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特開2023-73319微生物集団の送達用に最適化されたベクター
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023073319
(43)【公開日】2023-05-25
(54)【発明の名称】微生物集団の送達用に最適化されたベクター
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/63 20060101AFI20230518BHJP
   C12N 7/01 20060101ALI20230518BHJP
【FI】
C12N15/63 Z
C12N7/01 ZNA
【審査請求】有
【請求項の数】22
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023044675
(22)【出願日】2023-03-20
(62)【分割の表示】P 2019563676の分割
【原出願日】2018-02-02
(31)【優先権主張番号】17305126.9
(32)【優先日】2017-02-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】519283484
【氏名又は名称】エリゴ・バイオサイエンス
(71)【出願人】
【識別番号】508029653
【氏名又は名称】アンスティテュ・パストゥール
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】アントワーヌ・ドゥクリュル
(72)【発明者】
【氏名】ヘスス・フェルナンデス・ロドリゲス
(72)【発明者】
【氏名】グザヴィエ・デュポルテ
(72)【発明者】
【氏名】ダヴィド・ビカール
(57)【要約】
【課題】本発明は、目的の細菌群の各細菌によりコードされる制限酵素によって認識される、(100)個以下、好ましくは(10)個以下の制限部位を含む、ベクター、好ましくは送達媒体に含まれるベクターに関する。
【解決手段】本発明はまた、特にそれを必要とする患者における疾患の治療における、薬物としての上記ベクター、好ましくは送達媒体に含まれるベクターの使用に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
目的の細菌群に高頻度でコードされる制限酵素のいずれの制限部位も含まない、バクテリオファージ又はパッケージングされたファージミド。
【請求項2】
目的の細菌群の細菌の少なくとも10%が制限酵素をコードする場合、その制限酵素は、目的の細菌群に高い頻度で存在する、請求項1に記載のバクテリオファージ又はパッケージングされたファージミド。
【請求項3】
目的の細菌群が、n個の細菌株の群からなり、nは、2~約100,000、好ましくは10~約10,000に含まれる正の整数である、請求項1又は2に記載のバクテリオファージ又はパッケージングされたファージミド。
【請求項4】
細菌株が単一の種から選択される、請求項3に記載のバクテリオファージ又はパッケージングされたファージミド。
【請求項5】
目的の細菌が、エルシニア属種(Yersinia spp.)、エシェリキア属種(Escherichia spp.)、クレブシエラ属種(Klebsiella spp.)、アシネトバクター属種(Acinetobacter spp.)、ボルデテラ属種(Bordetella spp.)、ネイセリア属種(Neisseria spp.)、アエロモナス属種(Aeromonas spp.)、フランシエセラ属種(Franciesella spp.)、コリネバクテリウム属種(Corynebacterium spp.)、シトロバクター属種(Citrobacter spp.)、クラミジア属種(Chlamydia spp.)、ヘモフィルス属種(Hemophilus spp.)、ブルセラ属種(Brucella spp.)、マイコバクテリウム属種(Mycobacterium spp.)、レジオネラ属種(Legionella spp.)、ロドコッカス属種(Rhodococcus spp.)、シュードモナス属種(Pseudomonas spp.)、ヘリコバクター属種(Helicobacter spp.)、ビブリオ属種(Vibrio spp.)、バチルス属種(Bacillus spp.)、エリシペロスリクス属種(Erysipelothrix spp.)、サルモネラ属種(Salmonella spp.)、ストレプトミセス属種(Streptomyces spp.)、ストレプトコッカス属種(Streptococcus spp.)、スタフィロコッカス属種(Staphylococcus spp.)、バクテロイデス属種(Bacteroides spp.)、プレボテラ属種(Prevotella spp.)、クロストリジウム属種(Clostridium spp.)、ビフィドバクテリウム属種(Bifidobacterium spp.)、クロストリジウム属種(Clostridium spp.,)、ブレビバクテリウム属種(Brevibacterium spp.)、ラクトコッカス属種(Lactococcus spp.)、リューコノストック属種(Leuconostoc spp.)、アクチノバチルス属種(Actinobacillus spp.)、セルノモナス属種(Selnomonas spp.)、シゲラ属種(Shigella spp.)、ザイモナス属種(Zymonas spp.)、マイコプラズマ属種(Mycoplasma spp.)、トレポネーマ属種(Treponema spp.)、リューコノストック属種(Leuconostoc spp.)、コリネバクテリウム属種(Corynebacterium spp.)、エンテロコッカス属種(Enterococcus spp.)、エンテロバクター属種(Enterobacter spp.)、ピロコッカス属種(Pyrococcus spp.)、セルラチア属種(Serratia spp.)、モルガネラ属種(Morganella spp.)、パルビモナス属種(Parvimonas spp.)、フソバクテリウム属種(Fusobacterium spp.)、アクチノミセス属種(Actinomyces spp.)、ポルフィロモナス属種(Porphyromonas spp.)、ミクロコッカス属種(Micrococcus spp.)、バルトネラ属種(Bartonella spp.)、ボレリア属種(Borrelia spp.)、ブルセリア属種(Brucelia spp.)、カンピロバクター属種(Campylobacter spp.)、クラミドフィリア属種(Chlamydophilia spp.)、エーリキア属種(Ehrlichia spp.)、ヘモフィルス属種(Haemophilus spp.)、レプトスピラ属種(Leptospira spp.)、リステリア属種(Listeria spp.)、マイコプラズマ属種(Mycoplasma spp.)、ノカルジア属種(Nocardia spp.)、リケッチア属種(Rickettsia spp.)、ウレアプラズマ属種(Ureaplasma spp.)、キューティバクテリウム属種(Cutibacterium spp.)(以前のプロピオニバクテリウム属種(Propionibacterium spp.))、及びラクトバチルス属種(Lactobacillus spp.)、並びにそれらの混合物からなる群から選択され、好ましくは、目的の細菌が、エシェリキア属種から選択される、請求項1から4のいずれか一項に記載のバクテリオファージ又はパッケージングされたファージミド。
【請求項6】
目的の細菌が、バクテロイデス・テタイオタオミクロン(Bacteroides thetaiotaomicron)、バクテロイデス・フラギリス(Bacteroides fragilis)、バクテロイデス・ジスタソニス(Bacteroides distasonis)、バクテロイデス・ブルガタス(Bacteroides vulgatus)、クロストリジウム・レプタム(Clostridium leptum)、クロストリジウム・コッコイデス(Clostridium coccoides)、スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)、枯草菌(Bacillus subtilis)、クロストリジウム・ブチリカム(Clostridium butyricum)、ブレビバクテリウム・ラクトフェルメンタム(Brevibacterium lactofermentum)、B群溶血性連鎖球菌(Streptococcus agalactiae)、ラクトコッカス・ラクチス(Lactococcus lactis)、リューコノストック・ラクチス(Leuconostoc lactis)、アクチノバチルス・アクチノビセテムコミタンス(Actinobacillus actinobycetemcomitans)、シアノバクテリア、大腸菌(Escherichia coli)、ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)、偏性嫌気性細菌(Selnomonas ruminatium)、D群赤痢菌(Shigella sonnei)、ザイモモナス・モビリス(Zymomonas mobilis)、マイコプラズマ・ミコイデス(Mycoplasma mycoides)、トレポネーマ・デンチコラ(Treponema denticola)、バチルス・チューリンギエンシス(Bacillus thuringiensis)、スタフィロコッカス・ルグドゥネンシス(Staphilococcus lugdunensis)、リューコノストック・オエノス(Leuconostoc oenos)、コリネバクテリウム・ゼロシス(Corynebacterium xerosis)、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)、ラクトバチルス・ラムノサス(Lactobacillus rhamnosus)、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、エンテロコッカス・フェカリス(Enterococcus faecalis)、バチルス・コアグランス(Bacillus coagulans)、バチルス・セレウス(Bacillus cereus)、バチルス・ポピラエ(Bacillus popillae)、シネコシスティス株PCC6803、バチルス・リクエファシエンス(Bacillus liquefaciens)、ピロコッカス・アビシイ(Pyrococcus abyssi)、セレノモナス・ノミナンチウム(Selenomonas nominantium)、ラクトバチルス・ヒルガルディー(Lactobacillus hilgardii)、ストレプトコッカス・フェルス(Streptococcus ferus)、ラクトバチルス・ペントーサス(Lactobacillus pentosus)、バクテロイデス・フラギリス(Bacteroides fragilis)、スタフィロコッカス・エピデルミディス(Staphylococcus epidermidis)、ストレプトミセス・ファエクロモゲネス(Streptomyces phaechromogenes)、ストレプトミセス・ガナエニス(Streptomyces ghanaenis)、クレブシエラ・ニューモニエ(Klebsiella pneumoniae)、エンテロバクター・クロアカ(Enterobacter cloacae)、エンテロバクター・アエロゲネス(Enterobacter aerogenes)、セルラチア・マルセッセンス(Serratia marcescens)、モルガネラ・モルガニイ(Morganella morganii)、シトロバクター・フレウンディ(Citrobacter freundii)、シュードモナス・アエリグノサ(Pseudomonas aerigunosa)、パルビモナス・ミクラ(Parvimonas micra)、プレボテラ・インテルメディア(Prevotella intermedia)、フソバクテリウム・ヌクレアタム(Fusobacterium nucleatum)、プレボテラ・ニグレッセンス(Prevotella nigrescens)、アクチノミセス・イスラエリイ(Actinomyces israelii)、ポルフィロモナス・エンドドンタリス(Porphyromonas endodontalis)、ポルフィロモナス・ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)、ミクロコッカス・ルテウス(Micrococcus luteus)、バチルス・メガテリウム(Bacillus megaterium)、アエロモナス・ハイドロフィラ(Aeromonas hydrophila)、アエロモナス・キャビアエ(Aeromonas caviae)、バチルス・アントラシス(Bacillus anthracis)、バルトネラ・ヘンセラエ(Bartonella henselae)、バルトネラ・クインターナ(Bartonella Quintana)、百日咳菌(Bordetella pertussis)、ボレリア・ブルグドルフェリ(Borrelia burgdorferi)、ボレリア・ガリニイ(Borrelia garinii)、ボレリア・アフゼリイ(Borrelia afzelii)、ボレリア・レクルレンチス(Borrelia recurrentis)、ブルセラ・アボルツス(Brucella abortus)、ブルセラ・カニス(Brucella canis)、ブルセラ・メリテンシス(Brucella melitensis)、ブルセラ・スイス(Brucella suis)、カンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni)、カンピロバクター・コリ(Campylobacter coli)、カンピロバクター・フェタス(Campylobacter fetus)、クラミジア・ニューモニエ(Chlamydia pneumoniae)、クラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)、クラミドフィラ・シッタシ(Chlamydophila psittaci)、クロストリジウム・ボツリヌム(Clostridium botulinum)、クロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)、クロストリジウム・フェルフリンゲンス(Clostridium perfringens)、クロストリジウム・テタニ(Clostridium tetani)、コリネバクテリウム・ジフテリア(Corynebacterium diphtheria)、キューティバクテリウム・アクネス(Cutibacterium acnes)(以前のプロピオニバクテリウム・アクネス(Propionibacterium acnes))、エーリキア・カニス(Ehrlichia canis)、エーリキア・チャフェエンシス(Ehrlichia chaffeensis)、エンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus faecium)、フランシセラ・ツラレンシス(Francisella tularensis)、インフルエンザ菌(Haemophilus influenza)、レジオネラ・ニューモフィラ(Legionella pneumophila)、レプトスピラ・インテロガンス(Leptospira interrogans)、レプトスピラ・サンタロサイ(Leptospira santarosai)、レプトスピラ・ウェイリイ(Leptospira weilii)、レプトスピラ・ノグチイ(Leptospira noguchii)、リステリア・モノシトゲネス(Listeria monocytogenes)、マイコバクテリウム・レプラエ(Mycobacterium leprae)、結核菌(Mycobacterium tuberculosis)、マイコバクテリウム・ウルセランス(Mycobacterium ulcerans)、マイコプラズマ・ニューモニア(Mycoplasma pneumonia)、淋菌(Neisseria gonorrhoeae)、ネイセリア・メニンギチデス(Neisseria meningitides)、ノカルジア・アステロイドス(Nocardia asteroids)、リケッチア・リケッチア(Rickettsia rickettsia)、サルモネラ・エンテリティディス(Salmonella enteritidis)、チフス菌(Salmonella typhi)、サルモネラ・パラチフィ(Salmonella paratyphi)、サルモネラ・ティフィムリウム(Salmonella typhimurium)、シゲラ・フレックスネリ(Shigella flexnerii)、シゲラ・ディセンテリアエ(Shigella dysenteriae)、スタフィロコッカス・サプロフィティクス(Staphylococcus saprophyticus)、ストレプトコッカス・ニューモニエ(Streptococcus pneumoniae)、化膿性連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)、ストレプトコッカス・ビリダンス(Streptococcus viridans)、トレポネーマ・パリズム(Treponema pallidum)、ウレアプラズマ・ウレアリチカム(Ureaplasma urealyticum)、コレラ菌(Vibrio cholera)、ビブリオ・パラハエモリチクス(Vibrio parahaemolyticus)、エルシニア・ペスチス(Yersinia pestis)、エルシニア・エンテロコリチカ(Yersinia enterocolitica)、エルシニア・シュードツベルクロシス(Yersinia pseudotuberculosis)、アクチノバクター・バウマニイ(Actinobacter baumanii)、シュードモナス・アエリグノサ(Pseudomonas aerigunosa)、及びそれらの混合物からなる群から選択され、好ましくは、目的の細菌は、大腸菌(Escherichia coli)、エンテロコッカス・ファエシウム、スタフィロコッカス・アウレウス、クレブシエラ・ニューモニエ、アシネトバクター・バウマニイ(Acinetobacter baumanii)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、エンテロバクター・クロアカ、及びエンテロバクター・アエロゲネス、並びにこれらの混合物からなる群から選択され、より好ましくは、目的の細菌が、大腸菌株から選択される、請求項1から5のいずれか一項に記載のバクテリオファージ又はパッケージングされたファージミド。
【請求項7】
目的の細菌が、Table 1(表1)又はTable 2(表2)の群から選択され、バクテリオファージ又はファージミドが、目的の細菌群に対応する、Table 1(表1)又はTable 2(表2)の制限部位のリストから選択される少なくとも1つの制限部位を含まない、請求項1から6のいずれか一項に記載のバクテリオファージ又はパッケージングされたファージミド。
【請求項8】
バクテリオファージ又はファージミドが、細菌群に対応するTable 1(表1)又はTable 2(表2)の制限部位のリストの制限部位を含まない、請求項7に記載のバクテリオファージ又はパッケージングされたファージミド。
【請求項9】
目的の細菌が大腸菌株から選択され、バクテリオファージ又はファージミドが、CACNNNNNNNCTGG(配列番号1);AACNNNNNNGTGC(配列番号2);AACNNNNCTTT(配列番号4);CACNNNNGTAY(配列番号3);GGTCTC(配列番号36);CTGCAG(配列番号37);及び、GAAABCC(配列番号34)からなる群から選択される少なくとも1つの制限部位を含まない、請求項1から8のいずれか一項に記載のバクテリオファージ又はパッケージングされたファージミド。
【請求項10】
バクテリオファージ又はファージミドが、制限部位CACNNNNNNNCTGG(配列番号1)、CTGCAG(配列番号37)、及びGAAABCC(配列番号34)を含まない、請求項9に記載のバクテリオファージ又はパッケージングされたファージミド。
【請求項11】
バクテリオファージ又はファージミドが、制限部位CACNNNNNNNCTGG(配列番号1)、CTGCAG(配列番号37)、及びGAAABCC(配列番号34)、好ましくは制限部位CACNNNNNNNCTGG(配列番号1)、AACNNNNNNGTGC(配列番号2)、AACNNNNCTTT(配列番号4)、CACNNNNGTAY(配列番号3)、GGTCTC(配列番号36)、CTGCAG(配列番号37)、及びGAAABCC(配列番号34)を含まない、請求項9又は10に記載のバクテリオファージ又はパッケージングされたファージミド。
【請求項12】
バクテリオファージが、IKe、CTX-φ、Pf1、Pf2、Pf3、ミオウイルス科(例えば、P1様、P2様、Mu様、SPO1様、及びphiH様バクテリオファージ);サイフォウイルス科(例えば、λ様、γ様、T1様、c2様、L5様、psiM1様、phiC31様、及びN15様バクテリオファージ);ポドウイルス科(例えば、phi29様、P22様、及びN4様バクテリオファージ);テクティウイルス科(例えば、テクティウイルス);コルチコウイルス科(例えば、コルチコウイルス);リポスリクスウイルス科(例えば、アルファリポスリクスウイルス、ベータリポスリクスウイルス、ガンマリポスリクスウイルス、及びデルタリポスリクスウイルス);プラズマウイルス科(例えば、プラズマウイルス);ルディウイルス科(例えば、ルディウイルス);フセロウイルス科(例えば、フセロウイルス);イノウイルス科(例えば、イノウイルス、プレトウイルス、M13様及びfd様バクテリオファージ);ミクロウイルス科(例えば、ミクロウイルス、スピロミクロウイルス、ブデロミクロウイルス、及びクラミジアミクロウイルス);レビウイルス科(例えば、レビウイルス、及びアロレビウイルス);シストウイルス科(例えば、シストウイルス)、大腸菌(coli)ファージ(例えば、大腸菌に感染)、B1(例えば、バクテロイデス・テェタイオタミクロン(Bacteroides thetaiotamicron)に感染)、ATCC 51477-B1、B40-8、又はBf-1(例えば、B.フラギリスに感染)、phiHSC01(例えば、B.カカエに感染)、phiHSC02(例えば、B.オバツスに感染)、phiC2、phiC5、phiC6、phiC8、phiCD119、又はphiCD27(例えば、クロストリジウム・ヂフィシレに感染)、KP01K2、K11、Kpn5、KP34、又はJD001(例えば、クレブシエラ・ニューモニアエに感染)、phiNM1又は80アルファ(例えば、スタフィロコッカス・アウレウスに感染)、IME-EF1(例えば、エンテロコッカス・ファエカリスに感染)、ENB6又はC33(例えば、エンテロコッカス・ファエシウムに感染)、及びphiKMV、PAK-P1、LKD16、LKA1、デルタ、シグマ-1、J1(例えば、シュードモナス・アエリグノサに感染)、T2、T4、T5、T7、RB49、phiX174、R17、PRD1バクテリオファージからなる群から選択され、又はファージミドは、これらのバクテリオファージのうちの1つのキャプシドにパッケージングされる、請求項1から11のいずれか一項に記載のバクテリオファージ又はパッケージングされたファージミド。
【請求項13】
ファージミドが、ラムダ由来ファージミド、P4由来ファージミド、M13由来ファージミド、例えば、糸状ファージパッキング用のf1起源を含有するもの、例えば、pBluescript II SK(+/-)及びKS(+/-)ファージミド、pBC SK及びKSファージミド、pADL及びP1由来ファージミドからなる群から選択され、好ましくは本発明によるファージミドは、ラムダ由来ファージミド及びP4由来ファージミドから選択され、より好ましくは本発明によるファージミドは、ラムダ由来ファージミドから選択され、好ましくはHK022由来ファージミド、mEP237由来ファージミド、HK97由来ファージミド、HK629由来ファージミド、HK630由来ファージミド、mEP043由来ファージ、mEP213由来ファージミド、mEP234由来ファージミド、mEP390由来ファージミド、mEP460由来ファージミド、mEPx1由来ファージミド、mEPx2由来ファージミド、phi80由来ファージミド、mEP234由来ファージミドからなる群から選択される、請求項1から12のいずれか一項に記載のバクテリオファージ又はパッケージングされたファージミド。
【請求項14】
目的の細菌群、好ましくは請求項6又は7に規定の細菌群から選択される細菌群に感染させるための、請求項1から13のいずれか一項に規定のバクテリオファージ若しくはパッケージングされたファージミドの使用。
【請求項15】
請求項1から13のいずれか一項に規定のバクテリオファージ若しくはパッケージングされたファージミドを含むか、又は本質的にそれからなる医薬組成物又は獣医用組成物。
【請求項16】
薬物として使用するための、とりわけ対象の全体的な健康を改善するための、病原性又は毒性細菌を根絶するための、薬物の有効性を改善するための、及び/又は微生物叢の組成を改変するための、特に感染症、炎症性疾患、自己免疫疾患、癌、及び脳障害を治療するための、請求項1から13のいずれか一項に記載のバクテリオファージ若しくはパッケージングされたファージミド、又は請求項15に記載の医薬組成物若しくは獣医用組成物。
【請求項17】
感染症が、細菌感染症であり、好ましくは目的の細菌群から選択される細菌によって引き起こされる細菌感染症である、請求項16に記載の使用のためのバクテリオファージ若しくはパッケージングされたファージミド、又は請求項15に記載の使用のための医薬組成物若しくは獣医用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医学の分野、特に細菌感染症の分野に関する。本発明は、新規なファージ治療戦略を提供する。
【背景技術】
【0002】
今日、細菌感染症の治療は、主に抗生物質の使用に依存している。しかしながら、抗生物質の過剰であり、不適切な使用は、抗生物質耐性微生物の出現及び蔓延を助長してきた。実際、「スーパーバグ」としても公知である抗生物質耐性微生物によって引き起こされる感染は、もはや従来の治療法に反応しないことが多く、それによって感染に関連する疾患の期間を延ばし、更に患者を死に至らせる。この抗生物質耐性現象の発生及び新規な抗生物質クラスの発見の欠如のために、人類は、現在、細菌感染症のための効果的な治療法がない将来の可能性に直面している。
【0003】
更に、最近の微生物叢分野の発展に伴い、抗生物質治療の有害な影響を強調する研究の数が増えている。実際、それらの低い特異性のために、抗生物質は、細菌の多様性を減らし、それは健康な微生物叢の開発及び保存の要である。
【0004】
バクテリオファージは、特定の細菌種に感染して繁殖することができ、ほとんどの場合、それらを死に至らしめるウイルスである。1917年に発見されて以来、それらは東ヨーロッパで病原性細菌に対する治療薬として使用されてきた。そこで、それらは抗生物質又は補完療法の代替物であり続けている。この方法は、「ファージ療法」と呼ばれる。
【0005】
広域スペクトルの細菌種に対して活性である古典的な化学物質ベースの抗生物質とは異なり、各バクテリオファージは、少数の異なる密接に関連した細菌にのみ感染し、死滅させることができる。この狭いスペクトルの殺菌活性は、ファージ療法の使用における主要なボトルネックの1つである。これまで、特異性の問題を回避するために2つの方法が使用されてきた。
【0006】
第1の方法は、ファージカクテルとも呼ばれる、天然に存在する異なるファージの混合物を使用することからなり、各ファージは細菌株の異なるサブセットを標的とする。このようなカクテルの主な欠点は、規制当局の承認基準を満たすことが難しいことである。
【0007】
第2の方法は、突然変異/選択サイクル又は操作によって特定のファージの宿主範囲を広げることである。
【0008】
突然変異/選択サイクル戦略では、ファージは、標的化された細菌の存在下で突然変異及び選択のサイクルを経験する。しかしながら、この方法はいくつかの欠点を有する。実際、これらの突然変異/選択サイクルは、ファージに対して免疫性のある各々の標的化された菌株について繰り返されなければならず、1つの標的化された菌株における複製を可能にする突然変異の選択は、他の菌株に入る可能性を減少又は廃止し得る。更に、ファージの突然変異スペクトル(利用可能な突然変異の空間)は限定されている。
【0009】
対照的に、ファージ工学は、感染にとって重要であることが公知であるファージの特定の特徴が追加又は修飾される、より合理的なアプローチを可能にする。ファージ工学における努力の大部分は、これまで、ファージがテールファイバータンパク質を介して標的化された菌株を認識する能力に焦点を合わせてきた。2つのファージ間でテールファイバーを交換することは、原則として、それらの認識特性の交換を可能にし得る。一例として、ファージT3及びT7のgp17テールファイバー遺伝子を交換することにより、T7はその宿主範囲を拡大し、以前はT7に対して免疫性であったが、T3に対しては免疫性でなかった大腸菌(E. coli)株に感染させることができた(Pires DPら、2016、Microbiology and Molecular Biology Reviews、80(3): 523~543頁)。
【0010】
しかしながら、テールファイバータンパク質修飾は、バクテリオファージ宿主範囲の拡大において限定された成功を示した。
【0011】
更に、ファージ工学は、ファージゲノムサイズ、及び宿主内で修飾を操作することが困難であることを含むいくつかの理由から(特に溶解性ファージを扱う場合)、面倒な作業となり得る。したがって、研究者らは、最近、細菌内にプラスミドの形態で目的のDNAを注入するために、ファージ機構をナノキャリアとして使用している。例えば、ファージミドとも呼ばれるこれらのプラスミド-ファージハイブリッドは、細菌の配列特異的な死滅を可能にするCRISPR Cas9ヌクレアーゼをコードする遺伝子回路を注入するために使用されてきた(Bikard Dら、2014、Nature Biotechnology、32(11): 1146~1150頁; Citorik RJら、2014, Nature Biotechnology, 32(11): 1141~1145頁;国際公開第2015/034872号)。この戦略は、所定の抗生物質に対する耐性を含有する細菌の亜集団を特異的に死滅させるのに効率的であった。
【0012】
しかしながら、現在、市販されている従来の抗生物質に対する実際の広域スペクトル代替治療法はない。したがって、包括的な病原菌耐性、特に微生物叢の多様性を損なうことなく、細菌性病原菌株を標的化する広域スペクトル療法を効率的に克服することができる新規な広域スペクトルファージ又はファージミド療法を開発する持続的であり、緊急の医学的ニーズがある。本発明は、これらの及び他のニーズを満たすことを目的とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】国際公開第2015/034872号
【特許文献2】国際公開第2014/124226号
【特許文献3】米国特許出願公開第2015/0064138号
【非特許文献】
【0014】
【非特許文献1】Pires DPら、2016、Microbiology and Molecular Biology Reviews、80(3): 523~543頁
【非特許文献2】Bikard Dら、2014、Nature Biotechnology、32(11): 1146~1150頁
【非特許文献3】Citorik RJら、2014, Nature Biotechnology, 32(11): 1141~1145頁
【非特許文献4】Mutalik VKら、Nature Methods、2013、10: 354~360頁
【非特許文献5】Chen YJら (2013、Nature Methods、10: 659~664頁
【非特許文献6】Cambray Gら、Nucl Acids Res、2013、41(9): 5139~5148頁
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【非特許文献8】Roberts, R.ら、2015、Nucleic Acids Res 43、D298-D299
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【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明者らは、驚くべきことに、ファージ/ファージミドから標的細菌株へのDNA侵入の主な障害は、テールファイバーの特異性とは関係がなく、むしろそのゲノム中に存在する制限部位の数と関係することを発見した。したがって、同じテールファイバータンパク質を有する同じバクテリオファージスキャフォールドは、カーゴ中に存在する制限部位の数に従って様々な効率(0~100%の範囲)でそのDNAカーゴを送達することができる。これらの結果は、全体的に異なる方法でファージ/ファージミド宿主範囲の問題に取り組み、新しく操作された、非常に効率的なファージ又はファージミドベースの粒子の設計のための未踏の道を提供する。実際、ここでは、以前に行われてきたようにウイルス粒子のための異なる付着及び侵入点を操作する代わりに、減少した数の制限部位を有するファージミド又はバクテリオファージゲノムを合理的に設計することである。
【0016】
