IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ パナソニックIPマネジメント株式会社の特許一覧

特開2023-72795把持装置、衣類処理装置、及び衣類処理方法
<>
  • 特開-把持装置、衣類処理装置、及び衣類処理方法 図1
  • 特開-把持装置、衣類処理装置、及び衣類処理方法 図2
  • 特開-把持装置、衣類処理装置、及び衣類処理方法 図3
  • 特開-把持装置、衣類処理装置、及び衣類処理方法 図4
  • 特開-把持装置、衣類処理装置、及び衣類処理方法 図5
  • 特開-把持装置、衣類処理装置、及び衣類処理方法 図6
  • 特開-把持装置、衣類処理装置、及び衣類処理方法 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023072795
(43)【公開日】2023-05-25
(54)【発明の名称】把持装置、衣類処理装置、及び衣類処理方法
(51)【国際特許分類】
   D06F 89/00 20060101AFI20230518BHJP
【FI】
D06F89/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021185449
(22)【出願日】2021-11-15
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123102
【弁理士】
【氏名又は名称】宗田 悟志
(72)【発明者】
【氏名】一丸 勇二
(72)【発明者】
【氏名】反田 耕一
(72)【発明者】
【氏名】谷口 祥平
(57)【要約】
【課題】処理対象物を把持する技術を向上させる。
【解決手段】衣類処理装置は、処理対象物Tを把持するためのHand部315と、Hand部315により処理対象物Tを把持するときに、処理対象物Tの把持に成功したか否かを判断する把持成否判断部と、把持成否判断部により処理対象物Tの把持に失敗したと判断された場合、Hand部315により処理対象物Tを再度把持する前に、処理対象物Tの位置、姿勢、又は形状を変更する状態変更部と、を備える。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理対象物を把持するための把持部と、
前記把持部により前記処理対象物を把持するときに、前記処理対象物の把持に成功したか否かを判断する把持成否判断部と、
前記把持成否判断部により前記処理対象物の把持に失敗したと判断された場合、前記把持部により前記処理対象物を再度把持する前に、前記処理対象物の位置、姿勢、又は形状を変更する状態変更部と、
を備える
把持装置。
【請求項2】
複数の把持部を備え、
前記把持成否判断部は、1つ以上の把持部により前記処理対象物を把持しているときに、別の把持部による前記処理対象物の把持に成功したか否かを判断する
請求項1に記載の把持装置。
【請求項3】
前記状態変更部は、前記処理対象物を把持している把持部を回転させることにより、前記処理対象物の位置、姿勢、又は形状を変更する
請求項2に記載の把持装置。
【請求項4】
前記状態変更部は、前記処理対象物を把持している把持部を振動させることにより、前記処理対象物の位置、姿勢、又は形状を変更する
請求項2又は3に記載の把持装置。
【請求項5】
前記処理対象物を処理するための作業に使用される作業部を備え、
前記状態変更部は、前記処理対象物に前記作業部を接触させることにより、前記処理対象物の位置、姿勢、又は形状を変更する
請求項2から4のいずれかに記載の把持装置。
【請求項6】
前記状態変更部は、前記処理対象物に前記作業部を接触させた状態で前記作業部を回転させることにより、前記処理対象物の位置、姿勢、又は形状を変更する
請求項5に記載の把持装置。
【請求項7】
前記把持成否判断部は、前記把持部に設けられた把持センサにより検知された情報に基づいて、前記処理対象物の把持に成功したか否かを判断する
請求項1から6のいずれかに記載の把持装置。
【請求項8】
前記把持成否判断部は、前記把持部にかかる重量を検知する重量センサにより検知された情報に基づいて、前記処理対象物の把持に成功したか否かを判断する
請求項1から6のいずれかに記載の把持装置。
【請求項9】
前記把持成否判断部は、撮像装置により撮像された前記処理対象物の撮像画像に基づいて、前記処理対象物の把持に成功したか否かを判断する
請求項1から6のいずれかに記載の把持装置。
【請求項10】
処理対象物を把持するための把持装置と、
前記把持装置を制御する制御装置と、
を備え、
前記把持装置は、
処理対象物を把持するための把持部と、
前記把持部により前記処理対象物を把持するときに、前記処理対象物の把持に成功したか否かを判断する把持成否判断部と、
