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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023072728
(43)【公開日】2023-05-25
(54)【発明の名称】情報処理システム及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
   H04L 67/51 20220101AFI20230518BHJP
【FI】
H04L67/51
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021185335
(22)【出願日】2021-11-15
(71)【出願人】
【識別番号】000130581
【氏名又は名称】サトーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000165
【氏名又は名称】弁理士法人グローバル・アイピー東京
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 浩一
(57)【要約】
【課題】LANに接続されたプリンタの解析を、より適切に実行させる。
【解決手段】本発明のある態様は、LAN(Local Area Network)に接続されたプリンタと、前記プリンタと通信可能な情報処理装置と、を含む情報処理システムである。プリンタは、第1通信方式によってLAN経由でパケットを受信する第1通信部と、第1通信方式とは異なる第2通信方式によって移動体通信ネットワーク経由で情報処理装置と通信を行う第2通信部と、第1通信部により受信したパケットを解析するLAN解析部と、を有する。情報処理装置は、第2通信方式によってプリンタに対してLAN解析部によるパケットの解析要求を行う解析要求部と、第2通信方式によってプリンタからLAN解析部による解析結果を取得する取得部と、を有する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
LAN(Local Area Network)に接続されたプリンタと、前記プリンタと通信可能な情報処理装置と、を含む情報処理システムであって、
前記プリンタは、
第1通信方式によって前記LAN経由でパケットを受信する第1通信部と、
前記第1通信方式とは異なる第2通信方式によって移動体通信ネットワーク経由で前記情報処理装置と通信を行う第2通信部と、
前記第1通信部により受信したパケットを解析するLAN解析部と、
を有し、
前記情報処理装置は、
前記第2通信方式によって前記プリンタに対して前記LAN解析部によるパケットの解析要求を行う解析要求部と、
前記第2通信方式によって前記プリンタから前記LAN解析部による解析結果を取得する取得部と、を有する、
情報処理システム。
【請求項2】
前記解析要求は、前記プリンタの複数の通信ポートのいずれかの通信ポートを指定し、指定された通信ポートから受信したパケットの解析を要求し、
前記LAN解析部は、前記指定された通信ポートから受信したパケットを解析する、
請求項1に記載された情報処理システム。
【請求項3】
前記情報処理装置は、前記プリンタの状態を示すプリンタ状態情報を取得する状態情報取得部を有する、
請求項1又は2に記載された情報処理システム。
【請求項4】
前記情報処理装置は、前記プリンタの設定を示すプリンタ設定情報を取得する設定情報取得部を有する、
請求項1から3のいずれか一項に記載された情報処理システム。
【請求項5】
前記情報処理装置は、前記プリンタ設定情報を変更する設定変更要求を前記プリンタに対して行う設定変更要求部を有し、
前記プリンタは、前記設定変更要求に応じて前記プリンタ設定情報を変更する変更部を有する、
請求項4に記載された情報処理システム。
【請求項6】
前記情報処理装置は、
前記取得部によって取得した前記解析結果に基づいて、前記LANに起因する通信エラーの有無を決定する決定部を有する、
請求項1から5のいずれか一項に記載された情報処理システム。
【請求項7】
前記解析要求部は、前記解析要求を行った後に、前記第1通信部による通信の宛先に対してパケットが到達するか否かを確認するコマンドを実行することを前記プリンタに要求する、
請求項1から6のいずれか一項に記載された情報処理システム。
【請求項8】
LAN(Local Area Network)に接続されたプリンタと、前記プリンタと通信可能な情報処理装置との間の情報処理方法であって、
前記プリンタが、第1通信方式によって前記LAN経由でパケットを受信したパケットを解析し、
前記情報処理装置が、前記第1通信方式とは異なる第2通信方式によって移動体通信ネットワーク経由で、前記プリンタに対して前記パケットの解析要求を行い、
前記プリンタが、前記移動体通信ネットワーク経由で、前記パケットの解析結果を前記情報処理装置に対して送信し、
前記情報処理装置が、前記プリンタからパケットの解析結果を取得する、
情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システム及び情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、プリンタによるエラー原因を特定するために様々な手法が提案されている。
特許文献1には、画像の形成時において停止した原因を示すエラーログを蓄積し、エラーログを含む保守情報を所定の間隔で情報処理装置へ出力する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-92967号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、プリンタにエラーが発生している場合に、プリンタが利用者のLANに接続されていると、セキュリティの関係から外部の端末が遠隔でLANを経由してプリンタにアクセスすることができないことがあった。そのため、LANに接続されたプリンタの解析が適切に行えない場合があった。
【0005】
