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特開2023-72765時刻同期の確立確認方式、時刻同期の確立確認方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023072765
(43)【公開日】2023-05-25
(54)【発明の名称】時刻同期の確立確認方式、時刻同期の確立確認方法
(51)【国際特許分類】
   H02H 3/28 20060101AFI20230518BHJP
   H04L 7/00 20060101ALI20230518BHJP
   H02H 3/02 20060101ALI20230518BHJP
【FI】
H02H3/28 W
H04L7/00 990
H02H3/02 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021185404
(22)【出願日】2021-11-15
(71)【出願人】
【識別番号】000006105
【氏名又は名称】株式会社明電舎
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【弁理士】
【氏名又は名称】富岡 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100104938
【弁理士】
【氏名又は名称】鵜澤 英久
(74)【代理人】
【識別番号】100210240
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 友幸
(72)【発明者】
【氏名】川島 弘成
【テーマコード(参考)】
5G142
5K047
【Fターム(参考)】
5G142BC02
5G142BD03
5K047AA18
5K047GG56
(57)【要約】      (修正有)
【課題】時刻同期のマスターの一致性を確認する処理を同期確立の判定に加えることで、時刻同期の正確性の向上を図る時刻同期の確立確認方式を提供する。
【解決手段】電流差動リレーシステムは、保護対象設備又は区間における各端子の電気量情報をサンプリングする保護リレー端子12-1~12-Nと、保護リレー端子12-1~12-Nのサンプリング時刻を同期させる同期ボード11-1~11-Nと、を備える。同期ボード11-1~11-Nは、自身の参照する時刻同期のマスターのIDを含む時刻同期情報データを全保護リレー端子12-1~12-Nに送信する。保護リレー端子12-1~12-Nは、時刻同期情報データに含まれるIDのすべてが一致するか否かを確認し、一致が成立すれば時刻同期の確立と判定し、一致が不成立であれば時刻同期の未確立と判定する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介して接続された複数の中継装置と、
前記各中継装置に接続された端末と、
を備え、前記各中継装置における時刻同期の確立を確認する方式であって、
前記各中継装置は、自身の参照する前記時刻同期のマスターのIDを含む時刻同期情報データをすべての前記端末に送信する一方、
前記端末は、前記各中継装置から受信した前記時刻同期情報データに含まれる前記IDのすべてが一致するか否かを確認し、
前記一致が成立すれば前記時刻同期の確立と判定し、前記一致が不成立であれば前記時刻同期の未確立と判定する
ことを特徴とする時刻同期の確立確認方式。
【請求項2】
保護対象設備または区間における各端子の電気量情報をサンプリングする保護リレーユニットと、
前記各保護リレーユニットのそれぞれに接続され、前記保護リレーユニットのサンプリング時刻を同期させる同期制御ユニットと、
を備えたIP-PCM電流差動リレーシステムにおける時刻同期の確立を確認する方式であって、
前記各同期制御ユニットは、自身の参照する前記時刻同期のマスターのIDを含む時刻同期情報データをすべての前記保護リレーユニットに送信する一方、
前記保護リレーユニットは、前記各同期制御ユニットから受信した前記時刻同期情報データに含まれる前記IDのすべてが一致するか否かを確認し、
前記一致が成立すれば前記時刻同期の確立と判定し、前記一致が不成立であれば前記時刻同期の未確立と判定する
ことを特徴とする時刻同期の確立確認方式。
【請求項3】
ネットワークを介して接続された複数の中継装置と、
前記各中継装置に接続された端末と、
