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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023073197
(43)【公開日】2023-05-25
(54)【発明の名称】情報処理システム及び方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 16/182 20190101AFI20230518BHJP
   G06F 16/11 20190101ALI20230518BHJP
   G06F 9/50 20060101ALI20230518BHJP
【FI】
G06F16/182
G06F16/11
G06F9/50 150Z
【審査請求】有
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022121031
(22)【出願日】2022-07-28
(31)【優先権主張番号】P 2021185914
(32)【優先日】2021-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002365
【氏名又は名称】弁理士法人サンネクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉田 美里
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 秀雄
(72)【発明者】
【氏名】中村 隆喜
(72)【発明者】
【氏名】山本 彰
(72)【発明者】
【氏名】倉田 成己
(72)【発明者】
【氏名】山本 貴大
(57)【要約】
【課題】計算機インスタンスの移行先であるクラウド計算機サービスがアクセス可能なデフォルトのクラウドストレージサービスとは異なる第2のストレージシステムと互換性が第1のストレージシステムに無くても、第1のストレージシステムにおけるボリュームを第2のストレージシステムに移行する。
【解決手段】システムが、移行対象の計算機インスタンスを構成するためのOSのイメージが格納されたシステムボリュームと、当該OSが使用するデータを格納したデータボリュームとを、第1のストレージシステムからクラウド計算機へ、クラウド計算機の移行ツールに移行させる。システムが、移行ツールによりクラウド計算機に移行されたデータボリュームとマッピングされたマッピングボリュームを第2のストレージシステムに作成させ、計算機インスタンスからマッピングボリュームへデータ入出力のパスを計算機インスタンスに設定させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサを有し、クラウド計算機、第1のストレージシステム及び第2のストレージシステムと通信可能な情報処理システムにおいて、
計算機インスタンスをクラウド計算機に移行させ、前記計算機インスタンスが使用するデータを第1のストレージシステムから第2のストレージシステムに移行させる場合に、
移行対象の計算機インスタンスを構成するためのOS(Operating System)のイメージが格納されたシステムボリュームと、当該OSが使用するデータを格納したデータボリュームとを、第1のストレージシステムから前記クラウド計算機へ、前記クラウド計算機の移行ツールに移行させるツール操作部と、
前記クラウド計算機の移行ツールによりクラウド計算機に移行されたデータボリュームとマッピングされたマッピングボリュームを第2のストレージシステムに作成させ、前記計算機インスタンスから前記マッピングボリュームへデータ入出力のパスを計算機インスタンスに設定させる移行制御部と、
を備える情報処理システム。
【請求項2】
前記移行ツールによる移行が完了したことを確認する移行完了確認部と、をさらに備え、
前記移行制御部は、前記移行ツールによる移行の完了が確認された後に、前記マッピングボリュームを第2のストレージシステムに作成させる、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記移行ツールは、前記計算機インスタンスが解釈できるデータ配置で前記データボリュームを前記クラウド計算機に移行し、
前記第2のストレージシステムは、前記計算機インスタンスが解釈できるデータ配置のデータボリュームを、前記第2のストレージシステム内のマッピングボリュームにマッピングする、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記移行ツールは、前記計算機インスタンスが解釈できるデータ配置に変換して前記データボリュームを前記クラウド計算機に移行する、
請求項3に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記移行制御部は、前記第2のストレージシステムのマッピングボリュームから前記第2のストレージシステムにおけるターゲットボリュームへデータを移行させ、前記計算機インスタンスから前記マッピングボリュームへのパス設定に代えて前記ターゲットボリュームにパスを設定する、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記移行制御部は、前記マッピングボリュームから前記第2のストレージシステムにおけるターゲットボリュームへのデータの移行完了後、前記データボリュームの前記クラウド計算機に移行されたボリュームである中間ボリュームを前記クラウド計算機から削除する、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項7】
前記計算機インスタンスは、複数のデータボリュームを使用しており、
前記ツール操作部は、前記計算機インスタンスが使用する複数のデータボリュームを移行対象に指定し、
前記指定されたデータボリューム毎に、前記クラウド計算機に移行され、マッピングボリュームが作成される、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項8】
前記移行制御部は、複数の外部接続方法のうち、前記データボリュームが存在するクラウド計算機に応じた外部接続方法を決定し、前記データボリュームを前記第2のストレージシステムに関連付けることである外部接続を前記決定された外部接続方法に従い実行させ、当該外部接続がされた前記クラウド計算機のデータボリュームについて前記マッピングボリュームを前記第2のストレージシステム内に作成させる、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項9】
前記移行制御部は、
前記クラウド計算機及び前記第2のストレージシステムがいずれもマルチパス機能に対応しているか否かを判定し、
当該判定の結果が真の場合、前記計算機インスタンスと前記マッピングボリュームとを結ぶパスを追加し、その後に、前記データボリュームと前記計算機インスタンスとを結ぶパスがあるならば当該パスを削除し、
当該判定の結果が偽の場合、前記データボリュームと前記計算機インスタンスとを結ぶパスを削除し、その後に、前記計算機インスタンスと前記マッピングボリュームとを結ぶパスを追加する、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項10】
前記移行制御部は、前記データボリュームへのパスをオンライン状態とすることなく、前記マッピングボリュームへのパスをオンライン状態とする、
請求項9に記載の情報処理システム。
【請求項11】
前記計算機インスタンスは、移行前に、物理的な計算機により実行されるハイパバイザにより生成された仮想的な計算機上で稼働しており、
前記計算機インスタンスが認識しているデータボリュームとは、前記ハイパバイザにより作成されたデータストアである仮想ディスクに格納されているボリュームであり、かつ、前記仮想的な計算機が認識しているボリュームであり、
前記データボリューム内のデータ配置は、前記ハイパバイザ向けのデータ配置であり、
前記移行ツールは、前記データボリューム内のデータ配置を前記計算機インスタンスが解釈可能なデータ配置に変換して前記データボリュームを前記クラウド計算機に移行するようになっている、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項12】
前記計算機インスタンスが、第1のストレージシステムに対し、ボリュームグループを構成する一つ又は複数の論理ボリュームを管理し、
前記ボリュームグループは、前記第1のストレージシステムの複数の物理ボリュームから構成された一つの論理空間であり、
前記複数の物理ボリュームは、それぞれ論理空間であり、
前記計算機インスタンスが認識しているデータボリュームとは、前記計算機インスタンスが認識している論理ボリュームである、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項13】
前記クラウド計算機は、コンピュート機能とストレージ機能を有して、クラウドサービスとして提供されており、
前記第2のストレージシステムは、前記クラウドサービスのクラウド環境と別のクラウド環境におけるストレージサービスである、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項14】
前記クラウド計算機は、コンピュート機能とストレージ機能を有して、クラウドサービスとして提供されており、
前記第2のストレージシステムは、前記クラウドサービスのクラウド計算機と接続されたストレージシステムである、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項15】
クラウド計算機と、第1のストレージシステムと、第2のストレージシステムと、を備えた情報処理システムにおいて、
前記クラウド計算機は、コンピュート機能とストレージ機能を有し、
計算機インスタンスをクラウド計算機に移行させ、前記計算機インスタンスが使用するデータを第1のストレージシステムから第2のストレージシステムに移行させる場合に、
前記クラウド計算機の移行ツールが、前記コンピュート機能が移行対象の計算機インスタンスを稼働させるためのOS(Operating System)のイメージが格納されたシステムボリュームと、当該OSが使用するデータを格納したデータボリュームとを、第1のストレージシステムから前記クラウド計算機のストレージ機能へ移行させ、
第2のストレージシステムが、前記クラウド計算機の移行ツールによりクラウド計算機に移行されたデータボリュームとマッピングされたマッピングボリュームを第2のストレージシステムに作成させ、前記計算機インスタンスから前記マッピングボリュームへデータ入出力のパスを計算機インスタンスに設定する、
情報処理システム。
【請求項16】
計算機インスタンスをクラウド計算機に移行させ、前記計算機インスタンスが使用するデータを第1のストレージシステムから第2のストレージシステムに移行させる場合に、
ツール操作部が、移行対象の計算機インスタンスを構成するためのOS(Operating System)のイメージが格納されたシステムボリュームと、当該OSが使用するデータを格納したデータボリュームとを、第1のストレージシステムから前記クラウド計算機へ、前記クラウド計算機の移行ツールに移行させ、
移行制御部が、前記クラウド計算機の移行ツールによりクラウド計算機に移行されたデータボリュームとマッピングされたマッピングボリュームを第2のストレージシステムに作成させ、前記計算機インスタンスから前記マッピングボリュームへデータ入出力のパスを計算機インスタンスに設定させる、
