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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023072899
(43)【公開日】2023-05-25
(54)【発明の名称】ポケットシート
(51)【国際特許分類】
   B42F 5/04 20060101AFI20230518BHJP
   B42F 7/00 20060101ALI20230518BHJP
【FI】
B42F5/04 A
B42F7/00 E
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021185607
(22)【出願日】2021-11-15
(71)【出願人】
【識別番号】000115821
【氏名又は名称】株式会社リヒトラブ
(74)【代理人】
【識別番号】100077665
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 剛宏
(74)【代理人】
【識別番号】100116676
【弁理士】
【氏名又は名称】宮寺 利幸
(74)【代理人】
【識別番号】100191134
【弁理士】
【氏名又は名称】千馬 隆之
(74)【代理人】
【識別番号】100136548
【弁理士】
【氏名又は名称】仲宗根 康晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136641
【弁理士】
【氏名又は名称】坂井 志郎
(74)【代理人】
【識別番号】100180448
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 亨祐
(74)【代理人】
【識別番号】100149478
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 竜也
(72)【発明者】
【氏名】松本 俊吾
(72)【発明者】
【氏名】前鼻 宣慶
【テーマコード(参考)】
2C017
【Fターム(参考)】
2C017JA05
2C017KA01
2C017QA01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】厚手の収容物を収容した場合であっても、取付部の変形を抑制できるポケットシートを提供する。
【解決手段】ポケットシート10は、重ね合わせた一対のシート体12と、側辺溶着部18及び底辺溶着部20により閉じられた収容室24と、第2側辺28の近傍に形成され、複数の取付孔44が第2側辺28の延在方向に並んで配置された取付部16と、取付部16に配置された補強シート46と、を備え、側辺溶着部18は、下端側に第2側辺28に接近する方向にずれた保護部185を有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
重ね合わせた一対のシート体と、
前記一対のシート体の折目として形成された第1側辺と、
前記第1側辺の反対側に前記第1側辺と平行に延び、側辺溶着部により閉じられた第2側辺と、
前記一対のシート体の下端部を構成し、底辺溶着部により閉じられた底辺と、
前記折目及び前記側辺溶着部により側部が閉塞され、前記底辺溶着部により底部が閉塞された収容室と、
前記第2側辺の近傍に形成された複数の取付孔を有する取付部と、
前記取付部の前記一対のシート体の間に挿入された補強シートと、を備え、
前記側辺溶着部は前記取付部と前記収容室とを区画する第1溶着ラインを有し、
前記第1溶着ラインは、下端に前記第1溶着ラインの他の部分よりも前記取付孔の近傍に接近する位置にずれて配置されると共に前記補強シートと前記一対のシート体とを溶着する保護部を有する、
ポケットシート。
【請求項2】
請求項1記載のポケットシートであって、前記保護部は、少なくとも一部が前記補強シートと重なる、
ポケットシート。
【請求項3】
請求項2記載のポケットシートであって、前記保護部は、前記底辺に接近するほど、前記収容室から離れるように傾斜した線に沿って配置される、
ポケットシート。
【請求項4】
請求項2記載のポケットシートであって、前記保護部は、前記第2側辺と平行に延びる、
ポケットシート。
【請求項5】
請求項3又は4記載のポケットシートであって、前記底辺溶着部は、両端に前記一対のシート体が離間可能な開通部を有し、
前記第2側辺の近傍の前記開通部は前記補強シートと重なる部分にまで延在する、
ポケットシート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、袋状に形成されたポケットシートに関する。
