(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023073228
(43)【公開日】2023-05-25
(54)【発明の名称】結合デバイス及び結合方法
(51)【国際特許分類】
F16L 37/32 20060101AFI20230518BHJP
【FI】
F16L37/32
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022181654
(22)【出願日】2022-11-14
(31)【優先権主張番号】2112048
(32)【優先日】2021-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(71)【出願人】
【識別番号】591036572
【氏名又は名称】レール・リキード-ソシエテ・アノニム・プール・レテュード・エ・レクスプロワタシオン・デ・プロセデ・ジョルジュ・クロード
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100212705
【弁理士】
【氏名又は名称】矢頭 尚之
(74)【代理人】
【識別番号】100219542
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 郁治
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】ガエタン・コレイロ
(72)【発明者】
【氏名】ヤン・ぺネック
【テーマコード(参考)】
3J106
【Fターム(参考)】
3J106AB03
3J106BB01
3J106BC04
3J106BC12
3J106CA20
3J106GA03
3J106GA04
3J106GA13
3J106GA23
(57)【要約】 (修正有)
【課題】金具の内部のデッドボリュームの内側に空気を閉じ込めてしまうリスクを回避する結合デバイスを提供する。
【解決手段】取り外し可能な結合デバイス1は、結合位置では、2つの接続端は、弁機構が閉鎖された第1の構成と、弁機構が開放された第2の構成との間で相対的に長手方向に変位可能であるように構成され、第1の構成から第2の構成への移行は、互いの近くへの2つの弁機構の相対的な長手方向移動によって実現され、2つの流体輸送パイプのうちの第1の流体輸送パイプ3の接続端は、外部チューブ11に固定され、外側に対する封止を保証するように構成されたシール14,15のセットを備える封止リング12を備え、封止リングは、第1の構成から第2の構成への移行中に2つの異なる位置間で外部チューブに対して長手方向に並進移動可能である、デバイス。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
極低温流体の輸送のための自動閉鎖を有する取り外し可能な結合デバイスであって、前記結合デバイスは、長手方向に延在する流体輸送パイプ(2,3)を備え、
前記流体輸送パイプ(2,3)の各々は、その一方の接続端に、前記接続端が分離されたときに前記流体輸送パイプ(2,3)を自動的に閉鎖することと、前記接続端が結合されたときに前記流体輸送パイプ(2,3)が開放されることを可能にすることとを行うように構成された弁機構(4,6,8,5,7,9)を備え、
取り外し可能な前記結合デバイス(1)が、各流体輸送パイプ(2,3)の周りに配設され、前記流体輸送パイプ(2,3)の断熱のための真空下の空間を画定する外部チューブ(10,11)を更に備え、
結合位置では、2つの前記接続端が、前記弁機構が閉鎖され、且つ2つの前記流体輸送パイプ(2,3)間の流体連通を防止する第1の閉鎖構成と、前記弁機構が開放され、且つ2つの前記流体輸送パイプ(2,3)間の流体連通を保証する第2の開放構成との間で相対的に長手方向に変位可能であるように構成され、
前記第1の閉鎖構成から前記第2の開放構成への移行は、2つの前記流体輸送パイプ(2,3)が互いに近くに相対的に長手方向に移動することによって、及び/又は2つの前記弁機構(4,6,8,5,7,9)が互いに近くに相対的に移動することによって実現され、
2つの前記流体輸送パイプのうちの第1の流体輸送パイプ(3)の接続端は、前記外部チューブ(11)に固定された封止リング(12)を備え、
