(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023007310
(43)【公開日】2023-01-18
(54)【発明の名称】キャパシタ部品及びキャパシタ部品の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01G 4/30 20060101AFI20230111BHJP
【FI】
H01G4/30 201C
H01G4/30 201D
H01G4/30 311D
H01G4/30 517
H01G4/30 516
H01G4/30 513
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021172635
(22)【出願日】2021-10-21
(31)【優先権主張番号】10-2021-0085461
(32)【優先日】2021-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カン、ユン スン
(72)【発明者】
【氏名】リー、ス ヨン
(72)【発明者】
【氏名】ナ、ウォン ジュン
(72)【発明者】
【氏名】キム、ビュン クン
(72)【発明者】
【氏名】オー、ユ ホン
(72)【発明者】
【氏名】キム、スン ファ
(72)【発明者】
【氏名】ホ、ジェ ウン
(72)【発明者】
【氏名】ジュン、ホエ チュル
【テーマコード(参考)】
5E001
5E082
【Fターム(参考)】
5E001AB03
5E001AC05
5E001AC09
5E082AA01
5E082AB03
5E082EE04
5E082EE14
5E082EE17
5E082EE19
5E082EE37
5E082FF05
5E082FG26
5E082GG10
(57)【要約】
【課題】内部電極層の連結性及び均一性を向上させ、内部電極層の厚さを薄くすることができるキャパシタ部品を提供する。
【解決手段】
本発明の一側面によるキャパシタ部品は、誘電体層及び内部電極層を含む本体と、上記本体に配置され、上記内部電極層と連結される外部電極と、を含み、上記内部電極層には少なくとも一つの孔が形成され、上記孔には、インジウム(In)及びスズ(Sn)からなる群から選択された一つ以上の元素を含有する領域がある。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電体層及び内部電極層を含む本体と、
前記本体に配置され、前記内部電極層と連結される外部電極と、を含み、
前記内部電極層には、少なくとも一つの孔が形成され、
前記孔には、インジウム(In)及びスズ(Sn)からなる群から選択された一つ以上の元素を含有する領域がある、キャパシタ部品。
【請求項2】
前記内部電極層はニッケル(Ni)を含む、請求項1に記載のキャパシタ部品。
【請求項3】
前記領域はインジウム(In)及びスズ(Sn)を全て含む、請求項2に記載のキャパシタ部品。
【請求項4】
前記領域はスズ(Sn)に対するインジウム(In)のモル比が1以上19以下である、請求項3に記載のキャパシタ部品。
【請求項5】
前記孔は、互いに離隔した複数で前記内部電極層に形成され、
前記孔は、前記領域が配置された第1孔と、前記領域が配置されていない第2孔を含む、請求項2に記載のキャパシタ部品。
【請求項6】
第1方向に沿った前記本体の断面(cross-section)において、
前記第1方向と垂直する第2方向に沿った前記内部電極層の総長さに対して、前記第2方向に沿った前記第2孔の長さの合計は、0.2以下である、請求項5に記載のキャパシタ部品。
【請求項7】
前記内部電極層の体積に対する前記領域の体積の比(vol%)は、1以上30以下である、請求項5に記載のキャパシタ部品。
【請求項8】
前記内部電極層の厚さは、10nm以上500nm以下である、請求項2に記載のキャパシタ部品。
【請求項9】
隣接した前記内部電極層のいずれか一つの厚さに対し、隣接した前記内部電極層のそれぞれの厚さ間の差の比は、5%以下である、請求項8に記載のキャパシタ部品。
【請求項10】
前記領域は前記誘電体層の誘電体を含まない、請求項2に記載のキャパシタ部品。
【請求項11】
誘電体層及び内部電極層を含む本体と、
前記本体に配置され、前記内部電極層と連結される外部電極と、を含み、
前記内部電極層には、前記内部電極層をそれぞれ貫通する複数の孔が形成され、
前記複数の孔の少なくとも一部には、前記内部電極層と互いに異なる導電性物質を含む領域がある、キャパシタ部品。
【請求項12】
前記領域はインジウム-スズ酸化物(Indium Tin Oxide、ITO)を含む、請求項11に記載のキャパシタ部品。
【請求項13】
前記内部電極層はニッケル(Ni)を含む、請求項12に記載のキャパシタ部品。
【請求項14】
前記複数の孔は、前記領域が配置された第1孔と、前記領域が配置されていない第2孔を含み、
第1方向に沿った前記本体の断面(cross-section)において、 前記第1方向と垂直する第2方向に沿った前記内部電極層の総長さに対し、前記第2方向に沿った前記第2孔の長さの合計は、0.2以下である、請求項13に記載のキャパシタ部品。
【請求項15】
誘電体グリーンシートを形成する段階と、
気相蒸着(vapor deposition)により前記誘電体グリーンシートに第1及び第2導電体を含む導電薄膜を形成する段階と、
前記導電薄膜を焼結して内部電極層を形成する段階と、を含み、
前記内部電極層は、前記第1導電体を含み、
前記内部電極層には、前記第2導電体を含む領域が形成された、キャパシタ部品の製造方法。
【請求項16】
前記第1導電体はニッケル(Ni)であり、
