(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023072719
(43)【公開日】2023-05-25
(54)【発明の名称】コア部材及びソレノイドコイルユニット
(51)【国際特許分類】
H01F 38/14 20060101AFI20230518BHJP
H01F 41/02 20060101ALI20230518BHJP
H01F 27/255 20060101ALI20230518BHJP
【FI】
H01F38/14
H01F41/02 D
H01F27/255
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021185323
(22)【出願日】2021-11-14
(71)【出願人】
【識別番号】522355547
【氏名又は名称】Wireless Power Transfer 株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165331
【弁理士】
【氏名又は名称】森岡 智昭
(72)【発明者】
【氏名】木村 孝
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 幹根
(57)【要約】
【課題】非接触給電における給電性能の低下を抑制でき、軽量化され、かつ、製造が容易であるコア部材を提供する。
【解決手段】コア部材は、他のソレノイドコイルユニットと非接触で電力の授受を行うソレノイドコイルユニットに用いられ、ソレノイドコイルが巻回される。コア部材は、前記ソレノイドコイルが中心軸周りに巻回される棒状のコア本体部を備え、前記コア本体部は、前記中心軸の軸方向に沿って配置され、前記中心軸に直交する径方向に配列された複数の磁性体部材によって構成され、前記複数の磁性体部材はそれぞれ、前記軸方向に沿った平坦面を有し、前記複数の磁性体部材のうち、前記径方向に隣り合って配置されているもの同士は、前記平坦面において互いに面接触している。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
他のソレノイドコイルユニットと非接触で電力の授受を行うソレノイドコイルユニットに用いられ、ソレノイドコイルが巻回されるコア部材であって、
前記ソレノイドコイルが中心軸周りに巻回される棒状のコア本体部を備え、
前記コア本体部は、前記中心軸の軸方向に沿って配置され、前記中心軸に直交する径方向に配列された複数の磁性体部材によって構成され、
前記複数の磁性体部材はそれぞれ、前記軸方向に沿った平坦面を有し、
前記複数の磁性体部材のうち、前記径方向に隣り合って配置されているもの同士は、前記平坦面において互いに面接触している、コア部材。
【請求項2】
前記複数の磁性体部材のうちの少なくとも一つは、前記軸方向に沿って一列に配列された複数の磁性体片によって構成され、
前記複数の磁性体片のうち、前記軸方向に隣り合って配置されているもの同士は、前記軸方向に交差する方向に向く端面において互いに面接触している、請求項1記載のコア部材。
【請求項3】
前記複数の磁性体片の前記端面の表面粗さは、前記磁性体部材における前記平坦面の表面粗さより小さい、請求項2に記載のコア部材。
【請求項4】
前記複数の磁性体部材は、少なくとも、前記径方向に隣り合って配置され、それぞれが前記複数の磁性体片によって構成された第1磁性体部材と第2磁性体部材とを含み、
前記第1磁性体部材を構成する前記複数の磁性体片同士の境界位置はいずれも、前記第2磁性体部材を構成する前記複数の磁性体片同士の境界位置と、前記軸方向においてずれている、請求項2又は請求項3記載のコア部材。
【請求項5】
前記第1磁性体部材と前記第2磁性体部材とは接着層を介して接合されており、
前記複数の磁性体片のうち、前記軸方向に隣り合うもの同士の間には接着層が設けられていない、請求項4に記載のコア部材。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載のコア部材と、前記コア本体部に巻回される前記ソレノイドコイルと、を備えるソレノイドコイルユニット。
【請求項7】
他のソレノイドコイルユニットと非接触で電力の授受を行うソレノイドコイルユニットにおいて、ソレノイドコイルが巻回される棒状のコア本体部を有するコア部材の製造方法であって、
それぞれが平坦面を有する複数の磁性体部材を形成する工程と、
前記平坦面同士が面接触する状態で前記複数の磁性体部材を配列させることにより、前記平坦面に沿った中心軸を有する棒状のコア本体部を構成する工程と、
