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特開2023-73248使い捨て吸収性用品の構成要素として使用するための多層不織布構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023073248
(43)【公開日】2023-05-25
(54)【発明の名称】使い捨て吸収性用品の構成要素として使用するための多層不織布構造
(51)【国際特許分類】
   D04H 1/407 20120101AFI20230518BHJP
   A61F 13/15 20060101ALI20230518BHJP
   A61F 13/534 20060101ALI20230518BHJP
   A61F 13/532 20060101ALI20230518BHJP
   A61F 13/535 20060101ALI20230518BHJP
   A61F 13/00 20060101ALI20230518BHJP
   B32B 5/04 20060101ALI20230518BHJP
   B32B 23/10 20060101ALN20230518BHJP
【FI】
D04H1/407
A61F13/15 323
A61F13/534 100
A61F13/532 100
A61F13/535 100
A61F13/00 301M
B32B5/04
B32B23/10
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023022952
(22)【出願日】2023-02-16
(62)【分割の表示】P 2021502496の分割
【原出願日】2018-07-19
(71)【出願人】
【識別番号】520195718
【氏名又は名称】テーヴェーエー ミューレベーク
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ミシェルス、ダニー
(72)【発明者】
【氏名】デキャンブレイ、ベロニク
(57)【要約】
【課題】使い捨て吸収性用品の構成要素として使用するための多層不織布構造の提供。
【解決手段】本発明は、超吸収性粒子を含む使い捨て吸収性用品及び衣類の構成要素として有用であり、それによって芯材として機能する多層不織布構造に関する。これにより、本発明は、体液が、吸収層として機能する第1の層から、SAP粒子を含む第3の層まで浸透できることを保証し、第2の不織布層は、従来の分散層として、表面単位当たりの液量を減少させるのに役立つ。しかしながら、本発明の第2の層は、さらに、逆止弁のように機能し、第3の層から第1の層への流体の移動を防止するか、又は少なくとも強く制限する。SAPを含まないチャネルは、さらに、多層吸収分散シート不織布材料の流入及びリウェット特性を改善するように設計することができる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いの上に少なくとも以下の3つの層を含む衛生用品用の多層吸収分散シート不織布材料であって、
体液を吸収して第2の層に移送するための第1の層、
第1の層から体液を受け取り、第2の層全体に体液を拡散させるための第2の層、及び
第2の層から体液を受け取るための高吸水性ポリマー(SAP)粒子を含む第3の層、
を含み、
第2の層が、第3の層に体液を不可逆的に転送する、上記衛生用品用の多層吸収分散シート不織布材料。
【請求項2】
第2の層に、第3の層内の空隙容積よりも小さい空隙容積が配置され、第3の層の繊維が粗い繊維である一方、第2の層の繊維はより微細である、請求項1に記載のシート材料。
【請求項3】
第2の層内の空隙容積が、SAP粒子よりも小さい、請求項1又は2に記載のシート材料。
【請求項4】
第1の層内の空隙容積が、第2の層内の空隙容積よりも大きい、請求項1~3のいずれか一項に記載のシート材料。
【請求項5】
SAP粒子が、第2の不織布の層から第3の層を通って延びるチャネルを残すパターンに従って第3の層に分散されており、該チャネルがSAP粒子を含まない、請求項1~4のいずれか一項に記載のシート材料。
【請求項6】
少なくとも1つの層が、連続空隙空間を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載のシート材料。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に定義される少なくとも1つの多層シート材料を含む、使い捨て吸収性用品又は衣類。
【請求項8】
生理用ナプキン、パンティライナー、乳児用おむつ、成人用失禁パッド、女性用衛生製品、トレーニングパンツ、汗パッド、及び医療用創傷包帯からなる群のうちの1つである、請求項7に記載の使い捨て吸収性用品又は衣類。
【請求項9】
請求項1~6のいずれか一項に記載のシート材料の第3の層にSAP粒子を分散させるための方法であって、
SAP粒子を第3の層の表面の少なくとも一部に沈着させるステップ、及び
SAP粒子を第3の層に含浸させるステップ
を含む方法。
【請求項10】
SAP粒子が、第3の層の別個の領域上に沈着する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
SAP粒子を沈着させる前に、
第3の層の表面にマスクを適用するステップ
をさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
SAP粒子を沈着させる前に、連続空隙空間を形成するために第3の層の別個の領域を接合するステップ
をさらに含む、請求項9又は10に記載の方法。
【請求項13】
第3の層を断片(103i)に切断するステップ、及び
断片(103i)を第2の層に接着するステップであって、断片が、互いに間隙によって離れている、上記ステップ
