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  • 特開-充填システム及び充填方法 図1
  • 特開-充填システム及び充填方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023007323
(43)【公開日】2023-01-18
(54)【発明の名称】充填システム及び充填方法
(51)【国際特許分類】
   B65B 43/54 20060101AFI20230111BHJP
   B65B 43/44 20060101ALI20230111BHJP
   B65B 43/30 20060101ALI20230111BHJP
【FI】
B65B43/54 D
B65B43/44 A
B65B43/30 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021187163
(22)【出願日】2021-11-17
(62)【分割の表示】P 2021107676の分割
【原出願日】2021-06-29
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 展示日:令和3年6月29日、展示場所:千葉県佐倉市大崎台1-9-7、本願の発明に係る製品(外形サイズが小型化された充填充填システム)を展示
(71)【出願人】
【識別番号】319004881
【氏名又は名称】株式会社スズキエンジニアリング
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 啓右
【テーマコード(参考)】
3E030
【Fターム(参考)】
3E030AA04
3E030BA03
3E030BA06
3E030BB02
3E030BC02
3E030CA02
3E030CB01
3E030CC02
3E030DA02
3E030EA01
3E030EB01
3E030GA03
(57)【要約】
【課題】外形サイズが小型化された充填システムを提供する。
【解決手段】充填システム1は、容器20を取り出すように構成されると共に、容器20の側面122を吸着するように構成された第1吸着部23を有する第1アーム2と、容器20の側面121を吸着するように構成された第2吸着部3と、容器20を保持するように構成された第2アーム4と、容器20に充填物を充填するように構成された充填部6と、容器20の口部124を密封するように構成された容器密封部5と、を備える。充填部6及び容器密封部5は、充填システム1の上下方向において、第2吸着部3及び第2アーム4の上方に配置されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器を取り出すように構成されると共に、前記容器の一方の面を吸着するように構成された第1吸着部を有する第1アームと、
前記容器の他方の面を吸着するように構成された第2吸着部と、
前記容器を保持するように構成された第2アームと、
前記容器に充填物を充填するように構成された充填部と、
前記容器の口部を密封するように構成された容器密封部と、
を備えた充填システムであって、
前記充填部及び前記容器密封部は、前記充填システムの上下方向において、前記第2吸着部及び第2アームの上方に配置され、
前記第2アームが前記容器を保持した状態で、前記充填部が前記容器に前記充填物を充填すると共に、前記容器密封部が前記容器の口部を密封する、
充填システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、充填システム及び当該充填システムによって実行される充填方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1では、充填物を包装袋に充填するための充填システムが開示されている。特許文献1に開示された充填システムでは、包装袋を移送経路に沿って移送するように構成された環状の移送装置が設けられている。また、コンベア、開口吸盤アーム、充填装置、タッピング装置、排出シュート等の各機構が所定の間隔で環状の移送装置の各位置に配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-020716号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記充填システムの場合には、平面視において充填システムの外形サイズが大きい。即ち、充填システムの幅寸法及び奥行き寸法が大きくなってしまうため、充填システムの設置面積が大きくなってしまう。一方で、工場の設置スペースに余裕がない場合には、このような外形サイズが大きい充填システムを導入することが大きなハードルとなる場合がある。このように、充填システムの外形サイズを小型化する点で新たな充填システムを検討する余地がある。
【0005】
本開示は、従来の充填システムと比較して、外形サイズが小型化された充填システムを提供することを目的とする。また、本開示は、当該充填システムによって実行される充填方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る充填システムは、
