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特開2023-7297動物監視システム、動物監視サーバ、動物監視方法、及び動物監視プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023007297
(43)【公開日】2023-01-18
(54)【発明の名称】動物監視システム、動物監視サーバ、動物監視方法、及び動物監視プログラム
(51)【国際特許分類】
   A01K 29/00 20060101AFI20230111BHJP
【FI】
A01K29/00 B
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021146689
(22)【出願日】2021-09-09
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-02-24
(31)【優先権主張番号】P 2021109214
(32)【優先日】2021-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】520438475
【氏名又は名称】株式会社PetVoice
(74)【代理人】
【識別番号】100151688
【弁理士】
【氏名又は名称】今 智司
(72)【発明者】
【氏名】深田 篤
(72)【発明者】
【氏名】大城 啓吾
(57)【要約】
【課題】電力消費を抑えつつ、監視対象動物の行動を高精度で見守ることができる動物監視システム、動物監視サーバ、動物監視方法、及び動物監視プログラムを提供する。
【解決手段】監視対象動物6を監視する動物監視システム1は、監視対象動物6に装着され、監視対象動物6の動作情報を検出する動作検出部502と、動作検出部502が検出する動作情報に基づいて、監視対象動物6の行動を推定する行動推定部212と、行動推定部212が、監視対象動物6の行動が不活発状態であると推定した場合、動作検出部502における消費電力を抑制する制御を開始する省電力制御部508とを備える。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視対象動物を監視する動物監視システムであって、
前記監視対象動物に装着され、前記監視対象動物の動作情報を検出する動作検出部と、
前記動作検出部が検出する前記動作情報に基づいて、前記監視対象動物の行動を推定する行動推定部と、
前記行動推定部が、前記監視対象動物の前記行動が不活発状態であると推定した場合、前記動作検出部における消費電力を抑制する制御を開始する省電力制御部と
を備える動物監視システム。
【請求項2】
前記不活発状態が、前記監視対象動物が静止している状態である請求項1に記載の動物監視システム。
【請求項3】
前記行動推定部が、監視対象動物の動作を示す動作情報と前記動作に対応する監視対象動物の行動を示す行動情報との組み合わせを行動教師データとして受け付け、前記行動教師データによる機械学習により、前記監視対象動物の動作情報から当該監視対象動物の行動を示す行動情報を出力する行動推定モデルに、前記動作検出部により検出された前記動作を示す動作情報を適用することで前記監視対象動物の行動を推定する
請求項1又は2に記載の動物監視システム。
【請求項4】
前記省電力制御部が、前記行動推定部による前記監視対象動物の前記行動が活発状態であると推定した場合、前記動作検出部における消費電力を抑制する制御を停止する請求項1~3のいずれか1項に記載の動物監視システム。
【請求項5】
前記動作検出部が、3軸加速度センサ、3軸ジャイロセンサ、及び3軸地磁気センサを有し、
前記動作情報が、前記3軸加速度センサにより検出される前記監視対象動物の加速度に応じた電圧値、前記3軸地磁気センサにより検出される前記監視対象動物の角速度に応じた電圧値、及び前記3軸地磁気センサにより検出される前記監視対象動物の向きに応じた電圧値を含む請求項1~4のいずれか1項に記載の動物監視システム。
【請求項6】
前記省電力制御部が、前記3軸加速度センサ、前記3軸ジャイロセンサ、及び前記3軸地磁気センサの少なくとも1つの動作の停止、並びに前記3軸加速度センサ、前記3軸ジャイロセンサ、及び前記3軸地磁気センサの少なくとも1つのサンプリング周波数の予め定められたサンプリング周波数への変更により前記消費電力を抑制する請求項5に記載の動物監視システム。
【請求項7】
監視対象動物を監視する動物監視サーバであって、
前記監視対象動物に装着され、前記監視対象動物の動作情報を検出する動作検出部が検出する前記動作情報に基づいて、前記監視対象動物の行動を推定する行動推定部と、
前記行動推定部が、前記監視対象動物の前記行動が不活発状態であると推定した場合、前記動作検出部における消費電力を抑制する制御を実行させる条件を前記動作検出部に対して出力する省電力設定推定部と
を備える動物監視サーバ。
【請求項8】
監視対象動物を監視する動物監視システムにおける動物監視方法であって、
前記監視対象動物に装着され、前記監視対象動物の動作情報を検出する動作検出部が検出する前記動作情報に基づいて、前記監視対象動物の行動を推定する行動推定工程と、
前記行動推定工程が、前記監視対象動物の前記行動が不活発状態であると推定した場合、前記動作検出部における消費電力を抑制する制御を開始する省電力制御工程と
を備える動物監視方法。
【請求項9】
監視対象動物を監視する動物監視システム用の動物監視プログラムであって、
コンピュータに、
前記監視対象動物に装着され、前記監視対象動物の動作情報を検出する動作検出部が検出する前記動作情報に基づいて、前記監視対象動物の行動を推定する行動推定機能と、
前記行動推定機能が、前記監視対象動物の前記行動が不活発状態であると推定した場合、前記動作検出部における消費電力を抑制する制御を開始する省電力制御機能と
を実現させる動物監視プログラム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動物監視システム、動物監視サーバ、動物監視方法、及び動物監視プログラムに関する。特に本発明は、ペット等の監視対象動物を遠隔から監視可能な動物監視システム、動物監視サーバ、動物監視方法、及び動物監視プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ペット等の動物の行動を遠隔から監視するペット見守りサービスの利用が広まっている。このようなサービスを利用すると、例えば、飼い主等のユーザの目の届かないところにおけるペットの運動や排泄、睡眠状態等をユーザは把握でき、ペットの健康管理に役に立つ。
【0003】
従来、見守り対象の状態を特定する見守り装置であって、検出対象となる見守り対象の動作の検出結果と、その見守り対象のいる現在場所あるいは現在時刻とを取得する取得手段と、見守り対象の種類別にその種類の見守り対象における複数の状態を識別する識別情報をその見守り対象の検出動作内容とその見守り対象のいる場所あるいはその動作の時間帯とに対応付けて記憶する記憶手段を参照することで、取得手段で取得した検出結果に該当する検出動作内容でかつ取得手段で取得した現在場所あるいは現在時刻に該当する識別情報を検索する検索手段と、検索手段で検索された識別情報を見守り対象の現在状態として特定する特定手段とを備える見守り装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1に記載の見守り装置によれば、見守り対象の動きを学習でき、どのような見守り対象であっても様々な状態をより正確に通知できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-068856号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の見守り装置においてペット等の動物の日常の細かい動作を見守る場合、加速度センサ以外にもジャイロセンサ等の他種多様なセンサを要する。そのため、ペット等の動作について、より高精度な動作判定をする場合、各センサによる電力消費が大きくなる場合がある。
【0006】
したがって、本発明の目的は、電力消費を抑えつつ、監視対象動物の行動を高精度で見守ることができる動物監視システム、動物監視サーバ、動物監視方法、及び動物監視プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記目的を達成するため、監視対象動物を監視する動物監視システムであって、監視対象動物に装着され、監視対象動物の動作情報を検出する動作検出部と、動作検出部が検出する動作情報に基づいて、監視対象動物の行動を推定する行動推定部と、行動推定部が、監視対象動物の行動が不活発状態であると推定した場合、動作検出部における消費電力を抑制する制御を開始する省電力制御部とを備える動物監視システムが提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る動物監視システム、動物監視サーバ、動物監視方法、及び動物監視プログラムによれば、電力消費を抑えつつ、監視対象動物の行動を高精度で見守ることができる動物監視システム、動物監視サーバ、動物監視方法、及び動物監視プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態に係る動物監視システムの概要図である。
図2】本実施形態に係る監視デバイスの外観の概要図である。
図3】本実施形態に係る中継デバイスの外観の概要図である。
図4】本実施形態に係るサーバの機能構成ブロック図である。
図5】本実施形態に係る中継デバイスの機能構成ブロック図である。
図6】本実施形態に係る監視デバイス及び情報端末の機能構成ブロック図である。
図7】ユーザ登録及びデバイスの連携処理のフロー図である。
図8】ユーザ登録時における情報端末の出力内容の図である。
図9】ユーザ登録及びデバイスの連携処理のフロー図である。
図10】連携した中継デバイスに関する情報の情報端末での出力内容の図である。
図11】監視対象動物及び特徴量をサーバに登録する際の処理のフロー図である。
図12】監視対象動物を登録する際における情報端末の出力内容の図である。
図13】監視対象動物の直腸温及び行動の推定処理のフロー図である。
図14】情報端末の出力部が直腸温等を表示する様子を示す図である。
図15】監視デバイスにおける省電力制御の処理のフロー図である。
図16】監視デバイスにおける省電力制御の他の処理のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[実施の形態]
<動物監視システム1の概要>
本実施形態に係る動物監視システム1は、監視デバイスが装着された動物の状態や動作に基づいて当該動物の直腸温及び/又は行動を推定し、推定結果をユーザの情報端末において参照可能にするシステムである。すなわち、動物監視システム1は、動物に装着させた監視デバイスによって動物の体表温及び/又は動作を検出し、検出した体表温、動作、及び/又は当該動物の毛量等の特性に関する特徴量に基づいて当該動物の直腸温を推定する。また、動物監視システム1は、検出した体表温、動作、及び/又は当該動物の特徴量に基づいて、当該動物の行動を推定できる。更に、動物監視システム1は、監視対象である動物(以下、「監視対象動物」と称する場合がある。)について推定した直腸温、及び/又は行動に基づいて、監視デバイスの消費電力を抑制できる。
【0011】
なお、本実施形態において「動作」とは、センサ等の測定機器で測定可能な監視対象動物の動き、姿勢、向き等を指し、「行動」とは、監視対象動物の目的的な反応(例えば、運動、食事、睡眠、毛繕い、休息等)を指すものとする。
【0012】
図1は、本実施形態に係る動物監視システムの一例の概要を示す。なお、図1においては、サーバ2、中継デバイス4(ホームデバイス)、監視デバイス5(首輪型のデバイス)、及び情報端末7が1つの例を示す。ただし、動物監視システム1は、サーバ2、中継デバイス4、監視デバイス5、及び/又は情報端末7を複数備えていてもよい。以下では説明の簡略化のため、原則として各要素が1つの場合を例に挙げて説明する。
【0013】
具体的に、動物監視システム1は、監視対象動物6の直腸温及び/又は行動の推定等を実行するサーバ2と、監視対象動物6に装着されるベルト10等に固定され、監視対象動物6の体表温及び/又は動作を検出する監視デバイス5と、サーバ2による推定結果の参照等が可能な情報端末7とを備える。そして、動物監視システム1において監視デバイス5は、中継デバイス4を介してサーバ2に双方向通信可能に設けられ、サーバ2、中継デバイス4、及び情報端末7はそれぞれ通信網3を介して互いに双方向通信可能に接続される。また、監視デバイス5と中継デバイス4との間、及び/又は情報端末7と中継デバイス4との間においては、近距離無線通信(例えば、Bluetooth(登録商標)等)により双方向通信可能に接続可能である。なお、図1の例で中継デバイス4は通信網3に直接接続されているが、通信網3と中継デバイス4との間にルータ(図示しない)若しくは携帯電話網を介して中継デバイス4を通信網3に接続させてもよい。また、監視デバイス5は、中継デバイス4を介さずに通信網3を介してサーバ2に直接接続してもよい。
【0014】
ここで、監視対象動物の直腸温と体表温との間には所定の相関関係がある。しかしながら、当該相関関係は監視対象動物の特徴量(例えば、監視対象動物の種類、サイズ、毛量等)によって変動する。そこでサーバ2は、監視対象動物の体表温及び/又は監視対象動物の特徴量を適用することで監視対象度物の直腸温を出力する直腸温推定モデルを機械学習により生成し、生成した直腸温推定モデルを用いて直腸温を推定する。すなわち、監視デバイス5は、監視対象動物6の体表温及び/又は動作を検出し、中継デバイス4及び通信網3を介して検出した体表温及び/又は動作に関する情報をサーバ2に供給する。サーバ2は、監視デバイス5から受け取った情報に基づいて、監視対象動物6の直腸温及び/又は行動(例えば、監視対象動物6が食事中、睡眠中、休憩中、排便中等を示す行動)を推定し、特定する。サーバ2はこの推定結果を格納する。そして、ユーザは、監視対象動物6の状態を把握することを目的として、情報端末7により通信網3を介してサーバ2に対して推定結果を要求する。サーバ2は当該要求に応じて推定結果を情報端末7に通信網3を介して供給する。これにより、監視対象動物6から物理的に離れた位置にユーザが位置していたとしても、ユーザは監視対象動物6の推定された直腸温及び/又は行動を情報端末7から出力させ(例えば、表示部等の出力部に出力させる)、把握できる。
