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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023072738
(43)【公開日】2023-05-25
(54)【発明の名称】情報処理システムおよび情報処理装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 13/10 20060101AFI20230518BHJP
   G06F 3/00 20060101ALI20230518BHJP
   G06F 1/26 20060101ALI20230518BHJP
   G06F 13/14 20060101ALI20230518BHJP
【FI】
G06F13/10 310A
G06F3/00 A
G06F1/26 306
G06F13/14 330B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021185349
(22)【出願日】2021-11-15
(71)【出願人】
【識別番号】518133201
【氏名又は名称】富士通クライアントコンピューティング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002918
【氏名又は名称】弁理士法人扶桑国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 茂樹
【テーマコード(参考)】
5B011
【Fターム(参考)】
5B011EA02
5B011EB06
(57)【要約】
【課題】デバイス登録時の誤動作の防止を図る。
【解決手段】情報処理システム1-1は、情報処理装置1、2を有する。情報処理装置2は、制御部2a、通信デバイス群A0およびデバイス群B0を備える。デバイス群B0は、複数のデバイスとしてデバイスb1、b2を含む。通信デバイス群A0は、情報処理装置1とデバイスb1、b2との通信インタフェースを行う通信デバイスa1および情報処理装置1とネットワークとの通信インタフェースを行う通信デバイスa2を含む。制御部2aは、情報処理装置1が情報処理装置2に接続されたことを検出した場合に、通信デバイス群A0に含まれる通信デバイスa1、a2を順に有効化し、通信デバイス群A0の有効化の後にデバイス群B0に含まれるデバイスb1、b2を順に有効化する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の情報処理装置と、
複数のデバイスを含むデバイス群と、前記第1の情報処理装置と前記デバイスとの通信インタフェースおよび前記第1の情報処理装置とネットワークとの通信インタフェースを行う複数の通信デバイスを含む通信デバイス群と、前記第1の情報処理装置が自装置に接続されたことを検出した場合に、前記通信デバイス群に含まれる前記通信デバイスを順に有効化し、前記通信デバイス群の有効化の後に前記デバイス群に含まれる前記デバイスを順に有効化する制御部と、を備える第2の情報処理装置と、
を有する情報処理システム。
【請求項2】
前記制御部は、
前記通信デバイス群に第1の通信デバイスおよび第2の通信デバイスが含まれ、前記デバイス群に第1のデバイスおよび第2のデバイスが含まれる場合、
前記第1の通信デバイスに第1の電源電圧を供給して前記第1の通信デバイスを有効化し、前記第1の通信デバイスが有効化状態になってから第1の遅延時間の経過後に前記第2の通信デバイスに第2の電源電圧を供給して前記第2の通信デバイスを有効化し、
前記第2の通信デバイスが有効化状態になってから第2の遅延時間の経過後に前記第1のデバイスに第3の電源電圧を供給して前記第1のデバイスを有効化し、前記第1のデバイスが有効化状態になってから第3の遅延時間の経過後に前記第2のデバイスに第4の電源電圧を供給して前記第2のデバイスを有効化する、
請求項1記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記制御部は、
前記通信デバイス群に第1の通信デバイスおよび第2の通信デバイスが含まれ、前記デバイス群に第1のデバイスおよび第2のデバイスが含まれる場合、
前記第1の通信デバイスに第1のイネーブル信号を送信して前記第1の通信デバイスを有効化し、前記第1の通信デバイスが有効化状態になってから第1の遅延時間の経過後に前記第2の通信デバイスに第2のイネーブル信号を送信して前記第2の通信デバイスを有効化し、
