(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023072978
(43)【公開日】2023-05-25
(54)【発明の名称】給水装置
(51)【国際特許分類】
F04D 15/00 20060101AFI20230518BHJP
【FI】
F04D15/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021185748
(22)【出願日】2021-11-15
(71)【出願人】
【識別番号】000148209
【氏名又は名称】株式会社川本製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】坂谷 哲則
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 章太
【テーマコード(参考)】
3H020
【Fターム(参考)】
3H020AA01
3H020BA04
3H020BA13
3H020CA01
3H020CA04
3H020CA05
3H020DA04
3H020EA02
3H020EA03
3H020EA12
3H020EA14
(57)【要約】
【課題】 必要な給水量を確保しつつ、必要以上に高い回転速度で電動ポンプが稼働してしまうことを抑制可能な給水装置の一例を開示する。
【解決手段】 目標圧力制御では、給水量の上昇状態時には目標圧力の値を増大させ、給水量の下降状態時には目標圧力の値を減少させる。これにより、上昇状態時には給水量が増大し、下降状態時には給水量が減少する。したがって、給水装置1では、電動ポンプ3の稼働状態が必要な給水量に応じて変化する。延いては、必要な給水量を確保しつつ、必要以上に高い回転速度で電動ポンプ3が稼働してしまうことが抑制可能となる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
給水用の電動ポンプと、
前記電動ポンプの給水量を検出する流量センサと、
前記電動ポンプの吐出し圧力を検出する圧力センサと、
前記電動ポンプの作動を制御する制御部であって、前記圧力センサの検出圧力が目標とする圧力(以下、目標圧力という。)となるように稼働中の前記電動ポンプを制御する目標圧力制御が実行可能な制御部とを備え、
前記制御部は、前記流量センサが検出した流量の変化率を利用して給水量の変化が上昇状態にあるか下降状態にあるかを判断する判断機能を有しており、
さらに、前記制御部は、前記目標圧力制御の実行時において、上昇状態時には前記目標圧力の値を現時より増大させ、下降状態時には前記目標圧力の値を現時より減少させる給水装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記圧力センサの検出値が予め決められた圧力(以下、起動圧力という。)以下となったときに停止中の前記電動ポンプを起動させた後に前記目標圧力制御を開始し、
さらに、前記制御部は、前記目標圧力制御の開始と同時に前記目標圧力を前記起動圧力より大きな値とした後、前記判断機能を実施し(以下、判断工程という。)、その後、当該判断結果に応じて前記目標圧力の値を変更し(以下、対応工程という。)、以降、前記判断工程と前記対応工程とを交互に繰り返す請求項1に記載の給水装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記目標圧力制御の実行時において、前記目標圧力の値を増大させるときには、予め決められた値だけ増大させ、
前記制御部は、前記目標圧力制御の実行時において、前記目標圧力の値を減少させるときには、予め決められた値だけ減少させる請求項1又は2に記載の給水装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記流量センサの検出値及び前記圧力センサの検出値を含むデータを教師データとして、前記目標圧力を推定するための機械学習システムを実行する学習モデル作成部を有する請求項1又は2に記載の給水装置。
【請求項5】
前記流量センサの検出値又は前記電動ポンプの回転速度を変数とし、当該変数を予め決められた関数に代入して得られる値(以下、第2の目標圧力という。)を決定する末端圧推定部を備え、
前記制御部は、前記目標圧力の初期値として前記第2の目標圧力を用いる請求項1ないし4のいずれか1項に記載の給水装置。
【請求項6】
前記電動ポンプの停止時に吐出し側の圧力が低下することを抑制する蓄圧器を備え、
前記起動圧力の値より大きい予め決められた値を停止圧力としたとき、
前記制御部は、前記電動ポンプを停止させる際には、当該電動ポンプの吐出し側圧力を前記停止圧力以上まで上昇させた後に、当該電動ポンプを停止させる加圧停止制御が実行可能である請求項2に記載の給水装置。
