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特開2023-731基板処理装置および基板処理装置の制御方法並びに基板処理装置の制御プログラム
<図1>
  • 特開-基板処理装置および基板処理装置の制御方法並びに基板処理装置の制御プログラム 図1
  • 特開-基板処理装置および基板処理装置の制御方法並びに基板処理装置の制御プログラム 図2
  • 特開-基板処理装置および基板処理装置の制御方法並びに基板処理装置の制御プログラム 図3
  • 特開-基板処理装置および基板処理装置の制御方法並びに基板処理装置の制御プログラム 図4
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  • 特開-基板処理装置および基板処理装置の制御方法並びに基板処理装置の制御プログラム 図6
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  • 特開-基板処理装置および基板処理装置の制御方法並びに基板処理装置の制御プログラム 図9
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023000731
(43)【公開日】2023-01-04
(54)【発明の名称】基板処理装置および基板処理装置の制御方法並びに基板処理装置の制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/677 20060101AFI20221222BHJP
   H01L 21/027 20060101ALI20221222BHJP
【FI】
H01L21/68 A
H01L21/30 562
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021101717
(22)【出願日】2021-06-18
(71)【出願人】
【識別番号】000134028
【氏名又は名称】株式会社SCREEN SPE テック
(74)【代理人】
【識別番号】100093056
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 勉
(74)【代理人】
【識別番号】100142930
【弁理士】
【氏名又は名称】戸高 弘幸
(74)【代理人】
【識別番号】100175020
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 知彦
(74)【代理人】
【識別番号】100180596
【弁理士】
【氏名又は名称】栗原 要
(74)【代理人】
【識別番号】100195349
【弁理士】
【氏名又は名称】青野 信喜
(72)【発明者】
【氏名】岩▲崎▼ 宏平
(72)【発明者】
【氏名】上野 真也
【テーマコード(参考)】
5F131
5F146
【Fターム(参考)】
5F131AA02
5F131BA12
5F131BA37
5F131BB03
5F131CA16
5F131DB03
5F131DB52
5F131DB76
5F131DB82
5F131KA12
5F131KA47
5F131KA63
5F131KB12
5F131KB52
5F146HA07
(57)【要約】
【課題】キャリアにおける基板収納状態を正確に判定することが可能な基板処理装置および基板処理装置の制御方法並びに基板処理装置の制御プログラムを提供する。
【解決手段】記憶部は、処理基板と同じ仕様の基準基板を作業用キャリアと同じ仕様の基準キャリアに収納した状態で得られるスロット毎の閾値(例えば符号Da1)を記憶する。すなわち、記憶部は、25段のスロットに対応した25個の閾値Da1~Da25を記憶する。そして、制御部は、作業用キャリアのスロット毎の処理基板の基板厚み(例えば符号TK1)を、記憶部に記憶されたスロット毎の閾値(例えば符号Da1)と比較する。そのため、基板およびキャリアの仕様に対応しているだけでなく、スロット毎の特徴を考慮した判定基準と比較される。そのため、作業用キャリアのスロット毎の処理基板の収納状態を正確に判定することができる。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を略水平姿勢で支持するスロットが上下方向に多段に形成されたキャリアを載置する載置台と、
基板検出センサを上下方向に走査して前記キャリアに収納された複数の前記基板の高さ情報をスロット毎に取得するマッピング機構と、
を備え、
前記基板は、処理基板と基準基板とを含み、
前記キャリアは、作業用キャリアと基準キャリアとを含み、
更に、前記処理基板と同じ仕様の前記基準基板を前記作業用キャリアと同じ仕様の前記基準キャリアに収納した状態で前記マッピング機構を駆動することにより得られるスロット毎の基準高さ情報を記憶する記憶部と、
前記処理基板を前記作業用キャリアに収納した状態で前記マッピング機構を駆動することにより前記作業用キャリアに収納された前記処理基板の高さ情報をスロット毎に取得し、前記作業用キャリアのスロット毎の前記処理基板の前記高さ情報を前記記憶部に記憶されたスロット毎の前記基準高さ情報と比較することにより、前記作業用キャリアのスロット毎の前記処理基板の収納状態を判定する制御部と、
を備えていることを特徴とする基板処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の基板処理装置において、
前記載置台に設けられ、前記載置台に載置された前記キャリアの傾きを調整するキャリア傾き調整部を更に備えていることを特徴とする基板処理装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の基板処理装置において、
前記高さ情報は、基板厚みであると共に、
前記基準高さ情報は、基準基板厚みに係数を掛けた第1閾値であり、
前記記憶部は、前記第1閾値を記憶し、
前記制御部は、前記作業用キャリアのスロット毎の前記処理基板の前記基板厚みを、前記記憶部に記憶されたスロット毎の前記第1閾値と比較することにより、前記作業用キャリアのスロット毎の前記処理基板の収納状態を判定することを特徴とする基板処理装置。
【請求項4】
請求項3に記載の基板処理装置において、
前記制御部は、前記作業用キャリアのスロット毎の前記処理基板の前記基板厚みを、前記記憶部に記憶されたスロット毎の前記第1閾値と比較することにより、前記作業用キャリアのスロット毎において、前記基板厚みが前記第1閾値よりも大きいときに、基板の2枚重ねが存在することを判定することを特徴とする基板処理装置。
【請求項5】
請求項1または2に記載の基板処理装置において、
前記高さ情報は、基板高さであると共に、
前記基準高さ情報は、基準基板高さに予め設定された正の値を加算した第2閾値であり、
前記記憶部は、前記第2閾値を記憶し、
前記制御部は、前記作業用キャリアのスロット毎の前記処理基板の前記基板高さを、前記記憶部に記憶されたスロット毎の前記第2閾値と比較することにより、前記作業用キャリアのスロット毎の前記処理基板の収納状態を判定することを特徴とする基板処理装置。
【請求項6】
請求項5に記載の基板処理装置において、
