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特開2023-73151測量方法、測量システム及び測量プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023073151
(43)【公開日】2023-05-25
(54)【発明の名称】測量方法、測量システム及び測量プログラム
(51)【国際特許分類】
   G01C 15/00 20060101AFI20230518BHJP
   G01C 15/08 20060101ALI20230518BHJP
   E04G 21/18 20060101ALI20230518BHJP
【FI】
G01C15/00 103A
G01C15/08
E04G21/18 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021186003
(22)【出願日】2021-11-15
(71)【出願人】
【識別番号】000220343
【氏名又は名称】株式会社トプコン
(74)【代理人】
【識別番号】100187322
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 直輝
(74)【代理人】
【識別番号】100213702
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 芳則
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 康平
(72)【発明者】
【氏名】西 義弘
(72)【発明者】
【氏名】宮嶋 基広
(72)【発明者】
【氏名】田中 崇
【テーマコード(参考)】
2E174
【Fターム(参考)】
2E174DA41
(57)【要約】
【課題】現場において作業者が効率的よく位置の取得を可能とすること。
【解決手段】測量装置と端末を含む測量システムを用いた測量方法は、端末により複数の連続する基礎点から被測量基礎点の選択を受け付ける工程と、被測量基礎点と被測量基礎点に隣接する隣接基礎点とを結んだ基準線と、予め設定された境界辺と、の交点を求める工程と、被測量基礎点に対応させて測量装置により測量した被測量装置の位置と、前記交点との相対位置を出力する工程と、を含む。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
測量装置と端末を含む測量システムを用いた測量方法であって、
前記端末により複数の連続する基礎点から被測量基礎点の選択を受け付ける工程と、
前記被測量基礎点と前記被測量基礎点に隣接する隣接基礎点とを結んだ基準線と、予め設定された境界辺と、の交点を求める工程と、
前記被測量基礎点に対応させて前記測量装置により測量した被測量装置の位置と、前記交点との相対位置を出力する工程と、
を含む測量方法。
【請求項2】
前記相対位置は、前記交点から前記被測量装置の位置までの離れである請求項1に記載の測量方法。
【請求項3】
前記基準線は、前記被測量基礎点と前記被測量基礎点の一方側に隣接する第一隣接基礎点とを結ぶ第一基準線、及び、前記被測量基礎点と前記被測量基礎点の他の一方側に隣接する第二隣接基礎点とを結ぶ第二基準線、を含み、
前記交点は、前記第一基準線と境界辺との第一交点、及び、前記第二基準線と境界辺との第二交点、を含む、
請求項1又は請求項2に記載の測量方法。
【請求項4】
前記境界辺は、前記測量装置による測量により、予め設定される請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の測量方法。
【請求項5】
複数の前記基礎点は、連続する順に基礎点識別情報が割り当てられており、
前記被測量基礎点は、前記被測量基礎点に対応する基礎点識別情報の選択指示により選択される、
請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の測量方法。
【請求項6】
前記被測量基礎点の基礎点識別情報に連続して割り当てられた基礎点識別情報の前記基礎点を、前記隣接基礎点として求める、請求項5に記載の測量方法。
【請求項7】
前記端末は、前記交点から前記被測量装置の位置までの離れと、前記基準線に対する前記被測量装置の位置である出入りと、を表示する請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の測量方法。
【請求項8】
前記境界辺は、連続する順に境界点識別情報が割り当てられた複数の境界点を結線して構成される、請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載の測量方法。
【請求項9】
前記被測量基礎点は、複数の前記基礎点から一つ選択される請求項1乃至請求項8のいずれか一項に記載の測量方法。
【請求項10】
測量装置と端末を含む測量システムであって、
前記端末は、
複数の連続する基礎点から被測量基礎点の選択を受け付ける入力部と、
前記被測量基礎点と前記被測量基礎点に隣接する隣接基礎点とを結んだ基準線と、予め設定された境界辺と、の交点を求める制御部と、
前記被測量基礎点に対応させて前記測量装置により測量した被測量装置の位置と、前記交点との相対位置を出力する表示部と、
を備える測量システム。
【請求項11】
測量装置と端末を含む測量システムを用いた測量プログラムであって、