【請求項7】
建物に据え付けられた請求項2又は6に記載の給水装置において、
前記起動圧力は、最上階にある給水器具までの最上階揚程に相当する圧力である給水装置。
【請求項8】
給水用の電動ポンプと、
前記電動ポンプの給水量を検出する流量センサと、
前記電動ポンプの作動を制御する制御部であって、前記流量センサが検出した流量の変化率(以下、流量変化率という。)を利用して稼働中の前記電動ポンプの作動制御(以下、給水制御という。)を実行可能な制御部とを備え、
前記制御部は、前記流量変化率を利用して給水量の変化が上昇状態にあるか下降状態にあるかを判断する判断機能を有しており、
前記給水制御では、上昇状態時には前記電動ポンプの回転速度が増大する状態となり、下降状態時には前記電動ポンプの回転速度が減少する状態となるように前記電動ポンプが制御される給水装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記給水制御の開始と同時に前記電動ポンプの回転速度を増加させた後、前記判断機能を実行し(以下、判断工程という。)、その後、当該判断結果に応じて前記電動ポンプの回転速度を変更し(以下、対応工程という。)、以降、前記判断工程と前記対応工程とを交互に繰り返す請求項8に記載の給水装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、給水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に記載の給水装置では、電動ポンプ稼働時の最低吐出し圧力と所定の下限値との差分に基づいて目標圧力制御カーブを補正するとともに、当該補正後の目標圧力制御カーブを利用して目標とする圧力(以下、目標圧力という。)を決定している。そして、電動ポンプは、吐出し圧力が目標圧力となるように制御される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願は、必要な給水量を確保しつつ、必要以上に高い回転速度で電動ポンプが稼働してしまうことを抑制可能な給水装置の一例を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
給水装置は、例えば、以下の構成要件のうち少なくとも1つを備えることが望ましい。すなわち、当該構成要件は、給水用の電動ポンプ(3)と、電動ポンプ(3)の給水量を検出する流量センサ(Fs)と、電動ポンプ(3)の吐出し圧力を検出する圧力センサ(Ps)と、電動ポンプ(3)の作動を制御する制御部(4)であって、圧力センサ(Ps)の検出圧力が目標とする圧力(以下、目標圧力(Pt)という。)となるように稼働中の電動ポンプ(3)を制御する目標圧力制御が実行可能な制御部(4)とを備え、制御部(4)は、流量センサ(Fs)が検出した流量の変化率(Froc)を利用して給水量の変化が上昇状態にあるか下降状態にあるかを判断する機能を有するとともに、目標圧力制御の実行時において、上昇状態時には目標圧力(Pt)の値を増大させ、下降状態時には目標圧力(Pt)の値を減少させることである。
【0006】
これにより、当該給水装置では、上昇状態時には電動ポンプ(3)の給水量が増大し、下降状態時には電動ポンプ(3)の給水量が減少する。したがって、当該給水装置では、電動ポンプ(3)の稼働状態が必要な給水量に応じて変化する。延いては、必要な給水量を確保しつつ、必要以上に高い回転速度で電動ポンプ(3)が稼働してしまうことが抑制可能となる。
【0007】
因みに、上記各括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的構成等との対応関係を示す一例であり、本開示は上記括弧内の符号に示された具体的構成等に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態に係る給水装置を示す図である。
【
図2】第1実施形態に係る給水作動を示すフローチャートである。
【
図3】第1実施形態に係る給水装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下の「発明の実施形態」は、本開示の技術的範囲に属する実施形態の一例を示すものである。つまり、特許請求の範囲に記載された発明特定事項等は、下記の実施形態に示された具体的構成や構造等に限定されない。
【0010】
少なくとも符号が付されて説明された機器や部材等の構成要素は、「1つの」等の断りがされた場合を除き、少なくとも1つ設けられている。つまり、「1つの」等の断りがない場合には、当該構成要素は2以上設けられていてもよい。本開示に示された給水装置は、少なくとも符号が付されて説明された構成要素等を備える。
【0011】
(第1実施形態)
<1.給水装置の構成>