を含む、請求項9又は10に記載の方法。
【請求項14】
少なくとも1つの層の領域を接合するステップを含む、請求項6に記載のシート材料の少なくとも1つの層に連続空隙空間を生み出すための方法。
【請求項15】
少なくとも1つの層を断片に切断するステップ、及び断片を隣接する層に接着するステップを含む、請求項6に記載のシート材料の少なくとも1つの層に連続空隙空間を生み出すための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超吸収性粒子を含む使い捨て吸収性用品及び衣類の構成要素として有用である多層不織布構造に関する。本発明はまた、生理用ナプキン、パンティライナー、乳児用おむつ、成人用失禁パッド、女性用衛生製品、トレーニングパンツ、汗パッド、医療用創傷包帯などの、該多層不織布構造を含む使い捨て吸収性用品又は衣類に関する。本発明はまた、該多層不織布構造を作製するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の使い捨て吸収性用品又は衣類の主な要素は、添付の図1を参照すると、液体浸透性又は浸透性、好ましくは親水性の外層11(通常、トップシートと呼ばれる)、吸収(吸水)分散層(12(通常、ADLと呼ばれる)、液体不浸透性又は不浸透性の外層14(通常、バックシートと呼ばれる)、及びADL12とバックシートとの間に挟まれた吸収性芯材13を含む。吸収性芯材13は、一般に、通常、セルロースのような膨潤能を有する繊維で作られている綿毛で構成される。綿毛の吸収能力を高めるために、超吸収性ポリマー(SAP)粒子、すなわち、尿、血液、又はその両方などの水性液体を大量に(好ましくは自重の10~1000倍)吸収できるポリマー粒子が、綿毛の中に拡散する。
【0003】
ADLは、一般に、この層の限られた領域に流入する液体の流入を迅速に吸収するのに適した吸収層を含み、該流入を少なくとも1つの分散層に移し、該液体が衣類着用者の身体から離れて移動して、層のより広い領域に拡散することによって、表面単位あたりの液体の流量が低減することを可能にする。
【0004】
吸収(吸水)分散層(an acquisition and distribution layer)(ADL)システムは、例えば、特許BE 1018052に開示されている。吸収層は一般に、毛細管現象によって液体を分散層に迅速に移す粗い繊維で構成されている。該分散層は、一般に、衛生用品に適した親水性材料及び繊維を含む。
【0005】
典型的なSAP粒子は、架橋された親水性ポリマー鎖で構成されている。親水性ポリマーは、天然又は合成のポリマー、あるいは両タイプの混合物である。一般的な天然ポリマーには、セルロース又はデンプンなどのセルロース系ポリマーが含まれ、最終的には、カルボキシラート、ホスホナート、又はスルホキシラートなどの追加の親水性官能基によって修飾される。合成超吸収性親水性ポリマーは通常、アクリル系ポリマーである。SAP粒子は少なくとも部分的にコーティングされていてもよい。追加のコーティングは、SAP粒子に、体液のより良い吸収及び保持能力、周囲への粒子のより良い接着、又はより良い機械的特性などの追加の特性を改善又は提供する。
【0006】
吸収性芯材は、一般に、SAP粒子と、繊維、綿毛、又はそれらの任意の組み合わせなどの基材との混合物を含む。吸収性芯材が体液で濡れると、SAP粒子は大量の液体を吸収することができる。ただし、湿ったSAP粒子は膨潤しやすいため、隣接する膨潤したSAP粒子とゲルを形成する可能性がある。このゲル形成は、ゲル遮断効果と呼ばれることも多く、吸収性芯材の内部への液体の移送を遮断する場合がある。結果として、ゲル遮断は、潜在的な漏液及び/又はリウェットの問題につながる可能性がある。ゲル遮断を防ぎ、吸収性芯材の流体吸収能力を向上させるために、個々のSAP粒子は互いに十分に離れている、つまり、粒子間に空隙を残す必要がある。これは一般的に、SAP粒子をセルロース系の綿毛とともに混合することによって得られる。
【0007】
より薄い吸収性用品を提供する傾向は、可能な限り少ない綿毛で可能な限り効率的にSAP粒子を使用することを含む。綿毛に対してSAPの比率が高い吸収性芯材は、綿毛の少ない芯材又は綿毛のない芯材と呼ばれる。
【0008】
そのような綿毛の少ない/綿毛のない吸収性構造の例は、WO 2013/152809に開示されており、吸収性芯材は4重量%未満の綿毛を含む。
【0009】
吸収性用品の綿毛の量を減らすことの1つの欠点は、通常、身体の動きによって該用品に圧力が加えられると、SAP粒子が圧縮され、綿毛の液体保持能力が低下し、一部の液体が、身体に向かってなど、周囲の層に逆流することである。したがって、湿度は不快なリウェット効果で皮膚に移行する可能性があり、副作用を引き起こす可能性がある。
【0010】
該用品の主要な液体保持機能を有する吸収性芯材は、ADLほど速く液体を吸収できないため、これら2つの要素の適切な組み合わせが最も重要である。
【0011】
現在知られている使い捨て吸収性用品又は衣類に関して、それらの液体保持能力及び一度吸収された液体の分散を改善し、液体流入時間及びリウェット効果を低減させることが当技術分野において継続的に必要である。該用品の薄さを維持しながら、より高価で化学的に高機能のSAP粒子を必要とせずにこれらの目標を達成する必要もある。それらの製造の複雑さ及びコストを増大させることなく、改良された使い捨て吸収性用品又は衣類を提供することも必要である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目標、及び他の利点は、本発明によって達成される。
【0013】
この目的のために、本発明は、互いの上に少なくとも3つの層を含む衛生用品用の多層吸収分散シート不織布材料に関し、
-第1の層は、体液を吸収して第2の層に移すための層であり、
