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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023072825
(43)【公開日】2023-05-25
(54)【発明の名称】表示システム及び表示方法
(51)【国際特許分類】
   G06T 3/00 20060101AFI20230518BHJP
   E02F 9/26 20060101ALI20230518BHJP
   E02F 9/16 20060101ALI20230518BHJP
   G06T 7/35 20170101ALI20230518BHJP
   H04N 23/60 20230101ALI20230518BHJP
   H04N 23/63 20230101ALI20230518BHJP
【FI】
G06T3/00 750
E02F9/26 B
E02F9/16 Z
G06T7/35
H04N5/232 290
H04N5/232 930
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021185500
(22)【出願日】2021-11-15
(71)【出願人】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(71)【出願人】
【識別番号】304021417
【氏名又は名称】国立大学法人東京工業大学
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】北橋 正光
(72)【発明者】
【氏名】田中 正行
(72)【発明者】
【氏名】奥富 正敏
(72)【発明者】
【氏名】谷端 彩楓
【テーマコード(参考)】
2D015
5B057
5C122
5L096
【Fターム(参考)】
2D015GA03
2D015GB04
2D015GB06
2D015GB07
2D015HA03
5B057CA08
5B057CA12
5B057CA16
5B057CB08
5B057CB12
5B057CB16
5B057CC01
5B057CE08
5C122DA16
5C122EA01
5C122FA18
5C122FH05
5C122FH11
5C122FH18
5C122GC52
5C122GE05
5C122HA88
5C122HB01
5C122HB05
5C122HB10
5L096DA01
5L096EA14
5L096GA04
(57)【要約】
【課題】合成画像が不鮮明になる事象が発生しても、作業機械の周辺の状況を作業機械の操作者に提供すること。
【解決手段】表示システムは、第1撮像装置による撮像により得られた第1画像から複数の第1変形画像を生成する第1変形部と、第2撮像装置による撮像により得られた第2画像と複数の第1変形画像のそれぞれとを合成して複数の第1合成画像を生成する第1合成部と、複数の第1合成画像から所定の第1合成画像を選択する選択部と、選択された第1合成画像に基づいて生成される表示画像を表示装置に表示させる表示制御部と、を備える。
【選択図】図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1撮像装置による撮像により得られた第1画像から複数の第1変形画像を生成する第1変形部と、
第2撮像装置による撮像により得られた第2画像と複数の前記第1変形画像のそれぞれとを合成して複数の第1合成画像を生成する第1合成部と、
複数の前記第1合成画像から所定の第1合成画像を選択する選択部と、
選択された前記第1合成画像に基づいて生成される表示画像を表示装置に表示させる表示制御部と、を備える、
表示システム。
【請求項2】
前記第1変形部は、前記第1画像を所定のシフト方向にシフトして、複数の前記第1変形画像を生成する、
請求項1に記載の表示システム。
【請求項3】
前記第1変形部は、前記第1撮像装置の光軸に平行な奥行き方向の複数の位置のそれぞれにおいて、前記光軸に交差する画面方向の複数の位置のそれぞれに前記第1画像をシフトして、複数の前記第1変形画像を生成する、
請求項1又は請求項2に記載の表示システム。
【請求項4】
前記第1変形部は、複数の変形パラメータのそれぞれに基づいて前記第1画像を変形して、複数の前記第1変形画像を生成する、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の表示システム。
【請求項5】
前記選択部は、選択した前記第1合成画像の生成に使用された前記変形パラメータを修正変形パラメータとして出力し、
前記修正変形パラメータに基づいて前記第1画像を変形して第2変形画像を生成する第2変形部と、
前記第2変形画像と第2画像とを合成して第2合成画像を生成する第2合成部と、を備え、
前記表示画像は、前記第2合成画像を含む、
請求項4に記載の表示システム。
【請求項6】
前記第1撮像装置は、赤外線撮像装置であり、
前記第2撮像装置は、可視光撮像装置である、
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の表示システム。
【請求項7】
前記第1撮像装置と前記第2撮像装置とは、作業機械において相互に隣り合うように配置される、
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の表示システム。
【請求項8】
第1撮像装置による撮像により得られた第1画像から複数の第1変形画像を生成することと、
第2撮像装置による撮像により得られた第2画像と複数の前記第1変形画像のそれぞれとを合成して複数の第1合成画像を生成することと、
複数の前記第1合成画像から所定の第1合成画像を選択することと、
選択された前記第1合成画像に基づいて生成される表示画像を表示装置に表示させることと、を含む、
表示方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、表示システム及び表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示されているような画像合成システムが知られている。非特許文献1に開示されているような画像合成方法が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-032289号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】T. Shibata, M. Tanaka and M. Okutomi, "Gradient-Domain Image Reconstruction Framework with Intensity-Range and Base-Structure Constraints," 2016 IEEE Conference on Computer Vision and Pattern Recognition (CVPR), Las Vegas, NV, 2016, pp. 2745-2753, doi: 10.1109/CVPR.2016.300.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
