(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023072895
(43)【公開日】2023-05-25
(54)【発明の名称】洗濯乾燥機
(51)【国際特許分類】
D06F 25/00 20060101AFI20230518BHJP
D06F 58/02 20060101ALI20230518BHJP
【FI】
D06F25/00 A
D06F58/02 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021185596
(22)【出願日】2021-11-15
(71)【出願人】
【識別番号】399048917
【氏名又は名称】日立グローバルライフソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】今成 正雄
(72)【発明者】
【氏名】内田 麻理
(72)【発明者】
【氏名】黒澤 真理
(72)【発明者】
【氏名】高橋 幸太郎
(72)【発明者】
【氏名】松本 幸司
(72)【発明者】
【氏名】矢田 好宏
【テーマコード(参考)】
3B165
3B166
【Fターム(参考)】
3B165AA02
3B165AB23
3B165AB32
3B165AB33
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3B166ED06
3B166GA12
3B166GA22
3B166GA45
3B166HA12
(57)【要約】 (修正有)
【課題】乾燥のための消費電力量の増加を抑制することができ、温湿度を制御して衣類に吹き付ける空気の循環量を増やすことができる洗濯乾燥機を提供する。
【解決手段】内槽と熱交換ユニット251とを経由して空気を循環させる空気循環機構を備えた洗濯乾燥機100において、空気循環機構は、第1送風機256および第2送風機20と、第1送風機256により送風される空気を内槽に循環させる第1吹出口257を有する第1空気循環流路と、第2送風機20により送風される空気を内槽に循環させる第2吹出口203を有する第2空気循環流路と、を有し、第2空気循環流路は、第1空気循環流路における第1送風機256と第1吹出口257との間から分岐して設けられ、第1空気循環流路との分岐部258と第2吹出口203との間に第2送風機20が配置される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に液体を貯溜可能な外槽と、前記外槽の内側に回転自在に設けられ洗濯物を収容する内槽と、除湿機能および加熱機能を有する熱交換ユニットと、前記内槽の内部と前記熱交換ユニットとを経由して空気を循環させる空気循環機構と、を備えた洗濯乾燥機において、
前記空気循環機構は、空気を送風する第1送風機および第2送風機と、前記第1送風機により送風される空気を前記内槽の内部に循環させる第1吹出口を有する第1空気循環流路と、前記第2送風機により送風される空気を前記内槽の内部に循環させる第2吹出口を有する第2空気循環流路と、を有し、
前記第2空気循環流路は、前記第1空気循環流路における前記第1送風機と前記第1吹出口との間から分岐して設けられ、前記第1空気循環流路との分岐部と前記第2吹出口との間に前記第2送風機が配置されることを特徴とする洗濯乾燥機。
【請求項2】
請求項1に記載の洗濯乾燥機において、
前記第1空気循環流路は、前記熱交換ユニットを通過した空気の一部を、前記第1吹出口に導き、
前記第2空気循環流路は、前記熱交換ユニットを通過した残りの空気を、前記第2送風機を介して前記第2吹出口に導くように構成されることを特徴とする洗濯乾燥機。
【請求項3】
請求項2に記載の洗濯乾燥機において、
前記第2送風機は、前記第2吹出口から吹き出す空気の流速が前記第1吹出口から吹き出す空気の流速よりも高速になるように、前記第2空気循環流路を流れる空気を昇圧することを特徴とする洗濯乾燥機。
【請求項4】
請求項3に記載の洗濯乾燥機において、
前記第1送風機は、前記外槽の下方に配置され、
前記第2送風機は、前記外槽の上方に配置され、
前記第1空気循環流路は、前記第1送風機と前記分岐部との間に可撓部が設けられ、
前記第2空気循環流路は、前記分岐部と前記第2送風機との間および前記第2送風機と前記第2吹出口との間に可撓部が設けられることを特徴とする洗濯乾燥機。
【請求項5】
請求項4に記載の洗濯乾燥機において、
前記熱交換ユニットは、凝縮器、蒸発器、膨張弁、および圧縮機を有するヒートポンプで構成されることを特徴とする洗濯乾燥機。
【請求項6】
請求項5に記載の洗濯乾燥機において、
前記第2空気循環流路は、前記第2送風機の出口に補助加熱装置を有することを特徴とする洗濯乾燥機。
【請求項7】
請求項4に記載の洗濯乾燥機において、
熱交換ユニットは、水冷除湿部と加熱ヒータとで構成され、
前記水冷除湿部は、前記外槽と前記第1送風機との間に設けられ、
前記加熱ヒータは、前記第1送風機の吹出側に設けられることを特徴とする洗濯乾燥機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衣類等の洗濯および乾燥を行う洗濯乾燥機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、内槽内の空気を排気する第1排気口からの流入空気を第1吸気口へ導く第1空気循環ダクトと、第1排気口からの流入空気を第1吸気口から内槽内に吐出させる第1送風手段と、第2排気口からの流入空気を第2吸気口へ導く第2空気循環ダクトと、第2排気口からの流入空気を第2吸気口から内槽内に吐出させる第2送風手段とを設け、第1空気循環ダクトに、第1排気口から流入した空気を除湿する除湿手段および/または加熱する加熱手段を設けた洗濯乾燥機が記載されている(要約参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
