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特開2023-72713酸化物の軽水炉使用済燃料消滅用ガス冷却高速炉の燃料集合体および炉心
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023072713
(43)【公開日】2023-05-25
(54)【発明の名称】酸化物の軽水炉使用済燃料消滅用ガス冷却高速炉の燃料集合体および炉心
(51)【国際特許分類】
   G21C 3/38 20060101AFI20230518BHJP
   G21C 3/30 20060101ALI20230518BHJP
   G21F 9/00 20060101ALI20230518BHJP
【FI】
G21C3/38 110
G21C3/30 100
G21F9/00 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021185315
(22)【出願日】2021-11-14
【公序良俗違反の表示】
特許法第64条第2項第4号の規定により明細書の一部または全部を不掲載とする。
(71)【出願人】
【識別番号】303002055
【氏名又は名称】白川 利久
(72)【発明者】
【氏名】白川利久
(57)【要約】      (修正有)
【課題】軽水炉使用済燃料を消滅させるには、Pu239だけでなく、U234,U236,U238、Pu240,Pu242、Am,Np,Cmも消滅させねばならない。
【解決手段】冷却材としてヘリウムを用いた原子炉の炉心とする。HPu燃料棒110を多数本稠密正方格子状に束ねた高富化度Pu燃料集合体を炉心中央領域に装荷し、炉心中央領域の外側にLWR燃料棒を多数本稠密正方格子状に束ねた低富化度Pu燃料集合体を装荷して燃焼させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
LWRSF消滅用ガス冷却高速炉の燃料集合体は、HPuB(120)とLPuB(121)からなり、
HPuB(120)はHPu燃料棒(110)を多数本稠密正方格子状に束ね、束ねた周囲をチャンネルボックスで覆ってなり、
HPu燃料棒(110)は、多数個の高富化度Puペレット(11)を高さ方向中央に堆積させ、LWRペレット(14)を当該高富化度Puペレット(11)堆積の上側と下側に堆積し被覆管(13)の中に密封させてなり、
高富化度Puペレット(11)は、“酸化U235濃縮度が酸化天然ウラン以上のLWRSFを粉砕した粉”に、“酸化U235濃縮度が酸化天然ウラン未満のLWRSFペレットを粉砕し、酸化物燃料乾式再処理で回収した酸化Puの粉”を混合しMA含有高富化度酸化Pu粉となし、円柱状に圧縮成形し焼結してなり、
上記高富化度Puペレット(11)の酸化Pu富化度は、8wt%~15wt%であり、
LPuB(121)はLWR燃料棒(111)を多数本稠密正方格子状に束ね、束ねた周囲をチャンネルボックスで覆ってなり、
LWR燃料棒(111)は、多数個のLWRペレット(14)を高さ方向に堆積させ被覆管(13)の中に密封させてなり、
LWRペレット(14)は、酸化U235濃縮度が酸化天然ウラン以上のLWRSFペレットを粉砕し円柱状に圧縮成形してなる。
【請求項2】
冷却材としてヘリウムを用いた原子炉の炉心であって、
多数体の請求項1のHPuB(120)または請求項3の再生高富化度Pu燃料集合体(1120)が装荷された内側炉心燃料領域と、
前記内側炉心燃料領域を取り囲み、多数体の請求項1のLPuB(121)または請求項3の再生低富化度Pu燃料集合体(1121)が装荷された外側炉心燃料領域からなり、
軽水炉使用済燃料であるLWRSFを燃焼させることを特徴とするLWRSF消滅用ガス冷却高速炉の炉心。
【請求項3】
LWRSF消滅用ガス冷却高速炉の燃料集合体は、再生高富化度Pu燃料集合体(1120)と再生低富化度Pu燃料集合体(1121)からなり、
再生高富化度Pu燃料集合体(1120)は、再生HPu燃料棒(1110)を多数本稠密正方格子状に束ね、束ねた周囲をチャンネルボックスで覆ってなり、
再生HPu燃料棒(1110)は、多数個の再生高富化度Puペレット(1011)を高さ方向中央に堆積させ、後記再生LPuペレット(1114)を再生高富化度Puペレット(1011)堆積の上側と下側に堆積し被覆管(13)の中に密封してなり、
再生高富化度Puペレット(1011)は、極大使用再生高富化度Puペレット(2011)を粉砕した粉に、酸化U235濃縮度が酸化天然ウラン以上含有したLWRSF粉を燃焼減量した分混合し、円柱状に圧縮成形し焼結してなり、
極大使用再生高富化度Puペレット(2011)は下記極大使用再生高富化度Pu燃料集合体(2120)の燃料棒からむきだしてなり、
極大使用再生高富化度Pu燃料集合体(2120)は、再生高富化度Pu燃料集合体(1120) を燃焼させて、再生高富化度Puペレット(1011)中のPu239総重量が装荷時の総重量よりも増加し、最大総重量に達した以降に炉外に取り出してなり、
再生低富化度Pu燃料集合体(1121)は、再生LPu燃料棒(1111)を多数本稠密正方格子状に束ね、束ねた周囲をチャンネルボックスで覆ってなり、
再生LPu燃料棒(1111)は、多数個の再生LPuペレット(1114)を被覆管(13)の中に堆積し密封してなり、
再生LPuペレット(1114)は、“再生低富化度Pu燃料集合体(1121)を燃焼させてPu239総重量が装荷時よりも増加し最大総重量に達した以降に炉外に取り出した極大使用再生低富化度Pu燃料集合体(2121)の燃料棒からむきだした極大使用LPuペレット1(2114)の粉”と“極大使用再生高富化度Pu燃料集合体(2120)の燃料棒中の上下端部からむきだした極大使用再生LPuペレット2(1115)の粉”に、“酸化U235濃縮度が酸化天然ウラン以上含有したLWRSF粉を燃焼減量した分だけ”混合し、円柱状に圧縮成形してなる。