前記端末により複数の連続する基礎点から被測量基礎点の選択を受け付ける工程と、
前記被測量基礎点と前記被測量基礎点に隣接する隣接基礎点とを結んだ基準線と、予め設定された境界辺と、の交点を求める工程と、
前記被測量基礎点に対応させて前記測量装置により測量した被測量装置の位置と、前記交点との相対位置を出力する工程と、
をコンピュータに実行させるための測量プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、測量方法、測量システム及び測量プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
建築を始める前に柱や壁の位置を決めるため、「遣り方」の設置が行われる。遣り方は、基礎工事に先立って、コンクリート等の建物の基礎の水平線等を設定するために、必要な個所に杭や横板を設置する仮設物である。遣り方の設置後、建築物の基礎工事において、例えば設計情報に基づく基礎点の墨出しが行われる。例えば、特許文献1には、光発生器を真の墨出点と予想される点に置き、各トランシットでもって、各予想点で発せられた発光体を検出し、検出値と墨出点の値とのずれを経緯距の差として算出する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3784763号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
建築物は土地の境界から所定の距離を離して設置することが求められる。建築現場において、土地の実際の境界位置は、例えば施工業者が予め保有している設計情報と一致しない場合があり、建築物と境界との距離が設計情報とは異なる場合がある。従って、基礎工事の段階で墨出点の位置と境界との位置関係(例えば、離れ)が適切か否かの確認作業が必要となる場合がある。例えば、上述の特許文献1では、境界線に記された二箇所のベンチマークを基準として、各トランシットにより、測量対象である墨出点に対応する発光体を検出している。しかし、墨出点を結んだ基準線と境界線との相対的な位置関係等を求めることは容易ではない。
【0005】
本開示の一側面は、係る事情を鑑みてなされたものであり、現場において作業者が効率的よく位置の取得を可能とする測量方法、測量システム及び測量プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記した目的を達成するために、本開示の測量方法は、測量装置と端末を含む測量システムを用いた測量方法であって、前記端末により複数の連続する基礎点から被測量基礎点の選択を受け付ける工程と、前記被測量基礎点と前記被測量基礎点に隣接する隣接基礎点とを結んだ基準線と、予め設定された境界辺と、の交点を求める工程と、前記被測量基礎点に対応させて前記測量装置により測量した被測量装置の位置と、前記交点との相対位置を出力する工程と、を含む。
【0007】
また、上記した目的を達成するために、本開示の測量システムは、測量装置と端末を含む測量システムであって、前記端末は、複数の連続する基礎点から被測量基礎点の選択を受け付ける入力部と、前記被測量基礎点と前記被測量基礎点に隣接する隣接基礎点とを結んだ基準線と、予め設定された境界辺と、の交点を求める制御部と、前記被測量基礎点に対応させて前記測量装置により測量した被測量装置の位置と、前記交点との相対位置を出力する表示部と、を備える。
【0008】
また、上記した目的を達成するために、本開示の測量プログラムは、測量装置と端末を含む測量システムを用いた測量プログラムであって、前記端末により複数の連続する基礎点から被測量基礎点の選択を受け付ける工程と、前記被測量基礎点と前記被測量基礎点に隣接する隣接基礎点とを結んだ基準線と、予め設定された境界辺と、の交点を求める工程と、前記被測量基礎点に対応させて前記測量装置により測量した被測量装置の位置と、前記交点との相対位置を出力する工程と、をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0009】
本開示の測量方法、測量システム及び測量プログラムによれば、現場において作業者が効率的よく位置の取得を可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】遣り方が設置された建築現場の例を説明する図である。
図2】本開示の実施形態に係る測量システムの構成図である。
図3】設計情報の構成図である。
図4】測量情報の構成図である。
図5】基礎点の相対位置を測定する処理の示すフローチャートを示す図である。
図6】基礎点の相対位置を測定する画面の一例を示す図である。
図7】遣り方杭とベンチマークの標高の関係について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。図1は、遣り方3が設置された建築現場の例を説明する図である。「遣り方」は、建築を始める前に柱や壁の位置を決めるためのものであり、基礎工事に先立ってコンクリートなどの建物の基礎の水平線等を設定するために、必要な個所に杭や横板を設置する仮設物である。遣り方3を用いた一連の作業を「遣り方を出す」ともいう。遣り方3は、基準として動かないものに基準墨等のマークを設置した後は必要なくなり、最終的には撤去される。遣り方3は、例えば隅遣り方であり、平面視略L字状に配置される。例えば、図1の基礎点MPH2側に配置される遣り方3は、遣り方杭31A,31B,31C(31)及び水貫き32A,32B(32)を備えている。このような隅遣り方は、矩形上の建物であれば、建物の四隅に設置される。対向する複数の隅遣り方の間には、図示しない水糸が張り渡される。なお、本開示において、遣り方杭31A~31Cは同じ機能を有するものであり、これらを区別せずにまとめて遣り方杭31ともいう。同様に、水貫き32A~32Dもまとめて水貫き32ともいう。
