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特開2023-72783加工薄ガラスの製造方法、粘着性フィルムおよび薄ガラス付き粘着性フィルム
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  • 特開-加工薄ガラスの製造方法、粘着性フィルムおよび薄ガラス付き粘着性フィルム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023072783
(43)【公開日】2023-05-25
(54)【発明の名称】加工薄ガラスの製造方法、粘着性フィルムおよび薄ガラス付き粘着性フィルム
(51)【国際特許分類】
   C09J 5/00 20060101AFI20230518BHJP
   C09J 7/38 20180101ALI20230518BHJP
   C09J 201/00 20060101ALI20230518BHJP
   B32B 17/10 20060101ALI20230518BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20230518BHJP
   H10K 50/00 20230101ALI20230518BHJP
   H05B 33/04 20060101ALI20230518BHJP
   B05D 7/00 20060101ALI20230518BHJP
   C09J 7/29 20180101ALI20230518BHJP
【FI】
C09J5/00
C09J7/38
C09J201/00
B32B17/10
B32B27/00 M
H05B33/14 A
H05B33/04
B05D7/00 E
C09J7/29
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021185435
(22)【出願日】2021-11-15
(71)【出願人】
【識別番号】000220099
【氏名又は名称】三井化学東セロ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【弁理士】
【氏名又は名称】速水 進治
(72)【発明者】
【氏名】三浦 徹
【テーマコード(参考)】
3K107
4D075
4F100
4J004
4J040
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107BB02
3K107CC23
3K107CC43
3K107CC45
3K107DD12
3K107DD17
3K107EE43
3K107FF15
4D075AA01
4D075AA02
4D075AA09
4D075AB01
4D075AC07
4D075AC08
4D075AC21
4D075AC47
4D075AC57
4D075DB13
4D075DC21
4D075DC24
4F100AG00E
4F100AK01B
4F100AK01C
4F100AT00A
4F100AT00D
4F100BA05
4F100BA07
4F100EH463
4F100EJ91
4F100GB41
4F100JA02B
4F100JA02C
4F100JB13D
4F100JB14D
4F100JL13B
4F100JL13C
4F100YY00E
4J004AA10
4J004AB01
4J004AC03
4J040DF021
4J040JB09
4J040KA37
4J040MA05
(57)【要約】
【課題】支持体と薄ガラスとの間の空壁の発生を抑制することができることから、当該薄ガラスを加工する際に薄ガラスを均一に仮固定することができ、さらに、加工薄ガラスの汚染を防止することができる加工薄ガラスの製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の加工薄ガラスの製造方法は、基材層12と、基材層12の第1面12a側に設けられた粘着性樹脂層14と、基材層12の第2面12b側に設けられた粘着性樹脂層16と、粘着性樹脂層14および粘着性樹脂層16の少なくとも一方に熱膨張性微小球aを含み、熱膨張性微小球aを含む前記粘着性樹脂層と基材層12との間に設けられた中間層18と、を備える粘着性フィルム10を準備する工程と、支持体上20に、粘着性樹脂層16を介して粘着性フィルム10を貼り付ける工程と、粘着性樹脂層14の表面に薄ガラス30を仮固定する工程と、薄ガラス30を加工する工程と、を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材層と、
前記基材層の第1面側に設けられた粘着性樹脂層(A)と、
前記基材層の第2面側に設けられた粘着性樹脂層(B)と、
前記粘着性樹脂層(A)と前記基材層との間および前記粘着性樹脂層(B)と前記基材層との間の少なくとも一方の間に設けられた中間層(C)と、を備え、
粘着性樹脂層(A)および粘着性樹脂層(B)の少なくとも一方に熱膨張性微小球を含む粘着性フィルムを準備する工程と、
支持体上に、粘着性樹脂層(B)を介して前記粘着性フィルムを貼り付ける工程と、
前記粘着性樹脂層(A)の表面に薄ガラスを仮固定する工程と、
前記薄ガラスを加工する工程と、
を含む、加工薄ガラスの製造方法。
【請求項2】
前記粘着性フィルムを準備する前記工程は、
前記熱膨張性微小球を含む前記粘着性樹脂層と前記基材層との間に前記中間層(C)を備える粘着性フィルムを準備する工程である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記中間層(C)が、熱または/および光で架橋可能である請求項1または2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記薄ガラスの厚さが1μm~200μmである、請求項1ないし3いずれか1項に記載の製造方法。
【請求項5】
前記薄ガラスを加工する前記工程が、前記薄ガラス上へのインクジェット加工、グラビア印刷、スクリーン印刷、スプレー塗布、ディスペンサ塗布、エアスプレー、静電塗装、ロールコーティング、はけ塗り、ローラーブラシ塗り、および浸漬塗装から選ばれる、請求項1ないし4いずれか1項に記載の製造方法。
【請求項6】
前記熱膨張性微小球は、ガス化して膨張する物質を殻内に内包させた微小球を含む、請求項1ないし5いずれか1項に記載の製造方法。
【請求項7】
薄ガラスを仮固定し、当該薄ガラスを加工する際に用いられる粘着性フィルムであって、
基材層と、
前記基材層の第1面側に設けられた粘着性樹脂層(A)と、
前記基材層の第2面側に設けられた粘着性樹脂層(B)と、
前記粘着性樹脂層(A)と前記基材層との間および前記粘着性樹脂層(B)と前記基材層との間の少なくとも一方の間に設けられた中間層(C)と、を備え、
粘着性樹脂層(A)および粘着性樹脂層(B)の少なくとも一方に熱膨張性微小球を含む、粘着性フィルム。
【請求項8】
前記熱膨張性微小球を含む前記粘着性樹脂層と前記基材層との間に前記中間層(C)を備える、請求項7に記載の粘着性フィルム。
【請求項9】
前記中間層(C)が、熱または/および光で架橋可能である、請求項7または8に記載の粘着性フィルム。
【請求項10】
前記薄ガラスの厚さが1μm~200μmである、請求項7ないし9いずれか1項に記載の粘着性フィルム。
【請求項11】
前記熱膨張性微小球は、ガス化して膨張する物質を殻内に内包させた微小球を含む、請求項7ないし10いずれか1項に記載の粘着性フィルム。
【請求項12】
粘着性フィルム上に、厚さが1μm~200μmの薄ガラスを備える薄ガラス付き粘着性フィルムであって、
前記粘着性フィルムが、
基材層と、
前記基材層の第1面側に設けられた粘着性樹脂層(A)と、
前記基材層の第2面側に設けられた粘着性樹脂層(B)と、
前記粘着性樹脂層(A)と前記基材層との間および前記粘着性樹脂層(B)と前記基材層との間の少なくとも一方の間に設けられた中間層(C)と、を備え、
粘着性樹脂層(A)および粘着性樹脂層(B)の少なくとも一方に熱膨張性微小球を含み、
粘着性樹脂層(A)の表面に前記薄ガラスが仮固定されている、薄ガラス付き粘着性フィルム。
【請求項13】
前記熱膨張性微小球を含む前記粘着性樹脂層と前記基材層との間に前記中間層(C)を備える、請求項12に記載の薄ガラス付き粘着性フィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加工薄ガラスの製造方法、粘着性フィルムおよび薄ガラス付き粘着性フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
スマートフォンやタブレットのカバーガラスとして、特に折り曲げ可能なフレキシブルディスプレイが注目されている。フレキシブルディスプレイ材料としては、特に極薄ガラス基板(薄ガラス)が、酸素透過性の低さや透明性において透明ポリイミドなどの有機材料に比べ、利点が大きく注目されている。
【0003】
特許文献1には、厚さ10~150μmの薄ガラス基板を、基材層の少なくとも一方の側に真空蒸着温度より高い温度で膨張及び/又は発泡を開始する熱膨張性微小球を含有する熱剥離型粘着剤層を有する両面粘着テープを介して支持板に仮固定し、薄ガラス基板上に電極を形成する有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法が開示されている。
しかしながら、特許文献1において有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法で示されているように、上記のように薄ガラス基板は非常に脆いため、薄ガラス基板単体で搬送を行うと、搬送中に薄ガラス基板に「割れ」や「欠け」が発生して歩留まりが低下することがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2010/004703号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
また、近年では該薄ガラス基板上に、割れ防止用のポリマー層の形成や、スマートフォン本体との接着性や他部品との接着性を付与するための機能層を形成する塗布やインクジェット加工が実施される事が増えてきている。しかしながら、このような工程においても、上述した薄ガラス基板単体で搬送を行うと、搬送中に薄ガラス基板に「割れ」や「欠け」が発生して歩留まりが低下する問題があった。
【0006】
さらに、支持体上に、熱膨張性微小球を粘着層に含む自己剥離テープを介して薄ガラスを固定する場合、十分な熱剥離性を発現させるために、発泡球の大きさは粘着剤層の総厚に対して一定の比率が必要である。一方で、自己剥離テープは多少の厚みムラや硬さムラ、ウネリを有しているため、支持体と薄ガラスの間に空壁が発生し、均一に仮固定出来ない問題があった。さらに、空壁が存在することにより、塗工やインクジェット工程後のウェット洗浄時に、洗浄液がこの空壁に入りこみ薄ガラスが汚染されるという問題が有った。