前記第2の通信デバイスが有効化状態になってから第2の遅延時間の経過後に前記第1のデバイスに第3のイネーブル信号を送信して前記第1のデバイスを有効化し、前記第1のデバイスが有効化状態になってから第3の遅延時間の経過後に前記第2のデバイスに第4のイネーブル信号を送信して前記第2のデバイスを有効化する、
請求項1記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記制御部は、
前記通信デバイス群に第1の通信デバイスおよび第2の通信デバイスが含まれ、前記デバイス群に第1のデバイスおよび第2のデバイスが含まれる場合、
前記第1の通信デバイスに第1のイネーブル信号を送信して前記第1の通信デバイスを有効化し、前記第1の通信デバイスから送信される第1の有効化完了信号を受信した場合に前記第2の通信デバイスに第2のイネーブル信号を送信して前記第2の通信デバイスを有効化し、
前記第2の通信デバイスから送信される第2の有効化完了信号を受信した場合に前記第1のデバイスに第3のイネーブル信号を送信して前記第1のデバイスを有効化し、前記第1のデバイスから送信される第3の有効化完了信号を受信した場合に前記第2のデバイスに第4のイネーブル信号を送信して前記第2のデバイスを有効化する、
請求項1記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記制御部は、前記第1の情報処理装置が前記第2の情報処理装置に接続したことを検出した場合、前記第2の情報処理装置に備えられる前記通信デバイスおよび前記デバイスそれぞれを特定するためのデバイス情報を前記第1の情報処理装置に通知し、
前記第1の情報処理装置に備えられるホスト側制御部は、前記デバイス情報にもとづいて有効化の処理の優先順位を認識し、前記優先順位にもとづいて有効化すべき前記通信デバイスまたは前記デバイスを前記制御部に指定し、
前記制御部は、前記第1の情報処理装置から指定された前記通信デバイスまたは前記デバイスを有効化し、
前記ホスト側制御部は、有効化された前記通信デバイスまたは前記デバイスを登録し、前記第2の情報処理装置に備えられるすべての前記通信デバイスおよび前記デバイスを登録するまで、前記優先順位にもとづいて有効化すべき前記通信デバイスまたは前記デバイスを前記制御部に指定する、
請求項1記載の情報処理システム。
【請求項6】
複数のデバイスを含むデバイス群と、
対向情報処理装置と前記デバイスとの通信インタフェースおよび前記対向情報処理装置とネットワークとの通信インタフェースを行う複数の通信デバイスを含む通信デバイス群と、
前記対向情報処理装置が自装置に接続されたことを検出した場合に、前記通信デバイス群に含まれる前記通信デバイスを順に有効化し、前記通信デバイス群の有効化の後に前記デバイス群に含まれる前記デバイスを順に有効化する制御部と、
を有する情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システムおよび情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、タブレット型PC(Personal Computer)等の情報処理端末に対して、クレードル(cradle)と呼ばれる拡張機器を接続して、外部との通信やバッテリの充電/給電等を行うケースが増えている。
【0003】
情報処理端末をクレードルに接続することで、デバイスとして例えば、音声デバイス、映像デバイス、外部機器接続ポート(USB(Universal Serial Bus)機器接続用ポート等)、Ethernet(登録商標)用ポート等がクレードルから提供される。
【0004】
また、これらのデバイスは、情報処理端末のOS(Operating System)配下での有効化処理により有効化状態(アクティブ化の状態)に遷移した後に、情報処理端末に登録(インストール・ロード)される。
【0005】