-第2の層は、第1の層から体液を受け取り、この第2の層に体液を拡散させるための層であり、ならびに
-第3の層は、第2の層から体液を受け取るための高吸水性ポリマー(SAP)粒子を含み、
第2の層は、体液を第3の層に不可逆的に転送する。
【0014】
それにより、本発明の多層不織布材料は芯材として機能する。
これにより、本発明は、体液が、吸収層として機能する第1の層から第3の層まで浸透し、第2の不織布層が、従来の分散層として、表面単位当たりの液量を減少させるのに役立つことを保証する。しかしながら、本発明の第2の層は、さらに、逆止弁のように機能し、第3の層から第1の層への流体の移動を防止するか、又は少なくとも強く制限する。
【0015】
不可逆的に、本明細書では、第2の層の構造と組み合わされた第3の層のSAP流体の吸収により、流体の大部分が、合理的な使用条件で、第3の層から第2の層に戻ることが防止されることを理解する必要があり、該使用条件は、EDANA WSP 70.3.R3(吸収時間-ST)及びWSP 80.10(リウェット-WB)に従って測定した場合、7g以下、好ましくは2g以下、より好ましくは1g以下のリウェットである。
【0016】
本明細書では、SAP粒子は、吸収性芯材のように綿毛ではなく、不織布層材料に分散している。
体液を第3の層に不可逆的に転送するために、第2の層には、繊維が粗い繊維(約>7dtex)である第3の層の空隙容積よりも小さい空隙容積が配置され、第2の層の繊維はより微細である。
【0017】
理想的には、SAP粒子が第3の層から第2の層に移動するのを防ぐために、第2の層内の空隙容積は、少なくとも膨潤した形態で、SAP粒子の容積よりも小さくすることができる。空隙容積の差異、又は空隙容積の勾配は、第3の層から第2の層への流体の逆流を遅くする圧力勾配を生み出すことを可能にする。
【0018】
さらに、吸収層として、第1の層は体液を迅速に吸収する必要がある。これには、第1の層内の空隙容積が十分に大きく、特に第2の層内の空隙容積よりも大きいことが必要である。
【0019】
したがって、本発明の多層吸収分散シート材料は、以下のいくつかの効果を組み合わせてADL層の容量を改善するため、独創的である。
-第1と第3の層間に液体の吸収勾配を生み出し、SAPの配置によるゲルの遮断を回避することによる、SAP粒子によって生じる改善された吸引効果、及び
-これら2つの層間の空隙容積の差異によって生じる第3と第2の層間の改善された逆流防止効果。
【0020】
空隙容積は、複数のポイントで相互に結び付いている繊維間の空間に関し、それによって空洞、すなわち空隙を提示する配置を形成する。不織布材料内の空隙容積は、当業者によく知られているパラメータであり、繊維及びSAPなどの材料で満たされていない材料で利用可能なすべての空間に対応する。計算及び測定は、PMIポロシメトリー又は通気性によってなされる。好ましくは、100Pa、20cmの通気性で測定された空隙容積は、1000l/m/s~12.000l/m/s、さらに好ましくは2000l/m/s~3000l/m/sの通気性に相当する。
【0021】
SAP粒子を取り入れる本発明の多層吸収分散シート材料は、吸収衛生製品に通常見られる吸収性芯材の機能を少なくとも部分的に実行することを可能にする。結果として、そのようなADL/芯材を衛生用品に取り入れることにより、用品の吸収能力及び保持能力が改善され、及び/又はより薄い又は綿毛のない吸収性芯材の使用が可能になる。
この後者の場合、本発明の多層シート材料は、吸収(吸水)分散層及び吸収層として両方機能する。したがって、本発明の多層シート材料は、浸透性のトップシートと不浸透性のバックシートとの間に直接挟むことができる。
【0022】
特定の実施形態では、SAP粒子は、SAP粒子を含まない第2の層から第3の層を通って延びるチャネルを残すパターンに従って、第3の層に分散する。チャネルとは、その厚さ全体にSAPを欠くあらゆる種類の層の領域を指す。
【0023】
SAP粒子が分散していないチャネルは、第3の層の厚さ全体に広がり、第3の層の吸収効率を高めることができる。実際に、チャネルを介して、体液はこの層の奥深くまでより速く浸透し、より多くのSAP粒子によって吸収され得る。第3の層内の体液の通路を増やすことにより、この層の吸収速度を上げることができる。これは、流体がより深いSAP粒子にも分散できるため、ゲル遮断に対しても有益な効果がある。
前の実施形態と組み合わせることができる別の実施形態では、少なくとも1つの層は、連続空隙空間を含むことができる。連続空隙空間とは、不織布材料のない空間を指す。これらの連続空隙空間は、不織布層の繊維間で測定された空隙容積とは異なる概念であり、むしろ不織布層のはるかに大きなサイズのカット又は穴を指す。そのような空間は、例えば、不織布の断片が以下に記載されるように切断及び再配置される場合、層の厚さ全体にわたって配置され、又は例えば、1つ又は複数の層が接合工程にかけられた場合、層の厚さの一部のみにわたって配置され得る。
【0024】
本発明はまた、本発明の多層不織布シート材料の第3の層にSAP粒子を分散させるための方法に関し、該方法は、
-SAP粒子を第3の層の表面の少なくとも一部に沈着させるステップ、及び
-SAP粒子を第3の層に含浸させるステップ、
を含む。
【0025】
SAP粒子を含まない第2の層から第3の層を通って延びるチャネルを残すパターンに従って、SAP粒子が第3の層に分散する特定の実施形態の場合、本発明の方法は、
-SAP粒子の沈着前に、第3の層の表面にマスクを適用するステップ、
-少なくとも第3の層を接合するステップ、
-第3の層を断片に切断し、互いに分離した第2の層上に断片を接着させるステップ、
のうちの少なくとも1つのステップを含むことができる。
【0026】
少なくとも1つの層が連続空隙空間を含む特定の実施形態の場合、本発明の方法は、
