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特開2023-73233駐車場管理サーバおよびコンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023073233
(43)【公開日】2023-05-25
(54)【発明の名称】駐車場管理サーバおよびコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20230518BHJP
【FI】
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022182186
(22)【出願日】2022-11-14
(31)【優先権主張番号】P 2021186030
(32)【優先日】2021-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】591069086
【氏名又は名称】パーク二四株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100113804
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 敏
(74)【代理人】
【識別番号】100101384
【弁理士】
【氏名又は名称】的場 成夫
(72)【発明者】
【氏名】高木 利幸
(72)【発明者】
【氏名】松田 隆一
(72)【発明者】
【氏名】久保 美穂
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC13
(57)【要約】
【課題】 月極契約用の駐車車室を時間貸しとして転貸するサービスを支援し、収益分配を可能とする技術を提供する。
【解決手段】 転貸運用による時間貸しによって徴収すべき徴収料金を当該時間貸しの利用者へ課金する課金処理手段と、 前記の徴収料金を前記の月極駐車場の契約者および前記の月極駐車場の土地オーナーに分配する分配額を算出する転貸料算出手段と、を備える。 転貸料算出手段は、土地オーナーと駐車場管理サーバの運営者との間に土地利用仲介者がいる場合には、その土地利用仲介者にも前記の徴収料金における分配額を算出する。
【選択図】 図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
月極駐車場として契約した車室を時間貸しとしての転貸運用を支援する駐車場管理サーバであって、
前記の転貸運用による時間貸しによって徴収すべき徴収料金を当該時間貸しの利用者へ課金する課金処理手段と、
前記の徴収料金に対して前記の月極駐車場の契約者および前記の月極駐車場の土地オーナーに分配する分配額を算出する転貸料算出手段と、
を備えた駐車場管理サーバ。
【請求項2】
前記の転貸料算出手段は、前記の土地オーナーと前記の駐車場管理サーバの運営者との間に土地利用仲介者がいる場合には、その土地利用仲介者に対する前記の徴収料金における分配額をも算出することとした
請求項1に記載の駐車場管理サーバ。
【請求項3】
貸し出しに係る車室の場所、貸し出し可能時刻を含む車室管理データを格納する車室管理データベースと、
月極車室契約者に係る通信端末から貸し出し可能な日時に関する貸し出し可能日時データを受信する貸し出しデータ受信手段と、
その貸し出しデータ受信手段が受信した貸し出し可能日時データを用いて、前記の車室管理データベースを更新するデータ更新手段と、
前記のデータ更新手段が更新した貸し出し可能日時データを閲覧および検索可能であるように公開する時間貸しデータ公開手段と、
駐車用車室の貸し出しを希望する者に係る通信端末から貸し出し希望日時および車室を特定するデータを受信する申し込みデータ受信手段と、
を備えた請求項1または請求項2のいずれかに記載の駐車車室管理サーバ。
【請求項4】
月極契約が完了した車室に関する転貸契約を済ませた月極車室契約者の属性データおよび当該契約に係る車室の場所データを格納する契約者データベースを備え、
前記の車室管理データベースは、
時間貸し用の車室として予め提供されている車室に関する貸し出し可能時間を含む車室管理データを格納する時間貸しデータベースを含み、
前記のデータ更新手段は、前記の時間貸しデータベースに対して、前記の貸し出し可能日時データ受信手段が受信した貸し出し可能日時データに係る駐車車室に関する貸し出し可能時間を含む車室管理データを格納する時間貸し月極データベースを作成および/または更新することとした
請求項1に記載の駐車車室管理サーバ。
【請求項5】
駐車車室の時間借りを希望する時間借り希望者の属性情報および決済方法に関する情報を含んだ会員登録データを予め格納した会員データベースを備え、
前記の時間貸しデータ公開手段は、前記の会員データベースに登録された会員に係る通信端末にのみ、前記の時間貸し月極データベースを閲覧および検索が可能であるようにした
請求項1に記載の駐車車室管理サーバ。
【請求項6】
月極車室契約者に係る通信端末から貸し出し可能な日時の変更希望に関する貸し出し可能日時変更データを受信する貸し出しデータ可能日時データ受信手段と、
その貸し出しデータ可能日時データ受信手段が受信した貸し出し可能日時変更データに含まれる日時変更データについて、既に貸し出し予約が入っているか否かを、前記の車室管理データベースに蓄積されたデータに基づいて確認し、変更の可否を判断する変更可否判断手段と、
を備え、
前記の変更可否判断手段による変更可否のデータを前記の通信端末へ送信するとともに、変更可能である場合には、前記の車室管理データベースを前記の貸し出し可能日時変更データへ更新することとした
請求項1に記載の駐車車室管理サーバ。
【請求項7】
前記の時間貸しデータ公開手段の検索ログを蓄積する検索ログデータベースと、
前記の駐車場管理データベースから転貸実績データを抽出する転貸実績データ抽出手段と、
前記の検索ログデータベースおよび前記の駐車場管理データベースにおける予約状況から時間貸し駐車場が不足していると予想される時間帯および地域を抽出する時間貸し不足時間帯抽出手段と、
その時間貸し不足時間帯抽出手段が抽出した不足に係る時間帯および地域データ、および不足が予想される地域データに駐車場を月極契約している月極契約者を前記の契約者データベースを用いて抽出する不足時間帯・場所マッチング手段と、
を備え、
前記の不足時間帯・場所マッチング手段が抽出した契約者に係る通信端末へ不足時間帯データを送信することとした
請求項1に記載の駐車車室管理サーバ。
【請求項8】
月極駐車場として契約した車室を時間貸しとしての転貸運用を支援する駐車場管理サーバを制御するコンピュータプログラムであって、
前記の転貸運用による時間貸しによって徴収すべき徴収料金を当該時間貸しの利用者へ課金する課金処理手順と、
前記の徴収料金に対して前記の月極駐車場の契約者および前記の月極駐車場の土地オーナーに分配する分配額を算出する転貸料算出手順と、
を前記の駐車場管理サーバに実行させることとしたコンピュータプログラム。
【請求項9】
