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特開2023-73182力率適応型制御方法、力率補正回路、及び空気調和機
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023073182
(43)【公開日】2023-05-25
(54)【発明の名称】力率適応型制御方法、力率補正回路、及び空気調和機
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/06 20060101AFI20230518BHJP
【FI】
H02M7/06 P
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022032620
(22)【出願日】2022-03-03
(31)【優先権主張番号】202111347136.6
(32)【優先日】2021-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】517383858
【氏名又は名称】海信(広東)空調有限公司
【氏名又は名称原語表記】Hisense (Guangdong) Air Conditioning Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】No 8 Hisense Road, Advanced Manufacturing Jiangsha Demonstration Park, Jiangmen City, Guangdong Province, PRC
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】王 斌
(72)【発明者】
【氏名】▲呉▼ 民安
【テーマコード(参考)】
5H006
【Fターム(参考)】
5H006AA02
5H006BB05
5H006CA01
5H006CA07
5H006CB01
5H006CC02
5H006DA04
5H006DB01
(57)【要約】
【課題】力率適応型制御方法、力率補正回路、及び空気調和機を提供すること。
【解決手段】力率適応型制御方法は、給電電源の周波数を決定することと、前記周波数に基づいて、PFCパルス制御パラメータセットから前記周波数に対応するPFCパルス制御パラメータ群を選択することであって、前記PFCパルス制御パラメータセットは、前記給電電源の複数の周波数に対応する複数のPFCパルス制御パラメータ群を含む、ことと、前記交流-直流変換回路の電流を取得することと、取得された電流及び選択されたPFCパルス制御パラメータ群に基づいて、前記力率補正回路に対応するパルス制御パラメータを決定することであって、前記パルス制御パラメータは、スイッチングトランジスタの遅延開通時間及びスイッチングトランジスタのオン時間を含む、ことと、前記パルス制御パラメータに基づいて、前記スイッチングトランジスタをオン又はオフに制御することと、を有する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
力率適応型制御方法であって、力率補正(Power Factor Correction、PFC)回路の主制御ユニットによって実行され、前記力率補正回路は、交流-直流変換回路をさらに含み、前記交流-直流変換回路は、スイッチングトランジスタを含み、
前記方法は、
給電電源の周波数を決定することと、
前記周波数に基づいて、PFCパルス制御パラメータセットから前記周波数に対応するPFCパルス制御パラメータ群を選択することであって、前記PFCパルス制御パラメータセットは、前記給電電源の複数の周波数に対応する複数のPFCパルス制御パラメータ群を含む、ことと、
前記交流-直流変換回路の電流を取得することと、
取得された電流及び選択されたPFCパルス制御パラメータ群に基づいて、前記力率補正回路に対応するパルス制御パラメータを決定することであって、前記パルス制御パラメータは、前記スイッチングトランジスタの遅延開通時間及び前記スイッチングトランジスタのオン時間を含む、ことと、
前記パルス制御パラメータに基づいて、前記スイッチングトランジスタをオン又はオフに制御することと、を有する、
力率適応型制御方法。
【請求項2】
前記した、給電電源の周波数を決定することは、
連続する2つのゼロクロス点信号の所在時刻を取得することと、
前記連続する2つのゼロクロス点信号の所在時刻に基づいて、前記連続する2つのゼロクロス点信号の時間間隔を決定することと、
前記時間間隔に基づいて、前記給電電源の周波数を決定することとを含む、
請求項1に記載の力率適応型制御方法。
【請求項3】
前記給電電源の複数の周波数は、第1周波数及び第2周波数を含み、
前記した、前記時間間隔に基づいて、前記給電電源の周波数を決定することは、
前記時間間隔が第1プリセット時間間隔とプリセット補正値との差以上であり、且つ前記第1プリセット時間間隔と前記プリセット補正値との和以下である場合、前記給電電源の周波数が前記第1周波数であると決定することと、
前記時間間隔が第2プリセット時間間隔と前記プリセット補正値との差以上であり、且つ前記第2プリセット時間間隔と前記プリセット補正値との和以下である場合、前記給電電源の周波数が第2周波数であると決定することとを含み、
前記第1プリセット時間間隔は、前記第1周波数における給電電源の連続する2回のゼロクロス点信号の標準時間間隔であり、前記第2プリセット時間間隔は、前記第2周波数における給電電源の連続する2回のゼロクロス点信号の標準時間間隔である、
請求項2に記載の力率適応型制御方法。
【請求項4】
各々のPFCパルス制御パラメータ群は、複数のグループのパルス制御パラメータを含み、各グループのパルス制御パラメータは、電流区間、及び前記電流区間に対応するスイッチングトランジスタの遅延開通時間とスイッチングトランジスタのオン時間を含み、
前記した、取得された電流及び選択されたPFCパルス制御パラメータ群に基づいて、前記力率補正回路に対応するパルス制御パラメータを決定することは、
前記選択されたPFCパルス制御パラメータ群に基づいて、フィッティングして第1関数曲線及び第2関数曲線を取得することであって、前記第1関数曲線は、電流と前記スイッチングトランジスタの遅延開通時間との対応関係を示し、前記第2関数曲線は、電流と前記スイッチングトランジスタのオン時間との対応関係を示す、ことと、
前記取得された電流と前記第1関数曲線に基づいて、前記スイッチングトランジスタの遅延開通時間を決定することと、
前記取得された電流と前記第2関数曲線に基づいて、前記スイッチングトランジスタのオン時間を決定することと、を含む、
請求項1から請求項3のいずれかに記載の力率適応型制御方法。
【請求項5】
前記した、前記選択されたPFCパルス制御パラメータ群に基づいて、フィッティングして第1関数曲線及び第2関数曲線を取得することは、
各々の電流区間の上限電流値と、この電流区間に対応するスイッチングトランジスタの遅延開通時間とを第1補間点として、フィッティングして前記第1関数曲線を取得することと、
各々の電流区間の上限電流値と、この電流区間に対応するスイッチングトランジスタのオン時間とを第2補間点として、フィッティングして前記第2関数曲線を取得することとを含む、
請求項4に記載の力率適応型制御方法。
【請求項6】
各々のPFCパルス制御パラメータ群は、複数のグループのパルス制御パラメータを含み、各グループのパルス制御パラメータは、電流区間、及び前記電流区間に対応するスイッチングトランジスタの遅延開通時間とスイッチングトランジスタのオン時間を有し、
前記した、取得された電流及び選択されたPFCパルス制御パラメータ群に基づいて、前記力率補正回路に対応するパルス制御パラメータを決定することは、
前記取得された電流に基づいて、前記パルス制御パラメータに対応する電流区間を決定することと、
前記電流区間に基づいて、前記電流区間に対応するスイッチングトランジスタの遅延開通時間及びスイッチングトランジスタのオン時間を取得することと、を含む、
請求項1から請求項3のいずれかに記載の力率適応型制御方法。
【請求項7】
前記した、前記取得された電流に基づいて、前記パルス制御パラメータに対応する電流区間を決定することは、
前記取得された電流が上昇傾向にある場合、前記取得された電流と予め設定された電流差分との和が位置する電流区間を、前記パルス制御パラメータに対応する電流区間とすることと、
前記取得された電流が下降傾向にある場合、前記取得された電流と前記予め設定された電流差分との差が位置する電流区間を、前記パルス制御パラメータに対応する電流区間とすることと、を含む、
請求項6に記載の力率適応型制御方法。
【請求項8】
力率補正回路であって、
スイッチングトランジスタを含む交流-直流変換回路、及び主制御ユニットを備え、
前記主制御ユニットは、