【請求項4】
請求項1の高富化度Puペレット(11)は、LWRSFの MOXペレットを粉砕した粉を酸化物燃料乾式再処理する過程で酸化ウランの1部を除去してMA含有高富化度酸化Pu粉となし、円柱状に圧縮成形し焼結したことを特徴とする高富化度Puペレット(11)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸化物の軽水炉使用済燃料(LWRSF)を消滅させるガス冷却高速炉の炉心及び燃料集合体に関する。
【背景技術】
【0002】
軽水炉使用済燃料(LWRSF)をどうするかが問題になっている。LWRSFは、酸化ウラン(UO2。酸素割合には多少の幅があるが2とした。)と、酸化物超ウラン元素と、固体核分裂生成物(FP)からなる。本発明では、燃料も核燃料も同じである。
酸化物超ウラン元素は、酸化プルトニウム(PuO2。酸素割合には多少の幅があるが2とした。)と、マイナアクチニド(MA。NpやAmやCm)の酸化物からなる。超ウラン元素のカリフォルニウム(Cf)や、Thなどは微量だから無視した。
UO2の中のU235O2割合をU235濃縮度と呼ぶことにする。濃縮度は、酸化物でも金属でも大きな差はない。
酸化ウランと酸化プルトニウムとMAの酸化物の混合物において、酸化プルトニウムの割合を酸化Pu富化度と呼ぶことにする。或いは単にPu富化度と呼ぶことにする。Pu富化度は、酸化物でも金属でも大きな差はない。
湿式燃料再処理は高純度のプルトニウムが発生するために、高価で軍事利用疑念により商用化が難しい。燃焼度が高く、除去しにくい粗FPが比較的多量にある場合は再処理が難しいとされている。
酸化物燃料乾式再処理は、生成されるPuO2の中にはMAの酸化物や少量のFPが混入していると言われている(非特許文献1、2)。軍事利用しにくく低廉であると言われている。本発明では酸化物燃料乾式再処理が行われるとする。
中間貯蔵は、軽水炉使用済燃料集合体をそのまま50年程度保管する。ただし、50年経ったらどうするかが決まっていない。したがって、一部の地元民は中間貯蔵受け入れに躊躇すると言われている。地元近隣でも芳しくない。
ウラン(U)やプルトニウム(Pu)は金・白金の様に、中性子星が崩壊した時に生成され宇宙空間にばら撒かれた。地球の熱源の一つに放射性元素の崩壊熱がある。
地球深部(350万気圧、6000℃)にはUやPu がある筈である。大昔のウランのU235濃縮度は5wt%以上あったと思われるから核分裂連鎖反応は可能であったろう。核分裂連鎖反応から発生する中性子はU238からPu239を生成する。
地表でのUやPuの密度は20gm/cc程度で融点は数百度である。地球最深部では超高密度の液体になっているだろうが、密度は非常に高いだろう。
今のU235濃縮度は0.7wt%程度になっているだろうから、核分裂はU238から変換されたPuによる核分裂が主体だろう。Pu富化度は、初期には上昇し、やがて平坦になり、下降し続ける。現在どの段階にあるのかは不明である。とにかく地球環境に影響がある。
核分裂生成物の金や白金も含有されている。軽元素の核分裂生成物は放射性物質として地表に浮き上がってくるだろう。放射性物質の崩壊熱が地球を暖めている熱源の一つである。
仮に、臨界以下であったとしてもU238からの自発中性子により核分裂反応が維持され発熱し、放射性元素たるFPを放出する。UやPuは著しく圧縮されているから超高密度であり、中性子は地表に漏洩しにくい。比熱も大きくなっているから温度は原爆ほどには上がらないだろうから6000℃で収まっていると思われる。
地表でのトリウムの密度は10gm/cc程度で融点は1000℃程度である。地球深部ではUやPuの表面を覆っていると考えられる。UやPuの核分裂反応から漏洩した中性子により核分裂反応が維持され発熱し、放射性元素たるFPを放出する。
液体金属トリウムの表面を固体トリウムや鉄やニッケルが覆っていると考えられる。
UやPuがなくなったとしてもMAやThやU233での核分裂が維持されると思われる。我々は、言わばLWRSF埋設物の上に暮らしている。
火山のマグマ溜りは、岩盤の裂け目から浮き上がってきたコアのマグマである。したがって、酸化物であるLWRSFを金属に還元し、噴火活動が長期間なかった火山の深部に埋設すれば隙間を伝って地球深部に落ちていくと思われる。しかし、それでもLWRSFの埋設には賛成が得にくいと思われる。
【非特許文献1】Proc.of Int.Conf.FutureNuclear Systems, Global’97,Yocohama,Japan,Oct.5-10,2,1123(1997),K.Mizuguchi etc
【非特許文献2】原子炉の使用済み核燃料の乾式再処理技術、表面技術、Vol.49.No4.1998、表面技術協会、藤田玲子。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
中濃縮ウランが安価で入手し易くなった今時、わざわざ扱いにくく経年劣化するプルトニウムを原爆材料にする国や人はないだろう。しかし、プルトニウム原爆を恐れる、或いは敢えて恐れさせる手合いはいる。プルトニウムを若干含有するLWRSFの処分が問題である。
LWRSFの処分において、中間貯蔵で50年経てば過疎地が増えて住民反対もなくなり、地下埋設が可能になると思えるが、今は先の展望が見えないから中間貯蔵さえも受け入れ地は難しいと思われる。
中間貯蔵を受け入れて貰うには、中間貯蔵期限内にLWRSF消滅の技術の提示と実証を示さねばならない。
上述の酸化物燃料乾式再処理の技術に賭ければ、LWRSFの消滅は何とかできそうである。
低速中性子を扱う軽水炉でプルトニウムを消滅させようとすると、Pu239は減るがPu240やPu242は増加するから、プルトニウムはほとんど減らない。