前記の転貸料算出手順においては、前記の土地オーナーと前記の駐車場管理サーバの運営者との間に土地利用仲介者がいる場合には、その土地利用仲介者に対する前記の徴収料金における分配額をも算出することとした
請求項8に記載のコンピュータプログラム。
【請求項10】
月極車室契約者に係る通信端末から貸し出し可能な日時に関する貸し出し可能日時データを受信する貸し出しデータ受信手順と、
その貸し出しデータ受信手順にて受信した貸し出し可能日時データを用いて、前記の車室管理データベースを更新するデータ更新手順と、
前記のデータ更新手順にて更新した貸し出し可能日時データを閲覧および検索可能であるように公開する時間貸しデータ公開手順と、
駐車用車室の貸し出しを希望する者に係る通信端末から貸し出し希望日時および車室を特定するデータを受信する申し込みデータ受信手順と、
手順と、
を前記の車室管理サーバに実行させることとした請求項8または請求項9のいずれかに記載のコンピュータプログラム。
【請求項11】
前記の駐車場管理サーバには、月極契約が完了した車室に関する転貸契約を済ませた月極車室契約者の属性データおよび当該契約に係る車室の場所データを格納する契約者データベースを備え、
前記の車室管理データベースには、 時間貸し用の車室として予め提供されている車室に関する貸し出し可能時間を含む車室管理データを格納する時間貸しデータベースを含むこととし、
前記のデータ更新手順においては、前記の時間貸しデータベースに対して、前記の貸し出し可能日時データ受信手段が受信した貸し出し可能日時データに係る駐車車室に関する貸し出し可能時間を含む車室管理データを格納する時間貸し月極データベースを作成および/または更新する時間貸し月極データベース作成更新手順を、前記の駐車場管理サーバに実行させることとした
請求項8または請求項9のいずれかに記載のコンピュータプログラム。
【請求項12】
前記の駐車場管理サーバには、駐車車室の時間借りを希望する時間借り希望者の属性情報および決済方法に関する情報を含んだ会員登録データを予め格納した会員データベースを備えることとし、
前記の時間貸しデータ公開手順においては、前記の会員データベースに登録された会員に係る通信端末にのみ、前記の時間貸し月極データベースを閲覧および検索が可能であることとした
請求項8または請求項9のいずれかに記載のコンピュータプログラム。
【請求項13】
月極車室契約者に係る通信端末から貸し出し可能な日時の変更希望に関する貸し出し可能日時変更データを受信する貸し出しデータ可能日時データ受信手順と、
その貸し出しデータ可能日時データ受信手順にて受信した貸し出し可能日時変更データに含まれる日時変更データについて、既に貸し出し予約が入っているか否かを、前記の車室管理データベースに蓄積されたデータに基づいて確認し、変更の可否を判断する変更可否判断手順と、
その変更可否判断手順による変更可否のデータを前記の通信端末へ送信する変更可否送信手順と、
変更可能である場合には、前記の車室管理データベースを前記の貸し出し可能日時変更データへ更新する貸し出し可能日時変更データ更新手順と、
を前記の駐車場管理サーバに実行させることとした
請求項8に記載のコンピュータプログラム。
【請求項14】
検索ログを検索ログデータベースに蓄積する検索ログデータ蓄積手順と、
前記の駐車場管理データベースから転貸実績データを抽出する転貸実績データ抽出手順と、
前記の検索ログデータベースおよび前記の駐車場管理データベースにおける予約状況から時間貸し駐車場が不足していると予想される時間帯および地域を抽出する時間貸し不足時間帯抽出手順と、
その時間貸し不足時間帯抽出手順にて抽出した不足に係る時間帯および地域データ、および不足が予想される地域データに駐車場を月極契約している月極契約者を前記の契約者データベースを用いて抽出する不足時間帯・場所マッチング手順と、
前記の不足時間帯・場所マッチング手順にて抽出した契約者に係る通信端末へ不足時間帯データを送信する不足時間帯データ送信手順と、
を前記の駐車場管理サーバに実行させることとした
請求項8に記載のコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、いわゆる月極契約をした駐車車室について、駐車していない時間帯の転貸を可能とする技術に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の運転者に対して車両を駐車する駐車スペースを提供し、運転者から提供の対価を受け取るという駐車場ビジネスは、古くから存在する。
提供の対価(料金)は、一台分の占有スペースについて、他のスペースとの区別を付けるための区域を予め表示しておき、その一区域(以下、駐車車室、または単に「車室」と記す)を一単位として貸し出す。その車室を占有していた時間(例えば、10分、15分)を単位とするのが「時間貸し」と称し、一ヶ月単位で賃貸契約をするのが「月極」と称することが一般的である。
【0003】
図1
月極の契約にて駐車車室を使いたい者と、駐車車室を含む土地オーナーとの間には、土地オーナーから土地の管理委託を受けた仲介業者が仲介していることが一般的である。
情報通信に関する技術の普及発達により、仲介業者は、仲介システムを構築し、駐車車室の物件に関する情報を閲覧できるようにしている。図1を用いて、更に詳しく説明する。
【0004】
土地オーナーから土地の管理委託を受けた仲介業者は、自らが管理運営する月極仲介システムにおいて、管理を委託された土地に関するデータを、土地オーナーの属性情報とともに土地オーナーデータベースに蓄積する。土地のデータとしては、たとえば、「品川区五反田西31-2」であり、その土地には、「月極契約が3車室(A,B,C)」および「時間貸し車室が4車室(D,E,F,G)」であるとする。
【0005】
駐車場管理データベースには、月極データベースと時間貸しデータベースとを備えており、月極契約用の車室AおよびCが契約済み、Bが未契約であるとして登録する。また、時間貸しデータベースには、車室D,E,F,Gについて、予約状況などを登録したり、最新情報へのデータ更新を実行したりする。
【0006】
月極の駐車車室を探している者(希望者)は、自らの通信端末を用いて、月極データベースにアクセスし、閲覧したり、検索したりする。そして、希望する月極車室が見つかった場合には、申し込みデータを送信する。申し込みデータには、たとえば、申込者の氏名(待夢太郎)と、申し込み車室を特定するデータ(品川区五反田西31-2の月極B車室)を含む。
申し込みデータは、月極仲介システムにおける申し込み受信手段が受信し、その後、契約が成立すれば、契約者データベースに必要なデータを蓄積する。
【0007】
特許情報プラットフォームにおいて、本願に関わりそうな先行特許を検索したところ、以下の特許文献を抽出したので、それを検証した。
【0008】
特許文献1には、車両共有サービスに用いるサービス対象車両のために確保されている車室を、駐車場として有効活用するための技術が開示されている。すなわち、レンタカーや事業用カーシェアリングの車両が使われている時間帯に、時間貸し駐車場として活用できるようにするための技術である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2021-93143号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
