(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023072989
(43)【公開日】2023-05-25
(54)【発明の名称】太陽光発電装置
(51)【国際特許分類】
H02S 40/22 20140101AFI20230518BHJP
H02S 20/30 20140101ALI20230518BHJP
【FI】
H02S40/22
H02S20/30 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021185764
(22)【出願日】2021-11-15
(71)【出願人】
【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】田飼 伸匡
【テーマコード(参考)】
5F151
5F251
【Fターム(参考)】
5F151HA01
5F151HA07
5F151JA14
5F151JA23
5F251HA01
5F251HA07
5F251JA14
5F251JA23
(57)【要約】
【課題】太陽電池モジュールを太陽の正中方向の方角とは逆向きの方角であっても、効率よく発電できる太陽光発電装置を提供する。
【解決手段】設置面1上に配置された1台以上の両面受光型の太陽電池モジュール4を備え、太陽電池モジュール4は、表面4Aが太陽の正中方向の方角とは逆の方角を向いて配置され、設置面1から浮かすように傾斜させて設置され、当該傾斜により、太陽電池モジュール4における正中方向側の端縁4Bが設置面1から浮いている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
設置面上に配置された1台以上の両面受光型の太陽電池モジュールを備え、
前記太陽電池モジュールは、表面が太陽の正中方向の方角とは逆の方角を向いて配置され、前記設置面から浮かすように傾斜させて設置され、当該傾斜により、前記太陽電池モジュールにおける正中方向側の端縁が前記設置面から浮いていることを特徴とする太陽光発電装置。
【請求項2】
前記太陽電池モジュールの設置面に対する傾斜角度が3度以上20度以下であることを特徴とする請求項1に記載の太陽光発電装置。
【請求項3】
前記設置面のアルベドが、0.2以上0.9以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の太陽光発電装置。
【請求項4】
前記設置面の傾斜角度が0度以上15度以下であることを特徴とする請求項1~3のうちのいずれか1項に記載の太陽光発電装置。
【請求項5】
前記太陽電池モジュールの表面は、防眩処理が施されていることを特徴とする請求項1~4のうちのいずれか1項に記載の太陽光発電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、設置面上に配置された1台以上の両面受光型の太陽電池モジュールを備えた太陽光発電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記両面受光型の太陽電池モジュールを設置する場合、第1として、どの方向にでも設置できる状況においては、慣例と技術常識に倣って太陽の正中方向の方角(北半球では南、南半球では北)に向けて設置する。例えば、特許文献1では、太陽電池モジュールの面を南に向けて設置している。また、第2として、太陽の正中方向の方角(北半球では南、南半球では北)では少し不利な状況(正中方向に山や建物がある状況)であっても、前記と同様に慣例と技術常識に倣って太陽の正中方向の方角(北半球では南、南半球では北)に向けて設置する、もしくは、太陽光発電装置の設置を諦めてしまう。また、第3として、太陽の正中方向の方角(北半球では南、南半球では北)と反対方向の方角しか設置できない状況、例えば該反対方向の方角の設置面しかない状況においては、太陽光発電装置の設置をそもそも諦めてしまう。
【0003】
第1の場合には、アルベドや受光面の傾斜角度次第では、太陽の正中方向の方角と反対方向の方角に設置した方が、発電効率が有利な場合があるにも関わらず、太陽の正中方向の方角に向けて設置している。また、第2の場合も同様に、アルベドや受光面の傾斜角度次第では、太陽の正中方向の方角と反対方向の方角に設置した方が、発電効率が有利な場合があるにも関わらず、太陽の正中方向の方角(北半球では南、南半球では北)に向けて設置している。また第3の場合には、太陽光発電による利益計算が、太陽の正中方向の方角に設置した場合を前提に計算されているため、太陽の正中方向の方角とは反対の方角に設置すると利益にならないという思い込みがあるため、太陽光発電装置の設置を諦めてしまう。