本実施形態は、例えば、マンションや商業ビル等の建物に適用される給水装置に本開示に係る給水装置の一例が適用されたものである。
図1に示されるように、本実施形態に係る給水装置1は、電動ポンプ3、流量センサFs、圧力センサPs、制御部4及び蓄圧器7等を少なくとも備える。
【0012】
電動ポンプ3は、ポンプ部3A及びモータ部3Bを有する電動式のポンプである。電動ポンプ3の吐出し側は、建物の配水管側に接続されている。当該電動ポンプ3の吸入側は、受水槽5内で開口する吸入口5Aに連通している。
【0013】
受水槽5は、給水用の水が貯留されるタンクである。なお、受水槽5は、電動ポンプ3の吸込み口より上方側に配置されている。このため、当該吸込み口には、受水槽5内に貯留されている水の静水圧(押し込み圧力)が作用している。
【0014】
電動ポンプ3、つまりモータ部3Bの停止及び稼働は制御部4により制御される。本実施形態に係る制御部4は、駆動部(本実施形態では、インバータ方式の駆動回路)3Cを介して電動ポンプ3の作動を制御する。
【0015】
駆動部3Cは、制御部4から出力される指令周波数に応じた周波数を有する駆動電流をモータ部3Bに供給する。これにより、モータ部3Bは、制御部4の指令に応じて、増速、減速又は停止する。したがって、電動ポンプ3の回転速度、つまり電動ポンプ3のインペラの回転数は、上記の指令周波数と一致する。
【0016】
制御部4は、CPU、ROM及びRAM等を有するマイクロコンピュータで構成されている。そして、電動ポンプ3の制御及び後述する末端圧推定部は、制御部4、つまりCPUにてソフトウェアが実行されることにより実現される。
【0017】
蓄圧器7は、電動ポンプ3の吐出し側に接続されて当該電動ポンプ3が停止しているときに、吐出し側の圧力が低下することを抑制する。蓄圧器7は、不活性ガスが充填されたガス室7Aの内圧により、配水管に圧力を作用させて給水圧の低下を抑制する。
【0018】
制御部4には、流量センサFsの検出値及び圧力センサPsの検出値が入力されている。流量センサFsは、給水量(本実施形態では、電動ポンプ3の吐出し流量)を検出する。圧力センサPsは、電動ポンプ3の吐出し圧力を検出する。
【0019】
当該流量センサFsは、給水量を連続的に検出可能な流量計である。このため、制御部4は、流量センサFsの検出値を利用して給水量の変化率(以下、流量変化率Frocという。)を認識可能である。
【0020】
なお、本実施形態に係る流量センサFsは、流水の動圧を受けて回転する羽根車(図示せず。)を用いた流量計である。以下、流量センサFsの検出値を給水量と記し、圧力センサPsの検出値を吐出し圧力と記す。
【0021】
<2.ポンプの給水制御>
制御部4は、小水量停止制御、加圧停止制御、起動制御及び目標圧力制御等を実行可能である。これらの制御を実行するためのソフトウェアは、ROM等の不揮発性記憶部(図示せず。)に予め記憶されている。
【0022】
「小水量停止制御、加圧停止制御」
小水量停止制御は、給水量が予め決められた流量(以下、停止流量Qsという。)より小さくなったときに電動ポンプ3を停止させる制御である。加圧停止制御は、電動ポンプ3を停止させる際に、吐出し圧力を停止圧力Ps以上まで上昇させた後に、当該電動ポンプ3を停止させる制御である。
【0023】
停止圧力Psとは、起動圧力Psuの値より大きい値の圧力であって、予め決められた値の圧力である。起動圧力Psuとは、起動制御に用いられる値であって、予め決められた値の圧力である。
【0024】
「起動制御」
起動制御は、電動ポンプ3の吐出し圧力が起動圧力Psu以下となったときに電動ポンプ3を稼働させる制御である。なお、本実施形態に係る起動圧力Psuは、建物の最上階にある給水器具までの最上階揚程に相当する圧力である。
【0025】
「目標圧力制御」
本実施形態に係る目標圧力制御は、電動ポンプ3の起動後、吐出し圧力が起動圧力Psu以上となったときに実行される制御である。制御部4は、吐出し圧力が目標とする圧力(以下、目標圧力Ptという。)になるように指令周波数を調節する。
【0026】
<2.2 目標圧力制御の詳細>
制御部4は、目標圧力制御の開始と同時に目標圧力Ptを起動圧力Psuより大きな値(以下、初期値という。)とした後、給水量が上昇状態及び下降状態のうちいずれの状態であるかを判断する(以下、判断工程という。)。
【0027】
そして、制御部4は、その後、当該判断結果に応じて目標圧力Ptの値を変更し(以下、対応工程という。)、以降、判断工程と対応工程とを交互に繰り返す。当該対応工程において、制御部4は、上昇状態時には目標圧力Ptの値を現時より増大させ、下降状態時には目標圧力Ptの値を現時より減少させる。
【0028】