【背景技術】
【0002】
ポケットシートは、透明の樹脂シートよりなる袋状の収容室(クリヤーポケットともいう)を有している。ポケットシートは、側部にリング式ファイルの金具を取り付けるための取付孔を有している。ポケットシートは、リング式ファイルの交換用シートとして市販されている。
【0003】
ポケットシートは、多くても10枚程度の薄手の書類を収容することを前提に設計されている。
【0004】
ところが、需要者は、ポケットシートに、例えば30枚や、50枚を超えるような厚手の書類を収容して使用する場合がある。また、ポケットシートは、整理収納用品として書類以外の文具雑貨等の収納にも使用される場合がある。ポケットシートは、厚手の書類や文具雑貨等の嵩張る被収容物を収納すると、各部に負荷がかかり、シート体の破れ等の破損を生じる。
【0005】
例えば、特許文献1のポケットシートは、厚手の被収容物を収容した場合、底辺の角部の破損を防止するために、溶着ラインの両端にシート体を溶着しない開通部を設けることを開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実用新案登録第3177545号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ポケットシートは、嵩張る被収容物を収容すると、下端の角部に引っ張り応力が集中する部分を生ずる。そのため、ポケットシートの取付部は、下端付近が引っ張られて撓んだ状態となる。このようなポケットシートをリング式ファイルに綴じ込んで使用すると、最も下に位置する取付孔がリング式ファイルの金具と擦れて破れる。
【0008】
すなわち、最も下にある取付孔は、撓みによって通常の位置からずれる。その結果、最下部の取付孔は、綴じ具と強く当接して過大な負担がかかりやすくなる。さらに、使用者は、リング式ファイルに綴じられたポケットシートをめくる際に使用者の身体に近い下端寄りの側辺又は底辺を持つことが多い。そのため、ポケットシートの最下端の取付孔に負担が掛かりやすく、最下端の取付孔は破損しやすい傾向がある。
【0009】
本発明は、上述した課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
以下の開示の一観点は、重ね合わせた一対のシート体と、前記一対のシート体の折目として形成された第1側辺と、前記第1側辺の反対側に前記第1側辺と平行に延び、側辺溶着部により閉じられた第2側辺と、前記一対のシート体の下端部を構成し、底辺溶着部により閉じられた底辺と、前記折目及び前記側辺溶着部により側部が閉塞され、前記底辺溶着部により底部が閉塞された収容室と、前記第2側辺の近傍に形成された複数の取付孔を有する取付部と、前記取付部の前記一対のシート体の間に挿入された補強シートと、を備え、前記側辺溶着部は前記取付部と前記収容室とを区画する第1溶着ラインを有し、前記第1溶着ラインは、下端に前記第1溶着ラインの他の部分よりも前記取付孔の近傍に接近する位置にずれて配置されると共に前記補強シートと前記一対のシート体とを溶着する保護部を有する、ポケットシートにある。
【発明の効果】
【0011】
上記観点のポケットシートは、第1溶着ラインに保護部を有することで、厚手の被収容物を収容した場合であっても、取付部の変形を抑制できる。これにより、ポケットシートは、取付部の最下端の取付孔の破損を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、第1実施形態に係るポケットシートの斜視図である。
図2図2は、図1のポケットシートの第2側辺の下端付近の部分拡大図である。
図3図3は、図2のIII-III線に沿った断面図である。
図4図4は、図1のポケットシートに被収容物を収容する様子を示す説明図である。
図5図5は、比較例に係るポケットシートの第1溶着ラインの作用説明図である。
図6図6は、第1実施形態に係るポケットシートの保護部の作用説明図である。
図7図7は、第2実施形態に係るポケットシートの保護部の近傍の部分拡大図である。
図8図8は、第3実施形態に係るポケットシートの保護部の近傍の部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(第1実施形態)