【0012】
遣り方杭31は、遣り方3を設置するために地面に打つ杭のことであり、水杭又は見当杭ともいう。各遣り方杭31には、貫き天端321(水貫き32の上端)の位置を示すマーク(墨)LMが描かれる。このマークLMは、水平墨ともいう。マークLMは建物の基礎の標高を示している。水貫き32は、遣り方杭31に示されたマークLMに上端を合わせて設置され、基礎の標高を示す横板である。
【0013】
遣り方3の内側には、基準線ML11,ML12(ML10)に沿って、対向する水貫き32間に水平に張り渡される水糸(不図示)が設置される。なお、基準線ML11は基準辺ML1及び基準辺ML1の延長線(例えば、仮想延長線VL1)を含み、基準線ML12は基準辺ML2及び基準辺ML2の延長線(例えば、仮想延長線VL2)を含む。水糸は、ナイロン製やポリエチレン製の糸又はピアノ線を用いてもよい。水糸の示す高さは建物の基礎の標高である。図1に示す基準辺ML1~ML4は、予め設定された設計情報121として水糸が張設されるべき位置を示す仮想的な線である。基準辺ML1~ML4は、設計情報121として与えられた基礎点MPH1~MPH4図6も参照)を結ぶようにして算出される。これらの基礎点MPH1~MPH4は、基準辺ML1~ML4の始点又は終点となりうる。
【0014】
水糸は、水貫き32に釘を打つなどして設けられた固定点に固定されて、対向する水貫き32の間に張設される。例えば、水糸は、水貫き32Aと対向する水貫き32Dとの間に張設される。水糸は、略水平に張り渡されるため、マークLMと略同じ高さに設置される。
【0015】
図2は、本開示の実施形態にかかる測量システム1の構成図である。測量システム1は、測量装置200、端末100及び被測量装置300を有する。
【0016】
測量装置200は、例えば、既知である座標上に設けられているトータルステーション(TS)等光波方式による測量機器である。「TS等光波方式」とは、TSに加え、自動追尾機能を有するTSと同等の測定ができるもので、かつ望遠鏡を搭載しない光波方式を用いる測定機器等を含むものである。測量装置200は、ターゲットである被測量装置300を自動追尾して、被測量装置300を配置した施工現場等における任意の位置を測量することができる。被測量装置300は、測量装置200から放射された光を再び測量装置200へ反射する光学素子を備える。この光学素子は、再帰反射特性を有するいわゆる再帰反射プリズム301(図7も参照)である。被測量装置300は、既知の長さのポール302に再帰反射プリズム301が設けられた測量用ポールを用いることができる。
【0017】
測量装置200は、三脚に支持された水平方向に回転駆動可能な水平回転駆動部と、水平回転駆動部上にて鉛直方向に回転可能な鉛直回転駆動部とを介して望遠鏡部が設けられている。測量装置200には、測角部212として、水平方向の回転角を検出する水平角検出部と、には鉛直方向の回転角を検出する鉛直角検出部が設けられている(詳細は不図示)。これら水平角検出部及び鉛直角検出部により、測量装置200は、視準している方向の鉛直角及び水平角を測角することができる。
【0018】
さらに、測量装置200は、被測量装置300までの斜距離を測定する測距部211を有する。測距部211の構成としては、例えば光波距離計が設けられている。便宜上、これら測角部212と測距部211をあわせて測量部210と呼ぶ。
【0019】
また、測量装置200は、測量部210、測量記憶部220、測量通信部230、測量制御部240及び追尾制御部250を有している。
【0020】
測量記憶部220は、上記の測量制御や追尾制御等を行うための各種プログラムや、建築現場等において使用する土地の情報(標高等)や設計情報121等を予め記憶する。また、測量記憶部220は、測量情報122を記憶する。なお、測量装置200は、プログラムを実行させるためのコンピュータを備える。
【0021】
測量通信部230は、端末100等の外部機器と通信可能な機能を有し、例えば任意の無線通信手段又は有線通信手段により構成することができる。
【0022】
測量制御部240は、測量装置200による測量等の機能を制御する。具体的には、自動又は手動で被測量装置300を視準し、上記した測角部212(水平角検出部、鉛直角検出部)及び測距部211により、測量装置200と被測量装置300との水平角、鉛直角及び斜距離を検出する。被測量装置300が棒状のポール320及び再帰反射プリズム301を含む測量用ポールである場合、再帰反射プリズム310からポール320の末端(上端又は下端)までの距離は既知である。従って、測量制御部240は、測角部212及び測距部211により測量された再帰反射プリズム310の位置を補正して、ポール320の末端位置(上端位置又は下端位置)を測量結果として算出することができる。
【0023】
追尾制御部250は、光源を含む追尾部から追尾光を照射し、被測量装置300により反射された追尾光を受光し続けるよう水平回転駆動部及び鉛直回転駆動部の駆動を制御することで、測量装置200(望遠鏡部)に被測量装置300を追尾させる。