を備える、コア部材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、他のソレノイドコイルユニットと非接触で電力の授受を行うソレノイドコイルユニットに用いられるコア部材に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子デバイスや電動モビリティ等に対し、ケーブルを用いることなく電力を伝送する、非接触給電システムが注目されている。非接触給電システムは、「無線給電システム」とも呼ばれる。非接触給電システムは、離間して配置された給電側と受電側の2つのコイルユニット間において電力の授受を行う。コイルユニットとしては、サーキュラー型や、例えば、下記の特許文献1のように、コア部材にソレノイドコイルが巻回されたソレノイド型が用いられる場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば電動モビリティ等の大型な機械や装置、システムに非接触給電システムを搭載する場合、コイルユニットが大型化し、そのコア部材も大型化する可能性がある。コア部材の大型化は、その製造設備の大型化や製造工程の煩雑化、製造コストの増大を招き、コア部材の製造を困難にする可能性があった。また、コア部材の大型化は、非接触給電システムのコイルユニットや、コイルユニットが搭載されるモビリティ等の重量増加につながる可能性もあった。そのため、非接触給電システムのコイルユニットに用いられるコア部材は、できるだけ軽量化されていることが望ましく、大型化した場合でも、その製造が容易であることが望ましい。さらに、非接触給電システムにおいては、コア部材が軽量化された場合であっても、所定の給電性能を確保されるように、コイルユニット間における結合係数の低下が抑制できることが望ましい。本願は、上記の特許文献1に開示されているような板状のコアとは異なる構成を有し、非接触給電における給電性能の低下を抑制でき、軽量化され、かつ、製造が容易であるコア部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するための第1の形態は、他のソレノイドコイルユニットと非接触で電力の授受を行うソレノイドコイルユニットに用いられ、ソレノイドコイルが巻回されるコア部材として提供される。この形態のコア部材は、前記ソレノイドコイルが中心軸周りに巻回される棒状のコア本体部を備える。前記コア本体部は、前記中心軸の軸方向に沿って、前記中心軸に直交する径方向に配列された複数の磁性体部材によって構成され、前記複数の磁性体部材はそれぞれ、前記軸方向に沿った平坦面を有し、前記複数の磁性体部材のうち、前記径方向に隣り合って配置されているもの同士は、前記平坦面において互いに面接触している。
【0006】
第2の形態のコア部材において、前記複数の磁性体部材のうちの少なくとも一つは、前記軸方向に沿って一列に配列された複数の磁性体片によって構成され、前記複数の磁性体片のうち、前記軸方向に隣り合って配置されているもの同士は、前記軸方向に交差する方向に向く端面において互いに面接触していてよい。
【0007】
第3の形態のコア部材において、前記複数の磁性体片の前記端面の表面粗さは、前記磁性体部材における前記平坦面の表面粗さより小さくてよい。
【0008】
第4の形態のコア部材において、前記複数の磁性体部材は、少なくとも、前記径方向に隣り合って配置され、それぞれが前記複数の磁性体片によって構成された第1磁性体部材と第2磁性体部材とを含み、前記第1磁性体部材を構成する前記複数の磁性体片同士の境界位置はいずれも、前記第2磁性体部材を構成する前記複数の磁性体片同士の境界位置と、前記軸方向においてずれていてよい。
【0009】
第5の形態のコア部材において、前記第1磁性体部材と前記第2磁性体部材とは接着層を介して接合されており、前記複数の磁性体片のうち、前記軸方向に隣り合うもの同士の間には接着層が設けられていなくてよい。
【0010】
第6の形態は、上記のいずれかの形態のコア部材と、前記コア本体部に巻回される前記ソレノイドコイルと、を備えるソレノイドコイルユニットとして提供される。
【0011】
第7の形態は、他のソレノイドコイルユニットと非接触で電力の授受を行うソレノイドコイルユニットにおいて、ソレノイドコイルが巻回される棒状のコア本体部を有するコア部材の製造方法として提供される。この形態の製造方法は、それぞれが平坦面を有する複数の磁性体部材を形成する工程と、前記平坦面同士が面接触する状態で前記複数の磁性体部材を配列させることにより、前記平坦面に沿った中心軸を有する棒状のコア本体部を構成する工程と、を備える。
【発明の効果】
【0012】
上記第1の形態のコア部材によれば、棒状のコア本体部を有することにより、非接触給電を行うソレノイドコイルユニット間の結合係数の低下を抑制しながらの軽量化を容易に実現できる。また、コア本体部が複数の磁性体部材によって構成されるため、コイルユニットを大型化させた場合でも、コア本体部を構成する基材の大型化によりコア部材の製造が困難になることを抑制できる。さらに、コア本体部では、複数の磁性体部材が軸方向に沿って配置されるとともに、互いに軸方向に沿ったその平坦面同士において面接触しているため、非接触給電の際に、コア部材内部における磁束の損失を抑制できる。よって、コア部材が複数の磁性体部材で構成されていることによって、非接触給電を行うソレノイドコイルユニット間の結合係数の低下を抑制することができる。
【0013】
上記第2の形態のコア部材によれば、コア本体部を構成する磁性体部材を、磁性体部材より小型な複数の磁性体片によって構成することができる。よって、コア部材の大型化によって、その製造が困難になってしまうことをさらに抑制できる。また、この形態のコア部材では、磁性体部材を構成する磁性体片同士を面接触させているため、非接触給電の際に隣り合う磁性体片同士の境界に生じる隙間によって磁束の損失が生じることを抑制できる。よって、磁性体部材を複数の磁性体片により構成したことによる結合係数の低下を抑制できる。
【0014】
上記第3の形態のコア部材によれば、磁性体片の端面の表面粗さが小さいため、非接触給電の際に磁性体片同士の境界において磁束の損失が生じることを、さらに抑制できる。よって、結合係数の低下をさらに抑制できる。