図1に示す本実施形態に係るポケットシート10は、クリヤーポケットとも呼ばれ、例えば、リング式ファイル等に取り付けられて使用される。ポケットシート10は、一対のシート体12と、折目14と、取付部16と、側辺溶着部18と底辺溶着部20とを有する。一対のシート体12は、一枚の樹脂シート22によって構成される。樹脂シート22は、例えば、ポリプロピレン樹脂又はポリエチレンテレフタレート樹脂よりなる透明で可撓性を有するフィルムである。樹脂シート22は、一般的には0.6mm程度の厚さを有する。また、厚手の樹脂シート22を採用したポケットシート10の場合には、0.12mm程度の厚さとすることもできる。ポケットシート10は、対象とする被収容物90の厚さに応じて樹脂シート22の厚さが適宜変更され得る。すなわち、厚手の被収容物90を収容するポケットシート10には、より厚手の樹脂シート22が使用される。
【0014】
樹脂シート22は、折目14に沿って折り曲げられる。折目14を挟んで一対のシート体12が厚さ方向に重なるように配置される。一対のシート体12が重なることで、一対のシート体12は、それらの間に収容室24を形成する。一対のシート体12は、平面視で略矩形状の形状を有する。
【0015】
一対のシート体12は、長辺方向に延びる第1側辺26及び第2側辺28と、短辺方向(幅方向)に延びる上辺30及び底辺32と、を有する。第1側辺26は、樹脂シート22の折目14によって構成される。第2側辺28は、一対のシート体12の他方の側辺である。第2側辺28は、第1側辺26と幅方向の反対側に形成され、第1側辺26と平行な方向に延びる。ポケットシート10は、第2側辺28の近傍に取付部16を有する。
【0016】
上辺30は、第1側辺26及び第2側辺28に垂直な幅方向に延び、一対のシート体12の上端に形成される。上辺30は、一対のシート体12が厚さ方向に離間可能となっている。収容室24は、上辺30に被収容物90を出し入れ可能な入口34を有する。底辺32は、一対のシート体12の下端に形成される。底辺32は、上辺30と平行な向きに延びる。ポケットシート10は、第2側辺28の近傍に取付部16と側辺溶着部18を有する。また、ポケットシート10は、底辺32の近傍に、底辺溶着部20を有する。
【0017】
底辺溶着部20は、複数の点状溶着部38によって構成される。各々の点状溶着部38は、円形、楕円形又は矩形状の点状の溶着領域であり、厚さ方向に重なった2枚のシート体12を溶着する。複数の点状溶着部38は、一定の間隔を開けて、底辺32の近くで幅方向に沿って線状に並ぶことで底辺溶着部20を形成する。点状溶着部38の間隔は、例えば、1mm以下に設定される。点状溶着部38の間隔は、被収容物90の脱落を阻止可能な程度に設定される。底辺溶着部20は、一対のシート体12が接合された線状の領域を形成する。
【0018】
底辺溶着部20は、収容室24の底部241を封止する。底辺溶着部20は、幅方向の一端201が第1側辺26から離間し、幅方向の他端202が第2側辺28から離間する。すなわち、底辺溶着部20は、一対のシート体12の底辺32の幅方向の寸法よりも短い。ポケットシート10は、底辺溶着部20の幅方向の両側部に、一対のシート体12が溶着されていない開通部42を有する。開通部42において、一対のシート体12は、厚さ方向に離間することができる。開通部42は、幅方向の寸法が5~10mmの範囲に設定される。開通部42の幅が上記の寸法よりも大きいと、収容室24から収容物が落下しやすくなる。また、開通部42の寸法が上記の寸法よりも狭いと、ポケットシート10は、厚手の被収容物90が収容室24に収容された際に、底辺溶着部20に負荷がかかり、点状溶着部38の破損を生じるおそれがある。
【0019】
取付部16及び側辺溶着部18は、第2側辺28の近傍に位置する。取付部16は、複数の取付孔44と、補強シート46とを有する。取付孔44は、リング式ファイルのリング62(綴じ具)を取り付けるための孔であり、ポケットシート10を厚さ方向に貫通する。複数の取付孔44は、長辺方向に沿って一定の間隔で一列に並んで配置されている。図3に示すように、補強シート46は、取付部16の一対のシート体12の間に配置された樹脂フィルムである。補強シート46は、例えば、白色に着色された不透明な樹脂フィルムである。補強シート46は、第2側辺28に沿って長辺方向に延在する。補強シート46にも取付孔44が形成される。補強シート46は、取付孔44よりも幅方向に広い範囲に亘って配置されることで、取付孔44の周辺の一対のシート体12を補強する。図2に示すように、補強シート46は、後述する側辺溶着部18によって一対のシート体12に溶着されている。
【0020】
図1に示すように、側辺溶着部18は、第2側辺28の近傍に位置し、第2側辺28に沿って上下方向に延びる。側辺溶着部18は、第2側辺28の近傍で一対のシート体12を溶着することで、収容室24の側部242を封止する。側辺溶着部18は、第1溶着ライン181と第2溶着ライン182とを有する。第1溶着ライン181は、収容室24の一方の側部242を閉塞することにより、収容室24と取付部16とを仕切る。