前記制御部は、前記作業用キャリアのスロット毎の前記処理基板の前記基板高さを、前記記憶部に記憶されたスロット毎の前記第2閾値と比較することにより、前記作業用キャリアのスロット毎において、前記基板高さが前記第2閾値よりも大きいときに、1つのスロットを超えて傾斜する基板が存在することを判定することを特徴とする基板処理装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載の基板処理装置において、
前記キャリアは、オープンカセットであることを特徴とする基板処理装置。
【請求項8】
基板を略水平姿勢で支持するスロットが上下方向に多段に形成されたキャリアを載置する載置台と、
基板検出センサを上下方向に走査して前記キャリアに収納された複数の前記基板の高さ情報をスロット毎に取得するマッピング機構と、を備え、
前記基板は、処理基板と基準基板とを含むと共に、前記キャリアは、作業用キャリアと基準キャリアとを含む基板処理装置の制御方法において、
前記処理基板と同じ仕様の前記基準基板を前記作業用キャリアと同じ仕様の前記基準キャリアに収納した状態で前記マッピング機構を駆動することにより得られるスロット毎の基準高さ情報を記憶部に記憶する記憶工程と、
前記処理基板を前記作業用キャリアに収納した状態で前記マッピング機構を駆動することにより前記作業用キャリアに収納された前記処理基板の高さ情報をスロット毎に取得する高さ情報取得工程と、
前記作業用キャリアのスロット毎の前記処理基板の前記高さ情報を前記記憶部に記憶されたスロット毎の前記基準高さ情報と比較することにより、前記作業用キャリアのスロット毎の前記処理基板の収納状態を判定する判定工程と、
を備えていることを特徴とする基板処理装置の制御方法。
【請求項9】
請求項8に記載の基板処理装置において、
前記記憶工程の前において、所定のスロットに収納した前記基準基板が水平になるように、前記載置台に載置された前記基準キャリアの傾きを調整する傾き調整工程を更に備えていることを特徴とする基板処理装置の制御方法。
【請求項10】
基板を略水平姿勢で支持するスロットが上下方向に多段に形成されたキャリアを載置する載置台と、
基板検出センサを上下方向に走査して前記キャリアに収納された複数の前記基板の高さ情報をスロット毎に取得するマッピング機構と、
制御部と、
を備え、
前記基板は、処理基板と基準基板とを含むと共に、前記キャリアは、作業用キャリアと基準キャリアとを含む基板処理装置の制御プログラムにおいて、
前記制御部に、
前記処理基板と同じ仕様の前記基準基板を前記作業用キャリアと同じ仕様の前記基準キャリアに収納した状態で前記マッピング機構を駆動することにより得られるスロット毎の基準高さ情報を記憶部に記憶させる記憶工程と、
前記処理基板を前記作業用キャリアに収納した状態で前記マッピング機構を駆動することにより前記作業用キャリアに収納された前記処理基板の高さ情報をスロット毎に取得させる高さ情報取得工程と、
前記作業用キャリアのスロット毎の前記処理基板の前記高さ情報を前記記憶部に記憶されたスロット毎の前記基準高さ情報と比較することにより、前記作業用キャリアのスロット毎の前記処理基板の収納状態を判定させる判定工程と、
を実行させることを特徴とする基板処理装置の制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板を処理する基板処理装置、この装置の制御方法および制御プログラムに関する。基板は、例えば、半導体基板、FPD(Flat Panel Display)用の基板、フォトマスク用ガラス基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、セラミック基板、太陽電池用基板などが挙げられる。FPDは、例えば、液晶表示装置、有機EL(electroluminescence)表示装置などが挙げられる。
【背景技術】
【0002】
基板処理装置は、カセットステージと基板処理部を備える(例えば、特許文献1,2参照)。カセットステージは、基板処理部に対して基板を受け渡すためのものである。カセットステージには、カセット(キャリア)を載置するテーブル(載置台)と、マッピング機構が設けられている。マッピング機構は、マッピングアームと、基板を検出するためのセンサとを備える。これによって、カセット内における基板の収納有無、収納された基板の高さ位置および、基板の2枚重ねなどが検出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-181655号公報
【特許文献2】特開平11-251411号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の基板処理装置は、次のような問題がある。すなわち、従来の基板処理装置は、例えば、比較のための1つの共通の基準高さ情報を記憶する。そして、基板処理装置は、マッピング機構を駆動することにより作業用キャリアに収納された処理基板の高さ情報をスロット毎に取得する。そして、スロット毎に取得した処理基板の高さ情報と、1つの共通の基準高さ情報とを比較して処理基板の収納状態を判定する。このような従来の基板処理装置は、基板の収納状態を正確に判定することができないという問題がある。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、キャリアにおける基板収納状態を正確に判定することが可能な基板処理装置および基板処理装置の制御方法並びに基板処理装置の制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、このような目的を達成するために、鋭意研究した結果、基板の収納状態を誤って判定する3つの要因を見いだした。以下に具体的に説明する。
【0007】
(1)基板の仕様の相違に起因した誤判定
基板(例えばウエハ)のサイズ等は、SEMI(Semiconductor Equipment and Materials International)規格で定められている。しかし、厚みおよび材料のいずれかが規格外の場合、基板が凹状、凸状または凹凸状に変形する。例えば基板の厚みが薄い場合は、凹状に基板がたわむのでマッピング機構で検出される基板の見かけ上の厚みが変化する。その結果、仕様が異なる基板間で誤判定が発生する。そこで、基板の仕様に対応した判定基準を持つことが求められる。
【0008】
(2)キャリアの仕様の相違に起因した誤判定
各スロットにおいて、基板の周縁部下面を保持する棚部分は傾斜面を有する。この傾斜面の角度は、キャリアの仕様により変わる。すなわち、キャリアの仕様により各スロットの傾斜角度が変わる。スロットの傾斜角度が変わると基板のたわみ方が変わるので、その基板の見かけ上の厚みが変わる。その結果、異なる仕様のキャリア間で誤判定が発生する。そこで、キャリアの仕様に対応した判定基準を持つことが求められる。
【0009】
(3)キャリアの変形に起因した誤判定
例えば、キャリアは樹脂で形成されており、形成の際に歪んでしまう場合がある。その結果、同じ仕様のキャリアであっても、最下段のスロットから最上段のスロットまでの間で、基板の傾きが段階的に変化することがある。スロット毎に傾斜角度が変化すると基板の見かけ上の厚みがスロット毎に変わる。そこで、スロット毎に対応した判定基準を持つことが求められる。
