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特開2023-72942雨水排水口改修用部材、雨水排水口改修方法、改修雨水排水口構造、改修ドレン部材および雨水排水口改修部材セット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023072942
(43)【公開日】2023-05-25
(54)【発明の名称】雨水排水口改修用部材、雨水排水口改修方法、改修雨水排水口構造、改修ドレン部材および雨水排水口改修部材セット
(51)【国際特許分類】
   E04D 13/04 20060101AFI20230518BHJP
【FI】
E04D13/04 B
E04D13/04 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021185692
(22)【出願日】2021-11-15
(71)【出願人】
【識別番号】000217365
【氏名又は名称】田島ルーフィング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100108903
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 和広
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100208225
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 修二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100217179
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 智史
(74)【代理人】
【識別番号】100093665
【弁理士】
【氏名又は名称】蛯谷 厚志
(72)【発明者】
【氏名】森 章太
(57)【要約】
【課題】建築物の屋上等の雨水排水口13に接着剤18を介して改修ドレン部材17を嵌め込んで雨水排水口を改修するのに用いる雨水排水口改修用部材1であって、改修後に回収する必要がなく、接着剤の硬化時間を考慮せずに接着を達成することができ、既存ドレンの内径のばらつきに対してフレキシブルに嵌め込むことができる雨水排水口改修用部材を提供する。
【解決手段】雨水排水口改修用部材は、筒状部2と筒状部の一方の端から他方の端に向かって筒状部の軸方向長さの25~90%の位置まで設けられたスリット3とを有し、筒状部2は樹脂または金属からなり、筒状部2の外径は改修ドレン部材の筒状部17aの内径よりも大きく、筒状部2は改修ドレン部材の筒状部よりも硬く、筒状部2を改修ドレン部材の筒状部に嵌め込むことにより、改修ドレン部材の筒状部を既存ドレン部材15の筒状部15aに圧接させ、既存ドレン部材と改修ドレン部材を接着させる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築物の屋上、ベランダまたはバルコニーの表面に、雨水排水口を除いて既存防水シートが敷設され、雨水排水口に第1の筒状部と第1の筒状部の一端外周に突設された第1のフランジ部とを有する既存ドレン部材が設けられた既存シート防水構造において、第2の筒状部と第2の筒状部の一端外周に突設された第2のフランジ部とを有する改修ドレン部材を準備し、既存ドレン部材の第1の筒状部の内周面または改修ドレン部材の第2の筒状部の外周面に接着剤を塗布し、既存ドレン部材の第1の筒状部に改修ドレン部材の第2の筒状部を嵌め込むことによる雨水排水口改修方法に用いる雨水排水口改修用部材であって、
雨水排水口改修用部材は、第3の筒状部と第3の筒状部の一方の端から他方の端に向かって第3の筒状部の軸方向長さの25~90%の位置まで設けられたスリットとを有し、第3の筒状部は樹脂または金属からなり、第3の筒状部の外径は改修ドレン部材の第2の筒状部の内径よりも大きく、第3の筒状部は改修ドレン部材の第2の筒状部よりも硬く、
雨水排水口改修用部材の第3の筒状部を、スリットが設けられた端から、改修ドレン部材の第2の筒状部に嵌め込むことにより、改修ドレン部材の第2の筒状部を既存ドレン部材の第1の筒状部に圧接させ、既存ドレン部材と改修ドレン部材を接着させる、雨水排水口改修用部材。
【請求項2】
雨水排水口改修用部材の第3の筒状部が少なくとも2本のスリットを有する、請求項1に記載の雨水排水口改修用部材。
【請求項3】
スリットは第3の筒状部の中心軸に対し対称に設けられている、請求項2に記載の雨水排水口改修用部材。
【請求項4】
スリットは第3の筒状部の中心軸に平行に設けられている、請求項1~3のいずれか1項に記載の雨水排水口改修用部材。
【請求項5】
スリットの幅が1~10mmである、請求項1~4のいずれか1項に記載の雨水排水口改修用部材。
【請求項6】
第3の筒状部が、塩化ビニル樹脂、ポリカーボネート、ポリプロピレン、アルミニウムまたはステンレス鋼からなる、請求項1~5のいずれか1項に記載の雨水排水口改修用部材。
【請求項7】
雨水排水口改修用部材の第3の筒状部の厚みが1~5mmである、請求項1~6のいずれか1項に記載の雨水排水口改修用部材。
【請求項8】
雨水排水口改修用部材が目詰まり防止のためのストレーナー部をさらに有する、請求項1~7のいずれか1項に記載の雨水排水口改修用部材。
【請求項9】
建築物の屋上、ベランダまたはバルコニーの表面に、雨水排水口を除いて既存防水シートが敷設され、雨水排水口に第1の筒状部と第1の筒状部の一端外周に突設された第1のフランジ部とを有する既存ドレン部材が設けられた既存シート防水構造において、第2の筒状部と第2の筒状部の一端外周に突設された第2のフランジ部とを有する改修ドレン部材を準備し、既存ドレン部材の第1の筒状部の内周面または改修ドレン部材の第2の筒状部の外周面に接着剤を塗布し、既存ドレン部材の第1の筒状部に改修ドレン部材の第2の筒状部を嵌め込むことによる雨水排水口改修方法であって、
前記雨水排水口改修方法は、第3の筒状部と第3の筒状部の一方の端から第3の筒状部の軸方向長さの25~90%の位置まで設けられたスリットとを有する雨水排水口改修用部材を準備し、雨水排水口改修用部材の第3の筒状部を、スリットが設けられた端から、改修ドレン部材の第2の筒状部に嵌め込むことを含み、
雨水排水口改修用部材の第3の筒状部は樹脂または金属からなり、第3の筒状部の外径は改修ドレン部材の第2の筒状部の内径よりも大きく、第3の筒状部は改修ドレン部材の第2の筒状部よりも硬く、
雨水排水口改修用部材の第3の筒状部を改修ドレン部材の第2の筒状部に嵌め込むことにより、改修ドレン部材の第2の筒状部を既存ドレン部材の第1の筒状部に圧接させ、既存ドレン部材と改修ドレン部材を接着させる、雨水排水口改修方法。
【請求項10】
雨水排水口改修用部材の第3の筒状部は少なくとも2本のスリットを有し、スリットは第3の筒状部の中心軸に対し対称に設けられ、スリットは第3の筒状部の中心軸に平行に設けられ、スリットの幅が1~10mmである、請求項9に記載の雨水排水口改修方法。
