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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023073110
(43)【公開日】2023-05-25
(54)【発明の名称】エア切替装置及び往復動ポンプ
(51)【国際特許分類】
   F04B 43/06 20060101AFI20230518BHJP
【FI】
F04B43/06 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021185949
(22)【出願日】2021-11-15
(71)【出願人】
【識別番号】390028495
【氏名又は名称】アネスト岩田株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡川 哲也
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 圭一郎
【テーマコード(参考)】
3H077
【Fターム(参考)】
3H077AA05
3H077CC02
3H077CC07
3H077CC17
3H077DD14
3H077EE35
3H077FF45
(57)【要約】
【課題】結露の発生を抑制し、メンテナンス性の良好なエア切替装置及び往復動ポンプを提供する。
【解決手段】ダイアフラムポンプ100において、作動空気室112、122の圧縮空気の導入と排出を切り替えるエア切替装置1であって、注入路31と、作動空気室112、122に圧縮空気を導入する導入路33、34と、排出路35、36と、スプール弁50を収納する収納部11と、を有し、断熱性材料で形成される本体10と、注入流路91a、91bと、導入流路93a、93bと、排出流路95a、95bと、を有する管状のスリーブ51と、管状のスリーブ51の内周部に摺動自在で軸方向に往復動可能に支持されて一方の端と他方の端で位置を切り替えて作動空気室112、122の圧縮空気の導入と排出を切り替えるスプール61と、を有する、エア切替装置1を提供する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
両側に吸込弁および吐出弁を有する一対のポンプ室を形成し、一対の前記ポンプ室は作動軸の両端に固定されたダイアフラムによって区画される作動空気室を有し、前記作動空気室に交互に圧縮空気の導入と排出をすることによって吸込と吐出を交互に繰り返すダイアフラムポンプにおいて、前記作動空気室の前記圧縮空気の導入と排出を切り替えるエア切替装置であって、
外部から前記圧縮空気を注入する注入路と、前記作動空気室に前記圧縮空気を導入する導入路と、前記作動空気室から前記圧縮空気を排出する排出路と、スプール弁を収納する収納部と、を有し、断熱性材料で形成される本体と、
前記注入路と連通する注入流路と、前記導入路と連通する導入流路と、前記排出路と連通する排出流路と、を有する管状のスリーブと、管状の前記スリーブの内周部に摺動自在で軸方向に往復動可能に支持されて一方の端と他方の端で位置を切り替えることで前記作動空気室の前記圧縮空気の導入と排出を切り替えるスプールと、を有し、前記本体の前記収納部に収納される前記スプール弁と、を有する、エア切替装置。
【請求項2】
前記本体は、前記収納部に前記スプール弁を挿入するための開口部と、前記開口部を閉じるキャップと、を有し、
前記スプール弁は、前記スリーブを前記収納部に固定する固定手段を有し、前記キャップと前記固定手段を取り外すときに、前記本体の前記開口部から一体的に取り外すことができるように構成される、
請求項1に記載のエア切替装置。
【請求項3】
前記スリーブは、前記本体の前記収納部の内周と接して前記注入流路と前記導入流路と前記排出流路を区画するシール部材を外周に備え、耐摩耗性を有する材料で形成され、
前記スプールは、前記スリーブの前記内周部と接して前記注入流路と前記導入流路と前記排出流路を区画するシール部材を外周に備え、耐摩耗性を有する材料で形成される、
請求項1又は請求項2に記載のエア切替装置。
【請求項4】
前記本体は、第1本体と、第2本体と、を有し、
前記スプール弁は、前記第1本体の前記収納部に収納される第1スプール弁と、前記第2本体の前記収納部に収納される第2スプール弁と、を有し、
前記第1本体及び前記第2本体は、前記スプールの両端に設けられるピストンを押圧して前記スプールを軸方向に動作させるパイロットエアが注入される2つのシリンダーを有し、
前記導入路は、前記第2本体に外部から注入される前記圧縮空気を前記作動空気室に導入し、
前記作動空気室から排出される前記圧縮空気を、前記第1本体の前記シリンダーに前記パイロットエアとして注入する第1シリンダー注入路と、
前記第1本体に外部から注入される前記圧縮空気を、前記第2本体の前記シリンダーに前記パイロットエアとして注入する第2シリンダー注入路と、を有する、
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のエア切替装置。
【請求項5】
前記排出路は、前記第1本体と前記第2本体を重ねて固定して前記第1本体の外面部と前記第1本体の外面部に対向する前記第2本体の外面部により形成される、
請求項4に記載のエア切替装置。
【請求項6】
前記キャップは、前記スプールを軸方向に押す復帰ボタンを有する、
請求項2に記載のエア切替装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のエア切替装置を有する、往復動ポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、エア切替装置及びこのエア切替装置を有する往復動ポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、両側に吸込弁及び吐出弁を有する一対のポンプ室を形成しており、このポンプ室が作動軸の両端に固定されたダイアフラムによって区画された作動空気室を有しており、この作動空気室に交互に圧縮空気を導入、排出することによって塗料などの液体の吸込、吐出作用を交互に繰返す往復動ポンプであるダイアフラムポンプにおいて、圧縮空気の導入及び排出の切り替えに5ポートのスプール弁を用いるエア切替装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平1-76579号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のような従来技術では、スプール弁においてスプールが軸方向に往復動可能に収納されるエア切替装置の本体について、その熱伝導性や断熱性について明確ではなく、この本体が熱伝導率の比較的大きいアルミニウムなどの金属材料で形成されている場合には、エア切替装置から圧縮空気が瞬時に排出される際の断熱冷却によりエア切替装置の本体が冷やされ、周囲の空気との温度差によりエア切替装置本体の表面に結露が生じる。そして、結露した水がダイアフラムポンプやバルブ等に入ったり、ダイアフラムポンプによって吸込、吐出される塗料等の容器がダイアフラムポンプの下に配置されている場合には、結露した水が塗料等に混入したりするとの問題があった。