前記把持成否判断部により前記処理対象物の把持に失敗したと判断された場合、前記把持部により前記処理対象物を再度把持する前に、前記処理対象物の位置、姿勢、又は形状を変更する状態変更部と、
を備える
衣類処理装置。
【請求項11】
処理対象物を把持するための把持部により前記処理対象物を把持するときに、前記処理対象物の把持に成功したか否かを判断するステップと、
前記処理対象物の把持に失敗したと判断された場合、前記把持部により前記処理対象物を再度把持する前に、前記処理対象物の位置、姿勢、又は形状を変更するステップと、
を備える
衣類処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、衣類などの処理対象物を把持するための把持装置、衣類処理装置、及び衣類処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
衣類などの処理対象物を展開して折り畳む処理装置が提案されている。例えば、特許文献1には、被処理物の任意の点を保持可能な複数の保持装置を備える処理装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-054473号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
処理対象物をロボットアームのハンドなどにより把持する場合、ハンドを処理対象物に近づける方向が把持の成否に大きく影響する。そのため、処理対象物の把持に失敗した場合、同じ方向からのアプローチを繰り返しても把持に成功する可能性は低い。特に、硬い素材の処理対象物を2本指の開閉ハンドで把持する場合、処理対象物の面方向からアプローチすると、指先で処理対象物の面を押してしまうことになるので、指を閉じても処理対象物を把持することができない。ハンドをアプローチさせる方向を変更して把持をリトライすることを可能とするためには、ハンドの動作範囲を広くする必要があるので、部品点数が増加したり装置のサイズが肥大化したりするという課題があった。
【0005】
本開示は、処理対象物を把持する技術を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示における把持装置は、処理対象物を把持するための把持部と、把持部により処理対象物を把持するときに、処理対象物の把持に成功したか否かを判断する把持成否判断部と、把持成否判断部により処理対象物の把持に失敗したと判断された場合、把持部により処理対象物を再度把持する前に、処理対象物の位置、姿勢、又は形状を変更する状態変更部と、を備える。
【0007】
本開示における衣類処理装置は、処理対象物を把持するための把持装置と、把持装置を制御する制御装置と、を備える。把持装置は、処理対象物を把持するための把持部と、把持部により処理対象物を把持するときに、処理対象物の把持に成功したか否かを判断する把持成否判断部と、把持成否判断部により処理対象物の把持に失敗したと判断された場合、把持部により処理対象物を再度把持する前に、処理対象物の位置、姿勢、又は形状を変更する状態変更部と、を備える。
【0008】
本開示における衣類処理方法は、処理対象物を把持するための把持部により処理対象物を把持するときに、処理対象物の把持に成功したか否かを判断するステップと、処理対象物の把持に失敗したと判断された場合、把持部により処理対象物を再度把持する前に、処理対象物の位置、姿勢、又は形状を変更するステップと、を備える。
【0009】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置、システム、記録媒体、コンピュータプログラムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0010】
本開示の技術によれば、処理対象物を把持する技術を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施の形態1における衣類処理装置の斜視図
図2】実施の形態1における衣類処理装置の正面概略構成図
図3】実施の形態1における衣類処理装置の側面概略構成図
図4】実施の形態1に係る保持部のHand部により処理対象物Tを把持する様子を概略的に示す図
図5】実施の形態1に係る保持部のHand部により処理対象物Tを把持する様子を概略的に示す図
図6】実施の形態1に係る把持装置と制御装置の機能構成図
図7】実施の形態1に係る衣類処理方法の手順を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0012】
(本開示の基礎となった知見等)
