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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023072732
(43)【公開日】2023-05-25
(54)【発明の名称】薬剤供給装置
(51)【国際特許分類】
   A61J 3/00 20060101AFI20230518BHJP
【FI】
A61J3/00 310D
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021185343
(22)【出願日】2021-11-15
(71)【出願人】
【識別番号】593129342
【氏名又は名称】株式会社タカゾノ
(74)【代理人】
【識別番号】100118784
【弁理士】
【氏名又は名称】桂川 直己
(72)【発明者】
【氏名】藤本 洋平
【テーマコード(参考)】
4C047
【Fターム(参考)】
4C047CC14
4C047CC15
4C047JJ05
4C047JJ11
4C047JJ22
4C047JJ33
(57)【要約】
【課題】薬剤容器を搬送して薬剤を供給する容器搬送部を備え、かつ、清掃材を適切に保管可能な薬剤供給装置を提供する。
【解決手段】薬剤供給装置1は、薬剤容器保管部11と、清掃材容器保管部61と、薬剤排出部と、容器搬送部15と、を備える。薬剤容器保管部11は、薬剤を収容した薬剤容器が複数保管される。清掃材容器保管部61は、薬剤容器保管部11とは別に設けられており、清掃材を収容した清掃材容器が保管される。薬剤排出部は、薬剤容器又は清掃材容器を選択的にセット可能であり、セットされた容器内の薬剤又は清掃材を排出する。容器搬送部15は、薬剤容器保管部11と薬剤排出部との間での薬剤容器の搬送と、清掃材容器保管部61と薬剤排出部との間での清掃材容器の搬送とを行うことができる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤を収容した薬剤容器が複数保管される薬剤容器保管部と、
前記薬剤容器保管部とは別に設けられており、清掃材を収容した清掃材容器が保管される清掃材容器保管部と、
前記薬剤容器又は前記清掃材容器を選択的にセット可能であり、セットされた容器内の薬剤又は清掃材を排出する薬剤排出部と、
前記薬剤容器保管部と前記薬剤排出部との間での前記薬剤容器の搬送と、前記清掃材容器保管部と前記薬剤排出部との間での前記清掃材容器の搬送とを行うことができる容器搬送部と、
を備えることを特徴とする薬剤供給装置。
【請求項2】
請求項1に記載の薬剤供給装置であって、
前記清掃材容器保管部に保管される前記清掃材容器は、前記薬剤容器保管部に保管される前記薬剤容器よりも前記薬剤排出部に近い位置に配置されることを特徴とする薬剤供給装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の薬剤供給装置であって、
前記薬剤容器保管部は、前記薬剤容器を配置する薬剤容器配置部の位置を変更した後に前記容器搬送部との間で前記薬剤容器の受け渡しを行い、
前記清掃材容器保管部は、前記清掃材容器を配置する清掃材容器配置部の位置を変更することなく前記容器搬送部との間で前記清掃材容器の受け渡しを行うことを特徴とする薬剤供給装置。
【請求項4】
請求項1から3までの何れか一項に記載の薬剤供給装置であって、
前記清掃材容器保管部に保管される前記清掃材容器は、前記薬剤容器保管部に保管される前記薬剤容器よりも装置前面側に近い位置に配置されることを特徴とする薬剤供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として、薬剤供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、薬剤容器に収容された薬剤を供給する薬剤供給装置が知られている。特許文献1は、この種の薬剤供給装置を開示する。
【0003】
特許文献1の薬剤供給装置は、容器搬送部を備える。容器搬送部は、容器保管部に保管された薬剤容器を受け取って搬送し、分配皿の近傍に設けられる薬剤排出部に薬剤容器をセットする。薬剤排出部は、薬剤容器に収容された薬剤を分配皿に排出する。また、特許文献1では、各部に付着した薬剤を負圧により吸引する構成の吸引部が記載されている。
【0004】
特許文献2には、清掃材を分配皿に供給する清掃方法が開示されている。清掃材が分配皿に供給されることにより、薬剤経路に清掃材を接触させて薬剤経路を清掃できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2020-89675号公報
【特許文献2】特開2021-29554号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1には、清掃材を用いた清掃方法は記載されていない。従って、特許文献1のように薬剤容器を薬剤排出部まで搬送するタイプの薬剤供給装置において、清掃材の適切な保管位置又は保管構造等は知られていない。しかし、薬剤と清掃材は、用途、使用目的、使用タイミング等が異なるため、当然ながら適切な保管態様も異なる。
【0007】
本発明は以上の事情に鑑みてされたものであり、その主要な目的は、薬剤容器を薬剤排出部まで搬送する容器搬送部を備え、かつ、清掃材を適切な態様で保管する薬剤供給装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0008】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
【0009】
本発明の観点によれば、以下の構成の薬剤供給装置が提供される。即ち、薬剤供給装置は、薬剤容器保管部と、清掃材容器保管部と、薬剤排出部と、容器搬送部と、を備える。前記薬剤容器保管部には、薬剤を収容した薬剤容器が複数保管される。前記清掃材容器保管部は前記薬剤容器保管部とは別に設けられており、前記清掃材容器保管部には清掃材を収容した清掃材容器が保管される。前記薬剤排出部は、前記薬剤容器又は前記清掃材容器を選択的にセット可能であり、セットされた容器内の薬剤又は清掃材を排出する。前記容器搬送部は、前記薬剤容器保管部と前記薬剤排出部との間での前記薬剤容器の搬送と、前記清掃材容器保管部と前記薬剤排出部との間での前記清掃材容器の搬送とを行うことができる。