【0007】
すなわち、本発明は、両面テープを用いて支持体に薄ガラスを仮固定し、当該薄ガラスを加工や搬送するにあたり、支持体と薄ガラスとの間の空壁の発生を抑制し、薄ガラスを均一に仮固定することを目的とする。さらに、本発明は、薄ガラスにインクジェット加工や塗布などで機能層を形成する場合において、薄ガラスの汚染を防止すること、を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは鋭意検討の結果、熱膨張性微小球を含む粘着性樹脂層と基材層との間に中間層を設けた粘着性フィルムを用いることにより前記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、以下に示すことができる。
【0009】
[1] 基材層と、
前記基材層の第1面側に設けられた粘着性樹脂層(A)と、
前記基材層の第2面側に設けられた粘着性樹脂層(B)と、
前記粘着性樹脂層(A)と前記基材層との間および前記粘着性樹脂層(B)と前記基材層との間の少なくとも一方の間に設けられた中間層(C)と、を備え、
粘着性樹脂層(A)および粘着性樹脂層(B)の少なくとも一方に熱膨張性微小球を含む粘着性フィルムを準備する工程と、
支持体上に、粘着性樹脂層(B)を介して前記粘着性フィルムを貼り付ける工程と、
前記粘着性樹脂層(A)の表面に薄ガラスを仮固定する工程と、
前記薄ガラスを加工する工程と、
を含む、加工薄ガラスの製造方法。
[2] 前記粘着性フィルムを準備する前記工程は、
前記熱膨張性微小球を含む前記粘着性樹脂層と前記基材層との間に前記中間層(C)を備える粘着性フィルムを準備する工程である、[1]に記載の加工薄ガラスの製造方法。
[3] 前記中間層(C)が、熱または/および光で架橋可能である[1]または[2]に記載の製造方法。
[4] 前記薄ガラスの厚さが1μm~200μmである、[1]ないし[3]いずれかに記載の製造方法。
[5] 前記薄ガラスを加工する前記工程が、前記薄ガラス上へのインクジェット加工、グラビア印刷、スクリーン印刷、スプレー塗布、ディスペンサ塗布、エアスプレー、静電塗装、ロールコーティング、はけ塗り、ローラーブラシ塗り、および浸漬塗装から選ばれる、[1]ないし[4]いずれかに記載の製造方法。
[6] 前記熱膨張性微小球は、ガス化して膨張する物質を殻内に内包させた微小球を含む、[1]ないし[5]いずれかに記載の製造方法。
[7] 薄ガラスを仮固定し、当該薄ガラスを加工する際に用いられる粘着性フィルムであって、
基材層と、
前記基材層の第1面側に設けられた粘着性樹脂層(A)と、
前記基材層の第2面側に設けられた粘着性樹脂層(B)と、
前記粘着性樹脂層(A)と前記基材層との間および前記粘着性樹脂層(B)と前記基材層との間の少なくとも一方の間に設けられた中間層(C)と、を備え、
粘着性樹脂層(A)および粘着性樹脂層(B)の少なくとも一方に熱膨張性微小球を含む、粘着性フィルム。
[8] 前記熱膨張性微小球を含む前記粘着性樹脂層と前記基材層との間に前記中間層(C)を備える、[7]に記載の粘着性フィルム。
[9] 前記中間層(C)が、熱または/および光で架橋可能である、[7]または[8]に記載の粘着性フィルム。
[10] 前記薄ガラスの厚さが1μm~200μmである、[7]ないし[9]いずれかに記載の粘着性フィルム。
[11] 前記熱膨張性微小球は、ガス化して膨張する物質を殻内に内包させた微小球を含む、[7]ないし[10]いずれかに記載の粘着性フィルム。
[12] 粘着性フィルム上に、厚さが1μm~200μmの薄ガラスを備える薄ガラス付き粘着性フィルムであって、
前記粘着性フィルムが、
基材層と、
前記基材層の第1面側に設けられた粘着性樹脂層(A)と、
前記基材層の第2面側に設けられた粘着性樹脂層(B)と、
前記粘着性樹脂層(A)と前記基材層との間および前記粘着性樹脂層(B)と前記基材層との間の少なくとも一方の間に設けられた中間層(C)と、を備え、
粘着性樹脂層(A)および粘着性樹脂層(B)の少なくとも一方に熱膨張性微小球を含み、
粘着性樹脂層(A)の表面に前記薄ガラスが仮固定されている、薄ガラス付き粘着性フィルム。
[13] 前記熱膨張性微小球を含む前記粘着性樹脂層と前記基材層との間に前記中間層(C)を備える、[12]に記載の薄ガラス付き粘着性フィルム。
【発明の効果】
【0010】
本発明の加工薄ガラスの製造方法によれば、熱膨張性微小球を含む粘着性樹脂層と基材層とを備える粘着性フィルムにおいて、中間層を設けることにより、支持体と薄ガラスとの間の空壁の発生を抑制することができることから、当該薄ガラスを加工する際に支持体に薄ガラスを均一に仮固定することができ、さらに、加工薄ガラスの汚染を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施形態の加工薄ガラスの製造方法の一例を模式的に示した断面図である。
図2】本実施形態の加工薄ガラスの製造方法の一例を模式的に示した断面図である。
図3】本実施形態の加工薄ガラスの製造方法の一例を模式的に示した断面図である
図4】本実施形態の加工薄ガラスの製造方法の一例を模式的に示した断面図である
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。
すべての図面において、同様な構成要素には共通の符号を付し、適宜説明を省略する。また、図は概略図であり、実際の寸法比率とは必ずしも一致しない。
明細書中、数値範囲に関する「A~B」との記載は、特に断りがなければ、A以上B以下を表す。例えば、1~5%とは1%以上5%以下を表す。
明細書中、「(メタ)アクリル」とは、アクリル、メタクリルまたはアクリルおよびメタクリルの両方を意味する。
【0013】
本実施形態の加工薄ガラスの製造方法は、基材層と、前記基材層の第1面側に設けられた粘着性樹脂層(A)と、前記基材層の第2面側に設けられた粘着性樹脂層(B)と、前記粘着性樹脂層(A)と前記基材層との間および前記粘着性樹脂層(B)と前記基材層との間の少なくとも一方の間に設けられた中間層(C)と、を備え、粘着性樹脂層(A)および粘着性樹脂層(B)の少なくとも一方に熱膨張性微小球を含む粘着性フィルムを準備する工程と、
支持体上に、粘着性樹脂層(B)を介して前記粘着性フィルムを貼り付ける工程と、
前記粘着性樹脂層(A)の表面に薄ガラスを仮固定する工程と、
前記薄ガラスを加工する工程と、を含む。
本実施形態の加工薄ガラスの製造方法によれば、支持体と薄ガラスとの間の空壁の発生を抑制することができることから、当該薄ガラスを加工する際に薄ガラスを支持体に均一に仮固定することができ薄ガラスの加工性に優れ、さらに、薄ガラスの汚染を防止することができる。
【0014】
以下、本実施形態の加工薄ガラスの製造方法を、第1~第4実施形態により説明する。
【0015】
[第1実施形態]
本実施形態の加工薄ガラスの製造方法は、図1(a)~(c)に示すように以下の工程を含む。
工程a:基材層12と、基材層12の第1面12a側に設けられた、熱膨張性微小球aを含む粘着性樹脂層14と、基材層12の第2面12b側に設けられた粘着性樹脂層16と、粘着性樹脂層14と基材層12との間に設けられた中間層18と、を備える粘着性フィルム10を準備する(図1(a))。
工程b:支持体20上に、粘着性樹脂層16を介して粘着性フィルム10を貼り付ける(図1(a))。
工程c:粘着性樹脂層14の表面に薄ガラス30を仮固定する(図1(b))。
工程d:薄ガラス30を加工する(図1(c))。
【0016】
本実施形態の加工薄ガラスの製造方法によれば、粘着性樹脂層14と薄ガラス30との間の空壁の発生を抑制することができることから、当該薄ガラスを加工する際に薄ガラスを支持体12に均一に仮固定することができ、さらに、加工薄ガラスの汚染を防止することができる。
またさらに、中間層18が存在することで、薄ガラス30を層14表面に均一に貼り付けることができ、薄ガラス30を支持体20に対して位置決めできることから、薄ガラス30の加工性に優れる。さらに薄ガラス30が層14表面に貼り付けられており後工程において加工薄ガラスをストレスフリーではく離することができる。
【0017】
(工程a)
当該工程においては、図1(a)に示されるような積層構造を備える粘着性フィルム10を準備する。本実施形態において、粘着性フィルム10は、仮固定された薄ガラスを加工するために用いられる。
【0018】
(基材層12)
粘着性フィルム10を構成する基材層12は、粘着性フィルム10の取り扱い性や機械的特性、耐熱性等の特性をより良好にすることを目的として設けられる層である。
基材層12は特に限定されないが、例えば、樹脂フィルムが挙げられる。
【0019】
樹脂フィルムを構成する樹脂としては、公知の熱可塑性樹脂を挙げることができる。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(4-メチル-1-ペンテン)、ポリ(1-ブテン)等のポリオレフィン;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル;ナイロン-6、ナイロン-66、ポリメタキシレンアジパミド等のポリアミド;ポリアクリレート;ポリメタアクリレート;ポリ塩化ビニル;ポリ塩化ビニリデン;ポリイミド;ポリエーテルイミド;エチレン・酢酸ビニル共重合体;ポリアクリロニトリル;ポリカーボネート;ポリスチレン;アイオノマー;ポリスルホン;ポリエーテルスルホン;ポリフェニレンエーテル等から選択される一種または二種以上を挙げることができる。
【0020】
これらの中でも、透明性や機械的強度、価格等のバランスに優れる観点から、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアミド、ポリイミドから選択される一種または二種以上が好ましく、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートから選択される少なくとも一種がより好ましい。
【0021】
基材層12は、単層であっても、二種以上の層であってもよい。
また、基材層12を形成するために使用する樹脂フィルムの形態としては、延伸フィルムであってもよいし、一軸方向または二軸方向に延伸したフィルムであってもよいが、基材層12の機械的強度を向上させる観点から、一軸方向または二軸方向に延伸したフィルムであることが好ましい。
【0022】
基材層12の厚さは、良好なフィルム特性を得る観点から、好ましくは1μm以上500μm以下、より好ましくは5μm以上300μm以下、さらに好ましくは10μm以上250μm以下である。
基材層12は、他の層との接着性を改良するために、表面処理を行ってもよい。具体的には、コロナ処理、プラズマ処理、アンダーコート処理、プライマーコート処理等を行ってもよい。
【0023】
(粘着性樹脂層14)
本実施形態に係る粘着性フィルム10は、基材層12の第1面12a側に粘着性樹脂層14を備える。粘着性樹脂層14は、例えば、薄ガラスの加工工程において薄ガラス30の表面に接触して薄ガラス30を仮固定するための層である。
