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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023072800
(43)【公開日】2023-05-25
(54)【発明の名称】測定装置及び着雪検知システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 13/00 20060101AFI20230518BHJP
   H02G 1/02 20060101ALI20230518BHJP
   H02G 7/00 20060101ALI20230518BHJP
   H02G 7/16 20060101ALN20230518BHJP
【FI】
H02J13/00 301A
H02J13/00 301J
H02G1/02
H02G7/00
H02G7/16
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021185462
(22)【出願日】2021-11-15
(71)【出願人】
【識別番号】000241957
【氏名又は名称】北海道電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100202913
【弁理士】
【氏名又は名称】武山 敦史
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(72)【発明者】
【氏名】横山 知広
(72)【発明者】
【氏名】岩部 剛明
【テーマコード(参考)】
5G064
5G352
5G367
【Fターム(参考)】
5G064AC08
5G064BA02
5G064CB08
5G064DA03
5G352AK03
5G352AM02
5G367AC02
5G367AD08
5G367BB13
5G367HA03
5G367HH04
(57)【要約】
【課題】低コストで導入でき、過酷な環境下でも安定して動作する測定装置及び着雪検知システムを提供する。
【解決手段】測定装置100は、監視対象物を撮影する撮影部130と、監視対象物の荷重を測定する測定部140と、撮影部130及び測定部140に対して通信可能に接続され、撮影部130により撮影された画像に関するデータである画像データと測定部140により測定された荷重に関するデータである荷重データとを取得し、外部のサーバに送信する第1の制御装置160Aと、測定部140に対して通信可能に接続され、第1の制御装置160Aから独立して動作し、第1の制御装置160Aの動作と並行して測定部140により測定された荷重データを取得し、外部のサーバに送信する第2の制御装置160Bと、を備える。
【選択図】図8

【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視対象物を撮影する撮影部と、
前記監視対象物の荷重を測定する測定部と、
前記撮影部及び前記測定部に対して通信可能に接続され、前記撮影部により撮影された画像に関するデータである画像データと前記測定部により測定された荷重に関するデータである荷重データとを取得し、外部のサーバに送信する第1の制御装置と、
前記測定部に対して通信可能に接続され、前記第1の制御装置から独立して動作し、前記第1の制御装置の動作と並行して前記測定部により測定された荷重データを取得し、外部のサーバに送信する第2の制御装置と、
を備える測定装置。
【請求項2】
前記測定装置は、送電線を支持する送電鉄塔に固定され、前記撮影部、前記第1の制御装置及び前記第2の制御装置を内部に収容し、前記撮影部による前記送電線の撮影を可能にする透明窓が前面に設けられた第1の筐体をさらに備える、
請求項1に記載の測定装置。
【請求項3】
前記測定装置は、
前記第1の制御装置及び前記第2の制御装置に電力を供給する電源部と、
前記送電鉄塔に固定され、前記電源部の蓄電池を内部に収容する第2の筐体と、をさらに備える、
請求項2に記載の測定装置。
【請求項4】
前記測定部は、送電線を支持する送電鉄塔の腕金部から吊り下げられた状態で前記送電線を支持し、前記送電線からの荷重を測定するロードセルを備える、
請求項1から3のいずれか1項に記載の測定装置。
【請求項5】
前記第1の制御装置及び前記第2の制御装置は、それぞれ別個のシングルボードコンピュータを備える、
請求項1から4のいずれか1項に記載の測定装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の測定装置と、
前記第1の制御装置及び前記第2の制御装置に通信可能に接続され、前記第1の制御装置及び前記第2の制御装置のそれぞれから画像データ及び荷重データの少なくとも一方を取得し、取得した画像データ及び荷重データの少なくとも一方を端末装置からの要求に応じて前記端末装置に送信するサーバと、
を備える着雪検知システム。
【請求項7】
前記サーバは、前記第1の制御装置又は前記第2の制御装置から取得した荷重データの測定値が警告値以上である場合に、ユーザに送電線への着雪を警告する警告情報を前記端末装置に向けて送信する、
請求項6に記載の着雪検知システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定装置及び着雪検知システムに関する。
【背景技術】
【0002】
送電鉄塔に設置され、送電線への着雪の有無を検知するのに必要なデータを収集する着雪検知システムが用いられている。着雪検知システムは、送電線への着雪を原因とするギャロッピング、スリートジャンプ及び送電線支持物の変形や倒壊を予防するのに有用である。例えば、特許文献1には、送電鉄塔の腕金部に設けられたロードセルを備える測定装置で送電線からの荷重を測定し、ロードセルが測定した荷重の測定値に基づいて送電線への着雪を検知する着雪検知システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平4-178532号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されている測定装置は、過酷な環境でも高度の信頼性を確保するため、特殊仕様品として製造されている。それゆえに導入に伴うコストが高く、広大な領域に張り巡られている送電線網にきめ細やかに設置することは困難である。このため、過酷な環境下でも信頼性が確保でき、しかも低コストで導入できる着雪検知システムの測定装置の実現が要望されている。