したがって、本発明は、バクテリオファージ又はパッケージングされたファージミドに関し、バクテリオファージ又はファージミドは、目的の細菌群において高頻度でコードされる制限酵素のいずれの制限部位も含まない。
【0017】
特に、目的の細菌群の細菌の少なくとも10%が制限酵素をコードする場合、その制限酵素は、目的の細菌群に高頻度でコードされる。
【0018】
好ましくは、目的の細菌群は、n個の細菌株の群からなり、nは、2~約100,000、好ましくは10~約10,000の正の整数を含む。好ましくは、細菌株は、単一種から選択される。
【0019】
任意選択的に、目的の細菌は、エルシニア属種(Yersinia spp.)、エシェリキア属種(Escherichia spp.)、クレブシエラ属種(Klebsiella spp.)、アシネトバクター属種(Acinetobacter spp.)、ボルデテラ属種(Bordetella spp.)、ネイセリア属種(Neisseria spp.)、アエロモナス属種(Aeromonas spp.)、フランシエセラ属種(Franciesella spp.)、コリネバクテリウム属種(Corynebacterium spp.)、シトロバクター属種(Citrobacter spp.)、クラミジア属種(Chlamydia spp.)、ヘモフィルス属種(Hemophilus spp.)、ブルセラ属種(Brucella spp.)、マイコバクテリウム属種(Mycobacterium spp.)、レジオネラ属種(Legionella spp.)、ロドコッカス属種(Rhodococcus spp.)、シュードモナス属種(Pseudomonas spp.)、ヘリコバクター属種(Helicobacter spp.)、ビブリオ属種(Vibrio spp.)、バチルス属種(Bacillus spp.)、エリシペロスリクス属種(Erysipelothrix spp.)、サルモネラ属種(Salmonella spp.)、ストレプトミセス属種(Streptomyces spp.)、ストレプトコッカス属種(Streptococcus spp.)、スタフィロコッカス属種(Staphylococcus spp.)、バクテロイデス属種(Bacteroides spp.)、プレボテラ属種(Prevotella spp.)、クロストリジウム属種(Clostridium spp.)、ビフィドバクテリウム属種(Bifidobacterium spp.)、クロストリジウム属種(Clostridium spp.)、ブレビバクテリウム属種(Brevibacterium spp.)、ラクトコッカス属種(Lactococcus spp.)、リューコノストック属種(Leuconostoc spp.)、アクチノバチルス属種(Actinobacillus spp.)、セルノモナス属種(Selnomonas spp.)、シゲラ属種(Shigella spp.)、ザイモナス属種(Zymonas spp.)、マイコプラズマ属種(Mycoplasma spp.)、トレポネーマ属種(Treponema spp.)、リューコノストック属種(Leuconostoc spp.)、コリネバクテリウム属種(Corynebacterium spp.)、エンテロコッカス属種(Enterococcus spp.)、エンテロバクター属種(Enterobacter spp.)、ピロコッカス属種(Pyrococcus spp.)、セルラチア属種(Serratia spp.)、モルガネラ属種(Morganella spp.)、パルビモナス属種(Parvimonas spp.)、フソバクテリウム属種(Fusobacterium spp.)、アクチノミセス属種(Actinomyces spp.)、ポルフィロモナス属種(Porphyromonas spp.)、ミクロコッカス属種(Micrococcus spp.)、バルトネラ属種(Bartonella spp.)、ボレリア属種(Borrelia spp.)、ブルセリア属種(Brucelia spp.)、カンピロバクター属種(Campylobacter spp.)、クラミドフィリア属種(Chlamydophilia spp.)、キューティバクテリウム属種(Cutibacterium spp.)(以前のプロピオニバクテリウム属種(Propionibacterium spp.))、エーリキア属種(Ehrlichia spp.)、ヘモフィルス属種(Haemophilus spp.)、レプトスピラ属種(Leptospira spp.)、リステリア属種(Listeria spp.)、マイコプラズマ属種(Mycoplasma spp.)、ノカルジア属種(Nocardia spp.)、リケッチア属種(Rickettsia spp.)、ウレアプラズマ属種(Ureaplasma spp.)、及びラクトバチルス属種(Lactobacillus spp.)、並びにそれらの混合物からなる群から選択され、好ましくは、目的の細菌は、エシェリキア属種から選択される。
【0020】
任意選択的に、目的の細菌は、バクテロイデス・テタイオタオミクロン(Bacteroides thetaiotaomicron)、バクテロイデス・フラギリス(Bacteroides fragilis)、バクテロイデス・ジスタソニス(Bacteroides distasonis)、バクテロイデス・ブルガタス(Bacteroides vulgatus)、クロストリジウム・レプタム(Clostridium leptum)、クロストリジウム・コッコイデス(Clostridium coccoides)、スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)、枯草菌(Bacillus subtilis)、クロストリジウム・ブチリカム(Clostridium butyricum)、ブレビバクテリウム・ラクトフェルメンタム(Brevibacterium lactofermentum)、B群溶血性連鎖球菌(Streptococcus agalactiae)、ラクトコッカス・ラクチス(Lactococcus lactis)、リューコノストック・ラクチス(Leuconostoc lactis)、アクチノバチルス・アクチノビセテムコミタンス(Actinobacillus actinobycetemcomitans)、シアノバクテリア、大腸菌(Escherichia coli)、ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)、偏性嫌気性細菌(Selnomonas ruminatium)、D群赤痢菌(Shigella sonnei)、ザイモモナス・モビリス(Zymomonas mobilis)、マイコプラズマ・ミコイデス(Mycoplasma mycoides)、トレポネーマ・デンチコラ(Treponema denticola)、バチルス・チューリンギエンシス(Bacillus thuringiensis)、スタフィロコッカス・ルグドゥネンシス(Staphilococcus lugdunensis)、リューコノストック・オエノス(Leuconostoc oenos)、コリネバクテリウム・ゼロシス(Corynebacterium xerosis)、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)、ラクトバチルス・ラムノサス(Lactobacillus rhamnosus)、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、エンテロコッカス・フェカリス(Enterococcus faecalis)、バチルス・コアグランス(Bacillus coagulans)、バチルス・セレウス(Bacillus cereus)、バチルス・ポピラエ(Bacillus popillae)、シネコシスティス株PCC6803、バチルス・リクエファシエンス(Bacillus liquefaciens)、ピロコッカス・アビシイ(Pyrococcus abyssi)、セレノモナス・ノミナンチウム(Selenomonas nominantium)、ラクトバチルス・ヒルガルディー(Lactobacillus hilgardii)、ストレプトコッカス・フェルス(Streptococcus ferus)、ラクトバチルス・ペントーサス(Lactobacillus pentosus)、バクテロイデス・フラギリス(Bacteroides fragilis)、スタフィロコッカス・エピデルミディス(Staphylococcus epidermidis)、ストレプトミセス・ファエクロモゲネス(Streptomyces phaechromogenes)、ストレプトミセス・ガナエニス(Streptomyces ghanaenis)、クレブシエラ・ニューモニエ(Klebsiella pneumoniae)、エンテロバクター・クロアカ(Enterobacter cloacae)、エンテロバクター・アエロゲネス(Enterobacter aerogenes)、セルラチア・マルセッセンス(Serratia marcescens)、モルガネラ・モルガニイ(Morganella morganii)、シトロバクター・フレウンディ(Citrobacter freundii)、シュードモナス・アエリグノサ(Pseudomonas aerigunosa)、パルビモナス・ミクラ(Parvimonas micra)、プレボテラ・インテルメディア(Prevotella intermedia)、フソバクテリウム・ヌクレアタム(Fusobacterium nucleatum)、プレボテラ・ニグレッセンス(Prevotella nigrescens)、アクチノミセス・イスラエリイ(Actinomyces israelii)、ポルフィロモナス・エンドドンタリス(Porphyromonas endodontalis)、ポルフィロモナス・ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)、ミクロコッカス・ルテウス(Micrococcus luteus)、バチルス・メガテリウム(Bacillus megaterium)、アエロモナス・ハイドロフィラ(Aeromonas hydrophila)、アエロモナス・キャビアエ(Aeromonas caviae)、バチルス・アントラシス(Bacillus anthracis)、バルトネラ・ヘンセラエ(Bartonella henselae)、バルトネラ・クインターナ(Bartonella Quintana)、百日咳菌(Bordetella pertussis)、ボレリア・ブルグドルフェリ(Borrelia burgdorferi)、ボレリア・ガリニイ(Borrelia garinii)、ボレリア・アフゼリイ(Borrelia afzelii)、ボレリア・レクルレンチス(Borrelia recurrentis)、ブルセラ・アボルツス(Brucella abortus)、ブルセラ・カニス(Brucella canis)、ブルセラ・メリテンシス(Brucella melitensis)、ブルセラ・スイス(Brucella suis)、カンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni)、カンピロバクター・コリ(Campylobacter coli)、カンピロバクター・フェタス(Campylobacter fetus)、クラミジア・ニューモニエ(Chlamydia pneumoniae)、クラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)、クラミドフィラ・シッタシ(Chlamydophila psittaci)、クロストリジウム・ボツリヌム(Clostridium botulinum)、クロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)、クロストリジウム・フェルフリンゲンス(Clostridium perfringens)、クロストリジウム・テタニ(Clostridium tetani)、コリネバクテリウム・ジフテリア(Corynebacterium diphtheria)、キューティバクテリウム・アクネス(Cutibacterium acnes)(以前のプロピオニバクテリウム・アクネス(Propionibacterium acnes))、エーリキア・カニス(Ehrlichia canis)、エーリキア・チャフェエンシス(Ehrlichia chaffeensis)、エンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus faecium)、フランシセラ・ツラレンシス(Francisella tularensis)、インフルエンザ菌(Haemophilus influenza)、レジオネラ・ニューモフィラ(Legionella pneumophila)、レプトスピラ・インテロガンス(Leptospira interrogans)、レプトスピラ・サンタロサイ(Leptospira santarosai)、レプトスピラ・ウェイリイ(Leptospira weilii)、レプトスピラ・ノグチイ(Leptospira noguchii)、リステリア・モノシトゲネス(Listeria monocytogenes)、マイコバクテリウム・レプラエ(Mycobacterium leprae)、結核菌(Mycobacterium tuberculosis)、マイコバクテリウム・ウルセランス(Mycobacterium ulcerans)、マイコプラズマ・ニューモニア(Mycoplasma pneumonia)、淋菌(Neisseria gonorrhoeae)、ネイセリア・メニンギチデス(Neisseria meningitides)、ノカルジア・アステロイドス(Nocardia asteroids)、リケッチア・リケッチア(Rickettsia rickettsia)、サルモネラ・エンテリティディス(Salmonella enteritidis)、チフス菌(Salmonella typhi)、サルモネラ・パラチフィ(Salmonella paratyphi)、サルモネラ・ティフィムリウム(Salmonella typhimurium)、シゲラ・フレックスネリ(Shigella flexnerii)、シゲラ・ディセンテリアエ(Shigella dysenteriae)、スタフィロコッカス・サプロフィティクス(Staphylococcus saprophyticus)、ストレプトコッカス・ニューモニエ(Streptococcus pneumoniae)、化膿性連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)、ストレプトコッカス・ビリダンス(Streptococcus viridans)、トレポネーマ・パリズム(Treponema pallidum)、ウレアプラズマ・ウレアリチカム(Ureaplasma urealyticum)、コレラ菌(Vibrio cholera)、ビブリオ・パラハエモリチクス(Vibrio parahaemolyticus)、エルシニア・ペスチス(Yersinia pestis)、エルシニア・エンテロコリチカ(Yersinia enterocolitica)、エルシニア・シュードツベルクロシス(Yersinia pseudotuberculosis)、アクチノバクター・バウマニイ(Actinobacter baumanii)、シュードモナス・アエリグノサ(Pseudomonas aerigunosa)、及びそれらの混合物からなる群から選択され、好ましくは、目的の細菌は、大腸菌、エンテロコッカス・ファエシウム、スタフィロコッカス・アウレウス、クレブシエラ・ニューモニエ、アシネトバクター・バウマニイ(Acinetobacter baumanii)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、エンテロバクター・クロアカ、及びエンテロバクター・アエロゲネス、並びにこれらの混合物からなる群から選択され、より好ましくは、目的の細菌は、大腸菌株から選択される。
【0021】
一実施形態では、目的の細菌は、Table 1(表1)又はTable 2(表2)の群から選択され、バクテリオファージ又はファージミドは、目的の細菌群に対応する、Table 1(表1)又はTable 2(表2)の制限部位のリストから選択される少なくとも1つの制限部位を含まない。好ましくは、バクテリオファージ又はファージミドは、細菌群に対応するTable 1(表1)又はTable 2(表2)の制限部位のリストの制限部位を含まない。
【0022】
一実施形態では、目的の細菌は、大腸菌株から選択され、バクテリオファージ又はファージミドは、CACNNNNNNNCTGG(配列番号1);AACNNNNNNGTGC(配列番号2);AACNNNNCTTT(配列番号4);CACNNNNGTAY(配列番号3);GGTCTC(配列番号36);CTGCAG(配列番号37);及び、GAAABCC(配列番号34)からなる群から選択される少なくとも1つの制限部位を含まない。好ましくは、バクテリオファージ又はファージミドは、制限部位CACNNNNNNNCTGG(配列番号1)、CTGCAG(配列番号37)、及びGAAABCC(配列番号34)を含まない。任意選択的に、バクテリオファージ又はファージミドは、制限部位CACNNNNNNNCTGG(配列番号1)、CTGCAG(配列番号37)、及びGAAABCC(配列番号34)、好ましくは制限部位CACNNNNNNNCTGG(配列番号1);AACNNNNNNGTGC(配列番号2);AACNNNNCTTT(配列番号4);CACNNNNGTAY(配列番号3);GGTCTC(配列番号36);CTGCAG(配列番号37);及び、GAAABCC(配列番号34)を含まない。
【0023】
任意選択的に、バクテリオファージは、IKe、CTX-φ、Pf1、Pf2、Pf3、ミオウイルス科(例えば、P1様、P2様、Mu様、SPO1様、及びphiH様バクテリオファージ);サイフォウイルス科(例えば、λ様、γ様、T1様、c2様、L5様、psiM1様、phiC31様、及びN15様バクテリオファージ);ポドウイルス科(例えば、phi29様、P22様、及びN4様バクテリオファージ);テクティウイルス科(例えば、テクティウイルス);コルチコウイルス科(例えば、コルチコウイルス);リポスリクスウイルス科(例えば、アルファリポスリクスウイルス、ベータリポスリクスウイルス、ガンマリポスリクスウイルス、及びデルタリポスリクスウイルス);プラズマウイルス科(例えば、プラズマウイルス);ルディウイルス科(例えば、ルディウイルス);フセロウイルス科(例えば、フセロウイルス);イノウイルス科(例えば、イノウイルス、プレトウイルス、M13様及びfd様バクテリオファージ);ミクロウイルス科(例えば、ミクロウイルス、スピロミクロウイルス、ブデロミクロウイルス、及びクラミジアミクロウイルス);レビウイルス科(例えば、レビウイルス、アロレビウイルス);シストウイルス科(例えば、シストウイルス)、大腸菌(coli)ファージ(例えば、大腸菌に感染)、B1(例えば、バクテロイデス・テェタイオタミクロン(Bacteroides thetaiotamicron)に感染)、ATCC 51477-B1、B40-8、又はBf-1(例えば、B.フラギリスに感染)、phiHSC01(例えば、B.カカエに感染)、phiHSC02(例えば、B.オバツスに感染)、phiC2、phiC5、phiC6、phiC8、phiCD119、又はphiCD27(例えば、クロストリジウム・ヂフィシレに感染)、KP01K2、K11、Kpn5、KP34、又はJD001(例えば、クレブシエラ・ニューモニアエに感染)、phiNM1又は80アルファ(例えば、スタフィロコッカス・アウレウスに感染)、IME-EF1(例えば、エンテロコッカス・ファエカリスに感染)、ENB6又はC33(例えば、エンテロコッカス・ファエシウムに感染)、及びphiKMV、PAK-P1、LKD16、LKA1、デルタ、シグマ-1、J1(例えば、シュードモナス・アエリグノサに感染)、T2、T4、T5、T7、RB49、phiX174、R17、PRD1バクテリオファージからなる群から選択され、又はファージミドは、これらのバクテリオファージのうちの1つのキャプシドにパッケージングされる。
【0024】
任意選択的に、ファージミドは、ラムダ由来ファージミド、P4由来ファージミド、M13由来ファージミド、例えば、糸状ファージパッキング用のf1起源を含有するもの、例えば、pBluescript II SK(+/-)及びKS(+/-)ファージミド、pBC SK及びKSファージミド、pADL及びP1由来ファージミドからなる群から選択され、好ましくは本発明によるファージミドは、ラムダ由来ファージミド及びP4由来ファージミドから選択され、より好ましくは本発明によるファージミドは、ラムダ由来ファージミドから選択され、好ましくはHK022由来ファージミド、mEP237由来ファージミド、HK97由来ファージミド、HK629由来ファージミド、HK630由来ファージミド、mEP043由来ファージ、mEP213由来ファージミド、mEP234由来ファージミド、mEP390由来ファージミド、mEP460由来ファージミド、mEPx1由来ファージミド、mEPx2由来ファージミド、phi80由来ファージミド、mEP234由来ファージミドからなる群から選択される。
【0025】
第2の態様では、本発明は、細菌、好ましくは目的の上記細菌群から選択される細菌を感染させるための本発明によるバクテリオファージ又はパッケージングされたファージミドの使用に関する。
【0026】
第3の態様では、本発明はまた、本発明によるバクテリオファージ又はパッケージングされたファージミドを含むか又は本質的にそれから医薬組成物又は獣医用組成物に関する。
【0027】
更に本発明は、第4の態様では、薬物として使用するための、とりわけ対象の全体的な健康を改善するための、病原性又は毒性細菌を根絶するための、薬物の有効性を改善するための、及び/又は微生物叢の組成を改変するための、特に感染症、炎症性疾患、自己免疫疾患、癌、及び脳障害を治療するための、本発明によるバクテリオファージ若しくはパッケージングされたファージミド、又は本発明による医薬組成物若しくは獣医用組成物に関する。
【0028】
好ましくは、感染症は、細菌感染症であり、好ましくは目的の細菌群から選択される細菌によって引き起こされる細菌感染症である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1AB】野生型ラムダファージ及びラムダベースのファージミドの注入効率。A)89個の大腸菌株のセットを野生型ラムダファージ粒子(48.5kbゲノム)で処理し、注入効率をプラーク形成によって評価した。白色、プラークが存在する;灰色、プラークなし;十字、菌株は増殖しなかった(分析していない)。B)(A)に示されたものと同じ菌株をクロラムフェニコール耐性及びGFPをコードする3.3kbのDNAカーゴを有するパッケージングされたラムダファージミドで処理した。白色、蛍光コロニーが存在する;灰色、コロニーなし;十字、菌株はクロラムフェニコールに対して自然に耐性があった(分析していない)。
図1C】C)3.3kbのパッケージングされたラムダベースのファージミドが標的菌株に注入され得て(下の列)、一方、ラムダ野生型バクテリオファージは注入され得ない(上の列)ことを示す(A)及び(B)からの菌株の例。
図2】CFUによって評価された、試験菌株1及び許容対照菌株(対照)に対するラムダファージミド:8kb タイプI及び8kb RF(A)、3kb タイプI及び3kb RF(B)の形質導入の効率。ラムダファージミド8kb及び3kb RFは、試験菌株1のRMヌクレアーゼによって認識される制限部位が除去されていて、一方、ラムダファージミド8kb タイプI及び3kb タイプIIは単一の制限部位を含有する。対照菌株は、RFと非制限フリーのラムダファージミドの両方に対して許容敵である。形質導入に使用されたファージミドの希釈度[10^(-所定数)]は、各ストリークの上に示される。最大数の個々の計数可能なCFUを与えたファージミド希釈物を有するストリークをファージミド力価の計算に使用した。
図3】ラムダファージミド:8kb WT及び8kb RF(A)、3kb WT及び3kb RF(B)による形質導入後の87個の異なる大腸菌株の増殖。個々の菌株は、96ウェルプレート上の位置によって示される。増殖を示した菌株(播種されたスポットあたり10個を超えるコロニーが視認される)は灰色で示される。分析に含まれていない96ウェルプレートの位置を黒色で示す。位置B7は、試験した全てのファージミドでの形質導入後に増殖を示した許容対照菌株である大腸菌MG1655を含有する。制限部位が枯渇していない対応するWTファージミド変異体と比較して、多数の菌株は、大腸菌RMヌクレアーゼによって認識される制限部位の大部分が除去されているラムダファージミド8kb及び3kb RFで形質導入された。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明者らは、ファージ/ファージミドから標的細菌株へのDNA送達の主な障害が、バクテリオファージの特性、特にそのテールファイバーの特異性に関連するのではなく、むしろそのゲノム中に存在する制限部位の数に関連することを驚くべきことに発見した。それため、同じテールファイバータンパク質を有する同じバクテリオファージスキャフォールドは、そのゲノム中に存在し、標的化された細菌群の制限酵素によって認識される制限部位の数に従って、様々な効率(0~100%の範囲)でそのDNAカーゴを送達することができる。したがって、本発明者らは、制限部位の数の減少に依存し、それによって標的化された細菌群におけるスペクトルを改善する、操作された非常に効率的なファージミドベースの粒子の設計のための新しい戦略を発見した。
【0031】
定義
他に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に記載されるものと類似した又は同等の任意の方法及び材料を本発明の実施又は試験に使用することができるが、好ましい方法及び材料が記載されている。本出願において引用される全ての特許及び科学文献は、この分野における知識のレベルを証明し、本明細書中に参考として援用される。説明を明確にするために、以下の用語を以下に定義する。
【0032】
本明細書で使用されるとき、用語「核酸」とは、互いに共有結合した少なくとも2つのヌクレオチドを指し、いくつか場合において、ホスホジエステル結合(例えば、ホスホジエステル「骨格」)を含み得る。一部の実施形態では、本開示の核酸は、例えば、ホスホルアミド、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、O-メチルホスホロアミダイト連結、及び/又はペプチド核酸を含む他の骨格を含有し得る核酸類似体であると考えられ得る。本開示の核酸(例えば、核酸の成分又は部分)は、天然に存在してもよく又は操作されてもよい。操作された核酸には、組換え核酸及び合成核酸が含まれる。「組換え核酸」とは、核酸分子を接続することによって構築され、一部の実施形態では、生細胞内で複製することができる分子を指すことがある。「合成核酸」は、化学的に又は他には修飾されているが、天然に存在する核酸分子と塩基対合することができるものを含む、化学的に又は他の手段によって合成若しくは増幅された分子を指し得る。組換え核酸及び合成核酸はまた、前述のいずれかの複製から生じるそれらの分子を含む。核酸は、明記されるように、一本鎖(ss)若しくは二本鎖(ds)であり得るか又は一本鎖配列と二本鎖配列の両方の部分を含有し得る。核酸は、ゲノムとcDNAの両方のDNA、RNA又はハイブリッド/キメラであり得、ここで、核酸は、デオキシリボヌクレオチド及びリボヌクレオチドの任意の組み合わせ、並びにウラシル、アデニン、チミン、シトシン、グアニン、イノシン、キサンチン、ヒポキサンチン、イソシトシン、及びイソグアニンを含む塩基の任意の組み合わせを含有する。好ましくは、組換え核酸及び合成核酸は天然には存在せず、特にそれは天然には同じ核酸分子に見られない2つの配列を含む。
【0033】
本明細書で使用されるとき、用語「ベクター」及び「DNAカーゴ」は同義であり、パッセンジャー核酸配列、すなわちDNA又はRNAを宿主細胞に移すのに役立つ核酸分子、典型的にはDNA又はRNAを指す。ベクターは、複製起点、選択マーカー、及び任意選択的にマルチクローニング部位などの遺伝子の挿入に適した部位を含み得る。プラスミド、バクテリオファージゲノム、ファージミド、ウイルスゲノム、コスミド、及び人工染色体を含むいくつかの一般的なタイプのベクターがある。「ベクター」とは、ファージミド又はバクテリオファージゲノムを指すことができる。
【0034】
本明細書で使用されるとき、用語「発現ベクター」とは、細胞における遺伝子発現のために設計されたベクターを指す。発現ベクターは、特定の遺伝子を標的細胞に導入することを可能にし、その遺伝子によりコードされるタンパク質を生成するためのタンパク質合成用の細胞のメカニズムを支配することができる。発現ベクターは、例えば、プロモーター、リボソーム結合部位及び開始コドンなどの正しい翻訳開始配列、終止コドン、及び転写終結配列を含む発現要素を含む。発現ベクターはまた、所与の遺伝子の転写レベルを指示するためのエンハンサー、サイレンサー、及び境界要素/インスレーターなどの他の調節領域を含み得る。発現ベクターは、遺伝子を安定的に又は一過性に発現させるためのベクターであり得る。
【0035】
本明細書で使用されるとき、用語「送達媒体」とは、細菌へのベクターの移入を可能にする構造又は組成物を指す。バクテリオファージスキャフォールド、ウイルススキャフォールド、化学物質ベースの送達媒体(例えば、シクロデキストリン、リン酸カルシウム、カチオン性ポリマー、カチオン性リポソーム)、ナノ粒子ベースの送達媒体(又はプラットフォーム)、非化学物質ベースの送達媒体(例えば、エレクトロポレーション、ソノポレーション、オプティカルトランスフェクション)、粒子ベースの送達媒体(例えば、遺伝子銃、マグネトフェクション、インペールフェクション、粒子衝撃、細胞透過性ペプチド)、又はドナー細菌を含むいくつかの一般的なタイプの送達媒体がある。
【0036】
本明細書で使用されるとき、用語「接合性プラスミド」とは、接合中に1つの細菌細胞から別の細菌細胞に移入されるプラスミドを指し、本明細書で使用される「ドナー細菌」は、接合性プラスミドを別の細菌に移入することができる細菌である。
【0037】
本明細書で使用されるとき、用語「バクテリオファージ」又は「ファージ」は同義であり、細菌に感染し、その中で複製するウイルスを指す。バクテリオファージは、バクテリオファージスキャフォールド及びバクテリオファージゲノムで構成される。バクテリオファージゲノムは、野生型又は遺伝子操作されたものであり得る。特に、バクテリオファージは操作されたバクテリオファージである。「操作された」とは、バクテリオファージゲノムが、特にいくつかの制限部位を除去することによって遺伝子操作されていることを意図する。
【0038】
本明細書で使用されるとき、用語「バクテリオファージスキャフォールド」、「キャプシド」、又は「コートタンパク質」は同義であり、バクテリオファージゲノム、ファージミド又はプラスミドを封入するタンパク質を指す。好ましくは、それらはバクテリオファージキャプシド又はコートタンパク質を指す。
【0039】
本明細書で使用される「バクテリオファージゲノム」という用語は、バクテリオファージスキャフォールドにパッケージングされているDNA又はRNAゲノムを指す。バクテリオファージゲノムは、野生型又は遺伝子操作されたものであり得る。
【0040】
本明細書で使用される「致死性バクテリオファージ」という用語は、そのゲノムを細菌の細胞質に注入した後に、細菌の死をもたらすバクテリオファージを指す。本発明による致死性バクテリオファージは、限定されないが、細菌細胞溶解をもたらす溶解性の複製周期を有するバクテリオファージを含む。
【0041】
本明細書で使用される「非致死性バクテリオファージ」という用語は、そのゲノムを細菌の細胞質に注入した後に、細菌の死をもたらさないバクテリオファージを指す。特に、本発明による非致死性バクテリオファージは、非溶解性の複製周期を示し、これは細菌細胞を無傷のままにする。本発明のバクテリオファージは、一部の実施形態では、非致死性バクテリオファージであり得る。
【0042】
好ましい実施形態では、本発明によるバクテリオファージは、致死性バクテリオファージである。
【0043】
本明細書で使用されるとき、用語「ファージミド」又は「ファスミド」は同義であり、プラスミドゲノムとバクテリオファージゲノムの両方に由来するベクターを指す。本発明のファージミドは、ファージパッケージング部位、及び任意選択に複製起点(ori)、特に細菌及び/又はファージの複製起点を含む。一実施形態では、本発明によるファージミドは、細菌複製起点を含まず、したがって細菌に注入されるとそれ自体で複製することはできない。或いは、本発明によるファージミドは、プラスミド複製起点、特に細菌及び/又はファージ複製起点を含む。本発明によれば、ファージミドという用語は、f1複製起点を有するベクターに限定されない。
【0044】
本明細書で使用されるとき、用語「パッケージングされたファージミド」又は「ファージミド由来の操作された粒子」とは、バクテリオファージスキャフォールド又はキャプシドにキャプシド化されているファージミドを指す。特に、それはバクテリオファージゲノムを欠くバクテリオファージスキャフォールド又はキャプシドを指す。
【0045】
本発明によるパッケージングされたファージミドは、当業者に周知であるヘルパーファージ戦略を用いて生成し得る。ヘルパーファージは、キャプシド化されるべき本発明によるファージミドにとって不可欠である構造的及び機能的なタンパク質をコードする全ての遺伝子を含む。
【0046】
