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特開2023-73114ライムケーキ(高含水炭酸カルシウム)の再利用方法、及び、ライムケーキ(高含水炭酸カルシウム)のリサイクルシステム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023073114
(43)【公開日】2023-05-25
(54)【発明の名称】ライムケーキ(高含水炭酸カルシウム)の再利用方法、及び、ライムケーキ(高含水炭酸カルシウム)のリサイクルシステム
(51)【国際特許分類】
   C04B 2/10 20060101AFI20230518BHJP
   C01F 11/06 20060101ALI20230518BHJP
【FI】
C04B2/10
C01F11/06
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021185955
(22)【出願日】2021-11-15
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-12-21
(71)【出願人】
【識別番号】597118061
【氏名又は名称】株式会社 セテック
(74)【代理人】
【識別番号】100106954
【弁理士】
【氏名又は名称】岩城 全紀
(72)【発明者】
【氏名】瀬戸 弘
(72)【発明者】
【氏名】中島 耀二
【テーマコード(参考)】
4G076
【Fターム(参考)】
4G076AA02
4G076AA10
4G076AB09
4G076AB26
4G076AC02
4G076BA24
4G076BA39
4G076BA41
4G076BC08
4G076BH01
4G076CA15
4G076DA30
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ライムケーキをリサイクルする際に、焼成炉から燃焼排ガスに流出する酸化カルシウムが、燃焼排ガスの温度低下に伴って排ガス中の二酸化炭素との再炭酸化を生じ、排ガス系路に固着トラブルが生じる現象を防止する、方法およびリサイクルシステムを提供する。
【解決手段】高含水ライムケーキを乾燥させるライムケーキ乾燥機と、ライムケーキを焼成して酸化カルシウム並びに二酸化炭素に熱分解する焼成炉と、該焼成炉から流出する酸化カルシウム並びに二酸化炭素を含んだ焼成排ガスが導入され、該焼成排ガス中の酸化カルシウムに対し、水を散布することにより水酸化カルシウムを生成して、水酸化カルシウムを水とともに懸濁液として回収する、ライムケーキのリサイクルシステム。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高含水ライムケーキ(高含水炭酸カルシウム)の含水率を20%以下とする乾燥工程と、
乾燥工程を経たライムケーキ(CaCO3)を焼成して、酸化カルシウム(CaO)と、二酸化炭素(CO2)とに熱分解する焼成工程と、
焼成工程にて熱分解された酸化カルシウム(CaO)、並びに、二酸化炭素(CO2)を含んだ焼成排ガスに対し、水(H2O)を散布することにより水酸化カルシウム(Ca(OH)2)を生成する気液反応工程と、
生成された水酸化カルシウム(Ca(OH)2)を、水(H2O)とともに懸濁液として回収する懸濁液回収工程と、
回収された前記懸濁液を循環させて、前記焼成排ガス中の酸化カルシウム(CaO)の消化反応効率を向上させる循環工程と、を具備することを特徴とするライムケーキの再利用方法。
【請求項2】
高含水ライムケーキ(高含水炭酸カルシウム)を乾燥させるライムケーキ乾燥機と、
該ライムケーキ乾燥機による乾燥工程を経たライムケーキ(CaCO3)が入口側より導入され、該ライムケーキ(CaCO3)を焼成して酸化カルシウム(CaO)、並びに、二酸化炭素(CO2)に熱分解する焼成炉と、
該焼成炉の出口側から流出する酸化カルシウム(CaO)、並びに、二酸化炭素(CO2)を含んだ焼成排ガスが導入され、該焼成排ガス中の酸化カルシウム(CaO)に対し、水(H2O)を散布することにより水酸化カルシウム(Ca(OH)2)を生成し、該生成された水酸化カルシウム(Ca(OH)2)を、水(H2O)とともに懸濁液として回収する消化塔とを具備することを特徴とするライムケーキのリサイクルシステム。
【請求項3】