【0024】
端末100(端末装置)は、例えば、スマートフォン、フィーチャーフォン、タブレット、ハンドヘルドコンピュータデバイス(例として、PDA(Personal Digital Assistant)等)、ウェアラブル端末(メガネ型デバイス、時計型デバイスなど)、等とすることができる。又は、端末100は、汎用の機器にアプリケーションソフトウェアをインストールすることで構成することができる。端末100は、例えば、作業現場に携帯して容易に持ち運びできる携帯型の端末である。従って、作業者は、端末100をハンズフリーや片手で保持することにより、表示部150を容易に視認することができる。
【0025】
端末100は、端末制御部110、端末記憶部120、端末通信部130、入力部140及び表示部150を有する。
【0026】
端末制御部110は、図示しないが端末記憶部120に記憶されるプログラムに含まれるコード又は命令によって実現する機能及び/又は方法を実行する。端末100は、プログラムを実行させるためのコンピュータを備える。端末制御部110は、例として、中央処理装置(CPU)、MPU、GPU、マイクロプロセッサ、プロセッサコア、マルチプロセッサ、ASIC、FPGA等を含み、集積回路等に形成された論理回路や専用回路によって各実施形態に開示される各処理を実現してもよい。また、これらの回路は、1又は複数の集積回路により実現されてよく、各実施形態に示す複数の処理を1つの集積回路により実現されることとしてもよい。また、端末制御部110は、端末記憶部120から読み出したプログラムを一時的に記憶し、作業領域を提供する主記憶部を備えてもよい。
【0027】
端末通信部130は、測量装置200の測量通信部230と通信可能な機能を有する。端末通信部130は、例えば、測量装置200により被測量装置300を測量した測量結果又は測量制御部240によって算出された位置情報(ポール先端までの水平角、鉛直角、斜距離)等を受信可能である。測量結果に基づく位置情報の演算は、測量装置200側で行ってもよいし、端末100側で行ってもよい。また、測量装置200と端末100との間の通信は、有線及び無線のいずれで実行されてもよく、互いの通信が実行できるのであれば、どのような通信プロトコルを用いてもよい。
【0028】
入力部140は、ユーザである作業者2からの入力を受け付けて、その入力にかかる情報を端末制御部110に伝達できる任意の構成により実現することができる。例えば、入力部140は、ボタン等によるハードウェア入力手段、タッチパネル等の表示部150上に表示されたソフトウェア入力手段、リモートコントローラ、又はマイク等の音声入力手段を含むことができる。
【0029】
表示部150は、画像(画面)を表示することができる任意の構成により実現することができる。例えば、表示部150は、液晶やOLED等の平面ディスプレイ、曲面ディスプレイ、折畳可能なフォルダブル端末に設けられた折畳画面、ヘッドマウントディスプレイ、又は小型プロジェクタを用いた物質への投影(空中投影も含む)により表示可能な装置を用いることができる。
【0030】
端末記憶部120は、必要とする各種プログラムや各種データを記憶する機能を有する。その他にも、端末記憶部120は、端末通信部130により受信した測量情報122及びその測量情報122に基づき算出された位置情報を記憶することができる。また、端末記憶部120、建築現場等において使用する土地の情報(標高等)や設計情報121等を記憶することができる。端末記憶部120は、HDD、SSD、フラッシュメモリ等の各種の記憶媒体により構成することができる。
【0031】
設計情報121は、例えば、建築工事において必要な設計図を含む情報である。建築工事は、例えば建築物、道路、線路、トンネル、橋梁、溝、水路、河川等の構造物の工事である。本実施形態の端末記憶部120は、設計情報121として、複数の基礎点MPH1~MPH4及び複数の境界点DPK1~DPK5(なお、符号「MP」及び「DP」の添え字は、それぞれ基礎点MP及び境界点DPの識別情報121a,122aを示している。)等について識別情報121a及び座標情報121b等を対応させたデータが含まれる(図3参照)。
【0032】
図3は、設計情報121の構成図である。設計情報121は、基礎点MP又は境界点DPの識別情報121aと座標情報121bとを対応して記憶する。識別情報121aは、基礎点MPに対応する基礎点識別情報121a1と、境界点DPに対応する境界点識別情報121a2とを含む。本実施形態の基礎点識別情報121a1及び境界点識別情報121a2は、アルファベットと数字によって構成されている。例えば、基礎点識別情報121a1の数字は、基準辺MLに沿って連続番号で付与される。また、境界点識別情報121a2の数字も、境界辺DLに沿って連続番号で付与される。従って、複数の基礎点MP及び境界点DPは、連続する順に識別番号が割り当てられている。なお、設計情報121は、図3に示した情報以外の情報を含んでもよい。
【0033】
図4は、測量情報122の構成図である。測量情報122は、基礎点MP又は境界点DPの各測量結果に対して付与される識別情報122aと、座標情報122bと、出入り122cと、離れ122dと、を対応して記憶する。識別情報122aは、基礎点MPに対応する基礎点識別情報122a1と、境界点DPに対応する境界点識別情報122a2とを含む。基礎点識別情報122a1及び境界点識別情報122a2は、設計情報121における基礎点識別情報121a1及び境界点識別情報121a2と紐づくように設定され、本実施形態では基礎点識別情報121a1及び境界点識別情報121a2に「+STK」の添え字が付加されて構成される。従って、測量結果においても、複数の基礎点MP及び境界点DPは、連続する順に識別番号が割り当てられている。なお、測量情報122も、図4に示した情報以外の情報を含んでもよい。
