(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023072979
(43)【公開日】2023-05-25
(54)【発明の名称】給水装置
(51)【国際特許分類】
F04D 15/00 20060101AFI20230518BHJP
F04B 49/02 20060101ALI20230518BHJP
【FI】
F04D15/00 F
F04D15/00 L
F04B49/02 321
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021185749
(22)【出願日】2021-11-15
(71)【出願人】
【識別番号】000148209
【氏名又は名称】株式会社川本製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】坂谷 哲則
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 章太
【テーマコード(参考)】
3H020
3H145
【Fターム(参考)】
3H020AA01
3H020BA04
3H020BA24
3H020CA04
3H020CA10
3H020DA01
3H020DA04
3H020EA02
3H020EA03
3H020EA05
3H020EA12
3H020EA14
3H020EA17
3H145AA23
3H145BA20
3H145BA28
3H145BA41
3H145CA03
3H145CA06
3H145DA05
3H145EA13
3H145EA14
3H145EA16
3H145EA34
(57)【要約】
【課題】 目標圧力が適切な値に決定され得る給水装置の一例を開示する。
【解決手段】 給水量を連続的に検出可能な流量センサFsを備え、制御装置4は、流量センサFsの検出値を変数とする関数値として決定される値を目標圧力として、目標圧力制御を実行する。これにより、当該給水装置1では、目標圧力の決定に際して押込圧力の影響を受けないので、目標圧力が適切な値に決定され得る。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動ポンプを備える給水装置において、
給水量を連続的に検出可能な流量センサと、
前記電動ポンプの吐出し側圧力を検出する圧力センサと、
前記流量センサの検出値及び前記圧力センサの検出値を利用した目標圧力制御が実行可能な制御部とを備え、
前記流量センサの検出値を変数とする関数値として決定される値を目標圧力としたとき、
前記目標圧力制御では、前記圧力センサの検出値が目標圧力となるように前記電動ポンプが制御される給水装置。
【請求項2】
前記電動ポンプの吸い込み側に設けられた逆流防止装置であって、流入側が水道配管に接続される逆流防止装置を備え、
前記流量センサは、前記逆流防止装置と前記電動ポンプとの間の流水通路に配置されている請求項1に記載の給水装置。
【請求項3】
前記流量センサは、流水通路の中心軸線と直交する方向と平行な仮想線を中心として回転する羽根車を有しており、
前記羽根車は、前記仮想線より前記中心軸線側にて流水の動圧を受ける請求項1又は2に記載の給水装置。
【請求項4】
回転するインペラを有する電動ポンプを備え、当該電動ポンプの吸込側が水道配管に接続される給水装置において、
前記電動ポンプの吸い込み側に設けられた逆流防止装置と、
水圧を検出する圧力センサと、
前記電動ポンプの停止及び稼働を制御するポンプ制御部であって、前記電動ポンプの停止時に前記圧力センサが検出した圧力が予め決められた圧力(以下、起動圧力という。)以下になったときに当該電動ポンプを起動させる起動制御が実行可能なポンプ制御部と、
前記電動ポンプの停止時に当該電動ポンプ内の水が凍結することを防止する凍結防止制御の停止及び稼働を制御する凍結防止制御部とを備え、
前記電動ポンプの停止時に前記圧力センサが検出した圧力を押込圧力とし、前記起動圧力より大きな予め決められた圧力を押込回転圧力としたとき、