-少なくとも1つの層を断片に切断し、互いに分離した隣接層上に断片を接着させるステップ、
-少なくとも1つの層を接合するステップ、
のうちの少なくとも1つステップを含むことができる。
【0027】
含浸とは、層の厚さの少なくとも一部に粒子を分散させるために、SAP粒子を表面から不織布層内、空隙内に移動させる作用を指す。
【0028】
接合は、当業者によく知られているステップであり、この特定領域で不織布を不可逆的に圧縮するために、熱を加えながら不連続領域に不織布を圧縮する作用を説明している。
【0029】
本発明は、添付の図面を参照しながら、以下の数例の説明でより良く理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】従来の使い捨て吸収性用品又は衣類の断面図である。
図2】本発明による多層吸収分散シート材料の断面図である。
図3図2の材料シート内の体液の流れを示す。
図4】衛生吸収用品に組み込まれた図1及び2の材料シートを示す。
図5】本発明による別の多層吸収分散シート材料の断面図である。
図6図6a、図6b及び図6cは、本発明による、第3の層のチャネルパターンの上からの説明図である。
図7】本発明方法のスキームである。
図8】本発明方法の別の実施形態を表すスキームである。
図9】本発明方法の別の実施形態を示す。
図10】本発明方法のさらに別の実施形態を示す。
図11】本発明の多層吸収分散シート不織布材料の別の調製様式を示す。
図12】本発明の多層吸収分散シート不織布材料のさらなる調製様式を示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図2及び3を参照すると、衛生用品用の多層吸収分散シート材料20は、互いの上に、第1の層21、第2の層22、及び高吸収性ポリマー(SAP)粒子24を含む第3の層23を含む。
第1の層21は、空隙27を形成するように相互に結び付いた繊維26、好ましくは粗い繊維を含む。
第2の層22は、第1の層21の粗い繊維よりも密集している細い親水性繊維28でできている。細い繊維28は、空隙29を形成するように相互に結び付いている。
第3の層23は、空隙31を形成するように相互に結び付いている粗い繊維30、好ましくはかなり親水性の繊維を含む。いくつかのSAP粒子24は、第3の層23内、空隙31内に分散している。
【0032】
第1の層21及び第3の層23は多孔質層であり、本発明による多孔質とは、約300~約500cmの空隙容積/mの範囲の空隙容積によって定義され、一方、第2の層22は、非常に微細な親水性繊維から構成され、0.7~30dtex、好ましくは1.5~7dtexの範囲であり、小さな空隙をもたらし、それにより液体が表面に戻るのを防ぎ、またSAP粒子がその中で移動する可能性を制限する。
【0033】
様々な層21、22、23に適した繊維は、当業者に周知であり、不織布材料の分野の当業者に知られている任意の適切な材料又は材料のブレンドであり得る。例えば、それらは、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレンとプロピレンとのコポリマー(COP)、PET/PE、PET/PP、PET/COP、PP/PE、PET/COPET、ポリアクリル酸(PLA)、PLA/PP、ポリビニルアルコール、ビスコースからなるポリマー合成繊維であり得るが、これらに限定されない。
【0034】
第1の層21において、繊維は、好ましくは、2~28dtexの線密度を有する。
【0035】
第2の層22において、繊維は、第1の層の繊維よりも低い線密度を有し、第2の層に高い液体保持能力及び分散能力を付与するために好ましくは、0~7dtexに含まれる線密度を有し、下の層のSAP粒子にゆっくりと液体を吸収させることによってゲルの遮断を回避する。第2の層の繊維は、本質的に、又は親水性のコーティング又は処理によって、親水性であることが好ましい。
【0036】
第3の層23に適した繊維は、第2の層よりも高い線密度を有し、好ましくは2~70dtexで構成される。
【0037】
特定の層、例えば第1及び/又は第3の層内の空隙容積は、当業者に知られているように、熱処理によって変更することができる。
【0038】
実際には、図3の矢印によって示されるように、例えば尿又は血液のような体液は、限られた領域にわたって第1の層21に浸透する。第1の層21は、流体を迅速に吸収し、それらを第2の層22に移送することができる。
【0039】
そのより小さな繊維サイズ、小さな空隙容積及び親水性のために、体液は、毛細管現象によって、層22の全方向に浸透及び移動し、それによって、材料シートのより広い領域に体液を「拡散」させる。
【0040】
次に、体液は、第2の層22から第3の層23に転送され、そこで、それらはSAP粒子24によって吸収されることによって、流れの方向、すなわち第1の層21から第3の層23に向かうことを保証する吸引効果を生み出す。さらに、第2の層22内の空隙29の容積は、第3の層23内の空隙31よりも小さいため、それにより、体液が第3の層23に浸透した後に第2の層22に戻ることができる速度に影響を及ぼす逆圧を生じることによって、SAP粒子が流体を完全に吸収するための時間を残す。一部の体液が第2の層22に逆流する場合でも、第1の層21と第2の層22の親水性の差異は、体液が第1の層21に逆流するのをさらに防ぎ、したがって、逆止弁に匹敵する。
【0041】
