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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023073191
(43)【公開日】2023-05-25
(54)【発明の名称】電子部品製作用フィルム
(51)【国際特許分類】
   C08L 101/00 20060101AFI20230518BHJP
   B32B 27/18 20060101ALI20230518BHJP
   B32B 27/36 20060101ALI20230518BHJP
   C08J 5/18 20060101ALI20230518BHJP
   C08K 3/08 20060101ALI20230518BHJP
【FI】
C08L101/00
B32B27/18 D
B32B27/36
C08J5/18 CER
C08J5/18 CEZ
C08K3/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022088656
(22)【出願日】2022-05-31
(31)【優先権主張番号】10-2021-0157011
(32)【優先日】2021-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シム、デ ジン
(72)【発明者】
【氏名】パク、ジュン ジン
(72)【発明者】
【氏名】キム、ス ミン
(72)【発明者】
【氏名】リー、ジョン ホ
(72)【発明者】
【氏名】リー、エウン ジュン
(72)【発明者】
【氏名】パク、ジュン ジン
【テーマコード(参考)】
4F071
4F100
4J002
【Fターム(参考)】
4F071AA46
4F071AB08B
4F071AB12B
4F071AD01
4F071AD06
4F071AE14
4F071AE15
4F071AF19
4F071AG13
4F071AH12
4F071BB06
4F071BC01
4F071BC12
4F100AB02A
4F100AB02H
4F100AB15A
4F100AB15H
4F100AB16A
4F100AB16H
4F100AK42A
4F100AK42B
4F100AT00
4F100BA02
4F100CA21A
4F100CA21H
4F100GB15
4F100JA01A
4F100JG03A
4F100JJ01A
4J002AA001
4J002CF061
4J002CF081
4J002DA086
4J002FD106
4J002GQ00
(57)【要約】      (修正有)
【課題】本発明の目的の一つは、製造工程途中に静電気発生を防止することができる電子部品製作用フィルムを提供することである。もう一つは、製造工程途中に冷却効率を上昇させることができる電子部品製作用フィルムを提供することである。もう一つは、均一な厚さを有する電子部品製作用フィルムを提供することである。もう一つは、電子部品製作時にセラミックシートの剥離を容易にし、損傷なく電子部品の製作を可能にする電子部品製作用フィルムを提供することである。
【解決手段】本発明の一例は、高分子層と、高分子層内に分散した金属ナノワイヤ112とを含む電子部品製作用フィルム10を提供する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高分子層と、
前記高分子層内に分散した金属ナノワイヤと、を含む、電子部品製作用フィルム。
【請求項2】
前記高分子層はポリエステル系化合物を含む、請求項1に記載の電子部品製作用フィルム。
【請求項3】
前記ポリエステル系化合物はPET(Polyethylene terephthalate)である、請求項2に記載の電子部品製作用フィルム。
【請求項4】
前記金属ナノワイヤは強磁性体金属を含む、請求項3に記載の電子部品製作用フィルム。
【請求項5】
前記強磁性体金属は、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、鉄(Fe)のうち少なくとも一つ以上またはこれらの合金を含む、請求項4に記載の電子部品製作用フィルム。
【請求項6】
前記高分子層は、表面層と、前記表面層上に配置された背面層とを含む、請求項5に記載の電子部品製作用フィルム。
【請求項7】
前記金属ナノワイヤは前記高分子層の前記表面層内に分散する、請求項6に記載の電子部品製作用フィルム。
【請求項8】
前記高分子層内に分散した充填剤をさらに含む、請求項6に記載の電子部品製作用フィルム。
【請求項9】
