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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023072969
(43)【公開日】2023-05-25
(54)【発明の名称】雨樋システム
(51)【国際特許分類】
   E04D 13/08 20060101AFI20230518BHJP
【FI】
E04D13/08 K
E04D13/08 301B
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021185734
(22)【出願日】2021-11-15
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100161883
【弁理士】
【氏名又は名称】北出 英敏
(72)【発明者】
【氏名】橋本 昌幸
(72)【発明者】
【氏名】西本 舞
(57)【要約】
【課題】排水能力の向上を可能にする雨樋システムを提供する。
【解決手段】雨樋システム1は、竪樋3と、呼び樋4と、第1エルボ5と、第2エルボ6と、を備える。竪樋3は、建物10の壁面12に固定される。呼び樋4は、建物10からの雨水の落とし口2bと竪樋3との間にある。第1エルボ5は、呼び樋4の上流側の端部4aを落とし口2bに接続する。第2エルボ6は、呼び樋4の下流側の端部4bを竪樋3の上流側の端部3aに接続する。第1エルボ5の容積は、第2エルボ6の容積より小さい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の壁面に固定される竪樋と、
前記建物からの雨水の落とし口と前記竪樋との間にある呼び樋と、
前記呼び樋の上流側の端部を前記落とし口に接続する第1エルボと、
前記呼び樋の下流側の端部を前記竪樋の上流側の端部に接続する第2エルボと、
を備え、
前記第1エルボの容積は、前記第2エルボの容積より小さい、
雨樋システム。
【請求項2】
前記第1エルボ及び前記第2エルボは、同じ呼び径に対応し、
前記第1エルボの管軸を含む平面での断面における前記第1エルボの両端の開口の中心線間の角度は、前記第2エルボの管軸を含む平面での断面における前記第2エルボの両端の開口の中心線間の角度と等しく、
前記第1エルボの管軸の曲率半径は、前記第2エルボの管軸の曲率半径より小さい、
請求項1に記載の雨樋システム。
【請求項3】
前記第1エルボの管軸を含む平面での断面における内周側の内側面は、角部を有し、
前記第2エルボの管軸を含む平面での断面における内周側の内側面は、角部を有していない、
請求項1又は2に記載の雨樋システム。
【請求項4】
前記第1エルボの管軸を含む平面での断面における前記角部の曲率半径は、0mm以上2mm以下である、
請求項3に記載の雨樋システム。
【請求項5】
前記第1エルボは、JIS K 6739で規定される90°曲がりエルボである、
請求項1~4のいずれか一つに記載の雨樋システム。
【請求項6】
前記第2エルボは、JIS K 6739で規定される90°大曲がりエルボである、
請求項1~5のいずれか一つに記載の雨樋システム。
【請求項7】
前記落とし口と前記第1エルボとの間にある補助竪樋を更に備える、
請求項1~6のいずれか一つに記載の雨樋システム。
【請求項8】
前記竪樋に配置される補助部材を更に備え、
前記補助部材の単位長さ当たりの圧力損失は、前記竪樋の単位長さ当たりの圧力損失よりも大きい、
請求項1~7のいずれか一つに記載の雨樋システム。
【請求項9】
前記第1エルボの材料及び前記第2エルボの材料の少なくとも一方は、硬質ポリ塩化ビニルである、
請求項1~8のいずれか一つに記載の雨樋システム。
【請求項10】
建物の壁面に固定される竪樋と、
前記建物からの雨水の落とし口と前記竪樋との間にある呼び樋と、
前記呼び樋の上流側の端部を前記落とし口に接続する第1エルボと、
前記呼び樋の下流側の端部を前記竪樋の上流側の端部に接続する第2エルボと、
を備え、
前記第2エルボの圧力損失は、前記第1エルボの圧力損失より小さい、
雨樋システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、雨樋システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、雨樋システムを開示する。特許文献1に開示された雨樋システムは、軒樋と、軒樋の底面に形成された集水口を貫通する筒状部を備え、且つサイフォン現象を発生させるためのサイフォン発生部と、サイフォン発生部の下流側に配置されるエルボと、を備える。エルボは、曲管部と、曲管部の両端に設けられた受け口と、を備え、曲管部の管軸を含む平面における断面で見たときの曲管部において、内周側の内壁面の曲率半径が64mmよりも大きく、かつ、125mmよりも小さい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-120068号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、日本ではゲリラ豪雨等により単位時間当たりの降雨量が増加する傾向にあり、排水能力が向上した雨樋システムが求められている。