要するに、太陽電池モジュールを太陽の正中方向の方角に向けて設置することしか考えられていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明は、かかる実情に鑑み、太陽電池モジュールを太陽の正中方向の方角とは逆向きの方角であっても、効率よく発電できる太陽光発電装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る太陽光発電装置は、設置面上に配置された1台以上の両面受光型の太陽電池モジュールを備え、前記太陽電池モジュールは、表面が太陽の正中方向の方角とは逆の方角を向いて配置され、前記設置面から浮かすように傾斜させて設置され、当該傾斜により、前記太陽電池モジュールにおける正中方向側の端縁が前記設置面から浮いていることを特徴としている。
【0007】
かかる構成によれば、太陽電池モジュールにおける正中方向側の端縁が前記設置面から浮いているので、設置面に反射した太陽光を太陽電池モジュールの裏面に当てることができ、その分、発電量を増やすことができる。よって、太陽電池モジュールを太陽の正中方向の方角とは逆の方角を向いて配置したことにより、太陽電池モジュールを正中方向設置した場合に比べて発電量が低下することを、太陽電池モジュールの裏面での発電量で補うことができる。
【0008】
前記太陽電池モジュールの設置面に対する傾斜角度が3度以上20度以下であることが好ましい。
【0009】
前記設置面のアルベドが、0.2以上0.9以下であることが好ましい。
【0010】
前記設置面の傾斜角度が0度以上15度以下であることが好ましい。
【0011】
前記太陽電池モジュールの表面は、防眩処理が施されていてもよい。
【0012】
上記構成によれば、太陽電池モジュールの表面を、防眩処理することによって、表面を反射した反射光が特定方向に照射されることが低減され、光公害が抑制される。
【発明の効果】
【0013】
以上より、本発明によれば、太陽電池モジュールにおける正中方向側の端縁が前記設置面から浮いていることによって、太陽電池モジュールの裏面での発電量を増大させることができるので、太陽電池モジュールを太陽の正中方向の方角とは逆向きの方角であっても、効率よく発電できる太陽光発電装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の太陽光発電装置を水平の設置面上に太陽の正中方向の方角とは逆の方角を向いて配置した図を示し、(a)は側面図、(b)は平面図である。
【
図2】本発明の太陽光発電装置を傾斜した設置面上に太陽の正中方向の方角とは逆の方角を向いて配置した図を示し、(a)は側面図、(b)は平面図である。
【
図3】(a)は太陽光発電装置を水平の設置面上に太陽の正中方向の方角に向いて配置した側面図を示し、(b)は太陽光発電装置を水平の設置面上に太陽の正中方向の方角とは逆の方角を向いて配置した側面図である。
【
図4】シミュレーションした時の太陽電池モジュールの設置状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態に係る太陽光発電装置について、図面を参照しつつ説明する。以下の説明では、太陽光発電装置の設置場所を、北半球の中緯度の地域(例えば日本)にしている。尚、以下の説明における角度での方位表示は、左手系南基準の方位角である。
【0016】
図1(a),(b)に示すように、紙面左側に正中時の太陽Sが位置している状態において、水平な設置面1上に東西方向に2列の太陽電池アレイ2,3が配置されて太陽光発電装置を構成している。各太陽電池アレイ2又は3は、東西方向に所定間隔を置いて複数個(
図1(b)では5個)の太陽電池モジュール4が土台5を介して配置されている。各太陽電池モジュール4は、表面4Aと裏面4Cの両方で受光する両面受光型に構成され、表面4Aが北半球における太陽の正中方向の方角(南)とは逆の方角である北を向いた状態で配置されている(本実施形態では、真北/方位角180度)。また、各太陽電池モジュール4は、太陽の正中方向側(
図1(a),(b)では南側)の端縁4Bが前記設置面1から浮くように傾斜している。
【0017】
また、
図2(a),(b)に示すように、紙面左側に正中時の太陽Sが位置している状態において、家屋の屋根等の傾斜面に構成された設置面6に東西方向に3列の太陽電池アレイ7,8,9が配置されて太陽光発電装置を構成している。各太陽電池アレイ7又は8又は9は、東西方向に所定間隔を置いて複数個(
