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特開2023-73217液体金属エジェクタデュアルセンサシステム及びその方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023073217
(43)【公開日】2023-05-25
(54)【発明の名称】液体金属エジェクタデュアルセンサシステム及びその方法
(51)【国際特許分類】
   B22F 12/53 20210101AFI20230518BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20230518BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20230518BHJP
   B22F 10/25 20210101ALI20230518BHJP
   B22F 12/90 20210101ALI20230518BHJP
【FI】
B22F12/53
B33Y30/00
B33Y10/00
B22F10/25
B22F12/90
【審査請求】未請求
【請求項の数】28
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022179183
(22)【出願日】2022-11-09
(31)【優先権主張番号】17/454,926
(32)【優先日】2021-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】596170170
【氏名又は名称】ゼロックス コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】ダグラス、ケイ.、ヘルマン
(72)【発明者】
【氏名】シーミット、プラハラジ
(72)【発明者】
【氏名】ジェイソン、エム.、ルフェーヴル
【テーマコード(参考)】
4K018
【Fターム(参考)】
4K018AA14
4K018BA08
4K018DA31
(57)【要約】      (修正有)
【課題】金属吐出装置および金属噴射装置におけるレベルを制御する方法を提供する。
【解決手段】金属吐出装置は、内部空洞と接続し、金属印刷材料126を含む液体金属の1つ以上の液滴を吐出するように構成されたノズルオリフィスと、内部空洞の下部の内面と接触している第1のセンサ対と、を含む。各センサ対は、印刷材料供給システムに電気的に接続され、印刷材料供給システムは、金属印刷材料が各センサ対の各センサ間の電気的接続をブリッジしている時に、電気的接続を示す電気信号を各センサ対から受信するように構成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属吐出装置であって、
金属印刷材料を受容するための内部空洞を画定する構造体と、
前記内部空洞と接続し、前記金属印刷材料を含む液体金属の1つ以上の液滴を吐出するように構成されたノズルオリフィスと、
前記内部空洞の下部の内面と接触している第1のセンサ対と、
を備える、金属吐出装置。
【請求項2】
前記第1のセンサ対の各センサは、第1の同等水平面上に位置付けられている、請求項1に記載の金属吐出装置。
【請求項3】
前記内部空洞の上部の内面と接触している第2のセンサ対を更に備える、請求項1に記載の金属吐出装置。
【請求項4】
前記第2のセンサ対の各センサは、第2の同等水平面上に位置付けられている、請求項3に記載の金属吐出装置。
【請求項5】
前記金属吐出装置の前記内部空洞内の固体を加熱するように構成されており、それによって、前記固体を前記金属吐出装置内で液体に変化させる加熱要素を更に備える、請求項1に記載の金属吐出装置。
【請求項6】
前記金属吐出装置の周囲に少なくとも部分的に巻き付けられたコイルと、
液体金属の1つ以上の液滴を前記ノズルオリフィスから噴射させる1つ以上の電力パルスを前記コイルに供給するように構成された電源と、
を更に備える、請求項1に記載の金属吐出装置。
【請求項7】
前記第1のセンサ対及び前記第2のセンサ対は、前記内部空洞を画定する前記構造体に固定的に取り付けられている、請求項3に記載の金属吐出装置。
【請求項8】
前記第1のセンサ対は、前記液体金属と接触している時に非湿潤性である材料を含み、前記第2のセンサ対は、前記液体金属と接触している時に非湿潤性である材料を含む、請求項3に記載の金属吐出装置。
【請求項9】
前記第1のセンサ対上の前記非湿潤性の材料は窒化ホウ素を含み、前記第2のセンサ対上の非湿潤性の材料は窒化ホウ素を含む、請求項8に記載の金属吐出装置。
【請求項10】
前記第1のセンサ対は、印刷材料供給システムに電気的に接続されている、請求項1に記載の金属吐出装置。
【請求項11】
前記第2のセンサ対は、印刷材料供給システムに電気的に接続されている、請求項3に記載の金属吐出装置。
【請求項12】
前記金属吐出装置は、別個の分離可能な上部ポンプセグメント及び別個の分離可能な下部ポンプセグメントを更に備える、請求項1に記載の金属吐出装置。
【請求項13】
前記第1のセンサ対は、前記上部ポンプセグメントに固定的に取り付けられている、請求項12に記載の金属吐出装置。
【請求項14】
前記上部ポンプセグメントは窒化ホウ素を含む、請求項12に記載の金属吐出装置。
【請求項15】
前記下部ポンプセグメントはグラファイトを含む、請求項12に記載の金属吐出装置。
【請求項16】
印刷材料供給システムが、前記金属印刷材料が前記第1のセンサ対の各センサ間の電気的接続をブリッジしている時に、前記電気的接続を示す第1の電気信号を前記第1のセンサ対から受信するように構成されており、
前記印刷材料供給システムは、前記金属印刷材料が前記第1のセンサ対の各センサ間の電気的接続をブリッジしている時に、前記電気的接続を示す第2の電気信号を前記第2のセンサ対から受信するように構成されている、
請求項3に記載の金属吐出装置。
【請求項17】
金属吐出装置であって、
金属印刷材料を受け入れるための内部空洞を画定する構造体であって、別個の分離可能な上部ポンプセグメント及び別個の分離可能な下部ポンプセグメントを含む、構造と、
前記内部空洞と接続し、前記金属印刷材料を含む液体金属の1つ以上の液滴を吐出するように構成されたノズルオリフィスと、
前記内部空洞の内面と接触して前記上部ポンプセグメントの下部に固定的に取り付けられた第1のセンサ対と、
前記内部空洞の内面と接触して前記上部ポンプセグメントの上部に固定的に取り付けられた第2のセンサ対と、
を備える、金属吐出装置。
【請求項18】
前記金属吐出装置の前記内部空洞内の固体を加熱するように構成されており、それによって、前記固体を前記金属吐出装置内で液体に変化させる加熱要素と、
前記金属吐出装置の周囲に少なくとも部分的に巻き付けられたコイルと、