前記凍結防止制御部は、前記押込圧力が前記押込回転圧力以上の場合には、前記凍結防止制御を停止状態とする給水装置。
【請求項5】
給水量を連続的に検出可能な流量センサと、
前記電動ポンプの停止時において、前記押込圧力が前記押込回転圧力以下であって、かつ、前記流量センサの検出値が予め決められた値以上の場合に警告を発する警告部と
を備える請求項4に記載の給水装置。
【請求項6】
水温を検出する温度センサを備え、
前記凍結防止制御部は、
前記電動ポンプの停止時に前記温度センサが検出した検出温度が、予め決められた第1温度以下の場合に前記凍結防止制御を稼働させ、
前記凍結防止制御の稼働時の検出水温が、前記第1温度より高い予め決められた第2温度以上の場合に前記凍結防止制御を停止させる
請求項4又は5に記載の給水装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、給水用の電動ポンプを備える給水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
給水装置の電動ポンプは、特許文献1に記載されているように、当該電動ポンプの吐出し圧力が目標圧力となるように制御される。目標圧力は、通常、予め決められた値、又は電動ポンプの駆動周波数に基づいて自動的に決定される値が用いられる。駆動周波数とは、電動ポンプの電動モータを駆動する際の駆動電流の周波数である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、駆動周波数が同一であっても、電動ポンプの吸込側に作用する押込圧力が大きく変化すると、これに応じて電動ポンプの吐出し流量が変化する。押込圧力の変化幅が大きいと、駆動周波数が同一であっても、現実の吐出し流量が大きく変化してしまう。
【0005】
このため、駆動周波数に基づいて目標圧量が決定されると、目標圧力が適切な値とならない可能性がある。本開示は、当該点に鑑み、目標圧力が適切な値に決定され得る給水装置の一例を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
電動ポンプ(2)を備える給水装置は、例えば、以下の構成要件のうち少なくとも1つを備えることが望ましい。すなわち、当該構成要件は、給水量を連続的に検出可能な流量センサ(Fs)と、電動ポンプ(2)の吐出し側圧力を検出する圧力センサ(Ps1)と、流量センサ(Fs)の検出値(Q)及び圧力センサ(Ps1)の検出値(P1)を利用した目標圧力制御が実行可能な制御部(4)とを備え、流量センサ(Fs)の検出値を変数とする関数値として決定される値を目標圧力(Pt)としたとき、目標圧力制御では、圧力センサ(Ps1)の検出値(P1)が目標圧力(Pt)となるように電動ポンプ(2)が制御されることである。
【0007】
これにより、当該給水装置においては、目標圧力(Pt)は、流量センサ(Fs)の検出値を変数とする関数値として決定される。したがって、当該給水装置に係る目標圧力(Pt)は、押込圧力の影響を受けない。
【0008】
すなわち、目標圧力は、一般的に、給水装置から最も離れた箇所における給水圧(以下、末端圧という。)が予め決められた圧力(以下、目標末端圧という。)を維持できるような値に設定される。
【0009】
電動ポンプ(2)から吐き出された水の圧力は、末端に向かうほど、つまり電動ポンプから離れるほど低下する。したがって、末端圧を目標末端圧に維持するには、電動ポンプの吐出し圧力に、流水が末端に到達するまでに生じる圧力損失を加算した値以上とすればよい。
【0010】
圧力損失は、流水の流速に応じて変化する。これに対して、当該給水装置では、流量センサ(Fs)の検出値を変数とする関数値として目標圧力(Pt)が決定されるので、当該目標圧力(Pt)は、流水の流速に応じた値として決定される。したがって、当該給水装置では、目標圧力(Pt)が適切な値に決定され得る。
【0011】
また、回転するインペラを有する電動ポンプ(2)を備え、当該電動ポンプ(2)の吸込側が水道配管に接続される給水装置においては、例えば、以下の構成要件のうち少なくとも1つを備えることが望ましい。