図2を用いて、現状の問題点(転貸へのニーズ)を検証する。
月極車室を契約している契約者の中には、駐車場のニーズが高まる時間帯においては車両を使っており(契約している車室からは出庫させており)、契約している車室が空いている、という状況がある。同時に、駐車場のニーズが高まる時間帯において、月極契約の車室が空いていると、駐車場を探している運転者としては、残念な思いをすることとなる。
【0011】
図3を用いて、現状の合理性(ニーズのある転貸を契約で禁止している理由)を検証する。その図3には、月極車室の契約者、土地オーナー、時間借り希望者それぞれの立場を図示している。
土地オーナーとしては、月極の契約者は、仲介業者がビジネスとして(責任を持って)仲介しているので信用できるが、月極の契約者が転貸をした場合に、誰が自分の土地である車室を使うか分からない、という不安がある。その不安に応えるため、転貸を禁止している契約となっている。
【0012】
仮に、自分が出庫させている時間帯を転貸して収益を上げられるとすれば、月極契約の賃料が実質的に値下げされることとなる。
時間貸しの車室を探している時間借り希望者としては、駐車車室を予め確保したいとなれば、会員登録制の駐車場予約サイトを利用するであろう。しかし、駐車車室のニーズに対して不足している地域は、時間貸しの単価上昇によって経済的な合理性が確保されることによって需給バランスを均衡させるだけであり、需要の多い地域に駐車車室が増えるわけではない。
【0013】
上述したような課題を解決するため、月極契約用の駐車車室を、仲介者が管理および提供することで転貸を可能とした場合、時間借りをしたユーザが支払った利用料金を、土地オーナー、月極契約者、仲介者で合理的に分配する技術について検討を重ねた。
本発明が解決しようとする課題は、月極契約用の駐車車室を、仲介者が管理および提供することで転貸を可能とした場合の収益配分を実行する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前述した課題を解決するため、駐車車室管理サーバに係る第一の発明、および第一に係る駐車車室管理サーバを制御するコンピュータプログラムに係る第二の発明を提供する。
【0015】
(第一の発明)
第一の発明は、 駐車用車室の貸し出し管理を実行する駐車車室管理サーバ(転貸管理サーバ)に係る。すなわち、
前記の転貸運用による時間貸しによって徴収すべき徴収料金を当該時間貸しの利用者へ課金する課金処理手段と、
前記の徴収料金に対して前記の月極駐車場の契約者および前記の月極駐車場の土地オーナーに分配する分配額を算出する転貸料算出手段と、
を備えた駐車車室管理サーバに係る(図13参照)。
【0016】
(用語説明)
「月極車室」には、契約をして車室の賃料を毎月支払っている車室のほか、年間契約などの長期契約とその契約期間の賃料を一括払いしているような車室も含む。月極車室に停める車両は、車両全般である。すなわち、自動車に限られず、自動二輪(原動機付き自転車を含む)、オート三輪、自転車(アシスト機能付きを含む)、小型モビリティ、キックボード(電動を含む)なども含む(図16参照)。
【0017】
「分配額の算出」は、分配割合を予め決定しておくとか、所定条件に基づいた上乗せ額を基本額へ上乗せしていくとか、時間帯や時期に応じて変動させる変動率や変動額を組み合わせるとか、取り決めの種類は限定されない。
【0018】
(作用)
駐車車室を月極契約している月極契約者は、転貸運用の管理者に対して、当該駐車車室の時間貸しを任せる。転貸運用の管理者は、駐車車室管理サーバを介して当該駐車用車室の貸し出し管理を実行する。そして、転貸運用による時間貸しによって徴収すべき徴収料金を当該時間貸しの利用者へ、課金処理手段が課金する。
その徴収料金(徴収の前後にかかわらず)は、月極駐車場の契約者および月極駐車場の土地オーナーに分配する分配額を、転貸料算出手段が算出する。
【0019】
月極駐車場の契約者および月極駐車場の土地オーナーに、時間貸しにて駐車車室を利用した利用者から徴収した徴収料金が所定の割合で分配されるので、月極駐車場の土地オーナーにとっては資産の有効活用、月極駐車場の契約者にとっては契約した駐車車室の有効活用となる。
転貸管理サーバを利用した月極駐車場の契約者および月極駐車場の土地オーナーは、有効利用による利益が得られるので、月極契約として契約された駐車車室を転貸する、という新規の仕組みの普及(口コミ、インターネットなどの活用による拡散など)に活躍していただくことも期待できる。
【0020】
(第一の発明のバリエーション1)
第一の発明は、以下のように形成することができる。
すなわち、 前記の転貸料算出手段は、前記の土地オーナーと前記の駐車場管理サーバの運営者との間に土地利用仲介者がいる場合には、その土地利用仲介者に対する前記の徴収料金における分配額をも算出することとするのである(図14参照)。
【0021】
(用語説明)
「土地利用仲介者」とは、たとえば、複数の土地オーナーから不動産(土地や駐車場付きの建物)の賃貸契約または売買契約を委託された者である。一般的には、宅建主任者が勤務する「不動産会社」が該当する。
【0022】
(作用)
転貸料算出手段は、土地オーナーと駐車場管理サーバの運営者との間に土地利用仲介者がいる場合には、その土地利用仲介者に対する前記の徴収料金における分配額をも算出する。すなわち、土地利用仲介者にも所定の利益が分配される。
【0023】
土地利用仲介者は、自らが仲介に関わった転貸の有効利用による利益が得られるので、月極契約として契約された駐車車室を転貸する、という新規の仕組みの普及(口コミ、インターネットなどの活用による拡散など)に活躍していただくことも期待できる。
【0024】
(第一の発明のバリエーション2)
第一の発明は、以下のように形成することができる。
すなわち、 貸し出しに係る車室の場所、貸し出し可能時刻を含む車室管理データを格納する車室管理データベースと、
月極車室契約者に係る通信端末から貸し出し可能な日時に関する貸し出し可能日時データを受信する貸し出しデータ受信手段と、
その貸し出しデータ受信手段が受信した貸し出し可能日時データを用いて、前記の車室管理データベースを更新するデータ更新手段と、
前記のデータ更新手段が更新した貸し出し可能日時データを閲覧および検索可能であるように公開する時間貸しデータ公開手段と、
駐車用車室の貸し出しを希望する者に係る通信端末から貸し出し希望日時および車室を特定するデータを受信する申し込みデータ受信手段と、
を備えることとするのである。
【0025】
「貸し出し可能日時データ」については、主に管理者の都合(ハードウェア設備や運用というソフト面)で異なる。たとえば、半日単位、一日単位での貸し出し可能日時を設定することとしても良い。
【0026】
(作用)
貸し出しに係る車室の場所、貸し出し可能時刻を含む車室管理データを車室管理データベースに格納する。