【0010】
これにより、薬剤容器と清掃材容器とが個別に保管されるので、清掃材容器に適した位置又は態様で清掃材容器を保管できる。
【0011】
前記の薬剤供給装置においては、前記清掃材容器保管部に保管される前記清掃材容器は、前記薬剤容器保管部に保管される前記薬剤容器よりも前記薬剤排出部に近い位置に配置されることが好ましい。
【0012】
これにより、清掃材容器を薬剤排出部まで搬送するために掛かる時間が短くなるので、清掃を短時間で行うことができる。
【0013】
前記の薬剤供給装置においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記薬剤容器保管部は、前記薬剤容器を配置する薬剤容器配置部の位置を変更した後に前記容器搬送部との前記薬剤容器の受け渡しを行う。前記清掃材容器保管部は、前記清掃材容器を配置する清掃材容器配置部の位置を変更することなく前記容器搬送部との前記清掃材容器の受け渡しを行う。
【0014】
一般的に、薬剤容器は種類が多いのに対して清掃材容器は種類が少ないので、清掃材容器では、容器配置部の位置を変更する利点を享受しにくい。一方で、容器配置部の位置を変更しないことにより、清掃を短時間で行うことができる。
【0015】
前記の薬剤供給装置においては、前記清掃材容器保管部に保管される前記清掃材容器は、前記薬剤容器保管部に保管される前記薬剤容器よりも装置前面側に近い位置に配置されることが好ましい。
【0016】
これにより、ユーザが清掃材容器に容易にアクセスできるので、例えば清掃材の補充等を手間なく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の第1実施形態に係る薬剤分包装置の全体的な構成を示す模式図。
図2】薬剤分包装置のレイアウトを簡単に示す斜視図。
図3】調剤処理の前又は後に行う清掃処理の動作タイミングの関係を示すタイミングチャート。
図4】調剤処理において薬剤分包装置の各部の動作タイミングの関係を示すタイミングチャート。
図5】第2実施形態に係る薬剤分包装置の全体的な構成を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る薬剤分包装置の全体的な構成を示す模式図である。薬剤分包装置は、薬剤供給装置1と、包装部41と、を備える。薬剤分包装置は、薬剤供給装置1に供給された薬剤を、包装部41で包装する。
【0019】
図1に示す薬剤供給装置1は、薬剤を収容した薬剤容器14を複数保管することができる。この薬剤供給装置1は、薬剤容器14に収容された薬剤を包装部41に供給する。本実施形態の薬剤は散剤であるが、錠剤であってもよい。
【0020】
また、薬剤供給装置1は、乳糖等の清掃材を収容した清掃材容器64を少なくとも1つ保管することができる。薬剤供給装置1は、清掃材容器64に収容された清掃材を包装部41に供給する。
【0021】
薬剤供給装置1が保管するそれぞれの薬剤容器14の外面には、磁性部材が設けられる。この磁性部材は、後述する容器搬送部15による薬剤容器14の搬送に利用される。また、それぞれの薬剤容器14の外面には、情報タグが付される。この情報タグには、薬剤容器14の固有識別情報、収容する薬剤の情報、及び、収容された薬剤の重量に関するデータが記憶される。
【0022】
薬剤供給装置1が保管する清掃材容器64の外面には、薬剤容器14と同様、磁性部材が設けられる。この磁性部材は、後述する容器搬送部15による清掃材容器64の搬送に利用される。また、それぞれの清掃材容器64の外面には、情報タグが付される。この情報タグには、清掃材容器64の固有識別情報、及び、収容する清掃材の種類に関するデータが記憶される。
【0023】
薬剤供給装置1は、薬剤容器保管部11と、清掃材容器保管部61と、容器搬送部15と、薬剤排出部21と、分配皿31と、薬剤取出部35と、第1吸引部52と、計測処理部と、第1リーダライタ部71と、第2リーダライタ部75と、容器仮置部81と、インタフェース部91と、制御装置95と、を備える。インタフェース部91及び制御装置95は、薬剤分包装置のインタフェース部及び制御装置としても機能する。
【0024】
図2に示すように、薬剤分包装置は、筐体5を備える。筐体5の内部には、薬剤供給装置1の各部と、包装部41と、が配置される。
【0025】
筐体5には扉6が設けられている。ユーザは、扉6を開放させることにより、例えば薬剤容器保管部11又は清掃材容器保管部61等にアクセスできる。また、筐体5には、タッチパネルディスプレイ7が設けられている。タッチパネルディスプレイ7は、薬剤の供給又は分包に関する情報を表示する。ユーザは、タッチパネルディスプレイ7を操作して薬剤分包装置に対して指示を行う。タッチパネルディスプレイ7に代えて、タッチパネル機能の無いディスプレイ(表示装置)と、ハードウェアキー(操作装置)が設けられてもよい。
【0026】
図2に示すように、筐体5の正面側が装置前面側である。別の観点から説明すると、装置前面側は、扉6が設けられている側である。あるいは、装置前面側は、タッチパネルディスプレイ7(即ち表示装置及び/又は操作装置)が設けられている側である。
【0027】
薬剤容器保管部11は、複数の薬剤容器14を保管することができる。薬剤容器保管部11は、回転部材12と、薬剤容器配置部13と、を備える。
【0028】
回転部材12は、起立した姿勢で設けられている。回転部材12は、モータの駆動力により、上下方向の軸を中心として回転することができる。
【0029】
薬剤容器配置部13は、回転部材12の外周部の上下方向及び回転方向に複数並べて設けられている。それぞれの薬剤容器配置部13には、1つの薬剤容器14を配置することができる。薬剤容器配置部13は、例えば、薬剤容器14を収納可能な載置板である。薬剤容器配置部13は、回転部材12の回転に伴って、当該回転部材12と一体的に回転する。これにより、薬剤容器保管部11における薬剤容器配置部13の位置が変更される。その後、後述する容器搬送部15は、薬剤容器保管部11から薬剤容器14を受け取ったり、薬剤容器保管部11に薬剤容器14を受け渡したりする。
【0030】