【0005】
本発明は、このような背景に基づいてなされたものであり、低コストで導入でき、過酷な環境下でも安定して動作する測定装置及び着雪検知システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る測定装置は、
監視対象物を撮影する撮影部と、
前記監視対象物の荷重を測定する測定部と、
前記撮影部及び前記測定部に対して通信可能に接続され、前記撮影部により撮影された画像に関するデータである画像データと前記測定部により測定された荷重に関するデータである荷重データとを取得し、外部のサーバに送信する第1の制御装置と、
前記測定部に対して通信可能に接続され、前記第1の制御装置から独立して動作し、前記第1の制御装置の動作と並行して前記測定部により測定された荷重データを取得し、外部のサーバに送信する第2の制御装置と、
を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、低コストで導入でき、過酷な環境下でも安定して動作する測定装置及び着雪検知システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施の形態に係る着雪検知システムの構成を示す概略図である。
図2】本発明の実施の形態に係る測定装置の構成を示す正面図である。
図3】本発明の実施の形態に係る第1の筐体の正面側の構成を示す斜視図である。
図4図3の第1の筐体の内部の様子を示す斜視図である。
図5】本発明の実施の形態に係る第1の筐体の背面側の構成を示す斜視図である。
図6】本発明の実施の形態に係る第2の筐体の構成を示す正面図である。
図7図6の第2の筐体の内部の様子を示す斜視図である。
図8】本発明の実施の形態に係る測定装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
図9】(a)は、本発明の実施の形態に係るサーバのハードウェア構成を示すブロック図であり、(b)は、本発明の実施の形態に係る端末装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
図10】本発明の実施の形態に係る測定装置が実行する着雪検知処理の流れを示すフローチャートである。
図11】本発明の実施の形態に係る測定装置の第1の制御装置が実行するデータ取得処理の流れを示すフローチャートである。
図12】本発明の実施の形態に係る測定装置の第2の制御装置が実行するデータ取得処理の流れを示すフローチャートである。
図13】本発明の実施の形態に係るサーバが実行する着雪検知処理の流れを示すフローチャートである。
図14】本発明の実施の形態に係る端末装置が実行する着雪検知処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態に係る測定装置及び着雪検知システムを、図面を参照しながら詳細に説明する。各図面においては、同一又は同等の部分に同一の符号を付す。
【0010】
着雪検知システムは、送電線からの荷重に関するデータである荷重データと、送電線の定点画像に関するデータである画像データと、送電線周辺の気象に関するデータである気象データとを周期的に取得し、これらのデータをユーザに向けて提供するシステムである。
【0011】
送電線からの荷重は、鉄塔部材の腕金部に設置され、送電線を支持するロードセルにより検出される。送電線の定点画像は、位置及び姿勢が固定されたカメラにより送電線の同一箇所を撮影することで得られる。気象データは、例えば、温度、湿度、気圧、風向、風速に関するデータを含み、温湿度気圧計や風向風速計により測定される。ユーザは、荷重データ、画像データ及び気象データを参照することで、送電線への着雪の進行度合いを予測したり現地巡視の必要性を検討したりすることができる。以下、荷重データ、画像データ及び気象データを総称して「測定データ」と呼ぶことがある。
【0012】
図1に示すように、着雪検知システム1は、測定装置100(子局)と、サーバ200(親局)と、端末装置300と、を備える。測定装置100及びサーバ200、サーバ200及び端末装置300は、インターネットのような通信ネットワークを介してそれぞれ互いに通信可能に接続されている。サーバ200には、複数の測定装置100及び複数の端末装置300が通信可能に接続されてもよい。
【0013】
測定装置100は、送電線を架設する送電鉄塔に設置され、送電線への着雪の有無の検知に必要な測定データを周期的に取得し、取得した測定データを測定装置100の識別情報に対応付けてサーバ200に向けて送信する。
【0014】
サーバ200は、例えば、汎用コンピュータである。サーバ200は、測定装置100から送信された測定データを受信して内部のメモリに記憶すると共に、端末装置300からの要求に応じてメモリから測定データを読み取って端末装置300に送信する。また、サーバ200は、測定装置100から送信された荷重データの測定値が警告値(閾値)以上である場合に、送電線に着雪が発生している旨の警告情報を端末装置300に送信する。
【0015】
端末装置300は、例えば、汎用コンピュータ、タブレット端末、スマートフォンである。端末装置300は、ユーザの操作に従ってサーバ200に測定データを要求し、サーバ200から取得した測定データや警告情報をウェブブラウザに表示させる。
【0016】
図2に示すように、測定装置100は、筐体110と、筐体110に収容され、送電線を撮影する撮影部130と、送電線の荷重データ及び送電線周辺の気象データを測定する測定部140と、筐体110に収容され、撮影部130及び測定部140に電気を供給する電源部150と、筐体110に収容され、撮影部130及び測定部140の動作を制御する制御装置160と、を備える。
【0017】
