(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023073015
(43)【公開日】2023-05-25
(54)【発明の名称】安全運転支援システム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/00 20060101AFI20230518BHJP
G08G 1/09 20060101ALI20230518BHJP
G06Q 50/10 20120101ALI20230518BHJP
【FI】
G08G1/00 D
G08G1/09 F
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021185808
(22)【出願日】2021-11-15
(71)【出願人】
【識別番号】509161705
【氏名又は名称】イーデザイン損害保険株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001999
【氏名又は名称】弁理士法人はなぶさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】広瀬 直人
(72)【発明者】
【氏名】塚田 亜希子
(72)【発明者】
【氏名】野田 有希子
【テーマコード(参考)】
5H181
5L049
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB04
5H181FF10
5H181MB02
5L049CC11
(57)【要約】
【課題】運転者に安全運転のための行動を積極的に行わせる。
【解決手段】安全運転支援システム10は、システム10を管理及び制御する管理制御部20と、携帯端末80で動作し、管理制御部20と通信しながら、運転者60とシステム10との間のインタフェースの役割を果たすインタフェース部30とを含み、インタフェース部30は、安全運転のための具体的な運転行動を運転者60へ提示すると共に、その実践に対する自己評価を運転者60から取得し、自己評価の結果に応じて運転者60へリワードを提供する。すなわち、インタフェース部30は、運転行動の提示だけでなく、その実践に対する自己評価を運転者60から取得して、運転者60と双方向のコミュニケーションを図り、更に自己評価の結果に応じてリワードを提供するため、安全運転のための運転行動を、運転者60に積極的に実践させることができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の運転者の安全運転を支援するシステムであって、
当該システム全体を管理及び制御する管理制御部と、
前記運転者の携帯端末において動作し、前記管理制御部と通信しながら、前記運転者と当該システムとの間のインタフェースの役割を果たすインタフェース部と、を含み、
該インタフェース部は、安全運転のための具体的な運転行動を前記運転者へ提示すると共に、前記運転行動の実践に対する自己評価を前記運転者から取得し、前記自己評価の結果に応じて、前記運転者へリワードを提供することを特徴とする安全運転支援システム。
【請求項2】
前記インタフェース部は、前記運転行動の内容を定期的に変更して前記運転者へ提示することを特徴とする請求項1記載の安全運転支援システム。
【請求項3】
前記車両に設置され、前記運転者が行った車両操作に関する操作データを取得して前記インタフェース部へ送信するビーコン装置を含み、
前記インタフェース部は、前記操作データに基づいて前記運転者の運転スコアを算出して前記運転者へ提示すると共に、前記運転スコアに基づいて前記運転者へリワードを提供することを特徴とする請求項1又は2記載の安全運転支援システム。
【請求項4】
前記操作データは、前記車両の急加速操作の有無、前記車両の急ハンドル操作の有無、前記車両の急ブレーキ操作の有無、前記車両の速度、及び運転中の前記携帯端末の操作の有無のうち、少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項3記載の安全運転支援システム。
【請求項5】
前記携帯端末がスマートフォンであり、
