(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023072864
(43)【公開日】2023-05-25
(54)【発明の名称】フロアマット
(51)【国際特許分類】
B60N 3/04 20060101AFI20230518BHJP
A47G 27/02 20060101ALI20230518BHJP
【FI】
B60N3/04 A
A47G27/02 102
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021185557
(22)【出願日】2021-11-15
(71)【出願人】
【識別番号】512210098
【氏名又は名称】日本VIAM株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000222255
【氏名又は名称】東洋クロス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100139594
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 健次郎
(74)【代理人】
【氏名又は名称】森田 憲一
(72)【発明者】
【氏名】多田 友浩
(72)【発明者】
【氏名】宝本 正雅
(72)【発明者】
【氏名】大門 篤
(72)【発明者】
【氏名】高木 直樹
【テーマコード(参考)】
3B088
3B120
【Fターム(参考)】
3B088FA02
3B088FB05
3B088FB06
3B088FC01
3B120AD19Y
3B120BA03
3B120BA21
3B120BA38
3B120BA49
3B120EA10
3B120EB30
(57)【要約】
【課題】初回試験時の静止摩擦係数が高く、繰り返し試験後の静止摩擦係数の低下を抑制することができ、使用前後で外観変化の少ないフロアマットを提供する。
【解決手段】前記フロアマットは、繊維状シート支持体の一方の表面に、熱可塑性樹脂を主体とし、且つ、発泡マイクロカプセルを含む発泡層を有し、更にその発泡層の上に、熱可塑性樹脂を主体とする保護層を有する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維状シート支持体の一方の表面に、熱可塑性樹脂を主体とし、且つ、発泡マイクロカプセルを含む発泡層を設け、更にその発泡層の上に、熱可塑性樹脂を主体とする保護層を設けたフロアマット。
【請求項2】
前記発泡層は、熱可塑性樹脂100重量部に対して0.6~12重量部の発泡マイクロカプセルを含み、前記保護層は、熱可塑性樹脂100重量部に対して0~12重量部の発泡マイクロカプセルを含む、請求項1に記載のフロアマット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フロアマット(例えば、自動車用フロアマット)に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の自動車用フロアマットでは、車両床材との摩擦力を高めるために、フロアマットの裏面に、樹脂製のスパイクニブを設ける(特許文献1)、繊維端部を溶融化する(特許文献2、3)、発泡マイクロカプセルを含有する非粘着性の粘弾性体層を設ける(特許文献4)、等の技術が用いられている。
【0003】
より高い滑り止め効果を示すフロアマットの開発が求められているが、これまで、滑り荷重評価としては、新品時のみを想定し、最高でもN=5で評価した平均値で評価が行われていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6430311号公報
【特許文献2】実開昭60-36784号公報
【特許文献3】特許第4072916号公報
【特許文献4】特開平11-105176号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者らは、繊維系支持体の一方の表面に、発泡マイクロカプセルを含む発泡層を設け、更にその発泡層の上に保護層を設けることにより、初回試験時の静止摩擦係数を向上させることができ、また、繰り返し試験後の静止摩擦係数の低下を抑制できることを見出した。
従って、本発明の課題は、初回試験時の静止摩擦係数が高いフロアマットを提供することにある。また、本発明の別の課題は、繰り返し試験後の静止摩擦係数の低下を抑制することのできるフロアマットを提供することにある。更に、本発明の別の課題は、白化が観察されず、使用前後で外観変化の少ないフロアマットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題は、以下の本発明により解決することができる:
