(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023072753
(43)【公開日】2023-05-25
(54)【発明の名称】天井扇風機
(51)【国際特許分類】
F24F 8/80 20210101AFI20230518BHJP
A61L 9/12 20060101ALI20230518BHJP
F24F 13/26 20060101ALI20230518BHJP
F24F 8/24 20210101ALI20230518BHJP
F24F 8/15 20210101ALI20230518BHJP
【FI】
F24F8/80 130
A61L9/12
F24F13/26
F24F8/80 300
F24F8/24
F24F8/15
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021185373
(22)【出願日】2021-11-15
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】中垣 友哉
【テーマコード(参考)】
4C180
【Fターム(参考)】
4C180AA02
4C180AA07
4C180CA06
4C180DD11
4C180EA54X
4C180HH01
4C180HH05
4C180KK03
4C180LL06
4C180LL11
4C180LL20
(57)【要約】
【課題】天井扇風機が設置された天井から羽根部までの距離がどのような場合でも、目標吐出量を実現しつつ必要な回転数よりも大きいモータ回転数での回転が不要な天井扇風機を提供する。
【解決手段】天井扇風機Zは、天井1に係止可能な支柱部2と、支柱部2の下部に備えたモータ部3と、モータ部3により回転する羽根部4と、支柱部2の少なくとも一部を覆うケース部5と、ケース部5内で浄化物質を発生させる発生部と、ケース部5に設けられた吐出口6からケース部5外に吐き出される浄化物質を含む空気の流量を測定する流量測定部9と、制御部と、を備える。制御部は、羽根部4を回転させて、浄化物質を含む空気を吐出口6からケース部5外に吐き出すための誘引気流Yを発生させ、誘引気流Yにより吐き出される浄化物質の量を目標吐出量にするために、モータ回転数と浄化物質の発生量との少なくとも一方を制御する。これにより上記課題を解決するものである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
天井に係止可能な支柱部と、
前記支柱部の下部に備えたモータ部と、
前記モータ部により回転する羽根部と、
前記支柱部の少なくとも一部を覆うケース部と、
前記ケース部内で脱臭、消臭、殺菌の少なくとも一つの成分を有する浄化物質を発生させる発生部と、
前記ケース部に設けられた吐出口から前記ケース部外に吐き出される前記浄化物質を含む空気の流量を測定する流量測定部と、
前記モータ部と前記発生部とを制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記羽根部を回転させて、前記浄化物質を含む空気を前記吐出口から前記ケース部外に吐き出すための誘引気流を発生させ、
前記誘引気流により前記吐出口から吐き出される前記浄化物質の量を目標吐出量にするために、前記モータ部のモータ回転数と前記発生部による前記浄化物質の発生量との少なくとも一方を制御する天井扇風機。
【請求項2】
前記制御部は、
前記流量測定部により測定される測定流量が前記目標吐出量の実現に必要な流量である必要流量になるように、前記モータ回転数を制御する請求項1記載の天井扇風機。
【請求項3】
前記制御部は、
前記測定流量が前記必要流量よりも小さければ前記モータ回転数を大きくすることで、前記測定流量を前記必要流量にし、
前記測定流量が前記必要流量よりも大きければ前記モータ回転数を小さくすることで、前記測定流量を前記必要流量にする請求項2記載の天井扇風機。
【請求項4】
前記制御部は、
複数の前記目標吐出量と当該目標吐出量のそれぞれに対応する前記必要流量とを関連付けた第一テーブルを記憶する記憶部を備え、
前記目標吐出量と、前記第一テーブルとに基づいて前記必要流量を取得する請求項2または3に記載の天井扇風機。
【請求項5】
前記発生部は、
前記浄化物質の発生量を変更可能であり、
前記制御部は、
前記モータ部を設定されたモータ回転数で回転させることで前記誘引気流を発生させ、
