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  • 特開-積層体及びその分離方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023073050
(43)【公開日】2023-05-25
(54)【発明の名称】積層体及びその分離方法
(51)【国際特許分類】
   B32B 7/06 20190101AFI20230518BHJP
【FI】
B32B7/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021185856
(22)【出願日】2021-11-15
(71)【出願人】
【識別番号】390023009
【氏名又は名称】共和レザー株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】521500937
【氏名又は名称】株式会社エクチ
(71)【出願人】
【識別番号】000135265
【氏名又は名称】株式会社ネオス
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松本 晴貴
(72)【発明者】
【氏名】手塚 秀之
(72)【発明者】
【氏名】菊池 洋平
【テーマコード(参考)】
4F100
【Fターム(参考)】
4F100AK01B
4F100AK07A
4F100AK25B
4F100AK41B
4F100AK51A
4F100AK51B
4F100AK51C
4F100AT00A
4F100AT00C
4F100BA04
4F100BA07
4F100BA10A
4F100BA10C
4F100EH46
4F100EJ42
4F100EJ82
4F100EJ86
4F100JB08B
4F100JL14B
4F100JL16
(57)【要約】
【課題】容易に分離することが可能な積層体及びその分離方法を提供する。
【解決手段】第1層と、第2層と、第1層と第2層との間に設けられた、樹脂を含む分離層と、を含み、分離層は、中性又はアルカリ性のアルコール含有溶液である分離液に浸漬されることにより、少なくとも、分離液に溶解する、又は第1層及び第2層の少なくとも一方から剥離する、積層体及びその分離方法。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1層と、第2層と、前記第1層と前記第2層との間に設けられた、樹脂を含む分離層と、を含み、
前記分離層は、中性又はアルカリ性のアルコール含有溶液である分離液に浸漬されることにより、少なくとも、前記分離液に溶解する、又は前記第1層及び前記第2層の少なくとも一方から剥離する、積層体。
【請求項2】
前記樹脂が、カルボニル基を含有する請求項1に記載の積層体。
【請求項3】
前記樹脂が、アクリル樹脂、ポリエステル及びポリウレタンからなる群から選択される1つ以上を含む請求項1又は請求項2に記載の積層体。
【請求項4】
前記樹脂が、加水分解性である請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の積層体。
【請求項5】
前記分離層は、前記分離液に浸漬されることにより、前記分離液に溶解する請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の積層体。
【請求項6】
前記第1層及び前記第2層の少なくとも一方が、ポリウレタンを含む請求項1~請求項5のいずれか1項に記載の積層体。
【請求項7】
請求項1~請求項6のいずれか1項に記載の積層体を、中性又はアルカリ性のアルコール含有溶液である分離液に浸漬する工程を含む、積層体の分離方法。
【請求項8】
前記分離液の全量に対するアルコールの含有量が、25質量%~75質量%である請求項7に記載の積層体の分離方法。
【請求項9】
前記分離液が、アルカリ性である請求項7又は請求項8に記載の積層体の分離方法。
【請求項10】
前記分離液の25℃における水素イオン指数が、8~14である請求項7~請求項9のいずれか1項に記載の積層体の分離方法。
【請求項11】
前記積層体を前記分離液に浸漬する浸漬時間が、5分以上である請求項7~請求項10のいずれか1項に記載の積層体の分離方法。
【請求項12】
前記分離液の温度が85℃以上である請求項7~請求項11のいずれか1項に記載の積層体の分離方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、積層体及びその分離方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、事業者には、持続可能な社会の実現に資する経済活動が求められている。例えば、自動車内装材等の積層体のリサイクル性を高めることは、そのような活動の一つである。例えば、特許文献1には、積層体を各層材料に分離する方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7-096208号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1等の技術を始めとして、様々な技術が検討されているにも関わらず、積層体を容易に分離するための技術が十分でないのが現状である。
