(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023072950
(43)【公開日】2023-05-25
(54)【発明の名称】幾何学模様作成シートを用いた幾何学模様作成方法
(51)【国際特許分類】
B43L 13/20 20060101AFI20230518BHJP
【FI】
B43L13/20 E
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021185708
(22)【出願日】2021-11-15
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-04-18
(71)【出願人】
【識別番号】520363155
【氏名又は名称】一般社団法人日本ヒーリングアート協会
(74)【代理人】
【識別番号】100211719
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 和真
(72)【発明者】
【氏名】梅邑 智恵
(57)【要約】
【課題】神聖幾何学模様を人の手によって容易に作成することができる技術を提供する。
【解決手段】本開示のステンシルシート1は、神聖幾何学模様を作成するために用いられる幾何学模様作成シートである。このステンシルシート1は、所定の薄板材料によって形成されたシート部10と、シート部10に形成された切り抜きで、該シート部10から所定の形状が切り抜かれることで形成された切り抜き部20と、を備える。そして、切り抜き部20は、所定の第1直径を有する第1円21と所定の第2直径を有する第2円22との間に形成された切り抜きであって、該第1円21と該第2円22とによって画定されるリング形状が、その円周方向に所定の幅で形成される区切り部30によって60°間隔で区切られることで形成された、6つの切り抜きである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
神聖幾何学模様を作成するために用いられる幾何学模様作成シートであって、
所定の薄板材料によって形成されたシート部と、
前記シート部に形成された切り抜きで、該シート部から所定の形状が切り抜かれることで形成された切り抜き部と、
を備え、
前記切り抜き部は、所定の第1直径を有する第1円と所定の第2直径を有する第2円との間に形成された切り抜きであって、該第1円と該第2円とによって画定されるリング形状が、その円周方向に所定の幅で形成される区切り部によって60°間隔で区切られることで形成された、6つの切り抜きである、
幾何学模様作成シート。
【請求項2】
前記切り抜き部は、前記第1直径が22.0~32.0mmである前記第1円と、前記第2直径が20.0~29.0mmである前記第2円と、によって画定される前記リング形状が、前記幅が1.0~1.7mmである前記区切り部によって区切られた6つの切り抜きである、
請求項1に記載の幾何学模様作成シート。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の幾何学模様作成シートを用いて、神聖幾何学模様を作成する方法であって、
所定の対象物に前記切り抜き部の形状を転写して、略リング状の輪郭である第1輪郭部を描画する第1描画ステップと、
前記第1輪郭部を分割する6つの分割部を含んだ第1分割部のうちの任意の1つの分割部を第1中心分割部として、該第1中心分割部と、前記切り抜き部を画定する前記リング形状の中心点と、を合わせるとともに、前記第1分割部における該第1中心分割部の両隣の分割部と、前記区切り部と、を合わせた状態において、前記対象物に前記切り抜き部の形状を転写することを、前記第1分割部に含まれる6つの分割部に対して繰り返し実行し、前記第1輪郭部の周囲の輪郭である第2輪郭部を描画する第2描画ステップと、
前記第2輪郭部を分割する12の分割部を含んだ第2分割部のうちの任意の1つの分割部を第2中心分割部として、該第2中心分割部と前記中心点とを合わせるとともに、前記第2分割部における該第2中心分割部の両隣の分割部と、前記区切り部と、を合わせた状態において、前記対象物に前記切り抜き部の形状を転写することを、前記第2分割部に含まれる12の分割部に対して繰り返し実行し、前記第2輪郭部の周囲の輪郭である第3輪郭部を描画する第3描画ステップと、
を有する、幾何学模様作成方法。
【請求項4】
前記対象物に所定のパステルの粉末を塗布して下地部を作成するステップを更に有し、
前記第1描画ステップ、前記第2描画ステップ、及び前記第3描画ステップにおいて、前記下地部の一部を所定の字消しで消すことで前記切り抜き部の形状を転写する、
