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  • 特開-穿刺装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023072716
(43)【公開日】2023-05-25
(54)【発明の名称】穿刺装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/00 20060101AFI20230518BHJP
   A61M 25/06 20060101ALI20230518BHJP
【FI】
A61M5/00 500
A61M25/06 500
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021185318
(22)【出願日】2021-11-14
(71)【出願人】
【識別番号】521000404
【氏名又は名称】株式会社オブリガート
(74)【代理人】
【識別番号】100124017
【弁理士】
【氏名又は名称】大野 晃秀
(72)【発明者】
【氏名】川平 洋
【テーマコード(参考)】
4C066
4C267
【Fターム(参考)】
4C066AA07
4C066FF04
4C066QQ62
4C066QQ78
4C066QQ82
4C267AA21
4C267BB62
4C267CC08
4C267HH08
4C267HH11
(57)【要約】
【課題】簡易に静脈かどうかを確認することができる穿刺装置を提供する。
【解決手段】
穿刺装置は、血管内に穿刺し得る針部と、針部の振動を検知する振動検知部とを含む。 血管内に針部を穿刺し、針部の内部空洞を通じて、血管内に挿入物を挿入するためのものとすることができる。動脈と静脈との間で振動の違いがあることに着目し、穿刺に当たって、針部に加わる振動状態を把握し、針部が接する部分が動脈と静脈の違いを識別し、静脈であることを確認してから静脈に穿刺する方策がより安全な穿刺を実施できる。
【選択図】図2

【特許請求の範囲】
【請求項1】
血管内に穿刺し得る針部と、
前記針部の振動を検知する振動検知部と、を含む穿刺装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記針部は、筒状であって、内部空洞がある穿刺装置。
【請求項3】
請求項2において、
血管内に針部を穿刺し、前記針部の内部空洞を通じて、前記血管内に挿入物を挿入するためのものである穿刺装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれかにおいて、
前記振動検知部は、脈動を検知し得るものである穿刺装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれかにおいて、
前記振動検知部が検知した振動状態により動脈の脈動か、静脈の脈動かを判断するための判断部を含む穿刺装置。
【請求項6】
請求項1~5のいずれかにおいて、
前記針部の端に当接部が設けられ、
把持部を含み、
前記当接部と前記把持部との間に振動検知部が設けられ、
前記振動検知部は、前記当接部を通じて前記針部の伸長方向に作用する力を受け、前記針部の振動を検知する穿刺装置。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血管に穿刺するための穿刺装置に関する。
【背景技術】
【0002】
日本において、中心静脈穿刺は、初期臨床研修医にとって必須の基本手技とされている(新医師臨床研修制度における指導ガイドライン 厚生労働省 2005年)。
【0003】
中心静脈穿刺は、「超音波ガイド下」が推奨されており、超音波画像により血管の位置・方向・深さなどを確認しながら穿刺針を進め、動脈に触れないように穿刺針を進め、静脈に穿刺することが行われている(特許文献1~3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5531239号公報
【特許文献2】特許第6828389号公報
【特許文献3】特開2021-19955
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、簡易に静脈かどうかを確認することができる穿刺装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、超音波(エコー)ガイド下での穿刺の際に、超音波発生部と穿刺装置とを別々の手で持つ必要あるところ、超音波での確認と穿刺とを両手で行う必要があり手技が煩雑であるという課題を認識した。本発明者は、動脈と静脈との間で振動の違いがあることに着目し、穿刺に当たって、針部に加わる振動状態を把握し、針部が接する部分が動脈と静脈の違いを識別し、静脈であることを確認してから静脈に穿刺する方策がより安全な穿刺を実施できることを見出し、本発明に係る穿刺装置を発明するに至った。