【0005】
本開示は、このような状況を鑑みてなされたものであり、本開示の一実施形態が解決しようとする課題は、容易に分離することが可能な積層体を提供することである。
本開示の他の実施形態が解決しようとする課題は、上記積層体の分離方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、以下の態様を含む。
<1> 第1層と、第2層と、第1層と第2層との間に設けられた、樹脂を含む分離層と、を含み、
分離層は、中性又はアルカリ性のアルコール含有溶液である分離液に浸漬されることにより、少なくとも、分離液に溶解する、又は第1層及び第2層の少なくとも一方から剥離する、積層体。
<2> 樹脂が、カルボニル基を含有する<1>に記載の積層体。
<3> 樹脂が、アクリル樹脂、ポリエステル及びポリウレタンからなる群から選択される1つ以上を含む<1>又は<2>に記載の積層体。
<4> 樹脂が、加水分解性である<1>~<3>のいずれか1つに記載の積層体。
<5> 分離層は、分離液に浸漬されることにより、分離液に溶解する<1>~<4>のいずれか1つに記載の積層体。
<6> 第1層及び第2層の少なくとも一方が、ポリウレタンを含む<1>~<5>のいずれか1つに記載の積層体。
<7> <1>~<6>のいずれか1つに記載の積層体を、中性又はアルカリ性のアルコール含有溶液である分離液に浸漬する工程を含む、積層体の分離方法。
<8> 分離液の全量に対するアルコールの含有量が、25質量%~75質量%である<7>に記載の積層体の分離方法。
<9> 分離液が、アルカリ性である<7>又は<8>に記載の積層体の分離方法。
<10> 分離液の25℃における水素イオン指数が、8~14である<7>~<9>のいずれか1つに記載の積層体の分離方法。
<11> 積層体を分離液に浸漬する浸漬時間が、5分以上である<7>~<10>のいずれか1つに記載の積層体の分離方法。
<12> 分離液の温度が85℃以上である<7>~<11>のいずれか1つに記載の積層体の分離方法。
【発明の効果】
【0007】
本開示の一実施形態によれば、容易に分離することが可能な積層体が提供される。
本開示の他の実施形態によれば、上記積層体の分離方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、積層体の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示に係る積層体及びその分離方法の詳細を説明する。
【0010】
本開示において「~」を用いて示された数値範囲は、「~」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を意味する。
本開示に段階的に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本開示に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本開示において、2以上の好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。
本開示において、各成分の量は、各成分に該当する物質が複数種存在する場合には、特に断らない限り、複数種の物質の合計量を意味する。
本開示において、「工程」という語は、独立した工程だけでなく、他の工程と明確に区別できない場合であっても、その工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
【0011】
以下の説明において参照する図面は、例示的、かつ、概略的に示されたものであり、本開示は、これらの図面に限定されない。同じ符号は、同じ構成要素を示す。また、図面の符号は省略することがある。
【0012】
<積層体>
本開示に係る積層体は、
第1層と、第2層と、第1層と第2層との間に設けられた、樹脂を含む分離層と、を含み、
分離層は、中性又はアルカリ性のアルコール含有溶液である分離液に浸漬されることにより、少なくとも、分離液に溶解する、又は第1層及び第2層の少なくとも一方から剥離する。
【0013】
積層体は、複数の層材料(例えば、積層体の一例である自動車内装材は、表皮層、基材層、基材層と表皮層との間の接着層等)から構成されている。特許文献1には、積層体を衝撃粉砕機により各層材料に分離する方法が記載されているが、このような方法では、分離が困難である場合がある。
【0014】
これに対して、本開示に係る積層体は、中性又はアルカリ性のアルコール含有溶液である分離液に浸漬されることにより、少なくとも、分離液に溶解する、又は第1層及び第2層の少なくとも一方から剥離する分離層を含んでいる。そのため、積層体を分離液に浸漬した際、積層体を容易に分離することが可能である。