【0005】
また、上記のような従来技術では、スプールと摺動して流路を切り替える部分がエア切替装置の本体に設けられているため、この切り替える部分が摩耗して流路の切り替えに不具合が生じた場合には、スプール弁及びエア切替装置全体で交換しなければならず、メンテナンス費用が高くなり、メンテナンス性が良好ではないとの問題があった。
【0006】
そこで、本開示は、結露の発生を抑制し、メンテナンス性の良好なエア切替装置及び往復動ポンプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記目的を達成するために以下によって把握される。
(1)本発明のエア切替装置は、両側に吸込弁および吐出弁を有する一対のポンプ室を形成し、一対の前記ポンプ室は作動軸の両端に固定されたダイアフラムによって区画される作動空気室を有し、前記作動空気室に交互に圧縮空気の導入と排出をすることによって吸込と吐出を交互に繰り返すダイアフラムポンプにおいて、前記作動空気室の前記圧縮空気の導入と排出を切り替えるエア切替装置であって、外部から前記圧縮空気を注入する注入路と、前記作動空気室に前記圧縮空気を導入する導入路と、前記作動空気室から前記圧縮空気を排出する排出路と、スプール弁を収納する収納部と、を有し、断熱性材料で形成される本体と、前記注入路と連通する注入流路と、前記導入路と連通する導入流路と、前記排出路と連通する排出流路と、を有する管状のスリーブと、管状の前記スリーブの内周部に摺動自在で軸方向に往復動可能に支持されて一方の端と他方の端で位置を切り替えることで前記作動空気室の前記圧縮空気の導入と排出を切り替えるスプールと、を有し、前記本体の前記収納部に収納される前記スプール弁と、を有する。
(2)上記(1)において、前記本体は、前記収納部に前記スプール弁を挿入するための開口部と、前記開口部を閉じるキャップと、を有し、前記スプール弁は、前記スリーブを前記収納部に固定する固定手段を有し、前記キャップと前記固定手段を取り外すときに、前記本体の前記開口部から一体的に取り外すことができるように構成される。
(3)上記(1)又は(2)において、前記スリーブは、前記本体の前記収納部の内周と接して前記注入流路と前記導入流路と前記排出流路を区画するシール部材を外周に備え、耐摩耗性を有する材料で形成され、前記スプールは、前記スリーブの前記内周部と接して前記注入流路と前記導入流路と前記排出流路を区画するシール部材を外周に備え、耐摩耗性を有する材料で形成される。
(4)上記(1)から(3)のいずれかにおいて、前記本体は、第1本体と、第2本体と、を有し、前記スプール弁は、前記第1本体の前記収納部に収納される第1スプール弁と、前記第2本体の前記収納部に収納される第2スプール弁と、を有し、前記第1本体及び前記第2本体は、前記スプールの両端に設けられるピストンを押圧して前記スプールを軸方向に動作させるパイロットエアが注入される2つのシリンダーを有し、前記導入路は、前記第2本体に外部から注入される前記圧縮空気を前記作動空気室に導入し、前記作動空気室から排出される前記圧縮空気を、前記第1本体の前記シリンダーに前記パイロットエアとして注入する第1シリンダー注入路と、前記第1本体に外部から注入される前記圧縮空気を、前記第2本体の前記シリンダーに前記パイロットエアとして注入する第2シリンダー注入路と、を有する。
(5)上記(4)において、前記排出路は、前記第1本体と前記第2本体を重ねて固定して前記第1本体の外面部と前記第1本体の外面部に対向する前記第2本体の外面部により形成される。
(6)上記(2)において、前記キャップは、前記スプールを軸方向に押す復帰ボタンを有する。
(7)本発明の往復動ポンプは、(1)から(6)のいずれかのエア切替装置を有する。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、結露の発生を抑制し、メンテナンス性の良好なエア切替装置及び往復動ポンプを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態に係るエア切替装置の斜視図である。
図2】本発明の実施形態に係るエア切替装置の平面図である。
図3】本発明の実施形態に係るエア切替装置の断面図である。
図4】本発明の実施形態に係るエア切替装置の断面図である。
図5】本発明の実施形態に係るエア切替装置による流路の切り替えを示す図である。
図6】本発明の実施形態に係るエア切替装置による流路の切り替えを示す図である。
図7】本発明の実施形態に係るエア切替装置による流路の切り替えを示す図である。
図8】本発明の実施形態に係るエア切替装置による流路の切り替えを示す図である。
図9】本発明の実施形態に係るエア切替装置のスプール弁の取り外しを示す図である。
図10】本発明の実施形態に係るエア切替装置の排出路を示す図である。
図11】本発明の実施形態に係るエア切替装置の変形例による流路の切り替えを示す図である。
図12】従来のエア切替装置の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照しながら各実施形態について詳細に説明する。
なお、実施形態の説明の全体を通して同じ要素には同じ番号又は符号を付している。
【0011】
図1は、本発明の実施形態に係るエア切替装置1の斜視図である。
図2は、本発明の実施形態に係るエア切替装置1の平面図である。
図3は、本発明の実施形態に係るエア切替装置1のA-A断面図であり、図4はB-B断面図である。
図1図2図3及び図4を用いて、本発明の実施形態に係るエア切替装置1について説明する。
【0012】
本実施形態に係るエア切替装置1は、往復動ポンプ、例えば、ダイアフラムポンプ100に用いられるものである。エア切替装置1の説明において、図1に示すように、本体が、第1本体10と第2本体20を有する場合について説明する。この第1本体10と第2本体20の内部には、図1では示されていない第1スプール弁50と第2スプール弁70が収納されている。