容器を取り出すように構成されると共に、前記容器の一方の面を吸着するように構成された第1吸着部を有する第1アームと、
前記容器の他方の面を吸着するように構成された第2吸着部と、
前記容器を保持するように構成された第2アームと、
前記容器に充填物を充填するように構成された充填部と、
前記容器の口部を密封するように構成された容器密封部と、
を備える。
前記充填部及び前記容器密封部は、前記充填システムの上下方向において、前記第2吸着部及び第2アームの上方に配置されている。
【0007】
上記構成によれば、充填システムの上下方向において、充填部及び容器密封部が第2吸着部及び第2アームの上方に配置されている。このため、容器を各装置(充填部や容器密封部等)に移送する環状の移送装置に沿って充填部、第1及び第2アーム、容器密封部が配置された従来の充填システムと比較して、充填システムの全体の外形サイズを小型化することが可能となる。特に、環状の移送装置を充填システムに設ける必要がないと共に、各装置が充填システムの上下方向(高さ方向)に沿って配置されているため、充填システムの幅寸法及び奥行き寸法を小さくすることができる。このため、工場の設置スペースに余裕がない場合でも、上記充填システムをスムーズに導入することができる。
【0008】
また、前記容器密封部は、前記上下方向において、前記充填部と前記第2アームとの間に配置されてもよい。
【0009】
上記構成によれば、充填システムの上下方向において、容器密封部が充填部と第2アームとの間に配置されているため、充填システムの幅寸法及び奥行き寸法が小さくなり、充填システムの全体の外形サイズを小型化することが可能となる。
【0010】
また、前記第1吸着部が前記容器の一方の面を吸着しつつ、前記第2吸着部が前記容器の他方の面を吸着した状態で、前記第1吸着部と前記第2吸着部が互いに離れるように前記第1吸着部と前記第2吸着部のうちの少なくとも一方が移動してもよい。
【0011】
上記構成によれば、容器の各面に吸着した第1吸着部と第2吸着部の連携動作によって容器の口部を開口させることが可能となる。
【0012】
また、前記容器が搬送される搬送路を有する容器搬送部をさらに備えてもよい。前記容器搬送部は、前記上下方向において、前記第2吸着部及び第2アームに対向すると共に、前記第2吸着部及び第2アームの下方に配置されてもよい。
【0013】
上記構成によれば、充填システムの上下方向において容器搬送部が第2吸着部及び第2アームの下方に配置されるため、充填システムの全体の外形サイズを小型化することが可能となる。特に、充填部、容器密封部、容器搬送部を含む各装置が充填システムの上下方向(高さ方向)に沿って配置されているため、充填システムの幅寸法及び奥行き寸法を小さくすることができる。
【0014】
また、前記第1アームは、
複数の前記容器が設けられた容器供給部から前記容器を取り出し、
前記第1吸着部が前記容器を吸着した状態で、旋回動作を通じて前記第1吸着部を第1位置から第2位置に移動させる、ように構成されてもよい。
前記第1吸着部は、前記第1位置に配置された状態で、前記上下方向において前記容器供給部に対向してもよい。
前記第1吸着部は、前記第2位置に配置された状態で、前記上下方向に垂直な左右方向において前記第2吸着部に対向してもよい。
【0015】
上記構成によれば、第1アームによって容器供給部から容器が取り出された後に、第1アームの旋回動作によって、第1吸着部が第1位置から第2位置に移動する。このように、第1アーム、第2吸着部、第2アームの各々に容器を移送するための環状の移送装置を充填システムに設ける必要がないため、充填システムの全体の外形サイズを小型化することができる。
【0016】
また、前記第2アームが前記容器を保持した状態で、前記充填部が前記容器に前記充填物を充填すると共に、前記容器密封部が前記容器の口部を密封してもよい。
前記第2アームは、前記容器の口部が密封された後に、前記容器の保持を解除することで前記容器を搬送する容器搬送部に向けて前記容器を落下させてもよい。
【0017】
上記構成によれば、第2アームによる容器の保持及び保持解除を通じて、容器に充填物を充填する工程から容器搬送路に容器を送り出す工程までの一連の工程が実行される。このように、各装置に容器を移送する環状の移送装置を充填システムに設ける必要がないため、充填システムの全体の外形サイズを小型化することができる。
【0018】
本開示の一態様に係る充填方法は、上記充填システムによって実行され、
前記第1アームによって前記容器を容器供給部から取り出す工程と、
互いに対向した前記第1吸着部と前記第2吸着部との連携動作を通じて前記容器の口部を開口させる工程と、
前記第2アームによって前記容器を保持した状態で、前記充填部によって前記容器に前記充填物を充填する工程と、
前記第2アームによって前記容器を保持した状態で、前記容器密封部によって前記容器の口部を密封する工程と、