[1]繊維状シート支持体の一方の表面に、熱可塑性樹脂を主体とし、且つ、発泡マイクロカプセルを含む発泡層を設け、更にその発泡層の上に、熱可塑性樹脂を主体とする保護層を設けたフロアマット。
[2]前記発泡層は、熱可塑性樹脂100重量部に対して0.6~12重量部の発泡マイクロカプセルを含み、前記保護層は、熱可塑性樹脂100重量部に対して0~12重量部の発泡マイクロカプセルを含む、[1]のフロアマット。
[3]前記発泡層は、熱可塑性樹脂100重量部に対して0.6~3重量部の発泡マイクロカプセルを含み、前記保護層は、熱可塑性樹脂100重量部に対して0.4~3重量部の発泡マイクロカプセルを含む、[2]のフロアマット。
【発明の効果】
【0007】
本発明の[1]のフロアマットは、発泡層の上に保護層を設けているため、保護層を有しないフロアマットと比較して、初回試験時の静止摩擦係数が高い。
本発明の好適態様である[2]のフロアマットは、繰り返し試験後の静止摩擦係数の低下を抑制することができる。
本発明の別の好適態様である[3]のフロアマットは、白化が観察されず、使用前後で外観変化が少ない。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明のフロアマットは、繊維状シート支持体の一方の表面に、発泡マイクロカプセルを含む発泡層を設け、更にその発泡層の上に保護層を設ける。
【0009】
本発明のフロアマットにおける繊維状シート支持体は、それ自体が表層カーペット基材であることもできるし、表層カーペット基材を別に用意して繊維状シート支持体と表層カーペット基材とを、例えば、接着剤、融着等により一体化させてもよい。前記の繊維状シート支持体としては、例えば、スパンボンド不織布、ニードルパンチ不織布等の不織布、織物、編物、フィルム等を用いることができる。また、カーペット基材としては、従来公知のカーペットマットシートを用いることができ、例えば、天然繊維又は合成繊維からなるタフテッドカーペット、ニードルパンチカーペット、フックカーペット、又は織物基布を挙げることができる。
【0010】
前記の発泡層および保護層は、いずれも主体が樹脂層であり、発泡層は必須成分として発泡マイクロカプセルを含むが、保護層は、発泡マイクロカプセルを含んでも、含まなくてもよい。本明細書において「樹脂を主体とする」とは、発泡層又は保護層を構成する樹脂の含有割合が、典型的には80%以上であり、好ましくは90%以上であり、より好ましくは95%以上であり、更に好ましくは98%以上であることを意味する。
【0011】
前記樹脂層としては、熱可塑性樹脂の種類は汎用のものでよく、例えば、(メタ)アクリル酸及び/又は(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位を含むアクリル系樹脂;酢酸ビニルに由来する構成単位を含む酢酸ビニル系樹脂;塩化ビニルに由来する構成単位を含む塩化ビニル系樹脂;ブタジエン-スチレン系、ブタジエン-アクリロニトリル系、クロロプレン系等の合成ゴム系樹脂;ポリエステル系樹脂;ウレタン系樹脂;等が好ましい。これらの樹脂は1種のみでも2種以上を組み合わせても使用することができる。中でも、ブタジエンースチレン系の合成ゴム系樹脂が初期密着性に優れるため、好ましい。
熱可塑性樹脂のガラス転移温度は、-30~50℃が好ましく、より好ましくは-20~40℃である。
【0012】
前記発泡マイクロカプセルは、以下に限定されるものではないが、例えば、熱膨張性マイクロカプセルを、前記樹脂層を構成する樹脂と混合し、繊維状シート支持体の一方の表面に塗布した後、加熱乾燥することにより樹脂中で熱膨張性マイクロカプセルが膨張し、発泡マイクロカプセルを含む発泡層、保護層を形成することができる。
本発明で用いることのできる熱膨張性マイクロカプセルとしては、例えば、気化性液体を、塩化ビニリデン、アクリロニトリル等の熱可塑性高分子で内包した構成のマイクロカプセルを挙げることができる。熱膨張性マイクロカプセルは、加熱により外殻を構成する熱可塑性高分子が軟化し、同時に内包されている気化性液体がガス化して内圧が上がり、膨張した状態となる。該状態を、内部中空樹脂カプセルと称する場合がある。気化性液体としては、常温で液体であり、膨張開始温度で気化する液体を適宜使用でき、炭化水素が好ましい。
【0013】