粘着性樹脂層14は、熱膨張性微小球aを含んでおり、加熱剥離型の粘着性樹脂層である。これにより、加熱により粘着性フィルム10から薄ガラス30を容易に剥離することができる。
【0024】
熱膨張性微小球aとしては、例えば、マイクロカプセル化されている発泡剤を用いることができる。このような熱膨張性の微小球としては、例えば、イソブタン、プロパン、ペンタン等の加熱により容易にガス化して膨張する物質を、弾性を有する殻内に内包させた微小球等が挙げられる。上記殻を構成する材料として、例えば、塩化ビニリデン-アクリロニトリル共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスルホン等が挙げられる。熱膨張性の微小球は、例えば、コアセルベーション法や、界面重合法等により製造することができる。
【0025】
熱膨張性微小球aの含有量は、粘着性樹脂層14の膨張倍率や粘着力の低下性等に応じて適宜設定することができ、特に限定されないが、例えば、粘着性樹脂層14中の粘着性樹脂(A1)100質量部に対して、例えば1質量部以上150質量部以下、好ましくは10質量部以上130質量部以下、さらに好ましくは12質量部以上100質量部以下である。
気体が発生する温度や熱膨張性の微小球が熱膨張する温度が、150℃超または170℃超を超える温度になるように設計することが好ましい。
【0026】
粘着性樹脂層14を構成する粘着性樹脂(A1)としては、例えば、(メタ)アクリル系樹脂(a)、ウレタン系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、フッ素系樹脂、スチレン-ジエンブロック共重合体系樹脂等を挙げることができる。これらの中でも(メタ)アクリル系樹脂(a)が好ましい。
【0027】
粘着性樹脂層14に使用される(メタ)アクリル系粘着性樹脂(a)としては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー単位(a1)および架橋剤と反応し得る官能基を有するモノマー単位(a2)を含む共重合体が挙げられる。
本実施形態において、(メタ)アクリル酸アルキルエステルとは、アクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アルキルエステル、またはこれらの混合物を意味する。
【0028】
本実施形態に係る(メタ)アクリル系粘着性樹脂(a)は、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー(a1)および架橋剤と反応し得る官能基を有するモノマー(a2)を含むモノマー混合物を共重合することにより得ることができる。
【0029】
(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー単位(a1)を形成するモノマー(a1)としては、炭素数1~12程度のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルが挙げられる。好ましくは炭素数1~8のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルである。具体的には、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸-2-エチルヘキシル、メタクリル酸-2-エチルヘキシル等が挙げられる。これらは単独で使用してもよいし、2種以上を使用してもよい。
【0030】
本実施形態に係る(メタ)アクリル系粘着性樹脂(a)において、(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー単位(a1)の含有量は、(メタ)アクリル系粘着性樹脂(a)中の全モノマー単位の合計を100質量%としたとき、10質量%以上98.9質量%以下であることが好ましく、50質量%以上97質量%以下であることがより好ましく、85質量%以上95質量%以下であることがさらに好ましい。
【0031】
架橋剤と反応し得る官能基を有するモノマー(a2)を形成するモノマー(a2)としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、メサコン酸、シトラコン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸モノアルキルエステル、メサコン酸モノアルキルエステル、シトラコン酸モノアルキルエステル、フマル酸モノアルキルエステル、マレイン酸モノアルキルエステル、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、アクリル酸-2-ヒドロキシエチル、メタクリル酸-2-ヒドロキシエチル、アクリルアミド、メタクリルアミド、ターシャル-ブチルアミノエチルアクリレート、ターシャル-ブチルアミノエチルメタクリレート等が挙げられる。好ましくは、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸-2-ヒドロキシエチル、メタクリル酸-2-ヒドロキシエチル、アクリルアミド、メタクリルアミド等である。これらは単独で使用してもよいし、2種以上を使用してもよい。
本実施形態に係る(メタ)アクリル系粘着性樹脂(a)において、モノマー単位(a2)の含有量は、(メタ)アクリル系粘着性樹脂(a)中の全モノマー単位の合計を100質量%としたとき、1質量%以上40質量%以下であることが好ましく、1質量%以上20質量%以下であることがより好ましく、1質量%以上10質量%以下であることがさらに好ましい。
【0032】
本実施形態に係る(メタ)アクリル系粘着性樹脂(a)は、モノマー単位(a1)、モノマー単位(a2)以外に、2官能性モノマー単位(a3)や界面活性剤としての性質を有する特定のコモノマー(以下、重合性界面活性剤と称する)単位をさらに含んでもよい。
重合性界面活性剤は、モノマー(a1)、モノマー(a2)およびモノマー(a3)と共重合する性質を有すると共に、乳化重合する場合には乳化剤としての作用を有する。
【0033】
2官能性モノマー単位(a3)を形成するモノマー(a3)としては、メタクリル酸アリル、アクリル酸アリル、ジビニルベンゼン、メタクリル酸ビニル、アクリル酸ビニル、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレートや、例えば、両末端がジアクリレートまたはジメタクリレートで主鎖の構造がプロピレングリコール型(例えば、日本油脂(株)製;商品名:PDP-200、同PDP-400、同ADP-200、同ADP-400)、テトラメチレングリコール型(例えば、日本油脂(株)製;商品名:ADT-250、同ADT-850)およびこれらの混合型(例えば、日本油脂(株)製;商品名:ADET-1800、同ADPT-4000)であるもの等が挙げられる。
【0034】
本実施形態に係る(メタ)アクリル系粘着性樹脂(a)において、モノマー単位(a3)の含有量は、(メタ)アクリル系粘着性樹脂(a)中の全モノマー単位の合計を100質量%としたとき、0.1質量%以上30質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以上15質量%以下であることがより好ましく、0.1質量%以上20質量%以下であることがさらに好ましく、0.1質量%以上5質量%以下であることが特に好ましい。
【0035】
重合性界面活性剤の例としては、例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルのベンゼン環に重合性の1-プロペニル基を導入したもの(第一工業製薬(株)製;商品名:アクアロンRN-10、同RN-20、同RN-30、同RN-50等)、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルの硫酸エステルのアンモニウム塩のベンゼン環に重合性の1-プロペニル基を導入したもの(第一工業製薬(株)製;商品名:アクアロンHS-10、同HS-20、同HS-1025等)、および分子内に重合性二重結合を持つ、スルホコハク酸ジエステル系(花王(株)製;商品名:ラテムルS-120A、同S-180A等)等が挙げられる。
【0036】
本実施形態に係る(メタ)アクリル系粘着性樹脂(a)において、重合性界面活性剤の含有量は、(メタ)アクリル系粘着性樹脂(a)中の全モノマー単位の合計を100質量%としたとき、0.1質量%以上30質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以上20質量%以下であることがより好ましく、0.1質量%以上15質量%以下であることがさらに好ましく、0.1質量%以上5質量%以下であることが特に好ましい。
【0037】
本実施形態に係る(メタ)アクリル系粘着性樹脂(a)は、さらに必要に応じて、酢酸ビニル、アクリロニトリル、スチレン等の重合性2重結合を有するモノマーにより形成されたモノマー単位をさらに含有してもよい。
【0038】
本実施形態に係る(メタ)アクリル系粘着性樹脂(a)の重合反応機構としては、ラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合等が挙げられる。(メタ)アクリル系粘着性樹脂(a)の製造コスト、モノマーの官能基の影響および電子部品表面へのイオンの影響等を考慮すればラジカル重合によって重合することが好ましい。
ラジカル重合反応によって重合する際、ラジカル重合開始剤として、ベンゾイルパーオキサイド、ジ-t-ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、3,3,5-トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、ジ-2-エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、メチルエチルケトンパーオキサイド、t-ブチルパーオキシフタレート、t-ブチルパーオキシベンゾエート、ジ-t-ブチルパーオキシアセテート、t-ブチルパーオキシイソブチレート、t-ブチルパーオキシ-2-ヘキサノエート、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシ-3,5,5-トリメチルヘキサノエート、アセチルパーオキサイド、イソブチリルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、t-ブチルパーオキサイド、ジ-t-アミルパーオキサイド等の有機過酸化物;過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム等の無機過酸化物;2,2'-アゾ
ビスイソブチロニトリル、2,2'-アゾビス-2-メチルブチロニトリル、4,4'-アゾビス-4-シアノバレリックアシッド等のアゾ化合物が挙げられる。
【0039】