請求項3に記載の幾何学模様作成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、神聖幾何学模様を作成するための幾何学模様作成シート及びそれを用いた幾何学模様作成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、所定の対象物の表面に種々の絵柄や模様等が描画されることが行われている。そして、このような絵柄や模様等の描画は、人による手書きや、市販のペイントソフトウェア等を用いた描画処理、または専用の模様作成装置によって行われることがある。
【0003】
例えば、特許文献1には、所定のシミュレーションにより幾何学模様を作成する幾何学模様作成装置が開示されている。この技術は、3次元曲面に、適宜なパターンを有する平行光線を、ある方向から照射したときに観察できる幾何学模様の画像データをシミュレーションによって求め、これによって作成された幾何学模様の画像データをプリンタ等で出力するものである。
【0004】
一方で、上記のような装置によらず、板状のステンシルシートを用いて、対象物の表面に種々の絵柄や模様等をプリントすることも行われている。この場合、ステンシルシートには、描きたい絵柄や模様等に切り抜かれた切り抜きパターンが形成されていて、該ステンシルシートを、例えば、対象物の表面に固定して、そのシートの上から塗料等を塗った後にシートを剥がせば、対象物の表面に切り抜きパターンに応じた絵柄や模様等がプリントされることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
古来より、世界各地の多くの神殿、建物、装飾品や衣装等に神聖幾何学模様が描画されており、そのような神聖幾何学模様には様々な意味が隠されていると言われている。例えば、代表的な神聖幾何学模様であるフラワーオブライフは、2重の円の中に描かれた19個の円により花の模様を表すとともに、これら円の重なりによって種子から始まる生命のサイクルを生命の営みとして表していると捉えることもできる。そして、このような神秘的な意味を想起させるフラワーオブライフに近年注目が集まっている。
【0007】
フラワーオブライフを描画するために、従来はコンパス等が用いられていた。しかしながら、このような手法で19個の円を規則正しく描画するのは簡単ではなく、フラワーオブライフを描画するのに手間を要していた。ここで、特許文献1に記載の技術のように、コンピュータによって幾何学模様の画像データを生成し該画像データを出力する手法を用いれば、フラワーオブライフを描画する手間が省かれるようにも思われる。しかしながら、神秘的な意味を想起させるフラワーオブライフを人の手によって描くことで、描く人の心に癒しを与えることができる。そのため、コンピュータによるフラワーオブライフの描画では、アートセラピーによるヒーリング効果を人に与えることができない。
【0008】
一方で、コンパスを用いることなくステンシルシートによってフラワーオブライフをプリントすることも考えられるが、シートにフラワーオブライフのような複雑な形状の切り抜きを形成することは容易ではない。このように、神聖幾何学模様を人の手によって容易に作成することができる技術については、未だ改良の余地を残すものである。
【0009】
本開示の目的は、神聖幾何学模様を人の手によって容易に作成することができる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示の幾何学模様作成シートは、神聖幾何学模様を作成するために用いられる幾何学模様作成シートである。この幾何学模様作成シートは、所定の薄板材料によって形成されたシート部と、前記シート部に形成された切り抜きで、該シート部から所定の形状が切り抜かれることで形成された切り抜き部と、を備える。そして、前記切り抜き部は、所定の第1直径を有する第1円と所定の第2直径を有する第2円との間に形成された切り抜きであって、該第1円と該第2円とによって画定されるリング形状が、その円周方向に所定の幅で形成される区切り部によって60°間隔で区切られることで形成された、6つの切り抜きである。
【0011】
上記の幾何学模様作成シートは、6つの切り抜きを有する切り抜き部が形成された比較的単純な構成でありながら、これを用いれば、複雑な形状であるフラワーオブライフを、コンパス等を用いることなく作成することができる。詳しくは、幾何学模様作成シートに形成された切り抜き部と区切り部の配置によって、神聖幾何学模様であるフラワーオブライフを構成する19個の円を、規則正しく描画することが可能になる。これにより、神聖幾何学模様を人の手によって容易に作成することができる。
【0012】