関連技術としては、例えば、自装置が他の電子機器に物理的に接続して接続端子の電圧変化を検出した場合、電源から他の電子機器への電力供給を開始する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2019-040239号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のような、クレードル内のデバイスを情報処理端末に登録する際には、従前では、複数のデバイスに対して一度の有効化処理が行われている。しかし、一度の有効化処理によって複数のデバイスの登録が行われる場合、OS側では例えば、実際は有効化になっていないデバイスを有効化になっていると誤認識してしまう可能性があり、デバイス登録時に誤動作を引き起こすという問題がある。
【0008】
1つの側面では、本発明は、複数のデバイスに対してデバイスごとに有効化処理を行って、デバイス登録時の誤動作の防止を図った情報処理システムおよび情報処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、情報処理システムが提供される。情報処理システムは、第1の情報処理装置と、複数のデバイスを含むデバイス群と、第1の情報処理装置とデバイスとの通信インタフェースおよび第1の情報処理装置とネットワークとの通信インタフェースを行う複数の通信デバイスを含む通信デバイス群と、第1の情報処理装置が自装置に接続されたことを検出した場合に、通信デバイス群に含まれる通信デバイスを順に有効化し、通信デバイス群の有効化の後にデバイス群に含まれるデバイスを順に有効化する制御部と、を備える第2の情報処理装置とを有する。
また、上記課題を解決するために、上記第2の情報処理装置と同様の制御を実行する情報処理装置が提供される。
【発明の効果】
【0010】
1側面によれば、デバイス登録時の誤動作の防止が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1の実施の形態の情報処理システムの一例を説明するための図である。
図2】第2の実施の形態の情報処理システムの構成の一例を示す図である。
図3】有効化処理の動作の一例を示す図である。
図4】電源電圧のタイムチャートの一例を示す図である。
図5】有効化処理の動作の一例を示す図である。
図6】イネーブル信号のタイムチャートの一例を示す図である。
図7】有効化処理の動作の一例を示す図である。
図8】イネーブル信号および有効化完了信号のタイムチャートの一例を示す図である。
図9】有効化完了信号の生成の一例を示す図である。
図10】情報処理システムの構成の一例を示す図である。
図11】有効化処理の動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本実施の形態について図面を参照して説明する。
[第1の実施の形態]
図1は第1の実施の形態の情報処理システムの一例を説明するための図である。情報処理システム1-1は、情報処理装置1と情報処理装置2を有する。情報処理装置2は、制御部2a、通信デバイス群A0およびデバイス群B0を備える。
【0013】
デバイス群B0は、複数のデバイスとしてデバイスb1、b2を含む。通信デバイス群A0は、情報処理装置1とデバイスb1、b2との通信インタフェースを行う通信デバイスa1、および情報処理装置1とネットワークとの通信インタフェースを行う通信デバイスa2を含む。
【0014】
〔ステップS1〕制御部2aは、情報処理装置1が情報処理装置2に接続されたことを検出する。
〔ステップS2〕制御部2aは、通信デバイス群A0に含まれる通信デバイスa1を有効化する。
〔ステップS3〕制御部2aは、通信デバイスa1の有効化の後に、通信デバイスa2を有効化する。なお、通信デバイス群A0に含まれる通信デバイスa1、a2の有効化の順序は順不同であり、通信デバイスa2、a1の順に有効化してもよい。
【0015】
〔ステップS4〕制御部2aは、通信デバイス群A0の有効化の後に、デバイス群B0に含まれるデバイスb1を有効化する。
〔ステップS5〕制御部2aは、デバイスb1の有効化の後に、デバイスb2を有効化する。なお、デバイス群B0に含まれるデバイスb1、b2の有効化の順序は順不同であり、デバイスb2、b1の順に有効化してもよい。また、通信デバイスa1、a2およびデバイスb1、b2が有効化されると、有効化状態になった通信デバイスa1、a2およびデバイスb1、b2が情報処理装置1に登録される。
【0016】
このように、情報処理システム1-1では、情報処理装置2が情報処理装置1に接続されたことを検出した場合に、通信デバイス群A0に含まれる通信デバイスa1、a2を順に有効化し、通信デバイス群A0の有効化の後にデバイス群B0に含まれるデバイスb1、b2を順に有効化する。これにより、複数の通信デバイスおよび複数のデバイスのそれぞれに対して、個々の有効化処理の完了後に次の有効化処理を行うので、デバイス登録時の誤動作の防止が可能になる。
