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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023073268
(43)【公開日】2023-05-25
(54)【発明の名称】薬剤分包装置
(51)【国際特許分類】
   A61J 3/00 20060101AFI20230518BHJP
   B65B 1/30 20060101ALI20230518BHJP
【FI】
A61J3/00 310E
A61J3/00 310K
B65B1/30 A
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023035159
(22)【出願日】2023-03-08
(62)【分割の表示】P 2021112672の分割
【原出願日】2017-08-01
(31)【優先権主張番号】P 2016154173
(32)【優先日】2016-08-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】592246705
【氏名又は名称】株式会社湯山製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100087538
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥居 和久
(74)【代理人】
【識別番号】100105843
【弁理士】
【氏名又は名称】神保 泰三
(74)【代理人】
【識別番号】100087572
【弁理士】
【氏名又は名称】松川 克明
(74)【代理人】
【識別番号】100085213
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥居 洋
(72)【発明者】
【氏名】小池 直樹
(72)【発明者】
【氏名】深森 亮輔
(57)【要約】
【課題】薬剤供給部から供給される薬剤が実際には包装されていない可能性を判断することができる薬剤分包装置を提供する。
【解決手段】薬剤分包装置は、各種の薬剤を供給する薬剤収容払出ユニット11と、上記薬剤収容払出ユニット11から供給される薬剤を分包紙Sによって1包分ずつ包装する薬剤包装部45と、上記1包分の薬剤を上記薬剤包装部45内の分包紙S内に落下させる薬剤包装ホッパー73と、少なくとも上記薬剤包装ホッパー73に上記薬剤が付着しているか否かを、上記薬剤包装ホッパー73の内壁面を撮像した画像に基づいて判定する薬剤チェック部5と、を備えている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
各種の薬剤を供給する薬剤供給部と、上記薬剤供給部から供給される薬剤を分包紙によって1包分ずつ包装する薬剤包装部と、上記1包分の薬剤の個数を計数する薬剤個数チェック部を備える薬剤チェック部と、を備えており、
上記薬剤個数チェック部は、無底開口部を有する薬剤受け盤部と、上記無底開口部の底部として機能し、上記無底開口部が上記薬剤受け盤部の動作により位置する特定の箇所において上記無底開口部内の薬剤を落下させる包装開口部を有する薬剤受け底部と、を備え、上記無底開口部は上記薬剤供給部から薬剤が供給されるようになっており、
上記薬剤受け底部は、上記無底開口部が上記薬剤受け盤部の動作により位置する他の特定の箇所において光透過部を有しており、上記薬剤個数チェック部は、上記薬剤受け底部の上記光透過部の下側から当該光透過部に照明光を照射する照明部と、上記照明部から照射されて上記光透過部を通って上側に出た光を撮像素子に導く計数用撮像部と、を備えることを特徴とする薬剤分包装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、錠剤やカプセル剤などの薬剤を分包紙によって1包分ずつ包装する薬剤分包装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、多種類の薬品類を収納した多数の錠剤フィーダと、これらの錠剤フィーダから排出された錠剤を受けて収集する錠剤収集機構と、この錠剤収集機構からの錠剤投入先に錠剤投入部が配された包装装置とを具備した錠剤分包機であって、上記錠剤の識別処理をその分包前に行う錠剤識別装置と、上記錠剤収集機構と上記錠剤投入部との間に介装され上記錠剤収集機構からの錠剤を上記錠剤投入部へ投入するに際して直接投入する状態と上記錠剤識別装置経由で間接投入する状態との何れかの状態を選択的に採りうる切換機構と、処方単位ごとにその一部を上記錠剤識別装置による処理の対象としその残部を上記錠剤識別装置による処理の対象外とする手段を有して上記切換機構の状態制御を行うことにより上記錠剤識別装置による処理を選択的に省く制御手段と、上記錠剤に対する計数処理に用いる画像の撮影をその分包後に行う計数監査装置とを備えた錠剤分包機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4034404号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の薬剤分包装置は、上記のように、薬剤に対する計数処理に用いる画像の撮影をその分包後に行っている。しかしながら、分包紙内において薬剤は重なり、また互いに接触していることがあるため、そのような場合には、撮影した画像に基づいて薬剤の個数を正確に計数できないという問題点がある。
【0005】
一方、薬剤に対する撮影をその分包前に行うとした場合、撮影された薬剤を分包紙内に導く導入部材に、撮影された薬剤が静電気などによって付着する可能性があり、計数された個数とは異なる個数の薬剤が入った1包が作製されるおそれがある。
【0006】