前記封止リング(12)は、前記第1の閉鎖構成から前記第2の開放構成への移行中に2つの異なる位置間で前記外部チューブ(11)に対して前記長手方向に並進移動可能である、取り外し可能な結合デバイスにおいて、
前記封止リング(12)は、2つの前記接続端が結合されたときに2つの前記接続端間の外側に対する封止を保証するように構成された1つ又は複数のシール(14,15)のセットを備えることを特徴とする、結合デバイス。
【請求項2】
前記取り外し可能な結合デバイスは、戻し部材(13)、例えば、ばねを備え、前記戻し部材(13)は、その第1の位置に向かって前記封止リング(12)を付勢することを特徴とする、請求項1に記載の結合デバイス。
【請求項3】
前記封止リング(12)は、前記封止リング(12)が固定された前記外部チューブ(11)と封止的に相互作用する少なくとも1つのシール(15)が設けられた内面を備えることを特徴とする、請求項1又は2に記載の結合デバイス。
【請求項4】
前記封止リング(12)の内面上に位置する前記少なくとも1つのシール(15)は、前記長手方向に対して平行でない平面において圧縮されることによって、及び/又は前記長手方向に対して平行な平面において圧縮されることによって封止を保証することを特徴とする、請求項3に記載の結合デバイス。
【請求項5】
前記封止リング(12)は、2つの前記接続端が結合されたときに他方の接続端と封止的に相互作用することを意図された少なくとも1つのシール(14)が設けられた端面を備えることを特徴とする、請求項1~4のうちのいずれか一項に記載の結合デバイス。
【請求項6】
前記端面上に位置する前記少なくとも1つのシール(14)は、前記長手方向に対して平行でない平面において圧縮されることによって封止を保証することを特徴とする、請求項5に記載の結合デバイス。
【請求項7】
前記接続端のうちの一方は、2つの結合された前記接続端が互いに固定されることが保証されるロック位置と、2つの結合された前記接続端が互いに固定されることが保証されないロック解除位置との間で変位可能な可動ロック部材(16)を備えることを特徴とする、請求項1~6のうちのいずれか一項に記載の結合デバイス。
【請求項8】
そのロック位置では、前記可動ロック部材(16)は、第1の接続端によって支承された前記封止リング(12)が他方の接続端に固定されることを保証することを特徴とする、請求項7に記載の結合デバイス。
【請求項9】
前記第1の閉鎖構成では、前記弁機構は接触しているか、又は接触しておらず、
前記第2の開放構成では、前記弁機構は接触しており、その変位及び開口を保証する推力を互いに向かって加えることを特徴とする、請求項1~8のうちのいずれか一項に記載の結合デバイス。
【請求項10】
前記流体輸送パイプのうちの第1の流体輸送パイプ(3)の前記弁機構(5,7,9)は、可動弁(5)の周りに配設された固定弁座(7)に対して閉鎖位置に向かって戻し部材(9)によって付勢される前記可動弁(5)を備えることを特徴とする、請求項1~9のうちのいずれか一項に記載の結合デバイス。
【請求項11】
第2の流体輸送パイプ(2)の前記弁機構(4,6,8)は、基準弁(4)と、前記基準弁(4)の周りに配設された可動弁座(6)とを備え、前記可動弁座(6)は、戻し部材(8)によって前記基準弁(4)に対して閉鎖位置に向かって付勢されることを特徴とする、請求項1~10のうちのいずれか一項に記載の結合デバイス。
【請求項12】
前記第1の閉鎖構成では、第2の流体輸送パイプ(2)の前記基準弁(4)は、第1の流体輸送パイプ(3)の前記可動弁(5)をその弁座(7)から押し出さず、前記弁機構を閉鎖されたままにし、前記可動弁座(6)は、前記基準弁(4)に対してその閉鎖位置にあり、
前記第2の開放構成では、前記接続端は接触しており、前記第2の流体輸送パイプ(2)の前記基準弁(4)は、前記第1の流体輸送パイプ(3)の前記可動弁(5)をその弁座(7)から押し出し、前記弁機構を開放させることを特徴とする、請求項10に従属する請求項11に記載の結合デバイス。
【請求項13】
2つの前記流体輸送パイプのうちの一方(2)の前記弁機構(4,6,8)は、その外部チューブ(10)の内側に、他の弁機構(5,7,9)がその外部チューブ(11)内にあるよりも比較的奥まって収容され、2つの前記流体輸送パイプ(2,3)の連結位置では一方の接続端が他方の接続端に入るオス及びメス型システムを形成するようになっていることを特徴とする、請求項1~12のうちのいずれか一項に記載の結合デバイス。