U238もほとんど減らない。
Pu240やPu242やU238は低速中性子では核分裂しないから、Pu240やPu242やU238を消滅させるには、低速中性子を扱う軽水炉では不可能に近い。
一方、Pu240やPu242やU238は高速中性子によって核分裂する。高速中性子を扱うガス冷却高速炉ならPu240やPu242やU238を消滅させることができそうである。Np、Am、Cmといった超ウラン元素も高速中性子で核分裂するから、消滅させることができそうである。
ナトリウム冷却高速炉では、軽水炉並みの発電コストを追求するため、燃料集合体の取り出し燃焼度に10万MWd/t以上が要望された。従来の湿式再処理では白金族の処理に難があったようで、再処理費用の高騰やMA取り扱いに苦慮したようである。
太陽光発電8円/kwhは動き出さない。繰越金21兆円の中から5兆円で菱刈の金を買い上げてインフレを心配する財務省に預け、更に5兆円を政府官邸主導で、まず中国の共産党補助金付き安い太陽光電池と日本の電池会社に補助金付けで太陽光電池を買ってから、簿価の高い日本の省庁管轄土地を買い上げて、日本の石油関連会社に補助金を付け仮想発電所を造らせ、電力会社に電力を提供すれば可能である。それでも動かなさそうだから原子力発電を捨てる訳にいかない。
【課題を解決するための手段】
【0004】
手段1はLWRSF消滅用ガス冷却高速炉の燃料集合体である。
LWRSF消滅用ガス冷却高速炉用の燃料集合体は、HPuB(120)とLPuB(121)からなる。
HPuB(120)はHPu燃料棒(110)を多数本稠密正方格子状に束ね、束ねた周囲をチャンネルボックスで覆ってなる。
HPu燃料棒(110)は、多数個の高富化度Puペレット(11)を高さ方向中央に堆積させ、LWRペレット(14)を当該高富化度Puペレット(11)堆積の上側と下側に堆積し被覆管(13)の中に密封させてなる。
高富化度Puペレット(11)は、“酸化U235濃縮度が酸化天然ウラン以上のLWRSFを粉砕した粉”に、“酸化U235濃縮度が酸化天然ウラン未満のLWRSFペレットを粉砕し、酸化物燃料乾式再処理で回収した酸化Puの粉”を混合し粉砕しMA含有高富化度酸化Pu粉となし、1cm高さ程度の円柱状に圧縮成形し焼結してなる。
上記高富化度Puペレット(11)の酸化Pu富化度は、8wt%~15wt%である。全制御棒が炉外にある場合、当該ペレットの初装荷運転時平均線出力密度が50w/cm~150 w/cmに収まる冨化度である。ゼロ出力でなくプラス出力であれば運転を続けると出力が上昇する。
U238やMAは高速中性子により核分裂するからPu冨化度をナトリウム冷却高速炉の様に大きくしなくても臨界を保ちながら高温出力運転を維持できる。
冨化度が低すぎると出力が小さすぎU238から生成するPu割合がゆっくりとなる。
冨化度が高すぎるとPuの総量は殆ど増加せずに減少する。U238から生成するPu割合が追い付かない。結果的にPuの総量は減少する。
初装荷運転時平均線出力密度が50w/cmなら、運転が進むにつれてPu全量が上昇する。次の運転サイクルに使う高富化度Puペレットは冨化度を高める必要がない。
LPuB(121)はLWR燃料棒(111)を多数本稠密正方格子状に束ね、束ねた周囲をチャンネルボックスで覆ってなる。
LWR燃料棒(111)は多数個のLWRペレット(14)を高さ方向に堆積させ被覆管(13)の中に密封させてなる。
LWRペレット(14)は、酸化U235濃縮度が酸化天然ウラン以上のLWRSFペレットを粉砕し1cm高さ程度の円柱状に圧縮成形してなる。
酸化Puや酸化MAの回収は酸化物燃料湿式再処理技術を使ってもよい。
融点差による酸化Uと酸化Pu分離もありうる。酸化Puの融点は酸化ウランよりも低いから、酸化Puを液体にして回収してもよい。酸化Puに酸化Uが混入していてもよい。容器底部の固体酸化Uの中に酸化Puの液体を滲ませていれば酸化Pu富化度が8%~10%になりえる。当該容器底部のMOXを回収すればよい。
【0005】
燃料棒を稠密正方格子状に並べると、冷却材の領域が小さくなる。一般に、冷却材の質量は小さいから中性子減速作用がある。Pu239等の核分裂性元素は高速中性子との作用で核分裂する割合が大部分で中性子を捕獲する割合が小さい。U238等の非核分裂性元素でも核分裂する。Puに比べてU238は大量にあるから、結果として、PU239は消滅よりも発生する割合が多くなる。
冷却材は必須であるから中性子減速作用により低速中性子が生じ、U238等の非核分裂性元素は低速中性子を捕獲してPu239のような核分裂性元素になる。
更に、Pu240,Pu242,U238,Np,Am,Cmは高速中性子により核分裂するから、その分、Pu239を減らしても(Pu冨化度を低くしても)臨界を維持しつつ出力運転を継続できる。
適切な時期に運転を停止すれば、Pu239量は初装荷時よりも増加しており、当該燃料は新たなPu239の供給無しに出力運転をすることができる。ただし、酸化U、酸化Pu、酸化MAの総量は減少しているから、これをLWRSFで補う。
被覆管を構成する元素が中性子を吸収すると、その分U238からPu239になる割合が減るため、被覆管直径を太くし、厚さを薄くすれば、中性子が無駄に吸収されない。そうすると、運転を続ければPu239が増加しやすくなる。
炉心を構成する“ペレット体積割合/被覆管等構造材体積割合/冷却材体積割合”において、ペレット体積割合を大きくすれば稠密になる。穴あきチャンネルボックス(104)厚さは可能な限り薄くする(BWRの1例0.25cm以下。現行PWRでは存在しない)。隣接する燃料集合体間隙は可能な限り狭くする(0.1cm程度。挿入や引き抜きができる程度)。制御棒十字体(220)厚さは可能な限り薄くする(ボロンサスの薄板か炭化ホウ素焼結の薄板が望ましい)。