給電電源の周波数を決定し、前記周波数に基づいて、PFCパルス制御パラメータセットから前記周波数に対応するPFCパルス制御パラメータ群を選択し、ここで、前記PFCパルス制御パラメータセットは、前記給電電源の複数の周波数に対応する複数のPFCパルス制御パラメータ群を含み、
前記交流-直流変換回路の電流を取得し、取得された前記電流及び前記選択されたPFCパルス制御パラメータ群に基づいて、前記力率補正回路に対応するパルス制御パラメータを決定し、ここで、前記パルス制御パラメータは、前記スイッチングトランジスタの遅延開通時間及び前記スイッチングトランジスタのオン時間を含み、且つ、
前記パルス制御パラメータに基づいて、前記スイッチングトランジスタをオン又はオフに制御するように配置されている、
力率補正回路。
【請求項9】
コンピュータによって実行されると、請求項1から請求項7のいずれかに記載の力率適応型制御方法における1つまたは複数のステップを前記コンピュータに実行させるコンピュータプログラム命令を記憶した、
コンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【請求項10】
空気調和機であって、
プロセッサ、及びメモリを備え、
前記メモリには、命令を含む1つまたは複数のコンピュータプログラムが記憶され、前記命令が前記プロセッサによって実行されると、前記空気調和機は、請求項1から請求項7のいずれかに記載の力率適応型制御方法における1つまたは複数のステップを実行する、
空気調和機。
【請求項11】
請求項8に記載の力率補正回路、及び前記力率補正回路にカップリングされた圧縮機を備える、
空気調和機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
この出願は、2021年11月15日に出願された出願番号が202111347136.6である中国特許出願を基礎出願とする優先権を主張し、その内容の全てが参照によって本出願に取り込まれる。
【0002】
本開示は、空気調和の技術分野に関し、特に、力率適応型制御方法、力率補正回路、及び空気調和機に関する。
【背景技術】
【0003】
力率補正(Power Factor Correction、PFC)回路は、電気機器の力率を向上させるための技術である。異なる周波数の給電電源に対して、PFC回路は、異なる補正パラメータを採用する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
一態様では、力率適応型制御方法が提供される。この方法は、力率補正回路の主制御ユニットによって実行される。前記力率補正回路は、交流-直流変換回路をさらに含む。前記交流-直流変換回路は、スイッチングトランジスタを含む。前記方法は、給電電源の周波数を決定することと、前記周波数に基づいて、PFCパルス制御パラメータセットから前記周波数に対応するPFCパルス制御パラメータ群を選択することであって、前記PFCパルス制御パラメータセットは、給電電源の複数の周波数に対応する複数のPFCパルス制御パラメータ群を含む、ことと、前記交流-直流変換回路の電流を取得することと、取得された電流及び選択されたPFCパルス制御パラメータ群に基づいて、前記力率補正回路に対応するパルス制御パラメータを決定であって、前記パルス制御パラメータは、前記スイッチングトランジスタの遅延開通時間及び前記スイッチングトランジスタのオン時間を含む、ことと、前記主制御ユニットが前記パルス制御パラメータに基づいて、前記スイッチングトランジスタをオン又はオフに制御することと、を有する。
【0005】
別の一態様では、力率補正回路が提供される。この回路は、交流-直流変換回路、及び主制御ユニットを備える。前記交流-直流変換回路は、スイッチングトランジスタを含む。前記主制御ユニットは、給電電源の周波数を決定し、前記周波数に基づいて、PFCパルス制御パラメータセットから前記周波数に対応するPFCパルス制御パラメータ群を選択し、ここで、前記PFCパルス制御パラメータセットは、前記給電電源の複数の周波数に対応する複数のPFCパルス制御パラメータ群を含み、前記交流-直流変換回路の電流を取得し、取得された前記電流及び前記選択されたPFCパルス制御パラメータ群に基づいて、前記力率補正回路に対応するパルス制御パラメータを決定し、ここで、前記パルス制御パラメータは、前記スイッチングトランジスタの遅延開通時間及び前記スイッチングトランジスタのオン時間を含み、かつ、前記パルス制御パラメータに基づいて、前記スイッチングトランジスタをオン又はオフに制御する、ように配置されている。
【0006】
さらに別の態様では、コンピュータ読み取り可能な記録媒体が提供される。前記コンピュータ読み取り可能な記録媒体は、コンピュータによって実行されると、上記の力率適応型制御方法における1つまたは複数のステップを前記コンピュータに実行させるコンピュータプログラム命令を記憶している。
【0007】
さらに別の態様では、空気調和機が提供される。前記空気調和機は、プロセッサとメモリを備える。前記メモリは、命令を含む1つまたは複数のコンピュータプログラムを記憶している。前記命令が前記プロセッサによって実行されると、前記空気調和機は、上記の力率適応型制御方法における1つまたは複数のステップを実行する。
【0008】
さらに別の態様では、空気調和機が提供される。前記空気調和機は、上記の力率補正回路、及び圧縮機を備える。前記圧縮機は、前記力率力率回路にカップリングされている。
【0009】
以下、本開示における技術案をより明確的に説明するために、本開示の幾つかの実施例に必要な図面を簡単に説明する。しかしながら、以下の説明における図面は、本開示の幾つかの実施例にすぎないことは自明である。当業者であれば、これらの図面によって他の図面が取得できる。さらに、以下の説明における図面は、概略図と見なすことができ、本開示の実施例に係る製品の実際の寸法、方法の実際のプロセス、信号の実際のシーケンスなどを限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】幾つかの実施例に係る力率補正回路の回路図である。
図2】幾つかの実施例に係る別の力率補正回路の回路図である。
図3】幾つかの実施例に係る給電電源の周波数の自動識別の原理のブロック図である。
図4】幾つかの実施例に係る力率適応型制御方法のフローチャートである。
図5】幾つかの実施例に係る別の力率適応型制御方法のフローチャートである。
図6】幾つかの実施例に係るパルス制御パラメータ群を示す図である。
図7】幾つかの実施例に係る、電流とスイッチングトランジスタの遅延開通時間及びオン時間とのフィッティング関数を示すグラフである。
図8】幾つかの実施例に係る力率適応型制御装置のブロック図である。
図9】幾つかの実施例に係る空気調和機のブロック図である。
図10】幾つかの実施例に係る別の空気調和機のブロック図である。
図11】幾つかの実施例に係る空気調和機の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照し、本開示の幾つかの実施例における技術案に対して明確かつ完全な説明を行う。ただし、ここに記載された実施例はあくまで本開示の実施例の一部のみであり、全ての実施例ではないと理解されるべきである。本開示の幾つかの実施例に基づいて、当業者が得られた全ての他の実施例は、いずれも本開示の保護範囲に属する。
【0012】
本明細書及び特許請求の範囲において、用語「含む(comprise)」及びその他の形式、例えば、第三人称の単数形である「含む(comprises)」及び現在分詞の形式である「含む(comprising)」は、文脈上別段の解釈を要しない限り、開放、包括的な意味、即ち「含むが、これらに限定されない」と解釈されるべきである。本明細書の説明において、用語「1つの実施例(one embodiment)」、「幾つかの実施例(some embodiments)」、「例示的な実施例(exemplary embodiments)」、「例(example)」、「特定の例(specific example)」又は「一部の例(some examples)」などは、その実施例又は例に関連する特定の特徴、構造、材料又は特性が本開示の少なくとも1つの実施例又は例に含まれることを示すことが意図される。上記の用語の概略的な表現は、必ずしも同じ実施例又は例を指すわけではない。さらに、説明された特定の特徴、構造、材料、又は特性は、任意の適切な態様で、任意の1つ又は複数の実施例又は例に含まれ得る。
【0013】
以下において、「第1」、「第2」という用語は、説明の目的だけに用いられ、相対的な重要性を明示又は暗示するもの、或いは示される技術的特徴の数を暗黙に示すものと理解されるべきではない。したがって、「第1」、「第2」で限定される特徴は、1つ又は複数の該特徴を明示的又は暗黙的に含み得る。本開示の実施例の説明において、特に説明がない限り、「複数」は2つ以上を意味する。
【0014】