【0010】
本発明は、以上の知見に基づいてなされたものであって、次のような構成をとる。すなわち、本発明に係る基板処理装置は、基板を略水平姿勢で支持するスロットが上下方向に多段に形成されたキャリアを載置する載置台と、基板検出センサを上下方向に走査して前記キャリアに収納された複数の前記基板の高さ情報をスロット毎に取得するマッピング機構と、を備え、前記基板は、処理基板と基準基板とを含み、前記キャリアは、作業用キャリアと基準キャリアとを含み、更に、前記処理基板と同じ仕様の前記基準基板を前記作業用キャリアと同じ仕様の前記基準キャリアに収納した状態で前記マッピング機構を駆動することにより得られるスロット毎の基準高さ情報を記憶する記憶部と、前記処理基板を前記作業用キャリアに収納した状態で前記マッピング機構を駆動することにより前記作業用キャリアに収納された前記処理基板の高さ情報をスロット毎に取得し、前記作業用キャリアのスロット毎の前記処理基板の前記高さ情報を前記記憶部に記憶されたスロット毎の前記基準高さ情報と比較することにより、前記作業用キャリアのスロット毎の前記処理基板の収納状態を判定する制御部と、を備えていることを特徴とするものである。
【0011】
本発明に係る基板処理装置によれば、記憶部は、処理基板と同じ仕様の基準基板を作業用キャリアと同じ仕様の基準キャリアに収納した状態で得られるスロット毎の基準高さ情報を記憶する。すなわち、記憶部は、多段のスロットに対応した複数の基準高さ情報を記憶する。そして、制御部は、作業用キャリアのスロット毎の処理基板の高さ情報を、記憶部に記憶されたスロット毎の基準高さ情報と比較する。そのため、基板およびキャリアの仕様に対応しているだけでなく、スロット毎の特徴を考慮した判定基準と比較される。そのため、作業用キャリアのスロット毎の処理基板の収納状態を正確に判定することができる。
【0012】
また、上述の基板処理装置は、前記載置台に設けられ、前記載置台に載置された前記キャリアの傾きを調整するキャリア傾き調整部を更に備えていることが好ましい。基板が水平であるほど、基準高さ情報および高さ情報は正確になる。そのため、基板の収納状態を更に正確に判定することができる。
【0013】
また、上述の基板処理装置において、前記高さ情報は、基板厚みであると共に、前記基準高さ情報は、基準基板厚みに係数を掛けた第1閾値であり、前記記憶部は、前記第1閾値を記憶し、前記制御部は、前記作業用キャリアのスロット毎の前記処理基板の前記基板厚みを、前記記憶部に記憶されたスロット毎の前記第1閾値と比較することにより、前記作業用キャリアのスロット毎の前記処理基板の収納状態を判定することが好ましい。すなわち、基板厚みと第1閾値をスロット毎に比較する。これにより、作業用キャリアのスロット毎の処理基板の収納状態を正確に判定することができる。
【0014】
また、上述の基板処理装置において、前記制御部は、前記作業用キャリアのスロット毎の前記処理基板の前記基板厚みを、前記記憶部に記憶されたスロット毎の前記第1閾値と比較することにより、前記作業用キャリアのスロット毎において、前記基板厚みが前記第1閾値よりも大きいときに、基板の2枚重ねが存在することを判定することが好ましい。これにより、作業用キャリアのスロット毎において、基板の収納状態として、基板の2枚重ねが存在することを正確に判定することができる。
【0015】
また、上述の基板処理装置において、前記高さ情報は、基板高さであると共に、前記基準高さ情報は、基準基板高さに予め設定された正の値を加算した第2閾値であり、前記記憶部は、前記第2閾値を記憶し、前記制御部は、前記作業用キャリアのスロット毎の前記処理基板の前記基板高さを、前記記憶部に記憶されたスロット毎の前記第2閾値と比較することにより、前記作業用キャリアのスロット毎の前記処理基板の収納状態を判定することが好ましい。すなわち、基板高さと第2閾値をスロット毎に比較する。これにより、作業用キャリアのスロット毎の処理基板の収納状態を正確に判定することができる。
【0016】
また、上述の基板処理装置において、前記制御部は、前記作業用キャリアのスロット毎の前記処理基板の前記基板高さを、前記記憶部に記憶されたスロット毎の前記第2閾値と比較することにより、前記作業用キャリアのスロット毎において、前記基板高さが前記第2閾値よりも大きいときに、1つのスロットを超えて傾斜する基板が存在することを判定することが好ましい。これにより、作業用キャリアのスロット毎において、基板の収納状態として、1つのスロットを超えて傾斜する基板が存在することを正確に判定することができる。
【0017】
また、上述の基板処理装置において、前記キャリアは、オープンカセットであることが好ましい。基板およびオープンカセットの仕様に対応しているだけでなく、スロット毎の特徴を考慮した判定基準と比較される。そのため、作業用オープンカセットのスロット毎の処理基板の収納状態を正確に判定することができる。
【0018】
また、本発明に係る基板処理装置の動作方法は、基板を略水平姿勢で支持するスロットが上下方向に多段に形成されたキャリアを載置する載置台と、基板検出センサを上下方向に走査して前記キャリアに収納された複数の前記基板の高さ情報をスロット毎に取得するマッピング機構と、を備え、前記基板は、処理基板と基準基板とを含むと共に、前記キャリアは、作業用キャリアと基準キャリアとを含む基板処理装置の制御方法において、前記処理基板と同じ仕様の前記基準基板を前記作業用キャリアと同じ仕様の前記基準キャリアに収納した状態で前記マッピング機構を駆動することにより得られるスロット毎の基準高さ情報を記憶部に記憶する記憶工程と、前記処理基板を前記作業用キャリアに収納した状態で前記マッピング機構を駆動することにより前記作業用キャリアに収納された前記処理基板の高さ情報をスロット毎に取得する高さ情報取得工程と、前記作業用キャリアのスロット毎の前記処理基板の前記高さ情報を前記記憶部に記憶されたスロット毎の前記基準高さ情報と比較することにより、前記作業用キャリアのスロット毎の前記処理基板の収納状態を判定する判定工程と、を備えていることを特徴とするものである。
【0019】
また、上述の基板処理装置の動作方法は、前記記憶工程の前において、所定のスロットに収納した前記基準基板が水平になるように、前記載置台に載置された前記基準キャリアの傾きを調整する傾き調整工程を更に備えていることが好ましい。基板が水平であるほど、基準高さ情報および高さ情報は正確になる。そのため、基板の収納状態を更に正確に判定することができる。
【0020】