【請求項14】
前記外部チューブ(10,11)と前記流体輸送パイプ(2,3)との間の真空下の空間は、例えば多層型「MLI」の断熱材を備えることを特徴とする、請求項1~13のうちのいずれか一項に記載の結合デバイス。
【請求項15】
2つの前記接続端を互いの近くに移動させるステップと、ここで、2つの前記接続端が外側に対して封止された形で結合され、
2つの前記弁機構(4,6,8,5,7,9)を接触して配置するステップと、
2つの弁機構(4,6,8,5,7,9)を開放するステップと、
極低温流体を一方のパイプから他方のパイプに流れさせるステップと、を備える、請求項1~14のうちのいずれか一項に記載の結合デバイスの2つの流体輸送パイプ(2,3)を結合するための方法。
【請求項16】
2つの前記弁機構(4,6,8,5,7,9)を開放するステップの前に、前記方法が、2つの前記接続端が外側に対して封止された形で結合され、2つの前記弁機構(4,6,8,5,7,9)が閉鎖位置にある中間構成を有し、
2つの前記弁機構(4,6,8,5,7,9)を開放するステップは、2つの前記流体輸送パイプ(2,3)を互いに近くに、追加して相対的に移動すること、及び/又は2つの前記弁機構の少なくとも一部を相対的に変位させること、を介して実行されることを特徴とする、請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、結合デバイス及び結合方法に関する。
【0002】
より具体的には、本発明は、極低温流体の輸送のための自動閉鎖を有する取り外し可能な結合デバイスであって、長手方向に延在し、且つ接続端が分離されたときに流体輸送パイプを自動的に閉鎖することと、接続端が結合されたときに流体輸送パイプが開放されることを可能にすることとを行うように構成された弁機構を各々が一方の接続端において備える2つの流体輸送パイプを備え、取り外し可能な結合デバイスは、各流体輸送パイプの周りに配設され、流体輸送パイプの断熱のための真空下の空間を画定する外部チューブを更に備え、結合位置では、2つの接続端は、弁機構が閉鎖され、且つ2つの流体輸送パイプ間の流体連通を防止する第1の閉鎖構成と、弁機構が開放され、且つ2つの流体輸送パイプ間の流体連通を保証する第2の開放構成との間で相対的に長手方向に変位可能であるように構成される、デバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
極低温流体(例えば液体水素)の移送のための結合デバイスは、「ジョンソン」タイプの金具を利用する。既知のデバイスは、結合前後にラインがパージされることを必要とする。
【0004】
他の接続タイプが、液化天然ガスの施用のために存在する。しかしながら、後者は、有効性及び安全性の理由から水素には適さない。特に、それらは、必要とされる断熱を提供しない。
【0005】
液体水素の移送のための結合デバイスの1つの問題は、金具の内部のデッドボリュームの内側に空気を閉じ込めてしまうリスクである。これは、タンク又は他の構成要素に向かって固体空気(酸素)を輸送するリスクを引き起こす。
【発明の概要】
【0006】
本発明の目的は、上述された先行技術の欠点のうちの全て又はいくつかを克服することである。
【0007】
そのような目的のために、本発明による、更には上記の序文において与えられた包括的定義に従う、結合デバイスは、第1の閉鎖構成から第2の開放構成への移行が互いの近くへの2つの流体輸送パイプの相対的な長手方向移動によって、及び/又は互いの近くへの2つの弁機構の相対的な移動によって実現され、2つの流体輸送パイプのうちの第1の流体輸送パイプの接続端が外部チューブに固定された封止リングを備え、2つの接続端が結合されたときに2つの接続端間の外側に対する封止を保証するように構成されたシール(複数可)のセットを封止リングが備え、封止リングが第1の閉鎖構成から第2の開放構成への移行中に2つの異なる位置間で外部チューブに対して長手方向に並進移動可能であることを本質的に特徴とする。
【0008】
更に、本発明の実施形態は、以下の特徴のうちの1つ以上を有し得る:
-取り外し可能な結合デバイスは、戻し部材、例えば、ばねを備え、それは、その第1の位置に向かって封止リングを付勢し、