【請求項11】
雨水排水口改修用部材の第3の筒状部の外径が改修ドレン部材の第2の筒状部の内径よりも0.1~5mm大きい、請求項9または10に記載の雨水排水口改修方法。
【請求項12】
雨水排水口改修用部材の第3の筒状部の長さが、改修ドレン部材の第2の筒状部の長さと同じであるか、または第2の筒状部の長さよりも長い、請求項9~11のいずれか1項に記載の雨水排水口改修方法。
【請求項13】
改修ドレン部材が軟質塩化ビニル樹脂からなる、請求項9~12のいずれか1項に記載の雨水排水口改修方法。
【請求項14】
改修ドレン部材の第2の筒状部の内径が、第2のフランジ部を有する端から他方の端に向かって先細りとなっていくようにテーパーを有し、第2の筒状部の内径のテーパーの大きさが0超過5/100以下である、請求項9~13のいずれか1項に記載の雨水排水口改修方法。
【請求項15】
雨水排水口がドレンまたはオーバーフロー管の流入口である、請求項9~14のいずれか1項に記載の雨水排水口改修方法。
【請求項16】
既存ドレン部材の第1の筒状部の内周面または改修ドレン部材の第2の筒状部の外周面に接着剤を塗布する前に、雨水排水口を除いて改修防水シートを敷設する、請求項9~15のいずれか1項に記載の雨水排水口改修方法。
【請求項17】
建築物の屋上、ベランダまたはバルコニーの表面に、雨水排水口を除いて既存防水シートが敷設され、雨水排水口に第1の筒状部と第1の筒状部の一端外周に突設された第1のフランジ部とを有する既存ドレン部材が設けられた既存シート防水構造に、既存ドレン部材の第1の筒状部に第2の筒状部と第2の筒状部の一端外周に突設された第2のフランジ部とを有する改修ドレン部材の第2の筒状部が嵌め込まれ、既存ドレン部材の第1の筒状部の内周面と改修ドレン部材の第2の筒状部の外周面とは接着剤を介して接合されている改修雨水排水口構造であって、
前記改修雨水排水口構造は、改修ドレン部材の第2の筒状部に嵌め込まれた雨水排水口改修用部材を含み、雨水排水口改修用部材は、第3の筒状部と第3の筒状部の一方の端から他方の端に向かって第3の筒状部の軸方向長さの25~90%の位置まで設けられたスリットとを有し、第3の筒状部は樹脂または金属からなり、第3の筒状部の外径は改修ドレン部材の第2の筒状部の内径よりも大きく、第3の筒状部は改修ドレン部材の第2の筒状部よりも硬く、雨水排水口改修用部材は改修ドレン部材の第2の筒状部を既存ドレン部材の第1の筒状部に圧接するように機能している、改修雨水排水口構造。
【請求項18】
建築物の屋上、ベランダまたはバルコニーの表面に、雨水排水口を除いて既存防水シートが敷設され、雨水排水口に第1の筒状部と第1の筒状部の一端外周に突設された第1のフランジ部とを有する既存ドレン部材が設けられた既存シート防水構造において、第2の筒状部と第2の筒状部の一端外周に突設された第2のフランジ部とを有する改修ドレン部材を準備し、既存ドレン部材の第1の筒状部の内周面または改修ドレン部材の第2の筒状部の外周面に接着剤を塗布し、既存ドレン部材の第1の筒状部に改修ドレン部材の第2の筒状部を嵌め込み、さらに、樹脂または金属からなる第3の筒状部と第3の筒状部の一方の端から第3の筒状部の軸方向長さの25~90%の位置まで設けられたスリットとを有する雨水排水口改修用部材であって、第3の筒状部の外径は改修ドレン部材の第2の筒状部の第2のフランジ部を有する端とは反対の端の内径よりも大きく、第3の筒状部は改修ドレン部材の第2の筒状部よりも硬い雨水排水口改修用部材を、第3の筒状部のスリットが設けられた端から、改修ドレン部材の第2の筒状部に嵌め込むことにより、改修ドレン部材の第2の筒状部を既存ドレン部材の第1の筒状部に圧接させ、既存ドレン部材と改修ドレン部材を接着させる、雨水排水口改修方法に用いる改修ドレン部材であって、
第2の筒状部の内径が第2のフランジ部を有する端から他方の端に向かって先細りとなっていくようにテーパーを有する、改修ドレン部材。
【請求項19】
第2の筒状部の内径のテーパーの大きさが0超過5/100以下である、請求項18に記載の改修ドレン部材。
【請求項20】
請求項1~8のいずれか1項に記載の雨水排水口改修用部材および請求項18または19に記載の改修ドレン部材を含む雨水排水口改修部材セット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は雨水排水口改修用部材、雨水排水口改修方法、改修雨水排水口構造、改修ドレン部材および雨水排水口改修部材セットに関する。より具体的には、本発明は建築物の屋上等に設けられた既存ドレンまたはオーバーフロー管等の雨水排水口の改修に用いられる雨水排水口改修用部材、改修ドレン部材および雨水排水口改修部材セット、それを用いた雨水排水口改修方法、ならびにそれを用いて改修された改修雨水排水口構造に関する。
【背景技術】
【0002】
建築物の屋上等に防水シートが施された場合、雨水の排水口としてドレンやオーバーフロー管が設けられる。また、ドレンやオーバーフロー管にはしばしば、目詰まりを防止するためのストレーナーキャップが設けられている。
【0003】
防水シートは経年劣化するため、数年が経過した後に改修施工される。この際に既存の防水シートの上から新規に改修用の防水シートを敷設し、既存のドレンやオーバーフロー管は撤去した後に新品と交換する方法と、撤去せずにフランジ部と排水管を組合せるなどした改修用部材を上から挿入し、既存のドレンまたはオーバーフロー管とシーリング等により接合する方法がある。
【0004】
改修用部材を上から挿入する場合、排水口の内径を小さくすることによる排水性能の低下を軽減するため、改修用部材は排水管を設けずにフランジ部のみとした構造とし、既存のドレンまたはオーバーフロー管の排水管内周面からフランジ部にかけて改修用部材を接着する。
【0005】
既存のドレンまたはオーバーフロー管の排水管内周面に改修用部材を接着させるために、排水管内周面に接着剤を塗布し、改修用部材を挿入し、特殊な拡張冶具を用いて排水管内周面に改修用部材を圧着し続け、接着剤が硬化した後、拡張冶具を回収する方法がある(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8-93153号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1の方法は、作業者が拡張冶具を用意する必要があり、拡張冶具を購入する費用が発生してしまう。また、最終的に拡張冶具を回収する必要があるため、接着剤が硬化するまで作業を完了することができず、これに工期が依存してしまう。さらに、接着剤の硬化にかかる時間は気温等の作業環境に左右されるため、圧着し続ける時間が不足すれば接着性が不十分となり、過剰となれば必要以上の工期を要してしまう。
【0008】
そこで、本発明者は、拡張冶具を回収する必要がなく、かつ、接着剤の硬化時間を考慮せずに、接着を達成することができる改修用部材を発明し、出願人はその発明を特許出願をした(特願2020-183609)。