1つの薬剤容器配置部13には、対応する薬剤容器14が1つだけ配置される。薬剤容器14が配置される薬剤容器配置部13は当該薬剤容器14に応じて予め決まっており、他の薬剤容器配置部13に配置されることはない。なお、1つの薬剤容器配置部13に、異なる薬剤容器14を配置できるように構成してもよい。この場合、薬剤容器14に付された情報タグに記憶されたデータを読み取ることにより、薬剤容器配置部13に配置されている薬剤容器14を特定する。
【0031】
清掃材容器保管部61は、清掃材容器64を保管することができる。清掃材容器保管部61は、支持部材62と、清掃材容器配置部63と、を備える。
【0032】
清掃材容器保管部61は、薬剤容器保管部11とは別に設けられる(独立して設けられる)。別に設けられるとは、薬剤容器保管部11と清掃材容器保管部61の位置が異なることである。更に言えば、別に設けられるとは、薬剤容器保管部11のベースとなる部材である回転部材12と、清掃材容器保管部61のベースとなる部材である支持部材62と、が異なることである。従って、薬剤容器保管部11の薬剤容器配置部13の1つを清掃材容器配置部63として機能させた場合は、「別に設けられる」に該当しない。
【0033】
支持部材62は、ブロック状の部材である。支持部材62は、例えば分配皿31が設けられるテーブルに固定される。ただし、支持部材62の固定方法は様々であり、例えば筐体5の壁面に固定されてもよい。支持部材62はブロック状に限られず、別の形状(例えば平板状)であってもよい。また、支持部材62は、回転部材12とは異なり、可動機構を有していない。
【0034】
清掃材容器配置部63は、支持部材62に設けられている。支持部材62には、少なくとも1つ(本実施形態では複数)の清掃材容器配置部63が設けられる。それぞれの清掃材容器配置部63には、1つの清掃材容器64を配置することができる。清掃材容器配置部63は、支持部材62に清掃材容器64を置いて固定するための凹み又は固定機構である。これに代えて、清掃材容器配置部63は、薬剤容器配置部13と同様に構成されていてもよい。後述の容器搬送部15は、清掃材容器配置部63から清掃材容器64を受け取ったり、清掃材容器配置部63に対して薬剤容器14を受け渡したりすることができる。上述したように支持部材62は可動機構を有していないため、清掃材容器配置部63の位置を変更することなく、容器搬送部15は清掃材容器64の受取り又は受渡しを行うことができる。
【0035】
図2に示すように、清掃材容器保管部61は、薬剤容器保管部11に対して薬剤供給装置1の装置前面側に設けられる。そのため、清掃材容器保管部61に保管される清掃材容器64は、薬剤容器保管部11に保管される薬剤容器14よりも、装置前面側に近い位置に配置される。言い換えれば、平面視において、清掃材容器保管部61に保管される清掃材容器64から装置前面までの距離が、薬剤容器保管部11に保管される薬剤容器14から装置前面までの距離よりも短い。薬剤容器14又は清掃材容器64が複数保管される場合、例えば、最も前面側の薬剤容器14と、最も前面側の清掃材容器64と、を比較する。
【0036】
このレイアウトにより、清掃材容器64は、薬剤容器14よりも扉6に近い位置に配置される。そのため、ユーザが清掃材容器64に容易にアクセスできるので、清掃材容器64を薬剤供給装置1の外部に取り出し、清掃材容器64に清掃材を充填する作業が容易になる。
【0037】
また、清掃材容器保管部61に保管される清掃材容器64は、薬剤容器保管部11に保管される薬剤容器14よりも、薬剤排出部21に近い位置に配置される。言い換えれば、清掃材容器保管部61に保管される清掃材容器64から薬剤排出部21までの距離が、薬剤容器保管部11に保管される薬剤容器14から薬剤排出部21までの距離よりも短い。薬剤容器14又は清掃材容器64が複数保管される場合、例えば、最も薬剤排出部21に近い薬剤容器14と、最も薬剤排出部21に近い清掃材容器64と、を比較する。また、薬剤排出部21が複数設けられる場合、最も近い薬剤排出部21までの距離同士を比較する。
【0038】
このレイアウトにより、清掃材容器保管部61から薬剤排出部21まで清掃材容器64を搬送する時間が短くなるので、清掃を短時間で行うことができる。
【0039】
なお、本実施形態では、薬剤容器保管部11と清掃材容器保管部61は共用されない。従って、薬剤容器配置部13に清掃材容器64が配置されることはない、同様に、清掃材容器配置部63に薬剤容器14が配置されることはない。
【0040】
容器搬送部15は、薬剤容器保管部11と薬剤排出部21との間での薬剤容器14の搬送と、清掃材容器保管部61と薬剤排出部21との間での清掃材容器64の搬送と、を行うことができる。具体的には、容器搬送部15は、薬剤容器14と清掃材容器64に対して、以下の3つの動作を行うことができる。
【0041】
薬剤容器14に対する1つ目の動作は、薬剤容器保管部11と薬剤排出部21との間で移動する動作である(第1動作)。薬剤容器14に対する2つ目の動作は、薬剤容器保管部11の薬剤容器配置部13の1つから薬剤容器14を取り出す動作である(第2動作)。薬剤容器14に対する3つ目の動作は、薬剤容器14を薬剤容器配置部13の1つに戻す動作である(第3動作)。
【0042】
同様に、清掃材容器64に対する1つ目の動作は、清掃材容器保管部61と薬剤排出部21との間で移動する動作である(第1動作)。清掃材容器64に対する2つ目の動作は、清掃材容器保管部61の清掃材容器配置部63の1つから清掃材容器64を取り出す動作である(第2動作)。清掃材容器64に対する3つ目の動作は、清掃材容器64を清掃材容器配置部63の1つに戻す動作である(第3動作)。
【0043】
容器搬送部15は、保持アーム部16と、搬送動作機構17と、を備える。
【0044】
保持アーム部16は、容器(薬剤容器14又は清掃材容器64)の保持/保持解除を行うことができる。本実施形態において、保持アーム部16の先端部には、容器の外面の磁性部材に着脱することができる電磁石が設けられている。従って、保持アーム部16は、当該電磁石を利用して、容器を保持/解放することができる。保持アーム部16の基端部は、搬送動作機構17に接続されている。
【0045】