前記インタフェース部は、前記運転者へ提示する少なくとも一部のメッセージを、前記スマートフォンのプッシュ通知機能を利用して提示することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載の安全運転支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の運転者の安全運転を支援する安全運転支援システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、自動車などの車両の安全運転を支援するための様々な装置が発案されている。例えば、特許文献1には、車両の運転挙動及び走行環境に基づいて、運転者の危険運転レベルを判定し、判定された危険運転レベルに応じて、運転者へ安全運転を促すアドバイス情報を提示する装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、事故に遭わない安全運転のための情報は、上述したような装置から提示される他にも、例えば自動車保険を取り扱う保険会社のWebサイトなど、様々な場所で確認することができる。しかしながら、そのような情報が運転者にとって有益であったとしても、そもそも安全運転に関して自ら課題があると感じていないことなどから、運転者により実際に行われるケースは少ないと考えられる。更に、上述したような装置は、運転者に対して安全運転のためのアドバイス情報を提示するものの、それは装置から運転者への一方的なものであるため、この点もアドバイス情報が生かされないことの要因になっている。加えて、上述したような装置が把握する運転挙動は車両単位となっており、複数人の運転者が同一の車両を運転するようなケースにおいては、運転者毎の判別がなされず、個々の運転者へ的確なアドバイスをすることはできない。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、運転者に対して自らの運転を省みる機会を提供し、安全運転のための行動変容を促すことにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(発明の態様)
以下の発明の態様は、本発明の構成を例示するものであり、本発明の多様な構成の理解を容易にするために、項別けして説明するものである。各項は、本発明の技術的範囲を限定するものではない。そのため、発明を実施するための最良の形態を参酌しつつ、各項の構成要素の一部を置換し、削除し、又は、更に他の構成要素を付加したものについても、本発明の技術的範囲に含まれ得るものである。
【0006】
(1)車両の運転者の安全運転を支援するシステムであって、当該システム全体を管理及び制御する管理制御部と、前記運転者の携帯端末において動作し、前記管理制御部と通信しながら、前記運転者と当該システムとの間のインタフェースの役割を果たすインタフェース部と、を含み、該インタフェース部は、安全運転のための具体的な運転行動を前記運転者へ提示すると共に、前記運転行動の実践に対する自己評価を前記運転者から取得し、前記自己評価の結果に応じて、前記運転者へリワードを提供する安全運転支援システム。
【0007】
本項に記載の安全運転支援システムは、自動車などの車両の運転者の安全運転を支援するものであって、管理制御部及びインタフェース部を含んでいる。管理制御部は、安全運転支援システムを管理及び制御するものであって、例えば、運転者に対して安全運転を促進する、自動車保険を販売する保険会社などにおいて使用される。インタフェース部は、運転者と安全運転支援システムとの間のインタフェースの役割を果たすものであって、運転者が所持する携帯端末において動作する。すなわち、インタフェース部は、携帯端末の入出力機能を利用して、運転者からの情報の入力及び運転者への情報の提示を行うと共に、携帯端末の通信機能を利用して、管理制御部と通信を行う。
【0008】
また、インタフェース部は、携帯端末を介して、安全運転のための具体的な運転行動を運転者へ提示するものであり、そのような運転行動が管理制御部から送信される。更に、インタフェース部は、運転者へ提示した運転行動の実践に対する自己評価を、運転者から携帯端末を介して入力されることで取得し、その自己評価の結果に応じて、運転者へリワードを提供するものである。すなわち、インタフェース部は、運転者に対して運転行動を提示するだけでなく、運転者から運転行動の実践に対する自己評価を取得することで、運転者と双方向のコミュニケーションを図るものである。それに加えて、自己評価の結果に応じてリワードが提供されるため、運転者に対して自らの運転を省みる機会が与えられ、安全運転のための行動変容が促されるものである。なお、複数の運転者が同一の車両を運転する場合は、当然のことながら、上述したような運転行動の提示、運転行動の実践に対する各運転者の自己評価の取得、及び自己評価の結果に応じたリワードの提供は、複数の運転者の携帯端末のインタフェース部毎に行われる。これにより、複数の運転者が同一の車両を運転するケースであっても、各運転者に対して安全運転のための行動変容が促されることとなる。