特願2020-183609に記載された発明の一つは、改修ドレン部材に嵌め込むことにより、改修ドレン部材を既存ドレン部材に圧接させ、既存ドレン部材と改修ドレン部材を接着させるための改修用部材であって、筒状部とフランジ部とを有し、筒状部に弾性体が被覆されたものである。
特願2020-183609に記載されたもう一つの発明は、改修ドレン部材に嵌め込むことにより、改修ドレン部材を既存ドレン部材に圧接させ、既存ドレン部材と改修ドレン部材を接着させるための改修用部材であって、筒状部とフランジ部とを有し、筒状部にテーパーがつけられたものである。
【0009】
しかし、前者の筒状部に弾性体が被覆された改修用部材は、弾性体により圧着する仕組みのものであるが、弾性体の厚み分、排水溝が狭くなり、排水量が減ってしまう。また、生産時、弾性体を接着するなどの工程があり、コストが高くなってしまう。
後者の筒状部にテーパーがつけられた改修用部材は、テーパーのみで圧着するものであるが、既存ドレンの内径のばらつきに対応しきれない。また、寸法がシビアである。
さらに、前者の改修用部材も後者の改修用部材も、フランジ部を有することにより、差し込みしろが限定され、ぴったりな寸法であることが求められる。
本発明は、これらの問題点を解消した改修用部材を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本件第1発明は、建築物の屋上、ベランダまたはバルコニーの表面に、雨水排水口を除いて既存防水シートが敷設され、雨水排水口に第1の筒状部と第1の筒状部の一端外周に突設された第1のフランジ部とを有する既存ドレン部材が設けられた既存シート防水構造において、第2の筒状部と第2の筒状部の一端外周に突設された第2のフランジ部とを有する改修ドレン部材を準備し、既存ドレン部材の第1の筒状部の内周面または改修ドレン部材の第2の筒状部の外周面に接着剤を塗布し、既存ドレン部材の第1の筒状部に改修ドレン部材の第2の筒状部を嵌め込むことによる雨水排水口改修方法に用いる雨水排水口改修用部材であって、
雨水排水口改修用部材は、第3の筒状部と第3の筒状部の一方の端から他方の端に向かって第3の筒状部の軸方向長さの25~90%の位置まで設けられたスリットとを有し、第3の筒状部は樹脂または金属からなり、第3の筒状部の外径は改修ドレン部材の第2の筒状部の内径よりも大きく、第3の筒状部は改修ドレン部材の第2の筒状部よりも硬く、
雨水排水口改修用部材の第3の筒状部を、スリットが設けられた端から、改修ドレン部材の第2の筒状部に嵌め込むことにより、改修ドレン部材の第2の筒状部を既存ドレン部材の第1の筒状部に圧接させ、既存ドレン部材と改修ドレン部材を接着させることを特徴とする。
【0011】
本件第2発明は、建築物の屋上、ベランダまたはバルコニーの表面に、雨水排水口を除いて既存防水シートが敷設され、雨水排水口に第1の筒状部と第1の筒状部の一端外周に突設された第1のフランジ部とを有する既存ドレン部材が設けられた既存シート防水構造において、第2の筒状部と第2の筒状部の一端外周に突設された第2のフランジ部とを有する改修ドレン部材を準備し、既存ドレン部材の第1の筒状部の内周面または改修ドレン部材の第2の筒状部の外周面に接着剤を塗布し、既存ドレン部材の第1の筒状部に改修ドレン部材の第2の筒状部を嵌め込むことによる雨水排水口改修方法であって、
前記雨水排水口改修方法は、第3の筒状部と第3の筒状部の一方の端から第3の筒状部の軸方向長さの25~90%の位置まで設けられたスリットとを有する雨水排水口改修用部材を準備し、雨水排水口改修用部材の第3の筒状部を、スリットが設けられた端から、改修ドレン部材の第2の筒状部に嵌め込むことを含み、
雨水排水口改修用部材の第3の筒状部は樹脂または金属からなり、第3の筒状部の外径は改修ドレン部材の第2の筒状部の内径よりも大きく、第3の筒状部は改修ドレン部材の第2の筒状部よりも硬く、
雨水排水口改修用部材の第3の筒状部を改修ドレン部材の第2の筒状部に嵌め込むことにより、改修ドレン部材の第2の筒状部を既存ドレン部材の第1の筒状部に圧接させ、既存ドレン部材と改修ドレン部材を接着させることを特徴とする。
【0012】
本件第3発明は、建築物の屋上、ベランダまたはバルコニーの表面に、雨水排水口を除いて既存防水シートが敷設され、雨水排水口に第1の筒状部と第1の筒状部の一端外周に突設された第1のフランジ部とを有する既存ドレン部材が設けられた既存シート防水構造に、既存ドレン部材の第1の筒状部に第2の筒状部と第2の筒状部の一端外周に突設された第2のフランジ部とを有する改修ドレン部材の第2の筒状部が嵌め込まれ、既存ドレン部材の第1の筒状部の内周面と改修ドレン部材の第2の筒状部の外周面とは接着剤を介して接合されている改修雨水排水口構造であって、
前記改修雨水排水口構造は、改修ドレン部材の第2の筒状部に嵌め込まれた雨水排水口改修用部材を含み、雨水排水口改修用部材は、第3の筒状部と第3の筒状部の一方の端から他方の端に向かって第3の筒状部の軸方向長さの25~90%の位置まで設けられたスリットとを有し、第3の筒状部は樹脂または金属からなり、第3の筒状部の外径は改修ドレン部材の第2の筒状部の内径よりも大きく、第3の筒状部は改修ドレン部材の第2の筒状部よりも硬く、雨水排水口改修用部材は改修ドレン部材の第2の筒状部を既存ドレン部材の第1の筒状部に圧接するように機能していることを特徴とする。
【0013】
本件第4発明は、建築物の屋上、ベランダまたはバルコニーの表面に、雨水排水口を除いて既存防水シートが敷設され、雨水排水口に第1の筒状部と第1の筒状部の一端外周に突設された第1のフランジ部とを有する既存ドレン部材が設けられた既存シート防水構造において、第2の筒状部と第2の筒状部の一端外周に突設された第2のフランジ部とを有する改修ドレン部材を準備し、既存ドレン部材の第1の筒状部の内周面または改修ドレン部材の第2の筒状部の外周面に接着剤を塗布し、既存ドレン部材の第1の筒状部に改修ドレン部材の第2の筒状部を嵌め込み、さらに、樹脂または金属からなる第3の筒状部と第3の筒状部の一方の端から第3の筒状部の軸方向長さの25~90%の位置まで設けられたスリットとを有する雨水排水口改修用部材であって、第3の筒状部の外径は改修ドレン部材の第2の筒状部の第2のフランジ部を有する端とは反対の端の内径よりも大きく、第3の筒状部は改修ドレン部材の第2の筒状部よりも硬い雨水排水口改修用部材を、第3の筒状部のスリットが設けられた端から、改修ドレン部材の第2の筒状部に嵌め込むことにより、改修ドレン部材の第2の筒状部を既存ドレン部材の第1の筒状部に圧接させ、既存ドレン部材と改修ドレン部材を接着させる、雨水排水口改修方法に用いる改修ドレン部材であって、
第2の筒状部の内径が第2のフランジ部を有する端から他方の端に向かって先細りとなっていくようにテーパーを有することを特徴とする。
【0014】
本件第5発明は、本件第1発明の雨水排水口改修用部材および本件第4発明の改修ドレン部材を含む雨水排水口改修部材セットである。
【0015】
本発明は、次の実施態様を含む。