本発明によるパッケージングされたファージミドは、当業者にも公知であるサテライトウイルス戦略を用いて生成し得る。サテライトウイルスはサブウイルス剤であり、全ての形態形成機能について宿主細胞とヘルパーウイルスとの同時感染に依存する核酸で構成され、一方、その全てのエピソーム機能(統合及び免疫、マルチコピープラスミド複製)については、サテライトはヘルパーから完全に独立している。一実施形態では、サテライト遺伝子は、そのより小さなゲノムに合うようにP2キャプシドサイズを調節するP4 Sidタンパク質について記載されるように、ヘルパーファージのキャプシドサイズ減少を促進するタンパク質をコードすることができる。
【0047】
本明細書で使用される「致死性のパッケージングされたファージミド」という用語は、そのゲノムを細菌の細胞質に注入した後に、細菌の死をもたらすパッケージングされたファージミドを指す。
【0048】
本明細書で使用される「非致死性のパッケージングされたファージミド」という用語は、そのゲノムを細菌の細胞質に注入した後に、細菌の死に至らないようなファージミドを指す。
【0049】
好ましい実施形態では、本発明によるパッケージングされたファージミドは致死性のパッケージングされたファージミドである。
【0050】
或いは、本発明によるパッケージングされたファージミドは、非致死性のパッケージングされたファージミドである。
【0051】
本明細書で使用されるとき、用語「プロモーター」及び「転写プロモーター」は同義であり、核酸配列の残りの部分の転写開始及び転写速度が調節される核酸配列の調節領域を指す。プロモーターはまた、RNAポリメラーゼ及び他の転写因子などの制御タンパク質及び分子が結合し得るサブ領域を含有し得る。プロモーターは、それが制御する核酸配列の転写を駆動する。本明細書において、プロモーターは、それがその配列の転写開始を調節(「駆動」)するように調節する核酸配列に関して正しい機能的位置及び配向にある場合、「作動可能に連結している」と見なされる。
【0052】
プロモーターは、RNAポリメラーゼ(及び/又はシグマ因子)に対するその親和性に従って、強い又は弱いとして分類され得る;これは、プロモーター配列が、ポリメラーゼ又はシグマ因子にとって理想的なコンセンサス配列にどれほど非常に似ているかに関連している。プロモーターの強度は、転写の開始がそのプロモーターで高頻度又は低頻度で起こるかどうかに依存し得る。異なる強度を有する異なるプロモーターを本発明において使用して、異なるレベルの遺伝子/タンパク質発現を導き得る(例えば、弱いプロモーターに由来するmRNAから開始される発現レベルは、強いプロモーターから開始される発現レベルより低い)。
【0053】
プロモーターは、所与の遺伝子又は配列のコードセグメントの上流に位置する5'非コード配列を単離することによって得ることができるように、遺伝子又は配列と天然に関連付けられるものであり得る。このようなプロモーターは「内因性」と呼ぶことができる。同様に、アクチベーター/エンハンサーは、その配列の内部又は下流若しくは上流のいずれかに位置する核酸配列と天然に関連付けられるものであり得る。
【0054】
一部の実施形態では、コード核酸セグメントは、その天然の環境においてコードされた核酸配列と通常は関連付けられないプロモーターを指す、組換え又は異種プロモーターの調節下に配置され得る。組換え又は異種エンハンサーは、その天然の環境において核酸配列と通常関連付けられないエンハンサーを指す。
【0055】
本明細書で使用されるとき、「誘導性プロモーター」は、誘導因子又は誘導剤の存在下で、それによって影響を受けるか、又はそれによって接触されると、転写活性を開始又は増強することによって特徴付けられるものである。「誘導因子」又は「誘導剤」は、誘導性プロモーターから転写活性を誘導する内因性の又は通常は外因性の条件、化合物又はタンパク質であり得る。本明細書において使用するための誘導性プロモーターの例には、限定されないが、バクテリオファージプロモーター(例えば、Plslcon、T3、T7、SP6、PL)及び細菌性プロモーター(例えば、Pbad、PmgrB、Ptrc2、Plac/ara、Ptac、Pm)、又はそれらのハイブリッド(例えば、PLlacO、PLtetO)が含まれる。
【0056】
本発明に従って使用するための細菌性プロモーターの例には、限定されないが、正に制御される大腸菌プロモーター、例えば、正に制御されるσ70プロモーター(例えば、誘導性pBad/araCプロモーター、Luxカセットライトプロモーター、修飾されたラムダPrmプロモーター、plac Or2-62(正)、追加のREN部位を含むpBad/AraC、pBad、P(Las)TetO、P(Las)CIO、P(Rhl)、Pu、FecA、pRE、cadC、hns、pLas、pLux)、「s」プロモーター(例えば、Pdps)、σ32プロモーター(例えば、熱ショック)及びσ54プロモーター(例えば、glnAp2);負に制御される大腸菌プロモーター、例えば、負に制御されるσ70プロモーター(例えば、プロモーター(PRM+)、修飾されたラムダPrmプロモーター、TetR-TetR-4C P(Las)TetO、P(Las)CIO、P(Lac)IQ、RecA_DlexO_DLac01、dapAp、FecA、Pspac-hy、pel、plux-cl、plux-lac、CinR、CinL、グルコース調節、修飾されたPr、修飾されたPrm+、FecA、Pcya、rec A(SOS)、RecA(SOS)、EmrR_制御、Betl_制御、pLac_lux、pTet_Lac、pLac/Mnt、pTet/Mnt、LsrA/cI、pLux/cI、Lacl、LacIQ、pLacIQl、pLas/cI、pLas/Lux、pLux/Las、LexA結合部位を有するpRecA、逆方向BBa_R0011、pLacI/ara-1、pLacIq、rrnB PI、cadC、hns、PfhuA、pBad/araC、nhaA、OmpF、RcnR)、σSプロモーター(例えば、代替シグマ因子σ38を有するLutz-Bujard LacO)、σ32プロモーター(例えば、代替シグマ因子σ32を有するLutz-Bujard LacO)、σ54プロモーター(例えば、glnAp 2);負に制御される枯草菌(B. subtilis)プロモーター、例えば、抑制性枯草菌σAプロモーター(例えば、グラム陽性IPTG誘導性、Xyl、ハイパースパンク)、σプロモーター、及びMutalik VKら(Nature Methods、2013、10: 354~360頁、特に補足データを参照されたい)並びにBioFABウェブサイト(http://biofab.synberc.org/data)に開示されているBioFABプロモーターが含まれる。他の誘導性微生物プロモーター及び/又は細菌プロモーターを本発明に従って使用することができる。本開示に従って使用するための誘導性プロモーターは、pH、温度、放射線、浸透圧、食塩水勾配、細胞表面結合、及び1つ又は複数の外因性又は内因性の誘導剤の濃度の変化などの1つ又は複数の生理学的条件によって誘導され得る(又は抑制され得る)。外因性誘導因子又は誘導剤には、限定されないが、アミノ酸及びアミノ酸類似体、糖及び多糖、核酸、タンパク質転写活性化剤及び抑制剤、サイトカイン、毒素、石油系化合物、金属含有化合物、塩、イオン、酵素基質類似体、ホルモン又はそれらの組み合わせが含まれ得る。
【0057】
本発明に従って使用するのに特に好ましい細菌性プロモーターは、Andersonコレクション(http://parts.igem.org/Promoters/Catalog/Anderson)のプロモーター: BBa_J23100、BBa_J23101、BBa_J23102、BBa_J23103、BBa_J23104、BBa_J23105、BBa_J23106、BBa_J23107、BBa_J23108、BBa_J23109、BBa_J23110、BBa_J23111、BBa_J23112、BBa_J23113、BBa_J23114、BBa_J23115、BBa_J23116、BBa_J23117、BBa_J23118、及びBBa_J23119などのσ70によって制御される構成的プロモーターから選択され得る。
【0058】
本発明の一部の実施形態では、プロモーターは、プロモーターの下流の核酸配列の転写活性化に関与するds作用制御配列を指す「エンハンサー」とともに使用されてもよく又は使用されなくてもよい。エンハンサーは、プロモーターの前又は後の任意の機能的位置に配置され得る。
【0059】
一部の実施形態では、本発明のベクターは、ターミネーター配列又はターミネーターを含み得る。本明細書で使用される「ターミネーター」は、転写を停止させる核酸配列である。ターミネーターは、単方向又は双方向であり得る。それは、RNAポリメラーゼによるRNA転写物の特異的な終結に関与するDNA配列で構成される。ターミネーター配列は、上流プロモーターによる下流核酸配列の転写活性化を妨げる。したがって、特定の実施形態では、RNA転写物の生成を終結させるターミネーターが企図される。ターミネーターは、所望の遺伝子/タンパク質の発現レベルを達成するためにインビボで必要であり得る。
【0060】
最も一般的に使用されているターミネーターのタイプは、順方向ターミネーターである。通常転写される核酸配列の下流に配置された場合、順方向転写ターミネーターは、転写を中止させる。一部の実施形態では、通常、順方向鎖と逆方向鎖の両方で転写を中止させる双方向転写ターミネーターが提供される。一部の実施形態では、逆転写ターミネーターが提供され、通常、逆方向鎖のみで転写を終結させる。原核生物系において、ターミネーターは、通常、2つのカテゴリー:(1)rho非依存性ターミネーター、及び(2)rho依存性ターミネーターに分類される。rho非依存性ターミネーターは、一般的に、G-C塩基対に富むステムループを形成し、続いて一連のウラシル塩基を形成するパリンドローム配列で構成される。
【0061】
本発明に従って使用するためのターミネーターは、本明細書に記載されているか又は当業者に公知である任意の転写ターミネーターを含む。ターミネーターの例としては、限定されないが、遺伝子の終結配列、例えば、ウシ成長ホルモンターミネーター、並びにウイルスターミネーター配列、例えば、細菌径に見られるTOターミネーター、TEターミネーター、ラムダT1及びT1T2ターミネーターが挙げられる。一部の実施形態では、終結シグナルは、配列切断から生じるものなどの、転写又は翻訳することができない配列であり得る。
【0062】
また、本発明に従って使用するためのターミネーターとしては、Chen YJら (2013、Nature Methods、10: 659~664頁)に開示されているターミネーター、及びCambray Gら (Nucl Acids Res、2013、41(9): 5139~5148頁)に開示されているBioFABターミネーターが挙げられる。
【0063】
他の遺伝的要素は当該技術分野において公知であり、本開示に従って使用され得る。
【0064】
本明細書で使用されるとき、用語「コドン使用頻度表」とは、コドン、各コドンによりコードされるアミノ酸、及び定義されたタイプのアミノ酸についてこれらのコドンが見出される頻度を提供するデータベースを指す。
【0065】
本明細書で使用されるとき、用語「コドン使用頻度を満たす」とは、考慮される宿主又は宿主群についてのコドン使用頻度表におけるコドン頻度にできるだけ近くなるようにするために、核酸中のコドン頻度を最適化することを指す。
【0066】
本明細書で使用されるとき、用語「修飾」、「変化」、及び「突然変異」は互換的に使用され、置換、挿入、及び/若しくは欠失などのアミノ酸配列又は核酸配列における変化を指す。
【0067】
本明細書において「置換」とは、親の核酸配列又はアミノ酸配列中の特定の位置でのヌクレオチド又はアミノ酸を別のヌクレオチド又はアミノ酸と置換することを意味する。
【0068】
「挿入」とは、親の核酸配列又はアミノ酸配列中の特定の位置に核酸又はアミノ酸を付加することを意味する。
【0069】
「欠失」とは、親の核酸配列又はアミノ酸配列中の特定の位置でのヌクレオチド又はアミノ酸の除去を意味する。
【0070】
ヌクレオチド置換は中性であり得る。中性ヌクレオチド置換は、所与のヌクレオチドの別のヌクレオチドによる置換であり、同じアミノ酸をコードするコドンをもたらす。同じアミノ酸をコードするコドンは、コドン使用頻度表によって提供される。
【0071】
本明細書で使用されるとき、用語「親の配列」とは、その後に修飾されて変異体を生じる核酸又はアミノ酸配列を指す。この用語はまた、変異体を生成するために突然変異又は修飾がなされる、天然に存在する配列又は操作された配列であり得る参照の配列を指す。「親の配列」は、ファージミド配列などのベクター配列を指し得る。
【0072】
本明細書で使用されるとき、用語「変異体配列」又は「変異体」は同義であり、少なくとも1つの修飾によって、親配列のものとは異なる核酸配列又はアミノ酸配列を指す。変異体は、1つ若しくはいくつかの置換、及び/又は1つ若しくはいくつかの挿入、及び/又は1つ若しくはいくつかの欠失を含み得る。一部の実施形態では、核酸変異体は、1つ又はいくつかの中性置換を含み得る。一部の他の実施形態では、アミノ酸変異体は、1つ又はいくつかの保存的置換を含み得る。
【0073】
本明細書で使用されるとき、用語「制限部位」及び「制限酵素部位」は同義であり、制限酵素によって認識される、ヌクレオチドの特定の配列を含有する核酸上の位置を指す。特に、核酸は、制限酵素によって結合及び切断される特定の配列を含む。制限部位は、一般的に、長さが4~8塩基対であるパリンドローム配列である。より正確には、制限部位は、制限酵素によって結合及び切断されるように、特定の配列及び修飾状態を指す。特に、それは、制限酵素によって結合及び切断されるように、特定の未修飾配列を指す。特に、配列は、メチル化、ヒドロキシメチル化及びグルコシル-ヒドロキシメチル化されていない。これに関連して、制限酵素は、タイプI、II又はIIIのものである。或いは、それは、制限酵素によって結合及び切断されるような特定の修飾配列を指し得、例えば、メチル化、ヒドロキシメチル化及びグルコシル-ヒドロキシメチル化DNAである。これに関連して、制限酵素はタイプIVのものである。
【0074】
本明細書で使用されるとき、制限部位及び制限酵素に関しての「によって認識される」とは、制限部位が制限酵素によって切断されることを意味する。
【0075】
制限部位配列において、Nは、ヌクレオチドがA、C、G又はTであり得ることを意味し;Bは、ヌクレオチドがC、G又はTであり得ることを意味する;Yは、ヌクレオチドがC又はTであり得ることを意味する;Wは、ヌクレオチドがA又はTであり得ることを意味し;Rは、ヌクレオチドがA又はGであり得ることを意味し;Dは、A、G又はTを意味する。
【0076】
本明細書で使用されるとき、「制限酵素」及び「制限エンドヌクレアーゼ」という用語は同義であり、制限部位で又はその近くで核酸を切断する酵素を指す。制限酵素は、一般的に、4つのタイプ(タイプIからタイプIV)に分類される。REBASEデータベースは、それが発現する制限酵素に従って所与の細菌が認識することができる制限部位を列挙することを可能にする。
【0077】
本明細書で使用されるとき、用語「細菌(bacterium)」又は「細菌(bacteria)」とは、単一細胞として、又は単一細胞のクラスター若しくは集合体として存在する任意の原核微生物を指す。用語「細菌」は、細菌の全ての変異体(例えば、閉鎖系において天然に存在する内因性細菌、環境細菌、又はバイオレメディエーション若しくは他の活動のために放出される細菌)を包含する。本開示の細菌は、真正細菌及び古細菌の細菌細分類を含む。真正細菌は更に、グラム陽性及びグラム陰性真正細菌に細分類することができ、それらは細胞壁構造の違いに依存する。また、巨視的形態のみに基づいて分類されたもの(例えば、球菌、桿菌)も本明細書に含まれる。一部の実施形態では、細菌はグラム陰性細胞であり、一部の実施形態では、細菌はグラム陽性細胞である。
【0078】
本明細書で使用されるとき、用語「微生物叢(microbiome)」又は「微生物叢(microbiota)」は同義であり、文字通り対象の身体空間を共有する片利共生微生物、共生微生物、及び病原性微生物の生態学的コミュニティを指す。好ましくはヒト対象である。
【0079】
微生物叢は、所与の種、体面積、体部位、臓器又は組織に特異的であり得る。このように、本明細書で使用されるとき、ヒト微生物叢という用語は、ヒトの微生物叢を構成する片利共生微生物、共生微生物、及び病原性微生物の生態学的コミュニティを指す。
【0080】
本明細書で使用されるとき、用語「感染」とは、疾患を引き起こす細菌による生物の体組織の侵入、それらの繁殖、並びにこれらの細菌及び最終的にそれらが生成する毒素に対する宿主組織の反応を指す。
【0081】
本明細書で使用される「感染性因子」、「微生物性因子」、「病原体」、「疾患の原因となる微生物」、及び「毒性細菌」という用語は同義であり、感染を引き起こす細菌を指す。
【0082】
本発明による毒性細菌はまた、抗菌耐性細菌を含む。
【0083】
本明細書で使用されるとき、用語「選択マーカー」とは、遺伝子のクローニングを確認するために、又は細菌中のプラスミドの存在を確認若しくは確実にするために使用される遺伝子を指す。選択マーカーは、薬物耐性、栄養要求性、細胞傷害剤に対する耐性、又は表面タンパク質発現などの選択可能な表現型を提供するマーカー遺伝子であり得る。例えば、抗生物質耐性遺伝子、栄養要求性を克服することを可能にする遺伝子、発色酵素遺伝子、又は発光/蛍光遺伝子が使用され得る。これは、抗生物質、重金属を添加した培地上で、又はアミノ酸などの必須成分を含まない培地上で増殖させることができるように、このような選択マーカーを有する細菌に「選択的利点」を付与する。
【0084】
本明細書で使用されるとき、用語「抗生物質」及び「抗菌性」は同義であり、細菌感染症の治療及び防止に使用される一種の抗菌活性成分を指す。
【0085】
本明細書で使用される「抗菌耐性」という用語は、細菌を処置するために以前に使用された薬剤の効果に耐性である細菌の能力を指す。
【0086】
本明細書で使用されるとき、「治療」、「治療する」又は「治療すること」という用語は、患者の健康状態を改善すること、例えば、感染症の治療、防止、予防及び遅延が意図された任意の行為を指す。特定の実施形態では、このような用語は、感染症又はそれに関連する症状の改善又は根絶を指す。他の実施形態では、この用語は、このような疾患を有する対象への1つ又は複数の治療薬の投与から生じる感染症の蔓延又は悪化を最小限に抑えることを指す。
【0087】
本明細書で使用されるとき、「対象」、「個体」又は「患者」という用語は交換可能であり、動物、好ましくは哺乳動物、更により好ましくはヒト、例えば、成人、子供、新生児及び出生前段階のヒトを指す。しかしながら、用語「対象」とは、とりわけ、治療を必要とする、非ヒト動物、特に哺乳動物、例えば、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ブタ、ヒツジ、ロバ、ウサギ、フェレット、スナネズミ、ハムスター、チンチラ、ラット、マウス、モルモット、及びヒト以外の霊長類を指し得る。
【0088】
「量(quantity)」、「量(amount)」、及び「用量」という用語は、本明細書において互換的に使用され、分子の絶対定量化を指し得る。
【0089】
本明細書で使用されるとき、「有効成分」、「活性成分」及び「活性医薬成分」という用語は同義であり、治療効果を有する医薬組成物の成分を指す。
【0090】
本明細書で使用されるとき、用語「治療効果」とは、感染症を防止する、若しくはその発生を遅延させるか、又は感染症を治癒させる、若しくはその影響を軽減することができる、本発明による活性成分、医薬組成物若しくは獣医用組成物、キット、製品又は複合調製物によって誘発される効果を指す。
【0091】
本明細書で使用されるとき、用語「有効量」とは、感染の有害な影響を防止する、除去する、又は低減する活性成分の量又は医薬組成物若しくは獣医用組成物の量を指す。投与される量は、治療されるべき対象により、感染症の性質などに応じて当業者によって適合され得ることは明らかである。特に、投与の用量及びレジメンは性質の関数、治療されるべき感染症の病期及び重症度の関数、並びに治療されるべき対象の体重、年齢及び全般的な健康状態の関数、並びに医師の判断の関数であり得る。
【0092】
本明細書で使用されるとき、用語「から本質的になる」は、他の活性成分を含まない医薬組成物又は獣医用組成物を指すことを意図している。
【0093】
本明細書において、用語「約」は、特定の値の±10%の範囲の値を指す。例えば、「約50」は、50の±10%の値、すなわち45~55の範囲の値を含む。好ましくは、用語「約」は、特定の値の±5%の値の範囲を指す。
【0094】
本発明は、目的の細菌群に関して減少した数の制限部位を有するベクター、バクテリオファージスキャフォールドにパッケージングされたベクター、並びにバクテリオファージスキャフォールドにパッケージングされたベクターの使用及びそれを使用する方法に関する。言い換えると、それは、目的の細菌群によりコードされる制限酵素に対応する少数の制限部位を有する。少数であるとは、好ましくは、ベクターが10、9、8、7、6、5、4、3、2、1個以下の制限部位を含むことと理解される。好ましい実施形態では、ベクターは、目的の細菌群によりコードされる制限酵素について、又は目的の細菌群中に高度に存在する制限酵素群について制限部位を有さない。しかしながら、ベクターから除去されるべき制限部位の選択は、制限酵素をコードする目的の細菌からの細菌の数に依存する。
【0095】
制限部位の数
本発明によるベクターは、目的の細菌群によりコードされる制限酵素の制限部位を全く含有しないか又はごくわずかしか含有しないようなものである。
【0096】
より具体的には、目的の細菌群によりコードされるいくつかの制限酵素が目的の細菌群において高頻度に、特に非常に高頻度に、それらの制限部位は、本発明によるベクターにおいてまれであるか又は存在せず、好ましくは存在しない。「稀」とは、ベクターに1又は2個の制限部位が存在することを意味する。好ましい実施形態では、制限部位は、本発明によるベクターに存在しない。
【0097】
目的の細菌群において「高い頻度の」又は「高頻度で」とは、少なくとも10、20、30、40、50、60、70、75、80、85、90、95又は99%の細菌群が制限酵素をコードすることを意味する。目的の細菌群における「非常に高い頻度の」とは、少なくとも50、60、70、75、80、85、90、95又は99%の細菌群が制限酵素をコードすることを意味する。いくつかの制限酵素が同じ制限部位を有する場合、頻度を決定するためにこれらの制限酵素の数が考慮される。より具体的には、これらの制限酵素の存在の合計が頻度を決定するために考慮される。頻度は、細菌中に存在するコード配列、細菌のゲノム、又は、限定されないが、プラスミド配列、トランスポゾン配列、染色体カセット配列及びゲノム島(islet)配列を含む細菌の染色体外若しくは可動遺伝要素(アクセサリーゲノムとも呼ばれる)のコード配列に基づいて決定することができる。上記されるそのゲノム又はそのアクセサリーゲノムが制限酵素をコードする配列を含む場合、細菌は制限酵素をコードするものと考えられる。
【0098】
一実施形態では、本発明によるベクターは、目的の細菌群において高い頻度で又は非常に高い頻度で存在する制限酵素のいずれの制限部位も含まない。
【0099】
いくつかの制限酵素が低頻度で目的の細菌群によりコードされる場合、それらの制限部位は、本発明によるベクターにおいて稀である。「稀」とは、ベクター中に1又は2個の制限部位が存在することを意味する。一実施形態では、制限部位は、本発明によるベクターには存在しない。
【0100】
特定の実施形態では、目的の細菌群において「高い頻繁の」とは、その群の細菌の少なくとも10%が制限酵素をコードすることを意味する。
【0101】
特定の実施形態では、本発明によるベクターは、10、15、20、又は25%を超える目的の細菌群の細菌によりコードされる制限酵素のいずれの制限部位も含まない。
【0102】
任意選択的に、その群からの細菌の10%未満が制限酵素をコードする場合、その制限部位はベクター中に存在し得る。
【0103】
好ましくは送達媒体、好ましくはバクテリオファージキャプシドに含まれる本発明によるベクターは、100個以下の制限部位を含む。好ましくは、本発明によるベクターは、好ましくは送達媒体中に含まれ、90、80、70、60、50、40、30、20、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1個以下の制限部位を含む。好ましい実施形態では、本発明によるベクターは、好ましくは送達媒体に含まれ、10個以下の制限部位を含む。最も好ましい実施形態では、本発明によるベクターは、好ましくは送達媒体に含まれるが、いずれの制限部位も含まない。
【0104】
特定の実施形態では、本発明は、ベクター中に元々存在する制限部位の少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、99%又は100%が除去されているベクター、好ましくは送達媒体に含まれるベクターに関する。本明細書で使用される「元々存在する」という表現は、ベクター中に天然に存在するか、又はベクターの構築若しくは修飾の後であるが制限酵素の数を減らす試みの前に存在する制限酵素の数を指す。当業者は、REBASEデータベースなどの制限部位データベースを使用して、所与のベクター中に存在する全ての公知の制限部位を同定することができる。好ましくは、除去される制限部位は、目的の細菌群において高い頻度で又は非常に高い頻度で存在する制限酵素の制限部位から選択される。好ましくは、ベクター、好ましくは送達媒体に含まれるベクターは、ベクター中に元々存在する制限部位の少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、99%又は100%が除去されており、好ましくは制限部位が目的の細菌群において高い頻度で又は非常に高い頻度で存在する制限酵素の制限部位であるようなものである。
【0105】
好ましい実施形態では、本発明は、認識される100個以下の制限部位を含むバクテリオファージゲノム又はファージミドに関する。好ましくは、本発明によるバクテリオファージゲノム又はファージミドは、認識される90、80、70、60、50、40、30、20、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1個以下の制限部位を含む。好ましい実施形態では、本発明によるバクテリオファージゲノム又はファージミドは、目的の細菌群の各細菌によりコードされる制限酵素によって認識される10個以下の制限部位を含む。最も好ましい実施形態では、本発明によるバクテリオファージゲノム又はファージミドは制限部位を含まない。
【0106】
特定の実施形態では、本発明は、バクテリオファージゲノム又はファージミドに元々存在する制限部位の少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、99%が除去されているバクテリオファージゲノム又はファージミドに関する。好ましくは、除去される制限部位は、目的の細菌群において高い頻度で又は非常に高い頻度で存在する制限酵素の制限部位から選択される。好ましくは、ベクター、好ましくは送達媒体に含まれるベクターは、ベクター中に元々存在する少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、99%又は100%の制限部位が除去されており、制限部位が目的の細菌群において高い頻度で又は非常に高い頻度で存在する制限酵素の制限部位であるようなものである。
【0107】
特定の実施形態において、本発明は、バクテリオファージ又はパッケージングされたファージミド中に元々存在する少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、99%の制限部位が除去されており、好ましくは制限部位が、目的の細菌群に高い頻度で又は非常に高い頻度で存在する制限酵素の制限部位であるバクテリオファージ又はパッケージングされたファージミドに関する。
【0108】
第1の態様では、制限部位は、目的の細菌株によって、すなわち目的の細菌株によって発現される制限酵素によって認識される制限部位である。
【0109】
第2の態様では、制限部位は、目的の細菌群において高頻度でコードされる制限酵素の制限部位である。
【0110】
第3の態様では、制限部位は、目的の細菌株群の各細菌株によって、すなわち目的の細菌株の各細菌株によって発現される制限酵素によって認識される制限部位である。好ましくは、細菌株群の細菌株は、同じ細菌種に由来する。
【0111】
第4の態様では、制限部位は、目的の細菌種によって、すなわち目的の細菌種によって発現される制限酵素によって認識される制限部位である。
【0112】
第5の態様では、制限部位は、目的の細菌種群の各細菌種によって、すなわち目的の細菌種の各細菌種によって発現される制限酵素によって認識される制限部位である。好ましくは、細菌種群の細菌種は、同じ細菌属に由来する。
【0113】
第6の態様では、制限部位は、目的の細菌属によって、すなわち目的の細菌属によって発現される制限酵素によって認識される制限部位である。
【0114】
第7の態様では、制限部位は、細菌によって、すなわちすべての細菌によって発現される制限酵素によって認識され得るすべての制限部位である。
【0115】
第8の態様では、制限部位は、例えばヒト微生物叢由来の細菌などの細菌の集団によって、すなわちすべての細菌集団によって発現される制限酵素によって認識される制限部位である。
【0116】
目的の細菌株、細菌株群、細菌種、細菌種群、又は目的の細菌属の制限酵素によって認識される制限部位のリストは、REBASEなどの制限部位データベースに基づいて、当業者によって確立することができる。或いは、当業者に周知である他のデータベース、例えば、NCBIのRefSeq(www.ncbi.nlm.nih.gov/refseq/、特にRelease 86);Enterobase(enterobase.warwick.ac.uk、特に2018年1月30日アクセス);ゲノムオンラインデータベース(gold.jgi.doe.gov/、特にGold Reslease v-6);及びSanger(ftp.sanger.ac.uk/pub/project/pathogens/)を使用することができる。
【0117】
目的の細菌群における各制限酵素の頻度を決定するために、2つの相補的なアプローチをとることができ、両方ともREBASE、制限-修飾(RM)システムの包括的なデータベース(Roberts, R.ら、2003、Nucleic Acids Research 31、1805~1812頁)に依存する。REBASEは、細菌ゲノムを、その認識部位が実験的に確認されているR-Mシステムのライブラリーと比較することによって、所与の細菌中のR-M遺伝子及びそれらの同族DNA認識部位を同定する。REBASEは、2つのタンパク質配列が非常に類似しているか又は同一である(例えば、100%の同一性を有する)場合にのみ、新しい認識部位を関連付ける。ごく最近、単一分子リアルタイムシークエンシング(SMRT)は、ゲノム全体でのメチル化パターンの同定を可能にする。R-Mシステムの同定と組み合わせると、R-Mシステムとそれらの認識部位との関連付けが可能になる。利用可能なゲノム数の増加及びSMRT配列決定により、特徴付けられたR-Mシステムの数は指数関数的に増加している。
【0118】
第1のアプローチは、REBASEからすべてのタイプI S(PacBIOデータを含む)、タイプII R、タイプIII R、R-M遺伝子名及びそれらの関連部位を抽出することからなり得る。遺伝子の命名法(EcoRIは大腸菌(◎Escherichia ◎c◎oli)株◎RY13酵素Iを表す)(Roberts, R.ら、2015、Nucleic Acids Res 43、D298-D299)のおかげで、これらのR-Mの大部分の種及び菌株が同定され、各種の中で最も高い頻度の部位を推定することは可能である。特に、目的の細菌種の菌株の少なくとも10%中に存在するR-Mが選択される。
【0119】
第2のアプローチは、所与の細菌種の目的の菌株の特定のコレクションの配列決定に依存する。生の配列決定データは、ゲノムアセンブラ(Spages)のおかげでコンティグにアセンブルすることができる(Bankevich, A.ら、2012、J. Comput. Biol.、19、455~77頁)。次に、RASTK(Brettin, T.ら、2015、Sci Rep 5、8365頁)又はprokkaパイプライン(Seemann, T.、2014、Bioinformatics、30、2068~9頁)のおかげでコンティグに注釈が付けられる。各菌株について、すべての注釈付きタンパク質は、閾値として1e-120のe値を用いて、R-Mの各REBASE抽出リストに対してブラストされた。80%に等しいか又はそれを超える同一性のパーセンテージを有し、目的の細菌種の菌株の少なくとも10%中に存在するR-Mシステムのみが選択される。10%の閾値は、選択された頻度に適合させることができる。
【0120】