【0012】
すなわち、当該構成要件は、電動ポンプ(2)の吸い込み側に設けられた逆流防止装置(3)と、水圧を検出する圧力センサ(Ps1、Ps2)と、電動ポンプ(2)の停止及び稼働を制御するポンプ制御部(4)であって、電動ポンプ(2)の停止時に圧力センサ(Ps1)が検出した圧力(P1)が予め決められた圧力(以下、起動圧力という。)以下になったときに当該電動ポンプ(2)を起動させる起動制御が実行可能なポンプ制御部(4)と、電動ポンプ(2)の停止時に当該電動ポンプ(2)内の水が凍結することを防止する凍結防止制御の停止及び稼働を制御する凍結防止制御部(4)とを備え、凍結防止制御部(4)は、押込圧力(Pp)が押込回転圧力(Pr)以上の場合には、凍結防止制御を停止状態とすることである。
【0013】
なお、押込圧力(Pp)とは、電動ポンプ(2)の停止時に圧力センサ(Ps2)が検出した圧力をいう。押込回転圧力(Pr)とは、起動圧力より大きな予め決められた圧力をいう。
【0014】
そして、当該給水装置では、押込圧力(Pp)が押込回転圧力(Pr)以上の場合には、押込圧力(Pp)により、電動ポンプ(2)のインペラが回転し得る。このインペラの回転により、当該電動ポンプ(2)内の凍結が防止されるので、凍結防止制御部(4)は、凍結防止制御を停止状態とする。
【0015】
因みに、上記各括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的構成等との対応関係を示す一例であり、本開示は上記括弧内の符号に示された具体的構成等に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】第1実施形態に係る給水装置を示す図である。
【
図3】ポンプ制御の一例を示すフローチャートである。
【
図4】凍結防止制御の一例を示すフローチャートである。
【
図5】警告作動の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下の「発明の実施形態」は、本開示の技術的範囲に属する実施形態の一例を示すものである。つまり、特許請求の範囲に記載された発明特定事項等は、下記の実施形態に示された具体的構成や構造等に限定されない。
【0018】
なお、各図に付された方向を示す矢印及び斜線等は、各図相互の関係及び各部材又は部位の形状を理解し易くするために記載されたものである。したがって、本開示に示された発明は、各図に付された方向に限定されない。斜線が付された図は、必ずしも断面図を示すものではない。
【0019】
少なくとも符号が付されて説明された部材又は部位は、「1つの」等の断りがされた場合を除き、少なくとも1つ設けられている。つまり、「1つの」等の断りがない場合には、当該部材は2以上設けられていてもよい。本開示に示された給水装置は、少なくとも符号が付されて説明された部材又は部位等の構成要素、並びに図示された構造部位を備える。
【0020】
(第1実施形態)
<1.給水装置の概要>
本実施形態は、直結式給水装置に本開示に係る給水装置の一例が適用されたものである。直結式給水装置とは、水道圧を利用して給水可能な給水装置である。このため、当該給水装置1は、受水槽等の貯水装置を備えていない。
【0021】
本実施形態に係る給水装置1は、
図1に示されるように、少なくとも1台(本実施形態では、複数)の電動ポンプ2、逆流防止装置3、制御装置4、電動ポンプ2と同数の流量センサFs、第1圧力センサPs1、第2圧力センサPs2、電動ポンプ2と同数の温度センサTs及び蓄圧器5等を少なくとも備える。
【0022】
各電動ポンプ2は、1つ又は複数インペラ(図示せず。)、及び当該インペラを回転させる電動モータ(図示せず。)等を有して構成されている。以下、複数台の電動ポンプ2を総称する際には、単に、電動ポンプ2と記す。
【0023】