[1]建築物の屋上、ベランダまたはバルコニーの表面に、雨水排水口を除いて既存防水シートが敷設され、雨水排水口に第1の筒状部と第1の筒状部の一端外周に突設された第1のフランジ部とを有する既存ドレン部材が設けられた既存シート防水構造において、第2の筒状部と第2の筒状部の一端外周に突設された第2のフランジ部とを有する改修ドレン部材を準備し、既存ドレン部材の第1の筒状部の内周面または改修ドレン部材の第2の筒状部の外周面に接着剤を塗布し、既存ドレン部材の第1の筒状部に改修ドレン部材の第2の筒状部を嵌め込むことによる雨水排水口改修方法に用いる雨水排水口改修用部材であって、
雨水排水口改修用部材は、第3の筒状部と第3の筒状部の一方の端から他方の端に向かって第3の筒状部の軸方向長さの25~90%の位置まで設けられたスリットとを有し、第3の筒状部は樹脂または金属からなり、第3の筒状部の外径は改修ドレン部材の第2の筒状部の内径よりも大きく、第3の筒状部は改修ドレン部材の第2の筒状部よりも硬く、
雨水排水口改修用部材の第3の筒状部を、スリットが設けられた端から、改修ドレン部材の第2の筒状部に嵌め込むことにより、改修ドレン部材の第2の筒状部を既存ドレン部材の第1の筒状部に圧接させ、既存ドレン部材と改修ドレン部材を接着させる、雨水排水口改修用部材。
[2]雨水排水口改修用部材の第3の筒状部が少なくとも2本のスリットを有する、[1]に記載の雨水排水口改修用部材。
[3]スリットは第3の筒状部の中心軸に対し対称に設けられている、[2]に記載の雨水排水口改修用部材。
[4]スリットは第3の筒状部の中心軸に平行に設けられている、[1]~[3]のいずれかに記載の雨水排水口改修用部材。
[5]スリットの幅が1~10mmである、[1]~[4]のいずれかに記載の雨水排水口改修用部材。
[6]第3の筒状部が、塩化ビニル樹脂、ポリカーボネート、ポリプロピレン、アルミニウムまたはステンレス鋼からなる、[1]~[5]のいずれかに記載の雨水排水口改修用部材。
[7]雨水排水口改修用部材の第3の筒状部の厚みが1~5mmである、[1]~[6]のいずれかに記載の雨水排水口改修用部材。
[8]雨水排水口改修用部材が目詰まり防止のためのストレーナー部をさらに有する、[1]~[7]のいずれかに記載の雨水排水口改修用部材。
【0016】
[9]建築物の屋上、ベランダまたはバルコニーの表面に、雨水排水口を除いて既存防水シートが敷設され、雨水排水口に第1の筒状部と第1の筒状部の一端外周に突設された第1のフランジ部とを有する既存ドレン部材が設けられた既存シート防水構造において、第2の筒状部と第2の筒状部の一端外周に突設された第2のフランジ部とを有する改修ドレン部材を準備し、既存ドレン部材の第1の筒状部の内周面または改修ドレン部材の第2の筒状部の外周面に接着剤を塗布し、既存ドレン部材の第1の筒状部に改修ドレン部材の第2の筒状部を嵌め込むことによる雨水排水口改修方法であって、
前記雨水排水口改修方法は、第3の筒状部と第3の筒状部の一方の端から第3の筒状部の軸方向長さの25~90%の位置まで設けられたスリットとを有する雨水排水口改修用部材を準備し、雨水排水口改修用部材の第3の筒状部を、スリットが設けられた端から、改修ドレン部材の第2の筒状部に嵌め込むことを含み、
雨水排水口改修用部材の第3の筒状部は樹脂または金属からなり、第3の筒状部の外径は改修ドレン部材の第2の筒状部の内径よりも大きく、第3の筒状部は改修ドレン部材の第2の筒状部よりも硬く、
雨水排水口改修用部材の第3の筒状部を改修ドレン部材の第2の筒状部に嵌め込むことにより、改修ドレン部材の第2の筒状部を既存ドレン部材の第1の筒状部に圧接させ、既存ドレン部材と改修ドレン部材を接着させる、雨水排水口改修方法。
[10]雨水排水口改修用部材の第3の筒状部は少なくとも2本のスリットを有し、スリットは第3の筒状部の中心軸に対し対称に設けられ、スリットは第3の筒状部の中心軸に平行に設けられ、スリットの幅が1~10mmである、[9]に記載の雨水排水口改修方法。
[11]雨水排水口改修用部材の第3の筒状部の外径が改修ドレン部材の第2の筒状部の内径よりも0.1~5mm大きい、[9]または[10]に記載の雨水排水口改修方法。
[12]雨水排水口改修用部材の第3の筒状部の長さが、改修ドレン部材の第2の筒状部の長さと同じであるか、または第2の筒状部の長さよりも長い、[9]~[11]のいずれかに記載の雨水排水口改修方法。
[13]改修ドレン部材が軟質塩化ビニル樹脂からなる、[9]~[12]のいずれかに記載の雨水排水口改修方法。
[14]改修ドレン部材の第2の筒状部の内径が、第2のフランジ部を有する端から他方の端に向かって先細りとなっていくようにテーパーを有し、第2の筒状部の内径のテーパーの大きさが0超過5/100以下である、[9]~[13]のいずれかに記載の雨水排水口改修方法。
[15]雨水排水口がドレンまたはオーバーフロー管の流入口である、[9]~[14]のいずれかに記載の雨水排水口改修方法。
[16]既存ドレン部材の第1の筒状部の内周面または改修ドレン部材の第2の筒状部の外周面に接着剤を塗布する前に、雨水排水口を除いて改修防水シートを敷設する、[9]~[15]のいずれかに記載の雨水排水口改修方法。
【0017】
[17]建築物の屋上、ベランダまたはバルコニーの表面に、雨水排水口を除いて既存防水シートが敷設され、雨水排水口に第1の筒状部と第1の筒状部の一端外周に突設された第1のフランジ部とを有する既存ドレン部材が設けられた既存シート防水構造に、既存ドレン部材の第1の筒状部に第2の筒状部と第2の筒状部の一端外周に突設された第2のフランジ部とを有する改修ドレン部材の第2の筒状部が嵌め込まれ、既存ドレン部材の第1の筒状部の内周面と改修ドレン部材の第2の筒状部の外周面とは接着剤を介して接合されている改修雨水排水口構造であって、
前記改修雨水排水口構造は、改修ドレン部材の第2の筒状部に嵌め込まれた雨水排水口改修用部材を含み、雨水排水口改修用部材は、第3の筒状部と第3の筒状部の一方の端から他方の端に向かって第3の筒状部の軸方向長さの25~90%の位置まで設けられたスリットとを有し、第3の筒状部は樹脂または金属からなり、第3の筒状部の外径は改修ドレン部材の第2の筒状部の内径よりも大きく、第3の筒状部は改修ドレン部材の第2の筒状部よりも硬く、雨水排水口改修用部材は改修ドレン部材の第2の筒状部を既存ドレン部材の第1の筒状部に圧接するように機能している、改修雨水排水口構造。
【0018】
[18]建築物の屋上、ベランダまたはバルコニーの表面に、雨水排水口を除いて既存防水シートが敷設され、雨水排水口に第1の筒状部と第1の筒状部の一端外周に突設された第1のフランジ部とを有する既存ドレン部材が設けられた既存シート防水構造において、第2の筒状部と第2の筒状部の一端外周に突設された第2のフランジ部とを有する改修ドレン部材を準備し、既存ドレン部材の第1の筒状部の内周面または改修ドレン部材の第2の筒状部の外周面に接着剤を塗布し、既存ドレン部材の第1の筒状部に改修ドレン部材の第2の筒状部を嵌め込み、さらに、樹脂または金属からなる第3の筒状部と第3の筒状部の一方の端から第3の筒状部の軸方向長さの25~90%の位置まで設けられたスリットとを有する雨水排水口改修用部材であって、第3の筒状部の外径は改修ドレン部材の第2の筒状部の第2のフランジ部を有する端とは反対の端の内径よりも大きく、第3の筒状部は改修ドレン部材の第2の筒状部よりも硬い雨水排水口改修用部材を、第3の筒状部のスリットが設けられた端から、改修ドレン部材の第2の筒状部に嵌め込むことにより、改修ドレン部材の第2の筒状部を既存ドレン部材の第1の筒状部に圧接させ、既存ドレン部材と改修ドレン部材を接着させる、雨水排水口改修方法に用いる改修ドレン部材であって、