前記容器を搬送する容器搬送部に向けて前記容器を落下させることで、前記容器を前記容器搬送部に送り出す工程と、を含む。
【0019】
上記充填方法によれば、充填システムに設けられた各装置によって、容器を取り出す工程から容器を容器搬送部に送り出す工程までの一連の工程が実行される。特に、第1アームと第2アームの動作を通じて一連の工程が実行されるため、容器を各装置(充填部や容器密封部等)に移送する環状の移送装置を充填システムに設ける必要がない。このため、充填システムの全体の外形サイズを小型化することが可能となる。
【発明の効果】
【0020】
本開示によれば、従来の充填システムと比較して、外形サイズが小型化された充填システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の実施形態(以下、単に本実施形態という。)に係る充填システムの外観の一例を示す図である。
図2】本実施形態に係る充填システムによって実行される一連の工程を説明するためのフローチャートである。
図3】容器密封部によって容器の口部が密封されている様子を概略的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本実施形態に係る充填システム1について図面を参照しながら説明する。本図面に示された各部材の寸法は、説明の便宜上、実際の各部材の寸法とは異なる場合がある。また、本実施形態の説明では、説明の便宜上、充填システム1の「上下方向」、「左右方向」及び「前後方向」について言及する。上下方向、左右方向及び前後方向のうちの一方は、残りの2方向と直交するものとする。上下方向は上方向及び下方向を含み、左右方向は左方向及び右方向を含み、前後方向は前方向と後方向を含むものとする。
【0023】
最初に、図1を参照することで、本実施形態に係る充填システム1の構成について以下に説明する。図1は、正面から見た場合の充填システム1の外観の一例を示す図である。図1に示すように、充填システム1は、第1アーム2と、第2吸着部3と、第2アーム4と、充填部6と、容器密封部5と、容器搬送部9と、制御部8とを備える。
【0024】
充填システム1は、容器20に充填物を充填するように構成されている。充填システム1によって充填物が充填される容器20の種類は特に限定されるものではない。例えば、容器20は、化粧品、薬品若しくは食品用の包装袋(パウチ)であってもよい。容器20は、互いに対向する2つの側面121,122と、2つの側面121,122の一端に接続された底面123と、底面123と対向すると共に、充填物が充填される口部124(開口部)を有する。容器20の2つの側面121,122の全体が互いに接触した状態では、容器20の口部124は閉じていると共に、容器20の底面123は折り畳まれている。その反対に、容器20の体積が膨張するように2つの側面121,122が互いに離れた状態では容器20の口部124は開口している。また、容器20に充填される充填物も特に限定されるものではなく、液体、顆粒若しくは粉末であってもよい。本実施形態では、充填物は、コーヒー豆等の顆粒充填物とする。容器20は、顆粒充填物用の包装袋とする。
【0025】
第1アーム2は、複数の容器20が平積みの状態で配置された容器供給部10から容器20を取り出すように構成されている。第1アーム2は、アーム本体部24と、第1吸着部23とを有する。アーム本体部24は、旋回軸28及び第1吸着部23に接続されている。アーム本体部24は、旋回軸28を中心に反時計回りに90度だけ旋回するように構成されている。第1吸着部23は、容器20の側面122を吸着するように構成されている。本実施形態では、第1アーム2に設けられた第1吸着部23の個数は1つであるが、第1吸着部23の個数は特に限定されるものではない。例えば、2つ以上の第1吸着部23が第1アーム2に設けられてもよい。
【0026】
第2吸着部3は、第1吸着部23によって吸着保持された容器20の側面121を吸着するように構成されている。第2吸着部3は、左右方向において容器20を介して第1吸着部23に対向する。第2吸着部3は、アクチュエータ31に接続されており、アクチュエータ31によって左方向又は右方向に移動させられる。第2吸着部3の個数も特に限定されるものではなく、例えば、2つ以上の第2吸着部3が充填システム1に設けられてもよい。
【0027】
第2アーム4は、容器20を保持するように構成されており、前後方向において互いに対向する一対の保持部42を有する(図3参照)。一対の保持部42の一方が容器20の左上端部の付近を把持すると共に、一対の保持部42の他方が容器20の右上端部の付近を把持することで、容器20が第2アーム4によって保持される。第2アーム4は、アクチュエータ44に接続されており、アクチュエータ44によって上下方向に移動させられる。
【0028】