前記発生部による前記浄化物質の発生量を、前記誘引気流により前記吐出口から吐き出される空気の流量で前記目標吐出量の実現に必要な浄化物質の発生量に制御する請求項1記載の天井扇風機。
【請求項6】
前記制御部は、
前記誘引気流により前記吐出口から吐き出される空気の流量が小さいほど、前記発生部による前記浄化物質の発生量を大きく制御する請求項5記載の天井扇風機。
【請求項7】
前記制御部は、
複数の前記目標吐出量と、複数の前記流量と、複数の前記目標吐出量の実現に必要な浄化物質の発生量とを関連付けた第二テーブルを記憶する記憶部を備え、
前記目標吐出量と、前記流量測定部により測定される流量と、前記第二テーブルと、に基づいて前記目標吐出量の実現に必要な浄化物質の発生量を取得し、
前記発生部による前記浄化物質の発生量を、取得した前記目標吐出量を実現するために必要な浄化物質の発生量に制御する請求項5または6に記載の天井扇風機。
【請求項8】
前記ケース部は、
上面に前記吐出口と連通する吸込口を備え、
前記吐出口は、
前記ケース部の側面または下面に設けられ、
前記制御部は、
前記モータ部を回転させることで、前記吸込口から前記吐出口に導かれる前記誘引気流を発生させる請求項1から7のいずれかに記載の天井扇風機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天井扇風機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、風を発生させるためのモータ部および羽根部と、放電生成物を発生させる放電生成物発生手段とを備え、風によって発生する気流を用いて、放電生成物を室内に拡散させる天井扇風機が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
天井扇風機は、設置される環境や使用者の設置希望条件等により、天井扇風機が係止された天井から天井扇風機の羽根部までの距離が変わる。天井から羽根部までの距離が変わると、モータ部の回転数が同じ場合でも放電生成物を誘引するための気流の大きさが変わり結果的に天井扇風機から室内に吐き出される放電生成物の吐出量が変わる。つまり、モータ部の回転数が同じ場合でも、天井扇風機の設置される環境や使用者の設置希望条件等によって、室内に吐き出される放電生成物の吐出量が変化してしまう。
【0005】
従来の天井扇風機においては、天井扇風機が係止された天井から天井扇風機の羽根部までの距離が設置される環境や使用者の設置希望条件等により異なるため、モータ部の回転数だけで放電生成物がどの程度吐き出されているのかを把握することができない。そのため、所定の放電生成物の目標吐出量を実現するためには、例えば天井扇風機が設置された天井から羽根部までの距離に関わらず、設定可能な最大回転数でモータ部の回転を行うことが考えられる。しかしこの場合、所定の目標吐出量の実現に必要な回転数よりも大きい回転数で回転させて無駄な消費電力が発生している可能性がある。
【0006】
そこで本発明は、上記従来の課題を解決するものであり、天井扇風機が係止された天井から羽根部までの距離がどのような場合であっても、目標吐出量を実現する天井扇風機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そして、この目的を達成するために、本発明に係る天井扇風機は、天井に係止可能な支柱部と、支柱部の下部に備えたモータ部と、モータ部により回転する羽根部と、支柱部の少なくとも一部を覆うケース部と、ケース部内で脱臭、消臭、殺菌の少なくとも一つの成分を有する浄化物質を発生させる発生部と、ケース部に設けられた吐出口からケース部外に吐き出される前記浄化物質を含む空気の流量を測定する流量測定部と、モータ部と発生部とを制御する制御部と、を備え、制御部は、羽根部を回転させて、浄化物質を含む空気を吐出口からケース部外に吐き出すための誘引気流を発生させ、誘引気流により吐出口から吐き出される浄化物質の量を目標吐出量にするために、モータ部のモータ回転数と発生部による浄化物質の発生量との少なくとも一方を制御する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、天井扇風機が設置された天井から羽根部までの距離がどのような場合であっても、目標吐出量を実現する天井扇風機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】本発明の実施の形態1に係る制御部およびその周辺部の概略機能ブロック図である。