熱膨張性マイクロカプセルの未膨張状態における平均メジアン粒径は、20μm以上であり、より好ましくは25μm以上、更に好ましくは30μm以上であり、70μm以下であり、より好ましくは65μm以下、更に好ましくは60μm以下である。
熱膨張性マイクロカプセルの平均メジアン粒径は、例えば、レーザー回折式粒子径分布測定装置((株)島津製作所製「SALD-2300」)により測定することが可能である。
熱膨張性マイクロカプセルの膨張開始温度は、70℃以上が好ましく、より好ましくは90℃以上であり、さらに好ましくは100℃以上である。また、熱膨張性マイクロカプセルの最大膨張温度は、200℃以下が好ましく、より好ましくは180℃以下であり、更に好ましくは165℃以下である。
【0014】
発泡層および保護層は、樹脂および発泡マイクロカプセルに加え、所望により、例えば、消泡剤、顔料、増粘剤等を含むことができる。
【0015】
発泡層および保護層に含まれる発泡マイクロカプセルの含有割合は、本発明の効果が得られる範囲で適宜決定することができるが、典型的には、発泡層においては、熱可塑性樹脂100部に対して0.6~12部の発泡マイクロカプセルを含み、保護層においては、熱可塑性樹脂100部に対して0~12部の発泡マイクロカプセルを含むことができる。この範囲では、初回試験時の静止摩擦係数が高く、且つ、繰り返し試験後の静止摩擦係数の低下を抑制することができる。
なお、保護層において、熱可塑性樹脂100部に対して0~12部の発泡マイクロカプセルを含むとは、保護層が発泡マイクロカプセルを含まないか、あるいは、保護層が0部を超え、12部以下の発泡マイクロカプセルを含むことを意味する。
【0016】
発泡層および保護層に含まれる発泡マイクロカプセルの含有割合は、発泡層においては、熱可塑性樹脂100部に対して0.6~3部の発泡マイクロカプセルを含み、保護層においては、熱可塑性樹脂100部に対して0.4~3部の発泡マイクロカプセルを含むことが好ましい。この範囲では、初回試験時の静止摩擦係数が高く、繰り返し試験後の静止摩擦係数の低下を抑制することができ、更に、フロアマットを水平方向に引っ張った際に発泡層および保護層が白くなること(白化)がなく、使用前後で外観変化が少ない。
【0017】
発泡層における発泡マイクロカプセルの含有割合が、保護層における発泡マイクロカプセルの含有割合と同じか、あるいは、やや多い場合、例えば、発泡層において3部のとき、保護層において2部~3部;発泡層において6部のとき、保護層において3部~6部;発泡層において0.6部~1.2部のとき、保護層において0.4部~0.6部の場合、20回試験後の静止摩擦係数の低下を40%以下に抑制することができるため、より好ましい。
【0018】
繊維状シート支持体への発泡層の塗布量は、本発明の効果が得られる範囲で適宜決定することができるが、典型的には10~80g/m2であり、好ましくは20~60g/m2である。
また、繊維状シート支持体への保護層の塗布量は、本発明の効果が得られる範囲で適宜決定することができるが、典型的には5~60g/m2であり、好ましくは10~40g/m2である。
【0019】
本発明の自動車用フロアマットは、以下に限定されるものではないが、例えば、発泡層となる塗液(発泡層用塗液)と、保護層となる塗液(保護層用塗液)とを準備し、別に用意した繊維状シート支持体の一方の表面に、適当な手段(例えば、ナイフコーター)を用いて所定量の発泡層用塗液を塗布し、加熱乾燥(例えば、120℃で1分間)することにより発泡層を形成し、次に、前記発泡層の表面に、適当な手段(例えば、ナイフコーター)を用いて所定量の保護層用塗液を塗布し、加熱乾燥(例えば、140℃で1分間)することにより保護層を形成することにより、本発明の自動車用フロアマットを製造することができる。
なお、発泡層用塗液と保護層用塗液は、同一の塗液を用いてもよいし、樹脂層、又は熱膨張性マイクロカプセルの有無もしくは含有割合などの異なる二種類の塗液を用いてもよい。
【0020】
本明細書では、フロアマットの静止摩擦係数(μS)の測定は、JIS P 8147:2010の「7 水平法」による測定方法に準拠して実施することができる。具体的な条件については、後述の試験例1に基づいて実施することができる。
【実施例0021】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
【0022】
《製造実施例1:フロアマット基材の調製》
繊維状シート支持体として、ポリエステル製熱エンボススパンボンド不織布(目付:100g/m2)を用意した。