第2の筒状部の内径が第2のフランジ部を有する端から他方の端に向かって先細りとなっていくようにテーパーを有する、改修ドレン部材。
[19]第2の筒状部の内径のテーパーの大きさが0超過5/100以下である、[18]に記載の改修ドレン部材。
【0019】
[20][1]~[8]のいずれかに記載の雨水排水口改修用部材および[18]または[19]に記載の改修ドレン部材を含む雨水排水口改修部材セット。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、雨水排水口改修用部材が挿入された状態を仕上りとすることができ、接着剤が硬化した後に雨水排水口改修用部材を回収する必要がないため、工期の短縮が可能となり、かつ、圧着時間の不足は生じない。また、本発明の雨水排水口改修用部材は、既存ドレンの内径のばらつきに対してフレキシブルに嵌め込むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、本発明の雨水排水口改修用部材の正面断面図および底面図である。
図2図2は、本発明の改修雨水排水口構造の断面図である。
図3図3は、本発明の別の実施形態の雨水排水口改修用部材の平面図および断面図である。
図4図4は、本発明の改修ドレン部材の平面図および断面図である。
図5図5は、雨水排水口改修用部材を改修ドレン部材に嵌め込んだ状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照しながら、本発明を詳細に説明するが、本発明は図面に示されたものに限定されない。
図1は本発明の雨水排水口改修用部材の正面断面図および底面図であり、図1(a)はI-I線正面断面図であり、図1(b)は底面図である。
図2は本発明の改修雨水排水口構造の断面図である。
【0023】
本件第1発明の雨水排水口改修用部材1は、建築物の屋上、ベランダまたはバルコニーの表面12に、雨水排水口13を除いて既存防水シート14が敷設され、雨水排水口13に第1の筒状部15aと第1の筒状部の一端外周に突設された第1のフランジ部15bとを有する既存ドレン部材15が設けられた既存シート防水構造において、第2の筒状部17aと第2の筒状部の一端外周に突設された第2のフランジ部17bとを有する改修ドレン部材17を準備し、既存ドレン部材の第1の筒状部15aの内周面または改修ドレン部材の第2の筒状部17aの外周面に接着剤18を塗布し、既存ドレン部材の第1の筒状部15aに改修ドレン部材の第2の筒状部17aを嵌め込むことによる雨水排水口改修方法に用いる雨水排水口改修用部材1であって、
雨水排水口改修用部材1は、第3の筒状部2と第3の筒状部の一方の端から他方の端に向かって第3の筒状部の軸方向長さの25~90%の位置まで設けられたスリット3とを有し、第3の筒状部2は樹脂または金属からなり、第3の筒状部2の外径Dは改修ドレン部材の第2の筒状部17aの内径よりも大きく、第3の筒状部2は改修ドレン部材の第2の筒状部17aよりも硬く、
雨水排水口改修用部材の第3の筒状部2を、スリット3が設けられた端4から、改修ドレン部材の第2の筒状部17aに嵌め込むことにより、改修ドレン部材の第2の筒状部17aを既存ドレン部材の第1の筒状部15aに圧接させ、既存ドレン部材15と改修ドレン部材17を接着させることを特徴とする。
【0024】
なお、図2の改修雨水排水口構造11には、改修防水シート16が敷設されているが、改修防水シート16は必ずしも敷設する必要はない。
【0025】
雨水排水口改修用部材1は、スリット3を有する。スリットを有することにより、既存ドレン部材の第1の筒状部15aの内径のばらつきに対してフレキシブルに嵌め込むことができる。
スリット3は第3の筒状部2の一方の端から他方の端に向かって第3の筒状部2の軸方向長さの25~90%の位置まで設けられている。スリット3は、好ましくは、第3の筒状部の軸方向長さの50~90%の位置まで設けられ、より好ましくは、第3の筒状部の軸方向長さの80~90%の位置まで設けられている。スリットの長さが上記の範囲内にあることにより、雨水排水口改修部材の強度を保持しつつ、既存ドレン部材の第1の筒状部15aの内径のばらつきの範囲に広く対応できる。
スリットの幅は、好ましくは1~10mmであり、より好ましくは1~6mmであり、さらに好ましくは1~3mmである。スリットの幅が上記の範囲内にあることにより、雨水排水口改修部材の強度を保持しつつ、既存ドレン部材の第1の筒状部15aの内径のばらつきの範囲に広く対応できる。
【0026】
雨水排水口改修用部材1の第3の筒状部2は、好ましくは少なくとも2本のスリットを有し、より好ましくは2~8本のスリットを有し、さらに好ましくは3本または4本のスリットを有する。
スリット3は、好ましくは、第3の筒状部2の中心軸に対し対称に設けられている。
スリット3は、好ましくは、第3の筒状部2の中心軸に平行に設けられている。
【0027】
雨水排水口改修用部材1の第3の筒状部2は、樹脂または金属からなる。
第3の筒状部2を構成する樹脂は、熱可塑性樹脂でもよいし、熱硬化性樹脂でもよいが、熱可塑性樹脂が好ましい。第3の筒状部2を構成する熱可塑性樹脂としては、塩化ビニル樹脂(硬質塩化ビニル樹脂または軟質塩化ビニル樹脂)、ポリカーボネート、ポリプロピレンなどが挙げられるが、好ましくは硬質塩化ビニル樹脂である。
第3の筒状部2を構成する金属としては、アルミニウム、ステンレス鋼などが挙げられるが、好ましくはアルミニウムである。
【0028】
雨水排水口改修用部材1の第3の筒状部2の軸方向に垂直な断面の形状は、好ましくは円形である。
雨水排水口改修用部材1の第3の筒状部2の外径は、限定するものではないが、好ましくは69~77mmであり、より好ましくは69~76mmであり、さらに好ましくは69~75mmである。
【0029】
雨水排水口改修用部材1の第3の筒状部2の軸方向長さLは、限定するものではないが、好ましくは20~50mmであり、より好ましくは25~40mmであり、さらに好ましくは30~35mmである。
【0030】
雨水排水口改修用部材1の第3の筒状部2の厚みは、限定するものではないが、好ましくは1~3mmであり、より好ましくは1.5~2.5mmであり、さらに好ましくは1.8~2.2mmである。
【0031】
雨水排水口改修用部材1は、さらに、第3の筒状部2の一端外周に突設された第3のフランジ部を有していてもよいが、第3のフランジ部を有していない方が好ましい。
フランジ部があると、差し込みしろが限定され、ぴったりな寸法であることが求められる。