そこで、本発明は、LANに接続されたプリンタの解析を、より適切に実行させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある態様は、LAN(Local Area Network)に接続されたプリンタと、前記プリンタと通信可能な情報処理装置と、を含む情報処理システムである。
前記プリンタは、第1通信方式によって前記LAN経由でパケットを受信する第1通信部と、
前記第1通信方式とは異なる第2通信方式によって移動体通信ネットワーク経由で前記情報処理装置と通信を行う第2通信部と、前記第1通信部により受信したパケットを解析するLAN解析部と、を有する。
前記情報処理装置は、記第2通信方式によって前記プリンタに対して前記LAN解析部によるパケットの解析要求を行う解析要求部と、記第2通信方式によって前記プリンタから前記LAN解析部による解析結果を取得する取得部と、を有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明のある態様によれば、LANに接続されたプリンタの解析を、より適切に実行させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態のエラー解析システムのシステム構成を示す図である。
図2】一実施形態のエラー解析システムにおけるパケット解析結果の一例を示す図である。
図3】一実施形態のエラー解析システムの各装置の機能ブロック図である。
図4】プリンタ管理データベースのデータ構成例を示す図である。
図5】一実施形態のエラー解析システムの動作を示すシーケンスチャートである。
図6】第1の実施例において管理者端末に表示される画面の遷移例を示す図である。
図7】第1の実施例において管理者端末に表示される画面例を示す図である。
図8】第1の実施例におけるパケット解析結果の一例を示す図である。
図9】第1の実施例において管理者端末に表示される画面の遷移例を示す図である。
図10】第2の実施例において想定される利用者端末とプリンタのネットワーク構成例を示す図である。
図11】第2の実施例におけるエラー解析システムの動作を示すシーケンスチャートである。
図12】第2の実施例において管理者端末に表示される画面例を示す図である。
図13】第2の実施例におけるパケット解析結果の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示において「LAN(Local Area Network)」は、ネットワークアドレスにより一意に定まるネットワーク(サブネットワーク)であれば如何なる大きさのネットワークでもよい。LANは、有線ネットワークであってもよいし、無線ネットワークであってもよい。無線ネットワークの場合、例えば、IEEE802a/b/g/j/n/ac/ad等の規格に準拠する。
本開示において「移動体通信ネットワーク」は、特にその仕様を限定するものではなく、移動体通信の通信事業者によって運用されている、又は運用予定の無線通信システムに準拠したものであれば特に限定されない。そのような無線通信システムの例としては、一般的に3Gと呼称されているIMT-2000規格に準拠した無線通信システム、一般的に4Gと呼称されているIMT-Advanced規格に準拠する無線通信システム、一般的に5Gと呼称されているIMT-2020規格に準拠する無線通信システム等が挙げられる。
【0010】
例えば、LAN接続されたプリンタに対して利用者が利用者端末によりラベルを発行させようとしたときに、ラベルを発行できないエラーが発生することがある。このような場合、プリンタが外部からアクセスし難い場所で稼動している場合には、LANに接続されたプリンタのエラー解析を外部から遠隔で実行してエラー原因を特定する必要がある。一実施形態のエラー解析システム(情報処理システムの一例)は、LAN経由でプリンタが受信するパケットの解析を行うLANアナライザ(LAN解析部の一例)をプリンタに設ける。また、例えばLANに起因する通信不良が生じた場合でも、LAN以外の回線(例えば移動体通信ネットワーク)によりプリンタと通信可能なサーバから、プリンタのLANアナライザを起動させることで、プリンタの解析を、より適切に実行させることが可能となる。
【0011】
図1は、一実施形態のエラー解析システムのシステム構成の一例を示す。図1に示すエラー解析システム1は、利用者の利用者端末2、利用者が利用するプリンタ3、管理サーバ5(情報処理装置の一例)、及び、管理者端末6を含む。LANは、利用者が利用するネットワークである。例えば利用者が所属する会社に設けられた社内LANは、図1のLANの一例である。利用者端末2は、ルータRTを介してLANに接続可能である。プリンタ3は、LANに接続されたプリンタである。
【0012】
利用者端末2は、例えばコンピュータ装置、タブレット端末、スマートフォン等の情報処理端末である。利用者端末2は、利用者の操作に応じてLANを介してプリンタ3からラベルを発行するように、プリンタ3にラベル発行コマンドを送ることができる。プリンタ3は、ラベル発行コマンドを受信すると、ラベルに印字して発行(排出)する。
【0013】
プリンタ3は、例えば利用者端末2と第1通信方式によってLANを介して通信可能である。プリンタ3は、第2通信方式によって移動体通信ネットワークMCN及びインターネットINを介して管理サーバ5と通信可能である。プリンタ3は、第1通信方式によるLAN経由の通信と、第2通信方式による移動体通信ネットワークMCN経由の通信とをそれぞれ独立に実行可能である。一実施形態では、プリンタ3は、管理サーバ5がプリンタ3の状態や設定を適時に把握できるように、例えば定期的に、プリンタ3の状態に関する情報(状態情報)やプリンタ3の設定に関する情報(設定情報)を第2通信方式により管理サーバ5に通知する。
【0014】