【
図3】本発明の実施の形態1に係る記憶部に記憶されている第一テーブルのデータ構造を示す図である。
【
図4】本発明の実施の形態1に係る制御部における制御を示すフローチャートである。
【
図5】本発明の実施の形態2に係る制御部およびその周辺部の概略機能ブロック図である。
【
図6】本発明の実施の形態2に係る記憶部に記憶されている第二テーブルのデータ構造を示す図である。
【
図7】本発明の実施の形態2に係る制御部における制御を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。ただし、以下に示す実施の形態は、本発明の技術思想を具体化するために例示するものであって、本発明は以下のものに特定しない。特に実施の形態に記載されている材質、形状、構成要素、構成要素の配置及び相対的配置等は一例であって、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではない。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化する。
【0011】
(実施の形態1)
まず、本発明の実施の形態である天井扇風機Zについて説明する。天井扇風機Zは、天井1に取り付けられ、羽根部4を回転させることにより下向きの気流を生じさせる扇風機として機能する。
図1は、天井扇風機Zの構成を示す概略図である。
【0012】
天井扇風機Zは、支柱部2とモータ部3と羽根部4とケース部5とを備える。
【0013】
支柱部2は、中空の棒形状で、上部には、天井1に係止可能な吊下部2Aを有し、下部にはモータ部3が固定されている。
【0014】
モータ部3は、羽根部4を回転させる。モータ部3の一例は、インバータにより回転数を制御可能なブラシレスDC(Direct Current)モータである。モータ部3は、回転数を制御可能なモータであれば、その他DCモータ、ACモータ等構成は問わない。
【0015】
羽根部4は、回転することで下向きに風を発生させる。羽根部4は、モータ部3に複数取り付けられており、支柱部2を軸としてモータ部3とともに回転する。
【0016】
ケース部5は、モータ部3の上方で支柱部2の少なくとも一部を覆うように取り付けられる。ケース部5は、吐出口6と、吸込口7と、連通部8と、流量測定部9と、発生部10Aと、制御部11Aとを備える。
【0017】
吐出口6は、ケース部5の側面に設けられ、ケース部5内の空気をケース部5外に吐き出すための開口である。
【0018】
吸込口7は、ケース部5の上面に備えられ、ケース部5外の空気をケース部5内に取り入れるための開口である。吸込口7は、吐出口6と連通している。
【0019】
連通部8は、吸込口7と吐出口6とを連通する風路である。
【0020】
流量測定部9は、連通部8上の吐出口6のケース部5内側に設けられ、吐出口6からケース部5外に吐き出される後述する浄化物質を含む空気の流量を測定する。流量測定部9の測定結果は、有線通信または無線通信により制御部11Aに送られる。流量測定部9の一例は流量計である。流量計については一般的なものであり、ここでの詳細な説明は省略する。流量測定部9は、吐出口6から吐き出される空気の流量を測定できればどのような構成でもよい。
【0021】
発生部10Aは、ケース部5内の連通部8に脱臭、消臭、殺菌の少なくとも一つの成分を有する浄化物質を発生させる。浄化物質の一例は脱臭成分を有するヒドロキシルラジカルである。ヒドロキシルラジカルはヒドロキシ基(水酸基)に反応するラジカルであり、このラジカルは通常2個1組で軌道上を回転しているはずの電子が1つしかないので、電気的に非常に不安定で、周りの原子や分子から欠けた電子を奪おうとする。そのため、ヒドロキシルラジカルは酸化力が非常に強いものであり、この酸化作用により臭いが分解、除去されるのである。ヒドロキシルラジカルは、対向電極(図示せず)と放電電極(図示せず)間に高電圧(例えば、-5KV)を印加し、ペルチェ素子(図示せず)に0.75V~2.8V程度の電圧を印加することで、発生させることができる。発生部10Aが発生可能なヒドロキシルラジカルの量は単位時間あたり一定であり、ヒドロキシルラジカルの発生量を変更することはできない。ヒドロキシルラジカルはあくまで浄化物質の一例であり、発生部10Aは、脱臭、消臭、殺菌の少なくとも一つの成分を有する浄化物質を発生できれば、どのような構成でもよい。