前記液体金属の1つ以上の液滴を前記ノズルオリフィスから噴射させる1つ以上の電力パルスを前記コイルに供給するように構成された電源と、
を更に備える、請求項17に記載の金属吐出装置。
【請求項19】
前記第1のセンサ対の各センサは、第1の同等水平面上に位置付けられており、
前記第2のセンサ対の各センサは、第2の同等水平面上に位置付けられている、
請求項17に記載の金属吐出装置。
【請求項20】
前記上部ポンプセグメントは窒化ホウ素を含む、請求項17に記載の金属吐出装置。
【請求項21】
前記下部ポンプセグメントはグラファイトを含む、請求項17に記載の金属吐出装置。
【請求項22】
金属噴射装置におけるレベルを制御する方法であって、
前記金属噴射装置の内部空洞の下部の内面と接触している第1のセンサ対から第1の電気信号を受信することと、
前記第1の電気信号が前記第1のセンサ対の各センサ間の電気的接続を示していない場合に、前記金属噴射装置の前記内部空洞内への固体印刷材料の供給機構を始動させることと、
前記金属噴射装置の前記内部空洞の上部の内面と接触している第2のセンサ対から第2の電気信号を受信することと、
前記第2の電気信号が前記第2のセンサ対の各センサ間の電気的接続を示している場合に、前記金属噴射装置の前記内部空洞内への前記固体印刷材料の前記供給機構を一時停止させることと、
を含む、方法。
【請求項23】
前記第2の電気信号が前記第2のセンサ対の各センサ間の電気的接続を示していない場合に、前記金属噴射装置の前記内部空洞内への前記固体印刷材料の前記供給機構を始動させることを更に含む、請求項22に記載の金属噴射装置におけるレベルを制御する方法。
【請求項24】
前記第1の電気信号が前記第1のセンサ対の各センサ間の電気的接続を示しており、かつ前記第2の電気信号が前記第2のセンサ対の各センサ間の電気的接続を示していない場合に、前記金属噴射装置の前記内部空洞への前記固体印刷材料の前記供給機構の動作を継続させることを更に含む、請求項22に記載の金属噴射装置におけるレベルを制御する方法。
【請求項25】
前記印刷材料は、金属、金属合金、又はこれらの組み合わせを含む、請求項22に記載の金属噴射装置におけるレベルを制御する方法。
【請求項26】
前記印刷材料はアルミニウムを含む、請求項25に記載の金属噴射装置におけるレベルを制御する方法。
【請求項27】
前記第1の電気信号は、溶融金属印刷材料と接触している時の前記第1のセンサ対の各センサ間の電気的接続を示し、
前記第1の電気信号は、前記溶融金属印刷材料と接触していない時の前記第1のセンサ対の各センサ間の電気的接続を示さない、
請求項22に記載の金属噴射装置におけるレベルを制御する方法。
【請求項28】
前記第2の電気信号は、溶融金属印刷材料と接触している時の前記第2のセンサ対の各センサ間の電気的接続を示し、
前記第2の電気信号は、前記溶融金属印刷材料と接触していない時の前記第2のセンサ対の各センサ間の電気的接続を示さない、
請求項22に記載の金属噴射装置におけるレベルを制御する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本教示は、概して、ドロップオンデマンド(drop-on-demand、DOD)印刷における液体エジェクタに関し、より具体的には、DODプリンタの液体金属エジェクタ内で使用するための導電性ベースのレベル検知システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ドロップオンデマンド(DOD)又は三次元(three-dimensional、3D)プリンタは、通常、層上に材料層を連続的に堆積させることによって、コンピュータ支援設計(computer-aided design、CAD)モデルから3D物体を構築(例えば、印刷)する。ドロップオンデマンド(DOD)プリンタ、特に金属又は金属合金を印刷するものは、発射パルスが印加されたときに、液体アルミニウム合金の小さな液滴を吐出する。この技術を使用して、互いに結合して連続部品を形成する一連の液滴を吐出することによって、3D部品をアルミニウム又は別の合金から作製することができる。例えば、第1の層が基材上に堆積され得、次いで、第2の層が第1の層上に堆積され得る。3Dプリンタの1つの特定のタイプは、結合して層上に液体金属層を噴射して3D金属物体を形成するのに好適な磁気流体力学(magnetohydrodynamic、MHD)プリンタである。磁気流体力学とは、導電性流体の磁気的特性及び挙動の研究を指す。
【0003】
MHD印刷では、液体金属が、3Dプリンタのノズルを通して基材上に、又は以前に堆積された金属の層上に噴射される。そのようなプリンタに使用されるプリントヘッドは、単一ノズルヘッドであり、定期的な交換を必要とし得るヘッド内のいくつかの内部構成要素を含む。場合によっては、ノズル交換の典型的な期間は、8時間間隔であり得る。液体金属印刷プロセス中、アルミニウム及び合金、特にマグネシウム含有合金は、ポンプの内部における溶融プロセス中に酸化物及びケイ酸塩を形成する可能性がある。これらの酸化物及びケイ酸塩は、一般に、ドロスと称される。ドロスの蓄積は、ポンプスループットの関数であり、印刷プロセス中に連続的に蓄積される。アルミニウム及びマグネシウムの酸化物及びケイ酸塩の組み合わせから構成されることに加えて、ドロスはまた、気泡も含み得る。結果として、ドロスの密度は、液体金属印刷材料の密度よりも低くなり得、ドロスが溶融プール上に蓄積し、最終的に印刷中に問題を引き起こすおそれがある。いくつかのDODプリンタは、例えば、印刷中の溶融プールの高さを測定するために、波長660nm程度で動作する非接触赤色半導体レーザセンサを使用する。これは、一般にレベルセンサと呼ばれる。印刷中のドロス蓄積は、レベルセンサがポンプの溶融金属レベルを正確に測定する能力に影響を与え、印刷ジョブの早期終了につながる可能性がある。これはまた、印刷中にポンプを誤って空にし、それによって部品を台なしにするおそれがある。ドロスプラグもまた、ポンプ内で成長し得、ポンプダイナミクスに問題を引き起こし、その結果、印刷中のサテライト液滴の形成などの、不十分な噴射の質及び追加の印刷欠陥をもたらす。ドロスは潜在的にバラバラになり、この酸化物の塊がノズルに落ち、ノズルの詰まりをもたらす可能性がある。レベル検知信号が「ドロップアウト」すると、致命的な故障状態を引き起こし、プリンタのシャットダウンにつながり、ドロスプラグの解消又は除去、プリントノズルの交換、及び起動手順のやり直しが必要となるおそれがある。
【0004】
したがって、金属ジェット印刷ドロップオンデマンド又は3Dプリンタにおけるレベル検知制御のための方法及び装置が、ドロス蓄積に関連する欠陥又は欠点のために中断することなく、より長い印刷時間及びより高いスループットを提供するために必要である。
【発明の概要】
【0005】