前記消化塔は、水を散布する水スプレー噴射部を有し、その下方に必要に応じて設置された気液接触部により、前記焼成炉から導入される焼成排ガス中に浮遊する酸化カルシウム(CaO)、並びに、水(H2O)の気液接触反応を促進して水酸化カルシウム(Ca(OH)2)の懸濁液を生成して、該懸濁液を消化塔の下部に設置された水酸化カルシウム(Ca(OH)2)の懸濁液貯留部に貯留するとともに、該懸濁液貯留部には、懸濁液(スラリー)ポンプの導入口が接続される一方、該懸濁液(スラリー)ポンプの吐出口は前記水スプレー噴射部に接続され、該懸濁液(スラリー)ポンプにより該水スプレー噴射部に送液する水酸化カルシウム(Ca(OH)2) 懸濁液の循環系を構成し、懸濁液中の水酸化カルシウム(Ca(OH))の濃度を高濃度化するようにしたことを特徴とする請求項2に記載のライムケーキのリサイクルシステム。
【請求項4】
前記懸濁液(スラリー)ポンプによる水酸化カルシウム(Ca(OH)2)懸濁液の循環系、及び前記消化塔の排気系に熱回収用熱交換器を設置したことを特徴とする請求項3に記載のライムケーキのリサイクルシステム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はライムケーキ(高含水炭酸カルシウム)から、水酸化カルシウムを製造するのに好適なライムケーキの再利用方法、及び、ライムケーキのリサイクルシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、二酸化炭素(CO2)削減対策として内燃機関駆動による自動車を、蓄電池による電気自動車(EV)に転換することが世界的規模で要請されてきている。わが国においても2030年には自家用車はEVへの転換を国の政策として推進している。
EV用蓄電池として、その蓄電性能に鑑み、リチウムイオン電池の利用が期待され、リチウムイオン蓄電池の製造では、電極材の出発原料として水酸化リチウムを使用している。水酸化リチウムの製造過程では、水酸化カルシウム(Ca(OH))を使用することから、通常、廃棄物となるライムケーキ(高含水炭酸カルシウム)が発生する。
【0003】
また、寒冷地農業の適作農産物として甜菜(ビート大根)を原料とする甜菜糖の製造は国内では北海道にて普及し、甜菜は北海道における最大量を占める農産収穫物であり、概ね年産380万トンの甜菜から、65万トンの甜菜糖が製造され、国内産砂糖の約85%を占めている。
その甜菜による製糖では、砂糖の精製過程でライムケーキ20万トン(含水率35%)を発生するが、そのほぼ全量は土壌改良材として畑地散布されてはいるが、石灰石資源を消耗することになるため、ライムケーキについて、より有効な利用方法が従来より模索されている。
【0004】
地球環境保全の視点よりSDGsが国際的命題となっている現況において、石灰石資源のサステナブルな有効利用が求められ、有限資源の消耗は極力節減せねばならないのは、必須の課題である。下記に示される先行技術文献に記載された発明は、ライムケーキから粉体状の酸化カルシウムへリサイクルすることを目的としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特公昭58-11367号公報
【特許文献2】特許第4474533号公報
【特許文献3】特許第4825994号公報
【特許文献4】特許第6607584号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Garcia Labiano:Chem Eng Sci . 57(2002). P2381
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来のライムケーキ(高含水炭酸カルシウム)から、酸化カルシウム(CaO)を製造する場合、また前述の文献に記載されている発明には以下の課題があった。
【0008】
(課題1)
従来、ライムケーキを焼成炉により熱分解した粉体状の酸化カルシウム(CaO)は、焼成炉の燃焼排ガスに随伴して焼成炉より流出する。この粉体状の酸化カルシウム(CaO)は、燃焼排ガス中の二酸化炭素(CO2)、およびライムケーキの主成分である炭酸カルシウム(CaCO)の熱分解により生成する二酸化炭素(CO2)により、再炭酸化されて炭酸カルシウム(CaCO3)となって、系内における固着トラブルの原因となるため、その再炭酸化防止の対策が必須であった。
しかし、リサイクル利用において酸化カルシウム(CaO)から水酸化カルシウム(Ca(OH))の懸濁液として利用する場合、酸化カルシウム(CaO)の再炭酸化問題は発生しない。
【0009】
(課題2)
水酸化カルシウム(Ca(OH))を懸濁液として利用する場合、焼成炉から流出した焼成排ガスに随伴する酸化カルシウム(CaO)を、散布水と気液接触させることにより、水酸化カルシウム(Ca(OH))の懸濁液(スラリー)を生成する。その際、焼成排ガス中に浮遊状態となっている酸化カルシウム(CaO)は、水との気液接触を確実に行って消化反応を惹起させる必要があるが、従来、懸濁液を確実に生成するシステムは存在しない。