【0013】
図3は、図2で示すように第1本体10と第1本体10に収納された第1スプール弁50のA-A断面図である。
図3を用いて、第1本体10と第1スプール弁50について説明する。
【0014】
第1本体10は、第1スプール弁50を収納する収納部11と、図3においては収納部11の両側に設けられ、収納部11に第1スプール弁50を挿入するための開口部12a、開口部12bと、を有している。収納部11は、第1スプール弁50のスリーブ51の外周に設けられたシール部材52と接する内周11aと内周11aの両外側に設けられた内周11bを有している。内周11bは、内周11aと径が同じか、又は、図3で示すように内周11aより径が大きくなっている。内周11bの外側には、開口部12a、開口部12bが設けられている。そして、図3で示すように、第1本体10は、軸方向に長く形成された貫通孔である収納部11を有するようになっている。なお、第1本体10は、片側だけに、例えば、開口部12aだけを有するようにしてもよい。
【0015】
第1スプール弁50は、第1本体10の内部に設けられた収納部11に収納されている。第1スプール弁50は、外側に、軸方向に貫通孔を有する管状のスリーブ51が設けられている。そして、図3に示すように、スリーブ51は、管状であって、一体的に形成されるようにしてもよい。スリーブ51を複数の部品で形成して、例えば、軸方向に並べる場合には、これらの部品ごとの寸法の誤差が累積して精度が低下する。しかし、スリーブ51を一体的に形成することで誤差の累積がなく、精度が向上し、より安定したエア切替装置1とすることができる。また、組み込みや取り外しなどが容易になり、エア切替装置1のメンテナンス性を良好にできる。このスリーブ51の貫通孔の中にスプール61が設けられている。また、スリーブ51は、第1本体10の収納部11の内周11aと接して、スリーブ51が有する注入流路と導入流路と排出流路を区画するシール部材52を外周に備えている。
【0016】
スリーブ51は、図3に示す例では、一方の端に径が大きく形成されたフランジ51bが設けられており、このフランジ51bの軸方向で内側の端面が第1本体10の内周11aと内周11bの段差の部分に当接している。スリーブ51は、他方の端の外周に雄ねじ51cが設けられており、この雄ねじ51cと固定手段58に設けられた雌ねじが螺合し、固定手段58の軸方向で内側の端面が第1本体10の内周11aと内周11bの段差の部分に当接している。そして、フランジ51bと固定手段58によって第1本体10の内周11aの両端を挟み込んで、スリーブ51が第1本体10に固定されている。なお、スリーブ51の第1本体10への固定方法は、図3で示す例に限定されるものではない。
【0017】
スプール61の外周には、シール部材62が設けられていてもよい。図3においては、シール部材62が4つ設けられているが、これに限定されるものではない。スプール61により切り替える流路の構成に応じて、適宜必要なシール部材62の数が選択され、例えば、2つや3つなどでもよい。
【0018】
スプール61のシール部材62は、スリーブ51の内周部51aに接している。スリーブ51の有する注入流路、導入流路、排出流路は内周部51aに連接されており、スプール61のシール部材62は、スリーブ51の有する注入流路、導入流路、排出流路を区画する。そして、スプール61は、シール部材62がスリーブ51の内周部51aに接して摺動自在になっており、摺動しながら軸方向に往復動可能に支持されている。このシール部材62が圧縮空気を遮断して各流路を区画し、スプール61は、スリーブ51の中で、一方の端と他方の端で位置を切り替えることでスリーブ51の有する注入流路、導入流路、排出流路などの各流路を切り替えるように構成されている。このスプール61による各流路の切り替えは、例えば、注入流路が2つある場合に、一方の注入流路を他方の注入流路に切り替えることを含むものである。導入流路、排出流路などが2つある場合についても同様である。
【0019】
このように、スプール61と摺動して流路を切り替えるスリーブ51を第1本体10とは別に設けている。このようにすることで、例えば、スリーブ51の内周部51aや後述するピストン65が押圧するスプール61の両端部などが摩耗した場合には、エア切替装置1の全体の交換、あるいは、第1スプール弁50の全体の交換ではなく、摩耗したスリーブ51、スプール61、あるいは、シール部材52、シール部材62などを交換することで対応することができるため、メンテナンス費用を低減でき、メンテナンス性の良好なエア切替装置1とすることができる。なお、摩耗を低減させるために、スリーブ51やスプール61は、耐摩耗性を有する材料、例えば、金属材料やセラミックス材料などで形成してもよい。金属材料としては、例えば、アルミニウム、真鍮、マグネシウム、チタン、鉄、あるいはこれらの合金などでもよい。また、金属材料やその他の材料について、メッキ、熱処理、コーティングなどの表面処理により耐摩耗性を有するようにしてもよい。
【0020】
第1本体10の収納部11において、ピストン65が、スリーブ51の両外側に設けられている。第1本体10には、収納部11の両側の開口部12a、開口部12bを閉じるキャップ15が設けられている。キャップ15は、取付部15aが、第1本体10において開口部12a、開口部12bが設けられた端面に接した状態でねじ18によって取り付けられて固定されている。
【0021】
ピストン65には、外周にシール部材66が設けられている。同様に、キャップ15には、外周にシール部材17が設けられている。このシール部材66とシール部材17が、第1本体10の内周11bと接することで、圧縮空気が遮断される。このため、第1本体10の内周11bにより両側に形成されたシリンダー14a、14bに圧縮空気であるパイロットエアを注入することで、パイロットエアがピストン65を押圧し、更に、スプール61がピストン65に押圧されて、スリーブ51の内周部51aに摺動自在な状態で支持されて軸方向に動作する。
【0022】
すなわち、一方のシリンダー14aにパイロットエアが注入されると、ピストン65に押圧されてスプール61が他方のシリンダー14bを最小にするように軸方向に動作し、次にこの他方のシリンダー14bにパイロットエアが注入されると、ピストン65に押圧されてスプール61が一方のシリンダー14aを最小にするように軸方向に動作する。このように、シリンダー14a、14bへのパイロットエアの注入とスプール61の軸方向への動作を繰り返して、スプール61がスリーブ51の中で往復動し、一方の端と他方の端で位置を切り替えることで流路の切り替えが行われるようになっている。