以下は、本教示の1つ以上の実施形態のいくつかの態様の基本的な理解を提供するために、簡略化された概要を提示する。この概要は、広範な概略ではなく、本教示の主要又は重要な要素を特定することも、本開示の範囲を明示することも意図していない。むしろ、その主な目的は、単に、後に提示される詳細な説明の前置きとして、1つ以上の概念を簡略化された形式で提示するだけである。
【0006】
金属吐出装置が開示される。金属吐出装置は、内部空洞と接続し、金属印刷材料を含む液体金属の1つ以上の液滴を吐出するように構成されたノズルオリフィスと、内部空洞の下部の内面と接触している第1のセンサ対と、を含む。
【0007】
金属吐出装置は、第1のセンサ対の各センサが第1の同等水平面上に位置付けられていることを含み得る。金属吐出装置は、内部空洞の上部の内面と接触している第2のセンサ対を含み得る。第2のセンサ対の各センサは、第2の同等水平面上に位置付けられている。第1のセンサ対及び第2のセンサ対は、内部空洞を画定する構造体に固定的に取り付けられている。第1のセンサ対は、液体金属と接触している時に非湿潤性である材料を含み得、第2のセンサ対は、液体金属と接触している時に非湿潤性である材料を含み得る。第1のセンサ対上の非湿潤性の材料は窒化ホウ素を含み得、第2のセンサ対上の非湿潤性の材料は窒化ホウ素を含み得る。第2のセンサ対は、印刷材料供給システムに電気的に接続されている。特定の実装態様では、印刷材料供給システムは、金属印刷材料が第1のセンサ対の各センサ間の電気的接続をブリッジしている時に、電気的接続を示す第1の電気信号を第1のセンサ対から受信するように構成されており、また、印刷材料供給システムは、金属印刷材料が第1のセンサ対の各センサ間の電気的接続をブリッジしている時に、電気的接続を示す第2の電気信号を第2のセンサ対から受信するように構成されている。金属吐出装置は、金属吐出装置の内部空洞内の固体を加熱するように構成されており、それによって、固体を金属吐出装置内で液体に変化させる加熱要素を更に含んでもよい。金属吐出装置は、金属吐出装置の周囲に少なくとも部分的に巻き付けられたコイルと、液体金属の1つ以上の液滴をノズルオリフィスから噴射させる1つ以上の電力パルスをコイルに供給するように構成された電源と、を含み得る。第1のセンサ対は、印刷材料供給システムに電気的に接続されている。金属吐出装置は、別個の分離可能な上部ポンプセグメント及び別個の分離可能な下部ポンプセグメントを含んでもよい。第1のセンサ対は、上部ポンプセグメントに固定的に取り付けられている。上部ポンプセグメントは、窒化ホウ素を含み得る。下部ポンプセグメントは、グラファイトを含み得る。
【0008】
別の金属吐出装置が開示される。金属吐出装置はまた、内部空洞と接続し、金属印刷材料を含む液体金属の1つ以上の液滴を吐出するように構成されたノズルオリフィスと、内部空洞の内面と接触して上部ポンプセグメントの下部に固定的に取り付けられた第1のセンサ対と、内部空洞の内面と接触して上部ポンプセグメントの上部に固定的に取り付けられた第2のセンサ対と、を含む。
【0009】
金属吐出装置の実装態様が、金属吐出装置の内部空洞内の固体を加熱するように構成され、それによって固体を金属吐出装置内の液体に変化させる加熱要素と、金属吐出装置の周りに少なくとも部分的に巻き付けられたコイルと、液体金属の1つ以上の液滴をノズルオリフィスから噴射させる1つ以上の電力パルスをコイルに供給するように構成された電源と、を含み得る。特定の実装態様では、第1のセンサ対の各センサは、第1の同等水平面上に位置付けられており、第2のセンサ対の各センサは、第2の同等水平面上に位置付けられている。上部ポンプセグメントは、窒化ホウ素を含み得る。下部ポンプセグメントは、グラファイトを含み得る。
【0010】
金属噴射装置におけるレベルを制御する方法も開示される。金属噴射装置におけるレベルを制御する方法はまた、金属噴射装置の内部空洞の下部の内面と接触している第1のセンサ対から第1の電気信号を受信することと、第1の電気信号が第1のセンサ対の各センサ間の電気的接続を示していない場合に、金属噴射装置の内部空洞への固体印刷材料の供給機構を始動させることと、金属噴射装置の内部空洞の上部の内面と接触している第2のセンサ対から第2の電気信号を受信することと、第2の電気信号が第2のセンサ対の各センサ間の電気的接続を示している場合に、金属噴射装置の内部空洞への固体印刷材料の供給機構を一時停止することと、を含む。
【0011】
金属噴射装置におけるレベルを制御する方法の実装態様が、第2の電気信号が第2のセンサ対の各センサ間の電気的接続を示していない場合に、金属噴射装置の内部空洞内への固体印刷材料の供給機構を始動させることを含み得る。金属噴射装置におけるレベルを制御する方法は、第1の電気信号が第1のセンサ対の各センサ間の電気的接続を示しており、かつ第2の電気信号が第2のセンサ対の各センサ間の電気的接続を示していない場合に、金属噴射装置の内部空洞への固体印刷材料の供給機構を継続させることを含み得る。印刷材料は、金属、金属合金、又はこれらの組み合わせを含み得る。印刷材料は、アルミニウムを含み得る。金属噴射装置におけるレベルを制御する方法の実装態様が、第1の電気信号は、溶融金属印刷材料と接触している時の第1のセンサ対の各センサ間の電気的接続を示し、第1の電気信号は、溶融金属印刷材料と接触していない時の第1のセンサ対の各センサ間の電気的接続は示さないことを含み得る。金属噴射装置におけるレベルを制御する方法の実装態様が、第2の電気信号は、溶融金属印刷材料と接触している時の第2のセンサ対の各センサ間の電気的接続を示し、第2の電気信号は、溶融金属印刷材料と接触していない時の第2のセンサ対の各センサ間の電気的接続は示さないことを含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0012】
本明細書の一部に組み込まれ、本明細書の一部を構成する添付図面は、本教示の実施形態を示し、本明細書とともに本開示の原理を説明する役割を果たす。図は以下のとおりである。
【0013】
図1】一実施形態による、3Dプリンタ(例えば、MHDプリンタ及び/又はマルチジェットプリンタ)の単一液体金属エジェクタジェットの概略断面図を図示する。
図2】一実施形態による、ドロスで汚染された液体金属エジェクタの側断面図である。
図3】一実施形態による、レベルセンサシステムを含む液体エジェクタの側断面図である。
図4A】一実施形態による、ヒータをそれぞれ有する及び有しない液体金属エジェクタアセンブリの斜視図を示す。
図4B】一実施形態による、ヒータをそれぞれ有する及び有しない液体金属エジェクタアセンブリの斜視図を示す。
図5】一実施形態による、ヒータを有する液体金属エジェクタアセンブリの上面斜視図である。
図6】一実施形態による、ヒータを有する液体金属エジェクタアセンブリの一部を切り欠いた側面斜視図である。