情報処理方法。
【請求項17】
前記第2のストレージシステムが、
前記第2のストレージシステムにおける前記ターゲットボリュームへの移行対象のデータに、前記第2のストレージシステムの制御で利用されるデータであるストレージ制御向けデータを付加し、
当該移行対象のデータ及びストレージ制御向けデータを冗長格納する、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項18】
前記移行対象のデータ及び前記ストレージ制御向けデータの冗長格納は、前記ターゲットボリュームの冗長ボリュームの作成であり、
前記第2のストレージシステムの構成要素である複数の計算機インスタンスは、前記クラウド計算機から提供された計算機インスタンスであり、
前記冗長ボリュームを管理する計算機インスタンスは、前記ターゲットボリュームを管理する計算機インスタンスと別の計算機インスタンスである、
請求項17に記載の情報処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、情報処理に関し、例えば、計算機及びボリュームの移行の支援に関する。
【背景技術】
【0002】
第1のストレージシステム(例えば、オンプレミスのストレージシステム)におけるボリュームを利用する計算機や、当該計算機に利用されるボリューム(第1のストレージシステムにおけるボリューム)をクラウド環境(主にパブリッククラウドの環境)に移行する技術が知られている。この種の技術によれば、計算機やボリュームのクラウド環境への移行は、クラウド移行ツールにより行われる。クラウド移行ツールは、典型的にはクラウド環境のベンダにより提供されるシステムである。
【0003】
計算機は計算機インスタンスとしてクラウド計算機サービスに移行され、ボリュームは、クラウド計算機サービスがアクセス可能な予め決められたデフォルトのクラウドストレージサービス(典型的には、クラウド環境のベンダにより提供されたクラウドストレージサービス)に移行される。
【0004】
計算機に利用されるボリュームとして、計算機のOS(Operating System)のイメージが格納されるボリュームであるシステムボリューム(起動ボリュームと呼ばれてもよい)と、計算機により入出力されるデータが格納されるボリュームであるデータボリュームとがある。
【0005】
少なくともデータボリュームの移行先が、デフォルトのクラウドストレージサービスとは異なる第2のストレージシステムであることを望むユーザが存在し得る。第2のストレージシステムは、典型的には、デフォルトのクラウドストレージサービスよりも信頼性又は機能に優れたストレージシステムである。具体的には、例えば、第2のストレージシステムは、同一のクラウド環境のクラウドストレージサービスではあるがクラウド環境のベンダではなくストレージベンダにより開発されたクラウドストレージサービスである。
【0006】
非特許文献1に開示の技術によれば、データボリュームの移行先を、デフォルトのクラウドストレージサービスではなく、第1のストレージシステム(移行元のストレージシステム)のストレージベンダにより提供された第2のストレージシステム(移行先のストレージシステム)としてのクラウドストレージサービスとすることができる。第1のストレージシステムから第2のストレージシステムへのデータボリュームの移行に、クラウド移行ツールは使用されず、当該ストレージベンダにより提供された独自のツール、具体的には、ストレージシステム間でボリュームを移行するいわゆるリモートコピー機能が使用される。
【0007】
非特許文献2に開示の技術によれば、オンプレミスの環境において、ハイパバイザのような仮想環境内の仮想マシンが、オンプレミスのストレージシステムにおけるボリューム(以下、ストレージボリューム)を認識する。当該ストレージボリュームのフォーマットは、仮想環境に従う。仮想マシンは、アプリケーションを実行し、ストレージボリュームには、仮想マシンにおけるアプリケーション毎のボリュームがある。オンプレミスのストレージシステムから、当該ストレージシステムのベンダと同一ベンダが提供するクラウドストレージシステムに、アプリケーション毎のボリュームが移行される。上記移行において、オンプレミス環境のストレージボリュームのフォーマットがオンプレミス環境の仮想環境に従っているため、事前にオンプレミス環境でストレージボリュームのデータ格納形式の変換が行われた後、クラウドストレージシステムへストレージボリュームが移行される。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Pure Cloud Block Store vVol VM Migration to AWS with CloudEndurehttps://support.purestorage.com/Pure_Cloud_Block_Store/Pure_Cloud_Block_Store_vVol_VM_Migration_to_AWS_with_CloudEndure
【非特許文献2】Transferring VMware data from an on-premises FlashArray to CBShttps://support.purestorage.com/Pure_Cloud_Block_Store/Transferring_VMware_data_from_an_on-premises_FlashArray_to_CBS
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、非特許文献1に開示の技術では、第2のストレージシステムへ移行されるデータボリュームの移行元としての第1のストレージシステムは、第2のストレージシステムと互換性があるストレージシステムに限られる。第2のストレージシステムと互換性が無いストレージシステムとして、例えば下記がある。
・第2のストレージシステムのストレージベンダと異なるストレージベンダにより提供されたストレージシステム。
・第2のストレージシステムのストレージベンダにより提供されたストレージシステムであるが第2のストレージシステムと種類(例えば機種)が異なるストレージシステム。
【0010】
非特許文献2に開示の技術でも、同一ベンダのストレージシステム間での移行が行われるため、上述の課題がある。同一ベンダのストレージシステム間での移行においても、非特許文献2に開示の技術では、移行先において仮想環境無しにアプリケーションが当該アプリケーションのボリューム内のデータを解釈できるようにするためには、オンプレミスのストレージシステムに、仮想環境のフォーマットに依存しないボリュームを用意し、当該ボリュームに、ストレージボリューム内のボリュームからデータをコピーする必要がある。このため、オンプレミスのストレージシステムには、仮想環境のフォーマットに依存しないボリューム(コピー先のボリューム)のための記憶資源がアプリケーション毎に必要になる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
クラウド計算機、第1のストレージシステム及び第2のストレージシステムと通信可能な情報処理システムが構築される。計算機インスタンスをクラウド計算機に移行させ、計算機インスタンスが使用するデータを第1のストレージシステムから第2のストレージシステムに移行させる場合に、情報処理システムが、移行対象の計算機インスタンスを構成するためのOS(Operating System)のイメージが格納されたシステムボリュームと、当該OSが使用するデータを格納したデータボリュームとを、第1のストレージシステムからクラウド計算機へ、クラウド計算機の移行ツールに移行させる。情報処理システムが、クラウド計算機の移行ツールによりクラウド計算機に移行されたデータボリュームとマッピングされたマッピングボリュームを第2のストレージシステムに作成させ、計算機インスタンスからマッピングボリュームへデータ入出力のパスを計算機インスタンスに設定させる。
【発明の効果】
【0012】
計算機インスタンスの移行先であるクラウド計算機サービスがアクセス可能なデフォルトのクラウドストレージサービスとは異なる第2のストレージシステムと互換性が第1のストレージシステムに無くても、第1のストレージシステムに、移行対象のボリュームのコピー先のボリュームを用意すること無しに、第1のストレージシステムにおけるボリュームを第2のストレージシステムに移行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】第1の実施形態に係るシステム移行の概要を示す。
図2】クラウド移行処理完了後のクラウド環境の構成を示す。
図3】マッピングボリューム作成後のクラウド環境の構成を示す。
図4】マッピングボリュームからターゲットボリュームへのデータの移行を示す。
図5】システム移行処理の流れを示す。
図6】移行処理の流れを示す。
図7】クラウド移行処理の開始処理の流れを示す。
図8】クラウド移行処理の完了確認処理の流れを示す。
図9】外部接続方法の決定処理の流れを示す。
図10】パス切替処理の流れを示す。
図11】第2の実施形態に係るシステム移行の概要を示す。
図12】第3の実施形態に係るシステム移行の概要を示す。
図13】第4の実施形態に係るシステム移行の概要を示す。
図14】第5の実施形態に係るシステム移行の概要を示す。
図15】第6の実施形態に係るシステム移行の概要を示す。
図16】第7の実施形態に係るシステム移行の概要を示す。
図17】第7の実施形態に係る第2のストレージシステムの構成を示す。
図18】第8の実施形態において行われる処理の流れを示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下の説明では、「インターフェース装置」は、1つ以上のインターフェースデバイスでよい。当該1つ以上のインターフェースデバイスは、下記のうちの少なくとも1つでよい。
・1つ以上のI/O(Input/Output)インターフェースデバイス。I/O(Input/Output)インターフェースデバイスは、I/Oデバイスと遠隔の表示用計算機とのうちの少なくとも1つに対するインターフェースデバイスである。表示用計算機に対するI/Oインターフェースデバイスは、通信インターフェースデバイスでよい。少なくとも1つのI/Oデバイスは、ユーザインターフェースデバイス、例えば、キーボード及びポインティングデバイスのような入力デバイスと、表示デバイスのような出力デバイスとのうちのいずれでもよい。
・1つ以上の通信インターフェースデバイス。1つ以上の通信インターフェースデバイスは、1つ以上の同種の通信インターフェースデバイス(例えば1つ以上のNIC(Network Interface Card))であってもよいし二つ以上の異種の通信インターフェースデバイス(例えばNICとHBA(Host Bus Adapter))であってもよい。
【0015】
また、以下の説明では、「メモリ」は、一つ以上の記憶デバイスの一例である一つ以上のメモリデバイスであり、典型的には主記憶デバイスでよい。メモリにおける少なくとも一つのメモリデバイスは、揮発性メモリデバイスであってもよいし不揮発性メモリデバイスであってもよい。
【0016】
また、以下の説明では、「永続記憶装置」は、一つ以上の記憶デバイスの一例である一つ以上の永続記憶デバイスでよい。永続記憶デバイスは、典型的には、不揮発性の記憶デバイス(例えば補助記憶デバイス)でよく、具体的には、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、NVME(Non-Volatile Memory Express)ドライブ、又は、SCM(Storage Class Memory)でよい。