【0023】
第1本体10は、外部から圧縮空気が注入する注入口10aが設けられており、第1本体10の内部で注入路31に接続される。注入口10aには、図示しないバルブが設けられており、バルブを介して外部の圧縮空気供給源に接続される。バルブにより圧縮空気の供給と停止を切り替え可能にしてもよい。
【0024】
図4は、図2で示すように第2本体20と第2本体20に収納された第2スプール弁70のB-B断面図である。
図4を用いて、第2本体20と第2スプール弁70について説明する。
【0025】
第2本体20と第2スプール弁70は、基本的な構成や動作などは、図3に示す第1本体10、第1スプール弁50と同様である。
【0026】
第2本体20は、第2スプール弁70を収納する収納部21と、図4においては収納部21の両側に設けられ、収納部21に第2スプール弁70を挿入するための開口部22a、22bを有している。収納部21は、第2スプール弁70のスリーブ71の外周に設けられたシール部材72と接する内周21aと内周21aの両外側に設けられた内周21bを有している。内周21bは、内周21aと径が同じか、又は、図4で示すように、内周21aより径が大きくなっている。内周21bの外側には、開口部22a、22bが設けられている。そして、図4で示すように、第2本体20は、軸方向に長く形成された貫通孔である収納部21を有するようになっている。なお、第2本体20は、片側だけに、例えば、開口部22aだけを有するようにしてもよい。
【0027】
第2スプール弁70は、第2本体20の内部に設けられた収納部21に収納されている。第2スプール弁70は、外側に、軸方向に貫通孔を有する管状のスリーブ71が設けられている。そして、図4に示すように、スリーブ71は、管状であって、一体的に形成されているようにしてもよい。スリーブ71を複数の部品で形成して、例えば、軸方向に並べる場合には、これらの部品ごとの寸法の誤差が累積して精度が低下する。しかし、スリーブ71を一体的に形成することで誤差の累積がなく、精度が向上し、より安定したエア切替装置1とすることができる。また、組み込みや取り外しなどが容易になり、エア切替装置1のメンテナンス性を良好にできる。このスリーブ71の貫通孔の中にスプール81が設けられている。また、スリーブ71は、第2本体20の収納部21の内周21aと接して、スリーブ71が有する注入流路と導入流路と排出流路を区画するシール部材72を外周に備えている。
【0028】
スリーブ71は、図4に示す例では、一方の端に径が大きく形成されたフランジ71bが設けられており、このフランジ71bの内側の端面が第2本体20の内周21aと内周21bの段差の部分に当接している。また、スリーブ71は、他方の端の外周に雄ねじ71cが設けられており、この雄ねじ71cと固定手段78に設けられた雌ねじが螺合し、固定手段78の端面が第2本体20の内周21aと内周21bの段差の部分に当接している。そして、フランジ71bと固定手段78によって第2本体20の内周21aの両端を挟み込んで、スリーブ71が第2本体20に固定されている。なお、スリーブ71の第2本体20への固定方法は図4で示す例に限定されるものではない。
【0029】
スプール81の外周には、シール部材82が設けられていてもよい。図4においては、シール部材82が4つ設けられているが、これに限定されるものではない。スプール81により切り替える流路の構成に応じて、適宜必要なシール部材82の数が選択され、例えば、2つや3つなどでもよい。
【0030】
スプール81のシール部材82は、スリーブ71の内周部71aに接している。スリーブ71の有する注入流路、導入流路、排出流路は内周部71aに連接されており、スプール81のシール部材82は、スリーブ71の有する注入流路、導入流路、排出流路を区画する。そして、スプール81は、シール部材82がスリーブ71の内周部71aに接して摺動自在になっており、摺動しながら軸方向に往復動可能に支持されている。このシール部材82が圧縮空気を遮断して各流路を区画し、スプール81は、スリーブ71の中で、一方の端と他方の端で位置を切り替えることでスリーブ71の有する注入流路、導入流路、排出流路などの各流路を切り替えるように構成されている。このスプール81による各流路の切り替えは、例えば、注入流路が2つある場合に、一方の注入流路を他方の注入流路に切り替えることを含むものである。導入流路、排出流路などが2つある場合についても同様である。
【0031】
このように、スプール81と摺動して流路を切り替えるスリーブ71を第2本体20とは別に設けている。このようにすることで、例えば、スリーブ71の内周部71aや後述するピストン85が押圧するスプール81の両端部などが摩耗した場合には、エア切替装置1の全体の交換、あるいは、第2スプール弁70の全体の交換ではなく、摩耗したスリーブ71、スプール81、あるいは、シール部材72、シール部材82などを交換することで対応することができるため、メンテナンス費用を低減でき、メンテナンス性の良好なエア切替装置1とすることができるのは、第1スプール弁50と同様である。なお、摩耗を低減させるために、スリーブ71やスプール81は、耐摩耗性を有する材料、例えば、金属材料やセラミックス材料などで形成してもよい。金属材料としては、例えば、アルミニウム、真鍮、マグネシウム、チタン、鉄、あるいはこれらの合金などでもよい。また、金属材料やその他の材料について、メッキ、熱処理、コーティングなどの表面処理により耐摩耗性を有するようにしてもよい。
【0032】
第2本体20の収納部21において、ピストン85が、スリーブ71の両外側に設けられている。第2本体20には、収納部21の両側の開口部22a、22bを閉じるキャップ25が設けられている。キャップ25は、取付部25aが、第2本体20において開口部22a、22bが設けられた端面に接した状態でねじ28によって取り付けられて固定されている。
【0033】
ピストン85には、外周にシール部材86が設けられている。同様に、キャップ25には、外周にシール部材27が設けられている。このシール部材86とシール部材27が、第2本体20の内周21bと接することで、圧縮空気が遮断される。このため、第2本体20の内周21bにより両側に形成されたシリンダー24a、24bに圧縮空気であるパイロットエアを注入することで、パイロットエアがピストン85を押圧し、更に、スプール81がピストン85に押圧されて、スリーブ71の内周部71aに摺動自在な状態で支持されて軸方向に動作する。