搬送動作機構17は、モータの駆動力により、各保管部(薬剤容器保管部11、清掃材容器保管部61)と薬剤排出部21との間で保持アーム部16を動かすことができる。
【0046】
以上の構成で、搬送動作機構17によって保持アーム部16の先端部が薬剤容器保管部11の外周部に接近している状態で、保持アーム部16は、薬剤容器配置部13に配置されている薬剤容器14を取り出すことができる。また、保持アーム部16の先端部が薬剤容器保管部11の外周部に接近している状態で、保持アーム部16は、保持している薬剤容器14を薬剤容器配置部13に戻すことができる。また、搬送動作機構17によって保持アーム部16の先端部が清掃材容器保管部61の近傍に接近している状態で、保持アーム部16は、清掃材容器配置部63に配置されている清掃材容器64を取り出すことができる。また、保持アーム部16の先端部が清掃材容器保管部61の近傍に接近している状態で、保持アーム部16は、保持している清掃材容器64を清掃材容器配置部63に戻すことができる。
【0047】
一方、搬送動作機構17によって保持アーム部16の先端部が薬剤排出部21に接近している状態で、保持アーム部16は、薬剤排出部21に容器(薬剤容器14又は清掃材容器64)をセットすることができる。また、保持アーム部16の先端部が薬剤排出部21に接近している状態で、保持アーム部16は、セットされた容器のセットを解除し、薬剤排出部21から取り出すことができる。
【0048】
薬剤排出部21は、セットされている容器内の薬剤(又は清掃材)を排出させる処理を行うことができる。薬剤排出部21は、当該薬剤排出部21を振動させるための振動装置22を備える。薬剤排出部21にセットされている容器が振動すると、薬剤容器14内の薬剤(又は清掃材容器64内の清掃材)が振るい出される。
【0049】
薬剤供給装置1は、複数(本実施形態では、2つ)の薬剤排出部21を備える。1つの薬剤排出部21には、1つの薬剤容器14をセット可能である。従って、複数の薬剤排出部21にそれぞれ薬剤容器14がセットされた場合、複数の薬剤排出部21から薬剤が同時に排出することもあり得る。
【0050】
分配皿31は、薬剤排出部21の近傍に設けられている。分配皿31は、薬剤容器14から振るい出される薬剤(又は清掃材容器64から振るい出される清掃材、以下同じ)を受ける受け皿として機能する。
【0051】
分配皿31は、皿部32と、回転駆動部33と、を備える。
【0052】
皿部32は、水平な円板状に形成されている。皿部32は、上下方向の軸を中心として回転可能に支持されている。皿部32の上には、薬剤排出部21から排出された薬剤を載せることができる。
【0053】
回転駆動部33は、モータの駆動力によって、皿部32を周方向に回転させることができる。皿部32が回転しながら薬剤排出部21からの薬剤を受けることで、皿部32の上に、薬剤が周方向で均等に載った状態になる。
【0054】
薬剤取出部35は、分配皿31の近傍に設けられている。薬剤取出部35は、モータの駆動力により、皿部32の周方向における一部の領域を対象として、薬剤を掬い取る動作を行う(取出動作)。薬剤取出部35は、掬い取った薬剤を包装部41に供給することができる。
【0055】
包装部41は、薬剤を包装することができる。包装部41は、薬剤の投入口となるホッパ42を備える。薬剤取出部35が1回の服用分の薬剤をホッパ42に投入すると、包装部41は、当該薬剤を包装する。包装された薬剤は、薬剤分包装置の外部に供与される。
【0056】
分配皿31の近傍には、第1吸引部52と、第2吸引部53と、が設けられている。第1吸引部52は、分配皿31上と薬剤取出部35に吸引力を作用させることができる。第2吸引部53は、包装部41の近傍に設けられている。第2吸引部53は、包装部41(本実施形態では、ホッパ42の内部)に吸引力を作用させることができる。第1吸引部52及び第2吸引部53は、各部に付着した薬剤を負圧により吸い込んで除去する。
【0057】
計測処理部は、第1計測部55と、第2計測部56と、を備える。
【0058】
第1計測部55は、薬剤容器14内の薬剤の重量を計測する装置である。第1計測部55は、薬剤排出部21に設けられている。なお、本実施形態では、第1計測部55は、それぞれの薬剤排出部21に1つずつ設けられている。
【0059】
第2計測部56は、第1計測部55と同様に、薬剤容器14内の薬剤の重量を計測する装置である。第2計測部56は、後述する容器仮置部81に設けられている。
【0060】
第1リーダライタ部71は、薬剤容器14に付された情報タグに記憶されているデータを読み取ることができる。また、第1リーダライタ部71は、当該情報タグにデータを書き込むことができる。第1リーダライタ部71は、それぞれの薬剤排出部21に設けられている。
【0061】
第2リーダライタ部75は、第1リーダライタ部71と同様の処理を行うことができる。第2リーダライタ部75は、容器仮置部81に設けられている。
【0062】
容器仮置部81は、薬剤容器保管部11と薬剤排出部21との間で搬送する薬剤容器14を一時的に配置することができる。容器仮置部81の構成は様々に考えられるが、例えば、薬剤容器14を載置することができる載置台として構成することができる。
【0063】
インタフェース部91は、ユーザインタフェース機能を実現するものである。インタフェース部91は、例えば、調剤処理の状況やユーザの入力情報等を表示する表示装置と、ユーザが指示を入力するための操作装置と、を備える構成とすることができる。
【0064】
制御装置95は、CPU、ROM及びRAM等を備えるコンピュータである。ROMには、薬剤分包装置を動作させる制御プログラムが記憶される。薬剤容器保管部11、容器搬送部15、薬剤排出部21、分配皿31、薬剤取出部35、包装部41、第1吸引部52、第2吸引部53、第1リーダライタ部71、第2リーダライタ部75、及びインタフェース部91の動作は、制御装置95によって制御される。
【0065】
次に、制御装置95の処理の一例について詳細に説明する。図3は、調剤処理の前又は後に行う清掃処理の動作タイミングの関係を示すタイミングチャートである。図4は、薬剤分包装置の調剤処理の一例を示すタイミングチャートである。以下で説明する例では2つの薬剤容器14を用いた調剤処理とその前後に清掃材を用いた清掃処理が行われる場合を示している。