月極車室契約者に係る通信端末から貸し出し可能な日時に関する貸し出し可能日時データを貸し出しデータ受信手段が受信し、その貸し出し可能日時データを用いて、前記の車室管理データベースをデータ更新手段が更新する。そして、更新した貸し出し可能日時データを閲覧および検索可能であるように、時間貸しデータ公開手段が公開する。
駐車用車室の貸し出しを希望する者に係る通信端末から貸し出し希望日時および車室を特定するデータを、申し込みデータ受信手段が受信する。
【0027】
月極車室について、貸し出し可能日時データが公開されることとなり、時間貸しされる車室の数が増えることとなる。
【0028】
(第一の発明のバリエーション3)
第一の発明は、以下のように形成することができる。
すなわち、月極契約が完了した車室に関する転貸契約を済ませた月極車室契約者の属性データおよび当該契約に係る車室の場所データを格納する契約者データベースを備え、
前記の車室管理データベースは、
時間貸し用の車室として予め提供されている車室に関する貸し出し可能時間を含む車室管理データを格納する時間貸しデータベースを含み、
前記のデータ更新手段は、前記の時間貸しデータベースに対して、前記の貸し出し可能日時データ受信手段が受信した貸し出し可能日時データに係る駐車車室に関する貸し出し可能時間を含む車室管理データを格納する時間貸し月極データベースを作成および/または更新することとするのである(図5参照)。
【0029】
(作用)
月極契約が完了した車室に関する転貸契約を済ませた月極車室契約者の属性データおよび当該契約に係る車室の場所データを、契約者データベースが格納する。この車室管理データベースには、時間貸し用の車室として予め提供されている車室に関する貸し出し可能時間を含む車室管理データを格納する時間貸しデータベースを含む。
データ更新手段は、時間貸しデータベースに対して、貸し出し可能日時データ受信手段が受信した貸し出し可能日時データに係る駐車車室に関する貸し出し可能時間を含む車室管理データを格納する時間貸し月極データベースを作成し、必要に応じて時間貸し月極データベースを更新する。
【0030】
(第一の発明のバリエーション4)
第一の発明における前記のバリエーション2は、に以下のように形成することができる。
すなわち、 駐車車室の時間借りを希望する時間借り希望者の属性情報および決済方法に関する情報を含んだ会員登録データを予め格納した会員データベースを備え、
前記の時間貸しデータ公開手段は、前記の会員データベースに登録された会員に係る通信端末にのみ、前記の時間貸し月極データベースを閲覧および検索が可能であるようにするのである。
【0031】
(作用)
駐車車室の時間借りを希望する時間借り希望者の属性情報および決済方法に関する情報を含んだ会員登録データを、予め会員データベースに格納する。 時間貸しデータ公開手段は、会員データベースに登録された会員に係る通信端末にのみ、前記の時間貸し月極データベースを閲覧および検索が可能となる。
【0032】
(第一の発明のバリエーション5)
第一の発明は、以下のように形成することができる(図9参照)。
すなわち、 月極車室契約者に係る通信端末から貸し出し可能な日時の変更希望に関する貸し出し可能日時変更データを受信する貸し出しデータ可能日時データ受信手段と、
その貸し出しデータ可能日時データ受信手段が受信した貸し出し可能日時変更データに含まれる日時変更データについて、既に貸し出し予約が入っているか否かを、前記の車室管理データベースに蓄積されたデータに基づいて確認し、変更の可否を判断する変更可否判断手段と、
を備え、
前記の変更可否判断手段による変更可否のデータを前記の通信端末へ送信するとともに、変更可能である場合には、前記の車室管理データベースを前記の貸し出し可能日時変更データへ更新することとする。
【0033】
(作用)
月極車室契約者が貸し出し可能な日時を登録した後、貸し出し可能日時を変更(削除を含む)したい場合に対応することができる。換言すれば、貸し出し可能日時として一旦登録した場合、貸し出し可能日時を変更(削除を含む)できない場合もある。
【0034】
(第一の発明のバリエーション6)
第一の発明は、に以下のように形成することができる(図10、11参照)。
すなわち、前記の時間貸しデータ公開手段の検索ログを蓄積する検索ログデータベースと、
前記の駐車場管理データベースから転貸実績データを抽出する転貸実績データ抽出手段と、
前記の検索ログデータベースおよび前記の駐車場管理データベースにおける予約状況から時間貸し駐車場が不足していると予想される時間帯および地域を抽出する時間貸し不足時間帯抽出手段と、
その時間貸し不足時間帯抽出手段が抽出した不足に係る時間帯および地域データ、および不足が予想される地域データに駐車場を月極契約している月極契約者を前記の契約者データベースを用いて抽出する不足時間帯・場所マッチング手段と、
を備え、
前記の不足時間帯・場所マッチング手段が抽出した契約者に係る通信端末へ不足時間帯データを送信することとするのである。
【0035】
(作用)
時間貸しデータ公開手段の検索ログを検索ログデータベースが蓄積する。駐車場管理データベースから転貸実績データを転貸実績データ抽出手段が抽出する。
検索ログデータベースおよび前記の駐車場管理データベースにおける予約状況から時間貸し駐車場が不足していると予想される時間帯および地域を、時間貸し不足時間帯抽出手段が抽出する。抽出した不足に係る時間帯および地域データ、および不足が予想される地域データに駐車場を月極契約している月極契約者を前記の契約者データベースを用いて、不足時間帯・場所マッチング手段が抽出する。
そして、前記の不足時間帯・場所マッチング手段が抽出した契約者に係る通信端末へ不足時間帯データを送信する。
【0036】
月極契約者からの貸し出し可能日時を待つのではなく、駐車場が不足すると予想される時間帯および場所のデータを抽出し、その場所に契約者室のある月極契約者に、車室の提供を呼び掛けることができる。結果として、駐車場が不足すると予想される時間帯および場所に対する車室の供給を高められる可能性を増大させることに寄与する。
【0037】
(第二の発明)
第二の発明は、第一の発明に係る駐車車室管理サーバを制御するコンピュータプログラム、すなわち、
貸し出しに係る車室の場所、貸し出し可能時刻を含む車室管理データを格納する車室管理データベースを備えた駐車車室管理サーバを制御するコンピュータプログラムに係る。
そのコンピュータプログラムは、 前記の転貸運用による時間貸しによって徴収すべき徴収料金を当該時間貸しの利用者へ課金する課金処理手順と、
前記の徴収料金を前記の月極駐車場の契約者および前記の月極駐車場の土地オーナーに分配する分配額を算出する転貸料算出手順と、
を前記の駐車場管理サーバに実行させる。
【0038】
(第二の発明のバリエーション1)
第二の発明は、前記の転貸料算出手順においては、前記の土地オーナーと前記の駐車場管理サーバの運営者との間に土地利用仲介者がいる場合には、その土地利用仲介者に対する前記の徴収料金における分配額をも算出することとする。
【0039】
(第二の発明のバリエーション2)
第二の発明は、以下のように形成することができる。