プリンタ3には、ファームウェアの機能の一部としてLANアナライザが組み込まれている。LANアナライザは、プリンタ3が第1通信方式によりLANから受信したパケットを解析するソフトウェアである。LANアナライザは、管理サーバ5からの第2通信方式による要求に応じてパケットの解析を開始し、パケットの解析を終了する。LANアナライザとして限定しない例として、tcpdumpが挙げられる。プリンタ3は、パケット解析の終了により自動的に、あるいは管理サーバ5からの要求に応じて、パケットの解析結果を含む解析ファイルを第2通信方式により管理サーバ5に送信する。解析ファイルは、プリンタ3がLANから受信したパケットの解析結果を示すファイルである。プリンタ3は、例えば電気通信事業者が提供する移動体通信サービスを利用するためにSIM(Subscriber Identity Module)カードを装着可能である。
【0015】
管理サーバ5は、プリンタ3を管理するための情報処理装置であり、第2通信方式により例えばインターネットIN及び移動体通信ネットワークMCNを介してプリンタ3と通信可能である。図1に示す例では、1台のプリンタ3が記載されているが、管理サーバ5は、例えば利用者ごとに所有する複数のプリンタ3を管理してもよい。管理サーバ5は、管理対象のプリンタ3の状態情報やプリンタ3の設定情報を逐次取得し、データベース(後述する)に記憶している。
【0016】
管理者端末6は、例えばコンピュータ装置、タブレット端末、スマートフォン等の情報処理端末であり、プリンタ3の管理者が操作する。管理者端末6には、プリンタ管理アプリケーション(ソフトウェア)がインストールされている。プリンタ管理アプリケーションは、ルータRT及びインターネットINを介して管理サーバ5と通信を行い、管理サーバ5のデータベースにアクセスしてプリンタ3の情報を管理者端末6上に表示させる。それによって、管理者は、複数のプリンタ3の各々について状態情報や設定情報を閲覧することができる。プリンタ管理アプリケーションは、管理者の操作入力に応じて、プリンタ3のLANアナライザを起動させてパケット解析を開始させ、パケット解析を終了させるように管理サーバ5に対して要求することが可能である。
【0017】
一実施形態では、管理者端末6にはネットワークアナライザ(ソフトウェア;プトロコルアナライザともいう。)がインストールされている。ネットワークアナライザは、管理サーバ5から取得したプリンタ3の解析ファイルを読み込むことで、解析ファイルを管理者が分析しやすい形式で表示させることができる。なお、管理者端末6にネットワークアナライザがインストールされていることは必須ではなく、プリンタ3の解析ファイルのまま分析することも可能である。
【0018】
図2は、一実施形態のエラー解析システムにおけるパケット解析結果の一例を示す図である。図2に示すように、管理者端末6は、ネットワークアナライザによりプリンタ3から取得した解析ファイルを読み込むことで、解析ファイルを画面に表示させる。図2に示す画面例は、概要表示部201、詳細表示部202、及び、生データ表示部203からなる。概要表示部201は、キャプチャされた1以上のパケットの概要を示す部分であり、各行が1パケットに対応している。各行は、パケットキャプチャ時刻(Time)、送信元IPアドレス(Source)、宛先IPアドレス(Destination)、プロトコル(Protocol)、データ長さ(Length)、概要情報(Info)のデータを含む。概要表示部201は、いずれかの行(つまり、パケット)が選択可能である。詳細表示部202は、概要表示部201において選択されたパケットの詳細データを示す。生データ表示部203は、概要表示部201において選択されたパケットの16進ダンプデータ(生データ)を示す。図2に例示する画面を参照することで、例えば管理者等は、プリンタ3がLAN経由で他の装置(例えば利用者端末2)と通信ができない等の通信エラーが生じた場合に、通信エラーの発生原因を分析して解決することが可能となる。
【0019】
次に、図3を参照して、図1に示したエラー解析システム1に含まれる各装置の構成について説明する。図3は、一実施形態のエラー解析システムの各装置の機能ブロック図である。図3に示すように、利用者端末2は、制御部21、操作入力部22、表示部23、及び、通信部24を備える。制御部21は、マイクロプロセッサ及びメモリを主体として構成され、マイクロプロセッサが各種のプログラムを実行することで利用者端末2の全体を制御する。例えば、制御部21に含まれるマイクロプロセッサは、利用者の操作入力に応じてプリンタドライバを実行し、印字用情報を含むラベル発行コマンドをLAN経由でプリンタ3に送信する。操作入力部22は、例えば、マウスやキーボード、あるいは表示部23の表示パネルに実装されるタッチ入力装置等の入力装置を含み、利用者による操作入力を受け付ける。表示部23は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)等の表示パネル及び表示駆動回路を含み、マイクロプロセッサによるプログラムの実行結果を表示する。通信部24は、ルータRTを介してプリンタ3との間でLAN通信を行うための通信インタフェースである。例えば、通信部24は、上記ラベル発行コマンドをプリンタ3に対して送信する。
【0020】
図3に示すように、プリンタ3は、制御部31、操作入力部32、表示部33、搬送部34、印字部35、ストレージ36、第1通信部37、及び、第2通信部38を備える。制御部31は、マイクロプロセッサとメモリを主体として構成され、プリンタ3の全体を制御する。例えば、制御部31に含まれるマイクロプロセッサは、ストレージ36に記録されているファームウェアをロードして実行することで、様々な機能を実現する。例えば、制御部31は、利用者端末2から受信したラベル発行コマンドに基づいてラベルが発行されるように、搬送部34及び印字部35を制御する。例えば、制御部31は、利用者端末2から取得する印字用情報に基づきラベルに印字する場合、印字用情報に対応するフォーマットのデータをストレージ36から読み出す。制御部31は、読み出したフォーマットのデータに、印字用情報に含まれる文字情報及び/又はバーコードを埋め込むことにより印字データ(描画データ)を生成し、印字データのライン毎のデータであるラインデータを順次、印字部35へ送出する。
【0021】