この発明は、上記の事情に鑑み、分包前に撮影された薬剤が導入部材に付着しているか否かを判定する薬剤分包装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、この発明の薬剤分包装置は、各種の薬剤を供給する薬剤供給部と、上記薬剤供給部から供給される薬剤を分包紙によって1包分ずつ包装する薬剤包装部と、上記1包分の薬剤を上記薬剤包装部内の分包紙内に導入する導入部材と、上記導入部材に上記薬剤が付着しているか否かを、上記導入部材を撮像した画像に基づいて判定する薬剤チェック部と、を備えることを特徴とする。
【0008】
上記の構成であれば、1包分の薬剤を薬剤包装部内の分包紙内に落下させる導入部材に上記薬剤が付着しているか否かを判定するので、上記薬剤供給部から供給される薬剤が実際には包装されていない可能性を判断することができる。
【0009】
上記薬剤チェック部は、上記導入部材を撮像する導入部材撮像部と、上記導入部材撮像部で撮像された画像と上記導入部材に薬剤が付着していない状態で撮像した基本画像との対比に基づいて、上記導入部材内の薬剤の付着を判定する判定部と、を備えていてもよい。これによれば、上記両画像の対比によって的確に薬剤の付着を判定することができる。
【0010】
上記薬剤チェック部は、上記導入部材の上流側に上記1包分の薬剤の個数を計数するために用いる薬剤個数チェック部を備えていてもよい。
【0011】
上記薬剤個数チェック部は、上記1包分の薬剤を上記導入部材にて上記薬剤包装部の分包紙内に導入させる前に、上記1包分の薬剤を受け取って当該薬剤を撮像するようにしてもよい。また、撮影する画像は、薬剤個数チェック部が受け取った薬剤に光を当て、この光による薬剤の陰影画像であってもよい。これによれば、薬剤の陰影画像に基づいて薬剤の個数を計数するので、薬剤の色や透明の影響を受け難くすることができ、計数精度を向上することができる。
【0012】
上記薬剤個数チェック部は、回転軸を中心に同一円周上に複数の無底開口部を有する薬剤受け盤部と、上記無底開口部の底部として機能し、上記無底開口部が上記薬剤受け盤部の回転により位置する特定の箇所において上記無底開口部内の薬剤を上記導入部材に供給する包装開口部を有する薬剤受け底部と、を備え、上記無底開口部は上記薬剤供給部から薬剤が供給されてもよい。これによれば、上記薬剤チェック部の高さを極力低くすることが可能になる。
【0013】
上記薬剤受け盤部を正逆回転させることにより、上記無底開口部内での上記薬剤の重なりを解消するようにしてもよい。これによれば、上記薬剤の重なりによる誤計数を低減することができる。
【0014】
上記無底開口部のうち少なくとも上記薬剤受け盤部の回転軸から遠い側の箇所の側壁面は、上側ほど上記回転軸から遠ざかるように傾斜する傾斜形状を有していてもよい。これによれば、上記側壁面に接触して上下に重なる薬剤において、下に位置する薬剤の中心に対して上に乗っかっている薬剤が外側(遠心側)にずれて位置する状態が形成され易くなるため、上記薬剤の重なりが解消され易くなる。
【0015】
各無底開口部の側壁面のうち少なくとも上記薬剤受け盤部の回転軸から遠い側の箇所の側壁面は、複数の辺部分が角度を付けて連続するように形成されていてもよい。これによれば、例えば、上記薬剤受け盤部の回転停止時において、上記側壁面に接触して上下に重なっている薬剤の慣性移動は、上記側壁面が単に円弧状等をなす場合に生じがちとなる上記薬剤受け盤部の回転方向への単純な移動には成り難いため、上記薬剤の重なりが解消され易くなる。
【0016】
上記側壁面が上記複数の辺部分を有する構成において、隣り合う上記辺部分の接合箇所の1つが上記回転軸から最も遠くなるように位置していてもよい。これによれば、例えば、上記薬剤受け盤部の回転停止時において、上記側壁面に接触して上下に重なる薬剤は、上記辺部分の接合箇所(角となる部分)を起点に、上記薬剤受け盤部の回転方向よりも向心側の方向の力を受けながら慣性移動することができ、上記回転方向への単純な移動には成り難いため、上記薬剤の重なりが解消され易くなる。
【0017】
上記薬剤個数チェック部を利用して計数された薬剤の個数が、有るべき個数と異なる場合に、上記薬剤受け盤部を正逆回転させてもよい。これによれば、上記薬剤の重なりが解消されないままに誤計数されてしまうおそれを低減することができる。
【0018】
上記薬剤受け底部は、上記無底開口部が上記薬剤受け盤部の回転により位置する他の特定の箇所において光透過部を有しており、上記薬剤個数チェック部は、上記薬剤受け底部の上記光透過部の下側から当該光透過部に照明光を照射する照明部と、上記照明部から照射されて上記光透過部を通って上側に出た光を撮像素子に導く計数用撮像部と、を備えてもよい。これによれば、上記薬剤の陰影画像を的確に撮影することができる。
【0019】
上記計数用撮像部は、上記薬剤受け底部の上記光透過部の上方位置に、反射面が傾斜するように配置された反射部材を備えており、上記撮像素子は、上記反射部材の上記反射面にて反射され、上記薬剤受け盤部の上面と略平行な方向に進む光を、上記薬剤受け盤部の外側の位置で受けるように配置されていてもよい。これによれば、上記薬剤受け盤部上での上記計数用撮像部の高さを低くしつつ十分な光路長を得て極力画角の狭いレンズを用い、的確に薬剤の陰影画像を撮影することができる。
【0020】
上記反射部材は、上記反射面が仰角で45度以下となるように配置されていてもよい。これによれば、上記薬剤受け盤部上での上記計数用撮像部の高さをより低くすることができる。
【0021】
上記薬剤受け盤部における各無底開口部の下端部の形状と、上記薬剤受け底部の上記導入部材の上端部の形状が同一であってもよい。これによれば、上記無底開口部から上記導入部材への薬剤の落下に際して薬剤の紛失が生じ難く、また、例えば、上記導入部材内を照らす照明光が上記無底開口部と上記導入部材との間で一部遮られるといったことも低減できる。
【0022】