制御部4は、流量変化率Frocを利用して給水量が上昇状態にあるか下降状態にあるかを判断する。具体的には、制御部4は、流量変化率Frocが予め決められた第1閾値以上又は第1閾値より大きい場合には上昇状態にあると判断し、流量変化率Frocが予め決められた第2閾値以下又は第2閾値未満の場合には下降状態にあると判断する。
【0029】
なお、本実施形態に係る制御部4は、予め決められた時間間隔で給水量を取得するとともに、今回取得した給水量から前回取得した給水量を減算した値、つまり給水量差を流量変化率Frocとみなしている。
【0030】
本実施形態では、第1閾値と第2閾値とは同一の値(1L/min)である。そして、制御部4は、流量変化率Frocが第1閾値より大きい場合には上昇状態にあると判断し、流量変化率Frocが第1閾値以下の場合には下降状態にあると判断する。
【0031】
本実施形態では、初期値として、末端圧推定部が演算決定した値(以下、第2の目標圧力という。)が用いられている。第2の目標圧力は、給水量又は電動ポンプ3の回転速度を変数とし、当該変数を予め決められた関数に代入して得られる値である。
【0032】
なお、本実施形態に係る末端圧推定部、つまり制御部4は、給水量を用いて第2の目標圧力を演算決定する。具体的には、制御部4は、以下の数式1を用いて第2の目標圧力Pt2を演算する。
【0033】
Pt2=P2+ΔP×k^2 ・・・数式1
但し、ΔP=P1=P2
k=(Q-Qs)/(Qmax-Qs)
P1、P2、Qs、Qmax:予め与えられた値
Q:流量センサFsの検出した流量
因みに、P1は、指令周波数が最大となるとき、つまり最大給水量となるときの圧力である。P2は、停止流量Qs時における圧力であって、起動圧力Psuより大きい圧力である。Qmaxは、最大給水量である。
【0034】
<2.3 ポンプ制御の詳細>
図2は、ポンプ制御を示すフローチャートの一例である。当該制御は、給水装置1の電源スイッチ(図示せず。)が投入された時に起動し、電源スイッチが遮断されたときに終了する。
【0035】
当該制御が起動されると、制御部4は、吐出し圧力が起動圧力Psu以下であるか否かを判断し(S1)、吐出し圧力が起動圧力Psu以下である場合には(S1:YES)、電動ポンプ3を起動する(S2)。
【0036】
その後、制御部4は、目標圧力制御を開始すると同時に目標圧力Ptを第2の目標圧力とするとともに、吐出し圧力が第2の目標圧力に到達したか否かを判断する(S3)。吐出し圧力が第2の目標圧力に到達した場合には(S3:YES)、制御部4は、目標圧力Ptの値を現時の目標圧力Ptに対して予め決められた値(本実施形態では、水柱圧で1m)だけ増大させる(S4)。
【0037】
次に、制御部4は、給水量を検出して(S5)、流量変化率Frocが所定値より大きいか否かを判断する(S6)。流量変化率Frocが所定値より大きい場合には(S6:YES)、制御部4は、S4を再び実行する。
【0038】
流量変化率Frocが所定値以下の場合には(S6:NO)、制御部4は、目標圧力Ptの値を現時の目標圧力Ptに対して予め決められた値(本実施形態では、水柱圧で1m)だけ減少させる(S7)。
【0039】
次に、制御部4は、給水量を検出して(S8)、流量変化率Frocが所定値以下であるか否かを判断する(S9)。流量変化率Frocが所定値以下である場合には(S9:YES)、現時の給水量が停止流量Qsより大きいか否かを判断する(S10)。
【0040】
現時の給水量が停止流量Qsより大きい場合には(S10:YES)、制御部4は、S7を再び実行する。現時の給水量が停止流量Qs以下の場合には(S10:NO)、制御部4は、加圧停止制御を実施した後、電動ポンプ3を停止させた後(S11)、再び、S1を実行する。
【0041】
<3.本実施形態に係る給水装置の特徴>
本実施形態に係る給水制御における目標圧力制御では、上昇状態時には電動ポンプ3の回転速度が増大して給水量が増大し、下降状態時には電動ポンプ3の回転速度が減少して給水量が減少する。
【0042】
したがって、給水装置1では、電動ポンプ3の稼働状態が必要な給水量に応じて変化する。延いては、必要な給水量を確保しつつ、必要以上に高い回転速度で電動ポンプ3が稼働してしまうことが抑制可能となる。
【0043】
当該目標圧力制御では、目標圧力Ptの初期値として第2の目標圧力が用いられるので、目標圧力Ptが第2の目標圧力を下回ることが防止される。延いては、給水量が過度に低下してしまうことが抑制される。
【0044】
制御部4は、電動ポンプ3を停止させる際には、当該電動ポンプ3の吐出し側圧力を停止圧力Ps以上まで上昇させた後に、当該電動ポンプ3を停止させる。これにより、電動ポンプ3が頻繁に起動してしまうことが抑制される。
【0045】
(第2実施形態)