【0010】
(課題3)
水酸化カルシウム(Ca(OH))懸濁液としてリサイクル利用するのであれば、燃焼排ガス中から、粉体状の酸化カルシウム(CaO)を集塵する装置は不要となる他、懸濁液及び焼成排ガスからの熱回収、つまりライムケーキの焼成工程の際に生じる熱の回収に着目したリサイクルシステムは存在しない。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、前述した課題の解決手段としてなされたものであり、以下の構成を提供するものである。なお,用語末尾の符号は後述する説明全体の共通符号であり参考のため付記する。
【0012】
請求項1記載の発明は、ライムケーキの再利用方法であって、高含水ライムケーキ(高含水炭酸カルシウム)の含水率を20%以下とする乾燥工程と、
乾燥工程を経たライムケーキ(CaCO3)を焼成して、酸化カルシウム(CaO)と、二酸化炭素(CO2)とに熱分解する焼成工程と、
焼成工程にて熱分解された酸化カルシウム(CaO)、並びに、二酸化炭素(CO2)を含んだ焼成排ガスに対し、水(H2O)を散布することにより水酸化カルシウム(Ca(OH)2)を生成する気液反応工程と、
生成された水酸化カルシウム(Ca(OH)2)を、水(H2O)とともに懸濁液として回収する懸濁液回収工程と、
回収された前記懸濁液を循環させて、前記焼成排ガス中の酸化カルシウム(CaO)の消化反応効率を向上させる循環工程と、を具備することを特徴としている。
【0013】
請求項2記載の発明は、高含水ライムケーキ(高含水炭酸カルシウム)のリサイクルシステムであって、高含水ライムケーキ(高含水炭酸カルシウム)を乾燥させるライムケーキ乾燥機(2)と、該ライムケーキ乾燥機(2)による乾燥工程を経たライムケーキ(CaCO3)が入口側より導入され、該ライムケーキ(CaCO3)を焼成して酸化カルシウム(CaO)、並びに、二酸化炭素(CO2)に熱分解する焼成炉(3)と、該焼成炉(3)の出口側から流出する酸化カルシウム(CaO)、並びに、二酸化炭素(CO2)を含んだ焼成排ガスが導入され、該焼成排ガス中の酸化カルシウム(CaO)に対し、水(H2O)を散布することにより水酸化カルシウム(Ca(OH)2)を生成し、該生成された水酸化カルシウム(Ca(OH)2)を、水(H2O)とともに懸濁液として回収する消化塔(5)とを具備することを特徴としている。
【0014】
請求項3記載の発明は、上記2項において、前記消化塔(5)は、水を散布する水スプレー噴射部(51)を有し、その下方に必要に応じて設置された気液接触部(52)により、前記焼成炉(3)から導入される焼成排ガス中に浮遊する酸化カルシウム(CaO)、並びに、水(H2O)の気液接触反応を促進して水酸化カルシウム(Ca(OH)2)の懸濁液を生成して、該懸濁液を消化塔(5)の下部に設置された水酸化カルシウム(Ca(OH)2)の懸濁液貯留部(53)に貯留するとともに、該懸濁液貯留部(53)には、懸濁液(スラリー)ポンプ(54)の導入口が接続される一方、該懸濁液(スラリー)ポンプ(54)の吐出口は前記水スプレー噴射部(51)に接続され、該懸濁液(スラリー)ポンプ(54)により前記水スプレー噴射部(51)に送液する水酸化カルシウム(Ca(OH)2) 懸濁液の循環系を構成し、懸濁液中の水酸化カルシウム(Ca(OH))の濃度を高濃度化するようにしたことを特徴としている。
【0015】
請求項4記載の発明は、上記3項において、前記懸濁液(スラリー)ポンプ(54)による水酸化カルシウム(Ca(OH)2)懸濁液の循環系、及び前記消化塔(5)の排気系に熱回収用熱交換器(55,56)を設置したことを特徴としている。
【発明の効果】
【0016】
自動車のEV化におけるリチウム電池の普及の過程において、リチウムイオン電池電極材としての水酸化リチウムを量産する際のライムケーキ(高含水炭酸カルシウム)の多量の発生、または甜菜製糖における精製工程から発生するライムケーキについて、そのリサイクル利用においてライムケーキ焼成により粉体状の酸化カルシウム(CaO)を製品化することが従来、技術開発されてきた。しかし前述の両者のリサイクル利用においては水酸化カルシウム水溶液として利用するケースことが多いことに鑑み、粉体状の酸化カルシウム(CaO)の製品化工程を経由せず、ライムケーキ焼成後に水酸化カルシウム(Ca(OH))を直接製造し、リサイクル利用する技術開発をしたことよりリサイクルコストの低減が可能となった。
