれとすることで偏心による効果を得ることができ、0.5以下とすることでぶれすぎてしまうのを防ぐことができる。なお、スポンジ状部材又は樹脂発泡体部材の断面が多角形や複雑な形状である場合は、その幾何学的に求められる重心が中心となる。この断面のイメージを
図8に示しておく。
【0036】
更に、本ステップは、複数の排水口から延伸する塩化ビニル配管を有している場合、そのそれぞれの排水口から排水集合管又は他の塩化ビニル配管との接続点(分岐点)まで行うことが好ましい。このようにすることで、確実に塗りムラを防ぐことが可能となる。
【0037】
以上、本実施形態によって、少ない保守回数で確実に塩化ビニル管路を保守する方法を提供することができる。より具体的に本方法の効果について説明すると、本方法を用いることで、塩化ビニル管を用いたとしても安心して内部清掃が可能となる。特に、研磨剤を用いたとしても、樹脂等を用いてコーティングを行うため、研磨剤等による洗浄により削られる部分が多少生じたとしてもその厚さを安定的に補うことが可能となる。また、抗菌剤を含んでいるため、その雑菌の繁殖や汚れの付着を長期間抑えることが可能となる。また本方法では、スポンジ状部材又は樹脂発泡体部材を回転させながら経路内に挿入するため、塗布当初において流動性を備えた樹脂を均一に配管内に塗布することが可能となる。特に塩化ビニル管の硬度及び柔軟性とこのスポンジ状部材又は樹脂発泡体部材の相性はよく、均一性を高く確保することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本方法は、塩化ビニル管路の保守方法として産業上の利用可能性がある。