充填部6は、容器20内に充填物(本例では、コーヒー豆)を充填するように構成されている。充填部6は、充填固定部62と、上下方向に可動する充填可動部63と、充填可動部63に接続された吐出先端部64とを有する。充填部6が充填物を容器20に充填する場合、充填可動部63が容器20の口部124(開口部)に近づくように下方向に移動した後に、充填可動部63が上下方向に所定回数だけ振動する。このように、充填部6内に設けられた充填物が吐出先端部64を介して容器20内に充填される。
【0029】
容器密封部5は、容器20の口部124を密封するように構成されている。容器密封部5は、口部124付近の両側面121,122を熱圧着することで口部124を密封するように構成されている。容器密封部5は、アクチュエータ53a,53bと、熱圧着部52a,52bを有する。アクチュエータ53aは、熱圧着部52aが容器20の側面121を押圧するように熱圧着部52aを右方向に移動させるように構成されている。アクチュエータ53bは、熱圧着部52bが容器20の側面122を押圧するように熱圧着部52bを左方向に移動させるように構成されている。熱圧着部52a,52bによって口部124付近の両側面121,122が熱圧着されることで、容器20の口部124が密封される。
【0030】
容器搬送部9は、前方向に容器20を搬送するように構成されている。容器搬送部9は、例えば、ベルトコンベア装置であって、容器20が搬送される搬送路90と、支持台92と、図示しない駆動軸と、図示しない回転モータとを有する。搬送路90は、例えば、支持台92に巻き付けられた環状ベルトとして構成されている。
【0031】
制御部8は、充填システム1が自動的に各容器20に充填物を充填するように充填システム1の各装置の動作を制御するように構成されている。制御部8は、例えば、PLC(Programmable Logic Controller)として構成されている。制御部8は、1以上のプロセッサと、1以上のメモリと、入力インターフェース回路と、出力インターフェース回路とを含んでもよい。プロセッサは、例えば、CPU(Central Processing Unit)及びMPU(Micro Processing Unit)のうちの少なくとも一つを含む。メモリは、ROM(Read Only Memory)と、RAM(Random Access Memory)とを含む。制御部8は、充填システム1の所定の場所に配置されている。また、充填システム1には、操作者による入力操作を受け付ける操作パネル(図示せず)が設けられてもよい。
【0032】
本実施形態では、充填部6及び容器密封部5が、上下方向において、第2吸着部3及び第2アーム4の上方に配置されている。また、容器密封部5が、上下方向において、充填部6と第2アーム4との間に配置されている。容器搬送部9が、上下方向において、第2吸着部3及び第2アーム4に対向すると共に、第2吸着部3及び第2アーム4の下方に配置されている。さらに、第1アーム2が左右方向において第2吸着部3に対向した状態で、容器密封部5、第2アーム4、第2吸着部3、第1アーム2、容器搬送部9のそれぞれが上下方向において充填部6の直下に配置されている。換言すれば、充填部6、容器密封部5、第2アーム4、第2吸着部3、第1アーム2、容器搬送部9のそれぞれが上下方向に沿って整列している。
【0033】
このように、容器を各装置(充填部や容器密封部等)に移送する環状の移送装置(ベルトコンベア装置)に沿って充填部、第1及び第2アーム、容器密封部が配置された従来の充填システムと比較して、充填システム1の全体の外形サイズを小型化することが可能となる。特に、環状の移送装置を充填システム1に設ける必要がないと共に、各装置が充填システム1の上下方向に沿って整列しているため、充填システム1の左右方向の寸法(幅寸法)及び前後方向の寸法(奥行寸法)を小さくすることができる。このため、工場の設置スペースに余裕がない場合でも、充填システム1をスムーズに導入することができる。
【0034】
(充填システム1によって自動的に実行される一連の工程)
次に、図2を参照することで充填システム1によって自動的に実行される一連の工程について以下に説明する。尚、制御部8が、メモリに記憶された制御プログラムに従って充填システム1の各装置の動作を制御することで、これらの一連の工程が人手を介さずに充填システム1によって自動的に実行されるものとする。図2は、本実施形態に係る充填システム1によって自動的に実行される一連の工程を説明するためのフローチャートである。図2に示すように、容器取出工程S1において、第1アーム2は、容器供給部10から平積み状態で積層された複数の容器20のうちの一つを取り出す。具体的には、第1アーム2の第1吸着部23が、上下方向において容器供給部10に対向した状態で、アーム本体部24によって上方向に移動させられる。その後、第1吸着部23が容器20の側面122を吸着することで、容器20が第1アーム2によって保持される。次に、アーム本体部24は、第1吸着部23を下方向に移動させた後に、旋回軸28を中心に反時計回りに90度だけ旋回する。このように、アーム本体部24の旋回動作を通じて、第1吸着部23は、上下方向において容器供給部10に対向する第1位置から左右方向において第2吸着部3に対向する第2位置に移動する。
