(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023072776
(43)【公開日】2023-05-25
(54)【発明の名称】ネットの設置方法
(51)【国際特許分類】
B63C 9/26 20060101AFI20230518BHJP
E02B 3/12 20060101ALI20230518BHJP
【FI】
B63C9/26
E02B3/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021185422
(22)【出願日】2021-11-15
(71)【出願人】
【識別番号】591224766
【氏名又は名称】ナカダ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092680
【弁理士】
【氏名又は名称】入江 一郎
(72)【発明者】
【氏名】遠 藤 優 輝
(72)【発明者】
【氏名】佐 藤 正 規
(72)【発明者】
【氏名】森 下 伸
【テーマコード(参考)】
2D118
【Fターム(参考)】
2D118CA08
2D118DA01
2D118GA31
(57)【要約】
【課題】
本発明の目的は、作業性の改善を図ったネットの設置方法を提供するものである。
【解決手段】
ネットの設置方法は、ネット2をダム、又は、池、又は、湖の法面1から法面1に沿って前記ダム、又は、前記池、又は、前記湖の水面下に導くネットの設置方法であって、ネット2の前記ダム、又は、前記池、又は、前記湖の水側に近い端部に設けられた長手方向に長い第1の棒状部材6と、法面1に当接すると共に、離間して略平行に設けられた長手方向に長い第2、第3の棒状部材7、8とを備え、第1の棒状部材6の一方の上に第2の棒状部材7が、第1の棒状部材6の他方の上に第3の棒状部材8が、それぞれ当接すると共に、第2の棒状部材7と第3の棒状部材8をガイドとして第1の棒状部材6を滑らして、ネット2を前記ダム、又は、前記池、又は、前記湖の水面下に導くものである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットをダム、又は、池、又は、湖の法面から前記法面に沿って前記ダム、又は、前記池、又は、前記湖の水面下に導くネットの設置方法であって、
前記ネットの前記ダム、又は、前記池、又は、前記湖の水側に近い端部に設けられた長手方向に長い第1の棒状部材と、
前記法面に当接すると共に、離間して略平行に設けられた長手方向に長い第2、第3の棒状部材とを備え、
前記第1の棒状部材の一方の上に前記第2の棒状部材が、 前記第1の棒状部材の他方の上に第3の棒状部材が、それぞれ当接すると共に、前記第2の棒状部材と前記第3の棒状部材をガイドとして前記第1の棒状部材を滑らして、前記ネットを前記ダム、又は、前記池、又は、前記湖の水面下に導く
ことを特徴とするネットの設置方法。
【請求項2】
法面に当接すると共に、第2の棒状部材と第3の棒状部材の間に前記ネットを位置させ、離間して略平行に設けられた長手方向に長い第2、第3の棒状部材とを備え、
第2の棒状部材の上面と第3の棒状部材の上面は、法面より上にあって、第2の棒状部材の上面と第3の棒状部材の上面に当接した前記第1の棒状部材が滑動して、前記第1の棒状部材をダム、又は、池、又は、湖の底乃至底近傍に導く
ことを特徴とする請求項1記載のネットの設置方法。
【請求項3】
第1の棒状部材の長手方向を横断する形状が円の場合、第2の棒状部材の長手方向を横断する形状が多角形であり、第3の棒状部材の長手方向を横断する形状が多角形であり、
前記第1の棒状部材の長手方向を横断する形状が多角形の場合、前記第2の棒状部材の長手方向を横断する形状が円であり、前記第3の棒状部材の長手方向を横断する形状が円である
ことを特徴とする請求項1又は、請求項2記載のネットの設置方法。
【請求項4】
第1の棒状部材の長手方向を横断する形状が円又は、多角形であり、
第2の棒状部材の長手方向を横断する形状が円又は、多角形であり、
第3の棒状部材の長手方向を横断する形状が円又は、多角形である