制御部31には、ファームウェアの機能の一部として上述したLANアナライザが組み込まれており、LANアナライザは、第1通信方式によって第1通信部37からLANを介して受信したパケットを解析する。LANアナライザによるパケットの解析開始、及び、パケットの解析終了は、第2通信方式によって第2通信部38から移動体通信ネットワーク等を介して管理サーバ5から受信するコマンド(解析要求)によって制御される。制御部31は、LANアナライザによって解析された解析ファイルを暗号化し、第2通信方式によって第2通信部38により移動体通信ネットワーク等を介して管理サーバ5に送信する。
【0022】
操作入力部32は、例えば、ボタン、あるいは表示部23の表示パネルに実装されるタッチ入力装置等の入力装置を含み、利用者による操作入力を受け付ける。表示部33は、例えばLCD等の表示パネル及び表示駆動回路を含み、ファームウェアによるプログラムの実行結果を表示する。プリンタ3には、例えば、連続紙が巻回されたロール紙が収容されている。連続紙は、台紙と、台紙上に仮着された複数のラベルとを含む。搬送部34は、プラテンローラ、モータ駆動回路、および、ステッピングモータを含み、プリンタ3内の連続紙の搬送を行う。搬送部34は、例えば、制御部31による搬送要求に基づき、モータ駆動回路が、プラテンローラの回転を制御するステッピングモータを駆動することによって、連続紙を搬送させる。印字部35は、サーマルヘッドおよびヘッド駆動回路を含む。サーマルヘッドは上記プラテンローラとの間で連続紙を挟む。ヘッド駆動回路は、制御部31によって順次送出されるラインデータに基づき、サーマルヘッドの複数の発熱素子に選択的に電流を流すことで、印字を行う。
【0023】
ストレージ36は、不揮発性のメモリであり、例えばフラッシュメモリ等のSSD(Solid State Drive)である。ストレージ36には、上述したファームウェアのほか、利用者端末2から取得する印字用情報に対応する様々なフォーマットのデータが記録されている。ストレージ36には、LANアナライザによって得られた解析ファイルが記録される。
【0024】
第1通信部37は、第1通信方式によってLAN経由でパケットを受信する。例えば、第1通信部37は、プリンタ3が属しているLAN内の他の通信装置、および、ルータRTとの間で通信を行うための通信インタフェースを備える。例えば、第1通信部37は、イーサネット通信を行うための通信回路、および、イーサネットケーブルコネクタを備える。イーサネットは、プリンタ3が属しているLAN経由でパケットを受信するときの第1通信方式の一例である。
【0025】
第2通信部38は、第1通信方式とは異なる第2通信方式によって移動体通信ネットワーク経由で管理サーバ5等と通信を行う。例えば、第2通信部38は、SIMカード等を介して移動体通信ネットワークMCNと接続するための通信回路と、アンテナと、例えばSIMカードが挿入可能なスロット等を備えている。SIMカードは、ユーザごとに移動体通信ネットワークの利用を管理するためのユーザIDを記憶するユーザ識別モジュールの一例である。ユーザ識別モジュールの他の例として、UIM(Universal Subscriber Identity Module)カード等が挙げられる。ユーザIDは、ユーザ識別情報の例であり、例えば電話番号、加入者番号等、ユーザを特定可能な情報である。移動体通信で使用される通信方式(例えば、一般的に3G、4G、5G等と呼称されている規格の通信方式)は、第2通信方式の一例であるが、その限りではない。第1通信方式(上記例ではイーサネット通信)と異なる通信方式であれば如何なる通信方式でもよい。
【0026】
第2通信部38は、例えばSIMカードがスロットに挿入されている場合等には、SIMカードに記録されているユーザIDを取得し、例えばデフォルトゲートウェイにアクセスする。デフォルトゲートウェイとは、一般には内部ネットワークと外部ネットワークを接続するためのノードであり、例えば、プリンタ3が属しているLANとその外部のネットワークを中継するルータ(図示せず)である。デフォルトゲートウェイは、ユーザIDに基づいてユーザ認証を行う。ユーザの利用が許可された場合、第2通信部38は、デフォルトゲートウェイ及び移動体通信ネットワークMCNを介して、インターネットINに接続された管理サーバ5と通信を行う。第2通信部38による管理サーバ5との通信と、第1通信部37による利用者端末2とのLAN通信とは、それぞれ独立に実行可能である。
【0027】
一実施形態では、制御部31は、プリンタ3の状態情報やプリンタ3の設定情報を、例えば定期的に、第2通信部38を介して管理サーバ5に送信する。状態情報の送信タイミングは特に限定するものではないが、例えば、10~30分の間の所定のタイミング(例えば、15分間隔)である。プリンタ3の状態情報の限定しない例として、プラテンローラの総搬送距離、プリンタの稼動時間、ラベル発行枚数等の情報やエラー情報が挙げられる。設定情報の送信タイミングは特に限定しないが、例えば、プリンタ3の設定の変更のイベントが発生したタイミングである。プリンタ3の設定情報の限定しない例として、プラテンローラの搬送速度、印字濃度、センサ種別(例えば、連続紙におけるラベルの位置を反射型センサで検知するか、透過型センサで検知するかの種別)等の情報、通信設定に関する情報が挙げられる。第2通信部38と管理サーバ5との間の通信で使用される通信プロトコルは限定しないが、例えばMQTT(Message Queueing Telemetry Transport)を適用することができる。MQTTは、Pub/Sub型の軽量なデータ通信プロトコルである。
【0028】
図3に示すように、管理サーバ5は、制御部51、ストレージ52、および、通信部53を備える。制御部51は、マイクロプロセッサとメモリを主体として構成され、管理サーバ5の全体を制御する。例えば、制御部51に含まれるマイクロプロセッサは、管理プログラムを実行することで、管理対象の複数のプリンタ3の各々について状態情報や設定情報をプリンタ3から取得し、プリンタ管理データベースを適宜、更新する。制御部51は、マイクロプロセッサが管理プログラムを実行することで、状態情報取得部、設定情報取得部として機能する。