上記薬剤チェック部は、上記導入部材の上側から上記薬剤包装部における包装シール部を撮像するシール部撮像部を備えてもよい。これによれば、薬剤が適切に包装されなかったことを画像で監査できるので、上記薬剤供給部から供給される薬剤が実際には包装されていない可能性を判断することができる。
【発明の効果】
【0023】
この発明であれば、薬剤供給部から供給される薬剤が実際には包装されていない可能性を判断することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】この発明の一実施形態に係る薬剤分包装置の概略構成を示した説明図である。
図2図1の薬剤分包装置の包装ユニットを示した説明図である。
図3図1の薬剤分包装置の薬剤チェック部の概略構成を示した説明図である。
図4図1の薬剤分包装置の薬剤識別部を示した斜視図である。
図5図4において第1カメラ装置および第2カメラ装置等を省いて示した斜視図である。
図6図1の薬剤分包装置の薬剤個数チェック部を示した斜視図である。
図7図6において基板を省いて示した斜視図である。
図8図6の薬剤個数チェック部の回転盤等を示した斜視図である。
図9図8の回転盤および薬剤包装ホッパー等を示した平面図である。
図10図9の回転盤における無底開口部を示すとともに、配置角度が異なる参考例としての無底開口部を示した説明図である。
図11図6に示されている第3カメラ装置を拡大して示した斜視図である。
図12図6に示されている第4カメラ装置および第5カメラ装置を拡大して示した斜視図である。
図13図1の薬剤分包装置の制御系の一部を示した概略のブロック図である。
図14図1の薬剤分包装置の動作タイミングの一例を示したタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
図1に示しているように、この実施形態の薬剤分包装置1には、薬剤を種類ごとに収容するとともに処方箋データに基づいて上記薬剤を1包分ずつ払い出すための薬剤供給部である薬剤収容払出ユニット11と、上記薬剤を受け取るホッパー12と、上記1包分ずつ払い出された薬剤をチェックする薬剤チェック部5と、分包紙ロール200及びインクリボンカセット3が装着され、上記分包紙ロール200から供給される分包紙Sに印字を行い、この分包紙Sを用いて上記薬剤チェック部5を経た薬剤を1包分ずつ包装する包装ユニット4と、が設けられている。また、上記薬剤分包装置1は手撒部13を備えている。この手撒部13は、格子状に枡が配置されており、ユーザが各枡に1分包分の薬剤を入れることができるようになっている。例えば、朝、昼、夕が1日分処方されている場合は、3つの枡に薬品を入れることになる。上記薬剤収容払出ユニット11には複数の薬剤カセットが設けられている。各薬剤カセットは1種類の薬剤が複数貯蔵されている。各薬剤カセットは、1錠単位で薬剤を排出できる。下記のコントローラ8は、各薬剤カセットを駆動して処方箋データで指定された種類の薬剤を処方箋データで指定された数だけホッパー12に排出する。
【0026】
図2は、上記分包紙ロール200及びインクリボンカセット3が装着された状態の上記包装ユニット4の一例を示した図である。この図2では、上記包装ユニット4の薬剤包装部45も示している。この薬剤包装部45は、例えば、二つ折りされた上記分包紙Sの開口から薬剤を導入するとともに、この導入した薬剤を封止するように上記分包紙Sを熱溶着する動作部である。上記分包紙Sは、例えば、3個のガイドシャフト4aに掛かり、バックアップローラー4bと印字ヘッド4eの間を通り、さらにガイドシャフト4cに掛かるように通される。また、上記インクリボンカセット3内に収容されているインクリボンRは、上記包装ユニット4のテープガイドによりガイドされ、上記バックアップローラー4bと上記印字ヘッド4eの間を通り、印字後に上記分包紙Sから離脱し、上記インクリボンカセット3内に戻る。
【0027】
また、図2に示したように、例えば、上記分包紙Sを案内する上記ガイドシャフト4cの近傍位置(上記分包紙Sの搬送方向の下流側)には、上記分包紙Sの搬送方向を上記薬剤包装部45の展開ガイド45aの直前で湾曲させる回転自在な湾曲ガイドローラー45b,45cが配置されている。上記展開ガイド45aの背面側には上記分包紙Sに薬剤を導入する導入部材(以下、薬剤包装ホッパーという。)73(図3参照)が設けられている。上記薬剤包装ホッパー73は下側ほど細くなる形状を有している。上記展開ガイド45aは、二つ折りされた上記分包紙Sを展開して上記薬剤包装ホッパー73のノズルを挿入するための開口を形成する。また、上記薬剤包装部45は、上記展開ガイド45aの下方に一対のヒータローラー45d,45eを備える。さらに、上記ヒータローラー45d,45eの下方には、図示しない送りローラーが設けられる。これらヒータローラー45d,45eは、モーター、直動ギヤ、間欠ギヤ等からなる図示しない駆動機構により回転駆動される。上記ヒータローラー45d,45eが分包紙を挟んで回転することにより、上記分包紙Sが搬送される。なお、包装ユニット4の機能として印字機能は必須でなく、上記薬剤分包装置1は印字機能が無い包装ユニット4を備えてもよい。
【0028】
図3は上記薬剤分包装置1の全体における概略構成を示している。上記薬剤チェック部5は、上記薬剤収容払出ユニット11と上記包装ユニット4との間に位置しており、上側に配置された薬剤識別部50と、下側に配置された薬剤個数チェック部6とからなる。
【0029】
上記薬剤識別部50は、図4および図5にも示すように、水平面内で回転するターンテーブル51を備えている。このターンテーブル51には、その回転軸を中心とする同一円周上に6個の薬剤転回部52が設けられている。上記6個の薬剤転回部52のうちの1箇所には、上記ホッパー12からの薬剤を上記薬剤転回部52に導入する導入部53が設けられ、他の1箇所には、上記手撒部13からの薬剤を導入する手撒薬剤導入部54が設けられ、また、他の1箇所には、上記薬剤転回部52内を撮影する第1カメラ装置55が設けられ、さらに、他の1箇所には、上記薬剤転回部52内を撮影する第2カメラ装置56が設けられている。すなわち、ターンテーブル51が回ることで、薬剤転回部52が、導入部53の下方、手撒薬剤導入部54の下方、第1カメラ55の下方、第2カメラ56の下方、ホッパー64の上方に移動し、薬剤は、導入部53、54において薬剤転回部52に入り、ホッパー64の上方で薬剤転回部52からホッパー64に落下する。なお、上記第1カメラ装置55と第2カメラ装置56は、図3では便宜上同じ位置に配置している。