【0015】
また、中継デバイス4を介して監視対象動物6の状態を把握することもできる。すなわち、ユーザは、中継デバイス4を介してサーバ2に対して推定結果を要求できる。サーバ2は当該要求に応じて推定結果を中継デバイス4に通信網3を介して供給する。これにより、ユーザは、情報端末7を有していない場合であっても、監視対象動物6の推定された直腸温及び/又は行動を中継デバイス4により把握することもできる。
【0016】
なお、中継デバイス4は、監視対象動物6が存在する領域内(例えば、監視対象動物が家屋で飼育されているペットである場合、当該家屋内の領域内、及び当該家屋から所定の範囲内の屋外の領域内)に設置される。そして、中継デバイス4は、当該領域内に1以上設置してよい。複数の中継デバイス4が当該領域内に設置される場合であっても、複数の中継デバイス4はそれぞれ通信網3を介してサーバ2に双方向通信可能に接続される。この場合において複数の中継デバイス4はルータを介して通信網3に接続されてもよく、当該接続は有線LAN若しくは無線LAN接続であってよい。
【0017】
<監視デバイス5の外観の概要>
図2は、本実施形態に係る監視デバイスの外観の一例の概要を示す。具体的に図2(a)は監視デバイス5及び監視対象動物6に装着させるベルト10の概要を示し、図2(b)は監視デバイス5の裏面を示し、図2(c)は監視デバイス5の表面を示す。
【0018】
監視デバイス5は、後述のように監視対象動物6の体表温を検出する体表温検出部500及び/又は監視対象動物6の動作を検出する動作検出部を有する。監視デバイス5は、例えば、監視対象動物6の首等に装着されるベルト10に固定される。監視デバイス5は、監視対象動物6に不快を感じさせない形状及びサイズであれば特に形態に限定はないが、一例として、薄型で小型の直方体状の電子機器として構成できる。例えば、監視対象動物6の首に装着される首輪としてのベルト10の内側に監視デバイス5を装着可能なデバイス装着部11を設け、デバイス装着部11に監視デバイス5を装着させることでベルト10に監視デバイス5を固定できる。デバイス装着部11への監視デバイス5の装着方法に限定はないが、例えば、監視デバイス5をデバイス装着部11にスライドさせて装着可能にすることができる。
【0019】
ここで図2(b)に示すように監視デバイス5は、外部に突出する体表温検出部500を裏面に有する。そして、デバイス装着部11は、図2(a)に示すように監視対象動物6の体表面側に孔部31を含んで構成される。監視デバイス5をデバイス装着部11に装着させると、体表温検出部500は、孔部31から監視対象動物6の体表面に対向してデバイス装着部11から露出する。また、監視デバイス5は、図2(c)に示すように、表面に監視デバイス5の動作状況等を出力する監視デバイス出力部522を有して構成してもよい。なお、監視デバイス5のベルト10からの脱落を防止するスナップボタン若しくはその他の脱落防止部をベルト10に設けることもできる(図示しない)。
【0020】
<中継デバイス4の外観の概要>
図3は、本実施形態に係る中継デバイスの外観の一例の概要を示す。
【0021】
中継デバイス4の形状は監視対象動物6が存在する領域において横転等しにくい形状であれば特に限定はない。例えば、中継デバイス4は、断面が楕円形状の柱状形状であって、ユーザから上部を見やすくする観点から上部を斜めに切断して得られる形状であってよい。一例として、中継デバイス4は、本体部40と、本体部40の上部表面に設けられ、監視デバイス5をはめ込んで装着可能な装着部42とを有して構成される。装着部42は、中継デバイス4と監視デバイス5とを電気的に接続する端子を含む(図示しない)。これにより、中継デバイス4の装着部42に監視デバイス5を装着し、監視デバイス5を中継デバイス4に直接接続させることができ、例えば、中継デバイス4を介して監視デバイス5に格納されている情報の更新やプログラムの更新等を監視デバイス5のバッテリー残量に関わらず容易に実行できる。なお、中継デバイス4は、差込プラグ44を介し、外部から電力供給を受ける(なお、差込プラグ44はUSBケーブルを用いて構成されてよく、USBケーブルをスマートフォン等の携帯通信端末や他の電子機器若しくは外部電源等の所定のUSBポートに差し込んで電力の供給を受けることもできる。)。また、中継デバイス4は、本体部40の表面のいずれかの位置に所定の情報を出力する出力部(図示しない)を有していてもよい。
【0022】
<監視対象動物について>
監視対象動物は直腸温を計測可能な動物であれば特に限定はない。監視対象動物としては、例えば、愛玩動物(例えば、犬、猫、ウサギ、フェレット、ハムスター、猿等のペット)、飼育動物(例えば、動物園等で飼育されているトラやライオン等)、及び/又は家畜(例えば、馬、牛、豚、羊、ヤギ等)等の動物が挙げられる。
【0023】
なお、情報端末7は、携帯通信端末やスマートフォン、ノートパソコン、及び/又はタブレット型PC等である。更に、通信網3は、携帯電話網、及び/又はインターネット等の通信網である。また、サーバ2は、複数のサーバによって構成されていてもよい。すなわち、サーバ2が有する機能を複数のサーバに分散させて構成してもよい。通信網3は、有線LAN及び無線LAN等の通信ネットワークを含むこともできる。そして、以下において本実施形態に係る動物監視システム1の詳細を説明するが、上記説明及び下記説明における名称や数値、数量等はあくまで例示であり、本発明がこれらの名称や数値、数量等に限定されることはないことを付言する。
【0024】
<動物監視システム1の詳細>
動物監視システム1は、監視対象動物6の直腸温を推定可能なシステムであって、サーバ2、中継デバイス4、監視デバイス5、及び情報端末7の各構成要素を備える。以下、各構成要素の詳細を説明する。なお、以下の説明において一の部材から他の部材に所定の情報を供給する場合や取得する場合において、一の部材と他の部材との間に、更に他の部材や通信網3を経由することを妨げない点に留意すべきである。また、一の構成要素が有する1以上の構成部材を、他の構成要素が有する構成にしてもよい。更に以下の説明において「推定部」が付された構成部材は、各構成部材が推定する内容を予測する予測部であってもよい。
【0025】
[サーバ2の詳細]
図4は、本実施形態に係るサーバの機能構成の一例を示す。
【0026】
サーバ2は、ユーザ認証や各デバイスの登録等を実行する認証登録部200と、監視対象動物6を登録する登録部202と、監視対象動物6の特徴量を取得する特徴量取得部204と、所定の情報を取得する情報取得部206と、所定の学習モデルを生成するモデル生成部208と、監視対象動物6の直腸温を推定する直腸温推定部210と、監視対象動物6の行動を推定する行動推定部212と、各種情報を格納するサーバ格納ユニット214と、情報端末7等に所定の警告を通知する警告部232と、監視デバイス5の省電力制御を実行させる条件を出力する省電力設定推定部233と、中継デバイス4及び情報端末7等と通信するサーバ通信部234とを有する。また、サーバ格納ユニット214は、ユーザに関する情報を格納するユーザ情報格納部216と、監視対象動物6に関する情報を格納する監視対象動物情報格納部218と、中継デバイス4に関する情報を格納する中継デバイス情報格納部220と、監視デバイス5に関する情報を格納する監視デバイス情報格納部222と、学習モデルを格納するモデル情報格納部224と、監視デバイス5による所定の検出情報を格納する検出情報格納部226と、監視対象動物6に関する各種の推定結果に関する情報を格納する推定結果情報格納部228と、警告部232が警告を発するか否かに関する情報等を格納する警告情報格納部230とを含む。
【0027】
(認証登録部200)
認証登録部200は、中継デバイス4、監視デバイス5、及び情報端末7それぞれを識別し、サーバ2を利用可能な状態に設定する。すなわち、認証登録部200は、サーバ2を利用可能な機器として各機器を認証し、サーバ格納ユニット214の所定の格納部に所定の情報を格納することで各機器を登録する。具体的に認証登録部200は、中継デバイス4を識別する中継デバイス識別情報(中継デバイスID)を中継デバイス4から受け取って中継デバイス情報格納部220に格納し、サーバ2において管理する中継デバイスとして登録する。また、認証登録部200は、監視デバイス5を識別する監視デバイス識別情報(監視デバイスID)を監視デバイス5から受け取って監視デバイス情報格納部222に格納し、サーバ2において管理する監視デバイスとして登録する。
【0028】
更に認証登録部200は、情報端末7を識別する情報端末識別情報(情報端末ID)を情報端末7から受け取ってユーザ情報格納部216に格納し、サーバ2において管理する情報端末として登録する。この場合において認証登録部200は、情報端末7を利用するユーザのアカウント情報の作成を実行する。認証登録部200は、ユーザを一意に識別するユーザ識別子に対応付けて、ユーザ情報格納部216に当該ユーザのアカウント情報(例えば、ユーザIDやパスワード等)やユーザに関する情報を格納する。以上の処理により認証登録部200は、各機器によるサーバ2の利用を可能な状態に設定する。
【0029】
(登録部202)
登録部202は、情報端末7を介して監視対象動物6に関する情報を取得し、サーバ2において監視する対象である監視対象動物として登録する。具体的に、登録部202は、情報端末7から監視対象動物6に関する情報として、監視対象動物6を識別する名前等の情報を取得し、監視対象動物6を一意に識別する監視対象動物識別子(監視対象動物ID)に対応付けて取得した情報を監視対象動物情報格納部218に格納する。これにより、登録部202は、サーバ2に監視対象動物6を登録する。
【0030】
(特徴量取得部204)
特徴量取得部204は、監視対象動物6の特徴量を取得する。特徴量取得部204は、情報端末7を介し、監視対象動物6の特徴量を取得する。例えば、特徴量取得部204は、ユーザが情報端末7に入力した監視対象動物6の特徴量をこの情報端末7から取得する。特徴量取得部204は、取得した特徴量をモデル生成部208、直腸温推定部210、行動推定部212、及び/又は監視対象動物情報格納部218に供給する。
【0031】
特徴量としては、監視対象動物6の種類に関する情報、監視対象動物6のサイズに関する情報(例えば、胸囲、首回り、背丈のサイズ、体重等)、監視対象動物6の毛の長さに関する情報、監視対象動物6の毛量に関する情報、監視対象動物6の身体の所定の位置の毛の長さに関する情報、監視対象動物6の毛質(例えば、シングルコート、ダブルコート等)に関する情報、及び/又は監視対象動物6の年齢に関する情報等が挙げられる。なお、監視対象動物6の身体の所定の位置の毛の長さに関する情報における所定の位置は、例えば、体表温検出部500が装着される位置であることが好ましい。
【0032】
なお、特徴量取得部204は、情報端末7を介して受け付けるユーザの指示等に応じ、監視対象動物情報格納部218に格納した特徴量に修正を加えてもよい。また、特徴量取得部204は、監視対象動物6の年齢等、経時により変化する特徴量については自動的に更新してよい。一例として、監視対象動物6がユーザのペットであり、犬(犬種:ミニチュアゴールデンドゥードル)である場合を例に挙げる。この場合、特徴量取得部204は、ペットの種類である犬種の情報、ペットのサイズである体重の情報、ペットの毛の長さの情報等を特徴量として取得する。毛の長さはユーザがペットの体毛の長さを測定し、情報端末7の入力部700を介して入力される測定長を特徴量取得部204が取得する。なお、ペットの毛の長さは季節に応じて変化し得る(例えば、夏は短く、冬は夏より長くなる等)。そこで、特徴量取得部204は、季節等の時期によって変化する特徴量については、情報端末7の入力部700を介し、所定のタイミング(例えば、予め定められた月)毎に取得してもよい。
【0033】
(情報取得部206)
情報取得部206は、監視対象動物6に関する各種情報及び/又は監視対象動物6が存在する環境に関する情報等を取得する。具体的に、情報取得部206は、監視デバイス5が検出する監視対象動物6の体表温に関する情報、及び/又は監視デバイス5が検出する監視対象動物6の動作に関する情報等を監視デバイス5から取得する。また、情報取得部206は、中継デバイス4が検出する監視対象動物6の周囲の環境に関する環境情報、及び/又は中継デバイス4を基点とする監視デバイス5の位置に関する情報等を中継デバイス4から取得する。そして情報取得部206は、取得した各情報を検出情報格納部226に格納し、更に直腸温推定部210、行動推定部212、警告部232に供給する。
【0034】
(モデル生成部208)
モデル生成部208は、監視対象動物6の直腸温を推定する直腸温推定モデル、監視対象動物6の行動を推定する行動推定モデル、及び/又は監視デバイス5に効率的な省電力制御を実行させる条件を決定する省電力設定推定モデルを生成する。モデル生成部208は、生成したモデルをモデル情報格納部224に格納する。なお、以下に説明するモデル生成部208における機械学習としては、ディープラーニング等の既知の機械学習を用いることができる。
【0035】
(モデル生成部208:直腸温推定モデル)
動物監視システム1は、所定の動物(監視対象動物)の特徴量(例えば、体表温等)及び当該動物の直腸温について予め学習して準備した直腸温推定モデル(学習モデル)を用いて当該動物の推定される直腸温を算出する。学習では所定の教師データを用いて体表温と直腸温との関係を学習する。
【0036】
具体的にモデル生成部208は、所定の動物の種類毎に、動物の体表温若しくは動物の首回りの体表温、動物の特徴量、動物の体表温若しくは動物の首回りの体表温と同時に検出した動物の直腸温、及び/又は動物の周囲の環境情報の組み合わせを直腸温教師データとし、一例として勾配法を用いた機械学習アルゴリズムで学習することで、動物の体表温、動物の特徴量、及び/又は動物の周囲の環境情報が入力されると、当該動物の直腸温を出力とするようにサーバ2のプロセッサを機能させる直腸温推定モデルを生成する。
【0037】