本開示に係る衣類処理装置は、複数の保持装置により処理対象物を保持し、保持装置を制御して処理対象物を折り畳む。処理対象物の処理を迅速に進めるためには、保持装置に備えられた把持装置により処理対象物を的確かつ迅速に把持する必要がある。処理対象物の位置、姿勢、形状などに応じて、把持しやすい方向から把持装置をアプローチさせるためには、把持装置の動作範囲を広くする必要があるので、部品点数が増加したり装置のサイズが肥大化したりする。
【0013】
このような課題を発明者らは発見し、その課題を解決するために、本開示の主題を構成するに至った。本開示に係る把持装置及び衣類処理装置は、処理対象物を把持するための把持部により処理対象物を把持するときに、処理対象物の把持に成功したか否かを判断し、失敗したと判断された場合、把持部により処理対象物を再度把持する前に、処理対象物の位置、姿勢、又は形状を変更する。これにより、把持部による処理対象物の把持に失敗した場合に、処理対象物の状態を変更することで、把持部の動作を変更しなくても処理対象物を把持しやすくすることができる。したがって、把持部の動作範囲や把持装置のサイズを抑えることができる。
【0014】
以下、図面を参照しながら実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明、または、実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。
【0015】
なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図していない。
【0016】
(実施の形態1)
以下、図1図7を用いて、実施の形態1を説明する。なお、衣類処理装置1の3方向について、前側正面から見て、左右の幅方向を矢印で示すX方向(左方向X1、右方向X2)、前後の奥行き方向を矢印で示すY方向(前方向Y1、後方向Y2)、上下の高さ方向を矢印で示すZ方向(上方向Z1、下方向Z2)として説明する。
【0017】
[1-1.構成]
[1-1-1.衣類処理装置の全体構成]
衣類処理装置1は、変形性薄物としての処理対象物Tを保持、認識、折り畳み、及び、収納する装置である。図1に示されるように、衣類処理装置1は、筐体100、及び、筐体100内に構成される、受入部200と、保持装置300と、作業板装置400と、撮像装置500と、支持部600と、収納装置700と、制御装置900と、を備える。なお、受入部200及びその上方の処理空間が1つの筐体に構成され、収納装置700などは別の筐体内に構成されて、それぞれの筐体が連結されて一体となるように構成されてもよい。
【0018】
処理対象物Tは、例えば、衣類及びタオル類などの布地、フィルム、紙ならびにシートなどに代表される変形性薄物である。その形状は、タオル類のように矩形であってもよいし、Tシャツやランニングシャツ、長袖シャツ、ズボンのような略矩形であってもよい。
【0019】
筐体100は、直方体の枠を形成するフレーム110と、直方体の所定の面に外郭120が設けられて構成される。フレーム110と外郭120とは、一体に形成されてもよい。
【0020】
受入部200は、処理対象物Tを外部から受け入れる収容部である。図1から図3に示されるように、受入部200は、上面が開口した箱型形状を有する。受入部200は、ユーザがアクセスし易いように、衣類処理装置1における底部に配設され、奥行き方向(Y方向)に出し入れ可能に配設される。例えば、受入部200は、下部にガイドレール210が設けられ、前方向Y1に引き出される。処理対象物Tは、引き出された受入部200に上方から入れられる。受入部200は、処理対象物Tが入れられると、ガイドレール210に沿って後方向Y2に戻され、筐体100内に収められる。
【0021】
保持装置300は、処理対象物Tを処理するために、処理対象物Tを保持する装置である。保持装置300は、処理対象物Tを保持する保持部310と、保持部310を幅方向(X方向)、奥行き方向(Y方向)、高さ方向(Z方向)の3方向に移動させる移動機構320と、を含む。保持装置300は、複数設けられ、受入部200内に入れられた処理対象物Tを保持して持ち上げるとともに、処理対象物Tを一時的に載置できる作業板装置400と協働して、処理対象物Tを持ち替えながら展開及び折り畳みを行う。
【0022】
衣類処理装置1は、図1から図3に示されるように、保持装置300として2基の保持装置300A,300Bを備える。保持装置300Aは、保持部310として1つの保持部310Aを有し、保持部310Aを3方向に移動させる移動機構320Aを有する。保持装置300Bは、保持部310として2基の保持部310B,311Bを有し、保持部310B,311Bをそれぞれ3方向に移動させる移動機構320Bを有する。
【0023】
保持部310A,310B,311Bは、後述する作業板装置400の作業板410に対して、幅方向、奥行き方向、高さ方向にそれぞれ相対移動可能である。例えば、移動機構320A、320Bは、保持部310A,310B,311Bが作業板410の縁部に沿って一列に並ぶように位置させることができる。