エラー解析システム1では、複数のプリンタ3の状態情報や設定情報を一元的に管理し、管理者端末6から不具合が生じたプリンタ3に対応する状態情報や設定情報を閲覧できる。そのため、例えば管理者等は、不具合が生じたプリンタ3の解析ファイルとともに当該プリンタ3の状態情報や設定情報を閲覧することで、不具合の原因を特定することが容易となる。
【0029】
制御部51は、マイクロプロセッサが管理プログラムを実行することで、以下の解析要求部、及び、データ取得部として機能する。
(i)解析要求部
解析要求部は、通信部53を介して、第2通信方式によってプリンタ3に対してLAN解析部としてのLANアナライザによるパケットの解析要求を行う。解析要求は、プリンタ3に対してLANアナライザによるパケットの解析開始を要求する解析開始要求とパケットの解析終了を要求する解析終了要求とを含む。例えば、解析要求部は、管理者端末6からパケット解析開始要求、又はパケット解析終了要求を受信すると、各要求に対応するパラメータを含むMQTTコマンドを第2通信方式によってプリンタ3に送信する。プリンタ3の制御部31は、受信したMQTTコマンドを解釈してLANアナライザを制御する。
【0030】
一実施形態では、解析要求部は、プリンタ3の複数の通信ポートのうち指定された通信ポートから受信したパケットの解析を開始することを要求してもよい。プリンタ3における通信エラーが複数の通信ポートのうちのいずれかに関連するものであるか判明している場合には、パケットの解析に際してポート番号を指定することで解析対象のパケット量が少なくなるため、効率良く、より迅速に通信エラーの原因を特定することが可能となる。
【0031】
(ii)データ取得部
データ取得部は、通信部53を介して、第2通信方式によってプリンタ3からLAN解析部としてのLANアナライザによる解析結果を示す解析ファイルを取得する。データ取得部は、通信部53を介してプリンタ3から暗号化された解析ファイルを受信すると、解析ファイルをストレージ52に格納する。
【0032】
ストレージ52は、例えばHDD(Hard Disk Drive)等の大規模記憶装置であり、プリンタ管理データベースや解析ファイル等を記憶する。
通信部53は、プリンタ3や管理者端末6との間で通信を行う通信インタフェースである。第2通信方式により通信部53とプリンタ3の第2通信部38との通信で使用される通信プロトコルは、例えばMQTT等である。通信部53と管理者端末6との通信で使用される通信プロトコルは、限定しないが、例えばHTTPS等である。
【0033】
図3に示すように、管理者端末6は、制御部61、操作入力部62、表示部63、及び、通信部64を備える。制御部61は、マイクロプロセッサを主体として構成され、管理者端末6の全体を制御する。例えば、制御部61に含まれるマイクロプロセッサは、プリンタ管理アプリケーション及びネットワークアナライザを実行する。プリンタ管理アプリケーションは、管理サーバ5から複数のプリンタ3の状態情報や設定情報を取得し、管理者が閲覧できるように表示部63に表示させる。
【0034】
一実施形態では、プリンタ管理アプリケーションは、例えば管理者がプリンタ3にLANアナライザによる解析開始及び解析終了を要求するためのGUI(Graphical User Interface)を提供する。プリンタ管理アプリケーションは、管理サーバ5がプリンタ3から取得した解析ファイルを取得し、ネットワークアナライザにより解析ファイルを読み込むことで、図2に例示したように、解析ファイルを管理者が分析しやすい形式で表示させることが可能である。
【0035】
操作入力部62は、例えば、マウスやキーボード、あるいは表示部63の表示パネルに含まれるタッチ入力装置等の入力装置を含み、管理者による操作入力を受け付ける。表示部63は、例えばLCD等の表示パネル及び表示駆動回路を含み、マイクロプロセッサによるプリンタ管理アプリケーションの実行結果を表示する。通信部64は、管理サーバ5と通信を行うための通信インタフェースである。通信部64と管理サーバ5との通信で使用される通信プロトコルは、例えばHTTPS等である。
【0036】
図4は、プリンタ管理データベースのデータ構成例を示している。図4に示すように、管理サーバ5が管理するプリンタ管理データベースには、利用者ID及びプリンタIDに関連付けて、プリンタ3の状態情報や設定情報等が含まれる。利用者IDは、利用者を特定するための識別情報である。プリンタIDは、プリンタ3を特定するための識別情報である。プリンタ3の状態情報は、プリンタ3の総稼働時間、プリンタ3の総ラベル発行枚数、プリンタ3がオンラインであるかオフラインであるかを示す値(オン/オフ)、現在エラーが発生している場合にはそのエラーコード等の情報を含む。プリンタ3の設定情報は、プリンタ3の印字設定の情報(例えば、印字速度や印字濃度)と通信設定の情報(例えば、複数の通信ポートのポート番号(port1,port2,port3)、通信プロトコル(Protocol))等を含む。
【0037】
次に、図5に示すシーケンスチャートを参照して、エラー解析システム1の動作について説明する。図5は、一実施形態のエラー解析システムの動作を示すシーケンスチャートである。図5に示すように、例えば、利用者端末2には、プリンタ3からラベルを発行させようとしたもののプリンタ3と通信ができない場合に、例えば通信できないことを示すメッセージ等が表示される(ステップS1)。利用者端末2は、例えば管理者端末6に対して不具合が発生したことを示すメッセージを送信する(ステップS2)。ステップS2のメッセージは、利用者端末2にプリンタ管理アプリケーションがインストールされている場合には当該アプリケーションにより送信してもよいし、例えば電子メール等で送信してもよい。ステップS2に代えて利用者が管理者に電話で不具合の発生を伝えてもよい。
【0038】
管理者端末6は、プリンタ管理アプリケーションにより表示される画面上で、プリンタ3のLANにおける通信状況を分析するため、管理者によりプリンタ3のLANアナライザを遠隔で起動させるための所定の操作を受け付ける(ステップS4)。管理者端末6は、プリンタ管理アプリケーションにより、例えばパケット解析開始要求を管理サーバ5に送信する。管理サーバ5は、第2通信方式により、例えばSIM等を介して移動体通信ネットワークMCNに接続することでパケット解析開始要求に応じたMQTTメッセージをプリンタ3に送信する(ステップS6)。プリンタ3は、例えば受信したMQTTメッセージを解釈してLANアナライザを起動させ、LANから受信するパケットの解析を開始する(ステップS8)。