図7】一実施形態による、金属噴射プリンタの液体金属エジェクタのレベル検知方法を示すフロー図である。
【0014】
図のいくつかの詳細は簡略化されており、厳密な構造精度、詳細、及び縮尺は維持されるものではなく、本教示の理解を容易にするように描かれていることに留意されたい。
【発明を実施するための形態】
【0015】
ここで、本教示の例示の実施形態を詳細に参照し、この実施例を添付図面に示す。可能な限り、同じ参照番号が、同じ、類似、又は同様の部分を指すように図面全体にわたって使用される。
【0016】
ドロップオンデマンド印刷方法及び技術を採用する金属ジェットプリンタでは、発射パルスが印加されると、液体アルミニウム合金又は他の金属の小さな液滴が吐出される。この技術を使用して、互いに結合して連続部品を形成する一連の液滴を吐出することによって、三次元(3D)部品をアルミニウム合金又は別の金属から作製することができる。例示的なプリンタで使用されるプリントヘッド又は金属エジェクタジェットは、単一ノズルヘッドであり、ヘッド内のいくつかの内部構成要素は定期的な交換を必要とする。ノズル交換の典型的な期間は、およそ8時間間隔であり得る。金属ジェット印刷プロセス中、アルミニウム及び合金の成分、特にマグネシウムは、溶融プロセス中に、ポンプの入口上及び内部空洞内に、「ドロス」と一般に呼ばれる酸化物を形成する場合がある。このドロスは、印刷中にエジェクタポンプの内部空洞内及び他の領域に蓄積し、ポンプを通る印刷材料スループットの関数である。ドロスは、アルミニウム印刷材料の場合、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、アルミニウム、及び気泡の組み合わせである。ドロスは、金属エジェクタポンプ内の溶融プール上に蓄積し、印刷中に問題を引き起こす。例示的な印刷システムは、印刷中に溶融プールの高さを測定するために赤色半導体レーザ(波長660nm)非接触センサを使用し、したがって、金属ジェット印刷システムの効果的なレベルセンサである。印刷中のドロス蓄積は、レベルセンサがポンプの溶融金属レベルを正確に測定する能力に影響を与え、印刷ジョブの早期終了につながる。レベル検知信号が「ドロップアウト」すると、機械のシャットダウン、ドロスプラグの解消又は除去、プリントノズルの交換、及び起動手順のやり直しにつながる。その結果、印刷動作が不完全になったり、早期に停止したりするおそれがある。
【0017】
本開示の例示的な実施形態は、上部ポンプ内の適切な溶融アルミニウムレベルを確保するための導電性検知及び制御システムを含む。センサは、溶融アルミニウムの導電性を検出してポンプ内の流体レベルを識別することができる上限及び下限が存在するように配置される。2組又は2対の導電プローブが、ポンプ内の溶融アルミニウムによってブリッジされると接触し、アルミニウムが上限を超えているか、下限を下回っているか、又は上限と下限との間の公称範囲内にあるかを識別する。アルミニウムの上端レベルの高さは、印刷材料ワイヤフィードとレベル検知システムとを接続する開ループシステム及び閉ループシステムの両方によって公称範囲内に維持される。このレベル検知システムは、システム内のドロス蓄積に対して堅牢である、エジェクタの上部ポンプ領域内の溶融印刷材料のレベル検知を提供する。レーザレベル検知システムは、溶融印刷材料上にドロスが蓄積することによって悪影響を受けるが、導電性検知方法は、溶融印刷材料を印刷材料自体の導電によって検出する。印刷材料レベルを維持するためには、最小レベルを下回らず最大レベルを上回らない溶融印刷材料レベルを印刷材料フィードが維持できるようにすることが必要である。これを達成するために、導電センサの高レベル検知セット及び低レベル検知セットが、ポンプ又は金属エジェクタの高レベル及び低レベルに配置される。センサセットは、水平方向に間隔を置いて配置された2つの導電センサで構成され、これらの導電センサは、液体に浸漬されると、アルミニウムが各セット内の別個の水平方向に分離したセンサとの間に作り出す導電路を介して、溶融アルミニウムの存在を検出する。各センサ対は、同等水平面上に位置付けられ、エジェクタジェットシステムの内部空洞の内面と接触している。いずれのセンサセットも導電性を示さない場合、これは、印刷材料のレベルが下限を下回り、追加の固体印刷材料がワイヤフィードを介して追加されなければならないことを示し、又は印刷材料が利用できない場合は、検査及び必要に応じてワイヤの再装填のためにシステムが停止する。低い方のセンサセットが導電性を示している一方で、高い方のセンサセットが導電性を示していない場合は、印刷材料レベルは、高い方のセンサセットと低い方のセンサセットとの間、又は公称動作状態に維持されている。このレベルは、印刷中に使用された印刷材料及び印刷材料供給速度を計算する開ループ供給システムによって維持される。高い方のセンサセットが導電性を示した場合は、印刷材料のワイヤフィードを停止する。導電性は、印刷材料が上限を超えていることを示している。センサが導電性を示さなくなると、印刷材料ワイヤの開ループフィードが再開する。これらの検知セット及びアルゴリズムは、レーザ高さ測定を妨げるドロスが存在する場合であっても、印刷材料レベルが公称充填高さに維持されるように、開ループワイヤフィードと協働して印刷材料レベルを維持する。
【0018】
図1は、一実施形態による、3Dプリンタ(例えば、MHDプリンタ及び/又はマルチジェットプリンタ)の単一液体エジェクタジェットの概略断面図を図示する。図1は、あるタイプのドロップオンデマンド(DOD)又は三次元(3D)プリンタ100の一部分を示す。3Dプリンタ又は液体エジェクタジェットシステム100は、下部ブロックとも呼ばれる、外部エジェクタハウジング102内にエジェクタ(本体又はポンプチャンバ、若しくは「ワンピース」ポンプとも呼ばれる)104を含み得る。エジェクタ104は、内容積部132(内腔又は内部空洞とも呼ばれる)を画定し得る。印刷材料126は、エジェクタ104の内部容積132内に導入され得る。印刷材料126は、金属、ポリマーなどであってもよく、又はこれらを含んでもよい。例えば、印刷材料126は、アルミニウム又はアルミニウム合金であり得るか、又はそれを含み得、印刷材料供給部116又は印刷材料ワイヤフィード118のスプール、この場合はアルミニウムワイヤを介して導入され得る。液体エジェクタジェットシステム100は、エジェクタ104のポンプキャップ又は上部カバー部分108内に第1の入口120を更に含み、それによって、印刷材料ワイヤフィード118がエジェクタ104の内容積部132内に導入される。エジェクタ104は、ノズル110、上部ポンプ122エリア、及び下部ポンプ124エリアを更に画定する。1つ以上の加熱要素112が、ポンプチャンバ104の周りに分配されて、高温度源を提供し、プリンタ動作中に印刷材料126を溶融状態に維持する。加熱要素112は、印刷材料ワイヤフィード118を加熱又は溶融させるように構成されており、それによって、エジェクタ104の内容積部132内で印刷材料ワイヤフィード118を固体状態から液体状態(例えば、印刷材料126)に変える。三次元3Dプリンタ100及びエジェクタ104は、ノズル110の近くに位置する空気又はアルゴンシールド114、並びにノズル及び/又はエジェクタ104の温度調節を更に可能にするための水冷却源130を更に含み得る。液体エジェクタジェットシステム100は、エジェクタ104内部の印刷材料126の表面に向かって検出器ビーム136を方向付け、反射検出器ビーム136をレベルセンサ134の内部で読み取ることによって、エジェクタ104の内部容積132内の溶融印刷材料126のレベルを検出するように構成されたレベルセンサ134システムを更に含む。