電動ポンプ2の吸込側は水道配管に接続される。電動ポンプ2の吐出し側は、建物の給水用配管(図示せず。)に接続される。蓄圧器5は、電動ポンプ2の吐出し側に接続されて電動ポンプ2が停止しているときに、給水圧を保持する。
【0024】
なお、電動ポンプ2の吸込側と吐出し側とは、バイパス管6を介して繋がっている。当該バイパス管6には、逆止弁6Aが設けられている。逆止弁6Aは、吐出し側から吸込側に水が流通することを禁止する。
【0025】
逆流防止装置3は、電動ポンプ2の吸込側に設けられている。つまり、当該逆流防止装置3は、流入側が水道配管に接続され、かつ、流出側が電動ポンプ2の吸込側に接続されている。そして、逆流防止装置3は、給水装置1から水道配管に水が流れ込むこと、つまり逆流を禁止する。
【0026】
第1圧力センサPs1は、電動ポンプ2の吐出し側の水圧を検出する。第2圧力センサPs2は、電動ポンプ2の吸込側(本実施形態では、逆流防止装置3の流入側)の水圧、つまり水道圧を検出する。以下、第1圧力センサPs1の検出圧力を吐出し圧力Pという。第2圧力センサPs2を押込圧力Ppという。
【0027】
各温度センサTsは、水温を検出する。本実施形態に係る各温度センサTsは、各電動ポンプ2の吸込み側に配置されている。各流量センサFsは、逆流防止装置3と電動ポンプ2との間の流水通路、つまり電動ポンプ2の吸込み側にて給水量を検出する。
【0028】
本実施形態に係る流量センサFsは、給水量を連続的に検出可能な流量センサである。具体的には、各流量センサFsは、
図2に示されるように、羽根車Fiを有して構成されている。当該羽根車Fiは、仮想線O2を中心として回転可能である。仮想線O2は、流水通路Flの中心軸線O1と直交する方向と平行な軸線である。
【0029】
そして、各羽根車Fiは、逆流防止装置3と各電動ポンプ2との間の流水通路Flに配置された状態で、仮想線O2より中心軸線O1側にて流水の動圧を受けて回転する。なお、中心軸線O1とは、流水通路Flの断面の中心を通る仮想の法線である。
【0030】
因みに、本実施形態に係る各温度センサTsの感温部(図示せず。)は、各羽根車Fiの近傍に配置されている。なお、本実施形態では、羽根車Fiの回転信号を処理する制御板と感温部と一体化されてセンサモジュールが構成されている。
【0031】
各流量センサFs、第1圧力センサPs1、第2圧力センサPs2、及び温度センサTsの検出値は、制御装置4に入力されている。制御装置4は、それらの検出値を利用して電動ポンプ2等の作動を制御する。
【0032】
<2.給水装置の作動(
図1参照)>
制御装置4は、給水装置の作動制御として、電動ポンプ2の制御、凍結防止制御及び警告作動等を少なくとも実行可能である。なお、電動ポンプ2の制御、凍結防止制御及び警告作動それぞれは、互いに独立並列的に実行され得る。
【0033】
<2.1 電動ポンプの制御>
電動ポンプ2の電動モータは、駆動回路(図示せず。)を介してポンプ制御部により制御される。駆動回路は、電動モータを駆動するための電流(以下、駆動電流という。)を当該電動モータに供給する。
【0034】
なお、本実施形態に係る駆動回路は、インバータ方式の駆動回路である。当該駆動回路は、ポンプ制御部から送信される制御信号に従った周波数の駆動電流を電動モータに供給する。以下、駆動回路から供給される駆動電流の周波数を駆動周波数という。
【0035】
本実施形態に係るポンプ制御部は、制御装置4にてポンプ制御用のソフトウェアが実行されることにより実現される。制御装置4は、CPU、ROM及びRAM等を有するマイクロコンピュータにて構成されている。なお、当該ソフトウェアは、ROM等の不揮発性記憶部(図示せず。)に予め記憶されている。
【0036】
ポンプ制御部、つまり制御装置4は、ポンプ制御として、小水量停止制御、起動制御、及び目標圧力制御が少なくとも実行可能である。小水量停止制御は、給水量が予め決められた流量(以下、停止流量Qoという。)以下となったときに電動ポンプ2を停止させる制御である。
【0037】