文献1に記載の洗濯乾燥機では、第1送風手段による循環空気は除湿手段および/または加熱手段により空気の温湿度を制御できるが、第2送風手段による循環空気は基本的には内槽の空気を循環させる構成である。第2送風手段による循環空気は内槽内の空気と同じ湿度であるため、衣類に吹き付けることによるしわ低減は進まない。第1送風手段による循環空気は加熱手段および/または除湿手段を通過させるため、第1排気口を絞って吹き出し風速を上げると、除湿手段および/または加熱手段を通過させる循環空気量を確保して乾燥させるには、第1送風手段の消費電力量が大きくなってしまう。
【0005】
本発明の目的は、乾燥のための消費電力量の増加を抑制することができ、温湿度を制御して衣類に吹き付ける空気の循環量を増やすことができる洗濯乾燥機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の洗濯乾燥機は、
内部に液体を貯溜可能な外槽と、前記外槽の内側に回転自在に設けられ洗濯物を収容する内槽と、除湿機能および加熱機能を有する熱交換ユニットと、前記内槽の内部と前記熱交換ユニットとを経由して空気を循環させる空気循環機構と、を備えた洗濯乾燥機において、
前記空気循環機構は、空気を送風する第1送風機および第2送風機と、前記第1送風機により送風される空気を前記内槽の内部に循環させる第1吹出口を有する第1空気循環流路と、前記第2送風機により送風される空気を前記内槽の内部に循環させる第2吹出口を有する第2空気循環流路と、を有し、
前記第2空気循環流路は、前記第1空気循環流路における前記第1送風機と前記第1吹出口との間から分岐して設けられ、前記第1空気循環流路との分岐部と前記第2吹出口との間に前記第2送風機が配置される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、乾燥のための全ての循環空気を熱交換ユニットにおいて除湿して加熱できるため、温湿度を制御して衣類に吹き付ける空気の循環量を増やすことができる。第2送風機で昇圧する空気は、第1送風機で昇圧した空気を吸い込むため、第1送風機および第2送風機をそれぞれ単独で駆動するときよりも軸動力を低減でき、乾燥のための消費電力量の増加を抑制することができる。
【0008】
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の第1実施例に係る洗濯乾燥機を示す外観斜視図である。
【
図2】本発明の第1実施例に係る洗濯乾燥機の内部構造を示す、正面から見て右側面の概略断面図である。
【
図3】本発明の第1実施例に係る温風循環機構および除湿機構を透視して示す洗濯乾燥機の斜視図である。
【
図4】本発明の第1実施例に係る第1送風機および第2送風機の駆動タイミングに関する概略図である。
【
図5】本発明の第1実施例に係る洗濯乾燥機の制御装置の構成を示すブロック図である。
【
図6】本発明の第1実施例に係る洗濯乾燥機における洗濯乾燥運転の運転工程を説明する工程図(フローチャート)である。
【
図7】本発明の第2実施例に係る洗濯乾燥機の内部構造を示す、正面から見て右側面の概略断面図である。
【
図8】本発明の第2実施例に係る洗濯乾燥機の内部構造を示す、背面側から見た概略断面図である。
【
図9】本発明の第3実施例に係る温風循環機構および除湿機構を透視して示す洗濯乾燥機の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
洗濯から乾燥までを連続して行える洗濯乾燥機による衣類の乾燥は、送風ファンと熱源により高温・低湿度の空気を作り、これを洗濯槽内に吹込み、衣類の温度を高くし、衣類から水分を蒸発させ、蒸発した水分を除湿する温風乾燥方式により行う。蒸発した水分の除去方法としては、循環空気を冷却除湿する方式と、循環空気を周囲の低湿な空気と入れ替える方式とがある。さらに冷却除湿の冷熱源としては、ヒートポンプを用いる方式と冷却水を用いる方式とがある。
【0011】
近年では低環境負荷機器が求められており、具体的には脱フロンに対応し、消費電力量の少ない省エネ機器が求められている。洗濯乾燥の運転時間を短くできれば、消費電力量を減らすことができるので、いわゆる時短も重要なファクターである。
【0012】
一方で、乾燥運転後の衣類のしわに対する不満が多く、特にシャツなどアウターに対するしわの少ない仕上がりも求められている。しわの少ない仕上がりにできれば、アイロンがけの手間が減り省エネにもなる。
【0013】
しわを取り除く原理としては、しわを帯びた部位に熱を加えながら力をかけて引き延ばすことで、しわを伸ばすと共に含んだ水分を蒸発させて、繊維が伸ばされた状態で固定することによる。すなわち、しわを引き延ばす力と水分を蒸発させるための熱を供給し、蒸気が生成される。蒸気の生成と拡散を促すためには、周囲の湿度を低くするのが良い。
【0014】
以下、本発明に係る一実施例を、図面を用いて説明する。
[実施例1]
図1は、本発明の第1実施例に係る洗濯乾燥機を示す外観斜視図である。
図2は、本発明の第1実施例に係る洗濯乾燥機の内部構造を示す、正面から見て右側面の概略断面図である。
【0015】
本実施例では、洗濯乾燥機100の一例として、ドラム式洗濯乾燥機について説明するが、これに限らず、縦型洗濯乾燥機に本発明を適用することもできる。
【0016】
まず外観について説明する。ベース1hの上部に、主に鋼板と樹脂成形品で作られた側板1a及び補強材(図示せず)を組み合わせて骨格を構成し、さらにその上に前面カバー1c、上面カバー1eを取り付けることで筐体1を形成している。前面カバー1cには洗濯物207を出し入れするドア9が設けられており、背面には背面カバー(図示せず)がとりつけられている。ドア9は、ドアガラス9aとドア枠9bとを備える。