【0022】
制御部11Aは、モータ部3と発生部10Aとを制御する。制御部11Aは、発生部10Aによる浄化物質の発生を制御する。具体的には、制御部11Aは、発生部10Aによる浄化物質の発生有無を制御する。また、制御部11Aは、モータ部3を回転させることで羽根部4を回転させる。羽根部4が回転することで、下向きの風が発生する。これにより、連通部8を通過する空気の流れが生じる。これは、吸込口7から吐出口6に導かれる空気の流れを発生させるともいえる。この空気の流れを誘引気流Yとする。つまり、制御部11Aは、羽根部4を回転させて、浄化物質を含む空気を吐出口6からケース部5外に吐き出すための誘引気流Yを発生させる。
【0023】
ここで、モータ部3のモータ回転数と流量測定部9によって測定される測定流量の関係について説明する。モータ部3のモータ回転数を大きくすると、羽根部4によって発生する下向きの風の風量が大きくなる。発生する下向きの風の風量が大きくなると、誘引気流Yが大きくなる。誘引気流Yが大きくなると、流量測定部9によって測定される測定流量が大きくなる。つまり、モータ回転数が大きくなると測定流量が大きくなり、モータ回転数が小さくなると測定流量が小さくなる。
【0024】
次いで、
図2を参照して、本発明の実施の形態に係る制御部11Aの各機能について説明する。
図2は制御部11A及び周辺部の概略機能ブロック図である。
【0025】
制御部11Aは、記憶部13Aと、決定部12Aと、機器制御部14Aとを備える。
【0026】
記憶部13Aは、浄化物質の目標吐出量を記憶する、いわゆるメモリである。浄化物質の目標吐出量とは、所定時間毎に室内に拡散させたい浄化物質の量であり、例えばユーザーが室内に設けられたリモートコントローラ等に目標吐出量を入力し、入力された値を目標吐出量として記憶する。また、目標吐出量が予め固定値として記憶されていてもよい。記憶部13Aは、さらに第一テーブル15を記憶する。
【0027】
第一テーブル15は、複数の目標吐出量と当該目標吐出量のそれぞれに対応する目標吐出量の実現に必要な流量である必要流量とを関連付けたものである。第一テーブル15について
図3を参照して説明する。
図3は、記憶部13Aに記憶されている第一テーブル15のデータ構造を示す図であり、第一テーブル15の一例である。
【0028】
第一テーブル15には、所定の目標吐出量と所定の目標吐出量の実現に必要な必要流量とが格納される。必要流量は予め実験により測定され、測定結果として、所定の目標吐出量と、所定の目標吐出量の実現に必要な必要流量が第一テーブル15に格納される。同様に記憶部13Aは、入力可能な目標吐出量毎に各目標吐出量に対応する必要流量を第一テーブル15に記憶する。本実施の形態では一例として、目標吐出量がA1であれば必要流量はB1となる。また、目標吐出量がA2であれば必要流量はB2となる。また、目標吐出量がA3であれば必要流量はB3となる。目標吐出量がA1<A2<A3の場合、必要流量はB1<B2<B3となる。つまり、目標吐出量が大きい程、必要流量は大きくなる。これは、吐出口6からケース部5外に吐き出される空気の流量が大きい程、浄化物質の吐出量が大きくなるためである。本実施の形態では一例として複数の目標吐出量としてA1、A2、A3の三つを記載したが、あくまで一例であり、三つより多くてもよいし、少なくてもよい。
【0029】
決定部12Aは、流量測定部9により測定される測定流量を取得する。また、決定部12Aは、記憶部13Aが記憶する目標吐出量と第一テーブル15とに基づいて必要流量を取得する。決定部12Aは、取得した測定流量と取得した必要流量とを比較する。
【0030】
決定部12Aは、測定流量が必要流量よりも小さければモータ部3のモータ回転数を大きくすることを決定する。先述したように、モータ回転数を大きくすることで、測定流量を大きくすることができる。つまり、測定流量を必要流量に近づけることができる。
【0031】
また、決定部12Aは、測定流量が必要流量よりも大きければモータ部3のモータ回転数を小さくすることを決定する。モータ回転数を小さくすることで、測定流量を小さくすることができる。つまり、測定流量を必要流量に近づけることができる。
【0032】