【0005】
本開示は、排水能力の向上を可能にする雨樋システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様にかかる雨樋システムは、建物の壁面に固定される竪樋と、建物からの雨水の落とし口と竪樋との間にある呼び樋と、呼び樋の上流側の端部を落とし口に接続する第1エルボと、呼び樋の下流側の端部を竪樋の上流側の端部に接続する第2エルボと、を備える。第1エルボの容積は、第2エルボの容積より小さい。
【0007】
本開示の一態様にかかる雨樋システムは、建物の壁面に固定される竪樋と、建物からの雨水の落とし口と竪樋との間にある呼び樋と、呼び樋の上流側の端部を落とし口に接続する第1エルボと、呼び樋の下流側の端部を竪樋の上流側の端部に接続する第2エルボと、を備える。第2エルボの圧力損失は、第1エルボの圧力損失より小さい。
【発明の効果】
【0008】
本開示の態様は、排水能力の向上を可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】一実施の形態にかかる雨樋システムの構成例の概略図
図2図1の雨樋システムの第1エルボの構成例の断面図
図3図1の雨樋システムの第2エルボの構成例の断面図
図4図1の雨樋システムの第1エルボの変形例の断面図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、適宜図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。なお、発明者(ら)は、当業者が本開示を十分に理解するために添付図面および以下の説明を提供するのであって、これらによって特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図するものではない。
【0011】
上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。以下の実施の形態において説明する各図は、模式的な図であり、各図中の各構成要素の大きさ及び厚さそれぞれの比が、必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。また、各要素の寸法比率は図面に図示された比率に限られるものではない。
【0012】
[1.実施の形態]
[1.1 構成]
図1は、本実施の形態にかかる雨樋システム1の構成例の概略図である。図1の雨樋システム1は、建物10の屋根11からの雨水を受けて、地面20のます部21に流す。ます部21に集められた雨水は、ます部21から埋設管22を通って雨水管に流れ出る。建物10は、例えば、店舗、オフィス、工場、ビル、学校、福祉施設又は病院等の非住宅施設、及び戸建住宅、集合住宅、又は戸建住宅若しくは集合住宅の各住戸等の住宅施設の建物である。非住宅施設には、劇場、映画館、公会堂、遊技場、複合施設、百貨店、ホテル、旅館、幼稚園、図書館、博物館、美術館、地下街、駅及び空港等も含む。
【0013】
図1の雨樋システム1は、軒樋2と、竪樋3と、呼び樋4と、第1エルボ5と、第2エルボ6と、補助竪樋7と、補助部材8とを備える。
【0014】
軒樋2は、建物10の屋根11からの雨水を受ける。軒樋2は、建物10の屋根11の下に設置される。軒樋2は、長尺の桶状である。図1の軒樋2は、底壁2aを有し、底壁2aに落とし口2bがある。図1では、軒樋2の落とし口2bにドレン9が配置される。ドレン9は、落とし口2bでの渦の発生及び空気の巻き込みを低減する。
【0015】
図1の雨樋システム1では、竪樋3と、呼び樋4と、第1エルボ5と、第2エルボ6と、補助竪樋7と、補助部材8とが、落とし口2bからの雨水を地面20のます部21に流す流路を形成する。
【0016】
竪樋3は、落とし口2bからの雨水を垂直に流す部分である。竪樋3は、直管状である。竪樋3の管軸に直交する断面は円形状である。竪樋3の材料は、硬質ポリ塩化ビニルである。竪樋3の寸法、例えば、外形と厚さは、JIS K 6741「硬質ポリ塩化ビニル管」の硬質ポリ塩化ビニル管(一般)の規格に沿って設定されてよい。図1の竪樋3は、建物10の壁面12に、竪樋3の管軸の方向が上下方向(鉛直方向)に一致するように固定される。
【0017】
竪樋3は、上流側の端部3aと下流側の端部3bとを有する。上流側の端部3aは、竪樋3において落とし口2bに接続される端部(図1での上端部)である。下流側の端部3bは、竪樋3において、ます部21に挿入される端部(図1での下端部)である。図1では、竪樋3とます部21との隙間からます部21内に雨水が流入しないように排水管カバー31が配置される。
【0018】
図1では、竪樋3は、控金具30a,30b,30cにより建物10の壁面12に固定される。図1において、H1は、地面20から竪樋3の上端までの距離[mm]である。H11は、竪樋3の上端から一番上の控金具30aまでの距離[mm]である。H12は、地面20から一番下の控金具30cまでの距離[mm]である。H13は、控金具30a,30b,30c間のピッチ[mm]である。一般に、H11,H12は、200mm以上300mm以下である。H13は、800mm以上1200mm以下であり、一定の場合には1000mm以下とされる。D1は、竪樋3と壁面12との間の距離である。一般に、D1は、30mm以上100mm以下である。