また、モデル生成部208は、直腸温推定モデルを一度生成した後、特定の動物(例えば、ユーザのペット等)の体表温若しくは当該動物の首回りの体表温、当該動物の特徴量、当該動物の体表温若しくは当該動物の首回りの体表温と同時に検出した当該動物の直腸温、及び/又は当該動物の周囲の環境情報を直腸温教師データに追加し、直腸温推定モデルを再度生成してもよい。モデル生成部208は、この直腸温推定モデルの再度の生成を、特定の動物の特徴量が変わるたび(例えば、誕生日ごとや毛量が変化する季節毎等)に実行してよい。
【0038】
ここでモデル生成部208は、正確な直腸温を推定する観点から、動物の体表温、特に当該動物の首回り(喉側が好ましい)の体表温と当該体表温を検出したときの当該動物の直腸温との組み合わせを少なくとも含む直腸温教師データを用いることが好ましい。
【0039】
なお、環境情報とは、中継デバイス4が設置されている所定の領域であって、監視対象動物6が存在している領域の環境に関する情報である。例えば、環境情報としては、当該領域の、温度、湿度、照度、及び/又は音等に関する情報が挙げられる。本実施形態で環境情報は、取得の容易さ、及び/又は中継デバイス4の構成の簡略化の観点から、温度及び湿度に関する情報であることが好ましい。
【0040】
(モデル生成部208:行動推定モデル)
動物監視システム1は、所定の動物(監視対象動物)の動作及び当該動作に対応する行動について予め学習して準備した行動推定モデル(学習モデル)を用いて当該動物の推定される行動に関する情報を算出する。学習では所定の教師データを用いて動作と行動との関係を学習する。
【0041】
具体的にモデル生成部208は、所定の動物(監視対象動物)の種類毎に、動物の動作を示す動作情報(例えば、後述する動作検出部502による検出値)、当該動作に対応する動物の行動を示す行動情報の組み合わせを行動教師データとし、一例として勾配法を用いた機械学習アルゴリズムで学習することで、動物の動作情報が入力されると、当該動物の行動情報を出力とするようにサーバ2のプロセッサを機能させる行動推定モデルを生成する。行動情報は、大量の動物(ユーザが所有する動物だけではなく、他のユーザが所有する動物を含む。)の行動を観察して蓄積した情報であり、各動物の種類やサイズ等の特徴量と共に収集された情報であってよい。また、モデル生成部208は、行動推定モデルを一度生成した後、特定の動物(例えば、ユーザのペット等)の動作の動作情報、及び当該動作に対応する行動の行動情報(この行動情報は、例えば、ユーザが自身の動物を観察して得た情報である。)を行動教師データに追加し、行動推定モデルを再度生成してもよい。なお、行動教師データは、直腸温推定部210が推定した直腸温の情報、中継デバイス4が測定する温度や湿度等の環境情報、及び/又は中継デバイス4が受信する監視デバイス5が発信する信号強度の情報を含んでいてもよい。この場合、行動推定モデルは、動物の動作情報、直腸温、環境情報、及び/又は信号強度が入力されると、当該動物の行動情報を出力する。
【0042】
また、モデル生成部208は、行動教師データの1つとして、ユーザ自身が所有する動物(ペット)を観察して得た行動情報を以下のように取得してもよい。すなわち、モデル生成部208は、ペットの行動を後述する動作検出部502による検出結果と共にユーザが記録した情報を、情報端末7を介して取得して行動教師データに組み込む。これにより、行動教師データは、特定のユーザのペットに特有の行動情報を含むことができる。
【0043】
すなわち、ユーザがペットの所定の行動を発見した場合、モデル生成部208は情報端末7を介して当該行動に対応する行動情報を取得する。例えば、モデル生成部208は情報端末7の出力部702に予め定められた複数の行動から一の行動を選択可能な複数の選択肢を出力させ、入力部700を介して受け付けるユーザが選択した選択肢に対応する行動をペットが実際にした行動であると判断する。そして、モデル生成部208は、当該選択肢が選択されたときにおける動作検出部502による検出結果を当該行動時における検出結果として行動教師データに組み込む。
【0044】
これにより、ペットが存在する領域(例えば、ユーザの室内)での特有の行動と、当該特有の行動時におけるペットの動作に関する動作情報とが対応付けられた形の情報が行動教師データに組み込まれる。したがって、行動教師データは、例えば、ペットの排泄(トイレ)行動について、ペットが存在する領域に特有のトイレの位置や排泄時にペットが向いている方向に応じて検出される当該行動時における動作検出部502による検出結果(例えば、3軸加速度センサや3軸ジャイロセンサで検出するペットの姿勢を示す検出結果)を含むので、モデル生成部208は、当該ペットに高精度に適応した行動推定モデルを生成できる。一例として、ペットが存在する領域内のケージの置かれた向きに応じて特定される方向に応じ、当該ペットが排泄しているのか食事をしているのかを判別することも可能となる。
【0045】
(モデル生成部208:省電力設定推定モデル)
動物監視システム1は、監視対象動物の動作、監視デバイス5の充電に関する情報、及び/又は消費電力に関する情報について予め学習して準備した省電力設定推定モデル(学習モデル)を用いて監視デバイス5の省電力制御を実行させる条件を算出する。学習では所定の教師データを用いて動作等と条件との関係を学習する。なお、省電力設定推定モデルは、監視デバイス5による監視対象動物6の体表温や動作についての検出精度を損ねない範囲で消費電力を効率化するモデルであり、監視対象動物6の動作等の情報を入力することで、後述する監視デバイス5の体表温検出部500や動作検出部502を停止させる最適な加速度(動作検出部502が検出する加速度)の閾値を出力することもできる。
【0046】
具体的にモデル生成部208は、監視デバイス5を装着している監視対象動物6の動作情報、監視対象動物6の体表温、ユーザが監視対象動物6を観察して得た行動に関する情報、監視デバイス5に対する充電に関する情報、及び/又は監視デバイス5における消費電力に関する情報の組み合わせを省電力設定教師データとし、一例として勾配法を用いた機械学習アルゴリズムで学習することで、監視対象動物6の動作情報、充電に関する情報、及び/又は消費電力に関する情報が入力されると、監視デバイス5の省電力制御を実行させる条件を出力とするようにサーバ2のプロセッサを機能させる省電力設定推定モデルを生成する。なお、この条件は、例えば、監視デバイス5が有する各構成部材を起動若しくは停止させることや、監視対象動物6の体表温等を検出する構成部材における最適なサンプリング周波数等を決定する条件等である。
【0047】
なお、モデル生成部208は、監視デバイス5が取得した監視対象動物6の情報(体表温や動作に関する情報)、監視対象動物6とは異なる監視対象動物(例えば、監視対象動物6を有するユーザとは異なるユーザが有する監視対象動物)の情報、及び/又は動物監視システム1外や当該動物監視システム1とは別の動物監視システム1において取得された監視対象動物の情報及び/又は特徴量を直腸温教師データとして用い、直腸温推定モデルを生成してもよい。行動推定モデル及び省電力設定推定モデルも同様である。
【0048】
(直腸温推定部210)
直腸温推定部210は、体表温検出部500が検出した体表温を直腸温推定モデルに適用し、監視対象動物6の直腸温を推定する。すなわち、直腸温推定部210は、勾配法を用いた機械学習アルゴリズム等を用いて大量の動物の体表温のデータ及び動物の直腸温について学習させることにより構築された直腸温推定モデルを用いた推論処理により、動物の直腸温を算出する。例えば、直腸温推定部210は、監視デバイス5により取得される動物の体表温、動物の特徴量、及び/又は当該動物の周囲の環境情報と直腸温推定モデルとを用い、動物の直腸温を算出する。すなわち、直腸温推定部210は、少なくとも監視対象動物6の体表温と当該監視対象動物の直腸温との組み合わせを直腸温教師データとして受け付け、直腸温教師データによる機械学習により、少なくとも監視対象動物の体表温から監視対象動物の直腸温を出力する直腸温推定モデルに、体表温検出部500が検出した体表温を適用することで監視対象動物6の直腸温の推定値を出力する。直腸温推定部210は、出力した直腸温を推定結果情報格納部228に格納する。また、直腸温推定部210は、出力した直腸温を警告部232に供給する。なお、直腸温推定部210は、推定値としての直腸温の出力を所定の時間間隔(例えば、1秒間隔等)で実行できる。
【0049】
(行動推定部212)
行動推定部212は、後述の動作検出部502が検出する動作情報に基づいて、監視対象動物6の行動を推定する。具体的に行動推定部212は、監視デバイス5が検出した監視対象動物6の動作を示す動作情報を行動推定モデルに適用し、監視対象動物6の行動を推定する。すなわち、行動推定部212は、勾配法を用いた機械学習アルゴリズム等を用いて大量の動物の動作情報及び動物の動作情報に対応する行動を示す行動情報について学習させることにより構築された行動推定モデルを用いた推論処理により、動物の推定される行動の行動情報を算出する。例えば、行動推定部212は、監視デバイス5により取得される動物の体表温及び/又は動作、動物の特徴量、及び/又は当該動物の周囲の環境情報と行動推定モデルとを用い、動物の行動情報を算出する。すなわち、行動推定部212は、少なくとも監視対象動物6の動作の動作情報と当該動作に対応する行動の行動情報との組み合わせを行動推定データとして受け付け、行動推定データによる機械学習により、少なくとも監視対象動物の動作情報から監視対象動物の行動情報を出力する行動推定モデルに、監視デバイス5が検出した動作の動作情報を適用することで監視対象動物6の推定される行動の行動情報を出力する。行動推定部212は、出力した行動情報を推定結果情報格納部228に格納する。また、行動推定部212は、行動情報を警告部232、監視デバイス5の省電力制御部508に供給する。なお、行動推定部212は、行動情報の出力を所定の時間間隔(例えば、1秒間隔等)で実行できる。また、行動推定部212は、後述の動作検出部502における所定のセンサの検出値が予め定められた値を超えた場合に監視対象動物6が行動し、予め定められた値以下の場合に監視対象動物6が行動していないと推定してもよい。
【0050】
なお、行動情報とは、動物が生活する上で実行する行動を示す情報であって、例えば、監視対象動物6の食事、排泄、睡眠(入眠、目覚めの行動含む)、休憩若しくは休息(静止状態)、毛繕い、水飲み、及び/又は運動(歩行運動、走行運動、飛び跳ねる運動等)等を示す情報である。
【0051】
(警告部232)
警告部232は、後述する警告情報格納部230が格納する条件情報に基づいて警告情報を出力する。警告部232は、警告情報格納部230に格納されている条件情報を参照し、警告情報の出力の有無を決定する。具体的に、警告部232は、直腸温推定部210が推定した直腸温が予め定められた閾値以上の温度である場合、警告情報を出力する。また、警告部232は、行動推定部212から受け取った行動情報に基づいて警告情報を出力してもよい。警告部232は、行動推定部212から受け取った行動情報が、条件情報としての行動情報と一致する場合に警告情報を出力する。ここで条件情報としての行動情報は、監視対象動物6の健康状態に関する指標としてユーザが注意を要する指標である。一例として条件情報としての行動情報は、各種の行動(食事、排泄、睡眠、静止等の行動)の長さ、一の行動(例えば、食事等)と他の行動(例えば、排泄等)との間の時間、及び/又はその他の通常は取り得ない行動を示す情報である。更に警告部232は、情報取得部206が取得した環境情報に基づいて警告情報を出力できる。警告部232は、情報取得部206が取得した環境情報が、条件情報としての環境情報と一致する場合に警告情報を出力する。ここで条件情報としての環境情報は、例えば、監視対象動物6の周囲の温度や湿度等について予め定められた閾値である。警告部232は、環境情報が予め定められた状態(例えば、温度及び/又は湿度が予め定められた閾値以上になった状態)になった場合に警告情報を出力する。
【0052】
警告部232は、警告情報を中継デバイス4及び/又は情報端末7に供給する。警告部232は、電子メールやショートメッセージサービス(SMS)等により情報端末7に警告情報を供給する。また、警告部232は、情報端末7に予めインストールされている所定のアプリケーションに対して警告情報を供給し、当該アプリケーションが当該警告情報に対応する警告内容をユーザに知覚可能にプッシュ式で出力させてもよい。そして、警告情報を受け取った中継デバイス4及び/又は情報端末7は、警告情報をユーザに知覚可能に出力する。中継デバイス4及び/又は情報端末7は、警告情報を、例えば、テキスト、画像、及び/又は音声等の形式で出力する。
【0053】
(サーバ格納ユニット214)
サーバ格納ユニット214は、オペレーティングシステム(OS)や動物監視システム1に関する各種の情報を格納する。そして、サーバ格納ユニット214は、他の構成部材からの要求に応じ、所定の情報を所定の構成部材に供給する。また、サーバ格納ユニット214は、他の構成部材から供給される情報を所定の格納部に格納する。
【0054】
(サーバ格納ユニット214:ユーザ情報格納部216)
ユーザ情報格納部216は、ユーザ識別子に対応付けてユーザに関する情報を格納する。ユーザに関する情報は、ユーザ名、ユーザのアカウント用のユーザID、当該アカウント用のパスワード、ユーザが利用する情報端末7に関する情報(例えば、情報端末7を識別する情報端末識別情報や電話番号等)、及び/又はメールアドレス等のその他のユーザの個人情報等である。
【0055】
(サーバ格納ユニット214:監視対象動物情報格納部218)
監視対象動物情報格納部218は、監視対象動物6の監視対象動物識別子及び当該監視対象動物6を所有するユーザのユーザ識別子に対応付けて監視対象動物6に関する情報を格納する。監視対象動物6に関する情報は、監視対象動物6の名前、監視対象動物6の特徴量、及び/又は当該監視対象動物6を写した画像等の情報である。
【0056】
(サーバ格納ユニット214:中継デバイス情報格納部220)
