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  • 特開-粉砕装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023072815
(43)【公開日】2023-05-25
(54)【発明の名称】粉砕装置
(51)【国際特許分類】
   B02C 19/18 20060101AFI20230518BHJP
   F23K 1/00 20060101ALI20230518BHJP
【FI】
B02C19/18 E ZAB
F23K1/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021185486
(22)【出願日】2021-11-15
(71)【出願人】
【識別番号】000000099
【氏名又は名称】株式会社IHI
(74)【代理人】
【識別番号】110000936
【氏名又は名称】弁理士法人青海国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岸田 拓也
(72)【発明者】
【氏名】上野 俊一朗
(72)【発明者】
【氏名】プリヤント デディ
(72)【発明者】
【氏名】河西 英一
(72)【発明者】
【氏名】尾崎 直樹
【テーマコード(参考)】
4D067
【Fターム(参考)】
4D067CG06
4D067EE05
4D067EE12
4D067EE27
4D067EE32
4D067EE39
4D067GA11
4D067GA14
4D067GB10
(57)【要約】
【課題】バイオマスの含水率を低下させる。
【解決手段】粉砕装置120は、バイオマスを大気圧超に加圧する反応器210と、反応器210から排出された、バイオマスを含む固気混合物を固気分離するサイクロン230と、サイクロン230に乾燥ガスDを供給するガス供給部240と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイオマスを大気圧超に加圧する反応器と、
前記反応器から排出された、前記バイオマスを含む固気混合物を固気分離するサイクロンと、
前記サイクロンに乾燥ガスを供給するガス供給部と、
を備える、粉砕装置。
【請求項2】
前記ガス供給部は、前記サイクロンの上部に前記乾燥ガスを供給する、請求項1に記載の粉砕装置。
【請求項3】
前記ガス供給部は、前記サイクロン内の前記バイオマスの流れに沿って前記乾燥ガスを供給する、請求項1または2に記載の粉砕装置。
【請求項4】
前記サイクロンの上部に形成されたバイオマス受入口を備え、
前記ガス供給部は、前記バイオマス受入口を通じて前記乾燥ガスを供給する請求項1から3のいずれか1項に記載の粉砕装置。
【請求項5】
前記ガス供給部は、常温よりも高温の前記乾燥ガスを供給する、請求項1から4のいずれか1項に記載の粉砕装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、粉砕装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球温暖化を防止するために、CO(二酸化炭素)排出量の削減が求められている。このため、ボイラにおいて、石炭に加えてバイオマスを燃焼させる技術や、石炭に代えてバイオマスを燃焼させる技術が検討されている。バイオマスをボイラで燃焼させるために、バイオマスを粉砕する必要がある。
【0003】
バイオマスを粉砕する技術として、バイオマスおよび水蒸気を密閉容器に導入して加圧した後、急速に減圧することで、バイオマスを水蒸気爆砕する技術が開発されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2016-507634号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記水蒸気爆砕する技術において、爆砕後のバイオマスの含水率を低下させる技術の開発が希求されている。
【0006】
本開示は、このような課題に鑑み、バイオマスの含水率を低下させることが可能な粉砕装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本開示の一態様に係る粉砕装置は、バイオマスを大気圧超に加圧する反応器と、反応器から排出された、バイオマスを含む固気混合物を固気分離するサイクロンと、サイクロンに乾燥ガスを供給するガス供給部と、を備える。
【0008】
また、ガス供給部は、サイクロンの上部に乾燥ガスを供給してもよい。
【0009】
また、ガス供給部は、サイクロン内のバイオマスの流れに沿って乾燥ガスを供給してもよい。
【0010】
また、上記粉砕装置は、サイクロンの上部に形成されたバイオマス受入口を備え、ガス供給部は、バイオマス受入口を通じて乾燥ガスを供給してもよい。