【0009】
(2)上記(1)項において、前記インタフェース部は、前記運転行動の内容を定期的に変更して前記運転者へ提示する安全運転支援システム。
本項に記載の安全運転支援システムは、インタフェース部が、運転者へ提示する運転行動を、その内容を定期的に変更して提示するものであり、そのような運転行動が管理制御部から定期的に送信される。このように、定期的に運転行動の内容が変更されることで、運転者の意欲が掻き立てられるため、より安全運転への取り組みが活発化するものである。
【0010】
(3)上記(1)(2)項において、前記車両に設置され、前記運転者が行った車両操作に関する操作データを取得して前記インタフェース部へ送信するビーコン装置を含み、前記インタフェース部は、前記操作データに基づいて前記運転者の運転スコアを算出して前記運転者へ提示すると共に、前記運転スコアに基づいて前記運転者へリワードを提供する安全運転支援システム。
本項に記載の安全運転支援システムは、更にビーコン装置を含むものであり、このビーコン装置は、運転者の車両毎に設置され、各運転者が行った車両操作に関する操作データを取得するようになっている。また、ビーコン装置は、取得した操作データを、インタフェース部と通信してインタフェース部へ送信する。
【0011】
そして、インタフェース部は、ビーコン装置から受信した操作データに基づいて、運転者の運転スコアを算出し、それを携帯端末を介して運転者へ提示する。これによって、各運転者により自身の運転スコアが確認され、危険な運転がなかったかなどが把握されて、それが今後の安全運転に生かされるものとなる。更に、インタフェース部は、算出した運転スコアに基づいて、例えば運転者によって高得点の運転スコアが継続された場合などに、その運転者へリワードを提供する。これにより、運転者によって、例えば高得点の運転スコアが継続するような運転が意識的に行われるようになるため、安全運転のための運転行動が継続的に行われることとなる。なお、ビーコン装置は、複数の運転者が同一の車両を運転する場合に、それら複数の運転者の各々を識別して、各運転者が運転しているタイミングで操作データを取得し、各運転者の操作データをその運転者の携帯端末のインタフェース部へ送信してもよい。この場合は、複数の運転者の携帯端末のインタフェース部毎に、対応する運転者の運転スコアの算出及びそれに基づいたリワードの提供が行われることになる。これにより、複数の運転者が同一の車両を運転するケースであっても、複数の運転者の各々が識別されて、運転スコアの算出などが運転者毎に行われるため、個々の運転者に対して的確なアドバイスなどが行われるものとなる。
【0012】
(4)上記(3)項において、前記操作データは、前記車両の急加速操作の有無、前記車両の急ハンドル操作の有無、前記車両の急ブレーキ操作の有無、前記車両の速度、及び運転中の前記携帯端末の操作の有無のうち、少なくとも1つを含む安全運転支援システム。
本項に記載の安全運転支援システムは、ビーコン装置により取得されてインタフェース部において利用される操作データに、車両の急加速操作の有無、車両の急ハンドル操作の有無、車両の急ブレーキ操作の有無、車両の速度、及び運転中の携帯端末の操作の有無のうち、少なくとも1つが含まれるものである。このように、特に危険と考えられる車両操作の操作データに基づいて運転スコアを算出することで、運転者に対して、安全運転に直接的に結び付くような運転操作が、より強く促されるものである。
【0013】
(5)上記(1)から(4)項において、前記携帯端末がスマートフォンであり、前記インタフェース部は、前記運転者へ提示する少なくとも一部のメッセージを、前記スマートフォンのプッシュ通知機能を利用して提示する安全運転支援システム。
本項に記載の安全運転支援システムは、インタフェース部が動作する運転者の携帯端末がスマートフォンであって、インタフェース部は、そのスマートフォンのプッシュ通知機能を利用して、運転者へ提示するメッセージのうちの少なくとも一部を提示する。すなわち、例えば、安全運転のための運転行動のメッセージなどがプッシュ通知によって提示されることで、そのメッセージに対する運転者の認識度が高められるため、運転者によって安全運転のための運転行動が確認され易くなり、そのような運転行動の実践に結び付くものとなる。
【発明の効果】
【0014】