中継デバイス情報格納部220は、監視対象動物6に装着されている監視デバイス5と連携している中継デバイス4の中継デバイス識別情報に対応付けて、中継デバイス4に関する情報を格納する。中継デバイス4に関する情報は、中継デバイス4の製造番号、当該中継デバイス4が対応付けられている情報端末7に関する情報(例えば、情報端末7の情報端末識別情報、情報端末7のユーザに関する情報(例えば、ユーザ識別子))、及び/又はMACアドレス等である。
【0057】
(サーバ格納ユニット214:監視デバイス情報格納部222)
監視デバイス情報格納部222は、監視デバイス5の監視デバイス識別情報に対応付けて、動物監視システム1において登録されている監視デバイス5に関する情報を格納する。監視デバイス5に関する情報は、監視デバイス5と連携している情報端末7のユーザのユーザ識別子、監視デバイスの種類(例えば、監視対象動物6の身体のいずれの位置に装着させるデバイスであるかを示す種類)、監視デバイスを省電力制御する場合における省電力制御の内容、省電力制御を実行させるための条件(例えば、監視デバイス5に加わる加速度の値等)、充放電履歴、及び/又は消費電力履歴等の情報である。
【0058】
(サーバ格納ユニット214:モデル情報格納部224)
モデル情報格納部224は、動物監視システム1で用いられる学習モデルを格納する。学習モデルは、直腸温推定モデル、行動推定モデル、及び/又は省電力設定推定モデル等である。
【0059】
(サーバ格納ユニット214:検出情報格納部226)
検出情報格納部226は、監視デバイス5において検出された各種情報であって情報取得部206が取得した各種情報を格納する。検出情報格納部226は、監視デバイス5の監視デバイス識別情報及び各種情報の検出日時に対応付けて各種情報を格納する。各種情報は、監視デバイス5が検出する監視対象動物6の体表温、及び/又は監視対象動物6の動作に関する情報等である。また、検出情報格納部226は、中継デバイス4において検出された環境情報を格納する。検出情報格納部226は、中継デバイス4の中継デバイス識別情報と環境情報を検出した日時とに対応付けて環境情報を格納する。
【0060】
(サーバ格納ユニット214:推定結果情報格納部228)
推定結果情報格納部228は、直腸温推定部210が出力した監視対象動物6の直腸温、及び/又は行動推定部212が推定した監視対象動物6の行動情報を格納する。推定結果情報格納部228は、監視対象動物識別子に対応付けて、当該監視対象動物識別子で識別される監視対象動物6の直腸温及び/又は行動情報を格納する。また、推定結果情報格納部228は、監視デバイス5による監視対象動物6の体表温の検出日時に対応付けて、当該体表温に基づいて算出された直腸温を格納することができる。同様に、推定結果情報格納部228は、監視デバイス5による監視対象動物6の動作の検出日時に対応付けて、当該動作に基づいて推定される行動情報を格納することができる。なお、検出日時には、検出の年月日、時分秒を含むこともできる。
【0061】
(サーバ格納ユニット214:警告情報格納部230)
警告情報格納部230は、警告部232が警告情報を出力する場合の条件を示す条件情報を格納する。具体的に、警告情報格納部230は、警告部232が警告情報を出力する基準となる直腸温の閾値を条件情報として格納する。また、警告情報格納部230は、警告部232が警告情報を出力する条件となる行動情報及び/又は環境情報を条件情報として格納する。
【0062】
(省電力設定推定部233)
省電力設定推定部233は、監視デバイス5により検出された監視対象動物6の動作を示す動作情報、監視デバイス5に対する充電に関する情報、及び/又は監視デバイス5における消費電力に関する情報を省電力設定推定モデルに適用し、監視デバイス5に効率的な省電力制御を実行させる条件を出力する。すなわち、省電力設定推定部233は、勾配法を用いた機械学習アルゴリズム等を用いて大量の動物の動作情報、充電に関する情報、及び/又は消費電力に関する情報について学習させることにより構築された消費電力設定推定モデルを用いた推論処理により、監視デバイス5に対して省電力制御を実行させる条件を出力する。
【0063】
例えば、省電力設定推定部233は、監視デバイス5により取得される動物の体表温及び/又は動作、監視デバイス5の充電に関する情報、及び/又は監視デバイス5の消費電力に関する情報と消費電力設定推定モデルとを用い、監視デバイス5に省電力制御を実行させる条件を出力する。すなわち、省電力設定推定部233は、少なくとも監視対象動物6の動作の動作情報と消費電力に関する情報とを省電力設定教師データとして受け付け、省電力設定教師データによる機械学習により、監視対象動物の動作情報から監視デバイス5に効率的な省電力制御を実行させる条件を出力する省電力設定推定モデルに、監視デバイス5が検出した動作の動作情報を適用することで省電力制御を実行させる条件を出力する。
【0064】
省電力設定推定モデルは、例えば、一の動作情報が入力された場合において、一の動作情報が示す動作時における監視デバイス5の消費電力と他の動作情報が示す動作時における監視デバイス5の消費電力とを比較し、一の動作情報が示す動作時における消費電力が他の動作情報が示す動作時における消費電力より大きい場合、他の動作情報が示す動作時に監視デバイス5の省電力制御を実行させるための条件として、監視デバイス5の所定の構成部材の動作を停止等させる命令を出力するモデルであってよい。つまり、監視対象動物6の行動が低調な場合(例えば、睡眠時や休息時等)に監視デバイス5の省電力制御を開始させ、当該行動が活発な場合(例えば、運動時や食事中等)に監視デバイス5の省電力制御を停止させる。
【0065】
省電力設定推定部233は、出力した条件を監視デバイス情報格納部222に格納する。また、省電力設定推定部233は、出力した条件を中継デバイス4に供給する。中継デバイス4の省電力設定部406は、当該条件を受け取った場合、当該条件に応じた監視デバイス5の省電力制御を開始する。中継デバイス4が監視デバイス5の省電力制御部508に実行させる省電力制御は、例えば、監視デバイス5が有する各構成部材の起動若しくは停止や、所定の情報を検出する部材における情報検出のサンプリング周波数を低減させること等の制御である。なお、省電力設定推定部233は、省電力制御の条件に応じた制御を所定の時間間隔(例えば、1秒間隔等)で実行できる。
【0066】
(サーバ通信部234)
サーバ通信部234は、中継デバイス4及び情報端末7と通信網3を介して双方向通信可能に通信する。なお、サーバ2が有する各構成部材は、サーバ通信部234を介して中継デバイス4及び/又は情報端末7から所定の情報を取得し、サーバ通信部234を介して中継デバイス4及び/又は情報端末7の所定の構成部材に所定の情報を供給する。
【0067】
[中継デバイス4の詳細]
図5は、本実施形態に係る中継デバイスの機能構成の一例を示す。
【0068】
中継デバイス4は、監視デバイス5及び情報端末7との連携処理を制御する連携制御部400と、周囲の環境の状況を測定する環境測定部402と、監視デバイス5の位置を検出する位置情報検出部404と、監視デバイス5の省電力モードを設定する省電力設定部406と、各種情報を格納する中継デバイス格納ユニット408と、監視デバイス5の充電を制御する充電制御部414と、中継デバイス4及び/又は監視デバイス5にインストールされているプログラムを更新するプログラム更新部416と、サーバ2等と通信する中継通信部418と、所定の情報を出力する出力部420とを有する。中継デバイス格納ユニット408は、連携処理に関する情報を格納する連携情報格納部410と、監視デバイス5の省電力制御に関する情報を格納する省電力情報格納部412とを含む。なお、中継デバイス4は、汎用のオペレーティングシステムがインストールされて動作するパソコンや情報端末として構成することも、所定のマイコンを用いて構成することもできる。また、中継デバイス4の各構成部材は、外部の電源から電力の供給を受けて動作する。
【0069】
(連携制御部400)
連携制御部400は、中継デバイス4とサーバ2との間、中継デバイス4と監視デバイス5との間、及び中継デバイス4と情報端末7との間で双方向通信可能な状態に設定する(以下、係る設定を「連携する」と称する場合がある。)。すなわち、連携制御部400は、サーバ2、中継デバイス4、監視デバイス5、及び/又は情報端末7それぞれの間の通信接続を確立する。
【0070】
(環境測定部402)
環境測定部402は、中継デバイス4の周囲の環境に関する状況を測定する。具体的に環境測定部402は、周囲の環境の温度、湿度、照度、酸素濃度、二酸化炭素濃度、及び/又は音声等を測定する。したがって、環境測定部402は、温度センサ、湿度センサ、照度センサ、ガスセンサ、及び/又は音声センサ等を含んで構成される。環境測定部402は、構成の容易さの観点から少なくとも温度及び湿度を測定する構成にすることが好ましい。環境測定部402は、測定した環境に関する状況を示す環境情報をサーバ2の情報取得部206に供給する。
【0071】
ここで、環境測定部402は、監視対象動物6が位置する空間であって、監視対象動物6に装着されている監視デバイス5の体表温検出部500から離間した位置に設置される。すなわち、環境測定部402は中継デバイス4が有しているので、監視対象動物6から離れた位置に存在する。
【0072】
なお、環境測定部402は、中継デバイス4と監視デバイス5との間で双方向通信可能な状態の場合に測定した環境情報に所定のフラグを付して情報取得部206に供給できる。このフラグは、モデル生成部208、直腸温推定部210、及び行動推定部212において利用可能な環境情報であることを示すフラグであってよい。モデル生成部208、直腸温推定部210、及び行動推定部212はそれぞれ、当該フラグが付された環境情報を用いて所定の処理を実行する。これにより、監視デバイス5が中継デバイス4との通信ができない位置に存在する場合(監視対象動物6が中継デバイス4から遠ざかり、中継デバイス4と監視デバイス5との間の通信ができなくなった場合)における環境情報を排除できる。そして、当該フラグが付されていない環境情報を情報取得部206が受け取っている間、直腸温推定部210及び行動推定部212はそれぞれ、監視対象動物6の直腸温及び行動情報の出力を停止してよい。また、中継デバイス4と監視デバイス5との間で双方向通信ができない間(通信不能期間)、中継通信部418は通信不能期間であることをサーバ2に通知し、直腸温推定部210及び行動推定部212は、通信不能期間中、それぞれの処理を停止してもよい。
【0073】
(位置情報検出部404)
位置情報検出部404は、中継デバイス4に対する監視デバイス5の位置に関する位置情報を検出する。位置に関する情報は、中継デバイス4から監視デバイス5までの距離、及び/又は中継デバイス4を基点とした場合における監視デバイス5の存在する方向に関する情報である。例えば、位置情報検出部404は、後述する監視デバイス通信部520からの信号強度に基づいて中継デバイス4から監視デバイス5までの距離及び監視デバイス5の方向を推定する。すなわち、監視デバイス通信部520が発信する信号強度は距離に応じて減衰するので、位置情報検出部404は受信する信号強度に基づいて監視デバイス5までの距離を推定する。また、位置情報検出部404は、複数の信号受信部を含んでいてよく、各信号受信部が受信する信号強度に基づいて監視デバイス5の中継デバイス4に対する方向を推定する。位置情報検出部404は、検出した監視デバイス5の位置情報を情報取得部206に供給する。
【0074】
(省電力設定部406)
省電力設定部406は、サーバ2の省電力設定推定部233から受け取る省電力制御を実行させるための条件(省電力実行条件)に基づいて、監視デバイス5の省電力制御を実行する。また、省電力設定部406は、行動推定部212の推定結果を直接受け取り、受け取った推定結果に基づいて監視デバイス5の省電力制御を実行することもできる。
【0075】
(中継デバイス格納ユニット408)
中継デバイス格納ユニット408は、OSや動物監視システム1に関する各種の情報を格納する。そして、中継デバイス格納ユニット408は、他の構成部材からの要求に応じ、所定の情報を所定の構成部材に供給する。また、中継デバイス格納ユニット408は、他の構成部材から供給される情報を所定の格納部に格納する。なお、中継デバイス格納ユニット408は、中継デバイス4自体に関する情報(例えば、中継デバイス4の中継デバイス識別情報や中継デバイス4の動作設定に関する各種の設定情報等)も格納できる。
【0076】
(中継デバイス格納ユニット408:連携情報格納部410)
連携情報格納部410は、中継デバイス4と連携している監視デバイス5及び/又は情報端末7に関する情報を格納する。連携情報格納部410は、監視デバイス5の監視デバイス識別子に対応付けて監視デバイス5に関する情報を格納する。また、連携情報格納部410は、情報端末7の情報端末識別子に対応付けて情報端末7に関する情報を格納する。連携情報格納部410が格納する監視デバイス5に関する情報は、監視デバイス情報格納部222が格納する情報と同一であってよい。
【0077】
(中継デバイス格納ユニット408:省電力情報格納部412)
省電力情報格納部412は、中継デバイス4と連携している監視デバイス5の省電力制御に関する情報を格納する。省電力制御に関する情報は、監視デバイス5に所定の省電力モードに基づく省電力制御を実行させるための条件、及び/又は所定の省電力モードに関する情報である。なお、省電力モードとは、監視デバイス5を省電力制御する場合におけるモードであり、監視デバイス5が有する各構成部材それぞれの起動及び停止等の組み合わせを設定することで複数のパターンの省電力モードを設定できる。したがって、省電力モードに関する情報とは、このパターンを示す情報(省電力設定データ)であってよい。
【0078】
(充電制御部414、プログラム更新部416)
充電制御部414は、中継デバイス4の装着部42に装着された監視デバイス5が有するバッテリーへの充電を制御する。また、プログラム更新部416は、中継デバイス4にインストールされているプログラムの更新、及び装着部42に装着された監視デバイス5にインストールされているプログラムの更新を実行する。
【0079】
(中継通信部418)