【0034】
すなわち、一方のシリンダー24aにパイロットエアが注入されると、ピストン85に押圧されてスプール81が他方のシリンダー24bを最小にするように軸方向に動作し、次にこの他方のシリンダー24bにパイロットエアが注入されると、ピストン85に押圧されてスプール81が一方のシリンダー24aを最小にするように軸方向に動作する。このように、シリンダー24a、24bへのパイロットエアの注入とスプール81の軸方向への動作を繰り返して、スプール81がスリーブ71の中で往復動し、一方の端と他方の端で位置を切り替えることで流路の切り替えが行われるようになっている。
【0035】
図5図6図7及び図8は、本発明の実施形態に係るエア切替装置1による流路の切り替えを示す図である。
図5図6図7及び図8を用いて、エア切替装置1による流路の切り替えについて説明する。
【0036】
図5図6図7及び図8は、エア切替装置1をダイアフラムポンプ100に組み込んで動作させた場合の各流路における圧縮空気の流れの切り替えなどを順番に示しているものである。
【0037】
ダイアフラムポンプ100は、両側に第1ケーシング部101と第2ケーシング部102が設けられている。第1ケーシング部101と第2ケーシング部102は、吸込弁114、124および吐出弁115、125を有する一対のポンプ室である第1ポンプ室110と第2ポンプ室120を形成している。第1ポンプ室110と第2ポンプ室120は、作動軸105の両端に固定された第1ダイアフラム111と第2ダイアフラム121によって区画された作動空気室112、122を有している。そして、ダイアフラムポンプ100は、作動空気室112、122に交互に圧縮空気の導入と排出をすることによって、吸込と吐出を交互に繰返すように動作するものである。
【0038】
図5図6図7及び図8において、第1本体10、第2本体20には、外部から圧縮空気を注入する注入路31、32と、作動空気室112、122に圧縮空気を導入する導入路33、34と、作動空気室112、122から圧縮空気を排出する排出路35、36が設けられている。また、スリーブ51、71には、注入路31と連通する注入流路91a、91bと、注入路32と連通する注入流路92a、92bと、導入路33と連通する導入流路93aと、導入路34と連通する導入流路93bと、排出路35と連通する排出流路95aと、排出路36と連通する排出流路95bと、が設けられている。
【0039】
そして、図3図4に示すように、スリーブ51、71は、第1本体10、第2本体20の収納部11、21の内周11a、21aと接して注入流路91aなどと導入流路93aなどと排出流路95aなどを区画するシール部材52、72を外周に備えている。
【0040】
また、エア切替装置1は、作動空気室112、122から排出される圧縮空気を、第1本体10のシリンダー14a、14bにパイロットエアとして注入する第1シリンダー注入路97a、97bと、第1本体10に外部から注入される圧縮空気を、第2本体20のシリンダー24a、24bにパイロットエアとして注入する第2シリンダー注入路98a、98bと、第2本体20に外部から注入される圧縮空気を、作動空気室112、122に導入する導入路33、34と、を有している。
【0041】
図5は、作動空気室112に圧縮空気が導入されている状態を示している。エア切替装置1において、第1本体10の注入口10aに外部から圧縮空気が注入される。圧縮空気は、注入路31及び注入路31に連通する注入流路91bを通り、更に、第2シリンダー注入路98bを通って第2本体20の一方のシリンダー24bにパイロットエアとして注入される。図5は、パイロットエアにより押圧されるピストン85bに押圧されて、スプール81が他方のシリンダー24aのピストン85aより外側の部分を最小にするように軸方向に動作して一方の端に移動した状態を示している。
【0042】
この状態で、外部から第2本体20に注入された圧縮空気は、導入路34及び導入路34に連通する導入流路93bを通って作動空気室112に導入される。作動空気室112に圧縮空気が導入されるに伴い、第1ダイアフラム111が膨らんで、作動軸105が第1ダイアフラム111に引っ張られて第1ケーシング部101の側に移動していく。
【0043】
第1ダイアフラム111が膨らむのに伴い、第1ポンプ室110が圧力を受けて圧縮される。この圧縮によって第1ポンプ室110の吐出弁115が開き、第1ポンプ室110に収容されている収容物、例えば、塗料等が吐き出される。一方、作動軸105によって第2ダイアフラム121が引っ張られて第2ポンプ室120が拡張されることで吸込弁124が開き、第2ポンプ室120に収容物が吸い込まれる。
【0044】
図5に示す状態において、作動軸105が第1ダイアフラム111に引っ張られて所定の位置まで移動すると、図6に示すように、作動空気弁113が開放されて、圧縮空気が第1シリンダー注入路97aを通って第1スプール弁50のシリンダー14aにパイロットエアとして注入される。それとともに、圧縮空気が排出路35及び排出路35に連通する排出流路95aなどを通って外部に排出される。
【0045】
図6に示すように、シリンダー14aに注入されたパイロットエアにより、ピストン65とスプール61が押圧されて一方の端から他方の端に位置を切り替えて、シリンダー14bのピストン65bより外側の部分が最小になる位置に移動する。これにより、第1本体10の注入口10aに外部から注入される圧縮空気が、第2シリンダー注入路98aを通ってシリンダー24aにパイロットエアとして注入される。
【0046】
シリンダー24aに注入されたパイロットエアによりピストン85とスプール81が押圧されて一方の端から他方の端に位置を切り替えて、シリンダー24bのピストン85bより外側の部分が最小になる位置に移動する。この状態で、外部から第2本体20に注入された圧縮空気は、導入路33及び導入路33に連通する導入流路93aを通って作動空気室122に導入される。
【0047】
図7は、図5で示す場合に対して対称の関係にある場合を示している。すなわち、作動空気室122に圧縮空気が導入される点で異なり、基本的な動作は同様である。図7において、作動空気室122に圧縮空気が導入されるのに伴い、第2ダイアフラム121が膨らんで、作動軸105が第2ダイアフラム121に引っ張られて第2ケーシング部102の側に移動していく。