作業機械に係る技術分野において、作業機械の周辺を可視光撮像装置と赤外光撮像装置で撮像し、可視光画像と赤外光画像とを合成し、作業機械の操作者に提供する技術が知られている。操作者は、可視光画像と赤外光画像との合成画像を確認することで、夜間や逆光状態においても作業機械の周辺の状況を確認することができる。一方で、可視光撮像装置と赤外光撮像装置が物理的な距離をもって設置されることにより、可視光画像と赤外光画像との合成画像において、視差による画像のずれが発生し、画像が不鮮明になる可能性がある。
【0006】
本開示は、合成画像が不鮮明になる事象が発生しても、作業機械の周辺の状況を作業機械の操作者に提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に従えば、第1撮像装置による撮像により得られた第1画像から複数の第1変形画像を生成する第1変形部と、第2撮像装置による撮像により得られた第2画像と複数の第1変形画像のそれぞれとを合成して複数の第1合成画像を生成する第1合成部と、複数の第1合成画像から所定の第1合成画像を選択する選択部と、選択された第1合成画像に基づいて生成される表示画像を表示装置に表示させる表示制御部と、を備える、表示システムが提供される。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、合成画像が不鮮明になる事象が発生しても、作業機械の周辺の状況を作業機械の操作者に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施形態に係る作業機械の遠隔操作システムを模式的に示す図である。
図2図2は、実施形態に係る作業機械を示す斜視図である。
図3図3は、実施形態に係る可視光撮像装置及び遠赤外線撮像装置を示す斜視図である。
図4図4は、実施形態に係る可視光撮像装置を模式的に示す図である。
図5図5は、実施形態に係る作業機械の遠隔操作システムを示す機能ブロック図である。
図6図6は、実施形態に係る可視光撮像装置が撮像対象を撮像している状態の一例を模式的に示す図である。
図7図7は、実施形態に係る赤外線撮像装置が撮像対象を撮像している状態の一例を模式的に示す図である。
図8図8は、実施形態に係る画像処理部の処理の概要を模式的に示す図である。
図9図9は、可視光撮像装置と赤外線撮像装置との視差が画像処理部の処理に及ぼす影響を説明するための図である。
図10図10は、実施形態に係る画像処理部を示す機能ブロック図である。
図11図11は、実施形態に係る位置合わせ処理部を示す機能ブロック図である。
図12図12は、実施形態に係る位置合わせ処理部の処理の概要を模式的に示す図である。
図13図13は、実施形態に係る表示方法を示すフローチャートである。
図14図14は、実施形態に係るコンピュータシステムを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示に係る実施形態について図面を参照しながら説明するが、本開示は実施形態に限定されない。以下で説明する実施形態の構成要素は、適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。
【0011】
[遠隔操作システム]
図1は、実施形態に係る作業機械1の遠隔操作システム2を模式的に示す図である。遠隔操作システム2は、作業現場に存在する作業機械1を遠隔操作する。遠隔操作システム2の少なくとも一部は、遠隔操作地の遠隔操作室3に配置される。遠隔操作システム2は、遠隔操作装置4と、表示装置5と、制御装置6とを備える。
【0012】
遠隔操作装置4は、作業機械1の外部の遠隔操作室3に配置される。遠隔操作装置4は、遠隔操作室3において操作者に操作される。操作者は、操縦シート7に着座した状態で、遠隔操作装置4を操作することができる。
【0013】
表示装置5は、作業機械1の外部の遠隔操作室3に配置される。表示装置5は、作業現場の画像を表示する。作業現場の画像は、作業機械1の周辺の所定範囲の画像を含む。作業機械1の周辺の所定範囲の画像は、少なくとも作業機械1の作業対象の画像を含む。作業機械1の作業対象は、作業機械1の施工対象を含む。
【0014】
表示装置5は、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)又は有機ELディスプレイ(OELD:Organic Electroluminescence Display)のようなパネルディスプレイを含む。実施形態において、表示装置5は、相互に隣接するように配置された複数のフラットパネルディスプレイを含む。なお、表示装置5は、1つのフラットパネルディスプレイにより構成されてもよい。表示装置5は、湾曲ディスプレイやスクリーンにより構成されてもよい。
【0015】
操作者は、表示装置5に表示される作業現場の画像を確認しながら、遠隔操作装置4を操作する。作業機械1は、遠隔操作装置4によって遠隔操作される。
【0016】
制御装置6は、作業機械1の外部の遠隔操作室3に配置される。制御装置6は、コンピュータシステムを含む。
【0017】
作業機械1は、制御装置8を備える。制御装置8は、コンピュータシステムを含む。
【0018】
制御装置6と制御装置8とは、通信システム9を介して通信する。通信システム9として、インターネット(internet)、ローカルエリアネットワーク(LAN:Local Area Network)、携帯電話通信網、及び衛星通信網が例示される。
【0019】
[作業機械]
図2は、実施形態に係る作業機械1を示す斜視図である。実施形態においては、作業機械1が油圧ショベルであることとする。作業機械1は、作業現場において稼働する。
【0020】
図2に示すように、作業機械1は、走行体10と、走行体10に支持される旋回体11と、旋回体11に支持される作業機12と、作業機12を駆動する油圧シリンダ13と、可視光撮像装置14と、赤外線撮像装置15とを備える。
【0021】
走行体10は、旋回体11を支持した状態で走行可能である。旋回体11は、走行体10に支持された状態で旋回軸RXを中心に旋回可能である。作業機12は、旋回体11に回動可能に連結されるブーム12Aと、ブーム12Aに回動可能に連結されるアーム12Bと、アーム12Bに回動可能に連結されるバケット12Cとを含む。油圧シリンダ13は、ブーム12Aを駆動するブームシリンダ13Aと、アーム12Bを駆動するアームシリンダ13Bと、バケット12Cを駆動するバケットシリンダ13Cとを含む。