中継通信部418は、サーバ2及び情報端末7と通信網3を介して双方向通信可能に通信する。また、中継通信部418は、監視デバイス5と中継デバイス4との間、及び/又は情報端末7と中継デバイス4との間では近距離無線通信により双方向通信可能に通信接続できる。なお、中継デバイス4が有する各構成部材は、中継通信部418を介してサーバ2、監視デバイス5、及び/又は情報端末7から所定の情報を取得し、中継通信部418を介してサーバ2、監視デバイス5、及び/又は情報端末7の所定の構成部材に所定の情報を供給する。例えば、中継通信部418は、監視デバイス5から受け取った情報(監視対象動物6の体表温を示す情報や動作を示す情報等)をサーバ2に供給する。
【0080】
(出力部420)
出力部420は、中継デバイス4、及び/又は監視デバイス5に関する状況をユーザに知覚可能に出力する。例えば出力部420は、警告部232から受け取る警告情報を出力する。出力部420は、一例として、テキスト情報や画像情報を出力する表示部(液晶表示部や有機ELディスプレイ等)、及び/又は音声出力部等である。
【0081】
[監視デバイス5、情報端末7の詳細]
図6は、本実施形態に係る監視デバイス及び情報端末の機能構成の一例を示す。具体的に図6(a)は監視デバイス5の機能構成の一例の概要を示し、図6(b)は情報端末7の機能構成の一例の概要を示す。
【0082】
監視デバイス5は、監視対象動物6の体表温を検出すると共に動作(動き)を検出する。すなわち、図6(a)に示すように監視デバイス5は、監視対象動物6の体表温を検出する体表温検出部500と、監視対象動物6の動作を検出する動作検出部502と、監視デバイス5のバッテリー524に関する情報を検出する電力情報検出部504と、監視デバイス5の省電力モードの内容を設定する省電力モード設定部506と、省電力制御を実行する省電力制御部508と、各種の情報を格納する監視デバイス格納ユニット510と、外部と通信する監視デバイス通信部520と、所定の情報を出力する監視デバイス出力部522と、監視デバイス5の各構成部材に電力を供給するバッテリー524とを有する。また、監視デバイス格納ユニット510は、監視デバイス5に関する情報を格納する監視デバイス情報格納部512と、バッテリー524の充電や電力消費に関する情報を格納する充電・電力消費情報格納部514と、省電力モードに関する情報を格納する省電力モード情報格納部516と、省電力制御を実行させる条件に関する情報を格納する省電力情報格納部518とを含む。
【0083】
なお、監視デバイス5の各構成部材は、体表温検出部500及び動作検出部502を除きマイコンで構成でき、バッテリー524からの電力供給により動作可能である。また、監視デバイス5は、一例として、監視対象動物6の首回りに装着される首輪型デバイスとして構成できるが、監視対象動物6の体表温及び動作を検出でき、監視対象動物6が不快をほとんど感じない限り、監視対象動物6の身体の他の部分に装着されるデバイスであってもよい。
【0084】
(体表温検出部500)
体表温検出部500は、ベルト等の補助具を用いて監視対象動物6に装着され、監視対象動物6の体表温を検出する。体表温検出部500は監視対象動物6の体表面に装着される。体表温検出部500の装着位置は、監視対象動物6の肛門部を除く位置であることが好ましく、首周り付近であることがより好ましく、喉付近であることが更に好ましい。体表温検出部500は、体表温を測定できるセンサ等であって小型センサであれば特に限定はない。例えば、体表温検出部500はサーミスタを用いて構成できる。本実施形態に係る体表温検出部500は、赤外線センサではなくサーミスタを用いて構成できることから小型化を実現でき、監視対象動物6の不快感を低減できる。体表温検出部500は、検出した体表温の情報(体表温情報)を中継デバイス4の中継通信部418を介し、情報取得部206、検出情報格納部226に供給する。
【0085】
(動作検出部502)
動作検出部502は、監視対象動物6に装着され、監視対象動物6の動作及び/又は向きを検出する。例えば、動作検出部502は、加速度、角速度、及び地磁気それぞれを3軸で計測する9軸モーションセンサを用いて構成できる。9軸モーションセンサは、3軸加速度センサ、3軸ジャイロセンサ(3軸加速度センサ)、3軸地磁気センサ(3軸磁気センサ)を含んで構成される。3軸ジャイロセンサは、一例として、MEMSジャイロセンサである。なお、動作検出部502においては、3軸加速度センサ、3軸ジャイロセンサ、及び3軸地磁気センサそれぞれを起動させる閾値を各センサそれぞれに設定できる。また、動作検出部502は9軸モーションセンサに限らず、他のモーションセンサであってもよい。
【0086】
3軸加速度センサ及び3軸ジャイロセンサは、監視対象動物6の様々な動作(動き)を検出する。すなわち、3軸加速度センサ及び3軸ジャイロセンサはそれぞれ、各センサに加わる振動(揺れ)状態の加速度及び角速度を検出し、当該振動(つまり、加速度及び角速度)の大きさに応じた振動波形の電圧値を出力する。例えば、3軸加速度センサの場合、互いに直交する3軸方向(X軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向)に加わる振動の大きさに応じた加速度、つまり、前後、左右、及び上下の3軸に加わる加速度の大きさに比例した電圧値を出力する。また、3軸ジャイロセンサは、3軸まわりの角速度の大きさに比例した電圧値を出力する。更に、3軸地磁気センサは、監視対象動物6の姿勢(つまり、向き及び傾き)として、監視対象動物6がいずれの方向を向いているかやどのような姿勢であるかを検出し、当該方向や姿勢に応じた電圧値を出力する。
【0087】
動作検出部502は、3軸加速度センサ、3軸ジャイロセンサ、及び3軸地磁気センサそれぞれが検出した検出値を動作情報として、中継デバイス4を介してサーバ2の情報取得部206に供給する。動作検出部502は、情報端末7からの所定の指示の有無にかかわらず、予め定められた時間間隔(例えば、1秒間隔や5秒間隔等)で情報取得部206に動作情報を供給する。情報取得部206は、動作検出部502が検出した検出値を、監視デバイス識別情報及び検出日時に対応付けて検出情報格納部226に格納する。また、動作検出部502は、検出した検出値を動作情報として、中継デバイス4の中継通信部418を介し、省電力設定推定部233に供給する。
【0088】
なお、サーバ2のモデル生成部208が用いる行動教師データに含まれる動作情報しては、少なくとも3軸加速度センサが検出した検出値を含む。また、行動教師データは、3軸ジャイロセンサ、及び/又は3軸地磁気センサが検出した検出値を含んでいてもよい。
【0089】
(電力情報検出部504)
電力情報検出部504は、バッテリー524の充放電に関する情報、消費電力に関する情報を検出する。電力情報検出部504は、予め定められた時間間隔(例えば、1秒や5秒等)でこれらの情報を検出する。電力情報検出部504は、検出した情報を省電力設定推定部233、充電・電力消費情報格納部514に供給する。
【0090】
(省電力モード設定部506)
省電力モード設定部506は、3軸加速度センサ、3軸ジャイロセンサ、又は3軸地磁気センサのいずれか1つのセンサの検出結果に基づいて、動作検出部502を構成する各センサの起動、停止、及び/又はサンプリング周波数を規定した監視デバイス5の省電力モードの内容を設定する。例えば、9軸モーションセンサの各センサそれぞれを起動させる閾値として所定の加速度の値が設定されている場合、省電力モード設定部506は、3軸加速度センサの検出結果が当該所定の加速度の値を下回った場合は3軸加速度センサを除く他の各センサを停止させ、検出結果が当該所定の加速度以上の場合は3軸加速度センサを除く他の各センサを起動させるように各センサ(ただし、3軸加速度センサを除く)を制御する内容の省電力モードを設定する。省電力モード設定部506は設定した内容を示す省電力モードを省電力制御部508、省電力モード情報格納部516に供給する。
【0091】
(省電力制御部508)
省電力制御部508は、例えば、以下の3つの方式で監視デバイス5の体表温検出部500及び/又は動作検出部502の省電力制御を実行する。
【0092】
(方式1)
省電力制御部508は、サーバ2の行動推定部212の推定結果に基づいて省電力制御を実行する。すなわち、省電力制御部508は、行動推定部212の推定結果が、監視対象動物6の行動が活発ではない状態(例えば、睡眠状態や休息状態である状態等の実質的に静止している状態であり、「不活発状態」という。)を示す場合、省電力制御を実行する。つまり、監視対象動物6が睡眠状態や休息状態であることを推定結果が示す場合、サーバ2の省電力設定推定部233は、監視デバイス5に省電力制御を実行させるための条件(省電力実行条件)を出力する。そして、省電力設定推定部233は、省電力実行条件を中継デバイス4の省電力設定部406に供給する。省電力設定部406は、省電力実行条件に基づいて省電力制御部508を制御し、省電力制御部508は監視デバイス5の省電力制御を開始する。
【0093】
なお、「実質的に静止している状態」とは、監視対象動物6が文字通り静止している状態だけではなく、動作検出部502による動作の検出に基づいて行動推定部212が推定する行動が、監視対象動物6の動きや動作がほとんどない行動(睡眠状態、休息状態、寝転んだ状態、覚醒中であるものの略静止している状態等)の状態も含む。
【0094】
この省電力制御においては、3軸加速度センサ、3軸ジャイロセンサ、及び3軸地磁気センサの少なくとも1つの動作の停止、並びに3軸加速度センサ、3軸ジャイロセンサ、及び3軸地磁気センサの少なくとも1つのサンプリング周波数の予め定められたサンプリング周波数への変更により消費電力を抑制できる。例えば、省電力制御において、3軸加速度センサ、3軸ジャイロセンサ、及び3軸地磁気センサそれぞれの起動若しくは停止の組み合わせ、並びに3軸加速度センサ、3軸ジャイロセンサ、及び3軸地磁気センサそれぞれのサンプリング周波数の所定割合の低減の組み合わせを省電力制御実行のための条件として予め設定しておく。そして、省電力制御部508は、行動推定部212の推定結果が監視対象動物6の行動が活発ではない状態を示す場合、予め設定した省電力制御実行のための条件に基づいて各センサを省電力制御する。また省電力制御部508は、推定結果が監視対象動物6の行動が活発である状態(例えば、睡眠状態や休息状態を除く他の状態等であり、「活発状態」という。)を示す場合、省電力制御を停止する。
【0095】
(方式2)
省電力制御部508は、省電力モード情報格納部516に格納されている省電力モード設定部506が設定した内容(つまり、省電力モード(省電力設定データ))に基づいて、監視デバイス5の動作検出部502の省電力制御を実行する。すなわち、省電力制御部508は、省電力モード設定部506が設定した内容に応じ、9軸モーションセンサの各センサそれぞれの起動若しくは停止を制御し、省電力制御を実行する。なお、省電力制御部508は、9軸モーションセンサの各センサそれぞれについて個別に起動若しくは停止を制御することも、全てのセンサを同時に制御し、各センサを同時に起動若しくは停止させる制御をすることもできる。
【0096】
(方式3)
省電力制御部508は、サーバ2の省電力設定推定部233が出力する条件(省電力実行条件)に基づいて監視デバイス5の省電力制御を実行してもよい。例えば、省電力設定推定部233が出力する省電力制御を実行させるための条件として、9軸モーションセンサそれぞれの起動及び停止、各センサのサンプリング周波数の低減等の条件が挙げられる。すなわち、3軸加速度センサ、3軸ジャイロセンサ、及び3軸地磁気センサそれぞれの起動若しくは停止の組み合わせ、並びに3軸加速度センサ、3軸ジャイロセンサ、及び3軸地磁気センサそれぞれのサンプリング周波数の所定割合の低減の組み合わせを、省電力制御を実行させるための条件にすることができる。省電力制御部508は、省電力設定推定部233が出力した条件に基づいて各センサを起動若しくは停止させ、各センサのサンプリング周波数を所定のサンプリング周波数に低減させることで省電力制御を実行する。
【0097】
(監視デバイス格納ユニット510)
監視デバイス格納ユニット510は、OSや動物監視システム1に関する各種の情報を格納する。そして、監視デバイス格納ユニット510は、他の構成部材からの要求に応じ、所定の情報を所定の構成部材に供給する。また、監視デバイス格納ユニット510は、他の構成部材から供給される情報を所定の格納部に格納する。
【0098】
(監視デバイス格納ユニット510:監視デバイス情報格納部512)
監視デバイス情報格納部512は、監視デバイス5を識別する監視デバイス識別子に対応付けて監視デバイス5に関する情報を格納する。監視デバイス5に関する情報は、例えば、この監視デバイス5の種類や設置場所等の情報である。
【0099】
(監視デバイス格納ユニット510:充電・電力消費情報格納部514)
充電・電力消費情報格納部514は、電力情報検出部504が検出した情報を格納する。充電・電力消費情報格納部514は、バッテリー524の充放電に関する情報、及び/又は消費電力に関する情報を格納する。充電・電力消費情報格納部514は、これらの情報を電力情報検出部504が検出した日時に対応付けて格納する。また、充電・電力消費情報格納部514は、これらの情報の履歴(つまり、充放電に関する情報及び/又は消費電力に関する情報各々の履歴)を一定期間格納し、一定期間経過後は消去してもよい。
【0100】
(監視デバイス格納ユニット510:省電力モード情報格納部516)
省電力モード情報格納部516は、省電力モード設定部506が設定した内容を格納する。すなわち、省電力モード情報格納部516は、動作検出部502を構成する各センサの省電力制御の起動若しくは停止に用いる加速度の閾値等を示す情報の組み合わせを省電力モードとして格納する。省電力モード情報格納部516は、9軸モーションセンサの各センサそれぞれについて個別に起動若しくは停止を制御することを目的とし、各センサ個別に起動若しくは停止の判断基準である加速度の閾値を示す情報を格納することも、全てのセンサを同時に起動若しくは停止の制御をすることを目的として、全てのセンサに共通の起動若しくは停止の判断基準である加速度の閾値を示す情報を格納することもできる。
【0101】
(監視デバイス格納ユニット510:省電力情報格納部518)