図4に示されるように、本発明の多層材料シート20は、吸収性用品40、例えば、おむつ、生理用ナプキン、又は創傷被覆材のADLとして使用することができる。浸透性のトップシート41は、例えば、用品に、その身体に当たる側に柔らかな感触を与えるために、第1の層21上に適用される。不浸透性のバックシート44は、湿気がさらに移行しないことを確実にするため、反対側に適用される。任意選択で、吸収性芯材43を、ADL20とバックシート44との間に挟むことができる。この吸収性芯材はオプションであり、その存在は用品の使用目的に応じて決まる場合がある。例えば、おむつ、又は紙層のような大量の液体流入を吸収し、保持することを目的とした用品では、SAP粒子が分散している綿毛でできている。例えば、少量の体液を扱うことになっているいくつかの女性用衛生用品用に、綿毛の量を減らすことができる。
あるいは、特に創傷被覆材の場合、第3の層は、身体により近くなることを意図した層であり得る。
【0042】
これまでに3つの層を説明してきたが、本発明の多層シート材料は、例えば、異なる不織布材料又は繊維からの物理的特性を組み合わせるために、3より多い層を含むことができる。これらの追加の層は、例えば、空隙容積の減少及び/又は親水性の増大を示し、空隙容積及び/又は親水性の実際の勾配を生み出すことができる。
同様に、第2の層の一面又は他面と接触して、1つ又は複数の追加の分散層を追加することができ、おそらくその中に分散したSAP粒子を含む、1つ又は複数の追加の粗い繊維層を第2の層と第3の層との間に追加することができる。膨潤能力又はサイズなどの種々の特性を有するSAPを種々の不織布層に分散させることができると想像できる。
【0043】
一部の適用では、吸収性芯材は用品に含まれていない。SAP粒子が分散している第3の層23の吸収力及び保持力は、それ自体で十分である。
【0044】
このような場合、第3の層の厚さ及び/又はSAP粒子の負荷をわずかに増やし、吸収能力及び保持能力を高めることが興味深い場合がある。
【0045】
ただし、前述のように、第3の層の厚さ及び/又はSAP粒子の負荷を増やすと、望ましくないゲル遮断効果が生じる可能性がある。
【0046】
この効果を防ぐために、SAP粒子を含まないチャネルが第3の不織布層に有利にパターン化される。
【0047】
図5を参照すると、本発明による多層吸収分散シート材料50は、上記の層21及び22と同様に、体液を吸収及び移送するための第1の層51と、第1の層から体液を受け取り、この第2の層に体液を拡散するための第2の層52とを含む。第3の層53は、第2の層から体液を受け取るための高吸収性ポリマー(SAP)粒子54を含む。SAP粒子54は、第3の層53内に均一に分散していないが、パターンに従って分散し、層の厚さ全体にわたって粒子のないいくつかの領域を残し、それによってチャネル55を形成する。
【0048】
図5の矢印によって示されるように、体液は、界面領域の大部分にわたって第2の層52から第3の層53に移送される。SAP粒子を含む領域の第3の層に浸透する場合、体液は最初に層の界面に近いSAP粒子によって吸収される。SAP粒子のない領域の第3の層53、すなわちチャネルに浸透する場合、体液はチャネルをたどり、より深いレベルでSAP含有ゾーンに浸透することができる。
【0049】
このようにして、第2の層52と第3の層53との界面に近いSAP粒子だけでなく、より深い粒子も、体液を吸収することができる。チャネルがない場合、体液は最初に界面近くのSAP粒子に到達するが、SAP粒子が次々に膨潤するため、次に、膨潤したSAP粒子間の通路を見つけ、より深い吸収SAP粒子に到達する必要がある。チャネル55は、これにより、吸収時間とともに層の吸収能を改善でき、さらにゲル遮断効果を防止し、SAP粒子を最適に利用しながら、第3の層の厚さを増大させることを可能にする。
【0050】
チャネル55は、任意の適切な形状を有することができ、一般に円筒形ではない。上から見ると、チャネルは、例えば、図6aに示されるように、層の領域全体に延びるストライプの形状、又は図6bに示されるような格子の形状を有することができ、又は図6cに示されるように、いくつかの島にSAP粒子54をグループ化することができる。チャネル及びSAP粒子の他の適切な配置は、体液用に通路が生じる限り、第3の層53の厚さ全体にわたって可能である。
【0051】
チャネル、及びSAP粒子を含むゾーンの形状は、SAP粒子を第3の層に適用/分散するために使用される方法に依存する場合がある。
次に、本発明の多層吸収分散シート材料を調製するための方法について説明する。
【0052】
不織布層を作製するために一般的に使用される技術は、本発明の方法に適用可能である。
本発明の多層シート材料は、当業者に知られているように、例えば、3つの層を別々に作製し、次に、接合又は接着によりそれらを一緒に組み合わせることによって作製することができる。
それはまた、いくつかのカードウェブを作製することによって作ることができ、各ウェブは特定の種類の繊維又は繊維のブレンドを含み、ウェブを重ね合わせ、次に、繊維を相互に結び付ることによって、例えば熱接着により、1つの接着ステップで多層不織布が作り出される。あるいは、層の一部は、相互に結び付き不織布にされるカードウェブから作製でき、次いで、層は、接合又は接着によって別の層と組み合わされる。
【0053】
本発明の多層において、課題は、均一な方法で、あるいは一つのパターンに従って、第3の層にSAP粒子を適用することである。
【0054】
この目的のために、SAP粒子は、例えばFibrolineの技術又は古典的な湿式含浸技術など、粉末形態の材料を含浸して多孔質構造(繊維、不織布、紙、発泡体)にするために一般的に使用される技術を用いて、第3の層へと含浸させることができる。SAP粒子は、既に作製済みの多層シート材料の第3の層上、又は後に他の層と組み合わされて本発明の材料シートを形成する単離した不織布層上に適用することができる。ただし、後者のオプションは、より多くの製造ステップが必要になるため、効率が低下する。