ここで、本開示の幾何学模様作成シートでは、上記の構成において、前記切り抜き部は、前記第1直径が22.0~32.0mmである前記第1円と、前記第2直径が20.0~29.0mmである前記第2円と、によって画定される前記リング形状が、前記幅が1.0~1.7mmである前記区切り部によって区切られた6つの切り抜きであってもよい。これによれば、神聖幾何学模様であるフラワーオブライフを構成する19個の円を、より正確に規則正しく描画することが可能になる。
【0013】
また、本開示は、幾何学模様作成シートを用いた幾何学模様作成方法の側面から捉えることができる。すなわち、本開示の幾何学模様作成方法は、上述した幾何学模様作成シートを用いて、神聖幾何学模様を作成する方法であって、所定の対象物に前記切り抜き部の形状を転写して、略リング状の輪郭である第1輪郭部を描画する第1描画ステップと、前記第1輪郭部を分割する6つの分割部を含んだ第1分割部のうちの任意の1つの分割部を第1中心分割部として、該第1中心分割部と、前記切り抜き部を画定する前記リング形状の中心点と、を合わせるとともに、前記第1分割部における該第1中心分割部の両隣の分割部と、前記区切り部と、を合わせた状態において、前記対象物に前記切り抜き部の形状を転写することを、前記第1分割部に含まれる6つの分割部に対して繰り返し実行し、前記第1輪郭部の周囲の輪郭である第2輪郭部を描画する第2描画ステップと、前記第2輪郭部を分割する12の分割部を含んだ第2分割部のうちの任意の1つの分割部を第2中心分割部として、該第2中心分割部と前記中心点とを合わせるとともに、前記第2分割部における該第2中心分割部の両隣の分割部と、前記区切り部と、を合わせた状態において、前記対象物に前記切り抜き部の形状を転写することを、前記第2分割部に含まれる12の分割部に対して繰り返し実行し、前記第2輪郭部の周囲の輪郭である第3輪郭部を描画する第3描画ステップと、を有する。
【0014】
上記の幾何学模様作成方法によれば、各描画ステップに則って、幾何学模様作成シートの切り抜き部の形状を転写していくことで、神聖幾何学模様であるフラワーオブライフを構成する19個の円を規則正しく簡単に描画することが可能になるとともに、神秘的な意味を想起させるフラワーオブライフを人の手によって描くというアートセラピーによるヒーリング効果により、描く人の心に癒しを与えることができる。
【0015】
そして、本開示の幾何学模様作成方法において、前記対象物に所定のパステルの粉末を塗布して下地部を作成するステップを更に有し、前記第1描画ステップ、前記第2描画ステップ、及び前記第3描画ステップにおいて、前記下地部の一部を所定の字消しで消すことで前記切り抜き部の形状を転写してもよい。これによれば、幾何学模様作成シートの切り抜き部の形状を対象物に転写する際に、追加の顔料を該切り抜き部に重ねて更に塗布する必要がないため、該切り抜き部の形状の転写が容易になるとともに、幾何学模様作成シートを綺麗な状態に保つことができる。
【発明の効果】
【0016】
本開示によれば、神聖幾何学模様を人の手によって容易に作成することができる技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】実施形態における幾何学模様作成シートの概略構成を示す図である。
【
図2】実施形態における切り抜き部の寸法を説明するための図である。
【
図3】実施形態に係る幾何学模様作成方法において、フラワーオブライフの作成フローを示すフローチャートである。
【
図4】最初に作成する下地部を例示するとともに、ステンシルシートを用いて第1輪郭部を描画する方法を例示する図である。
【
図5】画用紙に描画された第1輪郭部を表す図である。
【
図6】ステンシルシートを用いて第2輪郭部を描画する方法を例示する図である。
【
図7】画用紙に描画された第2輪郭部を表す図である。
【
図8】ステンシルシートを用いて第3輪郭部を描画する方法を例示する図である。
【
図9】ステンシルシートを用いて第3花びら模様部を描画する方法を例示する図である。
【
図10】ステンシルシートを用いて外周花びら模様部を描画する方法を例示する図である。
【
図11】ステンシルシートを用いて作成されたフラワーオブライフを外周部とともに表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面に基づいて、本開示の実施の形態を説明する。以下の実施形態の構成は例示であり、本開示は実施形態の構成に限定されない。
【0019】
実施形態における幾何学模様作成シートの概要について、
図1を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態における幾何学模様作成シートの概略構成を示す図である。本実施形態に係る幾何学模様作成シートは、神聖幾何学模様を作成するために用いられる幾何学模様作成シートであって、このシートを用いることで、神聖幾何学模様であるフラワーオブライフを容易に描画することが可能になる。