【0022】
実施形態においては、旋回軸RXに平行な方向を適宜、上下方向、と称し、作業機12の回動軸に平行な方向を適宜、左右方向、と称し、旋回軸RX及び作業機12の回動軸の両方に直交する方向を適宜、前後方向、と称する。旋回軸RXを基準として作業機12が存在する方向が前方であり、前方の逆方向が後方である。旋回軸RXを基準として左右方向の一方が右方であり、右方の逆方向が左方である。走行体10の接地面から離れる方向が上方であり、上方の逆方向が下方である。
【0023】
[可視光撮像装置及び遠赤外線撮像装置]
図3は、実施形態に係る可視光撮像装置14及び赤外線撮像装置15を示す斜視図である。可視光撮像装置14及び赤外線撮像装置15のそれぞれは、作業機械1に配置される。実施形態において、可視光撮像装置14及び赤外線撮像装置15のそれぞれは、旋回体11の前部の上部に配置される。可視光撮像装置14と赤外線撮像装置15とは、旋回体11よりも前方の作業現場を同時に撮像する。
【0024】
可視光撮像装置14と赤外線撮像装置15とは、作業機械1において相互に隣り合うように配置される。実施形態において、可視光撮像装置14は、赤外線撮像装置15よりも右方に配置される。なお、可視光撮像装置14は、赤外線撮像装置15よりも左方に配置されてもよい。可視光撮像装置14及び赤外線撮像装置15のそれぞれは、旋回体11に固定される。可視光撮像装置14と赤外線撮像装置15との相対位置は、一定である。
【0025】
可視光撮像装置14は、可視光の波長範囲の画像を取得する可視光カメラを含む。可視光の波長範囲は、例えば360[nm]以上830[nm]以下である。
【0026】
赤外線撮像装置15は、赤外線のスペクトル範囲の画像を取得可能な赤外線カメラを含む。赤外線のスペクトル範囲は、780[nm]以上100[μm]以下である。実施形態において、赤外線撮像装置15は、遠赤外線のスペクトル範囲の画像を取得する。赤外線撮像装置15のスペクトル範囲は、例えば7.5[μm]以上14[μm]以下である。
【0027】
可視光撮像装置14及び赤外線撮像装置15のそれぞれは、作業機械1の周辺に存在する撮像対象を撮像する。撮像対象は、物体である。可視光撮像装置14及び赤外線撮像装置15に撮像される撮像対象として、作業機械1の施工対象、作業機12の掘削対象、作業現場に存在する構造物、作業機械1の少なくとも一部、作業機械1とは別の作業機械、及び作業現場で働く人物(作業者)が例示される。
【0028】
図4は、実施形態に係る可視光撮像装置14を模式的に示す図である。可視光撮像装置14は、光学系14Aと、光学系14Aを通過した光を受光するイメージセンサ14Bとを有する。イメージセンサ14Bとして、CCD(Couple Charged Device)イメージセンサ又はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサが例示される。光学系14Aの光軸AX1は、実質的に前後方向へ延びる。イメージセンサ14Bの撮像面14Cは、実質的に光軸AX1に直交する。
【0029】
可視光撮像装置14と同様、赤外線撮像装置15は、光学系15Aと、イメージセンサ15Bとを含む。光学系15Aの光軸AX2は、実質的に前後方向へ延びる。イメージセンサ15Bの撮像面15Cは、実質的に光軸AX2に直交する。
【0030】
可視光撮像装置14と赤外線撮像装置15は、光軸AX1と光軸AX2とがほぼ平行になるように作業機械1に固定される。
【0031】
可視光撮像装置14は、可視光撮像装置14の撮像範囲に配置された撮像対象を撮像する。赤外線撮像装置15は、赤外線撮像装置15の撮像範囲に配置された撮像対象を撮像する。可視光撮像装置14の撮像範囲と赤外線撮像装置15の撮像範囲の少なくとも一部とは、一致する。可視光撮像装置14の撮像範囲は、可視光撮像装置14の光学系14Aの視野範囲を含む。赤外線撮像装置15の撮像範囲は、赤外線撮像装置15の光学系15Aの視野範囲を含む。実施形態において、可視光撮像装置14の撮像範囲と赤外線撮像装置15の撮像範囲とは、一致する。なお、可視光撮像装置14の撮像範囲と赤外線撮像装置15の撮像範囲の一部とが一致してもよい。
【0032】
以下の説明において、可視光撮像装置14により撮像された画像を適宜、可視光画像Ga、と称し、赤外線撮像装置15により撮像された画像を適宜、赤外線画像Gb、と称する。
【0033】
以下の説明において、可視光撮像装置14の光軸AX1及び赤外線撮像装置15の光軸AX2のそれぞれに実質的に平行な方向を適宜、奥行き方向、と称し、光軸AX1及び光軸AX2に交差する方向を適宜、画面方向、と称する。
【0034】
実施形態において、画面方向は、可視光撮像装置14の撮像面14C及び赤外線撮像装置15の撮像面15Cのそれぞれに実質的に平行な方向であることとする。奥行き方向は、前後方向に等しい。画面方向は、左右方向に等しい。
【0035】
[表示システム]
図5は、実施形態に係る作業機械1の遠隔操作システム2を示す機能ブロック図である。
【0036】
遠隔操作システム2は、遠隔操作地に配置される通信装置16と、通信装置16に接続される制御装置6と、制御装置6に接続される遠隔操作装置4と、制御装置6に接続される表示装置5とを備える。
【0037】
また、遠隔操作システム2は、作業機械1に配置される通信装置17と、通信装置17に接続される制御装置8と、制御装置8に接続される可視光撮像装置14と、制御装置8に接続される赤外線撮像装置15と、制御装置8により制御される走行体10と、制御装置8により制御される旋回体11と、制御装置8により制御される油圧シリンダ13とを備える。
【0038】
遠隔操作システム2は、作業現場の画像を表示する表示システム18を有する。表示システム18は、可視光撮像装置14と、赤外線撮像装置15と、制御装置6と、表示装置5とを含む。
【0039】
制御装置8は、走行体制御部19と、旋回体制御部20と、作業機制御部21と、画像出力部22とを有する。
【0040】
走行体制御部19は、制御装置6から送信された遠隔操作装置4の操作信号を受信する。走行体制御部19は、遠隔操作装置4の操作信号に基づいて、走行体10の動作を制御する制御信号を出力する。
【0041】
旋回体制御部20は、制御装置6から送信された遠隔操作装置4の操作信号を受信する。旋回体制御部20は、遠隔操作装置4の操作信号に基づいて、旋回体11の動作を制御する制御信号を出力する。
【0042】