【0066】
ユーザは、インタフェース部91を介して、調剤処理に使用する薬剤の種類、1包あたりの分包量、分包数等を処方データに応じて入力する。必要な情報の入力が完了して、調剤処理を開始させる指示をユーザが行うと、薬剤分包装置は調剤処理を開始する。
【0067】
また、ユーザは、インタフェース部91を介して、清掃材を用いた清掃処理の設定が可能である。ユーザは、調剤処理の開始前に予め設定を行っておく。設定では、清掃材の種類・量、清掃処理を行うタイミング(調剤処理前/調剤処理後/調剤処理前及び後)等、清掃材を分配皿31に供給する際の各種条件等を設定することができる。
【0068】
調剤処理前に清掃処理を行うことが設定される場合、制御装置95は、清掃処理を開始させる。清掃処理が開始した場合、ユーザに指定された清掃材を収容している清掃材容器64を清掃材容器保管部61から取り出させるために、制御装置95は、当該清掃材容器64が配置されている清掃材容器配置部63に、保持アーム部16の先端部を接近させる。
【0069】
制御装置95は、容器搬送部15が清掃材容器配置部63から清掃材容器64を取り出すように制御する。
【0070】
保持アーム部16の先端部が清掃材容器64を保持すると、制御装置95は容器搬送部15を制御して、薬剤排出部21へ清掃材容器64を搬送してセットする。本実施形態では、清掃材容器64を第1薬剤排出部21にセットする。第1薬剤排出部21に清掃材容器64がセットされた場合、制御装置95は、清掃材容器64の情報タグに記憶されているデータを、第1薬剤排出部21の第1リーダライタ部71に読み取らせる。このときに読み取られるデータは、例えば、固有識別情報、清掃材の種類に関する情報を含む。
【0071】
制御装置95は、第1リーダライタ部71が取得した固有識別情報に基づいて、第1薬剤排出部21にセットされた清掃材容器64が、ユーザに指定された清掃材を収容している清掃材容器64と一致するか否かを判定する。
【0072】
第1薬剤排出部21にセットされた清掃材容器64が正しいことを確認した場合、制御装置95は、第1薬剤排出部21の振動装置22に振動を開始させ、かつ、分配皿31を回転させる。これにより、清掃材容器64から清掃材が振るい出される。清掃材容器64の清掃材は、回転している分配皿31上に排出される。
【0073】
次に、清掃材容器64から清掃処理に必要な量の清掃材が排出されると、制御装置95は、第1薬剤排出部21の振動装置22を停止させ、清掃材容器64からの清掃材の振るい出しを終了させる。
【0074】
制御装置95は容器搬送部15を制御して、清掃材容器64を清掃材容器保管部61へ戻す。清掃材容器64を清掃材容器保管部61に戻す場合、制御装置95は容器搬送部15を制御して、第1薬剤排出部21にセットされている清掃材容器64を保持アーム部16に保持し、清掃材容器64を清掃材容器保管部61へ搬送させる。
【0075】
清掃材容器64からの清掃材の排出処理が終わり、清掃処理に必要な清掃材が分配皿31上に載置された場合、制御装置95は、薬剤取出部35に分配皿31上の清掃材を掬い取らせ、当該清掃材を包装部41のホッパ42へ投入させる。また、制御装置95は、薬剤取出部35に掬い取らせた清掃材を、包装部41に包装させる。
【0076】
清掃材容器64を清掃材容器保管部61へ戻し、供給された清掃材を包装部41に包装させると、清掃処理を終了する。
【0077】
このように、清掃処理では、薬剤供給装置1は、薬剤と同様に清掃材を分配皿31に供給することができる。清掃材が清掃材容器64から取り出されて、薬剤分包装置の薬剤経路に接触しながら分包されることにより、清掃材が接触する薬剤経路が清掃される。
【0078】
清掃処理が終了すると、調剤処理が開始する。調剤処理が開始した場合、ユーザに指定された薬剤を収容している薬剤容器14を薬剤容器保管部11から取り出させるために、制御装置95は、当該薬剤容器14が配置されている薬剤容器配置部13に、保持アーム部16の先端部を接近させる。なお、以下の説明では、当該薬剤容器14を第1薬剤容器14と呼ぶことがある。
【0079】
制御装置95は、回転部材12を回転させて、第1薬剤容器14が配置されている薬剤容器配置部13の位置を調整する。これにより、容器搬送部15が備える保持アーム部16の先端部で薬剤容器配置部13から第1薬剤容器14を取り出すことができる状態になる。なお、図4に示すタイミングT1では、制御装置95は、保持アーム部16を移動させている状態で、薬剤容器保管部11を回転させる。このように、保持アーム部16の移動と、薬剤容器配置部13の位置の調整と、を同時並行的に行うことによって、薬剤容器14の搬送作業がスムーズになる。
【0080】
制御装置95は、容器搬送部15が薬剤容器配置部13から第1薬剤容器14を取り出すように制御する。
【0081】
保持アーム部16の先端部が第1薬剤容器14を保持すると、制御装置95は容器搬送部15を制御して、薬剤容器14がセットされていない薬剤排出部21へ当該第1薬剤容器14を搬送してセットする。本実施形態では、第1薬剤容器14を第1薬剤排出部21にセットする。
【0082】
第1薬剤排出部21に第1薬剤容器14がセットされた場合、制御装置95は、第1薬剤容器14の情報タグに記憶されているデータを、第1薬剤排出部21の第1リーダライタ部71に読み取らせる。このときに読み取られるデータは、例えば、固有識別情報、薬剤情報及び薬剤の重量に関するデータを含む。
【0083】
制御装置95は、第1リーダライタ部71が取得した固有識別情報に基づいて、第1薬剤排出部21にセットされた薬剤容器14が、ユーザに指定された薬剤を収容している薬剤容器14(つまり、今回の調剤処理に用いる薬剤を収容する薬剤容器14)と一致するか否かを判定する。また、制御装置95は、第1リーダライタ部71が取得した薬剤の重量データに基づいて、今回の調剤処理に必要な量の薬剤が薬剤容器14内に収容されているか否かを判定する。
【0084】
第1薬剤排出部21にセットされた薬剤容器14が正しいこと、及び、調剤処理に必要な量の薬剤が薬剤容器14に収容されていることを確認した場合、制御装置95は、第1薬剤排出部21の振動装置22に振動を開始させ、かつ、分配皿31を回転させる(タイミングT2の終わり)。これにより、第1薬剤容器14から薬剤が振るい出される。