前記充填剤は前記背面層内に分散する、請求項8に記載の電子部品製作用フィルム。
【請求項10】
前記金属ナノワイヤのアスペクト比(Aspect ratio)は10から500である、請求項6に記載の電子部品製作用フィルム。
【請求項11】
前記表面層内の前記金属ナノワイヤの含量は0.2wt%未満である、請求項10に記載の電子部品製作用フィルム。
【請求項12】
前記高分子層は、前記表面層上に配置される離型層をさらに含む、請求項11に記載の電子部品製作用フィルム。
【請求項13】
前記背面層の平均厚さが前記表面層の平均厚さより厚く、
前記表面層及び前記背面層の厚さの割合は1:9から3:7である、請求項12に記載の電子部品製作用フィルム。
【請求項14】
前記離型層の表面における表面抵抗は10^10Ω/□以下である、請求項13に記載の電子部品製作用フィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品製作用フィルム、具体的に、積層型電子部品の製造時に使用される電子部品製作用フィルムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ハイエンド(High-End)薄層/高積層MLCC(Multilayer Ceramic Capacitors)の場合、製造時に使用されるポリエステルフィルム(Polyester Film)の原材料厚さの偏差が増加する場合、MLCCの誘電層厚さの散布が増加することにより耐電圧特性が低下し、短絡(Short)率の上昇を誘発する。また、誘電層が薄層化されるほど、成形、積層工程(Roll to Roll)において静電気による異物混入は、MLCCの製品特性に大きな影響を与える。
【0003】
従来技術では、押出された高温の電子部品製作用フィルムを密着、冷却するために、静電気印加剤を高分子重合段階でシート内に添加するか、エアノズル(Air Nozzle)を通じて物理的に密着、冷却させる。この時、フィルムに帯電防止特性を付与するために、内部に低分子帯電防止剤を投入して表面に移動させるか、完成されたフィルム表面に溶液コーティング及び乾燥を施す。
【0004】
但し、静電気印加剤を過量添加する場合、溶融された高分子内で相溶性が低下して、シート表面粗さの低下の原因となり得る。また、エアノズルの場合、ノズルと冷却用キャスティングロール(Casting Roll)、押出されたフィルムシート間の距離によって最適な冷却条件が決定され、必ずしも最大の風量が最大の冷却効果に繋がるとは限らない。押出されたフィルムシートの密着程度と冷却効率を極大化するために風量を高める場合、押出されたフィルムシートの表面にエア跡が生じることがある。
【0005】
そこで、金属ナノワイヤ材料を利用して、伝導性及び磁性をいずれも確保し、かつフィルム製作工程と電子部品製作工程で損傷を減らすことができる電子部品製作用フィルムについて考案するようになった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的の一つは、製造工程途中に静電気発生を防止することができる電子部品製作用フィルムを提供することである。
本発明の目的のもう一つは、製造工程途中に冷却効率を上昇させることができる電子部品製作用フィルムを提供することである。
本発明の目的のさらにもう一つは、均一な厚さを有する電子部品製作用フィルムを提供することである。
本発明の目的のさらにもう一つは、電子部品製作時にセラミックシートの剥離を容易にし、損傷なく電子部品の製作を可能にする電子部品製作用フィルムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一例は、高分子層と、上記高分子層内に分散した金属ナノワイヤとを含む、電子部品製作用フィルムを提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の効果の一つとして、製造工程途中に静電気発生を防止することができる電子部品製作用フィルムを提供することができる。
【0009】
本発明の効果の他の一つとして、製造工程途中に冷却効率を上昇させることができる電子部品製作用フィルムを提供することができる。
【0010】
本発明の効果のさらに他の一つとして、均一な厚さを有する電子部品製作用フィルムを提供することができる。
【0011】
本発明の効果のさらに他の一つとして、電子部品製作時にセラミックシートの剥離を容易にし、損傷なく電子部品の製作を可能にする電子部品製作用フィルムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一例による電子部品製作用フィルムを概略的に示した断面図である。