ことを特徴とする請求項1又は、請求項2記載のネットの設置方法。
【請求項5】
第1の棒状部材の近傍であって、ネットに取り付けられた錘を備えている
ことを特徴とする請求項1又は、請求項2記載のネットの設置方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットの設置方法に係り、特に、作業性の改善を図ったネットの設置方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本件出願人は、大掛かりとならず、簡易に設置することができる救命設備を出願した(例えば、特許文献1参照)。
この救命設備は、ダム、又は、池、又は、湖の法面に取り付けられたネットと、このネットの上に設けられた案内体と、この案内体に移動自在に取り付けられた移動体と、この移動体に取り付けられ、前記ダム、又は、前記池、又は、前記湖の水面に浮かぶフロートとを備えたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記「救命設備」のネットにあっては、ダム、又は、池、又は、湖の法面にネットを取り付ける際、ネットが法面の凹凸に引っ掛かり、時間と手間を要し、作業性が良好でないという問題点があった。
【0005】
本発明は、上記問題点を考慮した作業性の改善を図ったネットの設置方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載のネットの設置方法は、ネットをダム、又は、池、又は、湖の法面から前記法面に沿って前記ダム、又は、前記池、又は、前記湖の水面下に導くネットの設置方法であって、前記ネットの前記ダム、又は、前記池、又は、前記湖の水側に近い端部に設けられた長手方向に長い第1の棒状部材と、前記法面に当接すると共に、離間して略平行に設けられた長手方向に長い第2、第3の棒状部材とを備え、前記第1の棒状部材の一方の上に前記第2の棒状部材が、 前記第1の棒状部材の他方の上に第3の棒状部材が、それぞれ当接すると共に、前記第2の棒状部材と前記第3の棒状部材をガイドとして前記第1の棒状部材を滑らして、前記ネットを前記ダム、又は、前記池、又は、前記湖の水面下に導くものである。
【0007】
また、請求項2記載のネットの設置方法は、請求項1記載のネットの設置方法において、法面に当接すると共に、第2の棒状部材と第3の棒状部材の間に前記ネットを位置させ、離間して略平行に設けられた長手方向に長い第2、第3の棒状部材とを備え、第2の棒状部材の上面と第3の棒状部材の上面は、法面より上にあって、第2の棒状部材の上面と第3の棒状部材の上面に当接した前記第1の棒状部材が滑動して、前記第1の棒状部材をダム、又は、池、又は、湖の底乃至底近傍に導くものである。
【0008】
また、請求項3記載のネットの設置方法は、請求項1又は請求項2記載のネットの設置方法において、第1の棒状部材の長手方向を横断する形状が円の場合、第2の棒状部材の長手方向を横断する形状が多角形であり、第3の棒状部材の長手方向を横断する形状が多角形であり、前記第1の棒状部材の長手方向を横断する形状が多角形の場合、前記第2の棒状部材の長手方向を横断する形状が円であり、前記第3の棒状部材の長手方向を横断する形状が円である。
【0009】
また、請求項4記載のネットの設置方法は、請求項1又は請求項2記載のネットの設置方法において、第1の棒状部材の長手方向を横断する形状が円又は、多角形であり、第2の棒状部材の長手方向を横断する形状が円又は、多角形であり、第3の棒状部材の長手方向を横断する形状が円又は、多角形である。
【0010】
また、請求項5記載のネットの設置方法は、請求項1又は請求項2記載のネットの設置方法において、第1の棒状部材の近傍であって、ネットに取り付けられた錘を備えているものである。
【発明の効果】
【0011】
請求項1記載のネットの設置方法によれば、第1の棒状部材の一方が第2の棒状部材に、 前記第1の棒状部材の他方が第3の棒状部材に、それぞれ当接すると共に、前記第2の棒状部材と前記第3の棒状部材の間に前記ネットを位置させ、前記第2の棒状部材と前記第3の棒状部材をガイドとして前記第1の棒状部材を滑らすため、前記ネットを容易に前記ダム、又は、前記池、又は、前記湖の水面下に導き、作業性を良好にすることができる。