作業機制御部21は、制御装置6から送信された遠隔操作装置4の操作信号を受信する。作業機制御部21は、遠隔操作装置4の操作信号に基づいて、作業機12の動作を制御する制御信号を出力する。作業機12を制御する制御信号は、油圧シリンダ13を制御する制御信号を含む。
【0043】
画像出力部22は、可視光撮像装置14により撮像された可視光画像Gaを示す可視光画像データを出力する。また、画像出力部22は、赤外線撮像装置15により撮像された赤外線画像Gbを示す赤外線画像データを出力する。
【0044】
通信装置17は、通信システム9を介して通信装置16と通信する。通信装置17は、通信装置16を介して制御装置6から送信された遠隔操作装置4の操作信号を受信して、制御装置8に出力する。通信装置17は、画像出力部22から出力された可視光画像データ及び赤外線画像データを通信装置16に送信する。通信装置17は、可視光画像データ及び赤外線画像データのそれぞれを圧縮するエンコーダを含む。可視光画像データ及び赤外線画像データのそれぞれは、圧縮された状態で、通信装置17から通信装置16に送信される。
【0045】
通信装置16は、通信システム9を介して通信装置17と通信する。通信装置16は、遠隔操作装置4が操作されることにより生成された操作信号を通信装置17に送信する。通信装置16は、通信装置17を介して制御装置8から送信された可視光画像データ及び赤外線画像データを受信して、制御装置6に出力する。通信装置16は、圧縮された可視光画像データ及び赤外線画像データのそれぞれを復元するデコーダを含む。可視光画像データ及び赤外線画像データのそれぞれは、復元された状態で、通信装置16から制御装置6に出力される。
【0046】
制御装置6は、操作信号出力部23と、可視光画像取得部24と、赤外線画像取得部25と、変形パラメータ取得部26と、画像処理部27と、表示制御部28とを有する。
【0047】
操作信号出力部23は、作業機械1を遠隔操作する操作信号を出力する。遠隔操作装置4が操作者に操作されることにより、作業機械1を遠隔操作する操作信号が生成される。操作信号は、走行体10を遠隔操作する操作信号、旋回体11を遠隔操作する操作信号、及び作業機12を遠隔操作する操作信号を含む。操作信号出力部23は、遠隔操作装置4の操作信号を出力する。通信装置16は、操作信号出力部23から出力された操作信号を通信装置17に送信する。
【0048】
可視光画像取得部24は、可視光撮像装置14によりに撮像された撮像対象の画像を示す可視光画像Gaを取得する。可視光画像取得部24は、通信装置16により復元された可視光画像データを取得することにより、可視光画像Gaを取得する。
【0049】
赤外線画像取得部25は、赤外線撮像装置15によりに撮像された撮像対象の画像を示す赤外線画像Gbを取得する。赤外線撮像装置15は、通信装置16により復元された赤外線画像データを取得することにより、赤外線画像Gbを取得する。
【0050】
変形パラメータ取得部26は、画像の変形を表す変形パラメータを取得する。変形パラメータは、作業現場の状況に合わせて予め定められる。例えば不図示の入力装置を介して変形パラメータが制御装置6に入力されてもよい。変形パラメータ取得部26は、入力装置から入力された変形パラメータを取得してもよい。実施形態において、変形パラメータは、複数の変形パラメータを含む変形パラメータセットを保持する。
【0051】
画像処理部27は、可視光画像Gaと赤外線画像Gbとに基づいて画像処理を実施して、所定の表示画像を生成する。画像処理部27は、表示画像を所定の時間間隔で更新する。
【0052】
表示制御部28は、画像処理部27により生成された表示画像を表示装置5に表示させる。操作者は、表示装置5に表示される表示画像を確認しながら、遠隔操作装置4を操作する。
【0053】
[画像処理部の処理の概要]
図6は、実施形態に係る可視光撮像装置14が撮像対象を撮像している状態の一例を模式的に示す図である。図7は、実施形態に係る赤外線撮像装置15が撮像対象を撮像している状態の一例を模式的に示す図である。
【0054】
作業機械1の作業において、可視光撮像装置14により撮像される可視光画像Gaが不鮮明になる事象が発生する可能性がある。可視光画像Gaが不鮮明になる事象として、作業機械1の作業に起因する粉塵の発生が例示される。図6及び図7のそれぞれに示すように、粉塵の少なくとも一部は、可視光撮像装置14及び赤外線撮像装置15のそれぞれと撮像対象との間の空間に発生する可能性がある。
【0055】
可視光は、粉塵を透過することができない。可視光撮像装置14は、粉塵で遮られる撮像対象を撮像することができない。可視光撮像装置14により撮像される可視光画像Gaは、粉塵と、撮像対象の一部とを含む。
【0056】
赤外線は、粉塵を透過することができる。赤外線撮像装置15は、粉塵で遮られる撮像対象を撮像することができる。赤外線撮像装置15により撮像される赤外線画像Gbは、粉塵をほぼ含まず、撮像対象の全部を含む。
【0057】
このように、可視光撮像装置14及び赤外線撮像装置15のそれぞれと撮像対象との間の空間に粉塵が存在する場合、赤外線画像Gbには撮像対象の全部が写るものの、可視光画像Gaには撮像対象の一部が写らない可能性がある。
【0058】
画像処理部27は、可視光画像Gaにおいて撮像対象が写らなかった一部分を赤外線画像Gbで補う処理を実施する。
【0059】
図8は、実施形態に係る画像処理部27の処理の概要を模式的に示す図である。図8に示すように、可視光画像Gaには撮像対象の一部が写らず、赤外線画像Gbには撮像対象の全部が写る。画像処理部27は、可視光画像Gaから可視光画像Gaの勾配画像Gcを生成する。また、画像処理部27は、赤外線画像Gbから赤外線画像Gbの勾配画像Gdを生成する。勾配画像Gcは、可視光画像Gaから撮像対象のエッジが抽出された画像を含む。勾配画像Gdは、赤外線画像Gbから撮像対象のエッジが抽出された画像を含む。可視光画像Gaには撮像対象の一部が写らないので、撮像対象が写っている部分については勾配画像Gcにおいてエッジが抽出されるものの、撮像対象が写っていない部分については勾配画像Gcにおいてエッジが抽出されない。赤外線画像Gbには撮像対象が全部写っているので、勾配画像Gdにおいて撮像対象のエッジが全て抽出される。画像処理部27は、勾配画像Gcと勾配画像Gdとを合成して、合成勾配画像Geを生成する。画像処理部27は、合成勾配画像Geに色情報を合成して、合成画像Gfを生成する。これにより、可視光画像Gaにおいて撮像対象が写らなかった一部分が赤外線画像Gbで補われ、合成画像Gfが生成される。合成画像Gfは、表示画像として表示装置5に表示される。
【0060】
可視光撮像装置14及び赤外線撮像装置15には、共通のカメラ座標系が規定される。画像処理部27は、カメラ座標系において勾配画像Gcと勾配画像Gdとを合成して、合成勾配画像Geを生成する。勾配画像Gcと勾配画像Gdとを合成することは、勾配画像Gcと勾配画像Gdとを重ね合わせることを含む。