本発明はこのように構成したので、運転者に対して自らの運転を省みる機会を提供し、安全運転のための行動変容を促すことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施の形態に係る安全運転支援システムの構成の一例を示すブロック図である。
【
図2】安全運転支援システムにより安全運転を支援する際の手順の一例を示すフロー図である。
【
図3】
図2の手順においてインタフェース部により運転者に対して提示する、携帯端末の表示画面の一例である。
【
図4】
図3に引き続き、
図2の手順においてインタフェース部により運転者に対して提示する、携帯端末の表示画面の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。ここで、図面の全体にわたって、同一部分又は対応する部分は、同一符号で示している。また、従来技術と同一部分、若しくは相当する部分については、詳しい説明を省略する。
図1は、本発明の実施の形態に係る安全運転支援システム10の構成の一例を示している。ここでは、安全運転支援システム10の各構成要素の役割について簡単に説明するものとし、詳細については後述する
図2のフロー図を参照しながら説明する。なお、安全運転支援システム10の構成は、
図1のブロック図に限定されるものではなく、例えば状況などに応じて、
図1に示した構成要素の一部が削除、変更、ないし適宜追加された構成であってもよいものである。
【0017】
図1に示すように、安全運転支援システム10は、管理制御部20と、運転者60の各々が所有する携帯端末80において動作するインタフェース部30と、各運転者60の車両70に設置されるビーコン装置40とを含んでいる。管理制御部20は、運転者60に安全運転を促す、例えば自動車保険を取り扱う保険会社などにおいて使用され、安全運転支援システム10全体を管理及び制御するものである。例えば、管理制御部20は、ネットワークNを介してインタフェース部30と通信を行い、後述するように運転者60から取得される情報の管理や、運転者60に提示する情報の管理などを行う。また、管理制御部20は、利用先の保険会社などの管理者などによって、安全運転支援システム10に関連する様々な設定や入力が行われるようになっている。管理制御部20は、任意の単数又は複数のハードウェア及びソフトウェアで構成され、保険会社などで使用されているCRMシステムなどの他のシステムと連携してもよいものである。
【0018】
本実施形態において、携帯端末80は、運転者60が所有するスマートフォンであって、インタフェース部30は、そのスマートフォンで動作するアプリケーションプログラムとして構成されている。このため、インタフェース部30は、許容される範囲でスマートフォンの様々な機能を利用するようになっており、例えば、携帯端末80としてのスマートフォンの通信機能を利用して、管理制御部20及びビーコン装置40と通信を行うようになっている。例えば、本実施形態では、携帯端末80とビーコン装置40とがブルートゥース(登録商標)でペアリングされることで、インタフェース部30とビーコン装置40との間が通信可能に設定される。なお、例えば家族などの複数の運転者60が、同一の車両70を運転する場合においては、その車両70に設置されたビーコン装置40と、複数の運転者60の各々の携帯端末80とをペアリングさせればよい。
【0019】
更に、インタフェース部30の各々は、携帯端末80(スマートフォン)の通信機能を利用して、上述したようにネットワークNを介して、管理制御部20と通信するように構成されている。また、インタフェース部30は、携帯端末80を構成するスマートフォンのタッチパネルなどの入出力機能を利用して、運転者60から入力される情報を取得すると共に、運転者60に対して情報を提示するようになっている。このため、インタフェース部30は、運転者60から取得した情報を管理制御部20などへ送信したり、管理制御部20から送信された情報などを運転者60へ提示したりして、運転者60と安全運転支援システム10との間のインタフェースの役割を果たしている。
【0020】
一方、ビーコン装置40の各々は、設置先の車両70の運転者60が運転中に行った車両操作に関する操作データを取得し、それをインタフェース部30へ送信する。そのような操作データには、車両70の急加速操作の有無、車両70の急ハンドル操作の有無、車両70の急ブレーキ操作の有無、車両70の速度、運転中の携帯端末80の操作の有無などが含まれる。これらのうち、車両70の急加速操作、急ハンドル操作、急ブレーキ操作、及び速度については、ビーコン装置40が車両70から通信などにより直接取得してもよく、ビーコン装置40が搭載するセンサー又は車載の他のセンサーを利用して計測されるものであってもよく、位置情報などから相対的に算出されるものであってもよい。また、携帯端末80の操作の有無については、ビーコン装置40が携帯端末80のインタフェース部30から取得してもよく、ビーコン装置40を介さずにインタフェース部30が直接把握してもよい。ビーコン装置40には、操作データの上記のような各取得方法に対応し、インタフェース部30との通信が可能な、任意の装置構成のものを利用できる。