【0019】
3Dプリンタ100はまた、本明細書に示されていない電源、及び少なくとも部分的にエジェクタ104の周囲に巻き付けられているポンプヒータに封入された1つ以上の金属コイル106を含み得る。電源は、コイル106に結合され、コイル106に電流を供給するように構成され得る。コイル106によって引き起こされた増加する磁場が、エジェクタ104内に起電力を生じさせ得、引いては印刷材料126内に誘導電流を生じさせ得る。印刷材料126内の磁場及び誘導電流は、ローレンツ力として知られる、半径方向内向きの力を印刷材料126に作製し得る。ローレンツ力は、エジェクタ104のノズル110の入口に圧力を生成する。この圧力は、印刷材料126を1つ以上の液滴128の形態でノズル110を通して噴射させる。
【0020】
3Dプリンタ100はまた、ノズル110に近接して(例えば、下方に)位置付けられた、本明細書に示されていない基材を含み得る。吐出された液滴128は、基材上に着地し、固化して3D物体を生成し得る。3Dプリンタ100はまた、液滴128がノズル110を通して噴射されている間、又は液滴128がノズル110を通して噴射されている間の一時停止中に基材を移動させて、3D物体に所望の形状及び大きさを付与するように構成された基材制御モータを含み得る。基材制御モータは、基材を一次元(例えば、X軸に沿って)、二次元(例えば、X軸及びY軸に沿って)、又は三次元(例えば、X軸、Y軸、及びZ軸に沿って)で移動するように構成され得る。別の実施形態では、エジェクタ104及び/又はノズル110もまた、若しくはその代わりに、一次元、二次元、又は三次元で移動するように構成され得る。換言すれば、静止しているノズル110の下方で基材が移動されてもよく、又は、静止している基材の上方でノズル110が移動されてもよい。更に別の実施形態では、4軸又は5軸の位置制御が存在するように、ノズル110と基材との間に1つ又は2つの更なる軸を中心とした相対的な回転が存在してもよい。特定の実施形態では、ノズル110及び基材の両方が移動してもよい。例えば、基材がX方向及びY方向に移動し、ノズル110がY方向に上下に移動してもよい。
【0021】
3Dプリンタ100はまた、ガス源138であってもよいか、又はこれを含んでもよい1つ以上のガス制御デバイスを含み得る。ガス源138は、ガスを導入するように構成されてもよい。ガスは、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、及び/又はキセノンなどの不活性ガスであってもよいか、又はこれらを含んでもよい。別の実施形態では、ガスは、窒素であってもよいか、又は窒素を含んでもよい。ガスは、約10%未満の酸素、約5%未満の酸素、又は約1%未満の酸素を含んでもよい。少なくとも1つの実施形態では、ガスは、ガス源138から三次元3Dプリンタ100に導入される1つ以上のガスの流れ又は流量を調整するように構成されたガス調整器140を含むガスライン142を介して導入され得る。例えば、ガスは、ノズル110及び/又は加熱要素112の上方の場所に導入され得る。これは、ガス(例えば、アルゴン)が、ノズル110、液滴128、3D物体、及び/又は基材の周囲にシュラウド/シースを形成して、空気シールド114の形態で酸化物(例えば、酸化アルミニウム)の形成を低減/防止することを可能にし得る。ガスの温度を制御することはまた、又はその代わりに、酸化物形成が起こる速度を制御する(例えば、最小化する)ことに役立ち得る。
【0022】
液体エジェクタジェットシステム100はまた、内容積部(大気とも呼ばれる)を画定するエンクロージャ102を含み得る。1つの実施形態では、エンクロージャ102は、密封されていてもよい。別の実施形態では、エンクロージャ102は、密封されていなくてもよい。1つの実施形態では、エジェクタ104、加熱要素112、電源、コイル、基材、追加のシステム要素、又はそれらの組み合わせは、少なくとも部分的にエンクロージャ102内に位置付けられ得る。別の実施形態では、エジェクタ104、加熱要素112、電源、コイル、基材、追加のシステム要素、又はそれらの組み合わせは、少なくとも部分的にエンクロージャ102の外側に位置付けられ得る。図1に示す液体エジェクタジェットシステム100は、典型的な液体エジェクタジェットシステム100を表しているが、様々な特徴の位置及び特定の構成及び/又は物理的関係は、代替の設計実施形態において変化し得る。
【0023】
図2は、一実施形態による、ドロスで汚染された液体金属エジェクタジェットの側断面図である。エジェクタ200が示され、これは、エジェクタの空洞又は外壁202、上部ポンプエリア204、下部ポンプエリア206、及び出口ノズル208を更に画定する。エジェクタ200の内部空洞202内には、溶融印刷材料212及び印刷材料212内及びその上部に蓄積されたドロス210の概略図が更に示されている。特定の実施形態において、及びどの印刷材料が印刷システムで使用されるかに依存して、ドロス210は、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、及びケイ酸塩の組み合わせである。ドロス210はまた、気泡を含み得る。特定の実施形態では、ドロス210は、アルミニウム(Al)、カルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)、シリコン(Si)、鉄(Fe)の酸化物及びケイ酸塩、又はおそらくナトリウム(Na)、カリウム(K)、硫黄(S)、塩素(Cl)、炭素(C)、若しくはそれらの組み合わせを含有する気泡又は他の汚染物質などの追加の材料又は汚染物質を含み得る。ドロス210は、典型的には、エジェクタ200内の上部ポンプエリア204の近くに存在する溶融プールの上端に向かって蓄積され、印刷中に問題を引き起こす可能性がある。ドロス210の蓄積は、エジェクタ200内部の溶融金属レベルを測定する前述のレベルセンサの能力に影響を与える可能性がある。レベルセンサシステムの誤った信号は、印刷中にポンプを空にする可能性があり、これは、印刷されている部品を台なしにする結果をもたらし得る。