前記第2導電体はインジウム-スズ酸化物(Indium Tin Oxide、ITO)である、請求項15に記載のキャパシタ部品の製造方法。
【請求項17】
前記導電薄膜を形成する段階において、
前記第1導電体の体積に対する前記第2導電体の体積比(vol%)は、1以上30以下である、請求項16に記載のキャパシタ部品の製造方法。
【請求項18】
前記導電薄膜を形成する段階において、
前記第1及び第2導電体は、前記誘電体グリーンシートにともに蒸着される、請求項16または17に記載のキャパシタ部品の製造方法。
【請求項19】
前記導電薄膜を形成する段階において、
前記第1及び第2導電体は、前記誘電体グリーンシートに順に形成される、請求項16~18のいずれか一項に記載のキャパシタ部品の製造方法。
【請求項20】
前記導電薄膜を形成する段階において、前記導電薄膜の平均厚さは、10nm以上500nm以下である、請求項15~19のいずれか一項に記載のキャパシタ部品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャパシタ部品及びキャパシタ部品の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
キャパシタ部品の一つである積層セラミックキャパシタ(Multi-Layered Ceramic Capacitor、MLCC)は、小型でありながらも高容量が保障され、実装が容易であるという利点により、通信、コンピュータ、家電、自動車などの産業に使われる重要なチップ部品であり、特に、携帯電話、コンピュータ、デジタルTVなどの各種電気、電子、情報通信機器に用いられる核心受動素子である。
【0003】
一般的にMLCCは、誘電体グリーンシートに内部電極層形成用導電体ペーストをスクリーン印刷し、導電体ペーストが印刷された誘電体グリーンシートを複数積層した後、これを焼結して製造する。導電体ペーストは、一般的に、ニッケル(Ni)などの導電性粉末、セラミック粉末、バインダー、及びソルベントなどを互いに混合して製作する。導電体ペーストに用いられる導電性粉末は、焼結過程で固まるか、または過焼結される場合があり、これにより内部電極層の連結性が低下し、厚さが不均一になる場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】韓国公開特許第10-2011-0047481号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の一例に係る目的の一つは、内部電極層の連結性を向上させることができるキャパシタ部品を提供することである。
【0006】
本発明の一例に係る目的の他の一つは、内部電極層の均一性を向上させることができるキャパシタ部品を提供することである。
【0007】
本発明の一例に係る目的のさらに他の一つは、内部電極層の厚さを薄くすることができるキャパシタ部品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一側面によると、誘電体層及び内部電極層を含む本体と、上記本体に配置され、上記内部電極層と連結される外部電極と、を含み、上記内部電極層には、少なくとも一つの孔が形成され、上記孔にはインジウム(In)及びスズ(Sn)からなる群から選択された一つ以上の元素を含有する領域がある、キャパシタ部品が提供される。
【0009】
本発明の他の側面によると、誘電体層及び内部電極層を含む本体と、上記本体に配置され、上記内部電極層と連結される外部電極と、を含み、上記内部電極層には、上記内部電極層をそれぞれ貫通する複数の孔が形成され、上記複数の孔のうち少なくとも一部には、上記内部電極層と互いに異なる導電性物質を含む領域があるキャパシタ部品が提供される。
【0010】
本発明のもう一つの側面によると、誘電体グリーンシートを形成する段階と、気相蒸着(vapor deposition)により上記誘電体グリーンシートに第1及び第2導電体を含む導電薄膜を形成する段階と、上記導電薄膜を焼結して内部電極層を形成する段階と、を含み、上記内部電極層は、上記第1導電体を含み、上記内部電極層には、上記第2導電体を含む領域が形成されたキャパシタ部品の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一側面によるキャパシタ部品は、内部電極層の連結性を向上させることができる。
【0012】
本発明の他の側面によるキャパシタ部品は、内部電極層の均一性を向上させることができる。
【0013】
本発明のもう一つの側面によるキャパシタ部品は内部電極層の厚さを薄くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一実施形態に係るキャパシタ部品の斜視図を概略的に示した図面である。
【
図2】
図1のI-I'線に沿った断面図を概略的に示した図面である。
【
図4】
図2のII-II'線に沿った内部電極層の一部を概略的に示した図面である。
【
図5】いずれか一つの内部電極層を概略的に示した図面である。
【
図6】本発明の一実施形態に係るキャパシタ部品の製造方法を順に示した図面である。
【
図7】本発明の一実施形態に係るキャパシタ部品の製造方法を順に示した図面である。
【
図8】本発明の一実施形態に係るキャパシタ部品の製造方法を順に示した図面である。
【
図9】本発明の一実施形態に係るキャパシタ部品の製造方法を順に示した図面である。
【
図10】本発明の一実施形態に係るキャパシタ部品の製造方法を順に示した図面である。
【
図11】本発明の一実施形態に係るキャパシタ部品の製造方法を順に示した図面である。
【