【0020】
図1に示すように、本実施形態に係る幾何学模様作成シートは、ステンシルシート1であって、所定の薄板材料によって形成されたシート部10と、該シート部10に形成された切り抜き部20と、を備える。
【0021】
シート部10は薄板材料によって形成され、該薄板材料は、例えば、合成樹脂の透明シートである。そして、シート部10を形成する合成樹脂の透明シートは、ポリプロピレンによる硬質シートやポリエチレンによる軟質フィルム、またはポリ塩化ビニルであってもよい。
【0022】
切り抜き部20は、シート部10から所定の形状が切り抜かれることで形成される。詳しくは、切り抜き部20は、
図1に示すように、所定の第1直径を有する第1円21と所定の第2直径を有する第2円22との間に形成された切り抜きであって、該第1円21と該第2円22とによって画定されるリング形状が、その円周方向に所定の幅で形成される区切り部30によって60°間隔で区切られることで形成された、6つの切り抜きである。つまり、シート部10から切り抜かれる上記の所定の形状は、第1円21と第2円22とによって画定されるリング形状が区切り部30によって区切られた6つの切り抜きである。
【0023】
ここで、本実施形態における切り抜き部20の寸法について、
図2に基づいて説明する。
図2は、本実施形態における切り抜き部20の寸法を説明するための図である。
【0024】
図2に示すように、切り抜き部20は、第1直径D1が22.0~32.0mmである第1円21と、第2直径D2が20.0~29.0mmである第2円22と、によって画定されるリング形状が、幅w1が1.0~1.7mmである区切り部30によって区切られた6つの切り抜きである。
【0025】
例えば、通常のサイズのフラワーオブライフを描画する際に用いられるステンシルシート1では、切り抜き部20において、第1円21の第1直径D1が32.0mm、第2円22の第2直径D2が29.0mm、区切り部30の幅w1が1.7mmである。これにより、19個の円を規則正しく重ねて花の模様のように描画するができ、フラワーオブライフを容易に描画することが可能になる。
【0026】
また、例えば、上記より小さなサイズのフラワーオブライフを描画する際に用いられるステンシルシート1では、切り抜き部20において、第1円21の第1直径D1が22.0mm、第2円22の第2直径D2が20.0mm、区切り部30の幅w1が1.0mmである。
【0027】
そして、以上に述べたステンシルシート1を用いた幾何学模様作成方法について、
図3から
図11に基づいて説明する。この幾何学模様作成方法は、ステンシルシート1を用いて神聖幾何学模様を作成する方法であって、これによれば、神聖幾何学模様であるフラワーオブライフを容易に描画することが可能になる。
【0028】
ここで、
図3は、本実施形態に係る幾何学模様作成方法において、フラワーオブライフの作成フローを示すフローチャートである。
【0029】
本フローでは、先ず、下地部が作成される(S101)。この下地部は、所定の対象物にパステルの粉末が塗布されることで作成される。ここで、上記のパステルは、乾燥した粉末状の顔料を固めた画材であって、フラワーオブライフを作成するユーザは、該パステルを削って再び粉末状にして、それを対象物にスポンジ等で塗布したり直接手で持って塗布したりすることで、下地部を作成することができる。なお、上記の対象物とは、例えば、画用紙である。
【0030】
本フローでは、次に、第1輪郭部が描画される(S102)。この第1輪郭部は、上述したステンシルシート1の切り抜き部20の形状を対象物に転写することで描画される、略リング状の輪郭である。ここで、ユーザは、上記の下地部の一部を所定の字消しで消すことで、第1輪郭部を描画することができる。これによれば、ステンシルシート1の切り抜き部20の形状を対象物に転写する際に、追加の顔料を該切り抜き部20に重ねて更に塗布する必要がないため、該切り抜き部20の形状の転写が容易になるとともに、ステンシルシート1を綺麗な状態に保つことができる。なお、上記の字消しとは、例えば、周知の消しゴムである。そして、このような第1輪郭部の描画について、
図4および
図5に基づいて以下に説明する。
【0031】
図4は、最初に作成する下地部を例示するとともに、ステンシルシート1を用いて第1輪郭部を描画する方法を例示する図である。ここで、
図4(a)は、下地部を例示する図であって、
図4(a)に示すように、画用紙100にパステルの粉末が塗布されて該画用紙100に色付けされた部分が下地部110となる。そして、本実施形態では、