また、本発明に係る基板処理装置の制御プログラムは、基板を略水平姿勢で支持するスロットが上下方向に多段に形成されたキャリアを載置する載置台と、基板検出センサを上下方向に走査して前記キャリアに収納された複数の前記基板の高さ情報をスロット毎に取得するマッピング機構と、制御部と、を備え、前記基板は、処理基板と基準基板とを含むと共に、前記キャリアは、作業用キャリアと基準キャリアとを含む基板処理装置の制御プログラムである。この制御プログラムは、前記制御部に、前記処理基板と同じ仕様の前記基準基板を前記作業用キャリアと同じ仕様の前記基準キャリアに収納した状態で前記マッピング機構を駆動することにより得られるスロット毎の基準高さ情報を記憶部に記憶させる記憶工程と、前記処理基板を前記作業用キャリアに収納した状態で前記マッピング機構を駆動することにより前記作業用キャリアに収納された前記処理基板の高さ情報をスロット毎に取得させる高さ情報取得工程と、前記作業用キャリアのスロット毎の前記処理基板の前記高さ情報を前記記憶部に記憶されたスロット毎の前記基準高さ情報と比較することにより、前記作業用キャリアのスロット毎の前記処理基板の収納状態を判定させる判定工程と、を実行させることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る基板処理装置および基板処理装置の制御方法並びに基板処理装置の制御プログラムによれば、キャリアにおける基板収納状態を正確に判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】実施例1に係る基板処理装置の概略構成を示す平面図である。
図2】載置台の載置位置におけるカセットとマッピング機構を示す平面図である。
図3】マッピング機構を説明するための側面図である。
図4】(a)は、基板処理装置の動作方法であって、基板の収納状態を判定するための基準高さ情報の設定を説明するためのフローチャートであり、(b)は、基板処理装置の動作方法であって、生産のための処理基板に対するマッピング動作を説明するためのフローチャートである。
図5】(a)は、カセット内で基板Wの傾きが変化することを説明するための図であり、(b)は、基準カセットの傾き調整を説明するための図であり、(c)は、基準基板に配置された水準器を示す図である。
図6】(a)は、基板の2枚重ねの判定方法を説明するための図であり、(b)は、1スロットを超えて傾斜する基板(クロス基板)の判定方法を説明するための図である。
図7】スロット毎の判定方法を説明するための図である。
図8】各スロットと基板の厚みとの関係を説明するための図である。
図9】(a)は、基板の2枚重ねの判定方法の他の例を説明するための図であり、(b)は、1スロットを超えて傾斜する基板(クロス基板)の判定方法の他の例を説明するための図である。
【実施例0023】
以下、図面を参照して本発明の実施例1を説明する。図1は、実施例1に係る基板処理装置の概略構成を示す平面図である。
【0024】
<基板処理装置1の構成>
図1を参照する。基板処理装置1は、インデクサブロック2と処理ブロック(処理領域)3を備えている。
【0025】
処理ブロック3は、基板Wに対して予め設定された処理を行う。処理ブロック3は、複数の処理部5と基板搬送機構(ロボット)7を備えている。基板搬送機構7は、X方向に延びる搬送スペース9に設けられる。基板搬送機構7は、基板Wを保持するハンド7Aを有し、基板載置部11と複数の処理部5との間で基板Wを搬送する。
【0026】
複数の処理部5は、基板Wに対して、液処理および熱処理の少なくとも一方を行う。液処理は、例えば塗布処理、現像処理、または洗浄処理である。塗布処理は、例えばフォトレジスト液を基板Wに塗布する処理である。液処理を行う場合、処理部5は、例えば真空吸着によって基板の下面を保持して、保持した基板Wを鉛直軸周りに回転させる保持回転部(図示しない)と、保持回転部で保持された基板に対して処理液を吐出するノズル(図示しない)とを備える。また、熱処理を行う場合は、処理部5は、基板Wを載置するプレート(図示しない)と、このプレートを加熱する電気ヒータ(図示しない)とを備える。
【0027】
インデクサブロック2は、載置台13、インデクサ機構(ロボット)15、ハウジング17およびマッピング機構(ロボット)19を備える。載置台13は、4つのオープンカセットCを載置できるように構成される。なお、オープンカセットCは、以下適宜「カセットC」と呼ぶ。
【0028】
図2は、カセットCの平面図を示す。カセットCは、基板Wを出し入れするための表開口CFを有する。更に、カセットCは、基板Wを挟んで表開口CFの反対側にも裏開口CRを有する。図3は、カセットCを表開口CF側から見た図である。カセットCは、例えば25段のスロットSLを備える。25段のスロットSLは、上下方向に一定間隔で配置される。1つのスロットSLは、通常1枚の基板Wを収納する。そのため、カセットCは、25段のスロットSLと同数の25枚の基板Wを収納できる。
【0029】
符号21は、基板支持部である。基板支持部21は、基板Wの周縁部下面を支持する。基板支持部21の上側の空間が1つのスロットSLを構成する。図3に示すように、各スロットSLは、1枚の基板Wを略水平姿勢で支持する。なお、カセットCは25段のスロットSLを備えるが、多段(複数段)のスロットSLを備えていればよい。
【0030】
インデクサ機構15は、基板Wを保持するハンド15Aを有する。インデクサ機構15は、ハウジング17の内部の搬送スペース17Aに設けられる。搬送スペース17AはY方向に延びるように構成される。載置台13と搬送スペース17Aの間には、ハウジング17の一部である側壁17Bが設けられている。載置台13に載置されたカセットCの表開口CFに対応する側壁17Bには、基板搬送口22が設けられている。インデクサ機構15は、基板搬送口22を通じて、カセットCから基板Wを取り出し、取り出した基板Wを基板載置部11に搬送する。また、インデクサ機構15は、処理ブロック3で処理された基板Wを基板載置部11から受け取って、基板搬送口22を通じて、受け取った基板WをカセットCに戻す。
【0031】
マッピング機構19は、25段のスロットSLが並ぶ上下方向に基板検出センサ23を走査させるものである。これにより、マッピング機構19は、カセットCに収納された25枚の基板Wの高さ情報をスロットSL毎に取得する。
【0032】
マッピング機構19は、基板検出センサ23、アーム24、柱部材27および昇降部29を備える。基板検出センサ23は、透過型の光電センサで構成され、投光器23Aと受光器23Bを備える。アーム24は、平面視でU字状またはC字状の部材である。表開口CF側のアーム24の第1端には、投光器23Aが設けられ、裏開口CR側のアーム24の第2端には、受光器23Bが設けられる。受光器23Bは、投光器23Aと水平方向で対向するように設けられる。なお、投光器23Aと受光器23Bの配置は、逆であってもよい。基板検出センサ23は、反射型の光電センサで構成されてもよい。また、図2において、投光器23Aと受光器23Bは、X方向に対して斜めで対向する。この点、投光器23Aと受光器23Bは、X方向と平行する方向で対向してもよいし、必要により、X方向と直交する水平方向(Y方向)で対向してもよい。
【0033】
アーム24は、柱部材27の上端で固定される。図3に示すように、柱部材27は、載置台13の孔部13Aを貫通する。柱部材27は、昇降部29によって昇降される。昇降部29は、ねじ軸31、ガイド部材32、可動部材(スライダ)34および電動モータMを備える。ねじ軸31は、ガイド部材32と平行に配置される。ねじ軸31は、可動部材34に形成されたナット34Aと噛み合いながら、ナット34Aを貫通する。また、ガイド部材32は、可動部材34の孔部34Bを貫通する。可動部材34は、柱部材27を固定する。電動モータMは、可動部材34を昇降させる。例えば、電動モータMは、ねじ軸31を回転軸AX1周りに回転させることで、可動部材34を昇降させる。これにより、基板検出センサ23が昇降する。