測定部140のロードセル141及び風向風速計143は、通信ケーブルを介して制御装置160に通信可能に接続され、撮影部130及び測定部140の温湿度気圧計142は、筐体110の内部の通信回路を介して制御装置160に通信可能に接続されている。制御装置160は、電源ケーブルを介して電源部150に電気的に接続され、撮影部130及び測定部140には、通信回線を介して制御装置160から電力が供給される。
【0018】
筐体110は、撮影部130、測定部140の温湿度気圧計142及び制御装置160を収納する第1の筐体110Aと、電源部150の蓄電池153を収納する第2の筐体110Bと、を備える。第1の筐体110A及び第2の筐体110Bは、それぞれ鉄塔部材の異なる位置に固定されている。筐体110を2つに分けているのは、現場での施工性を向上させるためである。また、蓄電池153内の溶液が原因で結露が発生し、制御装置160が故障したり温湿度気圧計142による測定に影響が及んだりすることを防ぐためでもある。
【0019】
測定部140のロードセル141及び風向風速計143、並びに電源部150の太陽パネル151は、第1の筐体110A及び第2の筐体110Bのいずれにも設置されず、鉄塔部材又は腕金部に固定される。以下、第1の筐体110A及び第2の筐体110Bの区別が不要な場合、それぞれを単に筐体110と表現することがある。
【0020】
図3に示すように、第1の筐体110Aは、本体ケース111と、本体ケース111の正面側に設けられ、本体ケース111に対して開閉可能な扉112と、を備える。本体ケース111及び扉112は、例えば、金属材料で形成されている。扉112には、透明材料で形成された透明窓113と、ユーザにより把持可能であり、本体ケース111に対して扉112をロックするためのレバー114とが設けられている。
【0021】
透明窓113は、例えば、アクリル板材で形成されている。透明窓113は、撮影部130による撮影及び通信部161、例えば、USB(Universal Serial Bus)ドングルのアンテナ(メインアンテナ)によるデータ通信のために設けられている。透明窓113は、金属筐体に起因する通信部161の通信不良を回避するため、撮影部130のみならず通信部161も外部から視認可能となる大きさ及び形状で形成されることが好ましい。
【0022】
本体ケース111には、本体ケース111の内部空間と外部との間で空気の出入りを可能にする2つの通気管115と、通信ケーブル及び電源ケーブルが挿通されるケーブル導入ガイド(図示せず)とが設けられている。各通気管115は、本体ケース111の底面部から下向きに延び、開口部が設けられた先端側に向かって徐々に窄まるように形成されている。ケーブル導入ガイドは、本体ケース111の壁面を貫通するように設けられ、その内部には、メインアンテナが通信不良の場合にデータ通信を行うサブアンテナ(図示しない)を配置してもよい。
【0023】
図4に示すように、第1の筐体110Aの本体ケース111の内部には、撮影部130のカメラ131を支持するトレー116が設けられている。トレー116は、本体ケース111の背面部に設けられ、背面部から扉112に向かって水平方向に延びるように配置されている。カメラ131は、回転台132によりカメラ131の光軸に垂直な軸周りに回転可能に支持され、回転台132は、トレー116の上面部に固定されている。
【0024】
トレー116の先端部には、第1の筐体110Aの上下方向に延びるアンテナ取り付け部材117が設けられている。アンテナ取り付け部材117には、通信部161のアンテナを装着するための2つのスロットが設けられ、これらのスロットは、通信部161が装着された場合に通信部161が透明窓113の裏側に位置するように形成されている。
【0025】
第1の筐体110Aの本体ケース111の背面部の内側には、制御装置160の記憶部162及び制御部163を構成するシングルボードコンピュータが固定されている。また、第1の筐体110Aの本体ケース111の側面部の内側には、温湿度気圧計142が固定されている。
【0026】
図5に示すように、第1の筐体110Aの本体ケース111の背面部には、取り付け金具120Aが固定されている。取り付け金具120Aは、筐体110の左右方向に延びる板状部材である。取り付け金具120Aの長手方向に対向する一対の端部には、Vボルトを挿通可能な一対の貫通孔121Aがそれぞれ設けられている。一対の貫通孔121Aの一方は、円形に形成され、一対の貫通孔121Aの他方は、サイズの異なるVボルトを挿通可能とするように上下方向を長軸とする長円形に形成されている。取り付け金具120Aは、Vボルトを用いて鉄塔部材に固定される。
【0027】
図6、7に示すように、第2の筐体110Bは、第1の筐体110Aと同様に、本体ケース111と、扉112と、レバー114と、通気管115と、を備える。また、第2の筐体110Bは、本体ケース111の底面部に設けられ、底面部から下方に延びる側面視L字状の取り付け金具120Bをさらに備える。各取り付け金具120Bには、上下方向に延びるVボルトを挿通可能な一対の貫通孔121Bが幅方向に間隔を空けて形成されている。一対の貫通孔121Bの一方は、円形に形成され、一対の貫通孔121Bの他方は、サイズの異なるVボルトを挿通可能とするように上下方向を長軸とする長円形に形成されている。取り付け金具120Bは、取り付け金具120Aと同様にVボルトを用いて鉄塔部材に固定される。
【0028】
第2の筐体110Bの本体ケース111の内部には、上下二段で配置され、それぞれに蓄電池153が設置される2つのトレー118が設けられている。トレー118は、本体ケース111の背面部及び両側面部に固定されている。各トレー118には、例えば、2つずつ蓄電池が載せられている。
【0029】
以下、図8を参照して、実施の形態に係る測定装置100のハードウェア構成を説明する。撮影部130は、制御装置160からの制御信号に基づいて、送電線の同一箇所を周期的に撮影し、撮影により得られた画像データを制御装置160に送信する。撮影部130は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサを備えるカメラモジュールである。カメラモジュールは、カメラ131及びレンズ(図示せず)を備える。
【0030】