【0019】
呼び樋4は、落とし口2bから竪樋3に建物10からの雨水を流すための部分である。呼び樋4は、建物10からの雨水の落とし口2bと竪樋3との間にある。呼び樋4は、直管状である。呼び樋4の管軸に直交する断面は円形状である。呼び樋4の材料は、硬質ポリ塩化ビニルである。図1の呼び樋4は、呼び樋4の管軸の方向が上下方向(鉛直方向)に対して傾斜するように固定される。
【0020】
呼び樋4は、上流側の端部4aと下流側の端部4bとを有する。上流側の端部4aは、呼び樋4において落とし口2bに接続される端部(図1での上端部)である。下流側の端部4bは、呼び樋4において竪樋3に接続される端部(図1での下端部)である。呼び樋4は、円筒状である。呼び樋4の材料は、硬質ポリ塩化ビニルである。呼び樋4の寸法、例えば、外形と厚さは、JIS K 6741「硬質ポリ塩化ビニル管」の硬質ポリ塩化ビニル管(一般)の規格に沿って設定されてよい。図1において、D2は、偏芯距離[mm]である。偏芯距離は、落とし口2bの中心線と竪樋3の中心線との間の距離である。D2は、例えば、1000mm以下に設定されてよい。
【0021】
第1エルボ5は、呼び樋4の上流側の端部4aを落とし口2bに接続する。第1エルボ5は、必ずしも呼び樋4の上流側の端部4aを落とし口2bに直接的に接続する部材ではなく、呼び樋4の上流側の端部4aを落とし口2bに他の部材を介して間接的に接続する部材であってよい。図2は、第1エルボ5の構成例の断面図である。第1エルボ5は、曲管部50と、受け口51,52とを有する。曲管部50と受け口51,52とは、連続一体に形成される。第1エルボ5の材料、つまり、曲管部50の材料は、硬質ポリ塩化ビニルである。
【0022】
曲管部50は、両端に開口501,502を有する。曲管部50は、円筒状であるが、曲管部50の管軸(中心線)A10は直線状ではなく曲線状である。つまり、曲管部50は、曲線状の管軸A10を有する。曲管部50の管軸A10は、第1エルボ5の管軸を規定する。
【0023】
図2は、曲管部50の管軸A10を含む平面での、第1エルボ5の断面図である。図2の第1エルボ5の曲管部50の内径は、ほぼ一様である。図2において、R1は、管軸A10の曲率半径を示す。O1は、曲率半径R1を規定する円の中心を示す。
【0024】
図2において、θ1は、第1エルボ5の管軸A10を含む平面での断面における第1エルボ5の両端の開口501,502の中心線C11,C12間の角度を示す。θ1は、例えば、JIS K 6739「排水用硬質ポリ塩化ビニル管継手」で規定される91.17°である。
【0025】
図2において、δ1は、曲管部50の開口501,502の直径[mm]である。δ1は、雨樋システム1の目標の排水能力等を考慮して決定されてよい。δ1は、JIS K 6739「排水用硬質ポリ塩化ビニル管継手」の規格に沿って設定されてよい。δ1は、例えば、JIS K 6739で規定される呼び径の基準寸法を満たすように設定されてよい。JIS K 6739「排水用硬質ポリ塩化ビニル管継手」によれば、呼び径が75mm、100mm、125mmである場合、その基準寸法は77.2mm、98.8mm、125mm、である。
【0026】
図2に示すように、第1エルボ5の管軸A10を含む平面での断面において、曲管部50は、内周側の内側面503と、外周側の内側面504とを有する。内側面503は、角部5031を有する。角部5031は、内側面503において開口501と開口502との間の中間部分にある。角部5031は、R形状となっている。第1エルボ5の管軸A10を含む平面での断面において角部5031の曲率半径は、0以上2mm以下である。内側面504は、角部5031のような角部を有してない。内側面504は、全体として曲線状である。
【0027】
受け口51,52は、曲管部50の両端にそれぞれ設けられる。受け口51,52は、竪樋3及び呼び樋4等の管材を第1エルボ5に接続するために設けられる。受け口51は、曲管部50の開口501を囲う円筒状である。受け口52は、曲管部50の開口502を囲う円筒状である。図2において、受け口51,52は、同じ形状である。
【0028】
図2は、第1エルボ5Aの受け口51の寸法として、D1、d1、及びl1を示す。l1は、曲管部50の管軸A10を含む平面での断面における受け口51の長さ(又は受け口52の長さ)である。D1は、受け口51(又は受け口52)の外径[mm]である。d1は、受け口51(又は受け口52)の内径[mm]である。第1エルボ5の寸法D1、d1及びl1は、例えば、JIS K 6739「排水用硬質ポリ塩化ビニル管継手」の規格に沿って設定されてよい。
【0029】
第2エルボ6は、呼び樋4の下流側の端部4bを竪樋3の上流側の端部3aに接続する。第2エルボ6は、必ずしも呼び樋4の下流側の端部4bを竪樋3の上流側の端部3aに直接的に接続する部材ではなく、呼び樋4の下流側の端部4bを竪樋3の上流側の端部3aに他の部材を介して間接的に接続する部材であってよい。第2エルボ6は、第1エルボ5とは異なる形状である。図2は、第2エルボ6の構成例の断面図である。第2エルボ6は、曲管部60と、受け口61,62とを有する。曲管部60と受け口61,62とは、連続一体に形成される。第2エルボ6の材料、つまり、曲管部60の材料は、硬質ポリ塩化ビニルである。