【0015】
上記第4の形態のコア部材によれば、隣り合う一対の磁性体部材において磁性体片の境界位置がずれているため、磁性体片のそれぞれを互いに支持し合う状態でコア部材に組み付けることが容易にでき、コア部材の製造を容易化できる。
【0016】
上記第5の形態のコア部材によれば、第1磁性体部材と第2磁性体部材とが接着層を介して接合される。また、その接着層によって、第1磁性体部材と第2磁性体部材を構成する各磁性体片を固定することもできる。よって、コア部材を構成する磁性体片が分離してしまうことを抑制できる。また、磁性体片同士の間には接着層が設けられていないため、非接触給電の際に、隣り合う磁性体片の境界の接着層において磁束の損失が生じることを抑制できる。加えて、磁性体片同士を、接着層を介して接合する場合よりもコア部材を軽量化することができる。
【0017】
上記第6の形態のソレノイドコイルユニットによれば、棒状のコア本体部を有するコア部材を備えるため、結合係数の低下を抑制しながら軽量化することが容易にできる。
【0018】
上記第7の形態の製造方法によれば、軽量化され、かつ、非接触給電におけるコイルユニット間の結合係数の低下を抑制できるコア部材を容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】第1実施形態の非接触給電システムの構成を示す概略斜視図。
【
図2】非接触給電が行われている際の磁束線を示す模式図。
【
図8】コア部材の製造方法の一例を示す工程フロー図。
【
図9】コア部材のサイズと非接触給電システムの給電性能との関係を示す説明図。
【
図10】第2実施形態のコア本体部の構成を示す概略断面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本開示のコア部材、それを用いたコイルユニット、および、コア部材の製造方法の実施形態を、各図を参照して詳細に説明する。
【0021】
1.第1実施形態:
図1は、本実施形態のコア部材10を備える非接触給電システム100の構成を示す概略斜視図である。
図1には、コア部材10における後述するコア本体部11の中心軸CXを一点鎖線で図示してある。以下、中心軸CXに平行な方向を単に「軸方向」とも呼び、軸方向に直交する方向を「径方向」とも呼ぶ。また、
図1には、互いに直交する三方向を示す矢印x,y,zを図示してある。y方向は、軸方向に相当し、x方向およびz方向はそれぞれ径方向に相当する。x方向は、コア部材10の「幅方向」に相当し、y方向はコア部材10の「長さ方向」に相当し、z方向は、コア部材10の「厚み方向」に相当する。また、z方向は、一対のソレノイドコイルユニット50,50aの「離間方向」にも相当する。
【0022】
非接触給電システム100は、一対のソレノイドコイルユニット50,50aを備える。ソレノイドコイルユニット50は、他のソレノイドコイルユニット50aと非接触で電力の授受を行う。非接触給電システム100は、例えば、電動モビリティへの給電に利用される。この場合には、第1のソレノイドコイルユニット50が電動モビリティに搭載されて電動モビリティの電気系統に接続され、第2のソレノイドコイルユニット50が充電設備に設置され、電力源に接続されるものとしてよい。なお、非接触給電システム100は、電動モビリティ以外の他の電力を利用する機械や装置、システムへの給電に利用されてもよい。
【0023】
非接触給電システム100を構成する第1のソレノイドコイルユニット50と第2のソレノイドコイルユニット50aとはほぼ同じ構成を有し、自己インダクタンスも同じである。よって、本明細書における第1のソレノイドコイルユニット50についての説明は、第2のソレノイドコイルユニット50aにも適用できる。以下では、第1のソレノイドコイルユニット50を単に「ソレノイドコイルユニット50」と呼ぶ場合もある。
【0024】
ソレノイドコイルユニット50は、コア部材10と、コア部材10に巻回されたソレノイドコイル20と、を備える。また、本実施形態では、コア部材10は、両方の端部12にそれぞれ、磁極板15を備えている。コア部材10は、フェライト等の高磁性体材料によって構成される。コア部材10は、例えば、パーマロイ等の高透磁率を有する合金や、ダスト材によって構成されてもよい。ソレノイドコイルユニット50の構成の詳細および磁極板15の機能については後述する。
【0025】
非接触給電システム100において非接触給電が行われる際には、2つのソレノイドコイルユニット50,50aは、互いに並列な姿勢でz方向に所定の離間距離Gを空けて配置される。離間距離Gは、2つのコア部材10の中心軸CX間の距離に相当する。非接触給電システム100を電動モビリティへの給電に利用する場合、電動モビリティの種類にもよるが、離間距離Gは、例えば、100~400mm程度であるとしてよく、150~300mm程度であるとしてもよく、180mm~250mm程度としてもよい。
【0026】
以下、z方向を「離間方向」とも呼ぶ。また、本明細書において「並列」とは、一の直線が他の直線に沿っている状態を意味しており、2つの直線が数学的に厳密に「平行」に配置されている状態と、一の直線が他の直線に対して数°程度の傾斜角を有している状態と、を含む概念である。
【0027】