を備え、前記各中継装置における時刻同期の確立を確認する方法であって、
前記各中継装置が、自身の参照する前記時刻同期のマスターのIDを含む時刻同期情報データをすべての前記端末に送信するステップと、
前記端末が、前記各中継装置から受信した前記時刻同期情報データに含まれる前記IDのすべてが一致するか否かを確認するステップと、
前記一致が成立すれば前記時刻同期の確立と判定し、前記一致が不成立であれば前記時刻同期の未確立と判定するステップと、
を有することを特徴とする時刻同期の確立確認方法。
【請求項4】
保護対象設備または区間における各端子の電気量情報をサンプリングする保護リレーユニットと、
前記各保護リレーユニットのそれぞれに接続され、前記保護リレーユニットのサンプリング時刻を同期させる同期制御ユニットと、
を備えたIP-PCM電流差動リレーシステムにおける時刻同期の確立を確認する方法であって、
前記各同期制御ユニットが、自身の参照する前記時刻同期のマスターのIDを含む時刻同期情報データをすべての前記保護リレーユニットに送信するステップと、
前記保護リレーユニットが、前記各同期制御ユニットから受信した前記時刻同期情報データに含まれる前記IDのすべてが一致するか否かを確認するステップと、
前記保護リレーユニットが、前記一致の成立を確認すれば前記時刻同期の確立と判定し、前記一致の不成立を確認すれば前記時刻同期の未確立と判定するステップと、
を有することを特徴とする時刻同期の確立確認方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、IP-PCM(Internet Protocol-Pulse Code Modulation)電流差動リレーシステム(以下、IP-PCMリレーとする。)における時刻同期の確立を確認する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ICT(Information and Communication Technology)化の進展による通信の大容量化・高速化・高信頼化を背景にIP技術を適用した保護リレーシステム、即ちIP-PCMリレーが提案されている。
【0003】
電流差動リレーは、保護対象設備に流入する電流と流出する電流との差電流を監視し、事故発生の有無を判定ため、保護対象設備・区間の全端子の電流測定が必要となる。このとき全端子で同時に電流をサンプリングし、各端子に全端子の電流情報が収集されなければならず、サンプリング同期制御が重要となる。
【0004】
そこで、IEEE1588規格で定義されたPTP(Precision Time Protocol)に対応する同期制御ユニットを実装し、遅延時間を補正する技術が提案されている。この技術として、例えば特許文献1が公知となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2016-82458
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記保護リレーシステムは、極めて正確な時刻同期の精度が求められるため、特許文献1ではサンプリング信号の同期性能を監視し保証している。しかしながら、特許文献1など従来の手法では、以下の問題を生じるおそれがあった。
【0007】
すなわち、IP-PCMリレーでは、通信装置を介してサンプリング対象の保護リレー端子(保護リレーユニット)をネットワークに接続することで1つのシステムが構成されている。ここでは保護リレー端子は、同期制御ユニットからの同期信号を受け取ることにより各端子間で同期をとっている。
【0008】
ところが、運用中の何らかの原因によりネットワークが切断された場合、各保護リレー端子は他の端子からのデータを受信できなくなるため、即座にリレーロックされて受信データ異常などの異常情報を出力する。
【0009】
このようにネットワークの分断状態のときは、分断された各部分ネットワーク(ネットワークの島)で再度の時刻同期が行われ、それぞれの部分ネットワークの通信装置間で時刻同期のマスターが選出される。
【0010】
このとき各部分ネットワーク内で時刻同期しているため、部分ネットワーク間では非同期となっている。そのため、分断されたネットワークの復旧直後は一時的に複数のマスターが存在し、それぞれスレーブが同期した状態なため、誤って時刻同期が確立されていると判定される場合がある。これでは正確な時刻同期が保証できないおそれがある。
【0011】