【0030】
曲管部60は、両端に開口601,602を有する。曲管部60は、円筒状であるが、曲管部60の管軸(中心線)A20は直線状ではなく曲線状である。つまり、曲管部60は、曲線状の管軸A20を有する。曲管部60の管軸A20は、第2エルボ6の管軸を規定する。
【0031】
図3は、曲管部60の管軸A20を含む平面での、第2エルボ6の断面図である。図3の第2エルボ6の曲管部60の内径は、ほぼ一様である。図3において、R2は、管軸A20の曲率半径を示す。O2は、曲率半径R2を規定する円の中心を示す。
【0032】
図3において、θ2は、第2エルボ6の管軸A20を含む平面での断面における第2エルボ6の両端の開口601,602の中心線C21,C22間の角度を示す。θ2は、例えば、JIS K 6739「排水用硬質ポリ塩化ビニル管継手」で規定される91.17°である。
【0033】
図3において、δ2は、曲管部60の開口601,602の直径[mm]である。δ2は、雨樋システム1の目標の排水能力等を考慮して決定されてよい。δ2は、JIS K 6739「排水用硬質ポリ塩化ビニル管継手」の規格に沿って設定されてよい。δ2は、例えば、JIS K 6739で規定される呼び径の基準寸法を満たすように設定されてよい。JIS K 6739「排水用硬質ポリ塩化ビニル管継手」によれば、呼び径が75mm、100mm、125mmである場合、その基準寸法は77.2mm、98.8mm、125mm、である。
【0034】
図3に示すように、第2エルボ6の管軸A20を含む平面での断面において、曲管部60は、内周側の内側面603と、外周側の内側面604とを有する。内側面603,604は、角部5031のような角部を有してない。内側面603,604は全体として曲線状である。第2エルボ6の管軸A10を含む平面での断面において内側面603の曲率半径は、64mm以上125mm以下である。
【0035】
受け口61,62は、曲管部60の両端にそれぞれ設けられる。受け口61,62は、竪樋3及び呼び樋4等の管材を第2エルボ6に接続するために設けられる。受け口61は、曲管部60の開口601を囲う円筒状である。受け口62は、曲管部60の開口602を囲う円筒状である。図3において、受け口61,62は、同じ形状である。
【0036】
図3は、第2エルボ6の受け口61の寸法として、D2、d2、及びl2を示す。l2は、曲管部60の管軸A20を含む平面での断面における受け口61の長さ(又は受け口62の長さ)である。D2は、受け口61(又は受け口62)の外径[mm]である。d2は、受け口61(又は受け口62)の内径[mm]である。第2エルボ6の寸法D2、d2及びl2は、例えば、JIS K 6739「排水用硬質ポリ塩化ビニル管継手」の規格に沿って設定されてよい。
【0037】
本実施の形態において、第1エルボ5及び第2エルボ6は、同じ呼び径に対応する。第1エルボ5の管軸A10を含む平面での断面における第1エルボ5の両端の開口501,502の中心線C11,C12間の角度θ1は、第2エルボ6の管軸A20を含む平面での断面における第2エルボ6の両端の開口601,602の中心線C21,C22間の角度θ2と等しい。一方で、第1エルボ5の管軸A10の曲率半径R1は、第2エルボ6の管軸A20の曲率半径R2より小さい。これによって、第1エルボ5の容積は、第2エルボ6の容積より小さい。このように、第1エルボ5と第2エルボ6とは、第1エルボ5の容積が第2エルボ6の容積より小さくなるように、異なる形状を有する。第1エルボ5の容積は、実質的に、第1エルボ5の曲管部50の容積で規定される。第2エルボ6の容積は、実質的に、第2エルボ6の曲管部60の容積で規定される。
【0038】
雨樋システム1において、サイフォン現象が発生する条件の一つに、第2エルボ6よりも上流側にある第1エルボ5が、第1エルボ5の内部が雨水で満たされた状態、つまり、満水状態となることがある。図1の雨樋システム1では、第1エルボ5の容積が第2エルボ6の容積より小さいため、例えば、第1エルボ5の容積が第2エルボ6の容積と同じ場合に比べて、第1エルボ5が満水状態になるまでにかかる時間が短くなる。第1エルボ5が満水状態になるまでにかかる時間が短くなることで、サイフォン現象の発生を早めることができる。これによって、雨樋システム1は、排水性能を向上できる。さらに、第1エルボ5及び第2エルボ6に共通の規格の管材を利用でき、雨樋システム1の設置を容易にできる。
【0039】
図2及び図3に示すように、第1エルボ5の管軸A10を含む平面での断面における内周側の内側面503は、角部5031を有するが、第2エルボ6の管軸A20を含む平面での断面における内周側の内側面603は、角部を有していない。そのため、本実施の形態において、第2エルボ6の圧力損失は、第1エルボ5の圧力損失より小さい。第1エルボ5の圧力損失は、第1エルボ5の曲管部50の開口501,502での総圧の差で定義される。第2エルボ6の圧力損失は、第2エルボ6の曲管部60の開口601,602での総圧の差で定義される。総圧は、静圧と動圧との和で与えられる。