即ち、前述のリチウム蓄電池電極材の出発原料として、水酸化カルシウム懸濁液の利用も可能であることに着目することによりコスト低減を達成したものである。或いは甜菜糖製造における精製過程でも、粉体状の酸化カルシウムに限定されたものでなく、水酸化カルシウム懸濁液の利用が可能であり、甜菜糖の製造コストの低減にも同様に資するものである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】炭酸カルシウム(CaCO)を焼成炉にて熱分解する場合の平衡温度と二酸化炭素(CO2)の分圧の関係を示す特性図である。
図2】ライムケーキ(主成分炭酸カルシウム)を焼成して水酸化カルシウム懸濁液を製造するためのリサイクルシステムの構成図である。
図3-1】気液接触部として粒子充填層型を採用した場合を示す正面側断面説明図である。
図3-2】図3-1のX-X´線方向から視た矢視断面図で、気液接触部として粒子充填層型を採用した場合を示した図である。
図4-1】気液接触部として多段スクリーン型を採用した場合を示す正面側断面説明図である。
図4-2】図4-2のX-X´線方向から視た矢視断面図で、気液接触部として多段スクリーン型を採用した場合を示した図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、添付図面にしたがって本発明に係るライムケーキの再利用方法、及びリサイクルシステムについて詳細に説明する。
図1は、ライムケーキの主成分である炭酸カルシウム(CaCO3)を熱分解(CaCO3→CaO+CO2)するに際し、焼成炉に供給した燃料の燃焼による二酸化炭素(CO2)と、炭酸カルシウム(CaCO3)の熱分解により生じた二酸化炭素(CO2)の分圧と、焼成時の炭酸カルシウム(CaCO3)との熱分解平衡温度(焼成排ガス)を示す曲線である。また、同図の破線は、前述した非特許文献1の「Garcia Labiano:Chem Eng Sci . 57(2002). P2381」に記載された式に基づいた曲線である。
【0019】
図1に示されるように、これらの特性曲線を境界として、その高温側上方は(CaCO3)の脱炭酸域(熱分解領域)であり、またその特性曲線の下方は炭酸化域(結合領域)となる。つまり、焼成温度が低下し、また低分圧になると(CaO)と(CO2)は再炭酸化反応(CaO+CO2→CaCO3)を惹起する。
【0020】
図2は、本発明に係るライムケーキのリサイクルシステムの一実施形態を示した図であり、ライムケーキを焼成して(CaO)を製造する際に利用されるリサイクルシステムの概略構成を示した図である。
図2に示されるように、本実施形態のライムケーキ(主成分:(CaCO3)~高含水炭酸カルシウム)の焼成システムは、高含水炭酸カルシウム(ライムケーキ)供給部(1)、焼成処理前のライムケーキを乾燥させるライムケーキ乾燥機(2)、集塵用サイクロン(21)、焼成炉(3)、消化塔(5)、懸濁液(スラリー)ポンプ(54)、熱交換器(55),(56)、加熱空気連通弁(57)等を具備して構成されている。
【0021】
高含水炭酸カルシウム供給部1から供給されたライムケーキ(CaCO3)は乾燥機(2)にて、その含水率を20パーセント以下、より好ましくは10%程度以下にした後(乾燥工程)、焼成炉(3)に供給され、燃料供給部(4)から導入されたLNG(天然ガス)などの燃料により、焼成温度1000°C以下で焼成され、炭酸カルシウム(CaCO3)の熱分解(CaCO3→CaO+CO2)により、酸化カルシウム(CaO)と、二酸化炭素(CO2)とが生成される(焼成工程)。
また、乾燥機2を経たガス中に存在する細かなライムケーキ(CaCO3)の粒子は、後段の集塵用サイクロン(21)によって集塵されてから焼成炉(3)に供給され、ライムケーキを無駄なく利用するようになっている。なお、ライムケーキ集塵後のガスは、煙突(8)より大気中に排出される。
【0022】
焼成炉(3)の出口側からは焼成排ガスが排出されるが、この焼成排ガスには分解された微粒子の酸化カルシウム(CaO)が随伴され、消化塔(5)へ導入されるようになっている。
図2に示されるように、消化塔(5)には、その内側上部に水供給部(6)に接続された水スプレー噴射部(51)が設けられ、この水スプレー噴射部(51)から水を下方へ噴霧することにより、酸化カルシウム(CaO)と、水との気液接触による消化反応(CaO+H2O→Ca(OH))を惹起して水酸化カルシウムCa(OH)を生成させる(気液反応工程)。
【0023】
図3-1は、消化塔(5)における一例としての気液接触部(52A)を示した正面側断面説明図、図3-2は平面側(X-X´線)から視た矢視断面図である。