図2図1の電子部品製作用フィルムを概略的に示した斜視図である。
図3】本発明の一例による電子部品製作用フィルムの内部構成を具体的に示した断面図である。
図4】本発明の変形例による電子部品製作用フィルムの平面図である。
図5】本発明の一例による電子部品製作用フィルムの製造工程の一部を示した工程図である。
図6】本発明の一例による電子部品製作用フィルムを使用した場合の、剥離力の改善効果を概略的に示した比較グラフである。
図7】本発明の一例による電子部品製作用フィルムを使用した場合の、セラミックシートの皺不良率の改善効果を概略的に示した比較グラフである。
図8】本発明の一例による電子部品製作用フィルムを使用した場合の、Burnt発生回数の改善効果を概略的に示した比較グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、具体的な実施形態及び添付された図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。しかし、本発明の実施形態は、いくつかの他の形態に変形することができ、本発明の範囲が以下で説明する実施形態に限定されるものではない。また、本発明の実施形態は、通常の技術者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために拡大縮小表示(又は強調表示や簡略化表示)されることがあり、図面上の同一の符号で示される要素は同一の要素である。
【0014】
尚、図面において本発明を明確に説明するために説明と関係ない部分は省略し、図面で示された各構成の大きさ及び厚さは説明の便宜のために任意に示すため、本発明が必ずしも図示に限定されるものではない。また、同一の思想の範囲内の機能が同一の構成要素は、同一の参照符号を用いて説明する。さらに、明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」というのは、特に反対される記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0015】
図面において、第1方向は積層方向または厚さ(T)方向、第2方向は長さ(L)方向、第3方向は幅(W)方向と定義されることができる。
【0016】
本発明の一例及び変形例による電子部品製作用フィルム10、11は、MLCC(Multilayer Ceramic Capacitors)などのキャパシタ、インダクタ(Inductor)、抵抗器(Resistor)などの電子部品を製作するのに使用されることができる。一例として、電子部品製作用フィルム10、11は、積層型キャパシタが積層される工程において、最下層の下部でキャパシタの成形層と印刷層を支持する基材として機能し、積層工程中に電子部品を容易に固定させると同時に、静電気発生を減少させることで、異物の混入を遮断する機能を行うことができる。電子部品製作用フィルム10、11は、積層工程以後に電子部品とは剥離されることができる。
【0017】
以下、各図面の図示事項に基づいて本発明による電子部品製作用フィルムの構成を具体的に説明する。
【0018】
図1は、本発明の一例による電子部品製作用フィルムを概略的に示した断面図である。
【0019】
一例による電子部品製作用フィルム10は、高分子層100、及び高分子層100内に分散した金属ナノワイヤ112を含むことができる。図1を参照すると、高分子層100は、表面層110、及び表面層110の一面に配置された背面層120を含むことができる。
【0020】
図2は、図1の電子部品製作用フィルムを概略的に示した斜視図である。
【0021】
図3は、本発明の一例による電子部品製作用フィルムの内部構成を具体的に示した断面図である。
【0022】
図2を参照すると、一例による電子部品製作用フィルム10の表面層110内に、金属ナノワイヤ112が分散している。
【0023】
具体的に、図3を参照すると、表面層110は、第1樹脂層111、及び第1樹脂層111内に分散した金属ナノワイヤ112を含むことができる。
【0024】