特定の実施形態では、本発明は、制限部位のリストからの100、90、80、70、60、50、40、30、20、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1個以下の制限部位を含むベクター、好ましくは送達媒体に含まれるベクターに関する。好ましくは、ベクター、好ましくは送達媒体に含まれるベクターは、制限部位のリストからのいずれの制限部位も含まない。制限部位の上記リストは、少なくとも1つの制限部位配列を含む。好ましくは、制限部位の上記リストは、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000個の制限部位配列を含む。好ましくは、制限部位の上記リストは、少なくとも1%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、99%、100%の公知の制限部位を含む。より好ましくは、制限部位の上記リストは、目的の所与の細菌属、種の群、種、菌株の群、又は菌株の制限酵素によって認識されることが公知である、少なくとも1%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、99%、100%の制限部位を含む。一実施形態では、上記制限部位のリストは、目的の細菌群において高頻度でコードされる制限酵素の制限部位を含む。非常に具体的な実施態様では、制限部位の上記リストは、目的の細菌群からの細菌の少なくとも10%中に存在する制限酵素の制限部位を含む。具体的な実施形態では、リストは、目的の各細菌群についてTable 1(表1)又はTable 2(表2)に提供されるリストのうちの1つである。
【0121】
次に、本発明は、制限部位のリスト、好ましくは、目的の細菌群において高い頻度で存在し、好ましくは目的の細菌群からの細菌の少なくとも10%中に存在する制限酵素の制限部位を含む制限部位のリストから0、1又は2個の制限部位を含むベクター、好ましくは送達媒体に含まれるベクターに関する。特定の実施形態では、リストは、目的の各細菌群についてTable 1(表1)又はTable 2(表2)に提供されるリストのうちの1つである。好ましくは、ベクターは、目的の特定の細菌群についてTable 1(表1)又はTable 2(表2)に提供されるリストのいずれの制限部位も含まない。
【0122】
特定の実施形態では、本発明は、目的の細菌群において高い頻度で存在し、好ましくは目的の細菌群からの細菌の少なくとも10%中に存在する制限酵素の制限部位を含む制限部位のリストからなる群から選択される1つの制限部位を含まないベクター、好ましくは送達媒体に含まれるベクターに関する。例えば、ベクター、好ましくは送達媒体に含まれるベクターは、制限酵素のリスト、好ましくは目的の細菌群において高い頻度で存在し、好ましくは目的の細菌群からの細菌の少なくとも10%中に存在する制限酵素の制限部位を含む制限部位のリストからなる群から選択される1、2、3、4、5、6又は7個の制限部位を含まない。特定の実施形態では、ベクター、好ましくは送達媒体に含まれるベクターは、制限酵素のリスト、好ましくは目的の細菌群において高い頻度で存在し、好ましくは目的の細菌群からの細菌の少なくとも10%中に存在する制限酵素の制限部位を含む制限部位のリストの制限部位を含まない。特定の実施形態では、リストは、目的の各細菌群についてTable 1(表1)又はTable 2(表2)に提供されているリストのうちの1つである。好ましくは、ベクターは、目的の特定の細菌群についてTable 1(表1)又はTable 2(表2)に提供されるリストのいずれの制限部位も含まない。
【0123】
特定の実施形態では、ベクターは、目的の細菌群においてコードされるいずれもの制限酵素のいずれの制限部位も含まない。
【0124】
好ましくは、本発明によるベクターは、バクテリオファージゲノム又はファージミドである。
【0125】
より好ましくは、本発明によるベクターは、バクテリオファージ又はパッケージングされたファージミドである。
【0126】
当業者は、REBASEなどのデータベースに基づいてこのようなリストを確立することができる。特定の実施形態では、制限部位の上記リストは、REBASEデータベースに開示されたすべての制限酵素配列を含む。或いは、制限部位の上記リストは、目的の所与の細菌属、種の群、種、菌株の群、また菌株の制限酵素によって認識される、REBASEデータベースに開示されたすべての制限酵素配列を含む。
【0127】
ベクター中の制限部位の数を改変するための技術は当業者に周知である。REBASEなどの特定のデータベースを使用して、ベクター中の制限部位及び対応する制限酵素を同定することができる。次に、制限部位は、制限部位の所望の数又はパーセンテージに達するまで、例えば、1つずつ修飾することができる。
【0128】
制限部位の修飾とは、制限部位の修飾配列がその非修飾配列と少なくとも1つのヌクレオチドの相違を示すこと、及び制限酵素がその制限部位をもはや認識できなくなることを意味する。
【0129】
制限部位の修飾は、制限部位の一部若しくは全部の欠失によって、又は制限部位の少なくとも1つのヌクレオチドのヌクレオチド置換によって行うことができる。
【0130】
好ましくは、ベクターの非コード領域内の制限部位が最初に修飾され、ベクターのコード領域の制限部位が制限部位の所望の数又はパーセンテージに達しない場合にのみ修飾され、その後、非コード領域内のすべての制限部位が修飾される。
【0131】
任意選択的に、欠失は、非コード領域においてのみ行われる。
【0132】
制限部位における置換は、好ましくは、特にコード領域における中性置換である。コドン使用頻度表を用いて可能性のある中立置換を決定することができる。
【0133】
中性置換が制限部位において利用可能でなく、他の制限部位が修飾され得ない場合、保存的アミノ酸突然変異をもたらすヌクレオチド突然変異が行われ得る。
【0134】
制限部位が「N」型のヌクレオチドを含む場合、置換は、非Nヌクレオチドに起こる。
【0135】
好ましくは、置換は、細菌のコドン使用頻度を満たすように選択される。
【0136】
ベクターは、突然変異によって、例えば直接突然変異誘発によって、又は当業者に公知である任意の適切な技術によって、又は配列が設計されている場合には核酸合成によって修飾することができる(例えば、Huges RAら、2017、Cold Spring Harb Perspect Biol、9:a023812を参照されたい)。
【0137】
特に、当業者に周知である古典的なクローニング技術を用いて、制限部位を修飾することができる。これらの技術には、限定されずに、制限酵素クローニング、ギブソンアセンブリ、及び逆PCRが含まれる。
【0138】
例えば、バクテリオファージは、酵母媒介クローニングによって突然変異させることができる(例えば、Joska TMら、2014、Journal of Microbiological Methods、100: 46~51頁を参照されたい)。他の突然変異法としては、限定されずに、ラムダレッド媒介挿入/欠失(例えば、Murphy KC、1998、J Bacteriol.、180(8): 2063~71頁参照)、多重自動化ゲノム操作(MAGE)(例えば、Wang HHら、2009、Nature、460(7257): 894~898頁参照)、Cas9媒介突然変異(例えば、Jiang Yuら、2015、Appl. Environ. Microbiol, 81(7) : 2506~2514頁参照)が挙げられる。
【0139】
目的の細菌
好ましくは、目的の細菌群は、n個の細菌種の群からなり、nは、1~約100、好ましくは1~約50、より好ましくは1~約10、なお好ましくは1~約5に含まれる正の整数であり、更により好ましくは、目的の細菌群は、単一の細菌種からなる。好ましくは、本発明による細菌種は、単一の属から選択される。
【0140】
より好ましくは、目的の細菌群は、n個の細菌株の群からなり、nは、1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10と約1000、10,000又は100,000の間、好ましくは1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10と約500の間、より好ましくは1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10と約250の間、なお好ましくは1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10と約100の間、更により好ましくは1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10と約50の間に含まれる正の整数である。最も好ましい実施形態では、目的の細菌群は、n個の細菌株の群からなり、nは、1~約30、好ましくは1~約20、より好ましくは1~約10、更により好ましくは1~約5に含まれる正の整数である。特定の実施形態では、目的の細菌群は、単一の細菌株からなる。好ましくは、本発明による細菌株は、単一の種から選択される。
【0141】
目的の細菌群は、定義された病理学を引き起こすことが報告された細菌株を含み得る。
【0142】
本発明による目的の細菌は、真正細菌又は古細菌であり、好ましくは真正細菌であり得る。本発明による目的の細菌は、グラム陽性又はグラム陰性真正細菌であり得る。
【0143】
好ましい実施形態では、本発明による目的の細菌は、毒素細菌である。
【0144】
別の好ましい実施形態では、本発明による目的の細菌は、抗菌耐性細菌である。
【0145】
更に別の好ましい実施形態では、目的の細菌は、同じ種の異なる菌株である。
【0146】
別の好ましい実施形態では、目的の細菌は、異なる種の異なる菌株である。
【0147】
別の好ましい実施形態では、目的の細菌は、ヒト微生物叢、特に腸内微生物叢の異なる種のメンバーの異なる菌株である。
【0148】
本発明による目的の細菌の例としては、限定されないが、
エルシニア属種、エシェリキア属種、クレブシエラ属種、アシネトバクター属種、ボルデテラ属種、ネイセリア属種、アエロモナス属種、フランシエセラ属種、コリネバクテリウム属種、シトロバクター属種、クラミジア属種、ヘモフィルス属種、ブルセラ属種、マイコバクテリウム属種、レジオネラ属種、ロドコッカス属種、シュードモナス属種、ヘリコバクター属種、ビブリオ属種、バチルス属種、エリシペロスリクス属種、サルモネラ属種、ストレプトミセス属種、ストレプトコッカス属種、スタフィロコッカス属種、バクテロイデス属種、プレボテラ属種、クロストリジウム属種、ビフィドバクテリウム属種、クロストリジウム属種、ブレビバクテリウム属種、ラクトコッカス属種、リューコノストック属種、アクチノバチルス属種、セルノモナス属種、シゲラ属種、ザイモナス属種、マイコプラズマ属種、トレポネーマ属種、リューコノストック属種、コリネバクテリウム属種、エンテロコッカス属種、エンテロバクター属種、ピロコッカス属種、セルラチア属種、モルガネラ属種、パルビモナス属種、フソバクテリウム属種、アクチノミセス属種、ポルフィロモナス属種、ミクロコッカス属種、バルトネラ属種、ボレリア属種、カンピロバクター属種、クラミドフィリア属種、エーリキア属種、ヘモフィルス属種、レプトスピラ属種、リステリア属種、マイコプラズマ属種、ノカルジア属種、リケッチア属種、ウレアプラズマ属種、キューティバクテリウム属種(以前のプロピオニバクテリウム属種)、ラクトバチルス属種、又はそれらの混合物から選択される細菌が含まれる。
【0149】
好ましくは、本発明による目的の細菌は、エルシニア属種、エシェリキア属種、クレブシエラ属種、アシネトバクター属種、シュードモナス属種、ヘリコバクター属種、ビブリオ属種、サルモネラ属種、ストレプトコッカス属種、スタフィロコッカス属種、バクテロイデス属種、クロストリジウム属種、シゲラ属種、エンテロコッカス属種、エンテロバクター属種、及びリステリア属種からなる群から選択される。
【0150】
より好ましくは、本発明による目的の細菌は、エシェリキア属種から選択される。
【0151】
好ましい実施形態では、本発明による目的の細菌は、バクテロイデス・テタイオタオミクロン、バクテロイデス・フラギリス、バクテロイデス・ジスタソニス、バクテロイデス・ブルガタス、クロストリジウム・レプタム、クロストリジウム・コッコイデス、スタフィロコッカス・アウレウス、枯草菌、クロストリジウム・ブチリカム、ブレビバクテリウム・ラクトフェルメンタム、B群溶血性連鎖球菌、ラクトコッカス・ラクチス、リューコノストック・ラクチス、アクチノバチルス・アクチノビセテムコミタンス、シアノバクテリア、大腸菌、ヘリコバクター・ピロリ、偏性嫌気性細菌、D群赤痢菌、ザイモモナス・モビリス、マイコプラズマ・ミコイデス、トレポネーマ・デンチコラ、バチルス・チューリンギエンシス、スタフィロコッカス・ルグドゥネンシス、リューコノストック・オエノス、コリネバクテリウム・ゼロシス、ラクトバチルス・プランタルム、ラクトバチルス・ラムノサス、ラクトバチルス・カゼイ、ラクトバチルス・アシドフィルス、エンテロコッカス・フェカリス、バチルス・コアグランス、バチルス・セレウス、バチルス・ポピラエ、シネコシスティス株PCC6803、バチルス・リクエファシエンス、ピロコッカス・アビシイ、セレノモナス・ノミナンチウム、ラクトバチルス・ヒルガルディー、ストレプトコッカス・フェルス、ラクトバチルス・ペントーサス、バクテロイデス・フラギリス、スタフィロコッカス・エピデルミディス、ストレプトミセス・ファエクロモゲネス、ストレプトミセス・ガナエニス、クレブシエラ・ニューモニエ、エンテロバクター・クロアカ、エンテロバクター・アエロゲネス、セルラチア・マルセッセンス、モルガネラ・モルガニイ、シトロバクター・フレウンディ、シュードモナス・アエリグノサ、パルビモナス・ミクラ、プレボテラ・インテルメディア、フソバクテリウム・ヌクレアタム、プレボテラ・ニグレッセンス、アクチノミセス・イスラエリイ、ポルフィロモナス・エンドドンタリス、ポルフィロモナス・ジンジバリス、ミクロコッカス・ルテウス、バチルス・メガテリウム、アエロモナス・ハイドロフィラ、アエロモナス・キャビアエ、バチルス・アントラシス、バルトネラ・ヘンセラエ、バルトネラ・クインターナ、百日咳菌、ボレリア・ブルグドルフェリ、ボレリア・ガリニイ、ボレリア・アフゼリイ、ボレリア・レクルレンチス、ブルセラ・アボルツス、ブルセラ・カニス、ブルセラ・メリテンシス、ブルセラ・スイス、カンピロバクター・ジェジュニ、カンピロバクター・コリ、カンピロバクター・フェタス、クラミジア・ニューモニエ、クラミジア・トラコマチス、クラミドフィラ・シッタシ、クロストリジウム・ボツリヌム、クロストリジウム・ディフィシル、クロストリジウム・フェルフリンゲンス、クロストリジウム・テタニ、コリネバクテリウム・ジフテリア、キューティバクテリウム・アクネス(以前のプロピオニバクテリウム・アクネス)、エーリキア・カニス、エーリキア・チャフェエンシス、エンテロコッカス・フェシウム、フランシセラ・ツラレンシス、インフルエンザ菌、レジオネラ・ニューモフィラ、レプトスピラ・インテロガンス、レプトスピラ・サンタロサイ、レプトスピラ・ウェイリイ、レプトスピラ・ノグチイ、リステリア・モノシトゲネス、マイコバクテリウム・レプラエ、結核菌、マイコバクテリウム・ウルセランス、マイコプラズマ・ニューモニア、淋菌、ネイセリア・メニンギチデス、ノカルジア・アステロイドス、リケッチア・リケッチア、サルモネラ・エンテリティディス、チフス菌、サルモネラ・パラチフィ、サルモネラ・ティフィムリウム、シゲラ・フレックスネリ、シゲラ・ディセンテリアエ、スタフィロコッカス・サプロフィティクス、ストレプトコッカス・ニューモニエ、化膿性連鎖球菌、ストレプトコッカス・ビリダンス、トレポネーマ・パリズム、ウレアプラズマ・ウレアリチカム、コレラ菌、ビブリオ・パラハエモリチクス、エルシニア・ペスチス、エルシニア・エンテロコリチカ、エルシニア・シュードツベルクロシス、アクチノバクター・バウマニイ、シュードモナス・アエリグノサ、及びそれらの混合物から選択される。好ましくは、本発明による目的の細菌は、大腸菌、エンテロコッカス・ファエシウム、スタフィロコッカス・アウレウス、クレブシエラ・ニューモニエ、アシネトバクター・バウマニイ、緑膿菌、エンテロバクター・クロアカ、及びエンテロバクター・アエロゲネス、並びにこれらの混合物からなる群から選択される。より好ましくは、本発明による目的の細菌は、大腸菌株から選択される。他の細菌がまた選択され得る。
【0152】
別の好ましい実施形態では、本発明による目的の細菌は、抗菌耐性細菌であり、好ましくは広域スペクトルベータ-ラクタマーゼ産生(ESBL)大腸菌、ESBLクレブシエラ・ニューモニエ、バンコマイシン耐性エンテロコッカス(VRE)、メチシリン耐性スタフィロコッカス・アウレウス(MRSA)、多剤耐性(MDR)アシネトバクター・バウマニイ、MDRエンテロバクター属種、カルパベネム耐性腸内細菌科(CRE)、コリシチン耐性大腸菌、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。好ましくは、本発明による目的の細菌は、広域スペクトルベータ-ラクタマーゼ産生(ESBL)大腸菌株からなる群から選択される抗菌耐性細菌である。
【0153】
目的の細菌はまた、志賀毒素産生性大腸菌(STEC)及びベロ毒素産生性大腸菌(VTEC)から選択することができる。
【0154】
目的の細菌はまた、腸管病原性大腸菌(EPEC)、腸管出血性大腸菌(EHEC)、腸管凝集性大腸菌(EAEC)、毒素原性大腸菌(ETEC)、付着性及び侵襲性大腸菌(AIEC)、尿路病原性大腸菌(UPEC)から選択することができる。
【0155】
更に別の実施形態では、本発明による目的の細菌は、所与の種の微生物叢の細菌、好ましくはヒト微生物叢の細菌である。
【0156】
特定の実施形態では、目的の細菌は、大腸菌株から選択され、大腸菌株の制限酵素によって認識される上記制限部位は、CACNNNNNNNCTGG(配列番号1)、AACNNNNNNGTGC(配列番号2)、CACNNNNGTAY(配列番号3)、AACNNNNCTTT(配列番号4)、CCANNNNNNNCTTC(配列番号5)、TACNNNNNNNRTRTC(配列番号6)、GAGNNNNNNNGTCA(配列番号7)、TGANNNNNNNNTGCT(配列番号8)、AGCANNNNNNTGA(配列番号9)、TGANNNNNNCTTC(配列番号10)、GAGNNNNNGTTY(配列番号11)、GATGNNNNNNTAC(配列番号12)、GAANNNNNNRTCG(配列番号13)、RTCANNNNNNCTC(配列番号14)、GNAGNNNNRTDCA(配列番号15)、GAANNNNNNNRTCG(配列番号16)、GGANNNNNNNNATGC(配列番号17)、GAGNNNNNTCC(配列番号18)、CACNNNNNNNGTTG(配列番号19)、YTCANNNNNNGTTY(配列番号20)、GATGNNNNNCTG(配列番号21)、CCAYNNNNNGTTY(配列番号22)、RTCANNNNNNNNGTGG(配列番号23)、GAANNNNNNNTAAA(配列番号24)、TCANNNNNNNRTTC(配列番号25)、GACNNNNNNGTC(配列番号26)、TTCANNNNNNNNCTGG(配列番号27)、TTANNNNNNNGTCY(配列番号28)、CCANNNNNNNRTGC(配列番号29)、CCANNNNNNNNTGAA(配列番号30)、GAGNNNNNNNATGC(配列番号31)、CAGNNNNNNCGT(配列番号32)、GATGNNNNNGGC(配列番号33)、GAAABCC(配列番号34)、CCWGG(配列番号35)、GGTCTC(配列番号36)、CTGCAG(配列番号37)、GCCGGC(配列番号38)、RGGNCCY(配列番号39)、GTCGAC(配列番号40)、GCGCGC(配列番号41)、RCCGGY(配列番号42)、CCNGG(配列番号43)、AAGCTT(配列番号44)、CANCATC(配列番号45)、GRCGYC(配列番号46)、CYCGRG(配列番号47)、GCNGC(配列番号48)、YGGCCR(配列番号49)、CCGCGG(配列番号50)、GRGCYC(配列番号51)、CTGAAG(配列番号52)、GGWCC(配列番号53)、TGGCCA(配列番号54)、CCWWGG(配列番号55)、GGNCC(配列番号56)、GAGCTC(配列番号57)、GGTACC(配列番号58)、GGCGCC(配列番号59)、ACCYAC(配列番号60)、GAATTC(配列番号61)、GATATC(配列番号62)、CCTNAGG(配列番号63)、GGTNACC(配列番号64)、ATGCAT(配列番号65)、GGYRCC(配列番号66)、AGGCCT(配列番号67)、CTCAAT(配列番号68)、GCWGC(配列番号69)、TCGCGA(配列番号70)、CCTNNNNNAGG(配列番号71)、ACCACC(配列番号72)、CACAG(配列番号73)、GAACC(配列番号74)、GAGAC(配列番号75)、CAGCAG(配列番号76)、AGACC(配列番号77)、及びCCGAG(配列番号78)である。
【0157】
特定の実施形態では、大腸菌の制限酵素は、以下のタイプI制限酵素: CACNNNNNNNCTGG(配列番号1)、AACNNNNNNGTGC(配列番号2)、CACNNNNGTAY(配列番号3)、AACNNNNCTTT(配列番号4)、CCANNNNNNNCTTC(配列番号5)、TACNNNNNNNRTRTC(配列番号6)、GAGNNNNNNNGTCA(配列番号7)、TGANNNNNNNNTGCT(配列番号8)、AGCANNNNNNTGA(配列番号9)、TGANNNNNNCTTC(配列番号10)、GAGNNNNNGTTY(配列番号11)、GATGNNNNNNTAC(配列番号12)、GAANNNNNNRTCG(配列番号13)、RTCANNNNNNCTC(配列番号14)、GNAGNNNNRTDCA(配列番号15)、GAANNNNNNNRTCG(配列番号16)、GGANNNNNNNNATGC(配列番号17)、GAGNNNNNTCC(配列番号18)、CACNNNNNNNGTTG(配列番号19)、YTCANNNNNNGTTY(配列番号20)、GATGNNNNNCTG(配列番号21)、CCAYNNNNNGTTY(配列番号22)、RTCANNNNNNNNGTGG(配列番号23)、GAANNNNNNNTAAA(配列番号24)、TCANNNNNNNRTTC(配列番号25)、GACNNNNNNGTC(配列番号26)、TTCANNNNNNNNCTGG(配列番号27)、TTANNNNNNNGTCY(配列番号28)、CCANNNNNNNRTGC(配列番号29)、CCANNNNNNNNTGAA(配列番号30)、GAGNNNNNNNATGC(配列番号31)、CAGNNNNNNCGT(配列番号32)、GATGNNNNNGGC(配列番号33)である。
【0158】
別の特定の実施形態では、大腸菌の制限酵素は、以下のタイプII制限酵素: GAAABCC(配列番号34)、CCWGG(配列番号35)、GGTCTC(配列番号36)、CTGCAG(配列番号37)、GCCGGC(配列番号38)、RGGNCCY(配列番号39)、GTCGAC(配列番号40)、GCGCGC(配列番号41)、RCCGGY(配列番号42)、CCNGG(配列番号43)、AAGCTT(配列番号44)、CANCATC(配列番号45)、GRCGYC(配列番号46)、CYCGRG(配列番号47)、GCNGC(配列番号48)、YGGCCR(配列番号49)、CCGCGG(配列番号50)、GRGCYC(配列番号51)、CTGAAG(配列番号52)、GGWCC(配列番号53)、TGGCCA(配列番号54)、CCWWGG(配列番号55)、GGNCC(配列番号56)、GAGCTC(配列番号57)、GGTACC(配列番号58)、GGCGCC(配列番号59)、ACCYAC(配列番号60)、GAATTC(配列番号61)、GATATC(配列番号62)、CCTNAGG(配列番号63)、GGTNACC(配列番号64)、ATGCAT(配列番号65)、GGYRCC(配列番号66)、AGGCCT(配列番号67)、CTCAAT(配列番号68)、GCWGC(配列番号69)、TCGCGA(配列番号70)、CCTNNNNNAGG(配列番号71)、ACCACC(配列番号72)である。
【0159】
更に別の特定の実施形態では、大腸菌の制限酵素は、以下のタイプIII制限酵素: CACAG(配列番号73)、GAACC(配列番号74)、GAGAC(配列番号75)、CAGCAG(配列番号76)、AGACC(配列番号77)、及びCCGAG(配列番号78)である。
【0160】
別の特定の実施形態では、目的の細菌の制限酵素は、タイプIの制限酵素及び/又はタイプIIの制限酵素及び/又はタイプIIIの制限酵素及び/又はタイプIVの制限酵素から選択される。好ましくは、目的の細菌の制限酵素は、タイプIの制限酵素、タイプIIの制限酵素、タイプIIIの制限酵素、及びタイプIVの制限酵素から選択される。
【0161】
特定の実施形態では、大腸菌由来の目的の細菌群によって高頻度でコードされる制限酵素の制限部位のリストAは、以下を含む:
- CACNNNNNNNCTGG(配列番号1)(REBASE中の大腸菌参照菌株の24.5%に存在する);
- AACNNNNNNGTGC(配列番号2)(REBASE中の大腸菌参照菌株の18%に存在する);
- AACNNNNCTTT((配列番号4)(REBASE中の大腸菌参照菌株の12%に存在する);
- CACNNNNGTAY(配列番号3)(REBASE中の大腸菌参照菌株の11%に存在する)。
- GGTCTC(配列番号36)(REBASE中の大腸菌参照菌株の18%に存在する);
- CTGCAG(配列番号37)(REBASE中の大腸菌参照菌株の18%に存在する);及び
- GAAABCC(配列番号34)(REBASE中の大腸菌参照菌株の26%に存在する)。
【0162】
一実施形態では、本発明は、制限部位のこのリストAからなる群から選択される、1、2、3、4、5、6又は7つの制限部位を含まない、大腸菌種に属する目的の細菌群のために設計された、ベクター、好ましくは送達媒体に含まれるベクターに関する。特定の実施形態では、本発明は、制限部位CACNNNNNNNCTGG(配列番号1)、CTGCAG(配列番号37)及びGAAABCC(配列番号34)のいずれも含まない、大腸菌種に属する目的の細菌群のために設計された、ベクター、好ましくは送達媒体に含まれるベクターに関する。好ましくは、それは、制限部位のこのリストAのいずれの制限部位も含まない、大腸菌種に属する目的の細菌群のために設計された、ベクター、好ましくは送達媒体に含まれるベクターに関する。
【0163】
別の特定の実施形態では、大腸菌STEC由来の目的の細菌群又はこの種の亜群によって高頻度でコードされる制限酵素の制限部位のリストBは、以下を含む:
- TACNNNNNNNRTRTC(配列番号6)(STEC株コレクションの24%に存在する);
- CACNNNNNNNCTGG(配列番号1)(STEC株コレクションの24%に存在する);
- CTGCAG(配列番号37)(STEC株コレクションの27%に存在する);
- GAAABCC(配列番号34)(STEC株コレクションの20%に存在する);及び
- GATCAG(配列番号79)(STEC株コレクションの15%に存在する)。
【0164】
一実施形態では、本発明は、制限部位のこのリストBからなる群から選択される、1、2、3、4、又は5つの制限部位を含まない、大腸菌STEC種に属する目的の細菌群のために設計された、ベクター、好ましくは送達媒体に含まれるベクターに関する。特定の実施形態では、本発明は、制限部位CACNNNNNNNCTGG(配列番号1)、CTGCAG(配列番号37)及びGAAABCC(配列番号34)のいずれも含まない、大腸菌STEC種に属する目的の細菌群のために設計された、ベクター、好ましくは送達媒体に含まれるベクターに関する。好ましくは、それは、制限部位のこのリストBのいずれの制限部位も含まない、大腸菌STEC種に属する目的の細菌群のために設計された、ベクター、好ましくは送達媒体に含まれるベクターに関する。
【0165】
【表1A】
【0166】
【表1B】
【0167】
【表1C】
【0168】
【表1D】
【0169】
【表1E】
【0170】
【表2A】
【0171】
【表2B】
【0172】
【表2C】
【0173】
【表2D】
【0174】
【表2E】
【0175】
【表2F】
【0176】
【表2G】
【0177】
【表2H】
【0178】
【表2I】
【0179】
【表2J】
【0180】
【表2K】
【0181】
【表2L】
【0182】
【表2M】
【0183】
【表2N】
【0184】
【表2O】
【0185】
【表2P】
【0186】
【表2Q】
【0187】
一実施形態では、本発明は、上記のTable 1(表1)又はTable 2(表2)に示される細菌の群又はその亜群のために設計され、細菌群に対応するTable 1(表1)又はTable 2(表2)の制限部位のリストからなる群から選択される少なくとも1つの制限部位、例えば、制限部位のリストからなる群から選択される1、2、3、4、5、6又は7個の制限部位を含まないベクター、好ましくは送達媒体に含まれるベクターに関する。好ましくは、本発明は、Table 1(表1)又はTable 2(表2)に示される目的の細菌群又はその亜群のために設計され、細菌群に対応するTable 1(表1)又はTable 2(表2)の制限部位のこのリストの制限部位のいずれも含まないベクター、好ましくは送達媒体に含まれるベクターに関する。
【0188】
更に別の実施形態では、本発明は、目的の細菌群の各細菌によりコードされる制限酵素によって認識される100、90、80、70、60、50、40、30、20、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1個以下の制限部位を含むバクテリオファージゲノム又はファージミドに関する。好ましい実施形態では、本発明によるバクテリオファージゲノム又はファージミドは、目的の細菌群の各細菌によりコードされる制限酵素によって認識される10個以下の制限部位を含む。最も好ましい実施形態では、本発明によるバクテリオファージゲノム又はファージミドは、目的の細菌群の各細菌によりコードされる制限酵素によって認識されるいずれの制限部位も含まない。
【0189】
代替の実施形態では、本発明は、目的の細菌群の各細菌によりコードされる制限酵素によって認識され、ベクター中に元々存在する、制限部位の少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、99%が除去されているバクテリオファージゲノム又はファージミドに関する。
【0190】
別の代替の実施形態では、本発明は、ベクター中に元々存在する、目的の細菌群についての上記表に示されるリストの制限部位の少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、99%が除去されているバクテリオファージゲノム又はファージミドに関する。
【0191】
代替の実施形態では、本発明は、目的の細菌群の各細菌によりコードされる制限酵素によって認識され、ベクター中に元々存在する、制限部位の少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、99%が除去されているバクテリオファージ又はパッケージングされたファージミドに関する。
【0192】
本発明は更に、バクテリオファージキャプシドにパッケージングされた上記に定義されるベクターに関し、バクテリオファージキャプシドは目的の細菌群を標的とするのに適している。本発明はまた、バクテリオファージキャプシドにパッケージングされた上記で定義されるベクターを含む医薬組成物、薬物としてのバクテリオファージキャプシドにパッケージングされた上記で定義されるベクターの使用、及びバクテリオファージキャプシドにパッケージングされた上記で定義されるベクターを対象に投与することを含む、対象における疾患を治療する方法に関する。より具体的には、本発明は、ベクターを目的の細菌群に送達させるためのバクテリオファージキャプシドにパッケージングされた上記で定義されるベクターの使用に関する。
【0193】
アクチノミセス属の細菌は、以下のファージ:Av-1、Av-2、Av-3、BF307、CT1、CT2、CT3、CT4、CT6、CT7、CT8及び1281によって、又は上記のファージのキャプシドにパッケージングされたベクターによって感染され得る。
【0194】
アエロモナス属の細菌は、以下のファージ:AA-1、Aeh2、N、PM1、TP446、3、4、11、13、29、31、32、37、43、43-10T、51、54、55R.1、56、56RR2、57、58、59.1、60、63、Aehl、F、PM2、1、25、31、40RR2.8t、(syn=44R)、(syn=44RR2.8t)、65、PM3、PM4、PM5及びPM6によって、又は上記のファージのキャプシドにパッケージングされたベクターによって感染され得る。
【0195】