図2(b)では3個)の太陽電池モジュール10が土台(図示せず)を介して配置されている。各太陽電池モジュール10は、表面10Aと裏面10Cの両方で受光する両面受光型に構成され、表面10Aが太陽の正中方向の方角とは逆の方角である北を向いた状態で配置されている。また、各太陽電池モジュール10は、太陽の正中方向側(
図2(a),(b)では北側)の端縁10Bが前記設置面6から浮くように傾斜している。
【0018】
正中方向の方角(南)とは逆の方角は、北半球の場合には、左手系南基準の方位角表示における90度(真西)以上270度(真東)以下であり、南半球の場合には、左手系北基準の方位角表示における90度(真東)以上270度(真西)以下である。また、正中方向の方角(南)とは逆の方角は、北半球の場合には、左手系南基準の方位角表示における90度(真西)を越え270度(真東)未満であり、南半球の場合には、左手系北基準の方位角表示における90度(真東)を越え270度(真西)未満である。
【0019】
太陽光発電装置の設置場所が、北半球の中緯度の地域(例えば日本)では、太陽は、東の方角から昇り、正午に南を経て、西の方角に沈む。このとき、
図3(a)に示すように、所定の高度に位置する太陽Sの正中方向の方角(真南)を向いて配置した太陽電池モジュール4では、太陽電池モジュール4の下方の設置面1の全域が影G1となり、太陽電池モジュール4の下方の設置面1には直達日射光が全く照射されず、太陽電池モジュール4の裏面4Cの受光量が表面に比べて減少する。これに対して、
図3(b)に示すように、太陽Sの正中方向の方角とは逆の方角(真北)を向いて配置した太陽電池モジュール4では、北側の端部側のみが影G2となり、太陽電池モジュール4の下方の設置面1に直達日射光が照射され、設置面1の反射により太陽電池モジュール4の裏面4Cの受光量が
図3(a)の場合よりも増大する。つまり、太陽電池モジュール4の表面4Aの発電量は北向きの方が落ちるが、裏面4Cの発電量で補うことができる。よって、太陽電池モジュール4を逆向き配置せざるを得ない場合でも、発電量の減少を抑えられる。
【0020】
実際に、太陽電池モジュールを北側(方位を90度、135度、180度)を向いて配置した場合と、南側(方位を0度、45度)を向いて配置したときに太陽電池モジュールの表裏が受光する表面受光量、裏面受光量、表裏を合計した合計受光量についてシミュレーションした結果を表1から表6に示した。ここで、シミュレーションした時の条件及びパラメータは次のとおりである。
【0021】
シミュレーションの条件については、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構が提供する日射量データベース「METPV-20」の日射量データを用いた。また、1時間ごとの太陽電池モジュールの下方に発生する影の長さを計算し、影の掛かっている地面からは直達日射量+散乱日射量が反射し、影の掛かっていない地面は散乱日射量が反射するものとして、一般社団法人日本太陽エネルギー学会「[改訂]新太陽エネルギー利用ハンドブック」に基づいて斜面日射量を計算した。1台の太陽電池モジュールを、平屋根もしくは水平な地面(設置面)に設置し、
図4に示すように、太陽電池モジュール4の長さLは1000mm、地面(設置面1)から150mmの高さHのところに設置しているものとして影の計算を行った。前記太陽電池モジュール4における正中方向側である真南側の端縁が設置面から浮いた状態で該太陽電池モジュール4を設置している。
【0022】
シミュレーションのパラメータについては、太陽電池モジュールの設置位置として、表1,2,3では、兵庫県豊岡市に設定し、表4,5,6では、大阪府大阪市に設定した。また、設置面1のアルベドを0.2、0.5、0.8の3種類に設定し、方位を、180度、135度、90度の北向きに太陽電池モジュールを向けた場合と、45度、0度の南向きに太陽電池モジュールを向けた場合とに設定し、太陽電池モジュールの傾斜角度を3度、10度、15度、20度,30度に設定した。アルベドは、反射能ともいい、入射光に対する反射光の比である。
【0023】
【0024】
表1によれば、モジュール角度を3度にした場合において、アルベド及び太陽電池モジュールの方位を変更すると、アルベドが0.2の場合では、北側(方位を90度、135度、180度)に向けて配置した方が、南側(方位を0度、45度)を向いて配置した場合に比べて、裏面受光量が増大し、合計受光量が高くなっている。また、アルベドを0.5又は0.8に変更した場合も同様に、北側(方位を90度、135度、180度)に向けて配置した方が、南側(方位を0度、45度)を向いて配置した場合に比べて、裏面受光量が増大し、合計受光量が高くなっている。次に、モジュール角度を10度にした場合において、アルベド及び太陽電池モジュールの方位を変更すると、アルベドが0.2の場合では、南側(方位を0度、45度)を向いて配置した方が、北側(方位を90度、135度、180度)に向けて配置した場合に比べて、合計受光量が高くなっているが、北側配置であっても、南側配置と比べ、合計受光量の大幅な低下はない。また、アルベドを0.5又は0.8に変更した場合は、前記とは反対に、北側(方位を90度、135度、180度)に向けて配置した方が、南側(方位を0度、45度)を向いて配置した場合に比べて、裏面受光量が増大し、合計受光量が高くなっている。