【0024】
保持装置300A、300Bは、後述する制御装置900と有線又は無線により通信可能に接続される。そして、制御装置900により、保持部310A、310B,311B及び移動機構320A、320Bの動作が制御される。
【0025】
保持装置300A,300Bに用いられる移動機構320A,320Bについて、保持装置300Aの移動機構320Aの構成を用いて説明する。保持装置300Bの移動機構320Bの構成は、保持部の数を除いて保持装置300Aの構成と基本的に同じである。よって、保持装置300Bは、保持装置300Aの符号中「A」を「B」に置き換えた符号を用いればよく、その説明を省略する。
【0026】
移動機構320Aは、図2に示されるように、幅方向移動機構330Aと、高さ方向移動機構340Aと、奥行き方向移動機構350Aと、を備える。
【0027】
幅方向移動機構330Aは、保持部310Aを幅方向(X方向)に移動させる。幅方向移動機構330Aは、保持部310Aを移動させるための駆動力源となる幅方向駆動部332A、及び、移動のガイドとなるXガイド334Aを有する。詳細は図示しないが、幅方向駆動部332Aは、正転及び逆転が可能なモータであり、ピニオンギアを有する。Xガイド334Aは、幅方向駆動部332Aの動力がピニオンギアを介して伝達されるラックギア及びレールであり、その長手方向が幅方向に沿うように配置される。幅方向駆動部332Aは、通電により、Xガイド334Aに沿ってスライド移動する。幅方向駆動部332AがXガイド334Aに沿って幅方向に移動すると、幅方向駆動部332Aに固定された保持部310Aも幅方向に移動する。
【0028】
高さ方向移動機構340Aは、幅方向移動機構330Aとともに保持部310Aを高さ方向(Z方向)に移動させる。高さ方向移動機構340Aは、幅方向移動機構330Aを移動させるための駆動力源となる高さ方向駆動部342A、及び、移動のガイドとなるZガイド344Aを有する。高さ方向駆動部342Aは、正転及び逆転が可能なモータである。詳細は図示しないが、高さ方向駆動部342Aは、幅方向移動機構330Aの枠体の左端に固定され、右端へ駆動力を伝達する伝動シャフトを有する。左右2本のZガイド344Aは、ラック・アンド・ピニオンを含み、その長手方向が高さ方向に沿うようにして配置される。左右2本のZガイド344Aは、上端で連結され、アーチ型に構成される。高さ方向駆動部342Aへの通電により、幅方向移動機構330Aが高さ方向に沿って移動する。
【0029】
奥行き方向移動機構350Aは、保持装置300A全体(高さ方向移動機構340A、幅方向移動機構330A及び保持部310A)を奥行き方向(Y方向)に移動させる。奥行き方向移動機構350Aは、高さ方向移動機構340Aを移動させるための動力源となる奥行き方向駆動部352A、及び、移動のガイドとなる複数のYガイド354を有する。詳細は図示しないが、奥行き方向駆動部352Aは、正転及び逆転が可能なモータであり、ピニオンギアを有する。奥行き方向駆動部352Aは、高さ方向移動機構340Aの枠体上部の連結部左端に固定され、右端へ駆動力を伝達する伝動シャフトを有する。Yガイド354は、奥行き方向駆動部352Aの動力が伝達されるラックギア及びレールであり、その長手方向が奥行き方向に沿うようにして、左右のZガイド344Aそれぞれの上下端に配置される。
【0030】
Yガイド354への駆動力の伝達について、上部のYガイド354には、上述したように、奥行き方向駆動部352Aの動力が伝動シャフトで伝達される。そして、下部のYガイド354には、高さ方向移動機構340Aの枠体内に設けられるギアベルトを介して上部に設けられる伝動シャフトから駆動力が伝達される。奥行き方向駆動部352Aへの通電により、アーチ型の高さ方向移動機構340Aが奥行き方向に沿って平行に移動し、幅方向移動機構330A及び保持部310Aも同じく移動する。
【0031】
なお、本実施の形態において、2基の保持装置300A,300Bは、奥行き方向(Y方向)に移動するために上下左右4本のYガイド354を共用する。このため、常に保持装置300Aは保持装置300Bより後側に位置する。また、保持装置300Bにおいて、2つの保持部310B,311Bは幅方向(X方向)に移動するためにXガイド334Bを共用する。このため、常に保持部310Bは保持部311Bより左側に位置する。
【0032】
本実施の形態では、移動機構としてラック&ピニオン式で、駆動部のモータも移動する構成としたが、これに限られない。例えば、ボールねじを利用したり、ワイヤによる懸架を利用したりして、モータは移動しない構成などでもよい。
【0033】