乳化重合法により重合する場合には、これらのラジカル重合開始剤の中で、水溶性の過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム等の無機過酸化物、同じく水溶性の4,4'-アゾビス-4-シアノバレリックアシッド等の分子内にカルボキシル基を持
ったアゾ化合物が好ましい。電子部品表面へのイオンの影響を考慮すれば、過硫酸アンモニウム、4,4'-アゾビス-4-シアノバレリックアシッド等の分子内にカルボキシル
基を有するアゾ化合物がさらに好ましく、4,4'-アゾビス-4-シアノバレリックア
シッド等の分子内にカルボキシル基を有するアゾ化合物が特に好ましい。
【0040】
本実施形態に係る粘着性樹脂層14は、粘着性樹脂(A1)に加えて、架橋性の官能基を1分子中に2個以上有する架橋剤(A2)をさらに含むことが好ましい。
架橋性の官能基を1分子中に2個以上有する架橋剤(A2)は、粘着性樹脂(A1)が有する官能基と反応させ、粘着力および凝集力を調整するために用いる。
このような架橋剤(A2)としては、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、レソルシンジグリシジルエーテル等のエポキシ系化合物;テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチロールプロパンのトルエンジイソシアネート3付加物、ポリイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート等のイソシアネート系化合物;トリメチロールプロパン-トリ-β-アジリジニルプロピオネート、テトラメチロールメタン-トリ-β-アジリジニルプロピオネート、N,N'-ジフェニルメタン-4,4'-ビス(1-アジリジンカルボキシアミド)、N,N'-ヘキサメチレン-1,6-ビス(1-アジリジンカルボキシアミド)、N,N'-トルエン-2,4-ビス(1-アジリジンカルボキシアミド)、トリメチロールプロパン-トリ-β-(2-メチルアジリジン)プロピオネート等のアジリジン系化合物;N,N,N',N'-テトラグリシジル-m-キシレンジアミン、1,3-ビス(N,N'-ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン等の4官能性エポキシ系化合物;ヘキサメトキシメチロールメラミン等のメラミン系化合物等が挙げられる。これらは単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、エポキシ系化合物、イソシアネート系化合物およびアジリジン系化合物から選択される一種または二種以上を含むことが好ましい。
【0041】
架橋剤(A2)の含有量は、通常、架橋剤(A2)中の官能基数が粘着性樹脂(A1)中の官能基数よりも多くならない程度の範囲が好ましい。しかし、架橋反応で新たに官能基が生じる場合や、架橋反応が遅い場合等、必要に応じて過剰に含有してもよい。
粘着性樹脂層14中の架橋剤(A2)の含有量は、粘着性樹脂(A1)100質量部に対し、0.1質量部以上10質量部以下であることが好ましく、0.5質量部以上5質量部以下であることがより好ましい。
【0042】
本実施形態に係る粘着性樹脂層14は、支持基板への密着性を向上させる観点から、粘着性樹脂(A1)に加えて、粘着付与樹脂を含むことが好ましい。粘着性樹脂層14に粘着付与樹脂を含有させることが、常温付近における支持基板との密着性の調整が容易となるために好ましい。粘着付与樹脂としては、その軟化点が100℃以上であるものが好ましい。粘着付与樹脂の具体例としては、エステル化等の処理をしたロジン系誘導体等のロジン系樹脂;α-ピネン系、β-ピネン系、ジペンテン系、テルペンフェノール系等のテルペン系樹脂;ガム系、ウッド系、トール油系等の天然系ロジン;これらの天然系ロジンに水素化、不均化、重合、マレイン化、石油樹脂;クマロン-インデン樹脂等を挙げることができる。
【0043】
これらのなかでも、軟化点が100~160℃の範囲内であるものがより好ましく、120~150℃の範囲であるものが特に好ましい。軟化点が上記範囲内である粘着付与樹脂を用いると、支持基板への汚染、糊残りが少ないばかりでなく、作業環境下における支持基板との密着性をさらに向上させることが可能となる。さらに、粘着付与樹脂として重合ロジンエステル系の粘着付与樹脂を用いると、支持基板への汚染、糊残りが少ないばかりか、80~130℃の環境下での支持基板との粘着性が向上するとともに、熱膨張性の微小球を含む加熱膨張型粘着剤の場合には、熱膨張性微小球の膨張後は、支持基板からさらに容易に剥離可能となる。
【0044】
粘着付与樹脂の配合割合は、粘着性樹脂層14の弾性率を所望とする所定の数値範囲内に調整することができるように適宜選択すればよく、特に制限はない。ただし、粘着性樹脂層14の弾性率と初期剥離力の面から、粘着性樹脂(A1)100質量部に対して、1~100質量部とすることが好ましい。粘着付与樹脂の配合割合が、粘着性樹脂(A1)100質量部に対して、上記下限値以上であると、作業時の支持基板との密着性が良好になる傾向にある。一方、上記上限値以下であると、常温における支持基板との貼り付け性が良好になる傾向にある。支持基板との密着性、及び常温における貼り付け性の面から、粘着付与樹脂の配合割合を、粘着性樹脂(A1)100質量部に対して、2~50質量部とすることがさらに好ましい。また、粘着付与樹脂の酸価は、30以下であることが好ましい。粘着付与樹脂の酸価が上記上限値以下であると剥離時に支持基板に糊残りが生じ難くなる傾向にある。
【0045】
粘着性樹脂層14は、その他の成分として、可塑剤等の添加剤を含んでもよい。粘着性樹脂層14中の粘着性樹脂(A1)、架橋剤(A2)および粘着付与樹脂の含有量の合計は粘着性樹脂層14の全体を100質量%としたとき、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上、特に好ましくは95質量%以上である。さらに粘着性樹脂層14が加熱膨張型粘着剤により構成されている場合は、粘着性樹脂層14中の粘着性樹脂(A1)、架橋剤(A2)、粘着付与樹脂、気体発生成分および熱膨張性の微小球の含有量の合計は、粘着性樹脂層14の全体を100質量%としたとき、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上、特に好ましくは95質量%以上である。
【0046】
粘着性樹脂層14は単層であっても多層であってもよい。例えば、加熱による膨張の程度が異なる2層以上を積層して粘着性樹脂層14とすることで、粘着性樹脂層14の一方の面と他方の面とで、粘着性/熱剥離性を変えることもできる。
粘着性樹脂層14の厚さは、例えば、5μm以上300μm以下であることが好ましく、20μm以上150μm以下であることがより好ましい。
【0047】
熱膨張性微小球aの平均粒子径D50は、例えば、1μm以上47μm以下であることが好ましく、5μm以上27μm以下であることがより好ましい。さらに、熱膨張性微小球aの粒子径D99.9は20μm以上300μm以下であることが好ましく、30μm以上180μm以下であることがより好ましい。本実施形態においては、熱膨張性微小球aの平均粒子径D50が粘着性樹脂層14の層厚よりも大きいか、あるいは粒子径D99.9が粘着性樹脂層14の層厚よりも大きい関係にある。
粘着性フィルム10の両側に、硬度の高い支持体20と硬度の高い薄ガラス30を積層する場合においては、熱膨張性微小球aの粒子径の影響は、薄ガラス30と粘着性樹脂層14との間に空壁の発生として現れる。本実施形態における粘着性フィルム10は、基材層12と粘着性樹脂層14の間に中間層18を備えているため、熱膨張性微小球aの粒子径が粘着性樹脂層14の厚さを超える場合であっても、薄ガラス30と粘着性樹脂層14との間に空壁の発生を抑制することができることから、薄ガラス30を加工する際に薄ガラス30を均一に仮固定することができ、さらに、薄ガラス30の汚染を防止することができる。
粘着性樹脂層は、熱膨張性微小球aを含む粘着性樹脂層14と、熱膨張性微小球aを含まない以外は層14と同様な組成の粘着性樹脂層との複数層から構成されていてもよい。この実施形態において、複数層である粘着性樹脂層全体の厚みTに対し、熱膨張性微小球aの平均粒子径D50がT/2よりも大きいか、あるいは粒子径D99.9がT/2よりも大きい関係にある場合であっても、中間層18を設けることにより上述した効果を奏することができる。
熱膨張性微小球aの平均粒子径は一般的な粒子形状・粒子径分析装置で測定することができ、例えばマイクロトラックMT3000IIやFPIA-3000、マスターサイザー3000Eなどが挙げられる。
【0048】
粘着性樹脂層14は、例えば、中間層18上に粘着剤塗布液を塗布する方法や、セパレータ上に形成した粘着性樹脂層14を中間層18上に移着する方法等により形成することができる。
粘着剤塗布液を塗布する方法としては、従来公知の塗布方法、例えば、ロールコーター法、リバースロールコーター法、グラビアロール法、バーコート法、コンマコーター法、ダイコーター法等が採用できる。塗布された粘着剤の乾燥条件には特に制限はないが、一般的には、80~200℃の温度範囲において、10秒~10分間乾燥することが好ましい。さらに好ましくは、80~170℃において、15秒~5分間乾燥する。架橋剤と粘着剤との架橋反応を十分に促進させるために、粘着剤塗布液の乾燥が終了した後、40~80℃において5~300時間程度加熱してもよい。
【0049】
また、基材層12と粘着性樹脂層14とは共押出成形によって形成してもよいし、フィルム状の基材層12とフィルム状の粘着性樹脂層14とをラミネート(積層)して形成してもよい。
基材層12と中間層18と粘着性樹脂層14は共押出成形によって形成してもよいし、フィルム状の基材層12とフィルム状の中間層18とフィルム状の粘着性樹脂層14とをラミネート(積層)して形成してもよい。
【0050】
(粘着性樹脂層16)
粘着性樹脂層16は、基材層12の第1面12aとは裏面側の第2面12b側に設けられる層である。粘着性樹脂層16は、例えば、薄ガラスの加工工程において、後述する支持体20の表面に接触して、「薄ガラス付き粘着性フィルム」を仮固定するための層である。
【0051】
粘着性樹脂層16は、通常、粘着性樹脂(B1)を含む。
粘着性樹脂(B1)としては、例えば、(メタ)アクリル系粘着性樹脂(b)、シリコーン系粘着性樹脂、ウレタン系粘着性樹脂、オレフィン系粘着性樹脂、スチレン系粘着性樹脂等が挙げられる。
これらの中でも、粘着力の調整を容易にする観点等から、(メタ)アクリル系粘着性樹脂(b)が好ましい。
【0052】
粘着性樹脂層16は、放射線により粘着力を低下させることができる放射線架橋型粘着性樹脂層であることもできる。放射線架橋型粘着性樹脂層に放射線を照射すると、架橋して粘着力が著しく減少するため、薄ガラスから粘着性フィルム10を剥離しやすくなる。放射線としては、紫外線、電子線、赤外線等が挙げられる。
放射線架橋型粘着性樹脂層としては、紫外線架橋型粘着性樹脂層が好ましい。