これらの図に示されるように、気液接触効率を向上させるために、消火塔(5)内には、気液接触部(52)として、粒子充填層型気液接触部(52A)が設けられている。この粒子充填層型気液接触部(52A)は、消化塔(5)上部の水スプレー噴射部(51)から供給される水と、焼成排ガス中の酸化カルシウム(CaO)との接触において、消化塔(5)内における気液接触効率を向上させて消化反応を促進させる。
【0024】
図4-1は、消化塔5における他の気液接触部(52B)を示した正面側断面説明図、図4-2は、平面側(X-X´線)から視た矢視断面図である。
これらの図の気液接触部(52)では、多段スクリーン(52B)を配置して構成され、前述した図3-1,3-2が粒子充填層(52A)により消化反応を促進していたのに対し、多段スクリーン(52B)を設置することにより気液接触効率を向上させ、酸化カルシウム(CaO)の消化反応を促進するようにしている。
【0025】
気液接触部(52)から流下した水酸化カルシウムCa(OH)2懸濁液は、消火化塔(5)の下部貯留部(53)に貯留され(懸濁液回収工程)、さらに水酸化カルシウムCa(OH)懸濁液を懸濁液(スラリー)ポンプ(54)によって、消化塔(3)の上部の水スプレー噴射部(51)に送液し、水酸化カルシウムCa(OH)懸濁液を循環させることにより、Ca(OH)への消化反応をさらに促進し、懸濁液中の水酸化カルシウムの濃度を高めるようにしている(循環工程)。
【0026】
なお、図2において、懸濁液(スラリー)ポンプ(54)から水スプレー噴射部(51)へ至る流路には、熱交換器(55)が設置されており、空気供給部(7)から供給される空気に対して、懸濁液の熱を回収して加熱空気とし、この加熱空気を乾燥機(2)に導いて高含水ライムケーキ(CaCO3)の乾燥に利用するようになっている(熱回収利用工程)。
また、消化塔(5)から排出される排ガスの経路には、熱交換器(56)が設置されており、空気供給部(7)から送られる空気を排ガスの熱で加熱し、加熱空気連通弁(57)を経て、加熱空気として乾燥機(2)に送ることで、同様に高含水ライムケーキ(CaCO3)の乾燥に利用している(熱回収利用工程)。
これによって、システム系内で効率的な熱利用を図ることが可能となる。熱利用された排ガスは、煙突(8)から空気中へ排出される。
【0027】
(実施設計例)
以下に、本実施形態の図2によるシステムを使用した、ライムケーキより水酸化カルシウム水溶液を製造する実施設計例を以下に示す。

ライムケーキ: 1,500(Kg/h)= CaCO975(Kg/h)+水分525(Kg/h)
ライムケーキ乾燥後: 1,083(Kg/h)=CaCO975(Kg/h)+水分108(Kg/h)
燃料消費量: LNG 105( m/h)
水酸化カルシウム収量: Ca(OH)2 766(Kg/h)
濃度40%懸濁液: 1,920(Kg/h)

なお、水酸化カルシウム懸濁液(スラリー)中のCa(OH)の固形分濃度は、40%以下が適する。
【0028】
前述の実施設計例によれば、水分の含有量が、525(Kg/h)、炭酸カルシウム(CaCO)を975(Kg/h)含有する1,500(Kg/h)の高含水ライムケーキ(高含水炭酸カルシウム)から、水溶液中の濃度40パーセントとなる766(Kg/h)の水酸化カルシウムCa(OH)2懸濁液1,920(Kg/h)を製造することが可能となった。
【産業上の利用可能性】
【0029】
二酸化炭素(CO2)の削減対策として、2030年には自家用車は電気自動車(EV)化することが国の政策として採用され、そのEV化の背景として現段階ではリチウムイオン蓄電池の適用が想定されている。リチウムイオン蓄電池電極材の出発原料として水酸化リチウムを使用するが、水酸化リチウム製造過程において水酸化カルシウムCa(OH)を使用し、廃棄物としてライムケーキ(高含水炭酸カルシウム~(CaCO))を発生する。また、国内における砂糖製造に際しては、その精製過程においてライムケーキが発生するが、本格的なリサイクル利用がなされていないのが現状である。
以上より、本発明ではライムケーキ(高含水炭酸カルシウム~(CaCO))のリサイクル利用として、粉体状の酸化カルシウム(CaO)としての利用のほか、水酸化カルシウムCa(OH)を懸濁液として利用するようにしたことから、リサイクルに要するコスト低減が可能であるとともに、ひいては石灰石資源の節減を図ることができる。
【符号の説明】
【0030】
1 :高含水炭酸カルシウム(ライムケーキ)供給部
2 :乾燥機
21:集塵用サイクロン
3 :焼成炉
4 :燃料供給部
5:気液接触消化塔
51:水スプレー噴射部
52:気液接触部
52A:粒子充填型気液接触部