沸騰水型原子炉BWR-4の初装荷燃料集合体(7X7配列)(オリジナル)の被覆管外/内直径1.43cm/1.27cm、被覆管厚さ0.081cm、燃料棒間隙0.44cm。新型転換炉の被覆管外/内直径1.646cm/1.447cm,被覆管厚さ0.084cm, 燃料棒間隙0.21cmである。以上は非特許文献3を参照した。
本発明の稠密正方格子は実現性を重視して、被覆管外直径を1.43cm~1.646cm、被覆管厚さ0.084cm以下、燃料棒間隙0.21cm以下とする。
BWR-4では、減速材である水をできるだけ多く確保するため燃料棒間隙を広げたが、本発明の稠密格子では燃料棒間隙は冷却のみを考慮すればよいから燃料棒間隙を狭くする。線出力密度が低ければ燃料棒間隙はゼロでも冷却できる。
金属天然ウランに含有するU235濃縮度は約0.7wt%程度であるから、酸化物にしてもU235濃縮度は約0.7wt%程度である。本発明で“天然ウラン”という場合は酸化物を指す。
LWRSFには、U235濃縮度が2wt%程度でかつ、Pu富化度が0.7wt%を含有しているものが多々ある。1万MWd/tしか燃焼していないものが相当量ある。
初期炉心から次のサイクルに移るとき炉外に取り出されてしまう燃料集合体や、事故などで十分燃焼させることなく炉外に取り出されてしまう燃料集合体が多々ある。
更に、廃炉が決まった原子炉には燃焼が十分に進んでいない燃料集合体が停留している。場合によっては、新燃料集合体として待機していたものがあるかもしれない。
3万MWd/t燃焼させた燃料集合体でも、燃料棒中の上下端近傍の燃料ペレットの燃焼度は1万MWd/tである。
【非特許文献3】1976年版 原子力発電便覧、通商産業省資源エネルギー庁、昭和51年。
【0006】
手段2はガス冷却高速炉の炉心である。
冷却材としてヘリウムを用いた原子炉の炉心である。
当該炉心は、多数体の手段1のHPuB(120)または手段3の再生高富化度Pu燃料集合体(1120)が装荷された内側炉心燃料領域と、
前記内側炉心燃料領域を取り囲み、多数体の手段1のLPuB(121)または手段3の再生低富化度Pu燃料集合体(1121)が装荷された外側炉心燃料領域からなる。
軽水炉使用済燃料であるLWRSFを燃焼させることを特徴とするLWRSF消滅用ガス冷却高速炉の炉心。
【0007】
上記の如くLWRSFには、核分裂性物質がかなりあり核分裂が活発なものがある。
更に、ガス冷却炉は高速中性子が主要であるため、熱中性子では核分裂し難いPu240,Pu242,U238、MAも核分裂に寄与する。したがって、内側炉心燃料領域のHPuB(120)に装荷する燃料のPu富化度をナトリウム冷却高速炉の様に高くしなくても臨界が維持され、HPuB(120)でのU238から変換されてくるPu239がこの消耗を上回る。このことは、燃焼が進めばある程度までは核分裂性プルトニウム(Pu239やPu241。熱中性子でも核分裂するプルトニウム。高速中性子に対しては、核分裂が殆どで捕獲が少ない)が増加する。
加えて、HPuB(120)のLWRSFにはU235濃縮度が2wt%程度のウランと、高速中性子で核分裂するMAが含有されているから、Pu富化度をその分低くすることができる。MAは高速中性子によって核分裂する。
【0008】
HPuB(120)のPu239割合は燃焼が進むにつれて増加するが、更に燃焼が進むとPu239割合が多くなりすぎてPu239が減少に転じる。U238から変換してくるPu239が追い付かない。
外側炉心燃料領域のLPuB(121)では、内側炉心燃料領域から漏洩してくる中性子によりU235が核分裂する。更に、U238は中性子を捕獲してPu239に変化する。
【0009】
手段3はLWRSF消滅用ガス冷却高速炉の再生燃料集合体である。
LWRSF消滅用ガス冷却高速炉の燃料集合体は、再生高富化度Pu燃料集合体(1120)と再生低富化度Pu燃料集合体(1121)からなる。
再生高富化度Pu燃料集合体(1120)は、再生HPu燃料棒(1110)を多数本稠密正方格子状に束ね、束ねた周囲をチャンネルボックスで覆ってなる。
再生HPu燃料棒(1110)は、多数個の再生高富化度Puペレット(1011)を高さ方向中央に堆積させ、後記再生LPuペレット(1114)を再生高富化度Puペレット(1011)堆積の上側と下側に堆積し被覆管(13)の中に密封してなる。
再生高富化度Puペレット(1011)は、極大使用再生高富化度Puペレット(2011)を粉砕した粉に、酸化U235濃縮度が酸化天然ウラン以上含有したLWRSF粉を燃焼減量した分混合し、高さ1cm程度の円柱状に圧縮成形し焼結してなる。
極大使用再生高富化度Puペレット(2011)は下記極大使用再生高富化度Pu燃料集合体(2120)の燃料棒からむきだしてなる。
極大使用再生高富化度Pu燃料集合体(2120)は、再生高富化度Pu燃料集合体(1120) を燃焼させて、再生高富化度Puペレット(1011)(UO2, PuO2,MAの酸化物,FPの酸化物からなる)中のPu239総重量が装荷時の総重量よりも増加し、最大総重量に達した以降に炉外に取り出してなる。
Pu239総重量は、プルトニウムフィッサイル(Pu239+Pu241+Pu238)総重量としてもよい。ただし、Pu241とPu238は半減期が長くはないから、再使用時点までに目減りすることを考慮しなければならない。
再生低富化度Pu燃料集合体(1121)は、再生LPu燃料棒(1111)を多数本稠密正方格子状に束ね、束ねた周囲をチャンネルボックスで覆ってなる。
再生LPu燃料棒(1111)は、多数個の再生LPuペレット(1114)を被覆管(13)の中に堆積し密封してなる。