【0021】
第1溶着ライン181は、複数の点状溶着部183を有する。点状溶着部183は、円形、楕円形、又は矩形の孤立した溶着領域である。点状溶着部183において、厚さ方向に重なる一対のシート体12は溶着により接合されている。第1溶着ライン181において、複数の点状溶着部183は細かいピッチで線状に並んで配置されている。平面視で第1溶着ライン181は、一対のシート体12を接合する線状の形状を有する。
【0022】
図1及び図2に示すように、第1溶着ライン181は、上端付近の一部と下端付近の一部を除き、補強シート46の側端部461よりも収容室24側に配置される。補強シート46を含まないことにより、点状溶着部183は、より強固に一対のシート体12を接合することができる。
【0023】
なお、点状溶着部183は、一方のシート体12が融けた部分と他方のシート体12が融けた部分が補強シート46の面を覆うように広がることで、面積が増大する。その一方で、補強シート46を介して一対のシート体12が接合される部分の面積が小さくなる。一対のシート体12が補強シート46を覆うだけの部分は、一対のシート体12の接合強度の向上に寄与しない。したがって、点状溶着部183に補強シート46が含まれると、一対のシート体12の接合強度は低下する。本実施形態の第1溶着ライン181の大部分は、収容室24側に配置されているため、一対のシート体12を強固に接合する。
【0024】
図1に示すように、第1溶着ライン181は、上端側に入口傾斜部184を有する。入口傾斜部184は、上辺30に接近する程、第2側辺28に接近するように傾斜している。入口傾斜部184は、収容室24の入口34の幅を広げて、被収容物90の収容室24への収容を案内する。
【0025】
図2に示すように、第1溶着ライン181は、下端側に保護部185を有する。保護部185は、点状溶着部183の位置が、その上部の第1溶着ライン181よりも取付孔44に接近する方向にずれて配置されている。そのため、保護部185の点状溶着部183は、一部が補強シート46の側端部461に重なる。保護部185は、側端部461に沿って線状に延びる。保護部185は、最下端の取付孔44の横を覆う位置に延びる。保護部185は、底辺32の下端から例えば、30mmの範囲に形成される。
【0026】
保護部185は、ポケットシート10の底辺32の角部に、スペースを形成する。保護部185が形成するスペースは、一対のシート体12の厚さ方向への広がりを容易にする。これにより、保護部185は、厚手の被収容物90による引っ張り応力の影響範囲を抑制する。
【0027】
図2に示すように、第2溶着ライン182は、第2側辺28の近傍の取付部16に配置される。第2溶着ライン182は、取付孔44の列と、第2側辺28との間に配置される。第2溶着ライン182は、底辺32から上辺30までの範囲の全域に形成される。第2溶着ライン182は、複数の点状溶着部186を有する。点状溶着部186は、第2側辺28に沿って長辺方向に一列に並ぶ。点状溶着部186は、補強シート46と一対のシート体12とを溶着する。第1溶着ライン181及び第2溶着ライン182は、取付孔44を幅方向の両側から挟むことで、補強シート46の位置ずれを防止する。
【0028】
本実施形態のポケットシート10は以上のように構成され、以下その作用について説明する。
【0029】
図4に示すように、ポケットシート10は、上辺30の入口34から被収容物90(例えば、厚手の書類)を収容室24に収容する。被収容物90を収容すると、一対のシート体12が厚さ方向に離間して収容室24が膨らむ。入口傾斜部184は、厚手の被収容物90をスムーズに収容室24に案内する。被収容物90は、第1側辺26及び第1溶着ライン181に沿って摺動して、収容室24の底部241の近傍に到達する。
【0030】
底辺溶着部20の両側部に形成された開通部42は、被収容物90を収容室24に出し入れする際の空気の流入を可能とすることで、被収容物90の円滑な出し入れを可能とする。また、開通部42は、厚手の被収容物90を収容室24の底部241にまで挿入した際に、底辺32付近の一対のシート体12の厚さ方向の変形を可能とする。この開通部42は、底辺32の付近での一対のシート体12の厚さ方向の変形を可能とし、収容室24の底辺32に被収容物90を収まりよく収容することを可能とする。
【0031】