【0034】
端末記憶部120には、アプリケーションソフトウェアのプログラムとして、各種機能を実現する仮想延長線算出部123、境界辺算出部124、交点算出部125、相対位置算出部126、貫き天端位置算出部127、及び水糸出入誘導部128等が記憶されている。
【0035】
仮想延長線算出部123は、水糸の張り渡し位置を示す基準辺ML(基礎基準辺)を延長した線である仮想延長線VLを算出する機能を備えている。境界辺算出部124は、境界点DPに基づいて敷地の境界線を示す境界辺DL(境界基準辺)を算出する機能を備えている。交点算出部125は、境界辺DLと仮想延長線VLの交点(例えば、交点CP1,CP2)を算出する機能を有している。相対位置算出部126は、被測量装置300の測量位置と、選択された被測量基礎点に対応する境界辺における交点との相対位置や、選択された基礎点MP(被測量基礎点)に対する相対位置を算出する機能を有している。
【0036】
貫き天端位置算出部127は、予め記憶された基礎の基準高(図7で後述する貫き天端321)と、測量装置200により測量したベンチマークBMの標高及び遣り方杭31の杭頭311の標高と、に基づき、遣り方杭31の杭頭311から基礎の基準高までの高さの差分を算出して、表示部150に表示する機能を備えている。水糸出入誘導部128は、水糸を設置する際に、被測量基礎点の座標(例えば、設計情報121における座標情報121b)と、被測量基礎点における被測量装置300の測量位置との距離を、端末100に表示する機能を備えている。
【0037】
(相対位置測定機能)
以下に、本開示の実施形態に係る測量方法、測量システム及び測量プログラムの一側面である相対位置測定機能の概要について説明する。
【0038】
法令により、建物の基礎は敷地の境界線から一定距離を保って設置される必要がある。そのため、例えば、遣り方3の設置の前に、水糸が張設される基礎点MPから敷地境界線(境界辺DL)までの距離を確認することが好ましい。しかし、基礎点MPの位置を把握しながら敷地境界線までの距離である境界離れを測定することは容易ではない。図1に示す境界辺DL1は、境界点DPK1と境界点DPK2を結んだ辺である。境界辺DL1の外側には、例えば壁などの敷地外構造物4が存在している場合がある。ここで知りたい相対位置は、例えば、基礎点MPH2と境界辺DL1とのX座標及びY座標(水平面上の座標)平面上における離間距離である境界離れである。測量システム1は、その距離を測るために、基礎点MPのうち選択された被測量基礎点を通る仮想延長線VLを算出し、仮想延長線VLと、境界辺DLとの交点CPを算出する。端末100の表示部150には、被測量装置300と、交点CP2及び基礎点MPH2との相対距離が、例えばリアルタイムに表示される。従って、作業者は、表示部150を確認しながら被測量装置300を当該被測量基礎点に近づくように容易に移動させることができる。
【0039】
基準辺(具体的には基礎点MP)と、被測量装置300又は敷地境界線の相対位置を測定する各工程を説明する。図5は、本実施形態にかかる測量システム1を用いた測量方法及び測量プログラムの処理の流れを説明するフローチャートである。また、図6は、基礎点の相対位置を測定する画面の一例を示す図である。
【0040】
まず、ステップS101では、作業者が現場に測量装置200を設置し、測量装置200の器械点が設定される。測量装置200は、敷地の境界に設けられた境界点DP(境界点DPK1~KPK5)の測量を行う。測量制御部240は、測量した境界点DPの座標(X座標、Y座標、Z座標)を、測量情報122として、境界点識別情報122a2と座標情報122bを対応して記憶する。従って、ステップS102で表示部150に表示される各境界辺DL1~DL5は、測量装置200による測量により、予め設定される。
【0041】
ステップS102で、端末制御部110は、端末記憶部120から設計情報121及び測量情報122を読み込んで表示部150に基礎点MP及び境界点DPを含む位置情報を表示する。図6には、複数の基礎点MPH1~MPH4と、基礎点MPH1~MPH4を囲うように配置された境界点DPK1+STK~DPH5+STKを示している。また、基礎点MP及び境界点DPの位置情報は、黒丸で表された図形及び位置により示される。
【0042】
ステップS103で、作業者が入力部140により表示部150に表示された基礎点MPH1~MPH4から一つを選択する。端末制御部110は、複数の連続する基礎点MPH1~MPH4から選択された一つ(例えば、基礎点MPH2)を被測量基礎点として受け付ける。被測量基礎点は、表示部150に表示された視覚情報である図形を介して選択させることができるが、端末制御部110は、内部処理として、選択された被測量基礎点に対応する基礎点識別情報121a1を入力部140の選択指示により選択されたものとして入力を受け付ける。
【0043】
ステップS104で、端末制御部110は、選択された被測量基礎点の基礎点識別情報121a1(例えば、選択された基礎点MPH2の基礎点識別情報121a1「H2」)に連続して割り当てられた基礎点識別情報121a1の基礎点(例えば、基礎点MPH2に隣接する基礎点MPH1又は基礎点MPH3)を、隣接基礎点として求める。