測定部140は、制御装置160からの制御信号に基づいて、送電線の荷重データ及び送電線周辺の気象データを測定し、得られた荷重データ及び気象データを制御装置160に向けて送信する。測定部140は、例えば、撮影部130による撮影と同期したタイミングで、送電線の荷重データ及び送電線周辺の気象データを測定する。測定部140は、ロードセル141と、温湿度気圧計142と、風向風速計143と、を備える。ロードセル141、温湿度気圧計142及び風向風速計143は、それぞれ通信回線を介して制御装置160に通信可能に接続され、制御装置160に向けて信号を送信する。
【0031】
ロードセル141は、送電線を把持する懸垂碍子と鉄塔の腕金部との間に接続され、送電線による下向きの荷重を測定するセンサである。ロードセル141は、ひずみゲージを備え、ひずみゲージで引張力を測定することで送電線の荷重を検出する。ロードセル141には、信号増幅器(図示せず)が接続され、信号増幅器は、ロードセル141で検出された信号を増幅して出力する。
【0032】
温湿度気圧計142は、筐体110の内部空間に配置され、鉄塔周辺の温度、湿度及び気圧を測定する。風向風速計143は、鉄塔部材に固定され、送電線周辺の風向及び風速を測定する。風向風速計143は、例えば、飛行機型モデルの風向風速計である。
【0033】
ロードセル141、温湿度気圧計142及び風向風速計143は、アナログ信号をデジタル信号に変換するA/D(アナログ/デジタル)コンバータにそれぞれ接続されている。各A/Dコンバータは、制御装置160に接続され、制御装置160に向けてデジタル信号を供給する。
【0034】
電源部150は、制御装置160に向けて電力を供給する。電源部150は、太陽パネル151と、太陽パネル151に電気的に接続されたパワーコンディショナー(Power Conditioning System:PCS)152と、PCS152にそれぞれ電気的に接続された蓄電池153及びDC/DCコンバータ154と、を備える。
【0035】
太陽パネル151は、鉄塔部材に固定され、太陽光のエネルギーを電気に変換する。太陽パネル151は、各筐体110の外部に配置され、電線ケーブルを介してPCS152に接続されている。太陽パネル151の裏面には、鉄塔部材に取り付けて固定するための取り付け金具(図示せず)が固定されている。太陽パネル151は、送電鉄塔に対して一台だけ設置されてもよく、複数台設置されてもよい。
【0036】
PCS152は、第2の筐体110Bの内部に収容され、太陽パネル151で発電された直流の電力を交流に変換する。
【0037】
蓄電池153は、第2の筐体110Bの内部に収容され、PCS152からの電力を充電し、夜間や悪天候時などに電気を放出する。蓄電池153は、交流を直流に、直流を交流に変換するPCSを備え、PCS152から供給された電気を充電したり内部に蓄えられた電気を放出したりする。蓄電池153は、例えば、密閉型鉛蓄電池である。電源部150では、複数の蓄電池153が並列して接続されてもよい。
【0038】
DC/DCコンバータ154は、ロードセル141に接続された信号増幅器(図示せず)及び制御装置160に電気的に接続され、蓄電池153から取り出した直流の電圧を需要側の必要電圧まで降下させ、信号増幅器及び制御装置160に供給する。
【0039】
制御装置160は、撮影部130及び測定部140の動作を制御する。制御装置160は、撮影部130及び測定部140に対して通信可能に接続された第1の制御装置160Aと、測定部140に対して通信可能に接続され、第1の制御装置160Aと独立して動作する第2の制御装置160Bと、を備える。測定装置100では、制御装置160を二重化し、互いに異なる動作をさせることで、制御装置160として汎用品を採用した場合であっても装置全体の信頼性を確保できる。以下、第1の制御装置160A及び第2の制御装置160Bの区別が不要な場合、それぞれを単に制御装置160と表現することがある。
【0040】
制御装置160は、通信部161と、記憶部162と、制御部163と、を備える。制御装置160の各部は、内部バス(図示せず)で相互に接続されている。
【0041】
通信部161は、インターネットのような通信ネットワークに接続することが可能なインターフェースである。通信部161は、例えば、携帯通信網を介した通信が可能なUSBドングルであり、内部にアンテナを備える。
【0042】
記憶部162は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリを備える。記憶部162は、制御部163に実行されるプログラムや各種のデータ、例えば、測定装置100に個別に割り振られた識別情報に関するデータ、第1の制御装置160A及び第2の制御装置160B毎の識別情報に関するデータ、撮影部130及び測定部140からの測定データが記録されたCSV(Comma Separated Values)ファイルを記憶する。識別情報は、例えば、測定装置100毎に割り振られた装置ID(Identification)である。また、記憶部162は、制御部163が処理を実行するためのワークメモリとして機能する。
【0043】
制御部163は、マイクロコントローラ、CPU(Central Processing Unit)のようなプロセッサを備え、制御装置160の各部の制御を行う。また、制御部163は、現在時刻を計時するリアルタイムクロックを備える。記憶部162及び制御部163は、例えば、シングルボードコンピュータで構成される。
【0044】
第1の制御装置160Aの制御部163は、記憶部162に記憶されているプログラムを実行することにより、図10の着雪検知処理及び図11のデータ取得処理を実行する。第2の制御装置160Bの制御部163は、記憶部162に記憶されているプログラムを実行することにより、第1の制御装置160Aの制御部163の動作と並行して図10の着雪検知処理及び図12のデータ取得処理を実行する。
【0045】
第1の制御装置160A及び第2の制御装置160Bの制御部163が実行する処理は、画像データの取得処理及び送信処理を除けば同一の処理である。第2の制御装置160Bの制御部163が画像データの取得処理及び送信処理を省略しているのは、第2の制御装置160Bの記憶部162に書き込むデータ量を抑制し、その寿命を延ばすと共に、第2の制御装置160Bが第1の制御装置160Aと同時に故障することを避けるためである。