因みに、本実施形態に係る給水装置1では、複数の電動ポンプ2が共に稼働する並列運転制御モードは実行されない。このため、本実施形態に係る給水量とは、稼働している電動ポンプ2に対応する流量センサFsが検出した流量となる。
【0038】
起動制御は、全ての電動ポンプ2が停止しているときに、吐出し圧力Pが予め決められた圧力(以下、起動圧力Poという。)以下になったときに、いずれかの電動ポンプ2を起動させる制御である。なお、本実施形態では、前回の起動制御時に起動した電動ポンプ2と異なる電動ポンプ2が起動される。
【0039】
目標圧力制御は、吐出し圧力Pが目標とする圧力(以下、目標圧力Ptという。)となるように電動ポンプ2の回転数等を調整する制御である。そして、目標圧力Ptは、流量センサFsの検出値を変数とする関数値として決定される。
【0040】
具体的には、制御装置4は、以下の数式1を用いて目標圧力Ptを演算する。
【0041】
Pt=P2+ΔP×k^2 ・・・数式1
但し、ΔP=P1=P2
k=(Q-Qo)/(Qmax-Qo)
P1、P2、Qo、Qmax:予め与えられた値
Q:流量センサFsの検出した流量
因みに、P1は、駆動周波数が最大となるとき、つまり最大給水量となるときの圧力である。P2は、停止流量Qo時における圧力であって、起動圧力Poより大きい圧力である。Qmaxは、最大給水量である。
【0042】
なお、
図3は、上記の「電動ポンプの制御」を示すフローチャートの一例である。給水装置の電源スイッチ(図示せず。)が投入されると、制御装置4は、吐出し圧力Pが起動圧力Po以下であるか否かを判断する(S1)。
【0043】
吐出し圧力Pが起動圧力Po以下である場合には(S1:YES)、制御装置4は、電動ポンプ2を起動させた後(S2)、流量センサFsの検出流量Qを読み取り(S3)、上記「k」を演算する(S4)。
【0044】
次に、制御装置4は、ΔP×k^2の値を演算した後(S5)、目標圧力Ptを演算する(S6)。そして、制御装置4は、吐出し圧力Pが目標圧力Ptになるように駆動周波数を、例えばPID制御する(S7)。
【0045】
次に、制御装置4は、検出流量が停止流量Qo以下であるか否かを判断する(S8)。検出流量が停止流量Qoより大きい場合には(S8:NO)、制御装置4は、S3を再び実行する。検出流量が停止流量Qo以下の場合には(S8:YES)、制御装置4は、電動ポンプ2を停止させる(S9)。
【0046】
<2.2 凍結防止制御(
図1参照)>
凍結防止制御とは、電動ポンプ2の停止時に当該電動ポンプ2内の水が凍結することを防止するための制御である。当該凍結防止制御の停止及び稼働は、凍結防止制御部により制御される。
【0047】
なお、凍結防止制御部は、制御装置4にて凍結防止制御用のソフトウェアが実行されることにより実現される。当該ソフトウェアは、ROM等の不揮発性記憶部(図示せず。)に予め記憶されている。
【0048】
凍結防止制御部、つまり制御装置4は、電動ポンプ2の停止時に温度センサTsが検出した温度(以下、検出水温Tという。)が第1温度T1以下の場合に凍結防止制御を稼働させる。
【0049】
そして、凍結防止制御の稼働時の検出水温Tが第2温度T2以上の場合に凍結防止制御を停止させる。なお、第1温度T1及び第2温度T2は予め決められた温度である。第2温度T2は、第1温度T1より高い温度である。
【0050】
具体的には、本実施形態に係る制御装置4は、検出水温Tが第1温度T1以下の場合には、インペラを予め決められた回転速度で回転させる。そして、検出水温Tが第2温度T2以上まで上昇したときにインペラの回転を停止させる。
【0051】
本実施形態に係る制御装置4は、押込圧力Ppが押込回転圧力Pr以上の場合には、凍結防止制御を停止状態とする。具体的には、押込圧力Ppが押込回転圧力Pr以上の場合には、制御装置4は、検出水温Tが第1温度T1以下の場合であっても、電動ポンプ2の電動モータに駆動電流を供給しない。
【0052】
押込回転圧力Prとは、起動圧力Poより大きな予め決められた圧力である。具体的には、インペラを回転させることができる程度の大きさの押込圧力である。つまり、起動圧力Poに逆流防止装置3で発生する圧力損失を加算した値以上の所定圧力である。