【0017】
また、以下の説明では、「記憶装置」は、メモリと永続記憶装置の少なくともメモリでよい。
【0018】
また、以下の説明では、「プロセッサ」は、1つ以上のプロセッサデバイスでよい。少なくとも1つのプロセッサデバイスは、典型的には、CPU(Central Processing Unit)のようなマイクロプロセッサデバイスでよいが、GPU(Graphics Processing Unit)のような他種のプロセッサデバイスでもよい。少なくとも1つのプロセッサデバイスは、シングルコアでもよいしマルチコアでもよい。少なくとも1つのプロセッサデバイスは、プロセッサコアでもよい。少なくとも1つのプロセッサデバイスは、処理の一部又は全部を行うハードウェア記述言語によりゲートアレイの集合体である回路(例えばFPGA(Field-Programmable Gate Array)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)又はASIC(Application Specific Integrated Circuit))といった広義のプロセッサデバイスでもよい。
【0019】
また、以下の説明では、「yyy部」の表現にて機能を説明することがあるが、機能は、一つ以上のコンピュータプログラムがプロセッサによって実行されることで実現されてもよいし、一つ以上のハードウェア回路(例えばFPGA又はASIC)によって実現されてもよいし、それらの組合せによって実現されてもよい。プログラムがプロセッサによって実行されることで機能が実現される場合、定められた処理が、適宜に記憶装置及び/又はインターフェース装置等を用いながら行われるため、機能はプロセッサの少なくとも一部とされてもよい。機能を主語として説明された処理は、プロセッサあるいはそのプロセッサを有する装置が行う処理としてもよい。
【0020】
また、プログラムは、プログラムソースからインストールされてもよい。プログラムソースは、例えば、プログラム配布計算機又は計算機が読み取り可能な記録媒体(例えば非一時的な記録媒体)であってもよい。各機能の説明は一例であり、複数の機能が一つの機能にまとめられたり、一つの機能が複数の機能に分割されたりしてもよい。
【0021】
また、要素を識別するための情報として、任意の情報(例えば、「ID」、「名前」、及び「番号」のうちの少なくとも一つ)が採用されてよい。
【0022】
また、以下の説明では、「ボリューム」は、論理的な記憶空間(アドレス空間)でよい。ボリュームは、実体的なボリューム(物理的な記憶装置(例えば永続記憶装置)に基づくボリューム)でもよいし、仮想的なボリュームでもよい。
【0023】
以下、図面を用いて、本発明の幾つかの実施形態を説明する。なお、図面では、「ボリューム」を「VOL」と記載する。また、ボリュームの移行は、ボリュームに格納しているデータの移行を意味する。
[第1の実施形態]
【0024】
図1は、第1の実施形態に係るシステム移行の概要を示す。
【0025】
移行元の環境が、オンプレミス環境100である。オンプレミス環境100における計算機システムは、計算機101と、計算機101が接続された第1のストレージシステム102とを含む。計算機101は、物理的な計算機でよく、第1のストレージシステム102は、物理的なストレージシステム(例えば、いわゆるディスクアレイ装置)でよい。第1のストレージシステム102が、移行元のストレージシステムに相当する。計算機101及び第1のストレージシステム102のうち少なくとも計算機101が複数存在してよい。第1のストレージシステム102に複数のボリュームが存在してよい。
【0026】
移行先の環境が、クラウド環境106(典型的にはパブリッククラウドの環境)である。クラウド環境106において、クラウド計算機サービス107やクラウドストレージサービス109といったクラウドコンピューティングサービスが提供される。クラウド計算機サービス107は、インスタンスの実行環境でよく、クラウドストレージサービス109は、クラウド計算機サービス107がアクセス可能な予め決められたデフォルトのクラウドストレージサービスである。
【0027】
第2のストレージシステム112が、移行先のストレージシステムに相当する。本実施形態では、第2のストレージシステム112は、クラウド環境106において提供されるクラウドストレージサービスである。
【0028】
クラウド環境106は、クラウドベンダにより提供される環境(例えばクラウドプラットフォーム)であり、クラウド計算機サービス107及びクラウドストレージサービス109は、当該クラウドベンダにより提供されるクラウドコンピューティングサービスでよい。例えば、クラウド計算機サービス107は、Amazon EC2(Amazon Elastic Compute Cloud)でよく、クラウドストレージサービス109は、Amazon EBS(Amazon Elastic Block Store)でよい(「Amazon」は登録商標)。第2のストレージシステム112は、ストレージベンダにより開発されたクラウドストレージサービスでよい。好ましくは、第2のストレージシステム112は、クラウドストレージサービス109よりも信頼性又は機能に優れていてよい。
【0029】
クラウド環境106とは別の環境(例えば、オンプレミス環境100、又は、クラウド環境106とは別のクラウド環境)における計算機やボリュームのクラウド環境106への移行は、クラウド移行ツール190により行われる。すなわち、本実施形態では、オンプレミス環境100からクラウド環境106への移行対象の移行が行われるが、別のクラウド環境からクラウド環境106への移行にも本発明が適用されてよい。クラウド移行ツール190は、典型的にはクラウド環境106のベンダにより提供されるシステム(機能)である。
【0030】
情報処理システム105が構築される。情報処理システム105は、移行元から移行先への移行対象(例えば、計算機やボリューム)の移行を支援するシステムである。情報処理システム105は、管理システムと呼ばれてもよい。情報処理システム105は、図示のようにオンプレミス環境100及びクラウド環境106の外にあってもよいし、オンプレミス環境100及びクラウド環境106のいずれかにあってもよい。情報処理システム105は、本実施形態では物理的なシステム(例えば計算機)であるが、物理的な計算資源上に設けられた論理的なシステムでもよい。情報処理システム105は、ネットワークや専用線等の通信媒体を介して、計算機101、第1のストレージシステム102、クラウド移行ツール190、クラウド計算機サービス107、計算機インスタンス108、クラウドストレージサービス109及び第2のストレージシステム112の少なくとも一つを操作することができる。情報処理システム105は、第2のストレージシステムへの指示により(又は、第2のストレージシステム112といった他のシステムを介さずに)、クラウドストレージサービス109を操作してもよい。
【0031】
情報処理システム105は、インターフェース装置51、記憶装置52及びそれらに接続されたプロセッサ53を有する。
【0032】
インターフェース装置51が、例えば上述の通信媒体(例えばネットワーク)に接続される。
【0033】
記憶装置52が、プログラムや情報を記憶する。情報として、例えば管理情報140がある。管理情報140は、情報処理システム105によるシステム移行処理(図5参照)のために適宜に参照又は更新される情報である。管理情報140は、システム移行処理の進捗を表す情報を含んでよく、例えば、下記(a)~(c)の情報を含んでよい。
(a)オンプレミス環境100からクラウド環境106への移行対象の計算機に関する情報である計算機移行管理情報。計算機移行管理情報は、例えば、移行対象の計算機毎に、当該計算機の識別情報と、当該計算機の移行状態(例えば、移行未着手、移行開始又は移行完了)を表す情報とを含む。
(b)オンプレミス環境100からクラウド環境106への移行対象のボリュームに関する情報であるボリューム移行管理情報。ボリューム移行管理情報は、例えば、移行対象のボリューム毎に、当該ボリュームの識別情報と、当該ボリュームの移行状態(例えば、移行未着手、移行開始又は移行完了)を表す情報とを含む。
(c)クラウドストレージサービス109における後述の中間ボリューム111に関する情報である中間ボリューム管理情報。中間ボリューム管理情報は、例えば、中間ボリューム111毎に、中間ボリューム111の識別情報と、中間ボリューム111の移行状態(例えば、作成待ち、作成完了、移行開始、移行完了、削除開始又は削除完了)を表す情報と、中間ボリューム111が仮想化されたボリュームであるマッピングボリューム113の識別情報と、当該マッピングボリューム113の移行先であるターゲットボリューム114の識別情報とを含む。
【0034】
プロセッサ53がプログラムを実行することにより、ツール操作部151、移行完了確認部152及び移行制御部153といった機能が実現される。
【0035】
さて、第1のストレージシステム102は、計算機101にボリュームを提供するが、計算機101に認識されるボリュームとして、システムボリューム103とデータボリューム104がある。つまり、計算機101とシステムボリューム103を結ぶパスと、計算機101とデータボリューム104を結ぶパスとが張られている(計算機101から延びる破線矢印を参照)。システムボリューム103は、計算機101のOS(Operating System)のイメージが格納されたボリュームであり、典型的には計算機101の起動用のボリュームである。データボリューム104は、起動後の計算機101(例えば、計算機101で実行されるアプリケーション)により入出力されるデータが格納されるボリュームである。
【0036】
クラウド移行ツール190は、クラウド計算機サービス107に計算機101を計算機インスタンス108として移行し計算機101のシステムボリューム103をクラウドストレージサービス109に移行するシステム(機能)である。
【0037】
本実施形態では、以下の流れにより、計算機及びボリュームをオンプレミス環境100からクラウド環境106へ移行するシステム移行処理が行われる。
【0038】
ツール操作部151は、クラウド移行ツール190に対して、移行対象の計算機101と、当該計算機101が認識しているデータボリューム104とを指定した移行指示を出す(S11)。例えば、計算機101の識別情報と、データボリューム104の識別情報(例えば、計算機101が認識しているボリューム識別情報)とが指定される。当該計算機101が認識しているシステムボリューム103は、データボリューム104と同様に移行対象としてクラウド移行ツール190に対して指定されてもよいし、計算機101が指定されたならば当該システムボリューム103の指定無しに移行対象として指定されたとみなされてよい。いずれにしても、この例では、図示の計算機101、システムボリューム103及びデータボリューム104が移行対象である。なお、S11の移行対象のデータボリューム104の指定は、クラウド移行ツール190への移行指示の前に、移行対象外のデータボリューム104を計算機101から削除(デタッチ)する等、別の手段を適用してもよい。
【0039】