すなわち、月極車室契約者に係る通信端末から貸し出し可能な日時に関する貸し出し可能日時データを受信する貸し出しデータ受信手順と、
その貸し出しデータ受信手順にて受信した貸し出し可能日時データを用いて、前記の車室管理データベースを更新するデータ更新手順と、
前記のデータ更新手順にて更新した貸し出し可能日時データを閲覧および検索可能であるように公開する時間貸しデータ公開手順と、
駐車用車室の貸し出しを希望する者に係る通信端末から貸し出し希望日時および車室を特定するデータを受信する申し込みデータ受信手順と、
手順と、
を前記の車室管理サーバに実行させることとするのである。
【0040】
(第二の発明のバリエーション3)
第二の発明は、以下のようにすると、より好ましい。
すなわち、前記の駐車場管理サーバには、月極契約が完了した車室に関する転貸契約を済ませた月極車室契約者の属性データおよび当該契約に係る車室の場所データを格納する契約者データベースを備え、
前記の車室管理データベースには、 時間貸し用の車室として予め提供されている車室に関する貸し出し可能時間を含む車室管理データを格納する時間貸しデータベースを含むこととし、
前記のデータ更新手順においては、前記の時間貸しデータベースに対して、前記の貸し出し可能日時データ受信手段が受信した貸し出し可能日時データに係る駐車車室に関する貸し出し可能時間を含む車室管理データを格納する時間貸し月極データベースを作成および/または更新する時間貸し月極データベース作成更新手順を、前記の駐車場管理サーバに実行させることとするのである。
【0041】
(第二の発明のバリエーション4)
第二の発明は、以下のようにすると、より好ましい。
すなわち、前記の駐車場管理サーバには、駐車車室の時間借りを希望する時間借り希望者の属性情報および決済方法に関する情報を含んだ会員登録データを予め格納した会員データベースを備えることとし、
前記の時間貸しデータ公開手順においては、前記の会員データベースに登録された会員に係る通信端末にのみ、前記の時間貸し月極データベースを閲覧および検索が可能であることとするのである。
【0042】
(第二の発明のバリエーション5)
第二の発明は、以下のようにすると、より好ましい。
すなわち、月極車室契約者に係る通信端末から貸し出し可能な日時の変更希望に関する貸し出し可能日時変更データを受信する貸し出しデータ可能日時データ受信手順と、
その貸し出しデータ可能日時データ受信手順にて受信した貸し出し可能日時変更データに含まれる日時変更データについて、既に貸し出し予約が入っているか否かを、前記の車室管理データベースに蓄積されたデータに基づいて確認し、変更の可否を判断する変更可否判断手順と、
その変更可否判断手順による変更可否のデータを前記の通信端末へ送信する変更可否送信手順と、
変更可能である場合には、前記の車室管理データベースを前記の貸し出し可能日時変更データへ更新する貸し出し可能日時変更データ更新手順と、
を前記の駐車場管理サーバに実行させることとするのである。
【0043】
(第二の発明のバリエーション6)
第二の発明は、以下のようにすると、より好ましい。
すなわち、検索ログを検索ログデータベースに蓄積する検索ログデータ蓄積手順と、
前記の駐車場管理データベースから転貸実績データを抽出する転貸実績データ抽出手順と、
前記の検索ログデータベースおよび前記の駐車場管理データベースにおける予約状況から時間貸し駐車場が不足していると予想される時間帯および地域を抽出する時間貸し不足時間帯抽出手順と、
その時間貸し不足時間帯抽出手順にて抽出した不足に係る時間帯および地域データ、および不足が予想される地域データに駐車場を月極契約している月極契約者を前記の契約者データベースを用いて抽出する不足時間帯・場所マッチング手順と、
前記の不足時間帯・場所マッチング手順にて抽出した契約者に係る通信端末へ不足時間帯データを送信する不足時間帯データ送信手順と、
を前記の駐車場管理サーバに実行させることとするのである。
【0044】
第二の発明に係るコンピュータプログラムを、記録媒体へ記憶させて提供することもできる。なお、「記録媒体」とは、それ自身では空間を占有し得ないプログラムを担持することができる媒体である。例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、DVD-R、フラッシュメモリなどである。
また、この発明に係るプログラムを格納したコンピュータまたは駐車場構造の制御コンピュータから、通信回線を通じて駐車場構造の制御コンピュータへ伝送することも可能である。
【0045】
土地オーナー、月極契約者、および駐車場管理者の間で、時間借りをしたユーザからの徴収額に関する配分を毎回決定しなくても良いような、例えば定額制の取り決めをしているような場合がある。その場合、第一および第二の発明は、バリエーション2以降の発明が機能することとなる。
【0046】
土地オーナー、月極契約者、仲介業者および駐車場管理者の間で、時間借りをしたユーザからの徴収額に関する配分を毎回決定しなくても良いような、例えば定額制の取り決めをしているような場合がある。その場合、第一および第二の発明は、バリエーション2以降の発明が機能することとなる。
【発明の効果】
【0047】
第一の発明によれば、月極契約用の駐車車室を、仲介者が管理および提供することで転貸を可能とした場合の収益配分を実行する駐車場管理サーバを提供することができる。
第二の発明によれば、月極契約用の駐車車室を、仲介者が管理および提供することで転貸を可能とした場合の収益配分を実行する駐車場管理サーバの制御用コンピュータプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
図1】月極車室を仲介する仲介サーバの概要を示すブロック図である。
図2】月極車室と時間貸し車室とが混在する駐車場を示す概念図である。
図3】月極車室が転貸を禁止する契約となっている合理性を示す概念図である。
図4】月極契約の車室を転貸可能とする契約を電子化した場合の概要を示すブロック図である。
図5】本発明の第一の実施形態を示すブロック図であり、転貸の提供から申し込みまでを示す。
図6】本発明の第一の実施形態を示すブロック図であり、転貸車室への入庫から出庫しての精算までを示す。
図7】第一の実施形態に関して、土地オーナー、仲介業者、月極車室契約者のメリットを示す概念図である。
図8】時間が試写室の予約手順を示すブロック図である。
図9】転貸可能な日時の変更手続を示すブロック図である。
図10】時間貸し車室が不足すると予測される日時について、転貸車室の提供者に対するプッシュ通知を実行する実施形態を示すブロック図である。
図11】時間貸し車室が不足すると予測される日時および場所を抽出する手順を示すブロック図である。
図12】月極契約の車室を転貸するのに便利なアプリケーションプログラムの基本機能を示すブロック図である。
図13】転貸によって時間貸し駐車を利用した者から得た収益を、転貸をした月極車室契約者および土地オーナーに分配することを示す概念図である。
図14】転貸によって時間貸し駐車を利用した者から得た収益を、転貸をした月極車室契約者、土地オーナーおよび土地活用仲介者に分配することを示す概念図である。