図12】本発明の一実施形態に係るキャパシタ部品の製造方法を順に示した図面である。
【
図13】本発明の一実施形態に係るキャパシタ部品の製造方法を順に示した図面である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本出願に用いられる用語は、単に特定の実施形態を説明するために用いられたものであり、本発明を限定する意図ではない。単数の表現は、文脈上明らかに異なるものを意味しない限り、複数の表現を含む。本出願において、「含む」または「有する」などの用語は、明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするものであって、一つまたはそれ以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものの存在または付加可能性を予め排除しないものと理解されるべきである。そして、明細書全体において、「上に」とは、対象部分の上または下に位置することを意味するものであり、必ずしも重力方向を基準にした上側に位置することを意味するものではない。
【0016】
また、結合とは、各構成要素間の接触関係において、各構成要素間に物理的に直接接触される場合だけを意味するものではなく、他の構成が各構成要素間に介して、その他の構成に構成要素がそれぞれ接触されている場合まで包括する概念として用いる。
【0017】
図面に示された各構成の大きさ及び厚さは、説明の便宜のために任意に示したため、本発明は、必ずしも図示されたものに限定されない。
【0018】
図面において、第1方向はZ方向または厚さ方向、第2方向はX方向または長さ方向、第3方向はY方向または幅方向に定義することができる。
【0019】
以下、本発明の実施形態に係るキャパシタ部品及びキャパシタ部品の製造方法を添付図面を参照して、詳細に説明し、添付図面を参照して説明することにおいて、同一または対応する構成要素は、同一の図面番号を付与し、これに対する重複説明は省略する。
【0020】
キャパシタ部品
図1は、本発明の一実施形態に係るキャパシタ部品の斜視図を概略的に示した図面であり、
図2は、
図1のI-I'線に沿った断面図を概略的に示した図面であり、
図3は、
図2のAを拡大図示した図面であり、
図4は、
図2のII-II'線に沿った内部電極層の一部を概略的に示した図面であり、
図5は、いずれか一つの内部電極層を概略的に示した図面である。
【0021】
図1~
図5を参照すると、本発明の一実施形態に係るキャパシタ部品1000は、本体100及び外部電極210、220を含む。
【0022】
本体100は、本実施形態に係るキャパシタ部品1000の外観をなす。本体100の具体的な形状に特に制限はないが、図示のように、本体100は、六面体状やこれと類似した形状になることができる。焼結過程で本体100に含まれたセラミック粉末の収縮により、本体100は、完全な直線を有した六面体状ではないが、実質的に六面体状を有することができる。
【0023】
本体100は、
図1、
図2、及び
図4に基づいて、厚さ方向Zに互いに向かい合う第1面101及び第2面102、長さ方向Xに互いに向かい合う第3面103及び第4面104、幅方向Yに向かい合う第5面105及び第6面106を含む。本体100の第3~第6面103、104、105、106のそれぞれは、本体100の第1面101及び第2面102を連結する本体100の壁面に該当する。以下では、本体100の両端面(一端面及び他端面)は、本体の第3面103及び第4面104を意味し、本体100の両側面(一側面及び他側面)は、本体の第5面105及び第6面106を意味することができる。また、本体100の一面と他面は、それぞれ本体100の第1面101及び第2面102を意味することができる。本体100の一面は、本実施形態に係るキャパシタ部品1000をプリント回路基板などの実装基板に実装することによって、実装面として用いられることができる。
【0024】
本体100は、誘電体層110、及び誘電体層110を間に挟んで交互に配置される第1及び第2内部電極層121、122を含む。誘電体層110、第1内部電極層121及び第2内部電極層122のそれぞれは、複数の層から形成される。以下では、第1及び第2内部電極層121、122間の区別が必要である場合を除き、内部電極層121、122と通称する。したがって、内部電極層121、122と通称された部分に対する説明は、第1及び第2内部電極層121、122に共通して適用されることができる。
【0025】
本体100を形成する複数の誘電体層110は、焼結された状態であって、隣接する誘電体層110間の境界は、走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)を利用せずには確認しにくいほど一体化することができる。
【0026】
誘電体層110を形成する原料は十分な静電容量を得ることができる限り、特に制限されず、例えば、チタン酸バリウム(BaTiO3)粉末であることができる。誘電体層110を形成する材料は、チタン酸バリウム(BaTiO3)などのパウダーに本発明の目的に応じて様々なセラミック添加剤、有機溶剤、可塑剤、結合剤、分散剤などが添加されることができる。
【0027】
本体100の上部及び下部、すなわち、厚さ方向(Z方向)の両端部には、カバー層130を含むことができる。カバー層130は、外部衝撃に対してキャパシタ部品の信頼性を維持する役割を実行することができる。カバー層110は、誘電体層110を形成するための資材、または誘電体層110を形成するための資材及び異なる資材を用いて形成されることができる。例えば、後者の場合、誘電体層110を形成するための資材及びカバー層110を形成するための資材は、資材内のセラミック粒子の組成、大きさ、含有量、及び分散程度のうち少なくとも一つが互いに相違するか、または資材内の副成分の組成、大きさ、含有量、及び分散程度のうち少なくとも一つが異なることがある。