【0017】
つぎに洗濯乾燥機100の概略構造について簡単に説明する。筐体1の内側には外槽2が備えられる。外槽2は、内部に液体を貯溜可能であり、下部の複数個のサスペンション5により支持されている。外槽2の内側にある回転ドラム3にはドア9を開けて投入された洗濯物207があり、回転ドラム3の開口部の外周には脱水時の洗濯物207のアンバランスによる振動を低減するための流体バランサ31が設けられている。回転ドラム3は、外槽2の内側に回転自在に設けられ、洗濯物を収容する。このため回転ドラム3は内槽とも呼ばれる。
【0018】
回転ドラム3の内側には洗濯物207を掻き揚げる複数個のリフター33が設けられている。回転ドラム3は回転ドラム用金属製フランジ34に連結された主軸35を介してドラム駆動用モータM10に直結されている。あるいは本実施例に対して別方式となる、主軸に固定されたプーリと外槽2に固定したモータとをベルトを介して連結させ、ドラムを駆動させる、いわゆるベルト駆動方式でもよい。外槽2の開口部には弾性体からなるゴム系のパッキン10が取付けられている。このパッキン10は外槽2内とドア9との水密性を維持する役割をしている。これにより、洗い、すすぎ及び脱水時の水漏れの防止が図られている。回転ドラム3は、側壁に遠心脱水および通風用の多数の小孔(図示せず)を有する。外槽2の水受け部54に開口した排水口21は、排水弁V1を介して排水ホース26に接続される。またオーバーフローホース17は外槽2の前面に取り付けられており、排水弁V1よりも下流側で排水ホース26と合流している。即ち、オーバーフローホース17は排水弁V1の開閉状態に関係なく排水ホース26と連通される構成となっている。ただし、オーバーフローホース17は排水弁8よりも上流で排水ホース26と合流させる構成としても機能上は何ら差し支えない。
【0019】
洗濯水を外槽2の上部までくみ上げて、回転ドラム3内の洗濯物207に散布するための循環ポンプ18は、外槽2よりも下部のベース1h側に固定されている。洗濯水は、外槽下部に設けられた水受け部54の排水口21から、糸くずフィルタ222(
図3参照)を通して循環ポンプ18の吸込口側に入り、循環ポンプ18で昇圧されたのち、散水ノズル223(
図3参照)からドラム3内に向けて散水される。また水受け部54の底部に排水のために設けた排水口21は、糸くずフィルタ222と排水弁V1を介して、排水ホース26に通じており、水受け部54内の水を排水できる。
【0020】
一方、オーバーフローホース17は、外槽2のドア9側から排水孔39へ分岐させるように、排水弁V1よりも下流側で排水ホース26と連通させる構成としている。即ちオーバーフローホース17が取り付けてある所定の水位よりも水量が増えてしまった場合には、いかなる場合でも強制的に排水できる構成としている。
【0021】
図3は、本発明の第1実施例に係る温風循環機構および除湿機構を透視して示す洗濯乾燥機の斜視図である。
図3では、洗濯乾燥機100の内部の基本構造を示しており、熱交換ユニット251、第1送風機256、第2送風機20、第1吹出口257、第2吹出口203、空気循環流路71,72および分岐部258からおもに構成される空気循環機構(温風循環機構)の基本構成を示している。空気循環機構は、回転ドラム(内槽)3の内部と熱交換ユニット251とを経由して空気を循環させる。
【0022】
本実施例の熱交換ユニット251は、ヒートポンプで構成され、凝縮器252、蒸発器253、膨張手段(膨脹弁)254、圧縮機255及びそれらを結ぶ配管を有する。熱交換ユニット251は、除湿機能および加熱機能を有する。槽背面の出口260から熱交換ユニット251に流入し、第1送風機256を通った後の空気は分岐部258において、第1吹出口257から槽内に吹き出される一部の空気と、さらに第2送風機20を通って昇圧させた後に第2吹出口203で絞られることで、高風速として槽内に吹き出される残りの空気とに分けられる。すなわち第1吹出口257から吹き出される空気と第2吹出口203から吹き出される空気とは同じ湿度であり、第2吹出口203から吹き出される空気温度は、第1送風機256と第2送風機20とで昇圧されるため、第1吹出口257の空気温度よりも第2送風機20で昇圧される分だけ高い。
【0023】
すなわち空気循環機構の空気循環流路は、第1空気循環流路71と第2空気循環流路72とを有する。第1空気循環流路71は、第1送風機256により送風される空気を回転ドラム(内槽)3の内部に循環させる第1吹出口257を有する。第2空気循環流路72は、第2送風機20により送風される空気を回転ドラム(内槽)3の内部に循環させる第2吹出口203を有する。第2空気循環流路72は、第1空気循環流路71における第1送風機256と第1吹出口257との間から分岐して設けられ、第1空気循環流路71との分岐部258と第2吹出口203との間に第2送風機20が配置される。この場合、第1空気循環流路71は、熱交換ユニット251を通過した空気の一部を、第1吹出口257に導き、第2空気循環流路72は、熱交換ユニット251を通過した残りの空気を、第2送風機20を介して第2吹出口203に導くように構成される。
【0024】
また本実施例では、第1吹出口257と第2吹出口203を外槽2の前側に設けた構成となっており、槽背面に設けた出口260に対して、第1吹出口257の空気と第2吹出口203の空気がドア9側から槽背面側に向かう同方向のループを描くように流れる構成となっている。このような構成では主にしわを伸ばす作用を有する第2吹出口203の空気の湿度とその周囲を流れる第1吹出口257からの空気の湿度とを同レベルにできることで、衣類全体の乾燥レベルを一様にしつつしわを伸ばせる。極端に湿り具合の異なる衣類を回転ドラム3で回転撹拌すると、攪拌時の漂い加減に差が生じて絡まり易くなる。本実施例では、衣類全体の乾燥レベルを一様にすることができるので、衣類の絡まりを少なくすることができる。また第2送風機20からの高速風を阻害することなく全体の空気循環を形成できるため、送風機の動力損失を小さくできる。