【0007】
本発明の穿刺装置は、
血管内に穿刺し得る針部と、
前記針部の振動を検知する振動検知部と、を含む。
【0008】
本発明において、
前記針部は、筒状であって、内部空洞があるものとすることができる。
【0009】
本発明において、
血管内に針部を穿刺し、前記針部の内部空洞を通じて、前記血管内に挿入物を挿入するためのものであることができる。
【0010】
本発明において、
前記振動検知部は、脈動を検知し得るものであることができる。
【0011】
本発明において、
前記振動検知部が検知した振動状態により動脈の脈動か、静脈の脈動かを判断するための判断部を含むことができる。
【0012】
本発明において、
前記針部の端に当接部が設けられ、
把持部を含み、
前記当接部と前記把持部との間に振動検知部が設けられ、
前記振動検知部は、前記当接部を通じて前記針部の伸長方向に作用する力を受け、前記針部の振動を検知するものであることができる。
【0013】
本発明に係る穿刺装置は、人の血管のみならず、人以外の動物の血管の穿刺にも適用可能である。
【発明の効果】
【0014】
本発明の穿刺装置は、動脈と静脈とは脈動や脈圧が異なるため、動脈か静脈かを知ることができる。安全な手技を実現することができる。また、振動で脈管を識別し、穿刺の簡便化を図ることができる。特に、頚部や鎖骨周囲から穿刺する中心静脈穿刺において有用で、エコーでまず血管走行(解剖)の概略を認知した後に、穿刺装置を片手で操作し、振動で動脈、静脈かどうかを識別することができるものである。
また、教育デバイスとしても使用することができ、ラーニングカーブの短縮化を図ることができる。動脈穿刺を減少させ、医療安全を担保することができる腕から挿入する中心静脈カテーテル(PICC(Peripherally Inserted Central Venous Catheter))に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施の形態に係る穿刺装置を模式的に示す図である。
図2】実施の形態に係る穿刺装置を模式的に示す図である。
図3】実施の形態に係る穿刺装置の使用例を模式的に示す図である。
図4】実施の形態に係る穿刺装置の機能図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
実施の形態に係る穿刺装置10は、図1に示すように、血管内に穿刺する針部12を有する。針部12は、筒状であっても、棒状であってもよい。針部12が筒状で内部空洞12aがある場合には、針部12の内部空洞12aを通じて、血管内に挿入物を挿入することができる。
【0017】
振動検知部14は、脈動を検知し得るものとすることができる。振動検知部14は、針部12に加わる振動を検知することができるものであれば特に限定されず、たとえば、変位センサ、加速度センサ、圧力センサ、圧電素子などにより構成することができる。振動検知部14は、たとえば、3mm以上、好ましくは3~10mm、より好ましくは5~7mmの振幅を検知するものであることができる。振動検知部14は、一つであっても、複数であってもよい。
【0018】
穿刺装置10自体を把持するための把持部16を設けることができる。把持部16は、手で持つことができる公知の柄とすることができる。針部12に内部空洞12aがある場合には、把持部16を筒状とし、把持部16の内部空洞16aの径と針部12の内部空洞12aの径と同じとし、把持部16の内部空洞16aと針部12の内部空洞12aとが連続する態様とすることができる。
【0019】
穿刺装置10を挿入物の挿入を支援する支援装置として用いる場合には、針部12および把持部16を筒状に設けることができる。この場合に、把持部16の針部12側とは逆側の端部から挿入物を入れて、針部12の先端から挿入物を出すことができるように、把持部16の伸長方向に伸びる内部空洞16aと、針部12の伸長方向に伸びる内部空洞12aとを、直線上に設けることができる。これにより、図2に示すように、穿刺装置10の針部12を血管内に刺した後、カテーテル30などを穿刺装置10内の内部空洞を通じて血管に誘導することができる。
【0020】