【0028】
内部電極層121、122は、誘電体層110と交互に配置され、第1及び第2内部電極層121、122を含むことができる。第1及び第2内部電極層121、122は、誘電体層110を間に挟んで互いに向かい合うように交互に配置され、本体100の第3及び第4面103、104にそれぞれ露出することができる。
【0029】
内部電極層121、122は、それぞれ本体100の長さ方向Xの両端面である第3面103及び第4面104に交互に露出して、第1及び第2外部電極210、220と連結される。すなわち、第1内部電極層121は本体100の第3面103に露出して第1外部電極210と連結され、本体100の第4面104に露出せず、第2外部電極220と連結されない。第2内部電極層122は、本体100の第4面104に露出して第2外部電極220と連結され、本体100の第3面103に露出せず、第1外部電極210と連結されない。したがって、第1内部電極層121は、本体100の第4面104から一定距離離隔し、第2内部電極層122は、本体100の第3面103から一定距離離隔する。このとき、内部電極層121、122は、中央に配置された誘電体層110によって互いに電気的に分離することができる。
【0030】
内部電極層121、122は、ベース部B、連結部I、及びベース部Bを貫通する孔H2を有する。さらに、後述するように、連結部Iがベース部Bを貫通する形態である場合、内部電極層121、122は、連結部Iが配置される孔H1をさらに有する。
【0031】
ベース部Bは、内部電極層121、122の全体的な外観をなし、全体的に板状の形態と類似した形態を有することができる。一方、
図3及び
図5には、ベース部Bが互いに離隔した複数から構成されたように示されているが、これは、
図3及び
図5が本体100の断面(cross-section)の一部を示したものであるため、ベース部Bは、
図4に示すように、平面図を基準に互いに離隔した複数の孔H1、H2が形成されているだけであって、一体化した部材である。
【0032】
ベース部Bは、例えば、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、ニッケル(Ni)、及び銅(Cu)のうち一つ以上を含むことができる。一例として、ベース部Bは、誘電体グリーンシートに、スパッタリング(sputtering)、化学気相蒸着(Chemical Vapor Deposition、CVD)または原子層蒸着(Atomic Layer Deposition、ALD)などの気相蒸着(Vapor Deposition)にパラジウム(Pd)、パラジウム-銀(Pd-Ag)合金などの貴金属材料及びニッケル(Ni)、銅(Cu)のうち一つ以上の物質を形成し、これを焼結して形成されることができる。他の例として、ベース部Bは、誘電体グリーンシートにパラジウム(Pd)、パラジウム-銀(Pd-Ag)合金などの貴金属材料及びニッケル(Ni)、銅(Cu)のうち一つ以上の物質からなる導電性粉末を含む導電性ペーストを塗布した後、これを焼結して形成されることができる。
【0033】
連結部Iは、内部電極層121、122の一部領域であって、ベース部Bに互いに離隔した形で配置され、ベース部Bと互いに異なる導電性物質を含む。連結部Iは、インジウム(In)及びスズ(Sn)からなる群から選択された一つ以上の元素を含有することができる。連結部Iは、例えば、インジウム(In)を含むインジウム(In)酸化物(酸化インジウム、In2O3)であるか、スズ(Sn)を含むスズ(Sn)酸化物(酸化スズ、SnO2)であるか、またはインジウム(In)及びスズ(Sn)を全て含むインジウム-スズ酸化物(Indium Tin Oxide、ITO)を含むことができる。一例として、連結部Iは、誘電体グリーンシートに、スパッタリング(sputtering)、化学気相蒸着(Chemical Vapor Deposition、CVD)または原子層蒸着(Atomic Layer Deposition、ALD)などの気相蒸着(Vapor Deposition)にベース部Bを形成するための導電性物質と、連結部Iを形成するための導電性物質(例えば、インジウム-スズ酸化物(Indium Tin Oxide、ITO))をともに、または順に形成し、これを焼結して形成されることができる。
【0034】
連結部Iは、複数で形成され、互いに離隔した形でベース部Bに配置されることができる。このような観点から、複数の連結部Iのそれぞれは、ベース部Bにアイランドの形で配置されるといえる。または、複数の連結部Iのそれぞれは、内部電極層121、122にアイランドの形で存在する内部電極層121、122の一部領域と見ることができる。連結部Iは、内部電極層121、122に形成された複数の孔H1、H2のうち少なくとも一部に配置されて内部電極層121、122の切断された領域(複数の孔H1、H2)の少なくとも一部を満たすことで、内部電極層121、122の連結性を向上させることができる。すなわち、
図3に示すように、連結部Iは、孔H1に配置されて内部電極層121、122の切断された領域の少なくとも一部を繋ぐことができる。
【0035】