図7を参照すると、ステップAにおいて、SAP粒子74は、本発明の第3の層に対応する不織布層73の表面に適用される。ここで、粒子74は、マスク75により沈着メカニズムが遮断される特定のパターンに従って適用され、この領域は、意図されるチャネル76に対応する。粒子の沈着は、例えば粉末散乱などの任意の適切なメカニズムによって実行することができる。粒子を均一に分散させるためには、マスクは使用されない。
【0055】
ステップBにおいて、SAP粒子74で被覆された不織布層73は、層73の厚さ全体にわたって粒子を含浸させるために、例えば、振動及び/又は電界を用いて、含浸ステップにかけられる。
【0056】
次に、この層73は、本発明の多層シート材料の他の層に組み合わされる、すなわち、接着又は接合され得る。
【0057】
あるいは、図8を参照すると、SAP粒子84を、第1の層81及び第2の層82も含む多層シート材料80の第3の層83に適用することができる。本発明による第2の不織布層82内の空隙容積は、ここでマスク85を使用して適用される粒子84の大部分が第3の層83を超えて材料に含浸するのを防ぐバリアを作り出せるほど十分小さい。
【0058】
上記のマスク75又は85は、領域間でつながっていない不連続領域に、SAP粒子を選択的に添加又は沈着させることを可能にし、含浸時に、SAP含有ゾーン間でSAPのないチャネルをパターン化することができる。同様の結果を得るために、他の技術を適用できる。
【0059】
例えば、図9を参照すると、第3の層93は、特定のパターンに従って、ステップCで接合することができる。接合は、不織布の不連続領域95に圧力及び熱を加えることを含み、その結果、圧力が解放されると、これらの領域の不織布は圧縮されたままである。これは、領域95において、繊維が互いに接近し、繊維接続点の弾力性が少なくとも部分的に失われ、結果的に、不織布のこれらの部分内の空隙が減少することを意味する。全く加圧されていない又は中圧が加えられた領域96は、弾力性を備えた柔軟なままであり、空隙は全体的に変化しない。任意選択で、例えば、熱リロフティングのようなリロフティングステップを適用して、非エンボス領域96がそれらの完全な特性を回復することを確実にすることができる。
【0060】
次に、ステップDにおいて、SAP粒子94は、層93の全表面に適用され得るか、あるいは、選択的に沈着され得る。
【0061】
層93は、ステップEにおいて、例えば、Fibroline技術を使用して、含浸ステップに供することができる。エンボス部分95内の空隙は小さすぎてSAP粒子を収容できず、これはバリアを生じ、粒子94は非エンボス領域96に移動し、それによってSAP粒子94の分散パターンを生み出す。
接合領域95の表面に残存し得るSAP粒子は、例えば、エアブロー、吸引、又はブラッシングなどの様々な技術を使用して除去することができる。
【0062】
図11を参照すると、連続空隙空間115及び116は、ステップJにおいて、SAP粒子が分散する(本明細書で開示されるパターンに従って分散する)第3の層113、及び第2の層112を含む不織布シートを接合することによって形成することができる。組み合わされた層112及び113は、両表面上にホットプレスをかけられ、その結果、2つの層112及び113の界面に凝集繊維を有する両材料に空隙115及び116が形成される。
ステップKにおいて、次に、接合層112及び113を第1の層111に組み合わせ、それにより、この場合、第3の層にチャネル、ならびに第2及び第3の層に連続空隙空間を含む不織布シート材料を形成することができる。図11の特定の場合において、第3の層113において、チャネル及び連続空隙空間115は重なり合うが、これは必ずしもそうでなくてもよい。この構成は、創傷被覆材にとって特に興味深い場合がある。この場合、第3の層は、身体部位に近い層であり、すなわち、おむつのような他の製品と比較して反対の構成であり得る。
【0063】
図12に開示されているように、同じステップJ及びKを他の層に適用することができる。組み合わされた第1の層121及び第2の層122は、接合され、両層にそれぞれ連続空隙空間125及び126を生じる。次に、SAP粒子を含まないチャネル127を残すように、SAP粒子124がパターンに従って分散している第3の層123を、第2の層122上に追加する。この場合、連続空隙空間125及び126は、チャネル127と重なるように配置されていない。この構成は、第1の層に入る体液の一部が連続空隙空間を通って第3の層のSAP粒子に迅速に到達することを可能にし、一方、流体の一部は、層121及び122ならびにチャネル127を通ってより深いSAP粒子124に到達するため、より長い通路をとる。これにより、材料における短いが激しい流体の流入に対処することができる。
【0064】
第3の層にSAP粒子を含まないチャネルを生み出す別の技術は、第3の層を機械的に断片に切断し、第2層上に断片を互いに離して接着することである。図10を参照すると、本発明の第3の層として機能するのに適した単離した不織布層103が、ステップFで断片103iに切断される。
【0065】
断片は、本発明のADLの最終用途に応じて、任意の適切な形状を有することができる。例えば、正方形、長方形、又はストライプにすることができる。
【0066】
ステップGにおいて、断片103iは、例えば接着剤又は接合を用いて、当業者に知られている任意の適切な技術によって、本発明の第2の層102に接着される。断片103iは、断片間に隙間を残すように配置される。本発明の第1の層101も本図に表示されている。第1の不織布層101、第2の層102、及び第3の層の断片103iは、本発明の多層シート材料の構造を表す。第3の層はここでは連続不織布層ではないが、層間の隙間は比較的小さい。不織布材料は、第3の層の全表面の50%超、好ましくは第3の層の表面の75%超に相当し、したがって、特許請求される本発明に包含される名称「不織布層」に該当する。