【0025】
温風循環機構における空気循環流路は、槽背面の出口260から熱交換ユニット251までの間、第1送風機256から分岐部258までの間、分岐部258と第2送風機20の吸込口までの間、および第2送風機20の出口から第2吹出口203までの間に、各々ジャバラホース212a,212b,212c,212dを配置した構成となっている。本実施例では熱交換ユニット251と第1送風機256はベース1hに固定され、第2送風機20は筐体1の上部に固定された構成となっているため、槽の振動が大きいときなど、各々のジャバラホース212a,212b,212c,212dにて異なる動きによる振動を吸収できる。
【0026】
ジャバラホース212a,212b,212c,212dは可撓性を有する部材であり、空気循環流路に取り付けられているが、これに限らず、空気循環流路を形成する部材と一体に設けられてもよい。このため、ジャバラホースは可撓部と呼んで説明する場合がある。
【0027】
本実施例の洗濯乾燥機100では、第1送風機256は、外槽2の下方に配置され、第2送風機20は、外槽2の上方に配置される。この場合、第1空気循環流路71は第1送風機256と分岐部258との間に可撓部212bが設けられ、第2空気循環流路72は分岐部258と第2送風機20との間および第2送風機20と第2吹出口203との間にそれぞれ可撓部212c,212dが設けられる。
【0028】
一般的に、衣類乾燥におけるしわは、乾燥がある程度進み含水量が少なくなる後半において、しわを伸ばせば効率よくしわが取れることが知られている。また衣類全体に高速な風をあてるよりも、限られた範囲に高速風をあてて、周囲との相対速度差で伸ばすのが効果的である。本実施例では、乾燥に必要な循環空気量を確保しつつ、乾燥工程のある期間のみ、その一部の空気を高速風として衣類に当てることが可能なため、消費電力を抑えつつしわを少なくする乾燥が短時間でできる。
【0029】
さらに、第1吹出口257から吹き出される、第1送風機256で昇圧した空気の吐出圧で、槽内圧を安定した状態にできるため、第2送風機20の吸込側は第1送風機256の吐出圧で調整される。第2吹出口203から吹き出される高速風も第1送風機256の吐出圧で調整された槽内への吹き出しであるため、第2送風機20で昇圧し第2吹出口203にて高速風とした空気を安定して吹き出すことができる。
【0030】
すなわち第2送風機20は、第2吹出口203から吹き出す空気の流速が第1吹出口257から吹き出す空気の流速よりも高速になるように、第2空気循環流路72を流れる空気を昇圧する。これにより、第2吹出口203から吹き出される空気の流速は、第1吹出口257から吹き出される空気の流速よりも速い。
【0031】
このとき第2送風機20で昇圧する空気は、第1送風機256で昇圧した空気を吸い込むため、動圧が得られることで第2送風機20を単独で駆動するときよりも軸動力を低減できる。また、第1送風機256においても出口側で空気の一部が第2送風機20に吸い込まれることで、第1送風機256で昇圧したすべての空気を槽内へ吹き出すときよりも軸動力を減らすことができる。このため第1送風機256および第2送風機20の両方で、効率よく運転することができる。
【0032】
また本実施例では第2送風機20の出口に補助加熱部(補助加熱装置)213を設けた構成としている。すなわち第2空気循環流路72は、第2送風機20の出口に補助加熱装置213を有する。とくに乾燥後半は、衣類の繊維内部から水分を蒸発させるため、衣類の表面側を温めて内部へ熱を伝える必要がある。このため温風温度は高いほうがよく、必要に応じて加熱源により温度調整ができる。
【0033】
さらには、洗浄やすすぎ工程において槽出口部や第2吹出口203に水位が達しないレベルでは、第2送風機20を駆動させると共に補助加熱部213に通電して、温風を衣類や洗浄水に当てることで、洗浄やすすぎの温度レベルを容易に調整することができる。
【0034】
回転ドラム3の回転で洗濯物は上部に持ち上げられた後に落下するタンブリング動作を繰り返す。このため高速風を洗濯物に効果的に充てるために、補助加熱部213を含む第2送風機20は回転ドラム3の上方に設けている。さらに回転ドラム3の上方に設けた第2送風機20に対比させて、第1送風機256を回転ドラム3の下部に設けることで、洗濯乾燥機100全体としての質量バランスをとることができ、洗濯乾燥機100を振動に対して安定しやすい構成としている。また第2吹出口203を回転ドラム3の上部に配置しているため、第2送風機20も回転ドラム3の上方に配置することで、第2送風機20の吹出側の風路抵抗を減らすことができる。また第1送風機256と第2送風機20とを接続するダクト(空気循環路)に分岐部258を設けて、第1送風機256の一部の空気を回転ドラム3内へ吹き出す第1吹出口257を設ける構成に対して、第1送風機256を回転ドラム3の下方に設けることで、第1送風機256から第1吹出口257までの風路抵抗を第1送風機256から第2送風機20へ向かう風路抵抗よりも小さくできるので、乾燥工程全域にわたって運転させる第1送風機256の消費電力を減らすことができる。
【0035】