モータ回転数をどの程度大きくまたは小さくするかについては、例えば固定の回転数だけ大きくまたは小さくすることを決定すればよいが、測定流量と必要流量との差が大きい程、回転数の変更の程度を大きくするようにする方が好ましい。測定流量と必要流量の差が大きい程、回転数の変更の程度を大きくすることで早期に測定流量を必要流量に近づけることができる。
【0033】
機器制御部14Aは、決定部12Aによって決定された指示内容に基づいて、モータ部3のモータ回転数を制御する。具体的には、機器制御部14Aは、モータ回転数を大きくする指示内容であればモータ部3のモータ回転数を現在の回転数より大きくし、モータ回転数を小さくする指示内容であればモータ部3のモータ回転数を現在の回転数より小さくする。
【0034】
制御部11Aは、測定流量が必要流量になるようにモータ回転数を制御している。
【0035】
制御部11Aの各機能ブロックは、ハードウェア的には、コンピュータのCPU(CentralProcessing Unit)をはじめとする素子や機械装置で実現でき、ソフトウェア的にはコンピュータプログラム等によって実現されるが、ここでは、それらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックはハードウェア、ソフトウェアの組み合わせによって様々な形で実現することができる。
【0036】
上記構成による天井扇風機Zの動作を説明する。
図4は、本実施の形態に係る制御部11Aの制御を示すフローチャートである。ここで、フローチャートではSを頭文字にして番号を割り振った。例えばS1などは処理ステップを指す。但し、処理ステップを示す数値の大小と処理順序は関係しない。
【0037】
まず、ユーザーがリモートコントローラ等に目標吐出量を入力し、記憶部13Aは入力された値を目標吐出量として記憶する(S1)。機器制御部14Aは、例えば予め設定された初期回転数でモータ部3を回転させる。機器制御部14Aは、発生部10Aから浄化物質が発生されるように制御する。決定部12Aは、流量測定部9により測定される測定流量を取得する。また、決定部12Aは、目標吐出量と第一テーブル15とに基づいて必要流量を取得する(S2)。
【0038】
決定部12Aは測定流量が必要流量よりも小さければモータ回転数を大きくすることを決定し、機器制御部14Aはモータ回転数を現在の回転数より大きくする(S3のYes→S4)。決定部12Aは測定流量が必要流量よりも小さくなければ何もせずステップS5に進む(S3のNo→S5)。
【0039】
次に、決定部12Aは測定流量が必要流量よりも大きければモータ回転数を小さくすることを決定し、機器制御部14Aはモータ回転数を現在の回転数より小さくする(S5のYes→S6)。決定部12Aは測定流量が必要流量よりも大きくなければ何もせず再度ステップS3に戻る(S5のNo→S3)。これにより、測定流量を必要流量にすることができる。測定流量を必要流量にすることで、目標吐出量を実現することができる。
【0040】
以上説明したように、上記実施の形態によれば、測定流量が必要流量よりも少ない場合は、モータ回転数を大きくすることで、吐出口6から吐き出される空気の流量を大きくし、浄化物質の吐出量を増加させることができる。また、測定流量が必要流量よりも大きい場合は、モータ回転数を小さくすることで、吐出口6から吐き出される空気の流量を小さくし、浄化物質の吐出量を減少させることができる。これにより、ユーザーが所望する目標吐出量を実現することができる。また、目標吐出量の実現に必要とする回転数よりも大きいモータ回転数でモータ部3を回転させて無駄な消費電力を発生させることを防止することができる。
【0041】
先述したように、天井扇風機Zは、天井1から羽根部4までの距離が変わると、モータ回転数が同じ場合でも誘引気流Yの大きさが変わる。誘引気流Yの大きさが変わると、室内に吐き出される浄化物質の吐出量が変わる。つまり、モータ回転数が同じ場合でも、天井扇風機Zの設置される環境や使用者の設置希望条件等によって、室内に吐き出される浄化物質の吐出量が変化してしまう。
【0042】
もし天井扇風機Zの設置条件が固定であれば、目標吐出量を実現可能な所定のモータ回転数にすれば良い。しかし、天井扇風機Zの設置条件が決まっていないため、目標吐出量を実現可能なモータ回転数は変化してしまう。そこで、本制御を行うことで、天井扇風機Zが設置された天井1から羽根部4までの距離がどのような場合でも、目標吐出量を実現することができる。