バチルス属の細菌は、以下のファージ: A、aizl、Al-K-I、B、BCJAl、BCl、BC2、BLLl、BLl、BP142、BSLl、BSL2、BSl、BS3、BS8、BS15、BS18、BS22、BS26、BS28、BS31、BS104、BS105、BS106、BTB、B1715V1、C、CK-I、Coll、Corl、CP-53、CS-I、CSi、D、D、D、D5、entl、FP8、FP9、FSi、FS2、FS3、FS5、FS8、FS9、G、GH8、GT8、GV-I、GV-2、GT-4、g3、gl2、gl3、gl4、gl6、gl7、g21、g23、g24、g29、H2、kenl、KK-88、Kuml、Kyul、J7W-1、LP52、(syn=LP-52)、L7、Mexl、MJ-I、mor2、MP-7、MPlO、MP12、MP14、MP15、Neol、N°2、N5、N6P、PBCl、PBLA、PBPl、P2、S-a、SF2、SF6、Shal、Sill、SP02、(syn=ΦSPP1)、SPβ、STI、STi、SU-Il、t、TbI、Tb2、Tb5、TbIO、Tb26、Tb51、Tb53、Tb55、Tb77、Tb97、Tb99、Tb560、Tb595、Td8、Td6、Tdl5、TgI、Tg4、Tg6、Tg7、Tg9、TgIO、TgIl、Tgl3、Tgl5、Tg21、Tinl、Tin7、Tin8、Tinl3、Tm3、Tocl、Togl、toll、TP-I、TP-10vir、TP-15c、TP-16c、TP-17c、TP-19、TP35、TP51、TP-84、Tt4、Tt6、A型、B型、C型、D型、E型、Tφ3、VA-9、W、wx23、wx26、Yunl、α、γ、pll、φmed-2、φT、φμ-4、φ3T、φ75、φlO5、(syn=φlO5)、IA、IB、1-97A、1-97B、2、2、3、3、3、5、12、14、20、30、35、36、37、38、41C、51、63、64、138D、I、II、IV、NN-Bacillus(13)、alel、ARl、AR2、AR3、AR7、AR9、Bace-11、(syn=11)、Bastille、BLl、BL2、BL3、BL4、BL5、BL6、BL8、BL9、BP124、BS28、BS80、Ch、CP-51、CP-54、D-5、darl、denl、DP-7、entl、FoSi、FoS2、FS4、FS6、FS7、G、gall、ガンマ、GEl、GF-2、GSi、GT-I、GT-2、GT-3、GT-4、GT-5、GT-6、GT-7、GV-6、gl5、19、110、ISi、K、MP9、MP13、MP21、MP23、MP24、MP28、MP29、MP30、MP32、MP34、MP36、MP37、MP39、MP40、MP41、MP43、MP44、MP45、MP47、MP50、NLP-I、No.l、N17、N19、PBSl、PKl、PMBl、PMB12、PMJl、S、SPOl、SP3、SP5、SP6、SP7、SP8、SP9、SPlO、SP-15、SP50、(syn=SP-50)、SP82、SST、subl、SW、Tg8、Tgl2、Tgl3、Tgl4、thul、thuΛ、thuS、Tin4、Tin23、TP-13、TP33、TP50、TSP-I、V型、VI型、V、Vx、β22、φe、φNR2、φ25、φ63、1、1、2、2C、3NT、4、5、6、7、8、9、10、12、12、17、18、19、21、138、III、4(バチルス・メガテリウン(B. megateriwn))、4(バチルス・スファエリクス(B. sphaericus))、AR13、BPP-IO、BS32、BS107、B1、B2、GA-I、GP-IO、GV-3、GV-5、g8、MP20、MP27、MP49、Nf、PP5、PP6、SF5、Tgl8、TP-I、Versailles、φ15、φ29、1-97、837/IV、mi-バチルス(1)、BatlO、BSLlO、BSLI1、BS6、BSI1、BS16、BS23、BS101、BS102、gl8、morl、PBLl、SN45、thu2、thu3、TmI、Tm2、TP-20、TP21、TP52、タイプF、タイプG、タイプIV、HN-BacMus(3)、BLE、(syn=θc)、BS2、BS4、BS5、BS7、B10、B12、BS20、BS21、F、MJ-4、PBA12、AP50、AP50-04、AP50-11、AP50-23、AP50-26、AP50-27及びBam35によって、又は上記のファージのキャプシドにパッケージングされたベクターによって感染され得る。以下のバチルス特異的ファージは欠失している:DLP10716、DLP-11946、DPB5、DPB12、DPB21、DPB22、DPB23、GA-2、M、No.1M、PBLB、PBSH、PBSV、PBSW、PBSX、PBSY、PBSZ、phi、SPa、タイプ1及びμ。
【0196】
バクテロイデス属の細菌は、以下のファージ:ad I2、Baf-44、Baf-48B、Baf-64、Bf-1、Bf-52、B40-8、F1、β1、φA1、φBr01、φBrO2、11、67.1、67.3、68.1、mt-バクテロイデス(3)、Bf42、Bf71、HN-ブデロビブリオ(1)及びBF-41によって、又は上記のファージのキャプシドにパッケージングされたベクターによって感染され得る。
【0197】
ボルデテラ属の細菌は、以下のファージ:134及びNN-ボルデテラ(3)によって、又は上記のファージのキャプシドにパッケージングされたベクターによって感染され得る。
【0198】
ボレリア属の細菌は、以下のファージ:NN-ボレリア(1)及びNN-ボレリア(2)によって、又は上記のファージのキャプシドにパッケージングされたベクターによって感染され得る。
【0199】
ブルセラ属の細菌は、以下のファージ:A422、Bk、(syn=Berkeley)、BM29、FOi、(syn=FOl)、(syn=FQl)、D、FP2、(syn=FP2)、(syn=FD2)、Fz、(syn=Fz75/13)、(syn=Firenze75/13)、(syn=Fi)、Fi、(syn=Fl)、Fim、(syn=FIm)、(syn=Fim)、FiU、(syn=FlU)、(syn=FiU)、F2、(syn=F2)、F3、(syn=F3)、F4、(syn=F4)、F5、(syn=F5)、F6、F7、(syn=F7)、F25、(syn=F25)、(syn=£25)、F25U、(syn=F25u)、(syn=F25U)、(syn=F25V)、F44、(syn-F44)、F45、(syn=F45)、F48、(syn=F48)、I、Im、M、MC/75、M51、(syn=M85)、P、(syn=D)、S708、R、Tb、(syn=TB)、(syn=Tbilisi)、W、(syn=Wb)、(syn=Weybridge)、X、3、6、7、10/1、(syn=10)、(syn=F8)、(syn=F8)、12m、24/11、(syn=24)、(syn=F9)、(syn=F9)、45/111、(syn=45)、75、84、212/XV、(syn=212)、(syn=Fi0)、(syn=FlO)、371/XXIX、(syn=371)、(syn=Fn)、(syn=Fll)及び513によって、又は上記のファージのキャプシドにパッケージングされたベクターによって感染され得る。
【0200】
バークホルデリア属の細菌は、以下のファージ:CP75、NN-バークホルデリア(1)及び42によって、又は上記のファージのキャプシドにパッケージングされたベクターによって感染され得る。
【0201】
カンピロバクター属の細菌は、以下のファージ:Cタイプ、NTCC12669、NTCC12670、NTCC12671、NTCC12672、NTCC12673、NTCC12674、NTCC12675、NTCC12676、NTCC12677、NTCC12678、NTCC12679、NTCC12680、NTCC12681、NTCC12682、NTCC12683、NTCC12684、32f、111c、191、NN-カンピロバクター(2)、Vfi-6、(syn=V19)、VfV-3、V2、V3、V8、V16、(syn=Vfi-1)、V19、V20(V45)、V45、(syn=V-45)及びNN-カンピロバクター(1)によって、又は上記のファージのキャプシドにパッケージングされたベクターによって感染され得る。
【0202】
クラミジア属の細菌は、以下のファージ:Chplによって、又は上記のファージキャプシドにパッケージングされたベクターによって感染され得る。
【0203】
クロストリジウム属の細菌は、以下のファージ:CAKl、CA5、Ca7、CEβ、(syn=1C)、CEγ、Cldl、c-n71、c-203 Tox-、DEβ、(syn=ID)、(syn=1Dt0X+)、HM3、KMl、KT、Ms、NAl、(syn=Naltox+)、PA135Oe、Pfo、PL73、PL78、PL81、Pl、P50、P5771、P19402、1Ct0X+、2Ct0X\2D3(syn=2Dt0X+)、3C、(syn=3Ctox+)、4C、(syn=4Ct0X+)、56、III-1、NN-クロストリジウム(61)、NBlt0X+、αl、CAl、HMT、HM2、PFl5 P-23、P-46、Q-05、Q-oe、Q-16、Q-21、Q-26、Q-40、Q-46、S111、SA02、WA01、WA03、Wm、W523、80、C、CA2、CA3、CPTl、CPT4、cl、c4、c5、HM7、H11/A1、H18/Ax、FWS23、Hi58ZA1、K2ZA1、K21ZS23、ML、NA2t0X;Pf2、Pf3、Pf4、S9ZS3、S41ZA1、S44ZS23、α2、41、112ZS23、214/S23、233/Ai、234/S23、235/S23、II-l、II-2、II-3、NH-クロストリジウム(12)、CA1、F1、K、S2、1、5及びNH-クロストリジウム(8)によって、又は上記のファージのキャプシドにパッケージングされたベクターによって感染され得る。
【0204】
コリネバクテリウム属の細菌は、以下のファージ:CGKl(欠失)、A、A2、A3、AlOl、A128、A133、A137、A139、A155、A182、B、BF、B17、B18、B51、B271、B275、B276、B277、B279、B282、C、capi、CCl、CGl、CG2、CG33、CL31、Cog、(syn=CG5)、D、E、F、H、H-I、hqi、hq2、11ZH33、Ii/31、J、K、K、(syn=Ktox")、L、L、(syn=Ltox+)、M、MC-I、MC-2、MC-3、MC-4、MLMa、N、O、ovi、ov2、ov3、P、P、R、RP6、RS29、S、T、U、UB1、ub2、UH1、UH3、uh3、uh5、uh6、β、(syn=βtox+)、βhv64、βvir、γ、(syn=γtoχ-)、γl9、δ、(syn=δ'ox+)、p、(syn=ptoχ-)、Φ9、φ984、ω、IA、1/1180、2、2/1180、5/1180、5ad/9717、7/4465、8/4465、8ad/10269、10/9253、13Z9253、15/3148、21/9253、28、29、55、2747、2893、4498及び5848によって感染され得る。
【0205】
エンテロコッカス属の細菌は、以下のファージ:DF78、Fl、F2、1、2、4、14、41、867、Dl、SB24、2BV、182、225、C2、C2F、E3、E62、DS96、H24、M35、P3、P9、SBlOl、S2、2BII、5、182a、705、873、881、940、1051、1057、21096C、NN-エンテロコッカス(1)、PEl、Fl、F3、F4、VD13、1、200、235及び341に感染される。
【0206】
エリシペロスリクス属の細菌は、以下のファージ:NN-エリシペロスリクス(1)に感染され得る。
【0207】
エシェリキア属の細菌は、以下のファージ:BW73、B278、D6、D108、E、El、E24、E41、FI-2、FI-4、FI-5、HI8A、Ffl8B、i、MM、Mu、(syn=mu)、(syn=MuI)、(syn=Mu-I)、(syn=MU-I)、(syn=MuI)、(syn=μ)、025、PhI-5、Pk、PSP3、Pl、PlD、P2、P4(defective)、Sl、Wφ、φK13、φR73(欠失)、φ1、φ2、φ7、φ92、ψ(欠失)、7A、8φ、9φ、15(欠失)、18、28-1、186、299、HH-エシェリキア(2)、AB48、CM、C4、C16、DD-VI、(syn=Dd-Vi)、(syn=DDVI)、(syn=DDVi)、E4、E7、E28、FIl、FI3、H、Hl、H3、H8、K3、M、N、ND-2、ND-3、ND4、ND-5、ND6、ND-7、Ox-I(syn=OXl)、(syn=HF)、Ox-2(syn=0x2)、(syn=0X2)、Ox-3、Ox-4、Ox-5、(syn=0X5)、Ox-6、(syn=66F)、(syn=φ66t)、(syn=φ66t-)50111、PhI-I、RB42、RB43、RB49、RB69、S、SaI-I、Sal-2、Sal-3、Sal-4、Sal-5、Sal-6、TC23、TC45、TuII*-6、(syn=TuII*)、TuIP-24、TuII*46、TuIP-60、T2、(syn=ganuTia)、(syn=γ)、(syn=PC)、(syn=P.C.)、(syn=T-2)、(syn=T2)、(syn=P4)、T4、(syn=T-4)、(syn=T4)、T6、T35、αl、1、IA、3、(syn=Ac3)、3A、3T+、(syn=3)、(syn=Ml)、5φ、(syn=φ5)、9266Q、CFO103、HK620、J、K、KlF、m59、no.A、no.E、no.3、no.9、N4、sd、(syn=Sd)、(syn=SD)、(syn=Sa)3(syn=sd)、(syn=SD)、(syn=CD)、T3、(syn=T-3)、(syn=T3)、T7、(syn=T-7)、(syn=T7)、WPK、W31、ΔH、φC3888、φK3、φK7、φK12、φV-1、Φ04-CF、Φ05、Φ06、Φ07、φ1、φ1.2、φ20、φ95、φ263、φ1092、φ1、φ11、(syn=φW)、Ω8、1、3、7、8、26、27、28-2、29、30、31、32、38、39、42、933W、NN-エシェリキア(1)、Esc-7-11、AC30、CVX-5、Cl、DDUP、ECl、EC2、E21、E29、Fl、F26S、F27S、Hi、HK022、HK97、(syn=ΦHK97)、HK139、HK253、HK256、K7、ND-I、no.D、PA-2、q、S2、Tl、(syn=α)、(syn=P28)、(syn=T-I)、(syn=Tx)、T3C、T5、(syn=T-5)、(syn=T5)、UC-I、w、β4、γ2、λ(syn=ラムダ)、(syn=Φλ)、ΦD326、φγ、Φ06、Φ7、Φ10、φ80、χ、(syn=χi)、(syn=φχ)、(syn=φχi)、2、4、4A、6、8A、102、150、168、174、3000、AC6、AC7、AC28、AC43、AC50、AC57、AC81、AC95、HK243、KlO、ZG/3A、5、5A、21EL、H19-J及び933Hに感染され得る。
【0208】
フソバクテリウム属の細菌は、以下のファージ:NN-フソバクテリウム(2)、fv83-554/3、fv88-531/2、227、fv2377、fv2527及びfv8501によって、又は上記のファージのキャプシドにパッケージングされたベクターによって感染される。
【0209】
ヘモフィルス属の細菌は、以下のファージ:HP1、S2及びN3によって、又は上記のファージのキャプシドにパッケージングされたベクターによって感染される。
【0210】
ヘリコバクター属の細菌は、以下のファージ:HP1及び^^-ヘリコバクター(1)によって、又は上記のファージのキャプシドにパッケージングされたベクターによって感染される。
【0211】
クレブシエラ属の細菌は、以下のファージ: AIO-2、KI4B、Kl6B、Kl9、(syn=K19)、Kl14、Kl15、Kl21、Kl28、Kl29、KI32、Kl33、Kl35、Kl106B、Kl171B、Kl181B、Kl832B、AIO-I、AO-I、AO-2、AO-3、FC3-10、K、Kl1、(syn=KIl)、Kl2、(syn=K12)、Kl3、(syn=K13)、(syn=Kl70/11)、Kl4、(syn=K14)、Kl5、(syn=K15)、Kl6、(syn=K16)、Kl7、(syn=K17)、Kl8、(syn=K18)、Kl19、(syn=K19)、Kl27、(syn=K127)、Kl31、(syn=K131)、Kl35、Kl171B、II、VI、IX、CI-I、Kl4B、Kl8、Kl11、Kl12、Kl13、Kl16、Kl17、Kl18、Kl20、Kl22、Kl23、Kl24、Kl26、Kl30、Kl34、Kl106B、KIi65B、Kl328B、KLXI、K328、P5046、11、380、III、IV、VII、VIII、FC3-11、Kl2B、(syn=K12B)、Kl25、(syn=K125)、Kl42B、(syn=K142)、(syn=K142B)、Kl181B、(syn=KIl81)、(syn=K1181B)、Kl765/!、(syn=K1765/1)、Kl842B、(syn=K1832B)、Kl937B、(syn=K1937B)、Ll、φ28、7、231、483、490、632及び864/100によって、又は上記のファージのキャプシドにパッケージングされたベクターによって感染される。
【0212】
レピトスピラ属の細菌は、以下のファージ:LE1、LE3、LE4及び~NN-レプトスピラ(1)によって、又は上記のファージのキャプシドにパッケージングされたベクターによって感染される。
【0213】
リステリア属の細菌は、以下のファージ: A511、01761、4211、4286、(syn=BO54)、A005、A006、A020、A500、A502、A511、Al 18、A620、A640、B012、B021、B024、B025、B035、B051、B053、B054、B055、B056、BlOl、BI lO、B545、B604、B653、C707、D441、HSO47、HlOG、H8/73、H19、H21、H43、H46、H107、H108、HI lO、H163/84、H312、H340、H387、H391/73、H684/74、H924A、PSA、U153、φMLUP5、(syn=P35)、00241、00611、02971A、02971C、5/476、5/911、5/939、5/11302、5/11605、5/11704、184、575、633、699/694、744、900、1090、1317、1444、1652、1806、1807、1921/959、1921/11367、1921/11500、1921/11566、1921/12460、1921/12582、1967、2389、2425、2671、2685、3274、3550、3551、3552、4276、4277、4292、4477、5337、5348/11363、5348/11646、5348/12430、5348/12434、10072、11355C、11711A、12029、12981、13441、90666、90816、93253、907515、910716及びNN-リステリア(15)によって、又は上記のファージのキャプシドにパッケージングされたベクターによって感染される。
【0214】
モルガネラ属の細菌は、以下のファージ:47、又は上記のファージのキャプシドにパッケージングされたベクターによって感染される。
【0215】
マイコバクテリウム属の細菌は、以下のファージ:13、AGl、ALi、ATCC11759、A2、B.C3、BG2、BKl、BK5、butyricum、B-I、B5、B7、B30、B35、Clark、Cl、C2、DNAIII、DSP1、D4、D29、GS4E、(syn=GS4E)、GS7、(syn=GS-7)、(syn=GS7)、IPa、ラクチコラ、Legendre、Leo、L5、(syn=ΦL-5)、MC-I、MC-3、MC-4、ミネッツィ、MTPHIl、Mx4、MyF3P/59a、フレイ、(syn=フレイ1)、フレイ4、PolonusII、ラビノビッチ、スメグマチス、TM4、TM9、TMlO、TM20、Y7、YlO、φ630、IB、IF、IH、1/1、67、106、1430、Bl、(syn=Bol)、B24、D、D29、F-K、F-S、HP、PolonusI、Roy、Rl、(syn=Rl-Myb)、(syn=Ri)、11、31、40、50、103a、103b、128、3111-D、3215-D及びNN-マイコバクテリウム(1)によって、又は上記のファージのキャプシドにパッケージングされたベクターによって感染される。
【0216】
ネイセリア属の細菌は、以下のファージ:グループI、グループII及びNP1によって、又は上記のファージのキャプシドにパッケージングされたベクターによって感染される。
【0217】
ノカルジア属の細菌は、以下のファージ:MNP8、NJ-L、NS-8、N5及びTtiN-ノカルジアによって、又は上記のファージのキャプシドにパッケージングされたベクターによって感染される。
【0218】
プロテウス属の細菌は、以下のファージ:Pm5、13vir、2/44、4/545、6/1004、13/807、20/826、57、67b、78、107/69、121、9/0、22/608、30/680、PmI、Pm3、Pm4、Pm6、Pm7、Pm9、PmIO、PmIl、Pv2、πl、φm、7/549、9B/2、10A/31、12/55、14、15、16/789、17/971、19A/653、23/532、25/909、26/219、27/953、32A/909、33/971、34/13、65、5006M、7480b、VI、13/3a、Clichy12、π2600、φχ7、1/1004、5/742、9、12、14、22、24/860、2600/D52、Pm8及び24/2514によって、又は上記のファージのキャプシドにパッケージングされたベクターによって感染される。
【0219】
プロビデンシア属の細菌は、以下のファージ:PL25、PL26、PL37、9211/9295、9213/921 Ib、9248、7/R49、7476/322、7478/325、7479、7480、9000/9402及び9213/921 1a、又は上記のファージのキャプシドにパッケージングされたベクターによって感染される。
【0220】
シュードモナス属の細菌は、以下のファージ:PfI、(syn=Pf-I)、Pf2、Pf3、PP7、PRRl、7s、im-シュードモナス(1)、AI-I、AI-2、B 17、B89、CB3、Col 2、Col 11、Col 18、Col 21、C154、C163、C167、C2121、E79、F8、ga、gb、H22、K1、M4、N2、Nu、PB-I、(syn=PBl)、pfl6、PMN17、PPl、PP8、Psal、PsPl、PsP2、PsP3、PsP4、PsP5、PS3、PS17、PTB80、PX4、PX7、PYOl、PYO2、PYO5、PYO6、PYO9、PYOlO、PYO13、PYO14、PYO16、PYO18、PYO19、PYO20、PYO29、PYO32、PYO33、PYO35、PYO36、PYO37、PYO38、PYO39、PYO41、PYO42、PYO45、PYO47、PYO48、PYO64、PYO69、PYO103、PlK、SLPl、SL2、S2、UNL-I、wy、Yai、Ya4、Yan、φBE、φCTX、φC17、φKZ、(syn=ΦKZ)、φ-LT、Φmu78、φNZ、φPLS-1、φST-1、φW-14、φ-2、1/72、2/79、3、3/DO、4/237、5/406、6C、6/6660、7、7v、7/184、8/280、9/95、10/502、11/DE、12/100、12S、16、21、24、25F、27、31、44、68、71、95、109、188、337、352、1214、ΗN-シュードモナス(23)、A856、B26、CI-I、CI-2、C5、D、gh-1、Fl 16、HF、H90、K5、K6、Kl 04、K109、K166、K267、N4、N5、O6N-25P、PE69、Pf、PPN25、PPN35、PPN89、PPN91、PP2、PP3、PP4、PP6、PP7、PP8、PP56、PP87、PPl 14、PP206、PP207、PP306、PP651、Psp231a、Pssy401、Pssy9220、psi、PTB2、PTB20、PTB42、PXl、PX3、PXlO、PX12、PX14、PYO70、PYO71、R、SH6、SH133、tf、Ya5、Ya7、φBS、ΦKf77、φ-MC、ΦmnF82、φPLS27、φPLS743、φS-1、1、2、2、3、4、5、6、7、7、8、9、10、11、12、12B、13、14、15、14、15、16、17、18、19、20、20、21、21、22、23、23、24、25、31、53、73、119x、145、147、170、267、284、308、525、NN-シュードモナス(5)、af、A7、B3、B33、B39、BI-I、C22、D3、D37、D40、D62、D3112、F7、FlO、g、gd、ge、gξ Hwl2、Jb 19、KFl、L°、OXN-32P、O6N-52P、PCH-I、PC13-1、PC35-1、PH2、PH51、PH93、PH132、PMW、PM13、PM57、PM61、PM62、PM63、PM69、PM105、PMl 13、PM681、PM682、PO4、PPl、PP4、PP5、PP64、PP65、PP66、PP71、PP86、PP88、PP92、PP401、PP711、PP891、Pssy41、Pssy42、Pssy403、Pssy404、Pssy420、Pssy923、PS4、PS-IO、Pz、SDl、SLl、SL3、SL5、SM、φC5、φCl l、φCl l-1、φC13、φC15、φMO、φX、φO4、φl l、φ240、2、2F、5、7m、11、13、13/441、14、20、24、40、45、49、61、73、148、160、198、218、222、236、242、246、249、258、269、295、297、309、318、342、350、351、357-1、400-1、ΗN-シュードモナス(6)、GlOl、M6、M6a、Ll、PB2、Pssyl5、Pssy4210、Pssy4220、PYO12、PYO34、PYO49、PYO50、PYO51、PYO52、PYO53、PYO57、PYO59、PYO200、PX2、PX5、SL4、φO3、φO6及び1214によって、又は上記のファージのキャプシドにパッケージングされたベクターによって感染される。
【0221】
リケッチア属の細菌は、以下のファージ:NN-リケッチア、又は上記のファージのキャプシドにパッケージングされたベクターによって感染される。
【0222】
サルモネラ属の細菌は、以下のファージ:b、Beccles、CT、d、Dundee、f、FeIs2、GI、GUI、GVI、GVIII、k、K、i、j、L、01、(syn=0-1)、(syn=O1)、(syn=O-I)、(syn=7)、02、03、P3、P9a、PlO、Sab3、Sab5、SanlS、Sanl7、SI、Taunton、ViI、(syn=ViI)、9、imサルモネラ(1)、N-I、N-5、N-IO、N-17、N-22、11、12、16-19、20.2、36、449C/C178、966A/C259、a、B.A.O.R.、e、G4、GUI、L、LP7、M、MG40、N-18、PSA68、P4、P9c、P22、(syn=P22)、(syn=PLT22)、(syn=PLT22)、P22al、P22-4、P22-7、P22-11、SNT-I、SNT-2、SP6、Villi、ViIV、ViV、ViVI、ViVII、Worksop、Sj5、ε34、1、37、1(40)、(syn=φ1[40])、1、422、2、2.5、3b、4、5、6、14(18)、8、14(6,7)、10、27、28B、30、31、32、33、34、36、37、39、1412、SNT-3、7-11、40.3、c、C236、C557、C625、C966N、g、GV、G5、Gl73、h、IRA、Jersey、MB78、P22-1、P22-3、P22-12、Sabl、Sab2、Sab2、Sab4、Sanl、San2、San3、San4、San6、San7、San8、San9、Sanl3、Sanl4、Sanl6、Sanl8、Sanl9、San20、San21、San22、San23、San24、San25、San26、SasLl、SasL2、SasL3、SasL4、SasL5、SlBL、SII、ViII、φ1、1、2、3a、3al、1010、Ym-サルモネラ(1)、N-4、SasL6及び27によって感染される。
【0223】
セルラチア属の細菌は、以下のファージ: A2P、PS20、SMB3、SMP、SMP5、SM2、V40、V56、ic、ΦCP-3、ΦCP-6、3M、10/la、20A、34CC、34H、38T、345G、345P、501B、SMB2、SMP2、BC、BT、CW2、CW3、CW4、CW5、Lt232、L2232、L34、L.228、SLP、SMPA、V.43、σ、φCWl、ΦCP6-1、ΦCP6-2、ΦCP6-5、3T、5、8、9F、10/1、2OE、32/6、34B、34CT、34P、37、41、56、56D、56P、6OP、61/6、74/6、76/4、101/8900、226、227、228、229F、286、289、290F、512、764a、2847/10、2847/1Oa、L.359及びSMBlによって、又は上記のファージのキャプシドにパッケージングされたベクターによって感染され得る。
【0224】
シゲラ属の細菌は、以下のファージ: Fsa、(syn=a)、FSD2d、(syn=D2d)、(syn=W2d)、FSD2E、(syn=W2e)、fv、F6、f7.8、H-Sh、PE5、P90、SfII、Sh、SHm、SHrv、(syn=HIV)、SHvi、(syn=HVI)、SHVvm、(syn=HVIII)、SKγ66、(syn=ガンマ66)、(syn=yββ)、(syn=γ66b)、SKm、(syn=SIIIb)5(syn=UI)、SKw、(syn=Siva)、(syn=IV)、SIC(商標)、(syn=SIVA.)、(syn=IVA)、SKvi、(syn=KVI)、(syn=Svi)、(syn=VI)、SKvm、(syn=Svm)、(syn=VIII)、SKVΠIA、(syn=SvmA)、(syn=VIIIA)、STvi、STK、STx1、STxn、S66、W2、(syn=D2c)、(syn=D20)、φl、φIVb3-SO-R、8368-SO-R、F7、(syn=FS7)、(syn=K29)、FlO、(syn=FSlO)、(syn=K31)、I1、(syn=アルファ)、(syn=FSa)、(syn=Kl8)、(syn=α)、I2、(syn=a)、(syn=K19)、SG33、(syn=G35)、(syn=SO-35/G)、SG35、(syn=SO-55/G)、SG3201、(syn=SO-3201/G)、SHn、(syn=HII)、SHv、(syn=SHV)、SHx、SHX、SKn、(syn=K2)、(syn=KII)、(syn=Sn)、(syn=SsII)、(syn=II)、SKrv、(syn=Sm)、(syn=SsIV)、(syn=IV)、SK1Va、(syn=Swab)、(syn=SsIVa)、(syn=IVa)、SKV、(syn=K4)、(syn=KV)、(syn=SV)、(syn=SsV)、(syn=V)、SKx、(syn=K9)、(syn=KX)、(syn=SX)、(syn=SsX)、(syn=X)、STV、(syn=T35)、(syn=35-50-R)、STvm、(syn=T8345)、(syn=8345-SO-S-R)、W1、(syn=D8)、(syn=FSD8)、W2a、(syn=D2A)、(syn=FS2a)、DD-2、Sf6、FSi、(syn=Fl)、SF6、(syn=F6)、SG42、(syn=SO-42/G)、SG3203、(syn=SO-3203/G)、SKF12、(syn=SsF12)、(syn=F12)、(syn=F12)、STn、(syn=1881-SO-R)、γ66、(syn=ガンマ66a)、(syn=Ssγ66)、φ2、BIl、DDVII、(syn=DD7)、FSD2b、(syn=W2B)、FS2、(syn=F2)、(syn=F2)、FS4、(syn=F4)、(syn=F4)、FS5、(syn=F5)、(syn=F5)、FS9、(syn=F9)、(syn=F9)、FIl、P2-S0-S、SG36、(syn=SO-36/G)、(syn=G36)、SG3204、(syn=SO-3204/G)、SG3244、(syn=SO-3244/G)、SHi、(syn=HI)、SHvπ、(syn=HVII)、SHK、(syn=HIX)、SHx1、SHxπ、(syn=HXn)、SKI、KI、(syn=S1)、(syn=SsI)、SKVII、(syn=KVII)、(syn=Svπ)、(syn=SsVII)、SKIX、(syn=KIX)、(syn=S1x)、(syn=SsIX)、SKXII、(syn=KXII)、(syn=Sxn)、(syn=SsXII)、STi、STffl、STrv、STVi、STvπ、S70、S206、U2-S0-S、3210-SO-S、3859-SO-S、4020-SO-S、φ3、φ5、φ7、φ8、φ9、φlO、φll、φl3、φl4、φl8、SHm、(syn=Hπi)、SHχi、(syn=HXt)及びSKxI、(syn=KXI)、(syn=Sχi)、(syn=SsXI)、(syn=XI)によって、又は上記のファージのキャプシドにパッケージングされたベクターによって感染される。
【0225】
スタフィロコッカス属の細菌は、以下のファージ: A、EW、K、Ph5、Ph9、PhIO、Phl3、Pl、P2、P3、P4、P8、P9、PlO、RG、SB-i、(syn=Sb-I)、S3K、Twort、ΦSK311、φ812、06、40、58、119、130、131、200、1623、STCl、(syn=stcl)、STC2、(syn=stc2)、44AHJD、68、ACl、AC2、A6"C"、A9"C"、b581、CA-I、CA-2、CA-3、CA-4、CA-5、DI l、L39x35、L54a、M42、Nl、N2、N3、N4、N5、N7、N8、NlO、Ni l、N12、N13、N14、N16、Ph6、Phl2、Phl4、UC-18、U4、U15、Sl、S2、S3、S4、S5、X2、Z1、φB5-2、φD、ω、11、(syn=φl l)、(syn=P11-M15)、15、28、28A、29、31、31B、37、42D、(syn=P42D)、44A、48、51、52、52A、(syn=P52A)、52B、53、55、69、71、(syn=P71)、71A、72、75、76、77、79、80、80α、82、82A、83A、84、85、86、88、88A、89、90、92、95、96、102、107、108、111、129-26、130、130A、155、157、157A、165、187、275、275A、275B、356、456、459、471、471A、489、581、676、898、1139、1154A、1259、1314、1380、1405、1563、2148、2638A、2638B、2638C、2731、2792A、2792B、2818、2835、2848A、3619、5841、12100、AC3、A8、AlO、A13、b594n、D、HK2、N9、N15、P52、P87、Sl、S6、Z4、φRE、3A、3B、3C、6、7、16、21、42B、42C、42E、44、47、47A5 47C、51、54、54x1、70、73、75、78、81、82、88、93、94、101、105、110、115、129/16、174、594n、1363/14、2460及びmS-スタフィロコッカス(1)によって、又は上記のファージのキャプシドにパッケージングされたベクターによって感染される。