【0017】
[第2の実施の形態]
<システム構成>
図2は第2の実施の形態の情報処理システムの構成の一例を示す図である。情報処理システム1-2は、情報処理装置10と情報処理装置20を備える。情報処理装置10は、例えば、PC本体であり、情報処理システム1-2のホストとなる。情報処理装置20は、情報処理装置10の拡張機器であり、例えば、コネクタ規格がType-Cのクレードルに相当する。
【0018】
情報処理装置20は、制御部21、記憶部22、通信デバイス群Aおよびデバイス群Bを有する。制御部21は、HUB21a、マイコン(microcomputer)21bおよびイネーブル制御回路21cを含む。通信デバイス群Aは、通信デバイスとして、HUB3a1およびLAN(Local Area Network)インタフェース部3a2を含み、デバイス群Bは、デバイスとして、オーディオ3b1、通信ポート3b2、3b3を含む。なお、HUB21a、3a1は、例えば、USB3.0 Super-Speed対応のSUPER SPEED HUBに相当する。
【0019】
HUB21aは、情報処理装置10と通信デバイス群A内のHUB3a1およびLANインタフェース部3a2とを接続して情報処理装置10と情報処理装置20間の通信インタフェースを行う。マイコン21bは、情報処理装置20の運用制御を行う。記憶部22は、運用制御に伴うデータを記憶する。
【0020】
イネーブル制御回路21cは、通信デバイス群A内のHUB3a1とLANインタフェース部3a2、およびデバイス群B内のオーディオ3b1と通信ポート3b2、3b3の有効化(アクティブ化)またはリセット解除の処理を行う。
【0021】
HUB3a1は、情報処理装置10とデバイス群B内のオーディオ3b1と通信ポート3b2、3b3を接続して情報処理装置10とデバイス群B内の各デバイス間の通信インタフェースを行う。
【0022】
LANインタフェース部3a2は、情報処理装置10と外部ネットワークのLANとを接続する通信インタフェースを行う。オーディオ3b1は、音声の入出力制御を行う。通信ポート3b2、3b3は、例えば、USBメモリ等の外部ストレージと接続するポートであり、この場合、USBメモリに対してデータの入出力を行うポートとなる。
【0023】
<動作例#1>
図3は有効化処理の動作の一例を示す図である。なお、以降の説明では、通信デバイス群Aに含まれる通信デバイスおよびデバイス群Bに含まれるデバイスを総称する際は、デバイス機器と呼ぶ場合がある。
〔ステップS11〕情報処理装置10が情報処理装置20のHUB21aに接続される。
〔ステップS12〕マイコン21bは、HUB21aに情報処理装置10が接続されたことを示す検出信号s0をイネーブル制御回路21cに出力する。
【0024】
〔ステップS13〕イネーブル制御回路21cは、検出信号s0を受信すると、通信デバイス群A内のHUB3a1とLANインタフェース部3a2に電源電圧v1、v2を供給して、HUB3a1とLANインタフェース部3a2を稼働状態にして有効化する。なお、HUB3a1とLANインタフェース部3a2に対する電源電圧v1、v2の供給順序(HUB3a1とLANインタフェース部3a2の有効化順序)は順不同である。
【0025】
〔ステップS14〕イネーブル制御回路21cは、通信デバイス群Aの有効化の後に、デバイス群B内のオーディオ3b1および通信ポート3b2、3b3に電源電圧v3、v4、v5をそれぞれ供給し、オーディオ3b1および通信ポート3b2、3b3を稼働状態にして有効化する。なお、オーディオ3b1および通信ポート3b2、3b3に対する電源電圧v3、v4、v5の供給順序(オーディオ3b1および通信ポート3b2、3b3の有効化順序)は順不同である。
【0026】
〔ステップS15〕情報処理装置10は、情報処理装置20内のデバイス機器(HUB3a1、LANインタフェース部3a2、オーディオ3b1および通信ポート3b2、3b3)が有効化した順に、有効化状態になったデバイス機器を認識して、自装置に該デバイス機器の識別情報(デバイスに付されているIDや型名等)を登録する。
【0027】