図2は、非接触給電システム100において非接触給電が行われている際の磁束MFを示す模式図である。
図2では、2つのソレノイドコイルユニット50,50aの磁極板15の図示は便宜上、省略されている。
【0028】
非接触給電システム100では、一対のソレノイドコイルユニット50,50aが
図1および
図2に示すように互いに並列に離間して設置された状態で非接触給電が行われる。第2のソレノイドコイルユニット50aを給電側とする場合には、第2のソレノイドコイルユニット50aに電流が流すことにより生じる磁束MFが受電側である第1のソレノイドコイルユニット50のコア部材10を通り、第2のソレノイドコイルユニット50に戻ることで相互誘導が生じる。2つのソレノイドコイルユニット50,50aの間で電力が授受される。なお、第1のソレノイドコイルユニット50に電流を流すことにより、第1のソレノイドコイルユニット50を給電側とし、第2のソレノイドコイルユニット50aを受電側として非接触給電を行うことが可能である。
【0029】
図1および
図2では、一対のソレノイドコイルユニット50,50aが互いに位置ずれなく配置されている状態が例示されている。この状態では、一対のソレノイドコイルユニット50,50aを離間方向であるz方向に見たときに、第1のソレノイドコイルユニット50の外周輪郭線と第2のソレノイドコイルユニット50aの外周輪郭線とが互いに重なり合う。このように位置ずれがない状態であるときに一対のソレノイドコイルユニット50,50aの間の結合係数が最も高くなり、電力の伝送効率が最も高くなる。非接触給電システムにおいては、結合係数が高いほど給電性能が高いことを意味する。以下、本明細書において「結合係数」と言うときには、特に断らない限り、位置ずれが生じていない状態のときの結合係数を意味するものとする。
【0030】
本実施形態の非接触給電システム100では、コア部材10が後述する棒状のコア本体部11を備えていることにより、結合係数の低下を抑制しながら軽量化されている。この効果については、コア部材10の詳細な構成および製造方法を説明した後に詳細に説明する。
【0031】
ここで、非接触給電システムでは通常、給電側と受電側のコイルユニットの間に多少の位置ずれが生じている場合でも、所定の伝送効率を確保した状態で非接触給電を行うことが可能である。所定の伝送効率を確保できるコイルユニット間の位置ずれの許容度は「ロバスト性」とも呼ばれる。本実施形態の非接触給電システム100では、ソレノイドコイルユニット50に磁極板15が設けられていることにより、このロバスト性が高められているが、その詳細についても、コア部材10の詳細な構成および製造方法を説明した後に説明する。
【0032】
図3~
図5を参照して、ソレノイドコイルユニット50の構成を説明する。
図3は、ソレノイドコイルユニット50をz方向に見たときの概略平面図である。
図4は、ソレノイドコイルユニット50をx方向に見たときの概略側面図である。
図5は、ソレノイドコイルユニット50をy方向に見たときの概略正面図である。
【0033】
ソレノイドコイルユニット50のコア部材10は、棒状のコア本体部11と、コア本体部11の軸方向における両端に位置する2つの端部12と、を有する。本明細書では、「棒状」は、「柱状」と言い換えてもよく、少なくとも、中心軸に沿った軸方向の長さが、中心軸周りの側面間の幅よりも大きい細長い形状を意味する。コア部材10において、コア本体部11は、ソレノイドコイル20によって覆われている部位であり、2つの端部12はソレノイドコイル20の両端から延び出ている部位である。
【0034】
本実施形態では、コア本体部11は、四角柱状の形状を有しており、中心軸CXに垂直な断面におけるコア本体部11の断面形状は長方形状の形状を有している。コア本体部11の幅wは、コア本体部11の厚みtより大きく、コア本体部11の長さLよりも小さい。「幅」はx方向における寸法を意味し、「厚み」はz方向における寸法を意味し、「長さ」はy方向における寸法を意味する。本実施形態では、コア本体部11は、コア本体部11の幅wの2倍より大きい長さLを有している。コア本体部11の長さLは、その幅wの8倍以上であることが好ましい。この理由については後述する。
【0035】
本実施形態のように、コア本体部11が四角柱状の形状を有していれば、その成形や取り回しが容易であるため、コア部材10の製造が容易化される。他の実施形態では、コア本体部11は四角柱状の形状に限定されることはなく、種々の棒状体・柱状体で構成されていてもよい。また、コア本体部11の断面形状も長方形形状に限定されることはない。コア本体部11は、例えば、円柱状や、三角柱状、多角柱状の形状を有していてもよい。また、コア本体部11の断面は、三角形形状や正方形形状、その他の多角形形状を有していてもよいし、略正円状や、略楕円状、略長円状等の種々の形状を有していてもよい。
【0036】
本実施形態では、コア本体部11は、複数の磁性体部材によって構成されており、その磁性体部材は、複数の磁性体片によって構成されている。複数の磁性体部材および複数の磁性体片の詳細については後述する。
【0037】