【0226】
ストレプトコッカス属の細菌は、以下のファージ:EJ-I,NN-ストレプトコッカス(Streptococais)(1)、a、Cl、FL0Ths、H39、Cp-I、Cρ-5、Cp-7、Cp-9、Cp-IO、AT298、A5、alO/Jl、alO/J2、alO/J5、alO/J9、A25、BTI l、b6、CAl、c20-l、c20-2、DP-I、Dp-4、DTl、ET42、elO、FA101、FEThs、Fκ、FKKIOI、FKLIO、FKP74、FKH、FLOThs、FyIOl、fl、F10、F20140/76、g、GT-234、HB3、(syn=HB-3)、HB-623、HB-746、M102、O1205、φO1205、PST、PO、Pl、P2、P3、P5、P6、P8、P9、P9、P12、P13、P14、P49、P50、P51、P52、P53、P54、P55、P56、P57、P58、P59、P64、P67、P69、P71、P73、P75、P76、P77、P82、P83、P88、sc、sch、sf、SfIl 1、(syn=SFiI l)、(syn=φSFill)、(syn=ΦSfil l)、(syn=φSfil l)、sfil9、(syn=SFil9)、(syn=φSFil9)、(syn=φSfil9)、Sfi21、(syn=SFi21)、(syn=φSFi21)、(syn=φSfi21)、ST0、STX、st2、ST2、ST4、S3、(syn=φS3)、s265、Φ17、φ42、Φ57、φ80、φ81、φ82、φ83、φ84、φ85、φ86、φ87、φ88、φ89、φ90、φ91、φ92、φ93、φ94、φ95、φ96、φ97、φ98、φ99、φlOO、φlOl、φlO2、φ227、Φ7201、ωl、ω2、ω3、ω4、ω5、ω6、ω8、ωlO、1、6、9、1OF、12/12、14、17SR、19S、24、50/33、50/34、55/14、55/15、70/35、70/36、71/ST15、71/45、71/46、74F、79/37、79/38、80/J4、80/J9、80/ST16、80/15、80/47、80/48、101、103/39、103/40、121/41、121/42、123/43、123/44、124/44、337/ST17及びmストレプトコッカス(34)によって、又は上記のファージのキャプシドにパッケージングされたベクターによって感染される。
【0227】
トレポネーマ属の細菌は、以下のファージ:NN-トレポネーマ(1)によって、又は上記のファージのキャプシドにパッケージングされたベクターによって感染される。
【0228】
ビブリオ属の細菌は、以下のファージ: CTXΦ、fs、(syn=si)、fs2、Ivpf5、Vfl2、Vf33、VPIΦ、VSK、v6、493、CP-Tl、ET25、カッパ、K139、Labol、)XN-69P、OXN-86、O6N-21P、PB-I、P147、rp-1、SE3、VA-I、(syn=VcA-I)、VcA-2、VPl、VP2、VP4、VP7、VP8、VP9、VPlO、VP17、VP18、VP19、X29、(syn=29d'Herelle)、t、ΦHAWI-1、ΦHAWI-2、ΦHAWI-3、ΦHAWI-4、ΦHAWI-5、ΦHAWI-6、ΦHAWI-7、XHAWI-8、ΦHAWI-9、ΦHAWI-10、ΦHCl-1、ΦHC1-2、ΦHC1-3、ΦHC1-4、ΦHC2-1、>HC2-2、ΦHC2-3、ΦHC2-4、ΦHC3-1、ΦHC3-2、ΦHC3-3、ΦHD1S-1、ΦHD1S-2、ΦHD2S-1、ΦHD2S-2、ΦHD2S-3、ΦHD2S-4、ΦHD2S-5、ΦHDO-1、ΦHDO-2、ΦHDO-3、ΦHDO-4、ΦHDO-5、ΦHDO-6、ΦKL-33、ΦKL-34、ΦKL-35、ΦKL-36、ΦKWH-2、ΦKWH-3、ΦKWH-4、ΦMARQ-1、ΦMARQ-2、ΦMARQ-3、ΦMOAT-1、ΦO139、ΦPEL1A-1、ΦPEL1A-2、ΦPEL8A-1、ΦPEL8A-2、ΦPEL8A-3、ΦPEL8C-1、ΦPEL8C-2、ΦPEL13A-1、ΦPEL13B-1、ΦPEL13B-2、ΦPEL13B-3、ΦPEL13B-4、ΦPEL13B-5、ΦPEL13B-6、ΦPEL13B-7、ΦPEL13B-8、ΦPEL13B-9、ΦPEL13B-10、φVP143、φVP253、Φ16、φl38、1-II、5、13、14、16、24、32、493、6214、7050、7227、II、(syn=グループII)、(syn==φ2)、V、VIII、~m-ビブリオ(13)、KVP20、KVP40、nt-1、O6N-22P、P68、el、e2、e3、e4、e5、FK、G、I、K、nt-6、Nl、N2、N3、N4、N5、O6N-34P、OXN-72P、OXN-85P、OXN-100P、P、Ph-I、PL163/10、Q、S、T、φ92、1-9、37、51、57、70A-8、72A-4、72A-10、110A-4、333、4996、I(syn=グループI)、III(syn=グループIII)、VI、(syn=A-Saratov)、VII、IX、X、HN-ビブリオ(6)、pAl、7、7-8、70A-2、71A-6、72A-5、72A-8、108A-10、109A-6、109A-8、110A-1、110A-5、110A-7、hv-1、OXN-52P、P13、P38、P53、P65、P108、Pill、TPl3VP3、VP6、VP12、VP13、70A-3、70A-4、70A-10、72A-1、108A-3、109-B1、110A-2、149、(syn=φ149)、IV、(syn=グループIV)、NN-ビブリオ(22)、VP5、VPIl、VP15、VP16、αl、α2、α3a、α3b、353B及びHN-ビブリオ(7)によって、又は上記のファージのキャプシドにパッケージングされたベクターによって感染される。
【0229】
エルシニア属の細菌は、以下のファージ:H、H-I、H-2、H-3、H-4、Lucas110、Lucas303、Lucas404、YerA3、YerA7、YerA20、YerA41、3/M64-76、5/G394-76、6/C753-76、8/C239-76、9/F18167、1701、1710、PST、1/F2852-76、D'Herelle、EV、H、Kotljarova、PTB、R、Y、YerA41、φYerO3-12、3、4/C1324-76、7/F783-76、903、1/M6176及びYer2ATによって、又は上記のファージのキャプシドにパッケージングされたベクターによって感染される。
【0230】
ベクター
ベクターは当業者に周知である。本発明によるベクターは、DNAベクター又はRNAベクターであり得る。ベクターは、複製起点、選択マーカー、及びマルチクローニング部位などの目的の遺伝子又は配列の挿入に適した部位を含み得る。「目的の配列」とは、治療効果をもたらす配列を指す。
【0231】
好ましくは、ベクターは、発現ベクター、好ましくは細菌中で発現を可能にするベクターである。
【0232】
本発明による発現ベクターは、プロモーター、リボソーム結合部位及び開始コドンなどの翻訳開始配列、終止コドン、並びに転写終結配列を含み得る。本発明による発現ベクターはまた、所与の遺伝子の転写レベルを指向するためのエンハンサー、サイレンサー及び境界要素/インスレーターなどの調節領域を含み得る。
【0233】
発現ベクターは、遺伝子の安定な又は一過性発現のためのベクターであり得る。
【0234】
本発明によるベクターは、プラスミド、バクテリオファージゲノム、ファージミド、ウイルスゲノム、コスミド、及び人工染色体からなる群から選択され得る。好ましくは、本発明によるベクターは、バクテリオファージゲノム又はファージミドである。
【0235】
好ましい実施形態では、本発明によるベクターは、バクテリオファージゲノムである。本発明によるバクテリオファージゲノムは、細菌内でのその複製、新しいビリオンの形成及びそれらの放出に必要とされる全ての遺伝子を含む。ゲノムは、野生型又は遺伝子操作されたものであり得る。
【0236】
本発明によるバクテリオファージゲノムは、上記で定義されるバクテリオファージのゲノム、例えば、IKe、CTX-φ、Pf1、Pf2、Pf3、ミオウイルス科(例えば、P1様、P2様、Mu様、SPO1様、及びphiH様バクテリオファージ);サイフォウイルス科(例えば、λ様、γ様、T1様、c2様、L5様、psiM1様、phiC31様、及びN15様バクテリオファージ);ポドウイルス科(例えば、phi29様、P22様、及びN4様バクテリオファージ);テクティウイルス科(例えば、テクティウイルス);コルチコウイルス科(例えば、コルチコウイルス);リポスリクスウイルス科(例えば、アルファリポスリクスウイルス、ベータリポスリクスウイルス、ガンマリポスリクスウイルス、及びデルタリポスリクスウイルス);プラズマウイルス科(例えば、プラズマウイルス);ルディウイルス科(例えば、ルディウイルス);フセロウイルス科(例えば、フセロウイルス);イノウイルス科(例えば、イノウイルス、プレトウイルス、M13様及びfd様バクテリオファージ);ミクロウイルス科(例えば、ミクロウイルス、スピロミクロウイルス、ブデロミクロウイルス、及びクラミジアミクロウイルス);レビウイルス科(例えば、レビウイルス、及びアロレビウイルス);シストウイルス科(例えば、シストウイルス)、大腸菌(coli)ファージ(例えば、大腸菌に感染)、B1(例えば、バクテロイデス・テェタイオタミクロン(Bacteroides thetaiotamicron)に感染)、ATCC 51477-B1、B40-8、又はBf-1(例えば、B.フラギリスに感染)、phiHSC01(例えば、B.カカエに感染)、phiHSC02(例えば、B.オバツスに感染)、phiC2、phiC5、phiC6、phiC8、phiCD119、又はphiCD27(例えば、クロストリジウム・ヂフィシレに感染)、KP01K2、K11、Kpn5、KP34、又はJD001(例えば、クレブシエラ・ニューモニアエに感染)、phiNM1又は80アルファ(例えば、スタフィロコッカス・アウレウスに感染)、IME-EF1(例えば、エンテロコッカス・ファエカリスに感染)、ENB6又はC33(例えば、エンテロコッカス・ファエシウムに感染)、及びphiKMV、PAK-P1、LKD16、LKA1、デルタ、シグマ-1、J1(例えば、シュードモナス・アエリグノサに感染)、T2、T4、T5、T7、RB49、phiX174、R17、PRD1バクテリオファージ、及びそれらに由来する任意のバクテリオファージからなる群から選択されるゲノムであり得る。
【0237】
本発明によるバクテリオファージゲノムは、溶解性又は非溶解性の複製周期を有するバクテリオファージのゲノムであり得る。
【0238】
本発明による非溶解性の複製周期を有するバクテリオファージのゲノムは、IKe、CTX-φ、Pf1、Pf2、Pf3、ミオウイルス科(例えば、P1様、P2様、Mu様、SPO1様、及びφH様バクテリオファージ);サイフォウイルス科(例えば、λ様、γ様、T1様、c2様、L5様、psiM1様、phiC31様、及びN15様バクテリオファージ);ポドウイルス科(例えば、phi29様、P22様、及びN4様バクテリオファージ);テクティウイルス科(例えば、テクティウイルス);コルチコウイルス科(例えば、コルチコウイルス);リポスリクスウイルス科(例えば、アルファリポスリクスウイルス、ベータリポスリクスウイルス、ガンマリポスリクスウイルス、及びデルタリポスリクスウイルス);プラズマウイルス科(例えば、プラズマウイルス);ルディウイルス科(例えば、ルディウイルス);フセロウイルス科(例えば、フセロウイルス);イノウイルス科(例えば、イノウイルス、プレトウイルス、M13様及びfd様バクテリオファージ);ミクロウイルス科(例えば、ミクロウイルス、スピロミクロウイルス、ブデロミクロウイルス、及びクラミジアミクロウイルス);レビウイルス科(例えば、レビウイルス、及びアロレビウイルス);シストウイルス科(例えば、シストウイルス)、大腸菌(coli)ファージ(例えば、大腸菌に感染)、B1(例えば、バクテロイデス・テェタイオタミクロンに感染)、ATCC 51477-B1、B40-8、又はBf-1(例えば、B.フラギリスに感染)、phiHSC01(例えば、B.カカエに感染)、phiHSC02(例えば、B.オバツスに感染)、phiC2、phiC5、phiC6、phiC8、phiCD119、又はphiCD27(例えば、クロストリジウム・ヂフィシレに感染)、KP01K2、K11、Kpn5、KP34、又はJD001(例えば、クレブシエラ・ニューモニアエに感染)、phiNM1又は80アルファ(例えば、スタフィロコッカス・アウレウスに感染)、IME-EF1(例えば、エンテロコッカス・ファエカリスに感染)、ENB6又はC33(例えば、エンテロコッカス・フェシウムに感染)、及びphiKMV、PAK-P1、LKD16、LKA1、デルタ、シグマ-1、J1(例えば、緑膿菌に感染)バクテリオファージ、並びにそれらに由来する任意のバクテリオファージからなる群から選択される。
【0239】
本発明による非溶解性の複製周期(溶原性周期とも呼ばれる)を有するバクテリオファージのゲノムは、温帯バクテリオファージ由来である。好ましくは、本発明による非溶解性の複製周期を有するバクテリオファージのゲノムは、P2様及びラムダ様(λ様)バクテリオファージからなる群から選択される。より好ましくは、本発明による非溶解性の複製周期を有するバクテリオファージのゲノムは、ラムダ様バクテリオファージから、好ましくはHK022、mEP237、HK97、HK629、HK630、mEP043、mEP213、mEP234、mEP390、mEP460、mEPx1、mEPx2、phi80、mEP234バクテリオファージ、及びそれらに由来する任意のバクテリオファージからなる群から選択される。
【0240】
本発明による溶解性の複製周期を有するバクテリオファージのゲノムは、T2、T4、T5、T7、RB49、phiX174、R17、PRD1バクテリオファージ、及びそれらに由来する任意のバクテリオファージのゲノムからなる群より選択され得る。
【0241】
他のバクテリオファージのゲノムを本発明に従って使用し得る。
【0242】
好ましくは、本発明によるバクテリオファージゲノムは、致死性バクテリオファージのゲノム、すなわち溶解性の生殖周期のみを有するものである。
【0243】
或いは、本発明によるバクテリオファージゲノムは、非致死性バクテリオファージのゲノム、すなわち溶原性及び溶解性の両方の生殖周期を有する温帯バクテリオファージのゲノムである。
【0244】
別の好ましい実施形態では、本発明によるベクターはファージミドである。本発明によるファージミドは、ファージパッケージング部位、並びに任意選択的にプラスミド複製起点(ori)、特に細菌複製起点及び/又はファージ複製起点を含む。好ましくは、本発明によるファージミドはプラスミド複製起点を含まず、したがって細菌に注入されるとそれ自体で複製することはできない。
【0245】
本発明によるファージミドは、本明細書に開示されているバクテリオファージのいずれに由来し得る。特に、本発明によるファージミドは、本明細書に開示されているバクテリオファージのいずれかにパッケージングされるのに適しており、特にパッケージング部位及び任意選択的にバクテリオファージ複製起点を含む。ファージ複製起点は、完全なファージゲノムの相補性を伴って、後の異なるキャプシドへのカプセル化のためのプラスミドの複製を開始することができる。ファージ複製起点は、M13、f1、φX174、P4、lambda、P2、ラムダ様バクテリオファージ、HK022、mEP237、HK97、HK629、HK630、mEP043、mEP213、mEP234、mEP390、mEP460、mEPx1、mEPx2、phi80、mEP234、T2、T4、T5、T7、RB49、phiX174、R17、PRD1 P1様、P2様、P22様N15様バクテリオファージの野生型又は非野生型の配列であり得る。
【0246】
パッケージング部位としては、限定されないが、SPP1(SPP1pac部位)、P1(P1pac部位)、T1(T1pac部位)、T7(T7コンカテマー接合部)、ラムダ(λcos部位)、P4(P4coc部位)、ミュー(ミューpac部位)、P22(P22pac部位)、φ8(φ8pac部位)、Sf6(Sf6pac部位)、149(149pac部位)、及びAl122(A1122コンカテマー接合部)が挙げられる。ほとんどの細菌ウイルスについて、パッケージング部位はpac部位と呼ばれる。いくつかの場合、パッケージング部位は、コンカテマー接合部(例えば、T7コンカテマー接合部)と称する。全ての場合、パッケージング部位は、細菌ウイルスゲノム中でそれに隣接して天然に存在する配列から実質的に分離されている。
【0247】
本発明によるファージミドは、ラムダ由来ファージミド、P4由来ファージミド、M13由来ファージミド、例えば、線状ファージパッケージングのためのf1起源を含有するもの、例えば、pBluescript II SK(+/-)及びKS(+/-)ファージミド、pBC SK及びKSファージミド、pADL及びP1由来ファージミド(例えば、Westwater CAら、Microbiology 148、943~50頁(2002); Kittleson JTら、ACS Synthetoc Biology 1、583~89頁(2012); Mead DAら、Biotechnology 10、85~102頁(1988)参照)からなる群から選択され得る。
【0248】
好ましくは、本発明によるファージミドは、ラムダ由来ファージミド及びP4由来ファージミドから選択される。
【0249】
より好ましくは、本発明によるファージミドは、ラムダ由来ファージミドから選択され、好ましくはHK022由来ファージミド、mEP237由来ファージミド、HK97由来ファージミド、HK629由来ファージミド、HK630由来ファージミド、mEP043由来ファージミド、mEP213由来ファージミド、mEP234由来ファージミド、mEP390由来ファージミド、mEP460由来ファージミド、mEPx1由来ファージミド、mEPx2由来ファージミド、phi80由来ファージミド、mEP234由来ファージミドからなる群から選択される。
【0250】
他のファージミドは、本発明に従って使用され得る。
【0251】
例えば、本発明によるベクター、好ましくはバクテリオファージゲノム又はファージミドはまた、目的の配列を含み得る。目的の配列は、細菌に技術的効果をもたらす、好ましくは治療効果をもたらす配列である。目的の配列は、例えば、細菌を死滅させ、遺伝子の発現を調節し、特に1つ若しくはいくつかの遺伝子の発現を抑制し又はその発現を増加させ、或いは代謝産物の産生を調節し、特に1つ若しくはいくつかの代謝物の発現を減少又は増加させることができる配列であり得る。
【0252】
例えば、本発明によるベクター、好ましくはバクテリオファージゲノム又はファージミドはまた、追加の遺伝子、特に目的の細菌において発現させることを目的とする遺伝子を含み得る。
【0253】
一実施形態では、ベクターは、目的の配列、例えば、目的のタンパク質をコードする配列を含み得る。目的のタンパク質は、バクテリオシンであり得、これは細菌によって産生されるタンパク質性毒素であって、他の細菌を死滅させ、又はその増殖を阻害することができる。バクテリオシンは、菌株の産生、一般的な耐性機序、及び死滅の機序など、いくつかの方法で分類される。グラム陰性菌(例えば、ミクロシン、コリシン様バクテリオシン及びテイロシン)及びグラム陽性菌(例えば、クラスI、クラスII、クラスIII又はクラスIVバクテリオシン)由来のこのようなバクテリオシンが報告されていた。次に、目的のタンパク質は、ミクロシン、コリシン様バクテリオシン、テイロシン、クラスI、クラスII、クラスIII及びクラスIVバクテリオシンからなる群から選択される毒素からなる群から選択され得る。
【0254】
特定の実施形態では、プログラム可能なヌクレアーゼ回路は、目的の細菌に送達されるようにベクターに追加することができる。このプログラム可能なヌクレアーゼ回路は、目的の標的遺伝子(例えば、ヒトに有害な遺伝子)を含有する細菌のインビボ配列特異的除去を仲介することができる場合がある。本開示の一部の実施形態は、化膿性連鎖球菌のタイプII CRISPR-Cas(クラスター化された規則的に間隔を空けた短いパリンドローム反復-CRISPR関連)システムの操作された変異体に関し、これは、本開示に従って使用して、広範囲の微生物において抗生物質耐性を逆転させるか又は具体的には破壊することができる。本開示に従って使用することができる他のプログラム可能なヌクレアーゼには、他のCRISPR-Casシステム、操作されたTALEN(転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ)変異体及び操作されたジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)変異体が含まれる。したがって、一部の実施形態では、本明細書で提供される操作された自律分散回路を使用して、例えば、毒素遺伝子、毒性因子遺伝子、抗生物質耐性遺伝子、リモデリング遺伝子、又は調節遺伝子などの目的の遺伝子をコードするDNAを選択的に切断することができる(国際公開第2014/124226号及び米国特許出願公開第2015/0064138号を参照されたい)。
【0255】
CRISPRシステムには、2つの異なる要素、すなわち、i)エンドヌクレアーゼ、この場合はCRISPR関連ヌクレアーゼ(Cas又は「CRISPR関連タンパク質」)、及びii)ガイドRNAが含まれる。ガイドRNAは、CRISPR(RNAcr)細菌RNAとRNAtracr(トランス活性化RNA CRISPR)の組み合わせからなるキメラRNAの形態のものである(Jinekら、Science、2012)。gRNAは、Casタンパク質へのガイドとして機能する「スペーシング配列」に対応するcRNAの標的特異性と、単一転写物におけるRtracrの立体構造特性を組み合わせる。gRNA及びCasタンパク質が細胞内で同時に発現する場合、標的ゲノム配列が永久的に修飾又は中断され得る。修飾は、修復マトリックスによって有利にガイドされる。
【0256】
本発明による目的の配列は、Casタンパク質をコードする核酸配列を含む。種々のCRISPR酵素が、本発明によるプラスミド上の目的の配列として使用するために利用可能である。一部の実施形態では、CRISPR酵素は、タイプII CRISPR酵素である。一部の実施形態では、CRISPR酵素はDNA切断を触媒する。一部の他の実施形態では、CRISPR酵素はRNA切断を触媒する。一実施形態では、CRISPR酵素はsgRNAにカップリングされ得る。特定の実施形態では、sgRNAは、抗生物質耐性遺伝子、毒性遺伝子、毒素遺伝子、及び病原体に選択的利点を付与するか、若しくは同じ細菌種の病原性株と非病原性株の区別を可能にする他の任意の遺伝子からなる群から選択される遺伝子を標的とする。
【0257】
Casタンパク質の非限定的な例には、Casl、CaslB、Cas2、Cas3、Cas4、Cas5、Cas6、Cas7、Cas8、Cas9(Csnl及びCsxl2としても公知である)、Cas10、Csy1、Csy2、Csy3、Csel、Cse2、Cscl、Csc2、Csa5、Csn2、Csm2、Csm3、Csm4、Csm5、Csm6、Cmrl、Cmr3、Cmr4、Cmr5、Cmr6、Csbl、Csb2、Csb3、Csxl7、Csxl4、CsxlO、Csxl6、CsaX、Csx3、Csxl、Csxl5、Csfl、Csf2、Csf3、Csf4、それらの相同体、又はそれらの変異体が含まれる。一部の実施形態では、CRISPR酵素は、プロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)部位で標的核酸の両方の鎖を切断する。
【0258】
特定の実施形態では、CRISPR酵素は、任意のCas9タンパク質、例えば、任意の天然に存在する細菌性Cas9、並びにそれらの任意の変異体、相同体又はオルソログである。
【0259】
「Cas9」とは、タンパク質Cas9(Csn1又はCsx12とも呼ばれる)又はその機能性タンパク質、ペプチド、若しくはポリペプチド断片を意味し、すなわち、ガイドRNAと相互作用し、標的ゲノムのDNAの二本鎖切断を実行させることができる酵素活性(ヌクレアーゼ)を発揮することができる。したがって、「Cas9」は、修飾タンパク質、例えば、タンパク質の所定の機能に必須ではないタンパク質のドメイン、特にgRNAとの相互作用に必要でないドメインを除去するために切断された修飾タンパク質を表すことができる。
【0260】
本発明との関連で使用されるCas9(タンパク質全体又はその断片)をコードする配列は、任意の公知のCas9タンパク質から得ることができる(Makarovaら、2011)。本発明に有用なCas9タンパク質の例には、限定されないが、化膿性連鎖球菌、ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)、ストレプトコッカス・ミュータンス(Streptococcus mutans)、カンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni)、フランシセラ・ノビシダ(Francisella novicida)及び髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)のCas9タンパク質が含まれる。本発明で使用することができる他のCas9タンパク質はまた、Fonfaraら、2013の論文に記載されている。
【0261】
特定の実施形態では、目的の核酸配列は、抗生物質耐性遺伝子、毒性遺伝子、毒素遺伝子、及び病原体に選択的利点を付与するか、若しくは同じ細菌種の病原性株と非病原性株の区別を可能にする他の任意の遺伝子からなる群から選択される遺伝子の発現を減少させ、又は遺伝子を不活性化するためのCRISPR/Cas9システムである。
【0262】
一実施形態では、CRISPR/Cas9システムを使用して、毒性因子を標的にし、不活性化する。毒性因子は、宿主に与えられる損傷の程度を増加させることにより、宿主と病原体の相互作用を変化させる病原体によって生成される任意の物質であり得る。毒性因子は、宿主の免疫応答を回避するため、宿主細胞への侵入及び宿主細胞からの退出を促進するため、宿主から栄養を得るため、又は宿主における他の生理学的プロセスを阻害するために、例えば、宿主における細胞接着又はニッチのコロニー形成を含む多数の方法で病原体に使用される。毒性因子は、酵素、エンドトキシン、接着因子、運動性因子、補体回避に関与する因子、及びバイオフィルム形成を促進する因子を含み得る。例えば、このような標的化された毒性因子遺伝子は、大腸菌毒性遺伝子因子、例えば、eaeA、EHEC-HlyA、Stx1(VT1)、Stx2(VT2)、Stx2c(VT2c)、Stx2d(VT2d)、Stx2e(VT2e)及びStx2f(VT2f)、fimH、neuC、kpsE、sfa、foc、iroN、aer、iha、papC、papGI、papGII、papGIII、hlyC、cnf1、hra、sat、ireA、usp ompT、ibeA、malX、fyuA、irp2、traT、afaD、ipaH、eltB、estA、bfpA、eae、aaiC、aatA、TEM、CTX、SHVであり得る。
【0263】
別の実施形態において、CRISPR/Cas9システムを使用して、抗生物質耐性遺伝子(例えば、アンピシリン耐性遺伝子)を標的とし、不活性化する。
【0264】
別の実施形態では、CRISPR/Cas9システムを使用して、細菌毒素遺伝子を標的化及び不活性化する。細菌毒素は、外毒素又は内毒素のいずれかに分類することができる。外毒素が生成され、積極的に分泌される;内毒素は細菌の一部のままである。細菌毒素への反応は、重度の炎症を伴い得、敗血症を引き起こす可能性がある。このような毒素は、例えば、ボツリヌス神経毒素、破傷風毒素、ブドウ球菌毒素、ジフテリア毒素、炭疽毒素、アルファ毒素、百日咳毒素、志賀毒素、熱安定性腸毒素(大腸菌ST)、又はHenkelら(Toxins from Bacteria in EXS. 2010 ; 100: 1~29頁)に記載されている任意の毒素であり得る。
【0265】
他の遺伝子回路、好ましくはプログラム可能な他の遺伝子回路をベクターに追加して、目的の細菌に送達させることができる。好ましくは、ベクターに追加された遺伝子回路は、目的の細菌の細胞死をもたらす。例えば、ベクターに追加された遺伝子回路は、ホリン又は毒素をコードし得る。或いは、ベクターに追加された遺伝子回路は、細菌死をもたらさない。例えば、遺伝子回路は、発光シグナル又は蛍光シグナルをもたらすレポーター遺伝子をコードし得る。或いは、遺伝子回路は、細菌の代謝又はその環境の組成を変更するなどの有用な機能を達成するタンパク質及び酵素を含み得る。
【0266】
ベクターは選択マーカーを更に含み得る。特定の実施形態では、選択マーカーは、抗生物質耐性、重金属耐性、宿主栄養要求性の補完、及び/又は蛍光タンパク質若しくは発光タンパク質の提示などのプラスミドに感染した細菌細胞に選択的利点を提供する。
【0267】
プラスミドに適切な選択マーカー遺伝子を含めることにより、本発明によるプラスミドの送達を成功させるための試験及び/又は検出が可能になる。本発明によるプラスミドは、栄養要求性マーカー(例えば、LEU2、URA3、TRP1又はHIS3、DapA、ThyA)などの選択マーカー、蛍光タンパク質又は発光タンパク質(例えば、GFP、eGFP、DsRed、CFP、YFP)、又は化学物質/毒性化合物に対する耐性を付与するタンパク質(テモゾロミドに対する耐性、カナマイシン耐性、クロラムフェニコール耐性などを付与するMGMT遺伝子)又はそれらの任意の組み合わせなどの検出可能な標識をコードする1つ又は複数の核酸配列を含み得る。これらのマーカーは、本発明によるベクターを含む宿主細胞を選択又は検出するために使用することができ、宿主細胞に従って当業者によって容易に選択することができる。
【0268】
ほとんどの目的で、抗生物質耐性遺伝子は、プラスミドの分子生物学クローニングを促進し、このようなプラスミドによって形質転換された細菌の検出又は選択を可能にするために一般的に使用される選択マーカーである。抗生物質耐性遺伝子は、当該技術分野において周知であり、限定されないが、アンピシリン耐性(Amp)、クロラムフェニコール耐性(Cm)、テトラサイクリン耐性(Tet)、カナマイシン耐性(Kan)、ハイグロマイシン耐性(Qiyg又はhph遺伝子)及びゼオマイシン耐性(Zeo)が含まれる。
【0269】
送達媒体
本発明によるベクターは、好ましくは、目的の細菌へのベクターの移入を可能にする送達媒体に含まれる。
【0270】
送達媒体は、当業者に周知である。いくつかの一般的な種類の送達媒体があり、限定されないが、化学物質ベースの送達媒体、非化学物質ベースの送達媒体、粒子ベースの送達媒体、ナノ粒子ベースの送達媒体、ドナー細菌、バクテリオファージスキャフォールド、及びウイルススキャフォールドが含まれる。
【0271】
本発明による化学物質ベースの送達媒体は、シクロデキストリン、リン酸カルシウム、カチオン性ポリマー、カチオン性リポソーム、及びそれらの混合物からなる群から選択され得る。
【0272】
本発明による非化学物質ベースの送達媒体は、エレクトロポレーション、ソノポレーション、オプティカルトランスフェクション、及びそれらの混合物からなる群から選択され得る。
【0273】
本発明による粒子ベースの送達媒体は、遺伝子銃、マグネトフェクション、インペールフェクション、粒子衝撃、細胞透過性ペプチド及びそれらの混合物からなる群から選択され得る。
【0274】
ナノ粒子ベースの送達媒体は、例えば、核酸ナノケージであり得る。
【0275】
ドナー細菌は、接合性プラスミドの送達媒体であり得る。本発明によるドナー細菌は、限定されないが、共生細菌及びプロバイオティクス細菌を含む。
【0276】
好ましい実施形態では、本発明による送達媒体は、バクテリオファージスキャフォールド又はキャプシド又はバクテリオファージウイルス様粒子である。好ましくは、バクテリオファージスキャフォールドに含まれるベクターは、バクテリオファージゲノム又はファージミドである。
【0277】
したがって、特に好ましい実施形態では、本発明は、バクテリオファージ又はパッケージングされたファージミドに関し、ベクターは上記で定義されている。
【0278】
バクテリオファージゲノム又はファージミドは、天然のバクテリオファージ、操作されたバクテリアファージ、又は進化したバクテリオファージ由来のバクテリオファージスキャフィールドで機能するように作製することができる。好ましくは、バクテリオファージスキャフォールドは天然のバクテリオファージ由来である。
【0279】
好ましくは、本発明によるバクテリオファージは、バクテリオファージゲノム、及び同じ起源の、すなわち同種由来の、好ましくは同菌株由来のバクテリオファージスキャフォールドを含む。更により好ましくは、本発明によるバクテリオファージスキャフォールドは、バクテリオファージゲノムの遺伝子によってコードされるタンパク質からアセンブルされる。
【0280】