【0030】
また、各薬剤転回部52は、一対のローラーがその周面を向かい合せにして設けられており、上記一対のローラーを回転させることによって、薬剤転回部52内に落された薬剤を転回させることができる。上記薬剤の転回によって、当該薬剤の刻印やマークが付されている面が上に向く機会が生じる。また、上記一対のローラーを互いに広く離間させることで、上記薬剤を下方に落下させることができる。なお、上記薬剤転回部52が後述のホッパー64の上方に位置すると、薬剤転回部52の上記一対のローラーを離間させる。上記第1カメラ装置55は、図示しない光源からの光を、カメラ側から薬剤に向かう方向に対して交差する方向に照射するものであり、主として刻印により識別情報が付された薬剤の撮影に適するものとなっている。また、第2カメラ装置56は、図示しない光源からの光を、カメラ側から薬剤に向かう方向に照射するものであり、主として印刷により識別情報が付された薬剤の撮影に適するものとなっている。なお、上記薬剤識別部50の各薬剤転回部52を用いた薬剤の刻印および/または印刷の識別チェックが行われる場合には、1包分の薬剤個数が複数であっても、上記薬剤収容払出ユニット11などから各薬剤転回部52に1個ずつ薬剤を投下して識別チェックを行う。すなわち、1つの薬剤転回部52には、1個の薬剤しか投下しない。刻印または印刷された識別情報と、処方データと照合することで、正しい薬品が薬剤供給部や手撒き供給部から払い出されているか否かを判断することができる。一方、上記薬剤識別部50の各薬剤転回部52を用いた薬剤の刻印および/または印刷の識別チェックを行わない場合は、1包分ずつ薬剤を薬剤転回部52に落としてもよい。識別チェックを行わないときは、この薬剤転回部52に落下した1包分の薬剤の撮影はしてもよいし、或いはしなくてもよく、また、識別情報と処方データの照合は不要である。また、各薬剤転回部52には、上記照明の光を上記一対のローラー側に導くリング状のレンズ52aが設けられている。
【0031】
上記薬剤個数チェック部6は、上記ターンテーブル51の下方側に積層状に設けられており、1包分の薬剤の個数を計数するために用いることができる。そして、この薬剤個数チェック部6は、図6および図7にも示すように、基板60上に、第3カメラ装置(計数用撮像部)61と、第4カメラ装置(ホッパー撮像部)62と、第5カメラ装置(シール部撮像部)63と、ホッパー64と、を備えている。そして、上記基板60の下方には、薬剤個数チェック部6の回転盤7が備えられており、上記薬剤転回部52から上記ホッパー64に落された薬剤が、上記回転盤7に供給されるようになっている。
【0032】
上記回転盤7は、図8にも示すように、円盤形の薬剤受け盤部71と、薬剤受け底部72とを備える。上記薬剤受け盤部71は、回転軸71aを中心に同一円周上に例えば4個(複数)の無底開口部71bを有し、各無底開口部71bに上記薬剤収容払出ユニット11から供給される薬剤を、上記ホッパー64を介して受け取るようになっている。また、上記薬剤受け底部72は、上記無底開口部71bの底部として機能し、上記無底開口部71bが上記薬剤受け盤部71の回転により位置する特定の箇所において光を透過させる光透過部72aを有する一方、上記無底開口部71bが上記薬剤受け盤部71の回転により位置する他の特定箇所において上記無底開口部71b内の薬剤を上記薬剤包装ホッパー73に供給する包装開口部72bを有する。
【0033】
上記薬剤受け盤部71は、駆動部74によって回転駆動される。上記薬剤受け盤部71の外周部には、ギヤ部71cが形成されている。そして、上記ギヤ部71cに上記駆動部74の駆動ギヤ74aが歯合されている。上記駆動ギヤ74aの軸部にはベルト74bが掛けられており、このベルト74bはモーター74cによって回転される。上記モーター74cの制御により、上記薬剤受け盤部71を一方向に間欠的に回転させて、上記無底開口部71bを、上記特定箇所および他の特定箇所等に移動させることができる。さらに、上記モーター74cの制御により、上記薬剤受け盤部71が正転又は逆転しているときに、薬剤受け盤部71の回転方向を反対方向に切り替えることによって、上記無底開口部71b内での上記薬剤の重なりを解消できるようになっている。回転方向の切り替え前の回転速度と、回転方向の切り替え後の回転速度の少なくともいずれかは、上記無底開口部71bを上記特定箇所および他の特定箇所等に移動させるための上記薬剤受け盤部71の回転の速度よりも高速であってもよい。また、上記薬剤受け盤部71の近傍にはストッパー装置75が設けられている。このストッパー装置75は、上記薬剤受け盤部71の駆動停止時に当該薬剤受け盤部71の底側に図示しない接触部を接触させて回転を瞬時に停止させるように動作する。
【0034】
各無底開口部71bは、図9にも示すように、正六角形状を有しているが、このような正六角形状を有することに限定されることはなく、円形状等を有していてもよい。ただし、上記正六角形状のように、各無底開口部71bの側壁面のうち少なくとも上記薬剤受け盤部71の回転軸71aから遠い側の箇所の側壁面は、複数の辺部分(例えば、直線部分)が角度を付けて連続するように形成されているのが望ましい。上記辺部分に付けられる上記角度は、例えば、90度以上180度未満であるのがよい。さらに、隣り合う上記辺部分の接合箇所(角部)の1つが上記回転軸71aから最も遠くなるように位置するのが望ましい。
【0035】