【0044】
また、端末制御部110は、被測量基礎点と、被測量基礎点の一方に隣接する隣接基礎点とを結ぶ基準線ML10を求める。基準線ML10は、被測量基礎点(例えば、基礎点MPH2)とこの被測量基礎点の一方側に隣接する第一隣接基礎点(例えば、基礎点MPH1)とを結ぶ第一基準線(基準線ML11)を含み、被測量基礎点とこの被測量基礎点の他の一方側に隣接する第二隣接基礎点(例えば、基礎点MPH3)とを結ぶ第二基準線(基準線ML12)を含む。基準線ML11と基準線ML12とは、異なる二方向に延設される。また、各基準線ML11,ML12(ML10)は、構造物の基礎等が設置される基準辺ML1,ML2(ML)と、各基準辺ML1,ML2が延長された仮想延長線VL1,VL2(VL)とを含む。
【0045】
ステップS105で、端末制御部110は、被測量基礎点と被測量基礎点に隣接する隣接基礎点とを結んだ基準線ML10と、予め設定された境界辺DLと、の交点CPを求める。まず、端末制御部110は、連続する順に境界点識別情報122a2が割り当てられた複数の境界点DPK1+STK~DPK1+STKを、境界点識別情報122a2の順に結線して構成される境界辺DL1~DL5を求める。即ち、境界辺DL1~DL5は、実際に測量された境界点DPK1+STK~DPK1+STKに基づいて算出される。また、基準線と基準辺との交点は、基準線の方向に応じて、基準線ML11(第一基準線)と境界辺DL3との交点CP1(第一交点)、及び、基準線ML12(第二基準線)と境界辺DL1との交点CP2(第二交点)、を含む。求められた交点CP1,CP2は、表示部150に表示される。
【0046】
また、ステップS105において、表示部150は、各基礎点MPを順に結んで囲った基準辺MLを表示してもよい。始点に相当する基礎点MPH1は、基礎点識別情報121a1の終点(例えば、基礎点識別情報121a1の連続した数字のうち最も大きい数字を含む基礎点MP)に相当する基礎点MPH4と、基準辺MLにより接続される。表示部150は、各基礎点MPを順に結んで囲った境界辺DLを表示してもよい。なお、端末制御部110は、求めた境界辺DL1~DL5を、表示部150に表示してもよいし、表示しなくてもよい。
【0047】
ステップS106で、端末制御部110は、被測量基礎点の位置を算出する。被測量基礎点の位置の算出は、例えば、作業者が実際に被測量装置300を持ちながら、測量装置200が被測量装置300を測量することによって行われる。
【0048】
ステップS107で、端末制御部110は、被測量基礎点に対応させて測量装置200により測量した被測量装置300の位置と、交点CPとの相対位置を算出し、表示部150に表示する。相対位置は、交点CP1から被測量装置300の位置までの「離れ」(境界離れ又は基礎離れともいう)である。また、相対位置は、各基準線ML10に対する被測量装置300の差分の位置である「出入り」である。端末制御部110は、例えば、交点CP1,CP2から被測量装置300の位置までの離れと、基準線に対する被測量装置300の位置である出入りとを表示部150に表示する。
【0049】
図6の表示部150において、「境界線出入」としては各境界辺と略平行に配置された対応する基準線に対する相対位置が表示され、「境界1」としては例えば基準線ML11に対する出入りが、「境界2」としては例えば基準線ML12に対する出入りが、表示される。出入りは、例えば、基準線ML11に対する垂直方向の距離、及び、基準線ML12に対する垂直方向の距離とすることができる。また、表示部150において、「境界からの離れ」としては、「境界1」(例えば、境界辺DL1)に対する離れと、「境界2」(例えば、境界辺DL2)に対する離れとが、表示される。離れは、例えば、境界辺DL1上の交点CP2に対する距離、及び、境界辺DL3上の交点CP1に対する距離とすることができる。
【0050】
ステップS108で、端末制御部110は、表示部150に表示された記録ボタン151が作業者により選択されると、記録指示を受け付けて、現在算出及び表示されている出入り及び離れの情報を、測量情報122の出入り122c及び離れ122d(図4参照)として記憶する。また、端末制御部110は、ステップS106で求めた被測量装置300の座標情報も、測量情報122の座標情報122bとして出入り122c及び離れ122dと対応させて記憶する。
【0051】
このような測量システム1を用いて、作業者は、一つの設計情報121における各基礎点MPについて座標を測量して、出入り及び離れを求めることができる。作業者は、例えば、各基礎点MPについて座標を測量して、境界辺との相対位置(出入り及び離れ)を求め、離れが予め規定された条件を満たさない場合(例えば、法令により規定される距離未満である場合)、設計情報121における基礎点MPの位置(座標情報)121bの見直しに測量方法を用いることができる。また、端末100は、予め端末記憶部120に離れの閾値を記憶しており、作業者が記録ボタン151を選択した際に算出された離れが予め規定された条件を満たさない場合に、音又は表示等によってアラートを出力し、算出した相対位置や測量情報を記憶しないように処理してもよい。また、端末100は、作業者が記録ボタン151を選択した際に各境界点DPの測量が行われていない場合(例えば、測量情報122において境界点DPに対応するデータが取得されていない場合)に、音又は表示等によってアラートを出力し、境界点DPの測量を促してもよい。