【0034】
マッピング機構19は、高さセンサ35を備える。高さセンサ35は、例えばリニアエンコーダまたはロータリエンコーダで構成される。図3において、高さセンサ35は、例えば可動部材34の高さ位置を検出することで、基板検出センサ23の高さ位置(具体的には、後述するON高さおよびOFF高さ)を検出する。
【0035】
基板検出センサ23は、投光器23Aから出射された光(例えば赤外線)がカセットCの2つの開口CF,CRを通過して、受光器23Bに入射するように構成される。符号OPは光軸を示す。投光器23Aからの光を受光器23Bが受け取る場合、基板検出センサ23は基板Wが無いこと(OFF)を検出する。ここで、「OFF高さ」は、基板W有りの状態から基板W無しの状態に切り替わったときの高さである。そして、投光器23Aからの光を受光器23Bが受け取れない場合、基板検出センサ23は、基板Wがあること(ON)を検出する。ここで、「ON高さ」は、基板W無しの状態から基板W有りの状態に切り替わったときの高さである。
【0036】
ON高さとOFF高さの差分は基板Wの真の厚み以外に基板Wの撓みや凹凸、基板Wの姿勢の影響も受ける。本明細書ではこのようなON高さとOFF高さの差分を基板Wの見かけ上の厚みと言う。また、本明細書において単に基板Wの厚みという場合は、基板Wの見かけ上の厚みを指すことに留意されたい。基板検出センサ23と高さセンサ35とが協働してカセットCのスロット毎に基板Wの高さ情報を得ることによりスロット毎に基板Wの見かけ上の厚みを検出する。
【0037】
図1に示すように、基板処理装置1は、制御部41、記憶部(記憶媒体)43および表示部45を備える。制御部41は、基板処理装置1の各構成(例えば処理部5、基板搬送機構7、インデクサ機構15、およびマッピング機構19)を制御する他、記憶部43への基板高さ情報の書き込みや読み出し、スロット毎の基板収納状態の判定などを行う。制御部41は、例えば中央演算処理装置(CPU)などの1つまたは複数のプロセッサを備えている。記憶部43は、ROM(Read-only Memory)、RAM(Random-Access Memory)およびハードディスクの少なくとも1つを備える。記憶部43には、制御部41(コンピュータ)に実行させる基板処理装置1の制御プログラムが記憶されている。表示部45は、例えば液晶ディスプレイまたは有機EL(organic electro-luminescence)ディスプレイで構成される。
【0038】
なお、図1において、少なくとも載置台13、マッピング機構19および基板搬送口22は、ロードポートを構成する。
【0039】
<基板処理装置1の動作>
次に、基板処理装置1の動作のうち、主に、基板Wの収納状態を判定する方法について説明する。この方法の説明は、基板Wの収納状態を判定するための基準高さ情報の設定と、処理基板Wに対するマッピング動作とに分けられる。まず、図4(a)を参照しながら、基板Wの収納状態を判定するための基準高さ情報の設定について説明する。また、本実施例では、基板Wの収納状態として「基板Wの2枚重ね」の有無を判定する。
【0040】
なお、本明細書において、基板Wとして、処理基板Wと基準基板Wsdが登場する。また、カセットCとして、作業用カセットCと基準カセットCsdが登場する。処理基板Wは、基板Wと同じ符号を付ける。また、作業用カセットCは、カセットCと同じ符号を付ける。
【0041】
〔ステップS01〕基準カセットおよび基準基板の準備
操作者は、基準カセットCsdおよび基準基板Wsdを準備する。基準カセットCsdとは、生産の際に用いる作業用カセットCと同じ仕様で形成されたものである。基準カセットCsdは、作業用カセットCと同じメーカで形成されていることが好ましい。また、基準カセットCsdは、経年劣化の歪みを考慮して、作業用カセットCと略同じ時間使われたものであることが好ましい。カセットCが歪むと、カセットC内で基板Wの傾きに変化が生じるおそれある。
【0042】
基準基板Wsdとは、生産のための処理基板Wと同じ仕様で形成されたものである。同じ仕様とは、例えば、処理基板Wと同じ材料、同じ厚み、および同じ直径であることを言う。また、同じ仕様は、処理基板Wの表面に形成されたパターンと略同じパターンが表面に形成されていることを含むことが好ましい。また、基準基板Wsdは、凹凸などの形状が略同じで代用できれば、パターンが形成されていない基板(いわゆるダミーウエハ)であってもよい。また、カセットCが基板処理後の処理基板Wの残熱の影響でカセットCが歪む可能性があるので、基準基板Wsdは、オーブンまたは熱処理部などを用いて、その残熱と略同じ温度に調整されていてもよい。
【0043】
なお、基板Wは、例えばSEMI規格外の基板が用いられる。SEMI規格外の基板Wとは、厚みおよび材料のいずれかが規格外である基板である。例えば、基板Wの材料がシリコンであって、厚みが規格よりも薄い場合または厚い場合である。厚みが薄い基板とは、規格の基板の厚み(例えば直径が200mmであれば、0.725mm)の半分以下の厚みである。また、規格外の材料とは、例えば、SIC(炭化ケイ素)またはタンタル酸リチウムなどのシリコンよりも導電性の良い材料が挙げられる。厚みおよび材料のいずれかが規格外である基板は、コンタクトレンズ状に凹状または凸状に変形する場合がある。また、基板Wの中央が凸状に変形し、中央以外が凹状に変形する凹凸状に変形する場合がある。また、凹凸状に変形する場合として、基板Wの左側が凹状で、その右側が凹状に変形する場合がある。なお、基板Wの直径は、200mmまたは300mmであってもよく、その他の大きさであってもよい。
【0044】
〔ステップS02〕基準カセットの傾き調整
例えば、最下段に近いほど基板Wが厚く検出され、最上段に近いほど基板Wが薄く検出される。また、カセットCの仕様により、逆になる場合がある。すなわち、最下段に近いほど基板Wが薄く検出され、最上段に近いほど基板Wが厚く検出される。このような基板Wの見かけ上の厚みの変化は、カセットCの内部形状により基板Wの傾きが変化するためのである。なお、図5(a)において、基板支持部21の傾き角度θ1、θ2、θ3、θ4は、θ1>θ2>θ3>θ4の関係であることを示す。
【0045】
基板Wが傾いたときの基板Wの厚みは、基板Wの真の厚みでないので、判定の正確さを劣化させる可能性がある。そこで、所定のスロットSLに収納した基準基板Wsdが水平になるように、載置台13に載置された基準カセットCsdの傾きを調整する。基板Wが水平であるほど、後述する閾値Daおよび基板厚みTKは正確になる。そのため、基板Wの2枚重ねの有無(収納状態)を更に正確に判定することができる。
【0046】