ソレノイドコイル20は絶縁被覆された電線を、コア本体部11の中心軸CX周りに密に何重にも巻回したものである。なお、各図では、便宜上、ソレノイドコイル20における一本ずつの電線の図示は省略してある。ソレノイドコイル20は、コア本体部11の軸方向全体に密に巻き回されている。ソレノイドコイル20の電線に電流を流すと軸方向に磁場が発生する。磁束の乱れや漏れを低減するためには、電線は均一かつ規則的に巻回されていることが望ましい。なお、ソレノイドコイル20の中心軸は、コア本体部11の中心軸CXと一致する。また、ソレノイドコイル20の長さはコア本体部11の長さLと一致する。
【0038】
上述した通り、ソレノイドコイルユニット50では、ソレノイドコイル20の軸方向における両端からコア部材10の2つの端部12が軸方向に延び出ている。コア部材10の2つの端部12は、ソレノイドコイルユニット50の磁極として機能する。本実施形態では、各端部12の対向面には磁極板15が設けられている。ここで、コア部材10における「対向面」とは、非接触給電を行う際に、電力を授受する他のソレノイドコイルユニットの方に向く面を意味する。コア部材10において、対向面に対してz方向における反対側の面を「外側面」とも呼ぶ。
【0039】
本実施形態では、各端部12の対向面は、コア本体部11の対向面を軸方向に延長した面によって構成されている。また、本実施形態では、各端部12は、ソレノイドコイル20から軸方向に離れるほどその厚みが小さくなる形状を有しており、コア本体部11の外側面から各端部12の対向面に向かって傾斜している傾斜面を有している。なお、各端部12の形状はこれに限定されることはない。他の実施形態では、各端部12は、例えば、コア本体部11から軸方向にそのまま延長された形状、本実施形態であれば四角柱状の形状、を有していてもよい。
【0040】
磁極板15は、板状の部位として構成されている。本実施形態では、磁極板15は、端部12の底面からx方向およびy方向に張り出しており、z方向に見たときに四角状の形状を有している。磁束漏れの発生を抑制する観点からは、磁極板15の面積は大きいほど好ましい。磁極板15のy方向における寸法aは、端部12の軸方向における長さTLよりも長い。寸法aは、長さTLの2倍以上としてもよい。また、磁極板15のx方向における寸法bはコア本体部11の幅wより大きい。寸法bは幅wの2倍以上であるとしてもよい。
【0041】
磁極板15の厚みcは、コア本体部11の厚みtよりも小さい。コア部材10を軽量化する観点からは、磁極板15の厚みcは、小さいほど好ましい。磁極板15の厚みcは、例えば、コア本体部11の厚みtの1/2以下であることが好ましく、1/3以下であることがより好ましい。また、磁極板15の厚みcは、コア本体部11の厚みtの1/4以下であることがさらに好ましい。磁極板15は、コア部材10の端部12と一体的に作製されていてもよいし、端部12に対して、例えば、接着剤等を介して接合されていてもよい。
【0042】
なお、z方向に見たときの磁極板15の形状は、四角状の形状に限定されることはない。他の実施形態では、z方向に見たときの磁極板15の形状は、正円状や、楕円状、長円状、三角状、多角形状等の種々の形状を有していてもよい。また、他の実施形態では、磁極板15は、端部12からx方向に張り出すことなく、y方向にのみ張り出す形状を有していてもよい。他の実施形態では、磁極板15は、コア本体部11とは異なる磁性体材料によって構成されていてもよい。
【0043】
図6および
図7を参照して、コア部材10を構成する磁性体部材30および磁性体片35を説明する。
図6は、
図3に示す6-6切断におけるコア本体部11の概略断面図である。また、
図7は、
図4に示す7-7切断におけるコア本体部11の概略断面図である。
【0044】
コア部材10のコア本体部11は、径方向に配列された複数の磁性体部材30によって構成される。本実施形態では、複数の磁性体部材30として第1磁性体部材30aと第2磁性体部材30bとを有しており、第1磁性体部材30aと第2磁性体部材30bとは径方向のうちのz方向に配列されている。なお、以下では、第1磁性体部材30aと第2磁性体部材30bとを区別する必要がない場合には、特に断らない限り、「磁性体部材30」と総称する。
【0045】
本実施形態では、各磁性体部材30は、四角柱状の形状を有している。各磁性体部材30は、軸方向に沿って配置され、各磁性体部材30の側面は、軸方向に沿った平坦面31を構成している。本明細書において「平坦面」とは、肉眼による観察によって平面と認識される面を意味しており、例えば、数百μm以下の微小な凹凸構造を含むような面も含む概念である。
【0046】
互いに隣り合って配置されている第1磁性体部材30aと第2磁性体部材30bとは、それらの配列方向であるz方向に向く平坦面31において互いに面接触している。本明細書において「面接触」とは、2つの面が互いに向き合った状態で、ある一定の面積を有する接触領域において実質的に接している状態を意味している。「面接触」している状態には、当該接触領域に、接着層などの例えば1mmより小さい極めて薄い厚みを有する層が介在している状態や、例えば数百μm以下の微小な隙間が局所的に生じているような状態も含まれる。
【0047】
第1磁性体部材30aと第2磁性体部材30bとは、接着層40を介して互いに接合されている。接着層40は、例えば、エポキシ系の接着剤を磁性体部材30の平坦面31に塗布することによって形成される。接着層40を構成する接着剤には、磁性体の微小な粉体が混入されていてもよい。なお、コア部材10が、電動モビリティなどの振動が発生する頻度が高い環境下で使用される場合には、接着層40はゴム系の接着剤によって構成されることが好ましい。これにより、隣り合って配置されている磁性体部材30a,30b同士の間に外部環境の振動によって生じる歪に起因する内部応力を、接着層40の弾性変形によって吸収・緩和させることができる。よって、外部環境の振動に対するコア部材10の耐久性を高めることができる。