【0015】
本開示において、「中性」とは、25℃における水素イオン指数(pH)が6~8であることを意味し、「アルカリ性」とは、25℃における水素イオン指数(pH)が8超であることを意味する。
pHは、pH計を用いて測定する。pH計は市販品でよく、例えば、HORIBA社製の「LAQUA F-52」が挙げられる。
【0016】
[分離層]
分離層は、樹脂を含み、中性又はアルカリ性のアルコール含有溶液である分離液に浸漬されることにより、少なくとも、分離液に溶解する、又は第1層及び第2層の少なくとも一方から剥離する。
【0017】
本開示において、「積層体が分離する」とは、分離層を介して結合した第1層及び第2層が分離することを意味する。
分離層の溶解又は剥離の一方のみが起こることにより積層体が分離してよく、また、分離層の溶解と剥離とが同時に起こることにより積層体が分離してもよい。
【0018】
例えば、図1に示すような、第1層10と、第1層10上の分離層30と、分離層30上の第2層50とを含む積層体100を分離液に浸漬した際、例えば、第1層10と第2層50との間の分離層30が溶解して、積層体100が分離してよい。
または、上記浸漬により、例えば、第1層10及び第2層50の少なくとも一方から分離層30が剥離して、積層体100が分離してよい。
【0019】
分離層が分離液に溶解する場合、例えば、分離層が分離液に完全に溶解してよく、また、分離層の一部が分離液に溶解してもよい。
また、分離層が剥離する場合、例えば、分離層が膨潤して分離層内部に応力が発生することにより剥離してよく、また、分離層と第1層及び第2層の少なくとも一方との界面に分離液が浸潤することにより剥離してもよい。
分離後の第1層及び第2層の少なくとも一方に、分離層の一部が残存してよい。
【0020】
積層体が分離する態様として、積層体が分離液に浸漬されることで分離する態様、及び浸漬後の積層体を5.03N/10mm以下の力で引き剥がすことにより分離する態様が含まれる。5.03N/10mm以下の力は、例えば、人間の手で加えられる弱い力である。
【0021】
樹脂の種類は、積層体を分離することができる限りは特に限定されず、例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート)、ポリウレタン(例えば、ポリカーボネート系ポリウレタン、ポリエステル系ポリウレタン)、ポリアミド等が挙げられる。
【0022】
積層体をより容易に分離する観点から、樹脂は、カルボニル基を含有することが好ましい。これにより、カルボニル基とアルコールとが相互作用し、分離液中のアルコールが分離層に浸透して分離層が膨潤し易くなり、積層体の分離を促進することができる。
カルボニル基を含有する樹脂として、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド等が挙げられる。
これらの中でも、アクリル樹脂、ポリエステル及びポリウレタンが好ましく、樹脂は、アクリル樹脂、ポリエステル及びポリウレタンからなる群から選択される1つ以上を含むことが好ましい。
【0023】
積層体をより容易に分離する観点から、樹脂は、加水分解性であることが好ましい。これにより、アルカリ性の分離液に積層体を浸漬した際、樹脂が加水分解されることにより、分離液中のアルコールが分離層に浸透して分離層が膨潤し易くなり、積層体の分離を促進することができる。加水分解性の樹脂として、例えば、ポリエステル、ポリウレタン等が挙げられる。
【0024】
積層体をより容易に分離する観点から、樹脂は、カルボニル基を含有し、かつ、加水分解性であることがより好ましい。これにより、分離液中のアルコールが分離層に浸透して分離層がより膨潤し易くなり、積層体の分離を更に促進することができる。
【0025】
分離層は、分離液に浸漬されることにより、分離液に溶解することが好まく、この観点から、樹脂は、加水分解が容易なポリエステル又はポリウレタンを含むことが好ましい。
【0026】
樹脂は、1種を単独で用いてよく、2種以上を併用してもよい。
【0027】
樹脂の含有量は、積層体をより容易に分離する観点から、分離層の全量に対して、30質量%~100質量%であることが好ましく、50質量%~80質量%であることがより好ましい。
【0028】
第1層は、酸化防止剤、滑材、難燃剤、フィラー、紫外線吸収剤、着色剤等の添加剤を含んでよい。添加剤は、1種を単独で用いてよく、2種以上を併用してもよい。
【0029】
分離層は、1層であってよく、2層以上であってもよい。
【0030】
積層体をより容易に分離する観点から、分離層の厚み(分離層が2層以上である場合には、合計の厚み)は、2μm~100μmであることが好ましく、2μm~70μmであることがより好ましい。これにより、分離液中のアルコール、アルカリ成分等が分離層に浸透し易くなり、積層体の分離を促進することができる。
【0031】