具体的な手法を説明する。図5(b)を参照する。まず、例えば1段目(最下段)の第1スロットSLに基準基板Wsdを収納した基準カセットCsdを載置台13に載置する。この際、基準基板Wsdを第1スロットSLの奥側(裏開口CR側)に当てた状態でゆっくり基準カセットCsdを置く。第1スロットSLの奥側に傾斜がある場合は、基準基板Wsdの周縁部が傾斜に載っていることが好ましい。これは、基準基板Wsdの周縁部が傾斜に載っているか否かで基準基板Wsdの傾き(結果として見かけ上の厚み)が変わるからである。次に、基準カセットCsdの1段目の第1スロットSLに収納された基準基板Wsdの上面に水準器51を置く。図5(c)に示すように、水準器51は例えば、二次元の傾きを示す円盤型の水準器が用いられる。水準器51は、液体と1つの気泡51Aを収容する円盤型の透明容器51Bを備える。水準器51は、図5(c)に示すように、基準基板Wsdの中心に配置される。なお、水準器51は、気泡を視認するタイプでなく、デジタル表示されるものであってもよい。また、二次元の傾きを調整するために、一次元の傾きを示す2つの水準器を用いてもよい。
【0047】
この状態、すなわち図5(b)に示す状態で、水準器51が水平を示すように、基準カセットCsdの傾きを調整する。調整は、図2に示す基板Wを出し入れするX方向だけでなく、X方向に直交する幅方向(Y方向)にも行われる。
【0048】
図2図5(b)に示すように、例えばカセットCは、保護部材53を介して載置台13に載置される。保護部材53はカセットCへの傷を防ぐために樹脂で形成され、例えばねじで載置台13に固定される。この保護部材53と載置台13との間に所定の厚みのスペーサ(シム)55を挟み込むことで、載置台13に載置される基準カセットCsdの傾きを調整する。スペーサ55を挟み込むときは、基準カセットCsdは、載置台13の保護部材53に置かれた状態のままでもよいし、一旦、基準カセットCsdを載置台13から退避させてもよい。なお、スペーサ55は本発明のキャリア傾き調整部に相当する。
【0049】
例えば、基準基板Wsdの傾きは、1/400(高さ/底辺の長さ)以下であること(1/400を含み、1/400よりも平ら)であることが好ましい。例えば、カセットCに収納される25枚の基板Wの厚みを比較したときに、傾き1/400よりも傾き1/600の方が、最大値と最小値の差分値(MAX-MIN)が小さくなる。基準カセットCsdの傾きを調整した後、載置台13から基準カセットCsdを移動させる。
【0050】
なお、1段目の第1スロットSLに収納された基準基板Wsdが水平になったとしても25段目の第25スロットSLに収納された基準基板Wsdが水平になっているとは限らない。しかし、基準カセットCsd内において、最大値と最小値の差分値を小さくすることができる。また、基準カセットCsdの傾き調整は、図1に示す4つのキャリア載置位置ごとに行われる。
【0051】
また、基準カセットCsdの傾き調整において、最下段のスロットSLに基準基板Wsdを入れていた。この点、必要により、最上段のスロットSLに基準基板Wsdを入れてもよいし、最下段のスロットSLと最上段のスロットSLの間の任意のスロットSLに入れてもよい。
【0052】
〔ステップS03〕基準基板を収納した基準カセットの載置台への載置
基準カセットCsdの傾きを調整した後、25枚の基準基板Wsdを収納した基準カセットCsdを載置台13に載置する。この際、25枚の基準基板Wsdを25段のスロットSLの奥側(裏開口CR側)に当てた状態でゆっくり基準カセットCsdを置く。図2の右側に、符号Aから見たスロットSLの奥側を示した側面図を示す。基準基板WsdをスロットSLの奥側に当てた状態にすることで、25枚の基準基板Wsdの姿勢を均一に再現することができる。
【0053】
〔ステップS04〕基準基板に対するマッピング動作の実行
基準カセットCsdを載置台13に載置した後、制御部41は、25枚の基準基板Wsdを基準カセットCsdに収納した状態で、マッピング機構19を駆動することにより、スロットSL毎の基準高さ情報(閾値Da=基準基板厚みTS×係数EFa)を取得する。
【0054】
具体的に説明する。昇降部29は、基板検出センサ23を上昇または下降させる。この際、基板検出センサ23の投光器23Aから光が出射される。投光器23Aから出射された光は、基準基板Wsdが存在する高さ位置ではその基準基板Wsdによって遮られ、基準基板Wsdが無い高さ位置では受光器23Bに入射する。マッピング機構19は、ON高さとOFF高さを取得する。ON高さは、基板W無しの状態から基板W有りの状態に切り替わったときの高さである。OFF高さは、基板W有りの状態から基板W無しの状態に切り替わったときの高さである。
【0055】
図6(a)に示すように、基準基板厚みTS(または基板厚みTK)は、基準基板厚みTS(または基板厚みTK)=|(OFF高さ)-(ON高さ)|により算出される。なお、図6では便宜上、基板Wの撓みを無視して描いているが、基板厚みTS(TK)は上述した基板Wの見かけ上の厚みである。
【0056】
したがって、マッピング機構19は、25枚の基準基板Wsdに対応する25個の基準基板厚みTSを取得する。図7において、25個の基準基板厚みTSは、符号TS1~TS25で示される。
【0057】
また、基板Wの2枚重ねを判定するための閾値(図7の例えば符号Da1)を記憶部43に記憶させる。閾値(例えば符号Da1)は、基準基板厚み(例えばTS1)に係数EFa(例えば1.3)を掛けた値である。係数EFaは、25個の基準基板厚みTS1~TS25に対して同じ値(1.3)を掛ける。係数EFaは、1.3に限られず、例えば1よりも大きく例えば2よりも小さい値に設定される。係数EFaは実験的・経験的に定められる数値である。係数EFaが小さ過ぎると1枚の基板を誤って2枚重ねとして誤検出する頻度が高くなる。逆に、係数EFaが大き過ぎると2枚重ねの基板を誤って1枚の基板として誤検出する頻度が高くなる。
【0058】
〔ステップS05〕複数の基準高さ情報の記憶
制御部41は、基準高さ情報として、基準カセットCsdに収納された25枚の基準基板Wsdに対応する25個の閾値Da1~Da25を取得する。25個の閾値Da1~Da25は、記憶部43に記憶される。なお、マッピング機構19を駆動させた後、基準カセットCsdを載置台13から移動させる。
【0059】
次に、図4(b)を参照しながら、生産のための処理基板Wに対するマッピング動作について説明する。
【0060】
〔ステップS11〕処理基板が収納された作業用カセットの載置台への載置
図4(a)に示すステップS01~S05を行った後、作業用カセットCを載置台13に置く。この作業用カセットCには、例えば25枚の処理基板Wが収納されているものとする。
【0061】
〔ステップS12〕処理基板に対するマッピング動作の実行
作業用カセットCを傾き調整された載置台13に載置した後、処理基板Wに対するマッピング動作を実行する。制御部41は、25枚の処理基板Wを作業用カセットCに収納した状態でマッピング機構19を駆動することにより、作業用カセットCに収納された25枚の処理基板Wの高さ情報(基板厚みTK)をスロットSL毎に取得する。これにより、通常、25個の基板厚み(図7の符号TK1~TK25)を取得する。この動作は、ステップS04の25個の基準基板厚みTS1~TS25を取得した動作と同じである。