【0012】
また、請求項2記載のネットの設置方法によれば、上述した請求項1記載の発明の効果に加え、 法面に当接すると共に、第2の棒状部材と第3の棒状部材の間に前記ネットを位置させ、離間して略平行に設けられた長手方向に長い第2、第3の棒状部材とを備え、ネットの比重より大で、第2の棒状部材の上面と第3の棒状部材の上面は、法面より上にあって、第2の棒状部材の上面と第3の棒状部材の上面に当接した前記第1の棒状部材が滑動して、つまり、ネットを絡ませないで展開させて、ネットの下端をダム、又は、池、又は、湖の底乃至底近傍に設置することができる。
【0013】
また、請求項3記載のネットの設置方法によれば、上述した請求項1記載の発明の効果に加え、第1の棒状部材の長手方向を横断する形状が円の場合、第2の棒状部材の長手方向を横断する形状が多角形であり、第3の棒状部材の長手方向を横断する形状が多角形であり、前記第1の棒状部材の長手方向を横断する形状が多角形の場合、前記第2の棒状部材の長手方向を横断する形状が円であり、前記第3の棒状部材の長手方向を横断する形状が円であるため、第2の棒状部材と第3の棒状部材に当接した第1の棒状部材の滑動がスムーズで、ネットの下端をダム、又は、池、又は、湖の底乃至底近傍に迅速に設置することができる。
【0014】
また、請求項5記載のネットの設置方法によれば、上述した請求項1又は、請求項2記載の発明の効果に加え、第1の棒状部材の近傍であって、ネットに取り付けられた錘を備えているため、第2の棒状部材と第3の棒状部材をガイドとして第1の棒状部材を滑らして移動する際、錘の重量により、移動が容易であると共に、設置後、ダム、又は、池、又は、湖の底乃至底近傍にネットの下端を安定させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、本発明の一実施例のネットの設置方法によって救命設備が設置された状態の写真である。
【
図3】
図3(a)は、
図1を模式的に図示した3D画像であり、
図3(b)は、
図3(a)の一部を拡大した3D画像である。
【
図4】
図4(a)は、
図3のネットを設置する前の状態で法面に第2、第3の棒状部材を設置した状態の3D画像であり、
図4(b)は、
図4(a)の第2、第3の棒状部材の上に第1の棒状部材を当接し、第1の棒状部材を滑動させた状態の3D画像であり、
図4(c)は、
図4(b)の一部を図示したものである。
【
図5】
図5は、
図4のネットを法面に設置した後、
図4の第2、第3の棒状部材を取り除いた状態の3D画像である。
【
図6】
図6は、
図5のネットにフロートを取り付けた状態の3D画像である。
【
図7】
図7は、
図1のネットと異なる他の実施例のネットを法面に置いた状態の概略的図である。
【
図8】
図8は、
図7の法面に第2、第3の棒状部材を置いて、
図7のネットの第1の棒状部材を第2の棒状部材と第3の棒状部材に当接し、第1の棒状部材を滑動させて図示しないダム等の水面へ導いた状態の概略的図である。
【
図9】
図9は、
図8の法面から第2、第3の棒状部材取り除いた状態の概略的図である。
【
図10】
図10は、
図3(b)記載の移動体、フロートと異なる他の実施例の移動体、フロートの概略的図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の一実施例のネットの設置方法を図面を参照して説明する。
図1に示すSは、ダム、又は、池、又は、湖の法面1より滑落した滑落者を救済する救命設備である。
【0017】
救命設備Sは、ダム、又は、池、又は、湖の法面1に取り付けられたネット2と、このネット2の上に設けられた案内体(例えば、ロープ)3と、この案内体3に移動自在に取り付けられた移動体4と、この移動体4に取り付けられ、前記ダム、又は、前記池、又は、前記湖の水面Hに浮かぶフロート5とを備えている。
案内体3は、水面Hの上と水面Hの下に至る直線状に設けられている。