【0053】
粘着性樹脂層16に使用される(メタ)アクリル系粘着性樹脂(b)としては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー単位(b1)および架橋剤と反応し得る官能基を有するモノマー単位(b2)を含む共重合体が挙げられる。
本実施形態において、(メタ)アクリル酸アルキルエステルとは、アクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アルキルエステル、またはこれらの混合物を意味する。
【0054】
本実施形態に係る(メタ)アクリル系粘着性樹脂(b)は、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー(b1)および架橋剤と反応し得る官能基を有するモノマー(b2)を含むモノマー混合物を共重合することにより得ることができる。
【0055】
(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー単位(b1)を形成するモノマー(b1)としては、炭素数1~12程度のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルが挙げられる。好ましくは炭素数1~8のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルである。具体的には、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸-2-エチルヘキシル、メタクリル酸-2-エチルヘキシル等が挙げられる。これらは単独で使用してもよいし、2種以上を使用してもよい。
【0056】
本実施形態に係る(メタ)アクリル系粘着性樹脂(b)において、(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー単位(b1)の含有量は、(メタ)アクリル系粘着性樹脂(b)中の全モノマー単位の合計を100質量%としたとき、10質量%以上98.9質量%以下であることが好ましく、50質量%以上97質量%以下であることがより好ましく、85質量%以上95質量%以下であることがさらに好ましい。
【0057】
架橋剤と反応し得る官能基を有するモノマー(b2)を形成するモノマー(b2)としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、メサコン酸、シトラコン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸モノアルキルエステル、メサコン酸モノアルキルエステル、シトラコン酸モノアルキルエステル、フマル酸モノアルキルエステル、マレイン酸モノアルキルエステル、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、アクリル酸-2-ヒドロキシエチル、メタクリル酸-2-ヒドロキシエチル、アクリルアミド、メタクリルアミド、ターシャル-ブチルアミノエチルアクリレート、ターシャル-ブチルアミノエチルメタクリレート等が挙げられる。好ましくは、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸-2-ヒドロキシエチル、メタクリル酸-2-ヒドロキシエチル、アクリルアミド、メタクリルアミド等である。これらは単独で使用してもよいし、2種以上を使用してもよい。
本実施形態に係る(メタ)アクリル系粘着性樹脂(b)において、モノマー単位(b2)の含有量は、(メタ)アクリル系粘着性樹脂(b)中の全モノマー単位の合計を100質量%としたとき、1質量%以上40質量%以下が好ましく、1質量%以上20質量%以下がより好ましく、1質量%以上10質量%以下がさらに好ましい。
【0058】
本実施形態に係る(メタ)アクリル系粘着性樹脂(b)は、モノマー単位(b1)、モノマー単位(b2)以外に、2官能性モノマー単位(b3)や界面活性剤としての性質を有する特定のコモノマー(以下、重合性界面活性剤と称する)単位をさらに含んでもよい。
重合性界面活性剤は、モノマー(b1)、モノマー(b2)およびモノマー(b3)と共重合する性質を有すると共に、乳化重合する場合には乳化剤としての作用を有する。
【0059】
2官能性モノマー単位(b3)を形成するモノマー(b3)としては、メタクリル酸アリル、アクリル酸アリル、ジビニルベンゼン、メタクリル酸ビニル、アクリル酸ビニル、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレートや、例えば、両末端がジアクリレートまたはジメタクリレートで主鎖の構造がプロピレングリコール型(例えば、日本油脂(株)製、商品名;PDP-200、同PDP-400、同ADP-200、同ADP-400)、テトラメチレングリコール型(例えば、日本油脂(株)製、商品名;ADT-250、同ADT-850)およびこれらの混合型(例えば、日本油脂(株)製、商品名:ADET-1800、同ADPT-4000)であるもの等が挙げられる。
【0060】
本実施形態に係る(メタ)アクリル系粘着性樹脂(b)において、モノマー単位(b3)の含有量は、(メタ)アクリル系粘着性樹脂(b)中の全モノマー単位の合計を100質量%としたとき、0.1質量%以上30質量%以下が好ましく、0.1質量%以上15質量%以下がより好ましく、0.1質量%以上20質量%以下がさらに好ましく、0.1質量%以上5質量%以下が特に好ましい。
【0061】
重合性界面活性剤の例としては、例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルのベンゼン環に重合性の1-プロペニル基を導入したもの(第一工業製薬(株)製;商品名:アクアロンRN-10、同RN-20、同RN-30、同RN-50等)、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルの硫酸エステルのアンモニウム塩のベンゼン環に重合性の1-プロペニル基を導入したもの(第一工業製薬(株)製;商品名:アクアロンHS-10、同HS-20、同HS-1025等)、および分子内に重合性二重結合を持つ、スルホコハク酸ジエステル系(花王(株)製;商品名:ラテムルS-120A、同S-180A等)等が挙げられる。
本実施形態に係る(メタ)アクリル系粘着性樹脂(b)において、重合性界面活性剤の含有量は、(メタ)アクリル系粘着性樹脂(b)中の全モノマー単位の合計を100質量%としたとき、0.1質量%以上30質量%以下が好ましく、0.1質量%以上15質量%以下がより好ましく、0.1質量%以上20質量%以下がさらに好ましく、0.1質量%以上5質量%以下が特に好ましい。
【0062】
本実施形態に係る(メタ)アクリル系粘着性樹脂(b)は、さらに必要に応じて、酢酸ビニル、アクリロニトリル、スチレン等の重合性二重結合を有するモノマーにより形成されたモノマー単位をさらに含有してもよい。
【0063】
本実施形態に係る(メタ)アクリル系粘着性樹脂(b)の重合反応機構としては、ラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合等が挙げられる。(メタ)アクリル系粘着性樹脂(b)の製造コスト、モノマーの官能基の影響および電子部品表面へのイオンの影響等を考慮すればラジカル重合によって重合することが好ましい。
ラジカル重合反応によって重合する際、ラジカル重合開始剤として、ベンゾイルパーオキサイド、ジ-t-ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、3,3,5-トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、ジ-2-エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、メチルエチルケトンパーオキサイド、t-ブチルパーオキシフタレート、t-ブチルパーオキシベンゾエート、ジ-t-ブチルパーオキシアセテート、t-ブチルパーオキシイソブチレート、t-ブチルパーオキシ-2-ヘキサノエート、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシ-3,5,5-トリメチルヘキサノエート、アセチルパーオキサイド、イソブチリルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、t-ブチルパーオキサイド、ジ-t-アミルパーオキサイド等の有機過酸化物;過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム等の無機過酸化物;2,2'-アゾ
ビスイソブチロニトリル、2,2'-アゾビス-2-メチルブチロニトリル、4,4'-アゾビス-4-シアノバレリックアシッド等のアゾ化合物が挙げられる。
【0064】
乳化重合法により重合する場合には、これらのラジカル重合開始剤の中で、水溶性の過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム等の無機過酸化物、同じく水溶性の4,4'-アゾビス-4-シアノバレリックアシッド等の分子内にカルボキシル基を持
ったアゾ化合物が好ましい。電子部品表面へのイオンの影響を考慮すれば、過硫酸アンモニウム、4,4'-アゾビス-4-シアノバレリックアシッド等の分子内にカルボキシル
基を有するアゾ化合物がさらに好ましく、4,4'-アゾビス-4-シアノバレリックア
シッド等の分子内にカルボキシル基を有するアゾ化合物が特に好ましい。
【0065】
本実施形態に係る粘着性樹脂層16は、粘着性樹脂(B1)に加えて、架橋性の官能基を1分子中に2個以上有する架橋剤(B2)をさらに含むことが好ましい。
【0066】
架橋性の官能基を1分子中に2個以上有する架橋剤(B2)は、粘着性樹脂(B1)が有する官能基と反応させ、粘着力および凝集力を調整するために用いることができる。
このような架橋剤(B2)としては、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、レソルシンジグリシジルエーテル等のエポキシ系化合物;テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチロールプロパンのトルエンジイソシアネート3付加物、ポリイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート等のイソシアネート系化合物;トリメチロールプロパン-トリ-β-アジリジニルプロピオネート、テトラメチロールメタン-トリ-β-アジリジニルプロピオネート、N,N'-ジフェニルメタン-4,4'-ビス(1-アジリジンカルボキシアミド)、N,N'-ヘキサメチレン-1,6-ビス(1-アジリジンカルボキシアミド)、N,N'-トルエン-2,4-ビス(1-アジリジンカルボキシアミド)、トリメチロールプロパン-トリ-β-(2-メチルアジリジン)プロピオネート等のアジリジン系化合物;N,N,N',N'-テトラグリシジル-m-キシレンジアミン、1,3-ビス(N,N'-ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン等の4官能性エポキシ系化合物;ヘキサメトキシメチロールメラミン等のメラミン系化合物等が挙げられる。これらは単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、エポキシ系化合物、イソシアネート系化合物およびアジリジン系化合物から選択される一種または二種以上を含むことが好ましい。