【0039】
管理者端末6は、プリンタ3のLANにおける通信状況を分析するのに必要な時間が経過すると、プリンタ管理アプリケーションにより管理者端末6に表示される画面上で、管理者により所定の操作を受け付ける(ステップS10)。管理者端末6は、プリンタ管理アプリケーションにより、例えばパケット解析終了要求を管理サーバ5に送信する。管理サーバ5は、第2通信方式により、例えばSIM等を介して移動体通信ネットワークMCNに接続することでパケット解析終了要求に応じたMQTTメッセージをプリンタ3に送信する(ステップS12)。
【0040】
プリンタ3は、ステップS12により受信したMQTTメッセージを解釈し、LANから受信するパケットの解析を終了するようにLANアナライザを制御する(ステップS14)。プリンタ3のLANアナライザは、ステップS8~S14の間のパケットの解析結果を示す解析ファイルを暗号化して、第2通信方式により管理サーバ5に送信する(ステップS16)。LANによる通信に障害が発生している場合でも、プリンタ3は、第2通信方式により、例えばSIM等を介して移動体通信ネットワークMCNに接続することで、解析ファイルを管理サーバ5に送信することができる。管理サーバ5は、受信した解析ファイルを、プリンタ3の送信元のプリンタIDと関連付けて保存する(ステップS18)。
【0041】
管理者端末6は、管理者によりプリンタ管理アプリケーション上で当該解析ファイルを指定する所定の操作を受け付けると(ステップS20)、プリンタ管理アプリケーションにより管理サーバ5に解析ファイルを要求する(ステップS22)。管理サーバ5は、プリンタ管理アプリケーションの要求に応じて解析ファイルを管理者端末6に送信する(ステップS24)。
【0042】
管理者端末6は、プリンタ管理アプリケーション上で管理者による所定の操作を受け付けると、あるいは自動で、ネットワークアナライザが起動して解析ファイルを復号し、復号した解析ファイルを読み込む。これにより、管理者端末6は、解析ファイルを管理者により分析しやすい形式で表示させる(ステップS26)。ステップS26で表示される管理者端末6の画面例は、例えば図2に示したとおりである。
【0043】
管理者端末6は、例えば分析結果とともに不具合の原因等を特定したメッセージを利用者端末2に送信する(ステップS28)。ステップS28のメッセージは、利用者端末2にプリンタ管理アプリケーションがインストールされている場合には当該アプリケーションにより送信してもよいし、例えば電子メール等で送信してもよい。
【0044】
以上説明したように、プリンタ3は、LANアナライザと、第1通信方式によりLAN経由でパケットを受信する第1通信部37と、第1通信方式とは異なる第2通信方式により管理サーバ5と通信を行う第2通信部38と、を備える。管理サーバ5は、第2通信方式によりプリンタ3のLANアナライザを遠隔的に起動することで、LANに起因する通信エラーが発生した場合も、第2通信方式で第2通信部38を介してLANアナライザによる解析ファイルを取得することができる。これにより、解析ファイルに基づいて通信エラーに対する分析を行うことで、遠隔的にエラー原因を特定することができる。
【0045】
[第1の実施例]
次に、図6図9を参照して、エラー解析システム1の第1の実施例について説明する。第1の実施例は、利用者端末2は、プリンタドライバによりプリンタ3からラベルを発行させようとして、印刷スプーラ上で「印刷中」の状態となりラベルを発行ができない不具合が発生した例である。図6は、第1の実施例の管理者端末6に表示される画面の遷移例を示している。例えば、管理者端末6のプリンタ管理アプリケーションにより表示される画面G1は、複数のタブを含むタブ群100を含む。画面G1では、「管理ログ」が選択された状態の画面を示し、ボタンb1~b3、テキストボックスbx1、ログファイル一覧101、及び、解析ファイル一覧102を含んでいる。
【0046】
管理者端末6は、利用者からの不具合の連絡を受けた管理者により、プリンタ3の状態を把握するためにボタンb1(「プリンタログ取得」)の操作を受け付けると、プリンタ管理アプリケーションによりプリンタログを取得するための要求を管理サーバ5に対して行う。管理サーバ5は、プリンタログを取得するための要求に応じてプリンタ3からプリンタログファイルを取得して保存する。管理者端末6は、プリンタログファイルが管理サーバ5により保存されると、例えば画面G2のログファイル一覧101にプリンタログファイル(「Log234.zip」)を表示させる。管理者端末6は、管理者によりプリンタログファイルをクリックする操作を受け付けると、プリンタ3のエラー状態を示すテキスト(例えば、プリンタステータスエラー:プリンタが印刷中、印刷データ受信中です)を含むウィンドウW1を表示させる。なお、管理サーバ5の制御部51は、例えば第2通信方式によりプリンタ3の状態を示すプリンタ状態情報を取得する状態情報取得部として機能する。このように、プリンタ3の状態情報を取得することで、プリンタ3で発生している不具合(エラー状態)を特定することができる。
【0047】
管理者端末6は、プリンタ3のエラー状態(プリンタステータスエラー等の印刷関連の不具合)に対応させた解析ファイルを取得するため、例えば管理者により画面G2のテキストボックスbx1で印刷関連のポート番号(例えば「9100」)を指定し、ボタンb2(「ネットワーク解析開始」)に対する操作を受け付ける。管理者端末6は、プリンタ管理アプリケーションにより処理対象のプリンタ3のポート番号の設定を管理サーバ5から取得し、表示させることができる。例えばタブ群100の「機器詳細」タブを選択することで、管理者に通知するためのプリンタ3のポート番号の設定を表示させ、管理者によりプリンタ3のエラー状態に対応するポート番号を入力させることが可能となる。
【0048】