幾つかの実施例を説明する時、「結合」と「接続」、及びそれらに由来する表現を使用する場合がある。例えば、幾つかの実施例を説明する際に、2つ以上の構成要素が互いに直接的な物理的又は電気的接触を有することを示すように、「接続」という用語を使用する場合がある。又は、幾つかの実施例を説明する時、2つ又は2つ以上の構成要素が直接的な物理的又は電気的接触を有することを示すように、「結合」という用語を使用する場合がある。しかしながら、「結合」又は「通信可能にカップリングされた(communicatively coupled)」という用語は、2つ又は2つ以上の構成要素が互いに直接接触していないが、依然として互いに協働又は相互作用することも意味し得る。ここに開示された実施例は、必ずしも本明細書の内容に限定されるものではない。
【0015】
「A、B及びCの少なくとも1つ」は、「A、B又はCの少なくとも1つ」と同じ意味であり、いずれもAのみ、Bのみ、Cのみ、A及びBの組合せ、A及びCの組合せ、B及びCの組合せ、並びにA、B及びCの組合せを含む。
【0016】
「A及び/又はB」は、Aのみ、Bのみ、及びAとBの組合せの3つの組合せを含む。
【0017】
本明細書で使用されるように、文脈に応じて、用語「と」は、「……時」又は「……際」又は「……の決定に応答して」又は「……の検出に応答して」を意味すると任意選択的に解釈される。同様に、文脈に応じて、「……が決定された場合」又は「[記載された条件又はイベント]が検出された場合」という文節は、「……が決定される時」、又は「……の決定に応答して」、又は「[記載された条件又はイベント]が検出された時」を意味すると任意選択的に解釈される。
【0018】
本明細書において、「…に適用する」又は「…ように配置される」は、追加のタスク又はステップを実行するように適用又は構成される装置を排除しない開放的且つ包括的な言語を意味する。
【0019】
本明細書で使用される場合、「約」、「おおよそ」、又は「近似」は、記載された値、及び特定値の許容可能な偏差範囲内の平均値を含み、ここで、前記許容可能な偏差範囲は、当業者によって検討されている測定及び特定量の測定に関連する誤差(即ち、測定システムの制限性)を考慮して決定される。
【0020】
本明細書では理想化された例示的な図面である断面図及び/又は平面図を参照して例示的な実施形態を説明している。図面において、層及び領域の厚さは、明確性のために誇張されている。したがって、例えば製造技術及び/又は公差に起因する、図面に対する形状の変動が想定され得る。したがって、例示的な実施形態は、ここで例示した領域の形状に限定されるものとして解釈されるべきではなく、製造などに起因する形状の偏差を含む。例えば、矩形として示されるエッチング領域は、通常、湾曲した特徴を有する。したがって、図面に示される領域は、本質的に例示的なものであり、それらの形状は、装置の領域の実際の形状を示すことを意図しておらず、例示的な実施形態の範囲を限定することを意図していない。
【0021】
図1及び図2に示すように、本開示の幾つかの実施例は、力率補正回路を提供する。この力率補正回路は、交流-直流変換回路10(AC-DC Conversion Circuit)、主制御ユニット20(Main Control Unit、MCU)、電流検出ユニット30(Current Detection Unit)、ゼロクロス検出ユニット40(Zero-crossing Detection Unit)、計時ユニット50(Timing Unit)、ドライバ60(DRIVER)、PFCパルス制御パラメータセット(Pulse Control Parameter Set)を記憶するためのメモリ70を備える。交流-直流変換回路10は、給電入力端子を含み、この給電入力端子は、活線入力端子及び中性線入力端子を含み得る。この活線入力端子と中性線入力端子は、それぞれ商用電源(即ち給電電源)の活線端子と中性線端子に接続されている。交流-直流変換回路10は、スイッチングトランジスタV01を含む。ドライバ60は、スイッチングトランジスタV01のオン及びオフを制御するように、スイッチングトランジスタV01のベース電極(base)Bに結合され、これにより、力率の補正を実現する。
【0022】
ゼロクロス検出ユニット40は、交流電圧サンプリング回路であり、交流-直流変換回路10の活線入力端子及び中性線入力端子に接続されている。このゼロクロス検出ユニット40は、交流電圧の波形を採集して給電電源のゼロクロス点信号を決定するように配置されている。
【0023】
計時ユニット50は、ゼロクロス検出ユニット40に結合され、ゼロクロス検出ユニット40が給電電源のゼロクロス点信号を検出した時、このゼロクロス点信号の所在時刻を記録するように配置される。ここで、ゼロクロス点信号の所在時刻とは、ゼロクロス点信号が検出された時の現在時刻を指す。
【0024】
電流検出ユニット30は、電流センサを含む。この電流検出ユニット30は、交流-直流変換回路10に接続され、交流-直流変換回路10の電流を検出するように配置される。
【0025】
PFCパルス制御パラメータセットは、給電電源の複数の異なる周波数に対応する複数のPFCパルス制御パラメータ群を含む。各々のPFCパルス制御パラメータ群には、いずれも複数のグループのパルス制御パラメータが含まれている。各グループのパルス制御パラメータは、電流区間、及びこの電流区間に対応するスイッチングトランジスタV01の遅延開通時間T1及びスイッチングトランジスタV01のオン時間T2を含む。この電流区間とは、交流-直流変換回路10における電流が属する電流区間を指す。
【0026】
主制御ユニット20は、計時ユニット50に結合されている。この主制御ユニット20は、計時ユニット50から連続する2つのゼロクロス点信号の所在時刻を取得し、この連続する2つのゼロクロス点信号の時間間隔を決定し、この連続する2つのゼロクロス点信号の時間間隔に基づいて給電電源の周波数を決定するように配置されている。
【0027】
主制御ユニット20はさらに、メモリ70及び電流検出ユニット30に結合されている。この主制御ユニット20は、さらに、給電電源の周波数に基づいて、PFCパルス制御パラメータセットから、給電電源の当該周波数に対応するPFCパルス制御パラメータ群を取得し、電流検出ユニット30から交流-直流変換回路10の電流を取得し、且つ、この電流とこのPFCパルス制御パラメータ群に基づいて、スイッチングトランジスタV01の遅延開通時間T1とスイッチングトランジスタV01のオン時間T2を決定するように配置される。
【0028】
主制御ユニット20は、さらに、ドライバ60を介して交流-直流変換回路10におけるスイッチングトランジスタV01の制御端子に結合されている。この主制御ユニット20はさらに、スイッチングトランジスタV01の遅延開通時間T1とスイッチングトランジスタV01のオン時間T2とに基づいてPFCパルス信号を生成し、該PFCパルス信号をドライバ60に伝送し、ドライバ60にこのPFCパルス信号によりスイッチングトランジスタV01のオン時間とオフ時間を制御させることにより、力率補正回路に対する制御を実現するように配置される。
【0029】
幾つかの例において、図1に示すように、この力率補正回路は、セミアクティブ型PFC回路である。この力率補正回路の交流-直流変換回路10は、さらに、リアクトルL01、整流ブリッジVC01、整流ブリッジVC02、キャパシタC01、及びキャパシタC02を含む。整流ブリッジVC01の一方の交流入力端子a及び整流ブリッジVC02の一方の交流入力端子eは、いずれもリアクトルL01を介して商用電源の活線端子に接続され、整流ブリッジVC01の他方の交流入力端子b及び整流ブリッジVC02の他方の交流入力端子fは、いずれも商用電源の中性線端子に接続されている。整流ブリッジVC01の一方の直流出力端子cはスイッチングトランジスタV01のエミッタ電極(emitter)Eに接続され、他方の直流出力端子dはスイッチングトランジスタV01のコレクタ電極(collector)Cに接続されている。整流器VC02の一方の直流出力端子hは接地され、他方の直流出力端子gは外部負荷端子Vdcに接続されている。キャパシタC01とキャパシタC02とが直列に接続されてなる素子は、一端が接地され、他端が外部負荷端子Vdcに接続されている。キャパシタC01のキャパシタC02と接続される一端は、商用電源の中性線端子にも接続されている。
【0030】
スイッチングトランジスタV01がオンされる時、整流ブリッジVC01が動作し、リアクトルL01が充電して電気エネルギーを蓄積し、直列に接続される2つのキャパシタC01及びC02は、蓄積された電気エネルギーを用いて外部負荷端子Vdcに給電することができる。スイッチングトランジスタV01がオフされた時、リアクトルL01は、蓄積されたエネルギーを出力して、商用電源(即ち給電電源)電流に重畳し、キャパシタC01及びキャパシタC02に順に充電して、力率の補正を実現する。ここで、整流ブリッジVC01は、スイッチングトランジスタV01が商用電源の正の半サイクルと負の半サイクルにおいて、いずれも順方向にオンできるようにガイドする作用を有する。整流ブリッジVC02は倍電圧整流作用を有し、商用電源の正の半サイクルにおいてキャパシタC01に充電し、商用電源の負の半サイクルにおいてキャパシタC02に充電して、商用電源の完全なサイクル内でキャパシタに対する充電機能を実現する。また、キャパシタC01とキャパシタC02とが直列に接続されているため、倍電圧機能を実現することができる。