再生LPuペレット(1114)(UO2,PuO2,MAの酸化物,FPの酸化物からなる)は、“再生低富化度Pu燃料集合体(1121)を燃焼させてPu239総重量が装荷時よりも増加し最大総重量に達した以降に炉外に取り出した極大使用再生低富化度Pu燃料集合体(2121)の燃料棒からむきだした極大使用LPuペレット1(2114)の粉”と“極大使用再生高富化度Pu燃料集合体(2120)の燃料棒中の上下端部からむきだした極大使用再生LPuペレット2(1115)の粉”に、“酸化U235濃縮度が酸化天然ウラン以上含有したLWRSF粉を燃焼減量した分だけ”混合し、高さ1cm程度の円柱状に圧縮成形してなる。
Pu239総重量は、プルトニウムフィッサイル総重量としてもよい。
【0010】
本発明の多数基原子炉を数サイクル運転すると手段3が可能になる。
極大使用再生高富化度Pu燃料集合体(2120)の取り出し時期と極大使用再生低富化度Pu燃料集合体(2121)の取り出し時期とは異なる。
再処理はFPを時々除去するだけであり、PuO2を再処理分離する作業が不要である。使用済みペレットを粉にし、そこにLWRSF粉を燃焼減量による重量不足分(UO2,PuO2,MAの酸化物の総和の減少分)だけ混合し、ペレットに整形圧縮焼結するだけである。
LWRSFが消費されたら劣化ウランを使い、劣化ウランが消費されたら天然ウランを使い、天燃ウランが消費されたらトリウム(Th)を使っていけば、千年以上エネルギーが得られる。無理に他のエネルギーとコスト競争する必要はない。
再生可能エネルギーは、太陽光や風力発電に無理に頼る必要はない。太陽光電池の他に、多収穫穀物を太陽光で栽培し燃焼させる。穀物は1年程度の保存が効くから、太陽光電池や風車を無理に敷設する必要はない。
(公序良俗違反につき、不掲載)ブラブラ余所見をしながら考えるのが日本に向いているかもしれない。日本マスコミは、オリンピックや科学技術や文化で、世界中の全試合・全記録を気にし、世界中と競争するのを煽っている。無茶だ。
【0011】
手段4は、高富化度Puペレットである。
手段1の高富化度Puペレット(11)は、LWRSFの MOXペレットを粉砕した粉を酸化物燃料乾式再処理する過程で酸化ウランの1部を除去してMA含有高富化度酸化Pu粉となし、円柱状に圧縮成形し焼結した高富化度Puペレット(11)。
近年のLWR燃料集合体の中には、累積している使用済燃料を減らすためにMOX燃料集合体がある。
軽水炉のプルサーマルにおけるMOX燃料集合体は、最高富化度は10%以下、フィッサイルで6%以下となっている(非特許文献4)。したがって、LWRSF MOX 燃料棒または使用前のMOX 燃料棒には最高富化度が4%程度のMOXペレットがある筈である。
場合によってはそのまま流用できる。4%程度のMOXペレットであるなら、酸化物燃料再処理技術により酸化ウランを半分程度除去すればよい。酸化Puを単独抽出する必要がない。
以下は非特許文献5の要約である。溶融塩を内蔵した容器において、LWRSFの破片を陽極の籠にいれ、陰極を溶融塩中に入れ、約0.5Vの直流を陰極と陽極の間に流すと、陰極に酸化ウランが付着し、陽極の籠の中には溶け残りの酸化物(酸化ウラン、酸化プルトニウム、酸化物MA,酸化物FP)が留まっている。
本発明では陰極に付着した酸化ウランを適量容器外に取り出し保管する。籠の中の溶け残った酸化物を籠ごと容器から取り出し、溶融塩を遠心分離機で除去した溶け残った酸化物に付着している溶融塩を加熱蒸発させる。溶け残った酸化物を細かく砕いてMA含有高富化度酸化Pu粉とする。
【非特許文献4】ウラン・プルトニウム混合酸化物燃料の使用に係る原子炉設置変更許可の申請について、平成18.10.23中国電力(株)、報道資料
【非特許文献5】「核燃料サイクル開発機構及び財団法人戦力中央研究所における乾式再処理技術に関する研究」平成16年7月20日、野村茂雄、井上正。
【0012】
酸化ウランの除去は、酸化物燃料湿式再処理技術であってもよい。
酸化Puの密度は酸化ウランよりも重いから、容器の上部にある酸化Uを除去し、容器の底に溜まった酸化Pu過剰MOXを比重差で回収してもよい。振動を加えれば重い酸化Puは底部に移行しやすい。
酸化Puの融点は酸化ウランよりも低いから、容器底部の酸化Uに液体Puを含有したMOXを回収、容器上部の固体酸化Uを除去すればよい。振動を加えれば重い酸化Puは底部に移行しやすい。
ナトリウム冷却高速増殖炉の使用済燃料集合体から持ってきた高富化度Pu(20数%)をLWRSFで希釈して高富化度Puペレットとすることもできる。
【発明の効果】
【0013】
ヘリウムは水やナトリウムに比べて中性子減速作用が小さく、かつ中性子吸収割合も小さいからPu239の増加がみ込める。そうすると、運転を続けると酸化Pu239は自然に高まる。酸化物燃料乾式再処理による大雑把なFP除去のみでPuO2を回収する必要がなくなる。
ヘリウムは米国が独占に近く日本では殆ど産出がなく。したがって、日本は米国に反旗を翻させにくい。エネルギーにおいて、日本は米国の傘下に在り続けると、日本と米国が双方に理解し続ける。米国に疑いをもたれてはいけない。
PuO2の回収作業が少ないから廉価で、核兵器疑惑がもたれにくい。
核燃料湿式再処理を停止したとしても当該業務作業者や研究員は、酸化物核燃料乾式再処理業務に就くことができる。
当該発明が実証できれば、日米同盟の米国が原子力潜水艦を維持していくために必要な高濃縮ウラン製造過程で出てくる微濃縮ウランを日本が買って軽水炉で消費することが可能になる。
軽水炉では、使用済燃料においてU234,U236,U238,Pu240,Pu242,Np,Am,Cmは累積し続け十万年以上放射能問題が残るが、これらの元素も核分裂させて消滅させることができる。
【0014】
地上の核融合は、太陽と違って、海水中から採水抽出した重水から分解した重水素と海水中から採水抽出したリチウムから分離したリチウム6によって核融合反応を起こさせ、大量の中性子を発生させ、当該中性子をU238に照射してPuを生成する。このPuを原子炉の燃料として発電すると思われる。となると、地上の核融合からも使用済燃料は出てくる。最終処分しなければならない。そこで、本発明を使えば消滅させることができる。