当該移行指示に応答して、クラウド移行ツール190は、計算機101、システムボリューム103及びデータボリューム104の移行を含んだクラウド移行処理を行う。具体的には、クラウド移行ツール190は、指定された計算機101を計算機インスタンス108としてクラウド計算機サービス107へ移行する。また、クラウド移行ツール190は、システムボリューム103をシステムボリューム110としてクラウドストレージサービス109に移行する(具体的には、例えば、ボリューム103からボリューム110への移行を行う)。また、クラウド移行ツール190は、データボリューム104を中間ボリューム111としてクラウドストレージサービス109に移行する(具体的には、例えば、ボリューム104からボリューム111への移行を行う)。中間ボリューム111は、データボリューム104のクラウドストレージサービス109に移行されたボリュームである。
【0040】
移行完了確認部152は、上述のクラウド移行処理が移行指示に応答してクラウド移行ツール190により完了したことを確認する。クラウド移行処理が完了した場合、計算機インスタンス108は、システムボリューム110へアクセス可能である(計算機インスタンス108からシステムボリューム110へ延びた破線矢印を参照)。計算機インスタンス108は、システムボリューム110を参照して起動する(例えば、OSのイメージを読み出す)。
【0041】
移行制御部153は、クラウド移行処理の完了が移行完了確認部152により確認された後、中間ボリューム111が仮想化されたボリュームであるマッピングボリューム113を第2のストレージシステム112内に作成させ、計算機インスタンス108からI/Oがされ得るオンライン状態とされたマッピングボリューム113からターゲットボリューム114へデータを移行させる。なお、マッピングボリューム113とターゲットボリューム114は1つのボリュームが兼ねてもよい。
【0042】
具体的には、例えば、移行制御部153が、中間ボリューム111を第2のストレージシステム112に関連付けることである外部接続を第2のストレージシステム112に実行させる(S12)。これにより、第2のストレージシステム112に中間ボリューム111が認識される。
【0043】
その後、移行制御部153は、外部接続された中間ボリューム111が仮想化されたボリューム(中間ボリューム111がマッピングされたボリューム)であるマッピングボリューム113を第2のストレージシステム112内に作成させる。マッピングボリューム113が作成された場合、移行制御部153は、マッピングボリューム113を、計算機インスタンス108からI/Oがされ得るオンライン状態にする。具体的には、例えば、移行制御部153は、第2のストレージシステム112に対し、計算機インスタンス108にマッピングボリューム113を提供させ(例えば、計算機インスタンス108にマッピングボリューム113を認識させ)、且つ、マッピングボリューム113を指定したI/O要求を第2のストレージシステム112が受け付けることを開始させる。移行制御部153は、計算機インスタンス108に、マッピングボリューム113へのI/O要求の発行を許可してよく、当該許可を受けた計算機インスタンス108が、当該計算機インスタンス108の処理に応じて適宜にマッピングボリューム113を指定したI/O要求を第2のストレージシステム112に送信してよい。
【0044】
移行制御部153は、マッピングボリューム113からターゲットボリューム114へのデータの移行を第2のストレージシステム112に実行させる(S13)。これにより、マッピングボリューム113(具体的には、マッピングボリューム113にマッピングされている中間ボリューム111)からターゲットボリューム114へのデータの移行が行われる。このデータ移行が完了した場合、計算機インスタンス108のターゲットボリューム114に対するデータのI/Oが可能となる(計算機インスタンス108からターゲットボリューム114へ延びた破線矢印を参照)。
【0045】
以上のシステム移行処理によれば、第1のストレージシステム102から第2のストレージシステム112へのデータのリモートコピー機能(例えば、ストレージシステム間のボリューム(ストレージシステムが認識するボリューム)単位でのリモートコピーを行う機能)無しに、第1のストレージシステム102のソースボリューム(データボリューム)104から第2のストレージシステム112のターゲットボリューム114への移行が実現される。このため、第1のストレージシステム102が第2のストレージシステム112との互換性を有していなくても、第1のストレージシステム102におけるデータボリューム104を、デフォルトのクラウドストレージサービス109よりも信頼性又は機能に優れたクラウドストレージサービスである第2のストレージシステム112に移行することができる。なお、第2のストレージシステム112は、クラウド環境106とは別の環境(例えば別のクラウド環境)に存在してもよい。
【0046】
なお、図1が示した例によれば、第2のストレージシステム112への移行の対象とされるボリュームはデータボリューム104であるが、システムボリューム103も、第2のストレージシステム112への移行の対象とされてもよい。つまり、システムボリューム110が中間ボリュームとして移行され、当該中間ボリュームが仮想化されたマッピングボリュームが第2のストレージシステム112に作成され、マッピングボリュームからターゲットボリュームへのデータの移行が行われ、結果として、当該ターゲットボリュームが、第2のストレージシステム112に移行されたシステムボリュームとなってよい。
【0047】
また、計算機101に認識されているデータボリュームとして複数のデータボリューム104がある場合、当該複数のデータボリューム104の全部又は一部のデータボリューム104が、第2のストレージシステム112への移行の対象とされてもよい。
【0048】
以下、図2図4を参照して、システム移行処理に関する上述の説明の補足をする。
【0049】
図2は、クラウド移行処理完了後のクラウド環境106の構成を示す。
【0050】
クラウド移行ツール190によりクラウド移行処理が完了した場合、計算機インスタンス108に、システムボリューム110の他に中間ボリューム111も接続される。つまり、計算機インスタンス108と中間ボリューム111とを結ぶパスが張られる(計算機インスタンス108から中間ボリューム111に延びた破線矢印を参照)。この時に、中間ボリューム111に対する計算機インスタンス108によるI/Oが開始されてもよい。
【0051】
しかし、本実施形態では、移行制御部153は、中間ボリューム111に対する計算機インスタンス108によるI/Oが開始されないようにする。具体的には、例えば、移行制御部153は、下記のうちの少なくとも一つを行ってよい。
・中間ボリューム111を指定したI/O要求の発行を計算機インスタンス108に許可しない。(例えば、中間ボリューム111を指定したI/O要求の発行を計算機インスタンス108に禁止させる。)
・中間ボリューム111を指定したI/O要求の受け付けをクラウドストレージサービス109に開始させない。(例えば、中間ボリューム111を指定したI/O要求の受け付けをクラウドストレージサービス109に禁止させる。)
【0052】
図3は、マッピングボリューム113の作成後のクラウド環境106の構成を示す。
【0053】
中間ボリューム111が第2のストレージシステム112に外部接続される。外部接続方法は、中間ボリューム111が存在するクラウドストレージサービス109に依存する。外部接続方法の具体例は後述する。
【0054】
第2のストレージシステム112に外部接続された中間ボリューム111が仮想化されたボリュームであるマッピングボリューム113が第2のストレージシステム112に作成される。作成されたマッピングボリューム113に対する計算機インスタンス108からのI/Oが開始される。例えば、移行制御部153から第2のストレージシステム112への指示に応答して、計算機インスタンス108とマッピングボリューム113とを結ぶパスが張られる。計算機インスタンス108から当該パス経由でI/O要求が発行され、当該I/O要求に応答して第2のストレージシステム112によりマッピングボリューム113に対するI/Oが行われる。
【0055】
計算機インスタンス108と中間ボリューム111とを結ぶパスが張られている場合、計算機インスタンス108とマッピングボリューム113とを結ぶパスが張られる前に、移行制御部153は、クラウドストレージサービス109(及び/又は計算機インスタンス108)に、当該パスの削除(例えば、オフライン化、又は、パスの設定それ自体の削除)を指示してよい。当該指示に応答して、当該パスが削除されてよい。なお、計算機インスタンス108、クラウドストレージサービス109及び第2のストレージシステム112がマルチパス機能を有する場合、計算機インスタンス108と中間ボリューム111とを結ぶパスと、計算機インスタンス108とマッピングボリューム113とを結ぶパスが併存する時間があってもよい。
【0056】
図4は、マッピングボリューム113からターゲットボリューム114へのデータの移行を示す。
【0057】
マッピングボリューム113からターゲットボリューム114へのデータの移行において、マッピングボリューム113(及びターゲットボリューム114)に対するI/Oの実施(マッピングボリューム113の識別情報を指定したI/O要求の受け付け及び処理)が可能である。具体的には、例えば、マッピングボリューム113の識別情報を指定したI/O要求を第2のストレージシステム112が受けた場合、下記が行われてよい。
・第2のストレージシステム112は、I/O先のボリューム領域(ボリュームにおける領域)がデータの移行が済んだ領域か否かを判定する。
・当該判定の結果が偽の場合、第2のストレージシステム112は、マッピングボリューム113に対するI/O(つまり、中間ボリューム111に対するI/O)を行う。
・当該判定の結果が真の場合、第2のストレージシステム112は、ターゲットボリューム114に対するI/Oを行う。
【0058】
つまり、計算機インスタンス108には、マッピングボリューム113とターゲットボリューム114の区別無く一つのボリュームとして認識されていてよい。当該一つのボリュームを指定したI/O要求を第2のストレージシステム112が受け付けた場合、I/O要求で指定されているボリューム領域(例えばLBA(Logical Block Address))が移行済の領域か否かに応じて、第2のストレージシステム112は、当該I/O要求に従い、マッピングボリューム113又はターゲットボリューム114に対しI/Oを行ってよい。
【0059】
また、クラウド移行処理において、データボリューム(ソースボリューム)104の識別情報であって計算機101に認識されている識別情報が、中間ボリューム111に引き継がれてよい。中間ボリューム111が仮想化されたマッピングボリューム113に、当該識別情報が引き継がれてよい。マッピングボリューム113に引き継がれた識別情報(データボリューム(ソースボリューム)104の識別情報)が、計算機インスタンス108に認識されてよい。マッピングボリューム113からターゲットボリューム114へのデータの移行の最中に、当該識別情報が指定されたI/O要求を第2のストレージシステム112が計算機インスタンス108から受け付けてよい。マッピングボリューム113からターゲットボリューム114へのデータの移行の完了後、当該識別情報(データボリューム(ソースボリューム)104の識別情報)が、ターゲットボリューム114に引き継がれてよい。このような識別情報引継ぎにより、計算機101の移行後、計算機インスタンス108が、データボリューム(ソースボリューム)104の識別情報と同じ識別情報を用いてターゲットボリューム114にアクセスすることができる。