作業板装置400は、認識処理や折り畳み処理の際に処理対象物Tを載置する作業板410を回転及び移動させる装置である。作業板装置400は、移動機構320と同様の移動機構を備える。作業板410は、図2に示されるように、作業平面の角部を面取りされた略矩形の板材である。作業板410は、角部の角がないように形成されることにより、布類などの処理対象物Tが引っ掛かる不具合が抑制される。作業板410は、作業板410の長手方向、つまり、長辺の2つの縁部がそれぞれ回転軸と平行になるように回転軸に固定される。
【0034】
撮像装置500は、処理対象物Tを受け入れた後の掴み処理、認識処理及び折り畳み処理する際に、当該処理対象物Tの端点等を検出する装置である。図2及び図3に示されるように、撮像装置500は、第1撮像部510と、第2撮像部520と、第3撮像部530と、を含む。第1撮像部510及び第2撮像部520は、例えばデジタルスチルカメラが使用され、端点検出や、処理対象物Tの種類の判別などに使用される。第3撮像部530は、例えばステレオカメラが使用され、端点検出のための奥行き方向の距離や処理対象物Tの幅を測定するために使用される。いずれの撮像部も正面内壁側のフレームに設けられ、レンズの向きは後方向Y2である。
【0035】
支持部600は、処理対象物Tの折り畳みの際に、折り畳みラインを押さえておいたり、処理対象物Tの皺を伸ばしたりなど、処理対象物Tを支持する壁面である。例えば、支持部600は、作業板410の前方に設けられる正面側支持部610及び後方に設けられる背面側支持部620のうち少なくともいずれか一方を含む。
【0036】
収納装置700は、処理された処理対象物Tを保持装置300から受け取って収納する。収納装置700は、図1及び図2に示されるように、複数の収納部710を備える。収納装置700は、処理対象物Tを受け取り各収納部710に格納する運搬部を含んでもよい。収納装置700は、受入部200及び保持装置300などが収納される処理空間の横に隣接して配設されており、処理空間と収納装置700とを合わせて、衣類処理装置1が構成される。
【0037】
制御装置900は、衣類処理装置1における各部の制御を統括する。制御装置900は、主として、ROM、RAM、演算装置、及び入出力インターフェイスから構成される。ROMには、オペレーティングシステム、衣類処理装置1の各部を制御するための制御プログラム、及び、制御プログラムの実行に必要なデータが格納されている。また、演算装置は、ROMに格納されている制御プログラムをRAMにロードしたり、ROMから直接実行したりするために設けられる。つまり、制御装置900は、演算装置が制御プログラムを実行することにより、衣類処理装置1を制御できる。そして、演算装置が処理したデータは、入出力インターフェイスを介して、衣類処理装置1の各部(保持装置300、作業板装置400等)へ送信される。演算装置の処理に必要なデータは、衣類処理装置1の各部(撮像装置500等)から入出力インターフェイスを介して受信される。
【0038】
[1-1-2.処理対象物の把持方法の詳細]
保持部310により処理対象物Tを把持する方法の詳細について説明する。
【0039】
図4及び図5は、実施の形態1に係る保持部310のHand部315により処理対象物Tを把持する様子を概略的に示す。保持部310AのHand部315により処理対象物Tを把持しているときに、別の保持部310BのHand部315により処理対象物Tの別の位置を把持する場合について説明する。
【0040】
図4に示すように、処理対象物Tの面に略垂直な方向からHand部315を近づけると、2本のフィンガ315aにより処理対象物Tを把持することができない。2本のフィンガ315aにより処理対象物Tを把持するためには、処理対象物Tの面の横方向からHand部315を近づける必要があるが、図4に示した状態のままで、処理対象物Tの面の横方向からHand部315を処理対象物Tに近づけるためには、Hand部315を大きく移動させる必要がある。
【0041】
ここで、図5に示すように、処理対象物Tを把持している保持部310AのHand部315を回転させることにより、処理対象物Tを回転させて向きを変更すると、保持部310BのHand部315の動作を変更しなくても、処理対象物Tの面の横方向からHand部315を処理対象物Tに近づけて、処理対象物Tを容易に把持することができる。このように、処理対象物Tの状態をHand部315により把持しやすい状態に変更することにより、Hand部315の動作をほとんど変更することなく、処理対象物Tを把持することができる。したがって、Hand部315の動作範囲を大きく広げる必要がないので、衣類処理装置1のサイズや製造コストを抑えることができる。
【0042】