【0053】
なお、逆流防止装置3で発生する圧力損失とは、例えは、凍結防止効果を得るに必要な回転速度でインペラが回転したときに発生する流量の水が逆流防止装置3を流通した際に当該逆流防止装置3で発生する圧力損失である。
【0054】
図4は、上記の「凍結防止制御」を示すフローチャートの一例である。給水装置の電源スイッチ(図示せず。)が投入されると、制御装置4は、電動ポンプ2が停止しているか否か、つまり駆動周波数0であるか否かを判断する(S11)。
【0055】
電動ポンプ2が停止状態であると判断された場合には(S11:YES)、制御装置4は、押込圧力Ppが押込回転圧力Pr未満であるか否かを判断する(S12)。押込圧力Ppが押込回転圧力Pr未満であると判断された場合には(S12:YES)、制御装置4は、検出水温Tを読み込む(S13)。
【0056】
次に、制御装置4は、検出水温Tが第1温度T1(本実施形態では、3℃)以下である否かを判断する(S14)。検出水温Tが第1温度T1以下である場合には(S14:YES)、制御装置4は、電動ポンプ2のインペラを予め決められた回転速度で回転させる(S15)。
【0057】
電動ポンプ2が起動して凍結防止制御が稼働すると(S15)、制御装置4は、検出水温Tを読み込む(S16)。次に、制御装置4は、検出水温Tが第2温度T2(本実施形態では、6℃)以上である否かを判断する(S17)。
【0058】
検出水温Tが第2温度T2以上である場合には(S17:YES)、制御装置4は、電動ポンプ2を停止させて凍結防止制御を停止させる(S18)。検出水温Tが第2温度T2未満である場合には(S17:NO)、制御装置4は、インペラの回転を継続させる。
【0059】
<2.3 警告作動(
図1参照)>
警告作動とは、電動ポンプ2の軸シール等で漏水が発生したとみなすことが可能なときに、その旨の警告を発報する機能である。そして、当該警告作動は、警告部にて実行される。
【0060】
具体的には、警告部は、電動ポンプ2の停止時において、押込圧力Ppが押込回転圧力Pr以下であって、かつ、流量センサFsの検出値が予め決められた値(以下、漏水流量という。)以上の場合に警告を発報する。
【0061】
なお、警告部は、警告用のソフトウェアが制御装置4にて実行されることにより実現される。当該ソフトウェアは、ROM等の不揮発性記憶部(図示せず。)に予め記憶されている。
【0062】
なお、
図5は、上記の「警告作動」を示すフローチャートの一例である。給水装置の電源スイッチ(図示せず。)が投入されると、制御装置4は、電動ポンプ2が停止しているか否かを判断する(S21)。
【0063】
電動ポンプ2が停止していると判断された場合には(S21:YES)、制御装置4は、検出流量Q及び押込圧力Ppを読み込んだ後(S22)、押込圧力Ppが押込回転圧力Pr以下であって、かつ、検出流量Qが漏水流量以上であるか否かを判断する(S23)。
【0064】
そして、押込圧力Ppが押込回転圧力Pr以下であって、かつ、検出流量Qが漏水流量以上である状態が予め決められた時間(例えば、2秒)以上継続した場合には(S23:YES)、制御装置4は、漏水警告を発報する(S24)。
【0065】
<3.本実施形態に係る給水装置の特徴>
電動ポンプ2から吐き出された水の圧力は、末端に向かうほど、つまり電動ポンプから離れるほど低下する。したがって、末端圧を目標末端圧に維持するには、電動ポンプの吐出し圧力に、流水が末端に到達するまでに生じる圧力損失を加算した値以上とすればよい。
【0066】
圧力損失は、流水の流速に応じて変化する。これに対して、当該給水装置1では、流量センサFsの検出値を変数とする関数値として目標圧力Ptが決定されるので、当該目標圧力Ptは、流水の流速に応じた値として決定される。したがって、当該給水装置1では、目標圧力Ptの決定に際して押込圧力の影響を受けないので、目標圧力Ptが適切な値に決定され得る。
【0067】
流量センサFsの羽根車Fiは、仮想線O2より中心軸線O1側にて流水の動圧を受ける(