【0062】
〔ステップS13〕各スロットにおける収納状態の判定
制御部41は、作業用カセットCのスロットCL毎の処理基板Wの基板厚み(例えば符号TK1)を、記憶部43に記憶されたスロットSL毎の閾値(例えば符号Da1)と比較する。すなわち、25個の基板厚みTK1~TK25と25個の閾値Da1~Da25とをスロットSL毎に比較する。なお、25個より少ない、例えば23個の基板厚みTKを取得した場合、23個の基板厚みTKと25個の閾値Da1~Da25とをスロットSL毎に比較する。
【0063】
これにより、制御部41は、作業用カセットCのスロットSL毎の処理基板Wの収納状態を判定する。本実施例における基板Wの収納状態は、基板Wの2枚重ねの有無である。そのため、制御部41は、作業用カセットCのスロットSL毎において、基板厚み(例えば符号TK1)が第1閾値(例えば符号Da1)よりも大きいときに、基板の2枚重ねが存在することを判定する。
【0064】
図7に示すように、例えば、基板厚みTK1と閾値Da1とが比較され、基板厚みTK1が閾値Da1よりも大きいとき、1段目(最下段)の第1スロットSLでは、基板Wの2枚重ねが存在すると判定する。これに対し、基板厚みTK1が閾値Da1よりも小さいときは、第1スロットSLでは、基板Wの2枚重ねが存在しないと判定する。また、基板厚みTK2と閾値Da2とが比較され、基板厚みTK2が閾値Da2よりも大きいとき、2段目の第2スロットSLでは、基板Wの2枚重ねが存在すると判定する。同様に、基板厚みTK25と閾値Da25とが比較され、基板厚みTK25が閾値Da25よりも大きい場合、第25スロットSLでは、基板Wの2枚重ねが存在すると判定する。
【0065】
制御部41は、操作者に報知するために、例えば、基板Wの2枚重ねの有無の判定結果を表示部45に表示する。なお、基板Wの2枚重ねが存在する場合、制御部41は、スピーカによる音により、あるいは電灯による発光により操作者に報知してもよい。なお、基板厚みは、本発明の高さ情報に相当する。閾値(例えば符号Da1)は、本発明の第1閾値および基準高さ情報に相当する。
【0066】
本実施例によれば、記憶部43は、処理基板Wと同じ仕様の基準基板Wsdを作業用カセットCと同じ仕様の基準カセットCsdに収納した状態で得られるスロットSL毎の基準高さ情報(閾値Da=基準基板厚みTS×係数EFa)を記憶する。すなわち、記憶部43は、25段のスロットSLに対応した25個の閾値Da1~Da25を記憶する。そして、制御部41は、作業用カセットCのスロットSL毎の処理基板Wの高さ情報(例えば基板厚みTK1)を、記憶部43に記憶されたスロットSL毎の閾値(例えば符号Da1)と比較する。そのため、基板WおよびカセットCの仕様に対応しているだけでなく、スロットSL毎の特徴を考慮した判定基準と比較される。そのため、作業用カセットCのスロットSL毎の処理基板Wの2枚重ねの有無を正確に判定することができる。
【0067】
なお、基板Wの2枚重ねの状態で重なった2枚の基板Wをインデクサ機構15が取り出すと、上側の基板Wを落下させてしまう場合がある。このような基板Wの落下を防止することができる。
【0068】
図8は、各スロットSLと基板の見かけ上の厚みとの関係を示す図である。図8では、1枚の基板Wの厚みを測定した結果と、基板Wを2枚重ねしたときの厚みを測定した結果を示す。図8では、第25スロットSLに向かうほど厚みが大きくなる結果を示している。ここで、第20スロットSLの基板Wの2枚重ねした厚み(矢印AR3参照)は、当然、1枚の基板Wの厚み(矢印AR2参照)よりも大きい。しかし、第20スロットSLの1枚の基板Wの厚み(矢印AR2参照)は、第1スロットSLの基板Wの2枚重ねの厚み(矢印AR1参照)と略同じである。そのため、1つの共通の閾値では、第20スロットSLの1枚の基板Wは、「基板の2枚重ね」と判定されてしまう可能性がある。スロットSL毎に閾値Daを設定する本実施例によれば、第1スロットSLも第20スロットSLも正確に、「基板の2枚重ね」の有無を正確に判定することができる。
【0069】
なお、特に区別しない場合、基準基板厚みTS1~TS25は、基準基板厚みTSと呼ぶ。基板厚みTK1~TK25は、基板厚みTKと呼ぶ。後述する基準基板中心高さHS1~HS25は、基準基板中心高さHSと呼ぶ。後述する基板中心高さCH1~CH25は、基板中心高さCHと呼ぶ。閾値Da1~Da25は、閾値Daと呼ぶ。後述する閾値Db1~Db25は、閾値Dbと呼ぶ。後述する閾値Dc1~Dc25は、閾値Dcと呼ぶ。その他も同様である。
【実施例0070】
次に、図面を参照して本発明の実施例2を説明する。なお、実施例1と重複する説明は省略する。
【0071】
実施例1では、基板Wの収納状態として、基板Wの2枚重ねの有無を判定した。そのためにON高さとOFF高さの差分を検出した。しかし、基板Wの収納状態として、図6(b)に示すように異なるスロットSL間で基板Wが傾斜して支えられた結果、「1スロットを超えて傾斜する基板」が存在することがある。このように傾斜した基板WをON高さとOFF高さの差分で検出することは困難である。実施例2では基板Wの中心高さを利用して「1スロットを超えて傾斜する基板」の有無を判定する。なお、1スロットを超えて傾斜する基板は、以下適宜「クロス基板」と呼ぶ。基板処理装置1の動作は、実施例1のステップS01~S05,S11~S13に示すような流れで行われる。
【0072】
図4(a)のステップS04において、基準カセットCsdに収納された25枚の基準基板Wsdに対してマッピング動作を実行した。その際、25組のON高さとOFF高さを得ている。本実施例において、各組のON高さとOFF高さの中心高さを基準基板中心高さHSとして算出する。基準基板中心高さHSは、基準基板中心高さHS(または基板中心高さCH)=((ON高さ)+(OFF高さ))/2により算出される。
【0073】
制御部41は、25枚の基準基板Wsdに対応する25個の基準基板中心高さ(図7の符号HS1~HS25)を取得する。そして、制御部41は、25個の基準基板中心高さHS1~HS25の各々に予め設定された正の値(符号CNb、一定値)を加算した25個の閾値(図7の符号Db1~Db25)を取得する。制御部41は、25個の閾値Db1~Db25を記憶部43に記憶させる。なお、予め設定された正の値CNbは、例えば実験より決定される。
【0074】
図4(b)のステップS12において、カセットCに収納された25枚の処理基板Wに対してマッピング動作を実行した。この際、制御部41は、各組のON高さとOFF高さに基づいて例えば25個の基板中心高さ(図7の符号CH1~CH25)を取得する。
【0075】
その後、図4(b)のステップS13において、制御部41は、作業用カセットCのスロットSL毎の処理基板Wの基板中心高さ(例えば符号CH1)を、記憶部43に記憶されたスロットSL毎の閾値(例えば符号Db1)と比較する。すなわち、制御部41は、基板中心高さCH1~CH25と閾値Db1~Db25とをスロットSL毎に比較する。これにより、制御部41は、作業用カセットCのスロットSL毎の処理基板Wの収納状態を判定する。本実施例の基板Wの収納状態は、クロス基板の有無である。そのため、制御部41は、作業用カセットCのスロットSL毎において、基板中心高さ(例えば符号CH1)が閾値(例えば符号Db1)よりも大きいときに、クロス基板が存在することを判定する。