1つ以上のドロス210「プラグ」はまた、ポンプ内で成長する傾向を有し得、これは次に、ポンプダイナミクスで問題を引き起こし得る。ポンプダイナミクスにおける中断又は問題は、不十分な噴射の質及び印刷中のサテライト液滴の形成を更にもたらし得る。サテライト液滴は、主な液滴の噴射中に意図せずに形成され得る主要な液滴の体積の断片のみを伴う液滴を指し得る。例えば、ノズルでの物理的閉塞は、サテライト液滴の形成をもたらす1つの潜在的な原因である。特定の実施形態又は例において、ドロス210はまた、潜在的に破断する可能性があり、この断片化されたドロス又は酸化物の部分は、ノズル208に落下し得、その結果、詰まったノズル208をもたらす。ドロス210の蓄積から生じるいかなる障害も、壊滅的である傾向を有し、これにより、プリンタのシャットダウン、ドロス210プラグの解消又は除去、プリントノズルの交換、起動のやり直し、又はそれらの組み合わせの必要につながる可能性がある。プリンタ又はエジェクタシステムの追加の特徴又は要素は、明確化の目的で図2には示されていないことに留意されたい。
【0024】
図3は、一実施形態による、レベルセンサシステムを含む液体金属エジェクタの側断面図である。金属吐出装置とも呼ばれ得る液体金属エジェクタ300が、3Dプリンタ内の所定の位置に設置されて示されている。図1に関して示され説明された特徴及び構成要素のいくつかは、図3に表されたシステム、例えば、印刷材料供給システム、ガス源、及びエジェクタハウジング全体に存在し得るが、明確化の目的で図3には明示的に示されていないことを理解されたい。エジェクタ300の本体306は、上部ポンプセグメント302及び下部ポンプセグメント308で形成されており、この構造は、組み合わされて3Dプリンタ内に圧入されると、金属印刷材料を受け入れるための内部空洞304を画定する。エジェクタ300の本体306は、別個の分離可能な上部ポンプセグメント302及び別個の分離可能な下部ポンプセグメント308を含む。上部ポンプセグメント302は窒化ホウ素から作製されているが、代替の実施形態は、酸化アルミニウムなどの他の耐熱性セラミック又はセラミックコーティングされた金属材料などから作製された上部ポンプセグメント302を有してもよい。下部ポンプセグメント308はグラファイトから作製されているが、代替の実施形態は、ステンレス鋼、酸化アルミニウム、炭化ケイ素などの他の無機材料、セラミック材料、又は金属材料から作製された下部ポンプセグメント308を有してもよい。液体金属エジェクタ300の下部ポンプセグメント308は、内部空洞304と接続し、金属印刷材料を含む液体金属の1つ以上の液滴を吐出するように構成されたエジェクタノズル310又は出口ノズルオリフィスを画定する。上部ポンプセグメント302は、第1のセンサ対314が内部空洞304の下部の内面と接触しているために、内部空洞304内に収容された最小限のレベル又は低レベルの印刷材料と相関する上部ポンプセグメント302内の垂直位置を画定して配置された第1のセンサ対314を含む。第1のセンサ対314の各センサは、互いに対して第1の同等水平面上に位置付けられていることに留意されたい。上部ポンプセグメント302はまた、第2のセンサ対312が内部空洞304の上部の内面と接触しているために、内部空洞304内の印刷材料の上部レベルと相関する上部ポンプセグメント302内の垂直位置を画定して配置された第2のセンサ対312を含む。更に、第2のセンサ対312の各センサは、互いに対して第2の同等水平面上に位置付けられている。特定の実施形態では、第1のセンサ対及び第2のセンサ対は、内部空洞304を画定する構造体306に固定的に取り付けられている。例示的な実施形態では、第1のセンサ対314及び第2のセンサ対312は、液体金属エジェクタ300に使用される印刷材料を構成する液体金属と接触している時に非湿潤性である材料から作製されているか、又はコーティングされている。第1のセンサ対312及び第2のセンサ対314上の非湿潤性の材料は、溶融金属印刷材料と接触している時に非湿潤性である窒化ホウ素又は他の、酸化アルミニウム、炭化ケイ素などのセラミック又は材料であり得る。第1のセンサ対314及び第2のセンサ対312は、液体金属エジェクタ300内の印刷材料の状態又はレベルを印刷材料供給システムに伝達する目的で、図3には示されていない印刷材料供給システムに結合又は電気的に接続されており、その結果、印刷材料が少ない場合は、印刷材料供給システム内の供給機構によってより多くの印刷材料が追加されてもよく、又は、液体金属エジェクタ300内の印刷材料のレベルが十分である場合は、印刷材料供給システムの供給機構が停止されてもよい。
【0025】
液体金属エジェクタ300は、上部ポンプセグメント302及び下部ポンプセグメント308によって画定されたエジェクタ本体を加熱し、内部空洞304内の印刷材料を加熱して、液体金属エジェクタ300の内部空洞304内で固体印刷材料を液体に変化させるように構成されたヒータアセンブリ316を更に含む。液体金属エジェクタ300の周囲に少なくとも部分的に巻き付けられた1つ以上の金属コイル318も図3に示されている。印刷システム全体が、本明細書に示されていない電源を含んでもよい。電源は、コイル318に結合され、コイル318に電流を供給するように構成され得る。コイル318によって引き起こされた増加する磁場が、エジェクタ空洞304内に起電力を生じさせ得、引いては内部空洞内に収容された印刷材料内に誘導電流を生じさせ得るが、明確化の目的でここには示されていない。印刷材料内の磁場及び誘導電流は、ローレンツ力として知られる半径方向内向きの力を印刷材料に生じさせ得る。ローレンツ力は、エジェクタ300のノズル310の入口に圧力を生成する。この圧力は、印刷材料を1つ以上の液滴の形態でノズル310を通して噴射させる。
【0026】
印刷動作の前に金属エジェクタジェットが最初に充填された時には、第1のセンサ対又は下部センサ対及び第2のセンサ対又は上部センサ対はいずれも、これらのセンサ対が同等水平面上で互いから離間しているために、各センサ対の間にブリッジされた接触又は接続性を有さない。この非接触状態は、印刷材料供給システムに信号を送り、供給機構を始動させて、液体金属エジェクタ300の内部空洞304内への固体印刷材料の供給を開始させる。印刷材料が内部空洞304内に供給され、印刷材料が溶融すると、溶融印刷材料のレベルが内部空洞304内で上昇する。印刷材料は導電性であるため、溶融印刷材料は、センサ対の各センサ間に接続性を付与する。内部空洞が印刷材料で満たされると、溶融印刷材料は最終的に第1の下部センサ対のレベルに達し、その時点で溶融印刷材料は第1のセンサ対の各センサ間の電気的接触をブリッジする。印刷材料供給システムは、第1のセンサ対の各センサが金属印刷材料と接触している時に、電気的接続を示す第1の電気信号を第1のセンサ対から受信するように構成されている。印刷材料フィードは、第2の上部センサ対の各センサ間にブリッジされた接触がない限り、印刷材料で内部空洞を充填し続ける。第2の上部センサ対の各センサ間の接触が印刷材料の導電性によってブリッジされると、上部センサ対は、信号を受信し、エジェクタジェット内部空洞が十分に充填されていることを知らせる信号を送信する。印刷材料供給システムは、第2のセンサ対の各センサが金属印刷材料と接触している時に、電気的接続を示す第2の電気信号を第2のセンサ対から受信するように構成されている。印刷材料フィードは、導電性が第1の下部センサ対及び第2の上部センサ対の両方によって検知されると停止する。印刷材料が噴射され続けると、レベルは、第2の上部センサ対のレベル未満に低下し、サイクルは、第2の上部センサ対が十分なレベルの印刷材料の存在によって接続性をブリッジするまで、追加の印刷材料の供給を継続する。