-封止リングは、封止リングが固定された外部チューブと封止的に相互作用する少なくとも1つのシールを設けられた内面を備え、
-封止リングの内面上に位置する少なくとも1つのシールは、長手方向に対して平行でない平面において圧縮されることによって、及び/又は長手方向に対して平行な平面において圧縮されることによって封止を保証し、
-封止リングは、2つの接続端が結合されたときに他方の接続端と封止的に相互作用することを意図された少なくとも1つのシールを設けられた端面を備え、
-端面上に位置する少なくとも1つのシールは、長手方向に対して平行でない平面において圧縮されることによって封止を保証し、
-接続端のうちの一方は、2つの結合された接続端が互いに固定されることが保証されるロック位置と、2つの結合された接続端が互いに固定されることが保証されないロック解除位置との間で変位可能な可動ロック部材を備え、
-そのロック位置では、可動ロック部材は、第1の接続端によって支承された封止リングが他方の接続端に固定されることを保証し、
-第1の閉鎖構成では、弁機構は、接触しているか、又は接触しておらず、第2の開放構成では、弁機構は、接触しており、その変位及び開口を保証する推力を互いに向かって加え、
-流体輸送パイプのうちの第1の流体輸送パイプの弁機構は、可動弁の周りに配設された固定弁座に対して閉鎖位置に向かって戻し部材によって付勢される可動弁を備え、
-第2の流体輸送パイプの弁機構は、基準弁と、基準弁の周りに配設された可動弁座とを備え、可動弁座は、戻し部材によって基準弁に対して閉鎖位置に向かって付勢され、
-第1の閉鎖構成では、第2の流体輸送パイプの基準弁は、第1の流体輸送パイプの可動弁をその弁座から押し出さず、弁機構を閉鎖されたままにし、可動弁座は、基準弁に対してその閉鎖位置にあり、第2の開放構成では、接続端は、接触しており、第2の流体輸送パイプの基準弁は、第1の流体輸送パイプの可動弁をその弁座から押し出し、弁機構を開放させ、
-2つの流体輸送パイプのうちの一方の弁機構は、2つの流体輸送パイプの連結位置では一方の接続端が他方の接続端に入るオス及びメス型システムを形成するように、その外部チューブの内側に、他の弁機構がその外部チューブ内にあるよりも比較的奥まって収容され、
-外部チューブと流体輸送パイプとの間の真空下の空間は、例えば多層型「MLI」の断熱材を備え、
-第2の流体輸送パイプの基準弁は、固定され、その流体輸送パイプに対して変位可能でなく、
-第2の流体輸送パイプの弁機構は、この第2の流体輸送パイプの端面と同一平面上に位置し、
-2つの結合された流体輸送パイプを分離するための方法は、互いから離れる2つの流体輸送パイプの相対的な移動、及び/又は2つの接続端の封止結合の保持による2つの弁機構の少なくとも一部の相対的な変位を介して2つの弁機構を閉鎖するステップと、次いで、2つの接続端を分離するステップとを備え、
-2つの弁機構を閉鎖するステップから分離ステップへの移行中に、デバイスは、2つの接続端が外側に対して封止された形で結合されたままであり、2つの弁機構が閉鎖位置にある第1の閉鎖構成を通過し、2つの弁機構を閉鎖するステップは、互いから離れる2つの流体輸送パイプの相対的な移動、及び/又は2つの弁機構の少なくとも一部の相対的な変位を介して実行され、
-結合位置では、第1の閉鎖構成と第2の開放構成との間の変位は、手動で、及び/又は制御部材によって制御される形で実行され、
-可動ロック部材は、一方の接続端上で長手方向に並進移動可能であるように取り付けられたロックリングを備える。
【0009】
本発明はまた、2つの接続端が外側に対して封止された形で結合される、2つの接続端を互いの近くに移動させるステップと、2つの弁機構を接触して配置するステップと、2つの弁機構を開放するステップと、極低温流体を一方のパイプから他方のパイプに流れさせるステップとを備える、上記又は下記の特徴のうちのいずれか1つに記載のデバイスの2つの流体輸送パイプを結合するための方法に関する。
【0010】
可能な特定の特徴によると、2つの弁機構を開放するステップの前に、本方法は、2つの接続端が外側に対して封止された形で結合され、2つの弁機構が閉鎖位置にある中間構成を有し、2つの弁機構を開放するステップは、互いの近くへの2つの流体輸送パイプの追加の相対的な移動、及び/又は2つの弁機構の少なくとも一部の相対的な変位を介して実行される。
【0011】