【0046】
第1の制御装置160Aの処理を具体的に説明すると、制御部163は、測定部140からの荷重データ及び気象データを記憶部162に作成されたCSVファイルに書き込み、撮影部130から得られた画像ファイルを記憶部162に記憶する。次に、各制御部163は、記憶部162に記憶されたCSVファイル及び画像ファイルをサーバ200に向けて送信する。ただし、制御部163は、撮影部130による撮影を現在時刻が6時~18時の場合に制限する。これは、夜間に撮影された画像が送電線への着雪検知に使用できないためである。
【0047】
第1の制御装置160A及び第2の制御装置160Bの各制御部163は、それぞれ別個のCSVファイルに測定データを書き込み、各CSVファイルを第1の制御装置160A及び第2の制御装置160B毎に割り当てられた識別情報に紐付けする。これにより、サーバ200は、測定データが記録されたCSVファイルがどの制御装置160から送信されたものであるかを判別できる。
【0048】
また、第1の制御装置160A及び第2の制御装置160Bでは、一度起動されると基本的に常時起動された状態を維持するが、携帯通信網に通信障害が発生する場合を考慮して定期的なOS(Operating System)再起動を実行する。OS再起動の頻度は、再起動が高頻度で繰り返され、フラッシュメモリの寿命が縮まることを避けるため、例えば、週に一度であることが好ましい。
以上が、実施の形態に係る測定装置100のハードウェア構成である。
【0049】
次に、図9(a)を参照して、実施の形態に係るサーバ200のハードウェア構成を説明する。サーバ200は、通信部210と、記憶部220と、制御部230と、を備える。サーバ200の各部は、内部バス(図示せず)で相互に接続されている。
【0050】
通信部210は、インターネットのような通信ネットワークに接続することが可能なインターフェースである。
【0051】
記憶部220は、RAM、ROM、フラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)を備える。記憶部220は、制御部230に実行されるプログラムや各種のデータを記憶する。また、記憶部220は、制御部230が処理を実行するためのワークメモリとして機能する。
【0052】
制御部230は、CPUを備え、サーバ200の各部の制御を行う。制御部230は、記憶部220に記憶されているプログラムを実行することにより、図13の着雪検知処理を実行する。具体的には、測定装置100の第1の制御装置160A及び第2の制御装置160Bから送電線の荷重データを取得し、第1の制御装置160A及び第2の制御装置160Bのいずれかで得られた送電線の荷重の測定値がユーザにより設定された警告値(閾値)以上である場合に、通信部210を動作させ、送電線に着雪が発生している旨の警告情報を含むメッセージを端末装置300に向けて送信させる。これにより、制御装置160の一方が故障している場合であっても、制御装置160の他方からの荷重の測定値に基づいて警告情報を端末装置300に向けて送信できる。
【0053】
また、制御部230は、端末装置300からの要求に応じて、気象データの経時変化を示す気象グラフを含む表示画面を作成する。気象グラフは、測定装置100毎に作成され、温度、湿度、気圧、風速、風向に関するデータを含む。気象グラフは、画像ファイル、例えば、PNG(Portable Network Graphics)ファイルに記録される。気象グラフの画像ファイルと送電線の撮影画像を記録した画像ファイルとを用いて表示画像が作成され、作成された表示画像に関するデータが端末装置300に送信される。
以上が、実施の形態に係るサーバ200のハードウェア構成である。
【0054】
次に、図9(b)を参照して、実施の形態に係る端末装置300のハードウェア構成を説明する。端末装置300は、操作部310と、表示部320と、通信部330と、記憶部340と、制御部350と、を備える。端末装置300の各部は、内部バス(図示せず)で相互に接続されている。
【0055】
操作部310は、ユーザの指示を受け付け、受け付けた操作に対応する操作信号を制御部350に供給する。操作部310は、例えば、マウス、キーボードを備え、ユーザによるサーバ200に向けた測定データの送信を要求する指示を受け付ける。
【0056】
表示部320は、制御部350から供給されるデータに基づいて、ユーザに向けて各種の画像、例えば、サーバ200から受信した測定データを示す表示画像を表示する。
【0057】
通信部330は、インターネットのような通信ネットワークに接続することが可能なインターフェースである。
【0058】
記憶部340は、RAM、ROM、フラッシュメモリを備える。記憶部340は、制御部350に実行されるプログラムや各種のデータを記憶する。また、記憶部340は、制御部350が処理を実行するためのワークメモリとして機能する。
【0059】
制御部350は、CPUを備え、端末装置300の各部の制御を行う。制御部350は、記憶部340に記憶されているプログラムを実行することにより、図14の着雪検知処理を実行する。具体的には、サーバ200から表示画面や送電線に着雪している旨のメッセージを受信した場合に、当該表示画面やメッセージを表示部320に表示させる。
以上が、実施の形態に係る端末装置300のハードウェア構成である。
【0060】
次に、図10図14を参照して、本発明の実施の形態に係る着雪検知システム1が実行する一連の処理の流れを説明する。
【0061】
(着雪検知処理)
図10のフローチャートを参照して、測定装置100の第1の制御装置160A及び第2の制御装置160Bがそれぞれ実行する着雪検知処理の流れを説明する。着雪検知処理は、測定装置100で取得した測定データに基づいて、送電線の着雪の有無を検知する処理である。着雪検知処理は、測定装置100及びサーバ200がユーザにより起動された時点で開始される。
【0062】