本発明は、このような従来の問題を解決するためになされ、時刻同期のマスターの一致性を確認する処理を同期確立の判定に加えることで誤った時刻同期の確立判定を防止し、時刻同期の正確性の向上を図っている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
(1)本発明の一態様は、ネットワークを介して接続された複数の中継装置と、
前記各中継装置に接続された端末と、
を備え、前記各中継装置における時刻同期の確立を確認する方式であって、
前記各中継装置は、自身の参照する前記時刻同期のマスターのIDを含む時刻同期情報データをすべての前記端末に送信する一方、
前記端末は、前記各中継装置から受信した前記時刻同期情報データに含まれる前記IDのすべてが一致するか否かを確認し、
前記一致が成立すれば前記時刻同期の確立と判定し、前記一致が不成立であれば前記時刻同期の未確立と判定することを特徴としている。
【0013】
(2)本発明の他の態様は、保護対象設備または区間における各端子の電気量情報をサンプリングする保護リレーユニットと、
前記各保護リレーユニットのそれぞれに接続され、前記保護リレーユニットのサンプリング時刻を同期させる同期制御ユニットと、
を備えたIP-PCM電流差動リレーシステムにおける時刻同期の確立を確認する方式であって、
前記各同期制御ユニットは、自身の参照する前記時刻同期のマスターのIDを含む時刻同期情報データをすべての前記保護リレーユニットに送信する一方、
前記保護リレーユニットは、前記各同期制御ユニットから受信した前記時刻同期情報データに含まれる前記IDのすべてが一致するか否かを確認し、
前記一致が成立すれば前記時刻同期の確立と判定し、前記一致が不成立であれば前記時刻同期の未確立と判定することを特徴としている。
【0014】
(3)本発明のさらに他の態様は、ネットワークを介して接続された複数の中継装置と、
前記各中継装置に接続された端末と、
を備え、前記各中継装置における時刻同期の確立を確認する方法であって、
前記各中継装置が、自身の参照する前記時刻同期のマスターのIDを含む時刻同期情報データをすべての前記端末に送信するステップと、
前記端末が、前記各中継装置から受信した前記時刻同期情報データに含まれる前記IDのすべてが一致するか否かを確認するステップと、
前記一致が成立すれば前記時刻同期の確立と判定し、前記一致が不成立であれば前記時刻同期の未確立と判定するステップと、を有することを特徴としている。
【0015】
(4)本発明のさらに他の態様は、保護対象設備または区間における各端子の電気量情報をサンプリングする保護リレーユニットと、
前記各保護リレーユニットのそれぞれに接続され、前記保護リレーユニットのサンプリング時刻を同期させる同期制御ユニットと、
を備えたIP-PCM電流差動リレーシステムにおける時刻同期の確立を確認する方法であって、
前記各同期制御ユニットが、自身の参照する前記時刻同期のマスターのIDを含む時刻同期情報データをすべての前記保護リレーユニットに送信するステップと、
前記保護リレーユニットが、前記各同期制御ユニットから受信した前記時刻同期情報データに含まれる前記IDのすべてが一致するか否かを確認するステップと、
前記保護リレーユニットが、前記一致の成立を確認すれば前記時刻同期の確立と判定し、前記一致の不成立を確認すれば前記時刻同期の未確立と判定するステップと、を有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、時刻同期のマスターの一致性を確認する処理を同期確立の判定に加えることで誤った時刻同期の確立判定が防止され、この点で時刻同期の正確性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施例の構成図。
図2】同 ネットワーク分断図。
図3】同 ネットワーク正常時の時刻同期情報データ群中の参照マスターIDを示す説明図。
図4】同 ネットワーク分断から復旧時における時刻同期情報データ群中の参照マスターIDの遷移状態を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態に係る時刻同期の確立確認方式(確立確認方法)を説明する。この確立確認方式は、主にIP-PCMリレーのネットワーク分断からネットワーク接続が復旧した際の時刻同期の確立を確認する判定に用いられる。
【0019】