本発明はまた、特許請求の範囲内の上記又は下記の特徴の任意の組み合わせを備える任意の代替のデバイス又は方法に関し得る。
【0012】
更なる特定の特徴及び利点は、図を参照して提供される以下の説明を読むと明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】第1の分離状態の結合デバイスの例証的な実施形態を例示する、長手方向断面の概略部分図を示す。
【
図2】結合デバイスがロックされず、弁が閉鎖される第2の結合及び封止状態(第1の閉鎖構成)の同じ結合デバイスを例示する、長手方向断面の概略部分図を示す。
【
図3】結合デバイスがロックされ、弁が閉鎖される第3の結合及び封止状態(第1の閉鎖構成)の同じ結合デバイスを例示する、長手方向断面の概略部分図を示す。
【
図4】結合デバイスがロックされ、弁が開放される第4の結合及び封止状態(第2の開放構成)の同じ結合デバイスを例示する、長手方向断面の概略部分図を示す。
【
図5】弁が閉鎖される結合及び封止状態(第1の閉鎖構成)の結合デバイスの別の変形実施形態を例示する、長手方向断面の概略部分図を示す。
【
図6】弁が開放される結合及び封止状態(第2の開放構成)の結合デバイスの更に別の変形実施形態を例示する、長手方向断面の概略部分図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1に例示する結合デバイス1は、極低温流体の輸送のための自動閉鎖を有する「クイックアクション」タイプの取り外し可能な金具であり得る。このデバイス1は、例えば、供給源からタンクなどの受け器に流体を移送又は充填するための、例えば(可動又は固定の)分配器と(それぞれ固定又は可動の)受け器との間の流体接続を形成する。
【0015】
本デバイスは、長手方向に延在する2つの流体輸送パイプ2,3を備える。1つの接続端において、各パイプ2,3は、接続端が分離されたときにパイプ2,3を自動的に閉鎖すること(
図1を参照)と、接続端が結合されたときにパイプ2,3が開放されることを可能にすること(
図4又は
図6を参照)とを行うように構成された弁機構を備える。
【0016】
デバイス1は、各流体輸送パイプ2,3の周りに配設された外部チューブ10,11を更に備える。外部チューブ10,11は、流体輸送パイプ2,3の周りに断熱のための真空下の空間を画定する。
【0017】
例えば、外部チューブ10,11と流体輸送パイプ2,3との間の真空下の空間は、例えば多層型「MLI」の断熱材を備える。
【0018】
結合(封止)位置では、2つの接続端は、弁機構が閉鎖され、且つ2つの流体輸送パイプ2,3間の流体連通を防止する第1の閉鎖構成(
図2又は
図3を参照)と、弁機構が開放され、且つ2つの流体輸送パイプ2,3間の流体連通を保証する第2の開放構成(
図4を参照)との間で相対的に長手方向に変位可能であるように構成される。
【0019】
第1の閉鎖構成から第2の開放構成への移行は、互いの近くへの2つの流体輸送パイプ2,3の追加の相対的な長手方向移動によって、及び/又は互いの近くへの2つの弁機構4,6,8,5,7,9の相対的な移動によって実現される。
【0020】
例示するように、2つの流体輸送パイプのうちの一方2の弁機構4,6,8は、好ましくは、2つの流体輸送パイプ2,3の連結/結合位置では一方の接続端が他方の接続端に入るオス及びメス型システムを形成するように、その外部チューブ10の内側に、他の弁機構5,7,9がその外部チューブ11内にあるよりも比較的奥まって収容される。
【0021】
例示するように、2つの流体輸送パイプのうちの第1の流体輸送パイプ3の接続端は、外部チューブ11に固定された封止リング12を備える。
【0022】
封止リング12は、2つの接続端が結合されたときに2つの接続端間の外側に対する封止を保証するように構成されたシール(複数可)14,15のセットを備える。この封止リング12は、例えば、第1の閉鎖構成から第2の開放構成への移行中に2つの異なる位置間で外部チューブ11に対して長手方向に並進移動可能であるように取り付けられる。
【0023】
取り外し可能な結合デバイスは、好ましくは、戻し部材13、例えば、ばね、特に圧縮ばねを備え、それは、その第1の位置に向かって封止リング12を付勢する。
【0024】
封止リング12は、封止リング12が固定された外部チューブ11と封止的に相互作用する少なくとも1つのシール15(好ましくは少なくとも2つのシール15)を設けられた内面を備える。