【0043】
(実施の形態2)
実施の形態2では実施の形態1との差異を中心に説明する。実施の形態2の天井扇風機Zは、発生部10Aに代わって発生部10Bを備える。
【0044】
発生部10Bは、一例として貯水部(図示せず)と電極部(図示せず)とミスト放出部(図示せず)とで構成される。電極部は、電極部材を備えており、この電極部材が貯水部内の水に浸かるように設置される。電極部は、この電極部材に通電することにより、貯水部内の塩化物イオンを含む水を電気化学的に電気分解し、活性酸素種を含む電解水を生成する。ここで、活性酸素種とは、通常の酸素よりも高い酸化活性を持つ酸素分子と、その関連物質のことである。例えば、スーパーオキシドアニオン、一重項酸素、ヒドロキシラジカル、或いは過酸化水素といった所謂狭義の活性酸素に、オゾン、次亜塩素酸(次亜ハロゲン酸)等といった所謂広義の活性酸素を含む。活性酸素種は、脱臭や殺菌の成分を有する浄化物質である。ミスト放出部は活性酸素種を含む電解水よりミストを生成し、生成したミストを連通部8に放出する。ミストは例えば超音波振動子による超音波振動により生成することができる。発生部10Bが連通部8に発生可能な活性酸素種の量は変更可能である。例えば、電極部の通電時間を長くする、または、ミスト放出部の放出量を大きくすることで、単位時間あたりの活性酸素種の発生量を大きくすることができる。発生部10Bは、脱臭、消臭、殺菌の少なくとも一つの成分を有する浄化物質を発生でき、浄化物質の発生量を変更可能であればどのような構成でもよい。
【0045】
実施の形態2の天井扇風機Zは、制御部11Aに代わって制御部11Bを備える。制御部11Bは、モータ部3と発生部10Bとを制御する。制御部11Bも発生部10Bによる浄化物質の発生を制御するが、制御部11Bは、発生部10Bの浄化物質の発生有無と発生量を制御する。また、制御部11Bは、モータ部3を設定されたモータ回転数(設定モータ回転数)で回転させることで誘引気流Yを発生させる。設定モータ回転数とは、例えばユーザーが室内に設けられたリモートコントローラ等に所望するモータ回転数を入力し、入力された値を設定モータ回転数とする。
【0046】
制御部11Bは、発生部10Bによる浄化物質の発生量を、誘引気流Yにより吐出口6から吐き出される空気の流量で目標吐出量の実現に必要な浄化物質の発生量に制御するが、詳細な制御内容については後述する。
【0047】
次いで、
図5を参照して、制御部11Bの各機能について説明する。
図5は制御部11B及び周辺部の概略機能ブロック図である。
【0048】
制御部11Bは、記憶部13Bと、決定部12Bと、機器制御部14Bとを備える。
【0049】
機器制御部14Bは、設定モータ回転数にてモータ部3の回転数を制御する。
【0050】
記憶部13Bは、記憶部13A同様に浄化物質の目標吐出量を記憶する、いわゆるメモリである。記憶部13Bはさらに、第二テーブル16を記憶する。
【0051】
第二テーブル16は、複数の目標吐出量と、複数の流量と、複数の目標吐出量の実現に必要な浄化物質の発生量とを関連付けたものである。以下、「目標吐出量の実現に必要な浄化物質の発生量」を「必要発生量」と定義する。第二テーブル16について
図6を参照して説明する。
図6は、記憶部13Bに記憶されている第二テーブル16のデータ構造を示す図であり、第二テーブル16の一例である。
【0052】
第二テーブル16には、所定の目標吐出量と所定の流量と所定の必要発生量とが格納される。所定の目標吐出量と所定の流量の場合の必要発生量を実験により測定し、測定結果として所定の目標吐出量と所定の流量とに対応する必要発生量が第二テーブル16に格納される。同様に記憶部13Bは、入力可能な目標吐出量および各流量に対応する必要発生量を第二テーブル16に記憶する。
【0053】
本実施の形態では一例として、目標吐出量がC1、流量がD1であれば必要発生量はE1となる。また、目標吐出量がC1、流量がD2であれば必要発生量はE2となる。また、目標吐出量がC1、流量がD3であれば必要発生量はE3となる。流量がD1<D2<D3の場合、必要発生量は、E1>E2>E3となる。つまり、流量が小さい程、必要発生量は大きくなる。
【0054】