また、上記正六角形状の無底開口部71bの側壁面は、上側ほど開口面積が広くなる傾斜形状を有する。これについても、上記正六角形状に限定されるものではなく、上記無底開口部71bのうち少なくとも上記薬剤受け盤部71の回転軸71aから遠い側の箇所の側壁面は、上側ほど上記回転軸71aから遠ざかるように傾斜する傾斜形状を有していてもよい。傾斜角度は、例えば、鉛直に対して25度程度としている。また、上記薬剤包装ホッパー73においては、少なくともその上部側は、上記無底開口部71bが正六角形状を有するならば、同じように正六角形状を有してもよい。そして、上記無底開口部71bから上記薬剤包装ホッパー73にかけて上記傾斜が段差なく連続するのがよい。さらに述べると、上記包装開口部72bの上端面は、無底開口部71bの下端部と同じ形状であり、包装開口部72bの下端面は薬剤包装ホッパー73の上端部と同じ形状であるのが好ましい。また、上記正六角形状の無底開口部71bの側壁面は、下側ほど開口面積が広くなる傾斜形状を有してもよい。
【0036】
上記第3カメラ装置61は、図3図7および図11にも示すように、上記薬剤受け盤部71の外側の位置に設けられた撮像素子61aと、上記薬剤受け底部72の上記光透過部72aの下側から当該光透過部72aに照明光を照射する照明部61bと、上記照明部61bから照射されて上記光透過部72aを通って上側に出た光を反射面(金属研磨面、メッキ面等)にて反射させて上記撮像素子61aに導く反射部材61cと、上記光透過部72aの上方に設けられたレンズ61dと、を備える。上記撮像素子61aは、CCDやCMOS等を用いたものでもよい。上記照明部61bは、面光源を用いたものでもよい。また、上記レンズ61dは、ホログラムや回折格子を用いたものとすることができる。
【0037】
上記反射部材61cは、上記光透過部72aを通って上側に出た光を、上記薬剤受け盤部71の上面と略平行な方向に反射させる。特に、この実施形態では、上記反射部材61cは、上記反射面が仰角で45度以下となるように配置されている。そして、上記撮像素子61aは、その全部または一部が上記基板60の上面よりも下側に位置しており、当該基板60の当該箇所は切りかかれたものとなっている。薬剤は光が透過しない、又は、光の一部が透過しない性質を有するので、上記光透過部72a上の薬剤が存在する部分の画像領域は輝度が低くなる。
【0038】
上記第4カメラ装置62は、図3および図12にも示すように、上記薬剤包装ホッパー73上に位置するリング状の照明部62aと、この照明部62aの中央側に設けられた撮像部62bとからなる。上記照明部62aは上記薬剤包装ホッパー73の内壁面を極力均一に照らすようになっている。また、上記撮像部62bは広角で上記薬剤包装ホッパー73の内壁面を撮像する。この撮像においては、静電気等に起因して上記内壁面に薬剤が付着した場合に、当該薬剤が撮像されることになる。上記薬剤包装ホッパー73の内壁面は、白色を有する。このように内壁面が白色の場合、薬剤が白色でも、薬剤の影をはっきりと検出することができる。なお、上記無底開口部71bの側壁面にも薬剤が付着するおそれがある場合には、この側壁面も白色とし、上記第4カメラ装置62の撮像範囲に上記無底開口部71bの側壁面が入るようにする。
【0039】
上記第5カメラ装置63は、スポット照明を行う照明部63aと、この照明部63aに隣接された撮像部63bとからなる。上記照明部63aは上記薬剤包装ホッパー73の下方に位置する上記薬剤包装部45における包装シール部(一対のヒータローラー45d,45e)近傍における分包紙内を照らすようになっている。上記撮像部63bは、ズームで撮像する。 上記撮影部63bの撮影範囲は薬剤包装ホッパー73の内側である。
【0040】
上記薬剤包装ホッパー73上であって、上記無底開口部71bの上になる位置には、レンズ65が設けられている。このレンズ65は、ホログラムや回折格子を用いたものとすることができる。
【0041】
図13に上記薬剤分包装置1の制御系の概略のブロック図を示す。薬剤分包装置1のコントローラ8に接続された記憶部80には、いわゆるマスターテーブル(薬剤等データベース)、各患者の処方箋データ、第1~第5カメラ装置55、56、61~63により撮影された画像データ等が記憶される。また、上記第1~第5カメラ装置55、56、61~63は、上記コントローラ8によって照明および撮影の動作タイミングが制御される。
【0042】
上記コントローラ8の画像生成部81は、上記第1~第5カメラ装置55、56、61~63にて撮影された画像を上記記憶部80に格納する処理を行うものであり、特に、上記第1~第2カメラ装置55、56により撮影された画像データを識別データとして上記記憶部80に記憶し、また、上記第5カメラ装置63により撮影された画像を、包装シール部の画像として上記記憶部80に記憶する。
【0043】
上記コントローラ8の計数処理部82は、上記第3カメラ装置61により撮影された画像に基づいて、各無底開口部71b内に存在する輝度値が低い領域の数を薬剤の数として計数する。上記第3カメラ装置61は、上記錠剤の陰影を撮像するので、上記計数処理部82は、例えば、上記撮像画像内の黒の領域数をカウントし、この領域数を薬剤の個数として出力する。上記黒の領域は、円形状の塊領域だけでなく、ドーナツ状(環状)の塊領域が含まれる。
【0044】
上記コントローラ8の付着判定部83は、上記第4カメラ装置62により撮影された画像に基づいて、上記薬剤包装ホッパー73内の薬剤の付着を判定する。例えば、上記付着判定部83は、薬剤包装時に上記第4カメラ装置62で撮像された画像と、上記薬剤包装ホッパー73の内壁面に薬剤が付着していない状態で撮像した基本画像とを対比することにより、上記薬剤包装ホッパー内の薬剤の付着を判定する。上記基本画像は、例えば、1日の最初の分包処理を行う直前に撮影した画像とし、この画像を上記記憶部80に記憶しておく。また、上記薬剤の付着判定の一例として、例えば、撮像素子の画素ごとに輝度値が互いに一致する画素或いは所定範囲内にある画素が、全体画素数に対して所定割合に満たない場合に、薬剤が薬剤包装ホッパー73内に付着していると判断する。上記コントローラ8は、上記薬剤包装ホッパー73内に薬剤が付着していると判断した場合に、アラームを出力することができる。その際、薬剤包装処理を継続してもよいし、中断してもよい。また、上記薬剤包装ホッパー73内に薬剤が付着していると判断した場合の撮像画像を上記記憶部80に記憶させるようにしてもよい。