電流差動リレーは、前述のように保護対象設備に流入する電流と流出する電流との差電流を監視し、保護対象設備における事故発生の有無を判定する。これは内部事故時のみ差電流が発生することを応用したシステムであり、保護対象設備・区間の全端子の電流測定などが必要となる。
【0020】
このとき全端子で同時に電流をサンプリングするため、各端子に全端子の電流情報が集まっていなければならない(電流情報の同時性)。そこで、本実施形態のIP-PCMリレーは、各端子間で時刻同期を行う。
【0021】
具体的にはイーサネット(登録商標)などのネットワークで接続された端子間でマスターが選出され、選出された端子以外はスレーブとしてマスターに時刻同期する。ここでは各端子に保護リレーユニットと同期制御ユニット(中継装置)とを配置し、端子間の時刻同期を実行する。
【実施例0022】
≪構成例≫
図1に基づき実施例の構成を説明する。本実施例では中継装置として、スイッチングハブ(以下、同期ボードと呼ぶ。)を用いる。
【0023】
図1中の1~Nは保護対象設備・区間におけるN個の端子を示し、11-1~11-Nはネットワークを介して接続されたN個の同期ボード11を示し、12-1~12-Nは同期ボード11-1~11-Nのそれぞれに接続されたN個の保護リレー端子(保護リレーユニット)12を示している。
【0024】
前記ネットワークは、「VLAN(Virtual LAN」)により二重ルート化され、それぞれのルートを経由してデータの送受信が可能となっている。例えば一方のルートで断線が生じた場合でも、他方のルートによりデータを正常に送受信できるため、電気量データの連続性を確保することが可能となっている。
【0025】
また、保護リレー端子12-1~12-Nは、それぞれ同期ボード11-1~11-Nから同期信号を受信し、該同期信号に基づく時刻同期制御により同期している。このとき時刻同期している各保護リレー端子12-1~12-Nは、自端で取得した電流データなどを電気量データとして他端の保護リレー端子12に送信する一方、他端の保護リレー端子12から送信された電気量データを受信する。この送信は、ブロードキャストやユニキャスト等どのような手法でもよく、自身以外の各保護リレー端子12から受信した電気量データに基づき保護リレー演算を実行し、事故の有無を判定する。
【0026】
また、各保護リレー端子12-1~12-Nは、それぞれ同期ボード11-1~11-Nから送信された時刻同期情報データを受信し、時刻同期情報データに基づき各同期ボード11-1~11-Nの参照する時刻同期のマスターのID確認を行う。これにより各保護リレー端子12-1~12-Nは、以下の動作処理で時刻同期の確立を確認することが可能となっている。
【0027】
≪動作処理≫
図2図4に基づき本実施例の動作処理を説明する。本実施例のIP-PCMリレーは、運用中の全保護リレー端子12-1~12-Nの電気情報を取得することにより電力系統の保護を行う。
【0028】
(1)図2に示すように、同期ボード11-2,11-3間でIP-PCMリレーのネットワークが分断された場合、それぞれの保護リレー端子12は他の全保護リレー端子12の電気情報を取得できなくなるため、即時にリレーロック(保護リレーの動作をロックして行わないようにする。)され、また該当する異常を出力する。
【0029】
このようなネットワークが分断された状態から復旧する場合には、前述した問題が生じる。図2に示した分断状態の場合には、同期ボード11-1~11-2,11-3~11-Nのそれぞれで部分ネットワークが形成され、該各部分ネットワーク毎に時刻同期のマスターが1台選出される。図2中では、同期ボード11-1,11-3がそれぞれの部分ネットワークのマスターとして選出されている。
【0030】
このとき同期ボード11-1~11-2の部分ネットワークと同期ボード11-3~11-Nの部分ネットワークとの間では、時刻同期のマスターが異なるため、非同期の状態となっている。この状態からネットワークが復旧した場合、瞬間的に時刻同期が確立しているものと誤って判定されるおそれがある。
【0031】
すなわち、スレーブの同期ボード11は、所定の周期間隔でマスターの同期ボード11と時刻同期パケットを送受信することで時刻同期を行うが、ネットワーク復旧後に新たなマスターが選出され、その後の時刻同期の周期まで一時的に同期正常と誤認するおそれがある。
【0032】