52B:多段スクリーン型気液接触部
53:水酸化カルシウム懸濁液貯留部
54:懸濁液(スラリー)ポンプ
55:熱交換器(スラリー用)
56:熱交換器(排出ガス用)
57:加熱空気連通弁
6 :水供給部
7 :空気供給部
8 :煙突



図1
図2
図3-1】
図3-2】
図4-1】
図4-2】
【手続補正書】
【提出日】2022-03-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高含水ライムケーキ(高含水炭酸カルシウム)の含水率を20%以下とする乾燥工程と、
乾燥工程を経たライムケーキ(CaCO3)を焼成して、酸化カルシウム(CaO)と、二酸化炭素(CO2)とに熱分解する焼成工程と、
焼成工程にて熱分解された酸化カルシウム(CaO)、並びに、二酸化炭素(CO2)を含んだ焼成排ガスを消化塔へ導入して、該焼成排ガスに対し、水(H2O)を散布することにより水酸化カルシウム(Ca(OH)2)を生成する気液反応工程と、
生成された水酸化カルシウム(Ca(OH)2)を、水(H2O)とともに懸濁液として回収する懸濁液回収工程と、
回収された前記懸濁液を、前記消化塔上部の水スプレー噴射部に送液することにより、前記焼成排ガス中の酸化カルシウム(CaO)の消化反応効率を向上させて、懸濁液中の水酸化カルシウム(Ca(OH) 2 )の濃度を高める循環工程と、を具備することを特徴とするライムケーキの再利用方法。
【請求項2】
高含水ライムケーキ(高含水炭酸カルシウム)のリサイクルシステムであって、高含水ライムケーキ(高含水炭酸カルシウム)を乾燥させるライムケーキ乾燥機と、
該ライムケーキ乾燥機による乾燥工程を経たライムケーキ(CaCO3)が入口側より導入され、該ライムケーキ(CaCO3)を焼成して酸化カルシウム(CaO)、並びに、二酸化炭素(CO2)に熱分解する焼成炉と、
該焼成炉の出口側から流出する酸化カルシウム(CaO)、並びに、二酸化炭素(CO2)を含んだ焼成排ガスが導入され、該焼成排ガス中の酸化カルシウム(CaO)に対し、水(H2O)を散布することにより水酸化カルシウム(Ca(OH)2)を生成し、該生成された水酸化カルシウム(Ca(OH)2)を、水(H2O)とともに懸濁液として回収する消化塔とを具備し、
前記消化塔は、水を散布する水スプレー噴射部を有し、その下方に必要に応じて設置された気液接触部により、前記焼成炉から導入される焼成排ガス中に浮遊する酸化カルシウム(CaO)、並びに、水(H2O)の気液接触反応を促進して水酸化カルシウム(Ca(OH)2)の懸濁液を生成して、該懸濁液を消化塔の下部に設置された水酸化カルシウム(Ca(OH)2)の懸濁液貯留部に貯留するとともに、該懸濁液貯留部には、懸濁液(スラリー)ポンプの導入口が接続される一方、該懸濁液(スラリー)ポンプの吐出口は前記水スプレー噴射部に接続され、該懸濁液(スラリー)ポンプにより前記水スプレー噴射部に送液する水酸化カルシウム(Ca(OH)2) 懸濁液の循環系を構成し、懸濁液中の水酸化カルシウム(Ca(OH))の濃度を高濃度化するようにしたことを特徴とするライムケーキのリサイクルシステム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0012】
請求項1記載の発明は、高含水ライムケーキ(高含水炭酸カルシウム)の含水率を20%以下とする乾燥工程と、乾燥工程を経たライムケーキ(CaCO3)を焼成して、酸化カルシウム(CaO)と、二酸化炭素(CO2)とに熱分解する焼成工程と、焼成工程にて熱分解された酸化カルシウム(CaO)、並びに、二酸化炭素(CO2)を含んだ焼成排ガスを消化塔へ導入して、該焼成排ガスに対し、水(H2O)を散布することにより水酸化カルシウム(Ca(OH)2)を生成する気液反応工程と、生成された水酸化カルシウム(Ca(OH)2)を、水(H2O)とともに懸濁液として回収する懸濁液回収工程と、
回収された前記懸濁液を、前記消化塔上部の水スプレー噴射部に送液することにより、前記焼成排ガス中の酸化カルシウム(CaO)の消化反応効率を向上させて、懸濁液中の水酸化カルシウム(Ca(OH) 2 )の濃度を高める循環工程と、を具備することを特徴としている。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0013】