管理者端末6は、管理者によるポート番号を指定したボタンb2の操作を受け付けると、プリンタ管理アプリケーションにより管理サーバ5に対してプリンタ3へのパケット解析開始要求を行う。管理サーバ5は、プリンタ管理アプリケーションの要求に応じて、プリンタ3に対して指定されたポート番号の通信ポートから受信するパケットの解析を開始するように制御する。なお、管理サーバ5の制御部51は、第2通信方式によりプリンタ3に対してLANアナライザによるパケットの解析を要求する解析要求部として機能する。また、管理者端末6は、例えば管理者によるボタンb3(「ネットワーク解析終了」)に対する操作を受け付けると、プリンタ管理アプリケーションにより管理サーバ5に対してパケット解析終了要求を行う。管理サーバ5は、プリンタ管理アプリケーションの要求に応じてプリンタ3に対してパケット解析を終了するように制御する。これにより、プリンタ3からは、指定された通信ポート番号から受信した解析ファイルを取得することが可能となる。なお、管理サーバ5の制御部51は、第2通信方式によりプリンタ3からLANアナライザによる解析結果を取得する取得部として機能する。図7は、第1の実施例において管理者端末に表示される画面例を示している。図7の画面G3に示すように、管理者端末6のプリンタ管理アプリケーションは、管理サーバ5から取得した解析ファイルを解析ファイル一覧102に表示させる。
【0049】
管理者端末6は、管理者により解析ファイル一覧102に表示された解析ファイルを選択する操作を受け付けると、ネットワークアナライザが起動し、図8に示す解析結果を表示させる。図8は、第1の実施例におけるパケット解析結果の一例を示している。図8に示す解析結果では、概要表示部201の各パケットに対応する行のうち、選択されたパケットに含まれる詳細データが詳細表示部202に表示されている。この例では、例えば利用者端末2によりプリンタ3に対してステータス要求コマンド(詳細表示部202に示す「05」H等)を送信し続けている例が示されている。つまり、利用者端末2は、プリンタ3に対してラベル発行コマンドを送信してもプリンタ3から応答がないため、ステータス要求コマンドを送信し続けていることを示している。
【0050】
管理者端末6は、例えば管理者により画面G3のタブ群100のうち、例えばプリンタ3の通信設定を確認するため「機器詳細」タブを選択する操作を受け付けると、プリンタ3の複数の設定情報のうち通信設定に関する情報を表示させることができる。図9は、第1の実施例において管理者端末に表示される画面の遷移例を示している。図9に示す画面G4は、例えばプリンタ3の通信設定に関する情報を表示している。管理者端末6は、プリンタ管理アプリケーションにより管理サーバ5のプリンタ管理データベースに含まれる情報のうちプリンタ3の設定情報を取得することができる。ここで、管理サーバ5の制御部51は、例えば第2通信方式によりプリンタ3からプリンタの設定を示すプリンタ設定情報を取得する設定情報取得部として機能してもよい。画面G4のウィンドウW2には、プリンタ3に設定されている複数のポート番号、及び、通信プロトコルの情報等が表示されている。画面G4の例では、プリンタ3に設定されている通信プロトコルが「NO」(双方向通信不可)となっているため、ステータス要求コマンドをプリンタ3に送信してもプリンタ3からの返信がない原因となっている。
【0051】
管理者端末6は、例えば管理者により画面G5のウィンドウW3におけるプリンタ3の通信プロトコルの設定を双方向通信が可能となる通信プロトコルである「STATUS4」等に変更し、設定変更をプリンタ3に反映させるためのボタンの操作を受け付ける。これにより、管理者端末6のプリンタ管理アプリケーションは、管理サーバ5に対してプリンタ3の設定変更要求を送信し、管理サーバ5により設定変更要求に対応するMQTTコマンドをプリンタ3に対して送信する。プリンタ3は、管理サーバ5から受信したMQTTコマンドを解釈して、自身の通信プロトコルの設定を「STATUS4」等に変更する。ここで、管理サーバ5の制御部51は、例えば第2通信方式によりプリンタ3の設定情報を変更する設定変更要求をプリンタに対して行う設定変更要求部として機能する。プリンタ3の制御部31は、管理サーバ5からの設定変更要求に応じて設定情報を変更する変更部として機能する。このように、管理者端末6のプリンタ管理アプリケーションからプリンタ3の設定を遠隔的に変更することで、プリンタ3の通信エラーを解決することが可能となる。
【0052】
なお、管理サーバ5は、プリンタ3から取得した解析ファイルに基づいて、自動的にLANに起因する通信エラーの有無を判定し、判定結果に基づきプリンタ3への設定変更要求等を行ってもよい。例えば、第1の実施例において、管理サーバ5は、プリンタ3から得られるプリンタの状態情報に予め対応させたエラー状態(印刷関連の不具合)等を特定すると、プリンタ3のLANアナライザに対して特定したエラー状態に関連する解析要求を行う。管理サーバ5は、予めステータスコマンド等やプリンタ設定情報等に対応付けられた判定テーブルを参照し、解析パケットから抽出したステータスコマンドやプリンタから取得したプリンタ設定情報等に対応させたLANに起因する通信エラーを特定すると、特定した通信エラーに対応させて設定変更要求等を実行する。
なお、管理サーバ5の制御部51は、データ取得部によって取得した解析結果に基づいて、LANに起因する通信エラーの有無を決定する決定部として機能する。
【0053】
[第2の実施例]
次に、図10図13を参照して、エラー解析システム1の第2の実施例について説明する。図10は、第2の実施例において想定される利用者端末とプリンタのネットワーク構成例を示している。図10に示すように、利用者端末2とプリンタ3-Aは同じLANに接続されているが、プリンタ3-Bは、利用者端末2から見てルータRTの先のLANに接続されている。第2の実施例では、利用者端末2は、プリンタドライバによりプリンタ3-Bからラベルを発行させようとしたときに、例えば印刷スプーラ上で「エラー(接続なし)」(Error - No Connection)の状態でラベルを発行することができないという不具合が発生した例である。
【0054】