【0027】
そのようなエジェクタの特定の実施形態は、液体エジェクタを含むハウジングの内部に位置する印刷材料供給部を有し得る。更に、代替の実施形態は、粉末供給システム又は当業者に知られている他の印刷材料導入手段などの印刷材料を導入する他の手段を含み得る。本明細書に記載の実施形態による液体エジェクタを使用して排出することができる例示的な印刷材料はまた、アルミニウム、銅、鉄、ニッケル、黄銅、ネーバル黄銅、及び青銅の合金を含む。銀及びその合金、銅及びその合金、金属合金、ろう付け合金、又はそれらの組み合わせもまた、本明細書の実施形態による液体エジェクタを使用して印刷され得る。特定の実施形態は、上部ポンプセグメント及び下部ポンプセグメントを有するのではなく、単一部品のアセンブリを有してもよく、あるいは、組み立てられて液体金属エジェクタを形成し、その内部空洞を画定する追加のインサート又は部品を有してもよい。本明細書に記載される導電センサ対は、鋼製であり、溶融印刷材料と接触している時に不活性である材料でコーティングされているが、代替の実施形態では、他のコーティング又は材料を使用してもよい。更に、本明細書に示すセンサ及びセンサ対は、上部ポンプセグメントに組み込まれ、したがって液体金属エジェクタアセンブリに組み込まれているが、代替の実施形態は、本明細書に記載の実施形態に従って使用される別個の、交換可能な、又は保守可能なセンサを有してもよいことに留意されたい。
【0028】
図4A及び図4Bは、一実施形態による、ヒータをそれぞれ有する及び有しない液体金属エジェクタアセンブリの斜視図を示す。液体金属エジェクタアセンブリは、前述のように、別個の分離可能な上部ポンプセグメント400を含み、別個の分離可能な下部ポンプセグメント408に圧入され、それらの両方が、印刷材料を収容するための内部空洞402構造体を画定する。また、ワイヤフィード印刷材料を内部空洞402内に案内して導入するように構成された、印刷材料入口406セグメント内の印刷材料ポート404も示されている。下部ポンプセグメント408はまた、エジェクタノズル410を画定する。また、円筒形プローブ形態で示されている第2の上部センサ対412及び第1の下部センサ対414も示されており、これらは内部空洞402と連通し、また液体エジェクタアセンブリから外向きに突出して外部と連通することにより、金属エジェクタ内の印刷材料のレベルに対するフィードバック及び制御を提供する電気信号又は接続性信号が、金属エジェクタアセンブリの外部及びコンピュータシステム、制御システム、又は印刷材料供給システムに搬送されることを可能にする。また、アセンブリには、上部ポンプセグメント400の一部を取り囲むヒータ416も示されており、これはまた、金属ジェットアセンブリを3D印刷システム内に設置して取り付けるための2つのヒータマウント418を画定する。図4Bは、図4Aに関して説明されたものと同じ特徴及び構成要素を示すが、ヒータ416は除去されている。図5は、一実施形態による、ヒータを有する液体金属エジェクタアセンブリの上面斜視図である。図5の図は主に、内部空洞402の内観と、内部空洞402内の第2の上部センサ対412及び第1の下部センサ対414のそれぞれの位置とを示す。
【0029】
図6は、一実施形態による、ヒータを有する液体金属エジェクタアセンブリの一部を切り欠いた側面斜視図である。図6の図は主に、内部空洞402内の第2の上部センサ対412及び第1の下部センサ対414のそれぞれの位置を示す切欠図を示す。この図は、第2の上部センサ対412が上部ポンプセグメント400の壁を通って貫通し、それによって、上部ポンプセグメント400の内部空洞402との接続、したがって金属エジェクタアセンブリの内部との接続、並びに金属エジェクタアセンブリの外部又は外側部分との接続を維持することにより、金属エジェクタ内の印刷材料のレベルに対するフィードバック及び制御を提供するための信号が、金属エジェクタアセンブリの外部及びコンピュータシステム、制御システム、又は印刷材料供給システムに搬送されることを可能にすることを示している。
【0030】
図7は、一実施形態による、金属噴射プリンタの液体金属エジェクタのレベル検知方法を示すフロー図である。金属噴射装置700におけるレベルを制御する方法が示されており、方法は、金属噴射装置702の内部空洞の下部の内面と接触している第1のセンサ対から第1の電気信号を受信することを含む。第1の電気信号の性質に応じて、方法は、第1の電気信号が第1のセンサ対704の各センサ間の電気的接続を示していない場合に、金属噴射装置の内部空洞内への固体印刷材料の供給機構を始動させるように進捗する。第1の電気信号は、溶融金属印刷材料と接触している時の第1のセンサ対の各センサ間の電気的接続を示し、溶融金属印刷材料と接触していない時の第1のセンサ対の各センサ間の電気的接続は示さない。固体から液体に加熱されて溶融状態になった印刷材料の導電性は、第1のセンサ対の各センサ間の電気的接続信号をブリッジする。第1のセンサ対は金属噴射装置の内部空洞の下部にあるため、下部の第1のセンサ対からの受信信号は、内部空洞内の印刷材料のレベルが、内部空洞内の第1のセンサ対の垂直位置と相関するより低いレベルにあることを示し得る。金属噴射装置700におけるレベルを制御する方法の次のステップは、金属噴射装置706の内部空洞の上部の内面と接触している第2のセンサ対から第2の電気信号を受信することである。第2の電気信号は、溶融金属印刷材料と接触している時の第2のセンサ対の各センサ間の電気的接続を示し、溶融金属印刷材料と接触していない時の第2のセンサ対の各センサ間の電気的接続は示さない。金属噴射装置700におけるレベルを制御する方法の最終ステップは、第2の電気信号が第2のセンサ対708の各センサ間の電気的接続を示している場合に、金属噴射装置の内部空洞内への固体印刷材料の供給機構を一時停止させるステップを含む。供給機構のこの一時停止は、溶融印刷材料が第2のセンサ対の各々と接触し、したがって、第2のセンサ対の各センサ間の電気的接続をブリッジしている時に実行される。