【0011】
また、ガス供給部は、常温よりも高温の乾燥ガスを供給してもよい。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、バイオマスの含水率を低下させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本実施形態にかかる粉砕システムを説明する図である。
図2図2は、本実施形態に係る粉砕装置を説明する図である。
図3図3は、実施例および比較例のバイオマスの含水率を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に添付図面を参照しながら、本開示の実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、具体的な数値等は、理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本開示を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本開示に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0015】
[粉砕システム100]
図1は、本実施形態にかかる粉砕システム100を説明する図である。なお、図1中、実線の矢印は、バイオマスの流れを示す。図1中、破線の矢印は、乾燥ガスの流れを示す。図1中、一点鎖線の矢印は、バイオマスおよび乾燥ガスといったもの以外の流体の流れを示す。
【0016】
図1に示すように、粉砕システム100は、供給装置110と、粉砕装置120と、第1搬送装置130と、乾燥機140と、分級機150と、第2搬送装置160と、乾燥後ホッパ170とを含む。
【0017】
粉砕システム100は、バイオマスを粉砕する。
【0018】
バイオマスは、木質系バイオマス、草本系バイオマスおよび、廃棄物系バイオマスのうちのいずれか1または複数である。木質系バイオマスは、例えば、木材チップ、おがくず、樹皮等である。また、草本系バイオマスは、例えば、麦わら、稲わら等である。廃棄物系バイオマスは、例えば、パーム椰子からパーム油を生産した結果生じる空果房(EFB:Empty Fruit Bunch)、パーム椰子殻(PKS:Palm Kernel Shell)、穀物や果物の搾りかす等である。
【0019】
供給装置110は、バイオマスを粉砕装置120に供給する。供給装置110は、受入コンベヤ112と、受入ホッパ114と、計量フィーダ116とを含む。
【0020】
受入コンベヤ112は、バイオマスを受入ホッパ114に搬送する。受入ホッパ114は、バイオマスを一時的に貯留する。受入ホッパ114には、スクリューコンベア114aが設けられている。スクリューコンベア114aは、受入ホッパ114に貯留されたバイオマスを計量フィーダ116に搬送する。計量フィーダ116は、所定量のバイオマスを粉砕装置120に供給する。
【0021】
粉砕装置120は、バイオマスを水蒸気爆砕(蒸煮爆砕)する。粉砕装置120の具体的な構成については、後に詳述する。
【0022】
第1搬送装置130は、粉砕装置120によって粉砕されたバイオマスを乾燥機140に搬送する。第1搬送装置130は、例えば、コンベヤで構成される。
【0023】
乾燥機140は、粉砕されたバイオマスを乾燥させる。本実施形態において、乾燥機140は、バイオマスと、加熱ガスとを熱交換させる熱交換器である。詳しくは後述するが、乾燥機140には、粉砕装置120を通過した後の加熱ガスが導かれる。
【0024】
分級機150は、乾燥されたバイオマスを分級する。分級機150は、例えば、2mm以上の粒径のバイオマスと、2mm未満の粒径のバイオマスとに分級する。2mm以上の粒径のバイオマスは、受入コンベヤ112に返送される。2mm未満の粒径のバイオマスは、第2搬送装置160によって、乾燥後ホッパ170に搬送される。
【0025】
第2搬送装置160は、例えば、コンベヤで構成される。乾燥後ホッパ170は、乾燥された、2mm未満の粒径のバイオマスを一時的に貯留する。乾燥後ホッパ170に貯留されたバイオマスは、計量フィーダ172、スラットバルブ174を通じて、後段のバイオマス処理設備に搬送される。
【0026】
バイオマス処理設備は、例えば、微粉炭焚きボイラ等のボイラ、ペレット製造設備である。
【0027】
[粉砕装置120]
続いて、本実施形態に係る粉砕装置120について説明する。図2は、本実施形態に係る粉砕装置120を説明する図である。なお、図2中、実線の矢印は、バイオマスの流れを示す。図2中、破線の矢印は、乾燥ガスDの流れを示す。図2中、一点鎖線の矢印は、バイオマスおよび乾燥ガスDといったもの以外の流体の流れを示す。
【0028】