図6は、実施の形態1に係る把持装置と制御装置900の機能構成を示す。本図では、処理対象物Tを把持する機能に関する構成を示している。把持装置として機能するHand部315を備える衣類処理装置1は、把持センサ73、重量センサ74、RGBカメラ756、デプスカメラ757を備える。制御装置900は、保持装置制御部901、把持制御部70を備える。把持制御部70は、把持成否判断部71、状態変更部72を備える。
【0043】
保持装置制御部901は、保持部310の動作を制御する。保持装置制御部901は、保持部310の位置、Hand部315の姿勢、Hand部315が備える2本のフィンガ315aの角度などを制御する。
【0044】
把持センサ73は、フィンガ315aの先端部の処理対象物Tを把持する位置に設けられ、フィンガ315aにより処理対象物Tを把持していることを検知する。把持センサ73は、例えば、発光部と受光部とを含む光センサなどであってもよい。
【0045】
重量センサ74は、Hand部315やフィンガ315aを駆動する構成などに設けられ、Hand部315やフィンガ315aにかかる重量を検知する。
【0046】
RGBカメラ756は、RGBのそれぞれの画素値を検出するための素子を備え、対象物のカラー画像を撮像する。デプスカメラ757は、測距機能を有し、対象物までの距離情報を含む画像を撮像する。
【0047】
把持成否判断部71は、Hand部315により処理対象物Tを把持するときに、処理対象物Tの把持に成功したか否かを判断する。状態変更部72は、把持成否判断部71により処理対象物Tの把持に失敗したと判断された場合、Hand部315により処理対象物Tを再度把持する前に、処理対象物Tの位置、姿勢、又は形状を変更する。これにより、処理対象物Tの把持に失敗した場合に、処理対象物Tの状態を変更することで、Hand部315の動作を変更しなくても処理対象物Tを把持しやすくすることができる。
【0048】
把持成否判断部71は、Hand部315に設けられた把持センサ73により検知された情報に基づいて、処理対象物Tの把持に成功したか否かを判断してもよい。これにより、把持成否判断の堅牢性や精度を向上させることができる。
【0049】
把持成否判断部71は、重量センサ74により検知された情報に基づいて、処理対象物Tの把持に成功したか否かを判断してもよい。把持成否判断部71は、重量センサ74により検知された重量が所定値以上である場合に、処理対象物TがHand部315により把持されていると判断してもよい。これにより、把持成否判断のための構成を追加する必要がないので、把持装置のサイズや製造コストを抑えることができる。
【0050】
把持成否判断部71は、RGBカメラ756又はデプスカメラ757により撮像された処理対象物Tの撮像画像に基づいて、処理対象物Tの把持に成功したか否かを判断してもよい。把持成否判断部71は、撮像画像において、RGB情報やデプス情報などに基づいて、Hand部315により把持されて吊り下げられている処理対象物Tを検出してもよい。これにより、把持成否判断の堅牢性や精度を向上させることができる。
【0051】
把持成否判断部71は、上記の複数の把持成否判断方法のうち、いずれか1つの方法を実行してもよいし、任意の2以上の組合せを実行してもよい。把持成否判断部71が実行する方法に応じて必要でない構成は省略されてもよい。
【0052】
状態変更部72は、処理対象物Tを把持しているHand部315を回転させることにより、処理対象物Tの位置、姿勢、又は形状を変更してもよい。これにより、処理対象物Tの状態を変更するための構成を追加する必要がないので、把持装置のサイズや製造コストを抑えることができる。状態変更部72は、処理対象物Tを把持しているHand部315を所定の角度ずつ回転させてもよい。状態変更部72は、RGBカメラ756又はデプスカメラ757により撮像された撮像画像に基づいて、処理対象物TとHand部315との間の位置関係や角度を取得し、取得した位置関係や角度に基づいて、処理対象物Tを把持しているHand部315を回転させる角度を決定してもよい。
【0053】
状態変更部72は、処理対象物Tを把持しているHand部315を振動させることにより、処理対象物Tの位置、姿勢、又は形状を変更してもよい。これにより、処理対象物Tの状態を変更するための構成を追加する必要がないので、把持装置のサイズや製造コストを抑えることができる。状態変更部72は、絡まっている処理対象物Tをほぐすことが可能な振幅、周波数、時間などの態様で、処理対象物Tを把持しているHand部315を振動させてもよい。状態変更部72は、処理対象物Tを把持しているHand部315を所定の態様で振動させてもよい。状態変更部72は、RGBカメラ756又はデプスカメラ757により撮像された撮像画像に基づいて処理対象物Tの状態を取得し、取得した処理対象物Tの状態に基づいて、処理対象物Tを把持しているHand部315を振動させる態様を決定してもよい。