そのため、全体的に大掛かりとならず、簡易に救命設備Sを設置することができ、しかも、法面1より滑落した滑落者がネット2の目合いを利用して法面1を登ることができる。
【0018】
ネットの設置方法は、ネット2をダム、又は、池、又は、湖の法面1から法面1に沿って前記ダム、又は、前記池、又は、前記湖の水面下に導くものである。
6は、ネット2の前記ダム、又は、前記池、又は、前記湖の水側に近い端部に設けられた長手方向に長い第1の棒状部材(例えば、パイプ)で、7、8は、法面1に当接すると共に、離間して略平行に設けられた長手方向に長い第2、第3の棒状部材(例えば、パイプ)である。
【0019】
そして、
図4(a)(b)(c)に示すように、第1の棒状部材6の一方の上に第2の棒状部材7が、 第1の棒状部材6の他方の上に第3の棒状部材8が、それぞれ当接すると共に、第2の棒状部材7と第3の棒状部材8の間にネット2を位置させ、第2の棒状部材7と第3の棒状部材8をガイドとして第1の棒状部材6を滑らして、ネット2を前記ダム、又は、前記池、又は、前記湖の水面下に導くことができる。
そのため、ネット2を容易に前記ダム、又は、前記池、又は、前記湖の水面下に導き、作業性を良好にすることができる。
【0020】
また、法面1に当接すると共に、第2の棒状部材7と第3の棒状部材8の間にネット2を位置させ、離間して略平行に設けられた長手方向に長い第2、第3の棒状部材7、8とを備え、第2の棒状部材7の上面と第3の棒状部材8の上面は、法面1より上にあって、第2の棒状部材7の上面と第3の棒状部材8の上面に当接した第1の棒状部材6が滑動して、つまり、ネット2を絡ませないで展開させて、ネット2の下端をダム、又は、池、又は、湖の底乃至底近傍に設置することができる。設置後、法面1から第2、第3の棒状部材7、8を除去する(
図5及び
図6参照)。
【0021】
また、9は、第1の棒状部材6の近傍であって、ネット2に取り付けられた錘(例えば、チェーン)を備えている。
第2の棒状部材7と第3の棒状部材8をガイドとして第1の棒状部材6を滑らして移動する際、第1の棒状部材6、錘9の重量により、移動が容易であると共に、設置後、前記ダム、又は、前記池、又は、前記湖の底乃至底近傍にネット2の下端を安定させることができる。
【0022】
なお、上述の実施例の第1、第2、第3の棒状部材6、7、8は、長手方向を横断する形状が円が望ましいが、第1の棒状部材6の長手方向を横断する形状が円の場合、第2の棒状部材7の長手方向を横断する形状が多角形であり、第3の棒状部材8の長手方向を横断する形状が多角形であり、第1の棒状部材6の長手方向を横断する形状が多角形の場合、第2の棒状部材7の長手方向を横断する形状が円であり、第3の棒状部材8の長手方向を横断する形状が円でも良く、第2の棒状部材7と第3の棒状部材8に当接した第1の棒状部材6の滑動がスムーズで、ネット2の下端を前記ダム、又は、前記池、又は、前記湖の底乃至底近傍に迅速に設置することができる。
また、第1、第2、第3の棒状部材6、7、8の断面形状は、上述に限らず、長手方向を横断する形状が円又は、多角形である第1の棒状部材6、長手方向を横断する形状が円又は、多角形である第2の棒状部材7、長手方向を横断する形状が円又は、多角形である第3の棒状部材8を適宜組み合わせたものでも良い。
【0023】
なお、本願発明にあっては、上述の
図1乃至
図6記載の実施例に限らず、例えば、
図7乃至
図9記載のネット2でも良い。
図7乃至
図9記載のネット2にあっては、
図4記載の錘9を省略したもので、
図7のネット2の第1の棒状部材6を第2の棒状部材7と第3の棒状部材8に当接し、第1の棒状部材6を滑動させて図示しないダム等の水面へ導くことができる
図8参照)。第1の棒状部材6を図示しないダム等の水面へ導いた後、法面1から第2の棒状部材7、第3の棒状部材8を取り除く(
図9参照)。
【0024】
また、本願発明にあっては、上述の
図3(b)記載の移動体4、フロート5記載に限らず、例えば、
図10に示す移動体4’、フロート5’でも良い。
【符号の説明】
【0025】
1 法面
2 ネット
6 第1の棒状部材
7 第2の棒状部材
8 第3の棒状部材