一般的に、一見尤もらしい台本をつくって大道具方・小道具方・俳優に職を提供し物・金を消費することがGDP向上に繋がる。科学技術研究に言える。例えば、超電導船大和や短距離離着陸機飛鳥があった。月着陸計画は夢を与え活気を齎らした。
聞き飽きた安心安全を唱えるだけでは原子炉は買いにくい。在ることが意識されない“平穏感”のある原子炉なら人々の反対がなさそうである。本発明の原子炉で、ガスタービン発電と能動的復水器により発電すれば山間部の平家落人部落に気配が感じられないような“平穏感”のある原子力発電所が可能になる。酸化物燃料乾式再処理機器を併設すれば理想的である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
LWRSFを核燃料としたガス冷却炉に係わる実施例を示した。
【実施例0016】
図1に高富化度Pu燃料集合体であるHPuB(120)の断面図と、HPu燃料棒(110)の盾断面図を示した。
チャンネルボックス(104)は、ステンレス製の角が丸い四角の枠であるチャンネルボックスの所々に穴を貫通させて、チャンネルボックスの内外を流れるヘリウムの行き来を可能にした。チャンネルボックスの内外圧力差を減らし、チャンネルボックスが膨れるのを阻止した。
被覆管(13)の頂部の密封シール(112)を完全密封でなく不完全密封(溶接でなくネジ)すれば、燃料棒の中から発生してくるヘリウム(超ウラン元素の多くはアルファ崩壊する。ヘリウムを発生する)が、炉心冷却材喪失事故におけるヘリウムの減少を補うことができる。
【0017】
図2に低富化度Pu燃料集合体であるLPuB(121)の断面図と、LWR燃料棒(111)の盾断面図を示した。
【実施例0018】
一般に原子力発電炉の開発は、実験炉(常陽)、原型炉(もんじゅ)、実証炉、実用炉となる。実験炉は検討を進めるための試験的原子炉である。実験炉で装荷した燃料集合体をそのままにして体数を大幅に増加すれば実用炉になるのが望ましい。
図3の上段はガス冷却高速炉の実験炉概観図であり、下段は前記ガス冷却高速炉の実験炉の炉心概観図である。
ガス冷却高速炉は、ガス冷却高速炉の炉心と、前記炉心を内包する原子炉容器と、気体冷却材を循環させる循環ポンプと、制御棒十字体(220)を駆動させる制御棒駆動機からなる。
原子炉容器を内蔵する格納容器の底部側面外部に排出弁と注入弁を敷設しておけば、内圧が過度に上昇した時強制的に内圧を低めることができる。ドライアイスや液体窒素を注入すれば温度が下がる。このような格納容器ならば原子炉容器の破損による冷却材喪失を過度に心配することはない。
格納容器を耐圧性の原子炉建屋に内蔵すると、格納容器から原子炉建屋に漏洩するガスにより原子炉建屋が爆発することになると見栄えが良くない。原子炉建屋は隙間だらけまたはフィルターを敷設して爆発には至らないようにする。格納容器を酸性雨や腐食性火山灰・ガスから保護する程度がよい。
原子炉容器は、円筒状容器の上部に着脱可能な蓋を敷設してなり、冷却材及び炉心を搭載する炉心槽を内蔵している鋼製容器である。
原子炉容器を650℃で80気圧程度のヘリウムが溶接等接続箇所から意図的に漏洩できるようにすると、形状が大幅に破損することが少ない。安全弁は故障を起こす可能性があるから過度に頼らないような、柔構造鋼製容器である。
燃料集合体の上部は上部炉心格子板で支持され、当該燃料集合体の下部は下部炉心格子板で支持されている。
核反応の制御は、制御棒十字体(220)の上下操作でなされる。制御棒十字体(220)は駆動モータを主体とする制御棒駆動機で上下に動かされる。
核燃料で発生した熱は炉心槽に流入した低温気体に伝達され、当該気体は高温気体となり、当該高温気体は高温管の中を通ってガスタービンに向かう。ガスタービンで仕事を終えて低温になった低温気体が低温管から循環ポンプで昇圧されて原子炉に戻る。
炉心槽の上部と原子炉容器は仕切板で仕切られていて、原子炉に戻った低温気体は下方にのみ流れる。
燃料交換などで原子炉を停止して作業するときは、原子炉容器に浮かべた板に穴をあけて、穴をボロン添加透明アクリル円板で覆う。放射線を遮蔽しつつ中を目視できる。
【0019】
前図の下段に示したガス冷却高速炉の炉心は、多数体の正方格子状に配列された制御棒十字体(220)と、内側炉心燃料領域の前記制御棒十字体(220)に隣接させたHPuB(120)と、外側炉心燃料領域の前記制御棒十字体(220)に隣接させたLPuB(121)と、前記LPuB(121)の外辺に装荷したヘリウム生成棒集合体(140)とからなる。
制御棒十字体(220)は、沸騰水型原子炉(BWR)に装荷されている十字型制御棒と類似している。ステンレス製の円筒形の鞘である被覆管の内側に軟金属を内張りしホウ素化合物の粉を充填密封してなる中性子吸収棒を多数本十字型に配列してなる。中性子吸収棒は、上部が上蓋で固定され、下部は下部支持板で固定されている。中性子吸収棒はボロンサスの棒でもよい。
図4にヘリウム生成棒集合体(140)の概観図を示した。
ヘリウム生成棒集合体(140)はLPuB(121)とほぼ同じである。ステンレス製の円筒形の鞘である被覆管の内側に軟金属を内張りし劣化ホウ素化合物の粉を充填し、頂部をヘリウム透過性蓋(2)で封じてなるヘリウム生成棒(141)を多数本稠密正方格子状に配列してなる。劣化ホウ素は、天然のホウ素に比べてホウ素10の割合が少ない。
ホウ素10は中性子を吸収するとアルファ粒子であるヘリウムを発生する。当該ヘリウムはヘリウム透過性蓋(2)から漏洩して炉心に流出する。原子炉内での冷却材であるヘリウムの消失(ヘリウムの循環過程のどこかで漏洩する。たとえば、ガスタービンから若干漏洩する)を補う。
何らかの事象で冷却材喪失事故が生じ、原子炉が停止しても、原子炉内に残存する中性子とホウ素の反応によりヘリウムが発生し、若干ではあるが原子炉冷却が行われる。
炉心槽の断面形状は円形でも角丸四角でもよい。