【0061】
なお、図8に示す例は、可視光撮像装置14と赤外線撮像装置15との物理的距離が無く、光軸AX1と光軸AX2とが一致していると仮定したときの画像処理部27の処理の概要を示す。実際には、図3等を参照して説明したように、可視光撮像装置14と赤外線撮像装置15とは、左右方向に離れて配置される。
【0062】
[視差の影響]
図9は、可視光撮像装置14と赤外線撮像装置15との視差が画像処理部27の処理に及ぼす影響を説明するための図である。実施形態において、可視光撮像装置14と赤外線撮像装置15とは、左右方向に離れて配置される。そうすると、撮像対象に対する可視光撮像装置14と赤外線撮像装置15との視差の影響により、勾配画像Gcと勾配画像Gdとを単に合成しただけでは、図9に示すように、合成画像Gfにおいてゴーストエッジが発生する可能性がある。すなわち、撮像対象に対する可視光撮像装置14と赤外線撮像装置15との視差の影響により、勾配画像Gcと勾配画像Gdとがずれた状態で合成されてしまう可能性がある。ゴーストエッジが発生した合成画像Gfが表示画像として表示装置5に表示されると、操作者は、作業現場の状況を認識することが困難となる。
【0063】
そこで、画像処理部27は、変形パラメータを用いて勾配画像Gdを変形させて変形画像を生成した後、変形画像と可視光画像Gaとを合成する。これにより、合成画像Gfにおいてゴーストエッジの発生が抑制される。
【0064】
[画像処理部]
図10は、実施形態に係る画像処理部27を示す機能ブロック図である。図10に示すように、画像処理部27は、輝度色情報分離部29と、位置合わせ処理部30と、画像変形部31と、画像合成部32と、輝度色情報合成部33とを有する。
【0065】
画像処理部27には、可視光画像取得部24により取得された可視光画像Gaと、赤外線画像取得部25により取得された赤外線画像Gbと、変形パラメータ取得部26により取得された変形パラメータセットとが入力される。変形パラメータセットは、画像の変形を表す複数の複数の変形パラメータを含む。
【0066】
輝度色情報分離部29には、可視光画像Gaが入力される。輝度色情報分離部29は、可視光画像Gaを輝度画像と色情報(色成分画像)とに分離する。輝度画像は、グレイ画像である。
【0067】
位置合わせ処理部30には、輝度画像と、赤外線画像Gbと、変形パラメータセットとが入力される。位置合わせ処理部30は、修正変形パラメータを出力する。
【0068】
画像変形部31には、修正変形パラメータと、赤外線画像Gbとが入力される。画像変形部31は、修正変形パラメータに基づいて、赤外線画像Gbを変形する。
【0069】
画像合成部32(第2合成部)には、輝度画像と、画像変形部31により変形された赤外線画像Gbとが入力される。画像合成部32は、輝度画像と変形後の赤外線画像Gbと輝度画像とを合成して、合成輝度画像を生成する。画像合成部32は、既存の画像合成方法に基づいて、輝度画像と変形後の赤外線画像Gbとを合成する。既存の画像合成方法として、非特許文献1に記載された画像合成方法が例示される。
【0070】
輝度色情報合成部33には、合成輝度画像と、色情報(色成分画像)とが入力される。輝度色情報合成部33は、合成輝度画像と色情報とを合成して、合成画像Gfを生成する。輝度色情報合成部33は、既存の画像合成方法に基づいて、合成輝度画像と色情報とを合成する。既存の画像合成方法として、非特許文献1に記載された画像合成方法が例示される。
【0071】
表示制御部28は、表示画像として合成画像Gfを表示装置5に表示させる。
【0072】
なお、赤外線画像Gbは、任意のグレイ画像でもよい。可視光画像Gaがグレイ画像の場合、輝度色情報分離部29及び輝度色情報合成部33は省略される。
【0073】
図11は、実施形態に係る位置合わせ処理部30を示す機能ブロック図である。図12は、実施形態に係る位置合わせ処理部30の処理の概要を模式的に示す図である。
【0074】
図11に示すように、位置合わせ処理部30は、勾配情報抽出部34と、勾配情報抽出部35と、画像変形部36と、勾配合成部37と、勾配評価・パラメータ選択部38とを有する。
【0075】
位置合わせ処理部30には、輝度画像、赤外線画像Gb、及び変形パラメータセットが入力される。
【0076】
勾配情報抽出部34には、輝度画像が入力される。すなわち、勾配情報抽出部34に対する入力画像は、輝度画像である。勾配情報抽出部34は、輝度画像の勾配画像Gcを生成する。勾配情報抽出部34は、入力画像である輝度画像の画素ごとに勾配情報を抽出して、輝度画像の勾配画像Gcを生成する。
【0077】
勾配情報抽出部34に入力される入力画像を、u(x,y)と表すことにする。(x,y)は、画像座標を表す。u(x,y)は、画像座標(x,y)の輝度値を表す。また、(x,y)の画像座標位置の勾配情報をg(x,y)で表す。勾配情報g(x,y)は、以下の(1)式で定義される。
【0078】
【数1】
【0079】
(1)式において、L(・)はラプラシアンフィルタを表す。|・|は絶対値を表す。
【0080】
なお、勾配情報g(x,y)は、以下の(2)式で定義されてもよい。
【0081】
【数2】
【0082】
(2)式において、d (x,y)は、x方向差分を表し、d (x,y)は、y方向差分を表す。差分としては、前方差分、後方差分、または中心差分を利用する。
【0083】
勾配情報抽出部35には、赤外線画像Gbが入力される。すなわち、勾配情報抽出部35に対する入力画像は、赤外線画像Gbである。勾配情報抽出部35は、赤外線画像Gbの勾配画像Gdを生成する。勾配情報抽出部35は、入力画像である赤外線画像Gbの画素ごとに勾配情報を抽出して、赤外線画像Gbの勾配画像Gdを生成する。輝度画像の勾配情報と同様、赤外線画像Gbの勾配情報は、上述の(1)式又は(2)式で定義される。
【0084】
勾配情報抽出部34において画素ごとに抽出された輝度画像の勾配情報g(x,y)により、輝度画像の勾配画像Gcが生成される。勾配情報抽出部35において画素ごとに抽出された赤外線画像Gbの勾配情報g(x,y)により、赤外線画像Gbの勾配画像Gdが生成される。勾配画像Gcは、輝度画像から撮像対象のエッジが抽出された画像である。勾配画像Gdは、赤外線画像Gbから撮像対象のエッジが抽出された画像である。
【0085】
画像変形部36には、赤外線画像Gbの勾配画像Gdと、変形パラメータセットとが入力される。画像変形部36は、赤外線撮像装置15による撮像により得られた赤外線画像Gbの勾配画像Gdから複数の変形勾配画像を生成する。画像変形部36は、勾配画像Gdを変形して、変形勾配画像を生成する。