監視デバイス5の省電力制御として複数の省電力モード(省電力設定データ)を予め設定できる。省電力モードは、例えば、動作検出部502の3軸加速度センサが検出する加速度の値に基づいて、9軸モーションセンサの各センサそれぞれの起動若しくは停止等の実行を予め規定した内容である。つまり、3軸加速度センサ、3軸ジャイロセンサ、及び3軸地磁気センサそれぞれのいずれを起動させいずれを停止させるかについてや、起動させる場合における各センサのサンプリング周波数の値、そして、起動させる場合の判断基準である加速度の値を、各センサに個別に設定することで複数の省電力モードを構成する。一例として、検出された加速度がx(m/s)の場合には、3軸加速度センサ、3軸ジャイロセンサ、及び3軸地磁気センサの全てを起動させる省電力モードとして設定し、加速度がyの場合には(ただし、x>yとする)、3軸加速度センサを起動させ、3軸ジャイロセンサ及び3軸地磁気センサを停止させる省電力モードとして設定する。このように、監視デバイス5の複数の省電力モードを予め設定できる。そして、省電力情報格納部518は、これら複数の省電力モードを格納する。また、省電力情報格納部518は、省電力モード情報格納部516に格納されている省電力モードであって情報端末7を介してユーザが選択した省電力モードを、優先的に用いる省電力モードとして格納してよい。
【0102】
(監視デバイス通信部520)
監視デバイス通信部520は、中継デバイス4及び情報端末7と近距離無線通信により双方向通信可能に通信する。また、監視デバイス通信部520は、通信網3を介してサーバ2及び/又は情報端末7と直接(中継デバイス4を介さずに)、双方向通信可能に通信してもよい。なお、監視デバイス5が有する各構成部材は、監視デバイス通信部520を介してサーバ2、中継デバイス4、及び/又は情報端末7から所定の情報を取得し、監視デバイス通信部520を介してサーバ2、中継デバイス4、及び/又は情報端末7の所定の構成部材に所定の情報を供給する。
【0103】
(監視デバイス出力部522)
監視デバイス出力部522は、監視デバイス5の動作状況等を簡易的に出力する。監視デバイス出力部522は、一例として発光ダイオード(LED)等で構成可能なインディケータであり、例えば、発光の仕方(例えば、発光色、点滅の有無、点滅の間隔等)により、監視デバイス5からサーバ2等へ所定の情報を供給する状況や監視デバイス5のバッテリーの所定の状況(充放電の状況)、及び/又は所定のエラー等を簡易的に示す。
【0104】
図6(b)に示すように情報端末7は、ユーザからの所定の情報の入力を受け付ける入力部700と、所定の情報を出力する出力部702と、サーバ2や中継デバイス4と通信する情報端末通信部704と、所定の情報を格納する情報端末格納部706とを有する。
【0105】
(入力部700、出力部702)
入力部700は、ユーザからの所定の指示や操作等の入力を受け付ける。入力部700は、動物監視システム1の所定の構成部材に当該指示を供給する。当該指示を受け付けた各構成部材はそれぞれ所定の機能を発揮する。入力部700は、ユーザからの操作入力を受け付けるための入力装置(例えば、タッチパネル、タッチパッド、マウス等のポインティングデバイス、キーボード、モーションセンサ等)である。
【0106】
出力部702は、動物監視システム1の実行に関する各種情報(例えば、テキスト情報、静止画や動画の画像情報、音声情報等)を出力する。出力部702、各種の処理結果やサーバ格納ユニット214、中継デバイス格納ユニット408、監視デバイス格納ユニット510、及び/又は情報端末格納部706が格納している情報をユーザが知覚可能に出力する。具体的に出力部702は、各構成部材における各種処理結果や各格納ユニット、情報端末格納部706が格納している情報を、所定形式のデータ、静止画像、動画像、及び/又はテキスト等として出力する。出力部702は、外部のサーバから受け取る情報を出力してもよい。なお、出力部702は、各種情報を表示する表示部、音声を出力するスピーカー等の音声出力部等を有して構成されてよい。そして、表示部は、例えば、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイであってよい。
【0107】
例えば、入力部700は、ユーザからの監視対象動物6の直腸温及び/又は行動の取得指示を受け付ける。そして、サーバ2の直腸温推定部210及び/又は行動推定部212、若しくは推定結果情報格納部228は、直腸温及び/又は推定された行動に関する情報を出力部702に供給する。出力部702は受け取った情報をユーザに知覚可能に出力する。なお、直腸温推定部210及び行動推定部212は、入力部700から当該取得指示を受け付けていない場合においても直腸温の推定、及び行動の推定を随時実行しており、推定結果を推定結果情報格納部228に格納し続けている。したがって、ユーザは情報端末7を介して当該取得指示をした時点における監視対象動物6の直腸温及び/又は推定された行動を把握することだけでなく、当該取得指示をした時点より過去の時点を指定して、過去の時点における直腸温及び/又は推定された行動を把握することもできる。
【0108】
(情報端末通信部704)
情報端末通信部704は、サーバ2及び中継デバイス4と通信網3を介して双方向通信可能に通信する。また、情報端末通信部704は、中継デバイス4と近距離無線通信により双方向通信可能に通信することもできる。なお、情報端末7が有する各構成部材は、情報端末通信部704を介してサーバ2、中継デバイス4、及び/又は監視デバイス5から所定の情報を取得し、情報端末通信部704を介してサーバ2、中継デバイス4、及び/又は監視デバイス5の所定の構成部材に所定の情報を供給する。
【0109】
(情報端末格納部706)
情報端末格納部706は、OSや情報端末7に関する情報を格納する。情報端末7に格納する情報は、例えば、情報端末7を用いるユーザに関する情報、電話番号、メールアドレス、及び/又はその他のテキスト情報や画像情報等である。
【0110】
なお、情報端末7は、動物監視システム1用のアプリケーションがインストールされていてもよい。このアプリケーションは、以下の機能を有して構成できる。すなわち、アプリケーションは、ユーザ認証するユーザ認証部と、サーバ2から受け取る監視対象動物6の推定された行動情報が示す行動を出力部702に出力する行動出力部と、入力部700を介して監視対象動物6のサーバ2への登録操作及びサーバ2へ供給する監視対象動物6の特徴量の入力を受け付ける特徴入力部と、サーバ2において推定された監視対象動物6の直腸温を出力部702に出力する直腸温出力制御部と、情報端末7と連携している中継デバイス4に関する情報を出力部702に出力させる中継デバイス出力制御部と、監視対象動物6に対する警告部232からの警告情報をプッシュ式に出力部702に出力させるアラーム部とを有して構成できる。
【0111】
ここで、サーバ2、中継デバイス4、監視デバイス5、及び情報端末7はそれぞれ、図示しない中央演算処理装置(Central Processing Unit:CPU)、RAM等の汎用の構成要素が接続されるバスに、サーバ2、中継デバイス4、監視デバイス5、及び情報端末7それぞれの各構成部材が接続されて構成される。
【0112】
[動物監視システム1の処理の流れ]
図7から図16は、本実施形態に係る動物監視システムにおける処理の流れの概要の一例及び情報端末における出力内容の概要の一例を示す。なお、中継デバイス及び監視デバイスの数は1つ以上であればそれぞれの数に限定はない。また、1つの中継デバイスと複数の監視デバイスとを連携させることもできる。
【0113】
(ユーザ登録及びデバイスの連携処理)
図7及び図9は、ユーザ登録及びデバイスの連携処理の流れの概要の一例を示す。また、図8はユーザ登録時における情報端末の出力内容の概要の一例を示し、図10は連携した中継デバイスに関する情報の情報端末における出力内容の概要の一例を示す。
【0114】
まず、中継デバイス4の電源が入った場合、中継デバイス4と監視デバイス5とを連携させて中継デバイス4と監視デバイス5とを初期設定すると共に、中継デバイス4とサーバ2とを連携させる。すなわち、図7に示すように、連携制御部400は、中継デバイス4と情報端末7との間、及び中継デバイス4と監視デバイス5との間を近距離無線通信で接続させ、情報端末7を介してユーザから受け付ける連携指示に応じ、中継デバイス4と情報端末7との間を連携させる処理(ステップ10。以下、ステップを「S」と表す。)、及び中継デバイス4と監視デバイス5との間を連携させる処理(S12)を実行する。
【0115】
また、情報端末7は通信網3を介してサーバ2に接続する。ここで、情報端末7は、ユーザからの中継デバイス4に関するネットワーク設定の指示(S14)に応じ、中継デバイス4のローカルネットワーク設定を実行し(S16)、通信網3を介して中継デバイス4とサーバ2とを双方向通信可能に接続させる(S18)。なお、ローカルネットワーク設定においては、中継デバイス4と通信網3との間にルータを設け、当該ルータに対してローカルネットワーク設定を実行してもよい。そして、情報端末7は、連携した中継デバイス4に関する情報を中継デバイス4から取得し(S20)、情報端末格納部706に取得した中継デバイス4に関する情報を格納する(S22)。
【0116】
また、サーバ2の認証登録部200は、情報端末7に対し、ユーザの登録を要求する(S24)。すなわち、認証登録部200は、情報端末7に対し、ユーザの新規アカウント情報の作成を要求する。例えば、図8に示すように、認証登録部200は、情報端末7の出力部702にユーザの名称を入力するユーザネーム入力欄710、パスワードを入力するパスワード入力欄712、サーバ2へのサインインを要求するサインインアイコン714、及び新規アカウント登録を要求する新規アカウント登録アイコン716を表示させる。情報端末7は、新規アカウント登録アイコン716に対する入力指示に応じ、新規アカウントの登録についての情報を認証登録部200に供給する(S26)。認証登録部200は、当該情報を用い、ユーザのアカウント情報(ユーザID及びパスワード)を作成する。これによりユーザのアカウントが発行される(S28)。なお、認証登録部200は、ユーザのアカウント情報をユーザ情報格納部216に格納する。
【0117】
また、認証登録部200は、情報端末格納部706に格納されている中継デバイス4に関する情報を情報端末7から取得する(S30)。そして、認証登録部200は、情報端末7から取得した中継デバイス4に関する情報に情報端末7のユーザを対応付け、中継デバイス情報格納部220に格納して登録する(S32)。すなわち、認証登録部200は、中継デバイス4の中継デバイス識別情報に対応付けてユーザ識別子若しくはユーザのアカウント情報を中継デバイス情報格納部220に格納する。
【0118】
一方、中継デバイス4は、連携している監視デバイス5に関する情報(例えば、監視デバイス5の監視デバイス識別情報等)を当該監視デバイス5から取得し(S34)、認証登録部200に供給する(S36)。認証登録部200は、中継デバイス4から取得した監視デバイス5に関する情報に情報端末7のユーザを対応付け、監視デバイス情報格納部222に格納して登録する(S38)。すなわち、認証登録部200は、監視デバイス5の監視デバイス識別情報に対応付けてユーザ識別子若しくはユーザのアカウント情報を監視デバイス情報格納部222に格納する。
【0119】
また、図9に示すように、中継デバイス4とは異なる中継デバイス4aをサーバ2、及び情報端末7に連携させることもできる。この場合、ユーザは図8に示す認証登録部200が出力部702に出力させるユーザネーム入力欄710に対するユーザネームの入力、パスワード入力欄712に対するパスワードの入力、及びサインインアイコン714に対するユーザによる入力操作を受け付けて、ユーザの動物監視システム1に対するログインを受け付ける。そして、連携制御部400は、中継デバイス4aと情報端末7との間を近距離無線通信で接続させ、情報端末7を介してユーザから受け付ける連携指示に応じ、中継デバイス4aと情報端末7との間を連携させる処理(S40)を実行する。
【0120】
また、情報端末7は通信網3を介してサーバ2に接続し、ユーザからの中継デバイス4aに関するネットワーク設定の指示(S42)に応じ、中継デバイス4aのローカルネットワーク設定を実行し(S44)、通信網3を介して中継デバイス4aとサーバ2とを双方向通信可能に接続させる(S46)。そして、情報端末7は、連携した中継デバイス4aに関する情報を中継デバイス4aから取得し(S48)、情報端末格納部706に取得した中継デバイス4aに関する情報を格納する(S50)。認証登録部200は、情報端末格納部706に格納されている中継デバイス4aに関する情報を情報端末7から取得すし(S52)、情報端末7から取得した中継デバイス4aに関する情報に情報端末7のユーザを対応付け、中継デバイス情報格納部220に格納して登録する(S54)。
【0121】
この場合において認証登録部200は、図10に示すように、情報端末7の出力部702に複数の中継デバイスについてユーザが把握できるように表示させることもできる。すなわち、認証登録部200は、サーバ2と連携している1以上の中継デバイスに関する情報を出力部702にユーザに知覚可能に出力させる。図10の例では、認証登録部200は所定のタブ718(図10の例では「連携ホームデバイス」と表示されているタブ)に対するユーザの指示を受け付けて、サーバ2と連携している中継デバイスに関する情報を出力する。図10の例では、タブ718内に、1以上の中継デバイス表示欄(つまり、中継デバイス表示欄720、及び中継デバイス表示欄722)が表示され、中継デバイス表示欄にはそれぞれ、中継デバイスにユーザが設定した名称や中継デバイスの環境測定部402による測定結果(例えば、温度等)、及び中継デバイスが設置されている領域に空調装置(エアコン)が設置されている場合には当該空調装置の動作状況等が表示される。なお、認証登録部200は、出力部702に中継デバイスと連携している1以上の監視デバイスに関する情報(図10の例では「連携首輪デバイス」と表示されている)を監視デバイス表示欄724に表示することもできる。
【0122】
(監視対象動物及び特徴量の登録)