【0031】
他の幾つかの例において、図2に示すように、この力率補正回路は、アクティブ型PFC回路である。この力率補正回路の交流-直流変換回路10は、さらに、リアクトルL01、整流ブリッジVC01、ダイオードD01、及びキャパシタC01を含む。整流ブリッジVC01の一方の交流入力端子aは商用電源の活線端子に接続され、整流ブリッジVC01の他方の交流入力端子bは商用電源の中性線端子に接続されている。整流ブリッジVC01の一方の直流出力端子cはスイッチングトランジスタV01のエミッタ電極(emitter)Eに接続され、整流ブリッジVC01の他方の直流出力端子dは、リアクトルL01を介してスイッチングトランジスタV01のコレクタ電極(collector)Cに接続されている。スイッチングトランジスタV01のエミッタ電極Eはさらに接地され、スイッチングトランジスタV01のコレクタ電極CはさらにダイオードD01のアノードに接続されている。ダイオードD01のカソードは外部負荷端子Vdcに接続されている。キャパシタC01の一端は接地され、他端は外部負荷端子Vdcに接続されている。
【0032】
交流入力電源Vacは、整流ブリッジVC01を介して交流-直流(AC-DC)の変換を行う。スイッチングトランジスタV01がオンされる時、ダイオードD01のアノードは接地される。この時、ダイオードD01は遮断状態にあり、回路には2つの回路、即ちキャパシタC01が、蓄積された電気エネルギーを用いて外部負荷Vdcに給電する回路、及び整流ブリッジVC01の出力電流でリアクトルL01に充電する回路という2つの回路が存在する。スイッチングトランジスタV01がオフされる時、整流ブリッジVC01の出力電流が外部負荷端子Vdcに給電する。この時、リアクトルL01は、本来の回路が突然切断されることにより、高い誘導電圧が発生し、ダイオードD01を順方向にオンさせることを早める。そして、リアクトルL01は、蓄積されたエネルギーを出力し、ダイオードD01を介してキャパシタC01に充電することにより、力率の補正を実現する。
なお、上記の力率補正回路が空気調和機に応用される場合、上記の外部負荷は、当該空気調和機における圧縮機であってもよい。
【0033】
幾つかの実施例において、計時ユニット50及びこのメモリ70は、主制御ユニット20と一体に集積される。また、メモリ70は、力率補正回路の外部のメモリであってもよい。本開示の実施例は、これに特別に限定されない。
【0034】
上記の主制御ユニット20の機能を実現するために、図3に示すように、この主制御ユニット20は、識別ユニット210(Selection Unit)、処理ユニット220(Processing Unit)、及びPFCパルス幅変調(Pulse Width Modulation、PWM)ユニット230を含む。識別ユニット210は、ゼロクロス検出ユニット40により決定された給電電源のゼロクロス点信号と、計時ユニット50により記録されたこのゼロクロス点信号の所在時刻とに基づいて、給電電源の周波数(例えば、50Hz又は60Hz)を決定するように配置される。処理ユニット220は、決定された給電電源の周波数に基づいて、PFCパルス制御パラメータセットから当該周波数に対応するPFCパルス制御パラメータ群を選択し、取得された電流及び選択されたPFCパルス制御パラメータ群に基づいて、パルス制御パラメータを決定するように配置される。PFCパルス幅変調ユニット230は、処理ユニット220により決定されたパルス制御パラメータに基づいてPFCパルス信号を生成し、その信号をドライバ60に伝送するように配置される。
【0035】
例えば、この主制御ユニット20は、STM8ビット又は16ビットのシングルチップマイクロコンピュータである。識別ユニット210、処理ユニット220、及びPFCパルス幅変調ユニット230は、シングルチップマイクロコンピュータに予め書き込まれた論理(ソフトウェア)である。
【0036】
図4は、幾つかの実施例に係る力率適応型制御方法のフローチャートである。この力率適応型制御方法は、図1及び図2に示すような力率補正回路に応用することができる。
【0037】
図4に示すように、前記制御方法は、ステップ1からステップ5を含む。
【0038】
ステップ1において、主制御ユニット20は、給電電源の周波数を決定する。
【0039】
通常の場合、給電電源の周波数は50Hzであってもよいし、60Hzであってもよい。
【0040】
幾つかの例において、給電電源の周波数は、2つの連続するゼロクロス点信号の時間間隔に基づいて決定することができる。
【0041】
例えば、図3に示すように、この主制御ユニット20は、給電電源の周波数が50Hzであるかそれとも60Hzであるかを識別可能な識別ユニット210を含む。この時、このステップ1における給電電源の周波数の決定は、識別ユニット210によって実現することができる。
【0042】
幾つかの実施例において、図5に示すように、主制御ユニット20による給電電源の周波数の決定は、ステップ11からステップ13を含む。
【0043】
ステップ11において、主制御ユニット20は、計時ユニット50から、連続する2つのゼロクロス点の所在時刻を取得する。
【0044】
例えば、図1及び図2を参照し、ゼロクロス検出ユニット40は、給電電源のゼロクロス点信号を検出することができる。ゼロクロス検知ユニット40がゼロクロス点信号を検知した時、計時ユニット50に、給電電源のゼロクロス点信号が検知されたことを通知することができる。計時ユニット50が、ゼロクロス検出ユニット40がゼロクロス点信号を検出したことを示す信号を受信した時、計時ユニット50は、そのゼロクロス点信号の所在時刻を記録することができる。
【0045】
このサイクルを繰り返すことで、計時ユニットト50は、各々のゼロクロス点信号の所在時刻を記録することができる。
【0046】
ステップ12において、主制御ユニット20は、連続する2つのゼロクロス点信号の所在時刻に基づいて、連続する2つのゼロクロス点信号の時間間隔を決定する。
【0047】
例えば、ゼロクロス点信号Aとゼロクロス点信号Bは、連続する2つのゼロクロス点信号である。ゼロクロス点信号Aの所在時刻が時刻A1であり、ゼロクロス点信号Bの所在時刻が時刻B1である。ゼロクロス点信号Aがゼロクロス点信号Bよりも早く現れると仮定すると、ゼロクロス点信号Aとゼロクロス点信号Bとの時間間隔は、時刻B1-時刻A1となる。この場合、この時刻B1と時刻A1との差は、連続する2つのゼロクロス点信号の時間間隔とする。
【0048】
ステップ13において、主制御ユニット20は、この時間間隔に基づいて給電電源の周波数を決定する。
【0049】
ここで、図1又は図2に示す力率補正回路の給電電源の周波数が、第1周波数(例えば、50Hz)又は第2周波数(例えば、60Hz)であると仮定する。
【0050】
給電電源の周波数が50Hzである場合、給電電源の周期は20msである。給電電流が交流電力であり、1周期内に3回のゼロクロス点が現れるため、周波数50Hzの給電電源の連続する2回のゼロクロス点信号の標準時間間隔は10msである。
【0051】
給電電源の周波数が60Hzである場合、給電電源の周期は約16.66msである。給電電流が交流電力であり、1周期内に3回のゼロクロス点が現れるため、周波数60Hzの給電電源の連続する2回のゼロクロス点信号の標準時間間隔は約8.33msである。
【0052】
この場合、連続する2回のゼロクロス点信号の時間間隔と基準時間間隔との比較に基づいて、給電電源の周波数を決定することができる。即ち、連続する2回のゼロクロス点信号の時間間隔が10msである場合、給電電源の周波数が50Hzであることを決定することができる。連続する2回のゼロクロス点信号の時間間隔が8.33msである場合、給電電源の周波数が60Hzであることを決定することができる。
【0053】
なお、計時ユニット50により記録されたゼロクロス点信号の所在時刻には誤差が存在する可能性がある。誤差が存在することを考慮する場合、プリセット補正値を設定し、連続する2回のゼロクロス点信号の標準時間間隔と合わせて給電電源の周波数の判定閾値としてもよい。
【0054】
幾つかの実施例において、給電電源の周波数が第1周波数である場合、この給電電源の連続する2回のゼロクロス点信号の標準時間間隔を、第1プリセット時間間隔とする。給電電源の周波数が第2周波数である場合、この給電電源の連続する2回のゼロクロス点信号の標準時間間隔を、第2プリセット時間間隔とする。
【0055】