開通部42を有するポケットシート10は、厚手の被収容物90を収容によって、収容室24の底辺32の角部に稜線60を形成して膨らむ。この角部の膨らみによって、ポケットシート10の底辺32が角部付近で大きく撓む。
【0032】
図5に示す比較例のポケットシートは、保護部185を有さない第1溶着ライン181による変形を示す。この比較例の場合、一対のシート体12の撓みによって、第1溶着ライン181の下端部が、収容室24側に引っ張られて湾曲する。この湾曲の影響は、取付部16に及ぶ。湾曲の影響により、取付部16は、下端部において一対のシート体12及び補強シート46が厚さ方向に湾曲する。この結果、最も下に位置する取付孔44の位置が、主に厚さ方向にずれる。図示のように、リング式ファイルの綴じ具は、比較的小さな曲率のリング62を有する。取付孔44の位置が厚さ方向にずれると、取付孔44がリング62と干渉しやすくなる。その結果、ポケットシート10の荷重は、下端とその近傍の取付孔44に集中する傾向がある。そのため、比較例のポケットシートでは、下端付近の取付孔44が破損しやすく、なかでも最下端の取付孔44が破損しやすい。
【0033】
図中の一点鎖線462は、引っ張られていない状態での補強シート46の側端部461の位置を示す。リング62から引き離す方向の力がポケットシートに作用すると、補強シート46の側端部461は、図示のように第1溶着ライン181から離れるように変位する。すなわち、比較例のポケットシートが引っ張られた際に、補強シート46は一対のシート体12とずれてリング62側に移動する。そのため、補強シート46は、重ねている以上の補強効果を発揮しない。その結果、下端付近の取付孔44は、リング62によって破れやすい。
【0034】
これに対し、図6に示す本実施形態のポケットシート10は、第1溶着ライン181の下端部に保護部185を有する。保護部185は、上側に隣接する第1溶着ライン181からずれている。これにより、ポケットシート10の底辺32の角部付近に、一対のシート体12が引っ張られる方向に対して余裕ができる。そのため、ポケットシート10は、厚手の被収容物90を収容した場合に、一対のシート体12の撓みを抑制できる。
【0035】
さらに、保護部185において、一対のシート体12と補強シート46とが溶着されている。したがって、ポケットシート10の取付部16の下端部が撓んだ場合であっても、補強シート46と一対のシート体12とが一体に重なった状態に保たれ、補強シート46による補強効果が発揮される。保護部185は、少なくとも最も下端の取付孔44の側部を覆う位置に延在しているため、最も破損しやすい取付孔44を効果的に保護できる。
【0036】
したがって、ポケットシート10は、厚手の被収容物90を収容した場合であっても下端付近の取付孔44の破損を防止できる。
【0037】
(第2実施形態)
図7に示す本実施形態のポケットシート102は、第1溶着ライン181の保護部189において第1実施形態に係るポケットシート10と異なる。なお、ポケットシート102において、ポケットシート10と同様の構成には、同一符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0038】
ポケットシート102は、第1溶着ライン181の下端部に保護部189を有する。保護部189は、複数の点状溶着部183を有する。保護部189の点状溶着部183は、第1溶着ライン181の他の点状溶着部183よりも取付孔44に接近する方向に大きくずれて配置されている。保護部189は、補強シート46の上に配置される。保護部189は、第2側辺28と平行な方向(長辺方向)に延在する。保護部189は、点状溶着部183において、補強シート46と一対のシート体12とを溶着する。
【0039】
以上のポケットシート102は、保護部189が補強シート46に重なる位置にまで大きくずれている。このような保護部189は、ポケットシート102の底辺32の角部付近において、一対のシート体12が厚さ方向に広がることができる余裕を増大させる。そのため、厚手の被収容物90を収容した場合であっても、ポケットシート102は、第1溶着ライン181の湾曲を抑制でき、取付孔44の位置ずれもさらに効果的に防止できる。そのため、本実施形態のポケットシート102は、最下端の取付孔44の破損をさらに効果的に防止できる。
【0040】
(第3実施形態)
図8に示すポケットシート103は、第1溶着ライン181の保護部190において第1実施形態に係るポケットシート10と異なる。なお、ポケットシート103において、ポケットシート10と同様の構成には、同一符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0041】