【0040】
雨樋システム1において、第2エルボ6の圧力損失が小さいほど、第2エルボ6の内部で起きる乱流に起因する気泡滞留を、低減できる。気泡滞留が低減されることで、サイフォン現象が阻害され難くなる。図1の雨樋システム1では、例えば、第2エルボ6の圧力損失が第1エルボ5の圧力損失と同じ場合に比べて、サイフォン現象による雨水の流速を向上できる。これにより、雨樋システム1において安定した排水が可能となる。一方で、第1エルボ5の圧力損失が大きくなると、雨水が第1エルボ5を通過しにくくなり、第1エルボ5が満水状態になるまでにかかる時間が短くなる。これによって、サイフォン現象の発生を早めることができる。これによって、雨樋システム1は、排水性能を向上できる。ただし、第1エルボ5の圧力損失が過剰に大きいと、サイフォン現象により雨水が排出される前に軒樋2から雨水があふれる可能性がある。そのため、第1エルボ5の圧力損失は、軒樋2から雨水があふれない程度に適切に大きいことが望まれる。
【0041】
雨樋システム1の構造上、第1エルボ5は、第2エルボ6よりも建物10の壁面12から離れた位置に配置されることが多い。そのため、第1エルボ5は第2エルボ6よりも人目に付きやすい。この点から、第1エルボ5の意匠性は、第2エルボ6の意匠性よりも良いことが望まれる。建物10の外観の意匠性を考慮すると、雨樋システム1自体も目立たないほうが良い。以上の点から、第1エルボ5は建物10の軒下等に納まるように小型であるほうが望まれる。
【0042】
本実施の形態において、第1エルボ5は、JIS K 6739で規定される90°曲がりエルボ(所謂、DL)である。本実施の形態において、第2エルボ6は、JIS K 6739で規定される90°大曲がりエルボ(所謂、LL)である。90°曲がりエルボは、90°大曲がりエルボよりも小型であり、意匠性が良い。したがって、雨樋システム1の外観の意匠性を向上できる。雨樋システム1を建物10に対して目立たなくできる。第1エルボ5及び第2エルボ6に共通の規格の管材を利用でき、雨樋システム1の設置を容易にできる。
【0043】
補助竪樋7は、落とし口2bから第1エルボ5に建物10からの雨水を垂直に流すための部分である。補助竪樋7は、落とし口2bと第1エルボ5との間にある。補助竪樋7は、直管状である。補助竪樋7の管軸に直交する断面は円形状である。補助竪樋7の材料は、硬質ポリ塩化ビニルである。補助竪樋7の寸法、例えば、外形と厚さは、JIS K 6741「硬質ポリ塩化ビニル管」の硬質ポリ塩化ビニル管(一般)の規格に沿って設定されてよい。図1の補助竪樋7は、落とし口2bと第1エルボ5との間に、補助竪樋7の管軸の方向が上下方向(鉛直方向)に一致するように配置される。
【0044】
補助竪樋7は、上流側の端部7aと下流側の端部7bとを有する。上流側の端部7aは、補助竪樋7において落とし口2bに接続される端部(図1での上端部)である。下流側の端部7bは、補助竪樋7において、第1エルボ5に接続される端部(図1での下端部)である。
【0045】
補助竪樋7があることで、落とし口2bと第1エルボ5との間に距離ができる。これによって、落とし口2bと第1エルボ5との間の雨水の位置エネルギの差が大きくなり、落とし口2bから第1エルボ5に流入する雨水の速度が増加する。第1エルボ5に流入する雨水の速度が増加すると、サイフォン現象が促進される。
【0046】
補助竪樋7の長さは、補助竪樋7の管径、補助竪樋7を通過する雨水の量、雨樋システム1の設置環境及びその他の種々の条件に応じて、適宜設定され得る。例えば、補助竪樋7の長さは、雨樋システム1の設置場所において想定される雨水の量を考慮して、雨樋システム1でのサイフォン現象が促進されるように、設定されてよい。あくまでも一例として、補助竪樋7の長さは、図1に示す落とし口2bの下端と第1エルボ5の上端との間の距離D3が50mm以上500mm以下の範囲となるように設定されてよい。
【0047】
補助部材8は、竪樋3に配置される。補助部材8の圧力損失は、補助部材8と等しい長さの竪樋3の圧力損失よりも大きい。つまり、補助部材8の単位長さ当たりの圧力損失は、竪樋3の単位長さ当たりの圧力損失より大きい。本実施の形態において、補助部材8は、直管状である。補助部材8の管軸に直交する断面は円形状である。補助部材8の材料は、硬質ポリ塩化ビニルである。補助部材8の圧力損失は、補助部材8の両端の開口での総圧の差である。補助部材8の圧力損失は、例えば、直管損失、拡大損失及び縮小損失を含み得る。例えば、補助部材8の圧力損失を調整する方法としては、補助部材8の流路の管摩擦係数を増大させる方法又は補助部材8に拡縮部を付与する方法等が挙げられる。補助部材8の例としては、レジューサ、絞り付き部材(絞り継手、バルブ等)が挙げられる。
【0048】
補助部材8は、サイフォン現象における位置エネルギの基準点の目安となる。サイフォン現象の発生の一要因としては、鉛直方向からみた水面の上端と下端の位置エネルギの差がある。位置エネルギの差が大きいほど、サイフォン現象の継続の安定度が向上すると考えられる。補助部材8は、竪樋3よりも単位長さ当たりの圧力損失が大きいことで、サイフォン現象における位置エネルギの下端基準点となりうる。サイフォン現象における位置エネルギの上端基準点は、雨樋システム1に溜まる雨水の液面高さとなる。