図11は、監視対象動物及び特徴量をサーバに登録する際の処理の流れの概要の一例を示す。なお、監視対象動物は、例えば、ユーザのペットである(以下、監視対象動物を「ペット」と称する場合がある。)。また、図12は、監視対象動物を登録する際における情報端末の出力内容の一例を示す。すなわち、図12(a)は監視対象動物を登録する際に登録済みの動物一覧が情報端末に出力されている例を示し、図12(b)は新規の監視対象動物を登録する際の情報端末の出力画面の例を示す。
【0123】
まず、ユーザは情報端末7から動物監視システム1にログインする(S56)。認証登録部200は、ユーザ情報格納部216に当該ユーザのアカウント情報が格納されている場合はログイン処理を続行してログインを完了させ、格納されていない場合はログイン処理を終了する(S58)。次に、登録部202は、情報端末7に新規の監視対象動物の登録を要求する(S60)。なお、当該要求は、情報端末7に所定のアプリケーションがインストールされている場合、当該アプリケーションの特徴量入力部が実行してもよい。そして、情報端末7の入力部700は、ユーザから新規の監視対象動物の登録がある場合(S62のYes)、ユーザから新規の監視対象動物に関する情報(例えば、監視対象動物の名前等)と共に、当該監視対象動物の特徴量(例えば、動物の種類(種別)、サイズ、毛量等)の入力を受け付ける(S64)。そして、登録部202が入力された新規の監視対象動物に関する情報を取得すると共に、特徴量取得部204が入力された特徴量を取得する(S66)。続いて、登録部202は新規の監視対象動物をサーバ2に登録し、特徴量取得部204は当該監視対象動物の特徴量を当該監視対象動物の監視対象動物識別情報に対応付けて監視対象動物情報格納部218に格納する(S68)。監視対象動物情報格納部218に格納された特徴量はモデル生成部208等において用いられる。S64の後、登録部202は、更に他の新規の監視対象動物の登録があるか否かをユーザに問う内容を出力部702に表示する(S72)。更に他の新規の監視対象動物が存在する場合や既に登録した監視対象動物の特徴量を修正する場合(S72のYes)、S62以降の工程を繰り返す。他方、登録部202は、更に他の新規の監視対象動物が存在せず、また既に登録した監視対象動物の特徴量の修正も不要である場合(S72のNo)、登録処理を完了する(S74)。
【0124】
例えば、図12(a)に示すように、登録部202若しくはアプリケーションの特徴量入力部は、ユーザに関する情報が表示されるタブ726に対するユーザからの指示を入力部700を介して受け付ける。そして、登録部202若しくは特徴量入力部は、ユーザが所有する監視対象動物であるペットに関する情報の一覧を出力部702に表示する。出力部702は、例えば、ユーザが既に所有するペットに関する情報が掲載されているページを表示するためのボタン(例えば、監視対象動物選択ボタン730及び監視対象動物選択ボタン732)、及び新規の監視対象動物を登録するための新規監視対象動物登録ボタン728を表示する。登録部202は、監視対象動物選択ボタン730若しくは監視対象動物選択ボタン732に対する入力指示を入力部700を介して受け付けた場合、監視対象動物情報格納部218を参照し、対応する監視対象動物に関する情報を出力部702に出力する。一方、入力部700を介して新規監視対象動物登録ボタン728に対する入力指示を受け付けた場合、登録部202若しくは特徴量入力部は、図12(b)に示すような新規監視対象動物を登録するための登録ページ734を出力部702に表示する。
【0125】
登録ページ734は、新規の監視対象動物に関する情報の入力を受け付ける入力領域(例えば、ペット名の入力を受け付ける入力領域736、ペットの種類(種別)の入力を受け付ける入力領域738、ペットのサイズの入力を受け付ける入力領域740、及びペットの毛量の入力を受け付ける入力領域742等)を含む。登録部202は、例えば、入力領域736に入力されたペット名を用い、当該ペットのサーバ2における登録処理を実行する。また、特徴量取得部204は入力領域738乃至入力領域742に入力されたペットの特徴量を取得する。
【0126】
一方、登録部202は、ユーザによる新規の監視対象動物の登録の要求がない場合(S62のNo)、既に登録済みの監視対象動物の特徴量に修正があるか否かをユーザに問う内容を出力部702に表示する(S70)。修正がある場合(S70のYes)、登録部202及び特徴量取得部204は、新規監視対象動物の登録処理を除き、S64以降と同様の工程を実行する。また、修正がない場合(S70のNo)、S72以降の工程が実行される。
【0127】
以上のS10~S74までの工程により、ユーザ、監視対象動物6、情報端末7、中継デバイス4、及び監視デバイス5のそれぞれに関する所定の情報がサーバ2の所定の格納部に格納され、登録される。
【0128】
(直腸温の推定処理、及び行動の推定処理)
図13は、監視対象動物の直腸温及び行動の推定処理の流れの概要の一例を示す。
【0129】
中継デバイス4の環境測定部402は、中継デバイス4の周囲の環境の状況を測定する(S80)。例えば、環境測定部402は環境の状況として温度及び/又は湿度を測定する。また、監視デバイス5の体表温検出部500は監視対象動物の体表温を検出し、検出した体表温の情報(体表温情報)を中継デバイス4に供給する(S82)。更に監視デバイス5の動作検出部502は監視対象動物の動作及び/又は向きを検出し、検出した動作及び/又は向きについての動作情報(動作検出部502が9軸モーションセンサにより構成されている場合、当該情報は各センサによる検出値である。)を中継デバイス4に供給する(S82)。
【0130】
そして、環境測定部402は、中継通信部418を介して測定結果を環境情報として情報取得部206に供給する(S84)。また、中継通信部418は監視デバイス5から受け取った体表温情報、及び/又は動作情報を情報取得部206に供給する(S84)。情報取得部206は、環境情報、体表温情報、及び動作情報を検出情報格納部226に格納すると共に、直腸温推定部210、行動推定部212、及び警告部232に供給する(S86)。ここで、環境測定部402、体表温検出部500、及び動作検出部502はそれぞれ、情報端末7がサーバ2に接続していない場合や情報端末7にインストールされている所定のアプリケーションを起動していない場合であっても継続して環境情報、体表温情報、及び動作情報を測定若しくは検出する。そして、情報取得部206は、情報端末7がサーバ2に接続していない場合や情報端末7にインストールされている所定のアプリケーションを起動していない場合であっても予め定められた時間間隔(例えば、1秒間隔)で環境情報、体表温情報、及び動作情報を取得して検出情報格納部226に格納すると共に、直腸温推定部210、行動推定部212、及び警告部232に供給する。
【0131】
続いて、直腸温推定部210は、少なくとも受け取った体表温情報に基づいて監視対象動物の直腸温を推定する(S88)。直腸温推定部210は、環境情報及び/又は動作情報を更に用いて直腸温を推定してもよい。具体的に直腸温推定部210は、直腸温推定モデルに受け取った体表温情報が示す体表温を適用し推定される直腸温を出力する。そして直腸温推定部210は、出力した直腸温の情報を推定結果情報格納部228に格納する。
【0132】
また、行動推定部212は、少なくとも受け取った動作情報に基づいて監視対象動物の行動を推定する(S90)。行動推定部212は、体表温情報及び/又は環境情報を更に用いて行動を推定してもよい。具体的に、行動推定部212は、行動推定モデルに受け取った動作情報(例えば、動作検出部502を構成する各センサの検出値)を適用し、推定される行動の行動情報を出力する。そして行動推定部212は、出力した行動情報を推定結果情報格納部228に格納する。
【0133】
そして、情報端末7の入力部700は、ユーザによる監視対象動物の状態確認の要求をする指示の入力があるまで待機し(S100のNo)、当該指示がなされた場合(S100のYes)、サーバ2に対して監視対象動物の状態に関する情報の送信を要求する(S102)。サーバ2のサーバ通信部234は、情報端末7の入力部700を介して監視対象動物の状態を確認する要求を受け付けた場合、推定結果情報格納部228に格納されている推定された直腸温、及び/又は推定された行動情報を情報端末7に供給する(S104)。情報端末7の出力部702は、受け取った推定された直腸温、及び/又は推定された行動情報を出力する(S106)。
【0134】
例えば、出力部702は、図14に示すように、受け取った推定された直腸温を表示する直腸温表示領域744と、受け取った推定された行動情報に対応する行動を表示する行動表示領域746と、監視対象動物6がこれまでにとった行動毎に各行動をとった累計時間を表示する履歴表示領域748とを出力できる。図14の例では、一例として、ペットの直腸温が「24度」であることが直腸温表示領域744に表示され、かつ、ペットの行動が「運動中」であることが行動表示領域746に表示される。また、出力部702は、推定結果情報格納部228を参照し、履歴表示領域748には、例えば、「運動」、「休憩」、「食事」、「毛繕い」、「水飲み」、及び「トイレ」の各行動をペットがとった時刻及び各行動をとった累計時間や累計回数を表示する。
【0135】
また、中継デバイス4は、ユーザによる所定の指示の入力を受け付ける中継デバイス入力部を有していてもよい。そして、中継デバイス入力部は、ユーザによる監視対象動物の状態確認の要求をする指示の入力があるまで待機し(S108のNo)、当該指示がなされた場合(S108のYes)、サーバ2に対して監視対象動物の状態に関する情報の送信を要求する(S110)。サーバ2のサーバ通信部234は、中継デバイス入力部を介して監視対象動物の状態を確認する要求を受け付けた場合、推定結果情報格納部228に格納されている推定された直腸温、及び/又は推定された行動情報を中継デバイス4に供給する(S112)。中継デバイス4の出力部420は、受け取った推定された直腸温、及び/又は推定された行動情報を上記説明と同様に出力する(S114)。
【0136】
(省電力制御の処理の例1)
図15は、監視デバイスにおける省電力制御の処理の流れの概要の一例を示す。
【0137】
まず、サーバ2の行動推定部212は、監視デバイス5から取得する監視対象動物6の動作情報と行動推定モデルとに基づいて、監視対象動物6の行動を判定する(S120)。この場合における動作情報は、動作検出部502である9軸モーションセンサが含む全てのセンサが動作している場合における各センサの検出値である。そして、行動推定部212が行動を判定した結果が、監視対象動物6が休息状態ではないことを示す場合(S122のNo)、中継デバイス4の省電力設定部406は省電力制御を実行せず待機する。
【0138】
一方、行動推定部212が行動を判定した結果、監視対象動物6が休息状態であることを示す場合(S122のYes)、省電力設定推定部233は、休息状態における監視対象動物6の動作情報と省電力設定推定モデルとに基づいて、監視デバイス5に省電力制御を実行させるための条件(省電力実行条件)を出力する。省電力実行条件は、例えば、9軸モーションセンサのうち所定のセンサの動作を停止させる条件、及び/又は所定のセンサのサンプリング周波数を所定の周波数に低減させる条件であってよい。なお、省電力設定推定部233は、省電力設定推定モデルを用いずに、省電力実行条件について予め設定しておいてもよい。そして、省電力設定推定部233は、省電力実行条件を中継デバイス4の省電力設定部406に供給する。省電力設定部406は、省電力実行条件に基づいて監視デバイス5の省電力制御を実行する(S124)。すなわち、監視デバイス5の省電力制御部508は、省電力設定部406に制御され、9軸モーションセンサのうち一部のセンサの動作を停止させること、9軸モーションセンサのうち一部のセンサのサンプリング周波数を所定の周波数に低下させること、及び/又は一定の時間間隔で9軸モーションセンサの一部のセンサを起動し、休息状態が継続しているか否かを確認すること(ポーリング処理)により省電力制御を実行する。
【0139】
そして、行動推定部212は、監視デバイス5から取得する監視対象動物6の動作情報と行動推定モデルとに基づいて、監視対象動物6の行動を判定した結果、監視対象動物6が活動を開始せずに休息状態であることを示す場合(S126のNo)、中継デバイス4の省電力設定部406は省電力制御を実行したまま待機する。一方、行動推定部212が行動を判定した結果、監視対象動物6が活動を開始したことを示す場合(S126のYes)、省電力設定部406は省電力制御を停止する(S128)。これにより、動作検出部502である9軸モーションセンサが含む全てのセンサの動作が再び開始される。その後はS120以降の工程が繰り返される。
【0140】
(省電力制御の処理の例2)
図16は、監視デバイスにおける省電力制御の処理の流れの概要の他の例を示す。
【0141】
監視デバイス5の省電力制御は、サーバ2により推定された監視対象動物6の行動情報と、監視デバイス5の充電に関する情報及び/又は監視デバイス5の消費電力に関する情報とに基づいて実行することもできる。例えば、監視対象動物6の行動情報に基づいて、省電力制御部508による動作検出部502に対する省電力制御の実行/停止の切り替えのための所定の閾値を含む省電力モードを適宜設定し、省電力制御することができる。
【0142】
まず、ユーザは監視デバイス5の省電力モード情報格納部516に格納されている1以上の省電力モードを情報端末7において中継デバイス4を介して参照し(S130)、一の省電力モードを選択する(S132)。そして、情報端末7は、ユーザが選択した省電力モードを優先的に用いる省電力モードとして省電力情報格納部518に格納して登録する(S134)。なお、省電力モード情報格納部516に格納されている1以上の省電力モードには特に限定はないが、以下の表1に示すように省電力モードの内容を予め設定していてもよい。
【0143】
【表1】
【0144】
すなわち、各省電力モードは、動作検出部502としての9軸モーションセンサが含む3つのセンサそれぞれについての動作若しくは停止と、体表温検出部500の動作若しくは停止とが設定された内容を含む。表1の例では、各センサ及び体表温検出部500の全てを動作させるモード(省電力モードOFF)、3軸地磁気センサのみ停止させるモード(省電力モード1)、3軸ジャイロセンサ及び3軸地磁気センサを停止させるモード(省電力モード2)、及び各センサ及び体表温検出部500の全てを停止させるモード(省電力モード3)が例示されている。なお、各センサ及び体表温検出部500の動作若しくは停止の組み合わせは表1に限らず、他の組み合わせであってもよい。