ここで、流量が小さい程、必要発生量が大きくなる理由について説明する。吐出口6からケース部5外に吐き出される空気の流量が小さい程、目標吐出量を達成するためには吐出口6を通過する浄化物質の量を大きくする必要がある。吐出口6を通過する浄化物質の量を大きくするためには、浄化物質の発生量を大きくする必要がある。つまり、流量が小さい程、必要発生量は大きくなる。
【0055】
同様に記憶部13Bは、入力可能な他の目標吐出量と各流量とに対応する必要発生量についても第二テーブル16に記憶する。
【0056】
決定部12Bは、流量測定部9により測定される測定流量を取得する。また、決定部12Bは、記憶部13Bが記憶する目標吐出量と、流量測定部9により測定される測定流量と、第二テーブル16と、に基づいて必要発生量を取得する。決定部12Bは、発生部10Bによる浄化物質の発生量を、取得した必要発生量にすることを決定する。
【0057】
機器制御部14Bは、発生部10Bの発生量を決定部12Bによって決定された必要発生量に制御する。例えば、電極部の通電時間とミスト放出部の放出量をどのように設定すれば、連通部8における浄化物質の発生量がどうなるのかを予め実験により測定しておけば、発生部10Bの発生量を必要発生量に制御可能である。
【0058】
制御部11Bは、誘引気流Yにより吐出口6から吐き出される空気の流量が小さいほど、発生部10Bによる浄化物質の発生量を大きく制御している。制御部11Bの各機能ブロックも、制御部11Aと同様にハードウェア、ソフトウェアの組み合わせによって様々な形で実現することができる。
【0059】
上記構成による天井扇風機Zの動作を説明する。
図7は、実施の形態2に係る制御部11Bの制御を示すフローチャートである。
【0060】
まず、ユーザーがリモートコントローラ等に設定モータ回転数と目標吐出量とを入力し、機器制御部14Bは、設定モータ回転数にてモータ部3の回転数を制御する(S11)。記憶部13Bは入力された目標吐出量を記憶する(S12)。決定部12Bは、流量測定部9により測定される測定流量を取得する(S13)。決定部12Bは、目標吐出量と、測定流量と、第二テーブル16と、に基づいて必要発生量を取得する(S14)。決定部12Bは発生部10Bによる浄化物質の発生量を取得した必要発生量にすることを決定し、機器制御部14Bは発生部10Bの発生量を決定した必要発生量に制御する(S15)。これにより、発生量を必要発生量にすることができる。発生量を必要発生量にすることで、目標吐出量を実現することができる。
【0061】
実施の形態2では、モータ部3の回転数をユーザーの所望する設定モータ回転数で回転させることができる。もし、実施の形態1において目標吐出量を実現するために必要なモータ回転数がユーザーの所望するモータ回転数よりも大きい場合、目標吐出量を実現するためにはモータ回転数をユーザーの所望するモータ回転数よりも大きくする必要がある。しかし、実施の形態2の制御を行うことで、ユーザーの所望するモータ回転数で目標吐出量を実現することができる。言い換えると、ユーザーが所望する目標吐出量を実現しつつユーザーが必要とする設定モータ回転数でモータ部3を回転することができる。つまり、必要とする回転数よりも大きいモータ回転数でモータ部3を回転させて無駄な消費電力を発生させることを防止することができる。また、実施の形態2の制御を行うことでも、天井扇風機Zが設置された天井1から羽根部4までの距離がどのような場合でも、目標吐出量を実現することができる。
【0062】
以上、実施の形態に基づき本発明を説明した。本発明の制御部は誘引気流により吐出口から吐き出される前記浄化物質の量を目標吐出量にするために、モータ部のモータ回転数と発生部による浄化物質の発生量との少なくとも一方を制御する。本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
【0063】
例えば、本実施の形態では吐出口6がケース部5の側面に設けられているが、ケース部5の下面に設けられてもよい。
【0064】
また、本実施の形態ではケース部5がモータ部3の上部に設けられているが、ケース部5がモータ部3の下部に設けられてもよい。
【0065】
また、本実施の形態では浄化物質の発生として、発生部が浄化物質であるヒドロキシルラジカルや活性酸素種の生成を行うことを一例として記載している。しかし、消臭成分を持つ芳香剤を発生部に設けて、発生部に芳香剤による香料を貯めてファン等で連通部8に供給することも浄化物質の発生の概念に含む。同様に、消臭成分を持つ消臭剤を発生部に設けて、発生部に消臭剤による消臭成分を貯めてファン等で連通部8に供給することも浄化物質の発生の概念に含む。