まず、各制御部163は、現在時刻が各時00分から10分毎の時点かどうかを判定する(ステップS1)。現在時刻が各時00分から10分毎の時点であると判定された場合(ステップS1;Yes)、各制御部163は、サーバ200との間でのSSH(Secure Shell)通信を確立させる(ステップS2)。具体的には、サーバ200に測定装置100毎に割り振られた識別情報とパスワードとを送信させ、サーバ200は、測定装置100から受信した識別情報及びパスワードがサーバ200に記憶された識別情報及びパスワードと一致する場合に、測定装置100に通信の認証が完了した旨の情報を通知し、SSH通信を確立させる。
【0063】
他方、現在時刻が各時00分から10分毎の時点でないと判定された場合(ステップS1;No)、各制御部163は、現在時刻が日曜日の午前0時7分毎であるかどうかを判定する(ステップS5)。現在時刻が日曜日の午前0時7分毎であると判定された場合(ステップS5;Yes)、各制御部163は、OSを再起動させ(ステップS6)、処理をステップS1に戻す。他方、現在時刻が午前0時7分毎でないと判定された場合(ステップS5;No)、制御部163は、そのまま処理をステップS1に戻す。
【0064】
ステップS2の処理の実行後、各制御部163は、撮影部130及び測定部140から測定データを取得するデータ取得処理を実行する(ステップS3)。第1の制御装置160A及び第2の制御装置160Bの各制御部163がそれぞれ実行するデータ取得処理は一部が相違しているため、まず、図11を参照して、第1の制御装置160Aの制御部163が実行するデータ取得処理の流れを説明する。
【0065】
(データ取得処理)
まず、第1の制御装置160Aの制御部163は、不要なCSVファイルを移動する(ステップS11)。不要なCSVファイルは、例えば、一週間前に作成されたCSVファイルであり、これをゴミ箱に移動する。
【0066】
次に、制御部163は、ステップS11の処理で移動したCSVファイルを削除する(ステップS12)。
【0067】
次に、制御部163は、測定部140から測定データを取得し、取得した測定データをデータ取得日時と対応付けてCSVファイルへの書き込みを行う(ステップS13)。
【0068】
次に、制御部163は、現在時刻が6時~18時の間かどうかを判定する(ステップS14)。現在時刻が6時~18時の間であると判定された場合(ステップS14;Yes)、制御部163は、撮影部130から画像データを取得し(ステップS15)、データ取得日時に対応付けて記憶部162に記憶させる(ステップS16)。他方、現在時刻が6時~18時の間でないと判定された場合(ステップS14;No)、処理をステップS17に移動する。
【0069】
ステップS16の処理の実行終了後又はステップS14の処理でNoの場合、制御部163は、ステップS13の処理で書き込みを行ったCSVファイル及びステップS15の処理で取得した画像データを、測定装置100に割り当てられた識別情報及び第1の制御装置160Aに割り当てられた識別情報に対応付けてサーバ200に向けて送信し(ステップS17)、処理をリターンする。
以上が、第1の制御装置160Aの制御部163が実行するデータ取得処理の流れである。
【0070】
第2の制御装置160Bの制御部163が実行するデータ取得処理は、図12に示すように、図11のデータ取得処理からステップS14~ステップS16の処理を省略したものである。このデータ取得処理は、図11のデータ取得処理よりも計算負荷や扱うデータ量が小さいため、第2の制御装置160Bが第1の制御装置160Aと同時に故障することを防ぐことができる。
【0071】
図10に戻り、ステップS3の処理の終了後、各制御部160は、SSH通信を解除し(ステップS4)、処理をステップS1に戻す。
以上が、測定装置100の第1の制御装置160A及び第2の制御装置160Bがそれぞれ実行する着雪検知処理の流れである。
【0072】
(着雪検知処理)
次に、図13のフローチャートを参照して、実施の形態に係るサーバ200の制御部230が実行する着雪検知処理の流れを説明する。
【0073】
まず、制御部230は、測定装置100の第1の制御装置160A及び第2の制御装置160BからCSVファイル及び画像データをそれぞれ取得する(ステップS21)。
【0074】
次に、制御部230は、ステップS21の処理で取得されたCSVファイル及び画像データをそれぞれ記憶部220に記憶させる(ステップS22)。
【0075】
次に、制御部230は、ステップS21で取得されたいずれかのCSVファイルに記録された荷重の測定値が記憶部220に記憶された警告値以上であるかどうかを判定する(ステップS23)。いずれかのCSVファイルに記録された荷重の測定値が記憶部220に記憶された警告値以上であると判定された場合(ステップS23;Yes)、制御部230は、端末装置300に向けて送電線に着雪している旨のメッセージを送信させ(ステップS24)、ステップS25に移動する。他方、いずれかのCSVファイルに記録された荷重の測定値が記憶部220に記憶された警告値未満であると判定された場合(ステップS23;No)、処理をそのままステップS25に移動する。
【0076】
ステップS24の処理の終了後又はステップS23でNoの場合、制御部230は、端末装置300から表示画面の送信要求を受け付けたかどうかを判定する(ステップS25)。端末装置300から表示画面の送信要求を受け付けたと判定された場合(ステップS25;Yes)、制御部230は、測定結果を示す表示画面を作成し(ステップS26)、表示画面に関するデータ(画面データ)を端末装置300に向けて送信させ(ステップS27)、処理をステップS21に戻す。
【0077】
他方、端末装置300から表示画面の送信要求を受け付けていないと判定された場合(ステップS25;No)、そのまま処理をステップS21に戻す。
以上が、サーバ200の制御部230が実行する着雪検知処理の流れである。
【0078】
次に、図14のフローチャートを参照して、実施の形態に係る端末装置300の制御部350が実行する着雪検知処理の流れを説明する。
【0079】