フランジ部を有しないことにより、雨水排水口改修用部材1を改修ドレン部材の第2の筒状部の内側まで深く嵌め込むことができるようになる。改修ドレン部材の第2の筒状部がテーパーを有する場合、深く嵌め込むほど、改修ドレン部材の第2の筒状部のテーパーが強くかかり、既存ドレン部材の第1の筒状部の内径のばらつきが広い側に振れていた場合でも、改修ドレン部材の第2の筒状部を既存ドレン部材の第1の筒状部に圧接させることができるようになる。
【0032】
雨水排水口改修用部材1の第3の筒状部2の外径は、スリットが設けられていない端からスリットが設けられている端に向かって先細りとなっていくようにテーパーを有していてもよいが、テーパーを有している必要はない。雨水排水口改修用部材を射出成形により製造する場合は、テーパーを有することが好ましい。
雨水排水口改修用部材1の第3の筒状部2の外径がテーパーを有している場合、そのテーパーの大きさは、好ましくは0超過5/100以下であり、より好ましくは1/100~4/100であり、さらに好ましくは1/100~2/100である。
なお、第3の筒状部2の外径のテーパーの大きさとは、スリットが設けられていない端5の外径とスリットが設けられている端4の外径との差を第3の筒状部2の軸方向長さLで割った値をいう。
【0033】
雨水排水口改修用部材は、さらに、目詰まり防止のためのストレーナー部を有してもよい。
図3は、本発明の雨水排水口改修用部材の別の実施形態の平面図および断面図であり、図3(a)は平面図であり、図3(b)はII-II線断面図である。
図3の雨水排水口改修用部材1′は、目詰まり防止のためのストレーナー部6を有する。図3の雨水排水口改修用部材1′は、目詰まり防止のためのストレーナー部6を有する点以外は、図1の雨水排水口改修用部材1と同じである。
ストレーナー部6の形状等は、目詰まり防止機能を有する限り、限定されない。
ストレーナー部6は、第3の筒状部2に、取り外し不能に取り付けられていてもよいし、取り外し可能に取り付けられていてもよい。
ストレーナー部6を構成する材料は、限定するものではないが、好ましくは、樹脂または金属である。樹脂としては、硬質塩化ビニル樹脂、ポリカーボネート、ポリプロピレンなどが挙げられるが、好ましくは硬質塩化ビニル樹脂である。金属としては、アルミニウム、ステンレス鋼などが挙げられるが、好ましくはアルミニウムである。ストレーナー部6を構成する材料は、第3の筒状部2を構成する材料と同一であってもよいし、異なっていてもよい。
好ましくは、図3に示すように、ストレーナー部6は、第3の筒状部2と一体に成形されたものである。
雨水排水口改修用部材にストレーナー機能を設けることで、既存のストレーナーキャップの代替品とすることができるため、特許文献1の方法に必要な特殊な拡張冶具のような費用が発生しない。
【0034】
雨水排水口改修用部材の製造方法は、限定されないが、雨水排水口改修用部材を構成する材料を射出成形することにより、雨水排水口改修用部材を製造することができる。
雨水排水口改修用部材がストレーナー部を有する場合、第3の筒状部とストレーナー部は別々に製造してもよいし、一体成形してもよい。
【0035】
本件第2発明の雨水排水口改修方法は、建築物の屋上、ベランダまたはバルコニーの表面12に、雨水排水口13を除いて既存防水シート14が敷設され、雨水排水口13に第1の筒状部15aと第1の筒状部の一端外周に突設された第1のフランジ部15bとを有する既存ドレン部材15が設けられた既存シート防水構造において、第2の筒状部17aと第2の筒状部の一端外周に突設された第2のフランジ部17bとを有する改修ドレン部材17を準備し、既存ドレン部材15の第1の筒状部15aの内周面または改修ドレン部材17の第2の筒状部17aの外周面に接着剤18を塗布し、既存ドレン部材15の第1の筒状部15aに改修ドレン部材17の第2の筒状部17aを嵌め込むことによる雨水排水口改修方法であって、
前記雨水排水口改修方法は、第3の筒状部2と第3の筒状部の一方の端から第3の筒状部の軸方向長さの25~90%の位置まで設けられたスリット3とを有する雨水排水口改修用部材1を準備し、雨水排水口改修用部材1の第3の筒状部2を、スリットが設けられた端4から、改修ドレン部材17の第2の筒状部17aに嵌め込むことを含み、
雨水排水口改修用部材1の第3の筒状部2は樹脂または金属からなり、第3の筒状部2の外径Dは改修ドレン部材17の第2の筒状部17aの内径よりも大きく、第3の筒状部2は改修ドレン部材17の第2の筒状部17aよりも硬く、
雨水排水口改修用部材1の第3の筒状部2を改修ドレン部材17の第2の筒状部17aに嵌め込むことにより、改修ドレン部材17の第2の筒状部17aを既存ドレン部材15の第1の筒状部15aに圧接させ、既存ドレン部材15と改修ドレン部材17を接着させることを特徴とする。
【0036】
雨水排水口改修用部材1の第3の筒状部2の外径Dは改修ドレン部材17の第2の筒状部17aの内径よりも大きい。第3の筒状部2の外径Dが改修ドレン部材の第2の筒状部17aの内径Dよりも大きいことにより、雨水排水口改修用部材の第3の筒状部2を改修ドレン部材の第2の筒状部17aに嵌め込んだときに、改修ドレン部材の第2の筒状部17aを既存ドレン部材の第1の筒状部15aに圧接させ、既存ドレン部材15と改修ドレン部材17を効果的に接着させることができる。
雨水排水口改修用部材1の第3の筒状部2の外径がスリットが設けられていない端からスリットが設けられている端に向かって先細りとなっていくようにテーパーを有する場合は、第3の筒状部2のスリットが設けられていない端の外径(すなわち第3の筒状部2の外径の最大値)が、改修ドレン部材17の第2の筒状部17aの内径よりも大きければよい。
また、改修ドレン部材17の第2の筒状部17aの内径が第2のフランジ部を有する端から他方の端に向かって先細りとなっていくようにテーパーを有する場合は、雨水排水口改修用部材1の第3の筒状部2の外径Dが、改修ドレン部材17の第2の筒状部17aの第2のフランジ部を有する端とは反対の端17dの内径D17D(すなわち第2の筒状部17aの内径の最小値)よりも大きければよい。
また、雨水排水口改修用部材1の第3の筒状部2の外径がスリットが設けられていない端からスリットが設けられている端に向かって先細りとなっていくようにテーパーを有し、かつ改修ドレン部材17の第2の筒状部17aの内径が第2のフランジ部を有する端から他方の端に向かって先細りとなっていくようにテーパーを有する場合は、第3の筒状部2のスリットが設けられていない端の外径(すなわち第3の筒状部2の外径の最大値)が、改修ドレン部材17の第2の筒状部17aの第2のフランジ部を有する端とは反対の端17dの内径D17D(すなわち第2の筒状部17aの内径の最小値)よりも大きければよい。
換言すれば、雨水排水口改修用部材1の第3の筒状部2の外径の最大値が改修ドレン部材17の第2の筒状部17aの内径の最小値よりも大きければよい。
【0037】