【0066】
(発明の概要)
本発明に係る天井扇風機は、天井に係止可能な支柱部と、支柱部の下部に備えたモータ部と、モータ部により回転する羽根部と、支柱部の少なくとも一部を覆うケース部と、ケース部内で脱臭、消臭、殺菌の少なくとも一つの成分を有する浄化物質を発生させる発生部と、ケース部に設けられた吐出口からケース部外に吐き出される浄化物質を含む空気の流量を測定する流量測定部と、モータ部と発生部とを制御する制御部と、を備え、制御部は、羽根部を回転させて、浄化物質を含む空気を吐出口からケース部外に吐き出すための誘引気流を発生させ、誘引気流により吐出口から吐き出される浄化物質の量を目標吐出量にするために、モータ部のモータ回転数と発生部による浄化物質の発生量との少なくとも一方を制御する。
【0067】
これにより、天井扇風機が設置された天井から羽根部までの距離がどのような場合でも、目標吐出量を実現することができる。
【0068】
また、制御部は、流量測定部により測定される測定流量が目標吐出量の実現に必要な流量である必要流量になるように、モータ回転数を制御してもよい。
【0069】
モータ回転数を制御することで、目標吐出量の実現に必要な流量を実現することができる。
【0070】
また、制御部は、測定流量が必要流量よりも小さければモータ回転数を大きくすることで、測定流量を必要流量にし、測定流量が必要流量よりも大きければモータ回転数を小さくすることで、測定流量を必要流量にしてもよい。
【0071】
モータ回転数を測定流量に応じて制御することで、目標吐出量を実現することができる。
【0072】
また、制御部は、複数の目標吐出量と当該目標吐出量のそれぞれに対応する必要流量とを関連付けた第一テーブルを記憶する記憶部を備え、目標吐出量と、第一テーブルとに基づいて必要流量を取得してもよい。
【0073】
これにより、目標吐出量を実現するために必要な流量を把握することができる。
【0074】
また、発生部は、浄化物質の発生量を変更可能であり、制御部は、モータ部を設定されたモータ回転数で回転させることで誘引気流を発生させ、発生部による浄化物質の発生量を、誘引気流により吐出口から吐き出される空気の流量で目標吐出量の実現に必要な浄化物質の発生量に制御してもよい。
【0075】
発生部による浄化物質の発生量を制御することで、設定されたモータ回転数にて目標吐出量を実現することができる。
【0076】
また、制御部は、誘引気流により吐出口から吐き出される空気の流量が小さいほど、発生部による浄化物質の発生量を大きく制御してもよい。
【0077】
吐出口から吐き出される空気の流量が小さいほど、発生部による浄化物質の発生量を大きく制御することで、目標吐出量を実現することができる。
【0078】
また、制御部は、複数の目標吐出量と、複数の流量と、複数の目標吐出量の実現に必要な浄化物質の発生量とを関連付けた第二テーブルを記憶する記憶部を備え、目標吐出量と、流量測定部により測定される流量と、第二テーブルと、に基づいて目標吐出量の実現に必要な浄化物質の発生量を取得し、発生部による浄化物質の発生量を、取得した目標吐出量を実現するために必要な浄化物質の発生量に制御してもよい。
【0079】
これにより、目標吐出量を実現するために必要な発生量を把握することができ、発生部による浄化物質の発生量を制御することで目標吐出量を実現することができる。
【0080】
また、ケース部は、上面に吐出口と連通する吸込口を備え、吐出口は、ケース部の側面または下面に設けられ、制御部は、モータ部を回転させることで、吸込口から吐出口に導かれる誘引気流を発生させてもよい。
【0081】
誘引気流を発生させることで、浄化物質を拡散することができる。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明に係る天井扇風機は、浄化物質を拡散させることが可能な天井扇風機として有用である。
【符号の説明】
【0083】
Z 天井扇風機
Y 誘引気流
1 天井
2 支柱部
2A 吊下部
3 モータ部
4 羽根部
5 ケース部
6 吐出口
7 吸込口
8 連通部
9 流量測定部
10A 発生部
10B 発生部
11A 制御部
11B 制御部
12A 決定部
12B 決定部
13A 記憶部
13B 記憶部
14A 機器制御部
14B 機器制御部
15 第一テーブル
16 第二テーブル