【0035】
口部開口工程S2において、左右方向において互いに対向した第1吸着部23と第2吸着部3との連携動作を通じて容器20の口部124が開口される。具体的には、最初に第2吸着部3が右方向に移動することで容器20の側面121を吸着する。このとき、第2アーム4が容器20を保持してもよい。特に、一対の保持部42の一方が容器20の左上端部の付近を把持すると共に、一対の保持部42の他方が容器20の右上端部の付近を把持することで、容器20が第2アーム4によって保持される。
【0036】
次に、第1吸着部23が容器20の側面122を吸着しつつ、第2吸着部3が容器20の側面121を吸着した状態で、第1吸着部23と第2吸着部3が互いに離れるように、第1吸着部23が右方向に移動すると共に、第2吸着部3が左方向に移動する。この結果、容器20の体積が膨張し、容器20の口部124が開口する。このように、第1吸着部23と第2吸着部3の連携動作によって容器20の口部124を開口させることが可能となる。尚、第1吸着部23及び第2吸着部3の両方が左右方向に移動しているが、第1吸着部23及び第2吸着部3のいずれか一方が左右方向に移動することで容器20の口部124が開口されてもよい。
【0037】
充填工程S3において、充填部6によって容器20に充填物(本例では、コーヒー豆)が充填される。具体的には、最初に、充填可動部63が容器20の口部124に近づくように下方向に移動する。このとき、容器20は、第1吸着部23及び第2吸着部3によって吸着保持されると共に、第2アーム4によって保持されている。次に、充填可動部63が上下方向に所定回数だけ振動することで、充填部6内に設けられた充填物が吐出先端部64を介して容器20内に充填される。充填工程S3の後に、充填物が容器20の空間内に均一に充填されるように第2アーム4が容器20を上下に振動させてもよい(即ち、タッピング工程が実行されてもよい)。
【0038】
容器密封工程S4において、容器密封部5によって容器20の口部124が密封される。具体的には、最初に、第1吸着部23及び第2吸着部3が容器20の吸着保持を解除した後に、第2アーム4が容器20を保持した状態で容器密封部5に接近するように上方向に移動する。このとき、容器20の上端部は、左右方向において熱圧着部52a,52bとの間の空間まで移動する。次に、熱圧着部52aが容器20の側面121を押圧するように右方向に移動すると共に、熱圧着部52bが容器20の側面122を押圧するように左方向に移動する。その後、熱圧着部52a,52bによって口部124付近の両側面121,122が熱圧着されることで、容器20の口部124が密封される(図3参照)。
【0039】
送出工程S5において、容器20が容器搬送部9に送出される。具体的には、容器密封部5によって容器20の口部124が密封された後に、熱圧着部52a,52bの両方が容器20から離れるように左右方向に移動する。次に、第2アーム4の一対の保持部42が容器20の保持を解除することで、容器20を容器搬送部9に向けて落下させる。容器20は、容器搬送部9の搬送路90上に落下した後に、容器搬送部9によって搬送される。
【0040】
このように、充填システム1によって容器取出工程S1から送出工程S5までの一連の工程が自動的に実行される。特に、第1アーム2と第2アーム4の動作を通じて一連の工程が実行される。また、これらの一連の工程では、容器20を各装置(充填部6や容器密封部5等)に移送する環状のベルトコンベア装置を充填システム1に設ける必要がないため、充填システム1の全体の外形サイズ(特に、左右方向の寸法及び前後方向の寸法)を小さくすることが可能となる。また、容器20が容器供給部10から容器搬送部9まで移動する過程において、容器20の移動距離が短くなるため、工程S1からS5までの一連の工程に要する製造時間を短縮することができ、容器充填の製造効率を高めることが可能となる。
【0041】
以上、本発明の実施形態について説明をしたが、本発明の技術的範囲が本実施形態の説明によって限定的に解釈されるべきではないのは言うまでもない。本実施形態は単なる一例であって、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内において、様々な実施形態の変更が可能であることが当業者によって理解されるところである。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲に記載された発明の範囲及びその均等の範囲に基づいて定められるべきである。
【符号の説明】
【0042】
1:充填システム
2:第1アーム
3:第2吸着部
4:第2アーム
5:容器密封部
6:充填部
8:制御部
9:容器搬送部
10:容器供給部
20:容器
23:第1吸着部
24:アーム本体部
28:旋回軸
31,44:アクチュエータ
42:保持部
52a,52b:熱圧着部
53a,53b:アクチュエータ
62:充填固定部
63:充填可動部
64:吐出先端部
90:搬送路
92:支持台
121,122:側面
123:底面
124:口部
図1
図2
図3