図4は電源電圧のタイムチャートの一例を示す図である。ここでは、HUB3a1、LANインタフェース部3a2、オーディオ3b1、通信ポート3b2、通信ポート3b3の順番に電源電圧v1-v5がそれぞれ供給されるものとする。
【0028】
〔時刻t1〕マイコン21bは、HUB21aに情報処理装置10が接続されたことを検出すると、Hレベル(高電位レベル)の検出信号s0をイネーブル制御回路21cに出力する。
〔時刻t2〕イネーブル制御回路21cは、検出信号s0を受信すると、HUB3a1にHレベルの電源電圧v1を供給する。
〔時刻t3〕イネーブル制御回路21cは、時刻t2から遅延時間d1の経過後にLANインタフェース部3a2にHレベルの電源電圧v2を供給する。
【0029】
〔時刻t4〕イネーブル制御回路21cは、時刻t3から遅延時間d2の経過後にオーディオ3b1にHレベルの電源電圧v3を供給する。
〔時刻t5〕イネーブル制御回路21cは、時刻t4から遅延時間d3の経過後に通信ポート3b2にHレベルの電源電圧v4を供給する。
〔時刻t6〕イネーブル制御回路21cは、時刻t5から遅延時間d4の経過後に通信ポート3b3にHレベルの電源電圧v5を供給する。
【0030】
上記のように、イネーブル制御回路21cは、検出信号s0を受信すると、HUB3a1、LANインタフェース部3a2、オーディオ3b1、通信ポート3b2、通信ポート3b3の順番に電源電圧v1-v5を所定の遅延時間で供給していく。なお、図中に示した遅延時間d1-d4の値については、各デバイス機器の初期化の時間にはばらつきがあるため、イネーブル制御回路21cはデバイス機器ごとにユニークな遅延時間の値を設定する。
【0031】
以上説明したように、情報処理装置20は、情報処理装置10の接続を検出すると、電源電圧を所定の遅延時間の経過後に通信デバイス群A内の通信デバイスおよびデバイス群B内のデバイスに供給して、通信デバイス群A内の通信デバイスからデバイス群B内のデバイスの順に有効化状態に遷移させる。これにより、有効化状態になるまでに要する時間が異なるデバイス機器ごとに確実に有効化処理が行われて順に有効化状態に遷移させることができるので、デバイス機器の登録時の誤動作を防止することができる。
【0032】
<動作例#2>
デバイス機器によっては電源シーケンスに制約があり電源電圧による有効化処理の実施が困難な場合がある。このような装置に対してはイネーブル信号を使用して有効化処理を行う。図5は有効化処理の動作の一例を示す図である。
【0033】
〔ステップS21〕情報処理装置10が情報処理装置20のHUB21aに接続される。
〔ステップS22〕マイコン21bは、HUB21aに情報処理装置10が接続されたことを示す検出信号s0をイネーブル制御回路21cに出力する。
【0034】
〔ステップS23〕イネーブル制御回路21cは、検出信号s0を受信すると、通信デバイス群A内のHUB3a1とLANインタフェース部3a2にイネーブル信号e1、e2をそれぞれ送信して、HUB3a1とLANインタフェース部3a2を有効化する。なお、HUB3a1とLANインタフェース部3a2に対するイネーブル信号e1、e2の送信順序(HUB3a1とLANインタフェース部3a2の有効化順序)は順不同である。
【0035】
〔ステップS24〕イネーブル制御回路21cは、通信デバイス群Aの有効化の後に、デバイス群B内のオーディオ3b1にイネーブル信号e3を送信し、オーディオ3b1を有効化する。なお、上記ではイネーブル信号によって有効化処理を行ったが、デバイス機器によってはイネーブル信号ではなくリセット信号に置き換えて制御することも可能である。
【0036】
〔ステップS25〕情報処理装置10は、情報処理装置20内のデバイス機器(HUB3a1、LANインタフェース部3a2およびオーディオ3b1)が有効化した順にデバイス機器を認識して、自装置に該デバイス機器の識別情報を登録する。
【0037】
図6はイネーブル信号のタイムチャートの一例を示す図である。ここでは、HUB3a1、LANインタフェース部3a2、オーディオ3b1の順番にイネーブル信号e1-e3がそれぞれ送信されるものとする。
【0038】
〔時刻t11〕マイコン21bは、HUB21aに情報処理装置10が接続されたことを検出すると、Hレベルの検出信号s0をイネーブル制御回路21cに出力する。
〔時刻t12〕イネーブル制御回路21cは、検出信号s0を受信すると、HUB3a1にHレベルのイネーブル信号e1を送信する。
【0039】