【0086】
実施形態において、勾配画像Gdを変形することは、カメラ座標系において勾配画像Gdを所定のシフト方向にシフトさせることを含む。画像変形部36は、カメラ座標系において勾配画像Gdを所定のシフト方向にシフトして、複数の変形勾配画像を生成する。
【0087】
実施形態において、画像変形部36は、変形パラメータセットに基づいて、赤外線画像Gbの勾配画像Gdから複数の変形勾配画像を生成する。すなわち、画像変形部36は、複数の変形パラメータのそれぞれに基づいて勾配画像Gdを変形して、複数の変形勾配画像を生成する。変形パラメータは、所定のシフト方向へのシフト量を含む。実施形態において、変形パラメータセットは、奥行き方向の複数の位置のそれぞれにおいて規定された、画面方向への複数のシフト量を含む。奥行き方向の複数の位置のそれぞれにおいて、複数のシフト量が定められている。
【0088】
図12に示すように、画像変形部36は、奥行き方向の複数の位置(d1,d2,…d)を仮定する。画像変形部36は、奥行き方向の複数の位置のそれぞれにおいて、画面方向の複数の位置のそれぞれ勾配画像Gdをシフトして、複数の変形勾配画像を生成する。画像変形部36は、変形パラメータセットに基づいて、勾配画像Gdを左右方向へ異なるシフト量でシフトさせる。図12に示す例においては、変形パラメータセットに含まれる複数の変形パラメータのうち、第1の変形パラメータに基づいて第1の変形勾配画像Gd1が生成され、第2の変形パラメータに基づいて第2の変形勾配画像Gd2が生成され、第3の変形パラメータに基づいて第3の変形勾配画像Gd3が生成され、第4の変形パラメータに基づいて第4の変形勾配画像Gd4が生成される。第1,第2,第3,第4の変形勾配画像Gd1,Gd2,Gd3,Gd4のそれぞれは、ある奥行き方向の位置において、勾配画像Gdからの左右方向へのシフト量が異なる画像である。
【0089】
なお、変形勾配画像(Gd1,Gd2,Gd3,Gd4)は、4つに限定されない。変形勾配画像は、2つ又は3つでもよいし、5つ以上の任意の複数でもよい。
【0090】
勾配合成部37には、輝度画像の勾配画像Gcと、複数の変形勾配画像Gd1,Gd2,Gd3,Gd4とが入力される。勾配合成部37は、カメラ座標系において、輝度画像の勾配画像Gcと複数の変形勾配画像Gd1,Gd2,Gd3,Gd4のそれぞれとを合成して、複数の合成勾配画像を生成する。図12に示すように、勾配画像Gcと第1の変形勾配画像Gd1とが合成されることにより、第1の合成勾配画像Ge1が生成される。勾配画像Gcと第2の変形勾配画像Gd2とが合成されることにより、第2の合成勾配画像Ge2が生成される。勾配画像Gcと第3の変形勾配画像Gd3とが合成されることにより、第3の合成勾配画像Ge3が生成される。勾配画像Gcと第4の変形勾配画像Gd4とが合成されることにより、第4の合成勾配画像Ge4が生成される。
【0091】
2つの勾配画像g(x,y)とg(x,y)を合成することを考える。合成後の勾配画像をG(x,y)とする。合成勾配画像は、以下の(3)式で表される。
【0092】
【数3】
【0093】
勾配評価・パラメータ選択部38には、変形パラメータセットと、複数の合成勾配画像(図12に示す例では第1,第2,第3,第4の合成勾配画像Ge1,Ge2,Ge3,Ge4)とが入力される。勾配評価・パラメータ選択部38は、変形パラメータごとに生成された合成勾配画像を評価する。勾配評価・パラメータ選択部38は、評価指標に基づいて、複数の合成勾配画像から所定の合成勾配画像を選択する。勾配評価・パラメータ選択部38は、評価指標の最も良い合成勾配画像に対応する変形パラメータを修正変形パラメータとして出力する。
【0094】
勾配評価・パラメータ選択部38は、勾配を評価するために合成勾配画像に注目領域を設定する。勾配評価・パラメータ選択部38は、勾配の評価指標として、注目領域の平均勾配の値を示す勾配エネルギーを使用する。勾配エネルギーが小さいほど評価が良く、勾配エネルギーが大きいほど評価が悪い。勾配エネルギーが小さいことは、合成勾配画像においてエッジが占める割合が少ないことを意味する。勾配エネルギーが大きいことは、合成勾配画像においてエッジが占める割合が多いことを意味する。図12に示す第3の合成勾配画像Ge3において、勾配画像Gcのエッジと第3の勾配画像Gd3のエッジとが重なっている。そのため、第3の合成勾配画像Ge3においてエッジが占める割合は、少ない。すなわち、第3の合成勾配画像Geにおいては、ゴーストエッジが少ない。したがって、第3の合成勾配画像Ge3の勾配エネルギーは小さく、評価は良い。一方、例えば第1の合成勾配画像Ge1において、勾配画像Gcのエッジと第1の勾配画像Gd1のエッジとはずれている。そのため、第1の合成勾配画像Ge1においてエッジが占める割合は、多い。すなわち、第1の合成勾配画像Ge1においては、ゴーストエッジが多い。したがって、第1の合成勾配画像Ge1の勾配エネルギーは大きく、評価は悪い。第1の合成勾配画像Ge1の勾配エネルギーは大きく、評価は悪い。同様に、第2,第4の合成勾配画像Ge2,G24において、エッジが占める割合は、多い。第2,第4の合成勾配画像Ge2,Ge4の勾配エネルギーは大きく、評価は悪い。
【0095】
図12に示す例において、勾配評価・パラメータ選択部38は、複数の合成勾配画像Ge1,Ge2,Ge3,Ge4から、勾配エネルギーが最も小さい第3の合成勾配画像Ge3を選択する。勾配評価・パラメータ選択部38は、選択した第3の合成勾配画像Ge3の生成に使用された変形パラメータ、すなわち、第3の変形勾配画像Gd3の生成に使用された変形パラメータを、修正変形パラメータとして出力する。
【0096】
なお、図11に示した例においては、赤外線画像Gbから勾配画像Gdが生成された後、勾配画像Gdから変形勾配画像が生成されることとした。赤外線画像Gbが変形されて変形赤外線画像が生成された後、変形赤外線画像から勾配情報が抽出されて勾配画像が生成されてもよい。
【0097】
[表示方法]
図13は、実施形態に係る表示方法を示すフローチャートである。
【0098】
変形パラメータ取得部26は、予め定められている変形パラメータセットを取得する(ステップS1)。
【0099】
可視光撮像装置14及び赤外線撮像装置15のそれぞれは、作業現場の撮像対象を撮像する。画像出力部22は、通信装置17及び通信システム9を介して、可視光撮像装置14により撮像された可視光画像Gaを示す可視光画像データを制御装置6に送信する。画像出力部22は、通信装置17及び通信システム9を介して、赤外線撮像装置15により撮像された赤外線画像Gbを示す赤外線画像データを制御装置6に送信する。
【0100】