この場合、この時間間隔が第1プリセット時間間隔とプリセット補正値との差以上であり、且つ第1プリセット時間間隔とプリセット補正値との和以下である場合、主制御ユニット20は、給電電源の周波数が第1周波数であると決定する。
【0056】
この時間間隔が第2プリセット時間間隔とプリセット補正値との差以上であり、且つ第2プリセット時間間隔とプリセット補正値との和以下である場合、主制御ユニット20は、給電電源の周波数が第2周波数であると決定する。
【0057】
例えば、主制御ユニット20が計算により得た連続する2つのゼロクロス点信号の時間間隔は、Tcであると仮定する。この時間間隔Tcが区間[10-t、10+t]msにある場合、即ち、第1プリセット時間間隔が10msであり、プリセット補正値がtmsである場合、主制御ユニット20は、給電電源の周波数が第1周波数、例えば50Hzであると決定することができる。この時間間隔Tcが区間[8.33-t,8.33+t]msにある場合、即ち、第2プリセット時間間隔が8.33msであり、プリセット補正値がtmsである場合、主制御ユニット20は、給電電源の周波数は、第2周波数、例えば60Hzであると決定することができる。
【0058】
幾つかの例において、プリセット補正値tは、0.8以下の正の数である。例えば、プリセット補正値tは、0.1ms、0.5ms、又は0.8msである。
【0059】
ステップ2において、主制御ユニット20は、決定された給電電源の周波数に基づいて、PFCパルス制御パラメータセットから、その周波数に対応するPFCパルス制御パラメータ群を選択する。
【0060】
PFCパルス制御パラメータセットは、予め設定されたパラメータ群であり、給電電源の複数の周波数(例えば、50Hzと60Hz)に対応する複数のPFCパルス制御パラメータ群を含む。主制御ユニット20は、決定された給電電源の周波数に基づいて、その周波数に対応するPFCパルス制御パラメータ群を選択する。例えば、決定された給電電源の周波数が50Hzである場合、主制御ユニット20は、50Hzに対応するPFCパルス制御パラメータ群を選択する。決定された給電電源の周波数が60Hzである場合、主制御ユニット20は、60Hzに対応するPFCパルス制御パラメータ群を選択する。
【0061】
ステップ3において、主制御ユニット20は、電流検出ユニット30を介して力率補正回路の交流-直流変換回路10の電流を取得する。
【0062】
力率補正回路では、スイッチングトランジスタV01の遅延開通時間T1とスイッチングトランジスタV01のオン時間T2は、交流-直流変換回路10における電流に応じてリアルタイムで調整することができる。
【0063】
例えば、電流検出ユニット30は、電流センサを含む。力率補正回路の交流-直流変換回路10は、電流センサによって検出されて、交流-直流変換回路10を流れる電流を主制御ユニット20に取得させる。
【0064】
さらに、回路内の電流を計算するための他の方法を使用して、交流-直流変換回路10を流れる電流を取得させることもできる。
【0065】
ステップ4において、主制御ユニット20は、取得された電流と選択されたPFCパルス制御パラメータ群に基づいて、力率補正回路に対応するパルス制御パラメータを決定する。
【0066】
各々のPFCパルス制御パラメータ群には、いずれも複数のグループのパルス制御パラメータが含まれている。各グループのパルス制御パラメータは、電流区間、及びこの電流区間に対応するスイッチングトランジスタV01の遅延開通時間T1及びスイッチングトランジスタV01のオン時間T2を含む。
【0067】
幾つかの例において、交流-直流変換回路10の電流は、0からImaxまでのn個の電流区間に分割されてもよく、nは自然数である。ここで、電流Imaxは、PFC回路における交流-直流変換回路10の電流の最大値であり、この最大値は、実際に使われた回路機器の仕様や型番に応じて決定する必要がある。
【0068】
例えば、図6に示すように、電流区間[0、I]を第1電流区間R1と定義し、電流区間[I、I]を第2電流区間R2と定義し、以下同様に、電流区間[In-1、I]を第n電流区間Rnと定義する。この場合、電流Iは交流-直流変換回路10の電流Imaxである。第1電流区間R1は、スイッチングトランジスタV01の遅延開通時間T1及びスイッチングトランジスタV01のオン時間T2に対応し、第2電流区間R2は、スイッチングトランジスタV01の遅延開通時間T1及びスイッチングトランジスタV01のオン時間T2に対応し、第n電流区間Rnは、スイッチングトランジスタV01の遅延開通時間T1及びスイッチングトランジスタV01のオン時間T2に対応する。
【0069】
これに基づいて、幾つかの実施例において、パルス制御パラメータは、関数曲線をフィッティングする方法で決定される。これにより、交流-直流変換回路10の電流が異なる区間で変化する時に生じるパルス制御パラメータの変動を低減する。
【0070】
本開示の実施例において、選択されたPFCパルス制御パラメータ群に基づいて、主制御ユニット20は、フィッティングして第1関数曲線及び第2関数曲線を取得する。第1関数曲線は、電流とスイッチングトランジスタの遅延開通時間との対応関係を示し、第2関数曲線は、電流とスイッチングトランジスタのオン時間との対応関係を示す。
【0071】
例えば、主制御ユニット20は、各々の電流間隔の上限電流値と、各々の電流間隔に対応するスイッチングトランジスタV01の遅延開通時間T1とを第1補間点として、フィッティングして第1関数曲線を取得することができ、各々の電流区間の上限電流値と各々の電流区間に対応するスイッチングトランジスタV01のオン時間T2とを第2補間点として、フィッティングして第2関数曲線を取得することができる。
【0072】
幾つかの例において、図7に示すように、PFCパルス制御パラメータ群におけるパラメータを基準点として、線形補間処理を行って第1関数曲線及び第2関数曲線を形成する。例えば、図6に示すように、PFCパルス制御パラメータ群のうち、第1電流区間R1、第2電流区間R2、……、第n電流区間Rnの上限電流値I、I、……、Iを選択する。電流値I、I、I、……、I及びこれらに対応するスイッチングトランジスタV01の遅延開通時間T1を第1補間点として、フィッティングして電流IとスイッチングトランジスタV01の遅延開通時間T1との関数曲線、即ち第1関数曲線を取得する。同様に、電流Iとスイッチングトランジスタのオン時間T2との関数曲線、即ち第2関数曲線を取得する。
【0073】
第1関数曲線と第2関数曲線を取得した後、主制御ユニット20は、取得された電流と第1関数曲線に基づいてスイッチングトランジスタV01の遅延開通時間T1を決定し、かつ、取得された電流と第2関数曲線に基づいてスイッチングトランジスタV01のオン時間T2を決定する。
【0074】
例えば、主制御ユニット20が電流検出ユニット30を介して力率補正回路の交流-直流変換回路10の電流Icを取得する時、主制御ユニット20は、電流Icの第1関数曲線における座標位置に基づいて、対応するスイッチングトランジスタV01の遅延開通時間T1を取得する。主制御ユニット20は、さらに、電流Icの第2関数曲線における座標位置に基づいて、スイッチングトランジスタV01のオン時間T2を取得してもよい。
【0075】
他の幾つかの実施例において、差分制御の方式を用いて、力率補正回路に対応するパルス制御パラメータを決定する。
【0076】
本開示の実施例において、主制御ユニット20は、電流検出ユニット30を介して力率補正回路の交流-直流変換回路10の電流傾向を判定する。
【0077】
幾つかの例において、主制御電圧MCUは、電流検出ユニット30を介して電流波形を取得する。主制御ユニット20がm時刻で電流Icを取得すると仮定すると、主制御ユニット20は、例えば、m時刻より0.1msほど早い時刻での電流値a1、m時刻より0.2msほど早い時刻での電流値a2、m時刻より0.3msほど早い時刻での電流値a3のような、m時刻より早い時刻での複数の電流値を取得する。電流値a1が電流値a2よりも大きく、且つ、電流値a2が電流値a3よりも大きい場合、電流は上昇傾向にある。電流値a1が電流値a2よりも小きく、且つ、電流値a2が電流値a3よりも小きい場合、電流は下降傾向にある。これにより、主制御ユニット20は、取得された電流Icの傾向を決定する。
【0078】
取得された電流Icが上昇傾向にある場合、主制御ユニット20は、取得された電流Icと予め設定された電流差分との和を補正電流とする。取得された電流Icが下降傾向にある場合、主制御ユニット20は、取得された電流Icと予め設定された電流差分との差を補正電流とする。補正電流を決定した後、主制御ユニット20は、補正電流に基づいて、この補正電流に対応する電流区間を決定し、これにより、力率補正回路に対応するパルス制御パラメータを決定する。
【0079】