本実施形態のポケットシート103は、第1溶着ライン181の下端部に保護部190を有する。保護部190は、複数の点状溶着部183を有する。保護部190の点状溶着部183は、底辺32に向かうほど、第2側辺28に徐々に接近するように傾斜する線に沿って配置されている。保護部190の下端側の点状溶着部183は、補強シート46と重なる位置に配置されており、補強シート46と一対のシート体12とを溶着する。
【0042】
本実施形態のポケットシート103は、保護部190が底辺32に接近する程、第2側辺28に接近する方向に傾斜している。このような、保護部190は、ポケットシート10の底辺32の角部付近において、シート体12が厚さ方向に広がることができる余裕を増大させる。また、傾斜した保護部190は、厚手の被収容物90を収容した際に生じる底辺32の角部の稜線60と保護部190の向きが揃う。その結果、保護部190の下端付近への引きつりを受け流すことができ、取付部16への一対のシート体12の湾曲の伝搬を防ぐことができ、最下端の取付孔44の位置ずれを防止する。したがって、傾斜した保護部190は、取付孔44の破損をさらに効果的に防止する。
【0043】
以下、本発明の実施形態に係るポケットシート10、102、103は、以下の効果を奏する。
【0044】
ポケットシート10、102、103は、重ね合わせた一対のシート体12と、前記一対のシート体の折目14として形成された第1側辺26と、前記第1側辺の反対側に前記第1側辺と平行に延び、側辺溶着部18により閉じられた第2側辺28と、前記一対のシート体の下端部を構成し、底辺溶着部20により閉じられた底辺32と、前記折目及び前記側辺溶着部により側部242が閉塞され、前記底辺溶着部により底部241が閉塞された収容室24と、前記第2側辺の近傍に形成され、複数の取付孔44を有する取付部16と、前記取付部の前記一対のシート体の間に挿入された補強シート46と、を備え、前記側辺溶着部は前記取付部と前記収容室とを区画する第1溶着ライン181を有し、前記第1溶着ラインは、下端に前記第1溶着ラインの他の部分よりも前記取付孔の近傍に接近する位置にずれて配置されると共に前記補強シートと前記一対のシート体とを溶着する保護部185、189、190を有する。
【0045】
上記のポケットシートは、第1溶着ラインに保護部を設けることで、最下端の取付孔の破損を防止できる。
【0046】
上記のポケットシートにおいて、前記保護部は、少なくとも一部が前記補強シートと重なってもよい。このポケットシートは、保護部の溶着部の強度が低下するものの、底辺の角部付近において一対のシート体が引っ張られる方向に余裕を持たせることができ、一対のシート体の撓みを抑制できる。その結果、ポケットシートは、厚手の被収容物を収容した場合であっても、取付孔の位置ずれを防いで、最下端の取付孔の破損を防止できる。
【0047】
上記のポケットシートにおいて、前記保護部は、前記底辺に接近するほど、前記収容室から離れるように傾斜した線に沿って配置されてもよい。このポケットシートは、厚手の被収容物を収容した場合であっても、取付部の変形をより効果的に防止でき、最下端の取付孔の破損を防止できる。
【0048】
上記のポケットシートにおいて、前記保護部は、前記第2側辺と平行に延びてもよい。このポケットシートは、底辺の角部付近において一対のシート体が引っ張られる方向に余裕を持たせることができ、一対のシート体の撓みを抑制できる。その結果、ポケットシートは、取付孔の位置ずれを防いで、最下端の取付孔の破損を防止できる。
【0049】
上記のポケットシートにおいて、前記底辺溶着部は、両端に前記一対のシート体が離間可能な開通部42を有し、前記第2側辺の近傍の前記開通部は前記補強シートと重なる部分にまで延在してもよい。このポケットシートは、開通部が保護部と共に一対のシート体の撓みの影響範囲を限定することで、取付孔の破損を防止する。
【0050】
なお、本発明は、上述した実施形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を取り得る。
【符号の説明】
【0051】
10、102、103…ポケットシート
12…シート体 14…折目
16…取付部 18…側辺溶着部
20…底辺溶着部 24…収容室
26…第1側辺 28…第2側辺
32…底辺 42…開通部
44…取付孔 46…補強シート
181…第1溶着ライン 185、189、190…保護部
図1
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図8