【0076】
図7に示すように、例えば、基板中心高さCH1と閾値Db1とが比較され、基板中心高さCH1が閾値Db1よりも大きいとき、1段目(最下段)の第1スロットSLには、クロス基板が存在すると判定される。これに対し、基板中心高さCH1が閾値Db1よりも小さいとき、第1スロットSLには、クロス基板が存在しないと判定される。また、基板中心高さCH2と閾値Db2とが比較され、基板中心高さCH2が閾値Db2よりも大きいとき、2段目の第2スロットSLでは、クロス基板が存在すると判定される。同様に、基板中心高さCH25と閾値Db25とが比較され、基板中心高さCH25が閾値Db25よりも大きいとき、25段目(最上段)の第25スロットでは、クロス基板が存在すると判定される。
【0077】
制御部41は、操作者に報知するために、例えば、クロス基板の有無の判定結果を表示部45に表示する。なお、基板中心高さは、本発明の基板高さおよび高さ情報に相当する。また、閾値Dbは、本発明の第2閾値および基準高さ情報に相当する。
【0078】
本実施例によれば、作業用カセットCのスロットSL毎のクロス基板の有無を正確に判定することができる。
【0079】
本発明は、上記実施形態に限られることはなく、下記のように変形実施することができる。
【0080】
(1)上述した実施例2では、基準基板中心高さHSおよび基板中心高さCHを用いて、クロス基板の有無を判定した。この点、基板Wの2枚重ねを判定してもよい(図9(a)参照)。25個の閾値Dc1~Dc25は、25個の基準基板中心高さHS1~HS25の各々に予め設定された正の値(符号CNc、一定値)を加算したものを用いる。この正の値CNcは、0より大きく正の値CNbよりも小さい値である。
【0081】
制御部41は、作業用カセットCのスロットSL毎の処理基板Wの基板中心高さ(例えば符号CH1)を、記憶部43に記憶されたスロットSL毎の閾値(例えば符号Dc1)と比較する。すなわち、制御部41は、25個の基板中心高さCH1~CH25と25個の閾値Dc1~Dc25とをスロットSL毎に比較する。これにより、制御部41は、作業用カセットCのスロットSL毎において、基板厚み(例えば符号CH1)が閾値(例えばDc1)よりも大きいときに、基板Wの2枚重ねが存在することを判定する。なお、閾値Dcは、本発明の第2閾値および基準高さ情報に相当する。
【0082】
(2)本発明は基板Wの有無の検出にも適用することができる。具体的には、処理基板Wを作業用カセットCに収納した状態で処理基板Wの高さ情報をスロットSL毎に取得する工程において、各スロットSLで高さ情報を得ることができるか否か(即ち、基板検出センサ23が遮光されるか否か)によって、スロットSL毎に基板Wの有無を検出することができる。
【0083】
(3)上述した各実施例および各変形例では、「基板Wの2枚重ね」の有無、および「クロス基板」の有無を個別に判定していた。この点、図4(b)のステップS13において、制御部41は、「基板Wの2枚重ね」の有無および「クロス基板」の有無について判定してもよい。
【0084】
(4)上述した各実施例および各変形例では、キャリアとして、オープンカセットと呼ばれる開放型の容器が用いられていた。この点、FOUP(Front-Opening Unified Pod)と呼ばれる開閉可能な蓋を備える密閉型の容器が用いられてもよい。
【0085】
(5)上述した各実施例および各変形例では、基板処理装置1は、4つのカセットCを載置する1つの載置台5を備える。この点、基板処理装置1は、4つの載置台を備え、4つの載置台は各々、1つのカセットCを載置するように構成されてもよい。
【0086】
(6)上述した各実施例および各変形例では、制御部41は、基準カセットCsdに収納された25枚の基準基板Wsdに対応した25個の基準基板厚みTS1~TS25を取得する。ここで、制御部41は、25個の基準基板厚みTS1~TS25において、最大値-最小値の差分値を算出し、この差分値が予め設定された値よりも大きいときに、ステップS02の基準カセットCsdの傾き調整が必要であることを操作者に報知してもよい。
【0087】
(7)上述した実施例2および変形例(1)では、閾値Db,Dcは、基準基板高さとして基準基板中心高さHSに基づいて決定され、また、基板高さは、基板中心高さCHであった。この点、基準基板高さおよび基板高さは、OFF高さ、ON高さ、あるいはOFF高さおよびON高さの少なくとも1つから求められる高さであってもよい。
【0088】
(8)上述した実施例2および変形例(1)、(7)では、正の値CNb,CNcは、一定値であった。この点、閾値Db,Dcが25個のスロットSLで一定値にならなければ、正の値CNb,CNcは、一定値でなくてもよい。
【0089】
(9)上述した各実施例および各変形例では、キャリア傾き調整部として、スペーサ55が用いられた。この点、キャリア傾き調整部は、例えば、ボルト(外ねじ)とナット(内ねじ)であってもよい。ナットと噛み合わせたボルトが上下方向に移動するように、ナットは、載置台13に固定される。ナットに対してボルトを移動させることによって、保護部材53の高さが調整される。
【0090】
(10)上述した実施例1では、基準基板厚みTSおよび基板厚みTKを用いて、基板Wの2枚重ねの有無を判定した。この点、基板検出センサ23が図2に示す光軸OP2の方向に基板Wを検出すれば、クロス基板の有無を判定してもよい(図9(b)参照)。なお、光軸OP2の方向は、X方向と直交する水平方向(Y方向)である。25個の閾値Dd1~Dd25は、25個の基準基板厚みTSの各々に係数EFdを掛けたものを用いる。
【0091】
制御部41は、作業用カセットCのスロットSL毎の処理基板Wの基板厚み(例えばTK1)を、記憶部43に記憶されたスロットSL毎の閾値(例えば符号Dd1)と比較する。すなわち、制御部41は、25個の基板厚みTK1~TK25と25個の閾値Dd1~Dd25とをスロットSL毎に比較する。これにより、制御部41は、作業用カセットCのスロットSL毎において、基板厚み(例えば符号TK1)が閾値(例えば符号Dd1)よりも大きいときに、クロス基板が存在することを判定する。なお、閾値Ddは、本発明の第1閾値および基準高さ情報に相当する。
【符号の説明】
【0092】
1 … 基板処理装置
13 … 載置台
19 … マッピング機構
21 … 基板支持部
23 … 基板検出センサ
41 … 制御部
43 … 記憶部
55 … スペーサ
C … オープンカセット(カセット、作業用カセット)
W … 基板(処理基板)
Csd … 基準カセット
Wsd … 基準基板
SL … スロット
TS … 基準基板厚み
TK … 基板厚み
EFa,EFd … 係数
Da,Db,Dc,Dd … 閾値
HS … 基準基板中心高さ
CH … 基板中心高さ
CNb,CNc … 正の値
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9