雨水排水口改修用部材1の第3の筒状部2の外径Dと改修ドレン部材17の第2の筒状部17aの内径との差は、雨水排水口改修用部材の第3の筒状部2を改修ドレン部材の第2の筒状部17aに嵌め込んだときに、改修ドレン部材の第2の筒状部17aを既存ドレン部材の第1の筒状部15aに圧接させ、既存ドレン部材15と改修ドレン部材17を接着させることができる限り限定されないが、雨水排水口改修用部材1の第3の筒状部2の外径Dは、改修ドレン部材17の第2の筒状部17aの内径よりも、0.1~5mm大きいことが好ましく、0.5~4mm大きいことがより好ましく、1~3mm大きいことがさらに好ましい。
改修ドレン部材17の第2の筒状部17aの内径が第2のフランジ部を有する端から他方の端に向かって先細りとなっていくようにテーパーを有する場合は、雨水排水口改修用部材1の第3の筒状部2の外径Dは、改修ドレン部材17の第2の筒状部17aの第2のフランジ部を有する端とは反対の端の内径D17Dよりも、1~5mm大きいことが好ましく、1~3mm大きいことがより好ましく、1.3~2.5mm大きいことがさらに好ましい。
【0038】
雨水排水口改修用部材の第3の筒状部2は改修ドレン部材の第2の筒状部17aよりも硬い。雨水排水口改修用部材の第3の筒状部2が改修ドレン部材の第2の筒状部17aよりも硬いことにより、雨水排水口改修用部材の第3の筒状部2を改修ドレン部材の第2の筒状部17aに嵌め込んだときに、改修ドレン部材の第2の筒状部17aを既存ドレン部材の第1の筒状部15aに圧接させ、既存ドレン部材15と改修ドレン部材17を効果的に接着させることができる。第3の筒状部2および改修ドレン部材の第2の筒状部17aの硬さは、デュロメータにより測定する。第3の筒状部2を構成する材料と改修ドレン部材の第2の筒状部17aを構成する材料の好ましい組み合わせは、第3の筒状部2が硬質塩化ビニル樹脂で構成され、改修ドレン部材の第2の筒状部17aが軟質塩化ビニル樹脂で構成されるものである。
【0039】
雨水排水口改修用部材1の第3の筒状部2の長さLは、改修ドレン部材17の第2の筒状部17aの長さL17と同じであるか、または第2の筒状部17aの長さL17よりも長いことが好ましい。雨水排水口改修用部材1の第3の筒状部2の長さLが、改修ドレン部材17の第2の筒状部17aの長さL17と同じであるか、または第2の筒状部17aの長さL17よりも長いことにより、改修ドレン部材17の第2の筒状部17aを既存ドレン部材の第1の筒状部15aに圧接する面積を最大とすることができ、より確実な防水を施すことができる。
雨水排水口改修用部材1の第3の筒状部2の長さLは、改修ドレン部材17の第2の筒状部17aの長さL17よりも、好ましくは0~15mm長く、より好ましくは0~10mm長く、さらに好ましくは1~5mm長い。
【0040】
既存ドレン部材15は、既知のものを使用することができる。既存ドレン部材15は、第1の筒状部15aと第1の筒状部の一端外周に突設された第1のフランジ部15bとを有する。第1の筒状部15aおよび第1のフランジ部15bを構成する材料は、限定するものではないが、硬質塩化ビニル樹脂、軟質塩化ビニル樹脂、金属などが挙げられ、なかでも軟質塩化ビニル樹脂が好ましい。
【0041】
既存ドレン部材15の第1の筒状部15aの内径は、好ましくは40~78mmであり、より好ましくは51~78mであり、さらに好ましくは76~78mmである。
既存ドレン部材15の第1の筒状部15aの外径は、好ましくは48~90mmであり、より好ましくは60~90mmであり、さらに好ましくは89~90mmである。
既存ドレン部材15の第1の筒状部15aの厚みは、好ましくは1~6mmであり、より好ましくは1~3mmであり、さらに好ましくは1~2mmである。
既存ドレン部材15の第1のフランジ部15bの外径は、好ましくは140~280mmであり、より好ましくは200~250mmであり、さらに好ましくは220~250mmである。
【0042】
既存ドレン部材15の第1の筒状部15aの内周面または改修ドレン部材17の第2の筒状部17aの外周面に接着剤18を塗布する前に、雨水排水口13を除いて改修防水シート16を敷設することが好ましい。
【0043】
既存防水シート14および改修防水シート16は、既知のものを使用することができ、限定するものではないが、軟質塩化ビニル樹脂シート、加硫ゴムシートなどを例示することができる。なかでも軟質塩化ビニル樹脂シートが好ましい。
【0044】
既存ドレン部材15の第1の筒状部15aの内周面または改修ドレン部材17の第2の筒状部17aの外周面には、接着剤が塗布される。接着剤としては、限定するものではないが、塩ビ配管用接着剤、変性シリコーンなどが挙げられ、なかでも塩ビ配管用接着剤が好ましい。
【0045】
改修ドレン部材17は、既知のものを使用することができるが、好ましくは後述の本件第4発明の改修ドレン部材を使用することが好ましい。
【0046】
本件第3発明の改修雨水排水口構造11は、建築物の屋上、ベランダまたはバルコニーの表面12に、雨水排水口13を除いて既存防水シート14が敷設され、雨水排水口13に第1の筒状部15aと第1の筒状部の一端外周に突設された第1のフランジ部15bとを有する既存ドレン部材15が設けられた既存シート防水構造に、既存ドレン部材15の第1の筒状部15aに第2の筒状部17aと第2の筒状部の一端外周に突設された第2のフランジ部17bとを有する改修ドレン部材17の第2の筒状部17aが嵌め込まれ、既存ドレン部材15の第1の筒状部15aの内周面と改修ドレン部材17の第2の筒状部17aの外周面とは接着剤18を介して接合されている改修雨水排水口構造11であって、
前記改修雨水排水口構造11は、改修ドレン部材17の第2の筒状部17aに嵌め込まれた雨水排水口改修用部材1を含み、雨水排水口改修用部材1は、第3の筒状部2と第3の筒状部の一方の端から他方の端に向かって第3の筒状部の軸方向長さの25~90%の位置まで設けられたスリット3とを有し、第3の筒状部2は樹脂または金属からなり、第3の筒状部2の外径は改修ドレン部材17の第2の筒状部17aの内径よりも大きく、第3の筒状部2は改修ドレン部材17の第2の筒状部17aよりも硬く、雨水排水口改修用部材1は改修ドレン部材17の第2の筒状部17aを既存ドレン部材15の第1の筒状部15aに圧接するように機能していることを特徴とする。
【0047】
図2は本発明の改修雨水排水口構造11の一例を示す。
図2中、19は排水管である。
雨水排水口13は、好ましくはドレンまたはオーバーフロー管の流入口である。
図2の改修雨水排水口構造11には、改修防水シート16が敷設されているが、改修防水シート16は必ずしも敷設しなくてもよい。
【0048】
図4は本件第4発明の改修ドレン部材の平面図および断面図であり、図4(a)は平面図であり、図4(b)はIII-III線断面図である。