【0067】
架橋剤(B2)の含有量は、通常、架橋剤(B2)中の官能基数が粘着性樹脂(B1)中の官能基数よりも多くならない程度の範囲が好ましい。しかし、架橋反応で新たに官能基が生じる場合や、架橋反応が遅い場合等、必要に応じて過剰に含有してもよい。
粘着性樹脂層16中の架橋剤(B2)の含有量は、粘着性樹脂層16の耐熱性や密着力とのバランスを向上させる観点から、粘着性樹脂(B1)100質量部に対し、0.1質量部以上15質量部以下であることが好ましい。
【0068】
粘着性樹脂層16は、その他の成分として、可塑剤、粘着付与樹脂等の添加剤を含んでもよい。粘着性樹脂層16が放射線架橋型粘着性樹脂層の場合は放射線架橋のための各種添加剤を含んでもよい。粘着性樹脂層16中の粘着性樹脂(B1)および架橋剤(B2)の含有量の合計は、粘着性樹脂層16の全体を100質量%としたとき、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上、特に好ましくは95質量%以上である。これにより、支持体20から粘着性フィルム10を剥離する際の支持体20側の糊残りをより一層抑制することができる。
【0069】
粘着性樹脂層16は、単層であっても多層であってもよい。
粘着性樹脂層16の厚さは特に制限されないが、例えば、1μm以上100μm以下が好ましく、3μm以上50μm以下がより好ましい。
【0070】
粘着性樹脂層16は、例えば、基材層12上に粘着剤を塗布することにより形成することができる。粘着剤は溶剤に溶解して塗布液として塗布してもよいし、水系エマルジョンとして塗布してもよいし、液状の粘着剤を直に塗布してもよい。
中でも水系エマルジョン塗布液が好ましい。水系エマルジョン塗布液としては、例えば、(メタ)アクリル系粘着性樹脂(b)、シリコーン系粘着性樹脂、ウレタン系粘着性樹脂、オレフィン系粘着性樹脂、スチレン系粘着性樹脂等を水に分散させた塗布液が挙げられる。
【0071】
有機溶剤に溶解した粘着剤塗布液を用いてもよい。有機溶剤は特に限定されず、溶解性や乾燥時間を鑑みて公知の中から適宜選択すればよい。有機溶剤としては、酢酸エチル、酢酸メチル等のエステル系;アセトン、MEK等のケトン系;ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン等の芳香族系;ヘプタン、ヘキサン、シクロヘキサン等の直鎖ないし環状脂肪族系;イソプロパノール、ブタノール等のアルコール系を例示することができる。有機溶剤として酢酸エチル、トルエンが好ましい。これらの溶剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
【0072】
粘着剤塗布液を塗布する方法としては、従来公知の塗布方法、例えば、ロールコーター法、リバースロールコーター法、グラビアロール法、バーコート法、コンマコーター法、ダイコーター法等が採用できる。塗布された粘着剤の乾燥条件には特に制限はないが、一般的には、80~200℃の温度範囲において、10秒~10分間乾燥することが好ましい。さらに好ましくは、80~170℃において、15秒~5分間乾燥する。架橋剤と粘着剤との架橋反応を十分に促進させるために、粘着剤塗布液の乾燥が終了した後、40~80℃において5~300時間程度加熱してもよい。
【0073】
また、基材層12と粘着性樹脂層14や中間層18とは共押出成形によって形成してもよいし、フィルム状の基材層12とフィルム状の粘着性樹脂層14とをラミネート(積層)して形成してもよい。後述の実施例においては、まず、セパレータ(剥離フィルム)の表面に粘着性樹脂層14を形成し、その後、その粘着性樹脂層14を、他の層と貼り合わせることで、粘着性フィルムを製造している。
【0074】
(中間層18)
本実施形態に係る粘着性フィルム10は、基材層12と粘着性樹脂層14との間に、外部刺激により架橋可能な中間層18を有する。
中間層18は、熱膨張性微小球aにより生じる粘着性樹脂層14表面の凹凸を吸収し、支持体12と薄ガラス30との間の空壁の発生を抑制することができることから、当該薄ガラスを加工する際に薄ガラスを均一に仮固定することができ、さらに、薄ガラスの汚染を防止することができる。またさらに、中間層18が存在することで、薄ガラス30を支持体20に対して位置決めでき、薄ガラス30の加工性に優れる。
さらに、中間層18は外部刺激によって架橋硬化することで、中間層18の弾性率を高めることができる。これによって、薄ガラス30の加工において、薄ガラス30を支持体20に対してより正確に位置決めすることができ、薄ガラス30の加工性にさらに優れる。
外部刺激としては、例えば、熱または光が挙げられる。
中間層18は、その作用から、凹凸吸収性樹脂層18と記載することもできる。
【0075】
中間層18を構成する樹脂は、凹凸吸収性を示すものであれば特に限定されず、例えば、熱可塑性樹脂が好ましい。具体的には、ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、および(メタ)アクリル系樹脂からなる群から選択される一種または二種以上がより好ましい。別観点として、ASTM D-2240のD型ショアーによるショアーD型硬度が、好ましくは50以下、より好ましくは40以下の樹脂が好ましい。
中間層18を構成する樹脂が熱可塑性樹脂でない場合でも、上記と同等の凹凸吸収性を有することが好ましい。
【0076】
中間層18は、樹脂と、架橋剤と、外部刺激により活性化学種を発生する開始剤とを含むことが好ましい。中間層18がこれら成分を含むことにより、外部刺激により中間層18をより効果的に架橋させることができ、中間層18の弾性率をより一層向上させることが可能となる。これにより、封止材により電子部品を封止する工程において、熱により中間層が軟化するのを抑制でき、その結果、封止材の圧力により電子部品が粘着性フィルム10に沈みこむことをより一層抑制することができる。
なお、樹脂や架橋剤の化学構造や反応性によっては、中間層18は、必ずしも開始剤を含まずとも、外部刺激により架橋(硬化)する場合がある。
【0077】
中間層18の形成に使用可能な樹脂は、特に限定されないが、例えば、前述の粘着性樹脂層14における粘着性樹脂(A1)として説明した樹脂などを好ましく挙げることができる。
【0078】
その他、中間層18の形成に使用可能な樹脂は、特に限定されず、例えば、エチレンおよび炭素数3~20のα-オレフィンとを含むエチレン・α-オレフィン共重合体、高密度エチレン系樹脂、低密度エチレン系樹脂、中密度エチレン系樹脂、超低密度エチレン系樹脂、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)系樹脂、プロピレン(共)重合体、1-ブテン(共)重合体、4-メチルペンテン-1(共)重合体、エチレン・環状オレフィン共重合体、エチレン・α-オレフィン・環状オレフィン共重合体、エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体、エチレン・α-オレフィン・共役ポリエン共重合体、エチレン・芳香族ビニル共重合体、エチレン・α-オレフィン・芳香族ビニル共重合体等のオレフィン系樹脂;エチレン・不飽和無水カルボン酸共重合体、エチレン・α-オレフィン・不飽和無水カルボン酸共重合体等のエチレン・無水カルボン酸系共重合体;エチレン・エポキシ含有不飽和化合物共重合体、エチレン・α-オレフィン・エポキシ含有不飽和化合物共重合体等のエチレン・エポキシ系共重合体;エチレン・(メタ)アクリル酸エチル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸メチル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸プロピル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸ブチル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸ヘキシル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸-2-ヒドロキシエチル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸-2-ヒドロキシプロピル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸グリシジル共重合体等のエチレン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体;エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン・マレイン酸共重合体、エチレン・フマル酸共重合体、エチレン・クロトン酸共重合体等のエチレン・エチレン性不飽和酸共重合体;エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・プロピオン酸ビニル共重合体、エチレン・酪酸ビニル共重合体、エチレン・ステアリン酸ビニル共重合体等のエチレン・ビニルエステル共重合体;エチレン・スチレン共重合体等;(メタ)アクリル酸エステル(共)重合体等の不飽和カルボン酸エステル(共)重合体;エチレン・アクリル酸金属塩共重合体、エチレン・メタアクリル酸金属塩共重合体等のアイオノマー樹脂;ウレタン系樹脂;シリコーン系樹脂;アクリル酸系樹脂;メタアクリル酸系樹脂;環状オレフィン(共)重合体;α-オレフィン・芳香族ビニル化合物・芳香族ポリエン共重合体;エチレン・α-オレフィン・芳香族ビニル化合物;芳香族ポリエン共重合体;エチレン・芳香族ビニル化合物・芳香族ポリエン共重合体;スチレン系樹脂;アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体;スチレン・共役ジエン共重合体;アクリロニトリル・スチレン共重合体;アクリロニトリル・エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン・スチレン共重合体;アクリロニトリル・エチレン・α-オレフィン・共役ポリエン・スチレン共重合体;メタアクリル酸・スチレン共重合体;エチレンテレフタレート樹脂;フッ素樹脂;ポリエステルカーボネート;ポリ塩化ビニル;ポリ塩化ビニリデン;ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー;ポリスチレン系熱可塑性エラストマー;ポリウレタン系熱可塑性エラストマー;1,2-ポリブタジエン系熱可塑性エラストマー;トランスポリイソプレン系熱可塑性エラストマー;塩素化ポリエチレン系熱可塑性エラストマー;液晶性ポリエステル;ポリ乳酸等から選択される一種または二種以上を用いることができる。