第1樹脂層111は、ポリエステル(Polyester)系化合物またはポリエステル系高分子を含むことができ、例えば、主繰返し単位がエチレンテレフタレート及びエチレンナフタレートの中から選択された少なくとも一つであることができる。一例として、第1樹脂層111は、エチレングリコール(Ethylene Gylcol)をテレフタル酸(Terephthalic acid)と縮合重合して形成されたポリエチレンテレフタレート(PET、poly(ethylene terephthalate))を含むことができる。この時、ポリエチレンテレフタレートは、上述したテレフタル酸を用いた直接法を利用して製造されることができるが、ジメチルテレフタレート(dimethyl terephthalate)を用いたDMT法により製造されることもできる。
【0025】
金属ナノワイヤ112は、ナノメートル(nanometer)単位の大きさを有するワイヤ形状構造体であることができる。ここで、金属ナノワイヤ112の平均粒径は10nm~1.0μm、縦横比(Aspect Ratio)は10~500であることができる。具体的に、本発明の一例による電子部品製作用フィルム10において、金属ナノワイヤ112は金属物質を含むことができ、金属物質は単原子強磁性体金属であることができる。金属ナノワイヤの合成は、Vapor-Liquid-Solid(VLS)プロセスにより作られることができるが、これに限定されるものではない。
【0026】
単原子強磁性体金属の例示としては、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、鉄(Fe)、またはこれらのうち2以上の合金を挙げることができるが、これに制限されるものではない。一例による電子部品製作用フィルム10が磁性と伝導性を同時に有する金属の金属ナノワイヤ112を含むことにより、後述するキャスティング(Casting)工程でキャスティングロールまたは冷却ロールに溶融押出されたシートを密着させることで冷却効率を向上させると同時に、帯電防止性を有するようになり、静電気によるセラミック層の損傷を防止することができる。これにより、均一な厚さを有する電子部品製作用フィルム10を製作することができ、静電気による積層工程で発生し得る皺不良の改善が可能であり、静電気による異物混入を防止することで、最終的にMLCCなどの電子部品における特性を改善させることができる。
【0027】
図3に示すように、金属ナノワイヤ112は表面層110の内部に分散した構造を有することができるが、これに制限されるものではない。例示として、金属ナノワイヤ112は、表面層110だけでなく背面層120の第2樹脂層121の内部にも分散することができる。一方、金属ナノワイヤ112が表面層110内に分散する場合、表面層110が後述する冷却ロール(キャスティングロール)320に密着されるため、金属ナノワイヤ112の磁性及び伝導性により、フィルム10の帯電防止性及び密着性がさらに良好になることができる。
【0028】
一例による電子部品製造用フィルム10において、金属ナノワイヤ112は針状型の形状を有することができる。即ち、金属ナノワイヤ112は、一方向に延長された柱形状を有することができるが、これに制限されるものではない。
【0029】
金属ナノワイヤ112が針状型である場合、金属ナノワイヤ112のアスペクト比(Aspect ratio、または縦横比)は、10から500であることができる。また、互いにアスペクト比差の大きい複数の金属ナノワイヤ112を混合して第1樹脂層111内に分散させることで、最終の電子部品製造用フィルム10の表面抵抗を調節することができる。
【0030】
一例による電子部品製造用フィルム10において、金属ナノワイヤ112は、表面層110の含量に対して0.2wt%未満の含量で含まれることができる。
【0031】
【表1】
【0032】
上記表1の実験例1~3を参照すると、金属ナノワイヤ112の含量は表面層110の含量に対して0.2wt%未満であることが好ましい。比較例2及び3のように、金属ナノワイヤ112の含量が表面層110の含量に対して0.2wt%以上の場合、金属ナノワイヤ112の含量が高くなり表面層110内で凝集する現象が発生し、フィルムの帯電防止性を低下させるおそれがある。
【0033】
また、上記表1の実験例1~3を参照すると、金属ナノワイヤ112を含まない比較例1に比べて、金属ナノワイヤ112が表面層110内に含まれる場合、最終の電子部品製作用フィルム10の厚さ偏差が減少することができる。ここで厚さ偏差とは、任意の複数の領域、例示として10ヶ所の互いに異なる任意の領域で金属ナノワイヤ112が含まれた表面層110の厚さを測定し、測定された厚さのうち最大値(Max)から最小値(min)を引いた値を意味することができる。
【0034】
即ち、実験例1~3に示すように、表面層110が金属ナノワイヤ112を含むことにより、より均一な表面層110を得ることができ、これにより全体電子部品製作用フィルム10の厚さも均一になることができる。