分離液については、「積層体の分離方法」において後述する。
【0032】
[第1層、第2層]
第1層及び第2層は、特に区別する必要はなく、第1層及び第2層は同一であってよく、また、第1層は第2層と異なってもよい。
ある態様において、積層体は、例えば、第1層としての基材層と、第2層としての表皮層と、基材層と表皮層との間に設けられた分離層とを含んでよい。
【0033】
第1層及び第2層は特に限定されず、所望に応じ適宜選択すればよい。
【0034】
例えば、第1層は、樹脂基材、基布等であってよい。樹脂基材は、樹脂発泡体であってよい。
【0035】
第1層が樹脂基材である場合、第1層は、例えば、フッ素樹脂(例えば、ポリフッ化ビニリデン)、アクリル樹脂、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート)、ポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン)、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン(例えば、ポリカーボネート系ポリウレタン、シリコーン変性ポリカーボネート系ポリウレタン)、ポリアクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS樹脂)等を含んでよい。
【0036】
基布として、例えば、編物(例えば、編布)、織物、不織布等が挙げられる。基布は、例えば、樹脂製(例えば、ポリエステル、ポリエステルレーヨン)であってよい。
【0037】
樹脂発泡体として、例えば、ポリエチレンフォーム、ポリプロピレンフォーム、ポリウレタンフォーム等が挙げられる。
【0038】
積層体をより容易に分離する観点から、第1層は、基布であることが好ましい。これにより、基布を介して分離液中のアルコール、アルカリ成分等が分離層に浸透し易くなり、積層体の分離を促進することができる。
【0039】
第1層は、酸化防止剤、滑剤、着色剤(例えば、顔料)、難燃剤、可塑剤(例えば、フタル酸ジアルキル)、安定剤(例えば、Ba-Zn系複合安定剤)、充填剤(例えば、重炭酸カルシウム)、紫外線吸収剤等の添加剤を含んでよい。添加剤は、1種を単独で用いてよく、2種以上を併用してもよい。
【0040】
第1層の厚みは、80μm~1200μmであることが好ましく、80μm~700μmであることがより好ましい。これにより、第1層を介して分離液中のアルコール、アルカリ成分等が分離層に浸透し易くなり、積層体の分離を促進することができる。
【0041】
第2層についても、第1層について上述した通りである。
【0042】
積層体を分離すると共に第1層を溶解させる場合、第1層は、加水分解が容易なポリウレタンを含むことが好ましい。また、積層体を分離すると共に第2層を溶解させる場合、第2層は、加水分解が容易なポリウレタンを含むことが好ましい。
以上の観点から、第1層及び第2層の少なくとも一方が、ポリウレタンを含んでいてよい。
【0043】
例えば、第2層を表皮層とする場合、第2層の厚みは、20μm~300μmであることが好ましく、20μm~50μmであることがより好ましい。これにより、第2層を介して分離液中のアルコール、アルカリ成分等が分離層に浸透し易くなり、積層体の分離をより促進することができる。また、積層体を分離すると共に、第2層の溶解をより促進することができる。
【0044】
積層体は、第1層を1層含んでよく、第1層を2層以上含んでもよい。また、積層体は、第2層を1層含んでよく、第2層を2層以上含んでもよい。
【0045】
[その他の層]
積層体は、第1層、分離層及び第2層以外のその他の層を有していてもよい。
【0046】
その他の層は、積層体を分離することができる限りは特に限定されない。その他の層としては、積層体において公知の層である、着色層、保護層、粘着層、紫外線吸収層、反射層、自己修復層、帯電防止層、防汚層、防電磁波層、導電性層等が挙げられる。これらの層は公知の方法により形成することができる。
また、その他の層は、1つであってよく、2つ以上であってもよい。
【0047】
積層体におけるその他の層の位置は、積層体を分離することができる限りは特に限定されない。例えば、その他の層の位置は、第1層の分離層を有する側とは反対側の面、第2層の分離層を有する側とは反対側の面、第1層と分離層との間、分離層と第2層との間等であってよい。
【0048】
<積層体の製造方法>
積層体の製造方法は特に限定されず、公知の方法により製造することができる。以下、積層体の製造例を示す。
【0049】
例えば、カレンダー法、押出法、キャスティング法、ナイフコーター法等により、上述の成分を含有する樹脂基材である第1層(基材層)及び第2層(表皮層)をそれぞれ作製してよい。その際、例えば、上述の成分を含有する層形成用組成物を用いてよい。層形成用組成物は、鎖伸長剤(例えば、アミン系鎖伸長剤)、水、有機溶剤等を含有してよい。
【0050】