【0020】
図5は、実験炉の炉心の主要な仕様である。
酸化Pu富化度は8wt%~15wt%の範囲で定める。実験炉は小型炉であるから中性子漏洩が多い。実用炉では中性子漏洩が少ないから酸化Pu富化度は低くできる。酸化Pu富化度を低くすると、Puは消費に比べて生成の割合が大きくなる。
核分裂生成物(FP)は固体であって、鉄族や白金族やランタノイドやその他軽質量元素からなる。厳密に除去するとコストが高くなるから、できる範囲で除去する。鉄族やランタノイドのうち磁石で除去できるものはできるだけ除去する。除去しにくい白金族は無理に除去しない。軽質量元素は比重差で分離できる程度に除去する。
酸化物燃料乾式再処理技術は、MAの除去やFPの除去が不十分であるとされているが、本発明では問題になりにくい。MAも燃焼させてしまう。
ペレットの製造において、圧縮成形だけだとペレット密度は理論密度の70%程度にしかならない。低密度では熱伝導が悪いからフィッサイルが少なく出力が小さいLWRペレットなら使える。
HPuペレットでは更に焼結を加え、理論密度の90%程度にする。核分裂で発生した中性子は、被覆管で吸収されたり、遠くまで伝わって外部に漏洩したりすることが少ない。したがって、PuO2冨化度を比較的低くできる。Pu239は発生に比べて消滅の割合が少なくなる。その結果、燃焼させるとPu239の総重量が増加する。そのまま燃焼させると、Pu239の燃焼消滅割合が高まり過ぎ発生に比べて消滅する割阿合が高まるからPu239の総重量は減少に転ずる。
HPu燃料棒、LWR燃料棒の被覆管外直径は1.5cmで肉厚は0.081cmだから最近の軽水炉燃料棒に比べて太い。稠密正方格子ピッチは1.7cmであるから稠密に配置されている。
ヘリウムは中性子速度を減速させる作用が小さいから熱中性子成分は少なくU238やPu240やPu242も核分裂に寄与する。
【0021】
なお、ナトリウム冷却増殖炉の被覆管直径は約0.65cmである。高富化度部分の増殖比は1.0以下であり、ブランケット部でのPu生成により増殖を保っている。ブランケット部のPuを再処理によって回収し。高富化度部分の燃料に添加する。
ヘリウムガス圧力が低ければ圧力容器の肉厚を薄くできるから廉価になる。
冷却材温度が高ければ発電効率は向上するが燃料棒をはじめ機器の健全性が損なわれる。
炉心出力と炉心流量を調節して設定する。なお、炉心出力が小さければキセノンの生成量が少なくPuO2富化度を低くすることができる。
HPuB(120)は36体装荷されている。1体当たり49本のHPu燃料棒(110)を内包している。高富化度Puペレット(11)は110cmである。高富化度Puペレット(11)部の初装荷運転時平均線出力密度が50w/cmとすると、総高富化度Puペレット(11)からの出力は約10MWとなる。PuO2冨化度が8wt%~15wt%なら、初装荷運転時平均線出力密度を50w/cm以上にできる。当該部のPu239総重量は運転移連れて上昇する。これにつれて運転時平均線出力密度は上昇する。なお、炉心全体ではLWRペレットからの出力があるため20MW程度は発熱する。運転を進めるに連れて20MWを超えて上昇する。
福島のことは早く風化させないとあらゆることが前に進まない。あんな巨大津波を予見したら日本の沿岸には何も建設できない。福祉のための金は捻出できなくなる。
福島の水タンクに内蔵されている水は、無理に放水しなくても渇水時の洗車や消火や工業用水や花栽培用に役立つ。団ボール作成時の水として利用できる。(公序良俗違反につき、不掲載)
移転用大団地を造ろうとすると地価高騰する。個人一人一人に移転費を与えれば、個人の都合に会った土地に分散するから、集中的地価高騰は起きない。過疎地はいくらでもある。移転が始まれば人口減少が起こり住みにくくなるから移転が加速する。
【実施例0022】
図6は手段3の再生高富化度Pu燃料集合体(1120)の概観図である。
再生高富化度Pu燃料集合体(1120)は、再生HPu燃料棒(1110)を多数本稠密正方格子状に束ね、束ねた周囲をチャンネルボックスで覆ってなる。
再生HPu燃料棒(1110)は、多数個の再生高富化度Puペレット(1011)を高さ方向中央に堆積させ、後記再生LPuペレット(1114)を再生高富化度Puペレット(1011)堆積の上側と下側に堆積し被覆管(13)の中に密封してなる。
極大使用再生高富化度Pu燃料集合体(2120)は、再生高富化度Pu燃料集合体(1120) を燃焼させて、再生高富化度Puペレット(1011)中のPu239総重量が装荷時の総重量よりも増加し、最大総重量に達した時点で炉外に取り出してなる。
極大使用再生高富化度Puペレット(2011)は極大使用再生高富化度Pu燃料集合体(2120)の再生HPu燃料棒(1110)からむきだしてなる。
再生高富化度Puペレット(1011)は、極大使用再生高富化度Puペレット(2011)を粉砕した粉(UO2,PuO2,MAの酸化物、FPの酸化物)に、U235濃縮度が天然ウラン濃縮度以上含有したLWRSF粉を前記粉が燃焼減量した分混合し、1cm高さ程度の円柱状に圧縮成形し焼結してなる。
【0023】
図7は手段3の再生低富化度Pu燃料集合体(1121)の概観図である。
再生低富化度Pu燃料集合体(1121)は、再生LPu燃料棒(1111)を多数本稠密正方格子状に束ね、束ねた周囲をチャンネルボックスで覆ってなる。
再生LPu燃料棒(1111)は、再生LPuペレット(1114)を被覆管(13)の中に堆積し密封させてなる。
上記再生LPuペレット(1114)は、極大使用LPuペレット1(2114)の粉と、極大使用再生LPuペレット2(1115)の粉と、U235濃縮度が天然ウラン以上含有したLWRSF粉を前2種類の粉が燃焼減量した分混合し、1cm高さ程度の円柱状に圧縮成形してなる。
【産業上の利用可能性】
【0024】