【0025】
【0026】
表2によれば、モジュール角度を15度にした場合において、アルベド及び太陽電池モジュールの方位を変更すると、アルベドが0.2の場合では、南側(方位を0度、45度)を向いて配置した方が、北側(方位を90度、135度、180度)に向けて配置した場合に比べて、合計受光量が高くなっているが、北側配置であっても、南側配置と比べ、合計受光量の大幅な低下はない。また、アルベドを0.5に変更した場合は、北側(方位を180度)に向けて配置した場合において合計受光量が最も高くなっていて、南側(方位を45度)を向いて配置した場合において合計受光量が2番目に高くなっている。アルベドを0.8に変更した場合は、北側(方位を90度、135度、180度)に向けて配置した方が、南側(方位を0度、45度)を向いて配置した場合に比べて、合計受光量が高くなっている。次に、モジュール角度を20度にした場合において、アルベド及び太陽電池モジュールの方位を変更すると、アルベドが0.2の場合では、南側(方位を0度、45度)を向いて配置した方が、北側(方位を90度、135度、180度)に向けて配置した場合に比べて、合計受光量が高くなっているが、北側配置であっても、南側配置と比べ、合計受光量の大幅な低下はない。また、アルベドを0.5に変更した場合は、南側(方位を45度)を向いて配置した場合において合計受光量が最も高くなっているものの、北側(方位を90度、135度、180度)に向けて配置した場合と南側(方位を0度)を向いて配置した場合とが差が少ない合計受光量となっている。また、アルベドを0.8に変更した場合は、北側(方位を90度、135度、180度)に向けて配置した方が、南側(方位を0度、45度)を向いて配置した場合に比べて、裏面受光量が増大し、合計受光量が高くなっている。
【0027】
【0028】
表3によれば、モジュール角度を30度にした場合において、アルベド及び太陽電池モジュールの方位を変更すると、アルベドが0.2の場合では、南側(方位を0度、45度)を向いて配置した方が、北側(方位を90度、135度、180度)に向けて配置した場合に比べて、合計受光量が高くなっているが、北側配置であっても、南側配置と比べ、合計受光量の大幅な低下はない。また、アルベドを0.5に変更した場合も同様に、南側(方位を0度、45度)を向いて配置した方が、北側(方位を90度、135度、180度)に向けて配置した場合に比べて、合計受光量が高くなっているが、北側配置であっても、南側配置と比べ、合計受光量の大幅な低下はない。アルベドを0.8に変更した場合は、北側(方位を180度)に向けて配置した場合が最も合計受光量が高く、2番目に合計受光量が高いのが南側(方位を45度)を向いて配置した場合である。
【0029】
表1、表2、表3から考察すれば、太陽電池モジュールにおける正中方向側の端縁が設置面から浮いていることによって、太陽電池モジュールの裏面での発電量を増大させることができるので、太陽電池モジュールを太陽の正中方向の方角とは逆向きの方角であっても、設置面のアルベド、方位、モジュール角度を調整することによって、効率よく発電できる太陽光発電装置を提供することができる。尚、モジュール角度が30度の場合は、北側(方位を90度、135度、180度)を向いて配置した場合の合計受光量の優位性が確認できなかったため、モジュール角度は3度以上20度以下が好ましい。また、アルベドは、数値が大きいほど発電量が増大するため、0.2以上0.9以下が好ましいといえる。
【0030】
【0031】
表4によれば、モジュール角度を3度にした場合において、アルベド及び太陽電池モジュールの方位を変更すると、アルベドが0.2の場合では、北側(方位を90度、135度、180度)に向けて配置した方が、南側(方位を0度)を向いて配置した場合に比べて、合計受光量が高くなっている。また、アルベドを0.5又は0.8に変更した場合は、北側(方位を90度、135度、180度)に向けて配置した方が、南側(方位を0度、45度)を向いて配置した場合に比べて、裏面受光量が増大し、合計受光量が高くなっている。次に、モジュール角度を10度にした場合において、アルベド及び太陽電池モジュールの方位を変更すると、アルベドが0.2又は0.8の場合では、南側(方位を0度、45度)を向いて配置した方が、北側(方位を90度、135度、180度)に向けて配置した場合に比べて、合計受光量が高くなっているが、北側配置であっても、南側配置と比べ、合計受光量の大幅な低下はない。また、アルベドを0.5に変更した場合は、モジュール角度を3度にした場合と同様に、北側(方位を90度、135度、180度)に向けて配置した方が、南側(方位を0度)を向いて配置した場合に比べて、合計受光量が高くなっている。