【0048】
そして、第2ダイアフラム121が膨らむのに伴い、第2ポンプ室120が圧力を受けて圧縮される。この圧縮によって第2ポンプ室120の吐出弁125が開き、第1ポンプ室110に収容されている収容物、例えば、塗料等が吐き出される。一方、作動軸105によって第1ダイアフラム111が引っ張られて第1ポンプ室110が拡張されることで吸込弁114が開き、第1ポンプ室110に収容物が吸い込まれる。
【0049】
図8は、図6で示す場合に対して対称の関係にある場合を示している。すなわち、図7に示す状態において、作動軸105が第2ダイアフラム121に引っ張られて所定の位置まで移動すると、図8に示すように、作動空気弁123が開放されて、圧縮空気が第1シリンダー注入路97bを通って第1スプール弁50のシリンダー14bにパイロットエアとして注入されるとともに、圧縮空気が排出路36及び排出路36に連通する排出流路95bなどを通って外部に排出される。
【0050】
シリンダー14bに注入されたパイロットエアによりピストン65bとスプール61が押圧されて一方の端から他方の端に位置を切り替えて、シリンダー14aのピストン65aより外側の部分が最小になる位置に移動する。これにより、第1本体10の注入口10aに外部から注入される圧縮空気が、第2シリンダー注入路98bを通ってシリンダー24bにパイロットエアとして注入される。
【0051】
シリンダー24bに注入されたパイロットエアによりピストン85bとスプール81が押圧されて一方の端から他方の端に位置を切り替えて、シリンダー24aのピストン85aより外側の部分が最小になる位置に移動する。この状態で、外部から第2本体20に注入された圧縮空気は、導入路34及び導入路34に連通する導入流路93bを通って作動空気室112に導入される。
【0052】
このように、図5から図8に示す動作を繰り返すことで、第1ポンプ室110からの収容物の吐き出しと第2ポンプ室120への収容物の吸い込み、第2ポンプ室120からの収容物の吐き出しと第1ポンプ室110への収容物の吸い込みが連続的に交互に行われる。これにより、ダイアフラムポンプ100の機能を発揮するものである。
【0053】
また、図1などに示すように、エア切替装置1において、本体は、第1本体10と第2本体20を有し、スプール弁は、第1本体10の収納部11に収納される第1スプール弁50と第2本体20の収納部21に収納される第2スプール弁70を有している。また、エア切替装置1は、流路としては、作動空気室112、122から排出される圧縮空気を第1本体10のシリンダー14a、14bにパイロットエアとして注入する第1シリンダー注入路97a、97bと、第1本体10に外部から注入される圧縮空気を、第2本体20のシリンダー24a、24bにパイロットエアとして注入する第2シリンダー注入路98a、98bと、第2本体20に外部から注入される圧縮空気を、作動空気室112、122に導入する導入路33、34と、を有している。
【0054】
このように、エア切替装置1は、第1本体10、第2本体20と、この第1本体10、第2本体20の内部に収納された2つの第1スプール弁50、第2スプール弁70と、を有している。そして、第1スプール弁50のスプール61が動作不良になり、往復動の範囲の中間位置で停止してしまった場合には、第1本体10の注入口10aに外部から注入される圧縮空気の流れが停止して、例えば、図5においてシリンダー24bにパイロットエアが供給されなくなる。
【0055】
このような場合でも、第2スプール弁70において、スプール81を軸方向に動作させるためにシリンダー24aなどに注入される圧縮空気は、外部から注入されスプール81が動作するのに十分な圧力に保つことができる。このため、スプール81が往復動の範囲の中間位置で停止することはなく、必ず、どちらかの端において停止している。したがって、第2本体20に外部から注入される圧縮空気は、作動空気室112又は作動空気室122のいずれかに供給される。そして、例えば、作動空気室112に圧縮空気が供給されるに伴い、作動空気室112の圧力が上昇し、これにより、動作不良となっていた第1スプール弁50のシリンダー14aに高い圧力の圧縮空気が注入される。このため、スプール61を端まで動作させて第2スプール弁70のシリンダー24aなどへの圧縮空気の注入も再開して、正常な状態に復帰する。
【0056】
このように、エア切替装置1は、第1本体10、第2本体20と、この第1本体10、第2本体20に収納される第1スプール弁50、第2スプール弁70と、を有することで、より安定した動作を図ることができる。
【0057】
なお、図3図4に示すように、キャップ15、キャップ25は、例えば、シリンダー14a、14b、シリンダー24a、24bにおいてピストン65、ピストン85を軸方向に押して、スプール61、スプール81を軸方向に押す復帰ボタン16、復帰ボタン26を有するようにしてもよい。スプール61、スプール81が動作不良になり、往復動の範囲の中間位置で停止してしまった場合に、この復帰ボタン16、26を押すことで、図3図4に示す例では、ピストン65、85を介してスプール61、81を軸方向に押して端に移動させて、正常な状態に復帰させることができる。
【0058】
復帰ボタン16、26は、ピストン65、85を介さず、直接、スプール61、81を軸方向に押すようにしてもよい。すなわち、復帰ボタン16、26は、直接的に、又は、他の要素を介して間接的に、スプール61、81を軸方向に押すようにしてもよい。復帰ボタン16、26は、図3図4に示すように、両側にある2つのキャップ15、2つのキャップ25にそれぞれ設けるようにしてもよい。また、復帰ボタン16、26は、キャップ15、25ではなく、エア切替装置1の他の要素、例えば、第1本体10、第2本体20などに設けるようにしてもよい。
【0059】
シリンダー14a、14b、シリンダー24a、24bに注入された圧縮空気が漏れないようにするために、図3図4に示すように、復帰ボタン16、復帰ボタン26は、シール部材16a、シール部材26aを備えるようにしてもよい。また、復帰ボタン16、26は、図示しないばねやゴムなどの弾性体などを用いた戻り手段を有し、復帰ボタン16などを押してピストン65などを介してスプール61などを軸方向に押した後、押す前のイニシャル位置に自動的に戻るようにしてもよい。
【0060】