【0048】
本実施形態では、各磁性体部材30は、軸方向に沿って一列に配列された複数の磁性体片35によって構成されている。磁性体片35は直方体状の形状を有しており、軸方向に交差する方向に向く端面36と、磁性体部材30の側面を構成する、軸方向に沿った側面とを有する。本実施形態では、磁性体片35の端面36は、軸方向に対して直交している。各磁性体部材30では、軸方向に隣り合って配置されている磁性体片35同士は、互いの端面36において面接触している。本実施形態では、端面36が面接触している磁性体片35同士の間に接着層は設けられていない。
【0049】
本実施形態では、磁性体片35の端面36の表面粗さは、磁性体部材30の平坦面31の表面粗さよりも小さい。ここでの表面粗さは、最大高さRzによって表される。本実施形態では、磁性体片35の端面36は、最大高さRzが20μmより小さくなるように研磨加工されている。これにより、各磁性体部材30では、軸方向に隣り合って配列されている磁性体片35の間に20μm以上の微小な空隙が形成されることが抑制されている。
【0050】
また、本実施形態では、第1磁性体部材30aと第2磁性体部材30bのそれぞれを構成する磁性体片35は、軸方向に千鳥配列されている。つまり、第1磁性体部材30aにおいて隣り合って配置されている磁性体片35同士の境界位置はいずれも、第2磁性体部材30bにおいて、隣り合って配置されている磁性体片35同士の境界位置と軸方向にずれており、軸方向に交互に配列されている。
【0051】
図8は、コア部材10の製造方法の一例を示す工程フロー図である。工程1では、磁性体部材30を構成する複数の磁性体片35が準備される。磁性体片35は、例えば、フェライトの粉体を成形して焼結することにより作製される。本実施形態では、磁性体片35は、直方体形状に成形される。
【0052】
工程2では、磁性体片35の端面36に研磨される。上述したように、磁性体片35の端面36は、磁性体部材30の平坦面31を構成することになる側面よりも表面粗さが小さくなるように研磨加工される。本実施形態では、表面粗さの最大高さRzが20μmより小さくなるように研磨加工される。
【0053】
工程3では、複数の磁性体部材30によってコア本体部11が構成される。本実施形態の工程3では、まず、複数の磁性体片35を、隣り合うもの同士の端面36が面接触する状態で一列に配列することにより、第1磁性体部材30aが構成される。その後、第1磁性体部材30aの平坦面31に接着剤が塗布されることにより、接着層40が形成される。続いて、その未乾燥の接着層40の上に、複数の磁性体片35が、隣り合うもの同士の端面36が面接触する状態で一列に配列されることにより、第2磁性体部材30bが構成される。工程3は、それぞれが平坦面31を有する複数の磁性体部材30を形成する工程と、平坦面31同士が面接触する状態で複数の磁性体部材30を配列させることにより、平坦面31に沿った中心軸CXを有する棒状のコア本体部11を構成する工程と、を含んでいると解釈できる。
【0054】
工程4では、コア本体部11の両端に位置する2つの端部12に磁極板15が設けられる。以上の工程により、本実施形態のコア部材10が完成する。この製造方法によれば、複数の磁性体片35および複数の磁性体部材30によって構成された棒状のコア本体部11を備えるコア部材10を容易に製造することができる。
【0055】
図9は、コア部材10のサイズと非接触給電システム100の給電性能との関係を表すグラフを示す説明図である。このグラフは、本願発明者の実験により得られたものである。このグラフの横軸は、コア本体部11の幅wを示し、縦軸は、コア本体部11の幅wに対する結合係数kの比k/wを示している。このグラフは、コア本体部11の長さLおよび厚みtを一定とし、幅wを様々な寸法に変更してソレノイドコイルユニット50,50aを構成し、幅wごとに結合係数kを測定することによって得られた。ここでの結合係数kは、2つのソレノイドコイルユニット50,50aを、離間距離Gを200mmとして位置ずれがないように設置したときに得られた値である。
【0056】
この実験では、上記の通り、長さLと厚みtとを一定としているため、横軸の幅wが小さいほど、幅wが小さいほど、幅wに対する長さLの比L/wが大きくなり、コア本体部11は細長い形状となる。また、長さLと厚みtとが一定であるため、縦軸のk/wは、コア部材10の重さに対する結合係数kの値と正の相関関係を有することになる。つまり、縦軸のk/wが大きいほど、コア部材10の重さに対する結合係数kの値が大きいことを示しており、コア部材10を軽量化したとしても高い結合係数kを得やすい傾向を示していると言える。
【0057】