中間層18は、1のみの樹脂を含んでもよいし、2以上の樹脂を含んでもよい。
【0079】
中間層18が含むことができる架橋剤としては、開始剤から発生する化学種により架橋反応するものを特に制限なく挙げることができる。
好ましい架橋剤としは、多官能(メタ)アクリレート化合物を挙げることができる。より具体的には、ウレタン(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリストールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリストールモノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0080】
また、架橋剤としては、ウレタン系、ポリエーテル系、ポリエステル系、ポリカーボネート系、ポリブタジエン系等、種々のモノマーまたはオリゴマーも挙げられる。
架橋剤の量は、(メタ)アクリル系重合体等の樹脂(ベースポリマー)100質量部に対して、例えば5質量部以上500質量部以下、好ましくは40質量部以上150質量部以下である。
【0081】
別観点として、中間層18は、前述の粘着性樹脂層(A)が含むことができる架橋剤(A2)を1または2以上含んでもよい。具体的には、中間層18は、イソシアネート系化合物を含んでもよい。このような架橋材を用いる場合、その量は、樹脂(ベースポリマー)100質量部に対して、例えば0.01質量部以上5質量部以下、好ましくは0.01質量部以上3質量部以下である。
【0082】
中間層18が含むことができる開始剤(外部刺激により活性化学種を発生する開始剤)は、熱または光により、中間層18中の樹脂および/または架橋剤を架橋させることが可能なものであれば、特に限定されない。他の層の光透過性が高くない場合があり得ることや、電子部品により光がさえぎられる可能性があることを考慮すると、開始剤は、熱により活性化学種を発生する開始剤であることが好ましい。
開始剤から発生する化学種は、樹脂および/または架橋剤が有する官能基に基づき適宜選択すればよい。開始剤から発生する化学種は、典型的には、ラジカルまたはカチオンである。
【0083】
開始剤の例としては、芳香族ケトン類、オニウム塩化合物、有機過酸化物、チオ化合物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、ケトオキシムエステル化合物、ボレート化合物、アジニウム化合物、メタロセン化合物、活性エステル化合物、炭素ハロゲン結合を有する化合物、アゾ系化合物等が挙げられる。これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらのうち、入手容易性、取扱性、などの点で、アゾ系化合物または有機過酸化物が好ましく、有機過酸化物がより好ましい。
【0084】
開始剤の市販品としては、V-70、V-65、V-601、V-59、V-40、VF-096、V-30、VAm-110、VAm-111(以上、富士フイルム和光純薬社製)、ナイパーBW、ナイパーBMT、パーロイルTCP、パーロイルL、パーロイル355、パーロイルSA、パーヘキサHC、パーブチル355、パーブチルD、パーブチルL、パーブチルND、パーオクタO、パーヘキシルD、パーヘキシルO、パーヘキシルPV(以上、日油製)、トリゴノックス36-C75、ラウロックス、パーカドックスL-W75、パーカドックスCH-50L、トリゴノックスTMBH、カヤクメンH、カヤブチルH-70、パーカドックスBC-FF、カヤヘキサAD、パーカドックス14、カヤブチルC、カヤブチルD、パーカドックス12-XL25、トリゴノックス22-N70(22-70E)、トリゴノックスD-T50、トリゴノックス423-C70、カヤエステルCND-C70、トリゴノックス23-C70、トリゴノックス257-C70、カヤエステルP-70、カヤエステルTMPO-70、トリゴノックス121、カヤエステルO、カヤエステルHTP-65W、カヤエステルAN、トリゴノックス42、トリゴノックスF-C50、カヤブチルB、カヤカルボンEH、カヤカルボンI-20、カヤカルボンBIC-75、トリゴノックス117、カヤレン6-70(以上、化薬アクゾ社製)などが挙げられる
【0085】
中間層18が開始剤を含む場合、その量は、(メタ)アクリル系重合体等の樹脂(ベースポリマー)100質量部に対して、0.1質量部以上が好ましく、0.3質量部以上がより好ましく、0.5質量部以上がさらに好ましい。また、保存安定性向の点から、15質量部以下が好ましく、5質量部以下がより好ましい。
【0086】
本実施形態に係る粘着性フィルム10において、架橋前の中間層18の60℃における貯蔵弾性率E'の下限は、電子部品の封止工程における電子部品の粘着性フ
ィルムへの沈みこみをより一層抑制することができる点から、1.0×10Pa以上が好ましく、5.0×103Pa以上がより好ましい。
また、本実施形態に係る粘着性フィルム10において、架橋前の中間層18の60℃における貯蔵弾性率E'の上限は、チップ表面の凹凸を効果的に吸収し、更に
樹脂のスプリングバックによって経時で凹凸吸収が悪化することを防止できる点から、1.0×10Pa以下が好ましく、5.0×10Pa以下がより好ましい。
架橋前の中間層18の60℃における貯蔵弾性率E'は、例えば、凹凸吸
収性樹脂層(C)を構成する各成分の種類や配合割合を制御することにより上記範囲内に制御することができる。
【0087】
本実施形態に係る粘着性フィルム10において、中間層18を架橋して得られる中間層(C')の125℃における貯蔵弾性率E'の下限は、電子部品の封止工程における電子部品の粘着性フィルムへの沈みこみをより一層抑制することができる点から、1.0×10Pa以上が好ましく、5.0×10Pa以上がより好ましい。
また、本実施形態に係る粘着性フィルム10において、中間層(C')の1
25℃における貯蔵弾性率E'の上限は、封止工程における電子部品の位置ずれをより一
層抑制することができる点から、1.0×10Pa以下が好ましく、1.0×10Pa以下がより好ましい。
中間層(C')の125℃における貯蔵弾性率E'は、例えば、中間層18を構成する各成分の種類や配合割合を制御することにより上記範囲内に制御することができる。
ここで、中間層18の架橋処理が完了しているか否かは、例えば、架橋処理をおこなっても中間層18の貯蔵弾性率E'の増加が起きなくなった点を
架橋完了点と判断することができる。
【0088】
中間層18の厚さは、粘着性樹脂層14表面の凹凸を吸収することができる厚さであれば、特に制限されないが、例えば、10μm以上1000μm以下であることが好ましく、20μm以上900μm以下であることがより好ましく、30μm以上800μm以下であることがさらに好ましく、50μm以上700μm以下であることが特に好ましい。
【0089】
中間層18の形成方法は、特に限定されず、粘着性樹脂層(A)や粘着性樹脂層(B)と同様の方法を採用することができる。
【0090】
(その他の層)
本実施形態に係る粘着性フィルム10は、本実施形態の効果を損なわない範囲で、各層の間に、例えば、易接着層等がさらに設けられていてもよい。
【0091】
(工程b)
当該工程においては、図1(a)に示すように、支持体20上に、粘着性樹脂層16を介して粘着性フィルム10を貼り付ける。
具体的には、まず、支持体20上に、粘着性フィルム10を、粘着性樹脂層16が支持体20側となるように貼着する。粘着性樹脂層16上にはセパレータと称する保護フィルムが貼付けられていてもよく、当該保護フィルムを剥がし、粘着性樹脂層16の露出面を支持体20表面に貼着することができる。
支持体20としては、例えば、石英基板、ガラス基板、SUS基板等を使用することができる。
【0092】
(工程c)
当該工程においては、図1(b)に示すように、粘着性樹脂層14の表面に薄ガラス30を貼り付けて仮固定する。
薄ガラス30は図1(b)に示すように複数個に個片化されていてもよく、1枚の薄ガラスであってもよい。
【0093】
1枚の薄ガラスを粘着性樹脂層14の表面に貼り付ける方法としては、例えば、薄ガラスの巻回体から順次巻き出して、粘着性樹脂層14の表面に載置して仮固定される。
複数個に個片化された薄ガラスを粘着性樹脂層14の表面に貼り付ける方法としては、例えば、薄ガラスの巻回体から順次巻き出して、粘着性樹脂層14の表面に載置し、次いで薄ガラスを個片化する方法、複数個に個片化された薄ガラスが貼り付けられた樹脂フィルム付き薄ガラスの巻回体から順次巻き出して、粘着性樹脂層14の表面に薄ガラスを載置し、次いで樹脂フィルム付き薄ガラスから樹脂フィルムを剥離する方法、または個片化された複数の薄ガラスを順次載置する方法等が挙げられる。
薄ガラスの厚さは、1μm以上200μm以下が好ましく、10μm以上150μm以下がより好ましい。
【0094】
(工程d)
当該工程においては、図1(c)に示すように、薄ガラス30を加工し、加工薄ガラスを得る。
薄ガラス30の加工方法としては、薄ガラス30上へのインクジェット加工、グラビア印刷、スクリーン印刷、スプレー塗布、ディスペンサ塗布、エアスプレー、静電塗装、ロールコーティング、はけ塗り、ローラーブラシ塗り、および浸漬塗装から選ばれる
【0095】
インクジェット加工においては、インクを直接薄ガラス30上に噴きつけることで印刷をすることができる。
グラビア印刷は、微細な濃淡を精密・美麗に表現することができ、高速性に優れているため、一度に多量の薄ガラス30上に印刷(塗布)することができる。
【0096】
スクリーン印刷により、ポリエステルなどの合成繊維、またはステンレスや各種金属繊維で織った「スクリーンメッシュ」を用いたスクリーンマスクの精密な網目に対し、スキージなどによる圧力でインクを通過させ、薄ガラス30上に印刷(塗布)することができる。
【0097】
スプレー塗布により、所望のポリマー溶液やインク等に高圧力を加え特殊なノズルから噴射させて霧化して薄ガラス30に塗布し、薄ガラス30上に所望のポリマー層の形成や印刷等を行うことができる。
【0098】
エアスプレーにより、圧縮空気で所望のポリマー溶液やインク等を霧化させて薄ガラス30に塗布し、薄ガラス30上に所望のポリマー層の形成や印刷等を行うことができる。
静電塗装においては、霧化したポリマー溶液やインク等をマイナスに帯電させ、薄ガラス30をプラスに帯電させ電気的引力で吸着し、薄ガラス30上に所望のポリマー層の形成や印刷等を行うことができる。
【0099】
ロールコーティングにおいては、回転するロールから薄ガラス30にポリマー溶液やインク等をコーティングし、薄ガラス30上に所望のポリマー層の形成や印刷等を行うことができる。