〔時刻t13〕イネーブル制御回路21cは、時刻t12から遅延時間d11の経過後にLANインタフェース部3a2にHレベルのイネーブル信号e2を送信する。
〔時刻t14〕イネーブル制御回路21cは、時刻t13から遅延時間d12の経過後にオーディオ3b1にHレベルのイネーブル信号e3を送信する。
【0040】
上記のように、イネーブル制御回路21cは、検出信号s0を受信すると、HUB3a1、LANインタフェース部3a2およびオーディオ3b1の順番にイネーブル信号e1-e3を所定の遅延時間で送信していく。図中に示した遅延時間d11、d12の値については、各デバイス機器の初期化の時間にはばらつきがあるため、イネーブル制御回路21cはデバイス機器ごとにユニークな値を設定する。
【0041】
以上説明したように、情報処理装置20は、情報処理装置10の接続を検出すると、イネーブル信号を所定の遅延時間の経過後に通信デバイス群A内の通信デバイスおよびデバイス群B内のデバイスに送信して、通信デバイス群A内の通信デバイスからデバイス群B内のデバイスの順に有効化状態に遷移させる。これにより、有効化状態になるまでに要する時間が異なるデバイス機器ごとに確実に有効化処理が行われて順に有効化状態に遷移させることができるので、デバイス機器の登録時の誤動作を防止することができる。
【0042】
<動作例#3>
図7は有効化処理の動作の一例を示す図である。
〔ステップS31〕情報処理装置10が情報処理装置20のHUB21aに接続される。
〔ステップS32〕マイコン21bは、HUB21aに情報処理装置10が接続されたことを示す検出信号s0をイネーブル制御回路21cに出力する。
【0043】
〔ステップS33〕イネーブル制御回路21cは、検出信号s0を受信すると、通信デバイス群A内のHUB3a1にイネーブル信号e1を送信して、HUB3a1を有効化する。また、HUB3a1は、自身の有効化が完了すると、有効化完了信号e1aをイネーブル制御回路21cに送信する。
【0044】
〔ステップS34〕イネーブル制御回路21cは、有効化完了信号e1aを受信すると、通信デバイス群A内のLANインタフェース部3a2にイネーブル信号e2を送信して、LANインタフェース部3a2を有効化する。また、LANインタフェース部3a2は、自身の有効化が完了すると、有効化完了信号e2aをイネーブル制御回路21cに送信する。なお、ステップS33、S34において、HUB3a1とLANインタフェース部3a2に対するイネーブル信号e1、e2の送信順序は順不同である。
【0045】
〔ステップS35〕イネーブル制御回路21cは、有効化完了信号e2aの受信後に、デバイス群B内のオーディオ3b1にイネーブル信号e3を送信し、オーディオ3b1を有効化する。
【0046】
なお、デバイス群B内には、オーディオ3b1以外のメディアデバイスは存在しないので、オーディオ3b1からの有効化完了信号の送信は不要としている。また例えば、デバイス群Bに映像デバイスが含まれるような場合は、オーディオ3b1が有効化すると有効化完了信号がオーディオ3b1から出力され、映像デバイスが次に有効化されることになる。上記ではイネーブル信号によって有効化処理を行ったが、デバイス機器によってはイネーブル信号ではなくリセット信号に置き換えて制御することも可能である。
【0047】
〔ステップS36〕情報処理装置10は、情報処理装置20内の各デバイス(HUB3a1、LANインタフェース部3a2およびオーディオ3b1)の有効化を認識すると、自装置に該デバイスの識別情報を登録する。
【0048】
図8はイネーブル信号および有効化完了信号のタイムチャートの一例を示す図である。ここでは、HUB3a1、LANインタフェース部3a2、オーディオ3b1の順番に有効化されるものとする。
【0049】
〔時刻t21〕マイコン21bは、HUB21aに情報処理装置10が接続されたことを検出すると、Hレベルの検出信号s0をイネーブル制御回路21cに出力する。
〔時刻t22〕イネーブル制御回路21cは、検出信号s0を受信すると、HUB3a1にHレベルのイネーブル信号e1を送信する。
〔時刻t23〕HUB3a1は、有効化が完了すると、Hレベルの有効化完了信号e1aをイネーブル制御回路21cに送信する。
【0050】
〔時刻t24〕イネーブル制御回路21cは、有効化完了信号e1aを受信すると、LANインタフェース部3a2にHレベルのイネーブル信号e2を送信する。