一方、ポリエステル製スパンボンド一次基布(目付:100g/m2)に、ポリプロピレン製パイルを1/8Gタフト機でタフトした後、スチレン-ブタジエン系エマルジョン(ガラス転移温度:-10℃)で目止めすることにより、タフテッドカーペット(パイル目付:600g/m2、目止め材量:240g/m2)を調製した。
【0023】
《製造実施例2:塗液の調製》
1.塗液A(発泡マイクロカプセル含量3部)の調製
SBRラテックス(固形分48%、スマーテックス(登録商標)NSA302H、日本エイアンドエル株式会社製)100部に、消泡剤(固形分15.6%、フォームレックス(登録商標)S-90、日華化学株式会社製)0.2部、黒色顔料(固形分30%、RYUDYE(登録商標)-W BLACK RCP、DIC株式会社製)2部、熱膨張性マイクロカプセル(固形分98%、マツモトマイクロスフェアー(登録商標)FN-78D、松本油脂製薬株式会社製)1.5部を添加し、混合した。
次に、前記混合物に増粘剤(固形分25%、D-251、互応化学工業株式会社製)を混合しながら添加し、粘度が6000cpsになるように調整して塗液Aを調製した。
塗液Aは、固形分換算として、SBRラテックス100部に対して、熱膨張性マイクロカプセル3部を含有する。
【0024】
2.塗液B(発泡マイクロカプセル含量6部)の調製
SBRラテックス(固形分48%)100部に熱膨張性マイクロカプセル(固形分98%)1.5部を添加する代わりに、熱膨張性マイクロカプセル(固形分98%)3部を添加すること以外は、前記製造実施例2-1の工程を繰り返すことにより、塗液Bを調製した。
塗液Bは、固形分換算として、SBRラテックス100部に対して、熱膨張性マイクロカプセル6部を含有する。
【0025】
3.塗液C(発泡マイクロカプセル含量12部)の調製
SBRラテックス(固形分48%)100部に熱膨張性マイクロカプセル(固形分98%)1.5部を添加する代わりに、熱膨張性マイクロカプセル(固形分98%)6部を添加すること以外は、前記製造実施例2-1の工程を繰り返すことにより、塗液Cを調製した。
塗液Cは、固形分換算として、SBRラテックス100部に対して、熱膨張性マイクロカプセル12部を含有する。
【0026】
4.塗液D(発泡マイクロカプセル含量0.6部)の調製
SBRラテックス(固形分48%)100部に熱膨張性マイクロカプセル(固形分98%)1.5部を添加する代わりに、熱膨張性マイクロカプセル(固形分98%)0.3部を添加すること以外は、前記製造実施例2-1の工程を繰り返すことにより、塗液Dを調製した。
塗液Dは、固形分換算として、SBRラテックス100部に対して、熱膨張性マイクロカプセル0.6部を含有する。
【0027】
5.塗液E(発泡マイクロカプセル含量1.2部)の調製
SBRラテックス(固形分48%)100部に熱膨張性マイクロカプセル(固形分98%)1.5部を添加する代わりに、熱膨張性マイクロカプセル(固形分98%)0.6部を添加すること以外は、前記製造実施例2-1の工程を繰り返すことにより、塗液Eを調製した。
塗液Eは、固形分換算として、SBRラテックス100部に対して、熱膨張性マイクロカプセル1.2部を含有する。
【0028】
6.塗液F~塗液Kの調製
SBRラテックス(固形分48%)100部に熱膨張性マイクロカプセル(固形分98%)1.5部を添加する代わりに、熱膨張性マイクロカプセル(固形分98%)0.2部、0.4部、0.5部、1部、2部、4部を添加すること以外は、前記製造実施例2-1の工程を繰り返すことにより、それぞれ、塗液F(0.4部)、塗液G(0.8部)、塗液H(1部)、塗液I(2部)、塗液J(4部)、塗液K(8部)を調製した。
【0029】
7.塗液Z(発泡マイクロカプセル含量0部)の調製
SBRラテックス(固形分48%)100部に熱膨張性マイクロカプセル(固形分98%)1.5部を添加する代わりに、熱膨張性マイクロカプセル(固形分98%)を添加しないこと以外は、前記製造実施例2-1の工程を繰り返すことにより、塗液Zを調製した。
塗液Zは、熱膨張性マイクロカプセルを含有しない。
【0030】
《製造実施例3:フロアマットの調製》
製造実施例1で用意した熱エンボススパンボンド不織布の一方の表面に、製造実施例2で調製した各種塗液を乾燥塗布量(乾燥後の塗布量)として30g/m2になるようにナイフコーターで塗布し、120℃で1分間乾燥させることにより、発泡マイクロカプセルを含む発泡層を形成した。
次に、前記発泡層の表面に、製造実施例2で調製した各種塗液を乾燥塗布量として20g/m2になるようにナイフコーターで塗布し、140℃で1分間乾燥させることにより保護層を形成した。