図4(b)に示すように、四角形に作成された下地部110の対角線の交点と、ステンシルシート1において切り抜き部20を画定するリング形状の中心点と、が重なるようにステンシルシート1が配置される。そして、この状態において、ステンシルシート1の切り抜き部20を字消しで擦ることでこの部分の下地部110が消されて、該切り抜き部20の形状が画用紙100に転写されることになる。これにより、画用紙100に第1輪郭部が描画される。
【0032】
ここで、
図5は、画用紙100に描画された第1輪郭部を表す図である。
図5に示すように、ステンシルシート1の切り抜き部20の形状が転写された転写部1201が第1輪郭部となる。なお、上述したように、ステンシルシート1の切り抜き部20は、区切り部30によって60°間隔で6つに区切られている。そのため、転写部1201も切り抜き部20と同様に6つに分割された形状となる。詳しくは、
図5に示すように、転写部1201(第1輪郭部)が、6つの分割部1301~1306によって分割されることになる。なお、このようにして第1輪郭部を分割する6つの分割部を以下、第1分割部とも言う。
【0033】
そして、
図3に戻って、次に、第2輪郭部が描画される(S103)。この第2輪郭部は、上記の第1輪郭部の周囲の輪郭であって、上記の第1分割部のうちの任意の1つの分割部を第1中心分割部として、該第1中心分割部と、ステンシルシート1の切り抜き部20を画定するリング形状の中心点と、を合わせるとともに、第1分割部における該第1中心分割部の両隣の分割部と、ステンシルシート1の区切り部30と、を合わせた状態において、画用紙100に切り抜き部20の形状を転写することを、第1分割部に含まれる6つの分割部に対して繰り返し実行することで描画される。なお、この第2輪郭部も上記の第1輪郭部と同様に、ステンシルシート1の切り抜き部20を字消しで擦ることでこの部分の下地部110が消されて、該切り抜き部20の形状が画用紙100に転写されることで描画される。そして、このような第2輪郭部の描画について、
図6および
図7に基づいて以下に説明する。
【0034】
図6は、ステンシルシート1を用いて第2輪郭部を描画する方法を例示する図である。
図6に例示する描画方法では、
図6(a)に示すように、分割部1301が第1中心分割部とされて、そこにステンシルシート1の上記中心点が合わせられる。更に、第1中心分割部1301の両隣の分割部である分割部1302および分割部1306と、ステンシルシート1の区切り部30と、が合わせられ、この状態において、画用紙100にステンシルシート1の切り抜き部20の形状が転写される。そうすると、
図6(b)に示すように、画用紙100に転写部1202が描画されることになる。つまり、転写部1201と転写部1202という2つの円の重なりによって、生命の始まりが表現されることになる。
【0035】
そして、
図6に例示する描画方法では、次に、
図6(c)に示すように、分割部1302が第1中心分割部とされて、そこにステンシルシート1の上記中心点が合わせられる。更に、第1中心分割部1302の両隣の分割部である分割部1303および分割部1301と、ステンシルシート1の区切り部30と、が合わせられ、この状態において、画用紙100にステンシルシート1の切り抜き部20の形状が転写される。そうすると、
図6(d)に示すように、画用紙100に転写部1203が描画されることになる。
【0036】
このような転写が、第1分割部に含まれる6つの分割部に対して繰り返し実行されることで、第2輪郭部が描画される。ここで、
図7は、画用紙100に描画された第2輪郭部を表す図である。
図7に示すように、ステンシルシート1の切り抜き部20の形状が転写された転写部1202~1207によって、第2輪郭部が画定される。そして、上述したようにして第2輪郭部が描画されると、
図7に示すように、転写部1201の内側に花びら模様が描画されることになる。なお、この花びら模様を以下、第1花びら模様部とも言う。このように、中心の1つの円を表す転写部1201の周囲に、6つの円を表す転写部1202~1207が描画されることで、生命が作り出す形が表現されることになる。また、
図7に示すように、第2輪郭部は、12の分割部1307~1318によって分割される。これら12の分割部を以下、第2分割部とも言う。
【0037】
そして、
図3に戻って、次に、第3輪郭部が描画される(S104)。この第3輪郭部は、上記の第2輪郭部の周囲の輪郭であって、上記の第2分割部のうちの任意の1つの分割部を第2中心分割部として、該第2中心分割部と、ステンシルシート1の切り抜き部20を画定するリング形状の中心点と、を合わせるとともに、第2分割部における該第2中心分割部の両隣の分割部と、ステンシルシート1の区切り部30と、を合わせた状態において、画用紙100に切り抜き部20の形状を転写することを、第2分割部に含まれる12の分割部に対して繰り返し実行することで描画される。なお、この第3輪郭部も上記の第1輪郭部、第2輪郭部と同様に、ステンシルシート1の切り抜き部20を字消しで擦ることでこの部分の下地部110が消されて、該切り抜き部20の形状が画用紙100に転写されることで描画される。そして、このような第3輪郭部の描画について、