次いで、第1層上に、分離層を形成してよい。分離層は、上述の成分を含有する分離層形成用組成物を、キャスティング法、ナイフコーター法、グラビア法等により第1層上に塗布して形成してよい。分離層は、接着剤として機能するものであってよい。分離層形成用組成物の塗布量は特に限定されず、例えば、15g/m~150g/mであってよい。
また、分離層形成用組成物は、架橋剤(例えば、イソシアネート系架橋剤)、架橋促進剤(例えば、有機スズ系架橋促進剤)、発泡剤(例えば、アゾジカルボンアミド)、水、有機溶剤等を含有してよい。
【0051】
分離層形成後、例えば、接着剤として機能する分離層に第2層を貼り合わせることにより、積層体を得ることができる。その際、エンボスロールを用いて貼り合わせてもよい。
また、分離層上に他の接着層を設け、接着層に第2層を貼り合わせることにより、積層体を得てよい。
【0052】
必要に応じて、積層体を加熱処理し、分離層の硬化を促進してよい。加熱温度及び加熱時間は適宜選択してよく、例えば、25℃~90℃で、5分~30分加熱処理を行ってよい。
【0053】
第2層を分離層に貼り合わせる前に、第2層上に、他の分離層を形成してよい。分離層は、上述の成分を含む分離層形成用組成物を、印刷法により第1層上に塗布して、印刷層として形成してよい。分離層形成用組成物の塗布量は特に限定されず、例えば、15g/m~150g/mであってよい。
次いで、第2層の印刷層(他の分離層)を、第1層の分離層に貼り合わせてよい。
【0054】
<積層体の分離方法>
本開示に係る積層体の分離方法は、本開示に係る積層体を、中性又はアルカリ性のアルコール含有溶液である分離液に浸漬する工程を含む。
【0055】
積層体を分離液に浸漬することにより、分離層が、分離液に溶解する、又は第1層及び第2層の少なくとも一方から剥離する。これにより、積層体を分離することができる。
【0056】
分離液は、中性又はアルカリ性のアルコール含有溶液である。すなわち、中性のアルコール含有溶液又はアルカリ性のアルコール含有溶液のいずれか一方、又は両方により、積層体を分離することができる。
【0057】
アルコールとしては、例えば、一価アルコール及び多価値アルコールが挙げられる。
一価値アルコールとして、例えば、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパオール、n-ブタノール、t-ブタノール、イソブタノール、1ーペンタノール、イソペンチルアルコール、1ーヘキサノール、ヘプタノール、2ーメチルー1ーペンタノール、オクタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、アリルアルコール、ベンジルアルコール等が挙げられる。
多価値アルコールとして、例えば、セロソルブ及びカルビトール等のグリコール化合物、グリコールエーテル化合物等が挙げられる。
アルコールは、1種を単独で用いてよく、2種以上を併用してもよい。
【0058】
分離液がアルカリ性である場合、分離液に含まれるアルカリ成分として、無機アルカリ成分及び有機アルカリ成分が挙げられる。
無機アルカリ成分として、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。
有機アルカリ成分として、例えば、フェノール、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N-メチルプロピオンアミド、アミノエチルエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、N-メチルジエタノールアミン等のアルカノールアミン等が挙げられる。
アルカリ成分は、1種を単独で用いてよく、2種以上を併用してもよい。
【0059】
分離液は、水を含んでよい。
また、分離液は、1種以上の有機溶剤等を含んでよい。有機溶剤として、ケトン化合物、エーテル化合物、ラクトン化合物、アミド化合物、尿素系化合物、スルホキシド化合物、塩素系溶剤が挙げられる。
【0060】
ケトン化合物としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン等が挙げられる。
【0061】
エーテル化合物としては、例えば、ジオキサン、テトラヒドロフラン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセタート等が挙げられる。
【0062】
ラクトン化合物としては、例えば、γ-ブチルラクトン等が挙げられる。
【0063】
アミド化合物としては、例えば、N-メチルピロリドン、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホアミド等が挙げられる。
【0064】
尿素化合物としては、例えば、ジメチルイミダゾリジノン等が挙げられる。
【0065】
スルホキシド化合物としては、例えば、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。