【0021】
ここで、ネットワークNには、インターネット、電話回線網、イントラネット、専用に構築されたネットワークなど、任意のネットワークが含まれてよく、それらが有線及び/又は無線で実現されてよい。また、
図1では、二人の運転者60に係るインタフェース部30及びビーコン装置40しか図示されていないが、安全運転支援システム10には、当該システム10を利用する全ての運転者60に係るインタフェース部30及びビーコン装置40が含まれる。なお、インタフェース部30及びビーコン装置40の数量などに応じて、インタフェース部30及びビーコン装置40を複数のグループに分け、各グループに管理制御部20が割り当てられるように、管理制御部20が複数設けられてもよい。
【0022】
次に、
図2に示すフロー図の流れに沿って、
図1に示した安全運転支援システム10を利用した安全運転支援方法について説明する。安全運転支援システム10の構成については、適宜、
図1を参照のこと。なお、
図2に示すフロー図は、安全運転支援方法を説明するための手順の流れの一例を示したものである。従って、安全運転支援方法は、これらのフロー図に限定されるものではなく、例えば、安全運転支援システム10の構成や状況などに応じて、
図2に示したステップの一部が削除、変更、ないし適宜追加されたフローであってもよいものである。また、
図2のS10~S80とS100~S180とは、並行して行われるものである。
【0023】
S10(運転行動提示):インタフェース部30により、安全運転のための運転行動を運転者60へ提示する。この運転行動の提示は、内容を変えながら定期的に行うものとする。例えば
図3(a)には、直近に提示された3件分の運転行動が示されており、各運転行動にテーマ及び期間が設定されている。すなわち、
図3(a)の上方の運転行動は、「駐車時は後方以外も確認を」がテーマであって、期間が「2月15日~2月28日」である。残り2件の一方は、「急いでいても、安全ファーストの運転を」がテーマであって、期間が「2月1日~2月14日」であり、他方は、「自転車とは距離を保って走行を」がテーマであって、期間が「1月15日~1月31日」である。なお、設定されている期間は、運転者60に各運転行動を特に意識的に実践してもらうための期間であって、この期間が過ぎると、後述するような運転行動の自己評価が行えるようになる。
【0024】
また、
図3(b)には、
図3(a)において「急いでいても、安全ファーストの運転を」がテーマの運転行動が選択された場合の、詳細な運転行動の表示例を示している。このような運転行動は、管理制御部20からインタフェース部30へ定期的に更新されて配信され、例えば新しい運転行動が配信されたときに、インタフェース部30により、スマートフォンのプッシュ通知機能を利用して、新しい運転行動が配信されたことやその内容などを提示してもよい。また、当然のことながら、後述するS40で判定される期間などに関係なく、運転者60が任意のタイミングで確認できるように、運転者60による携帯端末80の操作を受けて、
図3(a)や
図3(b)のような画面を適宜表示してもよい。
【0025】
S20(運転行動確認):運転者60が、自身の携帯端末80において、上記S10のように提示される運転行動を確認する。複数の運転行動が提示されていたら、その中から任意の運転行動を選択して確認してもよい。
S30(車両運転):運転者60が、上記S20で確認した運転行動を念頭に置いて、そのような運転行動を実践するように、車両70を運転する。
【0026】
S40(期間判定):上記S10で提示された各運転行動に設定されている期間が過ぎるまで、運転者60が必要に応じて車両70を運転する。例えば、
図3(a)に示されている3つの運転行動のうち、「実施中」と記載されている、テーマが「駐車時は後方以外も確認を」の運転行動の場合は、期間が「2月15日~2月28日」であるため、2月28日が過ぎるまで必要に応じて運転する。このため、所定期間(2月28日)が過ぎていない場合(NO)は上記S30へ復帰し、所定期間(2月28日)が過ぎた場合(YES)はS50へ移行する。なお、所定期間が過ぎていない場合は、上記S20へ復帰して運転行動やその期間を確認してもよい。