図2に示すように、粉砕装置120は、反応器210と、連通管220と、サイクロン230と、ガス供給部240と、凝縮部250とを含む。
【0029】
反応器210は、バイオマスを大気圧超に加圧する。反応器210は、密閉容器212と、加熱部214と、攪拌部216とを含む。
【0030】
密閉容器212は、容器本体212aと、蓋212bと、開閉弁212cとを含む。容器本体212aは、上記供給装置110によって供給されたバイオマスを収容する。容器本体212aは、筒形状である。本実施形態において、容器本体212aの上部は、鉛直方向を中心軸とした円筒形状であり、下部は、鉛直方向を中心軸とした円錐形状である。容器本体212aの上部(円筒形状)の中心軸と、容器本体212aの下部(円錐形状)の中心軸とは、一致する。容器本体212aの上面および底面は、開放されている。バイオマスは、容器本体212aの上面に形成された上部口を通じて、容器本体212a内に供給される。
【0031】
蓋212bは、容器本体212aの上面に形成された上部口を開閉可能に設けられる。開閉弁212cは、容器本体212aの底面に形成された下部口を開閉可能に設けられる。
【0032】
蓋212bによって容器本体212aの上部口が閉じられ、開閉弁212cによって容器本体212aの下部口が閉じられることで、密閉容器212内が密閉される。
【0033】
加熱部214は、密閉容器212を外部から加熱する。本実施形態において、加熱部214は、容器本体212aの外壁を加熱する。加熱部214は、例えば、トレースヒータで構成される。加熱部214は、囲繞部214aと、第1排出管214bと、第2排出管214cと、吸引器214dとを含む。
【0034】
囲繞部214aは、密閉容器212の外部を螺旋状に囲繞する配管である。囲繞部214aの一端には、加熱ガスHの供給源が接続される。加熱ガスHは、例えば、水蒸気、または、燃焼排ガスである。囲繞部214aの他端には、第1排出管214bが接続される。本実施形態において、加熱ガスHの供給源は、囲繞部214aの上端に接続される。また、第1排出管214bは、囲繞部214aの下端に接続される。
【0035】
第1排出管214bは、囲繞部214aと、乾燥機140とを接続する。第2排出管214cは、乾燥機140と、吸引器214dの吸入側とを接続する。吸引器214dは、加熱ガスHを吸引する。吸引器214dは、例えば、送風機(ファン、ブロワ)、圧縮機(コンプレッサ)、ポンプである。
【0036】
したがって、加熱ガスHは、囲繞部214a、第1排出管214b、乾燥機140を通過した後、第2排出管214cを通じて、吸引器214dに吸引されることになる。
【0037】
加熱部214によって密閉容器212が加熱されることにより、密閉容器212内のバイオマスに含まれる水が水蒸気となる。これにより、密閉容器212内は、加圧状態(例えば、1.5MPa以上2.8MPa以下)となる。また、密閉容器212内は、200℃以上220℃以下となる。例えば、密閉容器212内は、220℃、2.3MPaとなる。
【0038】
攪拌部216は、密閉容器212内を攪拌する。本実施形態において、攪拌部216は、回転軸216aと、攪拌羽根216bと、モータ216cとを含む。回転軸216aは、蓋212bを貫通する。攪拌羽根216bは、回転軸216aの一端側に設けられる。攪拌羽根216bは、蓋212bが閉じられたときに、密閉容器212内に位置するように設けられる。モータ216cは、回転軸216aを介して、攪拌羽根216bを回転させる。モータ216cは、蓋212bが閉じられたときに、密閉容器212外に位置するように設けられる。攪拌部216は、加熱部214によって供給される熱を密閉容器212内のバイオマス全体に効率よく行き渡らせることができる。
【0039】
連通管220は、開閉弁212cとサイクロン230とを接続する管である。
【0040】
サイクロン230は、反応器210から排出された、バイオマスを含む固気混合物を固気分離する。サイクロン230は、本体232と、排気管234とを含む。
【0041】
本体232は、筒形状の容器である。本体232の上面および底面は、封止されている。本実施形態において、本体232は、円筒形状である。本体232の側壁の上部には、バイオマス受入口232aが形成される。上記連通管220は、本体232に設けられたバイオマス受入口232aに接続される。また、本体232の底面には、バイオマス排出口232bが形成される。本体232は、加圧状態の密閉容器212よりも低圧(概ね、大気圧)である。また、本体232は、加圧状態の密閉容器212よりも低温(例えば、常温(25℃)である)。
【0042】
排気管234は、本体232の上面を貫通する管である。排気管234の上端234aは、後述する凝縮部250に接続される。排気管234の下端は、バイオマス受入口232aよりも下方に位置する。
【0043】