図15】転貸された車室に対して、回送される車両が普通乗用車に限られず、小型モビリティ、キックボード、自転車などがあり得る旨を示す概念図である。
図16】月極駐車場C’やDを契約している契約者が転貸をするために、自らが駐車することを契約している車両(自転車)を出庫させた旨、および空室となった車室に、自転車、小型モビリティ、電動キックボードなどを回送させている旨を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0049】
以下、本発明の実施形態について、図面(図4から図16)を参照して説明する。本発明は、実施形態に限定されるものではなく、本発明を解釈するための形態である。
【0050】
図4
図4は、土地オーナー、仲介業者、月極車室契約者の間において月極にて貸し出す契約とした契約内容について、月極車室契約者が仲介業者を介して転貸をすることを土地オーナーが許諾する旨の三者契約を、電子化して実行する場合の情報処理手順の一例を示している。仲介業者は、一般に、複数の土地オーナーとの関係を構築しており、また月極契約者とも複数の関係を構築しているが、図示の都合上、一名ずつとしている。
月極契約の更新時において、転貸を可能とする契約改定を実行する場合も同様である。
【0051】
仲介業者に係るサーバの転貸契約書送信手段から、転貸契約書フォーマットを土地オーナーに係る通信端末および月極契約車室契約者に係る通信端末へ送信する。
自らに係る通信端末にて転貸契約書フォーマットを受信した土地オーナーおよび月極契約車室契約者は、署名入力手段を用いて署名する。そして、署名入り契約書を署名入り契約書送信手段にて仲介業者に係るサーバへ送信する。
署名の方法に関しては、契約書フォーマットを印刷し、署名捺印した契約書をデジタルスキャンしたデータを送信するほか、各種の電子署名の方法に従って実行する。
【0052】
サーバにおいては、署名入り契約書受信手段が署名入り契約書を受信し、契約書データベースへ蓄積する。また、契約が成立した旨を知らせるため、土地オーナーおよび月極契約車室契約者に係る通信端末へ、署名入り契約書を受信した受信証明(たとえば、署名入り契約書に仲介業者の署名を加えた契約書)を送信する。
【0053】
図5
図5は、月極車室の契約者が転貸可能な日時を転貸管理サーバへ登録し、車室を時間借り希望する者へ提供する概略を示すブロック図である。
【0054】
月極車室の契約者は、自らの車室が空いていて転貸が可能な日および時間帯を特定したデータに契約者IDを加えた貸し出し可能日時データを、自らの通信端末にて、転貸管理サーバへ送信する。
たとえば、貸し出し可能な日および時間帯が2021年7月3日の9時から18時、契約者IDが「123-4567」であるとする。
【0055】
転貸管理サーバに送信された貸し出し可能日時データは、データ受信手段が受信し、契約者データベースに登録するとともに、車室管理データベースにも登録する。ここで、車室管理データベースには、月極車室に関する管理データを蓄積する月極データベースと、時間貸し車室に関する管理データを蓄積する時間貸しデータベースとが含まれる。
【0056】
転貸管理サーバにおいては、データ更新手段(図示を省略)が車室管理データベースにおける時間貸しデータベースを更新する。すなわち、もともと時間貸し車室となっていた車室についての管理データは、時間貸し専用データベースに蓄積し、月極車室を転貸可能とした車室についての管理データは、時間貸し月極データベースに蓄積する。
【0057】
前述した時間貸し専用データベースおよび時間貸し月極データベースのデータから、時間貸し車室として予約を受け付けられる車室が存在する駐車場および予約可能な日および時間帯について、所定の権限を持つ者が閲覧可能であるように、時間貸しデータ公開手段にて公開する。
ここで、上述の「所定の権限」とは、時間借りを希望する者であって、氏名や駐車車室の利用料金を決済するためのデータを転貸管理サーバに提供することによって、会員登録をした者に与えられる閲覧および検索を可能とする権限である。
【0058】
会員登録を済ませた時間借り車室の希望者は、自らに係る通信端末を介して時間貸しデータ公開手段にアクセスし、希望する駐車場と希望する日時とを特定した申し込みデータ(たとえば、駐車場を特定するデータとしての五反田西第一、および希望日時としての2021年7月3日10:30~14:00)を、転貸管理サーバへ送信する。転貸管理サーバにおいては、申し込みデータを申し込み受信手段が受信する。
【0059】
その後、予約が可能であるか否かを判断する手段(図8にて図示)が予約可能と判断した場合には、申し込みデータを送信してきた通信端末へ予約完了データを送信し、予約完了データは、会員データベースに蓄積するとともに、時間貸しデータベースにも蓄積する。
【0060】
図6
図6は、本発明の第一の実施形態を示すブロック図であり、転貸車室への入庫から出庫しての精算までを示す。
【0061】
まず、時間借りを予約した者は、予約に係る駐車車室へ自らの車両を入庫させたら、入庫が完了した旨の入庫完了データを、自らの通信端末にて転貸管理サーバへ送信する。入庫完了データには、時間借り予約者の会員IDおよび予約日時が含まれる。転貸管理サーバにおいては、入庫データ受信手段が入庫完了データを受信する。
【0062】
入庫完了データが予め予約された内容の実行であるのか否かを確認するため、会員データベースおよび時間貸しデータベースによる確認をする。時間貸しデータベースには、予約遂行が開始された旨を登録する(図中では「データ更新」と「双方向矢印」にて図示)。
【0063】
時間借り予約者が、借りていた駐車車室から自らの車両を出庫させる際には、出庫完了データを、自らの通信端末にて転貸管理サーバへ送信する。出庫完了データには、時間借り予約者の会員IDおよび出庫日時が含まれる。転貸管理サーバにおいては、出庫データ受信手段が入庫完了データを受信する。
【0064】
出庫完了データが予め予約された内容の実行であるのか否かを確認するため、会員データベースおよび時間貸しデータベースによる確認をする。時間貸しデータベースには、予約遂行が終了した旨を登録する(図中では「データ更新」と「双方向矢印」にて図示)。
【0065】
入庫完了データおよび出庫完了データに基づいて、駐車車室を時間借り予約者がどのくらいの時間の利用がされたかが特定できるので、精算すべき精算料金を転貸料算出手段が算出する。算出した精算料金は、会員データベースに登録する。図示は省略するが、会員データベースには、精算料金を決済するためのデータ(たとえばクレジットカード番号など)が蓄積されているので、所定の手続きに従って精算処理を実行することとなる。
【0066】
転貸料算出手段が算出した精算料金に基づいて、土地オーナー、月極車室契約者、および転貸管理サーバの運営者が、取り分を分配する。そして、精算データ送信手段が土地オーナーに係る通信端末、月極車室契約者に係る通信端末へ、精算データを送信する。図中では、時間借り予約者の支払額に応じて等分された350円が計上された旨、通知することとして示している。
【0067】
図7