例えば、予め設定された電流差分をΔIとして、ΔIは定数である。予め設定された電流差分ΔIは、分割された電流区間によって決定され得る。例えば、予め設定された電流差分ΔIは、電流区間の上下の境界電流値の差の2分の1である。
【0080】
取得された電流Icの変動が電流区間の選択に与える影響は、予め設定された電流差分ΔIによって低減され得る。取得された電流Icが上昇傾向にある場合、電流の実測値Icと予め設定された電流差分ΔIとの和を新たな値、即ち補正電流とする。主制御ユニット20は、この補正電流に基づいて電流区間判定を行い、これにより力率補正回路に対応するパルス制御パラメータT1及びT2を決定する。例えば、図6に示すように、補正電流が第1電流区間R1にある場合(即ち、0<(Ic+ΔI)≦I)、パルス制御パラメータは、第1電流区間R1に対応するスイッチングトランジスタの遅延開通時間及びスイッチングトランジスタのオン時間、即ちスイッチングトランジスタの遅延開通時間T1及びスイッチングトランジスタのオン時間T2である。取得された電流Icが下降傾向にある場合、電流の実測値Icと予め設定された電流差分ΔIとの差を補正電流とする。主制御ユニット20は、この補正電流に基づいて電流区間判定を行い、これにより力率補正回路に対応するパルス制御パラメータT1及びT2を決定する。例えば、図6に示すように、補正電流が第2電流区間R2にある場合(即ち、I<(Ic-ΔI)≦I)、パルス制御パラメータは、第2電流区間R2に対応するスイッチングトランジスタの遅延開通時間及びスイッチングトランジスタのオン時間、即ちスイッチングトランジスタの遅延開通時間T1及びスイッチングトランジスタのオン時間T2である。
【0081】
ステップ5において、主制御ユニット20は、このパルス制御パラメータに基づいてスイッチングトランジスタV01をオン又はオフに制御する。
【0082】
幾つかの例において、図3に示すように、この主制御ユニット20は、チョッパ波形を生成するPFCパルス幅変調ユニット230を含む。主制御ユニット20がスイッチングトランジスタV01の遅延開通時間T1とスイッチングトランジスタV01のオン時間T2とを決定した後、主制御ユニット20は、このPFCパルス幅変調ユニット230によって、スイッチングトランジスタV01の遅延開通時間T1とスイッチングトランジスタV01のオン時間T2に基づいてPFCパルス信号を生成して、ドライバ60に送信することができる。
【0083】
ドライバ60は、PFCパルス信号によってスイッチングトランジスタV01のオン時間とオフ時間を制御し、これにより、力率補正回路内のスイッチングトランジスタV01をスイッチングトランジスタV01の遅延開通時間T1に従って遅延した後に開通させ、且つスイッチングトランジスタV01のオン時間T2に従ってオンさせ続けるように制御する。
【0084】
例えば、スイッチングトランジスタV01の遅延開通時間T1を0.1msとし、スイッチングトランジスタV01のオン時間T2を0.2msとする場合、主制御ユニット20は、ゼロクロス点信号を基準として、0.1ms遅延した後に、ドライバ60によってスイッチングトランジスタV01を開通させ、且つスイッチングトランジスタV01を0.2ms間オンさせ続けるように制御する。
【0085】
本開示の実施例において、この力率適応型制御方法は、給電電源の周波数を自動的に識別し、この周波数に基づいてPFCパルス制御パラメータセットから対応するPFCパルス制御パラメータ群を選択する。そして、取得された力率補正回路の交流-直流変換回路10の電流に基づいて、主制御ユニット20は、選択されたPFCパルス制御パラメータ群から、交流-直流変換回路10の電流に対応するパルス制御パラメータ、即ち、スイッチングトランジスタV01の遅延開通時間T1とスイッチングトランジスタV01のオン時間T2を選択する。このパルス制御パラメータによって、主制御ユニット20は、対応するPFCパルス信号を生成して、力率補正回路の動作を制御し、異なる周波数の交流電源に対する力率の適応型補正を実現する。これにより、インバータエアコン製品は、給電電源の周波数及び製品によって区分される販売地域を区別する必要なく、製造、販売、及びユーザの使用を便利にし、力率補正回路の補正効果を向上させることができる。
【0086】
本開示の幾つかの実施例は、力率適応型制御装置を提供する。この装置は、図1及び図2に示すような力率補正回路を備えた空気調和機に応用することができる。
【0087】
図8は、幾つかの実施例に係る力率適応型制御装置のブロック図である。
【0088】
図8に示すように、この装置100は、第1決定モジュール101、選択モジュール102、取得モジュール103、第2決定モジュール104、及び制御モジュール105を含む。第1決定モジュール101は、給電電源Vacに結合され、選択モジュール102は、第1決定モジュール101に結合され、取得モジュール103は、力率補正回路の交流-直流変換回路10に結合され、第2決定モジュール104は、選択モジュール102及び取得モジュール103に結合され、制御モジュール105は、第2決定モジュール104に結合される。
【0089】
第1決定モジュール101は、給電電源の周波数を決定するように配置される。
【0090】
本開示の幾つかの実施例において、第1決定モジュール101は、ゼロクロス検出ユニット111、計時ユニット112、時間計算ユニット113、及び給電電源周波数の識別ユニット114を含む。
【0091】
ゼロクロス検出ユニット111は、給電電源のゼロクロス点信号を検出するように配置される。
計時ユニット112は、ゼロクロス検出ユニット111が給電電源のゼロクロス点信号を検出した時に、このゼロクロス点信号の所在時刻を記録するように配置される。
【0092】
時間計算ユニット113は、連続する2つのゼロクロス点信号の所在時刻に基づいて、連続する2つのゼロクロス点信号の時間間隔を決定するように配置される。
【0093】
識別ユニット114は、この時間間隔に基づいて給電電源の周波数を決定するように配置される。
【0094】
幾つかの実施例において、給電電源の周波数は、第1周波数(例えば、50Hz)又は第2周波数(例えば、60Hz)であると仮定する。給電電源の周波数が第1周波数である場合、この給電電源の連続する2回のゼロクロス点信号の標準時間間隔を、第1プリセット時間間隔とする。給電電源の周波数が第2周波数である場合、この給電電源の連続する2回のゼロクロス点信号の標準時間間隔を、第2プリセット時間間隔とする。
【0095】
幾つかの実施例において、識別ユニット114がこの時間間隔に基づいて給電電源の周波数を決定することは、
この時間間隔が第1プリセット時間間隔とプリセット補正値との差以上であり、且つ第1プリセット時間間隔とプリセット補正値との和以下である場合、識別ユニット114は、給電電源の周波数が第1周波数であると決定することと、
この時間間隔が第2プリセット時間間隔とプリセット補正値との差以上であり、且つ第2プリセット時間間隔とプリセット補正値との和以下である場合、識別ユニット114は、給電電源の周波数が第2周波数であると決定することと、を含む。
【0096】
選択モジュール102は、決定された給電電源の周波数に基づいて、PFCパルス制御パラメータセットから、当該周波数に対応するPFCパルス制御パラメータ群を選択するように配置される。
PFCパルス制御パラメータセットは、予め設定されたパラメータ群であり、給電電源の複数の異なる周波数(例えば、50Hzと60Hz)に対応する複数のPFCパルス制御パラメータ群を含む。
取得モジュール103は、力率補正回路の交流-直流変換回路10の電流を取得するように配置される。
【0097】
例えば、取得モジュール103は、交流-直流変換回路10を流れる電流を検出可能な電流検出ユニットを含む。
【0098】
第2決定モジュール104は、取得された電流と選択されたPFCパルス制御パラメータ群に基づいて、力率補正回路に対応するパルス制御パラメータを決定するように配置される。
【0099】
各々のPFCパルス制御パラメータ群には、いずれも複数のグループのパルス制御パラメータが含まれている。各グループのパルス制御パラメータは、電流区間、及びこの電流区間に対応するスイッチングトランジスタV01の遅延開通時間T1及びスイッチングトランジスタV01のオン時間T2を含む。
【0100】
幾つかの例において、交流-直流変換回路10の電流は、0からImaxまでのn個の電流区間に分割されてもよく、nは自然数である。ここで、電流Imaxは、PFC回路における交流-直流変換回路10の電流の最大値であり、この最大値は、実際に使われた回路機器の仕様や型番に応じて決定する必要がある。
【0101】