【0035】
また、上記表1の実験例1~3を参照すると、金属ナノワイヤ112を含まない比較例1に比べて、金属ナノワイヤ112が表面層110内に含まれると静電気発生が減少することが分かる。このように静電気発生が減少することにより、電子部品製作用フィルム10を製作するためのロールツーロール(Roll to Roll)工程中に異物の混入が防止されることができ、後にMLCCなどの電子部品を電子部品製作用フィルム10上に積層する場合、電子部品内に異物が混入される現象を防止することができる。
【0036】
また、上記表1を参照すると、金属ナノワイヤ112を含まない比較例1に比べて、金属ナノワイヤ112が表面層110内に含まれると、剥離力(mN)が減少することができる。本開示において剥離力が減少するとは、電子部品製作用フィルム10、11が電子部品の積層工程以後に電子部品または電子部品の成形、印刷層と容易に剥離可能なことを意味する。
【0037】
図3を参照すると、一例による電子部品製造用フィルム10は、表面層110の一面上に配置される背面層120をさらに含むことができる。
【0038】
背面層120は、第2樹脂層121及び第2樹脂層121内に分散した充填剤122を含むことができる。
【0039】
第2樹脂層121は、主繰返し単位がエチレンテレフタレート及びエチレンナフタレートの中から選択された少なくとも一つであることができ、第1樹脂層111と同一の物質を含むことができるが、これに限定されるものではない。一例として、第2樹脂層121もPETを含むことができるが、これに限定されるものではなく、他のポリエステル系化合物またはポリエステル系高分子を含むことができる。第2樹脂層121のポリエチレンテレフタレートも、上述したテレフタル酸を用いた直接法を利用して製造されることができるが、ジメチルテレフタレート(dimethyl terephthalate)を用いたDMT法により製造されることもできる。
【0040】
充填剤122は、通常の無機充填剤であることができる。一例として、充填剤122は、シリカ(SiO)であることができるが、これに制限されず、BaSO、CaCO、TiOなどの物質のいずれか一つ以上の無機充填剤を含むことができ、充填剤122の平均粒径は2μm~5μmであることができるが、これに限定されるものではない。
【0041】
背面層120が充填剤122を含むことにより、電子部品製作用シート10を製造するロールツーロール(Roll to Roll)工程途中にシートの形状を維持することができ、ロールツーロール工程における延伸(Elongation)過程でもシートの移送を滑らかに行うことができる。また、製造工程途中に充填剤122によりシート10の剛性を充分に維持することができる。
【0042】
一方、上記充填剤122は、背面層120の内部のみに分散していると示されているが、これに制限されるものではない。例示として、充填剤122は、表面層110の内部にも分散していることができる。
【0043】
一方、図3を参照すると、一例による電子部品製作用フィルム10において、背面層120の平均厚さは表面層110の平均厚さより厚いことができる。
【0044】
本開示において「平均厚さ」とは、任意の一領域における厚さを意味するものではなく、当該構成の任意の複数の領域における厚さの平均値を意味することができる。例えば、表面層110の平均厚さは、表面層110の任意の複数の離隔した五つの領域において、シート10の積層方向に向かい合う表面層110の一面と他面との間の最短距離を測定した値の平均値を意味することができる。
【0045】
また、表面層110及び背面層120の厚さの割合は1:9から3:7であることができる。即ち、表面層110及び背面層120で構成される全体電子部品製作用フィルム10の平均厚さを100とすると、表面層110の平均厚さは10から30であることができ、それにより背面層120の平均厚さは90から70であることができる。
【0046】
表面層110及び背面層120が上述した平均厚さの割合を有することにより、一例による電子部品製作用フィルム10は十分な磁性及び伝導性を有し、かつ充填剤122により製造工程途中に十分な剛性を有することができる。
【0047】
図4は、本発明の変形例による電子部品製作用フィルムの平面図である。
【0048】
図4を参照すると、変形例による電子部品製作用フィルム11が示されている。
【0049】
変形例による電子部品製作用フィルム11は、表面層110、表面層110の一面に配置された背面層120、及び表面層110の一面と向かい合う他面に配置された離型層200を含むことができる。