図11は、第2の実施例におけるエラー解析システムの動作を示すシーケンスチャートである。図11に示すように、例えば、利用者端末2には、プリンタ3からラベルを発行できない場合に、印刷スプーラ上で「エラー(接続なし)」を示すメッセージが表示される(ステップS1)。利用者端末2は、例えば管理者端末6に対して不具合が発生したことを示すメッセージを送信する(ステップS2)。管理者端末6は、利用者から不具合(エラー:接続なし)に関する連絡を受けた管理者によりボタンb2(「ネットワーク解析開始」)の操作を受け付け(ステップS4)、プリンタ管理アプリケーションによりプリンタ3-Bに対するパケット解析開始要求を管理サーバ5に送信する。このとき、第1の実施例とは異なり、印刷関連の不具合であることが不明であるためポート番号を指定せず、例えば図6の画面G1のテキストボックスbx1を空欄(例えば「0」を入力)にする。管理サーバ5は、例えばSIM等を介して移動体通信ネットワークMCNに接続することでパケット解析開始要求に応じたMQTTメッセージをプリンタ3-Bに送信する(ステップS6)。なお、管理サーバ5の制御部51は、第2通信方式によりプリンタ3-Bに対してLANアナライザによるパケットの解析を要求する解析要求部として機能する。プリンタ3-Bは、例えば受信したMQTTメッセージを解釈してLANアナライザを起動させ、LANから受信するパケットの解析を開始する(ステップS8)。
【0055】
次に、管理者端末6は、例えば管理者の操作に応じて、プリンタ管理アプリケーションによりプリンタ3-Bから利用者端末2に対してpingコマンドを送信することを要求するpingコマンド実行要求を管理サーバ5に送信する。管理サーバ5は、プリンタ管理アプリケーションの要求に応じたMQTTコマンドをプリンタ3-Bに送信する(ステップS9A)。プリンタ3-Bは、受信したMQTTコマンドを解釈し、利用者端末2に対してpingコマンドを送信する(ステップS9B)。pingコマンドは、通信の宛先である利用者端末2に対してパケットが到達するか否かを確認するコマンドの一例である。なお、管理サーバ5の制御部51は、解析要求を行った後に、利用者端末2に対してパケットが到達するか否かを確認するコマンドを実行するようプリンタ3-Bに要求する解析要求部として機能する。
【0056】
管理者端末6は、例えば管理者によりボタンb3(「ネットワーク解析終了」)の操作を受け付け(ステップS10)、プリンタ管理アプリケーションにより管理サーバ5に対してパケット解析終了要求を行う。管理サーバ5は、プリンタ管理アプリケーションの要求に応じてプリンタ3-Bにパケット解析を終了するように制御する(ステップS12)。プリンタ3-Bは、LANから受信するパケットの解析を終了するようにLANアナライザを制御する(ステップS14)。管理サーバ5は、プリンタ3-Bから暗号化された解析ファイルを取得し(ステップS16)、プリンタ3-Bの送信元のプリンタIDと関連付けて保存する(ステップS18)。なお、管理サーバ5の制御部51は、第2通信方式によりプリンタ3からLANアナライザによる解析結果を取得する取得部として機能する。
【0057】
以下、ステップS20~S28は、図5のシーケンスチャートと同様の処理となる。このように、図11のシーケンスチャートは、図5と比較すると、ステップS9Aとしてpingコマンド実行要求が、管理者端末6から管理サーバ5を経由してプリンタ3-Bに送信され、ステップS9Bとしてpingコマンドがプリンタ3-Bから利用者端末2に送信される点が異なる。
【0058】
図12は、第2の実施例において管理者端末に表示される画面例を示す図である。図12の画面G6に示すように、管理者端末6のプリンタ管理アプリケーションは、管理サーバ5によりプリンタ3-Bから取得した解析ファイルを解析ファイル一覧102に表示する。管理者端末6は、管理者により解析ファイル一覧102に表示された解析ファイルを選択する操作を受け付けると、例えばネットワークアナライザを起動して解析結果を表示させる。図13は、第2の実施例におけるパケット解析結果の一例を示す図である。図13に示す解析結果では、概要表示部201の各パケットにおいて利用者端末2からの応答がなく(「no response found!」)、利用者端末2側のLANとプリンタ3-Bが属するLANとの接続ができていないことが示されている。ここで、例えばルータRT(図10参照)の設定に誤りがないか、ルータRTが故障していないか等の調査を行い、通信不具合の問題の解決に繋げることができる。
【0059】
なお、第2の実施例において、管理サーバ5は、プリンタ3-BのLANアナライザに解析要求や通信の宛先を指定した確認コマンドの送信結果から、予め確認コマンドへの応答データと判定結果とが対応付けられた判定テーブルを参照し、通信エラーの原因を特定してもよい。
【0060】
以上、本発明の情報処理システム及び情報処理方法の一実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されない。また、上記の実施形態は、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更が可能である。
管理サーバ5のプリンタ管理データベース等は、図示しないデータサーバ等の他の装置に分散して格納しても良い。管理サーバ5の機能を管理者端末等の他の装置に分散してもよい。その場合、管理サーバと管理者端末が連携して、上述した管理サーバ5の機能を実現してもよい。
【符号の説明】
【0061】
1…エラー解析システム
2…利用者端末
21…制御部
22…操作入力部
23…表示部
24…通信部
3…プリンタ
31…制御部
32…操作入力部
33…表示部
34…搬送部
35…印字部
36…通信部
37…ストレージ
5…管理サーバ
51…制御部
52…記憶部
53…通信部
6…管理者端末
61…制御部
62…操作入力部
63…表示部
64…通信部
100…タブ群
101…ログファイル一覧
102…解析ファイル一覧
201…概要表示部
202…詳細表示部
203…生データ表示部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13