【0045】
図14は、1包分の薬剤をまとめて薬剤転回部52に落とす場合のタイミングチャートを示す。上記コントローラ8のタイミング生成部84は、上記薬剤個数チェック部6による個数チェック(薬剤撮像)を行う場合、図14に示すように、上記薬剤個数チェック部6の回転盤7における上記薬剤受け盤部71(図14では、ターレットと記載している)の間欠的な90度回転動作のタイミングを生成する。また、上記タイミング生成部84は、上記薬剤識別部50から薬剤(1包分の薬剤)を受け取るタイミングを生成する。この受け取りは、上記薬剤受け盤部71の間欠回転動作前に行う。さらに、上記間欠回転動作後のタイミング(薬剤静止状態)で、上記第3カメラ装置61による撮影を実行し、上記計数処理部82による無底開口部71b内の1包分の薬剤計数処理を行う。なお、上記第3カメラ装置61による薬剤の撮影は、上記1包分の薬剤を上記薬剤包装ホッパー73にて上記薬剤包装部45の分包紙内に落下させる前に行われるが、上記の薬剤計数処理(情報処理)は、上記1包分の薬剤を上記薬剤包装ホッパー73にて上記薬剤包装部45の分包紙内に落下させた後に行っても構わない。
【0046】
また、上記分包紙Sへの包装のための薬剤落下(薬剤包装ホッパー73への薬剤落下)は、上記薬剤受け盤部71の間欠的な3回目の回転動作以降に行われる。また、上記タイミング生成部84は、上記第4カメラ装置62によるホッパー撮影のタイミング(薬剤付着チェック)を生成する。この撮影タイミングは、上記分包紙Sへの薬剤落下タイミングから少し遅らせている。なお、薬剤付着チェック(画像判定処理)とホッパー撮影のタイミングは同時である必要はない。薬剤付着チェックは、ホッパー撮影をした後であれば、何時でもよい。
【0047】
また、上記タイミング生成部84は、上記薬剤包装部45における一対のヒータローラー45d,45e(包装シール部)の回転(分包)タイミングを生成する。上記ヒータローラー45d,45eの回転は、上記分包紙Sへの薬剤の落下開始から少し遅らせるようにしている。さらに、上記タイミング生成部84は、上記第5カメラ装置63の上記包装シール部の撮影タイミングを生成する。この撮影は、上記ヒータローラー45d,45eの回転動作後(薬剤包装後)に実行する。ここで、上記ヒータローラー45d,45eの回転されるときに、上記分包紙Sの1包分のシール区画から後側(分包紙の搬送方向下流側)に薬剤の1つまたは複数がずれ込んでしまうおそれがある。上記撮影が行われることで、上述した薬剤の後側へのずれ込みが判断できることになる。
【0048】
なお、上記ホッパー撮影(付着チェック)を、上記分包紙Sへの薬剤落下のタイミングから少し遅らせることに限定されない。上記ホッパー撮影は、上記分包紙Sへの薬剤落下よりも前に行ってもよいし、上記ヒータローラー45d,45eの回転(分包)中、或いはその後に行ってもよい(図14の点線丸参照)。ホッパー撮影を上記分包紙Sへの薬剤落下よりも前に行う場合は、今回の分包動作よりも前の分包動作で包装すべき薬剤が上記薬剤包装ホッパー73内に残っているか否かの判断をすることになる。
【0049】
上記コントローラ8の駆動制御部85は、上記モーター74cを制御する。この制御には、上記薬剤受け盤部71の間欠的な90度回転動作だけでなく、上記薬剤受け盤部71を正逆回転させることにより、上記無底開口部71b内での上記薬剤の重なりを解消させる制御が含まれる。この正逆回転動作(重なり解消)は、上記第3カメラ装置61による撮影前だけには限らない。上記第3カメラ装置61による撮影後、上記計数処理部82により計数された個数と処方箋データによる調剤個数とが一致しない場合に、上記コントローラ8は、再度、上記正逆回転動作(重なり解消)を実行するようにしてもよい。また、複数回の重なり解消処理後の計数においても計数された個数と処方箋データによる調剤個数とが一致しない場合に、上記コントローラ8は、エラーを出力するようにしてもよい。また、各薬剤カセットの薬剤排出口に、排出された薬剤数を検知する排出センサがあってもよい。排出センサが検知した薬剤数が処方箋データと一致していない場合は、上記薬剤計数処理を以下のように複数回行う。すなわち、まず、第3カメラ装置61で撮影し、当該撮影画像に基づいて、上記計数処理部82が薬剤計数処理を行う。次に、上記薬剤受け盤部71を正逆回転させ、2度目の第3カメラ装置61で撮影し、当該撮影画像に基づいて、上記計数処理部82が2度目の薬剤計数処理を行う。このように複数回計数処理をし、各薬剤計数処理の結果が同じであれば、排出センサが検知した薬剤数が処方箋データと一致していなくても、薬剤分包装置1は処方箋データで指示された数の薬剤が排出されていると判断する。
【0050】
上記の構成であれば、上記薬剤チェック部5によって、1包分の薬剤を薬剤包装部45内の分包紙S内に落下させる上記薬剤包装ホッパー73に上記薬剤が付着しているか否かを判定するので、上記薬剤収容払出ユニット(薬剤供給部)11から供給される薬剤が実際には包装されていない可能性を判断することができる。
【0051】
また、上記実施形態のように、薬剤個数チェック部6と分包紙(又は包装ユニット4)との間に上記薬剤包装ホッパー73を存在させた場合でも、上記第3カメラ装置61によって撮影されることによって薬剤計数処理の対象とされた薬剤が分包紙内に分包されたかどうかを担保することが容易になる。
【0052】