特に皮脂汚れなどを効果的に落とす洗浄として、少ない給水による高濃度の洗剤液を洗濯物に散布、浸透させて、タンブリング動作を行う洗濯運転とした場合、洗浄水を通常の洗濯よりも少なくしているため、洗浄水を洗濯物に浸透させた後では、回転ドラム3の下部の残りの洗浄水量がほとんどない状態となる。このような汚れに特化した洗浄コースでは、一般的に水量を減らし気味にして洗剤濃度を高濃度とし、さらに温度を高くすると、汚れ落ちが良くなる。この場合、衣類や洗浄水に温風を当てることで、温度レベルを容易に調整することができる。また水量が少ないことで、より短時間で温度レベルを上げることができ、短時間で高温洗浄ができる。
【0036】
以上のように、槽背面の出口260から熱交換ユニット251に流入し、第1送風機256を通った後の空気を、分岐部258において第1吹出口257から槽内に吹き出される一部の空気と、さらに第2送風機20を通って昇圧させた後に第2吹出口203で絞られることで高風速として槽内に吹き出される残りの空気とに分岐させることで、衣類に当ててしわをのばす高速風と槽内を循環させる循環風とを生成することができ、乾燥を促進できる。さらに乾燥のための全ての循環空気を、熱交換ユニット251を通すことにより、除湿して加熱できる。このため、第2吹出口203からの低湿な高速風によりしわをのばしつつ衣類を乾燥させ、槽内全体の雰囲気も第1吹出口257からの低湿な空気を循環させることで、伸ばしたしわに水分が戻ることによるしわの再発や乾燥ムラによる新たなしわ生成を防止できる。また除湿手段と加熱手段を通過する循環空気量を安定して確保しつつ、乾燥工程のある期間において第2送風機20を運転して効率よくしわを伸ばすことができるため、消費電力量を抑えつつ、乾燥時間も短縮できる。さらに槽内圧を、第1吹出口257から吹き出される第1送風機256で昇圧した空気の吐出圧で安定した状態にできるため、第2送風機20で昇圧し第2吹出口203にて高速風とした空気を安定して吹き出すことができる。このとき第2送風機20で昇圧する空気は、第1送風機256で昇圧した空気を吸い込むため、第2送風機20を単独で駆動するときよりも軸動力を低減できる。第1送風機256においても出口側で空気の一部が第2送風機20に吸い込まれることで、第1送風機256を単独で動かすときよりも軸動力を減らすことができる。このため第1送風機256および第2送風機20の両方を、効率よく運転することができる。
【0037】
また、第1送風機256の出口から第2送風機20および第2吹出口203を介して回転ドラム3に通じる経路は、第1送風機256に対して吹出風路の一部を構成している。この場合、第1吹出口257のみから吹き出すときよりも、第1送風機256の吹出風路を広げた効果が得られて風路抵抗を小さくできるため、消費電力を小さくできる。
【0038】
図5は、本発明の第1実施例に係る洗濯乾燥機の制御装置の構成を示すブロック図である。
【0039】
図5に示すように、制御装置90は、マイクロコンピュータ(以下「マイコン」と称する)110を備える。マイコン110は、使用者の操作(操作スイッチ12,13)や、洗濯工程および乾燥工程での各種情報信号(温度センサT1,T2,T3,T4および電導度センサ4の信号)を取得する。また、マイコン110は、駆動回路を介して、モータM10、給水電磁弁16、排水弁V1、循環ポンプ18、第1送風機256、第2送風機20、圧縮機255、膨張手段254、補助ヒータ213、および給水ポンプ86に接続され、これらの開閉、回転、通電を制御する。また、マイコン110は、使用者にドラム式洗濯乾燥機100に関する情報を知らせるために、表示器14やブザー(図示せず)等を制御する。また、マイコン110は、運転パターンデータベース111、工程制御部112、回転速度算出部113、衣類重量算出部114、電導度測定部115、洗剤量・洗い時間決定部116、濁度判定部117、および閾値記憶部118を備える。
【0040】
マイコン110は、電源スイッチ13が押されて電源が投入されると起動し、
図7に示すような洗濯および乾燥の基本的な制御処理プログラムを実行する。
【0041】
図6は、本発明の第1実施例に係る洗濯乾燥機における洗濯乾燥運転の運転工程を説明する工程図(フローチャート)である。
【0042】
以下、洗濯乾燥機における洗濯から乾燥までの工程について説明する。
図6に示すように、制御装置90は、ステップS1において、洗濯乾燥機100の運転工程のコース選択の入力を受け付ける(コース選択)。ここで、使用者は、ドア9を開けて、回転ドラム3内に洗濯する衣類を投入し、ドア9を閉じる。そして、使用者は、電源スイッチ13を操作して電源を入れ、操作スイッチ12を操作することにより、運転工程のコースを選択し入力する。操作スイッチ12が操作されることにより、選択された運転工程のコースが制御装置90に入力される。制御装置90は、入力された運転工程のコースに基づいて、運転パターンデータベース111から対応する運転パターンを読み込み、ステップS2に進む。なお、以下の説明において、標準コース(洗い~すすぎ2回~脱水~乾燥)が選択されたものとして説明する。
【0043】
ステップS2において、制御装置90は、回転ドラム3に投入された衣類の重量(布量)を検出する工程を実行する(布量センシング)。具体的には、工程制御部112が、モータM10を駆動して回転ドラム3を回転させるとともに、衣類重量算出部114が注水前の洗濯物207の重量(布量)を算出する。
【0044】
ステップS3において、制御装置90は、洗剤量・運転時間を算出する工程を実行する。電導度測定部115は、給水された水の電導度(硬度)を検出する。また、外槽2の下部(例えば、排水口21)に設けた排水温度センサT1で、給水された水の温度を検出する。洗剤量・洗い時間決定部116は、検出した布量、電導度測定部115において電導度センサ4からの検出値を用いて求めた水の電導度(硬度)、水の温度に基づいてマップ検索により、投入する洗剤量と運転時間を決定する。そして、工程制御部112は、決定された洗剤量・運転時間を表示器14に表示する。