【0027】
S50(振り返り促進メッセージ提示):各運転行動に設定されている期間が過ぎたら、インタフェース部30により、期間が過ぎた運転行動についての振り返りを促すメッセージを、携帯端末80を介して運転者60へ提示する。例えば
図3(c)には、テーマが「急いでいても、安全ファーストの運転を」の期間が終了したこと、及びその期間中についての運転行動に対する振り返りを促すメッセージが表示されている。なお、このような振り返りを促すメッセージを、スマートフォンのプッシュ通知機能を利用して提示してもよい。
【0028】
S60(自己評価入力):運転者60が、車両70を運転中の自身の行動を振り返り、上記S20で確認した運転行動を実践できたか否かを評価する。そして、例えば
図3(d)に示すような画面を介して、自己評価の結果をインタフェース部30へ入力する。なお、自己評価の入力は、期間が過ぎた運転行動については、例えば次の運転行動の評価期間が始まるまでの間などの任意のタイミングで実行できるようになっている。
S70(運転行動判定):インタフェース部30により、上記S60で入力された自己評価結果に基づいて、運転者60が提示された運転行動を実践できたか否かを判定する。その結果、運転行動を実践できていたと判定した場合(YES)はS80へ移行し、実践できていなかったと判定した場合(NO)は、このルートでの説明は一端終了となり、次の新たな運転行動について、上記S10から再度行えばよい。
【0029】
S80(リワード提供):インタフェース部30により、運転行動を実践できていた運転者60に対してリワードを提供する。ここでのリワードとは、運転者60のメリットになるものであれば特に限定されず、例えば最終的に現実世界の商品と交換できるような仮想ポイントであってもよい。本実施形態では、
図4(a)に示されるように、仮想ポイントとしての「ハート」が付与されるようになっており、この仮想ポイントは、貯まったポイント数に応じて、カフェの飲料などといった各店舗の商品に交換されることが想定されている。ここまでにより、このルートでの説明は終了となる。
【0030】
S100(操作データ取得):ビーコン装置40により、設置先の車両70が運転されている間の、運転者60の車両操作に関する操作データを取得する。本実施形態では、上述したように、車両70の急加速操作の有無、車両70の急ハンドル操作の有無、車両70の急ブレーキ操作の有無、車両70の速度、及び運転中の携帯端末80の操作の有無などを、操作データとして取得するものとする。なお、ビーコン装置40は、複数の運転者60の携帯端末80と通信可能に設定されている場合は、現在運転している運転者60を識別した状態で、操作データを取得する。
S110(操作データ送信):ビーコン装置40により、上記S100で取得した運転者60の操作データを、その運転者60が所有する携帯端末80のインタフェース部30へ送信する。
【0031】
S120(運転スコア算出):インタフェース部30により、ビーコン装置40から受信した操作データに基づいて、運転者60の運転スコアを予め設定された算出方法で算出する。すなわち、本実施形態では、運転者60が行った急加速操作の有無、急ハンドル操作の有無、急ブレーキ操作の有無、車両70の運転速度、及び運転中の携帯端末80の操作の有無などに基づいて、運転スコアを算出する。
S130(運転スコア提示):インタフェース部30により、上記S120で算出した運転スコアを、携帯端末80を介して運転者60へ提示する。例えば
図4(b)及び
図4(c)の下方には、操作データが取得されたときの走行区間と共に、運転スコア及び車両操作の内容が表示されている。なお、
図4(b)及び
図4(c)において、「車名表示」と記載されている箇所には、運転された車両70の車名が表示され、その右方には車両70のナンバーが表示される。
【0032】
S140(運転スコア判定):インタフェース部30により、上記S120で算出した運転スコアが高得点か否かを判定する。そのような判定は、予め設定された運転スコアの閾値に基づいて行えばよい。その結果、運転スコアが高得点であると判定した場合(YES)はS160へ移行し、高得点ではないと判定した場合(NO)はS150へ移行する。
S150(心配メッセージ提示):インタフェース部30により、例えば
図4(c)の上方に示すような心配メッセージを、運転者60に対して提示する。ここまでにより、このルートでの説明は一端終了となり、車両70の次の運転について、上記S100から再度行えばよい。