【0085】
第1薬剤容器14の薬剤は、回転している分配皿31上に排出される。従って、当該薬剤は、分配皿31上で厚さが均一になるように、分配皿31に載せられる。
【0086】
第1薬剤排出部21が第1薬剤容器14から薬剤を排出する過程で、第1計測部55は、第1薬剤容器14内の薬剤の重量を計測し続ける。第1薬剤容器14からの薬剤の振るい出しが進むに従って、第1薬剤容器14内の薬剤の重量が徐々に減少する。第1薬剤容器14内の薬剤の重量の減少値が調剤処理に使用する薬剤の重量値と等しくなった場合、制御装置95は、第1薬剤排出部21の振動装置22を停止させ、第1薬剤排出部21からの薬剤の排出を終了させる。このように、制御装置95は、排出動作中に第1薬剤容器14内の薬剤の重量の変化を監視する。これにより、第1薬剤容器14から正確に所定量の薬剤を排出させることができる。
【0087】
第1薬剤容器14を第1薬剤排出部21にセットさせた後、制御装置95は容器搬送部15に、もう1つの、ユーザに指定された薬剤を収容している薬剤容器14(つまり、今回の調剤処理に用いる薬剤容器14)を薬剤容器保管部11から取り出させる。そのため、制御装置95は、当該薬剤を収容する薬剤容器14が配置されている薬剤容器配置部13に、保持アーム部16の先端部を接近させる。以下の説明では、当該薬剤容器14を第2薬剤容器14と呼ぶことがある。
【0088】
制御装置95は、タイミングT1の場合と同様に、回転部材12を回転させて、第2薬剤容器14が配置されている薬剤容器配置部13の位置を調整する。これにより、保持アーム部16の先端部で第2薬剤容器14を取り出すことができる状態になる。なお、図4に示すタイミングT3では、タイミングT1と同様に、保持アーム部16の移動と並行して薬剤容器保管部11を回転させる。従って、薬剤容器14の搬送作業がスムーズになる。
【0089】
制御装置95は、容器搬送部15が薬剤容器配置部13から第2薬剤容器14を取り出すように制御する。
【0090】
保持アーム部16の先端部が第2薬剤容器14を保持すると、制御装置95は容器搬送部15を制御して、薬剤容器14がセットされていない薬剤排出部21へ当該第2薬剤容器14を搬送してセットする。本実施形態では、第2薬剤容器14を第2薬剤排出部21にセットする。
【0091】
第2薬剤排出部21に第2薬剤容器14がセットされた場合、制御装置95は、第2薬剤容器14の情報タグに記憶されているデータを、第2薬剤排出部21の第1リーダライタ部71に読み取らせる。
【0092】
制御装置95は、第1リーダライタ部71が取得した固有識別情報に基づいて、第2薬剤排出部21にセットされた薬剤容器14が、ユーザに指定された薬剤を収容している薬剤容器と一致するか否かを判定する。また、制御装置95は、第1リーダライタ部71が取得した薬剤の重量データに基づいて、今回の調剤処理に必要な量の薬剤が薬剤容器14内に収容されているか否かを判定する。
【0093】
第2薬剤排出部21にセットされた薬剤容器14が正しいこと、及び、調剤処理に必要な量の薬剤が薬剤容器14に収容されていることを確認した場合、制御装置95は、第2薬剤排出部21の振動装置22に振動を開始させる(タイミングT4の終わり)。これにより、第1薬剤容器14から薬剤が振るい出される。図4の例において、第1薬剤排出部21及び第2薬剤排出部21における薬剤の排出タイミングは互いに重複している。
【0094】
次に、第1薬剤容器14から調剤処理に必要な量の薬剤が排出されると、制御装置95は、第1薬剤排出部21の振動装置22を停止させ、第1薬剤容器14からの薬剤の振るい出しを終了させる。その後、制御装置95は、当該第1薬剤排出部21の第1リーダライタ部71に書き込み処理を行わせる。即ち、制御装置95は、薬剤の振るい出し終了時における第1薬剤容器14内の薬剤の重量データを、第1薬剤容器14の情報タグに記憶させる(タイミングT5)。
【0095】
第1薬剤容器14の情報タグに重量データが書き込まれた後に、制御装置95は容器搬送部15を制御して、第1薬剤容器14を薬剤容器保管部11へ戻す。
【0096】
図4に示すように、薬剤供給装置1は、他の薬剤容器14(この例では、第2薬剤容器14)が薬剤を排出している時に、排出が終了した薬剤容器14(第1薬剤容器14)を元の位置に搬送することができる。このように、薬剤の排出と薬剤容器14の移動とを同時並行的に行うことができるので、全体の作業を素早く行うことができる。
【0097】
上記のように、薬剤供給装置1は、薬剤容器14が薬剤を排出している際に、薬剤排出部21を空けることができる。そして、薬剤供給装置1は、薬剤容器14(第2薬剤容器14)が薬剤を排出している途中でも、次回の調剤処理に用いる薬剤容器14を、空いた薬剤排出部21(第1薬剤排出部21)に予めセットしておくことができる。この意味でも、薬剤供給装置1は、調剤処理を効率良く行うことができるようになっている。
【0098】
第1薬剤容器14を薬剤容器保管部11に戻す場合、制御装置95は容器搬送部15を制御して、第1薬剤排出部21にセットされている第1薬剤容器14を保持アーム部16に保持する。そして、制御装置95は、容器搬送部15に、先ず容器仮置部81へ当該第1薬剤容器14を搬送させる。
【0099】
搬送された第1薬剤容器14は、容器仮置部81に一時的に配置される。容器仮置部81に第1薬剤容器14が配置された場合、制御装置95は、第1薬剤容器14の情報タグに記憶されている重量データを、第2リーダライタ部75に読み取らせる(タイミングT6)。また、第2計測部56が、第1薬剤容器14内の薬剤の重量を計測する。そして、制御装置95は、第2リーダライタ部75が取得した重量データ(つまり、第1計測部55の計測結果)と、第2計測部56による計測結果と、が整合しているか否かについて確認する。このように、薬剤供給装置1は、薬剤排出後に薬剤容器14内の薬剤の重量を2回計測して、所定量の薬剤が正確に排出されたかどうかについて厳格にチェックしている。第2計測部56の計測結果を示す重量データは、第2リーダライタ部75により、第1薬剤容器14の情報タグに記憶させても良い。
【0100】