【0060】
以下、本実施形態に係るシステム移行処理を説明する。
【0061】
図5は、システム移行処理の流れを示す。
【0062】
移行元環境(本実施形態ではオンプレミス環境100)における移行対象(計算機及びボリューム)毎に移行処理(S501)が行われる。移行元環境から全ての移行対象が移行された場合、移行元環境の削除(S502)が行われてよい。
【0063】
システム移行処理において、複数のデータボリューム104がある場合、複数のデータボリューム104の移行が並行して行われてよい。すなわち、データボリューム104毎に、クラウドストレージサービス109への移行の完了が確認される都度に、当該データボリューム104に対応した中間ボリューム111の第2のストレージシステム112への外部接続、中間ボリューム111の仮想化であるマッピングボリューム113の作成、及び、マッピングボリューム113をオンラインとした状態でのマッピングボリューム113からターゲットボリューム114へのデータの移行が行われてよい。つまり、クラウド移行処理の完了の確認は、データボリューム104毎であってもよい。これにより、システム移行処理に要する時間の短縮が期待できる。
【0064】
図6は、移行処理(図5のS501)の流れを示す。
【0065】
クラウド移行処理の開始処理(S600)が行われる。具体的には、図7に示すように、ツール操作部151は、移行対象の計算機101及びボリュームの指定をユーザ(例えば情報処理システム105のオペレータ)から受け、クラウド移行処理が開始される。具体的には、ツール操作部151は、指定された計算機101と指定されたボリュームとを指定した移行指示をクラウド移行ツール190に出す。クラウド移行ツール190が、当該移行指示に応答して、指定された計算機101を計算機インスタンス108としてクラウド計算機サービス107に移行することを開始し(S700)、また、指定されたボリュームをクラウドストレージサービス109に移行することを開始する(S701)。本実施形態では、指定された計算機101が認識している一つ又は複数のデータボリューム104のうちの全部又は一部のデータボリューム104が指定される。システムボリューム103のクラウドストレージサービス109への移行は、S700で行われてもよいし、S701で行われてもよい。S701(ボリュームの移行)では、指定されたデータボリューム104と、移行対象の計算機101が認識しているシステムボリューム103が移行される。S701では、第1のストレージシステム102におけるボリュームが移行元であり、クラウドストレージサービス109におけるボリュームが移行先でよい。例えば、指定されたデータボリューム104毎に、クラウドストレージサービス109に中間ボリューム111が用意され、データボリューム104から中間ボリューム111へのデータの移行が開始される。S700及びS701は並行して行われてもよい。また、ツール操作部151は、指定された計算機101の情報を、管理情報140における上述の計算機移行管理情報に追加してよい(当該計算機101の移行状態は“移行開始”)。また、ツール操作部151は、移行対象のボリュームの情報を、管理情報140における上述のボリューム移行管理情報に追加してよい(当該ボリュームの移行状態は“移行開始”)。また、ツール操作部151は、移行先の中間ボリューム111の情報を、管理情報140における上述の中間ボリューム管理情報に追加してよい(当該中間ボリュームの移行状態は“作成待ち”)。
【0066】
その後、図6が示す通り、クラウド移行処理の完了確認処理(S601)が行われる。具体的には、図8が示すように、移行完了確認部152は、クラウド移行ツール190との通信により、移行対象の計算機101の移行完了(計算機101が計算機インスタンス108としてクラウド計算機サービス107に移行されたこと)を確認し(S800)、また、指定されたボリュームの移行完了(ボリュームがクラウドストレージサービス109に移行されたこと)を確認する(S801)。S800及びS801は並行して行われてもよい。移行完了確認部152は、管理情報140を更新してよい(例えば、計算機101の移行状態は“移行完了”に、ボリュームの移行状態は“移行完了”に、中間ボリューム111の移行状態は“作成完了”にそれぞれ更新されてよい)。
【0067】
クラウド移行処理の完了が確認された後、移行制御部153は、中間ボリューム111をオンライン状態としてもよい(S602)。具体的には、例えば、クラウド移行ツール190によっては、作成された中間ボリューム111と計算機インスタンス108とを結ぶパスが張られてよく、移行制御部153は、このパスをオンライン状態としてよい。しかし、S602はオプションでよく、本実施形態では、S602は実施されない。
【0068】
クラウド移行処理の完了が確認された後、移行制御部153は、外部接続方法の決定処理を行う(S603)。例えば、図9に示すように、移行制御部153は、中間ボリューム111の配置場所を判定し(S900)、判定された場所に応じた外部接続方法を決定する。管理情報140が、外部接続管理情報(中間ボリューム111が配置され得る場所(例えば、クラウドストレージサービス)毎に当該場所の識別情報と外部接続方法を表す情報とを含んだ情報)を有していてよく、移行制御部153は、外部接続管理情報を参照して、S900を行ってよい。
【0069】
図9が示す例によれば、配置場所がクラウドストレージサービスAの場合、移行制御部153が、クラウドストレージサービスAが有する機能を利用して第2のストレージシステム112内の所定のインスタンスに中間ボリューム111を直接アタッチする外部接続方法を決定する(S901)。配置場所がクラウドストレージサービスBの場合、移行制御部153が、中間ボリューム111の第2のストレージシステム112へのiSCSI接続を外部接続方法として決定する(S902)。配置場所がクラウドストレージサービスCの場合、移行制御部153が、クラウドストレージサービスCが有する機能を利用して第2のストレージシステム112内の所定のインスタンスに中間ボリューム111を直接アタッチする外部接続方法を決定する(S903)。中間ボリューム111の仮想化(マッピングボリューム113の作成)のためには中間ボリューム111の第2のストレージシステム112への外部接続が必要であるが、外部接続は中間ボリューム111の配置場所に依存するため、図9に示す処理により、中間ボリュームの配置場所に応じた適切な外部接続方法で中間ボリューム111を第2のストレージシステム112に外部接続することができる。なお、図9を参照した説明において、「配置場所」は、「中間ボリュームが配置されるクラウド環境の種類」、又は、「中間ボリュームが配置されるクラウドストレージサービスの種類」、と呼ばれてもよい。
【0070】
図6に示すように、移行制御部153は、S603で決定された外部接続方法での外部接続を、第2のストレージシステム112に実行させる(S604)。これにより、第2のストレージシステム112が、中間ボリューム111を第2のストレージシステム112に外部接続する。
【0071】
次に、移行制御部153は、外部接続された中間ボリューム111の仮想化を第2のストレージシステム112に実行させる(S605)。これにより、第2のストレージシステム112が、中間ボリューム111が仮想化されたボリュームであるマッピングボリューム113を第2のストレージシステム112内に作成する。
【0072】
次にパス切替処理が行われる(S606)。具体的には、図10に示すように、移行制御部153が、計算機インスタンス108、クラウドストレージサービス109及び第2のストレージシステム112の全てがマルチパス機能を持つか否かを判定する(S1000)。例えば、管理情報140が、計算機インスタンス108、クラウドストレージサービス109及び第2のストレージシステム112の各々についてマルチパス機能の有無を表す情報を含んでいて、管理情報140を基にS1000の判定が行われてよい。また、「マルチパス機能」とは、一つのボリューム識別情報について複数のパス(例えば、複数のパスのいずれもオンライン状態のパスであること)が許容され当該複数のパスのうちのいずれかを選択して使用する機能である。「オンライン状態のパス」とは、I/O要求の送信に使用可能なパスである。
【0073】
S1000の判定の結果が真の場合(S1000:YES)、マルチパスが許容されているため、移行制御部153は、計算機インスタンス108とマッピングボリューム113とを結ぶパスを追加させる(例えば、計算機インスタンス108及び第2のストレージシステム112の少なくとも一つに当該パスの追加を指示する)(S1001)。これにより、計算機インスタンス108とマッピングボリューム113とを結ぶパスが追加される。その後に、移行制御部153は、計算機インスタンス108と中間ボリューム111とを結ぶパスを削除させる(例えば、計算機インスタンス108及び第2のストレージシステム112の少なくとも一つに当該パスの削除を指示する)(S1002)。これにより、計算機インスタンス108と中間ボリューム111とを結ぶパスが削除される。なお、パス切替処理の前から、計算機インスタンス108と中間ボリューム111とを結ぶパス経由でのI/Oが開始されている場合、当該パスと、S1001で追加されたパスとのうちのいずれかのパス経由でI/Oが行われ得る。パス切替処理の前から、計算機インスタンス108と中間ボリューム111とを結ぶパス経由でのI/Oが開始されていない場合、S1001によりパスが追加された場合、当該パス経由でのI/O開始を、移行制御部153が、計算機インスタンス108及び第2のストレージシステム112に指示してよい。パス切替処理の前において、計算機インスタンス108と中間ボリューム111とを結ぶパスが張られていない場合、S1002はスキップされる。
【0074】
S1000の判定の結果が偽の場合(S1000:NO)、マルチパスが許容されていないため、移行制御部153は、計算機インスタンス108と中間ボリューム111とを結ぶパスを削除させる(S1003)。その後に、移行制御部153は、計算機インスタンス108とマッピングボリューム113とを結ぶパスを追加させ、当該パスをオンライン状態にする(S1004)。これにより、計算機インスタンス108とマッピングボリューム113とを結ぶパスが追加され、当該パス経由のI/Oが開始される。なお、パス切替処理の前において、計算機インスタンス108と中間ボリューム111とを結ぶパスが張られていない場合、S1003はスキップされる。
【0075】
以上のように、マルチパスが許容されているか否かに応じた適切なパス追加及び削除が可能である。
【0076】
また、マルチパスが許容されていない場合、S1004の前にS1003が必要になる。このため、中間ボリューム111へのパス経由でI/Oが開始されていると、当該I/Oの停止といった処理が必要になる。本実施形態では、中間ボリューム111へのI/Oは開始されないため、I/O停止の処理を不要にすることができる。
【0077】
なお、マルチパスが許容されていることが予めわかっている場合(例えば、S1000~S1004のうち常にS1000、S1003及びS1004が不要である場合)、マッピングボリューム113が作成される前に中間ボリューム111へのパス経由でI/Oが開始されていてもよい。I/O停止の処理が不要であるためである。
【0078】