このような誤った判定を前提に同期正常と認識してリレーロックを解除してしまうと、サンプリング同期の誤動作を招きかねない。そこで、本実施例では、時刻同期の確立条件について、参照する時刻同期マスターの同期ボードIDの一致確認を加えている。
【0033】
(2)詳細を説明すれば、各同期ボード11-1~11-Nは、自身の情報を含んだ時刻同期情報データを作成し、すべての保護リレー端子12-1~12-Nに対して定周期で送信する。
【0034】
【表1】
【0035】
表1は、時刻同期情報データの構成例を示している。この時刻同期情報データ中のID情報には、自身の同期ボードIDおよび時刻同期のマスターとして参照している同期ボードID(以下、参照マスターIDと呼ぶ。)が記述される。なお、マスターの同期ボード11は、自身の同期ボードIDを参照マスターIDに記述する。
【0036】
各保護リレー端子12-1~12-Nは、各同期ボード11-1~11-Nから時刻同期情報データを受信すれば、受信した時刻情報データ中の参照マスターID同士を比較し、すべての参照マスターIDが一致するか否かを確認する。
【0037】
確認の結果、すべての参照マスターIDの一致が成立すれば時刻同期が確立されたと判定する一方、不成立であれば時刻同期が未確立と判定する。この点を図3および図4の時刻同期情報データに基づき説明する。
【0038】
(A)ネットワーク正常時
図3は、ネットワーク正常時に保護リレー端子12-2が同期ボード11-1~11-Nから受信した時刻同期情報データ群を示している。ここで各時刻同期情報データ中の参照マスターIDは「1」と示され、すべての参照マスターIDが一致する。したがって、同期ボード11-2~11-Nは、同期ボード11-1をマスターに時刻同期しており、時刻同期が確立しているものと判定される。
【0039】
(B)ネットワーク分断・復旧時
図4は、端子2,3間でネットワークが分断され、復旧した場合の時刻同期情報データ群の推移を示している。この時刻同期情報データ群は、図3と同様に保護リレー端子12-2が同期ボード11-1~11-Nから受信したものとする。
【0040】
まず、図2に示すように、前記ネットワークが分断された場合、保護リレー端子12-2は同期ボード11-3~11-Nの時刻同期情報データを取得することができない。この場合、前述のように同期ボード11-1~11-2,11-3~11-Nのそれぞれの部分ネットワーク毎にマスターが選出され、時刻同期情報データの参照マスターIDには部分ネットワークのマスターの同期ボードIDが記述される。
【0041】
そのため、保護リレー端子12-2は、同期ボード11-1,11-2から受信した時刻同期情報データに基づき参照マスターIDの一致性を確認する。図4中の「ネットワーク分断時」の時刻同時情報データでは、同期ボード11-1,11-2の参照マスターIDが「1」と示されているため、参照マスターIDが一致し、時刻同期が確立しているものと判定される。
【0042】
つぎに前記ネットワークの復旧直後、同期ボード11-1~11-Nは次の時刻同期の周期までネットワーク分断時に選出された時刻同期マスターの同期ボードIDを参照するため、時刻同期情報データの参照マスターIDが一致することはない。
【0043】
図4中の「ネットワーク復旧時」の時刻同期情報データによれば、同期ボード11-1~11-2から受信した時刻同期情報データの参照マスターID「1」と示されている。一方、同期ボード11-3~11-Nから受信した時刻同期情報データの参照マスターID「3」と示されている。
【0044】
その結果、前記ネットワークが復旧し、端子2,3間のデータ通信が回復しても、復旧直後は各時刻同期情報データの参照マスターIDが不一致となる。これにより前記ネッワークの復旧直後における誤った時刻同期の確立判定を防止することが可能となる。この点で時刻同期の正確性を向上させ、サンプリング同期の誤動作防止を図ることができる。
【0045】
最後に前記ネットワーク復旧後の一定時間経過後は、時刻同期の周期が来るので、新たなマスターが選出される。これにより時刻同期情報データの参照マスターIDが一致し、時刻同期が確立する。図4中の「一定時間経過後」の時刻同期情報データによれば、すべて参照マスターID「1」と示され、参照マスターIDのすべての一致性が確認され、時刻同期が確立しているものと判定される。
【符号の説明】
【0046】
1~N…端子
11(11-1~11-N)…同期ボード(スイッチングハブ)
12(12-1~12-N)…保護リレー端子(保護リレーユニット)
図1
図2
図3
図4