図7は、図5および図6で示した第一の実施形態に関して、土地オーナー、仲介業者、月極車室契約者のメリットを示している。
【0068】
月極車室契約者としては、転貸によって収益が上がることにより、土地オーナーに対して支払う契約料が実施的には値下げされたこととなる、という利点がある。
土地オーナーとしては、転貸することで車室を使う人が不特定多数とはならず、仲介業者に対する会員登録をした者に限られる、という安心感が得られる、という利点がある。
時間借り希望者としては、会員登録を済ませることによって予約できる駐車車室が増える、という利点がある。
【0069】
図8
図8では、図5に示した時間貸し車室の予約手順の部分を詳細に示している。時間借り希望者に係る通信端末と、転貸管理サーバとの間で、どのようなデータの授受がなされているか、を図示している。
【0070】
時間借り希望者は、まず、会員登録を済ませる。次に、時間貸し車室に関して時間貸しデータを閲覧し、自分が希望する場所および日時に見合う時間貸し車室を検索する。希望に沿った車室が見つかったら予約申し込みを実行し、予約を完了させる。
【0071】
通信端末からは、会員登録データ送信手段にて会員登録用データを転貸管理サーバへ送信する。この会員登録用データとは、氏名や決済方法などのデータである。
送信された会員登録用データは、転貸管理サーバの会員登録データ受信手段にて受信する。そして、決済方法などが適正であるか、といった審査を経て(図示を省略)、会員登録用データを会員データベースに登録する。
【0072】
転貸管理サーバにおいては、時間貸しデータベースに蓄積されたデータを、閲覧および検索用に加工し、時間貸しデータ公開手段にて閲覧に供する。この時間貸しデータ公開手段は、時間貸し月極データベースに蓄積されていたデータを、会員でなくても閲覧はできるが予約ができない、という設定とする。会員における優位性を示すことができるとともに、非会員の会員登録を促進する効果が期待できるからである。
なお、時間貸し月極データベースに蓄積されていたデータについては、会員登録を済ませた会員でなければ閲覧できないように設定することとしても良い。
【0073】
会員登録を済ませた時間借り希望者は、時間貸しデータ公開手段にアクセスし、時間貸しデータを閲覧し、自分が希望する場所および日時に見合う時間貸し車室を検索する。希望に沿った車室が見つかったら、申し込みデータ送信手段にて予約申し込みデータを送信する。この予約申し込みデータには、希望する車室のある駐車場またはその車室と、予約希望日時、会員IDなどが含まれる。
【0074】
時間借り希望者に係る通信端末から送信された予約申し込みデータは、転貸管理サーバにおける申し込み受信手段にて受信する。そして、他の申し込みと重なったりしていないか、など申し込みが可能か否かを、申し込み可否判断手段が判断し、可否について前記の通信端末へ返信する。申し込み可能である旨の送信であれば(図では、この場合のみを図示)、時間借り希望者による予約の意思の最終確認を返信すべき指示が含まれている。そこで、時間借り希望者は、予約確定送信手段にて最終確認を送信する。
【0075】
予約確定の最終確認は、転貸管理サーバの予約確定受信手段が受信する。そして、予約確定データとして、時間借り希望者に係る会員ID、予約者室を特定するためのデータおよび予約日時を、時間貸しデータベースおよび会員データベースに登録する。
【0076】
前述してきた手順は、転貸管理サーバが提供するウェブページにて実行するのが一般的である。しかし、転貸管理サーバが専用のアプリケーションを用意し、そのアプリケーションをダウンロードおよびインストールした通信端末にて、時間借り希望者が手続をすることとしても良い。
【0077】
図9
図9では、転貸可能な日時の変更手続を示す。すなわち、貸し出し可能日時データ(1)を、後に、貸し出し可能日時データ(4)へ変更する場合の手順を示している。
【0078】
月極車室契約者に係る通信端末から送信され、転貸管理サーバにおいて登録される貸し出し可能日時データ(1)が転貸管理サーバにて受信され、データベースへの登録(2)、車室管理データベースの更新(3)が実行されるまでは、図5に示したものと同じである。
【0079】
さて、月極車室契約者の事情変更で、貸し出し可能な日は変更がないものの時刻を2時間短縮したい、という事態となったとする。その場合、変更したい貸し出し可能日時データ(4)を転貸管理サーバへ送信し、貸し出し可能日時変更データ受信手段が受信する。そして、変更前の貸し出し可能日および時間帯に既に予約が入っていないかどうか、変更可否判断手段が確認し、入っていなければ変更を認める(時間貸しデータベースの貸し出し可能日時を変更する)。一方、入っている場合には変更を認めない、という判断を実行する(5)。そして、その判断結果である変更可否データ(7)を、月極車室契約者に係る通信端末へ送信する。
【0080】
変更を認めない場合、月極車室契約者は、最初に登録した貸し出し可能日時データの間は、自分の契約車室といえども、使うことはできない。また、その旨は、転貸の契約書に予め明記してあるものとする。時間借りをしたい会員の利益を確保するためである。
【0081】
図10
図10では、転貸管理サーバにおいて、時間貸し駐車車室が不足する地域および時間帯を予測し、その予測結果の地域にて転貸可能な契約をしている月極車室契約者に対し、転貸できる時間帯がないか、プッシュ通知をする手順の概略(詳細は図11)を示している。
【0082】
転貸管理サーバにおいては、時間借り希望者による閲覧や検索のログを蓄積している検索ログデータベースと、車室管理データベースにおいて転貸の実績に関するデータを抽出する転貸実績データ抽出手段とを用いて、時間貸し不足時間帯抽出手段が、時間貸し駐車車室が不足する地域および時間帯を予測抽出する。
【0083】
時間貸し不足時間帯抽出手段によって抽出した時間貸し駐車車室が不足する地域および時間帯について、契約者データベースによる駐車車室の住所地データを参照し、不足時間帯・場所マッチング手段が、該当する月極契約者を抽出する。
不足時間帯・場所マッチング手段が抽出した月極契約者の通信端末には、プッシュ通知として、時間貸し車室が不足すると予測される日時についての告知と、転貸の手続へ導くURLなどを、不足時間帯データとして送信する。
【0084】
図11
図11では、図10に示した時間貸しが不足する地域および時間帯データの抽出がどのようになされているかを、より詳細に図示したものである。
【0085】
検索ログとして、検索された場所、日付、時間帯があり、転貸実績抽出手段が抽出する実績データとして、場所、曜日、時間帯などがある。検索ログおよび実績データを用いて時間貸し不足時間帯抽出手段は、時間貸し駐車車室が不足する不足地域および時間帯データを予測し、抽出する。
【0086】
抽出した不足地域および時間帯データと、転貸契約をしている契約者における車室の住所データ、契約者の連絡先(通信端末のアドレスなど)とを用いて、不足時間帯・場所マッチング手段が、プッシュ通知を出すべき契約者を抽出し、プッシュ通知を送信する。
【0087】
図12