スクリューコンベア236は、本体232内の下部に設けられる。スクリューコンベア236は、サイクロン230内で落下したバイオマスをバイオマス排出口232bに搬送して集約する。
【0044】
バイオマスを水蒸気爆砕する場合、まず、開閉弁212cによって容器本体212aの下部口が閉じられる。続いて、供給装置110によって、密閉容器212(容器本体212a)内にバイオマスが供給された後、蓋212bによって、容器本体212aの上部口が閉じられる。そして、加熱部214によって、密閉容器212が加熱されることにより、密閉容器212内のバイオマスに含まれる水が水蒸気となり、密閉容器212内が加圧状態となる。
【0045】
その後、開閉弁212cによって、容器本体212aの下部口が開かれる。そうすると、密閉容器212内のバイオマスがサイクロン230に導かれるとともに脱圧され、断熱膨張により、バイオマスに含まれる水蒸気が爆発する。これにより、バイオマスが爆砕される。そして、サイクロン230において、爆砕(粉砕)されたバイオマスと水蒸気とを含む固気混合物が固気分離される。
【0046】
上記したように、サイクロン230(本体232)は、加圧状態の密閉容器212よりも低温である。したがって、サイクロン230において水蒸気は、急激に冷却され、凝縮して、霧状になる。そうすると、霧状の水が、粉砕後のバイオマスに付着して、バイオマスの含水率が60質量%(wt%)以上と高くなってしまう。
【0047】
そこで、本実施形態に係る粉砕装置120は、ガス供給部240を備える。ガス供給部240は、バイオマス受入口232aを通じて乾燥ガスDを供給する。乾燥ガスDの露点は、サイクロン230(本体232)の温度未満(例えば、露点が-10℃以下)である。乾燥ガスDは、例えば、ドライエアー、燃焼排ガスである。また、本実施形態において、ガス供給部240は、サイクロン230(本体232)内の温度よりも高温の乾燥ガスDを供給する。例えば、ガス供給部240は、常温よりも高温の乾燥ガスDを供給する。
【0048】
ガス供給部240は、供給管242と、送出器244を含む。供給管242は、乾燥ガスDの供給源と、連通管220とを接続する。送出器244は、供給管242に設けられる。送出器244は、例えば、送風機(ファン、ブロワ)、圧縮機(コンプレッサ)である。送出器244の吸入側は、供給管242を介して、乾燥ガスDの供給源に接続される。送出器244の吐出側は、供給管242、連通管220を介して、バイオマス受入口232aに接続される。送出器244の吐出圧は、加圧状態の密閉容器212よりも低圧である。したがって、乾燥ガスDは、サイクロン230内のバイオマスの流れに沿って供給されることになる。
【0049】
これにより、乾燥ガスDを供給しない場合と比較して、サイクロン230に内において、バイオマスおよびガス(水蒸気、空気、および、乾燥ガスD)の固気混合物の線速度が増加する。したがって、サイクロン230における固気分離効率が向上する。つまり、粉砕後のバイオマスからの水蒸気の分離効率が増加する。このため、粉砕後のバイオマスの含水率を低下させることが可能となる。
【0050】
こうして、サイクロン230において分離された水蒸気は、空気および乾燥ガスDとともに排気管234を通じて凝縮部250に排気される。一方、サイクロン230において分離されたバイオマスは、本体232の下部に堆積する。堆積されたバイオマスは、スクリューコンベア236によって、バイオマス排出口232bを通じて、第1搬送装置130に導かれる。
【0051】
凝縮部250は、排気管234を通じて排気された、水蒸気、空気、および、乾燥ガスDの混合気を冷却する。本実施形態において、凝縮部250は、混合気と、冷媒とを熱交換する熱交換器である。冷媒は、例えば、工業用水である。凝縮部250によって凝縮された凝縮液(水)は、排水される。また、凝縮液が取り除かれたガスは、大気放散される。
【0052】
以上説明したように、本実施形態に係る粉砕装置120は、ガス供給部240を備えるため、バイオマスの含水率を低減することができる。つまり、粉砕装置120は、乾燥ガスDをサイクロン230に供給するだけといった簡易な構成で、バイオマスを効率よく乾燥させることができる。したがって、粉砕装置120の後段に設けられた乾燥機140の負荷を低減することが可能となる。これにより、乾燥機140の消費エネルギーを削減することができる。
【0053】
また、上記したように、ガス供給部240は、常温より高温の乾燥ガスDを供給する。これにより、乾燥ガスDによって、水蒸気の凝縮を防止することができる。したがって、サイクロン230内において、バイオマスの乾燥を促進させることが可能となる。
【0054】