図2参照)。これにより、羽根車Fi全体で動圧を受ける構成に比べて、羽根車Fiにて発生する圧力損失が低くなる。
【0068】
このため、圧力損失の増加が抑制され、直結給水装置の特徴である省エネ効果が保持される。なお、流量センサFsは流量を連続的に検出可能であるので、各電動ポンプ2の流量、給水装置1全体の瞬時流量や積算流量等の情報を制御装置4等に表示することも可能となる。
【0069】
当該給水装置1では、押込圧力Ppが押込回転圧力Pr以上の場合には、凍結防止制御が停止状態となる。これは、押込圧力Ppが押込回転圧力Pr以上の場合には、押込圧力Ppにより、電動ポンプ2のインペラが回転し得るからである。
【0070】
そして、このインペラの回転により、当該電動ポンプ2内の凍結が防止される。つまり、本実施形態に係る給水装置1では、凍結防止制御のために電動ポンプ2を稼働させることなく、凍結を防止でき得る。
【0071】
ところで、電動ポンプ2への稼働指令が発せられていない状態において、押込圧力Ppが押込回転圧力Pr以下の場合には、インペラは、通常、回転しない。したがって、当該場合において、検出流量Qが予め決められた流量以上となった場合には、給水装置1のいずいれかの部位(例えば、軸シール)にて漏水が発生している可能性が高い。
【0072】
そこで、制御装置4は、電動ポンプ2への稼働指令が発せられていない状態において、押込圧力Ppが押込回転圧力Pr以下であって、かつ、検出流量Qが漏水流量以上の場合には、警告を発報する。
【0073】
(その他の実施形態)
上述の実施形態では、直結式給水装置に本開示に係る給水装置が適用された。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、受水槽方式の給水装置にも適用可能である。
【0074】
上述の実施形態では、数式1を用いて目標圧力Ptを演算した。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、流量センサFsの検出値を変数とする関数値として目標圧力Ptが決定される構成、又は流量センサFsの検出値に関連したパラメータを変数とする関数値等であれば十分である。
【0075】
上述の実施形態では、凍結防止制御及び警告作動が可能な給水装置であった。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、凍結防止制御及び警告作動のうち少なくとも一方の機能が廃止された構成、又は凍結防止制御及び警告作動のうち少なくとも一方の機能を有し、かつ、流量センサFsの検出値を利用して目標圧力Ptを決定する機能が廃止された構成であってもよい。
【0076】
上述の実施形態では、流量センサFsが電動ポンプ2の吸込側に配置されていた。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、流量センサFsが電動ポンプ2の吐出し側に配置された構成であってもよい。
【0077】
上述の実施形態に係る凍結防止制御では、検出水温Tが第1温度T1以下である場合にインペラを回転させることにより凍結を防止するものであった。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、検出水温Tが第1温度T1以下である場合に電動ポンプのポンプハウジングを加熱するヒータを備える構成であってもよい。
【0078】
さらに、本開示は、上述の実施形態に記載された開示の趣旨に合致するものであればよく、上述の実施形態に限定されない。したがって、上述した複数の実施形態のうち少なくとも2つの実施形態が組み合わせられた構成、又は上述の実施形態において、図示された構成要件もしくは符号を付して説明された構成要件のうちいずれかが廃止された構成であってもよい。
【符号の説明】
【0079】
1… 給水装置
2… 電動ポンプ
3… 逆流防止装置
4… 制御装置
Fs… 流量センサ
Ps1… 第1圧力センサ
Ps2… 第2圧力センサ
Ts… 温度センサ