【0145】
続いて、サーバ2の省電力設定推定部233は、監視デバイス5により取得される動物の体表温及び/又は動作、監視デバイス5の充電に関する情報、及び/又は監視デバイス5の消費電力に関する情報と消費電力設定推定モデルとを用い、監視デバイス5に省電力制御を実行させるための条件として、動作検出部502としての9軸モーションセンサそれぞれの動作を停止させる閾値、及び/又は体表温検出部500の動作を停止させる閾値を出力する(S136)。この閾値は、省電力設定推定モデルに基づき、最も効果的に省電力制御できるパラメータである動作検出部502が検出する加速度値を閾値として決定する(なお、加速度の代わりに角速度若しくは地磁気の検出値に対して閾値を決定してもよい。)。具体的に、省電力設定推定部233は、監視対象動物6の動作を示す動作情報、監視デバイス5に対する充電に関する情報、及び/又は監視デバイス5における消費電力に関する情報を省電力設定推定モデルに適用し、最適な閾値を出力する。なお、閾値の演算は所定の時間間隔で実行される。そして、省電力設定推定部233は、出力した閾値を中継デバイス4を介して監視デバイス5の省電力モード情報格納部516に供給する(S138)。なお、変形例においては、閾値をユーザがマニュアルで設定してもよい。
【0146】
これにより監視デバイス5の省電力制御部508は、省電力モード情報格納部516に格納された加速度の閾値と登録された省電力モードとを参照し、省電力制御を実行できる。すなわち、省電力制御部508は、動作検出部502によって検出される加速度が省電力モード情報格納部516に格納されている閾値を下回った場合(S140のYes)は登録された省電力モードに則って省電力制御を実行し(S142)、閾値以上になった場合(S144のYes)は省電力制御を停止する(S146)。これにより監視デバイス5の省電力制御が実行される。なお、動作検出部502によって検出される加速度が省電力モード情報格納部516に格納されている閾値を下回らない場合(S140のNo)は省電力制御の実行をせず、省電力制御開始後、閾値以上にならない場合(S144のNo)は省電力制御を継続する。
【0147】
[動物監視プログラム]
図1図16に示した本実施形態に係る動物監視システム1が備える各構成要素は、中央演算処理装置(CPU)等の演算処理装置にプログラム(すなわち、動物監視プログラム)を実行させること、つまり、ソフトウェアによる処理により実現できる。また、集積回路(Integrated Circuit:IC)等の電子部品としてのハードウェアにプログラムを予め書き込むことで実現することもできる。なお、ソフトウェアとハードウェアとを併用することもできる。
【0148】
本実施形態に係る動物監視プログラムは、例えば、ICやROM等に予め組み込むことができる。また、動物監視プログラムは、インストール可能な形式、又は実行可能な形式のファイルで、磁気記録媒体、光学記録媒体、半導体記録媒体等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録し、コンピュータプログラムとして提供することもできる。プログラムを格納している記録媒体は、CD-ROMやDVD等の非一過性の記録媒体であってよい。更に、動物監視プログラムを、インターネット等の通信ネットワークに接続されたコンピュータに予め格納させ、通信ネットワークを介してダウンロードによる提供ができるようにすることもできる。
【0149】
本実施形態に係る動物監視プログラムは、CPU等に働きかけて、動物監視プログラムを、図1図16にかけて説明した認証登録部200、登録部202、特徴量取得部204、情報取得部206、モデル生成部208、直腸温推定部210、行動推定部212、サーバ格納ユニット214、警告部232、省電力設定推定部233、サーバ通信部234、連携制御部400、環境測定部402、位置情報検出部404、省電力設定部406、中継デバイス格納ユニット408、充電制御部414、プログラム更新部416、中継通信部418、出力部420、体表温検出部500、動作検出部502、電力情報検出部504、省電力モード設定部506、省電力制御部508、監視デバイス格納ユニット510、監視デバイス通信部520、監視デバイス出力部522、入力部700、出力部702、情報端末通信部704、及び情報端末格納部706として機能させる。
【0150】
(実施の形態の効果)
本実施形態に係る動物監視システム1によれば、大量の監視対象動物の動作情報と当該動作が示す行動情報とを用いて生成した行動推定モデルを用いるので、ユーザの監視対象動物の動作から当該監視対象動物の行動を高精度に推定できる。これにより、ユーザは監視対象動物を安心して見守ることができる。
【0151】
また、動物監視システム1によれば、監視対象動物の動作情報から推定される行動に基づいて監視デバイス5の省電力制御を実行できるので、体表温検出部500及び動作検出部502(例えば、9軸モーションセンサを用いる検出部)を用いて高次元、かつ高精度に監視対象動物6の状態を検出する場合であっても、監視デバイス5の電力消費を省電力化させ、監視デバイス5のバッテリー524に対する頻繁な充電を抑制できる。
【0152】
なお、本実施形態に係る動物監視システム、動物監視サーバ、動物監視方法、及び動物監視プログラムは、特許請求の範囲と混同されるべきでない以下の付記項でも言及できる。
【0153】
(付記項1)ペットを監視するために上記ペットに装着される監視デバイスと、この監視デバイスに接続される行動監視部とを有するペット監視システムであり、前記監視デバイスは、3軸の加速度センサと3軸のジャイロセンサおよび3軸の磁力センサを内蔵しており、前記行動監視部は、少なくとも、前記磁力センサの検出に基づいてペットの向いている方向を検出し、その検出値及び加速度センサ・ジャイロセンサによる特定方向の加速度・角速度に基づいてペットの動作を推定する機能を有するものであり、前記監視デバイスは、コンピュータが、加速度センサの検出値に基づいて、前記この加速度センサ、ジャイロセンサ及び/又は磁力センサを省電力モードに制御する省電力設定部を有するペット監視システム。
(付記項2)付記項1記載のペット監視システムにおいて、上記省電力設定部は、ペットの行動によって決定される閾値を前記加速度センサの検出値を比較することで、前記省電力モードに制御するペット監視システム。
(付記項3)付記項2記載のペット監視システムにおいて、前記監視デバイスは、前記閾値を書き換え可能に格納するデータ格納部を更に有するペット監視システム。
(付記項4)付記項3記載のペット監視システムにおいて、前記行動監視部は、更に前記推定した行動に基づいて、前記閾値を決定する省電力設定推定部を有するペット監視システム。
(付記項5)付記項4記載のペット監視システムにおいて、上記省電力設定推定部は、上記監視デバイスの充電履歴及び/消費電力履歴と上記推定した行動を省電力推定モデルに適用することで前記閾値を決定するペット監視モデル。
(付記項6)付記項1記載のペット監視システムにおいて、前記監視デバイスは複数の省電力モードを切り替え可能に設定できるものであるペット監視システム。
(付記項7)付記項6記載のペット監視システムにおいて、前記複数の省電力モードは、少なくとも、前記9軸モーションセンサを構成する各センサのいずれをON、OFFにするかの組み合わせに基づいて設定されているペット監視モデル。
(付記項8)付記項6記載のペット監視システムにおいて、前記閾値は複数の省電力モードのそれぞれについて決定されているペット監視モデル。
【符号の説明】
【0154】
1 動物監視システム
2 サーバ
3 通信網
4、4a 中継デバイス
5 監視デバイス
6 監視対象動物
7 情報端末
10 ベルト
11 デバイス装着部
31 孔部
40 本体部
42 装着部
44 差込プラグ
200 認証登録部
202 登録部
204 特徴量取得部
206 情報取得部
208 モデル生成部
210 直腸温推定部
212 行動推定部
214 サーバ格納ユニット
216 ユーザ情報格納部
218 監視対象動物情報格納部
220 中継デバイス情報格納部
222 監視デバイス情報格納部
224 モデル情報格納部
226 検出情報格納部
228 推定結果情報格納部
230 警告情報格納部
232 警告部
233 省電力設定推定部
234 サーバ通信部
400 連携制御部
402 環境測定部
404 位置情報検出部
406 省電力設定部
408 中継デバイス格納ユニット
410 連携情報格納部
412 省電力情報格納部
414 充電制御部
416 プログラム更新部
418 中継通信部
420 出力部
500 体表温検出部
502 動作検出部
504 電力情報検出部
506 省電力モード設定部
508 省電力制御部
510 監視デバイス格納ユニット
512 監視デバイス情報格納部
514 充電・電力消費情報格納部
516 省電力モード情報格納部
518 省電力情報格納部
520 監視デバイス通信部
522 監視デバイス出力部
524 バッテリー
700 入力部
702 出力部
704 情報端末通信部
706 情報端末格納部
710 ユーザネーム入力欄
712 パスワード入力欄
714 サインインアイコン
716 新規アカウント登録アイコン
718、726 タブ
720、722 中継デバイス表示欄
724 監視デバイス表示欄
728 新規監視対象動物登録ボタン
730、732 監視対象動物選択ボタン
734 登録ページ
736、738、740、742 入力領域
744 直腸温表示領域
746 行動表示領域
748 履歴表示領域

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
【手続補正書】
【提出日】2021-12-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視対象動物を監視する動物監視システムであって、
前記監視対象動物に装着され、前記監視対象動物の動作情報を検出する動作検出部と、
前記動作検出部が検出する前記動作情報を予め定められた時間間隔で取得し、前記監視対象動物の行動を推定する行動推定部と、
前記行動推定部が、前記監視対象動物の前記行動が不活発状態であると推定した場合、前記動作検出部における消費電力を抑制する制御を開始し、前記行動推定部による前記監視対象動物の前記行動が前記不活発状態を除く活発状態であると推定した場合、前記動作検出部における消費電力を抑制する制御を停止する省電力制御部と
を備える動物監視システム。
【請求項2】
前記不活発状態が、前記監視対象動物が静止している状態である請求項1に記載の動物監視システム。
【請求項3】
前記行動推定部が、監視対象動物の動作を示す動作情報と前記動作に対応する監視対象動物の行動を示す行動情報との組み合わせを行動教師データとして受け付け、前記行動教師データによる機械学習により、前記監視対象動物の動作情報から当該監視対象動物の行動を示す行動情報を出力する行動推定モデルに、前記動作検出部により検出された前記動作を示す動作情報を適用することで前記監視対象動物の行動を推定する
請求項1又は2に記載の動物監視システム。
【請求項4】
前記動作検出部が、3軸加速度センサ、3軸ジャイロセンサ、及び3軸地磁気センサを有し、
前記動作情報が、前記3軸加速度センサにより検出される前記監視対象動物の加速度に応じた電圧値、前記3軸地磁気センサにより検出される前記監視対象動物の角速度に応じた電圧値、及び前記3軸地磁気センサにより検出される前記監視対象動物の向きに応じた電圧値を含む請求項1~のいずれか1項に記載の動物監視システム。
【請求項5】
前記省電力制御部が、前記3軸加速度センサ、前記3軸ジャイロセンサ、又は前記3軸地磁気センサの動作の停止、並びに前記3軸加速度センサ、前記3軸ジャイロセンサ、及び前記3軸地磁気センサの少なくとも1つのサンプリング周波数の予め定められたサンプリング周波数への変更により前記消費電力を抑制する請求項に記載の動物監視システム。
【請求項6】
監視対象動物を監視する動物監視サーバであって、
前記監視対象動物に装着され、前記監視対象動物の動作情報を検出する動作検出部が検出する前記動作情報を予め定められた時間間隔で取得し、前記監視対象動物の行動を推定する行動推定部と、
前記行動推定部が、前記監視対象動物の前記行動が不活発状態であると推定した場合、前記動作検出部における消費電力を抑制する制御を実行させる条件を前記動作検出部に対して出力し、前記行動推定部による前記監視対象動物の前記行動が前記不活発状態を除く活発状態であると推定した場合、前記動作検出部における消費電力を抑制する制御を停止させる条件を前記動作検出部に対して出力する省電力設定推定部と
を備える動物監視サーバ。
【請求項7】
監視対象動物を監視する動物監視システムにおける動物監視方法であって、
前記監視対象動物に装着され、前記監視対象動物の動作情報を検出する動作検出部が検出する前記動作情報を予め定められた時間間隔で取得し、前記監視対象動物の行動を推定する行動推定工程と、
前記行動推定工程が、前記監視対象動物の前記行動が不活発状態であると推定した場合、前記動作検出部における消費電力を抑制する制御を開始し、前記行動推定部による前記監視対象動物の前記行動が前記不活発状態を除く活発状態であると推定した場合、前記動作検出部における消費電力を抑制する制御を停止する省電力制御工程と
を備える動物監視方法。
【請求項8】
監視対象動物を監視する動物監視システム用の動物監視プログラムであって、
コンピュータに、
前記監視対象動物に装着され、前記監視対象動物の動作情報を検出する動作検出部が検出する前記動作情報を予め定められた時間間隔で取得し、前記監視対象動物の行動を推定する行動推定機能と、
前記行動推定機能が、前記監視対象動物の前記行動が不活発状態であると推定した場合、前記動作検出部における消費電力を抑制する制御を開始し、前記行動推定部による前記監視対象動物の前記行動が前記不活発状態を除く活発状態であると推定した場合、前記動作検出部における消費電力を抑制する制御を停止する省電力制御機能と
を実現させる動物監視プログラム。