【0049】
竪樋3における補助部材8の位置は、竪樋3の管径、竪樋3を通過する雨水の量、雨樋システム1の設置環境及びその他の種々の条件に応じて、適宜設定され得る。例えば、竪樋3における補助部材8の位置は、雨樋システム1の設置場所において想定される雨水の量を考慮して、所望の位置エネルギの差が得られるように、設定されてよい。例えば、竪樋3における補助部材8の位置は、図1に示す落とし口2bの下端と補助部材8の上端との間の距離D4が所望の位置エネルギの差が得られる値となるように、設定されてよい。
【0050】
[1.2 効果等]
以上述べた雨樋システム1は、建物10の壁面12に固定される竪樋3と、建物10からの雨水の落とし口2bと竪樋3との間にある呼び樋4と、呼び樋4の上流側の端部4aを落とし口2bに接続する第1エルボ5と、呼び樋4の下流側の端部4bを竪樋3の上流側の端部3aに接続する第2エルボ6と、を備える。第1エルボ5の容積は、第2エルボ6の容積より小さい。この構成は、排水能力の向上を可能にする。
【0051】
雨樋システム1において、第1エルボ5及び第2エルボ6は、同じ呼び径に対応する。第1エルボ5の管軸A10を含む平面での断面における第1エルボ5の両端の開口501,502の中心線C11,C12間の角度θ1は、第2エルボ6の管軸A20を含む平面での断面における第2エルボ6の両端の開口601,602の中心線C21,C22間の角度θ2と等しい。第1エルボ5の管軸A10の曲率半径R1は、第2エルボ6の管軸A20の曲率半径R2より小さい。この構成は、第1エルボ5及び第2エルボ6に共通の規格の管材を利用でき、雨樋システム1の設置を容易にできる。
【0052】
雨樋システム1において、第1エルボ5の管軸A10を含む平面での断面における内周側の内側面503は、角部5031を有する。第2エルボ6の管軸A20を含む平面での断面における内周側の内側面603は、角部を有していない。この構成は、排水能力のさらなる向上を可能にする。
【0053】
雨樋システム1において、第1エルボ5の管軸A10を含む平面での断面における角部5031の曲率半径は、0mm以上2mm以下である。この構成は、排水能力のさらなる向上を可能にする。
【0054】
雨樋システム1において、第1エルボ5は、JIS K 6739で規定される90°曲がりエルボである。この構成は、雨樋システム1の設置を容易にできる。
【0055】
雨樋システム1において、第2エルボ6は、JIS K 6739で規定される90°大曲がりエルボである。この構成は、雨樋システム1の設置を容易にできる。
【0056】
雨樋システム1において、雨樋システム1は、落とし口2bと第1エルボ5との間にある補助竪樋7を更に備える。この構成は、排水能力のさらなる向上を可能にする。
【0057】
雨樋システム1は、竪樋3に配置される補助部材8を更に備える。補助部材8の単位長さ当たりの圧力損失は、竪樋3の単位長さ当たりの圧力損失よりも大きい。この構成は、排水能力のさらなる向上を可能にする。
【0058】
雨樋システム1において、第1エルボ5の材料及び第2エルボ6の材料は、硬質ポリ塩化ビニルである。この構成は、排水能力のさらなる向上を可能にする。
【0059】
別の観点から、以上述べた雨樋システム1は、建物10の壁面12に固定される竪樋3と、建物10からの雨水の落とし口2bと竪樋3との間にある呼び樋4と、呼び樋4の上流側の端部4aを落とし口2bに接続する第1エルボ5と、呼び樋4の下流側の端部4bを竪樋3の上流側の端部3aに接続する第2エルボ6と、を備える。第2エルボ6の圧力損失は、第1エルボ5の圧力損失より小さい。この構成は、排水能力の向上を可能にする。
【0060】
[2.変形例]
本開示の実施の形態は、上記実施の形態に限定されない。上記実施の形態は、本開示の課題を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。以下に、上記実施の形態の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。
【0061】
雨樋システム1において、第1エルボ5は、JIS K 6739で規定される90°曲がりエルボでなくてもよい。第1エルボ5の代わりに、図4に示す第1エルボ5Aを用いることができる。
【0062】
図4は、雨樋システム1の第1エルボ5の変形例である第1エルボ5Aの断面図である。第1エルボ5Aは、曲管部50Aと、受け口51A,52Aとを有する。曲管部50Aと受け口51A,52Aとは、連続一体に形成される。第1エルボ5Aの材料、つまり、曲管部50Aの材料は、硬質ポリ塩化ビニルである。
【0063】
曲管部50Aは、両端に開口501A,502Aを有する。曲管部50Aは、円筒状であるが、曲管部50Aの管軸は曲線状ではなく折線状である。曲管部50Aの管軸は、第1エルボ5Aの両端の開口501A,502Aの中心線C11,C12で規定される。曲管部50Aの管軸は、折線状である。
【0064】