【0025】
封止リング12は、結合位置において他方の接続端に対して支承することを意図された端面を更に備える。この端面は、2つの接続端が結合されたときに他方の接続端と封止的に相互作用することを意図された少なくとも1つのシール14を設けられる(
図2を参照)。
【0026】
封止リング12は、このことから、(シール14,15を用いて)2つの結合された接続端間の封止リンクを実現する(又はそれに寄与する)。
【0027】
例示するように、封止リング12の内面上に位置する少なくとも1つのシール15は、長手方向に対して平行でない平面において圧縮されることによって封止を保証することができる。同様に、端面上に位置する少なくとも1つのシール14は、長手方向に対して平行でない平面、特にパイプの長手方向に対して垂直な平面において圧縮されることによって封止を保証することができる。
【0028】
当然ながら、この配置は、限定的ではなく、任意の他の配置タイプの軸方向又は半径方向シール(複数可)が想定され得る(以下に説明する
図5を参照)。
【0029】
半径方向シールは、(開放されることなく)弁機構が接触することになる前に結合を封止する。これは、非ゼロデッドボリュームを閉じ込めることができる。しかしながら、これらの半径方向シールは、他方の部分に対して一方の部分を変位させることを可能にする。軸方向シール(複数可)は、結合を封止するが、他方の部分に対して一方の部分を軸方向に変位させることを可能にしない。しかしながら、この封止構成は、結合中にデッドボリューム/閉じ込められたボリュームを最小限に抑えるのに有利である。
【0030】
例示するように、接続端のうちの一方は、封止結合をロック及び固定するように構成された可動ロック部材16を備え得る。ロック部材16は、2つの結合された接続端が互いに固定されることが保証されるロック位置と(
図3又は
図4を参照)、2つの結合された接続端が互いに固定されることが保証されないロック解除位置(例えば
図2を参照)との間で変位可能である。
【0031】
例示するように、そのロック位置では、可動ロック部材16は、例えば、第1の接続端によって支承された封止リング12が他方の接続端に機械的に固定されることを保証することができる。
【0032】
このロックは、好ましくは、2つの接続端のいかなる変位も可能にしない。
【0033】
この機械的ロック16は、特に弁の開口が終了したときに、封止リング12をロックする必要があり得る。これは、この構成では、このロックを伴わないと、デバイス中の流体の圧力は、他方の接続端に対して封止リングを押すばね13の負荷よりも大きくあり得る。
【0034】
ロック部材16は、2つの接続端のうちの一方上に取り付けられ得る。
【0035】
図2の例証的な実施形態では、第1の閉鎖位置(封止結合及び閉鎖弁)では、弁機構は、接触している(又は互いと同一平面上にある)。当然ながら、変形形態として、第1の閉鎖構成では、弁機構は、接触していないことがある(又は互いから離れていることさえある)。
【0036】
流体輸送パイプのうちの第1の流体輸送パイプ3の弁機構5,7,9は、可動弁5の周りに配設された固定弁座7に対して閉鎖位置に向かって戻し部材9(例えば、ばね)によって付勢される可動弁を備え得る。
【0037】
第2のパイプの弁機構は、同じタイプのものであり得る。しかしながら、例示するように、第2の流体輸送パイプ2の弁機構4,6,8は、固定基準弁4と、基準弁4の周りに配設された可動弁座6とを備え得る。可動弁座6は、戻し部材8、例えば、ばねによって基準弁4に対して閉鎖位置に向かって付勢される。
【0038】
図2及び
図3に例示するように、第1の閉鎖構成では、第2の流体輸送パイプ2の基準弁4は、第1の流体輸送パイプ3の可動弁5をその弁座7から押し出さない。これは、弁機構を閉鎖されたままにし、流体の流れを防止する。可動弁座6は、その一部について、基準弁4に対してその閉鎖位置にある。
【0039】
対照的に、第2の開放構成では(
図4を参照)、接続端は、接触しており、第2の流体輸送パイプ2の基準弁4は、第1の流体輸送パイプ3の可動弁5をその弁座7から押し出し、弁機構を開放させる。同様に、第2のパイプ2の弁機構4,6,8は、開放される。例えば、可動弁座6は、ばね8の圧力とに抗して基準弁4から分離される。