【0100】
はけ塗りにより、刷毛で所望のポリマー溶液やインク等を塗り広げることができ、薄ガラス30上に所望のポリマー層の形成や印刷等を行うことができる。
ローラーブラシ塗りにより、ローラーブラシで所望のポリマー溶液やインク等を塗り広げることができ、薄ガラス30上に所望のポリマー層の形成や印刷等を行うことができる。
浸漬塗装により、ポリマー溶液やインク等に薄ガラス30を浸漬して、薄ガラス30上に所望のポリマー層の形成や印刷等を行うことができる。
【0101】
各工程において塗膜等を所定の温度で乾燥し、樹脂等を硬化させるために加熱工程を実施してもよい。
【0102】
中間層18が光硬化性である場合は、薄ガラス30を加工する工程dの前に10の上方からUV光を照射して、予め中間層18を光硬化させることが好ましい。中間層18が熱硬化性である場合は、薄ガラス30を加工する工程dにおける乾燥工程等の加熱により中間層18させることができる。
なお、工程dにおける乾燥工程等の加熱は、粘着性樹脂層14の表面に仮固定された加工薄ガラスが剥離しない温度とすることが好ましい。
【0103】
本実施形態においては、粘着性フィルム10に中間層18を設けることにより、支持体20と薄ガラス30との間の空壁の発生を抑制することができる。したがって、薄ガラス30を加工する際に支持体20に薄ガラス30を均一に仮固定することができるため加工性に優れ、さらに、加工処理で用いられる洗浄液等による加工薄ガラスの汚染を防止することができる。
工程dの後、所定の温度で加熱し、粘着性樹脂層14の表面から加工薄ガラスを剥離することができる。加工薄ガラスは上記のような加工により機能を付与されることから機能性薄ガラスと記載することもできる。
本実施形態においては、加工薄ガラスに熱膨張性微小球aを含む粘着性樹脂層14が貼り付けられているため、加工薄ガラスから粘着性フィルム10を容易に剥離することができる。
【0104】
加工薄ガラスの用途としては、スマートフォンのカバーガラス、有機EL素子等むけの水蒸気、酸素バリア層、フレキシブル照明、各種センサーのカバーガラス等を挙げることができる。
【0105】
なお、本実施形態において、支持体20に粘着性フィルム10を貼り付けることなく、粘着性フィルム10上に、厚さが1μm~200μmの薄ガラス30を備える薄ガラス付き粘着性フィルムを得ることもできる。
薄ガラス付き粘着性フィルムは、具体的には、粘着性フィルム10が、基材層12と、基材層12の第1面12a側に設けられた、熱膨張性微小球aを含む粘着性樹脂層14と、基材層12の第2面12b側に設けられた粘着性樹脂層16と、粘着性樹脂層14と基材層12との間に設けられた中間層18と、を備え、
粘着性樹脂層14の表面に、厚さが1μm~200μmの薄ガラス30が仮固定されている。
これにより、薄ガラス30が搬送される際の「割れ」や「欠け」の発生が抑制され、搬入先で薄ガラス付き粘着性フィルムの粘着性樹脂層16を支持体20に貼り付け、薄ガラス30の加工を行うことができる。
【0106】
[第2実施形態]
本実施形態の加工薄ガラスの製造方法は、図2(a)~(c)に示すように以下の工程を含む。
工程a:基材層12と、基材層12の第1面12a側に設けられた、粘着性樹脂層14と、基材層12の第2面12b側に設けられた熱膨張性微小球aを含む粘着性樹脂層16と、粘着性樹脂層16と基材層12との間に設けられた中間層18と、を備える粘着性フィルム10を準備する(図2(a))。
工程b:支持体20上に、粘着性樹脂層16を介して粘着性フィルム10を貼り付ける(図2(a))。
工程c:粘着性樹脂層14の表面に薄ガラス30を仮固定する(図2(b))。
工程d:薄ガラス30を加工する(図2(c))。
【0107】
本実施形態においては、粘着性樹脂層16が熱膨張性微小球aを含み、さらに中間層18が粘着性樹脂層16と基材層12との間に設けられた以外は第1実施形態と同様であることから説明を省略する。
【0108】
本実施形態においては、支持体20上に熱膨張性微小球aを含む粘着性樹脂層16が貼り付けられているため、支持体20から薄ガラス付き粘着性フィルムを容易に剥離することができる。また、中間層18により、熱膨張性微小球aにより生じる粘着性樹脂層16表面の凹凸を吸収し、粘着性樹脂層16と支持体20との間の空壁の発生を抑制することができる。さらに、中間層18により、熱膨張性微小球aの影響による粘着性樹脂層14表面の凹凸を吸収し、粘着性樹脂層14と薄ガラス30との間の空壁の発生を抑制することができる。このように空隙の発生を抑制できることから、薄ガラス30を加工する際に薄ガラス30を均一に仮固定することができ加工性に優れ、さらに、洗浄液等による加工薄ガラスの汚染を防止することができる。
【0109】
なお、本実施形態において、支持体20に粘着性フィルム10を貼り付けることなく、粘着性フィルム10上に、厚さが1μm~200μmの薄ガラス30を備える薄ガラス付き粘着性フィルムを得ることもできる。
薄ガラス付き粘着性フィルムは、具体的には、粘着性フィルム10が、基材層12と、基材層12の第1面12a側に設けられた、粘着性樹脂層14と、基材層12の第2面12b側に設けられた熱膨張性微小球aを含む粘着性樹脂層16と、粘着性樹脂層16と基材層12との間に設けられた中間層18と、を備え、
粘着性樹脂層14の表面に、厚さが1μm~200μmの薄ガラス30が仮固定されている。
これにより、薄ガラス30が搬送される際の「割れ」や「欠け」の発生が抑制され、搬入先で薄ガラス付き粘着性フィルムの粘着性樹脂層16を支持体20に貼り付け、薄ガラス30の加工を行うことができる。
【0110】
[第3実施形態]
本実施形態の加工薄ガラスの製造方法は、図3(a)~(c)に示すように以下の工程を含む。
工程a:基材層12と、基材層12の第1面12a側に設けられた、熱膨張性微小球aを含む粘着性樹脂層14と、基材層12の第2面12b側に設けられた粘着性樹脂層16と、粘着性樹脂層16と基材層12との間に設けられた中間層18と、を備える粘着性フィルム10を準備する(図3(a))。
工程b:支持体20上に、粘着性樹脂層16を介して粘着性フィルム10を貼り付ける(図3(a))。
工程c:粘着性樹脂層14の表面に薄ガラス30を仮固定する(図3(b))。
工程d:薄ガラス30を加工する(図3(c))。
【0111】
本実施形態においては、中間層18が粘着性樹脂層16と基材層12との間に設けられた以外は第1実施形態と同様であることから説明を省略する。
【0112】
本実施形態においては、中間層18が、熱膨張性微小球a由来の粘着性樹脂層14表面の凹凸を吸収し、粘着性樹脂層14表面の平滑性を維持でき、粘着性樹脂層14と薄ガラス30との間の空壁の発生を抑制することができることから、薄ガラス30を加工する際に薄ガラスを均一に仮固定することができ加工性に優れ、さらに、洗浄液等による加工薄ガラスの汚染を防止することができる。またさらに、薄ガラス30が層14表面に貼り付けられており後工程において加工薄ガラスをストレスフリーではく離することができる。
【0113】
なお、本実施形態において、支持体20に粘着性フィルム10を貼り付けることなく、粘着性フィルム10上に、厚さが1μm~200μmの薄ガラス30を備える薄ガラス付き粘着性フィルムを得ることもできる。
薄ガラス付き粘着性フィルムは、具体的には、粘着性フィルム10が、基材層12と、基材層12の第1面12a側に設けられた、熱膨張性微小球aを含む粘着性樹脂層14と、基材層12の第2面12b側に設けられた粘着性樹脂層16と、粘着性樹脂層16と基材層12との間に設けられた中間層18と、を備え、
粘着性樹脂層14の表面に、厚さが1μm~200μmの薄ガラス30が仮固定されている。
これにより、薄ガラス30が搬送される際の「割れ」や「欠け」の発生が抑制され、搬入先で薄ガラス付き粘着性フィルムの粘着性樹脂層16を支持体20に貼り付け、薄ガラス30の加工を行うことができる。
【0114】
[第4実施形態]
本実施形態の加工薄ガラスの製造方法は、図4(a)~(c)に示すように以下の工程を含む。
工程a:基材層12と、基材層12の第1面12a側に設けられた粘着性樹脂層14と、基材層12の第2面12b側に設けられた、熱膨張性微小球aを含む粘着性樹脂層16と、粘着性樹脂層16と基材層12との間に設けられた中間層18と、を備える粘着性フィルム10を準備する(図4(a))。
工程b:支持体20上に、粘着性樹脂層16を介して粘着性フィルム10を貼り付ける(図4(a))。
工程c:粘着性樹脂層14の表面に薄ガラス30を仮固定する(図4(b))。
工程d:薄ガラス30を加工する(図4(c))。
【0115】
本実施形態においては、粘着性樹脂層16が熱膨張性微小球aを含む以外は第1実施形態と同様であることから説明を省略する。
【0116】
本実施形態においては、支持体20上に熱膨張性微小球aを含む粘着性樹脂層16が貼り付けられているため、支持体20から薄ガラス付き粘着性フィルムを容易に剥離することができる。また、中間層18により、熱膨張性微小球aにより生じる粘着性樹脂層16表面の凹凸を吸収し、粘着性樹脂層16と支持体20との間の空壁の発生を抑制することができる。さらに、中間層18により、熱膨張性微小球aの影響による粘着性樹脂層14表面の凹凸を吸収し、粘着性樹脂層14と薄ガラス30との間の空壁の発生を抑制することができる。このように空隙の発生を抑制できることから、薄ガラス30を加工する際に薄ガラスを均一に仮固定することができ加工性に優れ、さらに、洗浄液等による加工薄ガラスの汚染を防止することができる。
【0117】
なお、本実施形態において、支持体20に粘着性フィルム10を貼り付けることなく、粘着性フィルム10上に、厚さが1μm~200μmの薄ガラス30を備える薄ガラス付き粘着性フィルムを得ることもできる。
薄ガラス付き粘着性フィルムは、具体的には、粘着性フィルム10が、基材層12と、基材層12の第1面12a側に設けられた粘着性樹脂層14と、基材層12の第2面12b側に設けられた、熱膨張性微小球aを含む粘着性樹脂層16と、粘着性樹脂層16と基材層12との間に設けられた中間層18と、を備え、
粘着性樹脂層14の表面に、厚さが1μm~200μmの薄ガラス30が仮固定されている。
これにより、薄ガラス30が搬送される際の「割れ」や「欠け」の発生が抑制され、搬入先で薄ガラス付き粘着性フィルムの粘着性樹脂層16を支持体20に貼り付け、薄ガラス30の加工を行うことができる。
【0118】
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、本発明の効果を損なわない範囲で、上記以外の様々な構成を採用することができる。
例えば、図1および図2において、基材層12の第1面12a側および第2面12b側のいずれにも中間層18を設けることができる。
【符号の説明】
【0119】
10 粘着性フィルム
12 基材層
12a 第1面
12b 第2面
14 粘着性樹脂層
16 粘着性樹脂層
18 中間層
20 支持体
30 薄ガラス
a 熱膨張性微小球
図1
図2
図3
図4