好ましくは、本発明によるパッケージングされたファージミドは、ファージミドのバクテリオファージ遺伝子と同じ起源のものであるバクテリオファージスキャフォールドを含む。すなわち、パッケージングされたファージミドのバクテリオファージスキャフォールドは、ファージミドが由来するバクテリオファージDNAと同種、好ましくは同菌株のバクテリオファージスキャフォールドである。好ましくは、本発明によるパッケージングされたファージミドは、ファージミドのバクテリオファージパッケージング部位と同じ起源のものであるバクテリオファージスキャフォールドを含む。
【0281】
本発明によるバクテリオファージ又はパッケージングされたファージミドは、致死性又は非致死性であり得る。好ましくは、本発明によるバクテリオファージ又はパッケージングされたファージミドは、致死性バクテリオファージ又は致死性のパッケージングされたファージミドである。或いは、本発明によるバクテリオファージ又はパッケージングされたファージミドは、非致死性バクテリオファージ又は非致死性のパッケージングされたファージミドである。
【0282】
本発明によるベクターの使用及び方法
別の態様では、本発明はまた、細菌、好ましくは本発明による目的の細菌にベクターを送達するための、本発明によるベクター、好ましくは本発明によるバクテリオファージゲノム若しくはファージミド、又は本発明による送達媒体に含まれるベクター、好ましくは本発明によるバクテリオファージ若しくはパッケージングされたファージミドの使用に関する。
【0283】
特定の実施形態では、本発明によるベクターは、遺伝子回路、好ましくはプログラム可能な遺伝子回路を含む。本発明による遺伝子回路は、細菌、すなわち目的の細菌の細胞死をもたらすことができる。例えば、ベクターに追加された遺伝子回路は、ホリン又は毒素をコードし得る。或いは、ベクターに追加された遺伝子回路は、細菌死をもたらさない。例えば、遺伝子回路は、発光シグナル又は蛍光シグナルをもたらすレポーター遺伝子をコードし得る。或いは、遺伝子回路は、細菌の代謝又はその環境の組成を変更するなどの有用な機能を達成するタンパク質及び酵素を含み得る。
【0284】
更に別の態様では、リサーチツールとして、特に送達の頻度を改善するため、及び/又はベクターを送達することができる細菌の株を拡大するためのリサーチツールとして、本発明によるベクター、好ましくは本発明によるバクテリオファージゲノム若しくはファージミド、又は本発明による送達媒体に含まれるベクター、好ましくは本発明によるバクテリオファージ若しくはパッケージングされたファージミドの使用に関する。
【0285】
本発明はまた、本発明によるベクターを調製する方法に関し、この方法は、
(i)目的の細菌群を選択するステップ:
(ii)ベクター配列に基づいて、細菌群によってコードされる制限酵素により認識される制限部位を同定するステップ;
(iii)細菌群の各細菌によってコードされる制限酵素により認識される100、90、80、70、60、50、40、30、20、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1個以下の制限部位を含むように、本発明によるベクター、好ましくは本発明によるバクテリオファージゲノム若しくはファージミド、又は本発明による送達媒体に含まれるベクター、好ましくは本発明によるバクテリオファージ若しくはパッケージングされたファージミドの配列を修飾するステップ;
(iv)任意選択的に、特に核酸合成によって又はベクターの突然変異によって修飾ベクターを調製するステップ
を含む。
【0286】
好ましくは、ステップ(ii)において、目的の細菌群における制限酵素の頻度が決定され、ステップ(iii)において、ベクターの配列が修飾されて、目的の細菌群によって高頻度でコードされる制限酵素の少なくとも1つの制限部位を除去し、好ましくは目的の細菌群によって高頻度でコードされる制限酵素の1、2、3、4、5、6、又は7個の制限部位を除去し、より好ましくは目的の細菌群によって高頻度でコードされる制限酵素の制限部位を除去する。
【0287】
本発明は更に、本発明によるベクターを調製する方法に関し、この方法は、
(i)目的の細菌群を選択するステップ;
(ii)目的の細菌群によってコードされる制限酵素を同定し、目的の細菌群の制限酵素をコードする細菌の頻度を決定するステップ;
(iii)目的の細菌群によって高頻度でコードされる制限酵素の制限部位を任意選択的に選択するステップ;
(iv)本発明によるベクター、好ましくは本発明によるバクテリオファージゲノム若しくはファージミド、又は本発明による送達媒体に含まれるベクター、好ましくは本発明によるバクテリオファージ若しくはパッケージングされたファージミドの配列を修飾して、目的の細菌群によって高頻度でコードされる制限酵素の制限部位を除去するステップ;
(v)任意選択的に、特に核酸合成によって又はベクターの突然変異によって修飾ベクターを調製するステップ
を含む。
【0288】
好ましい実施形態では、ベクターの配列は、細菌群の各細菌によってコードされる制限酵素により認識されるいずれの制限部位も含まないように修飾される。制限部位は、制限酵素による認識を防ぐように(すなわち、制限酵素がベクターに結合して切断するのを防ぐように)、配列又は修飾状態(例えば、メチル化するか否か、グリコシル化するか否か)を変えることによって修飾することができる。タイプIII制限酵素の場合、1つの部位自体が切断されないために、すべての部位を削除する必要はない。制限は、2つの逆向きの制限部位がある場合にのみ発生している。したがって、ベクターは、2つの逆向きの制限部位の存在を削除するように修飾される。
【0289】
好ましくは、細菌群は、上記のとおりである。
【0290】
好ましくは、細菌群は、単一種の細菌株からなる。
【0291】
別の態様では、本発明は、目的の細菌にベクターを送達させるためのインビトロ方法に関し、この方法は更に、本発明による修飾ベクター、好ましくは本発明によるバクテリオファージゲノム若しくはファージミド、又は本発明による送達媒体に含まれる修飾ベクター、好ましくは本発明によるバクテリオファージ若しくはパッケージングされたファージミドを上記細菌群の細菌に投与することを含む。
【0292】
好ましくは、本発明による修飾ベクター、好ましくは本発明によるバクテリオファージゲノム若しくはファージミド、又は本発明による送達媒体に含まれる修飾ベクター、好ましくは本発明によるバクテリオファージ若しくはパッケージングされたファージミドは、それが投与される細菌によってコードされる制限酵素により認識される100、90、80、70、60、50、40、30、20、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1個以下の制限部位を含み、好ましくは制限部位を含まない。
【0293】
薬物として使用
別の態様では、本発明はまた、薬物として使用するための、本発明によるベクター、好ましくは本発明によるバクテリオファージゲノム若しくはファージミド、又は本発明による送達媒体に含まれるベクター、好ましくは本発明によるバクテリオファージ若しくはパッケージングされたファージミドに関する。
【0294】
本発明はまた、医薬を製造するための、本発明によるベクター、好ましくは本発明によるバクテリオファージゲノム若しくはファージミド、又は本発明による送達媒体に含まれるベクター、好ましくは本発明によるバクテリオファージ若しくはパッケージングされたファージミドの使用に関する。
【0295】
好ましい実施形態では、本発明は、感染症、好ましくは細菌感染症、炎症性疾患、自己免疫疾患、癌、及び脳障害からなる群から選択される疾患の治療に使用するための、本発明によるベクター、好ましくは本発明によるバクテリオファージゲノム若しくはファージミド、又は本発明による送達媒体に含まれるベクター、好ましくは本発明によるバクテリオファージ若しくはパッケージングされたファージミドに関する。好ましくは、疾患は、目的の細菌群によって引き起こされる。本発明は、対象の全体的な健康を改善するために、病原性又は毒性細菌を根絶するために、薬物の有効性を改善するために、及び/又は微生物叢の組成を改変するために使用するための、本発明によるベクター、好ましくは本発明によるバクテリオファージゲノム若しくはファージミド、又は本発明による送達媒体に含まれるベクター、好ましくは本発明によるバクテリオファージ若しくはパッケージングされたファージミドに関する。
【0296】
本発明はまた、感染症、好ましくは細菌感染症、炎症性疾患、自己免疫疾患、癌、及び脳障害からなる群から選択される疾患を治療するための医薬を製造するための、本発明によるベクター、好ましくは本発明によるバクテリオファージゲノム若しくはファージミド、又は本発明による送達媒体に含まれるベクター、好ましくは本発明によるバクテリオファージ若しくはパッケージングされたファージミドに関する。好ましくは、疾患は、目的の細菌群によって引き起こされる。本発明は、対象の全体的な健康を改善するための医薬、病原性又は毒性細菌を根絶するための医薬、薬物の有効性を改善するための医薬、及び/又は微生物叢の組成を改変するための医薬を製造するための、本発明によるベクター、好ましくは本発明によるバクテリオファージゲノム若しくはファージミド、又は本発明による送達媒体に含まれるベクター、好ましくは本発明によるバクテリオファージ若しくはパッケージングされたファージミドに関する。
【0297】
本発明は更に、感染症、好ましくは細菌感染症、炎症性疾患、自己免疫疾患、癌、代謝性疾患又は障害、肥満、糖尿病及び脳障害からなる群から選択される疾患を対象において治療する方法に関し、本発明によるベクター、好ましくは本発明によるバクテリオファージゲノム若しくはファージミド、又は本発明による送達媒体に含まれるベクター、好ましくは本発明によるバクテリオファージ若しくはパッケージングされたファージミドの治療有効量が疾患を被っている上記対象に投与される。好ましくは、疾患は、目的の細菌群によって引き起こされる。特に、細菌によって引き起こされる疾患は、腹部痙攣、急性喉頭蓋炎、関節炎、菌血症、ボツリヌス中毒症、ブルセラ症、脳膿瘍、軟性下垂体性疾患、クラミジア、結膜炎、胆嚢炎、ライム病、下痢、ジフテリア、十二指腸潰瘍、心内膜炎、紅皮炎、腸熱、発熱、糸球体腎炎、胃腸炎、胃潰瘍、ギランバレー症候群、破傷風、淋病、レプトスピラ症、ハンセン病、リステリア症、結核、婦人炎症候群、レジオネラ症、髄膜炎、粘液膿性結膜炎、粘液膿性結膜炎、筋壊死性ガス壊疽、マイコバクテリウム・アビウム複合体、新生児壊死性腸炎、ノカルジア症、院内感染、中耳炎、咽頭炎、肺炎、腹膜炎、紫斑熱、ロッキーマウンテン紅斑熱、赤痢、梅毒、副鼻腔炎、S状結腸炎、敗血症、皮下膿瘍、野兎病、気管気管支炎、扁桃炎、腸チフス、尿感染症、百日咳からなる群から選択される。
【0298】
本発明による感染症は、皮膚感染症、例えば、にきび、腸感染症、例えば、食道炎、胃炎、腸炎、大腸炎、S状結腸炎、直腸炎、及び腹膜炎、尿路感染症、膣感染症、女性上部生殖管感染症、例えば、卵管炎、子宮内膜炎、卵巣炎、子宮筋炎、子宮内膜炎、及び骨盤腹膜の感染症、気道感染症、例えば、肺炎、羊膜内感染症、歯原性感染症、歯内感染症、線維症、髄膜炎、血流感染症、院内感染症、例えば、カテーテル関連感染症、院内感染肺炎、分娩後感染、院内感染胃腸炎、院内感染尿路感染、又はそれらの組み合わせからなる群から選択され得る。
【0299】
好ましくは、本発明による感染症は、抗生物質耐性を示す細菌によって引き起こされる感染症である。
【0300】
最も好ましい実施形態では、感染症は、上記に列挙された目的の細菌によって引き起こされる感染症である。
【0301】
好ましくは、本発明によるベクター、好ましくは本発明によるバクテリオファージゲノム若しくはファージミド、又は本発明による送達媒体に含まれるベクター、好ましくは本発明によるバクテリオファージ若しくはパッケージングされたファージミドは、感染の原因となる細菌株のみを標的とし、対象を治療して健康な微生物叢を保存することを可能にする。
【0302】
本発明による代謝性疾患又は障害は、代謝性脳疾患、カルシウム代謝障害、DNA修復欠損障害、グルコース代謝障害、高乳酸血症、鉄代謝障害、脂質代謝障害、吸収不良症候群、代謝症候群X、先天性代謝異常、ミトコンドリア疾患、リン代謝障害、ポルフィリン症及びプロテオスタシス欠乏症からなる群から選択され得る。
【0303】
本発明による代謝性疾患又は障害は、1型糖尿病;2型糖尿病;メタボリック症候群;バーデ・ビーデル症候群;プラダー・ウィリー症候群;非アルコール性脂肪肝疾患;結節性硬化症;オルブライト遺伝性骨ジストロフィー;脳由来神経栄養因子(BDNF)欠乏症;Single-minded 1(sevil)(SEVI1)欠乏症;レプチン欠乏症;レプチン受容体欠乏症;プロオピオメラノコルチン(POMC)欠損症;プロタンパク質転換酵素スブチリシン/ケキシン1型(PCSK1)欠乏症;Srcホモロジー2B1(SH2B 1)欠乏症;プロホルモン転換酵素1/3欠乏症;メラノコルチン-4-受容体(MC4R)欠乏症;ウィルムス腫瘍、無虹彩症、泌尿生殖器異常、及び精神遅滞(WAGR)症候群;偽性副甲状腺機能低下症1A型;脆弱X症候群;ボルジェソン・フォルスマン・レーマン症候群;アルストローム症候群;コーエン症候群;及び尺骨乳房症候群酸塩基不均衡からなる群から選択され得る。
【0304】
前述の疾患及び状態に関連する症状には、限定されないが、体重増加、肥満、疲労、高脂血症、過食、過飲、多食、多飲、多尿、四肢の痛み、四肢のしびれ、視界不良、眼振、難聴、心筋症、インスリン抵抗性、光線過敏症、肺疾患、肝疾患、肝硬変、肝不全、腎疾患、腎不全、発作、性機能低下症、及び不妊症の1つ又は複数が含まれる。
【0305】
代謝疾患は、様々な生理学的変化に関連し、限定されないが、グルコースレベルの上昇、トリグリセリドレベルの上昇、コレステロールレベルの上昇、インスリン抵抗性、高血圧、性腺機能低下症、低受胎、不妊症、腹部肥満、血栓誘発性状態、及び炎症誘発性状態が挙げられる。
【0306】
特定の実施形態では、本発明はまた、細菌感染症の治療を必要とする個体のための個別治療方法に関し、i)個体から生物学的試料を得て、試料から細菌DNA配列の群を決定するステップ;ii)配列の決定に基づいて、試料にあった1つ又は複数の病原性細菌株又は種を同定するステップ;及びiii)本発明によるベクター、好ましくは本発明によるバクテリオファージゲノム若しくはファージミド、又は本発明による送達媒体に含まれるベクター、好ましくは本発明によるバクテリオファージ若しくはパッケージングされたファージミドを個体に投与するステップを含み、本発明によるベクター、好ましくは本発明によるバクテリオファージゲノム若しくはファージミド、又は本発明による送達媒体に含まれるベクター、好ましくは本発明によるバクテリオファージ若しくはパッケージングされたファージミドは、試料中の同定された各病原性細菌株又は種によってコードされる制限酵素により認識される、100個以下の制限部位、好ましくは50個以下の制限部位、より好ましくは10個以下の制限部位を含み、更により好ましくは制限を含まないように修飾されていて、それにより1つ又は複数の病原性細菌株又は種が標的化される。病原性細菌は、目的の細菌群として定義される。好ましくは、ベクターは、病原性細菌群を標的化するために上記で定義されたとおりである。目的の細菌群によって高頻度でコードされる制限酵素の少なくとも1つの制限部位、好ましくは目的の細菌群によって高頻度でコードされる制限酵素の1、2、3、4、5、6、又は7個の制限部位を除去し、より好ましくは、目的の細菌群によって高頻度でコードされる制限酵素の制限部位を除去するように修飾されている。
【0307】
好ましくは、生物学的試料は、病原性及び非病原性細菌種を含み、個体に本発明によるベクター、好ましくは本発明によるバクテリオファージゲノム若しくはファージミド、又は本発明による送達媒体に含まれるベクター、好ましくは本発明によるバクテリオファージ若しくはパッケージングされたファージミドを投与した後、個体上又は個体内の病原性細菌の量が減少するが、非病原性細菌の量は減少しない。特に、本発明によるベクター、好ましくは本発明によるバクテリオファージゲノム若しくはファージミド、又は本発明による送達媒体に含まれるベクター、好ましくは本発明によるバクテリオファージ若しくはパッケージングされたファージミドは、(すなわち、溶解によるか、又は毒素若しくはプログラム可能なヌクレアーゼ回路の発現によって)標的化された細菌の死をもたらす。
【0308】
特定の実施形態では、本発明は、ヒト微生物叢の細菌が関与する病理学、例えば、炎症性疾患及び自己免疫疾患、癌、感染症、代謝性疾患、代謝障害、例えば、肥満及び糖尿病、又は脳障害の治療に使用するための、本発明によるベクター、好ましくは本発明によるバクテリオファージゲノム若しくはファージミド、又は本発明による送達媒体に含まれるベクター、好ましくは本発明によるバクテリオファージ若しくはパッケージングされたファージミドに関する。確かに、微生物叢の一部の細菌は、いずれもの感染症を引き起こすことなく、炎症性疾患若しくは自己免疫疾患、又は癌の発生を誘発及び/又は増強する分子を分泌する可能性がある。また、微生物叢の細菌の一部には、脳に影響を及ぼす分子を分泌するものがある。
【0309】
別の特定の実施形態では、本発明は、薬物の有効性を改善するために使用するための、本発明によるベクター、好ましくは本発明によるバクテリオファージゲノム若しくはファージミド、又は本発明による送達媒体に含まれるベクター、好ましくは本発明によるバクテリオファージ若しくはパッケージングされたファージミドに関する。確かに、微生物叢の一部の細菌は、それ自体では病原性ではなく、薬物を代謝し、それらを無効又は有害な分子に変えることができることが公知である。
【0310】
本発明はまた、本発明によるベクター、好ましくは本発明によるバクテリオファージゲノム若しくはファージミド、又は本発明による送達媒体に含まれるベクター、好ましくは本発明によるバクテリオファージ若しくはパッケージングされたファージミドの非治療的使用に関する。例えば、非治療的使用は、化粧用途、又は対象、特に疾患を被っていない対象の健康を改善するための使用であり得る。したがって、本発明はまた、本発明によるベクター、好ましくは本発明によるバクテリオファージゲノム若しくはファージミド、又は本発明による送達媒体に含まれるベクター、好ましくは本発明によるバクテリオファージ若しくはパッケージングされたファージミドを含む化粧品組成物又は非治療組成物に関する。
【0311】
医薬組成物又は獣医用組成物
更に別の態様では、本発明はまた、本発明によるベクター、好ましくは本発明によるバクテリオファージゲノム若しくはファージミド、又は本発明による送達媒体に含まれるベクター、好ましくは本発明によるバクテリオファージ若しくはパッケージングされたファージミドを含む又はそれから本質的になる医薬組成物又は獣医用組成物に関する。
【0312】
医薬組成物又は獣医用組成物は、少なくとも1つの賦形剤又は薬学的に許容される担体を含む。
【0313】
好ましくは、医薬組成物又は獣医用組成物は、別の活性成分、好ましくは抗生物質又は別の抗菌剤、更により好ましくは抗生物質を更に含む。
【0314】
好ましくは、本発明による抗生物質は、ペニシリン、例えば、ペニシリンG、ペニシリンK、ペニシリンN、ペニシリンO、ペニシリンV、メチシリン、ベンジルペニシリン、ナフシリン、オキサシリン、クロキサシリン、ジクロキサシリン、アンピシリン、アモキシシリン、ピバムピシリン、ヘタシリン、バカムピシリン、メタムピシリン、タラムピシリン、エピシリン、カルベニシリン、チカルシリン、テモシリン、メズロシリン、及びピペラシリン;セファロスポリン、例えば、セファセトリル、セファドロキシル、セファレキシン、セファログリシン、セファロニウム、セファロリジン、セファロチン、セファピリン、セファトリジン、セファザフル、セファゼドン、セファゾリン、セフラジン、セフロキサジン、セフテゾール、セファクロル、セフォニシド、セフプロジル、セフロキシム、セフゾナム、セフメタゾール、セフォテタン、セフォキシチン、ロラカルベフ、セフブペラゾン、セフメノクス、セフォテタン、セフォキシチン、セフォチアム、セフカペン、セフダロキシム、セフジニル、セフジトレン、セフェタメト、セフィキシム、セフメノキシム、セフォジジム、セフォタキシム、セフォベシン、セフピミゾール、セフポドキシム、セフテラム、セフタメレ、セフチブテン、セフチオフル、セフチオレン、セフチゾキシム、セフトリアキソン、セフォペラゾン、セフタジジム、ラタモキセフ、セフクリジン、セフェピム、セフルプレナム、セフォセリス、セフォゾプラン、セフピロム、セフキノム、フロモキセフ、セフトビプロール、セフタロリン、セフトロザン、セファロラム、セファパロール、セフカネル、セフェドロール、セフェピドン、セフェムピドン、セフェトリゾール、セフィビトリル、セフマチレン、セフメピジウム、セフォキサゾール、セフロチル、セフスミド、セフチオキシド、セフラセチム、及びニトロセフィン;ポリミキシン、例えば、ポリスポリン、ネオスポリン、ポリミキシンB、及びポリミキシンE、リファムピシン、例えば、リファンピシン、リファペンチン、及びリファキシミン;フィダキソマイシン;キノロン、例えば、シノキサシン、ナリジクス酸、オキソリン酸、ピロミド酸、ピペミド酸、ロソキサシン、シプロフロキサシン、エノキサシン、フレロキサシン、ロメフロキサシン、ナジフロキサシン、ノルフロキサシン、オフロキサシン、ペフロキサシン、ルフロキサシン、バロフロキサシン、グレパフロキサシン、レボフロキサシン、パズフロキサシン、テマフロキサシン、トスフロキサシン、クリナフロキサシン、ガチフロキサシン、ゲミフロキサシン、モキシフロキサシン、シタフロキサシン、トロバフロキサシン、プルリフロキサシン、デラフロキサシン、ネモノキサシン、及びザボフロキサシン;スルホンアミド、例えば、スルファフラゾール、スルファセタミド、スルファジアジン、スルファジミジン、スルファフラゾール、スルフィソミジン、スルファドキシン、スルファメトキサゾール、スルファモキソール、スルファニトラン、スルファジメトキシン、スルファメトキシピリダジン、スルファメトキシジアジン、スルファドキシン、スルファメトピラジン、及びテレフチル;マクロライド、例えば、アジスロマイシン、クラリスロマイシン、エリスロマイシン、フィダキソマイシン、テリスロマイシン、カルボマイシンA、ジョサマイシン、キタサマイシン、ミデカマイシン、オレアンドマイシン、ソリスロマイシン、スピラマイシン、トロレアンドマイシン、タイロシン、及びロキシスロマイシン;ケトライド、例えば、テリスロマイシン、及びセトロマイシン;ルオロケトライド、例えば、ソリスロマイシン;リンコサミド、例えば、リンコマイシン、クリンダマイシン、及びピルリマイシン;テトラサイクリン、例えば、デメクロサイクリン、ドキシサイクリン、ミノサイクリン、オキシテトラサイクリン、及びテトラサイクリン;アミノグリコシド、例えば、アミカシン、ジベカシン、ゲンタマイシン、カナマイシン、ネオマイシン、ネチルマイシン、シソマイシン、トブラマイシン、パロモマイシン、及びストレプトマイシン;アンサマイシン、例えば、ゲルダナマイシン、ハービマイシン、及びリファキシミン;カルバセフェム、例えば、ロラカルベフ;カルバペネム、例えば、エルタペネム、ドリペネム、イミペネム(又はシラスタチン)、及びメロペネム;グリコペプチド、例えば、テイコプラニン、バンコマイシン、テラバンシン、ダルババンシン、及びオリタバンシン;リンコサミド、例えば、クリンダマイシン及びリンコマイシン;リポペプチド、例えば、ダプトマイシン;モノバクタム、例えば、アズトレオナム;ニトロフラン、例えば、フラゾリドン、及びニトロフラントイン;オキサゾリジノン、例えば、リネゾリド、ポジゾリド、ラデゾリド、及びトレゾリド;テイクソバクチン、クロファジミン、ダプソン、カプレオマイシン、シクロセリン、エタンブトール、エチオナミド、イソニアジド、ピラジンアミド、リファブチン、アルスフェナミン、クロラムフェニコール、ホスホマイシン、フシジン酸、メトロニダゾール、ムピロシン、プラテンシマイシン、キヌプリスチン(又はダルフォプリスチン)、チアムフェニコール、チゲサイクリン、チニダゾール、トリメトプリム、アラトロフロキサシン、フィダキソマイシン、ナリジキシス酸、リファムピン、それらの誘導体及び組み合わせからなる群から選択される。
【0315】
本発明はまた、感染症、好ましくは細菌感染症の治療に使用するための本発明の医薬組成物又は獣医用組成物に関する。
【0316】
本発明はまた、対象における感染症、好ましくは細菌感染症を治療するための医薬を製造するための本発明による医薬組成物又は獣医用組成物の使用に関する。
【0317】
本発明は更に、感染症、好ましくは細菌感染症を対象において治療する方法に関し、治療有効量の本発明の医薬組成物又は獣医用組成物が、感染症に罹患した対象に投与される。
【0318】
好ましくは、感染症は、ベクターの使用に関して上記に記載されたとおりである。
【0319】
最も好ましい実施形態では、感染症は、上記に列挙された目的の細菌によって引き起こされる感染症である。
【0320】
対象、レジメン、及び投与
本発明による対象は、動物、好ましくは哺乳動物、更により好ましくはヒトである。しかしながら、用語「対象」はまた、治療を必要とする、とりわけ、ヒト以外の動物、特にイヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ブタ、ヒツジ、ロバ、ウサギ、フェレット、スナネズミ、ハムスター、チンチラ、ラット、マウス、モルモットなどの哺乳動物及び非ヒト霊長類を指す場合がある。
【0321】
本発明によるヒト対象は、出生前段階のヒト、新生児、子供、幼児、青年又は成人、特に少なくとも40歳の成人、好ましくは少なくとも50歳の成人、更により好ましくは少なくとも60歳の成人、更により好ましくは少なくとも70歳の成人であり得る。
【0322】
好ましい実施形態では、対象は、感染症、好ましくは細菌感染症と診断されている。感染症の診断方法は、当業者に周知である。
【0323】
特定の実施形態では、感染症は治療に耐性を示し、好ましくは感染症は抗生物質耐性を示す。
【0324】
特定の実施形態では、対象は、本発明によるベクター、好ましくは本発明によるバクテリオファージゲノム若しくはファージミド、本発明による送達媒体に含まれるベクター、好ましくは本発明によるバクテリオファージ若しくはパッケージングされたファージミド、又は本発明の医薬組成物又は獣医用組成物の投与前に、少なくとも1系統の治療、好ましくは数系統の治療を既に受けている。
【0325】
本発明によるベクター、好ましくは本発明によるバクテリオファージゲノム若しくはファージミド、本発明による送達媒体に含まれるベクター、好ましくは本発明によるバクテリオファージ若しくはパッケージングされたファージミド、又は本発明の医薬組成物又は獣医用組成物は、任意の従来の投与経路によって投与され得る。
【0326】
特に、本発明によるベクター、好ましくは本発明によるバクテリオファージゲノム若しくはファージミド、本発明による送達媒体に含まれるベクター、好ましくは本発明によるバクテリオファージ若しくはパッケージングされたファージミド、又は本発明の医薬組成物又は獣医用組成物は、局所、経腸、経口、非経口、鼻腔内、静脈内、筋肉内、皮下又は眼内投与などのために製剤化することができる。
【0327】
好ましくは、本発明によるベクター、好ましくは本発明によるバクテリオファージゲノム若しくはファージミド、本発明による送達媒体に含まれるベクター、好ましくは本発明によるバクテリオファージ若しくはパッケージングされたファージミド、又は本発明の医薬組成物又は獣医用組成物は、経腸又は非経口投与経路により投与され得る。非経口投与される場合、本発明によるベクター、好ましくは本発明によるバクテリオファージゲノム若しくはファージミド、本発明による送達媒体に含まれるベクター、好ましくは本発明によるバクテリオファージ若しくはパッケージングされたファージミド、又は本発明の医薬組成物又は獣医用組成物は、好ましくは静脈内投与経路により投与される。経腸投与される場合、本発明によるベクター、好ましくは本発明によるバクテリオファージゲノム若しくはファージミド、本発明による送達媒体に含まれるベクター、好ましくは本発明によるバクテリオファージ若しくはパッケージングされたファージミド、又は本発明の医薬組成物又は獣医用組成物は、好ましくは経口投与経路により投与される。
【0328】
医薬組成物又は獣医用組成物は、当業者に公知である標準的な医薬又は獣医用実務(Lippincott Williams & Wilkins、2000 and Encyclopedia of Pharmaceutical Technology、J. Swarbrick及びJ. C. Boylan編, 1988~1999頁、Marcel Dekker、New York)に従って製剤化される。
【0329】
経口投与の場合、医薬組成物又は獣医用組成物は、錠剤、カプセル剤、粉末剤、顆粒剤、及び液体調製物、例えば、シロップ、エリキシル剤、及び濃縮ドロップなどの従来の経口剤形に製剤化することができる。例えば、医薬品グレードのマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、タルカム、セルロース、グルコース、スクロース、マグネシウム、炭酸塩などを含む非毒性の固体担体又は希釈剤を使用し得る。圧縮錠剤の場合、粉末化材料に粘着性を付与する薬剤である結合剤もまた必要である。例えば、デンプン、ゼラチン、糖、例えば、ラクトース又はデキストロース、及び天然又は合成ゴムを結合剤として使用することができる。また、崩壊剤は、錠剤の崩壊を促進するために錠剤を必要とする。崩壊剤には、デンプン、クレイ、セルロース、アルギン、ゴム、及び架橋ポリマーが含まれる。更に、潤滑剤及び流動促進剤はまた錠剤に含まれ、製造プロセスにおける錠剤材料の表面への付着を防ぎ、製造中の粉末材料の流動特性を改善する。コロイド状二酸化ケイ素は、流動促進剤として最も一般的に使用され、タルク又はステアリン酸などの化合物は、潤滑剤として最も一般的に使用される。
【0330】
経皮投与の場合、医薬組成物又は獣医用組成物は軟膏、クリーム又はゲルの形態に製剤化することができ、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド及びジメチルホルムアミドなどの適切な浸透剤又は界面活性剤を使用して浸透を促進させることができる。
【0331】
経粘膜投与の場合、鼻腔用スプレー、直腸又は膣坐薬を使用することができる。活性化合物は、当該技術分野で公知である方法によって、公知である坐薬基剤のいずれかに組み込むことができる。このような基剤の例には、カカオバター、ポリエチレングリコール(カーボワックス)、ポリエチレンモノステアリン酸ソルビタン、及びこれらの融点又は溶解速度を変更する他の適合性材料との混合物が含まれる。
【0332】
本発明による医薬組成物又は獣医用組成物は、投与の実質的に直後に、又は投与後の任意の所定の時間又は期間に活性成分を放出するように製剤化することができる。
【0333】
好ましくは、本発明によるベクター、好ましくは本発明によるバクテリオファージゲノム若しくはファージミド、本発明による送達媒体に含まれるベクター、好ましくは本発明によるバクテリオファージ若しくはパッケージングされたファージミド、又は本発明の医薬組成物又は獣医用組成物を用いた治療は、感染の診断後、1ヶ月以内、好ましくは1週間以内に開始する。最も好ましい実施形態では、治療は診断の日に開始する。
【0334】
本発明によるベクター、好ましくは本発明によるバクテリオファージゲノム若しくはファージミド、本発明による送達媒体に含まれるベクター、好ましくは本発明によるバクテリオファージ若しくはパッケージングされたファージミド、又は本発明の医薬組成物又は獣医用組成物は、単回投薬又は複数回投薬で投与され得る。
【0335】
好ましくは、治療は、定期的に、好ましくは毎日から毎月の間、より好ましくは毎日から2週間ごとの間、より好ましくは毎日から週ごとの間に投与され、更により好ましくは治療は毎日投与される。特定の実施形態では、治療は1日に数回、好ましくは1日に2又は3回、更により好ましくは1日に3回投与される。
【0336】
本発明によるベクター、好ましくは本発明によるバクテリオファージゲノム若しくはファージミド、本発明による送達媒体に含まれるベクター、好ましくは本発明によるバクテリオファージ若しくはパッケージングされたファージミド、又は本発明の医薬組成物又は獣医用組成物による治療期間には、好ましくは1日~20週間、より好ましくは1日~10週間、更により好ましくは1日~4週間、更により好ましくは1日~2週間が含まれる。特定の実施形態では、治療期間は約1週間である。或いは、治療は、感染が続く限り持続し得る。
【0337】
投与されるべき本発明によるベクター、好ましくは本発明によるバクテリオファージゲノム若しくはファージミド、本発明による送達媒体に含まれるベクター、好ましくは本発明によるバクテリオファージ若しくはパッケージングされたファージミド、又は医薬組成物若しくは獣医用組成物の量は、当業者に周知の標準的な手順により決定されなければならない。治療有効量が患者に投与されるように、適切な投薬量を決定するに、患者の生理学的データ(例えば、年齢、体格、及び体重)及び投与経路を考慮に入れる必要がある。
【0338】
好ましい実施形態では、本発明によるベクター、好ましくは本発明によるバクテリオファージゲノム若しくはファージミド、又は本発明による送達媒体に含まれるベクター、好ましくは本発明によるバクテリオファージ若しくはパッケージングされたファージミドの投与ごとの総量には、104~1014個の活性粒子、好ましくは108~1014個の活性粒子、更により好ましくは1012~1014個の活性粒子が含まれる。
【0339】
医薬組成物又は獣医用組成物の形態、本発明によるベクター、好ましくは本発明によるバクテリオファージゲノム若しくはファージミド、本発明による送達媒体に含まれるベクター、好ましくは本発明によるバクテリオファージ若しくはパッケージングされたファージミド、又は本発明による医薬組成物若しくは獣医用組成物の投与経路及び投薬量は、感染症のタイプ及び重症度、並びに患者、特に、年齢、体重、性別、及び一般的な身体状態に応じて当業者によって調整することができる。