まず、制御部350は、サーバ200から送電線に着雪している旨のメッセージを受信しているかどうかを判定する(ステップS31)。サーバ200から送電線に着雪している旨のメッセージを受信したと判定された場合(ステップS31;Yes)、制御部350は、送電線に着雪している旨のメッセージを表示部320に表示させ(ステップS32)、ステップS33に処理を移動する。他方、サーバ200から送電線に着雪している旨のメッセージを受信していないと判定された場合(ステップS31;No)、ステップS33に処理を移動する。
【0080】
次に、制御部350は、表示画面の表示を要求するユーザによる指示を受け付けたかどうかを判定する(ステップS33)。表示画面の表示を要求するユーザによる指示を受け付けたと判定された場合(ステップS33;Yes)、制御部350は、サーバ200に表示画面の送信を要求する(ステップS34)。他方、表示画面の表示を要求するユーザによる指示を受け付けていないと判定された場合(ステップS33;No)、処理をステップS31に戻す。
【0081】
ステップS34の処理の終了後に、サーバ200から表示画面に関する画面データを受信すると(ステップS35)、制御部350は、受信した表示画面を表示部320に表示させ(ステップS36)、処理をステップS31に戻す。
以上が、端末装置300の制御部350が実行する着雪検知処理の流れである。
【0082】
以上説明したように、実施の形態に係る測定装置100は、撮影部130及び測定部140に対して通信可能に接続され、撮影部130により撮影された画像に関するデータである画像データと測定部140により測定された荷重に関するデータである荷重データとを取得し、外部のサーバ200に送信する第1の制御装置160Aと、測定部140に対して通信可能に接続され、第1の制御装置160Aの動作と並行して測定部140により測定された荷重データを取得し、外部のサーバ200に送信する第2の制御装置160Bと、を備える。このため、USBドングルやシングルボードコンピュータのような汎用品を採用でき、結果として低コストで導入できる測定装置及び着雪検知システムを提供できる。
【0083】
本発明は上記の実施形態に限られず、以下に述べる変形も可能である。
【0084】
(変形例)
上記実施の形態では、第1の筐体110Aに取り付け金具120Aが固定され、第2の筐体110Bに取り付け金具120Bが固定されていたが、本発明はこれに限られない。例えば、第1の筐体110Aに取り付け金具120Bが固定されてもよく、第2の筐体110Bに取り付け金具120Aが固定されてもよい。
【0085】
上記実施の形態では、第1の筐体110A及び第2の筐体110Bを鉄塔部材に固定していたが、本発明はこれに限られない。例えば、第1の筐体110A及び第2の筐体110Bの一方を地面に設置してもよい。
【0086】
上記実施の形態では、撮影部130が監視対象物である送電線を撮影して得られる画像は静止画であったが、本発明はこれに限られない。例えば、撮影部130は、監視対象の送電線を動画で撮影可能に構成してもよい。また、カメラ131をモータにより回転可能な回転台に支持させ、当該回転台の回転動作をユーザからの指示に基づき生成された制御部163からの制御信号により制御することで、カメラ131を用いて任意の位置を撮影可能に構成してもよい。
【0087】
上記実施の形態では、送電鉄塔の腕金部と懸垂碍子との間にロードセル141を取り付けていたが、本発明はこれに限られない。例えば、耐張碍子型の送電鉄塔やパンザーマストにロードセル141を取り付けてもよい。また、本発明における測定装置100は、送電線の着雪を検知することに限らず、送電線以外の他の設備の着雪を検知するよう取り付けられてもよい。
【0088】
上記実施の形態では、温度、湿度、気圧の測定を温湿度気圧計142が行っていたが、本発明はこれに限られない。例えば、温度、湿度、気圧の測定を、それぞれ温度計、湿度計、気圧計が個別に行ってもよい。
【0089】
上記実施の形態では、測定装置100が気象データを取得していたが、本発明はこれに限られない。測定装置100で気象データを取得するかどうかは任意であり、気象データを取得するとしても、温度、湿度、気圧、風向、風速のうち一部の測定項目の測定を省略してもよい。
【0090】
上記実施の形態では、電源部150が太陽パネル151を備えていたが、本発明はこれに限られない。電源部150としては、風力、波力、潮力、流水、潮汐、地熱、バイオマスのような再生可能エネルギーを電気に変換可能な設備を用いてもよい。例えば、小型水力発電設備や風力発電設備を用いてもよい。また、商用電源を確保可能な場所であれば、商用電源を用いてもよい。
【0091】
上記実施の形態では、現在時刻が各時00分から10分毎の時点で測定装置100とサーバ200との間でのSSH通信を確立していたが、本発明はこれに限られない。SSH通信を確立するタイミングは任意であり、例えば、各時00分から5分毎の時点で測定装置100とサーバ200との間でのSSH通信を確立してもよく、各時00分から15分毎の時点で測定装置100とサーバ200との間でのSSH通信を確立してもよい。
【0092】
上記実施の形態では、現在時刻が日曜日の午前0時7分の時点で測定装置100のOSを再起動させていたが、本発明はこれに限られない。OSを再起動するタイミングは任意であり、例えば、毎月第1土曜日の午前6時7分の時点で測定装置100のOSを再起動させてもよい。
【0093】
上記実施の形態では、サーバ200に測定データを記憶させ、サーバ200がユーザからの要求に基づいて端末装置300に測定データを含む表示画面に関するデータを送信していたが、本発明はこれに限られない。例えば、サーバ200がユーザからの要求に基づいて端末装置300に測定データを送信し、端末装置300にて表示画面を作成して表示させてもよい。
【0094】
上記実施の形態では、測定データはサーバ200の記憶部220に記憶されていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、各種データは、その全部又は一部が通信ネットワークを介して外部のサーバやコンピュータに記憶されていてもよい。
【0095】
上記実施の形態では、通信ネットワークとしてインターネットを用いていたが、本発明はこれに限られない。例えば、通信ネットワークは、LAN(Local Area Network)や専用線を用いて実現してもよい。