ステップHにおいて、SAP粒子104は、材料シートの表面上に沈着される。本図に示されている沈着は非選択的であり、SAP粒子は隙間と第3の層の断片103iとの両方に蓄積する。
しかしながら、不織布断片103i上に粒子を選択的に沈着させるためにマスクを使用することが予見され得る。
ステップIにおいて、SAP粒子104は、例えば、Fibroline技術又は他の任意の適切な技術を使用して、不織布断片103iに含浸される。
断片103iの頂部及び断片間の隙間に分散されるSAP粒子104の両方が断片103iに含浸され、断片103i間の隙間又はチャネル105にはSAP粒子がない状態になる。
【0067】
最終的な用途に応じて、他のいくつかの構成が予測可能である。以下の任意の組み合わせを作製することができる。
-第3の層におけるSAPの連続的又は不連続的な分散であり、後者の場合、チャネルを形成する、
-3つの層のうちのいずれか又は複数層において、連続空隙空間がない、又は連続空隙空間がある、
-連続空隙空間及びチャネルが存在する場合、それらは整列している、又は整列していない、
-連続空隙空間は、接合により、又は機械的切断及び層断片の配置により得られる。
【0068】
例えば、これらに限定されないが、トップシート、吸収性芯材、ブースティング層、又は不浸透性シートのような追加の層を、第1の層の上あるいは第3の層の下に追加することができる。本明細書では、「上」及び「下」という用語は、絶対位置に関係なく、相対位置を記載するためのものである。いずれの場合も、第2の層は第1の層と第3の層の両方と直接接触しており、その間に他の繊維層を挿入され得ない。
SAP粒子又は不織布シート材料の任意の繊維は、臭気制御のために処理することができる。SAP粒子は、種々の特性を混合するために、様々な種類のSAP粒子を含み得る。
【0069】
一般に、SAP粒子の量は、20gsm~450gsmで変動し、好ましくは、フェムケア用途では30gsm~80gsmであり、乳児及び失禁用途では200gsm~400gsmである。SAPは、Ekotec、Sumitomo、BASF、SDPであり得るが、これらに限定されず、用途に応じて異なる。
【0070】
空隙容積の変更(例えば、エンボス加工又はリロフティング)に用いる温度は、30°C~180°Cで変化するが、70°C~130°Cが好ましい。
【0071】
本発明の多層吸収分散不織布シート材料の組成及び作製の例を以下に説明する。
【0072】

衛生用品用の150gsmの3層吸収及び分散シート不織布材料(ADL)は、
-重量の25%(37.5gsm)に対応し、2dtex~28dtexの線密度を持つPET繊維とPET/coPET繊維のブレンドで構成される第1層。
-重量の25%(37.5gsm)に対応し、0dtexから7dtexの線密度を持つPET繊維とPET/coPET繊維のブレンドで構成される第2の層。
-重量の50%(75gsm)に対応し、2dtexから28dtexの線密度を持つPET繊維とPET/coPET繊維のブレンドで構成される第3の層。
第1層は、身体に当たることが意図される側にある材料に対応する。
ADLの通気性の測定値は2500±500l/m/sである。
EDANAアッセイWSP70.3.R3では、サンプルの裏抜け(strikethrough(ST))時間は0.59秒である。
EDANAアッセイWSP80.10では、サンプルの液戻り(wetback(WT))は0.09gである。
【0073】
400gsm(グラム/平方メートル)のSAP粒子が第3の層の露出領域に塗布され、20m/分の速度で平らな電極を備えたFibrolineモジュールを使用して含浸が行われます。含浸後、ADLは芯材ラップ素材(ここでは9gsmのSMS)でラップされる。
【0074】
それぞれ40cm×10cmのサイズ有する2つのサンプルを作製した。第1のサンプルでは、対照用に、SAPをADLの表面全体に適用する。第2のサンプルでは、マスクにより、図6aのようなパターンに従ってSAPを適用し、サンプルの中央にSAPを含まない1cmのバンドを残す。したがって、第2のサンプルは、第1のサンプル(対照サンプル)よりも全体で10%SAPが少なく、その面積の10%はSAP粒子がない。
【0075】
2つのサンプルは、Hytec試験に基づく内部TWE試験方法に従って、比較試験された。
70mlの合成尿(生理食塩水0.9%NaCl)を4回添加し、添加の間の待機時間は5分であった。各添加の吸収時間は、クロノで測定される。4回目の待機時間の後、19cm×10cmのいくつかのリウェット紙をサンプル上に15秒間置き、リウェット紙によって吸収された液体の量を測定することによって、リウェットを測定する。吸収及びリウェット中の負荷は、8kgである。
【0076】
各添加後の流入時間及び最終的なリウェット時間は、以下の表1にまとめられている。
【表1】
【0077】
チャネルのおかげで、添加後に流入時間はほぼ一定に維持され、尿の保持が増大し、これにより、ADLのSAPを含まないチャネルによってもたらされる改善が実証される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【手続補正書】
【提出日】2023-03-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いの上に少なくとも以下の3つの層を含む、衛生用品用の多層吸収分散シート不織布材料であって、
体液を吸収して第2の層に移送するための第1の層であって2-28dTexの線密度を有する上記第1の層、
第1の層から体液を受け取り、第2の層全体に体液を拡散させるための第2の層であって、0-7dTexの線密度を有する上記第2の層、及び
第2の層から体液を受け取るための、高吸水性ポリマー(SAP)粒子を含む第3の層であって2-70dTexの線密度を有する上記第3の層
を含み、