【0066】
塩素系溶剤としては、例えば、ジクロロメタン等が挙げられる。
【0067】
分離液は、可溶化剤(例えば、アルカノールアミン等)、界面活性剤(アルキルベンゼンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等)、キレート化剤(例えば、エチレンジアミン4酢酸、アセチルアセトン、エチレンジアミン、チオール、グリセリン等)を1種以上含んでよい。
【0068】
積層体をより容易に分離する観点から、分離液の全量に対するアルコールの含有量は、25質量%~75質量%であることが好ましく、35質量%~65質量%であることがより好ましい。
【0069】
積層体をより容易に分離する観点から、分離液は、アルカリ性であることが好ましい。これにより、分離液に積層体を浸漬した際、樹脂が加水分解され、分離液中のアルコールが分離層に浸透して分離層が膨潤し易くなり、積層体の分離を促進することができる。
分離液の25℃における水素イオン指数(pH)は、8~14であることが好ましく、12~14であることがより好ましい。
【0070】
積層体をより容易に分離する観点から、積層体を分離液に浸漬する浸漬時間は、5分以上であることが好ましく、10分以上であることが更に好ましい。なお、浸漬時間の上限は特に限定されないが、作業効率を考えると、通常、30分程度である。
【0071】
積層体をより容易に分離する観点から、分離液の温度は、85℃以上であることが好ましく、90℃以上であることがより好ましい。なお、分離液の温度の上限は特に限定されないが、通常、95℃程度である。
【0072】
本開示に係る積層体の分離方法により、積層体を第1層と第2層とに分離することができ、分離された第1層及び第2層は、例えば、水洗及び乾燥が施された後、好ましく再利用することができる。
【実施例0073】
以下、実施例を挙げて本開示をより具体的に説明する。但し、本開示は、これらの実施例に限定されない。
【0074】
<積層体の作製>
[実施例1]
100質量部のポリプロピレン、8質量部の酸化防止剤、及び2質量部の滑剤の混合物を、カレンダー法によりシート状に成形して、第1層(基材層、厚み:100μm)を作製した。
【0075】
分離層形成用組成物であるポリエステル系接着剤を、グラビアコーターにより第1層上に塗布(塗布量:20g/m)して、厚みが5μmの分離層A(接着層)を形成した。
【0076】
第2層(表皮層)として、東レ社製のポリエチレンテレフタレートフィルム「ルミラーT60(商品名)」(厚み:25μm)を準備した。
分離層形成用組成物であるポリウレタン系インキを、印刷法により第2層上に塗布(塗布量:8g/m)して、厚みが2μmの分離層B(印刷層)を形成した。
【0077】
第1層の分離層Aに、第2層の分離層Bを貼り合わせることにより、実施例1の積層体を作製した。
【0078】
[実施例2]
第1層の作製においてポリプロピレンをポリ塩化ビニルに変更し、分離層2を形成せずに、第1層の分離層に第2層を貼り合わせたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2の積層体を作製した。
【0079】
[実施例3]
100kgのポリ塩化ビニル(大洋塩ビ社製の「TH800(商品名」)、及び2kgの顔料(大日精化社製の「PV MAF 725(商品名)」)の混合物を200℃に加熱し、カレンダー法によりシート状に成形して、第1層(基材層、厚み:150μm)を作製した。
【0080】
第2層(表皮層)と分離層とからなるフィルムとして、クレハエクステック社製の「KFCフィルム FT-50Y(商品名)」(ポリフッ化ビニリデン(第2層)とアクリル樹脂(分離層)とからなる共押出の多層フィルム、ポリフッ化ビニリデンの厚み:5μm、アクリル樹脂の厚み:45μm、合計の厚み:50μm)を準備した。
【0081】
エンボスロールを用いて、絞ロールにKFCフィルムの第2層(ポリフッ化ビニリデン)を接触させ、KFCフィルムの分離層(アクリル樹脂)に、第1層を貼り合わせることにより、実施例3の積層体を作製した。
【0082】
[実施例4]
100kgのABS樹脂(テクノUMG社製の「TM-30G6(商品名)」)を、カレンダー法によりシート状に成形して、第1層(基材層、厚み:250μm)を作製した。
【0083】
第2層(表皮層)として、フジコー社製のポリプロピレンフィルム「BK0A(商品名)」(厚み:60μm)を準備した。
【0084】
分離層形成用組成物であるシリコーン樹脂系接着剤(セメダイン社製の「セメダインPM165-R(商品名)」)を、グラビアコーターにより第2層上に塗布(塗布量:5g/m)して、厚みが3μmの分離層(接着層)を形成した。
【0085】
分離層に第1層を貼り合わせることにより、実施例4の積層体を作製した。
【0086】
[実施例5]
第1層(基材層)として、ポリエステル製の編布(厚み:1100μm)を準備した。
【0087】