【0045】
ステップS4において、制御装置90は、所定時間待機して(洗剤投入待ち工程)、ステップS5に進む。使用者は、待機中に表示器14に表示された洗剤量を参考に、洗剤類投入部7内に洗剤類を投入する。もし洗剤自動投入が設定されていれば、洗剤の投入動作は省ける。
【0046】
洗濯工程は、洗剤溶かし工程(ステップS5)、前洗い工程(ステップS6)、本洗い工程(ステップS7)に大別される。さらに、本洗い工程は、第1本洗い工程(本洗い1工程)とそれにつづく第2本洗い工程(本洗い2工程)に分けられるが、運転経過に対して各々の工程に明確に区別されていなくても機能上はなんら差し支えない。また、後述する工程中の動作の一部を省略しても洗濯工程全体としての機能に変わりはない。
【0047】
ステップS5において、制御装置90は、洗剤溶かし工程を実行する。給水電磁弁16の所定の電磁弁が開かれ、給水される。給水は洗剤投入口に導かれたのち、外槽2に投入される。外槽2に投入された洗剤液は、給水経路(図示せず)を通って、回転ドラム3の底部に位置する水受け部54(
図2参照)に供給される。洗剤液が投入された後、循環ポンプ18(
図2参照)を駆動すると、水受け部54の水は、排水口21から糸くずフィルタ222(
図3参照)を介して循環ポンプ18の吸込口(図示せず)に入る。循環ポンプ18で昇圧された洗濯水は、循環ポンプ18の出口と連通する循環吐出口54b(
図3参照)から再び水受け部54に戻される(洗剤溶かし工程の循環経路)。
【0048】
制御装置90は、この時点で水受け部54内にある電導度センサ4(判別手段)において、電導度を検出し、高濃度洗剤水溶液のときの電導度データベースと柔軟剤水溶液のときの電導度データベースとの照合を行う。
【0049】
循環を繰り返すことで、少ない水で洗剤を溶かした均一な高濃度洗剤液を生成する。高濃度洗剤液は衣類に散布される。このとき回転ドラム3を回転させて、洗濯物207を攪拌しながら循環ポンプ18にて満遍なく散布する。
【0050】
ステップS6において、制御装置90は、前洗い工程を実行する。この工程では、通常、外槽2内には洗剤液のしみこんだ洗濯物207と、外槽2の底部の水受け部54に少量の洗剤液が存在する。回転ドラム3を回転させることで、洗濯物207をドラム3の上部に持ち上げた後、重力により底部まで落下させるタンブリング動作に基づくたたき洗いを行う。これにより、洗濯物207に浸み込んだ洗剤液が搾り出てくるので、必要に応じて間欠的に循環ポンプ18を駆動させて、再び洗濯物207に洗剤液を散布する。この動作中においても、洗濯水と洗濯物のいわゆる洗浄温度を上げると、洗浄性能を向上できるので、必要に応じて第2送風機20からの気流を、加熱ヒータ(補助ヒータ)213にて温めた後に吹き付ける。洗浄温度レベルを上げることで、洗濯物207への高濃度洗剤液の浸透を促進させることもできる。第2送風機20からの気流の吹き出しノズル203は
図3に示すように、散水ノズル223や給水口(図示せず)とは外槽2の円周上において対向する位置に設けているため、高濃度洗剤液の散布と浸み込みを促進させるための温風の干渉を防ぐことで、効率よく洗浄できる。洗濯物207は高濃度洗剤液を保水した状態であるため、洗濯物207の繊維隙間を空気が占めるよりも熱伝導は良く、効率よく加熱できる。これにより繊維から、より多くの汚れを短時間で分離できる。分離された汚れは、保水された高濃度洗剤液内に迅速に分散されるので、再び凝集して再付着することを防ぐことができる。
【0051】
また、循環ポンプ18よりも小流量の循環ポンプ(図示せず)を別に設置してもよい。この場合、水受け部54から汲み上げて第2送風機20の出口近傍にて温風内に散布することで、温風に液滴を混ぜて、洗濯物207に散布させてもよい。洗濯工程の途中で、通常の循環量レベルを確保できるまで追加給水して、循環ポンプ18にて散布させると、洗濯物207の温度は急激に低下する。そこで、前記のような構成にして、より少量の循環水を温風にのせて散布すれば、洗濯物207に含まれる水を満遍なく且つ僅かずつ入れ替えることができる。このため、洗濯物207の急激な温度低下も抑えることができるので、より洗浄性能を向上させることができる。
【0052】
ステップS7において、制御装置90は、本洗い工程を実行する。本洗い工程では、前洗い工程が終了した時点で追加給水して、水受け部54の水量を増やして、水位を上げる。この水位は、循環ポンプ18により水受け部54から洗濯水をくみ上げて、外槽2の上部の散水ノズル223から連続して散布するのに十分な水位を保つものとする。
【0053】
散水ノズル223からの散布は、連続であっても間欠であってもよい。具体的には、洗濯物207の裏側などに多くの汚れがまだ付着している間は、連続で散布して洗濯水の攪拌を促進する。これにより、洗濯物207が保水する洗濯水を、常に汚れ濃度の低い洗濯水に入れ替えることができる。その後、汚れがほとんど落ちた後は、たたき洗いの機械力を主として、残りの汚れを落とすほうが洗浄効率がよい。よって、後半の散布は、機械力を妨げないように間欠散布とするのが好ましい。また、循環ポンプ18の駆動力を間欠とすることで、消費電力量を抑えられるので、省エネルギーの面からも好ましい。
【0054】
なお、散水ノズル223は、外槽2に、洗濯乾燥機100の正面からみて回転可能な回転ドラム3の中心軸よりも上側、且つ、洗濯乾燥機100の側面からみて、正面寄りの前側に位置している。これにより、散水ノズル223からの噴出範囲を、回転ドラム3の半径方向に対して広角にして散布する構造としている。この第1本洗い工程では、広範囲の散布とともに、回転ドラム3の回転によって回転ドラム3内の下方に溜まった洗濯物207を持ち上げて、回転ドラム3内の上方から落下させることにより、洗濯物207に機械的な力を与えてたたき洗いをする。回転ドラム3の径(ドラム径)が大きいほど、広範囲の散布とたたき洗いの相乗効果が得られ、本洗い工程の時間を短縮できる。