ここで、コア部材10の幅wがw1のとき、L/wは8となり、コア部材10の幅wがw2のとき、L/wは2であった。このグラフに示されている通り、コア部材10は、その幅wに対する長さLの比L/wが2より大きいとき、幅wが小さいほど、つまり、コア部材10が細長いほど、k/wの値が大きくなっている。このことは、コア部材10は、L/wが2より大きくなる細長い形状であるほど、高い結合係数kを維持したまま軽量化することができることを示している。また、このグラフでは、L/wが8以上になるほど、幅wの減少量に対するk/wの増加量が著しく大きくなっている。このことは、L/wが8以上となる極めて細長い形状であるほど、より一層、コア部材10の軽量化したときの結合係数kの低下をより一層抑制できることを示している。
【0058】
このように、本実施形態のコア部材10であれば、棒状の細長い形状のコア本体部11を備えているため、結合係数kを高い値に維持したまま、コア部材10を軽量化することが容易にできる。
【0059】
図6および
図7を参照する。本実施形態のコア部材10によれば、サイズが小さい磁性体片35や磁性体部材30を組み合わせることにより、コア本体部11が構成される。よって、コア部材10を大型化させた場合でも、コア部材10の基材が大型化して、コア部材10の製造装置が大型化することや、その製造工程が煩雑になることなどを抑制することができる。また、サイズが小さい磁性体片35や磁性体部材30であればその取り回しが容易であるため、コア部材10の製造が容易化される。
【0060】
本実施形態のコア部材10によれば、上述したように、複数の磁性体部材30が、軸方向に沿って配置されるとともに、軸方向に沿った平坦面31同士が面接触している。これにより、非接触給電の際に、磁束がコア部材10の内部を軸方向に沿って通過する磁束が、コア部材10の内部の磁性体部材30の境界によって減少してしまうことが抑制されている。よって、本実施形態のコア部材10によれば、コア部材10の棒状のコア本体部11が複数の磁性体部材30によって構成されていることに起因して結合係数が低下してしまうことが抑制される。
【0061】
本実施形態のコア部材10によれば、上述したように、磁性体部材30を構成する複数の磁性体片35のうち、軸方向に隣り合って配置されているもの同士は、端面36において面接触している。これにより、非接触給電の際に、磁性体部材30を通過する磁束が、磁性体片35の境界において減少してしまうことが抑制されている。よって、本実施形態のコア部材10によれば、磁性体部材30が複数の磁性体片35によって構成されていることに起因して結合係数が低下してしまうことが抑制されている。
【0062】
また、本実施形態では、磁性体片35の端面36は、上述したように、磁性体部材30の平坦面31よりも小さい表面粗さを有しており、磁性体部材30同士の境界に、磁束が減少する原因となるような間隙が生じることが抑制されている。よって、磁束が磁性体片35の境界において減少してしまうことがさらに抑制されており、非接触給電システム100における結合係数の低下が、さらに抑制される。加えて、本実施形態では、磁性体部材30同士の間に接着層が設けられていないため、接着層によって磁束の通過が妨げられてしまうことが抑制されている。よって、非接触給電システム100における結合係数の低下が、より一層抑制される。
【0063】
本実施形態のコア部材10によれば、上述したように、第1磁性体部材30を構成する磁性体片35の境界位置と第2磁性体部材30aを構成する磁性体片35の境界位置はいずれも、軸方向においてずれた位置にある。これにより、第1磁性体部材30の磁性体片35と第2磁性体部材30aの磁性体片35とは互いに支持し合える位置関係になっている。これにより、コア部材10を構成する磁性体片35が分離してしまうことが抑制される。また、磁性体部材30間の接着層40によって各磁性体片35を固定することができるため、軸方向に隣り合う磁性体片35同士の間の接着層を省略することができる。よって、上述したように、軸方向に隣り合う磁性体片35同士の間の接着層により、磁性体部材30内の磁束の通過が妨げられることが抑制されている。また、磁性体片35同士の間に接着層を設けることによる重量の増加や製造コストの増加が抑制されている。
【0064】
本実施形態では、コア部材10は、その両端に磁極板15を有している。ここで、2つのソレノイドコイルユニット50,50aによって構成される磁気回路における磁気抵抗Rは下記の数式1で表される。数式1が示すように、磁極板15の面積PSが大きいほど、磁気抵抗Rは小さくなり、それだけ磁束が大きくなる。このことから、磁極板15の寸法a,bを大きくし、その面積PSを大きくすれば、結合係数kが大きくなることは明らかである。
【0065】
【0066】
また、磁極板15であれば、厚みcを調整することにより軽量に構成することが容易である。よって、本実施形態のソレノイドコイルユニット50であれば、磁極板15により、コア部材10全体を軽量化しながら結合係数kを高めることが容易にできる。さらに、コア本体部11からx方向およびy方向に張り出している磁極板15により、非接触給を行う際に、2つのソレノイドコイルユニット50,50aが離間方向に重なり合う面積を増加させることができる。これにより、多少の位置ずれが生じていたとしても結合係数kが低下することが抑制される。よって、非接触給電システム100のロバスト性を高めることができる。
【0067】
以上のように、本実施形態のコア部材10によれば、棒状のコア本体部11を有することにより、結合係数の低下を抑制しながらの軽量化を容易に実現できる。また、コア本体部11が複数の磁性体片35や複数の磁性体部材30によって構成されるため、コア部材10の大型化に起因してコア部材10の製造が困難になることを抑制できる。さらに、本実施形態のコア部材10によれば、非接触給電の際に、コア部材10内部で磁束が減少することを抑制でき、ソレノイドコイルユニット50間の結合係数kの低下を抑制することができる。