例えば、図6に示すように、電流区間[0、I]を第1電流区間R1と定義し、電流区間[I、I]を第2電流区間R2と定義し、以下同様に、電流区間[In-1、I]を第n電流区間Rnと定義する。この場合、電流Iは、交流-直流変換回路10の電流Imaxである。第1電流区間R1は、スイッチングトランジスタV01の遅延開通時間T1及びスイッチングトランジスタV01のオン時間T2に対応し、第2電流区間R2は、スイッチングトランジスタV01の遅延開通時間T1及びスイッチングトランジスタV01のオン時間T2に対応し、第n電流区間Rnは、スイッチングトランジスタV01の遅延開通時間T1及びスイッチングトランジスタV01のオン時間T2に対応する。
【0102】
これに基づいて、幾つかの実施例において、パルス制御パラメータは、関数曲線をフィッティングすることで決定される。これにより、交流-直流変換回路10の電流が異なる区間で変化する時に生じるパルス制御パラメータの変動を低減する。この場合、第2決定モジュール104は、関数曲線フィッティングユニット141及び第1パラメータ決定ユニット142を含む。
【0103】
関数曲線フィッティングユニット141は、選択されたPFCパルス制御パラメータ群に基づいて、電流とスイッチングトランジスタV01の遅延開通時間T1との対応関係を含む第1関数曲線、及び電流とスイッチングトランジスタV01のオン時間T2との対応関係を含む第2関数曲線を決定するように配置される。
【0104】
第2決定モジュール104の関数曲線フィッティングユニット141は、点抽出ユニット1411及び線形フィッティングユニット1412をさらに含む。
【0105】
点抽出ユニット1411は、各々の電流区間の上限電流値及び各々の電流区間に対応するスイッチングトランジスタV01の遅延開通時間T1を第1補間点として抽出し、これにより複数の第1補間点を取得し、且つ、各々の電流区間の上限電流値及び各々の電流区間に対応するスイッチングトランジスタV01のオン時間T2を第2補間点として抽出し、これにより複数の第2補間点を取得するように配置される。
【0106】
線形フィッティングユニット1412は、抽出された複数の第1補間点に基づいて、フィッティングして第1関数曲線を取得し、且つ、抽出された複数の第2補間点に基づいて、フィッティングして第2関数曲線を取得するように配置される。
【0107】
第1パラメータ決定ユニット142は、取得された電流に基づいて、第1関数曲線を使ってスイッチングトランジスタV01の遅延開通時間T1を決定し、且つ、取得された電流に基づいて、第2関数曲線を使ってスイッチングトランジスタV01のオン時間T2を取得するように配置される。
【0108】
他の幾つかの実施例において、差分制御方式を用いて、パルス制御パラメータを決定する。この場合、第2決定モジュール104は、電流傾向判定ユニット143、電流計算ユニット144及び第2パラメータ決定ユニット145を含む。
【0109】
電流傾向判定ユニット143は、力率補正回路の交流-直流変換回路10の電流が上昇傾向にあるか否かを判定するように配置される。
【0110】
電流計算ユニット144は、取得された電流が上昇傾向にある場合、取得された電流と予め設定された電流差分との和を補正電流とし、取得された電流が下降傾向にある場合、取得された電流と予め設定された電流差分との差を補正電流とするように配置される。
【0111】
第2パラメータ判定ユニット145は、この補正電流に基づいて、この補正電流が位置する電流区間を判定して、力率補正回路に対応するパルス制御パラメータを決定するように配置される。
【0112】
制御モジュール105は、決定されたパルス制御パラメータに基づいて、力率補正回路内のスイッチングトランジスタV01のオン又はオフを制御するように配置される。
【0113】
本開示の実施例において、制御モジュール105はPFC-PWMユニット151及び駆動ユニット152を含む。
【0114】
PFC-PWMユニット151は、決定されたパルス制御パラメータに基づいてPFCパルス信号を生成するように配置される。
【0115】
駆動ユニット152は、PFC-PWMユニット151によって生成されるPFCパルス信号に基づいて、力率補正回路内のスイッチングトランジスタV01を、スイッチングトランジスタV01の遅延開通時間T1に従って遅延した後に開通させ、且つスイッチングトランジスタV01のオン時間T2に従ってオンさせ続けるように制御する、ように配置される。
【0116】
上記の第1決定モジュール101、選択モジュール102、取得モジュール103、第2決定モジュール104、制御モジュール105、及び各モジュールにおけるサブモジュールの具体的な実現は、上記の力率適応型制御方法の関連説明を参照することができ、ここではその説明を省略する。
【0117】
本開示の実施例において、力率適応型制御装置100は、給電電源の周波数を自動的に識別し、この周波数に基づいてPFCパルス制御パラメータセットから対応するPFCパルス制御パラメータ群を選択する。そして、取得された力率補正回路の交流-直流変換回路10の電流に基づいて、装置100は、選択されたPFCパルス制御パラメータ群から、交流-直流変換回路10の電流に対応するパルス制御パラメータを選択する。このパルス制御パラメータによって、この装置100は対応するPFCパルス信号を生成して、力率補正回路の動作を制御し、異なる周波数の交流電源に対する力率の適応型補正を実現する。これにより、インバータエアコン製品は、給電電源の周波数及び製品によって区分される販売地域を区別する必要なく、製造、販売、及びユーザの使用を便利にし、力率補正回路の補正効果を向上させることができる。
【0118】
本開示の幾つかの実施例は、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体(例えば、非一時的コンピュータ読み取り可能な記憶媒体)を提供する。このコンピュータ読み取り可能な記憶媒体には、コンピュータプログラム命令が記憶され、コンピュータプログラム命令は、コンピュータによって実行される時に、上記の実施例に記載された力率適応型制御方法を実現する。
【0119】
例えば、上記のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、磁気記録装置(例えば、ハードディスク、フロッピーディスク、磁気テープなど)、光ディスク(例えば、CD(Compact Disk、コンパクトディスク)、DVD(Digital Versatile Disk、デジタル多用途ディスク)など)、スマートカードとフラッシュメモリ素子(例えば、EPROM(Erasable Programmable Read-Only Memory、消去可能プログラマブル読み取り専用メモリ)、カードドライブ、スティックドライブ又はキードライブなど)を含むが、これらに限定されない。本開示の実施例で説明される様々なコンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、情報を記憶するための1つまたは複数のデバイス及び/又は他の機械読み取り可能な記憶媒体を表すことができる。「機械読み取り可能な記憶媒体」という用語は、無線チャネルと命令及び/又はデータを記憶、包含、及び/又は担持することができる様々な他の媒体を含み得るが、これらに限定されない。
【0120】
本開示の幾つかの実施例は、コンピュータプログラム製品を提供する。このコンピュータプログラム製品は、コンピュータプログラム命令(このコンピュータプログラム命令は、例えば非一時的コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶される)を含む。このコンピュータプログラム命令がコンピュータ上で実行される時、このコンピュータプログラム命令は、上記の実施例に記載の力率適応型制御方法をコンピュータに実行させる。
【0121】
本開示の幾つかの実施例は、コンピュータプログラムを提供する。このコンピュータプログラムがコンピュータ上で実行される時、このコンピュータプログラムは、上記の実施例に記載の力率適応型制御方法をコンピュータに実行させる。
【0122】
上記のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体、コンピュータプログラム製品及びコンピュータプログラムの有益な効果は、上記の実施例に記載の力率適応型制御方法の有益な効果と同じであり、ここではその説明を省略する。
【0123】
図9に示すように、本開示の幾つかの実施例は、空気調和機2000を提供する。
【0124】
幾つかの実施例において、空気調和機2000は、上記の実施例に記載のような力率適応型制御装置100を備える。即ち、空気調和機2000は、給電電源の周波数を決定するように配置される第1決定モジュール101と、決定された給電電源の周波数に基づいてPFCパルス制御パラメータセットから、当該周波数に対応するPFCパルス制御パラメータ群を選択するように配置される選択モジュール102と、力率補正回路の交流-直流変換回路10の電流を取得するように配置される取得モジュール103と、取得された電流と選択されたPFCパルス制御パラメータセットに基づいて、力率補正回路に対応するパルス制御パラメータを決定するように配置される第2決定モジュール104と、決定されたパルス制御パラメータに基づいて、力率補正回路におけるスイッチングトランジスタのオン又はオフを制御するように配置される制御モジュール105と、を備え得る。