このことは、第2のセンサ対が配置されているレベルへの印刷材料のレベルの到達と一致している。印刷材料は十分なレベルにあるため、供給機構は一時停止されてもよい。金属噴射装置700におけるレベルを制御する方法の特定の実施形態は、第2の電気信号が第2のセンサ対の各センサ間の電気的接続を示していない場合に、金属噴射装置の内部空洞内への固体印刷材料の供給機構を始動させることを更に含み得る。この電気的接続の欠如は、印刷材料が第2のセンサ対間の接続を架橋しておらず、したがって第2のセンサ対が配置されている十分なレベルにないことに起因する。これにより、印刷材料の内部空洞への供給を第2のセンサのレベルに達するまで継続させる信号又は命令が、供給機構に与えられる。金属噴射装置700におけるレベルを制御する方法は、第1の電気信号が第1のセンサ対の各センサ間の電気的接続を示しており、かつ第2の電気信号が第2のセンサ対の各センサ間の電気的接続を示していない場合に、金属噴射装置の内部空洞への固体印刷材料の供給機構の動作を継続させることを更に含み得る。この信号の組み合わせは、印刷材料が、第1のセンサ対の垂直位置に相関するより低いレベルには達しているが、内部空洞内の第2のセンサ対のより上側の位置に相関するより高い垂直レベルには達していないことを意味する。したがって、供給機構は、金属噴射装置の内部空洞内に追加の印刷材料を供給し続ける。金属噴射装置700におけるレベルを制御する方法は、印刷材料が導電性であり、金属、金属合金、又はそれらの組み合わせを含む印刷材料であり得るが、これらに限定されないことを必要とする。本明細書に記載されるように使用することができる印刷材料の例示的な例はまた、アルミニウム、銅、鉄、ニッケル、黄銅、ネーバル黄銅、及び青銅の合金を含む。銀及びその合金、銅及びその合金、金属合金、ろう付け合金、又はそれらの組み合わせもまた、液体エジェクタを使用して印刷され、制御され、本明細書の実施形態による検知方法及びシステムで使用され得る。レベルを検知及び制御するこの方法は、ドロスの存在によって中断されるおそれのあるセンサを使用した金属噴射装置の内部空洞内の溶融プールの表面から反射されたレベル信号の読み取りに依存しないことに留意されたい。しかしながら、レーザレベルセンサを、本開示による液体金属エジェクタの内部空洞内のレベル検知の付随的な方法又は冗長方法として使用してもよいことにも留意されたい。
【0031】
3D金属プリンタ内の溶融アルミニウムを公称範囲内とするための別個の導電センサのセットの使用は、レーザレベル検知システム及び付随する制御方式などの代替のレベル検知装置及び方法に取って代わることができる。したがって、本開示によれば、導電センサは、溶融アルミニウム又は代替の印刷材料のレベルが上限及び下限外にあるかどうかを判定し、次いで、印刷動作中に印刷材料レベルが適切に維持されて上限及び下限内に留まるように、内部空洞内への印刷材料のワイヤフィードを制御するために使用され得る。これにより、検知システムは、ポンプに供給されるワイヤの量の追加又は停止によってワイヤフィードシステムを調整することによって、システムの過充填又は過少充填を防止する。本明細書に記載のこの検知システムはまた、ドロスの蓄積によって悪影響を受けるおそれのあるレーザベースのレベル制御システムの表面反射率ではなく、溶融印刷材料の導電性を使用することによって、ドロスの表面蓄積に対して堅牢である。本明細書に記載の制御及び検知方法並びに検知装置は、8時間又は他の所定の動作間隔でより大きな噴射スループットを可能にすることができる。レベル検知不良によるシャットダウンの間の印刷実行時間を増加させることができ、これにより、より大きなサイズの部品の構築、ポンプ交換の間の時間の延長、印刷ジョブ中の噴射性能の改善が可能になる。
【0032】
本教示は、1つ以上の実装態様に対して示されているが、添付の特許請求の範囲の趣旨及び範囲から逸脱することなく、示された実施例に対して変更及び/又は修正が行われ得る。例えば、プロセスが一連の行為又は事象として説明されているが、本教示は、そのような行為又は事象の順序によって限定されないことが理解され得る。一部の行為は、異なる順序で、及び/又は本明細書に記載されているものとは別の他の行為若しくは事象と同時に発生する可能性がある。また、全てのプロセス段階が、本教示の1つ以上の態様又は実施形態に従う方法論を実装するために必要とされ得るわけではない。構造的物体及び/若しくは処理段階が追加され得るか、又は既存の構造的物体及び/若しくは処理段階が除去若しくは修正され得ることが理解され得る。更に、本明細書に示される行為のうちの1つ以上は、1つ以上の別個の行為及び/又は段階で実行され得る。更に、「含む(including)」、「含む(includes)」、「有する(having)」、「有する(has)」、「有する(with)」という用語、又はそれらの変形が発明を実施するための形態及び特許請求の範囲のいずれかで使用される限りにおいて、そのような用語は、「含む(comprising)」という用語と同様の方法で包括的であることが意図されている。「少なくとも1つの」という用語は、列挙された項目のうちの1つ以上が選択され得ることを意味するように使用される。更に、本明細書における考察及び特許請求の範囲において、2つの材料に対して使用される「上」という用語、他方「上」の一方は、材料間の少なくとも一部の接触を意味し、一方、「の上」は、材料が、場合によっては、接触が可能であるが必要とされないように、1つ以上の追加の介在材料に近接していることを意味する。「上(on)」又は「の上(over)」のいずれも、本明細書で使用される場合にいかなる指向性も暗示しない。「共形」という用語は、下にある材料の角度が共形材料によって保持されるコーティング材料を記述する。「約」という用語は、変更が、示された実施形態に対してプロセス又は構造の不適合とならない限り、列挙される値が少し変更され得ることを示す。「結合する」、「結合される」、「接続する」、「接続」、「接続される」、「と接続して」、及び「接続している」という用語は、「と直接接続する」又は「1つ以上の中間要素又は部材を介して接続する」ことを指す。最後に、「例示の」又は「例示的な」という用語は、説明が理想的であることを意味するのではなく一例として使用されることを示す。本教示の他の実施形態は、本明細書及び本明細書での本開示の慣行を考慮して当業者に明らかであり得る。本明細書及び実施例は、例示としてのみみなされることが意図され、本教示の真の範囲及び趣旨は、以下の特許請求の範囲によって示される。
図1
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図4A
図4B
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図7