【0096】
上記実施の形態では、測定装置100、サーバ200及び端末装置300は、記憶部162、220、340に記憶されたプログラムに基づいて動作していたが、本発明はこれに限定されない。例えば、プログラムにより実現された機能的な構成をハードウェアにより実現してもよい。
【0097】
上記実施の形態では、測定装置100は、例えば、シングルボードコンピュータを備えていたが、本発明はこれに限られない。例えば、測定装置100は、シングルボードコンピュータ以外の他の汎用コンピュータであってもよい。
【0098】
上記実施の形態では、サーバ200は、例えば、汎用コンピュータであったが、本発明はこれに限られない。例えば、サーバ200は、専用のシステムで実現してもよく、クラウド上に設けられたコンピュータであってもよい。
【0099】
上記実施の形態では、測定装置100、サーバ200及び端末装置300が実行する処理は、上述の物理的な構成を備える装置が記憶部162、220、340に記憶されたプログラムを実行することによって実現されていたが、本発明は、プログラムとして実現されてもよく、そのプログラムが記録された記憶媒体として実現されてもよい。
【0100】
また、上述の処理動作を実行させるためのプログラムを、フレキシブルディスク、CD-ROM(Compact Disk Read-Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disk)、MO(Magneto-Optical Disk)のようなコンピュータにより読み取り可能な記録媒体に格納して配布し、そのプログラムをコンピュータにインストールすることにより、上述の処理動作を実行する装置を構成してもよい。
【0101】
上記実施の形態は例示であり、本発明はこれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した発明の趣旨を逸脱しない範囲でさまざまな実施の形態が可能である。実施の形態や変形例で記載した構成要素は自由に組み合わせることが可能である。また、特許請求の範囲に記載した発明と均等な発明も本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0102】
1 着雪検知システム
100 測定装置
110 筐体
110A 第1の筐体
110B 第2の筐体
130 撮影部
140 測定部
141 ロードセル
150 電源部
153 蓄電池
160A 第1の制御装置
160B 第2の制御装置
200 サーバ
300 端末装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
【手続補正書】
【提出日】2023-03-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る測定装置は、
監視対象物を撮影する撮影部と、
前記監視対象物の荷重を測定する測定部と、
前記撮影部及び前記測定部に対して通信可能に接続され、前記撮影部により撮影された画像に関するデータである画像データと前記測定部により測定された荷重に関するデータである荷重データとを取得し、外部のサーバに送信する第1の制御装置と、
前記第1の制御装置と異なる流れで処理を実行する第2の制御装置であって、前記測定部に対して通信可能に接続され、前記第1の制御装置から独立して動作し、前記第1の制御装置の動作と並行して前記測定部により測定された荷重データを取得し、前記サーバに送信する第2の制御装置と、
を備える。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視対象物を撮影する撮影部と、
前記監視対象物の荷重を測定する測定部と、
前記撮影部及び前記測定部に対して通信可能に接続され、前記撮影部により撮影された画像に関するデータである画像データと前記測定部により測定された荷重に関するデータである荷重データとを取得し、外部のサーバに送信する第1の制御装置と、
前記第1の制御装置と異なる流れで処理を実行する第2の制御装置であって、前記測定部に対して通信可能に接続され、前記第1の制御装置から独立して動作し、前記第1の制御装置の動作と並行して前記測定部により測定された荷重データを取得し、前記サーバに送信する第2の制御装置と、
を備える測定装置。
【請求項2】
前記測定装置は、送電線を支持する送電鉄塔に固定され、前記撮影部、前記第1の制御装置及び前記第2の制御装置を内部に収容し、前記撮影部による前記送電線の撮影を可能にする透明窓が前面に設けられた第1の筐体をさらに備える、
請求項1に記載の測定装置。
【請求項3】
前記測定装置は、
前記第1の制御装置及び前記第2の制御装置に電力を供給する電源部と、
前記送電鉄塔に固定され、前記電源部の蓄電池を内部に収容する第2の筐体と、をさらに備える、
請求項2に記載の測定装置。
【請求項4】
前記測定部は、送電線を支持する送電鉄塔の腕金部から吊り下げられた状態で前記送電線を支持し、前記送電線からの荷重を測定するロードセルを備える、
請求項1から3のいずれか1項に記載の測定装置。
【請求項5】
前記第1の制御装置及び前記第2の制御装置は、それぞれ別個のシングルボードコンピュータを備える、
請求項1から4のいずれか1項に記載の測定装置。
【請求項6】
前記第2の制御装置は、前記撮影部により撮影された画像データを取得せず、前記サーバに送信しない、
請求項1から5のいずれか1項に記載の測定装置。
【請求項7】
請求項1からのいずれか1項に記載の測定装置と、
前記第1の制御装置及び前記第2の制御装置に通信可能に接続され、前記第1の制御装置及び前記第2の制御装置のそれぞれから画像データ及び荷重データの少なくとも一方を取得し、取得した画像データ及び荷重データの少なくとも一方を端末装置からの要求に応じて前記端末装置に送信するサーバと、
を備える着雪検知システム。
【請求項8】
前記サーバは、前記第1の制御装置又は前記第2の制御装置から取得した荷重データの測定値が警告値以上である場合に、ユーザに送電線への着雪を警告する警告情報を前記端末装置に向けて送信する、
請求項に記載の着雪検知システム。