図9は、本発明の実施形態に係るエア切替装置1の第1スプール弁50の取り外しを示す図である。図9を用いて、エア切替装置1における第1スプール弁50の取り外しについて説明する。なお、第2スプール弁70の取り外しも基本的に同様である。
【0061】
図3に示すように、第1スプール弁50は、第1本体10の収納部11に収納されている。この状態で、キャップ15を固定しているねじ18を外して、キャップ15とピストン65を取り外す。図3図9に示すように、収納部11の両側に開口部12a、12bが設けられている場合には、両側のキャップ15とピストン65を取り外す。
【0062】
収納部11の中において、スリーブ51の雄ねじ51cと螺合している固定手段58を回転させて開口部12bから取り外す。そして、開口部12bと反対側の開口部12aからスリーブ51とその中に収納されたスプール61などを有する第1スプール弁50を一体的に取り外すことができる。図9では、第1スプール弁50を一体的に取り外した後に、更に、スリーブ51からスプール61を取り出した状態を示している。このように、第1スプール弁50は、キャップ15と固定手段58を取り外すことで容易に取り外すことができる。また、取り外しと逆の手順で容易に組み立てることができる。
【0063】
第1スプール弁50において、スリーブ51に対してスプール61が摺動自在で往復動可能に支持されており、摺動した状態で往復動を繰り返すことで摺動部分の摩耗が生じる。このため、この摺動部分の交換がメンテナンスの中心になる。第1スプール弁50を容易に一体的に取り外すことができるため、部品交換などの必要なメンテナンスを容易に行うことができる。第2スプール弁70も同様である。このように、本実施形態によれば、メンテナンス性の良好なエア切替装置1を提供することができる。
【0064】
図10は、本発明の実施形態に係るエア切替装置1の排出路35、36を示す図である。エア切替装置1は、第1本体10と第2本体20を有している。そして、第1本体10と第2本体20を重ねて、図10では3つのねじ29で固定している。
【0065】
この重ねて固定した状態で、第1本体10の外面部41と外面部41に対向する第2本体20の外面部42により、図10において2点鎖線で示すように、排出路35、36を形成している。そして、排出路35、36の出口として、圧縮空気を外部への排出する排出口40a、40bを形成している。このようにすることで、騒音軽減のための排気マフラーが不要となり、省スペースやコストの低減を図ることができる。
【0066】
なお、図10において、外部から圧縮空気を注入し、図3で示す第1本体10の注入口10aに接続されるバルブ45とバルブ45において通過する圧縮空気の流量を調整するレバー46の例を示している。
【0067】
図11は、本発明の実施形態に係るエア切替装置1の変形例であるエア切替装置2による流路の切り替えを示す図である。
図11を用いて、エア切替装置2による流路の切り替えの例について説明する。なお、図11に示す状態は、エア切替装置1による流路の切り替えにおいて図5で示す状態に相当するものである。
【0068】
図5などに示すように、エア切替装置1は、第1本体10、第2本体20と、この第1本体10、第2本体20に収納された2つの第1スプール弁50、第2スプール弁70と、を有している。
【0069】
これに対して、エア切替装置2は、第1本体10と、この第1本体10に収納された1つの第1スプール弁50と、を有する点でエア切替装置1と異なるものである。
【0070】
図11は、作動空気室112に圧縮空気が導入されている状態を示している。エア切替装置2において、第1本体10の注入口10aに外部から注入された圧縮空気は、注入路31及び注入路31に連通する注入流路91bを通り、導入路34及び導入路34に連通する導入流路93bを通って作動空気室112に導入される。
【0071】
また、図7に相当するように、作動空気室122に圧縮空気が導入されている状態の場合には、エア切替装置2に外部から注入された圧縮空気は、図7に示す注入路31及び注入路31に連通する注入流路91aを通り、導入路33及び導入路33に連通する導入流路93aを通って作動空気室122に導入される。
【0072】
作動空気室112、作動空気室122に導入される圧縮空気によるダイアフラムポンプ100の動作は、エア切替装置1の場合と同様である。また、作動空気室112に導入された圧縮空気は、排出路35及び排出路35に連通する排出流路95aなどを通って外部に排出される。同様に、作動空気室122に導入された圧縮空気は、排出路36及び排出路36に連通する排出流路95bなどを通って外部に排出される。
【0073】
このように、エア切替装置2において、第1本体10の注入口10aに外部から注入される圧縮空気は、直接、作動空気室112、作動空気室122に導入されるように構成されている。このようにすることで、省スペースとなり、また、構成がシンプルなためコストの低減を図ることができる。
【0074】
図12は、従来のエア切替装置200の例を示す図である。
図12を用いて、従来のエア切替装置200について説明する。なお、図12は、本体210を断面した状態を示している。
【0075】
従来のエア切替装置200は、本体210の収納部211の中に、外周にシール部材231を装着したホルダ230を6つ備えている(図12において、230/231で示す)。このホルダ230の間に5つのスペーサー235を配置している。すなわち、これらの複数の部品が軸方向に並んで配置されている。したがって、各部品の誤差が累積するため、精度が低下する構造であった。そして、両端のホルダ230の外側にパッキン押え250を配置し、その更に外側にピストン260が設けられている。なお、先に説明したように、本実施形態に係るエア切替装置1は、誤差が累積しない構成になっている。
【0076】
従来のエア切替装置200は、本体210とその両側にパッキン押え250とピストン260を収納するケース220とケース221が設けられている。ケース220とケース221には、ピストン260を押圧するパイロットエアが注入されるシリンダーが設けられている。そして、本体210は、アルミニウム合金などの金属材料で形成されている。
【0077】
例えば、アルミニウム合金の熱伝導率は、約100~200W/(m・K)程度と大きく、熱を伝達し易いという特徴を有する。他の金属材料も、炭素鋼の熱伝導率は、約50W/(m・K)程度であり、黄銅の熱伝導率は、約120W/(m・K)程度であり、亜鉛合金の熱伝導率は、約110W/(m・K)程度であり、いずれも熱を伝達し易い。
【0078】