【0050】
変形例による電子部品製作用フィルム11は、一例による電子部品製作用フィルム10に比べて離型層200のみをさらに含むため、離型層200以外の残りの重複する構成については、一例による電子部品製作用フィルム10に関する上述した説明が同一に適用されることができる。
【0051】
離型層200は、表面層110の他面上に配置され、後に電子部品製作用フィルム11上に配置される電子部品または電子部品の成形/印刷層と電子部品製作用フィルム11を容易に剥離可能にする。
【0052】
離型層200は、シリコーン離型層であることができる。例えば、離型層200は、アルケニルポリシロキサン及び水素ポリシロキサンを含む混合成分、白金触媒含有化合物、エポキシ系化合物、染料及び残量の溶媒を含む有色コーティング組成物を含むことができ、有色コーティング組成物が少なくとも1回以上塗布された構造を有することができる。一方、本発明による離型層200の材料はこれに限定されない。また他の例として、本発明による離型層200は、ジメチルポリシロキサンを主材料とするシリコーン離型組成物を含むことができる。一方、離型層200は10nm~200nmの平均厚さを有することができる。
【0053】
離型層200は、後述するフィルム10の押出及び冷却工程以後に、表面層110の他面上に塗布して配置されることができる。
【0054】
変形例による電子部品製作用フィルム11が離型層200、表面層110、及び背面層120を含み、金属ナノワイヤ112及び充填剤122をさらに含むことにより、変形例による電子部品製作用フィルム11の離型層200表面の表面抵抗(Sheet resistance、ohm/sq、Ω/□)が低く維持されることができる。
【0055】
一例として、本発明の変形例による電子部品製作用フィルム11の離型層200は、表面層110と向かい合う一面及び上記一面と向かい合う他面を有することができ、離型層200の他面上における表面抵抗は10^10Ω/□以下であることができる。これにより、変形例による電子部品製作用フィルム11の静電気発生量が減少することができ、静電気発生による異物の混入、電子部品の損傷などを防止することができる。
【0056】
他に重複する構成については、一例による電子部品製作用フィルムにおける説明が同一に適用されることができるため、省略する。
【0057】
図5は、本発明の一例による電子部品製作用フィルムの製造工程の一部を示した工程図である。
【0058】
図5を参照すると、押出機310から、表面層110及び背面層120を含む電子部品製作用溶融シート10が押出される。この時、押出された電子部品製作用溶融シート10を横方向に均一に延伸(Elongation)し厚さを均一にするために、押出された溶融シート10内の結晶化度を最小化する必要がある。
【0059】
そのため、図5の押出された電子部品製作用溶融シート10は、キャスティングロール(Casting Roll)または冷却ロール320に密着して冷却工程を経る。押出された電子部品製作用溶融シート10は260℃~270℃の温度を有することができ、20℃~25℃の温度を有する冷却ロール320により冷却される。この時、電子部品製作用溶融シート10の表面層110が冷却ロール320と接触するように冷却ロール320の表面に密着することができ、表面層110の内部に金属ナノワイヤ112が含まれることにより、高い密着力を確保することができる。
【0060】
冷却ロール320における冷却工程がより効率的に行われるためには、電子部品製作用溶融シート10がより冷却ロール320に密着することが求められる。上述したように、本発明の電子部品製作用フィルム10は、内部に金属ナノワイヤ112を含むため、磁性(Magnetic Property)を有することができる。
【0061】
磁性を有する電子部品製作用フィルム10の特性を利用して、磁性バンド330を利用する。磁性バンド330の磁気力(Magnetic Force)は0.05~10N水準であり、例示として磁性バンドがN極の磁性を有することにより、電子部品製作用溶融シート10の磁性バンド330と近い面がS極を有するようになり、電子部品製作用溶融シート10の冷却ロール320と近い面はN極を有するようになる。この時、冷却ロール320がS極を有するように制御すると、磁気力を利用して物理的に損傷することなく電子部品製作用溶融シート10を冷却ロール320に密着させることができる。一方、上述した例示とは反対に磁気力が形成されるように制御しても構わない。
【0062】