第2の層が、第3の層に体液を不可逆的に転送し、第3の層内の、ポロシメトリー又は通気性によって測定される空隙容積が、300~約500cm の空隙容積/m からなり第2の層の繊維は該第3の層の繊維より微細な線密度を有する、
上記衛生用品用の多層吸収分散シート不織布材料。
【請求項2】
SAP粒子が、第2の層から第3の層を通って延びるチャネルを残すパターンに従って、第3の層に分散されており、該チャネルがSAP粒子を含まない、請求項1に記載のシート不織布材料。
【請求項3】
少なくとも1つの層が、連続空隙空間を含む、請求項1又は2に記載のシート不織布材料。
【請求項4】
請求項1~のいずれか一項に定義される少なくとも1つの多層吸収分散シート不織布材料を含む、使い捨て吸収性用品又は衣類。
【請求項5】
生理用ナプキン、パンティライナー、乳児用おむつ、成人用失禁パッド、女性用衛生製品、トレーニングパンツ、汗パッド、及び医療用創傷包帯からなる群のうちの1つである、請求項に記載の使い捨て吸収性用品又は衣類。
【請求項6】
請求項1~のいずれか一項に記載のシート不織布材料を製造するための方法であって、
SAP粒子を第3の層の表面の少なくとも一部に沈着させるステップ、及び
SAP粒子を第3の層に含浸させるステップ
によってSAP粒子を第3の層に分散させるステップ
を含む、上記方法。
【請求項7】
SAP粒子が、第3の層の選択された領域上に沈着する、請求項に記載の方法。
【請求項8】
SAP粒子を沈着させる前に、
第3の層の表面にマスクを適用するステップ
をさらに含む、請求項に記載の方法。
【請求項9】
SAP粒子を沈着させる前に、連続空隙空間を形成するために第3の層の選択された領域を接合するステップ
をさらに含む、請求項又はに記載の方法。
【請求項10】
第3の層を断片に切断するステップ、及び
片を第2の層に接着するステップであって、断片が、互いに間隙によって離れている、上記ステップ
を含む、請求項又はに記載の方法。
【請求項11】
請求項3に記載のシート不織布材料の少なくとも1つの層の領域を接合するステップをさらに含む、少なくとも1つの層に連続空隙空間を生み出すための、請求項6に記載の方法。
【請求項12】
請求項3に記載のシート不織布材料の少なくとも1つの層を断片に切断するステップ、及び断片を請求項3に記載のシート不織布材料の隣接する層に接着するステップをさらに含む、少なくとも1つの層に連続空隙空間を生み出すための、請求項に記載の方法。
【手続補正書】
【提出日】2023-04-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いの上に少なくとも以下の3つの層を含む、衛生用品用の多層吸収分散シート不織布材料であって、
体液を吸収して第2の層に移送するための第1の層であって、2-28dTexの線密度を有する上記第1の層、
第1の層から体液を受け取り、第2の層全体に体液を拡散させるための第2の層であって、0-7dTexの線密度を有する上記第2の層、及び
第2の層から体液を受け取るための、高吸水性ポリマー(SAP)粒子を含む第3の層であって、2-70dTexの線密度を有する上記第3の層、
を含み、
第2の層が、第3の層に体液を不可逆的に転送し、第3の層内の、ポロシメトリー又は通気性によって測定される空隙容積が、300~500cmの空隙容積/mからなり、第2の層の繊維は該第3の層の繊維より微細な線密度を有する、
上記衛生用品用の多層吸収分散シート不織布材料。
【請求項2】
SAP粒子が、第2の層から第3の層を通って延びるチャネルを残すパターンに従って、第3の層に分散されており、該チャネルがSAP粒子を含まない、請求項1に記載のシート不織布材料。
【請求項3】
少なくとも1つの層が、連続空隙空間を含む、請求項1又は2に記載のシート不織布材料。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に定義される少なくとも1つの多層吸収分散シート不織布材料を含む、使い捨て吸収性用品又は衣類。
【請求項5】
生理用ナプキン、パンティライナー、乳児用おむつ、成人用失禁パッド、女性用衛生製品、トレーニングパンツ、汗パッド、及び医療用創傷包帯からなる群のうちの1つである、請求項4に記載の使い捨て吸収性用品又は衣類。
【請求項6】
請求項1~3のいずれか一項に記載のシート不織布材料を製造するための方法であって、
SAP粒子を第3の層の表面の少なくとも一部に沈着させるステップ、及び
SAP粒子を第3の層に含浸させるステップ
によってSAP粒子を第3の層に分散させるステップ
を含む、上記方法。
【請求項7】
SAP粒子が、第3の層の選択された領域上に沈着する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
SAP粒子を沈着させる前に、
第3の層の表面にマスクを適用するステップ
をさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
SAP粒子を沈着させる前に、連続空隙空間を形成するために第3の層の選択された領域を接合するステップ
をさらに含む、請求項6又は7に記載の方法。
【請求項10】
第3の層を断片に切断するステップ、及び
断片を第2の層に接着するステップであって、断片が、互いに間隙によって離れている、上記ステップ
を含む、請求項6又は7に記載の方法。
【請求項11】
請求項3に記載のシート不織布材料の少なくとも1つの層の領域を接合するステップをさらに含む、少なくとも1つの層に連続空隙空間を生み出すための、請求項6に記載の方法。
【請求項12】
請求項3に記載のシート不織布材料の少なくとも1つの層を断片に切断するステップ、及び断片を請求項3に記載のシート不織布材料の隣接する層に接着するステップをさらに含む、少なくとも1つの層に連続空隙空間を生み出すための、請求項6に記載の方法。
【外国語明細書】