可視光画像取得部24は、画像出力部22から送信された可視光画像Gaを取得する。赤外線画像取得部25は、画像出力部22から送信された赤外線画像Gbを取得する(ステップS2)。
【0101】
輝度色情報分離部29は、可視光画像Gaを輝度画像と色情報とに分離する(ステップS3)。
【0102】
勾配情報抽出部34は、輝度画像の勾配画像Gcを生成する。勾配情報抽出部35は、赤外線画像Gbの勾配画像Gdを生成する(ステップS4)。
【0103】
画像変形部36(第1変形部)は、変形パラメータセットに基づいて、赤外線撮像装置15による撮像により得られた赤外線画像Gbの勾配画像Gd(第1画像)から複数の変形勾配画像(第1変形画像)を生成する。図12に示す例においては、画像変形部36は、変形パラメータセットに基づいて、赤外線画像Gbの勾配画像Gdから第1,第2,第3,第4の変形勾配画像Gd1,Gd2,Gd3,Gd4を生成する(ステップS5)。
【0104】
勾配合成部37(第1合成部)は、可視光撮像装置14による撮像により得られた輝度画像の勾配画像Gc(第2画像)と複数の変形勾配画像のそれぞれとを合成して、複数の合成勾配画像(第1合成画像)を生成する。図12に示す例においては、勾配合成部37は、勾配画像Gcと第1,第2,第3,第4の変形勾配画像Gd1,Gd2,Gd3,Gd4のそれぞれとを合成して、第1,第2,第3,第4の合成勾配画像Ge1,Ge2,Ge3,Ge4を生成する(ステップS6)。
【0105】
勾配評価・パラメータ選択部38(選択部)は、評価指標である勾配エネルギーに基づいて、複数の合成勾配画像から、所定の合成勾配画像を選択する。勾配評価・パラメータ選択部38は、複数の合成勾配画像から、勾配エネルギーが最も小さい合成勾配画像を選択する。図12に示す例においては、勾配評価・パラメータ選択部38は、第1,第2,第3,第4の合成勾配画像Ge1,Ge2,Ge3,Ge4から、勾配エネルギーが最も小さい第3の合成勾配画像Ge3を選択する(ステップS7)。
【0106】
勾配評価・パラメータ選択部38は、ステップS7において選択した合成勾配画像の生成に使用された変形パラメータを修正変形パラメータとして出力する。図12に示す例においては、勾配評価・パラメータ選択部38は、第3の合成勾配画像Ge3の生成に使用された変形パラメータを修正変形パラメータとして出力する(ステップS8)。
【0107】
画像変形部31(第2変形部)は、修正変形パラメータに基づいて、赤外線画像Gbを変形して、変形赤外線画像(第2変形画像)を生成する(ステップS9)。
【0108】
画像合成部32(第2合成部)は、ステップS9において生成された変形赤外線画像と、可視光撮像装置14による撮像により得られた輝度画像(第2画像)とを合成して、合成輝度画像(第2合成画像)を生成する(ステップS10)。
【0109】
輝度色情報合成部33は、合成輝度画像と色情報とを生成して合成画像Gfを生成する(ステップS11)。
【0110】
表示制御部28は、合成画像Gf(第2合成画像)を表示画像として表示装置5に表示させる(ステップS12)。
【0111】
表示制御部28は、表示画像の表示を終了するか否かを判定する(ステップS13)。
【0112】
ステップS13において表示を終了しないと判定された場合(ステップS13:No)、ステップS2の処理に戻る。ステップS2からステップS12の処理は、規定の周期で実施される。
【0113】
ステップS13において表示を終了すると判定された場合(ステップS13:Yes)、表示画像の表示が終了する。
【0114】
[コンピュータシステム]
図14は、実施形態に係るコンピュータシステム1000を示すブロック図である。上述の制御装置6は、コンピュータシステム1000を含む。コンピュータシステム1000は、CPU(Central Processing Unit)のようなプロセッサ1001と、ROM(Read Only Memory)のような不揮発性メモリ及びRAM(Random Access Memory)のような揮発性メモリを含むメインメモリ1002と、ストレージ1003と、入出力回路を含むインターフェース1004とを有する。上述の制御装置6の機能は、コンピュータプログラムとしてストレージ1003に記憶されている。プロセッサ1001は、コンピュータプログラムをストレージ1003から読み出してメインメモリ1002に展開し、プログラムに従って上述の処理を実行する。なお、コンピュータプログラムは、ネットワークを介してコンピュータシステム1000に配信されてもよい。
【0115】
コンピュータプログラム又はコンピュータシステム1000は、上述の実施形態に従って、赤外線撮像装置15による撮像により得られた勾配画像Gdから複数の変形勾配画像を生成することと、可視光撮像装置14による撮像により得られた勾配画像Gcと複数の変形勾配画像のそれぞれとを合成して複数の合成勾配画像を生成することと、勾配エネルギーに基づいて、複数の合成勾配画像から所定の合成勾配画像を選択することと、選択された合成勾配画像に基づいて生成される合成画像Gfを表示画像として表示装置5に表示させることと、を実行することができる。
【0116】
[効果]
以上説明したように、実施形態によれば、表示システム18は、赤外線撮像装置15による撮像により得られた勾配画像Gdから複数の勾配変形画像(図12に示す例では第1,第2,第3,第4の変形勾配画像Gd1,Gd2,Gd3,Gd4)を生成する画像変形部36と、可視光撮像装置14による撮像により得られた勾配画像Gcと複数の勾配変形画像のそれぞれとを合成して複数の合成勾配画像(図12に示す例では第1,第2,第3,第4の合成勾配画像Ge1,Ge2,Ge3,Ge4)を生成する勾配合成部37と、勾配エネルギーに基づいて、複数の合成勾配画像から所定の勾配合成画像(図12に示す例では第3の合成勾配画像Ge3)を選択する勾配評価・パラメータ選択部38と、選択された勾配合成画像に基づいて生成される表示画像を表示装置5に表示させる表示制御部28とを備える。これにより、可視光撮像装置14により撮像される可視光画像Gaが不鮮明になる事象が発生しても、可視光画像Gaの不鮮明な部分が赤外線画像Gbで補われ、表示画像においてはゴーストエッジの発生が抑制される。可視光画像Gaと赤外線画像Gbとの合成画像が不鮮明になる事象が発生しても、表示システム18は、作業機械1の周辺の状況を作業機械1の操作者に適正に提供することができる。
【0117】
画像変形部36は、勾配画像Gdを所定のシフト方向(実施形態においては左右方向)にシフトして、複数の勾配変形画像を生成する。撮像対象に対する可視光撮像装置14と赤外線撮像装置15との視差の影響により、勾配画像Gcと勾配画像Gdとを単に合成しただけでは、合成画像Gfにおいてゴーストエッジが発生する可能性がある。実施形態においては、所定のシフト方向にシフトされた勾配画像Gdと勾配画像Gcとが合成されるので、ゴーストエッジの発生が抑制される。