【0125】
この空気調和機2000が力率適応型制御に用いられる場合、その具体的な実現方式は、本開示の上記の実施例で説明した力率適応型制御装置100と類似し、具体的には、前述の当該装置100の部分に関する説明を参照することができ、ここではその説明を省略する。
【0126】
幾つかの実施例において、図10に示すように、空気調和機2000は、プロセッサ310及びメモリ320を含む。メモリ320には、プロセッサ310上で動作可能な力率適応型制御プログラムが記憶される。この力率適応型制御プログラムがプロセッサ310によって実行される時、上記の実施例に記載の力率適応型制御方法が実現される。
【0127】
幾つかの実施例において、図11に示すように、空気調和機2000は、上記の図1又は図2に示す力率補正回路、及び圧縮機330を含む。圧縮機330は、この力率補正回路の外部負荷端子にカップリングされる。この空気調和機2000は、この力率補正回路によって、上記の力率適応型制御方法を実行する。
【0128】
なお、空気調和機2000は、力率補正回路によって圧縮機330に対して力率の補正を行う。この力率補正回路の動作過程は、前述の関連説明を参照することができ、ここではその説明を省略する。
【0129】
本開示の実施例において、空気調和機2000は、給電電源の周波数を自動的に識別し、この周波数に基づいてPFCパルス制御パラメータセットから対応するPFCパルス制御パラメータ群を選択する。そして、取得された力率補正回路の交流-直流変換回路10の電流に基づいて、この空気調和機2000は、選択されたPFCパルス制御パラメータ群から、交流-直流変換回路10の電流に対応するパルス制御パラメータを選択する。このパルス制御パラメータに基づいて、空気調和機2000は対応するPFCパルスを生成して、力率補正回路の動作を制御し、異なる周波数の交流電源に対する力率の適応補正を実現する。これにより、インバータエアコン製品は、給電電源の周波数及び製品によって区分される販売地域を区別する必要なく、製造、販売、及びユーザの使用を便利にし、力率補正回路の補正効果を向上させることができる。
【0130】
上記は本開示の具体的な実施形態に過ぎないが、本開示の保護範囲はこれに限定されず、いかなる当業者が本開示の技術的範囲内で容易に想到できる変更又は置換は、すべて本開示の技術的範囲内に包含されるものである。従って、本開示の保護範囲は、特許請求の範囲に記載された保護範囲を準拠するものとする。
【符号の説明】
【0131】
10 交流-直流変換回路
20 主制御ユニット
30 電流検出ユニット
40 ゼロクロス検出ユニット
50 計時ユニット
60 ドライバ
70 PFCパルス制御パラメータセット記憶用メモリ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【手続補正書】
【提出日】2023-05-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
力率適応型制御方法であって、力率補正(Power Factor Correction、PFC)回路の主制御ユニットによって実行され、前記力率補正回路は、交流-直流変換回路をさらに含み、前記交流-直流変換回路は、スイッチングトランジスタを含み、
前記方法は、
給電電源の周波数を決定することと、
前記周波数に基づいて、PFCパルス制御パラメータセットから前記周波数に対応するPFCパルス制御パラメータ群を選択することであって、前記PFCパルス制御パラメータセットは、前記給電電源の複数の周波数に対応する複数のPFCパルス制御パラメータ群を含各々のPFCパルス制御パラメータ群は、複数のグループのパルス制御パラメータを含み、各グループのパルス制御パラメータは、電流区間、及び前記電流区間に対応するスイッチングトランジスタの遅延開通時間とスイッチングトランジスタのオン時間を有する、ことと、
前記交流-直流変換回路の電流を取得することと、
取得された電流に基づいて、前記取得された電流が上昇傾向にある場合、前記取得された電流と予め設定された電流差分との和を補正電流とし、前記取得された電流が下降傾向にある場合、前記取得された電流と前記予め設定された電流差分との差を補正電流とすることと、
前記補正電流に基づいて、前記補正電流に対応する電流区間を決定することと、
前記対応する電流区間及び選択されたPFCパルス制御パラメータ群に基づいて、前記力率補正回路に対応する前記スイッチングトランジスタの遅延開通時間及び前記スイッチングトランジスタのオン時間を決定することと
記スイッチングトランジスタをオン又はオフに制御することと、を有する、
力率適応型制御方法。
【請求項2】
前記した、給電電源の周波数を決定することは、
連続する2つのゼロクロス点信号の所在時刻を取得することと、
前記連続する2つのゼロクロス点信号の所在時刻に基づいて、前記連続する2つのゼロクロス点信号の時間間隔を決定することと、
前記時間間隔に基づいて、前記給電電源の周波数を決定することとを含む、
請求項1に記載の力率適応型制御方法。
【請求項3】
前記給電電源の複数の周波数は、第1周波数及び第2周波数を含み、
前記した、前記時間間隔に基づいて、前記給電電源の周波数を決定することは、
前記時間間隔が第1プリセット時間間隔とプリセット補正値との差以上であり、且つ前記第1プリセット時間間隔と前記プリセット補正値との和以下である場合、前記給電電源の周波数が前記第1周波数であると決定することと、
前記時間間隔が第2プリセット時間間隔と前記プリセット補正値との差以上であり、且つ前記第2プリセット時間間隔と前記プリセット補正値との和以下である場合、前記給電電源の周波数が第2周波数であると決定することとを含み、
前記第1プリセット時間間隔は、前記第1周波数における給電電源の連続する2回のゼロクロス点信号の標準時間間隔であり、前記第2プリセット時間間隔は、前記第2周波数における給電電源の連続する2回のゼロクロス点信号の標準時間間隔である、
請求項2に記載の力率適応型制御方法。
【請求項4】
記した、取得された電流及び選択されたPFCパルス制御パラメータ群に基づいて、前記力率補正回路に対応するパルス制御パラメータを決定することは
記電流区間に基づいて、前記電流区間に対応するスイッチングトランジスタの遅延開通時間及びスイッチングトランジスタのオン時間を取得すること、さらに含む、
請求項1から請求項3のいずれかに記載の力率適応型制御方法。
【請求項5】
力率補正回路であって、
スイッチングトランジスタを含む交流-直流変換回路、及び主制御ユニットを備え、
前記主制御ユニットは、
給電電源の周波数を決定し、前記周波数に基づいて、PFCパルス制御パラメータセットから前記周波数に対応するPFCパルス制御パラメータ群を選択し、ここで、前記PFCパルス制御パラメータセットは、前記給電電源の複数の周波数に対応する複数のPFCパルス制御パラメータ群を含み、各々のPFCパルス制御パラメータ群は、複数のグループのパルス制御パラメータを含み、各グループのパルス制御パラメータは、電流区間、及び前記電流区間に対応するスイッチングトランジスタの遅延開通時間とスイッチングトランジスタのオン時間を有し、
前記交流-直流変換回路の電流を取得し、
取得された電流に基づいて、前記取得された電流が上昇傾向にある場合、前記取得された電流と予め設定された電流差分との和を補正電流とし、前記取得された電流が下降傾向にある場合、前記取得された電流と前記予め設定された電流差分との差を補正電流とし、
前記補正電流に基づいて、前記補正電流に対応する電流区間を決定し、
前記対応する電流区間及び前記選択されたPFCパルス制御パラメータ群に基づいて、前記力率補正回路に対応する前記スイッチングトランジスタの遅延開通時間及び前記スイッチングトランジスタのオン時間を決定し、且つ
記スイッチングトランジスタをオン又はオフに制御するように配置されている、
力率補正回路。
【請求項6】
コンピュータによって実行されると、請求項1から請求項のいずれかに記載の力率適応型制御方法における1つまたは複数のステップを前記コンピュータに実行させるコンピュータプログラム命令を記憶した、
コンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【請求項7】
空気調和機であって、
プロセッサ、及びメモリを備え、
前記メモリには、命令を含む1つまたは複数のコンピュータプログラムが記憶され、前記命令が前記プロセッサによって実行されると、前記空気調和機は、請求項1から請求項のいずれかに記載の力率適応型制御方法における1つまたは複数のステップを実行する、
空気調和機。
【請求項8】
請求項に記載の力率補正回路、及び前記力率補正回路にカップリングされた圧縮機を備える、
空気調和機。