パス切替処理(S606)の後、図6に示すように、移行制御部153が、マッピングボリューム113からターゲットボリューム114へのデータ移行の開始を第2のストレージシステム112に実行させる(S607)。これにより第2のストレージシステム112により、マッピングボリューム113からターゲットボリューム114へのデータの移行が開始する。なお、ターゲットボリューム114は、第2のストレージシステム112に移行制御部153からの指示に応答して作成されたボリュームでもよいし、第2のストレージシステム112における複数のボリュームから移行制御部153により指定されたボリュームでもよい。また、上述したように、この移行の最中に、第2のストレージシステム112が計算機インスタンス108からI/O要求を受けた場合、当該I/O要求に従うI/Oを、マッピングボリューム113又はデータボリューム104に対して行うようになっている。マッピングボリューム113に対するI/Oは、実際には中間ボリューム111に対して行われる。また、S607で、移行制御部153が管理情報140を更新してよい(例えば、中間ボリューム111の移行状態が“移行開始”とされてよい)。
【0079】
移行制御部153が、マッピングボリューム113からデータボリューム104へのデータ移行の完了を確認する(S608)。例えば、移行制御部153が、移行完了の通知を第2のストレージシステム112から受ける。S608で、移行制御部153が管理情報140を更新してよい(例えば、中間ボリューム111の移行状態が“移行完了”とされてよい)。
【0080】
移行制御部153は、S603で決定された外部接続方法に基づく外部接続解除を、第2のストレージシステム112に実行させる(S610)。これにより、第2のストレージシステム112が、中間ボリューム111の第2のストレージシステム112への外部接続を解除する。
【0081】
移行制御部153は、データ移行が完了した中間ボリューム111の削除を、クラウドストレージサービス109に実行させる(S611)。これにより、クラウドストレージサービス109が、中間ボリューム111を削除する。結果として、クラウドストレージサービス109のリソースを無駄に消費することが回避される。S611で、移行制御部153が管理情報140を更新してよい(例えば、中間ボリューム111の移行状態が“削除開始又は削除完了”とされてよい)。
【0082】
移行制御部153は、データボリューム(ソースボリューム)104の削除を、第1のストレージシステム102に実行させてもよい(S612)。
【0083】
また、クラウド移行処理の完了確認後の少なくとも一部の一連の処理(例えば、中間ボリューム111の外部接続、マッピングボリューム113の作成、及び、マッピングボリューム113からターゲットボリューム114へのデータ移行)を実行する処理ロジックが例えば第2のストレージシステム112に備えられていて、移行制御部153が、当該処理ロジックに対して、必要なパラメータ(例えば、中間ボリュームの識別情報、ターゲットボリューム114の識別情報)を指定した指示を与えることで、上記少なくとも一部の一連の処理が自動で行われてもよい。
[第2の実施形態]
【0084】
第2の実施形態を説明する。その際、第1の実施形態との相違点を主に説明し、第1の実施形態との共通点については説明を省略又は簡略する。なお、この点は、以下の第3の実施形態及びそれ以降の他の実施形態についても同様である。
【0085】
図11は、第2の実施形態に係るシステム移行の概要を示す。
【0086】
オンプレミス環境100において、物理的なシステム(例えば、物理的な計算機)において、計算機を仮想化するシステムであるハイパバイザ120が実行される。ハイパバイザ120が、仮想化された計算機である計算機VM(仮想マシン)121を実行する。
【0087】
第1のストレージシステム102が提供するボリュームとして、例えばボリューム811及び814がある。
【0088】
ボリューム811には、ハイパバイザ120向けのデータストア123(例えば、ハイパバイザが解釈可能なファイルシステム空間)が例えばハイパバイザ120により作成される。データストア123には、計算機VM121が認識するシステムボリュームであるシステムVMボリューム124が格納される。
【0089】
ボリューム814にも、ハイパバイザ120向けのデータストア125が作成される。データストア125には、計算機VM121が認識するデータボリュームであるデータVMボリューム127が格納される。一つのデータストア125に複数のデータVMボリューム127が存在してもよい。計算機VM121からデータVMボリューム127に対するI/Oは、ハイパバイザ120経由で行われ、故に、ハイパバイザ120が解釈可能なデータ配置でデータがデータVMボリューム127に存在する。「VMボリューム」は、計算機VM121から見たブロックデバイスである仮想ディスクである。「データストア」は、VMボリュームの格納領域である。
【0090】
以上のように、計算機が計算機VM121の場合、ハイパバイザ120経由でVMボリューム(データストアにおけるVMボリューム)にI/Oがされるが、VMボリューム内のデータ配置は、ハイパバイザ120向けである。つまり、ハイパバイザ120無しにVMボリュームの配置及びVMボリュームのデータ配置(VMボリューム内のデータ)が解釈可能とはならない。
【0091】
非特許文献1に基づく比較例によれば、上述したリモートコピー機能を利用して(つまり、クラウドストレージサービス109非経由で)、第1のストレージシステム102から第2のストレージシステム112にボリューム814を移行することが考えられる。しかし、クラウド計算機サービス107にオンプレミス環境100と同じハイパバイザ120が無い場合、第2のストレージシステム112に移行されたボリューム内のデータストア、VMボリュームの配置、VMボリュームのデータ配置といったデータ構造を解釈する手段がない。従って、第2のストレージシステム112に移行されたVMボリュームのデータ配置を、クラウド計算機サービス107における計算機インスタンス108が解釈することはできない。つまり、計算機インスタンス108がVMボリュームを解釈することが可能な状態を維持した移行をすることができない。
【0092】
また、非特許文献1に基づく比較例によれば、リモートコピー機能は、ストレージシステムが認識するボリューム単位で移行が行われる。このため、第1のストレージシステム102が提供するボリューム814に複数のデータVMボリューム127があると、その複数のデータVMボリューム127の全てが移行される。つまり、データVMボリューム単位での移行をすることができない。
【0093】
また、非特許文献2に基づく比較例によれば、クラウド環境106への移行前に、オンプレミス環境100でデータ格納形式の変更を行った後、リモートコピー機能で移行が行われる。データ格納形式の変更では、データVMボリューム127に格納しているデータが、第1のストレージシステム102が提供するボリューム(データストア125が作成されていないボリューム)にコピーされる。このデータ格納形式の変更により、ハイパバイザ120を介さず、計算機VM121からデータVMボリューム(コピー先ボリューム)を解釈できるようになる。その後、上述したリモートコピー機能により、データVMボリューム(コピー先ボリューム)が第2のストレージシステム112に移行される。オンプレミス環境100でハイパバイザ120なしに計算機VM121からデータVMボリューム(コピー先ボリューム)を解釈できるようにしているため、データVMボリュームが第2のストレージシステム112に移行された後も、計算機インスタンス108から第2のストレージシステム112に移行されたデータVMボリュームを解釈することが可能となる。しかし、オンプレミス環境100でデータ格納形式を変更する際、データコピーで追加の領域を使用するため(コピー先ボリュームの分の追加の記憶容量が必要になるため)、第1のストレージシステム102に空き領域が十分ない場合には移行することができない。
【0094】
本実施形態では、クラウド移行ツール190によりデータVMボリューム(及びシステムVMボリューム)がクラウドストレージサービス109に移行される。クラウド移行ツール190は、VMボリューム内のデータ配置を計算機インスタンス108が解釈可能なデータ配置に変換してVMボリュームをクラウドストレージサービス109に移行するようになっている。このため、システムVMボリューム124のクラウドストレージサービス109に移行されたシステムVMボリューム128のデータ配置は、ハイパバイザ120が無くても、計算機インスタンス108から解釈可能である。同様に、データVMボリューム127のクラウドストレージサービス109に移行されたデータVMボリューム129のデータ配置は、ハイパバイザ120が無くても、計算機インスタンス108が解釈可能である。このデータVMボリューム129が、中間ボリュームであり、第2のストレージシステム112に仮想化されて、マッピングボリューム130(データVMボリューム129が仮想化されたボリューム)からターゲットボリューム114へのデータ移行が行われる。故に、ターゲットボリューム114のデータ配置は、計算機インスタンス108が解釈可能である。
【0095】
また、クラウド移行ツール190により移行されるボリュームは、計算機VM121が認識する単位である。このため、ボリューム814に複数のデータVMボリューム127が存在しても、VMボリューム単位でクラウドストレージサービス109への移行が可能である。つまり、一つのボリューム814にある複数のデータVMボリューム127のうちの一部のデータVMボリューム127をクラウドストレージサービス109経由で第2のストレージシステム112に移行することができる。言い換えれば、一つのボリューム814にある複数のデータVMボリューム127のうちの残りのデータVMボリューム127を移行対象外にすることができる。
【0096】
また、移行の途中でデータVMボリューム(中間ボリューム)129としてクラウドストレージサービス109の領域が使用されるが、リソース制約のあるオンプレミスと異なり、クラウドには余剰リソースがあるため、データVMボリューム(中間ボリューム)129のための容量がクラウドに必要となることは、実質的に問題とならない。
[第3の実施形態]
【0097】
図12は、第3の実施形態に係るシステム移行の概要を示す。なお、紙面の都合上、図12には、情報処理システム105の図示は省略されている。
【0098】
第3の実施形態では、第2の実施形態と異なるレイヤで仮想化がされている。すなわち、第2の実施形態では、ハイパバイザ120において仮想化がされるが、第3の実施形態では、計算機101のOS(Operating System)において仮想化がされる。例えば、計算機101では、LVM(論理ボリュームマネージャ)が実行される。LVMは、仮想化を行う要素の一例である。計算機101から認識する第1のストレージシステム102におけるボリュームがLVMの機能により仮想化される。
【0099】
LVMによれば、第1のストレージシステム102におけるボリュームとして、物理ボリューム(PV)と論理ボリューム(LV)とがある。
【0100】
物理ボリュームは、物理的な記憶装置が提供する記憶空間の全部又は一部である。つまり、物理的な記憶装置から一つ以上の物理ボリュームが提供される。図12が示す例によれば、複数の物理ボリューム145、146、147及び148がある。
【0101】
図12が示す例によれば、ボリューム71及び72が、それぞれストレージシステムが認識する単位としてのボリュームである。例えば、ボリューム71が、計算機101に“sdb”として認識されているとすると、物理ボリューム145及び146は、ボリューム71がパーティショニングされることにより得られた記憶空間(デバイス)“sdb1”及び“sdb2”である。これらの物理ボリューム145及び146がLVMに利用される。