連結部Iがインジウム-スズ酸化物(ITO)を含む場合、連結部Iにおいてスズ(Sn)に対するインジウム(In)のモル比は、1以上19以下であることができる。すなわち、連結部Iの形成に用いられるインジウム-スズ酸化物(ITO)は、50~95mol%のインジウム(In)-5~50mol%のスズ(Sn)を含むものであることができる。連結部Iにおいてスズ(Sn)に対するインジウム(In)のモル比が1未満の場合には、連結部Iの導電特性が悪くなって部品の特性が悪くなることがある。連結部Iにおいてスズ(Sn)に対するインジウム(In)のモル比が19超過である場合には、部品の製造費用が増加することがある。一方、上述したスズ(Sn)とインジウム(In)との間のモル比は、TEM-EDSにより測定することができるが、本発明の範囲がこれに制限されるものではない。
【0036】
通常的に内部電極層は、誘電体グリーンシートに内部電極層形成用導電性ペーストを印刷し、上記グリーンシートを複数積層及び切断してグリーンチップを製造し、グリーンチップを焼結することによって形成される。導電性ペーストは、ニッケル(Ni)などの金属粉末、セラミック粉末、バインダー及びソルベントなどを互いに混合して製作される。一方、導電性ペーストに用いられるナノサイズのニッケル(Ni)粉末は、400℃~450℃付近で金属粉末間のネッキング(necking)が形成され、1000℃以上の焼結温度で焼結が過度に行われ、その結果、焼結後の内部電極層には、剥離及び凝集現象などが発生することがある。このような内部電極層の剥離及び凝集現象は、内部電極層の厚さの均一性を減少させることがある。また、内部電極層の剥離現象は、キャパシタ部品の静電容量を減少させ、内部電極層の凝集現象は、内部電極層の厚さの増加及び誘電体層の厚さの減少を引き起こすことがある。
【0037】
本実施形態に係るキャパシタ部品1000は、上述した問題を解決するために、内部電極層121、122がベース部Bと、ベース部Bに互いに離隔配置され、ベース部Bと互いに異なる導電性物質を含む連結部Iと、を含むように構成した。すなわち、連結部Iは、ベース部Bに互いに離隔した形で配置され、ベース部Bと異なる導電性物質を含むため、焼結過程でベース部Bを構成する導電性物質の拡散を低下させて上述した従来技術の問題点(内部電極層の剥離及び凝集現象)を防止することができる。内部電極層121、122の上述した構造は、誘電体グリーンシートに連結部I形成用物質と、ベース部Bの形成用物質をともに、または順に気相蒸着し、これを焼結することで実現されることができる。焼結過程で連結部I形成用物質とベース部形成用物質との間の互いに異なる材質により相互間の拡散が抑制され、このような結果、上述した連結部Iを含む内部電極層121、122が実現されることができる。または、内部電極層121、122の上述した構造は、誘電体グリーンシートに連結部I形成用導電性ペーストと、ベース部B形成用導電性ペーストを領域別に塗布し、これを焼結することで実現されることができる。
【0038】
本実施形態に係るキャパシタ部品1000は、ベース部Bがニッケル(Ni)を含み、連結部Iがインジウム-スズ酸化物(ITO)を含む場合、上述した従来技術の問題点(内部電極層の剥離及び凝集現象)をさらに効果的に防止することができる。具体的に、インジウム-スズ酸化物(ITO)は、ニッケル(Ni)に対する比較的低い溶解性により、焼結過程でベース部Bに含まれるニッケル(Ni)の拡散を低下させ、ニッケル(Ni)の凝集を抑制し、内部電極層121、122の厚さの均一性を向上させることができる。また、ニッケル(Ni)の凝集によってベース部Bに切断された領域(例えば、孔)が形成されても、ニッケル(Ni)とインジウム-スズ酸化物(ITO)との間の比較的低い溶解性により、ベース部Bの切断された領域の少なくとも一部にインジウム-スズ酸化物(ITO)が配置されることができる(連結部I)。その結果、本実施形態に適用されるベース部B及び内部電極層121、122のそれぞれは比較的高い連結性を有することができる。
【0039】
本実施形態に係るキャパシタ部品1000は、後述するように、誘電体グリーンシート(
図6~
図13の110')の気相蒸着により導電薄膜(
図7~
図13の121'(122'))を形成し、これを焼結して形成されることができるが、内部電極層形成用導電性ペーストを印刷及び焼結する従来技術に比べて、導電薄膜は導電体が緻密に配置されるため、内部電極層121、122が比較的緻密に形成されることができる。このような結果、内部電極層121、122は、従来と比較して連結性及び厚さの均一性が比較的向上されることができる。また、本実施形態に係るキャパシタ部品1000は、上述した気相蒸着法により、内部電極層121、122の厚さを薄型化する上で有利である。
【0040】
連結部Iは、
図3及び
図5に示すように、ベース部Bを貫通する形であることができるが、ベース部Bを貫通しない形であることができる。前者の場合、連結部Iは、ベース部Bを貫通する孔H1に配置されることができ、後者の場合、連結部Iは、ベース部Bに形成された溝内に配置されることができる。一方、以下では、説明の便宜のために連結部Iがベース部Bを貫通する形であることを前提に説明するが、本発明の範囲がこれに制限されるものではない。連結部Iがベース部Bを貫通する形で配置される場合、上述したベース部Bを構成する導電性粒子の焼結過程での拡散による電極凝集をより効果的に防止することができる。
【0041】
図5は、本体100の幅方向Yの中央部で厚さ方向Zに沿った本体100の断面(cross-section)、すなわち、本体100の長さ方向X-厚さ方向Zの断面(cross-section)に示された内部電極層121、122のいずれか一つを概念的に示したものである。具体的に、