請求項2記載の発明は、高含水ライムケーキ(高含水炭酸カルシウム)のリサイクルシステムであって、高含水ライムケーキ(高含水炭酸カルシウム)を乾燥させるライムケーキ乾燥機(2)と、該ライムケーキ乾燥機(2)による乾燥工程を経たライムケーキ(CaCO3)が入口側より導入され、該ライムケーキ(CaCO3)を焼成して酸化カルシウム(CaO)、並びに、二酸化炭素(CO2)に熱分解する焼成炉(3)と、該焼成炉(3)の出口側から流出する酸化カルシウム(CaO)、並びに、二酸化炭素(CO2)を含んだ焼成排ガスが導入され、該焼成排ガス中の酸化カルシウム(CaO)に対し、水(H2O)を散布することにより水酸化カルシウム(Ca(OH)2)を生成し、該生成された水酸化カルシウム(Ca(OH)2)を、水(H2O)とともに懸濁液として回収する消化塔(5)とを具備し、
前記消化塔(5)は、水を散布する水スプレー噴射部(51)を有し、その下方に必要に応じて設置された気液接触部(52)により、前記焼成炉(3)から導入される焼成排ガス中に浮遊する酸化カルシウム(CaO)、並びに、水(H2O)の気液接触反応を促進して水酸化カルシウム(Ca(OH)2)の懸濁液を生成し、該懸濁液を消化塔(5)の下部に設置された水酸化カルシウム(Ca(OH)2)の懸濁液貯留部(53)に貯留するとともに、該懸濁液貯留部(53)には、懸濁液(スラリー)ポンプ(54)の導入口が接続される一方、該懸濁液(スラリー)ポンプ(54)の吐出口は前記水スプレー噴射部(51)に接続され、該懸濁液(スラリー)ポンプ(54)により前記水スプレー噴射部(51)に送液する水酸化カルシウム(Ca(OH)2) 懸濁液の循環系を構成し、懸濁液中の水酸化カルシウム(Ca(OH))の濃度を高濃度化するようにしたことを特徴としている。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正書】
【提出日】2022-09-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高含水ライムケーキ(高含水炭酸カルシウム)の含水率を20%以下とする乾燥工程と、
乾燥工程を経たライムケーキ(CaCO3)を焼成炉によって焼成して、酸化カルシウム(CaO)と、二酸化炭素(CO2)とに熱分解する焼成工程と、
焼成工程にて熱分解された酸化カルシウム(CaO)、並びに、二酸化炭素(CO2)を含んだ焼成排ガスを消化塔へ導入し、該焼成排ガスに対し、水供給部に接続された該消化塔内の水スプレー噴射部から、水(H2O)を散布することにより水酸化カルシウム(Ca(OH)2)を生成する消化反応工程と、
生成された水酸化カルシウム(Ca(OH)2)を、水(H2O)とともに懸濁液として前記消化塔から回収する懸濁液回収工程と、
回収された前記懸濁液を、前記消化塔上部の水スプレー噴射部に送液して循環させることにより、前記焼成排ガス中の酸化カルシウム(CaO)の消化反応効率を向上させて、懸濁液中の水酸化カルシウム(Ca(OH)2)の濃度を高める循環工程と、を具備して焼成プロセスと消化プロセスを統合したことを特徴とするライムケーキの再利用方法。
【請求項2】
高含水ライムケーキ(高含水炭酸カルシウム)のリサイクルシステムであって、高含水ライムケーキ(高含水炭酸カルシウム)を乾燥させるライムケーキ乾燥機と、
前記ライムケーキ乾燥機による乾燥工程を経たライムケーキ(CaCO3)が入口側より導入され、該ライムケーキ(CaCO3)を焼成して酸化カルシウム(CaO)、並びに、二酸化炭素(CO2)に熱分解する焼成炉と、
前記焼成炉の出口側から流出する酸化カルシウム(CaO)、並びに、二酸化炭素(CO2)を含んだ焼成排ガスが導入され、該焼成排ガス中の酸化カルシウム(CaO)に対し、水(H2O)を散布することにより水酸化カルシウム(Ca(OH)2)を生成し、該生成された水酸化カルシウム(Ca(OH)2)を、水(H2O)とともに懸濁液として回収する消化塔とを具備し、
該消化塔は、水供給部に接続された水スプレー噴射部を有し、その下方の液滴落下空間及び必要に応じて設置された気液接触部により、前記焼成炉から導入される焼成排ガス中に浮遊する酸化カルシウム(CaO)と、水(H 2 O)との消化反応を促進して水酸化カルシウム(Ca(OH)2)の懸濁液を生成し、該懸濁液を消化塔の下部に設置された水酸化カルシウム(Ca(OH)2)の懸濁液貯留部に貯留するとともに、該懸濁液貯留部には、懸濁液(スラリー)ポンプの導入口が接続される一方、該懸濁液(スラリー)ポンプの吐出口は前記水スプレー噴射部に接続され、該懸濁液(スラリー)ポンプにより前記水スプレー噴射部に送液する水酸化カルシウム(Ca(OH)2) 懸濁液の循環系を構成し、懸濁液中の水酸化カルシウム(Ca(OH))の濃度を高濃度化するとともに、