【0118】
画像変形部36は、複数の変形パラメータを含む変形パラメータセットに基づいて、勾配画像Gdから複数の勾配変形画像を生成する。変形パラメータセットは、作業現場の状況に合わせて予め定められている。変形パラメータは、所定のシフト方向への勾配画像Gdのシフト量を含む。画像変形部36は、変形パラメータセットに基づいて、勾配画像Gdから複数の勾配変形画像を効率良く生成することができる。
【0119】
図12を参照して説明したように、実施形態においては、合成勾配画像を生成する場合、可視光画像Gaから生成される勾配画像Gcの位置が固定され、赤外線画像Gbから生成される勾配画像Gdが画面方向にシフトされる。可視光画像Gaが不鮮明になる事象が発生していない場合、表示装置5には可視光画像Gaが表示され、操作者は、可視光画像Gaを確認しながら遠隔操作装置4を操作する。可視光画像Gaが不鮮明になる事象が発生した場合、可視光画像Gaから生成される勾配画像Gcが画面方向にシフトされると、可視光画像Gaが不鮮明になる事象が発生していない場合と発生した場合とで、表示装置5において可視光画像Gaの位置がずれる可能性がある。可視光画像Gaの位置がずれると、操作者は違和感を覚える可能性がある。可視光画像Gaから生成される勾配画像Gcの位置が固定され、赤外線画像Gbから生成される勾配画像Gdが画面方向にシフトされることにより、可視光画像Gaが不鮮明になる事象が発生していない場合と発生した場合とで、表示装置5において可視光画像Gaの位置がずれることが抑制される。
【0120】
[その他の実施形態]
図12を参照して説明したように、上述の実施形態においては、合成勾配画像を生成する場合、可視光画像Gaから生成される勾配画像Gcの位置が固定され、赤外線画像Gbから生成される勾配画像Gdが画面方向にシフトされることとした。赤外線画像Gbから生成される勾配画像Gdの位置が固定され、可視光画像Gaから生成される勾配画像Gcが画面方向にシフトされてもよい。また、勾配画像Gc及び勾配画像Gdの両方が画面方向にシフトされてもよい。
【0121】
上述の実施形態において、可視光撮像装置14と赤外線撮像装置15とは、左右方向に配置されることとした。可視光撮像装置14と赤外線撮像装置15とは、上下方向に配置されてもよい。図13に示したステップS5において、画像変形部36は、勾配画像Gdを上下方向にシフトさせてもよい。
【0122】
上述の実施形態においては、勾配評価・パラメータ選択部38が複数の合成勾配画像Geから所定の合成勾配画像Geを選択するとき、評価指数として勾配エネルギーを使用することとした。勾配評価・パラメータ選択部38は、撮像画像全体で勾配エネルギーが最も小さい合成勾配画像Geを選択してもよい。なお、勾配評価・パラメータ選択部38は、例えば表示画像上でオペレータが任意に選択した画像の領域において、勾配エネルギーの小さい合成勾配画像Geを生成し、選択した画像の領域周辺を最も鮮明に(画像ずれなく)表示させてもよい。
【0123】
上述の実施形態においては、可視光撮像装置14により撮像される画像が不鮮明になる事象が、粉塵の発生であることとした。可視光撮像装置14により撮像される画像が不鮮明になる事象として、粉塵の発生の他に、霧の発生、作業機械の作業が夜間に実施されることに起因する可視光の光量不足、及び撮像対象が逆光状態になることが例示される。
【0124】
霧の粒子(水滴)が可視光撮像装置14及び赤外線撮像装置15と撮像対象との間の空間に存在する場合、可視光は霧の粒子を透過することが困難であるが、赤外線は霧の粒子を透過することができる。したがって、表示システム18は、上述の実施形態にしたがって合成画像Gfを生成することができる。表示システム18は、可視光撮像装置14により撮像される可視光画像Gaの少なくとも一部が不鮮明になる事象が発生しても、合成画像Gfを表示装置5に表示することにより、作業機械1の周辺の状況を作業機械1の操作者に提供することができる。
【0125】
上述の実施形態においては、表示システム18が遠隔操作システム2に適用されることとした。表示装置5は、遠隔操作室3に配置されなくてもよい。表示装置5は、作業機械1の操作室(キャブ)に配置されてもよい。また、上述の実施形態で説明した制御装置6の一部の機能が作業機械1に配置されてもよい。作業機械1の操作室に搭乗した操作者は、作業機械1の操作室に配置されている表示装置5を確認しながら、作業機械1の操作室に配置されている搭乗操作装置を操作することができる。この場合においても、表示システム18は、可視光撮像装置14により撮像される可視光画像Gaが不鮮明になる事象が発生しても、作業機械1の周辺の状況を作業機械1の操作者に提供することができる。
【0126】
上述の実施形態においては、作業機械1が油圧ショベルであることとした。作業機械1は、ブルドーザでもよいし、ホイールローダでもよいし、ダンプトラックでもよい。作業機械1が例えばダンプトラックである場合、作業現場の画像として、作業機械1の周辺の画像に加え、作業機械1の進行方向の画像が表示装置5に表示されてもよい。
【符号の説明】
【0127】
1…作業機械、2…遠隔操作システム、3…遠隔操作室、4…遠隔操作装置、5…表示装置、6…制御装置、7…操縦シート、8…制御装置、9…通信システム、10…走行体、11…旋回体、12…作業機、12A…ブーム、12B…アーム、12C…バケット、13…油圧シリンダ、13A…ブームシリンダ、13B…アームシリンダ、13C…バケットシリンダ、14…可視光撮像装置、14A…光学系、14B…イメージセンサ、14C…撮像面、15…赤外線撮像装置、15A…光学系、15B…イメージセンサ、15C…撮像面、16…通信装置、17…通信装置、18…表示システム、19…走行体制御部、20…旋回体制御部、21…作業機制御部、22…画像出力部、23…操作信号出力部、24…可視光画像取得部、25…赤外線画像取得部、26…変形パラメータ取得部、27…画像処理部、28…表示制御部、29…輝度色情報分離部、30…位置合わせ処理部、31…画像変形部、32…画像合成部、33…輝度色情報合成部、34…勾配情報抽出部、35…勾配情報抽出部、36…画像変形部、37…勾配合成部、38…勾配評価・パラメータ選択部、1000…コンピュータシステム、1001…プロセッサ、1002…メインメモリ、1003…ストレージ、1004…インターフェース、Ga…可視光画像、Gb…赤外線画像、Gc…勾配画像、Gd…勾配画像、Ge…合成勾配画像、Gf…合成画像、AX1…光軸、AX2…光軸、RX…旋回軸。
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