【0033】
S160(高得点継続判定):インタフェース部30により、運転スコアの高得点が継続しているか否かを判定する。すなわち、インタフェース部30は、過去何回かの運転スコアを運転者60毎に保持しており、運転スコアが高得点と判定された回数が、予め設定された回数以上に続いていた場合に、高得点が継続していると判定する。そして、高得点が継続していると判定した場合(YES)はS170へ移行し、継続していないと判定した場合(NO)はS180へ移行する。
S170(リワード提供):インタフェース部30により、例えば
図4(b)の上方に示されるように、高得点の運転スコアを継続した運転者60に対して、上記S80と同様のリワードを提供する。
【0034】
S180(褒めメッセージ提示):インタフェース部30により、運転者60に対して褒めメッセージを提示する。すなわち、上記S170を経由してリワードが提供された運転者60に対しては、例えば
図4(b)の上方に示されるような褒めメッセージを提示すし、上記S170を経由していない運転者60に対しては、上記S140において運転スコアが高得点だったことに対する褒めメッセージを提示する。ここまでにより、このルートでの説明は終了となる。
なお、上記の各ステップでのインタフェース部30の動作は、管理制御部20と通信しながら実行されるものであるため、そのようなインタフェース部30の動作の一部(算出や判定など)が管理制御部20により行われ、その結果の表示がインタフェース部30により行われるようになっていてもよい。
【0035】
ここで、本発明の実施の形態に係る安全運転支援システム10は、上述したような構成に限定されるものではなく、別の構成であってもよい。例えば、運転者60の携帯端末80は、インタフェース部30が動作可能及び携帯可能なものであれば、スマートフォンに限定されるものではなく、タブレット型コンピュータや携帯電話などであってもよい。また、インタフェース部30により携帯端末80を利用して表示する各種の画面構成も、
図3及び
図4に示した画面に限定されるものではなく、画面の構成要素の一部が削除、変更、移動、ないし適宜追加された構成であってもよい。また、
図2のフロー図では、高得点の運転スコアが継続していた場合に、S170においてリワードが提供されるようになっているが、運転スコアを使用した他のロジックに基づいて、リワードを提供するようにしてもよい。更に、S150での心配メッセージ提示やS180での褒めメッセージ提示は、
図2のフロー図で示された条件に代えて又は加えて、別の条件で行うようにしてもよい。
【0036】
さて、上記構成をなす本発明の実施の形態によれば、次のような作用効果を得ることが可能である。すなわち、本発明の実施の形態に係る安全運転支援システム10は、車両70の運転者60の安全運転を支援するものであって、
図1に示すように、管理制御部20及びインタフェース部30を含んでいる。管理制御部20は、安全運転支援システム10を管理及び制御するものであって、例えば、運転者60に対して安全運転を促進する、自動車保険を販売する保険会社などにおいて使用される。インタフェース部30は、運転者60と安全運転支援システム10との間のインタフェースの役割を果たすものであって、運転者60が所持する携帯端末80において動作する。すなわち、インタフェース部30は、携帯端末80の入出力機能を利用して、運転者60からの情報の入力及び運転者60への情報の提示を行うと共に、携帯端末80の通信機能を利用して、管理制御部20と通信を行う。
【0037】
また、インタフェース部30は、携帯端末80を介して、
図3(a)及び(b)に示されるような安全運転のための具体的な運転行動を、運転者60へ提示するものであり、そのような運転行動が管理制御部20から送信される(
図2のS10参照)。更に、インタフェース部30は、
図3(c)及び(d)に示されるように、運転者60へ提示した運転行動の実践に対する自己評価を、運転者60から携帯端末80を介して入力されることで取得し(
図2のS60参照)、その自己評価の結果に応じて、
図4(a)に示されるように運転者60へリワードを提供するものである(