【0055】
また必要に応じて制御装置90は第2本洗い工程を実行する。前述の本洗い工程(第1本洗い工程)の終了時に給水することで、第2本洗い工程の水量を、第1本洗い工程の水量よりも多くする。また、第2本洗い工程の循環ポンプ18の循環流量は、第1本洗い工程での循環ポンプ18の循環流量よりも多くする。さらに、第2本洗い工程の回転ドラム3のモータM10の回転速度は、第1本洗い工程のモータM10の回転速度よりも低くする。第1本洗い工程と第2本洗い工程の組み合わせは、洗濯物207の黒ずみ、ごわつきを抑制させる運転アルゴリズムとしている。
【0056】
以上のように洗濯乾燥機100の場合、回転ドラム3の回転に伴って、リフター33により洗濯物30を回転ドラム3の上部に持ち上げた後、重力によりドラム底部に落とすたたき洗いが主流となる。オーバーフローホース17が外槽2の前部に接続されているため、場合によってはオーバーフローホース17の位置まで洗濯水は流入してくる。また洗濯工程中に、過去の洗濯乾燥により内装フィルタに付着したリントを洗い流すために、外槽2の出口ダクト部261に設けた注水具(図示せず)より外槽2の出口ダクト部261内に注水する場合もある。
【0057】
外槽2の出口ダクト部261の下部には外槽2の背面部に向かって下り傾斜をつけてあるため、流入してきた洗浄水や内装フィルタ洗浄のための注水は、洗濯終了時には、速やかに外槽2から排水口21を通して機外へ排水される。
【0058】
ステップS8において、制御装置90は、第1すすぎ工程(すすぎ1工程)を実行する。この工程では、排水弁V1を開けて、洗濯水を排出した後、排水弁V1を閉じて、外槽2内に所定の水位まですすぎ水を供給する。その後、ドラム3を回転させて、洗濯物207とすすぎ水を攪拌してすすぐ。
【0059】
ステップS9において、制御装置90は、第2すすぎ工程(すすぎ2工程)を実行する。第2すすぎ工程では、第1すすぎ工程と同様にして、排水弁V1を開けて、すすぎ水を排出した後、排水弁V1を閉じて、外槽2内に所定の水位まですすぎ水を供給する。その後、回転ドラム3を回転させて、洗濯物207とすすぎ水を攪拌してすすぐ。
【0060】
ステップS10において、制御装置90は、脱水工程を実行する。この工程では、排水弁V1を開いて外槽2内のすすぎ水を排水した後、ドラム3を回転させて洗濯物207を遠心脱水する。脱水の回転速度は、洗濯物207のバランスがとれずにモータM10の電流値が上限を超えるなどの不具合がない限り、負荷に応じた設定回転速度まで上昇させる。脱水された水の一部が外槽2の背面の出口260に巻き上げられてきても、外槽2の背面の出口260の下部は外槽2の背面部に向かって下り傾斜をつけてあるため、速やかに外槽側に戻すことができる。そして、脱水の回転速度を上げて、回転ドラム3が高速回転すると、外槽2にも振動が伝わり、外槽2自身も僅かながら振動する。この振動により外槽2の出口ダクト部261内壁に残った水滴をふるい落とせる。また、回転ドラム3の高速回転に伴って、振動がドア9側に伝わることをパッキン(ベローズ)10にて吸収できる。第1送風機256および第2送風機20も、各々ベローズ10により外槽2の第1吹出口257および第2吹出口203と接続されているため、振動を吸収できる。
【0061】
ステップS11において、制御装置90は、乾燥工程を実行する。乾燥工程では、
図4に示したように、まず第1送風機256を駆動する。
図4は、本発明の第1実施例に係る第1送風機および第2送風機の駆動タイミングに関する概略図である。
【0062】
第1送風機256の駆動につづいて熱交換ユニット251内の圧縮機255を駆動する。膨張手段254は一度全開状態として原点調整をした後、圧縮機255の吸込配管に設けたサーミスタ(図示せず)が低温とならないように、開度が調整される。圧縮機255の回転数は、吐出配管に設けたサーミスタ(図示せず)と第1送風機256の出口に設けた温風サーミスタとの差が所定の温度以上となるように調整される。このように熱交換ユニット251で高温となった空気を第1送風機256により昇圧した後、回転ドラム3内へ第1吹出口257を通して送風して、洗濯物30と熱交換させるとともに洗濯物30から水分を蒸発させる。洗濯物から蒸発した水分を含む循環空気は、外槽2の出口ダクト部261を介して熱交換ユニット251へ戻される。熱交換ユニット251では、風上側に配置された蒸発器253により、循環空気は冷却され露点温度以下となり、除湿される。つづけて凝縮器252において昇温されて、低湿な温風とされる。
【0063】
図4に示すように、第1送風機256の駆動開始から規定の乾燥時間t1が経過した後、第2送風機20を駆動させる。第1送風機256の吐出側の温風の一部が、第2送風機20の吸込み側に導かれ、第2送風機20で昇圧された後に、第2吹出口203から高速風として回転ドラム3内に吹き出される。高速の温風が当てられた洗濯物は、引き伸ばされつつ含水されている水分が蒸発されるので、しわが取り除かれる。第1送風機256から吐出された残りの温風は、第1吹出口257から継続して回転ドラム3内に吹き出されて、洗濯物からの蒸発水分を含む高湿度の空気との入れ替えが行われることにより、ひきつづき洗濯物の乾燥を促進できる。
【0064】