薬剤の排出量の確認を行った後に、制御装置95は容器搬送部15に、容器仮置部81に配置されている第1薬剤容器14を薬剤容器保管部11へ搬送させる。
【0101】
なお、薬剤容器14を薬剤容器保管部11から取り出す場合と同様に、制御装置95は、回転部材12を回転させて、第1薬剤容器14が戻されるべき薬剤容器配置部13の位置を調整する。これにより、保持アーム部16の先端部で薬剤容器配置部13に第1薬剤容器14を戻すことができる状態になる。薬剤容器保管部11の回転は、上述の場合(タイミングT1、T3)と同様に、保持アーム部16の移動が終わるまでに行われる(タイミングT7)。これにより、薬剤容器14の搬送作業がスムーズになる。
【0102】
次に、第2薬剤容器14から調剤処理に必要な量の薬剤が排出されると、制御装置95は、第2薬剤排出部21の振動装置22を停止させ、第2薬剤容器14からの薬剤の振るい出しを終了させる。その後、制御装置95は、当該第2薬剤排出部21の第1リーダライタ部71に書き込み処理を行わせる。即ち、制御装置95は、薬剤の振るい出し終了時における第2薬剤容器14内の薬剤の重量データを、第2薬剤容器14の情報タグに記憶させる(タイミングT8)。
【0103】
第1薬剤容器14及び第2薬剤容器14からの薬剤の排出処理が終わり、調剤に必要な薬剤が分配皿31上に載置された場合、制御装置95は、薬剤取出部35に分配皿31上の薬剤を掬い取らせ、当該薬剤を包装部41のホッパ42へ投入させる(タイミングT9)。また、制御装置95は、薬剤取出部35に掬い取らせた薬剤を、包装部41に包装させる(タイミングT9)。図4では包装部41の動作タイミングが省略されているが、包装部41は、薬剤取出部35とほぼ同じタイミングで動作する。図4に示すように、薬剤供給装置1は、薬剤取出部35が薬剤を掬い取る動作(取出動作)を行っている時に、薬剤容器14の搬送作業を行うことができる。このように、薬剤の掬取りと薬剤容器14の移動とを同時並行的に行うことができるので、全体の作業を素早く行うことができる。
【0104】
分配皿31から薬剤を掬い出す処理が終了した場合、分配皿31が停止する。そして、第1吸引部52は、分配皿31及び薬剤取出部35に吸引流を作用させる(タイミングT10)。図4に示すように、薬剤供給装置1は、第1吸引部52が吸引作業(第1吸引動作)を行っている時に、薬剤容器14の搬送作業を行うことができる。このように、吸引作業と薬剤容器14の移動とを同時並行的に行うことができるので、全体の作業を素早く行うことができる。
【0105】
包装部41が処理を終えた後に(言い換えれば、第1薬剤容器14の薬剤と、第2薬剤容器14の薬剤と、の供給終了後に)、第2吸引部53は、包装部41に吸引流を作用させる(タイミングT11)。薬剤供給装置1は、第2吸引部53が吸引作業(第2吸引動作)を行っている時に、薬剤容器14の搬送作業を行うことができる。このように、吸引作業と薬剤容器14の移動とを同時並行的に行うことができるので、全体の作業を素早く行うことができる。
【0106】
調剤に必要な薬剤を包装させ、第1吸引動作及び第2吸引動作を行わせると、調剤処理を終了する。
【0107】
調剤処理後に清掃処理を行うことが設定される場合、制御装置95は、調剤処理の終了後に清掃処理を開始させる。調剤処理終了後の清掃処理は、調剤開始前の清掃処理と同一の動作により行われ、清掃材が清掃材容器64から取り出されて、薬剤分包装置の薬剤経路に接触しながら分包されることにより、清掃材が接触する薬剤経路が清掃される。
【0108】
次に、第2実施形態を説明する。図5は、第2実施形態に係る薬剤分包装置の全体的な構成を示す模式図である。なお、本実施形態の説明においては、前述の実施形態と同一又は類似の部材には図面に同一の符号を付し、説明を省略する場合がある。
【0109】
上記の第1実施形態の薬剤分包装置では、薬剤供給装置1は、第2計測部56及び第2リーダライタ部75を備えていた。この点、図5に示す第2実施形態の薬剤分包装置において、薬剤供給装置2は、第2計測部56及び第2リーダライタ部75を何れも備えていない。また、薬剤供給装置2は、容器仮置部81の代わりに容器取出部82を備えている。
【0110】
容器取出部82は、外部からユーザが容易にアクセスすることができるように設けられている。ユーザは、容器取出部82に搬送された薬剤容器14を取り出すことができる。容器取出部82の構造は様々に考えられるが、例えば、薬剤容器14が配置される台座とすることができる。この場合、容器取出部82は、扉6の内側に設けられる。あるいは、容器取出部82は、例えば、薬剤供給装置2の内部と外部を連通するポートとして構成しても良い。
【0111】
本実施形態の薬剤供給装置2において、容器取出部82には、重量を計測するための装置が設けられていない。従って、容器取出部82に配置される薬剤容器14内の薬剤の重量は計測されない。
【0112】
第1計測部55が計測を行った結果、薬剤容器14に収容されている薬剤の量が調剤処理に必要な量に対して不足する場合、制御装置95は容器搬送部15を制御して、当該薬剤容器14を容器取出部82へ搬送する。ユーザは、容器取出部82を介して、当該薬剤容器14を回収して薬剤を補充することができる。また、薬剤容器配置部13や保持アーム部16にリーダライタ部を設け、このリーダライタ部が、薬剤容器14の情報タグに記憶される薬剤の重量に関するデータを読み取る構成としても良い。このリーダライタ部が取得したデータに基づいて、当該薬剤容器14に収容されている薬剤の量が調剤処理に必要な量に対して不足する場合に、制御装置95は容器搬送部15を制御して、当該薬剤容器14を容器取出部82へ搬送することができる。
【0113】
本実施形態では、図5に示すように、制御装置95は、薬剤排出部21にセットされている薬剤容器14を薬剤容器保管部11に直接的に戻させる制御と、調剤処理に必要な量の薬剤が収容されていない薬剤容器14を容器取出部82に搬送させる制御と、を行うことができる。本実施形態では第2計測部56が省略されているので、薬剤供給装置2は、薬剤排出部21に配置された第1計測部55の計測結果に基づいて調剤処理を行う。
【0114】