図2のS80参照)。すなわち、インタフェース部30は、運転者60に対して運転行動を提示するだけでなく、運転者60から運転行動の実践に対する自己評価を取得することで、運転者60と双方向のコミュニケーションを図ることができる。それに加えて、自己評価の結果に応じてリワードを提供するため、運転者60に対して自らの運転を省みる機会を与えることができ、安全運転のための行動変容を促すことが可能となる。なお、複数の運転者60が同一の車両70を運転する場合は、当然のことながら、上述したような運転行動の提示、運転行動の実践に対する各運転者60の自己評価の取得、及び自己評価の結果に応じたリワードの提供を、複数の運転者60の携帯端末80のインタフェース部30毎に実行する。これにより、複数の運転者60が同一の車両70を運転するケースであっても、各運転者60に対して安全運転のための行動変容を促すことができる。
【0038】
しかも、本発明の実施の形態に係る安全運転支援システム10は、インタフェース部30により運転者60に対して提示する運転行動を、
図3(a)に示されるように、その内容を定期的に変更して提示するものであり、そのような運転行動が管理制御部20からインタフェース部30へ定期的に送信される。このように、運転行動の内容を定期的に変更することで、運転者60の意欲を掻き立てることができるため、運転者60の安全運転への取り組みをより活発化させることが可能となる。
【0039】
また、本発明の実施の形態に係る安全運転支援システム10は、更にビーコン装置40を含むものであり、このビーコン装置40は、運転者60の車両70毎に設置され、各運転者60が行った車両操作に関する操作データを取得するようになっている(
図2のS100参照)。また、ビーコン装置40は、取得した操作データを、インタフェース部30と通信してインタフェース部30へ送信する(
図2のS110参照)。そして、インタフェース部30は、ビーコン装置40から受信した操作データに基づいて、運転者60の運転スコアを算出し(
図2のS120参照)、
図4(b)及び(c)に示されるように、それを携帯端末80を介して運転者60へ提示する(
図2のS130参照)。
【0040】
これによって、運転者60の各々は、自身の運転スコアを確認し、危険な運転がなかったか否かなどを把握して、それを今後の安全運転に生かすことができる。更に、インタフェース部30は、算出した運転スコアに基づいて、例えば運転者60によって高得点の運転スコアが継続された場合などに、その運転者60に対してリワードを提供する(
図2のS160及びS170参照)。これにより、運転者60は、高得点の運転スコアが継続するような運転を意識的に行うようになるため、運転者60に対して安全運転のための運転行動を継続的に行わせることが可能となる。なお、ビーコン装置40は、複数の運転者60が同一の車両70を運転する場合に、それら複数の運転者60の各々を識別して、各運転者60が運転しているタイミングで操作データを取得し、各運転者60の操作データをその運転者60の携帯端末80のインタフェース部30へ送信してもよい。この場合は、複数の運転者60の携帯端末80のインタフェース部30毎に、対応する運転者60の運転スコアの算出及びそれに基づいたリワードの提供が行うことができる。これにより、複数の運転者60が同一の車両70を運転するケースであっても、複数の運転者60の各々を識別して、運転スコアの算出などを運転者60毎に行うことができるため、個々の運転者60に対して的確なアドバイスなどを行うことが可能となる。
【0041】
更に、本発明の実施の形態に係る安全運転支援システム10は、ビーコン装置40により取得されてインタフェース部30において利用される操作データに、
図4(b)及び(c)で確認できるように、車両70の急加速操作の有無、車両70の急ハンドル操作の有無、車両70の急ブレーキ操作の有無、車両70の速度、及び運転中の携帯端末80の操作の有無などが含まれてもよいものである。このように、特に危険と考えられる車両操作の操作データに基づいて運転スコアを算出することで、運転者60に対して、安全運転に直接的に結び付くような運転操作を、より強く促すことが可能となる。
【0042】
また、本発明の実施の形態に係る安全運転支援システム10は、インタフェース部30が動作する運転者60の携帯端末80がスマートフォンであって、インタフェース部30は、そのスマートフォンのプッシュ通知機能を利用して、運転者60へ提示するメッセージのうちの少なくとも一部を提示する。すなわち、例えば、安全運転のための運転行動のメッセージなどをプッシュ通知によって提示することで、そのメッセージに対する運転者60の認識度を高めることができるため、運転者60に安全運転のための運転行動を確認させ易くすることができ、そのような運転行動の実践に結び付けることが可能となる。
【符号の説明】
【0043】
10:安全運転支援システム、20:管理制御部、30:インタフェース部、40:ビーコン装置、60:運転者、70:車両、80:携帯端末