図4は、曲管部50Aの管軸を含む平面での、第1エルボ5Aの断面図である。図4に示すように、曲管部50Aは、内周側の内側面503Aと、外周側の内側面504Aとを有する。内側面503A,504Aは、それぞれ角部5031A,5041Aを有する。角部5031A,5041Aは、内側面503A,504Aにおいて開口501Aと開口502Aとの間の中間部分にある。角部5031A,5041Aは、R形状ではなくほぼ直角形状となっている。第1エルボ5Aの管軸を含む平面での断面において角部5031A,5041Aの曲率半径は、設計上は0mmである。ただし、製造の都合上、角部5031A,5041Aには若干のRが発生する。そのため、第1エルボ5Aの管軸を含む平面での断面において角部5031A,5041Aの曲率半径の曲率半径は、実際上は、略0mmである。
【0065】
受け口51A,52Aは、曲管部50Aの両端にそれぞれ設けられる。受け口51A,52Aは、竪樋3、呼び樋4及び補助竪樋7等の管材を第1エルボ5Aに接続するために設けられる。受け口51A,52Aは、曲管部50Aの開口501A,502Aをそれぞれ囲う円筒状である。
【0066】
図4の第1エルボ5Aのθ1、δ1,D1、d1、及びl1は、図2の第1エルボ5のθ1、δ1,D1、d1、及びl1と同様に設定されてよい。
【0067】
一変形例において、第1エルボ5及び第2エルボ6は、必ずしも同じ呼び径に対応している必要はない。第1エルボ5の管軸A10を含む平面での断面における第1エルボ5の両端の開口501,502の中心線C11,C12間の角度θ1は、第2エルボ6の管軸A20を含む平面での断面における第2エルボ6の両端の開口601,602の中心線C21,C22間の角度θ2と等しくなくてもよい。角度θ1,θ2は、上記の91.17°に限定されない。角度θ1,θ2は、90°~135°の範囲にあってもよく、この範囲に制限されない。第1エルボ5の容積が第2エルボ6の容積より小さければ、第1エルボ5の管軸A10の曲率半径R1は、第2エルボ6の管軸A20の曲率半径R2よりも小さくなくてもよい。
【0068】
一変形例において、第2エルボ6の管軸A20を含む平面での断面における内周側の内側面603は、角部を有してよい。第2エルボ6の管軸A20を含む平面での断面における角部の曲率半径は、第1エルボ5の管軸A10を含む平面での断面における角部5031の曲率半径よりも大きいほうがよい。
【0069】
一変形例において、第2エルボ6は、JIS K 6739で規定される90°大曲がりエルボに限定されない。第2エルボ6は、第2エルボ6の容積が第1エルボ5の容積よりも大きくなるように形成されていればよい。
【0070】
一変形例において、竪樋3の材料、呼び樋4の材料、第1エルボ5の材料、第2エルボ6の材料、補助竪樋7の材料及び補助部材8の材料の少なくとも一つは、必ずしも硬質ポリ塩化ビニルでなくてもよい。例えば、第1エルボ5の材料及び第2エルボ6の材料は、第1エルボ5の圧力損失が第2エルボ6の圧力損失より大きくなるように選択されてよい。竪樋3の材料、呼び樋4の材料、第1エルボ5の材料、第2エルボ6の材料、補助竪樋7の材料及び補助部材8の材料は、雨樋システム1に求められる要件にしたがって決定されてよく、例えば、ポリエチレン等の合成樹脂であってもよい。
【0071】
一変形例において、第1エルボ5のδ1又は第2エルボ6のδ2は、必ずしもJIS K 6739で規定される呼び径の基準寸法を満たさなくてもよい。第1エルボ5のD1、d1及びl1又は第2エルボ6のD2、d2及びl2は、必ずしも、JIS K 6739の規定に沿って設定されなくてもよい。
【0072】
一変形例において、雨樋システム1は、必ずしも軒樋2を備えていなくてもよい。例えば、建物10がバルコニーのような落とし口を備える構造を有する場合には、雨樋システム1の第1エルボ5が建物10の落とし口に接続されてよい。
【0073】
一変形例において、雨樋システム1は、必ずしも補助竪樋7を備えていなくてもよい。補助竪樋7は、雨樋システム1において必須の構成ではなく、雨樋システム1の設置環境等を考慮して適宜設けられればよい。
【0074】
一変形例において、雨樋システム1は、必ずしも補助部材8を備えていなくてもよい。補助部材8は、雨樋システム1において必須の構成ではなく、雨樋システム1の設置環境等を考慮して適宜設けられればよい。
【0075】
一変形例において、雨樋システム1は、複数の落とし口2bが設けられてもよい。一例として、雨樋システム1は、竪樋3と、複数の落とし口2bと竪樋3との間にある複数の呼び樋4と、複数の呼び樋4の上流側の端部4aを複数の落とし口2bにそれぞれ接続する複数の第1エルボ5と、複数の呼び樋4の下流側の端部4bを竪樋3の上流側の端部3aに接続する複数の第2エルボ6とを備えてよい。この構成では、複数の第2エルボ6は、鉛直方向に交差する方向に延びる共通の接続管によって、竪樋3の上流側の端部3aに接続されてよい。
【0076】
[3.態様]
上記実施の形態及び変形例から明らかなように、本開示は、下記の態様を含む。以下では、実施の形態との対応関係を明示するためだけに、符号を括弧付きで付している。なお、文章の見やすさを考慮して2回目以降の括弧付きの符号の記載を省略する場合がある。
【0077】