100質量部の1液型樹脂(固形分20質量%のポリカーボネート系ポリウレタン)、20質量部のN,N-ジメチルホルムアミド、15質量部のプロピレングリコールモノメチルエーテル、5質量部のイソプロピルアルコール、及び15質量部の着色剤を混合して、固形分が約13質量%の第2層形成用組成物を得た。
【0088】
第2層形成用組成物を、ナイフコーターを用いて離型紙に塗布(ウェットの塗布量:150g/m)して塗膜を形成した。熱風乾燥機を用いて、100℃で2分間塗膜を加熱して、離型紙上に第2層(表皮層、乾燥後の厚み:20μm)を形成した。
【0089】
100質量部の2液型樹脂(固形分70質量%のポリカーボネート系ポリウレタン)、50質量部のN,N-ジメチルホルムアミド、及び6質量部のイソシアネート系架橋剤を混合して、固形分が約45質量%の分離層形成用組成物を得た。
【0090】
分離層形成用組成物を、ナイフコーターにより離型紙上の第2層上に塗布(塗布量:100g/m)して塗膜を形成した。熱風乾燥機を用いて、120℃で2分間塗膜を加熱して、分離層(接着層、厚み:45μm)を形成した。
【0091】
130℃に加熱しながら分離層に第1層を貼り合わせ、50℃で48時間熟成した後、離型紙を剥離することにより、実施例5の積層体を作製した。
【0092】
[実施例6]
第1層(基材層)として、ポリエステル製の編布(厚み:650μm)を準備した。
【0093】
100質量部の1液型樹脂(固形分20質量%のシリコーン変性ポリカーボネート系ポリウレタン)、30質量部のN,N-ジメチルホルムアミド、10質量部のプロピレングリコールモノメチルエーテル、10質量部のイソプロピルアルコール、及び2.1質量部の着色剤を混合して、固形分が約13質量%の第2層形成用組成物Cを得た。
【0094】
第2層形成用組成物Cを、ナイフコーターを用いて離型紙に塗布(ウェットの塗布量:150g/m)して塗膜を形成した。熱風乾燥機を用いて、100℃で2分間塗膜を加熱して、離型紙上に第2層C(表皮層C、乾燥後の厚み:20μm)を形成した。
【0095】
100質量部の2液型樹脂(固形分80質量%のブロックイソシアネートタイプ、ポリカーボネート系ポリウレタン)、36質量部のN,N-ジメチルホルムアミド、4.5質量部のアミン系鎖伸長剤、及び4質量部の着色剤を混合して、固形分が約59質量%の第2層形成用組成物Dを得た。
【0096】
第2層形成用組成物Dを、ナイフコーターを用いて第2層C上に塗布(ウェットの塗布量:120g/m)して塗膜を形成した。熱風乾燥機を用いて、170℃で2分間塗膜を加熱して、第2層C上に第2層D(表皮層D、厚み:70μm)を形成した。
【0097】
100質量部の2液型樹脂(固形分70質量%のポリカーボネート系ポリウレタン)、60質量部のN,N-ジメチルホルムアミド、10質量部のイソシアネート系架橋剤、及び0.8質量部の有機スズ系架橋促進剤を混合して、固形分が約40質量%の分離層形成用組成物を得た。
【0098】
分離層形成用組成物を、ナイフコーターにより離型紙上の第2層D上に塗布(塗布量:100g/m)して塗膜を形成した。熱風乾燥機を用いて、130℃で2分間塗膜を加熱して、分離層(接着層、厚み:40μm)を形成した。
【0099】
130℃に加熱しながら分離層に第1層を貼り合わせ、50℃で48時間熟成した後、離型紙を剥離することにより、実施例6の積層体を作製した。
【0100】
[実施例7]
第1層(基材層)として、ポリエステル製の編布(厚み:450μm)を準備した。
【0101】
100質量部のポリ塩化ビニル(平均重合度:1300)、90質量部の可塑剤(フタル酸ジアルキル)、2質量部の安定剤(Ba-Zn系複合安定剤)、20質量部の充填剤(重炭酸カルシウム)、及び5質量部の着色剤を混合して、固形分が約100質量%の第2層形成用組成物を得た。
【0102】
第2層形成用組成物を、カレンダー装置を用いてシート状に成形して、第2層(表皮層、厚み:420μm)を作製した。
【0103】
分離層形成用組成物であるポリウレタン系エマルジョン接着剤(DIC社製)を、グラビアコーターにより第2層上に塗布(塗布量:約20g/m)して、厚みが7μmの分離層(接着層)を形成した。
【0104】
エンボスロールを用いて、絞ロールに第2層を接触させ、130℃に加熱しながら分離層に第1層を貼り合わせることにより、実施例7の積層体を作製した。
【0105】
[実施例8]
第1層(基材層)として、ポリエステル65質量%及びレーヨン35質量%の混合糸製の編布(厚み:500μm)を準備した。
【0106】
100質量部のポリ塩化ビニル(平均重合度:1300)、80質量部の可塑剤(フタル酸ジアルキル)、2質量部の安定剤(Ba-Zn系複合安定剤)、15質量部の充填剤(重炭酸カルシウム)、及び5質量部の着色剤を混合して、固形分が約100質量%の第2層形成用組成物Eを得た。
【0107】