【0032】
【0033】
表5によれば、モジュール角度を15度にした場合において、アルベド及び太陽電池モジュールの方位を変更すると、アルベドが0.2の場合では、南側(方位を0度、45度)を向いて配置した方が、北側(方位を90度、135度、180度)に向けて配置した場合に比べて、合計受光量が高くなっているが、北側配置であっても、南側配置と比べ、合計受光量の大幅な低下はない。また、アルベドを0.5に変更した場合は、南側(方位を45度)に向けて配置した場合において合計受光量が最も高くなっていて、北側(方位を180度)を向いて配置した場合において合計受光量が2番目に高くなっている。アルベドを0.8に変更した場合は、北側(方位を90度、135度、180度)に向けて配置した方が、南側(方位を0度、45度)を向いて配置した場合に比べて、裏面受光量が増大し、合計受光量が高くなっている。次に、モジュール角度を20度にした場合において、アルベド及び太陽電池モジュールの方位を変更すると、アルベドが0.2及び0.5の場合では、南側(方位を0度、45度)を向いて配置した方が、北側(方位を90度、135度、180度)に向けて配置した場合に比べて、合計受光量が高くなっているが、北側配置であっても、南側配置と比べ、合計受光量の大幅な低下はない。また、アルベドを0.8に変更した場合は、南側(方位を45度)を向いて配置した場合において合計受光量が最も高くなっているものの、北側(方位を90度、135度、180度)に向けて配置した場合と南側(方位を0度)を向いて配置した場合とが差が少ない合計受光量となっている。
【0034】
【0035】
表6によれば、モジュール角度を30度にした場合において、アルベド及び太陽電池モジュールの方位を変更すると、アルベドが0.2の場合では、南側(方位を0度、45度)を向いて配置した方が、北側(方位を90度、135度、180度)に向けて配置した場合に比べて、合計受光量が高くなっているが、北側配置であっても、南側配置と比べ、合計受光量の大幅な低下はない。また、アルベドを0.5に変更した場合も同様に、南側(方位を0度、45度)を向いて配置した方が、北側(方位を90度、135度、180度)に向けて配置した場合に比べて、合計受光量が高くなっているが、北側配置であっても、南側配置と比べ、合計受光量の大幅な低下はない。アルベドを0.8に変更した場合は、南側(方位を45度)に向けて配置した場合が最も合計受光量が高く、2番目に合計受光量が高いのが北側(方位を90度)を向いて配置した場合である。
【0036】
表4、表5、表6から考察すれば、太陽電池モジュールにおける正中方向側の端縁が設置面から浮いていることによって、太陽電池モジュールの裏面での発電量を増大させることができるので、太陽電池モジュールを太陽の正中方向の方角とは逆向きの方角であっても、設置面のアルベド、方位、モジュール角度を調整することによって、効率よく発電できる太陽光発電装置を提供することができる。尚、モジュール角度が30度の場合は、北側(方位を90度、135度、180度)を向いて配置した場合の合計受光量の優位性が確認できなかったため、モジュール角度は3度以上20度以下が好ましい。また、アルベドは、数値が大きいほど発電量が増大するため、0.2以上0.9以下が好ましいといえる。
【0037】
また、太陽電池モジュールの表面を、防眩処理している。このように防眩処理することによって、太陽電池モジュールの表面を反射した反射光が特定方向に照射されることが低減され、光公害が抑制される。防眩処理は、太陽電池モジュールの表面及び裏面に防眩膜を形成する、又は表面及び裏面に凹凸を形成する、又は表面及び裏面に防眩処理されたフィルムを貼り付けることが挙げられる。
【0038】
尚、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0039】
1…設置面、2,3…太陽電池アレイ、4…太陽電池モジュール、4A…表面、4B…端縁、4C…裏面、5…土台、6…設置面、7,8,9…太陽電池アレイ、10…太陽電池モジュール、10A…表面、10B…端縁、10C…裏面、G1,G2…影、S…太陽