本件第4発明の改修ドレン部材は、建築物の屋上、ベランダまたはバルコニーの表面12に、雨水排水口13を除いて既存防水シート14が敷設され、雨水排水口13に第1の筒状部15aと第1の筒状部の一端外周に突設された第1のフランジ部15bとを有する既存ドレン部材15が設けられた既存シート防水構造において、第2の筒状部17aと第2の筒状部の一端外周に突設された第2のフランジ部17bとを有する改修ドレン部材17を準備し、既存ドレン部材15の第1の筒状部15aの内周面または改修ドレン部材17の第2の筒状部17aの外周面に接着剤18を塗布し、既存ドレン部材の第1の筒状部15aに改修ドレン部材の第2の筒状部17aを嵌め込み、さらに、樹脂または金属からなる第3の筒状部2と第3の筒状部の一方の端から第3の筒状部の軸方向長さの25~90%の位置まで設けられたスリット3とを有する雨水排水口改修用部材1であって、第3の筒状部2の外径Dは改修ドレン部材17の第2の筒状部17aの第2のフランジ部を有する端とは反対の端17dの内径D17Dよりも大きく、第3の筒状部2は改修ドレン部材17の第2の筒状部17aよりも硬い雨水排水口改修用部材を、第3の筒状部2のスリット3が設けられた端4から、改修ドレン部材の第2の筒状部17aに嵌め込むことにより、改修ドレン部材の第2の筒状部17aを既存ドレン部材の第1の筒状部15aに圧接させ、既存ドレン部材15と改修ドレン部材17を接着させる、雨水排水口改修方法に用いる改修ドレン部材17であって、
第2の筒状部17aの内径が第2のフランジ部17bを有する端17cから他方の端17dに向かって先細りとなっていくようにテーパーを有することを特徴とする。
【0049】
改修ドレン部材17は、第2の筒状部17aと第2の筒状部の一端外周に突設された第2のフランジ部17bとを有し、第2の筒状部17aの内径は第2のフランジ部17bを有する端17cから他方の端17dに向かって先細りとなっていくようにテーパーを有する。
第2の筒状部17aの内径が第2のフランジ部17bを有する端17cから他方の端17dに向かって先細りとなっていくようにテーパーを有することにより、雨水排水口改修用部材1の第3の筒状部2を改修ドレン部材17の第2の筒状部17aに深く嵌め込むほど、改修ドレン部材の第2の筒状部のテーパーが強くかかり、既存ドレン部材の第1の筒状部の内径のばらつきが広い側に振れていた場合でも、改修ドレン部材の第2の筒状部を既存ドレン部材の第1の筒状部に圧接させることができるようになる。
改修ドレン部材17の第2の筒状部17aの内径のテーパーの大きさは、好ましくは0超過5/100以下であり、より好ましくは1/100~4/100であり、さらに好ましくは1/100~2/100である。
なお、第2の筒状部17aの内径のテーパーの大きさとは、第2の筒状部17aの第2のフランジ部17b側の端17cの内径D17Cと第2の筒状部17aの第2のフランジ部17b側とは反対側の端17dの内径D17Dとの差を第2の筒状部17aの軸方向長さL17で割った値をいう。
【0050】
改修ドレン部材17の第2の筒状部17aの第2のフランジ部17b側の端17cの内径D17Cは、好ましくは37~76mmであり、より好ましくは47~76mmであり、さらに好ましくは74~76mmである。
改修ドレン部材17の第2の筒状部17aの第2のフランジ部17b側とは反対側の端17dの内径D17Dは、好ましくは34~75mmであり、より好ましくは44~75mmであり、さらに好ましくは71~75mmである。
【0051】
改修ドレン部材17の第2の筒状部17aの外径は、既存ドレン部材15の第1の筒状部15aの内径よりも小さいかまたは同じであり、好ましくは40~79mmであり、より好ましくは50~77mmであり、さらに好ましくは73~74mmである。
改修ドレン部材17の第2の筒状部17aの厚みは、好ましくは0.5~3mmであり、より好ましくは0.5~2mmであり、さらに好ましくは1~2mmである。
改修ドレン部材17の第2のフランジ部17bの外径は、好ましくは140~280mmであり、より好ましくは200~250mmであり、さらに好ましくは220~250mmである。
【0052】
改修ドレン部材17の第2の筒状部17aおよび第2のフランジ部17bを構成する材料は、限定するものではないが、軟質塩化ビニル樹脂、EPDM、ウレタン樹脂などが挙げられ、なかでも軟質塩化ビニル樹脂が好ましい。第2の筒状部17aを構成する材料と第2のフランジ部17bを構成する材料は、同じでもよいし、異なってもよい。
【0053】
改修ドレン部材の製造方法は、限定されないが、改修ドレン部材を構成する材料を射出成形することにより、改修ドレン部材を製造することができる。
第2の筒状部17aと第2のフランジ部17bは別々に製造してもよいし、一体成形してもよい。
【0054】
本件第5発明は、本件第1発明の雨水排水口改修用部材および本件第4発明の改修ドレン部材を含む雨水排水口改修部材セットである。
雨水排水口改修用部材1の第3の筒状部2の外径Dは改修ドレン部材17の第2の筒状部17aの第2のフランジ部を有する端とは反対の端17dの内径D17Dよりも大きく、雨水排水口改修用部材1の第3の筒状部2は改修ドレン部材17の第2の筒状部17aよりも硬い。
雨水排水口改修用部材1の第3の筒状部2の長さLは、好ましくは、改修ドレン部材17の第2の筒状部17aの長さL17と同じであるか、または第2の筒状部17aの長さL17よりも長い。
【0055】
図5は、雨水排水口改修用部材1を改修ドレン部材17に嵌め込んだ状態を示す。
図5(a)は、既存ドレン部材15の内径が想定どおりである場合であって、雨水排水口改修用部材1の上端と改修ドレン部材17の上端が一致している状態を示す。
図5(b)は、既存ドレン部材15の内径が想定よりも狭い場合であって、雨水排水口改修用部材1が改修ドレン部材17の中に完全に入りきらず、雨水排水口改修用部材1の一部が改修ドレン部材17からはみ出している状態を示す。
図5(c)は、既存ドレン部材15の内径が想定よりも広い場合であって、雨水排水口改修用部材1が改修ドレン部材17の中に深く入り込んでいる状態を示す。
【0056】
本発明の雨水排水口改修用部材1は、スリットを有することにより、既存ドレン部材15の内径のばらつきに対してフレキシブルに嵌め込むことができる。
また、フランジ部を無くしたことにより、雨水排水口改修用部材1を改修ドレン部材17の内側まで深く嵌め込むことができる。
改修ドレン部材17の第2の筒状部がテーパーを有することにより、雨水排水口改修用部材1を深く嵌め込むほど、改修ドレン部材17の第2の筒状部のテーパーが強くかかり、既存ドレン部材15の内径のばらつきが広い側に振れていた場合でも、改修ドレン部材17を既存ドレン部材15に圧着させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明の雨水排水口改修用部材は、建築物の屋上、ベランダまたはバルコニーに設けられた雨水排水口の改修に好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0058】
1 雨水排水口改修用部材
2 第3の筒状部
3 スリット
4 スリットが設けられた端
5 スリットが設けられていない端
6 ストレーナー部
11 改修雨水排水口構造
12 建築物の屋上、ベランダまたはバルコニーの表面
13 雨水排水口
14 既存防水シート
15 既存ドレン部材
15a 第1の筒状部
15b 第1のフランジ部
16 改修防水シート
17 改修ドレン部材
17a 第2の筒状部
17b 第2のフランジ部
18 接着剤
19 排水管
図1
図2
図3
図4
図5