【0040】
第2の開放構成から離れての第1の閉鎖構成への相対的な移動は、(特に戻し部材を介して)弁機構を自動的に閉鎖させる。
【0041】
このことから、封止リング12は、2つの結合された接続端間の封止の保持によって2つの結合された接続端を相対的に変位させることを可能にする。
【0042】
その接続端に対するその可動性により、リングは、このことから、他方に対して後退可能な一方の接続端の端部を形成し得、長手方向へのそれらの相対的な移動中に2つの接続端間の封止を保持し得る。
【0043】
結合については、以下のステップを備え得る:
-分離状態、弁機構は閉鎖されている、
図1を参照、
-結合、封止、及び非ロック状態、弁機構は依然として閉鎖されている、
図2を参照、
-結合、封止、及びロック状態、弁機構は依然として閉鎖されている、
図3を参照、
-結合、封止、及びロック状態、弁機構は開放されている、
図4を参照。
【0044】
位置的に可能な代替形態では、ユーザのシーケンスは、以下の通りであり得る:
-固定接続端中に又はその周りに可動接続端を挿入し(封止はまだ実現されていないが、弁は閉鎖されている)、
-例えば、封止リング12をロックすることによってリンクをロックし(接続端間の封止が実現され、弁は閉鎖されている)、
-弁を開放するための固定部分に向かっての可動部分の変位。
【0045】
弁を開放するための接続端のこの相対的な変位(及び逆の移動)は、2つの接続端上の嵌合取り付け部材を備える任意の種類のクイックアクション接続機構、例えば、バヨネットタイプ、レバータイプ、ラムタイプ、又は別のタイプの機構によって実施することができる。
【0046】
この非限定的な例では、封止リング12は、(固定又は可動)オス接続端に固定されるが、他方の(メス及び可動又は固定)接続端が支承することができる。
【0047】
この封止リング12は、好ましくは、(極低温流体と接触している弁機構に近い極低温部分とは対照的に)結合デバイスの比較的高温の外部部分上に取り付けられる。
【0048】
封止リング12は、好ましくは、デバイス1のオス型及び可動接続端上に取り付けられる(これは、結合に際してデッドボリュームを制限する)。しかしながら、任意の他の構成が考えられる。
【0049】
図6の変形形態は、
図4の状態に対応し(封止結合及び閉鎖弁機構)、開放位置の弁機構の例を例示する。同じ要素は、同じ参照番号によって示す。加えて、簡略化のために、この例示された変形形態は、ロックリングを有さない(任意選択)。
【0050】
図5の変形形態は、
図2の状態に対応する(封止結合及び閉鎖弁機構)。この変形形態では、端面のシール14は、半径方向封止を保証する(長手方向に対して平行な平面における圧縮)。加えて、内部シール15において、軸方向封止が存在する(長手方向に対して垂直な平面における圧縮)。
【0051】
力のバランス、及び特に封止リング12を付勢する戻し部材13のキャリブレーションに応じて、上記で説明したロック部材は、場合によっては省略され得る。
【0052】
弁機構のロック及び作動は、封止リング12を伴うことなく、固定接続端と可動接続端との間で直接行うことができる。この場合、封止を取得するために、特に、軸方向シールを介して、このシールは、(例えば、ばねによって又は圧力によって)押圧され得る。
【0053】
1つの有利な解決策は、メス部上の半径方向タイプのシールと、オス部上の軸方向シールを提供することである。これは、デバイス中の流体によって加えられる圧力によって軸方向シール15を押圧することを可能にする。
【0054】
本発明は、このことから、液体水素などの極低温流体のためのパイプ及び/又はタンクを繰り返し接続及び接続解除するための迅速、単純、且つ安全なデバイス1を提案する。接続端は、手動で容易に処理することができる。
【0055】
本デバイスは、低温部分中への熱の進入を最小限に抑える。外部部分は、極低温ではない。
【0056】
接続/接続解除は、連続するステップで実行することができる:i)適切な場合には、結合及びロックし(熱密)、ii)封止リング12によって許容される、向かう又は離れる追加の移動を介して弁機構を開放し(流体移送)、iii)弁機構を閉鎖し(極低温封止)、iv)ロック解除及び分離する。
【0057】
加えて、本デバイスは、緊急分離システム(「ブレイクアウェイ」)を組み込み得る。
【外国語明細書】