なお、第2送風機20を駆動させるタイミング(乾燥時間t1)は、洗濯物の負荷や布質に応じたタイミングとしている。高速の温風が当てられた洗濯物から、引き伸ばされつつ含水されている水分の蒸発が促進されるとき、布全体の含水量が多いと、温風があてられた箇所の周囲から水分が布繊維内を拡散して、高速の温風があてられた箇所の局所含水率がもどるため、再び乾燥工程においてしわが生成されてしまう。反対に、布全体の含水量が少ない状態から高速の温風を当てても、それ以前に生成されてしまったしわは乾く過程で固定されてしまっているため、しわを取り除くことは難しい。以上のように、しわを効率よく伸ばせる乾燥タイミングがあるので、布負荷や布質コースに対応した第2送風機20を駆動させるタイミング(乾燥時間t1)を設定している。これにより乾燥の消費電力量を極力抑えることができる。
【0065】
乾燥判定は、次のようにして行う。乾燥開始時もしくはある運転開始から規定時間において、外槽2の出口ダクト部261に設けた排気温度センサT1によって外槽2の排気温度T1aを測定すると共に、第1送風機256の出口側に設けた温風温度センサT4によって温風温度T4aを測定する(初期温度の設定)。その後、負荷に見合った規定時間経過後に終了判定のための外槽2の排気温度T1bと温風温度T4bを測定し、各々初期温度と終了判定温度との差を求める(ΔT1=T1a-T1b、ΔT4=T4a-T4b)。さらにそれらの温度差(ΔT1-ΔT4)が規定温度以上であるかどうかを確認して乾燥終了を判定する。乾燥工程中、常に回転ドラム3内と第1送風機256および第2送風機20とを循環する空気は、外槽2の出口ダクト部261と第1送風機256の吐出部とを通過するため、上記温度測定と温度に基づく判定とを安定して行うことができる。このため、乾燥時間のばらつきを抑制して乾燥工程を終了させることができる。
【0066】
なお、コース選択(S1)において乾燥工程が設定されていない場合は、ステップS10において運転を終了する。
【0067】
本実施例によれば、乾燥後の衣類のしわが少ない仕上がりが得られ、乾燥時間を短くでき、乾燥の消費電力量を低減できる。
【0068】
[実施例2]
図7は、本発明の第2実施例に係る洗濯乾燥機の内部構造を示す、正面から見て右側面の概略断面図である。
図8は、本発明の第2実施例に係る洗濯乾燥機の内部構造を示す、背面側から見た概略断面図である。
【0069】
本実施例では、第1吹出口257を外槽2の背面側に設けた構成となっている。このような構成では、第2送風機20を駆動したときに、第2吹出口203からの高速風の流れに対して、外槽2の背面側に設けた第1吹出口257からの温風は回転ドラム3の周囲から洗濯物を取り囲むように流れ込む。このため第1吹出口257からの温風は、洗濯物よりも先に回転ドラム3に接触することで、回転ドラム3を優先して温めることができる。
【0070】
さらに洗濯物に比較的薄物が多い場合は、薄物の洗濯物は含水量が少なく乾燥が速いので、洗濯物に接触した温風は、接触したときに洗濯物に熱は伝えるものの水分蒸発は少ないので、湿度は上がらずに回転ドラム3の中央に流れ込んでくる。
【0071】
一方、第2吹出口203からの高速風は、しわが延ばされつつ促進される水分の蒸発を阻害することなく、洗濯物に吹き付けられる。このとき、高速風が当てられた洗濯物は高速風から主に熱を与えられるので、しわ伸ばしとともに洗濯物に与えた熱による水分蒸発を限定的な範囲で促進することができる。
【0072】
薄物の洗濯物では、衣類全体の乾燥レベルを一様にせずとも、湿り具合の差異からのしわの再発や絡まりは少ないので、回転ドラム3を温めることで洗濯物を周囲から温めつつ、第2吹出口203からの高速風が当てられた箇所のしわを確実に伸ばすことができるので、
本実施例の構成により、乾燥をより促進できる。
【0073】
[実施例3]
図9は、本発明の第3実施例に係る温風循環機構および除湿機構を透視して示す洗濯乾燥機の斜視図である。
【0074】
本実施例では、熱交換ユニットは外槽2の出口ダクト部261に収めた水冷除湿部262と第1送風機256の吹出側に設けた加熱ヒータ263とから構成されている。出口ダクト部261は循環する空気が外槽2から流出する出口部に設けられ、外槽2と第1送風機256との間に配置されている。すなわち熱交換ユニットは水冷除湿部262と加熱ヒータ263とで構成され、水冷除湿部262は外槽2と第1送風機256との間に設けられ、加熱ヒータ263は第1送風機256の吹出側に設けられる。
【0075】
洗濯物が比較的厚物の場合、乾燥時間を短くするには、大風量とするよりも温風温度を上げたほうが、乾きが速い場合がある。ヒートポンプでは基本的に蒸発器で汲み上げた熱により凝縮器にて加熱するため、風量が極端に少ないといわゆる熱の汲み上げ量が十分確保できず、温風温度が低下してしまう場合がある。
【0076】
これに対して本実施例では、除湿熱量と加熱量は、基本的には冷却水量と通電レベルもしくは通電させる抵抗素子数で調節できるため、風量と温風温度の調整範囲とを広くできる。また大物且つ厚物などに対しては、第2送風機20の補助ヒータ213でさらに高速風の温度を高めとして吹き付ければ、繊維への温風の浸透強化により、乾燥をより促進できる。
【0077】
また水冷除湿部262の洗浄水と内装フィルタ259の洗浄水とを共有にできるので、熱交換ユニットを単独で洗浄するよりも節水できる。
【0078】
なお、本発明は上記した各実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【符号の説明】
【0079】
2…外槽、3…内槽(回転ドラム)、20…第2送風機、71…第1空気循環流路、72…第2空気循環流路、100…洗濯乾燥機、203…第2吹出口、212a,212b,212c,212d…可撓部(ジャバラホース)、213…補助加熱装置、251…熱交換ユニット、252…凝縮器、253…蒸発器、254…膨張弁、255…圧縮機、256…第1送風機、257…第1吹出口、258…分岐部、262…水冷除湿部、263…加熱ヒータ。