図8に基づいて以下に説明する。
【0038】
図8は、ステンシルシート1を用いて第3輪郭部を描画する方法を例示する図である。
図8に例示する描画方法では、
図8(a)に示すように、分割部1307が第2中心分割部とされて、そこにステンシルシート1の上記中心点が合わせられる。更に、第2中心分割部1307の両隣の分割部である分割部1308および分割部1318と、ステンシルシート1の区切り部30と、が合わせられ、この状態において、画用紙100にステンシルシート1の切り抜き部20の形状が転写される。そうすると、
図8(b)に示すように、画用紙100に転写部1208が描画されることになる。そして、このような転写が、第2分割部に含まれる12の分割部に対して繰り返し実行されることで、第3輪郭部が描画される。つまり、
図8(c)に示すように、ステンシルシート1の切り抜き部20の形状が転写された転写部1208~1219によって、第3輪郭部が画定される。そして、このようにして第3輪郭部が描画されると、
図8(c)に示すように、転写部1202~1207の内側に花びら模様が描画されることになる。なお、この花びら模様を以下、第2花びら模様部とも言う。また、第3輪郭部は、18の分割部によって分割され、これら18の分割部を以下、第3分割部とも言う。
【0039】
そして、
図3に戻って、次に、第3花びら模様部が描画される(S105)。この第3花びら模様部は、上記の転写部1208~1219の内側に描画される花びら模様であって、上記の第3分割部のうちの任意の1つの分割部を第3中心分割部として、該第3中心分割部と、ステンシルシート1の切り抜き部20を画定するリング形状の中心点と、を合わせるとともに、第3分割部における該第3中心分割部の両隣の分割部と、ステンシルシート1の区切り部30と、を合わせた状態において、画用紙100に切り抜き部20の形状を転写することを、第3分割部に含まれる18の分割部に対して繰り返し実行することで描画される。そして、このような第3花びら模様部の描画について、
図9に基づいて以下に説明する。
【0040】
図9は、ステンシルシート1を用いて第3花びら模様部を描画する方法を例示する図である。
図9に例示する描画方法では、
図9(a)に示すように、分割部1321が第3中心分割部とされて、そこにステンシルシート1の上記中心点が合わせられる。更に、第3中心分割部1321の両隣の分割部である分割部1322および分割部1323と、ステンシルシート1の区切り部30と、が合わせられ、この状態において、画用紙100にステンシルシート1の切り抜き部20の形状の一部が転写される。このとき、画用紙100に転写される切り抜き部20の形状の一部とは、上記の状態において、第3輪郭部の内側に位置する切り抜き部20である。例えば、上述したように分割部1321が第3中心分割部とされる場合、画用紙100に転写される切り抜き部20の形状の一部は、
図9(a)に示す切り抜き部20aおよび切り抜き部20bである。そして、このような転写が、第3分割部に含まれる18の分割部に対して繰り返し実行されることで、
図9(b)に示すように、転写部1208~1219の内側に花びら模様が描画される。つまり、第3花びら模様部が描画されることになる。
【0041】
そして、
図3に戻って、次に、外周花びら模様部が描画される(S106)。この外周花びら模様部は、第3輪郭部に沿ってその内側に描画される花びら模様であって、例えば、ステンシルシート1の切り抜き部20を構成する6つの切り抜きのうちの任意の1つの切り抜きを用いて描画される。これについて、
図10に基づいて説明する。
【0042】
図10は、ステンシルシート1を用いて外周花びら模様部を描画する方法を例示する図である。
図10に例示する描画方法では、転写部1208における外周花びら模様部を描画するときに、
図10(a)に示すように、分割部1321とステンシルシート1の区切り部30aとが合わせられ、且つ分割部1322とステンシルシート1の区切り部30bとが合わせられた状態において、画用紙100にステンシルシート1の切り抜き部20bの形状が転写される。そして、このような転写が、第3輪郭部に沿って繰り返し実行されることで、
図10(b)に示すように、第3輪郭部に沿ってその内側に花びら模様が描画される。つまり、外周花びら模様部が描画されることになる。
【0043】
そして、