【0102】
一つ以上の物理ボリュームの集合として、ボリュームグループ(VG)がLVMにより生成される。図12が示す例によれば、物理ボリューム145~148からボリュームグループ12が生成されている。
【0103】
論理ボリュームは、ボリュームグループとしての記憶空間の全部又は一部である。つまり、ボリュームグループから一つ以上の論理ボリュームがLVMにより提供される。図12が示す例によれば、ボリュームグループ12から論理ボリューム143及び144が提供される。
【0104】
本実施形態では、計算機101は、物理的な計算機であるが、上述した計算機VMでもよい。つまり、第3の実施形態は第2の実施形態と組み合わされてもよい。計算機101が、論理ボリューム143及び144をそれぞれ認識する。
【0105】
比較例によれば、論理ボリュームを移行する場合、第1のストレージシステム102において論理ボリューム143及び144のマウントポイントへのI/O停止、論理ボリューム143及び144のマウントポイントを第1のストレージシステム102からアンマウント、ボリュームグループ12の無効化、ボリュームグループ12のエクスポート、エクスポートされたボリュームグループを構成するボリューム71及び72のボリューム単位でのストレージシステム間移行(上述のリモートコピー機能を利用した移行)、第2のストレージシステム112にボリュームグループ12をインポート(移行されたボリューム71及び72で構成されたボリュームグループ12の構成)、ボリュームグループ12の有効化、論理ボリューム143及び144のマウント、及び、論理ボリューム143及び144に対するI/O開始といった処理が行われる。この場合、I/O停止時間が問題である。
【0106】
また、比較例によれば、ボリューム71及び72の各々の単位でボリュームが移行されることになる。つまり、論理ボリューム単位での移行をすることができない。
【0107】
本実施形態では、クラウド移行ツール190により移行されるボリュームは、計算機101が認識する単位である。このため、ボリュームグループ12から複数の論理ボリュームが提供されても、論理ボリューム単位でクラウドストレージサービス109への移行が可能である。つまり、一つのボリュームグループ12から提供されている複数の論理ボリュームのうちの一部の論理ボリュームをクラウドストレージサービス109経由で第2のストレージシステム112に移行することができる。言い換えれば、一つのボリュームグループ12から提供されている複数の論理ボリュームのうちの残りの論理ボリュームを移行対象外にすることができる。
【0108】
また、本実施形態では、論理ボリューム単位の移行が可能なため、I/O停止が不要である。
【0109】
図12が示す例によれば、下記の移行が行われる。
・論理ボリューム143が中間ボリューム1149としてクラウドストレージサービス109に移行され、中間ボリューム1149が仮想化されたボリュームであるマッピングボリューム1151が作成され、オンライン状態にされたマッピングボリューム1151からターゲットボリューム1152へのデータ移行が行われる。
・論理ボリューム144が中間ボリューム1150としてクラウドストレージサービス109に移行され、中間ボリューム1150が仮想化されたボリュームであるマッピングボリューム1153が作成され、オンライン状態にされたマッピングボリューム1153からターゲットボリューム1154へのデータ移行が行われる。
[第4の実施形態]
【0110】
図13は、第4の実施形態に係るシステム移行の概要を示す。
【0111】
第4の実施形態では、第2のストレージシステム1302が、ニアクラウド環境160におけるストレージシステムである。「ニアクラウド環境」とは、クラウド環境106に専用線(例えば高速回線)経由で接続された環境(例えば、データセンタ)であり、故に、便宜上、「ニアクラウド」という名称が本実施形態の説明において採用されている。このような第2のストレージシステム1302にも本発明を適用することができる。
[第5の実施形態]
【0112】
図14は、第5の実施形態に係るシステム移行の概要を示す。
【0113】
第5の実施形態では、オンプレミス環境100のデータボリューム104を、中間ボリュームを介さず、ニアクラウド環境160の第2のストレージシステム1302に移行する。上述した計算機移行管理情報及びボリューム移行管理情報を利用して、計算機インスタンス108のI/O開始のタイミングを管理してもよい。
【0114】
本実施形態では、第1のストレージシステム102から第2のストレージシステム1302へのデータのリモートコピー機能無しに、第1のストレージシステム102のソースボリューム(データボリューム)104から第2のストレージシステム1302のターゲットボリューム114への移行が実現される。このため、第1のストレージシステム102が第2のストレージシステム1302との互換性を有していなくても、第1のストレージシステム102におけるデータボリューム104を、デフォルトのクラウドストレージサービス109よりも信頼性又は機能に優れた第2のストレージシステム1302に移行することができる。また、オンプレミス環境100のデータボリューム104を、中間ボリュームを介さず、ニアクラウド環境160の第2のストレージシステム1302に移行するため、移行時間の短縮や信頼性の向上を期待できる。
[第6の実施形態]
【0115】
図15は、第6の実施形態に係るシステム移行の概要を示す。
【0116】
第6の実施形態では、オンプレミス環境100のデータボリューム104を、中間ボリュームを介さず、クラウド環境106の第2のストレージシステム112に移行する。上述した計算機移行管理情報及びボリューム移行管理情報を利用して、計算機インスタンス108のI/O開始のタイミングを管理してもよい。
【0117】
本実施形態においても、第5の実施形態と同様の効果が期待できる。
[第7の実施形態]
【0118】
図16は、第7の実施形態に係るシステム移行の概要を示す。なお、紙面の都合上、図16には、オンプレミス環境100、クラウド移行ツール190、情報処理システム105の図示は省略されている。
【0119】
第7の実施形態では、第2のストレージシステム112のターゲットボリューム114への移行の際、第2のストレージシステム112が、ターゲットボリューム114に移行されるデータ(ターゲットボリューム114への移行対象のデータ)にストレージ制御向けデータ116を付加し、移行対象のデータ及び付加されたストレージ制御向けデータ116を冗長格納する。例えば、第2のストレージシステム112が、ターゲットボリューム114の冗長ボリューム115を作成する。冗長ボリューム115に、ターゲットボリューム114内のデータ及びストレージ制御向けデータ116の冗長化データ(例えば複製データ)が格納される。なお、この段落で言う「移行対象のデータ」は、ターゲットボリューム114に移行される全データでもよいし、所定サイズの単位のデータでもよい。
【0120】
ストレージ制御向けデータ116は、第2のストレージシステム112における制御で利用されるデータである。ストレージ制御向けデータ116の例として、整合性チェックコードがある。整合性チェックコードは、データの転送や格納、読み出し時に、データに欠損や誤りが発生しているか否かを検出するために、データに付与する値である。整合性チェックコードは、例えば、ECC(Error Correcting Code)である。
【0121】
整合性チェックコードに代えて又は加えて、ストレージ機能(例えば、シンプロビジョニング、階層制御、スナップショット、圧縮、重複排除、リモートコピーなど)を実現するための管理データが、ストレージ制御向けデータ116として付加されてよい。
【0122】
図16は、ターゲットボリューム114のデータを二重化した冗長格納の例を示すが、冗長化は、三重化以上でもよいし、Erasure Codingでもよい。冗長ボリューム115のサイズはターゲットボリューム114と異なっていてもよい。
【0123】
図17は、第2のストレージシステム112の構成を示す。
【0124】
第2のストレージシステム112は、クラウド計算機サービス107から提供された一部の計算機インスタンス1702と、クラウドストレージサービス109から提供された一部のボリューム1701(図17で「VOL」と図示)とを有する。計算機インスタンス1702は、複数(又は一つ)で構成される。第2のストレージシステム112内の計算機インスタンス1702は、制御ソフト1750を有するが、アプリは動作していなくてよい(一方、移行された計算機インスタンスは、アプリを有していてよい)。ボリューム1701は、複数(又は一つ)で構成される。
【0125】
図17が示す構成は一例であり、計算機インスタンス1702の数、及び、ボリューム1701の数は、図示と異なってよい。また、第2のストレージシステム112は、計算機インスタンス1702のみで構成されてもよいし、クラウド環境106が提供する別のコンポーネントを有してもよい。
【0126】
計算機インスタンス1702において制御ソフト1750が動作する。制御ソフト1750が、第2のストレージシステム112のボリューム1701を利用して、ストレージプール1700を形成する。ストレージプール1700は、複数(又は一つ)のボリューム1701に基づく論理的な空間(アドレス空間)でよい。
【0127】
また、制御ソフト1750は、ストレージプール1700を利用して、ターゲットボリューム114と冗長ボリューム115を作成する。障害に備え、ターゲットボリューム114と冗長ボリューム115は、異なる計算機インスタンス1702で管理する。具体的には、第1の計算機インスタンス1702の制御ソフト1750は、ストレージプール1700に関連付いたターゲットボリューム114を管理してよい。第2の計算機インスタンス1702の制御ソフト1750は、ストレージプール1700に関連付いた冗長ボリューム115を管理してよい。第2の計算機インスタンス1702は、第1の計算機インスタンス108と別の計算機インスタンスである。これにより、第1及び第2の計算機インスタンス1702のいずれかに障害が生じても、第1及び第2の計算機インスタンス1702のうちの残りの計算機インスタンスが管理するボリューム114又は115へのI/O継続が可能である。
【0128】
複数の計算機インスタンス1702のうちのいずれかがマスタであり、マスタの計算機インスタンス1702の制御ソフト1750(以下、マスタの制御ソフト1750)が、マスタの制御ソフト1750以外の制御ソフト1750(マスタの計算機インスタンス1702以外の計算機インスタンス1702の制御ソフト1750)に指示を出してよい。マスタの制御ソフト1750、及び、マスタの制御ソフト1750から指示を受けた制御ソフト1750が、それぞれ単独で又は互いに連携して、ストレージプール1700を形成したり、ターゲットボリューム114を第1の計算機インスタンス1702に作成したり、ターゲットボリューム114の冗長ボリューム115を第2の計算機インスタンス1702に作成したりしてもよい。
【0129】
[第8の実施形態]
【0130】
次に、第8の実施形態を説明する。第8の実施形態は、移行元及び移行先のストレージシステムの互換性に応じて、移行方式を使い分ける実施形態である。第8の実施形態に係るシステム構成は、実施形態1~7や先行技術文献と同様のものを用いることができる。