【0052】
また、本開示の実施形態に係る測量方法によれば、作業者は、入力部140により連続する基礎点MPから選択された一つを被測量基礎点として選択することで、被測量装置300の位置と被測量基礎点に対応する交点CPとの相対位置を取得できるため、相対位置を容易に効率よく特定することができる。
【0053】
なお、以上説明したような画像情報やその他必要な情報を表示部150に表示することにより、端末100は、作業者に対して交点との出入りを誘導することができる。作業者はこれらの情報をもとに、交点CPとの離間距離が小さくなる(又はゼロとなる)位置を探索し、被測量基礎点に対応する位置における測量を容易に行うことができる。
【0054】
(遣り方設置機能)
次に、本開示の実施形態に係る測量方法、測量システム及び測量プログラムの一側面である遣り方設置機能の概要について説明する。
【0055】
図1に示したように、遣り方3は、複数の遣り方杭31を備え、その各々に貫き天端321の位置を示すマークLMが付されている。このマークLMが示す標高は、基本的に全ての遣り方杭31において共通しているが、使用される杭の長さや、手作業によって打ち込まれる杭の深さはまちまちであるため、共通した標高にマークLMを付す作業は容易ではない。
【0056】
このような遣り方杭31に等しく精度よくマークLMを付すための手順について説明する。図7は、遣り方杭31とベンチマークBMの標高の関係について説明する図である。図7において、紙面上下方向が遣り方杭31の高さ方向を表している。まず、打ち込まれている遣り方杭31の長さ及び杭頭311の標高は未知である。そして、現場におけるベンチマークBMの位置(標高を含む)は既知であり設計情報に含まれているか、その場で測量可能である。また、ベンチマークBMから現況の地面GLまでの標高差、及び、地面GLから貫き天端321までの標高差が既知であり、設計情報121に含まれている。
【0057】
作業者は、測量装置200及び被測量装置300を用いて杭頭311の標高の測定を行う。杭頭311の標高は、ターゲットである再帰反射プリズム301の標高を測量し、再帰反射プリズム301からポール302の末端(図7の例では下端)までの既知の視準高h5によって算出することができる。被測量装置300の杭頭311の標高を測定することができれば、既知であるベンチマークBMから地面GLまでの標高差h1、地面GLから貫き天端321までの標高差h2、あるいはベンチマークBMから貫き天端321までの標高差h3の情報を用いて、杭頭311から貫き天端321までの標高差h4を算出することができる。端末100は、算出された標高差h4を表示部150に表示することができる。
【0058】
例えば、測量システム1を用いた測量方法は、遣り方杭31、水貫き32及び水糸を有する遣り方3を設置する測量方法であって、測量装置200を用いて、遣り方3の高さの基準となるベンチマークBMの標高を測定するベンチマーク測定工程と、設置された遣り方杭31の杭頭311の標高を測定する杭頭測定工程と、予め記憶された基礎(地面GL)の基準高、ベンチマークBMの標高、及び遣り方杭31の杭頭311の標高に基づき、遣り方杭31の杭頭311から基礎の基準高までの高さの差分を算出して、端末100に表示する貫き天端位置表示工程と、を含む。これにより、打ち込まれた杭の長さ及び深さがまちまちであっても、複数の遣り方杭31において精度よく貫き天端321の位置を示すマークLMを記すことができ、遣り方3の水貫き32を効率よく設置することができる。また、作業者一人でも被測量装置300と端末100を持ちながら杭頭311を測量して、その場で杭頭311から貫き天端321までの標高差h4を端末100の表示部150で確認しながら容易にマークLMを記すことができる。
【0059】
(水糸設置機能)
次に、本開示の実施形態に係る測量方法、測量システム及び測量プログラムの一側面である水糸設置機能の概要について説明する。
【0060】
図1に示したように、水糸は基本的に対向する2枚の水貫き32の間に張設されるため、水糸の一端を固定すべき点M1を水貫き32の頂面上に定めて、そこに釘などを打って水糸を固定する。そのため、水糸を正確に張設するには点M1の位置を正確に定めることが必要である。なお、点M1が配置される水貫き32Aと対応する水貫き32Dにおける点は、図示を省略する。
【0061】
水糸の固定位置となる点M1は、水貫き32の頂面上で定められる。水糸を設置すべき建物等の基礎の位置は、設計情報121により予め定められ記憶されている。又は、水糸を設置すべき建物の基礎の位置は、前述した基礎点MPの相対位置の取得結果によっては更新された設計情報121により予め定められ記憶されている。建物の基礎の位置は、複数の基礎点MPを結んだ基準辺MLにより定められ、図1では基準辺ML1~ML4として図示されている(図6も参照)。なお、本実施形態では基準辺ML1~ML4は矩形状に閉じられた領域を形成している。ただし、基準辺ML1~ML4は、あくまで設計情報121に基づく線情報であり、基準辺ML1~ML4は、現場において水糸の両端を水貫き32により支持して形成される。
【0062】