図5を参照すると、内部電極層121、122は、ベース部B、連結部I、及び複数の孔H1、H2を含む。孔H1、H2は、ベース部Bが形成されていない内部電極層121、122の領域であって、第1孔H1には連結部Iが配置され、第2孔H2は誘電体層110を構成する誘電体が配置されるか、空孔(void)であることができる。すなわち、第2孔H2には導電体が配置されないことがある。
【0042】
図5を参照すると、Z方向に沿った本体100の断面(cross-section)において、X方向に沿った内部電極層121、122の総長さL
Tに対して、ベース部B及び連結部IのそれぞれのX方向に沿った長さL
B1、L
B2、L
B3、L
B4、L
I1、L
I2の合計の比は、0.8以上であることができる。上記比は、上述した内部電極層121、122の連結性に関連したものであって、上記比が0.8未満の場合には、内部電極層121、122の連結性が劣り、静電容量が減少することがある。また、Z方向に沿った本体100の断面(cross-section)において、X方向に沿った内部電極層121、122の総長さL
Tに対して、Xに沿った第2孔H2の長さL
H2の合計の比は、0.2以下であることができる。
【0043】
ここで、X方向に沿った内部電極層121、122の総長さLTは、キャパシタ部品をY方向の中央部に切断したXZ断面(cross-section)をスキャンした光学イメージまたはSEMイメージを利用して測定されることができる。一例として、X方向に沿った内部電極層121、122の総長さLTは、上記イメージに示された内部電極層121、122のいずれか一つを選択し、選択された一つの内部電極層のX方向に沿ったディメンション(dimension)をZ方向に沿って複数回測定し、これを算術平均したものを意味することができる。このようなZ方向に沿った複数回測定は、Z方向に沿って等間隔に行われることができるが、これに制限されるものではない。または、X方向に沿った内部電極層121、122の総長さLTは、上記イメージに示された複数の内部電極層121、122のそれぞれについて上述した方法で各内部電極層121、122のX方向に沿った長さを算出し、このような値を内部電極層121、122の総個数で割ったものを意味することができる。一方、X方向に沿った内部電極層121、122の総長さLTの測定方法に対する説明は、X方向に沿ったベース部Bの長さLB1、LB2、LB3、LB4、X方向に沿った連結部Iの長さLI1、LI2、及びX方向に沿った導電体未形成領域の長さ(第2孔H2の長さLH2)のそれぞれに同様に適用されることができる。
【0044】
ベース部Bの体積に対する連結部Iの体積比(vol%)は、1以上30以下であることができる。ベース部Bの体積に対する連結部Iの体積比(vol%)が1未満の場合には、内部電極層121、122内で連結部Iの割合が低く、上述した効果、すなわち、内部電極層121、122の連結性及び厚さの均一性の向上効果が低下することがある。ベース部Bの体積に対する連結部Iの体積比(vol%)が30超過である場合には、ベース部Bと連結部Iとの間の界面が必要以上に増加して部品の特性が低下することがある。
【0045】
ベース部B及び連結部Iのそれぞれの体積は、キャパシタ部品を内部電極層121、122が露出するように切断したXY断面(cross-section)をスキャンした光学イメージまたはSEMイメージを利用して定義することができる。例えば、上記イメージにおいて、ベース部B及び連結部Iのそれぞれの面積を求め、これをベース部B及び連結部Iのそれぞれの体積として定義することができる。一方、上述したように、連結部Iはベース部Bに互いに離隔した複数で形成されるため、上述した連結部Iの面積とは、複数の連結部Iのそれぞれの面積の合計を意味することができる。
【0046】
ベース部Bは、誘電体層110の誘電体を含まないことができる。例えば、導電薄膜を気相蒸着により形成し、これを焼結して内部電極層121、122を形成する場合、導電薄膜は従来の内部電極層形成用導電性ペーストに含まれるチタン酸バリウム(BaTiO3)などのセラミック粉末を含まないことができる。このような結果、従来とは異なり、本実施形態の場合、ベース部Bが誘電体層110の誘電体を含まないことができる。例えば、誘電体層110が誘電体としてチタン酸バリウム(BaTiO3)を含む場合、ベース部Bは、焼結過程での物質拡散により、誘電体を構成する各元素(Ba、Tiなど)を含むことができるが、誘電体層110を構成する誘電体(例えば、BaTiO3)自体は含まないことができる。これは、X線回折法(X-Ray Diffraction、XRD)またはEDS(Energy Dispersive Spectroscopy)マッピングにより、ベース部Bに誘電体が存在しないことが確認できる。
【0047】
内部電極層121、122の厚さは、10nm以上500nm以下であることができる。内部電極層121、122の厚さが10nm未満の場合には、内部電極層121、122の連結性が低下して静電容量が減少することがある。内部電極層121、122の厚さが500nm超過である場合には、同一サイズの部品を基準に、誘電体層110の厚さが薄く形成されて内部電極層121、122間の電気的絶縁を図ることが困難である。
【0048】
内部電極層121、122の厚さは、キャパシタ部品をY方向の中央部で切断したXZ断面(cross-section)をスキャンした光学イメージまたはSEMイメージを用いて測定されることができる。一例として、内部電極層121、122の厚さは、上記イメージに示された内部電極層121、122のいずれか一つを選択して、選択された一つの内部電極層のZ方向に沿ったディメンション(dimension)をX方向に沿って複数回測定し、これを算術平均したものを意味することができる。このようなX方向に沿った複数回測定は、X方向に沿って等間隔に行われることができるが、これに制限されるものではない。また、内部電極層121、122の厚さは、上記イメージに示された複数の内部電極層121、122のそれぞれについて、上述した方法で各内部電極層121、122の厚さを算出し、これを内部電極層121、122の総数で割ったものを意味することができる。