製造実施例1で調製したタフテッドカーペットの裏面に、溶融したオレフィン系ホットメルト接着剤を170g/m2塗布し、各種塗液が塗布された熱エンボススパンボンド不織布の非塗布面をタフテッドカーペットのホットメルト接着剤が塗布された面に重ね、ニップロールにて貼り合わせることにより本発明のフロアマットを調製した。
【0031】
なお、比較例として、熱エンボススパンボンド不織布の一方の表面に、製造実施例2で調製した各種塗液を乾燥塗布量として50g/m2になるようにナイフコーターで塗布し、120℃で1分間乾燥させることにより発泡層のみを形成した比較用のフロアマットを調製した。
【0032】
《試験例1:保護層の効果》
フロアマットの静止摩擦係数(μS)は、JIS P 8147:2010の「7 水平法」による測定方法に準拠して算出した。荷重7kg、試験片:230×200mm、接地面:200×200mmで測定し、加圧力を1.72kPa(試験片重量を除く、1.64kPa±0.24kPa)に調整した。
ベース材としては、表1に示す綿配合の不織布(目付:200±20g/m2、厚み:2.5mm、パンチ密度:250本/cm2)を使用した。
【0033】
【0034】
結果を表2に示す。
比較例1と実施例1、実施例2との比較、あるいは、比較例2と実施例3、実施例4との比較から明らかなとおり、保護層を設けることにより、静止摩擦係数が向上した。
また、実施例1と実施例2との比較、あるいは、実施例3と実施例4との比較から明らかなとおり、保護層が発泡マイクロカプセルを含まないもの(実施例1、実施例3)と、
含むもの(実施例2、実施例4)との間で、静止摩擦係数に大きな違いは認められなかった。
【0035】
【0036】
《試験例2:発泡マイクロカプセルの含有割合の検討と20回試験に対する効果》
本試験例では、発泡層および保護層に含まれる発泡マイクロカプセルの含有割合を表3A~表3Dに示すように変化させ、その効果を検討した。なお、塗液中の熱膨張性マイクロカプセルの含有割合が、SBRラテックス100部に対して12部を超えると、乾燥させた際に各層から材料の脱落が生じるため、静止摩擦係数の測定は12部を上限とした。
また、比較例4として、樹脂製のスパイクニブ(特許文献1)を備えたフロアマットを用意した。
【0037】
結果を表3A~表3Dに示す。なお、塗液名は省略し、固形分換算として、SBRラテックス100部に対する熱膨張性マイクロカプセルの重量部のみを示す。
また、静止摩擦係数は、初回の測定値に加え、20回目の測定値を示し、下記式:
(減少率)=[{(初回μS)-(20回目μS)}/(初回μS)]×100(%)
で示す減少率を算出した。
また、使用前後の外観変化の指標として、フロアマットを水平方向に引っ張った際に発泡層および保護層が白くなるか否か(白化)を観察した。
【0038】
初回静止摩擦係数に関して、発泡層に発泡マイクロカプセルが含まれていないもの(比較例3)は、保護層を備えていても、著しく数値が低下した。
また、実施例1~実施例17(発泡マイクロカプセルの含有割合が、発泡層において0.6部~12部、保護層において0部~12部)のいずれも、保護層を備えていないもの(表2の比較例1、比較例2参照)、あるいは、樹脂製のスパイクニブを備えたもの(比較例4)よりも高い初回静止摩擦係数を示した。
更に、20回目静止摩擦係数、すなわち、20回試験後の静止摩擦係数に関して、実施例1~実施例17のいずれも比較例3、比較例4よりも高い数値を示した。
【0039】
白化に関して、実施例2、実施例5、実施例6、実施例14~実施例17(発泡マイクロカプセルの含有割合が、発泡層において0.6部~3部、保護層において0.4部~3部)では、白化が観察されず、使用前後で外観変化が少ないことが確認された。
【0040】
減少率に関して、実施例5、実施例6(発泡マイクロカプセルの含有割合が、発泡層において3部のとき、保護層において2部~3部)、実施例9、実施例10(発泡マイクロカプセルの含有割合が、発泡層において6部のとき、保護層において3部~6部)、実施例14~実施例16(発泡マイクロカプセルの含有割合が、発泡層において0.6部~1.2部、保護層において0.4部~0.6部)に示されているように、減少率が40%以下であり、発泡層における発泡マイクロカプセルの含有割合が、保護層における発泡マイクロカプセルの含有割合と同じか、あるいは、やや多い場合、繰り返し試験における静止摩擦係数の低下が抑制されていた。
【0041】
【0042】
【0043】
【0044】