第1の態様は、雨樋システム(1)であって、建物(10)の壁面(12)に固定される竪樋(3)と、前記建物(10)からの雨水の落とし口(2b)と前記竪樋(3)との間にある呼び樋(4)と、前記呼び樋(4)の上流側の端部(4a)を前記落とし口(2b)に接続する第1エルボ(5;5A)と、前記呼び樋(4)の下流側の端部(4b)を前記竪樋(3)の上流側の端部(3a)に接続する第2エルボ(6)と、を備える。前記第1エルボ(5;5A)の容積は、前記第2エルボ(6)の容積より小さい。この態様は、排水能力の向上を可能にする。
【0078】
第2の態様は、第1の態様に基づく雨樋システム(1)である。第2の態様において、前記第1エルボ(5;5A)及び前記第2エルボ(6)は、同じ呼び径に対応する。前記第1エルボ(5;5A)の管軸(A10)を含む平面での断面における前記第1エルボ(5;5A)の両端の開口(501,502;501A,502A)の中心線(C11,C12)間の角度(θ1)は、前記第2エルボ(6)の管軸(A20)を含む平面での断面における前記第2エルボ(6)の両端の開口(601,602)の中心線(C21,C22)間の角度(θ2)と等しい。前記第1エルボ(5;5A)の管軸(A10)の曲率半径(R1)は、前記第2エルボ(6)の管軸(A20)の曲率半径(R2)より小さい。この態様は、第1エルボ(5;5A)及び第2エルボ(6)に共通の規格の管材を利用でき、雨樋システム(1)の設置を容易にできる。
【0079】
第3の態様は、第1又は第2の態様に基づく雨樋システム(1)である。第3の態様において、前記第1エルボ(5;5A)の管軸(A10)を含む平面での断面における内周側の内側面(503;503A)は、角部(5031;5031A)を有する。前記第2エルボ(6)の管軸(A20)を含む平面での断面における内周側の内側面(603)は、角部を有していない。この態様は、排水能力のさらなる向上を可能にする。
【0080】
第4の態様は、第3の態様に基づく雨樋システム(1)である。第4の態様において、前記第1エルボ(5;5A)の管軸(A10)を含む平面での断面における前記角部(5031)の曲率半径は、0mm以上2mm以下である。この態様は、排水能力のさらなる向上を可能にする。
【0081】
第5の態様は、第1~第4の態様のいずれか一つに基づく雨樋システム(1)である。第5の態様において、前記第1エルボ(5)は、JIS K 6739で規定される90°曲がりエルボである。この態様は、雨樋システム(1)の設置を容易にできる。
【0082】
第6の態様は、第1~第5の態様のいずれか一つに基づく雨樋システム(1)である。第6の態様において、前記第2エルボ(6)は、JIS K 6739で規定される90°大曲がりエルボである。この態様は、雨樋システム(1)の設置を容易にできる。
【0083】
第7の態様は、第1~第6の態様のいずれか一つに基づく雨樋システム(1)である。第7の態様において、前記雨樋システム(1)は、前記落とし口(2b)と前記第1エルボ(5;5A)との間にある補助竪樋(7)を更に備える。この態様は、排水能力のさらなる向上を可能にする。
【0084】
第8の態様は、第1~第7の態様に基づく雨樋システム(1)である。第8の態様において、前記雨樋システム(1)は、前記竪樋(3)に配置される補助部材(8)を更に備える。前記補助部材(8)の単位長さ当たりの圧力損失は、前記竪樋(3)の単位長さ当たりの圧力損失よりも大きい。この態様は、排水能力のさらなる向上を可能にする。
【0085】
第9の態様は、第1~第8の態様のいずれか一つに基づく雨樋システム(1)である。第9の態様において、前記第1エルボ(5;5A)の材料及び前記第2エルボ(6)の材料の少なくとも一方は、硬質ポリ塩化ビニルである。この態様は、排水能力のさらなる向上を可能にする。
【0086】
第10の態様は、雨樋システム(1)であって、建物(10)の壁面(12)に固定される竪樋(3)と、前記建物(10)からの雨水の落とし口(2b)と前記竪樋(3)との間にある呼び樋(4)と、前記呼び樋(4)の上流側の端部(4a)を前記落とし口(2b)に接続する第1エルボ(5;5A)と、前記呼び樋(4)の下流側の端部(4b)を前記竪樋(3)の上流側の端部(3a)に接続する第2エルボ(6)と、を備える。前記第2エルボ(6)の圧力損失は、前記第1エルボ(5;5A)の圧力損失より小さい。この態様は、排水能力の向上を可能にする。
【0087】
上記の第2~第9の態様は、第10の態様に組わせられてもよい。上記の第2~第9の態様は任意の要素である。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本開示は、雨樋システムに適用可能である。具体的には、呼び樋の設置のための複数のエルボを備える雨樋システムに、本開示は適用可能である。
【符号の説明】
【0089】
1 雨樋システム
2b 落とし口
3 竪樋
3a 上流側の端部
4 呼び樋
4a 上流側の端部
4b 下流側の端部
5,5A 第1エルボ
501,501A 開口
502,502A 開口
503,503A 内側面
5031,5031A 角部
A10 管軸
A11,A12 中心線
θ1 角度
R1 曲率半径
6 第2エルボ
601,602 開口
603 内側面
A20 管軸
A21,A22 中心線
θ2 角度
R2 曲率半径
7 補助竪樋
8 補助部材
10 建物
12 壁面
図1
図2
図3
図4