図3に戻って、本フローでは、最後に、外周部が描画される(S107)。外周部は、上述した方法で描画された19個の円を囲む2重の円である。ここで、
図11は、ステンシルシート1を用いて作成されたフラワーオブライフを外周部とともに表す図である。
図11に示すように、外周円1220および外周円1221によって、19個の円(転写部1201~1219)が囲まれることで、フラワーオブライフ1200が完成する。なお、外周円1220および外周円1221は、例えば、これらに対応する円形の切り抜きが設けられたシートを用いて描画され得る。
【0044】
このように、ステンシルシート1を用いれば、コンパス等を用いることなくフラワーオブライフを人の手によって容易に作成することができる。そして、上述したフラワーオブライフの作成フローに則って、ステンシルシート1の切り抜き部20の形状を転写していくことで、19個の円を規則正しく簡単に描画することが可能になるとともに、神秘的な意味を想起させるフラワーオブライフを人の手によって描くというアートセラピーによるヒーリング効果により、描く人の心に癒しを与えることができる。
【0045】
以上に述べたステンシルシート1及びそれを用いたフラワーオブライフの作成方法によれば、神聖幾何学模様を人の手によって容易に作成することができる。
【0046】
<その他の変形例>
上記の実施形態はあくまでも一例であって、本開示はその要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施しうる。上記の実施形態では、パステルの粉末を塗布して作成された下地部の一部を消しゴムで消すことでフラワーオブライフが描画される例について説明したが、本開示の幾何学模様作成シートは、例えば、その切り抜き部に顔料を重ねて塗布することで該切り抜き部の形状を対象物に転写する幾何学模様作成方法に用いられてもよい。
【符号の説明】
【0047】
1・・・・・ステンシルシート
10・・・・シート部
20・・・・切り抜き部
21・・・・第1円
22・・・・第2円
30・・・・区切り部
【手続補正書】
【提出日】2022-03-03
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の幾何学模様作成シートを用いて、神聖幾何学模様を作成する方法であって、
前記幾何学模様作成シートは、
所定の薄板材料によって形成されたシート部と、
前記シート部に形成された切り抜きで、該シート部から所定の形状が切り抜かれることで形成された切り抜き部と、
を備え、
前記切り抜き部は、所定の第1直径を有する第1円と所定の第2直径を有する第2円との間に形成された切り抜きであって、該第1円と該第2円とによって画定されるリング形状が、その円周方向に所定の幅で形成される区切り部によって60°間隔で区切られることで形成された、6つの切り抜きであって、
前記方法は、
所定の対象物に前記切り抜き部の形状を転写して、略リング状の輪郭である第1輪郭部を描画する第1描画ステップと、
前記第1輪郭部を分割する6つの分割部を含んだ第1分割部のうちの任意の1つの分割部を第1中心分割部として、該第1中心分割部と、前記切り抜き部を画定する前記リング形状の中心点と、を合わせるとともに、前記第1分割部における該第1中心分割部の両隣の分割部と、前記区切り部と、を合わせた状態において、前記対象物に前記切り抜き部の形状を転写することを、前記第1分割部に含まれる6つの分割部に対して繰り返し実行し、前記第1輪郭部の周囲の輪郭である第2輪郭部を描画する第2描画ステップと、
前記第2輪郭部を分割する12の分割部を含んだ第2分割部のうちの任意の1つの分割部を第2中心分割部として、該第2中心分割部と前記中心点とを合わせるとともに、前記第2分割部における該第2中心分割部の両隣の分割部と、前記区切り部と、を合わせた状態において、前記対象物に前記切り抜き部の形状を転写することを、前記第2分割部に含まれる12の分割部に対して繰り返し実行し、前記第2輪郭部の周囲の輪郭である第3輪郭部を描画する第3描画ステップと、
を有する、幾何学模様作成方法。
【請求項2】
前記対象物に所定のパステルの粉末を塗布して下地部を作成するステップを更に有し、
前記第1描画ステップ、前記第2描画ステップ、及び前記第3描画ステップにおいて、前記下地部の一部を所定の字消しで消すことで前記切り抜き部の形状を転写する、
請求項1に記載の幾何学模様作成方法。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0001
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0001】
本発明は、幾何学模様作成シートを用いた幾何学模様作成方法に関する。