【0068】
2.第2実施形態:
図10は、第2実施形態としてのコア部材10Aが備えるコア本体部11Aの構成を示す概略断面図である。
図10は、
図6と同様な切断位置での断面を示している。第2実施形態のコア部材10Aの構成は、以下に説明する点以外は、上記の第1実施形態のコア部材10とほぼ同じである。第2実施形態のコア本体部11Aは、単一の磁性体材料によって構成された複数の磁性体部材30Aによって構成されている。つまり、第2実施形態では、各磁性体部材30Aは、複数の磁性体片35には分割されていない。磁性体部材30Aはシート状に構成されており、z方向に積層され、接着層40を介して互いに接合されている。第2実施形態のコア部材10Aによれば、磁性体部材30A内部に、磁性体片35間の境界が存在しないため、非接触給電の際のコア部材10A内部における磁束の減少を、さらに抑制することができる。また、コア本体部11の構成部材の数を低減でき、その分、製造工程にかかる手間を減らすことができる。その他に、第2実施形態のコア部材10Aによれば、上記の第1実施形態で説明した種々の効果を奏することができる。
【0069】
3.他の実施形態:
本開示の技術は、上述の実施形態の構成に限定されることはない。例えば、以下のように改変することが可能である。
【0070】
(1)上記第1実施形態において、コア本体部11を構成する複数の磁性体部材30として、2つの磁性体部材30a,30bに加えて、さらに1つ以上の磁性体部材を備えていてもよい。複数の磁性体部材30は、3つ以上の任意の数で構成されてもよい。また、上記第1実施形態および第2実施形態では、複数の磁性体部材30,30Aがz方向に配列されているが、複数の磁性体部材30は、軸方向に相当するy方向に直交する径方向に配列されていればよく、z方向に限定されることはない。複数の磁性体部材30は、x方向に配列されていてもよいし、x方向およびz方向に斜めに交差する方向に配列されていてもよい。例えば、3つ以上の磁性体部材30が、中心軸CXの周りを囲むように配列されていてもよい。
【0071】
(2)上記の各実施形態において、複数の磁性体部材30は、四角柱状の形状に限定されることはない。複数の磁性体部材30は、軸方向に沿って配置される平坦面31を少なくとも1つ有する形状であればよい。磁性体部材30は、例えば、半円柱状の形状や三角柱状や多角柱状の形状を有していてもよい。磁性体部材30を構成する複数の磁性体片35についても同様である。
【0072】
(3)上記第1実施形態において、第1磁性体部材30と第2磁性体部材30のいずれか一方が、複数の磁性体片35によって構成されることなく、単一の磁性体材料によって構成されていてもよい。複数の磁性体部材30のうちの少なくとも1つが複数の磁性体片35によって構成されていてもよいし、第2実施形態のように、いずれの磁性体部材30も単一の磁性体材料によって構成されていてもよい。
【0073】
(4)上記第1実施形態において、第1磁性体部材30aを構成する複数の磁性体片35の境界位置と第2磁性体部材30bを構成する複数の磁性体片35の境界位置とは軸方向に交互に配列されていなくてもよい。磁性体片35の境界位置は、第1磁性体部材30aと第2磁性体部材30bとで軸方向にずれた位置にあればよい。なお、複数の磁性体片35を、接着剤や、後述するような他の締結手段によって固定できるのであれば、第1磁性体部材30aと第2磁性体部材30bにおける磁性体片35同士の境界位置は軸方向に同じ位置であってもよい。
【0074】
(5)上記第1実施形態において、磁性体片35の端面36は軸方向に対して斜めに傾斜した傾斜面として構成されていてもよい。また、磁性体片35の端面36は、曲面によって構成されていてもよい。磁性体片35の端面36は軸方向に交差する面として構成されていればよい。
【0075】
(6)上記第1実施形態において、磁性体片35の端面36の表面粗さは、複数の磁性体部材30の平坦面31の表面粗さとほぼ同じであってもよいし、複数の磁性体部材30の平坦面31の表面粗さより大きくてもよい。この場合には、
図8に示すコア部材10の製造方法において、磁性体片35の端面36を研磨する工程2は省略されてもよい。
【0076】
(7)上記の各実施形態において接着層40は省略されてもよい。この場合には、コア本体部11を構成する複数の磁性体部材30や複数の磁性体片35は、例えば、ソレノイドコイル20によって締結されるように構成されていてもよい。また、複数の磁性体部材30や複数の磁性体片35は、例えば、ソレノイドコイル20との間に配置されるカバー部材などによって締結されてもよい。また、上記の第1実施形態において、複数の磁性体片35の間には、隣り合う磁性体片35同士を接合する接着層が設けられてもよい。
【符号の説明】
【0077】
10,10A…コア部材
11,11A…コア本体部
12…端部
15…磁極板
20…ソレノイドコイル
30,30A…磁性体部材
30a…第1磁性体部材
30b…第2磁性体部材
31…平坦面
35…磁性体片
36…端面
50,50a…ソレノイドコイルユニット
100…非接触給電システム
CX…中心軸
MF…磁束