〔時刻t25〕LANインタフェース部3a2は、有効化が完了すると、Hレベルの有効化完了信号e2aをイネーブル制御回路21cに送信する。
〔時刻t26〕イネーブル制御回路21cは、有効化完了信号e2aを受信すると、オーディオ3b1にHレベルのイネーブル信号e3を送信する。
【0051】
図9は有効化完了信号の生成の一例を示す図である。各デバイス機器では、自身が有効化になったことを検知する回路として、図9に示すようなD型フリップフロップIC1を備えることができる。
【0052】
D型フリップフロップIC1のデータ入力端子Dには電源VCCが接続される。D型フリップフロップIC1のクロック入力端子にはステータス信号が入力され、リセット端子Rにはリセット信号が入力される。また、出力端子Qから有効化完了信号が出力される。
【0053】
ステータス信号は、各デバイス機器が有効化になった場合に、自デバイス機器から出力される信号のことである。例えば、HUB3a1には、自身が有効化状態になると、情報処理装置20に備えられるLED(Light Emitting Diode)を制御するためのパルス状のLED信号を出力するものがあり、このLED信号をステータス信号に使用することができる。
【0054】
ここで、HUB3a1が有効化状態になると、LED信号がステータス信号としてD型フリップフロップIC1のクロック入力端子に入力する。これにより、LED信号の立ち上がりエッジによって電源VCCのHレベルが保持され、Hレベルの有効化完了信号が出力される。また、情報処理装置20が情報処理装置10から取り外された場合は、各デバイス機器から出力されるリセット信号がアクティブになり、D型フリップフロップIC1が初期化されて有効化完了信号の出力が停止する(Lレベル(低電位レベル)出力となる)。
【0055】
上記では、有効化になったことを検知する回路を設けたが、デバイス機器が有している任意にプログラム可能なGPIO(General Purpose Input Output)を用いてデバイス機器が有効化になったことを示す有効化完了信号を生成することもできる(ドライバのカスタマイズで対応可能)。
【0056】
上記のように、情報処理装置20は、情報処理装置10の接続を検出すると、イネーブル信号および有効化完了信号にもとづいて、通信デバイス群A内の通信デバイスからデバイス群B内のデバイスの順に有効化状態に遷移させる。これにより、有効化状態になるまでに要する時間が異なるデバイス機器ごとに確実に有効化処理が行われて順に有効化状態に遷移させることができるので、デバイス機器の登録時の誤動作を防止することができる。
【0057】
[第3の実施の形態]
<システム構成>
図10は情報処理システムの構成の一例を示す図である。情報処理システム1-3は、情報処理装置10aおよび情報処理装置20を備える。情報処理装置10aは、制御部11(ホスト側制御部)および記憶部12を備える。また、制御部11は、エンベデッドコントローラ11a、BIOS(Basic Input Output System)11b、仮想ドライバ11c、アプリケーション11dおよびデバイスマネージャ11eの各種のソフトウェアまたはファームウェアを含む。なお、情報処理装置20の内部構成は図2と同じである。
【0058】
情報処理システム1-3における有効化処理の動作について、以下の(1)から(8)により説明する。
(1)情報処理装置20のマイコン21bおよび情報処理装置10aのエンベデッドコントローラ11aは、Type-CインタフェースのCC(Configuration Channel)通信を用いてデバイス管理に関する情報のやり取りを行う。
(2)情報処理装置20に搭載されているデバイス機器を特定するデバイス情報(デバイス機器の種類、デバイス機器名、ID、稼働させる順番等)は、記憶部22が格納している。
【0059】
(3)情報処理装置10aと情報処理装置20が接続すると、記憶部22に記憶されているデバイス情報がCC通信を通じて情報処理装置10aに通知される。情報処理装置10aに通知されたデバイス情報は、アプリケーション11dまたは記憶部12に記憶される。
【0060】
(4)最初に有効化するデバイス機器がアプリケーション11dで認識される。情報処理装置20内のデバイス機器が有効化状態になると、有効化状態になったデバイス機器のデバイス情報がデバイスマネージャ11eに登録される。