なお、端末100は、基準辺MLの仮想延長線VL(例えば、仮想延長線VL1,VL2)と、水貫き32の頂面上とが交差する点を、測量装置200及び被測量装置300を用いて探索してもよい。例えば、作業者は、被測量装置300を移動させて被測量装置300が示す位置が仮想延長線VL2に対してどの程度離れているのかを端末100の表示部150を確認しながら点M1を探索し、位置ずれがなくなったところを点M1として決定する。作業者は、点M1の位置を決定した後、そこに釘等を打ち込んで水糸の固定点を作成することができる。
【0063】
このように、本実施形態に係る測量方法によれば、例えば、測量システム1を用いた、遣り方杭、水貫き、及び水糸を有する遣り方を設置する測量方法であって、測量装置を用いて、基準となるベンチマークBMの位置を測定するベンチマーク測定工程と、水糸の張り渡し位置を示す基準辺MLを延長した線である仮想延長線を算出する仮想延長線算出工程と、測量位置と、仮想延長線との距離を端末に表示する水糸出入誘導工程、を含む。これにより、水糸を固定すべき位置について、より正確に定めることができ、正確かつ効率よく水糸を張設することができる。
【0064】
以上、本実施形態では、測量装置200と端末100を含む測量システム1を用いた測量方法及び測量プログラムにおいて、端末100により複数の連続する基礎点MLから被測量基礎点の選択を受け付ける工程と、被測量基礎点と被測量基礎点に隣接する隣接基礎点とを結んだ基準線ML10と、予め設定された境界辺DLと、の交点を求める工程と、被測量基礎点に対応させて測量装置200により測量した被測量装置300の位置と、交点CPとの相対位置を出力する工程と、を含む。被測量基礎点が選択されることで相対位置の基準となる交点が算出されるため、作業者は、現場において容易に効率的よく位置の取得をすることができる。
【0065】
以上で本発明の実施形態の説明を終えるが、本発明の態様はこの実施形態に限定されるものではない。
【0066】
例えば、本実施形態では、測量装置200と端末100とを用いた構成について説明したが、測量装置200と端末100は一体に構成したり、測量装置200と端末100の機能を3以上の複数の装置により構成してもよい。また、端末100と、被測量装置300とは、一体又は別体のいずれによって構成してもよい。
【0067】
また、測量装置200と被測量装置300は物理的に別体の構成であるが、協働して測量という機能をなしえるものであり、被測量装置300も一体として測量装置200に含まれるものとして解釈してもよい。例えば、測量装置200の他の例はGNSS測量装置である。この場合、測量装置200及び被測量装置300の機能を有した装置として、GNSS受信装置を用いることができる。
【0068】
また、基礎点MPの相対位置の測定は、遣り方3の設置後に行ってもよい。また、離れの相対位置の測定は、遣り方3の設置において、水糸の設置前又は設置後に行ってもよい。
【0069】
また、基礎点は、建築物、構造物又はその他の設計対象における基準点であってもよい。
【0070】
また、端末制御部110は、求めた被測量基礎点の相対位置を表示部150に表示することに限らず、端末100の他の出力手段により出力したり、他の装置(例えば、測量装置200)に相対位置に関する情報を送信する等、相対位置をその他の手段により出力してもよい。
【0071】
また、基礎点MPに割り当てられた基礎点識別情報121a1,122a1、及び、境界点DPに割り当てられた境界点識別情報121a2,122a2は、被測量基礎点の選択等の際に、表示部150に表示することで作業者に現在作業中の基礎点MPを容易に把握させることができる。一方、基礎点識別情報121a1,122a1及び境界点識別情報121a2,122a2は、画面表示のレイアウト等によっては、被測量基礎点の選択等の際に表示部150に表示しなくてもよい。
【0072】
また、設計情報121に含まれる基礎点MP及び境界点DPの識別情報121aは、外部の装置又は機器から取得する前から予め付与されていてもよいし、作業者等のユーザが設計情報121を取得した後に付与してもよい。
【符号の説明】
【0073】
1 測量システム
2 作業者
3 遣り方
4 敷地外構造物
31(31A~31C) 遣り方杭
100 端末
110 端末制御部
120 端末記憶部
121 設計情報
121a 識別情報
121a1 基礎点識別情報
121a2 境界点識別情報
121b 座標情報
122 測量情報
122a 識別情報
122a1 基礎点識別情報
122a2 境界点識別情報
122b 座標情報
122c 出入り
122d 離れ
123 仮想延長線算出部
124 境界辺算出部
125 交点算出部
126 相対位置算出部
127 天端位置算出部
128 水糸出入誘導部
130 端末通信部
140 入力部
150 表示部
151 記録ボタン
200 測量装置
210 測量部
211 測距部
212 測角部
220 測量記憶部
230 測量通信部
240 測量制御部
250 追尾制御部
300 被測量装置
301 再帰反射プリズム
302 ポール
311 杭頭
321 貫き天端
BM ベンチマーク
CP(CP1,CP2) 交点
DL(DL1~DL5) 境界辺
DP(DPK1,DPK2 境界点
GL 地面
LM マーク
ML(ML1~ML4) 基準辺
ML10(ML11,ML12) 基準線
MP(MPH1~MPH4) 基礎点
VL(VL1,VL2) 仮想延長線
h1~h4 標高差
h5 視準高
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7