従来、電子部品製作用溶融シート10を密着させるための手段として、エアノズルを利用した物理的密着方式または帯電防止剤の添加及び電気印加方式を利用した電気的密着方式がある。
【0063】
しかし、物理的密着方式の場合、エアノズルの噴射により溶融シート10の表面にエア跡が付き、物理的に溶融シート10の表面に損傷を与え、厚さを不均一にするおそれがある。
【0064】
電気的密着方式の場合も、帯電防止剤の過剰添加により溶融された高分子内で相溶性が低下して、最終フィルム10の表面粗さの低下現象を引き起こすおそれがある。
【0065】
本発明の場合、金属ナノワイヤ112の磁性及び磁性を有する磁性バンド330と冷却ロール320を利用して、物理的に損傷することなく電子部品製作用溶融シート10を効果的に冷却ロール320に付着させることができる。
【0066】
以後、冷却した電子部品製作用溶融シート10は、縦方向に1.5倍~3倍延伸し、横方向に2~4倍延伸して15μm~50μm厚さを有するフィルムで製作されることができる。
【0067】
図6は、本発明の一例による電子部品製作用フィルムを使用した場合、剥離力の改善効果を概略的に示した比較グラフである。
【0068】
図6を参照すると、従来の金属ナノワイヤ112を含まないフィルムと、本発明のように金属ナノワイヤ112が含まれた一例及び変形例による電子部品製作用フィルム10、11の剥離力を比べたグラフが示されている。
【0069】
図6のグラフに示すように、一例及び変形例による電子部品製作用フィルム10、11は、既存に比べて約25%減少した剥離力を有することができ、これにより、後に一例及び変形例による電子部品製作用フィルム10、11上に実装される電子部品または電子部品の成形、印刷層と容易に剥離され、電子部品または電子部品の成形、印刷層の損傷を防止することができる。
【0070】
図7は、本発明の一例による電子部品製作用フィルムを使用した場合の、成形、印刷層の皺不良率の改善効果を概略的に示した比較グラフである。
【0071】
図7を参照すると、従来の金属ナノワイヤ112を含まないフィルムと、本発明のように金属ナノワイヤ112が含まれた一例及び変形例による電子部品製作用フィルム10、11の皺不良率(ppm)を比べたグラフが示されている。
【0072】
図7のグラフに示すように、一例及び変形例による電子部品製作用フィルム10、11は、既存に比べて約81%減少した皺不良率を有することができ、これにより均一な平均厚さを有することができる。フィルム10、11の厚さが均一であることにより、後にフィルム10、11上に配置される電子部品または電子部品の成形、印刷層形状の損傷を防ぐことができ、静電気による異物混入の現象を防止することができる。
【0073】
図8は、本発明の一例による電子部品製作用フィルムを使用した場合に、積層設備の副資材表面に静電気により燃焼跡(Burnt)が発生する回数が改善することを概略的に示した比較グラフである。
【0074】
図8を参照すると、従来の金属ナノワイヤ112を含まないフィルムと、本発明のように金属ナノワイヤ112が含まれた一例及び変形例による電子部品製作用フィルム10、11により黒く燃焼されるBurntの発生回数を比べたグラフが示されている。
【0075】
帯電防止が充分に行われない場合、静電気により過度な電圧及び電流が形成され、収容可能な量以上の電流が流れることによりBurnt現象が発生するおそれがある。
【0076】
図8のグラフに示すように、一例及び変形例による電子部品製作用フィルム10、11は、20,000個の製品に対して実験した時に、既存に比べてBurnt現象が約96%減少したことが分かり、これにより後に一例及び変形例による積層副資材の損傷を防止することができる。
【0077】
以上で本発明の実施形態について詳しく説明したが、本発明は上述した実施形態及び添付された図面により限定されるものではなく、添付された特許請求の範囲により限定する。従って、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で当該技術分野の通常の知識を有する者により多様な形態の置換、変形及び変更が可能であり、これも本発明の範囲に属するといえる。
【符号の説明】
【0078】
10、11:電子部品製作用フィルム
110:表面層
111:第1樹脂層
112:金属ナノワイヤ
120:背面層
121:第2樹脂層
122:充填剤
200:離型層
310:押出機
320:冷却ロール
330:磁性バンド
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8