以上に説明したように、上記実施形態の薬剤供給装置1,2は、薬剤容器保管部11と、清掃材容器保管部61と、薬剤排出部21と、容器搬送部15と、を備える。薬剤容器保管部11は、薬剤を収容した薬剤容器14が複数保管される。清掃材容器保管部61は、薬剤容器保管部11とは別に設けられており、清掃材を収容した清掃材容器64が保管される。薬剤排出部21は、薬剤容器14又は清掃材容器64を選択的にセット可能であり、セットされた容器内の薬剤又は清掃材を排出する。容器搬送部15は、薬剤容器保管部11と薬剤排出部21との間での薬剤容器14の搬送と、清掃材容器保管部61と薬剤排出部21との間での清掃材容器64の搬送とを行うことができる。
【0115】
これにより、薬剤容器14と清掃材容器64とが個別に保管されるので、清掃材容器64に適した位置又は態様で清掃材容器64を保管できる。
【0116】
また、上記実施形態の薬剤供給装置1,2においては、清掃材容器保管部61に保管される清掃材容器64は、薬剤容器保管部11に保管される薬剤容器14よりも薬剤排出部21に近い位置に配置される。
【0117】
これにより、清掃材容器64を薬剤排出部21まで搬送するために掛かる時間が短くなるので、清掃を短時間で行うことができる。
【0118】
また、上記実施形態の薬剤供給装置1,2において、薬剤容器保管部11は、薬剤容器14を配置する薬剤容器配置部13の位置を変更した後に容器搬送部15との薬剤容器14の受け渡しを行う。清掃材容器保管部61は、清掃材容器64を配置する清掃材容器配置部63の位置を変更することなく容器搬送部15との間で清掃材容器64の受け渡しを行う。
【0119】
一般的に、薬剤容器14は種類が多いのに対して清掃材容器64は種類が少ないので、清掃材容器64では、清掃材容器配置部63の位置を変更する利点を享受しにくい。一方で、清掃材容器配置部63の位置を変更しないことにより、清掃を短時間で行うことができる。
【0120】
また、上記実施形態の薬剤供給装置1,2において、清掃材容器保管部61に保管される清掃材容器64は、薬剤容器保管部11に保管される薬剤容器14よりも装置前面側に近い位置に配置される。
【0121】
これにより、ユーザが清掃材容器64に容易にアクセスできるので、例えば清掃材の補充等を手間なく行うことができる。
【0122】
以上に本発明の好適な実施の形態を説明したが、上記の構成は例えば以下のように変更することができる。
【0123】
薬剤排出部21は、2つに限定されず、1つ又は3つ以上であってもよい。
【0124】
薬剤容器保管部11が回転する動作と、容器搬送部15が薬剤容器保管部11と薬剤排出部21との間で移動する動作(以下、移動動作という)との間に、時間的な重なりが無くても良い。
【0125】
第1吸引部52の第1吸引動作及び第2吸引部53の第2吸引動作のうち少なくとも何れかと、容器搬送部15の移動動作との間に、時間的な重なりが無くても良い。また、第1吸引部52及び第2吸引部53のうち少なくとも何れかを省略することもできる。
【0126】
薬剤取出部35の取出動作と、容器搬送部15の移動動作との間に、時間的な重なりが無くても良い。
【0127】
上記の実施形態では、保持アーム部16は、電磁力を利用して、薬剤容器14及び清掃材容器64を保持/解放している。しかしながら、保持アーム部16の先端部に例えばハンドを設け、当該ハンドによって薬剤容器14及び清掃材容器64の機械的な保持/解放を行っても良い。
【0128】
保持アーム部16を移動させる必要がない場合に、制御装置95は、所定の待機位置に保持アーム部16を位置させておく制御を行っても良い。
【0129】
分配皿31の数は、薬剤排出部21の数を考慮して適宜変更することができる。例えば、4~6つの薬剤排出部21が設けられる場合、2~3の薬剤排出部21から排出される薬剤を受け止める分配皿を2つ設けることができる。
【0130】
薬剤分包装置に、調剤処理の異常をユーザに報知するための報知部を設けても良い。薬剤排出部21にセットされた薬剤容器14がユーザにより指定された薬剤を収容している薬剤容器14であると確認できない場合、制御装置95は、報知部を介してその旨をユーザに報知しても良い。調剤処理に必要な量の薬剤を確認することができない場合、また、第1計測部55と第2計測部56の計測結果が一致しない場合等においても、報知部を動作させることができる。報知部の構成は特に限定されず、例えば、ブザー又はランプとすることができる。
【0131】
薬剤排出部21にセットされた薬剤容器14がユーザにより指定された薬剤を収容している薬剤容器14であると確認できない場合、制御装置95は容器搬送部15に、当該薬剤容器14を薬剤容器保管部11へ搬送させても良い。薬剤容器14に収容されている薬剤の量が調剤処理に必要な量に対して不足する場合も同様である。
【0132】
上記の実施形態では、薬剤排出部21にセットされている薬剤容器14内に調剤処理に必要な量の薬剤が収容されているか否かについて、制御装置95は、情報タグに記憶されている重量データに基づいて判定を行っている。しかしながら、制御装置95は、第1計測部55の計測結果に基づいて判定しても良い。
【0133】
第2リーダライタ部75は、読取専用の装置(リーダ装置)に変更しても良い。この場合、薬剤容器保管部11に戻す薬剤容器14の情報タグには、第2計測部56の計測結果に関するデータではなく、第1計測部55の計測結果に関するデータが記憶される。
【0134】
上記実施形態の容器搬送部15は、保持アーム部16及び搬送動作機構17を備える構成である。これに代えて、容器搬送部15は、保持アーム部16及び搬送動作機構17とは異なる部材で構成されており、この異なる部材を用いて、清掃材容器64を清掃材容器配置部63から受け取ったり、清掃材容器64を清掃材容器配置部63に受け渡したりしても良い。
【0135】
上記実施形態では、清掃材容器64を薬剤供給装置1の外部に取り出して清掃材を充填する。これに代えて、筐体5に開口を設け、この開口から投入される清掃材がシュート等を介して清掃材容器64に導入されるようにして、清掃材容器64に清掃材を充填するようにしても良い。
【符号の説明】
【0136】
1 薬剤供給装置
11 薬剤容器保管部
13 薬剤容器配置部
14 薬剤容器
21 薬剤排出部
61 清掃材容器保管部
63 清掃材容器配置部
64 清掃材容器
図1
図2
図3
図4
図5