図3に示すように、穿刺装置10は、針部12の把持部16側の端に当接部18を設け、当接部18と把持部16との間に振動検知部14を設けることができる。振動検知部14は、当接部18を通じて針部12の伸長方向に作用する力を受け、針部12の振動を検知することができる。当接部18は、針部12の端に設けられたフランジにより構成してもよい。当接部18は、突起であってもよい。当接部18と把持部16との間に、振動検知部14を一つまたは複数設けることができ、複数設ける場合には、振動検知部14を周状に設けることができる。
【0021】
穿刺装置10は、図4に示すように、振動検知部14が検知した振動状態により動脈50の脈動か、静脈40の脈動かを判断するための判定部20を含むことができる。具体的には、振動検知部14が検知した振動に基づき、脈動数を推定し、その脈動数から針部12の先端が受けた振動が動脈50によるものかまたは静脈40によるものかを判定することができる。判定部20は、CPU,ROMおよびRAMにより構成される処理装置により実現することができる。
【0022】
穿刺装置10は、表示部22を含むことができる。表示部22は、振動センサーが検知した数値や、脈動数、針部12が受けた振動が動脈50によるものか静脈40によるものかの情報を表示することができる。表示部22は、液晶表示装置などの公知の表示装置を適用することができる。
【0023】
穿刺装置10は、針部12および把持部16に内部空洞がある場合には、カテーテル30などのイントロデューサーとして適用することができる。
【0024】
穿刺装置10は、試験穿刺や本穿刺などにも適用することができる。
【0025】
本実施の形態によれば、動脈と静脈との間で振動の違いがあることに着目し、穿刺に当たって、針部12に加わる振動状態を把握し、針部12が接する部分が動脈と静脈の違いを識別し、静脈であることを確認してから静脈に穿刺する方策がより安全な穿刺を実施できる。
【0026】
本実施の形態は、本発明の範囲内において種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0027】
10 穿刺装置
12 針部
12a 内部空洞
14 振動検知部
16 把持部
16a 内部空洞
18 当接部
20 判定部
22 表示部
30 カテーテル
40 静脈
50 動脈
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2023-03-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
血管内に穿刺され得る針部と、
前記針部の振動を検知する振動検知部と、
把持部とを含み、
前記振動検知部は、前記針部に接触しており、
前記針部は、筒状であり、かつ、前記針部の伸長方向に貫通する内部空洞を有し、
前記把持部は、筒状であり、かつ、前記把持部の伸長方向に貫通する内部空洞を有し、
前記針部の内部空洞と、前記把持部の内部空洞は、直線上に設けられており、
前記把持部の前記針部側とは逆側の端部において、前記把持部の内部空洞は開放されている、穿刺装置。
【請求項2】
血管内に穿刺され得る針部と、
前記針部の振動を検知する振動検知部と、
把持部と、
前記針部の把持部側の端に設けられた当接部とを含み、
前記振動検知部は、前記当接部に接触しており、
前記針部は、筒状であり、かつ、前記針部の伸長方向に貫通する内部空洞を有し、
前記把持部は、筒状であり、かつ、前記把持部の伸長方向に貫通する内部空洞を有し、
前記針部の内部空洞と、前記把持部の内部空洞は、直線上に設けられており、
前記把持部の前記針部側とは逆側の端部において、前記把持部の内部空洞は開放されている、穿刺装置。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記把持部の針部側とは逆側の端部からカテーテルを入れて、前記針部の先端から前記カテーテルを血管内に導くためのものである、穿刺装置。
【請求項4】
請求項1または2において、
前記振動検知部は、脈動を検知し得るものである穿刺装置。
【請求項5】
請求項1または2において、
前記振動検知部が検知した振動状態により動脈の脈動か、静脈の脈動かを判断するための判断部を含む穿刺装置。
【請求項6】
請求項1または2において、
前記針部の端に当接部が設けられ、
前記当接部と前記把持部との間に振動検知部が設けられ、
前記振動検知部は、前記当接部を通じて前記針部の伸長方向に作用する力を受け、前記針部の振動を検知し、
前記当接部は、針部の端から側方に向かって伸びるフランジにより構成され、
前記振動検知部は、複数設けられ、前記針が伸びる方向の延長線上の周りに配置されている、穿刺装置。