このように、本体210が熱伝導率の大きいアルミニウム合金などの金属材料で形成されている場合に、本体210より繰り返しに排出される圧縮空気の断熱冷却により本体210が冷やされる。そして、エア切替装置200が設置される周囲の空気との温度差により、本体210の表面に結露が生じる。ダイアフラムポンプ100によって吸込、吐出される塗料等の容器がダイアフラムポンプ100の下に配置されている場合には、塗料等に結露した水が混入するとの問題があった。また、ダイアフラムポンプ100やバルブ45などに結露した水が入るとの問題があった。
【0079】
一方、本実施形態に係るエア切替装置1において、第1本体10、第2本体20は、断熱性材料、例えば、樹脂材料で形成されている。樹脂材料において、例えば、ポリプロピレンの熱伝導率は、約0.2W/(m・K)程度であり、ナイロンの熱伝導率は、約0.25W/(m・K)程度であり、ポリスチレンの熱伝導率は、約0.15W/(m・K)程度である。このように、上記に例示した金属材料に対して、上記に例示した樹脂材料の熱伝導率は、約1/200程度から1/1300程度である。このように、樹脂材料の熱伝導率は非常に小さい。この観点から、樹脂材料は断熱性材料である。また、シリコンゴムの熱伝導率は、約0.2W/(m・K)程度であり、天然ゴムの熱伝導率は、約0.13W/(m・K)程度であり、木材の熱伝導率は、約0.1W/(m・K)程度であり、ゴム材料や木材も同様に断熱性材料である。更に、ソーダガラスの熱伝導率は、約1.0W/(m・K)程度であり、陶器の熱伝導率は、約1.2W/(m・K)程度であり、ガラス材料や陶器材料も金属材料に対して熱伝導率が十分に小さく、断熱性材料である。
【0080】
したがって、エア切替装置1において、圧縮空気が流れる注入路31、32や、導入路33、34や、排出路35、36などの各流路や圧縮空気が注入されるシリンダー14a、14b、シリンダー24a、24bなどが設けられている第1本体10、第2本体20を、断熱性材料、例えば、樹脂材料で形成することで、第1本体10、第2本体20の表面における結露の発生を抑制することができる。
【0081】
また、従来のエア切替装置200におけるメンテナンス作業は、まず、本体210の収納部211からケース220又はケース221を、図示しないねじを外して取り外す。そして、パッキン押え250を取り外し、ケース220又はケース221の中からピストン260を取り出し、更に、6つのホルダ230、5つのスペーサー235などを個別にばらばらに抜き取るものである。また、これらを取り出して必要な部品を交換した後、組み込む際も、それぞれ個別に収納部211の中に収納していくものであり、手間が掛かり、メンテナンス性が良好ではなかった。これに対して、本実施形態によれば、先に説明したように、第1スプール弁50、第2スプール弁70をそれぞれ一体的に取り外すこと及び組み込むことが容易にできるため、メンテナンス性の良好なエア切替装置1、エア切替装置2を提供することができる。
【0082】
図12に示すように、従来のエア切替装置200は、騒音防止のために、排気マフラー280を備えている。
【0083】
これに対して、本実施形態に係るエア切替装置1は、先に説明したように、相互に対向する第1本体10の外面部41と第2本体20の外面部42により排出路35、36を形成している。そして、圧縮空気を外部への排出する排出口40a、40bを形成している。これによって、排気マフラーが不要となり、省スペースやコストの低減を図ることができる。
【0084】
以上で説明したように、本実施形態によれば、結露の発生を抑制し、メンテナンス性の良好なエア切替装置1、エア切替装置2及びダイアフラムポンプ(往復動ポンプ)100を提供することができる。
【0085】
以上、具体的な実施形態に基づいて本発明を説明してきたが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形や改良を実施しても良い。
【0086】
このように、本発明は、具体的な実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形や改良を施したものも本発明の技術的範囲に含まれるものであり、そのことは、当業者にとって特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0087】
1 エア切替装置
2 エア切替装置
10 第1本体
10a 注入口
11 収納部
11a 内周
11b 内周
12 開口部
14 シリンダー
15 キャップ
15a 取付部
16 復帰ボタン
16a シール部材
17 シール部材
18 ねじ
19 シール部材(a-e)
20 第2本体
20a 取付孔
21 収納部
21a 内周
21b 内周
22 開口部
24 シリンダー
25 キャップ
25a 取付部
26 復帰ボタン
26a シール部材
27 シール部材
28 ねじ
29 ねじ
31 注入路
32 注入路
33 導入路
34 導入路
35 排出路
36 排出路
40a、40b 排出口
41 外面部
42 外面部
45 バルブ
46 レバー
50 第1スプール弁
51 スリーブ
51a 内周部
51b フランジ
51c 雄ねじ
52 シール部材
58 固定手段
61 スプール
62 シール部材
65 ピストン
66 シール部材
68 鋼球
70 第2スプール弁
71 スリーブ
71a 内周部
71b フランジ
71c 雄ねじ
72 シール部材
78 固定手段
81 スプール
82 シール部材
85 ピストン
86 シール部材
91a、91b 注入流路
92a、92b 注入流路
93a、93b 導入流路
95a、95b 排出流路
97a、97b 第1シリンダー注入路
98a、98b 第2シリンダー注入路
100 ダイアフラムポンプ(往復動ポンプ)
101 第1ケーシング部
102 第2ケーシング部
105 作動軸
110 第1ポンプ室
111 第1ダイアフラム
112 作動空気室
113 作動空気弁
114 吸込弁
115 吐出弁
120 第2ポンプ室
121 第2ダイアフラム
122 作動空気室
123 作動空気弁
124 吸込弁
125 吐出弁
200 従来のエア切替装置
210 本体
211 収納部
220 ケース
221 ケ-ス
230 ホルダ
231 シール部材
235 スペーサー
250 パッキン押え
260 ピストン
280 排気マフラー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12