【0054】
状態変更部72は、処理対象物Tに作業板410を接触させることにより、処理対象物Tの位置、姿勢、又は形状を変更してもよい。これにより、処理対象物Tの状態を変更するための構成を追加する必要がないので、把持装置のサイズや製造コストを抑えることができる。状態変更部72は、処理対象物Tに作業板410を接触させた状態で作業板410を回転させることにより、処理対象物Tの位置、姿勢、又は形状を変更してもよい。状態変更部72は、RGBカメラ756又はデプスカメラ757により撮像された撮像画像に基づいて処理対象物Tの状態を取得し、取得した処理対象物Tの状態に基づいて、作業板410を接触させる位置、作業板410の回転角度、回転方向、回転速度、などの態様を決定してもよい。状態変更部72は、作業板410を所定の態様で回転させてもよい。
【0055】
状態変更部72は、上記の複数の状態変更方法のうち、いずれか1つの方法を実行してもよいし、任意の2以上の組合せを実行してもよい。
【0056】
処理対象物Tが作業板410に載置されているときに、Hand部315により処理対象物Tを把持する場合、状態変更部72は、作業板410を回転、移動、振動させることにより処理対象物Tの位置、姿勢、形状などの状態を変更してもよい。
【0057】
[1-2.動作]
以上のように構成された衣類処理装置1について、以下その動作、作用を説明する。
【0058】
図7は、実施の形態1に係る衣類処理方法の手順を示すフローチャートである。保持装置制御部901は、保持部310のHand部315を処理対象物Tに近づけ、フィンガ315aを閉じて処理対象物Tを把持する(S10)。把持成否判断部71は、Hand部315による処理対象物Tの把持に成功したか否かを判断する(S12)。把持成否判断部71により処理対象物Tの把持に失敗したと判断された場合(S14のN)、状態変更部72は、処理対象物Tの位置、姿勢、又は形状を変更する(S16)。S10に戻り、保持装置制御部901は、Hand部315により処理対象物Tを再度把持する(S10)。把持成否判断部71により処理対象物Tの把持に成功したと判断された場合(S14のY)、Hand部315による処理対象物Tの把持を終了する。
【0059】
[1-3.効果等]
以上のように、本実施の形態において、把持装置として機能する衣類処理装置1は、処理対象物Tを把持するためのHand部315と、Hand部315により処理対象物Tを把持するときに、処理対象物Tの把持に成功したか否かを判断する把持成否判断部71と、把持成否判断部71により処理対象物Tの把持に失敗したと判断された場合、Hand部315により処理対象物Tを再度把持する前に、処理対象物Tの位置、姿勢、又は形状を変更する状態変更部72と、を備える。これにより、処理対象物Tの把持に失敗した場合に、処理対象物Tの状態を変更することで、Hand部315の動作を変更しなくても処理対象物Tを把持しやすくすることができる。したがって、Hand部315の動作範囲や把持装置のサイズを抑えることができる。
【0060】
また、本実施の形態において、衣類処理装置1は、複数のHand部315を備え、把持成否判断部71は、1つ以上のHand部315により処理対象物Tを把持しているときに、別のHand部315による処理対象物Tの把持に成功したか否かを判断する。これにより、Hand部315の動作を変更しなくても処理対象物Tを把持しやすくすることができる。
【0061】
また、本実施の形態において、状態変更部72は、処理対象物Tを把持しているHand部315を回転させることにより、処理対象物Tの位置、姿勢、又は形状を変更する。これにより、処理対象物Tの状態を変更するための構成を追加する必要がないので、把持装置のサイズや製造コストを抑えることができる。
【0062】
また、本実施の形態において、状態変更部72は、処理対象物Tを把持しているHand部315を振動させることにより、処理対象物Tの位置、姿勢、又は形状を変更する。これにより、処理対象物Tの状態を変更するための構成を追加する必要がないので、把持装置のサイズや製造コストを抑えることができる。
【0063】
また、本実施の形態において、衣類処理装置1は、処理対象物Tを処理するための作業に使用される作業板410を備え、状態変更部72は、処理対象物Tに作業板410を接触させることにより、処理対象物Tの位置、姿勢、又は形状を変更する。これにより、処理対象物Tの状態を変更するための構成を追加する必要がないので、把持装置のサイズや製造コストを抑えることができる。
【0064】
また、本実施の形態において、状態変更部72は、処理対象物Tに作業板410を接触させた状態で作業板410を回転させることにより、処理対象物Tの位置、姿勢、又は形状を変更する。これにより、処理対象物Tの状態を変更するための構成を追加する必要がないので、把持装置のサイズや製造コストを抑えることができる。