100質量部のポリ塩化ビニル(平均重合度:1300)、6質量部の発泡剤(アゾジカルボンアミド)、95質量部の可塑剤(フタル酸ジアルキル)、3質量部の安定剤(Ba-Zn系複合安定剤)、15質量部の充填剤(重炭酸カルシウム)、及び2質量部の着色剤を混合して、固形分が約100質量%の第2層形成用組成物Fを得た。
【0108】
第2層形成用組成物E及び第2層形成用組成物Fを、カレンダー装置を用いてシート状に成形して、第2層形成用組成物Eから形成された第2層E(厚み:200μm)と、第2層形成用組成物Fから形成された第2層F(未発泡、厚み:330μm)とが積層された第2層を作製した。
【0109】
分離層形成用組成物であるポリウレタン系エマルジョン接着剤(DIC社製、水系、架橋剤非含有)を、グラビアコーターにより第2層F上に塗布(塗布量:約15g/m)して、厚みが7μmの分離層(接着層)を形成した。
【0110】
130℃に加熱しながら分離層に第1層を貼り合わせ、190℃~230℃の加熱炉内を通過させることにより第2層Fの発泡剤を発泡させた後、エンボスロールを用いて、130℃に加熱しながら絞ロールに第2層Eを押し当ててエンボス加工を行うことにより、実施例8の積層体を作製した。発泡後の第2層Fの厚みは、560μmであった。
【0111】
[比較例1]
第1層(基材層)として、ポリプロピレン系樹脂発泡体(東レ社製の「トーレペフ」、厚み:3000μm、発泡倍率:15倍)を準備した。
【0112】
90質量部のポリオレフィン系熱可塑性エラストマー(三井化学社製の「8030NH」)、及び10質量部の顔料を混合した後、押出法により、220℃に加熱しながらシート状に成形して、第2層(表皮層、厚み:400μm)を作製した。
【0113】
エンボスロールを用いて、180℃に加熱し、絞ロールに第2層を押し当てながら、第2層に第1層を貼り合わせることにより、比較例の積層体を作製した。貼り合わせ速度は、6m/分であった。
【0114】
<積層体の分離試験>
剥離液として、以下の中性のアルコール含有溶液及びアルカリ性のアルコール含有溶液を準備した。
[中性のアルコール含有溶液]
・ネオス社製の「SR-40T(商品名)」
・アルコール濃度:65質量%~75質量%
・25℃における水素イオン指数(pH):8
[アルカリ性のアルコール含有溶液]
・ネオス社製の「SR-300K(商品名)」
・アルコール濃度:25質量%~35質量%
・25℃における水素イオン指数(pH):13~14
水素イオン指数は、HORIBA社製のpH計「LAQUA F-52」を用いて測定した。
【0115】
実施例1の積層体を30mm×50mmに切断した試験片を2つ用意し、一方の試験片を中性のアルコール含有溶液(SR-40T)に浸漬し、他方をアルカリ性のアルコール含有溶液(SR-300K)に浸漬した。溶液の温度及び浸漬時間は表1に示す通りである。浸漬後の試験片を観察し、以下の評価基準で判定した。実用レベルはA~Cである。
A及びBについては、分離層が分離液に溶解する、又は第1層及び前記第2層の少なくとも一方から剥離していると判定した。
-評価基準
A:積層体が自然に分離した。
B:積層体を5.03N/10mm以下の力で引き剥がすことにより分離することができた。
C:積層体が自然に分離したか、又は積層体を5.03N/10mm以下の力で引き剥がすことにより分離することができ、かつ、第2層(表皮層)の少なくとも一部が溶解している。
D:積層体を5.03N/10mm以下の力で引き剥がすことにより分離することができない。
【0116】
実施例2~実施例8及び比較例1の積層体についても、実施例1と同様にして分離試験を行った。結果を表1及び表2に示す。
表1及び表2中、
「PET」は「ポリエチレンテレフタレート(Polyethylene Terephthalate)」、
「PP」は「ポリプロピレン(Poly Propylene)」、
「PU」は「ポリウレタン(Poly Urethane」、
「PVC」は「ポリ塩化ビニル(Polyvinyl Chloride)」
「TPO」は「サーモプラスチックオレフィン(Thermo Plastic Olefin)」
を示す。
【0117】
【表1】
【0118】
【表2】
【0119】
実施例1~実施例8の積層体は、分離液に積層することにより分離することができた。すなわち、分離層が、中性又はアルカリ性のアルコール含有溶液である分離液に浸漬されることにより、少なくとも、分離液に溶解した、又は第1層及び前記第2層の少なくとも一方から剥離した。
【0120】
特に、アルカリ性のアルコール含有溶液を用いた場合、分離液の浸漬時間が長い場合、分離液の温度が高い場合、積層体の分離がより容易となる傾向が見られた。
【0121】
実施例5及び実施例6は、第2層(表皮層)がポリウレタンを含む例であり、アルカリ性のアルコール含有溶液を用いた場合、積層体が分離すると共に、第2層が溶解した。特に、実施例6は、中性のアルコール含有溶液を用いた場合にも、浸漬時間を長くすることで、第2層が溶解する傾向が見られた。
【符号の説明】
【0122】
10 第1層
30 分離層
50 第2層
100 積層体
図1