また、ガス供給部240は、バイオマス受入口232aを通じて乾燥ガスDを供給する、つまり、ガス供給部240は、サイクロン230の上部に乾燥ガスDを供給する。これにより、サイクロン230の中部または下部に乾燥ガスDを供給する場合と比較して、サイクロン230内において固気混合物の線速度が増加する領域を拡大することができる。換言すれば、サイクロン230内において固気混合物の線速度が増加する時間を延長することができる。したがって、サイクロン230における固気分離効率を向上することが可能となる。
【0055】
また、上記したように、ガス供給部240は、バイオマス受入口232aを通じて乾燥ガスDを供給する。これにより、乾燥ガスDを供給するため専用の開口を本体232に形成する必要がなくなる。
【0056】
[実施例]
上記粉砕装置120を用いて爆砕したバイオマスの含水率を測定した。なお、サイクロン230(本体232)の体積を約42Lとした。また、乾燥ガスDを供給した場合(実施例)、および、乾燥ガスDを供給しない場合(比較例)におけるバイオマスの含水率を測定した。なお、実施例において、乾燥ガスDの温度を6.1℃とした。また、乾燥ガスDの流量を3000L/minとした。
【0057】
図3は、実施例および比較例のバイオマスの含水率を示す図である。図3中、白色は、爆砕前のバイオマスの含水率を示す。また、図3中、黒色は、爆砕後のバイオマスの含水率を示す。
【0058】
図3に示すように、比較例では、爆砕前のバイオマスの含水率は、70.6質量%[wt%]であった。また、比較例では、爆砕後のバイオマスの含水率は、71.2質量%であった。この結果より、比較例では、爆砕後のバイオマスの含水率は、爆砕前よりも増加することが分かった。
【0059】
一方、実施例では、爆砕前のバイオマスの含水率は、70.1質量%[wt%]であった。また、実施例では、爆砕後のバイオマスの含水率は、59.9質量%であった。この結果より、実施例では、爆砕後のバイオマスの含水率は、爆砕前よりも10質量%程度低減することが確認された。
【0060】
以上、添付図面を参照しながら実施形態について説明したが、本開示は上記実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【0061】
例えば、上述した実施形態において、ガス供給部240がバイオマス受入口232aから乾燥ガスDを供給する場合を例に挙げた。しかし、ガス供給部240は、サイクロン230内のバイオマスの流れに沿って乾燥ガスDを供給することができればよい。つまり、ガス供給部240は、サイクロン230の側壁における上部または中部に乾燥ガスDを供給すればよい。例えば、本体232の側壁における上部または中部に、バイオマス受入口232aとは別体の開口を形成しておき、ガス供給部240は、当該開口から乾燥ガスDを供給してもよい。
【0062】
また、ガス供給部240は、排気管234以外の開口からサイクロン230内に乾燥ガスDを供給できれば、供給位置に限定はない。例えば、ガス供給部240は、サイクロン230の下部に乾燥ガスDを供給してもよい。また、ガス供給部240は、複数箇所からサイクロン230内に乾燥ガスDを供給してもよい。
【0063】
また、上記実施形態において、ガス供給部240は、常温よりも高温の乾燥ガスDを供給する場合を例に挙げた。しかし、ガス供給部240は、サイクロン230に乾燥ガスDを供給することができれば、温度に限定はない。いずれにせよ、ガス供給部240がサイクロン230に乾燥ガスDを供給することにより、バイオマスから水蒸気を分離することが可能となる。
【0064】
また、上記実施形態において、加熱部214がトレースヒータである場合を例に挙げた。しかし、加熱部214は、密閉容器212を外部から加熱することができれば構成に限定はない。例えば、加熱部214は、電気ヒータであってもよい。
【0065】
また、上記実施形態において、攪拌部216が、回転軸216a、攪拌羽根216b、モータ216cを備える場合を例に挙げた。しかし、攪拌部216は、密閉容器212内を攪拌することができれば構成に限定はない。攪拌部216は、例えば、密閉容器212自体を往復動させる機構であってもよい。
【0066】
また、上記実施形態において、粉砕装置120が攪拌部216を備える構成を例に挙げた。しかし、攪拌部216は、必須の構成ではない。
【0067】
また、上記実施形態において、粉砕システム100が乾燥機140を備える場合を例に挙げた。しかし、後段のバイオマス処理設備において要求される、バイオマスの含水率によっては、乾燥機140を省略することもできる。
【0068】
本開示は、例えば、持続可能な開発目標(SDGs)の目標7「手ごろで信頼でき、持続可能かつ近代的なエネルギーへのアクセスを確保する」および目標13「気候変動とその影響に立ち向かうため、緊急対策を取る」に貢献することができる。
【符号の説明】
【0069】
120 粉砕装置
210 反応器
230 サイクロン
232a バイオマス受入口
240 ガス供給部
図1
図2
図3