図12では、月極契約の車室を転貸するのに便利な専用アプリケーションプログラムの基本機能を、転貸管理サーバとのやり取りとともに示している。この専用アプリケーションプログラム(以下、「転貸アプリ」)は、転貸管理サーバあるいはその転貸管理サーバが管理している別サーバから、月極車室契約者に係る通信端末へのダウンロードが可能であろう用に準備されている(図示は省略)。
【0088】
転貸アプリは、貸し出し可能日時データを送信するための貸し出しデータ送信手段がある。この貸し出しデータ送信手段は、貸し出し可能日時データとして必要な月極車室契約者のIDや月極車室の住所地などのデータは、一度入力すれば入力を省略できるようにしてある。したがって、月極車室契約者としては、貸し出し可能な日時のみを入力したら、確認等を経て送信すればよい。送信した貸し出し可能日時データは、転貸管理サーバのデータ受信手段が受信し、時間貸しデータベースに蓄積(登録)されることとなる。
【0089】
送信した貸し出し可能日時データは、貸し出しデータベースに登録される。そして、通信端末に内蔵されている時計機能と連動し、転貸の開始時刻の30分前といった設定時間に基づき、アラーム手段が月極車室契約者への注意喚起を促すこととしている。
【0090】
転貸アプリには、貸し出し日時変更希望送信手段も備えられている。前述の貸し出しデータ送信手段による送信実績がないと、起動することができない。また、貸し出し可能日時として登録した時間帯が過ぎてからは、起動することができない。
【0091】
貸し出し日時変更希望送信手段を起動させると、登録済みの貸し出し可能日時データが表示され、変更したい日、開始時刻、終了時刻について、再入力が可能な画面(変更内容を入力する画面)となる。また、貸し出し可能日時データを変更するのではなく、削除することができる削除ボタンも用意されている。
【0092】
貸し出し日時変更希望送信手段によって貸し出し可能日時変更データを送信すると、転貸管理サーバにおける貸し出し可能日時データ受信手段が受信し、時間貸しデータベースによる貸し出し予約データを参照して、変更が可能かどうか、変更可否判断手段が判断する。そして、変更の可否について返信する。変更可能である場合には、時間貸しデータベースに対して、変更後の貸し出し可能日時データを登録する。
【0093】
図11に示した転貸管理サーバの不足時間帯・場所マッチング手段が不足時間帯データを送信してきた場合には、転貸アプリが自動で起動し、不足時間帯データ受信手段が不足時間帯データを受信する。そして、不足時間帯データ出力手段による機能を介して、月極車室契約者の通信端末のトップ画面などに、不足時間帯データを出力する。
貸し出しデータ送信手段を起動させる、あるいは貸し出しデータ送信手段を起動させるか否かを尋ねる画面が出力されることとしてもよい(図中では、点線にて不足時間帯データ出力手段から貸し出しデータ送信手段へ向かう点線矢印として示している)。
【0094】
図13
図13は、図6において示した転貸料算出手段が、土地オーナーおよび月極車室契約者に対して、時間貸し利用者が支払うこととなる利用料金の分配額を算出し、お知らせする様子を示している。
【0095】
時間貸し利用者は、月極車室契約者が一時的に提供した車室を利用した後、出庫データを送信する。駐車場管理サーバにおいては、時間貸し利用者に係る通信端末から出庫データを出庫データ受信手段が受信する。そして、その出庫データや予め登録した会員データに基づいて利用料金を精算されることとなる。
【0096】
精算される利用料金は、前記の利用に係る車室を提供した月極車室契約者と土地オーナーとの間で締結された契約者データベースに格納されている契約内容に基づいて、転貸料算出手段が分配額を算出する。そして、算出された分配額を月極車室契約者に係る通信端末、および土地オーナーに係る通信端末へ精算データ送信手段が送信する。もちろん、算出された分配額は、別途の手順にて送金する(図示を省略)。
【0097】
前記契約における分配割合の例としては、たとえば、
転貸活用システムを運営する駐車場管理者:土地オーナー:月極車室契約者=30:35:35
である。こうした分配割合は、契約締結の前提としての当事者間の交渉にて決定し、転貸の事例が発生する前に転貸料算出手段(より具体的には、算出用の計算式)に反映させておく。
【0098】
図14
図7において、図4から図6に示した転貸活用システムには、土地オーナー、月極車室契約者および時間借り希望者に対してメリットを提供できる。換言すれば、転貸活用システムが普及しなければ、土地オーナー、月極車室契約者および時間借り希望者のいずれも、メリットを享受できない。
【0099】
そこで、転貸活用システムを運営する駐車場管理者が、多くの土地オーナーから土地活用を委託されている土地活用仲介者に対して、転貸活用システムを紹介してもらうことが合理的である。すなわち、土地活用仲介者が土地オーナーから月極駐車場の仲介や管理を委託されている場合に、その月極駐車場を転貸活用システムに管理運用を再委託してもらうのである。
【0100】
この場合の再委託の件数を増大させるためには、土地活用仲介者に対するインセンティブを用意することが合理的である。
前述した土地活用仲介者に対するインセンティブを実現するためのシステムを概念的に示したのが、図14である。
【0101】
前記契約における分配割合の例としては、たとえば、
転貸活用システムを運営する駐車場管理者:土地オーナー:月極車室契約者:土地活用仲介者=30:20:35:15
である。もちろん、分配割合は、契約締結の前提としての当事者間の交渉にて決定し、転貸の事例が発生する前に転貸料算出手段(より具体的には、算出用の計算式)に反映させておく。
【0102】
土地活用仲介者と転貸活用システムを運営する駐車場管理者との間で再委託の契約(転貸活用システムを運営する駐車場管理者にとっては委託契約)が締結された場合、その契約内容は、契約者データベースに格納される。
【0103】
図14に示した転貸料算出手段は、土地活用仲介者と転貸活用システムを運営する駐車場管理者との間で締結された契約内容をも加味して、分配額を算出する。そして、算出された分配額を土地活用仲介者に係る通信端末にも送信する。
【0104】
図15
図15は、転貸された車室Cに対して、営業所Aから回送される車両は、普通乗用車に限られず、小型モビリティ、キックボード、自転車などがあり得る旨を示している。
【0105】
図16
図16は、通常の車室の幅寸法が約半分となる月極駐車場C’やDを契約している契約者が転貸をする場合を示している。
転貸するために、自らが駐車することを契約している車両(自転車)を出庫させていること、および空室となった車室C’またはDに対して、自転車、小型モビリティ、電動キックボードなどを営業所Aから回送させることができることを示している。
【産業上の利用可能性】
【0106】
本発明は、土地の有効活用を促進する不動産業、駐車場の管理業、駐車場管理用データの通信機器の製造業、データ通信におけるデータ管理業、駐車場の制御ユニットや駐車場管理サーバにおけるアプリケーションソフトウェアの開発業、などにおいて利用可能性を有する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16