【0049】
隣接した内部電極層121、122のいずれか一つの厚さに対し、隣接した内部電極層121、122のそれぞれの厚さ間の差の比は、5%以下であることができる。
図3を参照すると、いずれか一つの第1内部電極層121といずれか一つの第2内部電極層122は、互いに隣接しており、第1内部電極層121の厚さT1に対し、第1及び第2内部電極層121、122のそれぞれの厚さT1、T2間の差の比は、5%以下であることができる。すなわち、複数の内部電極層121、122の厚さは、比較的均一であることができる。第1及び第2内部電極層121、122の厚さT1、T2は、上述した方法で計算することができる。
【0050】
内部電極層121、122は、内部電極層121、122の平均厚さに対し、内部電極層121、122の平均厚さと最大厚さとの間の差の比が5%以下であることができる。内部電極層121、122の平均厚さ及び内部電極層の最大厚さのそれぞれは、先に説明したように、複数の内部電極層121、122のいずれか一つを選択して算出されることもでき、複数の内部電極層121、122の全てを対象にして算出されることもできる。
【0051】
外部電極210、220は、本体100に配置され、内部電極層121、122と連結される。外部電極210、220は、
図1及び
図2に示すように、本体100の第3及び第4面103、104にそれぞれ配置され、第1及び第2内部電極層121、122とそれぞれ接続された第1及び第2外部電極210、220を含むことができる。
【0052】
第1及び第2外部電極210、220は、本体100の第3及び第4面103、104にそれぞれ配置され、第1及び第2内部電極層121、122と連結された第1及び第2連結部と、第1及び第2連結部から本体100の第1面101に延長された第1及び第2延長部をそれぞれ含むことができる。第1及び第2延長部は、本体100の第1面101で互いに離隔するように配置される。一方、第1及び第2延長部は、本体100の第1面101だけでなく、本体100の第2、第5及び第6面102、105、106のそれぞれに延長されることができるが、本発明の範囲がこれに制限されるものではない。すなわち、
図1に示すように、本発明の外部電極210、220のそれぞれは本体100の5つの面に形成されるnormalタイプであることができるが、これに制限されるものではなく、本体100の2つの面に形成されるLタイプ、本体100の3つの面に形成されるCタイプなどであることができる。
【0053】
外部電極210、220は、金属などのように電気導電性を有するものであれば、どのような物質を用いても形成されることができ、電気的特性、構造的安定性などを考慮して、具体的な物質が決定されることができ、さらに多層構造を有することができる。例えば、外部電極210、220のそれぞれは、第1層及び第2層を含むことができ、第1層は、導電性金属及びガラスを含む焼結型導電性ペーストを焼結して形成されるか、導電性金属及びベース樹脂を含む硬化型導電性ペーストを硬化して形成されるか、または気相蒸着により形成されることができる。第2層は、めっき法により第1層に順次形成されたニッケル(Ni)めっき層及びスズ(Sn)めっき層であることができる。
【0054】
一方、本実施形態では、キャパシタ部品100が2つの外部電極210、220を有する構造を説明しているが、外部電極210、220の個数や形状などは、内部電極層121、122の形態や他の目的に応じて変えることができる。
【0055】
キャパシタ部品の製造方法
図6~
図13は、本発明の一実施形態に係るキャパシタ部品の製造方法を順に示した図面である。具体的には、
図6、
図7、
図11~
図13は、本発明の一実施形態に係るキャパシタ部品の製造方法を示しており、
図8~
図10のそれぞれは、導電薄膜の構造に関する様々な例を示している。
【0056】
まず、
図6を参照すると、支持板に誘電体グリーンシートを形成する。
【0057】
支持板10は、PETフィルムなどを利用することができ、工程中に誘電体グリーンシート110'を支持することができる。
【0058】
誘電体グリーンシート110'は、後続工程を介して誘電体層110となる構成であって、誘電体ペーストを支持板10に塗布して形成されることができる。誘電体ペーストは、誘電体であるチタン酸バリウム(BaTiO3)などのセラミック粉末に本発明の目的に応じて様々なセラミック添加剤、有機溶剤、可塑剤、結合剤、分散剤などが添加されたものであることができる。
【0059】
次に、
図7を参照すると、誘電体グリーンシートの一面にマスクを配置し、誘電体グリーンシートに導電薄膜を形成する。
【0060】
マスクMは、誘電体グリーンシート110'の一面のうち、後述する導電薄膜121'、122'を形成する領域に対応する開口Oを含むことができる。マスクMは、通常の気相蒸着に利用されることができるマスクまたはステンシルであることができる。一方、
図7には、マスクMが誘電体グリーンシート110'の一面に接することを示しているが、これは例示的なものに過ぎず、マスクMが誘電体グリーンシート110'の一面から所定距離離隔した場合も本発明の範囲に属する。
【0061】