アプリケーション11dは、デバイスマネージャ11eにアクセスして、現在どのデバイス機器が登録されているかを認識し、次に有効化すべきデバイス機器を検出する。なお、デバイス機器の有効化の順序は、上述のように、通信デバイス群Aに対して優先的に有効化処理が行われ、通信デバイス群Aが有効化状態になった後にデバイス群Bに有効化処理が行われる。
【0061】
(5)アプリケーション11dは、仮想ドライバ11cとBIOS11bを経由して、エンベデッドコントローラ11aに対して、次に有効化すべきデバイス機器のデバイス情報を通知して次のデバイス機器の有効化(またはリセット解除)を指示する。
(6)エンベデッドコントローラ11aは、CC通信を通じて情報処理装置20のマイコン21bに次のデバイス機器の有効化指示を通知する。
【0062】
(7)マイコン21bは、イネーブル制御回路21cに対して、次のデバイス機器の有効化指示を与える。次のデバイス機器の有効化処理が行われると、有効化状態になったデバイス機器のデバイス情報がデバイスマネージャ11eに登録される。
(8)上記の手順が最終のデバイス機器まで繰り返されて、アプリケーション11dが最終デバイス機器をデバイスマネージャ11eに登録したことを認識すると有効化処理は終了する。
【0063】
図11は有効化処理の動作の一例を示すフローチャートである。
〔ステップS41〕情報処理装置20に情報処理装置10aが接続される。
〔ステップS42〕情報処理装置10aの制御部11は、CC通信を用いて、情報処理装置20にデバイス情報を要求する。
〔ステップS43〕情報処理装置20の制御部21は、CC通信を用いて、情報処理装置10aにデバイス情報を返信する。
【0064】
〔ステップS44〕制御部11は、デバイス情報にもとづいて、有効化処理の優先順位が1番目のデバイス機器(デバイス番号1のデバイス機器)を認識し、有効化すべきデバイス機器を指定する。
〔ステップS45〕制御部11は、デバイス番号nで指定されたデバイス機器の有効化(またはリセット解除)を情報処理装置20に対して指示する。
【0065】
〔ステップS46〕制御部21は、デバイス番号nで指定されたデバイス機器の有効化(またはリセット解除)を行う。
〔ステップS47〕制御部11は、割込み監視を行って、有効化すべき新規のデバイス機器がデバイスマネージャ11eに設定されているか否かを判定する。有効化すべき新規のデバイス機器が設定されている場合はステップS48に処理が進み、設定されていない場合はステップS47の処理を繰り返す。
【0066】
〔ステップS48〕制御部11は、有効化すべき新規のデバイス機器がデバイス番号nのデバイス機器であるか否かを判定する。デバイス番号nのデバイス機器の場合はステップS49に処理が進み、デバイス番号nのデバイス機器でない場合はステップS47に処理が戻る。
【0067】
〔ステップS49〕制御部11は、デバイス番号nのデバイス機器が有効化すべき最後のデバイス機器であるか否かを判定する。最後のデバイス機器の場合は処理を終了し、最後のデバイス機器でない場合はステップS50に処理が進む。
〔ステップS50〕制御部11は、次の優先順位のデバイス機器を指定する(デバイス番号n(=n+1)のデバイス機器を指定する)。ステップS45に処理が戻る。
【0068】
上記のように、情報処理装置10aからの指示にもとづき、情報処理装置20が通信デバイス群A内の通信デバイスおよびデバイス群B内のデバイスの有効化処理を行って順に有効化状態に遷移させ、情報処理装置10aは、有効化状態に遷移した通信デバイス群A内の通信デバイスおよびデバイス群B内のデバイスを順に登録する。これにより、情報処理装置20による有効化処理および情報処理装置10aによる登録がデバイス機器ごとに確実に行われるので、デバイス機器の登録時の誤動作を防止することができる。
【0069】
以上、実施の形態を例示したが、実施の形態で示した各部の構成は同様の機能を有する他のものに置換することができる。また、他の任意の構成物や工程が付加されてもよい。さらに、前述した実施の形態のうちの任意の2以上の構成(特徴)を組み合わせたものであってもよい。
【符号の説明】
【0070】
1-1 情報処理システム
1、2 情報処理装置
2a 制御部
A0 通信デバイス群
B0 デバイス群
a1、a2 通信デバイス
b1、b2 デバイス
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11