前記懸濁液(スラリー)ポンプによる水酸化カルシウム(Ca(OH) 2 ) 懸濁液の循環系、及び前記消化塔の排気系に、それぞれ熱回収用の熱交換器を設置し、該熱交換器により加熱された、それぞれの加熱空気を同時に前記焼成炉及び前記ライムケーキ乾燥機に導いて、燃焼用空気の加熱及びライムケーキの乾燥に利用することを特徴とするライムケーキのリサイクルシステム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0012】
請求項1記載の発明は、高含水ライムケーキ(高含水炭酸カルシウム)の含水率を20%以下とする乾燥工程と、
乾燥工程を経たライムケーキ(CaCO3)を焼成炉(3)によって焼成して、酸化カルシウム(CaO)と、二酸化炭素(CO2)とに熱分解する焼成工程と、
焼成工程にて熱分解された酸化カルシウム(CaO)、並びに、二酸化炭素(CO2)を含んだ焼成排ガスを消化塔(5)へ導入し、該焼成排ガスに対し、水供給部(6)に接続された該消化塔(5)内の水スプレー噴射部(51)から、水(H2O)を散布することにより水酸化カルシウム(Ca(OH)2)を生成する消化反応工程と、
生成された水酸化カルシウム(Ca(OH)2)を、水(H2O)とともに懸濁液として前記消化塔(5)から回収する懸濁液回収工程と、
回収された前記懸濁液を、前記消化塔(5)上部の水スプレー噴射部(51)に送液して循環させることにより、前記焼成排ガス中の酸化カルシウム(CaO)の消化反応効率を向上させて、懸濁液中の水酸化カルシウム(Ca(OH)2)の濃度を高める循環工程と、を具備して焼成プロセスと消化プロセスを統合したことを特徴としている。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0013】
請求項2記載の発明は、高含水ライムケーキ(高含水炭酸カルシウム)のリサイクルシステムであって、高含水ライムケーキ(高含水炭酸カルシウム)を乾燥させるライムケーキ乾燥機(2)と、
前記ライムケーキ乾燥機(2)による乾燥工程を経たライムケーキ(CaCO3)が入口側より導入され、該ライムケーキ(CaCO3)を焼成して酸化カルシウム(CaO)、並びに、二酸化炭素(CO2)に熱分解する焼成炉(3)と、
前記焼成炉(3)の出口側から流出する酸化カルシウム(CaO)、並びに、二酸化炭素(CO2)を含んだ焼成排ガスが導入され、該焼成排ガス中の酸化カルシウム(CaO)に対し、水(H2O)を散布することにより水酸化カルシウム(Ca(OH)2)を生成し、該生成された水酸化カルシウム(Ca(OH)2)を、水(H2O)とともに懸濁液として回収する消化塔(5)とを具備し、
該消化塔(5)は、水供給部(6)に接続された水スプレー噴射部(51)を有し、その下方の液滴落下空間及び必要に応じて設置された気液接触部(52)により、前記焼成炉(3)から導入される焼成排ガス中に浮遊する酸化カルシウム(CaO)と、水(H 2 O)との消化反応を促進して水酸化カルシウム(Ca(OH)2)の懸濁液を生成し、該懸濁液を消化塔(5)の下部に設置された水酸化カルシウム(Ca(OH)2)の懸濁液貯留部(53)に貯留するとともに、該懸濁液貯留部(53)には、懸濁液(スラリー)ポンプ(54)の導入口が接続される一方、該懸濁液(スラリー)ポンプ(54)の吐出口は前記水スプレー噴射部(51)に接続され、該懸濁液(スラリー)ポンプ(54)により前記水スプレー噴射部(51)に送液する水酸化カルシウム(Ca(OH)2) 懸濁液の循環系を構成し、懸濁液中の水酸化カルシウム(Ca(OH))の濃度を高濃度化するとともに、
前記懸濁液(スラリー)ポンプ(54)による水酸化カルシウム(Ca(OH) 2 ) 懸濁液の循環系、及び前記消化塔(5)の排気系に、それぞれ熱回収用の熱交換器(55,56)を設置し、該熱交換器(55,56)により加熱された、それぞれの加熱空気を同時に前記焼成炉(3)及び前記ライムケーキ乾燥機(2)に導いて、燃焼用空気の加熱及びライムケーキの乾燥に利用することを特徴としている。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0022
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0022】
焼成炉(3)の出口側からは焼成排ガスが排出されるが、この焼成排ガスには分解された微粒子の酸化カルシウム(CaO)が随伴され、消化塔(5)へ導入されるようになっている。
図2に示されるように、消化塔(5)には、その内側上部に水供給部(6)に接続された水スプレー噴射部(51)が設けられ、この水スプレー噴射部(51)から水を下方へ噴霧することにより、酸化カルシウム(CaO)と、水との接触による消化反応(CaO+H2O→Ca(OH))を惹起して水酸化カルシウムCa(OH)を生成させる(消化反応工程)。