導電薄膜121'、122'は、後続工程を介して内部電極層121、122となる構成であって、スパッタリング(sputtering)、化学気相蒸着(Chemical Vapor Deposition、CVD)または原子層蒸着(Atomic Layer Deposition、ALD)などの気相蒸着(Vapor Deposition)により、誘電体グリーンシート110'の一面のうちマスクMの開口Oとして露出した領域に形成されることができる。導電薄膜121'、122'は、誘電体グリーンシート110'の一面のうちマスクMの開口Oとして露出した領域に、ベース部Bを形成するための第1導電体と連結部Iを形成するための第2導電体とともに、または順に蒸着することで形成されることができる。例えば、第1導電体はニッケル(Ni)であることができ、第2導電体はインジウム-スズ酸化物(ITO)であることができる。
【0062】
インジウム-スズ酸化物(ITO)は、スズ(Sn)に対するインジウム(In)のモル比が1以上19以下であることができる。すなわち、連結部Iの形成に用いられるインジウム-スズ酸化物(ITO)は、50~95mol%のインジウム(In)-5~50mol%のスズ(Sn)を含むものであることができる。インジウム-スズ酸化物(ITO)においてスズ(Sn)に対するインジウム(In)のモル比が1未満の場合には、連結部Iの導電特性が悪くなって部品の特性が悪くなることがある。インジウム-スズ酸化物(ITO)においてスズ(Sn)に対するインジウム(In)のモル比が19超過である場合には、部品の製造費用が増加することがある。
【0063】
導電薄膜121'、122'において、第1導電体に対する第2導電体の体積比(vol%)は、1以上30以下であることができる。上記比が1未満の場合には、内部電極層121、122内に形成される連結部Iの割合が低く、内部電極層121、122の連結性及び厚さの均一性の向上効果が低下することがある。上記比が30超過である場合には、ベース部Bと連結部Iとの間の界面が必要以上に増加して部品の特性が低下することがある。
【0064】
導電薄膜121'、122'の厚さは、10nm以上500nm以下であることができる。導電薄膜121'、122'の厚さが10nm未満の場合には、内部電極層121、122の連結性が低下して静電容量が減少することがある。導電薄膜121'、122'の厚さが500nm超過である場合には、同一サイズの部品を基準に、誘電体層110の厚さが薄く形成され、内部電極層121、122間の電気的絶縁を図ることが困難である。一方、本実施形態の場合、導電薄膜121'、122'を気相蒸着により形成し、これを焼結して内部電極層121、122を形成するため、導電薄膜121'、122'の緻密な構造によって焼結前の導電薄膜121'、122'の厚さと、焼結後の内部電極層121、122の厚さは、実質的に同様のレベルに維持されることができる。
【0065】
図8~
図10は、導電薄膜121'、122'の様々な形態を例示的に示したものである。
図8を参照すると、導電薄膜121'、122'は、第1導電体及び第2導電体が同一の蒸着工程でともに蒸着されて形成されたものであることができる。例えば、誘電体グリーンシート110'の一面にニッケル(Ni)と、インジウム-スズ酸化物(ITO)をともに蒸着することで
図8に示された導電薄膜121'、122'を形成することができる。
図9及び
図10を参照すると、導電薄膜121'、122'は、第1導電体を先に蒸着して形成した後、第2導電体を蒸着した二重層構造であることができ(
図9)、第2導電体を先に蒸着して形成した後、第1導電体を蒸着した二重層構造であることができる(
図10)。
【0066】
次に、
図11を参照すると、誘電体グリーンシートの一面からマスクを除去する。
【0067】
例えば、誘電体グリーンシート110'の一面と接するマスクMの一面には、離型層が形成されていることができ、このような離型層を用いてマスクMを除去することができる。別の例としては、剥離液などを用いてマスクMを除去することができる。
【0068】
次に、
図12を参照すると、一面に導電薄膜が形成された誘電体グリーンシートを複数製造した後、これを積層して積層体を形成し、積層体をダイシングしてグリーンチップを形成する。
【0069】
図6、
図7及び
図11で説明した工程に基づいて、複数の誘電体グリーンシートが製造されることができる。この後、複数の誘電体グリーンシートから支持板10を分離した後、これらを積層することができる。
【0070】
積層体は、ダイシングされてそれぞれ個別のキャパシタ部品の本体に対応する複数のグリーンチップの大きさに分離することができる。
【0071】
次に、
図13を参照すると、グリーンチップを焼結して本体を形成する。
【0072】
図示してはいないが、本体100を形成した後、外部電極を形成する工程が行われることができ、必要に応じて本体100の表面に水分防止層などを形成するための工程が行われることができる。
【0073】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、該当技術分野で通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された本発明の思想から逸脱しない範囲内で、構成要素の付加、変更または削除などにより本発明を多様に修正及び変更させることができるものであり、これも本発明の権利範囲内に属するといえる。
【符号の説明】
【0074】
10 支持板
100 本体
110 誘電体層
110' 誘電体グリーンシート
121、122 内部電極層
121'、122' 導電薄膜
130 カバー層
210、220 外部電極
B ベース部
I 連結部
H1、H2 孔
M マスク
O 開口
1000 キャパシタ部品