中間貯蔵は50年が目途である。その後は判らないというのでは、地元は中間貯蔵を受け入れにくい。
気配が感じられないような“平穏感”のある原子炉による核分裂でLWRSFを消滅させねばならない。
本発明により、使用済み核燃料を消滅させる目途が立てば中間貯蔵を受け入れてもよいということになる。
大地震の直後はそこの土地からの避難民の生活を立ち行かせねばならない。そこで、跡地に本発明を建設し、避難民の生活資金を捻出する。再び大地震が来たら、ここを最終処分場にする。
民主党政権野田首相が自民党や公明党を誘って創設した第3条に基づく原子力規制委員会は、独立した組織に近く、年間予算470億円に育った。(公序良俗違反につき、不掲載)そ原子力規制委員会がある限り、本発明の日本での実現は困難だろう。米国かイスラエルなら可能かもしれない。原子力規制委員会には文科省や国交省が関わり、電力会社や大学や研究機関に関われる。情報・自動車・再生可能エネルギー・船・飛行機・重機械等あらゆる分野に影響が及ぶだろう。
企業などは開発段階のものでは通商産業省に顔を向けるが、本格的産業になったら企業は通商産業省に顔を向けても意味がなくなる。自民党は蚊帳の外である。
本発明機器を小企業が米国かイスラエルで開発し、日本に輸入して小規模発電会社を仮想発電所とする。この仮想発電所からの電力を九電力に売電する。
日本農業は既得権益保護で合理化進まなかったから、海外で農業を合理化し、安くなった農産品を日本に輸入している。
核物質の消滅は核分裂させて消滅させるのが有力である。本発明の手段や加速器を補助にして、核分裂により核物質を消滅する。小規模で両手段を実施するのが望ましい。
ナトリウム冷却高速炉では、ループ型とタンク型でどっちにするかで長期間検討しているうちに時間きれとなった。(公序良俗違反につき、不掲載)
風力発電や水素スタンドでの管理補修作業において、昔の様な己を律した職人気質の作業員は望めなくなった。福祉が行き届けば気ままに生活する生き方の人が出てくる。海外でも気ままに生活する生き方が主流になるから若い人の研修などでの労働力輸入は難しくなる。束縛がある結婚は嫌われるから、婚外子が増えてくる。少子化対応では解決できないから、自治体や国は寄宿舎付き保育園・学校を運営せざるをえないだろう。安いエネルギーがないと乗り越えられない。
再生可能エネルギー発電が主流で、稼働中の軽水炉の主流PWRを造る所は1社、どうなるか不明のBWRを造る所は1社、その他1社とバランスがいい。主流があっての多様性である。
気配が感じられないような“平穏感”のある、かつ、発電原価が安い原子力発電が必要である。
小型原子炉は発電コストが高い。かつて、モジュールガスタービンが脚光を浴びたが大電力会社では不採用になった。原則として、大電力会社自身は小資本でできる発電はやらないだろう。仮想発電所だろう。
(公序良俗違反につき、不掲載)
本発明は、大型軽水炉の使用済燃料を消滅させることを主眼としている。
原発テロ対策が警察・軍隊主導にならなければコスト増になり、大型原発でも意味がなくなる。今の原発テロ対策を小型原子炉にも求めるとコストから行くと開発する意味がないだろう。停止中原子炉にダイナマイト攻勢をかけても大災害を起こせない。運転中原子炉では格納容器内に侵入することは困難だろう。ただ、格納容器外の給水冷却系・復水器・海水取水系・水タンクをタイマ付き爆薬で同時に破壊すれば予断を許さない。

それでも原発テロ対策して再稼働したいならPWRだけ再稼働すれば面子は保たれるだろう。原発推進者の面子も保たれるだろう。(公序良俗違反につき、不掲載)
国会は福祉競争になっている。国の面倒見はどんどん良くなりそうだから、われら庶民は自助努力を気にしなくてもよさそうである。コロナ対策予算が21兆円あるから庶民は安心感を持てる。(公序良俗違反につき、不掲載)金不足になったら印刷して基金の増額に充てればよい。余ったマスクなどは繁華街に置いておけば無料で配布できる。談合などの不正が発覚したら関係者を片っ端から捕らえ、年収の1割返金か実刑かを選択させればよい。元金回収ができるまで上司を告発して芋蔓式に捕まえる。
あとは、自分のことは後回しにして庶民のために奮闘してくれる有能な少数の人を高給料で育成するような政治を強化してほしい。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】高富化度Pu燃料集合体であるHPuB(120)の断面図と、HPu燃料棒(110)の盾断面図。
図2】低富化度Pu燃料集合体であるLPuB(121)の断面図と、LWR燃料棒(111)の盾断面図。
図3】上段はガス冷却高速炉の実験炉概観図であり、下段は前記ガス冷却高速炉の実験炉の炉心概観図。
図4】ヘリウム生成棒集合体(140)の概観図。
図5】実験炉の炉心の主要な仕様。
図6】再生高富化度Pu燃料集合体(1120)の概観図。
図7】再生低富化度Pu燃料集合体(1121)の概観図。
【符号の説明】
【0026】
11は高冨化度Puペレット。
13は被覆管。
14はLWRペレット。
104は穴あきチャンネルボックス
110はHPu燃料棒。
111はLWR燃料棒。
112は密封シール。
120はHPuB。
121はLPuB。
140はヘリウム生成棒集合体。
141はヘリウム生成棒。
142はヘリウム透過性蓋。
220は制御棒十字体。
1011は再生高富化度Puペレット。
1110は再生HPu燃料棒。
1111は再生LPu燃料棒。
1120は再生高富化度Pu燃料集合体。
1114は再生LPuペレット。
1115は極大使用再生LPuペレット2。
1121は再生低富化度Pu燃料集合体。
2011は極大使用再生高富化度Puペレット。
2114は極大使用再生LPuペレット1。
2120は極大使用再生高富化度Pu燃料集合体。
2121は極大使用再生低富化度Pu燃料集合体。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7