上述の実施形態に係る制御部4は、目標圧力制御(対応工程)時において、目標圧力Ptを増減する際には、予め決められた値だけ増減した。これに対して、本実施形態に係る制御部4は、学習モデルを利用して目標圧力Ptを増減変化させる。当該学習モデルは、機械学習システムにて作成・更新された学習済みモデルであって、目標圧力Ptを推定するための学習モデルである。
【0046】
すなわち、
図3に示されるように、本実施形態に係る制御部4は、目標圧力Ptを推定するための学習モデル作成部を有している。学習モデル作成部は、GPU、ROM、RAM及び学習モデルを作成するためのソフトウェアが記憶された記憶部等を有して構成されている。
【0047】
そして、学習モデル作成部は、流量センサFsの検出値及び圧力センサPsの検出値を含むデータを教師データとして、目標圧力Ptを推定するための学習モデルを作成する機械学習システムである。
【0048】
因みに、本実施形態に係る学習モデル作成部は、新たな教師データも利用して定期的に学習済みモデルを更新(再学習)させる。なお、上述の実施形態と同一の構成要件等は、上述の実施形態と同一の符号が付されている。このため、本実施形態では、重複する説明は省略されている。
【0049】
(その他の実施形態)
上述の実施形態に係る制御部4は、流量変化率Frocが第1閾値より大きいか否かを利用して上昇状態又は下降状態であるかを判断した。しかし、本開示はこれに限定されない。
【0050】
すなわち、当該開示は、例えば、制御部4は、流量変化率が0を含む予め決められた範囲である状態を定常状態とし、流量変化率が当該範囲の上限値より大きい状態を上昇状態とし、流量変化率が当該範囲の下限値より小さい状態を下降状態としてもよい。
【0051】
そして、定常状態時には電動ポンプ3の回転速度が維持され、上昇状態時には電動ポンプ3の回転速度が増大する状態となり、下降状態時には電動ポンプ3の回転速度が減少する状態となるように電動ポンプ3が制御される構成であってよい。
【0052】
上述の実施形態に係る制御部4は、目標圧力Ptを増減することにより電動ポンプ3の回転速度を増減変化させた。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、電動ポンプ3の起動後、目標圧力制御が実行されることなく、上昇状態時には電動ポンプ3の回転速度が増大する状態となり、下降状態時には電動ポンプ3の回転速度が減少する構成であってよい。
【0053】
上述の実施形態に係る制御部4は、電動ポンプ3を停止させる際に加圧停止制御を実行した。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、加圧停止制御が実行されることなく、電動ポンプ3が停止する制御であってもよい。
【0054】
上述の実施形態では、目標圧力Ptの初期値として第2の目標圧力が用いられた。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、初期値として起動圧力Psuが用いられる構成であってもよい。
【0055】
上述の実施形態に係る給水装置では、電動ポンプ3の起動後、吐出し圧力が起動圧力Psu以上となった後に、目標圧力Pt又は電動ポンプ3の回転速度の増減変更が実行された。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、電動ポンプ3の起動後、直ぐに、S4が実行される構成であってもよい。
【0056】
上述の実施形態では、電動ポンプ3の起動後、目標圧力Tpを上昇又は電動ポンプ3の回転速度を増加させた。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、電動ポンプ3の起動後、第2の目標圧力まで吐出し圧力を上昇させた後、目標圧力Tpを低下又は電動ポンプ3の回転速度を減少させて流量変化率Frocを判断してもよい。
【0057】
上述の実施形態では、目標圧力Ptを増減させる際には、予め決められた大きさだけ増減変化させる構成であった。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、流量変化率Frocの絶対値が大きくなるほど、目標圧力Ptの増減変化量又は電動ポンプ3の回転速度の増減変化量が大きくなる構成であってもよい。
【0058】
さらに、本開示は、上述の実施形態に記載された開示の趣旨に合致するものであればよく、上述の実施形態に限定されない。したがって、上述した複数の実施形態のうち少なくとも2つの実施形態が組み合わせられた構成、又は上述の実施形態において、図示された構成要件もしくは符号を付して説明された構成要件のうちいずれかが廃止された構成であってもよい。
【符号の説明】
【0059】
1… 給水装置
3… 電動ポンプ
4… 制御部
5… 受水槽
7… 蓄圧器
Fs… 流量センサ
Ps… 圧力センサ