【0065】
また、本実施の形態において、把持成否判断部71は、Hand部315に設けられた把持センサ73により検知された情報に基づいて、処理対象物Tの把持に成功したか否かを判断する。これにより、把持成否判断の堅牢性や精度を向上させることができる。
【0066】
また、本実施の形態において、把持成否判断部71は、Hand部315にかかる重量を検知する重量センサ74により検知された情報に基づいて、処理対象物Tの把持に成功したか否かを判断する。これにより、把持成否判断のための構成を追加する必要がないので、把持装置のサイズや製造コストを抑えることができる。
【0067】
また、本実施の形態において、把持成否判断部71は、RGBカメラ756又はデプスカメラ757により撮像された処理対象物Tの撮像画像に基づいて、処理対象物Tの把持に成功したか否かを判断する。これにより、把持成否判断の堅牢性や精度を向上させることができる。
【0068】
また、本実施の形態において、衣類処理装置1は、処理対象物Tを把持するための把持装置と、把持装置を制御する制御装置900と、を備え、把持装置は、処理対象物Tを把持するためのHand部315と、Hand部315により処理対象物Tを把持するときに、処理対象物Tの把持に成功したか否かを判断する把持成否判断部71と、把持成否判断部71により処理対象物Tの把持に失敗したと判断された場合、Hand部315により処理対象物Tを再度把持する前に、処理対象物Tの位置、姿勢、又は形状を変更する状態変更部72と、を備える。これにより、処理対象物Tの把持に失敗した場合に、処理対象物Tの状態を変更することで、Hand部315の動作を変更しなくても処理対象物Tを把持しやすくすることができる。したがって、Hand部315の動作範囲や把持装置のサイズを抑えることができる。
【0069】
また、本実施の形態において、衣類処理方法は、処理対象物Tを把持するためのHand部315により処理対象物Tを把持するときに、処理対象物Tの把持に成功したか否かを判断するステップと、処理対象物Tの把持に失敗したと判断された場合、Hand部315により処理対象物Tを再度把持する前に、処理対象物Tの位置、姿勢、又は形状を変更するステップと、を備える。これにより、処理対象物Tの把持に失敗した場合に、処理対象物Tの状態を変更することで、Hand部315の動作を変更しなくても処理対象物Tを把持しやすくすることができる。
【0070】
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、実施の形態1を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用できる。また、上記実施の形態1で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施の形態とすることも可能である。
【0071】
なお、上述の実施の形態は、本開示における技術を例示するためのものであるから、特許請求の範囲またはその均等の範囲において種々の変更、置き換え、付加、省略などを行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本開示は、衣類などの処理対象物を処理する衣類処理装置に利用可能である。
【符号の説明】
【0073】
1 衣類処理装置
T 処理対象物
70 把持制御部
71 把持成否判断部
72 状態変更部
73 把持センサ
74 重量センサ
100 筐体
110 フレーム
120 外郭
200 受入部
210 ガイドレール
300、300A、300B 保持装置
310、310A、310B、311B 保持部
315 Hand部
315a フィンガ
320、320A、320B 移動機構
330、330A、330B 幅方向移動機構
332A、332B 幅方向駆動部
334A、334B Xガイド
340A、340B 高さ方向移動機構
342A、342B 高さ方向駆動部
344A、344B Zガイド
350A、350B 奥行き方向移動機構
352A、352B 奥行き方向駆動部
354A、354B Yガイド
400 作業板装置
410 作業板
500 撮像装置
510 第1撮像部
520 第2撮像部
530 第3撮像部
600 支持部
610 正面側支持部
620 背面側支持部
700 収納装置
710 収納部
756 RGBカメラ
757 デプスカメラ
900 制御装置
X1 左方向
X2 右方向
Y1 前方向
Y2 後方向
Z1 上方向
Z2 下方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7