【0340】
キットとキットの使用
本発明はまた、対象における感染症、好ましくは細菌感染症を治療するためのキットに関し、キットは、本発明によるベクター、好ましくは本発明によるバクテリオファージゲノム若しくはファージミド、本発明による送達媒体に含まれるベクター、好ましくは本発明によるバクテリオファージ若しくはパッケージングされたファージミド、又は本発明による医薬組成物若しくは獣医用組成物、及び任意選択的にこのようなキットを使用するためのガイドラインを提供する小冊子を含む。
【0341】
好ましくは、キットは更に、別の活性成分、好ましくは抗生物質を含む。
【0342】
任意選択的に、キットは、ヘルパーバクテリオファージ及び/又はサテライトバクテリオファージを更に含む。
【0343】
特に、キットは、本発明によるベクター、好ましくは本発明によるバクテリオファージゲノム又はファージミドのキャプシド形成を促進するヘルパーバクテリオファージ及び/又はサテライトバクテリオファージを更に含む。
【0344】
本発明はまた、それを必要とする対象における、感染症、好ましくは細菌感染症、炎症性疾患、自己免疫疾患、癌、及び脳障害からなる群から選択される疾患の治療における上記されるキットの使用に関する。特に、上記されるキットは、対象の全体的な健康を改善するために、病原性又は毒性細菌を根絶するために、薬物の有効性を改善するために、及び/又は微生物叢の組成を改変するために使用され得る。上記されるキットはまた、化粧品用途などの非治療的用途、又は対象の健康状態の改善に使用され得る。
【0345】
好ましくは、対象はヒトである。
【0346】
科学論文及び要約、公開された特許出願、許可された特許又は他の参考文献を含む、本出願において引用されたすべての参考文献は、全体として本明細書に組み込まれ、これらの参考文献のすべての結果、表、図及び本文を含む。
【0347】
異なる意味を有するが、用語「含む」、「有する」、「からなる」、及び「含有する」は、本出願全体において互いに置き換えられ得る。
【0348】
本発明のさらなる態様及び利点は、以下の実施例に記載され、これらは例示として見なされるべきであり、限定するものとして見なされるべきではない。
【実施例0349】
(実施例1)
概念の実証として、一組の異なる大腸菌株をバクテリオファージラムダによる感染に対して試験した。細胞を37℃にて液体LB+マルトース0.2%中で一晩増殖した。翌日、細胞を新鮮な液体LB培地+0.2%マルトースで1:100に希釈し、37℃で2時間増殖させた。細菌叢は、LB-寒天プレートに500μLの細菌培養液をプレーティングすることによって調製された。野生型の48.5kbゲノムを含有する、精製されたラムダバクテリオファージ粒子を細菌叢にスポットし、37℃で18時間増殖させた。ラムダ注入効率は、プラークの存在によって評価した(図1A及びC)。K12-MG1655及びREL606菌株のみがプラークを形成することが観察され、これはラムダファージ送達を示したが、89個の試験された菌株のうちの他のいずれにおいても効果は観察されなかった。
【0350】
次に、本発明者らは、パッケージングされたラムダベースのファージミドを用いて、注射効率が改善され得るかどうかを試験した。より小さいサイズのファージミドを使用することによって、潜在的な制限部位を避けることができる。このために、本発明者らは、ラムダファージcos部位、構成的に発現されたGFP及びクロラムフェニコール耐性遺伝子(以下、ラムダファージミドと称する)を含む3.3kbのファージミドを構築し、それをCY2120b菌株に形質転換した。この菌株は、野生型ラムダcos部位を欠失しているが、他にはラムダファージ溶解サイクルの誘導のための全ての機構並びにDNAパッケージングシステムを保有している。ラムダファージミドを含有するCY2120b細胞を液体LB培地で30℃にて培養した。0.6のOD600で、培養物を25分間、42℃に移し、溶解サイクルへの進入を誘導した。その後、ラムダコスミドを含有するビリオンアセンブリを可能にするために、細胞を3時間、37℃に戻した。次に、細胞を遠心分離し、ラムダ緩衝液(10mM Tris pH7.5、100mM NaCl、10mM MgSO4)中で洗浄した。クロロホルムを添加し、試料を17,000gで5分間遠心分離した。最後に、水相を回収して、0.2μm孔径フィルターを通じて濾過した。この相は、純粋なラムダパッケージングされたファージミドを含有し、形質導入アッセイを行うために使用された。大腸菌の95個の異なる菌株を液体LB+0.2%マルトース中で37℃にて一晩増殖させ、翌日、新鮮なLB+マルトース中で1:100に希釈した。37℃で2時間インキュベートした後、45μLの細胞培養液を45μLの精製された、パッケージングされたファージミドに添加し、更に37℃で30分間インキュベートした。最後に、この混合液10μLを25μg/mLクロラムフェニコールを含有するLB寒天プレートに播種し、37℃で18時間インキュベートした(図1B及びC)。試験した95個の菌株のうち、パッケージングされたラムダファージミドは、それらの34個の菌株にそのカーゴを注入することができ、これは試験した全菌株の約36%に相当する。
【0351】
(実施例2)
本発明者らは、ファージミドDNA配列内の制限部位の除去が、ファージミド送達の効率を改善するか及び/又はファージミドを送達することができる細菌株の数を広げるかどうかを6つのパックドラムダベースのファージミドを用いて試験した。
【0352】
このために、本発明者らは、より大きい(7.2~8.7kbの間)ファージミドの3つの変異体(以下、ラムダファージミド8kbと称する)、及びより小さい(2.9~3.3kbの間)ファージミドの3つの変異体(以下、ラムダファージミド3kbと称する)を構築した。2つのファージミドのそれぞれの3つの変異体は、大腸菌株のタイプI及びタイプIIの制限修飾(RM)システムによって認識される制限部位の存在において異なる。ラムダファージミド8kb及びラムダファージミド3kbの野生型(WT)変異体は大腸菌制限部位が枯渇していないため、したがって、大腸菌株のRMヌクレアーゼによって認識される複数の配列を含有する。対照的に、ラムダファージミド8kb及び3kbの制限フリー(RF)変異体のDNA配列は、大腸菌株の制限部位の大部分を除去するために遺伝的に再コードされている。これら2つのRFラムダファージミドは、以下、試験菌株1と呼ばれる特定の大腸菌株のRMシステムによって認識されることが公知である制限部位が完全に枯渇している。最後に、ラムダファージミド8kb変異体「タイプI」及びラムダファージファージミド3kb変異体「タイプII」はそれぞれ、試験菌株1のタイプI又はタイプIIのRMシステムによって認識される単一の制限部位(それぞれCACNNNNNNNCTGG(配列番号1)及びGAABCC)のみを含有する。
【0353】
ラムダファージミド8kbとラムダファージミド3kbはともに、p15a複製起点、ラムダファージcos部位、及び構成的に発現されるクロラムフェニコール耐性遺伝子を含む。ラムダファージミド8kbは更に、小ガイドRNAスキャホールド配列並びにcas9及びphlF遺伝子を含有する。
【0354】
6つのラムダファージミドをCYC3株に形質転換した。この菌株は、野生型ラムダcos部位を欠失しているが、他には、ラムダファージ溶解サイクルの誘導のための全ての機構、並びにDNAパッケージングシステムを保有している。個々のラムダファージミドを含有するCYC3細胞を液体LB培地で30℃にて増殖させた。0.7のOD600で、CYC3培養物を30分間、42℃に移し、溶解サイクルへの進入を誘導した。その後、ラムダファージミドを含有するビリオンのアセンブリを可能にするために、細胞を37℃に3時間移した。次に、細胞を遠心分離し、ラムダ緩衝液(10mM Tris pH7.5、100mM NaCl、10mM MgSO4)中で洗浄した。クロロホルムを添加し、試料を17,000gで5分間遠心分離した。最後に、水相を回収して、0.2μm孔径フィルターを通して濾過した。この相は、純粋なラムダパッケージングされたファージミドを含有し、試験菌株I及び/又は96種の異なる大腸菌株の回収を用いて形質導入アッセイを実施するために使用した。
【0355】
大腸菌株を液体LB中で37℃にて一晩増殖させ、翌日、新鮮なLB+0.2%マルトース+5mM CaCl2で1:60又は1:100に希釈した。96類の異なる菌株を回収する場合は37℃で2.5時間培養した後、又は試験菌株Iの培養液が光学密度2.5に達した後、形質導入アッセイを行った。
【0356】
タイプI又はタイプIIのRMヌクレアーゼのいずれかによって認識される単一の制限部位の存在がファージミド送達の頻度に影響を与えるかどうかを確かめるために、試験菌株Iは4つのラムダファージミドで形質導入されている:i)8kb タイプI;ii)8kb RF;iii)3kb タイプII及び3kb RF。50μLの試験菌株Iの未希釈培養物は、未希釈又はLB+5mM CaCl2中で10-1~10-8の間で希釈された50μLの精製ファージミドと混合された。ファージミド:細菌混合物を振とうしながら37℃で30分間インキュベートした。最後に、10μLのこれらの混合液を25μg/mLのクロラムフェニコールを含有するLB寒天プレートに置いた。各10μLの液滴がLB寒天表面を流れ落ちるようにプレートを傾けてストリークを形成した。LB寒天プレートを37℃で18時間インキュベートした。コロニー形成単位(CFU)は、個々の計数可能なコロニーの最大数を与えるファージミド希釈物を用いてストリークについて定量化された(図2)。
【0357】
CFUは、ファージミドが首尾よく形質導入された試験菌株I細胞の数に対応する。試験菌株Iにおける4つのファージミドの送達効率を評価するために、得られたCFU数を各ファージミドの全力価に対して標準化した(Table 3(表3))。試験したファージミドを許容する大腸菌株MG1655を形質導入することにより、ファージミドの全力価を並行して評価した。ラムダファージミド8kb及び3kb RFの送達効率は、それぞれラムダファージミド8kb タイプI及びラムダファージミド3kb タイプIIの送達効率と比較された(Table 3(表3))。試験菌株1のRMヌクレアーゼによって認識される制限部位を奪われたラムダファージミド8kb RF及び3kb RFは、それぞれタイプI及びタイプIIのRMシステムに対する単一の制限部位を含有するラムダファージミド8kb タイプI及び3kb タイプIIよりも試験菌株1において3~5log及び1~2logより効率的に送達された。これらの結果は、特定の株のRMシステムによって認識される制限部位の除去がファージミド送達効率を改善することを示す。更に、ファージミドDNA配列内にただ1つの追加の制限部位が存在するだけでも、細菌株へのその送達を著しく減少させる可能性がある。
【0358】
本発明者らは、ファージミドDNA配列から大腸菌の異なる菌株の様々なRMヌクレアーゼによって認識される複数の制限部位を除去することが、ファージミド送達の効率を改善し、及び/又はファージミドを送達できる菌株の数を広げるかどうかを検証した。このために、87種の異なる大腸菌株を4つのラムダファージミドで形質導入した。i)8kb WT;ii)8kb RF;iii)3kb WT及び3kb RF。87個の菌株の未希釈培養物90μLを精製ファージミド10μLと混合した。ファージミド:細菌混合物を振とうしながら37℃で30分間インキュベートした。最後に、これらの混合液10μLを25μg/mLクロラムフェニコールを含有するLB寒天プレートにスポットした。成功したファージミド送達を示す大腸菌の87スポットの菌株の増殖は、37℃でのプレートの18時間のインキュベーション後に評価された(図3、Table 4(表4))。複数の大腸菌制限部位を枯渇しているラムダファージミド8kb RFは、試験した87個の菌株のうち38個の菌株に形質導入され、これは、試験した全菌株の約44%に相当した(Table 2(表2)、図2)。対照的に、制限部位の数が減少していないパッケージングされたラムダファージミド8kb WTは、試験した菌株の27個(31%)に形質導入された。同様に、ラムダファージミド3kb RFは、試験した大腸菌株のより多数(64)に形質導入された。これは、ラムダファージミド3kb WT(45株;52%)と比較した場合、試験された菌株の74%に相当する。ファージミドのRF変異体による形質導入後に増殖する菌株の数が多いことは、複数の制限部位の除去が、2つのファージミドが送達される菌株の数を広げることを示している(Table 4(表4)、図3)。
【0359】
【表3】
【0360】
【表4】
図1AB
図1C
図2
図3
【配列表】
2023073319000001.app
【手続補正書】
【提出日】2023-03-31
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
目的の細菌群によってコードされる制限酵素の制限部位を含有しないか又はごくわずかしか含有しないベクターを調製する方法であって、この方法は、
(i)目的の細菌群を選択するステップ:
(ii)ベクター配列に基づいて、細菌群によってコードされる制限酵素により認識される制限部位を同定するステップ;
(iii)細菌群の各細菌によってコードされる制限酵素により認識される100個以下の制限部位を含むように、ベクターの配列を修飾するステップ;
を含む方法。
【請求項2】
ベクターが、バクテリオファージゲノム又はファージミドである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ベクターが、送達媒体に含まれる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
ベクターが、バクテリオファージ又はパッケージングされたファージミドである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
ステップ(ii)で、目的の細菌群における制限酵素の頻度を決定し、ステップ(iii)で、ベクターの配列を修飾して、目的の細菌群によって高頻度でコードされる制限酵素の制限部位を少なくとも1つ除去する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
目的の細菌群の細菌の少なくとも10%が制限酵素をコードする場合、その制限酵素は、目的の細菌群に高い頻度で存在する、請求項に記載の方法
【請求項7】
ベクター中に元々存在する少なくとも10%の制限部位が除去されている、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
ベクター中に元々存在する少なくとも90%の制限部位が除去されている、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
ベクター中に元々存在する100%の制限部位が除去されている、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
ベクターが、目的の細菌群によってコードされる制限酵素の制限部位を含まない、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
修飾は、制限部位の一部若しくは全部の欠失によって、又は制限部位の少なくとも1つのヌクレオチドのヌクレオチド置換によって行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
ベクターの非コード領域内の制限部位が最初に修飾される、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
欠失は非コード領域においてのみ行われる、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
目的の細菌株が、2から100,000の細菌株の群からなる、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
目的の細菌群が単一の種から選択される、請求項14に記載の方法
【請求項16】
目的の細菌が、エルシニア属種(Yersinia spp.)、エシェリキア属種(Escherichia spp.)、クレブシエラ属種(Klebsiella spp.)、アシネトバクター属種(Acinetobacter spp.)、ボルデテラ属種(Bordetella spp.)、ネイセリア属種(Neisseria spp.)、アエロモナス属種(Aeromonas spp.)、フランシエセラ属種(Franciesella spp.)、コリネバクテリウム属種(Corynebacterium spp.)、シトロバクター属種(Citrobacter spp.)、クラミジア属種(Chlamydia spp.)、ヘモフィルス属種(Hemophilus spp.)、ブルセラ属種(Brucella spp.)、マイコバクテリウム属種(Mycobacterium spp.)、レジオネラ属種(Legionella spp.)、ロドコッカス属種(Rhodococcus spp.)、シュードモナス属種(Pseudomonas spp.)、ヘリコバクター属種(Helicobacter spp.)、ビブリオ属種(Vibrio spp.)、バチルス属種(Bacillus spp.)、エリシペロスリクス属種(Erysipelothrix spp.)、サルモネラ属種(Salmonella spp.)、ストレプトミセス属種(Streptomyces spp.)、ストレプトコッカス属種(Streptococcus spp.)、スタフィロコッカス属種(Staphylococcus spp.)、バクテロイデス属種(Bacteroides spp.)、プレボテラ属種(Prevotella spp.)、クロストリジウム属種(Clostridium spp.)、ビフィドバクテリウム属種(Bifidobacterium spp.)、クロストリジウム属種(Clostridium spp.,)、ブレビバクテリウム属種(Brevibacterium spp.)、ラクトコッカス属種(Lactococcus spp.)、リューコノストック属種(Leuconostoc spp.)、アクチノバチルス属種(Actinobacillus spp.)、セルノモナス属種(Selnomonas spp.)、シゲラ属種(Shigella spp.)、ザイモナス属種(Zymonas spp.)、マイコプラズマ属種(Mycoplasma spp.)、トレポネーマ属種(Treponema spp.)、リューコノストック属種(Leuconostoc spp.)、コリネバクテリウム属種(Corynebacterium spp.)、エンテロコッカス属種(Enterococcus spp.)、エンテロバクター属種(Enterobacter spp.)、ピロコッカス属種(Pyrococcus spp.)、セルラチア属種(Serratia spp.)、モルガネラ属種(Morganella spp.)、パルビモナス属種(Parvimonas spp.)、フソバクテリウム属種(Fusobacterium spp.)、アクチノミセス属種(Actinomyces spp.)、ポルフィロモナス属種(Porphyromonas spp.)、ミクロコッカス属種(Micrococcus spp.)、バルトネラ属種(Bartonella spp.)、ボレリア属種(Borrelia spp.)、ブルセリア属種(Brucelia spp.)、カンピロバクター属種(Campylobacter spp.)、クラミドフィリア属種(Chlamydophilia spp.)、エーリキア属種(Ehrlichia spp.)、ヘモフィルス属種(Haemophilus spp.)、レプトスピラ属種(Leptospira spp.)、リステリア属種(Listeria spp.)、マイコプラズマ属種(Mycoplasma spp.)、ノカルジア属種(Nocardia spp.)、リケッチア属種(Rickettsia spp.)、ウレアプラズマ属種(Ureaplasma spp.)、キューティバクテリウム属種(Cutibacterium spp.)(以前のプロピオニバクテリウム属種(Propionibacterium spp.))、及びラクトバチルス属種(Lactobacillus spp.)、並びにそれらの混合物からなる群から選択される、請求項に記載の方法
【請求項17】
目的の細菌がエシェリキア属種から選択される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
目的の細菌が、バクテロイデス・テタイオタオミクロン(Bacteroides thetaiotaomicron)、バクテロイデス・フラギリス(Bacteroides fragilis)、バクテロイデス・ジスタソニス(Bacteroides distasonis)、バクテロイデス・ブルガタス(Bacteroides vulgatus)、クロストリジウム・レプタム(Clostridium leptum)、クロストリジウム・コッコイデス(Clostridium coccoides)、スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)、枯草菌(Bacillus subtilis)、クロストリジウム・ブチリカム(Clostridium butyricum)、ブレビバクテリウム・ラクトフェルメンタム(Brevibacterium lactofermentum)、B群溶血性連鎖球菌(Streptococcus agalactiae)、ラクトコッカス・ラクチス(Lactococcus lactis)、リューコノストック・ラクチス(Leuconostoc lactis)、アクチノバチルス・アクチノビセテムコミタンス(Actinobacillus actinobycetemcomitans)、シアノバクテリア、大腸菌(Escherichia coli)、ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)、偏性嫌気性細菌(Selnomonas ruminatium)、D群赤痢菌(Shigella sonnei)、ザイモモナス・モビリス(Zymomonas mobilis)、マイコプラズマ・ミコイデス(Mycoplasma mycoides)、トレポネーマ・デンチコラ(Treponema denticola)、バチルス・チューリンギエンシス(Bacillus thuringiensis)、スタフィロコッカス・ルグドゥネンシス(Staphilococcus lugdunensis)、リューコノストック・オエノス(Leuconostoc oenos)、コリネバクテリウム・ゼロシス(Corynebacterium xerosis)、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)、ラクトバチルス・ラムノサス(Lactobacillus rhamnosus)、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、エンテロコッカス・フェカリス(Enterococcus faecalis)、バチルス・コアグランス(Bacillus coagulans)、バチルス・セレウス(Bacillus cereus)、バチルス・ポピラエ(Bacillus popillae)、シネコシスティス株PCC6803、バチルス・リクエファシエンス(Bacillus liquefaciens)、ピロコッカス・アビシイ(Pyrococcus abyssi)、セレノモナス・ノミナンチウム(Selenomonas nominantium)、ラクトバチルス・ヒルガルディー(Lactobacillus hilgardii)、ストレプトコッカス・フェルス(Streptococcus ferus)、ラクトバチルス・ペントーサス(Lactobacillus pentosus)、バクテロイデス・フラギリス(Bacteroides fragilis)、スタフィロコッカス・エピデルミディス(Staphylococcus epidermidis)、ストレプトミセス・ファエクロモゲネス(Streptomyces phaechromogenes)、ストレプトミセス・ガナエニス(Streptomyces ghanaenis)、クレブシエラ・ニューモニエ(Klebsiella pneumoniae)、エンテロバクター・クロアカ(Enterobacter cloacae)、エンテロバクター・アエロゲネス(Enterobacter aerogenes)、セルラチア・マルセッセンス(Serratia marcescens)、モルガネラ・モルガニイ(Morganella morganii)、シトロバクター・フレウンディ(Citrobacter freundii)、シュードモナス・アエリグノサ(Pseudomonas aerigunosa)、パルビモナス・ミクラ(Parvimonas micra)、プレボテラ・インテルメディア(Prevotella intermedia)、フソバクテリウム・ヌクレアタム(Fusobacterium nucleatum)、プレボテラ・ニグレッセンス(Prevotella nigrescens)、アクチノミセス・イスラエリイ(Actinomyces israelii)、ポルフィロモナス・エンドドンタリス(Porphyromonas endodontalis)、ポルフィロモナス・ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)、ミクロコッカス・ルテウス(Micrococcus luteus)、バチルス・メガテリウム(Bacillus megaterium)、アエロモナス・ハイドロフィラ(Aeromonas hydrophila)、アエロモナス・キャビアエ(Aeromonas caviae)、バチルス・アントラシス(Bacillus anthracis)、バルトネラ・ヘンセラエ(Bartonella henselae)、バルトネラ・クインターナ(Bartonella Quintana)、百日咳菌(Bordetella pertussis)、ボレリア・ブルグドルフェリ(Borrelia burgdorferi)、ボレリア・ガリニイ(Borrelia garinii)、ボレリア・アフゼリイ(Borrelia afzelii)、ボレリア・レクルレンチス(Borrelia recurrentis)、ブルセラ・アボルツス(Brucella abortus)、ブルセラ・カニス(Brucella canis)、ブルセラ・メリテンシス(Brucella melitensis)、ブルセラ・スイス(Brucella suis)、カンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni)、カンピロバクター・コリ(Campylobacter coli)、カンピロバクター・フェタス(Campylobacter fetus)、クラミジア・ニューモニエ(Chlamydia pneumoniae)、クラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)、クラミドフィラ・シッタシ(Chlamydophila psittaci)、クロストリジウム・ボツリヌム(Clostridium botulinum)、クロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)、クロストリジウム・フェルフリンゲンス(Clostridium perfringens)、クロストリジウム・テタニ(Clostridium tetani)、コリネバクテリウム・ジフテリア(Corynebacterium diphtheria)、キューティバクテリウム・アクネス(Cutibacterium acnes)(以前のプロピオニバクテリウム・アクネス(Propionibacterium acnes))、エーリキア・カニス(Ehrlichia canis)、エーリキア・チャフェエンシス(Ehrlichia chaffeensis)、エンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus faecium)、フランシセラ・ツラレンシス(Francisella tularensis)、インフルエンザ菌(Haemophilus influenza)、レジオネラ・ニューモフィラ(Legionella pneumophila)、レプトスピラ・インテロガンス(Leptospira interrogans)、レプトスピラ・サンタロサイ(Leptospira santarosai)、レプトスピラ・ウェイリイ(Leptospira weilii)、レプトスピラ・ノグチイ(Leptospira noguchii)、リステリア・モノシトゲネス(Listeria monocytogenes)、マイコバクテリウム・レプラエ(Mycobacterium leprae)、結核菌(Mycobacterium tuberculosis)、マイコバクテリウム・ウルセランス(Mycobacterium ulcerans)、マイコプラズマ・ニューモニア(Mycoplasma pneumonia)、淋菌(Neisseria gonorrhoeae)、ネイセリア・メニンギチデス(Neisseria meningitides)、ノカルジア・アステロイドス(Nocardia asteroids)、リケッチア・リケッチア(Rickettsia rickettsia)、サルモネラ・エンテリティディス(Salmonella enteritidis)、チフス菌(Salmonella typhi)、サルモネラ・パラチフィ(Salmonella paratyphi)、サルモネラ・ティフィムリウム(Salmonella typhimurium)、シゲラ・フレックスネリ(Shigella flexnerii)、シゲラ・ディセンテリアエ(Shigella dysenteriae)、スタフィロコッカス・サプロフィティクス(Staphylococcus saprophyticus)、ストレプトコッカス・ニューモニエ(Streptococcus pneumoniae)、化膿性連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)、ストレプトコッカス・ビリダンス(Streptococcus viridans)、トレポネーマ・パリズム(Treponema pallidum)、ウレアプラズマ・ウレアリチカム(Ureaplasma urealyticum)、コレラ菌(Vibrio cholera)、ビブリオ・パラハエモリチクス(Vibrio parahaemolyticus)、エルシニア・ペスチス(Yersinia pestis)、エルシニア・エンテロコリチカ(Yersinia enterocolitica)、エルシニア・シュードツベルクロシス(Yersinia pseudotuberculosis)、アクチノバクター・バウマニイ(Actinobacter baumanii)、シュードモナス・アエリグノサ(Pseudomonas aerigunosa)、及びそれらの混合物からなる群から選択され、好ましくは、目的の細菌は、大腸菌(Escherichia coli)、エンテロコッカス・ファエシウム、スタフィロコッカス・アウレウス、クレブシエラ・ニューモニエ、アシネトバクター・バウマニイ(Acinetobacter baumanii)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、エンテロバクター・クロアカ、及びエンテロバクター・アエロゲネス、並びにこれらの混合物からなる群から選択される、請求項に記載の方法
【請求項19】
目的の細菌が大腸菌株から選択される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
バクテリオファージが、IKe、CTX-φ、Pf1、Pf2、Pf3、ミオウイルス科、サイフォウイルス科、ポドウイルス科、テクティウイルス科、コルチコウイルス科、リポスリクスウイルス科、プラズマウイルス科、ルディウイルス科、フセロウイルス科、イノウイルス科、ミクロウイルス科、レビウイルス科、シストウイルス科、大腸菌(coli)ファージ、B1、ATCC 51477-B1、B40-8、Bf-1、phiHSC01、phiHSC02、phiC2、phiC5、phiC6、phiC8、phiCD119、phiCD27、KP01K2、K11、Kpn5、KP34、JD001、phiNM1、80アルファ、IME-EF1、ENB6C33、phiKMV、PAK-P1、LKD16、LKA1、デルタ、シグマ-1、J1、T2、T4、T5、T7、RB49、phiX174、R17、及びPRD1バクテリオファージからなる群から選択され、又はファージミドは、これらのバクテリオファージのうちの1つのキャプシドにパッケージングされる、請求項に記載の方法
【請求項21】
ファージミドが、ラムダ由来ファージミド、P4由来ファージミド、及びM13由来ファージミドからなる群から選択される、請求項に記載の方法
【請求項22】
ファージミドが、HK022由来ファージミド、mEP237由来ファージミド、HK97由来ファージミド、HK629由来ファージミド、HK630由来ファージミド、mEP043由来ファージ、mEP213由来ファージミド、mEP234由来ファージミド、mEP390由来ファージミド、mEP460由来ファージミド、mEPx1由来ファージミド、mEPx2由来ファージミド、phi80由来ファージミド、及びmEP234由来ファージミドからなる群から選択される、請求項21に記載の方法。
【外国語明細書】