仮に、上記薬剤包装ホッパー73に薬剤が付着しているかどうかを検知しない場合、薬剤個数チェック部6を利用して計数した数の薬剤が分包紙内に包装されていることを担保するためには、分包紙の直ぐ上に薬剤個数チェック部6を設ける必要がある。そのため、薬剤個数チェック部6を自由な位置に配置できない。本願のように、薬剤包装ホッパー73に薬剤が付着しているかどうかを検知することにより、薬剤包装ホッパー73よりも上流側に薬剤個数チェック部6を設けたとしても、薬剤個数チェック部6を利用して計数した数の薬剤が分包紙に包装されていることを担保できる。よって、薬剤個数チェック部6を設置する位置の選択肢が広がる。
【0053】
上記第3カメラ装置(ホッパー撮像部)61で撮像された画像と、上記薬剤包装ホッパー73の内壁面に薬剤が付着していない状態で撮像した基本画像との対比に基づいて上記薬剤包装ホッパー73内の薬剤の付着を判定する付着判定部83を備えると、的確に薬剤の付着を判定することができる。
【0054】
上記1包分の薬剤を上記薬剤包装ホッパー73にて上記薬剤包装部45の分包紙S内に落下させる前に、上記1包分の薬剤を一旦受け取り、上記1包分の薬剤を静止させた状態で当該薬剤に光を当て、この光による薬剤の陰影画像に基づいて上記1包分の薬剤の個数を計数すると、薬剤の色や透明の影響を受け難くすることができ、計数の精度を向上することができる。
【0055】
上記薬剤個数チェック部6が、上記薬剤受け盤部71と上記薬剤受け底部72とからなる上記回転盤7を備える構成であると、上記薬剤個数チェック部6(薬剤チェック部5)の高さを低くすることが可能になる。
【0056】
上記薬剤受け盤部71を高速で正逆回転させて、上記無底開口部71b内での上記薬剤の重なりを解消すると、上記薬剤の重なりによる誤計数を低減することができる。なお、このような正逆回転において、以下のように制御を行うようにしてもよい。
例えば、
・上記薬剤受け盤部71を少し逆回転させる(加速した状態で薬剤を押し出す)。
・次に、高速で正回転させる(下側の薬剤を素早く飛び出させる)。
・次に、少し正回転させる(側壁面と薬剤の2点で支えられている薬剤を崩す)。
・次に、高速で逆回転させる(正回転時よりも低速とし、薬剤を跳ね飛ばすのではなく、崩れた薬剤をより崩す)。
【0057】
上記無底開口部71bの側壁面のうち少なくとも上記薬剤受け盤部71の回転軸71aから遠い側の箇所の側壁面は、上側ほど上記回転軸71aから遠ざかるように傾斜すると、上記側壁面に接触して上下に重なる薬剤において、下に位置する薬剤の中心に対して上に乗っかっている薬剤が外側(遠心側)にずれて位置する状態が形成され易くなるため、上記薬剤の重なりが解消され易くなる。なお、上記側壁面の傾斜には、直線状の傾斜だけでなく、階段状の傾斜や曲面状の傾斜が含まれる。
【0058】
各無底開口部71bの側壁面が、複数の辺部分が角度を付けて連続するように形成されていると、例えば、上記薬剤受け盤部71の回転停止時において、上記側壁面に接触して上下に重なる薬剤の慣性移動は、上記側壁面が単に円弧状等をなす場合に生じがちとなる上記薬剤受け盤部71の回転方向への単純な移動には成り難いため、上記薬剤の重なりが解消され易くなる。
【0059】
上記側壁面が複数の辺部分を有する構成において、図10(A)に示すように、隣り合う上記辺部分の接合箇所(角部)の1つが上記回転軸71aから最も遠くなるように位置すると、例えば、上記薬剤受け盤部71の回転停止時において、上記側壁面に接触して上下に重なる薬剤Pは、上記辺部分の接合箇所(角部)を起点に、上記薬剤受け盤部71の回転方向よりも向心側の方向の力を受けて慣性移動することができ、同図(B)のような上記回転方向への単純な移動には成り難いため、上記薬剤Pの重なりが解消され易くなる。このような薬剤Pの重なりの解消においては、上記辺部分の接合箇所のなす角度が120度であるのが特に望ましいが、先にも述べたように、上記辺部分の接合箇所のなす角度は、90度以上180度未満としてもよい。
【0060】
上記側壁面の複数の辺部分を直線に形成することに限らない。上記側壁面の辺部分の下縁を弧状に形成してもよい。例えば、弧状の凸側を上記回転軸71aの側に位置させることが考えられる。また、上記側壁面の辺部分の下縁を鋸歯状に形成してもよい。もちろん、上記無底開口部71bの下端の形状と、上記薬剤包装ホッパー73の上端部の形状を同一にする場合等を考慮し、上記弧状の湾曲の程度を小さくするようにしてもよい。
【0061】
上記薬剤個数チェック部6(第3カメラ装置61、計数処理部82)で計数された薬剤の個数が、有るべき個数と異なる場合に、上記薬剤受け盤部71を再度高速で正逆回転させるようにすると、上記薬剤の重なりが解消されないままに誤計数してしまうおそれを低減することができる。なお、この再度の正逆回転においては、以下のように制御を行うようにしてもよい。
例えば、
・上記薬剤受け盤部71を少し正回転させる(加速した状態で薬剤を押し出す)。
・次に、高速で逆回転させる(下側の薬剤を素早く飛び出させる)。
・次に、高速で正回転させる(下側の薬剤を素早く飛び出させる)。
・次に、少し逆回転させる(正回転時よりも低速とし、薬剤を跳ね飛ばすのではなく、崩れた薬剤をより崩す)。
【0062】
上記薬剤受け底部72が光透過部72aを有しており、また、上記薬剤個数チェック部6が上記照明部61bを有する上記第3カメラ装置(計数用撮像部)61を備えていると、上記薬剤の陰影画像を的確に撮影することができる。
【0063】
上記第3カメラ装置(計数用撮像部)61が、上記反射部材61cを備えていると、上記薬剤受け盤部71上での上記第3カメラ装置61の高さを低くしつつ十分な光路長を得て極力画角の狭いレンズを用い、画角いっぱいに無底開口部71bの底を写して、的確に薬剤の陰影画像を撮影することができる。なお、画角の広いレンズを用いる場合には、上記無底開口部71bの壁面が映り込んだり、また、撮影範囲を斜めから撮影したようになるために隣り合う薬剤の一方の隠れて他の薬剤が位置する等、適正な画像が得られ難いものとなる。