【0131】
図18は、第8の実施形態において行われる処理の流れを示す。
【0132】
第8の実施形態では、まず、移行元である第1のストレージシステム102と移行先である第2のストレージシステム112とに、互換性があるかが調査される(S1801)。この調査は、例えば下記のいずれかの方法により行われてよい。
・情報処理システム105(例えば移行制御部153)が、第1及び第2のストレージシステム102及び112の各々からシステム情報(例えば、ストレージシステムのベンダ及び機種等を表す情報)を収集し、第1のストレージシステム102のシステム情報と第2のストレージシステム112のシステム情報が、互換性ルール情報が表す互換性ルールを満たすか否かを判定してよい。互換性ルール情報は、情報処理システム105の記憶装置52に格納されていてよい。
・互換性の有無を調べたユーザにより、予め、互換性の有無を表す情報が情報処理システム105に入力され記憶装置52に格納されていてよい。当該情報を基に、情報処理システム105(例えば移行制御部153)が、S1801を行う。
【0133】
調査の結果、互換性がある場合には(S1802:Yes)、移行元である第1のストレージシステム102から移行先である第2のストレージシステム112へ、クラウドストレージサービス109を経由せずに、データボリュームが直接移行される(S1803)。すなわち、互換性がある場合には、先行技術文献に記載してある方式にて移行ができる。
【0134】
調査の結果、互換性がない場合には(S1802:No)、移行元である第1のストレージシステム102から移行先である第2のストレージシステム112へ、クラウドストレージサービス109を経由してデータボリュームが移行される(S1804)。すなわち、実施形態1~7に記載の方式にて、データボリュームが移行される。実施形態5又は6の方式であれば、クラウドストレージサービス109を経由しないでデータボリュームが移行されてもよい。
【0135】
本実施形態によれば、移行元及び移行先のストレージシステムの互換性を調査して、適切な移行方法を選択することができる。
【0136】
以上、幾つかの実施形態を説明したが、これらは本発明の説明のための例示であって、本発明の範囲をこれらの実施形態にのみ限定する趣旨ではない。例えば、上述した第1の実施形態~第7の実施形態の任意の二つ以上の実施形態が組み合わされてもよい。また、情報処理システム105の指示による処理の一部又は全部を、情報処理システム105の指示を介さず、手動で実行してもよい。また、「クラウドストレージサービス」は、「クラウドストレージ」又は「クラウドストレージシステム」と呼ばれてもよい。
【0137】
また、上述の説明において、移行されるボリュームは論理ボリュームである。論理ボリューム内に格納されているデータ(物理ボリュームに格納されたデータ)も、論理ボリュームとともに、第1のストレージシステム、クラウドストレージサービス、第2のストレージシステムの物理ボリューム(ドライブ)間を原則として移動する。データの移動中は、一時的に一部のデータが移行元に存在し残りのデータが移行先に存在するということである。このため、例えば、I/O要求がリード要求の場合、移行元及び移行先のうち、読出し対象のデータが存在する方からデータが読み出される。また、例えば、I/O要求がライト要求の場合、データが移行元と移行先の両方に書き込まれてよい。これにより、移行中であってもデータにアクセス可能である。
【0138】
また、上述の説明を、例えば以下のように総括することができる。下記の総括は、上述の説明の補足及び変形例の説明を含んでよい。
【0139】
プロセッサ53を有し、クラウド計算機、第1のストレージシステム102及び第2のストレージシステム112と通信可能な情報処理システム105が構築される。計算機101としての計算機インスタンス108をクラウド計算機に移行させ、計算機インスタンス108が使用するデータを第1のストレージシステム102から第2のストレージシステム112に移行させる場合に、情報処理システム105が、下記(A)及び(B)を行う。
(A)移行対象の計算機インスタンスを構成するためのOS(Operating System)のイメージが格納されたシステムボリューム103と、当該OSが使用するデータを格納したデータボリューム104とを、第1のストレージシステム102からクラウド計算機へ、クラウド計算機の移行ツール190に移行させる。
(B)移行ツール190によりクラウド計算機に移行されたデータボリュームである中間ボリューム111にマッピングされたマッピングボリューム113を第2のストレージシステム112に作成させ、計算機インスタンス108からマッピングボリューム113へデータ入出力のパスを計算機インスタンス108に設定させる。
【0140】
(A)は、ツール操作部151により行われる。(B)は、移行制御部153により行われる。(B)では、例えば、移行制御部153から出された指示に基づき、計算機インスタンス108によりパスが設定される。(A)及び(B)の少なくとも一つは、情報処理システム105への人手による指示に応答して行われてもよいし、そのような指示無しに自動で行われてもよい。
【0141】
情報処理システム105が、移行ツール190による移行が完了したことを確認する移行完了確認部152をさらに備えてよい。移行制御部153は、移行ツール190による移行の完了が確認された後に、マッピングボリューム113を第2のストレージシステム112に作成させてよい。
【0142】
移行ツール190は、計算機インスタンス108が解釈できるデータ配置でデータボリューム104をクラウド計算機に移行するようになっていてよい。第2のストレージシステム112は、計算機インスタンス108が解釈できるデータ配置のデータボリュームである中間ボリューム111を、第2のストレージシステム内のマッピングボリューム113にマッピングしてよい。また、移行ツール190は、計算機インスタンス108が解釈できるデータ配置に変換してデータボリューム104をクラウド計算機に移行するようになっていてよい。
【0143】
移行制御部153は、第2のストレージシステム112のマッピングボリューム113から第2のストレージシステム112におけるターゲットボリューム114へデータを移行させ、計算機インスタンス108からマッピングボリューム113へのパス設定に代えてターゲットボリューム114にパスを設定させてよい。
【0144】
移行制御部153は、マッピングボリューム113から第2のストレージシステム112におけるターゲットボリューム114へのデータの移行完了後、中間ボリューム111をクラウド計算機から削除してよい。
【0145】
移行元において計算機インスタンスは、複数のデータボリュームを使用してよい。ツール操作部151は、計算機インスタンスが使用する複数のデータボリュームを移行対象に指定してよい(例えば移行ツール190に対して指定してよい)。指定されたデータボリューム毎に、クラウド計算機に移行されマッピングボリュームが作成されてよい。
【0146】
移行制御部153は、複数の外部接続方法のうち、データボリューム(中間ボリューム111)が存在するクラウド計算機に応じた外部接続方法を決定し、データボリューム(中間ボリューム111)を第2のストレージシステムに関連付けることである外部接続を、決定された外部接続方法に従い実行させ、当該外部接続がされたクラウド計算機のデータボリューム(中間ボリューム111)についてマッピングボリューム113を第2のストレージシステム112内に作成させてよい。
【0147】
移行制御部153は、クラウド計算機及び第2のストレージシステム112がいずれもマルチパス機能に対応しているか否かを判定してよい。移行制御部153は、当該判定の結果が真の場合、計算機インスタンス108とマッピングボリューム113とを結ぶパスを追加し、その後に、データボリューム(中間ボリューム111)と計算機インスタンス108とを結ぶパスがあるならば当該パスを削除してよい。移行制御部153は、当該判定の結果が偽の場合、データボリューム(中間ボリューム111)と計算機インスタンス108とを結ぶパスを削除し、その後に、計算機インスタンス108とマッピングボリューム113とを結ぶパスを追加してよい。なお、移行制御部153は、データボリューム(中間ボリューム111)へのパスをオンライン状態とすることなく、マッピングボリューム113へのパスをオンライン状態としてよい。
【0148】
計算機インスタンスは、移行前に、物理的な計算機(例えば計算機101)により実行されるハイパバイザ120により生成された仮想的な計算機(例えば計算機VM121)上で稼働してよい。計算機インスタンスが認識しているデータボリュームとは、ハイパバイザ120により作成されたデータストア123である仮想ディスクに格納されているボリュームであり、かつ、仮想的な計算機が認識しているボリュームでよい。データボリューム内のデータ配置は、ハイパバイザ120向けのデータ配置でよい。移行ツール190は、データボリューム内のデータ配置を計算機インスタンスが解釈可能なデータ配置に変換してデータボリュームをクラウド計算機に移行するようになっていてよい。
【0149】
計算機インスタンスが、第1のストレージシステム122に対し、ボリュームグループ12を構成する一つ又は複数の論理ボリュームを管理してよい。ボリュームグループは、第1のストレージシステム102の複数の物理ボリュームから構成された一つの論理空間でよい。複数の物理ボリュームは、それぞれ論理空間でよい。計算機インスタンスが認識しているデータボリュームとは、計算機インスタンスが認識している論理ボリュームでよい。
【0150】
クラウド計算機は、コンピュート機能とストレージ機能を有して、クラウドサービスとして提供されていてよい。コンピュート機能は、クラウド計算機サービス107としての機能でよい。ストレージ機能は、クラウドストレージサービス109としての機能でよい。第2のストレージシステム112は、クラウドサービスのクラウド環境と別のクラウド環境におけるストレージサービスでよい。また、第2のストレージシステム112は、クラウドサービスのクラウド計算機と接続されたストレージシステムでよい。
【0151】
なお、情報処理システム105に代えて又は加えて、クラウド計算機と、第1のストレージシステム102と、第2のストレージシステム112と、を備えた情報処理システムが構築されてもよい。クラウド計算機は、コンピュート機能とストレージ機能とを有してよい。計算機インスタンスをクラウド計算機に移行させ、計算機インスタンスが使用するデータを第1のストレージシステム102から第2のストレージシステム112に移行させる場合に、クラウド計算機の移行ツール190が、コンピュート機能が移行対象の計算機インスタンスを稼働させるためのOS(Operating System)のイメージが格納されたシステムボリュームと、当該OSが使用するデータを格納したデータボリュームとを、第1のストレージシステム102からクラウド計算機のストレージ機能へ移行させてよい。第2のストレージシステムが、クラウド計算機の移行ツール190によりクラウド計算機に移行されたデータボリューム(中間ボリューム111)とマッピングされたマッピングボリューム130を第2のストレージシステム112に作成させ、計算機インスタンス108からマッピングボリューム130へデータ入出力のパスを計算機インスタンス108に設定してよい。
【符号の説明】
【0152】
105…情報処理システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18