【0064】
また、上記反射部材61cの反射面が仰角で45度以下となるように配置されると、上記薬剤受け盤部71上での上記第3カメラ装置の高さをより低くすることができる。なお、上記反射部材61cの反射面として曲面反射面を採用することも可能である。
【0065】
上記薬剤受け盤部71における無底開口部71bの下端部の形状と、上記薬剤包装ホッパー73の上端部の形状が同一であると、上記無底開口部71bから上記薬剤包装ホッパー73への薬剤の落下に際して薬剤の紛失が生じ難く、また、例えば、上記薬剤包装ホッパー73内を照らす照明光が上記無底開口部71bと上記薬剤包装ホッパー73との間で一部遮られるといったことも低減できる。
【0066】
上記薬剤包装ホッパー73の上側から上記薬剤包装部45における包装シール部を撮像する第5カメラ装置63(シール部撮像部)を備えてもよい。これによれば、薬剤が適切に包装されなかったことを画像で監査できるので、上記薬剤収容払出ユニット11から供給される薬剤が実際には包装されていない可能性を判断することができる。
【0067】
なお、上記薬剤識別部50の各薬剤転回部52を用いた薬剤の刻印および/または印刷の識別チェックが行われる場合には、1包分の薬剤個数が複数であっても、各薬剤転回部52に1個ずつ薬剤を投下して識別チェックを行う。そして、この場合には、各無底開口部71bにも上記薬剤転回部52から1個ずつ薬剤が投下される。上記無底開口部71bが移動してこの無底開口部71bが上記包装開口部72bの上方に位置すると、上記無底開口部71b内の1個の薬剤が上記薬剤包装ホッパー73から包装紙内へと投下される。このような処理が1包分の薬剤個数分、実行される。そして、上記薬剤包装ホッパー73の下端側には、物体の通過を検出する光センサ装置が設けられており、この光センサ装置によって、上記1個の薬剤が上記薬剤包装ホッパー73から包装紙内へと通過するのを検知(カウント)する。従って、この検知(カウント)によって、1包分の薬剤が正しく包装されたことを担保することができる。
上記識別チェックの実行モードでは、上記薬剤個数チェック部6による薬剤崩し処理や第3カメラ装置61による撮像処理は不要である。
一方、上記識別チェックの実行モードと不実行モードの単なる切り替えだけではなく、経過による自動切り替えを行うようにしてもよい。
例えば、上記コントローラ8は、一患者に対する複数回分の薬剤包装処理において、上記薬剤識別部50による薬剤の刻印および/または印刷の識別チェックを、複数回分における最初の包装となる段階(例えば、朝、昼、夕の処方の各最初の包装)では実行し、繰り返される同一の処方に対する包装においては、上記識別チェック(各薬剤転回部52の転回動作や光センサ装置によるカウント等:1個ずつの薬剤投下)は行わず、各無底開口部71bに対する1包分の複数個の薬剤投下処理、上記薬剤個数チェック部6による薬剤崩しの処理、第3カメラ装置61による撮像処理等を実行する。
【0068】
各処方の最初の包装となる段階で刻印および/または印刷基づいて薬剤の種類が正しいと判断されれば、以後繰り返される同一の処方に対する包装も適切に行われるものと推測でき、上記のように、繰り返される同一の処方に対する包装に対して上記識別チェック動作を省くことで、包装処理の高速化を図ることができる。
【0069】
なお、上記薬剤個数チェック部6による複数個の薬剤個数の計測を行わずに、上記光センサ装置で同時落下する複数の薬剤をカウントしようとすると、2個の薬剤が光路上に同時に位置した場合にカウントミスを生じるおそれがある。
【0070】
また、上記の実施形態では、上記薬剤個数チェック部6を上記薬剤包装ホッパー73の直ぐ近くの上流側に設けたが、薬剤の個数を計数する箇所(上記薬剤個数チェック部6の構造に限らない。)と上記薬剤包装ホッパー73との間に何らかの経路が存在し、この経路上でも上記薬剤の付着を判定するようにしてもよいものである。同様に、上記薬剤包装ホッパー73とヒータローラー45d、45eの間に何か部材が存在する場合に、この部材への上記薬剤の付着を判定するようにしてもよいものである。
【0071】
以上、図面を参照してこの発明の実施形態を説明したが、この発明は、図示した実施形態のものに限定されない。図示した実施形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
【符号の説明】
【0072】
1 :薬剤分包装置
3 :インクリボンカセット
4 :包装ユニット
5 :薬剤チェック部
6 :薬剤個数チェック部
7 :回転盤
8 :コントローラ
11 :薬剤収容払出ユニット(薬剤供給部)
12 :ホッパー
13 :手撒部
45 :薬剤包装部
45d :ヒータローラー
45e :ヒータローラー
50 :薬剤識別部
51 :ターンテーブル
52 :薬剤転回部
52a :レンズ
53 :導入部
54 :手撒薬剤導入部
55 :第1カメラ装置
56 :第2カメラ装置
60 :基板
61 :第3カメラ装置(計数用撮像部)
61a :撮像素子
61b :照明部
61c :反射部材
61d :レンズ
62 :第4カメラ装置(ホッパー撮像部)
62a :照明部
62b :撮像部
63 :第5カメラ装置(シール部撮像部)
63a :照明部
63b :撮像部
64 :ホッパー
65 :レンズ
71 :薬剤受け盤部
71a :回転軸
71b :無底開口部
71c :ギヤ部
72 :薬剤受け底部
72a :光透過部
72b :包装開口部
73 :薬剤包装ホッパー(導入部材)
74 :駆動部
74a :駆動ギヤ
74b :ベルト
74c :モーター
80 :記憶部
81 :画像生成部
82 :計数処理部
83 :付着判定部
84 :タイミング生成部
85 :駆動制御部
200 :分包紙ロール
P :薬剤
R :インクリボン
S :分包紙
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14